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1981-03-26 第94回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十六日(木曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 森中 守義君    理事 愛野興一郎君 理事 金子 岩三君    理事 楢橋  進君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 中西 績介君    理事 田中 昭二君 理事 小渕 正義君       麻生 太郎君    太田 誠一君       北口  博君    久間 章生君       古賀  誠君    保利 耕輔君       渡辺 省一君    塚田 庄平君       鍛冶  清君    稲富 稜人君       小沢 和秋君    石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 六助君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁石炭部長   福川 伸次君         資源エネルギー         庁公益事業部長 石井 賢吾君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君  委員外出席者         環境庁企画調整         局企画調整課長 川崎 正道君         環境庁大気保全         局大気規制課長 卯木  稔君         外務省経済局資         源第一課長   林   暘君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課地域計画室         長       小林 康彦君         通商産業大臣官         房参事官    弓削田英一君         工業技術院総務         部総括研究開発         官       五十嵐義男君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課地方交通線         対策室長    金子 史生君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  有馬 訓祥君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 三月二十五日  石炭政策の推進に関する請願(小沢一郎君紹  介)(第二一七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二一号)  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 森中守義

    森中委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺省一君。
  3. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 先般、通産大臣から所信表明がございました。この所信表明の中で、石炭対策等のあり方、また、幾つ石炭産業振興のための施策をしなければならない。結びに「新石炭時代における石炭政策の一層の充実を図ってまいりたい」大変積極的な所信表明があったわけでございまして、この点を中心にいたしまして、六点ばかり御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  そこで、端的に伺ってまいりますが、現在、石炭鉱業審議会において第七次石炭政策審議が行われている。その審議過程でもございますが、特にこういう積極的な所信表明に対しましてお伺いをしたいのは、第六次の石炭政策と、いま新しく答申を求めようとしておる第七次の石炭政策とに、背景なり問題点なり、特に大臣としてはどういう違いを七次答申の中に期待をし、また新しい方向づけをされようとしているか、この点についてまず最初にお伺いしたいと思うわけでございます。
  4. 田中六助

    田中(六)国務大臣 第七次答申がことしの夏ごろ、つまりことしの中ごろまでに石炭鉱業審議会の結論が得られるという私ども見通しでございますが、この七次答申と関連しまして、私ども現在、エネルギー政策中心となっております長期エネルギー暫定見通しというものを持っておりまして、これは、十年後に石油の依存率を五〇%まで下げる、逆を言いますと、代替エネルギーというものを五〇%まで持っていくということなんでございますが、この代替エネルギー中枢石炭というものがあるわけでございまして、これを私どもは一億六千三百五十万トンという、国内海外炭を含めましてそういう予測をしているのでございますが、その中に、一応第六次答申の中に含まれております二千万トンを国内炭として予測しております。  七次答申におきまして国内炭が二千万トンという数になるかどうかは別といたしましても、やはり二千万トン体制というものを一応頭に入れておるわけでございますが、そのように代替エネルギーというものを五〇%まで持っていくということの至上命題を持っておりまして、そこに国内炭あるいは海外炭がどっかりと座っておるという位置づけでございます。  この第七次答申審議する鉱業審議会は、学識経験者あるいは労組代表あるいは需要者、鉄鋼とかセメントとかございますが、そういう経験者、有識者、そういう人たちで構成されておりまして、どちらかというと中立のような形をとり得るような形式を持っておりますが、これは御承知のように昨年の八月の六日に答申をお願いしておりますので、私どもはこの答申を待って、より一層の新石炭時代と銘打ったそのものにふさわしい答申を得て、正式に決めたいと思っておりますけれども、いま申し上げましたように、石炭というものは十年後にどうあるという一応エネルギー暫定見通しを持っておりますので、やはりわが国のエネルギーの中に石炭というものが大きくクローズアップしていくわけでございます。
  5. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 いま大臣からお話がございましたが、私は、この六次答申までの経緯をいろいろ考えてみましても、この七次答申石炭産業に対する極端に言うと最後の答申ではないかとか、あるいは六次の延長であってはならないというような、かなり積極的なそういう意見も出ているわけでございまして、その七次というのは、ある意味から言うと、国内炭海外炭との調整を図りながら、いまの十年後の一億六千三百五十万トンの石炭需給に対しての環境整備なり幾つかの具体策を、国内的にも国際的にも駆け足をしてとるというかなり積極的なテーマがあるわけでございます。  特に国内炭について、従来六次答申でも二千万トンというような位置づけがなされて今日来ているわけでございますが、実態から申し上げますと千八百万トン台に落ち込んでおる。ややもするとまだ漸減する、いまの政策幾つかの節ではそういうことに落ち込んでいくのではないかという心配もまた逆にあるわけです。  そこで、今度の七次答申では、そういう海外炭とのかかわり合いもあるけれども国内炭位置づけは積極的に二千万トン体制維持をする。極端に言うと、エネルギー安全保障というような観点からもう一遍国内の二千万トン体制をしっかりと見直した中で位置づけをする、こういう積極的な意味にとらえるべきではないかという感じを持っているわけですが、この点についてひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
  6. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私どもは、二千万トン体制を現在も維持すべくその目標を掲げておるわけでございますが、現実にはそうはいっておりません。しかし、先ほどから申しますように、代替エネルギー中枢国内炭海外炭含めまして考えておるわけでございまして、やはり国内エネルギーというものを十分確保しておってこそ海外炭あるいは他のエネルギー資源につきましてもはずみがつくわけでございます。したがって、私ども国内炭はあくまで二千万トンを何とか維持、強化していきたいという考えでございます。
  7. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 いま大臣から二千万トン体制を充実強化するというお考えで、少しく大臣の御苦労もねぎらいたいということが一つあるわけで、話は前後になりましたけれども産炭地振興の諸問題あるいは石炭産業の今後を考えられて、例の国鉄財政再建の問題のときに、産炭地における特に石炭産業鉄道を守るという積極的な考えも、恐らくその七次答申一つの思想に連動する、そういう考えであったと思いますし、特に、今次災害を起こした北海道炭礦汽船再建についても特段の配慮をいただいたことも伺っておるわけでございます。  ぜひひとつそういう積極的な政治姿勢、そういう姿勢の中から今後の七次答申の結果を踏まえて幾つかのお願いをしたいことがありますので、質問させていただきたいと思います。  最近の一つの例を申し上げて、御理解をいただきたいと思うのですが、北海道炭鉱等はもう一社一山、一行政区域に一社一山という形で炭鉱が残る。ですから、エネルギー安全保障観点から石炭全体をどう見るというその見方もございますけれども、今日的な石炭炭鉱分布から言いますと、かなり地域ぐるみ地域産業政策福祉政策、そういうあらゆる要素を包括した炭鉱としての位置づけが、逆に地域でも重さが増してきているわけでございます。  そういう観点で、先般、北炭災害があって大変苦労されたわけでございまして、自治体もこれに参画して最近てこ入れした。こういうことから申し上げますと、一社一山体制というものは何らかの形でもっと信用度の高い、技術面も少しく配慮できる力のあるものにしてはどうかというような意見が実は出ているわけでございます。  そこで、私は端的なお伺いをさせていただきたいと思うのですが、国やユーザー石炭企業が出資をして統一管理会社をつくるというような方向で、もっと力をつけてはどうかというような意見がありましたり、あるいはまたいまの私企業体制維持しながら合併促進というような、そういう政策誘導をひとつこの際七次答申の中で政府としては考えるべきではないかとか、いやいまの現状維持体制でぴしっとやればいいのではないか、幾つかこういう意見が出ているわけでございます。  いま申し上げましたように、一社一山というような方向の中で、そういう石炭政策の二千万トン体制をしっかりとした流れの中に乗せるということからいうと、そういういろいろの意見が出ていることについて、政府としてはもっと積極的な一つの指針を与えて、いまの石炭政策二千万トンの位置づけを積極的な強い形ですべきではないかと思うけれども、いま申し上げましたような意見について、大臣としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  8. 福川伸次

