運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-04-02 第94回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月二日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 森中 守義君    理事 愛野興一郎君 理事 楢橋  進君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君    理事 中西 績介君 理事 田中 昭二君    理事 小渕 正義君       麻生 太郎君    太田 誠一君       倉成  正君    古賀  誠君       保利 耕輔君    渡辺 省一君       塚田 庄平君    八木  昇君       鍛冶  清君    稲富 稜人君       小沢 和秋君    石原健太郎君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭部長   福川 伸次君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君  委員外出席者         参  考  人         (朝日新聞社論         説委員)    西村 友裕君         参  考  人         (産炭地域全国         道県知事連絡協         議会事務局長)         (福岡県副知         事)      小林 悦夫君         参  考  人         (全国鉱業市町         村連合会副会         長)         (夕張市長)  中田 鉄治君         参  考  人         (産炭地域振興         審議会会長)  徳永 久次君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二一号)      ————◇—————
  2. 森中守義

    森中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は、参考人として、朝日新聞社論説委員西村友裕君、産炭地域全国道県知事連絡協議会事務局長福岡県副知事小林悦夫君、全国鉱業市町村連合会会長夕張市長中田鉄治君及び産炭地域振興審議会会長徳永久次君、以上の四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  参考人各位におかれましては、ただいま議題となっております産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず参考人から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただいた後、委員質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず西村参考人お願いをいたします。
  3. 西村友裕

    西村参考人 朝日新聞論説委員西村でございます。産炭地域振興審議会委員会の一員といたしまして、昨年十一月作成しました答申にかかわりましたその立場から意見を述べさせていただきます。  答申は、現行法の十年延長をうたっております。形式的には、この十年延長ということは単純延長ということでございますけれども、私はこれには二つ意味があるというふうに理解しております。  その一つは、この十年の延長はこれが最後の十年であるということであります。三十六年に現行法が制定されましてから五年、五年、十年ということで、今日まで二十年間続いてまいったわけでございますけれども、これからの十年が、その単なる延長で、またこの十年が終わったらさらに続くというような、そういう考え方ではなくて、もうこれでおしまいの十年であるというふうに思っております。  第二番目は、この十年の期間内でありましても、振興対策目的達成されたと評価された地域におきましては、指定の解除があり得るということを明示しているというふうに理解しております。したがいまして、この十年の延長という中で、国と関係道県並びに市町村は一層の努力をいたしまして、できるだけ多くの地域がこの期間内に、いわば卒業していくということを望んでいる次第でございます。  地元方々から見ますと、今回の十年の延長ということは、ひょっとすると途中で打ち切られるかもしれないという不安が残ったとか、あるいは財政的に見ましても、特定事業調整費の十一億円がついただけということで御不満があろうかと思いますけれども、いろいろな事情を勘案いたしますれば、この答申の線は妥当なところではないかというふうに思っております。その理由を二つだけ挙げておきたいと思います。  第一は、国民経済的な観点から、財政資金は公平かつ効率的に配分していかなければいけないという点でございます。申すまでもなく、石炭産業は大切なエネルギー源としてわが国経済発展に大きな役割りを果たしてまいりました。それが昭和三十三、四年ごろのいわゆるエネルギー革命によりまして、石炭産業の壊滅的な打撃と同時に、関係地元地域社会が大きく衰退するという現象が起こりまして、その結果、産炭地域振興法が制定されたわけでございます。  しかしながら、すでに制定以来二十年たったという現実を見ますれば、産炭地域に対する対策をいつまでも特別扱いにするということにつきまして、周囲の環境は次第に厳しくなっているということを認識しなければいけないというふうに思います。それから、同じ産炭地の中にありましても、この二十年の施策によりましてかなり回復をしてまいったところもございまして、産炭地域内部での格差というような問題も出てきていると理解しております。第二番目には、財政再建との兼ね合いでございます。申すまでもなく、国の財政は大量の国債発行という借金財政の中にございます。五十六年度予算におきましても、二兆円の国債減額を行ったとはいいながら、依然として二六%もの借金を抱えているという状況でございます。そしてこれまでの大量の国債発行のツケが回ってきて、五十六年度予算では、その国債償還利払いのために六兆六千億円という巨額予算を計上しております。この六兆六千億円というのは、公共事業費全体に匹敵する巨額な額でございます。また、利払いだけをとりましても五兆円を上回り、一日当たりにすると百五十億円近く、一時間当たり六億円、一分間当たり一千万円ずつも借金利払いにとうとい国の財政資金を使っているという現状でございます。もしこうした巨額借金がなかりせば、産炭地域に対する対策費もあるいはまだ配慮できたかもしれない状況ではないかと言えると思います。  折から、政府は増税なき財政再建ということで、歳出カットあるいは補助金の見直しだとかいうことを大きな課題に掲げております。政府財政再建目的は、五十九年度に赤字国債発行をゼロにするということを一応の目標にしているようでございますけれども、私は、それだけで日本の国家財政が健全になったというふうにはまだ言えないと思うのです。つまり五十九年度以降になりましても、先ほど申しました国債償還利払いに対する資金は十兆円を超えるような状況になってくるわけでございます。  そういう厳しい財政状況の中で、今回現行法を十年延長したということを深く認識して、残された十年以内に地元方々に一層の努力をしていただきたいというふうに感じております。地元方々に対しては多少冷たく突き放したような印象を与えたかもしれませんけれども国家財政あるいは国民経済的な全体的な観点から考えますと、私がいま述べましたようなことを深く認識していただかなければいけないといいますか、そういうふうに認識していただいて、産炭地域振興に一層の努力お願いしたいというふうに思っております。  以上でございます。(拍手
  4. 森中守義

    森中委員長 ありがとうございました。  次に、小林参考人お願いいたします。
  5. 小林悦夫

    小林参考人 福岡県の副知事小林でございます。石特委員会の諸先生方には、日ごろから産炭地域振興、また石炭鉱業長期安定対策につきまして、力強い御教示をいただき、深く感謝を申し上げているところでございます。  本日は、ことし十一月に期限切れを迎えまする産炭地域臨時措置法延長問題という、私どもにとりまして最大の関心事を取り上げて御審議をいただくということで、大変ありがたく存じておるところでございますが、重ねて、私に対して産炭地域八道県を代表して発言する機会を与えていただきましたことに、改めて厚く御礼を申し上げたいと存じます。  そこで、今回、私は、産炭地域全国道県知事連絡協議会、これの世話役という立場もあるわけでありますが、福岡県の副知事でございますので、福岡県の実情、それも旧産炭地域、これを中心として現状を簡単に申し上げ、あわせて今後の問題点や私ども産炭地域に対して取り組んでまいりまする決意の一端を述べさせていただきたいと存ずる次第でございます。  まず第一点の産炭地域現状とこれまでの県の施策でございます。  御承知のとおり、福岡県の産炭地域は、筑豊地域筑後有明地域と呼ばれるこの二地域があるわけでございますが、明治以降、わが国近代化と戦後の復興を支えてきたこれらの地域も、世界的な規模でのエネルギー転換、こういうあらしの中でほとんどが壊滅することになったわけでございます。  かつては十四万人の労働者が働き、千四百万トンの出炭を誇った筑豊地域、この山三百がすべて消え去りまして、本県ではわずかに有明地域三井三池炭鉱を残すのみとなっているのであります。そのつめ跡の深さは想像以上のものがあるわけでございまして、事実、今日まで私ども地域振興を進めていく上で大きな障害となっているわけでございます。  ちなみに、参考までに申し上げますと、人口こそ、昭和五十五年の国調によりますと、いわゆる六条地域につきましてもその減少に歯どめがかかったわけでありますが、生活保護失業実態を見てみますと、生活保護率筑豊六条地域では千分の九十二、また、産炭地域全体では千分の四十三、こういう状態でございまして、全国平均が千分の十二でございますから、依然として平均を大幅に上回る数字となっているわけでございます。  また、石炭の後遺症と言われます鉱害につきましては、昭和五十五年度価格で残存鉱害量が千九百四十八億円、また、ボタ山は三百十八、炭鉱住宅も三万五千戸、このうち改良を要するものは二万一千戸、こういうことで、その量の膨大さ、また、問題処理の困難さのゆえに、国や私ども努力にもかかわらずその後始末が遅々として進まない、このため、きわめて残念なことでありますけれども産炭地域としての暗いイメージをいまだに払拭できない状況にございます。  加えまして、産炭地域を抱える市町村でございますが、その財政力指数は、筑豊の六条地域で〇・三四、全国平均が〇・六三でございますので、その二分の一という数字が示しておりますように、財政疲弊が著しく、わずかに鉱害復旧であるとか就労事業、これらの公共関連事業によって支えられておるのが実情ということでございます。  もちろん、私どももこの間、いたずらに手をこまねいていたわけではございません。知事が日ごろから口にしている言葉でありますが、産炭地域浮揚なくして福岡県の発展はない、こういうかたい信念のもとに諸施策推進を進めておるところでございます。  第一には、石炭産業にかわる新しい雇用の創出を図っていくということで、産炭地域に対する企業誘致を積極的に進めることでございます。その結果、昭和四十二年度から今日まで、筑豊地域だけでも七百七十社、五万二千人の雇用増が見られております。また、このための受けざらづくり基盤整備として工業団地の造成、広さにして二千四百ヘクタール、これを造成いたしまして、水資源開発、道路の改良等も並行して進めてまいってきております。  第二には、当面の雇用対策といたしまして、昭和四十四年度からはいわゆる開就事業をスタートさせていただきまして、それまでの緊就事業とあわせまして、新たな離職者対策雇用の場をつくってまいりました。さらに、四十六年には特定地域開発就労事業、これも開始されまして、その結果、今日まで実に延べ二千九百五十四万人、これの地域雇用が生まれたわけでございます。  また第三には、疲弊の著しい産炭地域に豊かな心を育てる、こういう趣旨から、青年の家であるとか憩いの村、県民の森等、こういうものを建設いたしまして、明るさを回復するための地域環境整備にも力を入れておるところでございます。  ところで、今回の産炭法延長の問題でございますけれども、ただいま申し上げましたように、産炭地の現在の状況、特に旧産炭地におけるつめ跡の深さ、さらには、これまで同法が本県を初めといたしまして、関係道県にもたらしました効果等を考えますと、現下におきましても、なおその存続が必要であると確信をいたしておるところでございます。このため、私どもは、一昨年来諸先生方を初め政府、国会に対してその延長を重ねて陳情申し上げてまいりました。  確かに、本県産炭地域にありましても、最近の都市化情報化の進展によりまして、当時とは地域の様相が異なってきておりますし、これまでの国や私ども努力も徐々にではありますが、その効果をあらわしつつあります。換言するならば、本県産炭地域にあっては、今日にしてようやく発展の兆しが見え始めた段階、このような状況でございます。  こういう意味におきまして、産炭法延長をぜひお願いをいたしたいのでありますが、この延長先生方の御尽力によりまして実現ができましたならば、先般明らかにされました産炭審議会答申にありますように、私どもとしては、この十年で地域浮揚の契機をつかみまして、一応水準達成の目途をつけたい、いつまでも産炭地域ということで甘えてはならないとみずからを戒めておるところでございます。次に、今回の審議会の中で明らかにされております発展計画関連して申し上げたいと存じます。  これまでの産炭地域振興は、御存じのように国が法律に基づいて策定いたします基本計画、また、実施計画によって進められてまいりました。しかし、これからの産炭地域振興は、鉱工業の振興にとどまらず、より広い分野を含めた総合的な環境整備という観点が必要であり、また、画一的な振興ということではなく、地域実態に根差し、地域の特性を生かした振興を図ることが期待されるという今日的時代の要請があります。したがって、今回の答申に言う地元主導によるブロック別発展計画の策定、こういう御提言もこの辺の発想から出てまいったものと思います。  そこで、この発展計画についてでありますが、私どもは、この計画当たりましては、産炭地域について初めて本格的にかつみずからの責任において策定するものでありますだけに、並み並みならぬ決意が必要だと考えておるところでございます。この場合、地元といたしましては、創意と工夫をこらしまして計画をまとめることが肝要でありますと同時に、地域への投資のあり方等について総花的であってはならない。また、地域への波及効果の大きいもの、戦略性の高いものを選びまして、その実現に向けて集中的に投資していくという確認が必要であろうと考えておるところでございます。  しかし問題は、でき上がった計画が国の計画の中にどのように取り込まれていくか、また、計画に位置づけられました各プロジェクトが国の関連事業である場合に、関係省庁がどの程度これをフォローしてもらえるか、こういう制度的な保障についてであります。  これまで産炭地域に関しまして数多くの調査が行われました。また、各分野計画が明らかにされておるわけでありますが、その辺の詰めを欠くために日の目を見ないままになっている例が数多く見られました。しかし、今回の発展計画につきましては、私どもの自覚に加えまして、地域住民の期待にも大きなものがありますだけに、必ず形になっていくための計画であることが求められると存じます。  したがって、少なくとも計画に位置づけられました国の事業等につきましては、優先的、積極的に所要の措置を講じていただく、そのための各省庁間の糾合体制の確立をこの際ぜひお願いをいたしたいと存ずる次第であります。  次に、産炭地域市町村財政問題でございますが、窮乏著しい市町村財政健全化の問題であります。  この点につきまして、産炭法の第十一条が地域にもたらす恩典につきましてはきわめて大きなものがあります。私どもは、今日国の財政事情がきわめて逼迫している、このことは十分に承知をしておるつもりでありますが、先ほど申し上げましたような、たとえば生活保護費全国の七倍の保護率、こういうものからくる負担増、また失業対策にしても、就労者の数が全国平均の三倍を超えている、こういう現状では、それぞれの市町村は当然進めなければならない生活環境改善等事業に手が届かないというのが実情であります。  この点につきまして、産炭審議会からは、「産炭地域地方公共団体財政疲弊は、産炭地域振興計画的な推進を阻害する主要な要因となることから、疲弊の著しい市町村に対する財政援助について、一層の配慮が望まれる。」こういう答申をいただいておるわけでございますが、私どもといたしましては、なお一層の市町村財政援助お願いするところでございますが、少なくとも産炭法によるものはもちろんのこと、産炭地域に対しまして特別の御配慮をいただいている現行補助制度、たとえば交付税における産炭地補正等については、ぜひこれを存続をしていただきたいと存ずる次第でございます。  幸いにして今回、資源エネルギー庁の御協力によりまして、新たに特定事業調整額制度全国枠で十一億でございますが、これが創設されるやに聞き及んでおるわけでございますが、これが実現いたしますと、私どもにとっては貴重な財源となりますので、さきに申し上げました発展計画等の絡みで有効に活用させていただきたいと存じます。また、この制度の今後一層の拡充につきまして、あわせてお願いをいたしたいと存じます。  最後に、国鉄赤字ローカル線との関連一言だけ申し上げさせていただきたいと存じます。福岡県には、現在、国鉄在来線は全部で二十二路線あるわけでございますが、この路線のうち、政令基準によりまして、輸送密度が一日一キロ当たり四千人未満として特定地方交通線に該当する路線は十三路線となります。このうち産炭地域に所在するものが十路線であります。  運輸省、国鉄では、これらの対象路線を三段階に分けて廃止する意向のようでありますが、福岡県内産炭地域路線では、当初の五十七年度までに廃止対象として取り扱われる路線が五路線もありまして、産炭地域振興に大きな影響を及ぼすことが予想されます。  これらの産炭地域鉄道は、石炭輸送がなくなった現在でも、沿線住民の重要な交通機関として利用されておりますし、また、産業関連貨物輸送等地域の基幹的な交通としても大きな役割りを果たしている鉄道でございます。  折しも産炭地域振興が強調され、関連法律延長等必要な施策が講じられているときに、一方でローカル線廃止が行われようとすることは、私どもにとりましても非常に納得のいかないところでございます。  このようなことから、これまでも、国鉄ローカル線対策につきましては、産炭地域特殊事情を考慮して対処されるように強く要望申し上げてきたところでありますが、今後、具体的に論議をいただくに当たりましては、現時点での輸送実績輸送増加予想のみで判断するのではなくて、これから取り組もうとしております産炭地域発展計画内容沿線地域振興施策実績を見きわめた上で、さらに旅客や貨物輸送密度を再検討いただき、存続廃止かを判断することが最も実態に合った対応ではなかろうかと考える次第でございます。端的に言いますならば、少なくとも産炭地域路線につきましては、当初から廃止される路線からは除外していただきたいと考えているところでございます。  このように弾力的な対応を行っていただくことによりまして結果的には産炭地域振興、これも十年という限られた期間内でよりよい成果をおさめることになり、このことが関係住民理解をもたらすことにもつながるものと考えるわけでございます。あえてここで国鉄ローカル線問題について言及をいたしまして、御理解と御協力お願いいたしたところでございます。  最後に、産炭地域実情地域が抱えます問題点は以上のとおりでございますが、その解決に向けて私ども地方自治体最大限の努力を傾けてまいる所存でございますので、産炭法延長はもとよりのこと、相次いで期限切れを迎える他の石炭関係法につきましても、その強化延長についてよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  長時間にわたる御清聴、まことにありがとうございました。(拍手
  6. 森中守義

