○
横田参考人 私、
石炭資源開発株式会社
社長の
横田でございます。
まず最初に、私
どもの会社の概要につきまして、御参考までにお話し申し上げたいと存じます。
今後飛躍的に増大することが予想される
電力用
海外炭を将来にわたり安定的かつ経済的に
確保していくためには、秩序立った調達が必要となってまいります。しかしながら、
石炭をめぐります最近の
国際情勢を考えますと、大規模な
需要を持つ
わが国の
電力業界にとりましては、海外における
石炭資源の開発に直接に参加することを通じまして安定的かつ経済的な
輸入を図る体制の確立が必要となってまいります。このような目的を達成するために、昨年一月に、九
電力会社と
電源開発株式会社の十社が共同出資のもとで私
どものこの
石炭資源開発株式会社が設立された次第でございます。
本日は、そういう観点から、
海外一般炭の市場の実情と、
電力用
海外一般炭の
確保の
対策につきまして、二点からお話を進めて御説明申し上げたいと思います。
まず
海外炭の市場の実情でございますが、
わが国の
海外炭需要につきましては、すでに
先ほど電気事業連合会の
大垣参考人から述べられたところでございますが、
昭和五十六
年度の
電力十社並びにその他
電気事業者を含む
電力用
海外一般炭の
需要の
見通しをつくりました。それによりますと、
昭和六十
年度には調達ベースで約千四百万トンから千五百万トン、六十五
年度には四千万トンを超える大きな
需要が見込まれております。
これを同じ
一般炭の大手でございます
セメント業界の最近の
需要の
状況と比較して申し上げますならば、現在の
電力の
海外炭需要はまだ非常に少のうございまして、たとえば数字で申し上げますと、最近では
セメント業界の
海外炭需要は約五百万トンでございますが、
電力はその三割
程度、約百四十万トンでございます。しかしながら、六十
年度になりますとこれが逆転いたしまして、
電力の方が
セメントの一・四倍、それから六十五
年度になりますと約四倍近くまで増大していくわけでございます。
ここで若干
世界の
石炭の
需給事情について触れますと、御承知のとおり、現在
石炭貿易の大きな流れとしましては、ヨーロッパを
中心とするもの、すなわちEC諸国に対しましてポーランド、
アメリカ、南アフリカ、豪州が
供給源となっておりますものと、極東アジア、特に
日本に対しましては豪州、カナダ、
アメリカ、中国が
供給国になっておりまして、こういうことから
二つの大きな
石炭市場が形成されております。今後八〇年代前半は積極的な
生産、
輸出計画を持っております豪州に対する各消費国の期待はきわめて大きいわけでございますが、八〇年代の後半になりますと、
一般炭につきましては、埋蔵量の豊かな
アメリカ西部炭の
供給が始まるものと考えられます。
しかし、
石炭資源の新規の開発というものには直接探鉱、開発に要する資金のほかに、
先ほどから話が出ておりますインフラの
整備等に巨額の資金が必要でございます。
海外炭に大きく依存せざるを得ません
わが国にとりましては、
海外炭資源開発への直接参加ということが大きく期待されるわけでございます。
次に、
海外炭の
確保の
状況等につきまして現時点で見ますと、長期の契約によるもの、あるいは開発
輸入によるもの合わせまして
昭和六十
年度では約一千万トン以上もうすでに手当て済みでございます。
しかしながら、六十五
年度時点の
見通しになりますと、かなり先でもございますが、
先ほど申し上げました四千万トンを超える
海外炭の
需要を裏づける
石炭火力の建設
立地が
計画どおりにいくかどうかということにもかかっておりますが、現在のところ、それでも四割
程度は
確保されておりまして、残りの分につきまして、今後急増する
需要に対しましては、鉱区権の取得とかを通じて先行
確保をすべく、各国においてただいまその準備を鋭意進めているところでございます。
次に、
海外一般炭の
価格でございますが、私
どもは非常に関心を持っているものでございまして、最近の通関統計によりますと、五十五年暦年では、
一般炭の総平均
輸入単価は
需給逼迫を反映いたしまして年間で十一ドル、約二六%
程度の大幅な上昇となっております。これは、
石油からの
転換需要とポーランド政変による振りかえ
需要の急増とか、さらには豪州の長期ストライキ等によって、
石炭のスポット
価格が軒並みに十ドル以上の上昇となったということが大きな引き金となっているのではないかと見られております。
このような
海外炭の
価格上昇傾向は、もちろん
為替レートの変動推移も大きな影響を持つわけでございますが、
一般炭市場の
需給逼迫も手伝いまして、ここ数年は続くのではないかと思われますが、
昭和六十年代に入りますと、
産炭国の山の開発も進み、またインフラも
整備充実が図られてくるとすれば、炭価も一応安定した状態が保たれるのではないか、そのように見ております。
さて、今後ますます増大する