    福川政府委員 従来、石炭政策展開の中で、石炭企業スクラップ・アンド・ビルド政策の中で効率的な体制をつくり上げていくということで、その効率性を明確にいたしますために石炭生産と販売とを分離するという形で展開をしてまいりました。現在もそれなりの成果は上げてきておったと思うわけでございます。  それで、いまお尋ねのように、一社一山ということになりました場合に、それぞれその企業展開が将来どのようになっていくのか、その地域社会への影響はどのようなものであるかというお尋ねでございました。この点につきましては、現在、私どもも七次政策答申検討過程で、それぞれの炭鉱が将来どの程度賦存埋蔵量を持ち、どのような経済性をもって生産をしていくかという点を厳密に予測をし、また、調査をしてかかりたいというふうに考えております。いま調査中でございますが、それぞれの山はここ数年あるいは十年以上の採炭をやっていけるという見通しで、それぞれの合理化計画を持っておるわけでございます。  また一方、お尋ねのように新鉱の開発というのも一つの重要な検討課題でございます。従来、私どもも五十一年度以降新鉱の開発にはそれぞれボーリング等もし、数年かけてやってまいりましたが、現在天北あるいは釧路西部、この二地域について現地調査を行い、これにつきましてさらに労働力確保の問題あるいは地上権の問題、環境問題等々を検討いたしておるわけでございます。そのような新鉱の可能性あるいは既存炭鉱開発可能性考えて、今後の生産体制というものをどのように考えていくか、あるいはその中で企業体制をどのように考え誘導していったらいいかという点は、確かに一つの重要な課題であるというように私ども考えておるわけでございます。  いまお尋ねのように、統一管理会社というような形でこの新鉱の開発あるいは既存炭鉱展開、いろいろな問題を考えていく必要があるわけでございますが、いま統一管理会社というような形でいくのが果たしていいのか、お尋ねのように提携合併考えていった方がいいのか、それぞれもちろんいろいろな政策助成をしながらも、企業効率性を保ちつつそのような安定した生産体制をつくり上げていくという点は、まず私企業体制を前提としながらも、効率性を追求しながらそのような体制考えていくという点は、いまお尋ねのように既存炭鉱の周辺の可能性とそれから新鉱の開発可能性、この辺を組み合わせまして、私どももこの夏までに十分検討させていただきたいというふうに思っております。
  9. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 部長からせっかく答弁があったから、その点について認識の問題と、そういうことが答申経緯を通じてさらに検討されれば大変結構だと思って申し上げるのですが、北大の礒部先生などはわれわれ道議会石炭委員会時代からときどき指導してもらう、御意見を聞くという経緯があるのです。礒部先生意見がすべてではないと思いますが、たとえば、いま一社一山というような体制にもうちょっと信用力をつけて地域期待にこたえられる、そして石炭安全保障という立場でもっと力をつけてやりたいという考えはあるのです。  それともう一つ、これは避けて通れない自然条件の問題で、北海道石炭分布を見ましても、急傾斜炭鉱といいますか、どうにもならない客観的な坑内条件等、いまかなり深部化していることと、かなり奥に入るという実態の変化があるわけでございます。そこで、北海道の中でも大変企業内容がいい、いい環境の中で太平洋炭硬とかそれぞれやっております。同時に、歌志内だとか住友赤平だとか三井芦別、上砂川、こういうところはいま申し上げましたように、またさらに深くなるというような条件の中で、しかもそれは急傾斜である、こういうところと、夕張ブロックの三菱大夕張北炭夕張新鉱、少しく様子が変わってきているわけですね。  ですから、先ほど統一管理会社という話を私申し上げましたけれども、そういう漠然としたものでなくて、石炭業界をもうちょっと再編成するというか話を詰めて、そして力をつけるような方向に少しく指導して合併編成で、いま言ったような客観的な条件の中で、お互いに技術屋にしても機械にしてもかなり効率的な運用ができるように、そういう急傾斜炭鉱条件が整ってきているわけです。そういうものは何らかの形で政策誘導してしかるべき会社として育ててやるというような考え方は、部長どんなふうに思いますか。
  10. 福川伸次