    森中委員長 ありがとうございました。  次に、中田参考人お願いいたします。
  7. 中田鉄治

    中田参考人 北海道夕張市長でございます。  参考人としての陳述の前に、夕張市長といたしまして、このたびの、昨年来北炭夕張炭鉱の問題につきまして、諸先生にはいろいろと御配慮をいただきまして、再建計画につきまして一応の御承認をいただきまして、この三カ年で再建をすべく労使はもちろん、夕張市民一丸となってこれから努力をしてまいる所存でございますので、どうか今後ともよろしく御支援のほど、お礼を兼ねましてお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  なお、本日は、産振法の延長問題につきまして発言機会をお与えいただきましたことを厚く御礼を申し上げたいと思う次第でございます。  私も産炭地振興審議会委員ではございますが、小委員会ができまして、小委員の皆さんに九州、北海道の現地の調査もしていただきまして、数回会議を開いていただいて、単純延長とはいいながら、答申内容は、私どもが非常に問題点としておりました点を答申の中に十分盛り込まれておりますし、適切な答申がされたわけでありまして、感謝を申し上げておるところでございます。本日は、また法案の提案がされまして、石特委員会でいろいろ御審議をいただくことを心からお礼を申し上げる次第でございます。  この今回の臨時措置法の問題、十年の延長でありますが、先ほどもお話がございましたけれども、この法律が発効以来二十年かかっていろいろ産炭地振興に私ども自治体一生懸命やってきたつもりでありますが、現状では、他市町村と比べてどうしても非常に劣悪な状態にある。せめてもう十年間ぜひ延長してもらいたい。おかげさんでそういう方向になりつつあるわけでありますけれども、御指摘のように、この十年間でもし復興ができなければ、その自治体としては脱落であるという覚悟を私どもしなければならない、そういう決意をしなければならないということで、産炭地市町村はみんな同意見でこれから進んでいかなければならない、こう考えているところでございます。この十年間にいわゆる目標達成をしなければならないわけでありまして、国や道県お願いするばかりが能ではない、市町村がみずからこの復興のために最大努力を払うべきだという決意をしているところであります。  北海道特殊性を若干申し上げたいと思うわけでございますが、特に夕張の場合、昨年も清水沢炭鉱という大型閉山がございました。夕張の場合には二十四山がありまして、この二十年間に二十一山閉山、そしていま三山が稼働しておる。したがって、この二十年間かかって一年に一山ずつ閉山したという経過を踏んでおるわけであります。したがって、この二十年間に何とか復興しよう、振興しよう、こう考えて閉山の都度対策をしてまいりましたけれども期限切れとなるこの年にまた閉山があるというような状態が続いておりまして、これでもう閉山がないであろう、こう考えて、これからが本当の意味の産炭地振興でないだろうか、こういう感を深くしている現状でありまして、この十年間にどうしてもこれは復興させなければならぬ、その努力を払わなければならない、こう考えておるわけでございます。  何よりも産振法の第一条に掲げておる目的は、石炭発展目的もありますけれども、工業の発展である。二十年かかってずいぶん工場団地をつくっていただいて、企業誘致の運動もしてまいりましたが、何といっても現地では——現地というよりも企業の本社では、北海道がそれほど熱心ならひとつ行ってみようかと九分九厘決まっておりまして、それで現地に来て現地の調査をしますと、疲弊し切っておる産炭地現状を見て、こんな町では恐らく若い労働力を確保することはできないであろう、そういうことであとに残された一%の現地のイメージで進出をしないという、深い苦い経験をこの二十年間私どもしてまいっておるわけであります。  そういうことで、これからの産炭地振興の柱は、まず産炭地のイメージチェンジをしなければならない、こう考えまして、私、手前みそでありますけれども夕張現状で、日本の産業経済に貢献してきた石炭の歴史を後世に残していこう、そして観光の町にもしようということで、石炭博物館を中心とする石炭の歴史村構想を約五十億で昨年から発足を見ておるわけであります。そしてまた夕張には、御案内のように夕張メロン、全国的に有名にさせていただきました夕張メロンを利用した夕張メロンブランデー、ワインの研究を二年間やってまいりまして、何とか成功したようでありますので、ことしは製造認可をとって、ひとつ全国的に、世界的に有名になるようなメロン工場を市営でやっていこう、いまこうやっておるわけであります。これらは、歴史村の観光客を呼ぶ、そしてブランデー工場をやって工業を発展させるというのが第一の目的ではなくて、いわゆる工業の発展をさせるために、夕張産炭地疲弊し切っておるイメージの転換を図らなければ、企業は張りついてくれない、これは二十年間の歴史で私どもは深い体験をしておるところでありまして、そういうことで、産炭地の住民は知恵と工夫と実践、これをしていかなければ、単に十年延長があったからといってそれに甘えてはいけない、こう私ども戒め合っておるところでございます。  そういうような状態でいま進めつつあるわけでございますが、おかげさんで今回の答申の中では、先ほどもお話がありましたが、経済生活圏をつくって広域的な発展計画を組んで、それを着実に実行するところにあるということになっておりまして、私もその基本的な理念については大賛成であります。そうしなければならないものだと感じておるところでありますが、現実の問題として、北海道の場合には非常に広い土地であります。  私ども夕張の例を挙げますると、周囲が全部山に囲まれております。そのほかの隣接の町村に行くのには最低一時間ないし一時間半かかる、遠い広域圏では四時間ぐらいかかる。そして今度の発展計画では、あくまでも共同施設を広域的につくっていくべきであるという基本があるとすれば、たとえば病院であるとか消防施設であるとか、広域的に利用のできる、そして広域的に経済の発展のできるものとするならば、そういうブロック、経済圏をつくる問題についていろいろローカル性が加味されなければならないことがたくさんあるわけでありまして、そんなことでいま私ども自身がどう経済圏をつくり上げていくかという苦労をしておるところであります。この基本に基づいて経済圏をつくっていかなければなりませんが、北海道の問題として、そういう実情もあることをひとつ御理解を賜りたいと思う次第でございます。  さらにまた、今回おかげさんで、法第十一条のかさ上げ事業十七項目ございますうち、何とか教育、文化、福祉面におけるところの事業をひとつ追加してもらいたいということをずいぶんお願いを申し上げておりましたところ、ことしの予算で十一億、特定事業の促進調整額ということで予算面で盛られておるわけでありまして、この活用を十分していかなければならないわけでありますが、基本的には国庫補助事業に限られておる、そして広域経済圏、経済生活圏の計画事業に限られているというようなことであって、北海道の問題として、九州もあるわけでありますが、先ほどお話がありました、たとえば閉山跡地に夕張の場合には八百六十六棟、千九百二十四戸が空き家となっていまだにこの数年間放置されておるわけであります。これが青少年の非行化の原因になっておるというのが現状でございます。やはりこれを取り除き、その跡を環境整備をしなければ、いわゆる工業誘致、立地の条件が整っていかない。これが私どものこれからの大きな課題でございます。  こういうような問題をどのような方向で解決する方法があるだろうか。いまの制度資金では全くこれは皆無の状態でありまして、できれば産炭地振興という形での補助、起債等の枠が欲しい、こういうことを考えておるわけでありますが、現在のこの特定事業促進調整額の制度ではこれを受けられない状態でありまして、または公害ではどうか、いまの公害法による公害ではございませんけれども、これらの炭鉱の跡地の残骸はいわゆる環境公害だ、したがって、これらの問題等もこうした措置で何とかひとつ復興できるような措置を講じていただくわけにはいかないものだろうか。これらが大きなこれからの私どもの課題になっておるわけでありまして、何とかこの点のお取り計らいをひとつお願いしたいものだと思っておる次第でございます。  それから、今度の産振法との直接の関係はないわけでありますが、いわゆる新石炭政策が決められておって、これから恐らく二千万トン体制というのはまず変わらないであろうと私は信じたいわけであります。そうだとすれば、いまの、特に北海道が多いわけでありますけれども石炭を出そうとしている産炭地現状で二千万トンの確保ができるであろうか。現地の自治体の首長としてこの点をどう考えるかと言えば、二千万トン出すためには、それを掘り出す労働力が必要である、特に若年労働力が必要である。  夕張現状は、いま平均年齢が四十六・九歳、四十七歳であります。若い者が入らなくて、年寄りが定年でやめていく、そういう状態でございますので、平均年齢が一年に二歳くらいとっていく。そうすると、ここ数年にして平均年齢が定年年齢に達するという時代が早晩来る。そうなると、労働力の面でこの二千万トン体制ができないのではないだろうか。  それではなぜ若い労働力が確保できないかと言えば、先ほど来申し上げた産炭地現状、私の市では学校が三十一校ございます。そのうち永久構造になっている鉄筋の建物は二校でございます。あとの二十九校は全部木造であります。寒空にストーブをたいて子供たちが勉強している。そういう現状では、若い人たちが自分の子供たちをそういった学校で勉強させるわけにはいかない。こんなようなことを中心に、そして体育館もない、そういう実態になっておるわけでありますから、新石炭政策の関連、ビルド産炭地としてもぜひひとつ産炭地振興に重点を置いてやっていただきたいものだと、この機会をかりてお願いを申し上げたいと思っている次第でございます。  先ほど来、産炭地財政の問題等お話がございましたので、重複を避けたいと思いますが、何といたしましても、これからの産炭地振興、イメージを変える、そして他の市町村並みの町づくりにすると申し上げても、産炭地財政では、なるほど産振法のおかげをもちまして産炭地補正、そして臨時交付金等がございますが、しかし、それで事業をするには、みずからの自主財源を出さなければできないのであります。その自主財源がないために、せっかくの恩典制度があってもその事業推進でき得ない、これがこの二十年間の経験の歴史であります。そういう意味で、何とかこの十年間で復興できる産炭地財政のあり方についての特段の御配慮を、この機会をかりてお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  以上、いろいろ申し上げましたが、私ども全国産炭地市町村は、産炭地域振興の基本は、何といってもこれからつくられる経済生活圏の発展計画が、いわゆる実効性のある計画、夢やロマンを描くだけでは実際にこれが実践ができない、やはり実効性のある計画をつくり、そして住民に魅力のある環境整備をし、産業経済基盤の整備をしていかなければならぬ。そのためには市町村財政の確立をしなければならない、こう考えておるわけであります。したがって、私冒頭申し上げましたように、私ども市町村といたしましては、これからは単に国や道県お願いをしてその甘えに支えられるだけではなく、産炭地市町村がみずからその計画をし実践をし、知恵と工夫をこらして最大努力をしてまいる所存でございます。  どうかひとつ、国会の先生の今後も変わらない一層の御支援をお願い申し上げまして、私の陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手
  8. 森中守義

