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森田参考人 私は、
石炭労働三団
体政策推進会議の
代表幹事の
森田でございます。
本
委員会の諸
先生方には、大変困難な
国内炭政策に対し大変な御
努力をいただいておることにつきまして、この席をかりて厚くお礼を申し上げたいと思います。
御存じのとおり、
石炭の労働組合も炭労、全
炭鉱、炭職協、この三つの組織がございまして、それぞれの
立場に基づく行動を今日まで進めてきているわけでありますが、私
ども、
石炭政策をめぐる諸問題について、可能な限り統一をして、行動を一にして臨もうということで
考え方をまとめている次第であります。後ほどそれぞれの組織から、どうしてもこの際申し上げておきたいということについて述べることになっておりますけれ
ども、私からは総括的に、この三団体が一致をして、特に今度の七次
政策に向けて行動を進めようということについて申し上げてみたいと思います。
一つは、
国内炭の
生産と
位置づけの問題であります。
先ほど来お話がございましたように、私
どもとしても、
国内炭はいわゆる
国内唯一の
エネルギー資源という認識に基づいて本問題の処理に当たるべきであろう、そのためには
国内炭の
生産目標を二千万トン以上に置く、こういうことでなければならないと考えております。
御存じのように、
昭和五十五年度の
生産は千八百万トンをわずかに超した程度であります。この内容も北炭の新鉱、幌内、これが大幅に五十万トンほどの減産がありながら、残りの
炭鉱で大幅な
増産をなしてようやく一千八百万トンを
生産をしたということでありますが、現在でも一千九百万トンを掘れる実力があると私は思うのであります。さらにこれに対策を講ずることによって、土千万トンの体制を
維持することは十分でき得るというふうに判断をいたしているところであります。したがって、早急に二千万トン体制に復元をする、以降拡大
生産を目指していくということにしていくべきであるというふうに考えております。
二点目は、新
鉱開発並びに閉山鉱区の再
開発などの問題でありますが、現状のまま推移をいたしますと、御
承知のように深部化、さらに奥部化は進む一方であるわけでございまして、二千万トンの
確保をうたい文句にいたしましても実体が伴わないということになりまして、
炭鉱は老朽化をしていきますから、これに対する対策を講ずるためには早急に新鉱の
開発を行うべきである、これを具体的に計画を明らかにして促進をすべきである、こういうふうに考えているところであります。
さらに、
政府が買い上げたり、遊休鉱区あるいは消滅鉱区などという内容もあるわけでありますが、これら隣接鉱区を含めて、再
開発をこの際思い切ってやるべきであるというふうに考えているわけであります。この際、新
鉱開発、あるいは隣接鉱区を含めた再
開発にいたしましても、現状の
石炭企業の
経済能力からいってこれは非常にむずかしいわけでありまして、できる限り国の責任でこれを行っていただきたいと思っているところであります。
三点目は、
生産、保安体制の確立の問題であります。
先ほ
ども申し上げましたような二千万トン体制を確固たるものにする、そのためには、何といっても坑内骨格構造の改善を促進していくということ。さらに、深部化、奥部化に伴って山はね、ガス量の増加、湧水、温度の上昇、こういう
自然条件の悪化が予想されるわけでありまして、保安
確保に対する助成、保安
技術開発、研究などを図ることについては今日までも進めていただいておりますけれ
ども、今後ともこの充実に努めていただきたいと思っているところであります。
四点目は、
国内炭の
需要対策であります。
国内炭の優先活用、こういうことを前提にいたしますと、今日
海外炭との
格差がまだございますので、どうしても安く手に入る
海外炭ということに目が向いてしまうわけでありまして、私
どもとしては、かつて
石油に重点
政策を持っていって、安いから、あるいは思うとおりの量が
確保できるからということで
石油に切りかえていったあの過程を思い起こすわけでありますが、今後は、やはり
国内炭の優先活用という前提に立って、
国内炭の一定率引き取りなど法的
措置を講じていただきたいと思うわけであります。これは
IQ制度の活用などという問題がございますけれ
ども、それだけではどうもしり抜けになってしまうのではないか。もっと強力な法律的
措置が必要であろうというふうに考えているところであります。
さらに、
海外炭の
開発、輸入については、総合
エネルギー及び
国内炭優先活用の
立場から、秩序ある輸入体制、量、
価格の調整な
ども含みますけれ
ども、そういう輸入体制にすべきであるということであります。
さらに三つ目としては、この
国内炭及び輸入炭については、
政府機関が一括購入、販売を行うよう必要な機関を設置していただきたいということであります。
続いて五点目は、
労働力の
確保対策であります。
御
承知のように、
技術者、熟練