    福川政府委員 渡辺委員指摘のとおりに、石炭企業につきましては、炭層の傾斜度あるいは深さといった自然条件、さらには需要地との遠近等立地条件等によって損益上格差が生じている点は御指摘のとおりでございます。  最近でも、急傾斜炭鉱コストが高いわけではございますが、いまもそれなりに機械化しあるいは合理化努力をして、労使の非常な努力によってその不利な条件を克服している企業の例がございます。現在、そういう自然条件の点に関しましては、御高承のとおりに、急傾斜の多い石狩炭田とその他の地域との間に安定補給金の額に、炭価格差をつけまして、そのような不利な条件を克服するというような政策誘導手段をとっておるわけでございます。もちろん、このような格差は基本的には企業努力によって、合理化努力によって縮小されているべきでございますが、それにもおのずと限界がありますために、いま申し上げましたような助成を考慮しているわけでございます。  いま、企業を再編成することによりましてそのような不利を克服してはどうかという御指摘がございましたが、いまお話しのように、そのようなかっこうで有利な条件のものと不利な条件のものとを合併するというようなやり方で安定させるという方向も、もちろん一つ検討課題ではございます。あるいはまた、それなり企業努力を求めていく、有利なものは有利な形に持っていく、不利なものはそれなり合理化努力をする、そこにある程度格差の是正の誘導措置を講じていく、いろいろなやり方があります。あるいは業界の中には、金を出し合ってその不利な条件を克服していこうというような動きもございます。このような不利な条件というのは提携あるいは合併あるいは再編成という形でやるのが果たしていいのか、あるいはその資金をある程度供出し合って、配分し合っていく、あるいはいまあります安定補給金というようなものの傾斜配分というようなことをもう少し見直して克服していく。  要は、この合理化努力が十分反映されていく体制に何が一番いいのかという点が、一番問題であろうというふうに思っております。この点が業界内部あるいは労働組合内部におきまして一つの大きな論点になっておるわけでございますが、いま御指摘の点も含めまして、いま申し上げましたような幾つかの視点を総合的に検討して答申の中に織り込まれるものと私ども期待をいたしております。
  11. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 いみじくもいま部長さんから、結局企業間格差実態をどう解明するかということで、体制問題も含めて、合併だとか幾つかの手段をどう考えるかということをお伺いをしたわけですけれども、いずれにしても、六次答申から七次答申に変わる、その新しい答申を得なければならぬということは、かなりいまの政策駆使では答えが出づらい、二千万トン体制維持するのにかなり困難であるというふうにわれわれ実態論として把握しておるわけでございます。そういう点で、企業間の格差を埋めながらどういう体制に持っていくかということは、いまいろいろ審議会に諮問をされているようですが、いま提案申し上げましたような問題点も、問題点一つとして十分検討していただきたいという要望をしておきたいと思います。  そこで、やはり今日まで問題になったのでございますが、石炭炭価の問題、炭価を決めることについて、客観情勢がいいときと悪いときによって決め方に、炭価基準の問題にしても少しく問題がありはしないか、こういうことで、いろいろ今日までの経緯の中では問題点として提起をされておるわけであります。この決め方について、少しく経営の本態が炭価の中に出るわけですけれども基準炭価を決めて物価スライド制の方法でやるか、あるいは第三者機関というようなそういうところで裁定をしてもらうというようなことで、ひとつ思い切った炭価決め方をするかなど、従来の決め方では需給関係力関係でどうもあるべき姿の炭価決定にはなりづらい、そういう声があるわけです。この点については七次答申を待つまでもなく考えたかと思いますが、こんなことで進めていくかという新しい考え方がもしあれば、ひとつ伺わしていただきたい。
  12. 福川伸次

    福川政府委員 現在は、御承知のように、石炭鉱業合理化臨時措置法第五十八条の規定に基づきまして、石炭鉱業審議会意見を聞きながら石炭生産費石炭輸入価格石炭以外の競合燃料価格その他経済上の諸事情を考慮して基準炭価を定めるというふうになっておるわけでございます。従来、その運用に当たりまして、石炭業界とあるいは需要業界がこの点で話し合いをして、そして双方が納得のいく形でということでございましたが、現実にはなかなか、需要業界の方は安い方がいい、そういう高い石炭は引き取れないと言いますし、生産業界の方はコストを補てんをしてもらいたいということで意見がかなり対立をしておったことは事実でございまして、この点は先生もよく御承知のとおりでございます。実は、この国内炭引き取り問題と価格決定というのは密接に絡んでおりまして、かなり高い値段をということになれば引き取り量を減らすというのが需要業界立場でございまして、その辺をいろいろ総合的に勘案して決めてまいったというのが従来の炭価制度運用であったわけでございます。  それで、現在非常に大きく変革を遂げておりますエネルギー需給構造の中で、今後の石炭の国際的な市況あるいは需給構造というものがどのようになっていくんであろうかということと絡みまして、この炭価制度というのは一つの大きな課題でございます。私どもも、従来から石炭引き取りに関しましては、輸入割り当て制度運用の中でできる限り国内炭優先使用原則ということの中で運用を図ってまいったわけでございますが、今後、かなり需給構造が変わってきております中で、この炭価決定ということをどのようにしていくべきであるか、これはさらにまた、先ほども御質疑がございましたが、今後の国内炭生産コスト等の諸条件を見ながら決定していかなければならないと思うわけでございます。いま先生からもお話がございましたように、今後この炭価決定のメカニズム、ルールというものをどのように改善していったらいいのか、今後の生産体制を持っていくこととの絡みでいま鋭意検討しておるわけでございます。  考え方といたしまして、コスト的な原則コストをある程度補てんするというような考え方、その場合でも平均的な費用で考えるのか、あるいはかなり進んだ炭鉱合理化努力を織り込んだ形での炭価考えるのか、あるいはまた競合燃料価格に重点を置くのか、いろいろな意見がございます。これは、今後の日本石炭鉱業合理化あるいはまた日本経済全体のエネルギーコストの低減ということの中で、なおかつ今後の生産体制維持していく価格はどのようなものになっていくのが適切であるのかということで、これも先ほど引き取り問題あるいは海外炭輸入問題等との絡みの中におきまして、どの程度の改善を図っていったらいいかという点をいま検討いたしておるところでございます。
  13. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 何か一つやろうと思うと全部関連を持っておるから、海外炭の話まで部長はいってしまったが、これはどこかで歯どめをかけて、それぞれの土俵の中であるべき姿を出して、それに関連するものと本体とけじめをつけないと、海外炭の問題から入ってくると全部関係があるわけですから、その辺は、従来あったルールというものは実態解決に少しく弱過ぎるのではないか。そこで、少し客観的な要素を入れたルールを確立する、そんな感じを持っておるわけですから、そういう意味で、ぜひこの問題も配慮をお願いしたい。  米とは違いますけれども、特に今度は、需給計画法律の中に入れるなんてことを米なんかはやっておりますが、石炭産業の食糧ですから、国内炭需給計画をぴしっと立てまして、そういう需給計画にのせられたもの、認知されたものについてはルールの中で、経営実態などを踏まえてぴしっと三者機関答えを出して、スライド制も入れてやりますよということで、石炭会社経営めどというか、価格需給のバランスもあり、いろいろありますけれども、それぐらいのめどが立つようなルールなり何なりをぜひお願いしたい。これを申し上げておきたいと思う。  関連しまして、新鉱開発消滅鉱区問題等もいろいろございますが、時間がありませんからこれは他の機会に譲りたいと思います。  いま話に出ておりました海外炭とのかかわり合いが非常にある、七次答申というのは、量的にも質的にもそういう意味で非常に海外炭かかわり合い国内炭が受けるわけですから、この辺はけじめを明確につけておいて施策を進めてもらわなければ困るという立場から、逆に今度は海外炭、これから輸入する輸入すると言っておりますけれども輸入体制の問題についてもユーザーが中核になってやっておるとか、商社と石炭会社が一部あれしてやっておるとか、輸入先は中国とか豪州とかカナダとかアメリカとかインドネシアとかいろいろありますが、それぞれさみだれでばらばらでやっておったのでは、国がいまの国内石炭政策需給計画をつくってやるということについて計画性というか、需給の中に政府としての責任というか焦点というものが少しぼけるのじゃないか。これから七次答申以降新しい考え方海外炭の問題を考えるという御意見がもしあれば、大臣この点についてお伺いしたいのです。
  14. 福川伸次