    森中委員長 ありがとうございました。  次に、徳永参考人お願いいたします。
  9. 徳永久次

    徳永参考人 私は、産炭地域振興審議会会長を拝命いたしております徳永でございます。  この産炭地域振興審議会には、昭和三十七年以来参画させていただいておりまして、昭和四十六年の産炭地域振興臨時措置法延長の際には、同審議会の総合部会小委員会委員長も仰せつかるなど、長年にわたりまして産炭地域振興につきまして勉強させていただき、また、個人的にもこの問題に関心を寄せてまいりました一人であります。  本日、はからずもこの石炭対策特別委員会におきまして、参考人としての意見を述べる機会を与えられましたことに対しまして、まことに光栄に存じておる次第でございます。  昨年十一月に通商産業大臣に御提出申し上げました産炭地域振興審議会答申につきましては、当委員会におかれましても、すでに笹生専門委員から詳しく説明を聴取され、また、御熱心な御質疑を重ねていただいたと承知いたしております。したがいまして、本日私から再び答申内容の個々につきまして詳しく御説明申し上げることはいかがかと存じますが、ただいま当委員会で御審議されております産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、答申の線に沿って法の十年延長がその内容となっておると承知しておりますので、答申の根底をなす基本的な考え方を中心に御説明申し上げまして、意見を申し述べさせていた集いと存じます。  私事を申し上げまして大変恐縮でございますが、実は私も筑豊の出身でございまして、これまで石炭産業の盛衰とそれに伴う産炭地域の変遷につきましてはだ身に感じてその実情を見てまいりました。  かつてわが国経済の根幹をなす石炭鉱業が栄え、活気にあふれていた産炭地域が、石炭鉱山の相次ぐ閉山によりまして荒廃し、いまなお経済的社会的疲弊から完全には抜け出すことができないでいるという現状に対しましては、関係者の一人といたしましてまことに感慨無量でもあり、残念であると考えております。  ほかの地域振興に類例を見ない国の施策の投入と地元努力が二十年間にわたって続けられてきたにもかかわらず、産炭地域が依然としてこのような状態に置かれておりますことは、産炭地域振興がいかに困難な課題であるかということを示しておりますと同時に、今後一段の工夫によって振興目的を早期に達成すべきことが強く要請されるゆえんでもあると思います。  幸いにいたしまして、これまでの対策推進の結果、産炭地域には一つの転機が訪れているように感じられます。閉山直後の産炭地域というものは、御高承のとおり、それまで名実ともに石炭鉱業に依存しておりました地域社会の基礎的な基盤が崩壊ないし荒廃したわけでありますが、現時点においてようやくその修復、復元といったものが各地である程度進んでまいりました。  筑豊などでも、たとえば、こう申し上げるとあれでございますが、前の審議会会長をしていらっしゃいました有沢さんのいわゆる有沢道路というものもでき、あるいは九州縦貫道も開通する、あるいは身近な市町村道、住宅、公民館などが一時に比べて見違えるほど整備されてまいるという、いろいろ二十年前と姿の違いつつあることも感ずるわけであります。  そこで、多くの産炭地域では、すでにこれまでのやや画一的な施設の修復に多くの努力を傾注せざるを得なかった段階から一歩前進して、長期的展望に立ちまして、よりダイナミックな地域振興を図り得る状況になってきておるのではないかと考えます。  そのための具体的かつ効率的な方途として、答申では、産炭地域市町村がその地域特性を有機的に発揮して、機能分担を行い、広域的な経済生活圏のまとまりのもとでの発展を遂げるべきことを示唆しております。この場合、何よりも大切なことは、地元関係者の主体的かつ自主的な努力でありまして、創意工夫を重ねつつ、協力し合ってみずからの発展の方向を模索することが強く要請されております。  このような発展形態の一環としまして、答申では、関係道県産炭地域市町村協力して経済生活圏別の発展計画を取りまとめ、産炭地域振興計画の実質的な裏づけとすることの必要性を述べております。  このような広域的な発展形態を導入することは、せっかくの国の施策をより効率的に活用できる道を開くことともなり、したがって、産炭地域振興目的を早期に達成する要件ともなると考えております。加えて、このような地元努力を中心とする発展形態を前提とすることによりまして、初めて手厚い産炭地域振興対策を長年にわたって継続することに対する国民的理解も得られると考える次第であります。  このような基本的な視点に立ちながら、広域的な地域発展に要する期間ども勘案いたしまして、産炭地域振興臨時措置法延長期間につきまして十年を答申申し上げました。産炭地域関係者は、本法の延長に伴う関連施策の実施が広く国民の負担によって行われることを十分に認識して、残された十年間の重みを生かしつつ、振興目的を早期に達成するよう努力することが肝要であると思います。また、目的達成したと評価される経済生活圏に属する市町村につきましては、一般的な地域対策などにゆだねることによりまして、自立的、恒常的な発展への道を歩ませることも必要と考える次第であります。  産炭地域振興推進のため、国の役割り、特に施策計画推進に関する国の努力といったものももとより重要でございます。そこで、既存の施策につきましては、その継続と弾力的な運用を確保しながら、特に広域的な地域発展という観点に立って、その効率的な活用を促していくべきであるというのが答申の際の基本的な考えでありました。  産炭地域振興対策は、御高承のとおり産業の振興、育成という目的理念を直接達成するための諸施策のほかに、時代の要請でもあります教育、文化、福祉等も含めました基盤の整備につきましても、各省庁にまたがって支援し得る仕組みになっておりまして、施策体系が他の地域振興対策に比べまして、すぐれて広範かつ充実されたものとなっております。  したがいまして、特に施策体系自体の大幅な変更とか法律的な内容の充実とかがなくても、現行施策の運用のよろしきを得ますならば、今後の広域的発展をベースとする産炭地域振興目的達成に十分対処し得ると判断しております。  政府におきましても、新産、工特といった他の地域振興対策における財政上の特例措置が明年度から縮減されることになったにもかかわりませず、産炭地域振興臨時措置法におきましては、既存の特例措置現行制度のまま存続することとされ、加えて、広域的発展を促進するための予算措置といたしまして、新たに特定事業促進調整額という制度を準備されることになりましたことは、答申の趣旨を十分体していただいたと評価するものでございます。  以上、答申の基本的な考え方を申し述べさせていただき、私の陳述とさせていただきました。御清聴まことにありがとうございました。(拍手
  10. 森中守義

    森中委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 森中守義

    森中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀誠君。
  12. 古賀誠

    ○古賀委員 本日は、参考人の皆さん大変お忙しい中に当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。大変限られた時間でございますので、早速御意見を拝聴させていただきたいと思います。  まず初めに、産振法、このたび十年延長答申を受けたわけでございますけれども、この審議の過程の中で、十年の延長は長いのではないか、三年もしくは五年ぐらいが適当ではないかという議論もあったやに私ども仄聞をいたしております。しかし反面、私どもの住む福岡県は、御案内のとおり、筑豊、筑後有明の産炭地域を抱えているわけでございますが、これらの産炭地域におきましては、十年でも今日のこの疲弊浮揚させることはできないのではないかという不安を抱えているのも事実でございます。そういう意味で、この延長の十年という期間につきまして、西村先生個人のお考えをお聞かせいただければありがたいと思っております。
  13. 西村友裕

    西村参考人 十年の期間が、一方では長いのではないかということ、それからまだまだ疲弊がひどくてとても十年では足りない、両論あったことは事実でございまして、私個人の考えはどうかというお尋ねでございますけれども、私は、先ほども意見陳述の中で申しましたように、この十年が最後の十年であることを強く意識して、そしてその範囲内、十年の期間以内にできるだけ所期の目的達成してほしいと感じておりますので、地域によりましては長いという表現が当たるでしょうし、また、非常に疲弊のはなはだしい地域におきましては、十年ではやや不足かなという感じが残るのも事実かと思います。
  14. 古賀誠

    ○古賀委員 きょうは私ども福岡県の小林知事もお見えでございますので、小林知事にお尋ねをさせていただきたいのですが、このたびの十年の産振法の延長に対しまして、地域住民はどんなものに一番期待をお持ちになっているのか、また、県並びに市町村におきましてはこれに対してどのように取り組んでいこうとお考えになっているのか、お話をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 小林悦夫

    小林参考人 私先ほど申し上げましたように、特に福岡県の産炭地につきましてはつめ跡が大きい、こういうことでございまして、市町村財政状況等を見ましても非常に疲弊が著しい、こういう状況の中で今回産振法の期限が切れる、こういう状況になったわけでございまして、これを今回十年間延長していただけるということで法案を提案していただいた、こういうことに対しまして心から感謝を申し上げているところでございます。  そこで、答申にもございますように、またただいま御意見がありましたように、十年が長いか短いか、こういう議論もあると存ずる次第でございますが、従来の経験、また今後の計画をつくるという前提で、十年が適当である、こういう答申になっているわけでございますが、私は、今後この十年の期間内に何とか産炭地域振興を図りまして、この解消を図っていきたい、このように考えているところでございます。  具体的に申し上げますと、答申にもありますような今後の発展計画をどのようにつくっていくかということが一番重要ではなかろうかと存じます。その点につきましては、今回地元の主体性を持ってりっぱな発展計画をつくることを考えているわけでございます。具体的に申し上げますと、本県では早速策定委員会と申しますか、そういうものをつくりたいと存じているところでございまして、すでに予算も四千万計上いたしているわけであります。大体十月ごろまでにこの発展計画をつくりまして、それをもとといたしまして今後の計画推進させていただきたいと考えるわけでございます。またこの発展計画をつくる場合には、当然国がそれを十分フォローしていただく必要があるわけでございまして、そういう意味で、われわれも現実的な計画をつくりますと同時に、国におけるバックアップ体制を十分とっていただきたい、このように考えている次第でございます。
  16. 古賀誠

    ○古賀委員 ただいまの発展計画ということでございますけれども、御案内のとおり産炭地域には六条地域、それに加えまして二条、十条地域を含んでいるわけでございます。そういった発展計画のブロック形成についてはどのような地域割りをお考えいただいているのか、お聞かせいただければありがたいと思います。
  17. 小林悦夫

    小林参考人 先ほど申し上げましたように、現在ブロックをどういうふうに形成するかということを検討しておりまして、近々決めなければならない状態になっているわけでございます。  初めにまず、抽象的な表現で言わしていただきますならば、この圏域の設定に当たりましては広域的な地域発展の将来の方向、また圏域に含まれる六条、十条及び二条地域のバランス、それから地域の特性としての社会的、自然的、経済的諸条件、それから経済圏域の中核となる都市の影響、生活、産業、教育、文化、交通等に係る社会資本の水準、既存の広域市町村圏、地方生活圏等との調和を十分に考慮する、こういう抽象的な表現になるわけでございますが、今回の審議会でもいろいろ議論がされたところでありますけれども疲弊の著しい産炭地域、特に六条地域につきましては、大都市による経済効果のインパクトというものが必要ではないか、こういう御意見も非常に強かったわけでありまして、今回経済生活圏、こういうことでブロック別に発展計画をつくる計画はそういう発想もあろうと存じます。  本県の場合には、有明地域は一つ独立すると思います。さらにいわゆる大都市の影響を考えますと、福岡市、北九州市が非常に大きな経済的なインパクトを与える地域でございまして、福岡市は二条地域、また北九州市も十条地域、こういうことでございまして、その中にいろいろの筑豊地域が入っているわけでございまして、現在北九州、福岡を中心としてそれをさらにどういうブロックに割るのがいいか、これを、諸先生意見も聞きながら検討を進めているところでございます。
  18. 古賀誠

    ○古賀委員 恐縮ですが、もう一度小林知事に続けてお尋ねしたい。  ただいまおっしゃったような計画を本当に実行させるためには、各省庁間の協力体制を当然強化させるべきだ。どうすればそういった協力体制が強化できるとお考えでございましょうか、お尋ねいたします。
  19. 小林悦夫