海外炭需要の大量調達に当たりましては、その長期
安定確保を図るために、秩序ある調達体制が望まれることは申すまでもありません。これに関しましては、民間の
立場から、
需要関連業界を初め、
関係者との間で緊密な連携と協調をベースにして、国益に沿った取り組み方をしていくことにいたしております。そのために、
電気事業内部はもちろんのこと、経団連のたとえば
石炭問題懇談会を初め、数多くの協議会、
委員会等を通じて民間ベースの歩調を整えておりまして、他方、
政府関係につきましては、
海外炭問題懇談会などを通じて各業界の御
意見も総合的に反映させていただいておるわけでございます。
次に、将来の
電力用炭
確保対策について申し上げます。
電力業界といたしましても、今後の
需要の増大に先見的に対応いたしまして、長期
安定確保を図っていくためには、どうしても
産炭国の
石炭開発プロジェクトに最初から参加しまして、権益の取得を行いながら
需要の保証を高めていく必要があるわけでございます。
このような観点から、私
どもといたしましては、すでに豪州、カナダ、
アメリカで幾つかのプロジェクトについて折衝をいたしております。
すなわち、豪州ではニューサウスウェールズ、クイーンズランド等を対象にいたしておりますが、特にサウスウェールズの方には既契約が多いわけでございますので、大きな鉱区の残っているクイーンズランドの方へシフトしていくということを考えながら、豪州での開発を進めております。
一方、
アメリカにつきましては、西海岸における新しい港の開設の
促進、
インフラ整備の充実をにらみながら、
アメリカ西部の鉱区権益の取得を図りつつ、話を進めております。なお、そのための日米双方の
関係者によるコールチェーンの共同スタディーもスタートをいたしております。
また、カナダにつきましては、
アメリカに比べてインフラ
関係が若干
条件が進んでおりますので、現在交渉中のプロジェクトも若干ございます。
以上のほか、
一般炭は中国、ソ連、南アフリカなどからの
輸入実績を持ってはおりますが、何と申しましても、現在
一般炭輸入総量の約七割強は豪州に偏重して依存しているわけでございます。
しかし、
わが国の
エネルギー源といたしましては、今後
石炭資源の
需要はますます高まるわけでございますので、これを長期にかっ安定して
確保していくためには、この調達ソースの分散化を図っていくことが、
わが国の
エネルギー安全保障のためにも絶対欠くことのできない戦略であると考えざるを得ません。私
どもがいま
アメリカ、カナダに目を向けて、そこのソースを真剣に考えながら、具体的な共同研究とか開発プロジェクトの折衝に入っているのも、すべてこのような
配慮によるものでございますが、今後豪州のウエートを徐々に
低減させながら、それと引きかえに、将来、賦存量の豊かな
アメリカ、カナダの調達シェアを高めていく所存でございます。
また、
石炭資源の経済的開発と有効利用を図るために、
石炭火力発電所で利用できる炭質の幅の
拡大も考える必要がございます。これは、技術面における研究とか開発にも積極的に取り組んでいかざるを得ないかと存じます。
最後に、インフラ問題でございますが、鉱区が開発されておりましても、
産炭国内部の内陸輸送能力なり
港湾施設等が十分に
整備されておりませんと、現実の
石炭輸入には結びつかなくなってまいります。そういう意味で、インフラ問題の解決いかんが
海外炭導入のかぎとも言えるわけでございます。これらの
インフラ整備については、
先ほどからお話も出ておりますが、巨額の資金と長い年月を要するだけに、
計画的なプロジェクトの
推進が必要であり、
産炭国関係先との綿密な連携、国際協調をベースに、
わが国の
需要規模の
拡大に対応できるインフラ体制の
整備促進を
産炭国側に強力に働きかけていかなければならないと思われます。
一方、
わが国における
海外炭の受け入れ体制としましても、
先ほど来再々お話が出ておりますが、
国内インフラの
整備も同時に急がなければならないわけでございまして、
エネルギー港湾の拡充はもちろんのこと、
海外炭の安定的かつ効率的な一貫した受け入れ体制として、特に最近
コールセンター建設の機運が高まってまいっております。
電気事業といたしましても、
コールセンターの機能を有効に
活用いたしまして、
石炭需給の弾力的運用を図る
立場から、現在内部で
検討を進めているところでございまして、来るべき
海外炭の大量
輸入の円滑化に備えてまいりたいと思っております。
以上、
海外炭の開発導入につきまして、その市場の実情と今後の
確保対策について概略を述べさせていただきました。どうか今後とも、各位におかれましては、
電気事業界の
海外一般炭調達に関する御
理解、御指導を賜りますれば幸いかと存じます。
以上で私の
陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(
拍手)