    福川政府委員 海外炭の導入につきましては、先ほど指摘になりましたように、代替エネルギーの供給目標の中で非常に大きな位置づけを受けておるわけでございます。従来の原料炭のみならず、一般炭の輸入がかなりふえてまいるわけでございます。現在、六次答申の中でも海外炭の問題は指摘されておるわけでございますが、特に、ここ第二次石油ショック以後その問題がかなり具体的な問題として顕在化してまいっております。  御指摘のように、海外炭開発あるいは輸入と申しますのはかなり事前的な準備が必要でございますし、またそれなりの投資が必要でございます。したがいまして、現在私どもも、そういうエネルギーの供給目標の展望の中で具体的に、いまお話がありましたようにいろいろな地域からどのように輸入していくのか、そのためにどのような投資が必要であるのかという点を、海外炭問題懇談会をつくりまして学識経験者ユーザーあるいは関連商社等々を網羅いたしまして、いま検討いたしておりまして、その検討のエッセンスは第七次答申との中で十分連動させてまいらなければならないと考えておるわけでございます。  今後、需給計画をつくってまいります過程の中で輸入炭をどのように位置づけていくかということは、非常に大きな問題でございますし、これがまた、今後の国内との関連におきましての輸入制度との関連というのは非常に大きな問題になってまいるわけでございます。私どもも、今後の海外炭の輸入につきましては、いまお話しのように石油の経験にもかんがみまして、供給地域を分散化していくということとあわせて、同時に輸送等々に支障がないように、コールチェーンシステムを十分確立していく中で輸入と国内炭との連関をつくっていくというようなことで、需給見通しあるいは外割りの運用等も含めて十分検討し、対応に遺憾なきを期していかなければならないと思っております。
  15. 田中六助

    田中(六)国務大臣 いま福川石炭部長答えましたように、私どもは十年間の暫定エネルギー需給見通しの中に、国内炭の二千万トンを引きますと一億四千三百五十万トン、一般炭、原料炭を含めまして海外に依存するわけでございます。したがって、イラン・イラクの紛争以来石油の分散化を考えておると同様に、石炭も重要エネルギーといたしまして輸入炭の分散ということを頭に入れておりまして、たとえば中国、豪州、カナダ、アメリカ、インドネシアもそうでございますが、それぞれ輸入国の分散化を考えると同時に、たとえば中国炭にいたしますと、中国には非常に多く石炭がございますけれども、港湾の整備、鉄道、道路というようなインフラの整備がなければどうにもならない点がございますし、豪州から日本が輸入する場合どこかにコールセンターなどを設けなければ、豪州では非常にストが多くてどうにもならない場合がございます。  したがって、翻って考えますと、たとえば中国炭に目を向けますと豪州から来るよりも近い。私、昨年の暮れにも日中経済閣僚会議に出席したわけでございますけれども、蒙古の奥の方では貯炭の山で、石炭が自然発火しておるというような事例もございまして、それをどうすればいいかといいますと、道がない、鉄道がない、港湾が整備されていないというようなことになっておるわけでございます。したがって、中国の要求するインフラの整備などもやる、それから豪州なども西部と東部といろいろ違った条件でございますので、石炭を手に入れるためにはそういうインフラの整備も含めた海外協力というようなことも頭に入れて、一億四千三百五十万トンという一般炭、原料炭を含めた石炭の確保を私ども一生懸命やっていきたいと考えております。
  16. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 時間がないようでございますから、いま部長大臣からも答弁をいただきましたが、外国の事情もさることながら、国内の受け入れ体制の整備はそう急にできるわけじゃないですが、かねがねコールセンター等の配置、少しく作業を進めている。中間報告でも結構ですから、七次とは別に、具体的な考え方の中でかなり進んでいる面がありましたら、コールセンターの受け入れ体制等についてもお伺いしたい。  それからもう一つ、最後に、海外炭国内炭との調整をどうするという考え方がいろいろあるのですけれども、何らかの機関をつくるか、しかるべき歯どめをひとつかけたい。その辺はなかなか国内炭との競合の面をめぐっていろいろ問題が起きるのではないか、この点について考えがあればひとつぜひ聞かしていただきたいと思います。
  17. 田中六助

    田中(六)国務大臣 御指摘の第一点でございますが、コールセンターの問題は、先ほども触れましたように、私どもが常に頭に置いておかなくてはいかぬ問題でございまして、現在一応そういうコールセンターの貯炭量と申しますか、七百五十万トンぐらい取り扱い量を考えておりまして、その中にどの程度の容量で貯炭をするかということでございますが、これは約百五十万トン程度で、二カ月分というようなことを頭に置いております。  さて、日本全国にどの程度コールセンターを設けるかという数でございますが、現在長崎の崎戸、これは三菱鉱業のあったところでございますが、そういうところとか、いろいろ物色しております。すでに北九州の若松地区ではコールセンターをやっておりますが、それを拡大するとかというようなこと。あるいはその他日本の各地にコールセンターを設けなければいけないという頭がございますけれども、公害との関係あるいは貯炭面積との関係、そういうようなもので数字を現在のところ何カ所というようなことは言えませんけれども、十分これらも考えております。  第二点については、福川部長から答えさせます。
  18. 福川伸次