    小林参考人 先生おっしゃいますように、われわれも発展計画をつくる以上は、われわれとしてもそれが実現可能なものにしなければならない。また実現可能性ということにつきましては、発展計画というものが主体としては国の補助事業なりそういうものが主体となるわけでありますから、各省のバックアップ体制がなければできないことは当然でございます。この点、各省の連絡会議というものを現在設置しているわけでございますけれども、いろいろ言えば切りがありませんけれども、私は、地方部会というようなものを設置していただきまして、地方団体また地方の住民またいろいろの地方の関係者、こういうものの意見を十分取り入れていただきまして、前に申し上げましたように、そういうものに優先度をつけていただくことをしていただければありがたいと存ずる次第でございます。
  20. 古賀誠

    ○古賀委員 小林知事ばかりで恐縮でございますけれども、ただいまの御意見の中でローカル線の問題に触れていただいておりました。国鉄ローカル線存続をおっしゃっていたようでございますけれども、この問題は地域発展の中でどのように位置づけをしていったらよいとお考えなのか、お話をお聞かせいただければありがたいと思います。
  21. 小林悦夫

    小林参考人 核心に迫る、非常にむずかしい問題であるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、われわれは発展計画を十月までにつくらなければならない、こういう命題が一つあるわけでございまして、実は国鉄ローカル線は今後どうなっていくかというのはそれまでには決まらない状況であろうと思います。先ほども申し上げましたように五十七年度まで、つまり当初の二カ年で廃止を予定される五路線、こういうものにつきましては、地域発展計画なりまた沿線の地域計画なり、そういうものを見ながらやっていただきたい、こう申し上げたわけでございまして、われわれが発展計画をつくる中ではやはりこれらの国鉄を積極的に活用する、こういう前提でつくることになろうかと存じます。
  22. 古賀誠

    ○古賀委員 それでは、夕張の市長さんの御意見の中で鉱害の問題に若干触れていただいておりましたけれども、私が現在住んでおりますのは福岡県の大牟田市でございます。御案内のとおり三池炭鉱の町なんでございますが、いま市長さんが非常に頭を痛めておりますのは、空き家になっております老朽化した炭住、これがそのままになっておる関係で環境整備、町づくり、そういったものの大変大きな支障になっている。同時に、それだけではなくて、そういった空き家を非行化した青少年たちが一つの集まり場として、今日大変大きな社会問題として頭を痛めておるわけでございます。こういった問題、夕張の市長さんも御経験なり、またそういった問題を抱えておるのではなかろうかと思いますけれども、その点につきまして夕張市長の御意見なりお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  23. 中田鉄治

    中田参考人 先ほど鉱害問題に触れさしていただきました。北海道も最近この鉱害との関連でズリ山の問題、その他公共道路の陥没が出てきたり、ボタ山が崩壊して決壊をしておるとか、夕張におきましては、もとズリ捨てをしたところに地下から火災が発生して民家が非常に危険を帯びたというような状態がありますので、鉱害の問題は別のことでお話ししたいと思っておったわけであります。  いまのお話のございました空き家の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、夕張の場合八百六十六棟、千九百二十四戸これだけの空き家がありまするというと、青少年の非行化はもう非常に大変な事態が発生しておるわけであります。北海道では、夕張は非行化が物すごいと言われて指摘を受けておるわけです。それらが全部この空き家を利用しての非行問題の発生、それにまた火遊びで火災が頻繁に発生しておる、木造でありまするから。  こういう問題もありまするし、根本的に産炭地疲弊状況がこれに起因をしておるということからかんがみますると、何とかこれを撤去したい、国の補助金でやってもらいだいとかいうことをお願い申し上げますが、まず、みずからやるとすれば、市町村がこれを撤去する場合に何とかその資金の、低利長期資金等のそういう起債の制度をつくってもらえれば、自治体が自分でこれはやはりやらなければならぬ、そういうことを心がけておるのですが、まだそういう制度がございませんものですから……。  それからもう一つ大きな問題は、土地それから建物も含めて鉱業財団の抵当権に入っている。したがって、会社側としては一方的に無断でこれを壊すことができない、そういう現状が一つ問題点で大きくございます。それから厚生年金融資によりまして建築されました住宅は、厚生年金の融資金を返済しなければその建物を壊すことができない、こういう問題を抱えておりまして、これらの問題を解決するためには、その償還金を返し、抵当権を解除し、そして市町村は何かの資金でこれを壊していく。会社にやってもらえれば一番いいわけですけれども、いまの会社の状況ではやれない。  そういう問題を抱えておりまするので、何とかこの産振法十年延長の中でひとつそういう制度をつくっていただく、これがいま産炭地振興の基本に私ども考えておる問題でございます。御配慮をいただきたいものだと、こう考えている次第でございます。
  24. 古賀誠

    ○古賀委員 時間ですので終わります。どうもありがとうございました。
  25. 森中守義

    森中委員長 中西積介君。
  26. 中西績介

    中西(績)委員 参考人の皆さんには、御意見を開陳していただき、いろいろ御教示いただきましたことに対しまして敬意を表しながら、二、三の点について質問を申し上げたいと存じます。  その一つは、産炭地域は、過去約二十年間にわたりまして経過をしたその過程の中でいろいろございましたけれども、いずれにいたしましても、まだ十分な回復が遂げられておらないということについては、それぞれ開陳いただきました皆さんにおいても現状の認識は一致できるのではないかと思っています。特に私、六条地域を考えてみますと、有効求人倍率全国〇・七五に対して、六条地域になりますと、先ほども言っておられましたようにその四分の一、はなはだしいところでは〇・一九というところだってあるわけです。さらに、財政力指数を見てみましても、全国的には〇・六二、六条地域では〇・三七程度、そしてはなはだしきに至っては〇・一三あるいは一七という地域が相当数あります。あるいは生活保護世帯を見ましても、全国的には一二・四、筑豊におきましては九三・六、市町村の中では二〇〇を超える地域が依然として残っています。  こういう状況でありまして、先ほども何人かの方から指摘がありましたように、地域によっては相当回復をした地域があるのではないかという指摘もございました。確かに、立地条件なりいろいろなものからしましてそれがあるわけなんですけれども、特に内陸部におきましては、北海道におきましてもあるいは九州におきましても、大変な状況にあるということが現状認識として確認できるのではないかと思うのですが、その場合に、なぜこの二十年間回復ができなかったのか、どこに問題があったのか、この点、四名の方にそれぞれ御意見をいただきたいと思います。
  27. 西村友裕

    西村参考人 この二十年間せっかく産炭地振興法を実施してきたにもかかわらず、依然として疲弊したところが残っているではないか、その原因は何だ、こういうお尋ねでございます。  私、この産炭地振興法の第一条が、「急速かつ計画的な発展」ということをうたっているのは、当時、三十六年ごろは日本経済はちょうど高度成長期にありまして、そのために、あるいは工場誘致などの施策によって急速な回復ができるという判断があったのではないかというふうに基本的には思っております。ところが、御承知のように昭和四十年の後半から日本経済は低成長時代に入りまして、経済の高度成長が終止符を打ったというような環境になったわけでございまして、この日本経済の変化が、旧産炭地域といいますか回復をおくらした最大の原因ではないかというふうに思っております。  したがいまして、これからどういうふうにして疲弊地域を回復さしていくかということになりますと、やはり低成長時代に即応した、つまりいままでのような土地を造成して企業を引っ張ってくるという、これは確かにきわめて有効な施策ではありますけれども、そういうことが立地条件の不利という観点から大きく望めないということになりますれば、やはり答申にもありますように、広域的な経済生活圏というとらえ方をして、工場誘致だけではなくて、農業だとか、観光だとか、ベッドタウンだとか、あるいは教育、文化、こういった総合的な観点からの施策が必要になってくるのではないか、こういうふうに思っております。
  28. 小林悦夫

    小林参考人 二十年もやっておってなぜまだ回復しないのか、こういうことでございますが、基本的には、西村委員が言われましたように、私も、最近におけるオイルショック以来の経済の低成長というものが非常に大きく原因をしていることであろうと存じます。  ただ、本県の場合言えますことは、工業の進出等の問題はそういうことであるにいたしましても、やはり筑豊には大きなつめ跡というものがございまして、ボタ山の問題、鉱害の問題、炭住の問題、これらの問題が大きく残っておるわけでございます。これがいままで残っておる原因というのは、確かに、これらを解決するには非常にむずかしい問題もあるわけでございますけれども、やはり予算の問題も一つあったのではないか、このように考える次第でございます。  今後十年間、こういうつめ跡の問題も含めてどういうふうに解消していくか、これが今後の発展計画をつくるなり、また国に予算としていろいろお願いをいたしたい点でございます。
  29. 中田鉄治

    中田参考人 先ほど申し上げましたが、特に北海道の場合に、夕張なんかは二十年間かかって二十一山、一年に一山ずつ、ことしもかことしもかということがこの二十年間続いてきておるわけでありまして、したがって、一つの閉山があって、その閉山跡地、閉山対策をやって、翌年にまた出てくる、こういう状況が二十年間続いておるということが、この二十年間で復興ができなかった、振興ができなかったという大きな原因でございます。  そういうことによってこの疲弊している現状、非常に北海道産炭地のイメージが退廃しておる。それで先ほど申し上げた石炭の歴史村、観光の開発計画というものをつくり上げましてから、昨年、実はテーオー池田という家具工場が進出をいたしました。この石炭の歴史村というのは、夕張は山と緑と清流——昔は黒い川でありましたが、炭鉱がなくなったので水がきれいになった。将来そういう観光的な町にイメージが変わるなということで、よしということで進出をいただいたというのが、現実、経験の中であるわけであります。したがって、いかに産炭地のイメージを変えることに力点を置いていかなければならないかということを痛切にいま考えておるわけであります。  そういう意味で、この二十年間は次から次と続いた閉山によって思いどおりの復興ができなかったというふうに言わざるを得ないのではないか、かように考えておる次第であります。
  30. 徳永久次

    徳永参考人 全国産炭地、いろいろなむらがあると考えます。先ほど西村さんがおっしゃったように、日本の経済成長の興隆期からいま低成長になった時代ということで、それなりに変化も対策も考えなければならぬということも事実でございます。  過去におきまして、たとえば筑豊で考えますと、筑豊石炭鉄道だけは発達しておったけれども、近代工業というのは鉄道よりも道路輸送の方に依存度が高いわけでございますが、そういう面では、広く考えますと福岡とか北九州を控え、また大分県を控え、工業地帯を控えておりますけれども、その波及が自然にいくようになるには、やはり道路整備がうまくいってなければ波及が鈍くなるという面があると思いますが、そういう面にも政府も着目されて、道路整備もある程度進んでまいりました。道路整備が進めば、住宅として、通勤者が何もごみごみした市内におるよりも少し離れたところにおってもいいとか、あるいは工業にいたしましても、下請工場をつくるときに少し奥地で新しい労働力のあるところに行ってもいいとか、あるいは先ほど北海道でおっしゃいましたような、産業の種類によりましては隔絶した緑の地域の方がかえっていいというようなことも出て、いろいろな変化が出てくると思います。  いままでそういう環境づくり、基礎づくりを何もしないでも比較的順調にいったというのは、たとえば山口県の地帯で考えますと、これは産炭地でもありましたけれども、同時に港、海に近かったということで、その立地条件が生かされて比較的工業化が進んだというようなことでございまして、大きく基本的には立地条件に影響されるところが多いのですが、その立地条件というものも、いまの進んだ技術をもとにして、道路整備等によって人工的にも変え得るわけでございまして、そういう努力がいわばこれまでであった。いまから、そういう背景の中で、仕上げの十年間で、考えようによりましてうまくいくのじゃなかろうかなというふうに私は考えるものでございます。
  31. 中西績介

    中西(績)委員 いまいろいろお聞きしますと、それぞれ御意見の中で出てまいりましたものを集約しますと、たとえば対応できない自治体なりの中で、北海道の場合であるならば一年に一山ずつが閉山していくというような状況等が出てくる。それに対応していく中で、十分な対応ができないままでいままで来たという状況があるだろうし、あるいは筑豊地区におけるつめ跡が余りにも深いために、地方自治体だけでは対応できないという状況等もある。さらにまた、そういう条件の中で対応するとすれば、人工的に変えられる立地条件、こういうようなものをどうこれから変えていくかということ。たとえばいま徳永参考人が言われましたように、道路整備等を含めてそういう問題等があるのではないかという指摘がございました。  その際に、この産炭地域振興あるいは回復をさせるための中核にやはりどこかがならなくてはならぬと私は思うのですね。そうしないと、いままでの場合であるならば、確かに基本計画があり、実施計画があって、ところがそれに対する責任の所在と申しますか、こういう点が非常に欠けておったんではないかというのを私感じるわけですね。  と申しますのは、私が指摘したいと思いますのは、たとえば各省庁間におきまして総合的に出した計画、企画が、年次計画もなければ財源的な裏づけ措置が十分なされておらないんではないかと私は思うのです。たとえば離島振興法のように、一定の計画が立てばそれに裏づけをする財政措置というのが出てくるんだけれども、この場合には、計画財政措置というものが十分な関連なり何なりを持ってやられておらない、こういう点があるんではないかという気が私はするわけです。  さらにまた、先ほど言われました道路網だけを考えてみましても、地域では相当の道路ができておるという認定に立っておられると思いますけれども、ところが、その域内における道路はある程度完成しておりましても、それの抜けていく産業的に非常に重要な基幹道路が、これは全く詰まってしまっている、開発されてないという実態があるわけですね。筑豊で言いますと二百号線、二百一号線あるいは三百二十二号線、全部福岡経済圏、北九州経済圏あるいは筑後の方の大牟田経済圏との関係から言いますと、全部これは詰まってしまっているわけですね。そういう条件の中では、私はこれは困難だろうと思いますね。基盤整備の面から言うと、もう大きく欠落した部分がそこに見受けられると思うのです。  そういうことになってくると、いま言われるように広域的な発展計画とあわせて計画をしていくということになれば、どこか推進をするところの中核になるものがあって、そのことを強化をしていかない限り、これは私は困難だろうと思うのですが、特に国の施策の中でその点がいままで落ちておったんではないかと思うのですけれども、この点についての御意見があれば、自治体関連の方にお聞かせいただきたいと思うのです。
  32. 中田鉄治