労働力の自然減耗が増加傾向にあるわけであります。定年退職者だけを見てまいりましても、毎年九百七十名から千名を超すわけであります。これは定年退職者だけであります。そのほかに自然退職、自己都合退職あるいは病気退職などを含めますと、二千名に及ぶ
数字になるわけでありますが、さらにこれに伴って若手
労働力というものも、都市型の
炭鉱にはある程度の若手
労働力も
確保できているわけでありますが、いわゆる山の中の多くの
炭鉱についてはこの
労働力が非常に不足がちである。そして
労働者の平均年齢も非常に高くなってまいりまして、今日では大体四十三歳になろうとしているわけであります。四十三歳あるいは四十五から五十歳くらいの
労働力が全
炭鉱の半分以上、六割程度を占めているというのが今日の実態でございます。
したがって、このままいきますと、
技術者の不足、
労働力の不足ということで、いわゆる
石炭生産に大きな支障を来すということが考えられますので、次の諸点について対策を講ずるべきであると考えております。
一つは、
労働力確保、特に
若年層のために地下産業にふさわしい労働、福祉諸
条件をぜひ導入していただきたいと思うわけであります。
労働条件、賃金にいたしましても、全産業の比較の中において、坑内
労働者の場合賃金は高いというようなことを言われておりますけれ
ども、それは非常な長時間労働を行っている
関係での賃金が高いという面でございまして、普通の労働時間に換算をいたしますと相当低いところにあるというのが実態でございます。
二点目でも申し上げますが、他の産業から比較をいたしますと優に百三十時間に及ぶ超過労働時間、外国の例からいたしますと二百時間、三百時間にもなんなんとする時間を多くこの坑内あるいは採炭に費やしておるということについて御理解をいただきたいと思うところであります。
次は、
石炭産業の安定的な保安、
生産体制を
確保するために早急に
技術者及び熟練
労働者の育成を図る、そのために既存の教育機関の育成強化及び国の養成機関を設置する等、助成
措置を講ずることということでありますが、それぞれの
石炭企業でも鉱山学校な
ども設けているところもございましたけれ
ども、いまそれを実際に行っているのは九州松島
炭鉱だけのようであります。そのほか北海道では、北海道の
努力によりまして夕張市の工業学校に専門課程を設けているというようなこともございますけれ
ども、具体的には、
炭鉱に将来職を求めるといいますか、こういうような若い人たちの気持ちがなかなかまだそこまでいっていない、こういう問題等もございまして、何らかの処置を講ずるべきであろうと考えているところであります。
次に四点目は、現在ある
石炭鉱業年金をもう少し魅力あるものにするための改善を行っていただきたいと思うわけであります。
次に、
石炭産業の体質強化の問題であります。
これも、先ほど来それぞれお話がございましたように、現状の
石炭企業は大変多くの国の助成、補助を受けながら生きているわけでございまして、これがなくなれば直ちにつぶれてしまうという弱い面を持っていることもまた実態であります。今日、若干、経営が安定しているという
企業もないわけではございませんけれ
ども、これらの
企業も含めて大変苦労をいたしているところであります。
そこで、この
石炭企業の
維持、体質強化をするということは、即将来の
石炭生産、私
どもから言わせますと安定をした働く場がそこに求められるということに通ずるわけでございまして、今後においても
石炭並びに
石油及び
石油代替エネルギー対策特別会計制度の堅持、その財源の強化拡大を図っていただきたい。
二つ目は、各
炭鉱の操業
条件、これは沿岸部あるいは内陸部ということで輸送
コストがかさむという問題、あるいは
立地条件、
自然条件などの中で急傾斜あるいは傾斜が非常に少ない、機械化がどんどんできるという、それぞれの違いなどの原因もございますけれ
ども、
炭鉱別の損益に
格差が非常に大きくなっている。この
格差を是正する
方法は
幾つかあると思うのでありますが、私
どもが当面お願いをしたいのは、
安定補給金の
傾斜配分などの
政策助成
措置を行っていただきたいという問題。
あるいは坑内骨格構造整備拡充補助金、保安
確保事業費補助金の拡充を図る、こういったことを含めた交付基準を再
検討していただきたいということでございます。
最後でございますけれ
ども、
炭価決定とルールの確立についてであります。
炭価については、
生産費を償い、再
生産を可能とする
炭価水準を
確保することを基本として、適正な
炭価が
決定できるよう
炭価決定ルールを確立していただきたい。
二つ目は、
炭価決定については、いままでも、六次
答申の中でもいろいろ
考え方はあるわけでありますけれ
ども、実際は実行されていないと思われます。確実に間違いなく実行していただくということになりますと、
石炭鉱業審議会の
需給価格部会に強力な権限を付与して、そしてそこで決めるということにしていただきたいと思うわけであります。
以上、簡単に総括的に申し上げましたが、私
どもとして機会あるごとにこれらの問題について陳情行動などを行ってまいっておりますので、今後ともよろしくお願いをいたしたいと思います。
以上で終わります。(
拍手)