    福川政府委員 いまのコールセンターの点はいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございますが、私どももこのロールセンターの機能というものを過去数年にわたりましてフィージビリティースタディーをやってまいりまして、いまお話がありましたようなことでかなり効率的な輸送体制をつくる、あるいは十分な貯炭能力を持つというようなところで考えておるわけでございまして、いまの崎戸の計画のほか、あるいは苫小牧、そのほか九州の若松等々でやっておりますが、今後一般炭の輸入の増大に絡めまして、その需要を見ながら適切な立地を考えていかなければならない。その際には、公害問題あるいは需要地との関係を十分考えていくということを私どもは念頭に置いて対応策を考えていきたいと思っております。  輸入に当たりましての需給調整策、この点は先ほども触れましたが、従来私ども国内優先使用ということを原則にしてこの輸入調整に当たってまいりましたが、今後も国内生産体制維持していくということを考えますれば、従来の国内炭優先使用という考え方は引き続き維持していかなければならないものと考えておるわけでございます。その場合にいろいろな調整手段があろうと思いますが、もちろん国内引き取り体制維持し、安定した供給をすると同時に、海外からの輸入の石炭につきましては、日本全体のエネルギーコスト考えれば効率的な形にしていく。こういう組み合わせの中で国内優先使用ということができるような形で輸入割り当て制度、その他の諸制度を運用していくことを考えてまいりたいと思っております。
  19. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 これで質問を終わらさせてもらいますが、いまいろいろお話があった点、幾つ問題点の一部に触れたわけでございますが、もちろん、七次の答申を受けて、ひとつ積極的な石炭政策、そしてその裏返しは産炭地振興ということになると思いますが、大臣が就任されたときに、大変厳しい内外の環境ではあるけれども、ひとつハードルを越えようじゃないかということを話された一そのハードルを越えるというのは何であるかということで私のところにずいぶん問い合わせがあったのだけれども産炭地の事情を一番よく知っている大臣だから、ハードルを越えようということはいろいろの意味があるのだろうというので大変期待があるわけでございまして、そういう期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
  20. 森中守義

  21. 愛野興一郎

    ○愛野委員 まず、大臣にお伺いをいたしますが、いま渡辺委員から当面のエネルギー源としての石炭政策に対していろいろ質問があったわけであります。産炭地に御理解のある大臣が連日頭を悩ませておられるということに非常に敬意を表する次第であります。同時にまた、石油以前の石炭政策によって著しい影響を受けた地域の問題にも非常に御苦労をしておられる、こういうふうに思うわけであります。  そこで、本日、産炭地域振興臨時措置法の趣旨説明があるわけでありますけれども、五十七年三月に石炭関係の三法並びに七月に二法が期限切れになるわけでありますが、この問題についてどういうふうに対処しようとしておられるのであるか、このことについてお伺いをいたしたいと思います。
  22. 田中六助

    田中(六)国務大臣 産炭地振興法は私ども十年間の延長をまず考えておるわけで、この委員会にも御審議をお願いしておるわけでございまして、石炭の関連法案はちょうど血液の循環過程のようなもので、どこをどうというふうな部分を切り離しては私は考えておりません。  したがって、振興法の十年延長は、これが合理化法あるいはまた鉱害その他の諸法案にもつながることでございまして、ことしの十一月が振興法の期限切れといたしますと、あと来年の三月とか、逐次関係法案の期限切れが参ります。産炭地並びに炭鉱問題アフターケアも含めまして、あるいは前進する前向きの法案の内容も含めまして、全部これは過去、現在、将来、そういうものと関係がございますし、日本のあらゆる開発あるいは他のいろいろな田園都市構想、地方の時代、そういうものを含めまして、これらの諸法案の延長、期限は今回の振興法は十年でございますが、他の法案もこれに準じて行うことが、結局石炭国内炭の確保と大きな関連がある。したがって、またエネルギー政策にもこれが大きな関連があるという観点から、他の法案につきましても十分な配慮をしなければならないという決意でございます。
  23. 愛野興一郎

    ○愛野委員 その際、今日の石炭鉱害復旧についていろいろと現地では注文が出ておるわけであります。同時にまた、いままで法に基づいてやっていただいた結果がそう思わしくないというようなこともあるわけでありますが、そういう問題について、石炭鉱害復旧法等の改正の際に改めて見直したりあるいは手直ししたりされるお考えがあるかどうか、お伺いしておきます。
  24. 田中六助

    田中(六)国務大臣 鉱害復旧につきましては、一部の専門家の間にも、アフターケアの問題であって、これは前向きではないという意見もございます。しかし、やはりアフターケアということだけでは済まされず、エネルギー政策を前進させるためにもこの鉱害問題の解決をしておかなければ、将来のエネルギーの問題、ただ石炭だけではなくて、原子力でもそうでございますけれども、その他のエネルギー問題についての解決も困難になる関連性があるという考えを持っておりまして、したがって、この鉱害問題をどうするかということになりますと、基本線はそういうことで、現在の残存鉱害量というものがどうしても問題になるわけでございます。したがって、家屋復旧、田畑復旧、農地の復旧なども含めましてまだ半分程度で、それ以上の部分もございますけれども、私は、法律改正のときに、法律の延長をお願いするときに、一応残存鉱害量はどの程度かということを見直すと同時に延長の期間も決めたいし、ある程度緻密な考えでこれらの鉱害問題を考えなければいけないというふうに思っております。
  25. 愛野興一郎

    ○愛野委員 いま大臣から力強い御答弁をいただきましたが、いまのお話のとおり、たとえば佐賀県の場合を見ますと、鉱害量が千三百十八億八百万、そのうち五十五年度までの復旧見込みはわずか四一%であります。あとの七百九十億四千万、五九%がまだ残っておる、こういう現状にあるわけであります。  そこで、国におかれても、残存鉱害量を的確に把握していただいて、そうして仮にあと十年延長するとどういうふうなことで復旧計画をされるか、またずっと延長、延長ということでいいというようなことじゃないと思うわけでありますが、今度は、この改正の際にはそれに合わせた早期完全復旧計画というものを立てられるのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  26. 福川伸次

    福川政府委員 現状に関しましては、いま佐賀県の例を引かれまして御指摘がございました。全国で見ますと、五十四年度末で六〇%程度、五十五年度末で七〇%程度と見込まれておりますが、いずれにいたしましても、鉱害二法の五十七年七月末までに完全復旧するということにつきましては、きわめて厳しい状況にあるわけでございます。それで、いま大臣が御答弁申し上げましたように、鉱害量を的確に把握いたしまして、その残存鉱害の早期復旧を図るということで、この施策を今後再検討してまいらねばならないというふうに思っております。  現在、残存鉱害量の把握のために全国の鉱害量調査を行っておるわけでございます。これは大変膨大な作業でございまして、賠償義務者及び関係市町村などから提出されました調査票をもとに、いま石炭鉱害事業団の協力を得てその審査、現地調査を行っておるわけでございます。かなり鉱害が複雑化しておりますので、この取りまとめ作業にかなり時間がかかっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この調査結果を取りまとめまして、さらにこれを踏まえまして今後の予算、それから施行体制等を考慮しながら、この計画的な処理計画を検討し、今後、期限が参ります五十七年の七月に間に合うように、予算措置あるいは法的措置を講ずるよう検討を進めてまいる所存でございます。
  27. 愛野興一郎