    中田参考人 いま先生のおっしゃられたとおりだと思っているのですが、基本計画があって、そして資金の裏づけ計画というものが実際問題としては今日まではないわけです。この二十年間の計画はいわゆるマスタープランでありまして、やはり広域的にはつくっておりますけれども、それぞれこうしてもらいたい、こうなりたいものだという夢を描いた計画でありまして、私冒頭申し上げたように、果たしてそれがそれでは資金的にどうなのか、年次的にどう実現できるのかといういわゆる実効性のある計画にはなっておらないわけであります。こうしてもらいたい、そうすれば産炭地復興できる。みずからもそうしようと思っていなかったのではないかという反省も私どもしなければならぬ。  今度のこれからつくり上げる発展計画の中では、やはりそういうものをつくっていかなければなりませんが、ただ申し上げましたように、資金計画も含めますというと、いわゆるいまの国の制度なり道県制度なり市町村財政のいまの現状制度では、この十年間では、率直に申し上げて北海道の場合に復興できるということは断言できない、そう私は考えているわけです。したがって、この計画をつくった以上、その計画をどの方法で実践できるか、そして資金計画が成り立つかということの計画をやはりきちっと持たなければならない。そこのところが、これからつくる計画の非常にむずかしい問題だと思っているわけです。  特に現在の資金制度でやっていけるのは過疎債、過疎債制度で、地方交付税で後から起債、償還額分が交付されるということがありますが、これが一番市町村にとっては結構な措置ですけれども、この過疎債すら、たとえば夕張の場合には上限が一億円。これは一億円ではどうすることもできない現状であります。  ちなみに私ども財政を申し上げてなにですが、年間百四十億の総予算のうち市税では二十億、この十年間大体二十億前後で横ばいであります。したがって、財政的には一・六割自治だと私は考えているわけですが、そういう意味で、やはり自主財源の持てない市町村実態として、計画を持ち、そして実行しようとしてもなかなかむずかしい。したがって、この十年間で他市町村よりも上に行こうではなくて、他市町村並みに復興するためにはこの十年間のうちに復興できる財政措置制度措置というものをお願いしなければならないものだ、かように考えておる次第でございます。
  33. 小林悦夫

    小林参考人 確かにおっしゃられるとおりでございまして、離島振興法等、実施計画、こういうものがはっきりできて、責任体制も明確になっておるということでございます。私ども審議会の議論の過程の中ではいろいろ議論が出たわけでございますが、実態として各年次別の計画をつくるまでには至らなかったというのが実情でございます。  そこで私は、今後県で発展計画をつくる際に、実施計画はできれば年次別の計画をつくってみたい、このように考えておるわけでございます。しかもそれも、やはりいろいろ時代の流れによりまして変わってくるでありましょうから、三年程度でローリングするいわゆるローリングバジェット方式的なものがとれないものであろうか、こういうことを考えておるわけでございまして、これを現実問題として、先ほどから申し上げますように国が各省においてどういうふうに実現していただけるか、これがやはり発展計画の一番基本的な問題であろうと存じます。  中西先生おっしゃられましたように、確かに基幹道路の問題、この問題につきましても、実態といたしましては、現在の道路財源の中でこういうものが十年のうちにできるのかできないのか。また、変な言葉でございますけれども、全体の県の枠の中で、そういうところに全部いった場合ほかの道路がどうなるかというような問題もあるわけでございますけれども、私も率直に言いまして、この十年の計画をつくる際そういう問題を一体どう整理していったらいいか、こういうことを真剣にいま検討をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、現在のわれわれのつくる発展計画、これがぜひとも実現できるような体制にはしていただきたい。これはお互いに、われわれも実現可能性のあるものをつくると同時に、国もそれをフォローしていただく必要があろうと考えている次第でございます。
  34. 中西績介

    中西(績)委員 結局、計画はでき上がると思うのだけれども、これが実際にどう実施されるかということになってまいりますと、先ほど西村参考人の方からありましたように、国の費用で実施計画実現をするわけでありますから、他の多くの皆さんのいろんな指摘だとかいろんな問題が出てくるということを言われますけれども、これだけ長い年限あるいは財源を注ぎ込んだにもかかわらずできなかった点を、やはりもう一度総括をし直してみる必要があるのではないかという気が私はするわけですね。  そうしないと、いままでのを受け継いできてそのまま単純延長ということになってまいりますと、これはまた再び同じ轍を踏む、こういうことになってくるのではないか。特にブロック別ということで新しい形態を取り入れるということにはなりますけれども、それだけでもってできるだろうかということで私は疑念を持っています。  特に申し上げたいと思いますのは、いま言われました広域的発展、それを遂げるためには、先ほども出てまいりましたように、国道問題が全く整備されていない。それに加えて、小林参考人の方から出ましたように、ローカル線をいま廃止するその意味、これが与える影響、そういうふうなものからいたしますと、総合交通体系だけを考えてみましても、本当に総合的な対応計画になり得るだろうかということを懸念するわけなんですね。そこには相矛盾するものがいつも同居しているような感じがするわけなんです。この点についてはどうお考えでしょうか、西村参考人
  35. 西村友裕

    西村参考人 振興対策の実施面と申しますか、運営の面でかなり問題があったのではないかということは、今度の答申にも、関係各省庁や地方公共団体などは一層の連絡、協調を緊密化しろというようにうたったことからも理解できるわけでございまして、確かに、その地域だけで整備をいたしましても、たとえば産業基盤あるいは生活基盤、そういったものを整備いたしましても、その域外との有機的なつながりというものがなければ、それは本当の効果が上がらないということになろうかと思います。  したがいまして、先ほど総括というふうにおっしゃられましたけれども、この運営面につきましては、関係各省庁と関係の地方自治体、あるいはそれに付随するところのいろんな機関が連係プレーをよくやっていく以外に道はないのではないかというふうに私は感じます。したがいまして、産炭地域振興関係各省連絡会というものがせっかくあるわけでございますので、この場を十分活用する必要があろうかというふうに思います。
  36. 中西績介

    中西(績)委員 徳永参考人にお聞きしますけれども、いまのような実態、そしてこの答申の中にも明らかになっていますように、依然として落ち込んでおる実態というのはあるわけでありますが、これを再生をさせるという場合に、国民的理解を得るため、現在の国の施策を取り入れていけば可能ではないか、こういうお考えのようであります。特に経済生活圏を広域的に設定をしてやっていけば再生は可能ではないかというような意見のようでございますけれども、何と申しましても、やはりそうした中核の部隊が一つあって、この立案、計画、そしてそれを裏づけるものが何なのかということがなくていままで来ておるわけでありますから、そういうことからいたしますと、現状の中でこれを解決できる可能性というのは非常に困難であります。  あわせまして、目的達成した場合には十年内でも指定を解除するということになってまいりますと、たとえば表の方の福岡で言いますならば、福岡の経済圏に直接接しておるようなところ、あるいは北九州と直接関係のあるところあたりは、立地条件からいたしましてもある程度、ちゃんと回復しておる、そういうところあたりを含めてこの経済圏を組んでいくわけでありますけれども、そうした場合に、そこは達成したということで除外をします。そうすると、いまの法あるいは制度上からいきますと、その地域は自後いろいろな助成措置というのはできなくなってくる。ということになれば、そこを切断されて、また再び内陸部は全然回復できないという条件だけがそこに残ってくる可能性が強まってくるのではないか。自然発生的にできる可能性というのは非常に少ないのじゃないかという気が私はするのですね。そういう点、どうお考えでしょうか。
  37. 徳永久次

    徳永参考人 先ほど私イグザンプルの意味で申し上げたのですが、北九州は鉄道発展しておったが道路は発展しておらなかった。しかし、大局的に見た場合に、百万都市を控え、海もそう遠くない地域ということで、基本的な条件としては工業適地の素質を持っておる地域である。  ところで、たとえば九州縦貫道、これもぜひ急いでつくってくださいよということはいままでいろいろとお願いもしてあったわけですが、ああいう問題になりますと一朝一夕でできるわけでございませんで、御案内のように年数はかかりましたけれども、すでにでき上がっております。それから、俗称有沢道路とわれわれ産炭地仲間で言っておるわけですけれども、最初に基幹的な道路網の整備が必要であろうということでいろいろと案が立てられまして、それを建設省にもお願いしまして、一応それは整備された。しかし、その後の事態の変化は、二十年前にはあの程度の幅員のものでいいだろうと言ったのが、市民生活の向上、自動車の普及ということから、いまや一部の場所、全部とは申しませんけれども、ふくそうしてどうにもならなくなっておるということになっております。そうしますと、そういう場所につきましては、重ねてまた建設省にお願いして増強方をお願いすることが出てまいるのじゃないだろうかというぐあいにも考えるわけでございます。  そういう基盤づくりはそういうことだといたしまして、いま先生の御質問の中核体があるのかないのかという問題、これは今度の案の場合に、先ほども福岡県の副知事さんがお答えになりましたように、いままでの中央計画も必ずしも地方と無縁であったわけでございませんけれども、今度は市町村単位といいますかというような形になりがちなのを生活圏単位という、多少広域的な形にまとめる。それは通産省が東京でどうのこうのできるわけじゃございませんので、どうしても各道県お願いするよりしようがないということで、道県がまとめ役になっていただき、地域の特性に応じたグループづくりをしていただいてということが今度の答申の中に出ております。  すでに福岡県では、県としてもお決めいただき、予算措置でも、先ほどのお話で四千万の予算を組んで委員会づくり、グループづくりを本気でやろうということの姿勢が出ておるわけでございます。しかも、地元のことですから事情を一番よく御存じなわけで、道路網を仮に整備するにしても、いま国の財政の中で県の持ち分のことも考えながら、今後の生活圏ごとの対策を考えていきたいというふうに、これはまだいまからおやりになることで、いますぐ具体的に出ておるわけではございませんけれども、そういう姿勢でいらっしゃることは、先ほどのお話ではっきりいたしておるわけでございます。  そうしますと、通産省はそれに乗っかりながら、出てまいりました具体案というものを推進するために、中央官庁にも働きかけるといいますか、連絡を密にして推進するといいますか、それは通産がこの法律世話役になっておる関係上当然やるべきことだと思います。  この法律というのはある意味では特異な法律でございまして、通産省の所管の法律になっておりますけれども施策の中身というのは建設省にも関係あり、運輸省にも関係あり、自治省にも関係ありという、地域対策というのはそういうものでございますけれども、あと通産はこれは本当の世話役だというつもりで仕事しなさいよ、常々通産には私そうお願いしてあったわけでございます。  そういう関係で、そういう各省間の連絡というのは、ほかの仕事のケースよりも、産炭地振興に関しましてはこれまで比較的うまくいったといいますか、各省庁協力を得られて推進されたと言えるとも思うわけでございまして、これを変に年次別に、たとえば国道をどうしろああしろとか、そんなことを考えましても、それはいろいろな体系がございまして、かえってそういう仕組みづくりの方だけにエネルギーを浪費し、また実が上がらないということになるだけのことでございます。  やはり政府一体として動いていただく場合に、世話役になるポストの人が世話役としていろいろなところへ動き回るというより手がないのではないのか。そうすると、それは中央では通産省であり、地方ではまとめの世話役として県でありということになるのではなかろうかと考えるわけでございます。  それからもう一つ、先ほど、そういうことをやって、途中からたとえば北九州が、周辺のところが抜けてしまったというときに、内陸部はかえって連携がうまくいかなくなるじゃないかというお話でございますけれども、それはそうではないといいますか、たとえばいままでの例で申し上げれば、縦貫道なら縦貫道というものは産炭地への波及効果も大きいので、急いで北九州周辺のところをやっていこうじゃないかということでできたというふうに考えればよろしいわけです。  それから道路というのは必ずどこかからどこかに抜けるので、産炭地域だけを通る道路、それはどこかの主要都市とか主要な港とか、そういうところに連結してつくられるものでございますので、それが抜けたから産炭地域だけの、域内生活圏だけの道路整備ができてよそとつながらないというようなことは、そういうふうには県もおやりにならぬだろうし建設省もおやりにならぬだろうというように考えますので、出口がふさがっておるというようなことにはならないで済むのじゃなかろうかというふうに考えます。
  38. 中西績介

    中西(績)委員 私のお聞きしたことをお答えいただけませんでしたけれども、時間が参りましたので、これで終えることにいたします。  どうもありがとうございました。
  39. 森中守義