    ○愛野委員 それから、鉱害紛争の処理の迅速化、あるいはまた鉱害認定が長くかかる、あるいは農地の追加工事の促進をお願いしてもなかなか進まない、これは金目の問題は別として、もう少し早くこの結論を出せる方途はないものかどうか、お伺いをしたいと思うのです。
  28. 福川伸次

    福川政府委員 最近におきます鉱害賠償についての紛争でございますが、年によってもちろん紛争の量に変動がございますけれども、たとえば五十四年度を例にとりますと、和解、仲介案件が六件、裁定案件が二十一件、そのほかあっせん依頼等がございまして、これは相当数に上っておるわけでございます。今後この紛争の早期処理という点につきましては、私どもも御指摘をいただくまでもなく、鋭意努力をいたしたいと思っておりますが、従来から比べますと、五十一年度以降大変努力はしてまいりまして、幾らかずつではございますけれども改善が見られるわけでありまして、今後とも私どもその点は十分努力をしてまいりたいと思っております。  鉱害認定につきましては、最近の鉱害現象が多様化し、複雑化し、鉱害認定につきまして科学的な調査を要するといったような案件が増加しておりますので、御指摘のように結論が出るまでに多少の時間を要する場合もございますけれども、もちろん被害者のことも私どもも十分念頭に置きながらこの認定の促進、さらには、いま農地の追加工事等にも触れられましたが、そのように今後の認定その他の事務につきましては十分私ども努力をしてまいるつもりでおります。
  29. 愛野興一郎

    ○愛野委員 時間がなくなりましたからまとめてお伺いしますが、過去における鉱害の打ち切り金、金銭賠償受給者の問題に対して救済措置というべきか、あるいはまた、その金銭賠償に応じた人のために全体の鉱害復旧工事が阻害される場合がある。こういう場合、たとえば仮に時価で国にお返しをして、あるいは時価じゃなくて、金銭賠償でありますから、もう少し安い価格で国にお返しをして、そして同じ復旧工事をされるとか、何かもう金銭賠償が済んでおるので終わったのだというようなことではいろいろと不都合が生じてくる場合があるわけであります。こういったことに対する見直しのお考えはないものかどうか、お伺いをしておきます。
  30. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘の金銭賠償済みの物件につきましては、これはいろいろな事例があること、私どもも現地からの声を承っておるわけでございます。ただ、現行の復旧法で規定いたします鉱害は、鉱業法上の賠償義務が存在するものでございますものですから、金銭賠償済みの物件につきましては、一応鉱害賠償義務が消滅しているということになりますものですから、その物件につきまして復旧法上の復旧を行うということは法律上大変むずかしい問題があることは先生よく御承知のとおりでございます。  もちろんいま御指摘のように、金銭賠償が行われて、その周辺の鉱害復旧がおくれるという事例はないだろうかというお話もございましたが、金銭賠償済みの物件でございましても、その後新規の採掘に伴って鉱害が発生した場合、あるいは連係復旧を要する場合といったような点につきましては、私どももその実情に応じてこれに対応していくというふうに考えておるわけでございます。これは法律上大変むずかしい問題を含んでいる点は先生御高承のとおりでございまして、私ども大変むずかしい問題であることは十分理解はしておるわけでございますが、そこに限界が法律上あることも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  31. 愛野興一郎

    ○愛野委員 石炭採掘に起因する赤水湧水、こういった問題は従来ともに努力をしていただいておるわけでありますが、地域にとってはなかなかにそれが、現地は非常に困っておる、そういうわけでありますから、こういった問題に対して復旧対策を計画的に早急に確立していただいて、そして対処していただく。同時に、佐賀県の場合は昨年長雨災害で、従来よくやっていただいておったわけでありますが、ボタ山地帯が非常に心配をされておったというわけでありますから、こういうボタ山の問題につきましても、佐賀県の場合はどう対処していただいておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  32. 福川伸次

    福川政府委員 初めに赤水湧水対策の点についてお答え申し上げます。  この点はいま先生からも御指摘がございましたように、農地等に被害を及ぼしている場合には、その対策に私どもも十分意を用いてきたわけでございます。湧水のメカニズムなどを解明するために四十九年度からその調査も実施をしてまいりまして、その結果、一部につきましてはすでに処理施設を設置するというようなことでございます。そのほか、農地等で重大な被害を及ぼしておりますところにつきまして、現在なお必要に応じまして引き続きそれぞれの地域に適しました処理方式を確立するために、いま復旧計画調査を行っておるわけでございまして、この点につきましては、若干時日は要するかと思いますが、その調査がまとまり次第、復旧にできるだけ早く着手いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  ボタ山の点につきましては、立地公害局の方からお答えさせていただきます。
  33. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 先生指摘のございましたボタ山でございますが、御案内のとおり、ボタ山の防災工事につきましては、昭和三十九年から地方自治体が実施いたします防災工事に補助金を交付しておりまして、これに基づいて実施しておるわけでございますが、先生指摘の昨年の集中豪雨によりまして佐賀県下で三つのボタ山が崩壊、流出をいたしたわけでございますが、これの措置につきましては、緊急に措置を要する一ボタ山につきましては、五十五年度の事業計画を変更いたしまして実施をいまやっている段階でございますし、さらに残りの二つのボタ山につきましては、五十六年度の防災計画の中に織り込み済みでございます。来年度実施をする、こういうことで対処をしてまいりたいと考えております。
  34. 愛野興一郎

    ○愛野委員 最後に、行政改革の折から、なかなかこれはむずかしいことではありましょうが、佐賀県の鉱害関係の事業団の技術職員は、工事費が農地が四十二億三千万円、それから家屋が二十二、億八千七百万円の中で、わずかに農地は二十七人、それから家屋は八人という現状でいまやっておるわけであります。なかなか人数をふやせというような質問をするわけにもまいらぬような今日の状態でありますからむずかしいわけでありますが、もう少し積極的に稼働ができるような部内体制を事業団あたりもおとりいただけるように努力をお願い申し上げたい、こういうふうに思うわけであります。  それからもう一つは、たとえば佐賀県の柑橘の鉱害復旧等のごときも、これは答弁は要らないわけでありますが、せっかく復旧していただくなら、もう少し現状に合ったような、できるだけ拾われるような基準に緩和できないものかどうか、かえって地方の行政が混乱をしておるというようなこともあるわけであります。これはいまの基準に当てはまるようにしていけばそうしかできないということになるわけであります。これはこの基準を緩和する以外にはないと思うわけでありますけれども、御答弁はいただかなくても結構でありますが、御要望として申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  35. 田中六助