    森中委員長 岡田利春君。
  40. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私の時間は十分よりございませんので、一問ずつ御質問申し上げたいと思います。  初めに西村参考人にお伺いいたしますけれども昭和三十六年という年は、考えてみますと、ちょうどわが国のエネルギーの石炭と油が全くフィフティー・フィフティーになったのが昭和三十六年であります。その後石炭調査団が出て、しかも一時は生産をむしろふやす、こういう方向もその時点ではたどっておったわけであります。そして杵島、明治、麻生の企業ぐるみ閉山が行われたのは、いまからまだ十二年前なわけですね。雄別閉山が行われてようやく十一年目に入ろうといたしておるわけです。  何か産炭地振興二十年間と言いますけれども、私はやはり実質的には十年間であった、こういう認識が正しいのではないか。私は、そういう認識があるから今回さらに十年間の延長ということを答申されたのではないか、こう認識をいたしているわけですが、その点どうお考えかという点が第一点であります。  第二点は、筑豊が非常に主体になっておるわけでありますけれども、しかし、産炭地現状全国的に大まかに見てまいりますと、山口県とかあるいはまた常磐の場合には比較的臨海部であります。ただ、九州でも北九州は臨海部である。北海道の場合は、臨海部と言えば釧路の釧白工業団地ただ一カ所で、すべて内陸部である。大まかに言えばこういう産炭地全国的な現状であろうかと思うのであります。  したがって、そういう現状から見ますと、工業団地の譲渡率を見ても北海道は五九・六%、常磐、九州は八七・四から八七・六%、山口県は七割に大体達しているわけです。したがって、筑豊の内陸部のいわゆる振興政策、あるいはまた非常に面積が広くて全く真っただ中にある北海道の産炭地振興、これをどう具体的にやるかということが、今回十年間の重点的な視点でなければならないのではないか、私はこう思うのですが、この点についての御意見を承っておきたいと思います。
  41. 西村友裕

    西村参考人 初めの、法律が施行されて二十年たっているのだけれども、実質的には十年間が適当であるという御判断でございますけれども、私、昭和三十六年当時はちょうど九州の経済記者として石炭産業の取材を続けておりまして、いま御指摘の杵島だとか明治だとかあるいは筑豊の大きな山々の相次ぐ閉山を目の当たりに見てまいりました。確かに、なだれ的な閉山が進んだのは、ちょうどそのころであったかと思います。したがいまして、その辺から勘定いたしますと、実質的には確かに二十年にはなってないわけでございますけれども、その後閉山した、特に筑豊地域などにも審議会の一員として現地へ参りまして、そのつめ跡の生々しさというものを目の当たりに見ております。  したがいまして、そういう御指摘も確かに一面ではあるわけでございますけれども、同時に、炭鉱閉山の後急速に立ち直ってきたところがあることもまた事実だというふうに認識しております。したがいまして、これはケース・バイ・ケースと申しますか、御指摘の点は、まだまだ疲弊が続いているのであるということを認識すべきであるという意味かと思いますし、その点につきましては、私誤解をしているつもりはないというふうに思います。  第二点の立地条件の恵まれていない内陸部、特に筑豊振興対策はどうなんだということでございまして、これが実は私も一番問題が大きいというふうに思います。私は、北海道炭鉱につきましては十分事情承知しておりませんけれども筑豊の場合、たとえば飯塚市あるいは中間市、直方市、こういったところと、それから嘉穂だとか山田とか、ああいうもっと奥の方に行ったところ、一口に嘉飯山と言いましても、いろいろと疲弊の度合いはかなり違った面があると思っております。  特に、山奥の方になりますと、工場誘致と申しましても、これは幾ら資金面だとかあるいは税制面で優遇措置をとりましても、やはり企業というものはそうした目先のメリットだけではなくて、総合的に企業採算のことを考えて投資をするかしないか、進出するかしないかということを判断するわけでございますので、多少の呼び水を出したからといいましても、内陸部につきましては企業誘致ということがなかなか進まないわけでございます。ですから、この点をどういうふうにして振興するかということが実は私も一番わかりません、大変むずかしい問題だと思っております。ですから、たとえば工業がだめなら農業あるいはスポーツ・レジャーランド、いろいろな工夫をやはりしていかないと、画一的な工場誘致ということだけではなかなかうまくいかないのではないかというふうに思います。  それから、そういう特に立地条件がよくないところにつきましては、国だとか県だとか、そういった公共的な団体といいますか、公共的な施設といいますか、できるだけそういうものを持っていくような配慮も当然必要になろうかというふうに思っております。
  42. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 小林参考人にお聞きしますけれども、私もかつて福岡に住んだことがありますし、しばしば福岡県を訪れておるわけです。石特会計の予算の中で労働省関係の予算もありますし、産炭地鉱害、そしていわば生産していく炭鉱予算があるわけです。県別にざっと私の頭で計算すると、一千三百億円の石特会計の予算のうち六割若干強の予算福岡県に投入されておる、こう言っても過言ではなかろうと思います。  そこで、各省間の問題もいろいろ出ておりますけれども、これから発展計画を組む場合に、まず鉱害対策それから緊就、開就、特開、いずれも福岡県にはあるわけであります、相当な事業量になっておるわけであります。したがって、産炭地振興は、少なくともこの特別会計の要素、鉱害の復旧や緊就、開就、特開、これらも発展計画を組む場合に連関さしてこの計画を組む、これができなくて各省の協力は得られないのではないかと私は思うのですね。それぞれの自治体市町村のあれもあるでしょうけれども、大まかに言えば、福岡県としてはそういう連関的な面を十分考慮してこれからの新しい計画を組むべきだ、私はこういう意見を持っているのですが、この点の見解はどうかということであります。  それと、時間がありませんので中田参考人に伺っておきますが、土地問題が先ほどいろいろ言われておるわけです。だがしかし、いま既存の炭鉱借金というのは大体六割から七割は国の金融機関の借金であるわけですね。ですから、土地の利用問題というのは、具体的なそういう利用計画というものが本当にあるのかどうか、そういうものがぴちっとあればこの問題の解決は不可能ではない、私はこう思うわけであります。先ほど言われた炭住等の処理については少しいろいろ研究してみなければならぬと私は心得ておるわけです。したがって、土地の利用計画は具体的に現実の問題としてお持ちなのかどうか、この点承って、私の質問を終わりたいと思います。
  43. 小林悦夫

    小林参考人 発展計画と炭住、ボタ山等との関連でございます。実はこれも発展計画をつくる中で非常にむずかしい問題でございます。  御承知のように、今回審議されております産炭地域臨時措置法、これは鉱工業の発展ということでございまして、ボタ山であるとか炭住の問題、これはそれぞれの予算の問題であり、また鉱害については別の法律がある、こういうことになっておるわけでございます。しかしながら、確かに法律目的はこうでありましても、産炭地発展ということになりますと、こういうものが解消しなければやはり産炭地の問題はなくならない、こういう認識はわれわれは持っておるわけでございます。  そこで、発展計画では、われわれは主として振興に関する計画を頭には入れておるわけでございますが、現実の問題といたしまして、ボタ山等の処理につきましては跡地利用の計画等を立てなければなりません。私も、ボタ山に関しましては、これを全部除去するのは確かに現実的にむずかしい問題であろうと思います。危険ボタ山で当然措置しなければならないもの、またきれいにしてそこの土地を利用する、こういう問題、それからやはり環境整備くらいを行っていかざるを得ない、こういう問題もあろうと思うわけでございますけれども、これらの点につきましては、答申の中でも言われておりますように、今後調査をしていただける、こういうこともございます。  炭住の問題であるとか鉱害の問題、これは基本的には別個の問題であり、この辺を発展計画の中にどう位置づけるか、私も非常に悩んでおるわけでございますけれども、私は、やはり産炭地域発展、こういうことと関係のある部分については十分取り入れていくし、仮に取り入れないにいたしましても、これらについては十分政府に要望して早急な解決を図らしていただきたい、このように考えているわけでございます。
  44. 中田鉄治

    中田参考人 土地問題でございますけれども、それぞれの市町村は、今後の発展計画ということで、総合開発計画で土地利用計画を持っているはずです。今後の発展計画の中でこのことを鮮明にして、そして生活圏の中できちっとしてまいりたい。  お話しのように、国のいわゆる合理化事業団等の鉱業財団も入っておりますので、私の経験として、先ほど来申し上げた石炭の歴史村の土地を十一ヘクタールばかり抵当権を解除しまして、市の方に所有権の移転をすることができましたが、初めは、この問題は、萩原北炭会長さんは寄贈するからという話で、喜んでおりましたら、実際に所有権移転登記しようとしたら抵当権がついていて、抵当権つけたまま移転されるような状況が出てびっくりいたしまして、ずいぶん長い間かかって七行の鉱業財団を北炭自体に責任を持って回っていただいて、もちろん通産の御援助もいただきまして、実際には移転することができたわけであります。  ただし、抵当権解除のために、やはりこれは無償寄贈ということにならないで、約一億四千万程度の金で買収をしたわけであります。したがって、買収する計画さえ持てば実際はやれるのですけれども、現実の問題としては、この七行の鉱業財団の承認を得るのに物すごく苦労をするわけでありますから、こういうことがスムーズにいけるようなことにひとつお取り計らいを願いたいものだ、こう考えておるわけであります。
  45. 森中守義

    森中委員長 鍛冶清君。
  46. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 参考人の皆さんには、本日大変ありがとうございました。私の持ち時間は十六分でございますので、一問一答をやりたいわけでございますが、時間もございませんようですので、各参考人ごとに質問申し上げたい事項を申し上げて、簡明にお答えをいただいて、時間がもし余るようでしたらさらに御質問もさせていただこう、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  最初に西村参考人にお尋ねをいたしますが、いままでの御質疑の中でもいろいろと議論がなされたわけでありますが、その中で一つお聞きいたしたいのは、この法の適用される地域におきまして、各地方自治体等の自助努力ということが今後の十年非常に問題になるわけですが、今日までの約二十年間におきましてはその自助努力というものは十分なされておったのであろうか、そこらあたりをお伺いいたしたいと思います。
  47. 西村友裕

    西村参考人 これまでの産炭地振興対策の中では、どちらかと申しますと市町村単位の事業が中心になって行われてきたというふうに感じるわけでございまして、この点では自助努力ということは言っていいかと思うわけでございますけれども、ただ、やはり市町村単位となりますと、もちろん国の助成も当然つくわけでございますけれども、やはりばらばら的な感じは否めないのではないかということでございますので、一層の自助努力という表現の中には、実はこうしたばらばら的な事業をもっと有効に進める必要があるのではないか、そのためには、むしろ県の役割りがもっと出てきてもいいのじゃないかという感じが込められているというふうに理解しております。
  48. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 続きまして小林参考人にお尋ねをいたしますが、発展計画の問題で先ほど御答弁がございました。これは、ことしの十月ごろにこの計画をつくり上げたい、策定を終わりたいというふうな御答弁であったと思いますが、今後の十年間、これはもう議論もございましたように、参考人からのお話にもありましたように、もうこれで最後であるというふうな形、そういう中で、先ほどからの質疑を伺っていますと、十年間でも、やりようによっては、果たしてこの所期の目的達成できるのかどうかというふうな、首をかしげざるを得ないような感じの御答弁もあったようにも思います。そういう中で、やはり早く発展計画はつくって、それを予算の上で各市町村、県、それから国段階で反映させて、一日でも早くそれに踏み込むということが大変大切ではないかと思います。  そういう意味合いからいきますと、今後の十年間の一番中心的な問題はこの発展計画にかかってくるような気がいたしますが、これは十月ではちょっと遅いのではないだろうか。すでにもう五十七年度の予算というものは、七月ごろ国の方はずっと——いまから始まっていると言っても過言でございませんし、十月でこの計画ができても、五十七年度にその第一歩を反映させるということはきわめてむずかしい。ということは、もうそれですでに十年のうちの最初の年が、むだとは申しませんけれども、何となくなおざりにされたまま過ぎるのではないか、こういうふうな感じがいたしますが、そういう点でもっと早くできないのか。  それから、あと二、三点お尋ねしますが、この発展計画目標を大体達成することが指定解除ということの一つの対象の大きな要素になるのではないか、こう思いますが、その点に対するお考え方はいかがでしょう。  それからさらに、炭住に代表させて申し上げますと、私も地元福岡県で、特に田川市郡には関係が深いわけでありますが、現地にたびたび足を運んでみまして、炭住に限って申し上げてみても、果たして十年間でこれは建てかえないしは除去というものは完全にできるのであろうかという危惧が相当あるわけですが、その点に対するお考えはどうであろうか、お尋ねをしたいと思います。  さらに、質問は重なりますが、先ほどの副知事の御答弁の中で、発展計画はできても政府対応次第、各省庁対応次第ではどうも十年間でもむずかしいのではないかというニュアンスの御答弁があったように思いますが、こういう点についてそういう形でお考えになっていらっしゃるのかどうか、改めてお聞かせを願いたいと思います。  ちょっと質問の数が多くなりましたが、簡明にお願いをいたします。
  49. 小林悦夫

    小林参考人 まず第一点の、十月ころ発展計画実施計画をつくるのは遅過ぎるのではないか。確かにおっしゃられる面があると思います。実は私の方では、六月ころまでに基本計画をつくりまして十月ころまでに実施計画をつくりたい、こういうことで進んでおるわけでございます。何と申しましても、これだけ今後の十年間のしかも非常にむずかしい地域計画をつくるわけでございますので、なかなかそう早急にはできないというのが一つ実態としてございます。しかしながら、先生おっしゃいますように、明年度の概算要求に間に合わないのではないか、全くそのとおりだと思います。そのために、われわれといたしましては、六月に基本計画もできますので、とりあえずの措置といたしまして、明年度に向けての暫定的な計画というものをつくりまして、それに基づいて国の方に要望をしてまいりたい、はなはだ中途半端にはなりますが、暫定的にそういう措置で進ませていただきたいと考えております。  それから、発展計画目標達成したら解除になるのか。結果としてはそういうことになろうと存じます。ただ、一言だけ言わせていただければ、私は、本県の場合につきましてはやはり十年はかかるのではないか、このように考えておるわけでございます。  それから炭住の問題でございますけれども、確かに先ほど私申し上げましたように、要改築戸数がまだ二万一千戸もある、こういう状況でございまして、現在の進捗からいきまして果たしてどうなるか、こういう危惧は持っております。現在、炭住につきましては、県でも九経調というところに委託をいたしまして、今後炭住をどのようにしていくか、こういう点を検討をいたしておるわけでございますけれども、炭住につきましては、予算の面だけではなしに、なかなか低所得者であるとかよそに移りたがらないとかいろいろの問題がございます。  この点につきましては、私先ほど申し上げましたように、これは別個の予算措置としての問題でもあるわけでございます。ただ、また一面ではこういうものが解消しなければ産炭地のイメージは払拭できない、こういうことで、炭住の問題につきましては、少なくとも今後のめどづけというものが当然十年以内にできていなければおかしいのではないか。今後どうするか、そういう基本的な考え方を持っているわけでございます。  それから発展計画が、発展計画といいますか、国の省庁の関係では十年でできないのではないかというニュアンスだったということでございますが、私は、やはり発展計画というものを十分に国がそしゃくしていただきまして、ぜひ十年で終わるようなものにしていただきたい。答申にもありますように、いつまでも産炭地ということではいけないわけでございまして、国の方におきましても、ぜひ十年で達成できるようにわれわれに御協力を賜りたいと存じておる次第でございます。
  50. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 では中田参考人にお尋ねいたします。  いまの発展計画になるわけでございますけれども、これは北海道庁の方も関与されてのことになるんではあろうと思いますが、夕張市の場合は、こういう発展計画というものはいつごろまでに策定をされて、おやりになるお考えであるのか、お尋ねいたしたいと思います。  それから二点目は、先ほどから御答弁を承っておりまして、毎年閉山一山ずつ続いてきたというふうにも承ったわけでございますが、大変な条件の中で取り組んでいらっしゃるなというふうにも実は伺っていたわけであります。  そういうことであるならばなおさら、発展計画を含めた対応が過去においては非常にやりにくかったであろうし、恐らくできにくかったんではないだろうか。そういう中で、夕張の場合だけに限ってお尋ねをいたしますと、果たして十年間でこの目標というものが達成できるんだろうかということ、これが一つです。  それから最後に、やはり炭住の問題ですが、これは千九百何戸ですか、残っておるというようなことも御答弁がございました。これは私の地元福岡でもそういうことが大変心配になるわけですが、こういうことを絡めて、十年間で所期の目標というものは、これはできるようにしなければならぬと思いますが、実際問題可能なのかどうか、このあたりをお尋ねいたしたいと思います。
  51. 中田鉄治

    中田参考人 発展計画につきましては、北海道としていま作業を進めておりまして、今月から作業が進むことになって、できるだけ早くということになっておりますから、私どもとしては六月ないし七月ごろまでには北海道の考えをまとめるように作業をしようではないか、こういうことでやっております。  この十年間で目標達成できるかという点につきましては、先ほども申し上げましたように、現在のいろいろな資金制度、国の制度、道の制度等では、そしてみずからの財政規模からいって、やろうとする計画はこれからつくるわけでありますが、まず財政的にはなし得ない、十年間では復興はできないというふうに私は考えています。しかし、これはやはり使命でありますから、復興はしなければならぬ。そのためには、ひとつ国の援助なり道の援助なり財政的な措置なりをしてもらいたいものだということを、発展計画関連させて案を持ちたいものだ、かように考えている次第でございます。  炭住問題につきましても、これは大体千九百二十四戸を取り壊すだけで大体七億かかると思っております、あとは地盤の整備を若干加えまして。そうしますと、長期低利資金等がお貸しを願える制度ができれば、七億であれば、自治体みずから壊すには二、三年でできると思いますから、壊すことはできる。改良住宅を建ててということになるとまた別ですけれども環境整備は七億程度資金があれば。北海道全体で、全部市町村が持っておりますから私は大体三十五、六億だというふうに踏まえておるわけであります。そんなことで、これは達成させなければ、実質的な産炭地振興は何年かかってもできないものだ、こう踏まえておる次第でございます。
  52. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 西村参考人に返って。あと一分か二分ぐらいですから簡略なお答えをいただきたいのですが、先ほどちょっと福岡県の小林知事にお尋ねをしました発展計画でございます。これが答申の一つの大きなメーンになっておることは承ったわけですが、発展計画というものが、国との合意もなされて推進された場合に、この発展計画そのものの目標達成されることが指定解除の一番大きな基準の一つになる、こういうふうに考えてよろしいのかどうか、この一点だけをお尋ねいたしたいと思います。
  53. 西村友裕

    西村参考人 六条地域を周りの市町村といいますか自治体が引っ張っていくという形のものが、基本的には広域的な経済生活圏の発展計画だというふうに認識しておりますので、お尋ねのとおりだというふうに理解しております。
  54. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 では、各参考人には大変ありがとうございました。時間も参りましたので、これで終わります。
  55. 森中守義

    森中委員長 小渕正義君。
  56. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 参考人の方、長時間大変御苦労さまでございます。限られた時間でございますのでできる限り、多方面の角度からの御質問がございましたので、私は端的な点について二、三お伺いいたします。  今回の産炭地振興法の十年延長、過去二十年間経過した現在でなおこれから十年間延長をしようということでありますが、当然、これからの十年間というものは今日までの二十年間の単なる延長線上であってはいけない、かように私は思うわけであります。そういう点で考えました場合に、これからの十年というのはいよいよこれで最後だということが言われているわけでありますが、過去二十年間の産振法の経過の上に立って、これからの十年間一体何を重点的にどうやらねばいかぬというふうにそれぞれ関係者の方はお考えをお持ちなのか。端的に言って、そこらあたりに対する御見解をそれぞれの参考人の方からお聞きしたいと思います。
  57. 西村友裕

    西村参考人 一番大事なポイントは何かということでございます。やはり関係の道県、これが大きな主体性を持って、そして産炭地域の経済生活圏の発展計画を実効ある計画をつくり、それを実行していく、それを国の方も援助していく、私はこういうことに尽きるのではないかというふうに思います。
  58. 小林悦夫

    小林参考人 今後の十年間で何をすべきかということでございます。  おっしゃるとおり、今後の十年間で解消しなければならない、こういう要諦があるわけでございます。特に筑豊内陸部等が問題が多いわけでございますけれども、確かにあの地域につきましては、抽象論で言えば苅田の工業地帯等を中心とした工業導入、こういうことも言えるわけでございますが、やはり一つの経済圏としていろいろ担う役割りというものがそれぞれ必要になってくると思います。工業だけではなしに農業、また、その他の面におきまして総合的な発展計画をつくり、それによって地域発展する、こういうことが必要であろうと思います。  非常に抽象的で、いざ具体的になりますと非常に問題があるわけでございますけれども、私は、いままでの、単に工業導入というだけではなしに、地域発展を総合的な角度で検討いたしまして、それに基づいて国の財政援助なりまた県独自でも十分それらの対策を立ててまいりたいと考えております。
  59. 中田鉄治

    中田参考人 北海道市町村全部、いずれも同じでありますけれども、やはり何といっても産業構造の改革をしなければならぬ。私ども夕張市はいまだに石炭産業が基幹産業でありまして、産業生産額の約八五%は石炭への依存型都市でありますから、やはり石炭というのは過去の経験から必ず閉山の時期が来るいわゆる限界産業であるということを十分認識の上に、これからの産業構造転換の対策をしなければならぬ、これが大きな柱だと思います。  そのためには、いわゆる工業が立地する経済基盤、条件の整備を行う、都市整備を図っていかなければならない、先ほど来申し上げたとおりであります。五、六年前、私はモデル炭鉱都市構想というのをつくったことがありまして、いわゆる第六次政策の二千万トンを出炭するには、炭鉱都市が変貌しなければ二千万トン体制は確立できない、こういった疲弊している炭鉱都市でもこういう都市をつくることができる、そういうモデル炭鉱都市構想というのをつくったことがあるわけでありますが、その構想をさらに生かしながら今後の都市基盤の整備を図ることによって、経済基盤の確立ができるものと考えておる次第でございます。
  60. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ありがとうございました。  次に、特に地方自治体の関係で御努力されておる小林参考人中田参考人に端的にお尋ねいたしますが、ここ最近の四、五年間といいますか、特にそういう地方自治の中の責任者としてこの産炭地振興の中で、抽象的に言えば地域振興のためいろいろがんばられたわけでしょうが、特に重点的に取り組まれたものがあったらそれと、それからあわせて、責任者として取り組まれた中でいままで一番御苦労されている、どうしてもこのあたりについてはこういうものがあってほしいというような、これから十年間産振法が延長されるわけでありますが、そういう運用の中において、または国において特に何かそういう点でぜひお願いしたいというようなものがございますならば、一、二点お伺いさせていただきたいと思います。
  61. 小林悦夫

    小林参考人 いままでどういう努力をし、どういう苦労があったかということでございますが、われわれといたしまして、やはり産振法の目的であります工業導入というものにつきまして非常に努力をしてきたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、七百七十社の企業を産炭地に導入をいたした、これがなかなか大変であったわけでございます。  それと同時に、私、従来から非常に心配をしておりますのは、産炭地域市町村財政状況が非常に悪いということでございます。このため、自治省にお願いをいたしまして、五十二年度から産炭地補正というものをつくっていただきまして、これによって若干なりとも産炭地財政の助けになったわけでございます。今後産振法の運用の面でいろいろやってほしいということでございますが、私は国にお願いをいたしたいのは、例の十一億円の交付金はぜひ増額をしていただきたい。これは十一条の措置にかわるものでございまして、こういうものをいただくことによって発展計画に活が入れられると考えるわけでございます。それと同時に、市町村財政も非常に逼迫しておりますので、今後なお一層の御援助、たとえば産炭地補正を減額しないような措置をぜひお願いいたしたいと存じておる次第でございます。
  62. 中田鉄治

    中田参考人 今日までどのように歩んできたかという大きなポイントは、何といっても都市づくりでありましたけれども、先ほど来申し上げましたように、やはり工業の立地をさせる、産業基盤を変えさせるという発想の転換をしなければならぬということで、石炭の歴史村五十億構想で、ことしを入れましてもうすでに二十五億の投資をやっておるわけでございます。昨年、石炭博物館には、七月に発足以来七万五千人の客に来ていただいて、ことしは約二十万人を予定しておる。六十年度では五十万人。  そういうことで、ああいった町の中にそういう観光をやって果たして成功するかどうか大きなかけでございましたけれども、現実の問題として私は成功の緒についた、こう考えておりまして、このことが足がかりとなって今後の工業基盤の整備ができるもの、立地の条件が整いつつあるもの、こう考えているわけでございます。  あとは、いまお話のありましたように、これからの都市基盤をつくる上に、今度の産振法の延長の中で、今日までの第一条にある目的の工業の発展ということは、工場団地をつくればそれで工業の発展ができるものだと私は考えられないわけでありまして、地域整備公団のおかげで三つの団地をつくっていただいて感謝をしておりますが、団地をつくるばかりではなくて、やはりそこに立地ができ得る、その魅力ある都市基盤というものをつくっていくところに、そういう財政的な援助措置というものをぜひお願いしたいものだ、かように考えておる次第でございます。
  63. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 大変御苦労されていることを先ほどからいろいろ御説明いただいているわけでありますが、そういう中で特に私感じますことは、これは徳永参考人がもうお帰りになられましたので西村参考人にお尋ねをいたします。  産振法の十年延長ということは、今回の答申案の中で広域経済圏の確立というところで若干触れられておりますが、先ほどから実際に自治体の中で御苦労されている等のいろいろなお話を承りますと、この産振法の中で地域振興を図るにいたしましても、関連する各省庁の関係とか、たとえば先ほど厚生年金の償還というようなことがあるのでむずかしいとかなんとかいう話もあったわけであります。そういう意味では、実際に仕事をやろうとする場合に、これに関連して出てくる関係諸法規といいますか、そういうものをもっと弾力的に運用しなければならぬという面がもっとたくさんあるのではないかという気がするのでありますが、その問題はこの答申案の中で余り触れられてないような感じがするわけであります。そこらあたりについては、審議会の中ではどのような議論がなされたのか、お聞かせいただければ、かように思います。
  64. 西村友裕