    田中(六)国務大臣 佐賀県のミカン畑に対するボタ山の件につきましては、私もたびたび聞いておりますし、ただ原形復旧というような名のもとで本当の実情に沿わないようなことになるとどうにもなりませず、愛野議員御指摘の点を十分踏まえて対処していきたいと思います。
  36. 森中守義

    森中委員長 この際一暫時休憩いたします。     午前十一時五分休憩      ————◇—————     午後一時十四分開議
  37. 森中守義

    森中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中西績介君。
  38. 中西績介

    中西(績)委員 五十六年度石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計予算についてお尋ねをしたいと思います。     〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕  その中でも特に、石炭勘定分について千三百八十七億四千五百万円を充てていますけれども、その内訳は原重油関税収入千二百七十三億円、前年度剰余金百十三億九千五百万円、雑収入五千万円となっています。その主たる収入は原重油関税でありますけれども、昨年度に比べわずか十七億の伸びでしかありません。産炭地域の住民すべての皆さんが、石炭勘定財源に対する不安をつのらせております。本年に入ってからの景気の落ち込み、省エネの徹底化などで、石油消費は伸びる傾向はありませんので、財源確保はどうなっていくか、この点について御答弁をいただきたいと思うわけであります。特に石油の輸入見通しなどを加えまして、お答えをいただきたいと思います。
  39. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 石炭対策の予算につきましては、ただいま中西先生から御指摘のございましたように、原重油関税を財源としておるわけでございます。そこで、原重油関税は御承知のとおり従量税でございますので、原重油の輸入が減ってまいりますと、当然に税金の収入も減ってまいるわけでございます。  五十五年度におきましては、石油の輸入につきまして、御承知のとおり二億七千九百万キロリッターという計画をつくったわけでございますけれども、いま御指摘のとおり、景気の落ち込みあるいは省エネルギーの一層の徹底等によりまして、かなりな減少が見込まれておるわけでございます。五十五年度全体につきまして原油の輸入がどうなったかといいますのは、まだ年度が終わっておりませんのではっきり申し上げるわけにもまいりませんけれども、五十五年の暦年で申し上げますと、大体二億五千七百万キロリッターぐらいの輸入にとどまるのではないかということでございまして、これを年度に直しますと、恐らく当初計画の二億七千九百万キロリッターよりは相当下回ってくるのではないか、こういう考え方をいまこの時点では持っているわけでございます。  そこで、五十六年度にどういうことになるかという話になりますが、政府が現在持っております石油供給計画では、五十六年度は一日当たり五百六十万バレルというベースの輸入をしたいというふうに考えておりますけれども先ほど申し上げましたような理由によりまして、必ずしも五百六十万バレル・パー・デーの輸入が必要かどうかということにつきましては、かなり否定的な見解が目下出ておるわけでございまして、これは単に日本だけでなくて、国際的にもそういうような環境にございます。  そこで、具体的に五十六年度の数字がどうなるかにつきましては、今後の作業にまたないといかぬと思いますけれども一つ言えますことは、当初考えておりました線よりはある程度下回った輸入量にならざるを得ないだろう、こういうようなことを考えているわけでございます。そういたしますと、原重油関税に財源を仰いでおります石炭対策費というものに相当大きな影響を与える危険性がございますので、私どもが現在予算委員会で御審議をいただいております五十六年度予算におきましては、従来御承知石炭と石油の比率、十二分の十といったような比率だけで石炭対策を組みますと、財源的にかなり不足をするという心配がございますので、従来の方式を改めまして、定額方式というものを採用いたしまして、石炭対策に万遺憾なきを期したい、こういうことで、五十六年度の予算におきましては、従来の方式と変わった新方式を採用いたしまして、一定の伸び率の財源を確保したい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なおそれでも財源に不足を生ずる場合には、必要な措置を講ずることができるというようなことを財政当局とも話し合いをしておる、こういうことでございまして、石炭対策費といたしまして万全の措置を考えていきたいというふうに考えておりまして、今後もそういう考え方で進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  40. 中西績介

    中西(績)委員 いまお答えがありましたように、二億五千七百万キロリットルのこの量については恐らく指摘されたとおりであろうと思いますので、結局他の方式ということでお考えになっておられるようでありますけれども、この点についても万全の措置をとられるように強く要請をしておきたいと思います。  そこで、第七次石炭政策につきましては、特に昨年八月の石炭鉱業審議会総会以降におきまして、政策部会検討委員会で具体的に作業が進められておると聞いております。これはおくれておるようでありますけれども、いつごろ答申が出る見込みなのか、この点について……。
  41. 福川伸次

    福川政府委員 石炭鉱業審議会におきましては、昨年八月の諮問以来政策部会あるいはまたその政策部会の下に検討委員会を設けまして、中立委員の方たちで、向坂委員以下七名の委員で慎重に御審議をいただいております。現在まで十三回検討委員会の御審議を煩わしましたが、その間、石炭業界それから石炭関係労働組合あるいは関係需要業界の方々の御意見を聴取をいたしまして、また、それぞれ問題点指摘をしておるところでございます。現在の予定といたしましては、四月に再度政策部会を開きまして、検討委員会で摘出いたしました問題について御意見を聴取し、そして答申の骨格を順次固めてまいるということで手順を考えておるところでございます。  現在までのところ、いろいろな論議が闘わされておりますが、大きな問題といたしましては、今後の国際的な石炭需給を、大きなエネルギー構造の変革の中でどのように見通していくかという、わが国の石炭鉱業をめぐります環境をどのように評価し見通していくかという前提が大きな論議を呼んでおるわけでございます。これがまた、その政策の基本的なスタンスの根源をなす問題であるわけでございます。  さらにまた、国内石炭鉱山の状況、今後奥部化あるいは深部化していくというような点が指摘されておるわけでございますが、それをどのように合理化をしていくか、どの程度の操業が今後可能であるかといったような問題に、さらに当委員会でもしばしば御論議をいただいておりますように、今後の石炭炭価決定のあり方あるいは引き取りの問題のあり方、さらには輸入調整、保安の確保、さらには今後とも非常に重要になる技術的な側面あるいは労働力の評価、こういったあたりに非常に論議があるわけでございます。  今後、検討委員会といたしましてはさらに各界の御意見を引き続き聴取し、また論議を闘わせてまいると同時に、最近非常に国際的な石炭需給あるいは価格が動きつつある動向を十分見据えまして、この答申をまとめてまいるわけでございますが、その答申めどといたしましては、いずれにいたしましても、来年度の予算要求、あるいは五十七年三月に石炭鉱業合理化臨時措置法その他の関係法律の期限が参ることを念頭に置きまして、一応今後の予算要求までにはもちろん答申の骨子、骨格を、大綱をまとめていただくということでございますので、私どもとしてはことしの夏、年央にはこの骨格をまとめていただくということで考えておるわけでございます。いろいろな状況が非常に動きつつありますので、各関係委員も慎重に御審議をいただいておるというわけでございます。
  42. 中西績介