    西村参考人 産炭地振興と申しましても、これは一種の地域振興でございまして、確かにいろいろな法律あるいは関係各省が絡んでくる問題でございます。その点について議論はありまして、先ほどから運営面と申しますか、施策の効率性といいますか、そういう御質問もございましたし、やはり関係各省の連絡会というのが中央だけではなくて地方にもちゃんと設けられているわけでございますので、この辺の活用ということがこの答申の中にも出ているわけでございまして、その辺の連絡会の有効的な活用ということを強調しているのは、そういう問題点を意識してこういう答申になったというふうに思います。
  65. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 最後に、これは参考までに小林参考人にお尋ねをいたします。  先ほどから、特に福岡の場合には生活保護世帯が、全国平均と比べて一つの数値的なものを挙げられてこういう状態にあるのだという御説明があったわけでありますが、最近の七、八年で結構ですが、生活保護世帯の数の変化というものはどのようになっているのか、お尋ねしたいのです。
  66. 小林悦夫

    小林参考人 五年ごとくらいにとってありますので、参考までに説明させていただきます。特に筑豊六条地域について説明をさせていただきます。  三十五年、炭鉱閉山のころでございますが千分の五十八、それから四十年が千分の百三十七、四十五年が千分の百十九、五十年が百、五十三年が八十九、五十四年が九十二、最近は若干は減ってきておりますけれども、五十三年、五十四年度で見る限りにおきましてはまた若干ふえておる、こういう状況でございます。
  67. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。  これで終わります。
  68. 森中守義

    森中委員長 小沢和秋君。
  69. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 初めに小林参考人にお尋ねをしたいと思います。  今度の産炭地域振興臨時措置法延長の一番の特徴だと思いますのは、ブロック計画を県が中心になって立てていくという点にあるのじゃないかと思うのです。だから問題は、どういうような構想を立てるかということが非常に重要になると思うのです。いままでもいろいろ構想というのはあったわけですけれども、これの焼き直しじゃいけないと思いますし、先ほど参考人も言われましたように、福岡とか北九州を起爆剤にして、ここからいわばベルトをかけていくというようなことは、私は大変いい発想じゃないかと思うのです。  私が考えてみましても、特に福岡など、最近は非常に急激に人口が膨張して、鹿児島線の沿線などにあふれていっている。北九州などでも日豊線などにずっと延びていっておりますけれども、こういうような部分が過密化したりしないうちに、筑豊の方にそういう人口を誘導していくというようなことを私なりに考えてみるというと、特にその手段として、国鉄が重要な位置を持ってくるんじゃないかと思うのです。  これから先はお尋ねになりますけれども、先ほどから、いわゆる国鉄ローカル線廃止の対象になっているようなものも存続するということを前提にした構想を立てたいというお話だったように思うのですけれども、ただそれにとどまらずに、いま申し上げたような大きな構想に立って、たとえば篠栗線の複線電化とか、あるいは臼井−桂川間を短絡させるというようなことによって、あの辺一帯をベッドタウンとして大きく変えていく、それによって国鉄もうんと乗客もふえる、こういうような構想にしていかなくちゃ、在来線を、ローカル線をただ残すというだけでは、私は、余り説得力のある構想もできないのじゃなかろうかというような感じがしているわけです。こういうような点について、もっと積極的にそこまで踏み込んだ構想をお立てになる考え方があるかどうかということをまずお尋ねしたいと思うのです。
  70. 小林悦夫

    小林参考人 小沢先生おっしゃいますように、私は、今度つくる計画というものは、最後の十年だということで、やはり従来と同じような考え方ではならないと存じております。従来のやり方は、若干抽象的議論があったような感じもいたすのでありますが、これからは、やはり筑豊内陸部が真に生きることができるような具体的な方法をつくらなければならないと思います。  このためには、単に工業導入だけではなしに、いまおっしゃられましたような住宅地域として発展するとか、また農業地域として発展するとか、そういうものをお互いの機能分担ということを考えながら、経済ブロック圏の発展を目指してまいりたいと存じます。  その中で国鉄線の関係でございますが、先ほどから再々申し上げているとおり、われわれとしては、地域のそういう発展を見るまでは、国鉄というものは廃止しないでほしい、こういう要望を申し上げているところでございます。ただいま篠栗線の電化の問題であるとか、また現在ある線の短絡の問題、こういう問題が出ておるわけでございます。率直に言いまして、篠栗線の電化は、これは当然行わなければならない問題だと存ずるわけでございますが、国鉄の姿勢といたしましては、これらの短絡というのは余り考えておらないような感じがいたすわけでございますが、われわれは、地域振興を図るという意味におきまして、そういう点を含めて協議会の場で十分議論をし、その中でやはり前回きな、積極的な活用というものを図るよう努力してまいりたいと存じます。
  71. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私としては、ぜひいま言ったようなところまで踏み込んだ発展計画を立てていただきたいと思っております。  次に、やはり小林参考人に引き続いてお尋ねしたいと思うのですが、そういうような積極的な展望に立った構想を立てるということになりますと、当然財源も要るわけです。私も去年の臨時国会でもここで議論のとき申し上げたのですけれども、県が中心になって構想を立てるということから、国がいささかでも逃げ腰になっちゃならぬ、あくまで、県にそういう中心になって計画を立てさせ、それを推進させるにしても、特に財政的な裏づけは国がやっていかないというと、これは絵にかいたもちになってしまうんじゃないか、こういうことを私は申してきたわけです。  そういう立場からお尋ねをしたいと思うわけですけれども、そのためには、国としてももっと相当な財源をふやすという立場に立たないと、これは実現できないんじゃないか。先ほどから問題になっているような調整額もですけれども、さらに、いわゆるつめ跡ですね、鉱害とかあるいは炭住とかボタ山とか、先ほどから暗いイメージだということでいろいろ言われているようなものをなくしてしまうというだけでも、これは相当にいままでに比べて財政的に国が援助しないというと、十年間ではとてもなくならないんじゃないかというふうに私は考えるのですが、その点いかがでしょうか。     〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕
  72. 小林悦夫

    小林参考人 確かに、発展計画をつくります際に、もちろん県でやるべき事業もありますけれども、ほとんどは国の制度に乗っからないとできない問題であろうと存じます。  その点につきましては、現在十一条のかさ上げ等があり、また利子補給等があるわけでございますが、これは大体現行制度でいこう、こういうことになっているわけでございますが、基本は予算の配分の問題にあろうかと存じます。その点につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、発展計画について、十分それについて財源措置をしていただきたい、このように申し上げておるわけでございます。  それからもう一点、つめ跡の問題でございますけれども、おっしゃるとおり、現在、ボタ山鉱害復旧、それから炭住の問題がございます。これも先ほどから申し上げておりますとおり、現在の振興法とは別の体系にはなっておるわけでございますけれども、私は、これらの解消がなければやはり産炭地の問題は解消しない、こう思っておりますので、そういう面についての予算につきましてはぜひお願いをいたしたいと考えている次第でございます。
  73. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、西村参考人にお尋ねをしたいと思うのです。  先ほどからのお話では、国の財政は非常に厳しいということを産炭地の人たちも考えながら努力をする必要があるという御指摘でした。このこと自体については、私は何も異論を差しはさむものじゃありません。私たちも行政改革などについては、これをタブーにすることなしに積極的に対処していきたいというふうに考えているわけです。     〔岡田(利)委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、産炭地について、先ほどからの議論でも、またいまのお話でも、どうしても国がもっと財政的な思い切った措置をしなければ、十年間に最終的に復興することはむずかしいということも言われているわけですね。  あなたは、かつてあちらの方に勤務をされたこともあって実情はよくわかっているというお話もあったように思うのですが、財政危機の中にあっても、そしてまた、できるだけ効率的にそういう財政を運用するという立場に立ってもなおかつ、新たに創設された調整費を初めとして、財源をもっとふやさないというと、基本的にはこれはやり上げられない問題だという点については、確認をいただく意味で、参考人から御発言をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  74. 西村友裕

    西村参考人 財政危機の中で限られた財源をどのように配分していくかということは、国といいますか、政府の最高の政治機能であるわけでございます。その中で産炭地振興というものをどういうふうに位置づけるかということも、これはにわかに適正な基準というものを持ってくるわけにはまいりませんけれども、国のいろいろな施策の中でバランスをとりながらやっていかなければいけないことだというふうに思っております。  私は、炭鉱跡地の問題だとか炭住についてまだいろいろな疲弊があるということを十分承知しておりまして、そのためにかなりの財政資金が必要だということも認識しておりますけれども、問題は限られた財源をいかに有効に使っていくかということではないかと思うわけでございます。それが財政危機であればあるほどそういう有効な使い方ということが重要になってくるのではないかと思います。  十一億円が足りないとか、あるいは十一条による補助率のかさ上げをもっとしろというような要求が地元方々から出てくるのも、ある意味では当然かと思いますけれども、やはり国全体の財政政策という観点から見た場合、どこまでが適当であるかということは簡単に結論を出せる問題ではないというふうに私は思っておりますし、同じ産炭地対策の中でもかなりよくなってきたじゃないかと客観的に判断されるようなところは、できるだけ早く御遠慮いただきたいというような感じを持っているわけでございます。
  75. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは、次に中田参考人に二点ほどお尋ねしたいと思うのです。  一つは、失業対策事業の問題です。先ほど福岡県の小林参考人からは、産炭地における失業対策事業地域整備とか就労対策、あるいはまた地域経済そのものにとっても積極的な役割りを果たしたというようなお話があったように思うのですけれども、いま、この失業対策事業については収束の段階を迎えたというような意見も出されておるわけであります。  確かに大変高齢になられた方がいつまでも働いているというわけにはいきませんから、安心して引退できるような道も開かなければならないというふうには私どもも思いますけれども、しかし、産炭地のいまの非常に深刻な失業情勢あるいはまた生活、産業基盤をいろいろと整備していかなくてはいけないというような点から考えてみるならば、こういう公的な就労事業というのは収束の段階どころか、産炭地としては今後もさらに続けていかなければならないのが現状ではないかというふうに私は考えるのです。この点いかがお考えか、これが一つです。  二番目の問題は、市町村財政の問題であります。先ほどからそれがどんなに苦しいかということについていろいろお話がありました。確かに、産炭地市町村に対しては、かさ上げとかあるいは今度の調整額とかいろいろな制度はつくられていっておる、確かに全国の水準から見ればずいぶん優遇されているけれども最後は幾らかにしろ自主的な財源をつけなくてはいけない、そのわずかな額というふうに見えるものがもう出せぬということで四苦八苦しておられるということを私もいろいろ開くわけなんです。  それで、先ほどから過疎債も非常に活用しているというようなお話があったのですが、私の地元筑豊などではもう一歩踏み込んで、同和事業債などと同じような程度に手厚くなるような産炭地債といいますか、そういうような起債制度をぜひ考えてほしいというような陳情なども私受けたりしたことがあるのですけれども、こういうような点についてどうお考えか、二点お尋ねしたいと思います。
  76. 中田鉄治

    中田参考人 失業対策事業問題は、北海道としては閉山によるところの失業対策事業を広げてはおらないわけでして、特に私申し上げましたように、夕張の例を挙げますと、二十年かかって逐次閉山して十二万人の人口が現在四万人、三分の一になったわけですが、だんだんに閉山していったために、その失業される方の措置閉山の都度やりまして、それは経済の高度成長の時代にもありましたし、そういうようなことで、他の都市に就職可能な状態が続いておったわけであります。  しかし、昨年来の新しい閉山でいま失業者がふえておりまして、失対法の見直しの問題がいま出ておるわけですけれども、そういうような関連で、この問題を失業者に対してどう措置するかということがいま私どもの大きな課題でありまして、これは北海道全部の共通の問題であります。九州の筑豊や何かでやられているあの失対の方式は北海道はとっていなかったわけであります。逐次それらの就職先にあっせんをして大体のとどめになっている、したがって、産炭地の人口は大幅に減っていったということが現状でございます。  それから市町村財政の問題、産炭地債につきましては、私ども北海道としてもぜひ——過疎債は上限を一億円、産炭地復興には産炭地債が一番頼りだ、言うなれば交付税で見ていただける産炭地債を、今回の産振法の改正に当たっても単純延長でなくて、そのこともぜひお願いしたいということはずいぶんお願いしたのですが、国の全体の財政措置産炭地債は非常にむずかしということで、その問題はなくなっておるわけであります。私どもとしては、この十年の間にひとつ何とかこうした制度を設けてもらいたいものだ、こう考えておるところでございます。
  77. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これで終わりたいと思いますが、私は、いま北海道筑豊と同じように失業対策事業があるのかと思っておったのですが、どうも実情が違うようですから、いまの質問を小林参考人に申し上げたいと思うのです。小林参考人はもう収束の段階とお考えになっているのかですね。私は、いまのああいう深刻な状態から考えれば収束はとてもできない状態ではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
  78. 小林悦夫

    小林参考人 失業対策の問題でございますが、現在、失対制度研究報告書というものが出まして、失対事業につきましては収束を図る段階に来ておる、このようにされているのはおっしゃるとおりでございます。ただ、その中でも福岡県の実態等は十分考慮して今後段階的にやっていきたい、こういうようなこともなされておるわけであります。まあ、これはこれで受けとめざるを得ないと思うのですけれども、少なくとも三就労につきましては、現在の産炭地における雇用情勢というものから考えまして、今後雇用の増大を図らなければならないにしても、実態問題としてぜひ継続をしていただきたいし、この点については労働省も御理解を深めていただいておる、このように考えておるところでございます。
  79. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  80. 森中守義

    森中委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。この際、参考人各位一言お礼を申し上げます。  本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十九分散会