    中西(績)委員 八月、夏ごろになるということのようであります。いま指摘がありました炭価あるいは引き取りあるいは保安、技術、労働、いろいろ挙げられましたけれども、私は、その中で問題になっております労働力の問題一点だけにしぼりまして、この際お聞きをしたいと思います。  特に、国内炭を軽視する傾向があるのではないかということを私は一番恐れています。現状は一千八百万トンでありますけれども、二千万トン体制維持のために本格的に取り組むためにはどうすることが必要なのか、特にまたその際のバロメーターになるのではないかと思うのがこの労働力確保の問題ではないかと私は思うわけです。  さきに日本石炭協会が検討委員会に提出をいたしました石炭業界の統一意見におきましては、政策助成、拡大あるいは企業収支改善などが中心になりまして、個別企業体制維持が主課題になっておるようであります。そして特に石炭産業長期安定化の展望と土台づくりの問題については明示されておらないと私は聞いています。特に労働力確保の問題については、無責任と言われてもいいような内容でしかありません。それは、最近の採用計画の消化状況から見て将来とも確保可能として、積極的対策が考えられていないことを明らかにしております。いま一番問題になっておる坑内中堅技術者を中心として、現状はどうなっておるのか、年齢的にどうなっておるのか、こういう点をひとつお聞かせいただきたいことが一つであります。  そしてさらに、通産省としてはどうこれに対応措置を考え企業を指導していくのか。特に私は、安全職場の確保あるいは労働条件、特に賃金、時短の問題あるいは環境整備問題等々を考えてまいりますと、こうした技術労働者あるいは技術者がこういう職場になかなか来ないという状況が出てくるのではないかということを考えますときに、そういう総合的な養成の体制づくりが大変必要ではないかと私は考えますが、この二点についてお答えいただきたいと思います。
  43. 福川伸次

    福川政府委員 いま御指摘のように、石炭鉱業審議会検討委員会におきまして、関係労働組合あるいは石炭協会等からの意見を伺っておるわけでございます。  お尋ねの平均年齢の点に関しましては、常用労務者で昭和五十年度で四十二・六歳、五十四年度で四十二・七歳という数字に相なっておるわけでございます。  いま御指摘のように、労働力の確保の問題というのは、私どもも非常に重要な課題一つであるという点は十分認識しておるつもりでございます。もちろん、協会側にいたしますと、それぞれの炭鉱によって事情が違いますが、今後その労働力の確保、特に技術面あるいは保安技術者の面等のいわゆる労働技術者の教育、育成の問題というのは、私どもも重要な問題であるというふうに考えておるわけでございます。  今後の労働力を確保していく過程におきまして一番重要なことは、石炭鉱業の将来の展望と経営の基盤の確立が必要であることは申すまでもございません。そのようなことで、現在、私どもも将来展望を明らかにする上に石炭鉱業の第七次策というものを検討しておるわけでございます。もちろん、この石炭の技術教育という点も非常に重要な課題でございまして、私どもでも鉱山保安センター等を設けまして、鉱山保安技術職員の育成強化にも努力をしてまいります。また同時に、年金制度あるいは社会福祉施設等の整備等につきましても、石炭鉱業の財源の許す範囲内におきましていろいろな努力をしておるところでございます。  御指摘のように、中堅的な技術者、これが最近におきますいろいろな、北炭等々の動向を見ましても非常に重要な意味を持っておるという点は、私どもも十分認識をいたしておるわけでございまして、その点につきましては、現在考えております第七次策の中で重要な課題としてもちろん検討していく所存でございます。
  44. 中西績介

    中西(績)委員 もうちょっと具体的に各企業に対する指摘だとか、あるいは現在国としてとれる施策なりはどういう面があるのか、こういう点があれば、お答えいただきたいと思います。
  45. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど申し上げましたように、この石炭鉱業の労働力の問題に関しましては、いろいろな面でこの施策考えていく必要があろうかと思うわけであります。確かに最近、石炭鉱業の雇い入れあるいは再雇用等々の問題、一方定年あるいは自己都合その他いろいろな形で労働力の移動が行われておるわけでございますが、その労働力を定着化し働きやすい職場にする、また十分自分たちの能力を高め、それを強化していくという点で私ども施策を進めておるわけでございます。  現在、保安技術職員の養成につきましては、保安技術講習所におきましてその予算を二千六百万円ばかり計上いたしましていたしておりますし、さらにまた、保安技術教育につきましては、鉱山保安センターの事業費の補助金といたしまして一億五千万程度計上いたしておるわけであります。そのほか、石炭技術研究所等も活用いたしまして、石炭の採掘技術あるいは利用技術といったようなものについての努力も続けてまいっているわけでございます。  そのほか労働力、いろいろな労働条件、あるいはその他雇用条件につきまして労働省の方で御所管をいただいておるところでございます。
  46. 中西績介

    中西(績)委員 いずれにしましても、まずこの環境整備をしなくてはならぬということが一つあると思いますね。そのためには安全職場あるいは労働条件あるいは清潔な環境、こういうすべてのものがどうされておるかということを、もう少し立ち入ってでも十分な検討をしていく必要があるだろうし、直接いま予算面で申されておりましたけれども、やはり本格的にそうした技術者なり労働者の養成を遂げていかないと、二千万トン体制などと言ったって、これはもう働く人がいなければとうてい不可能でありますし、この点は今後十分留意をしていただきたいと思います。要請をしておきます。  そこで三点目に、特定地方交通線問題でありますけれども産炭地域における特定地方交通線につきましては、もうすでに御存じのように、当委員会におきましても私たち何回か指摘をしたところであります。と同時に、大臣にも産炭地域を何としても除外していくべきであるということの意見具申等を含めましていろいろ論議をしてきたところであります。こうした政令が出た段階でお聞きすることは、大臣、苦しいかと思いますけれども、大変重要でありますだけにお答えをいただきたいと思うわけです。特に新聞等の報道におきましては、反対であるけれどもいたし方ないんではないかというような大臣の見解が出ておりましたけれども、この点は真意であるかどうか、どうでしょう。
  47. 田中六助

    田中(六)国務大臣 ローカル線の交通体系の選定基準というもの、それから産炭地域の振興という全く相矛盾するものが同時に検討されなければならないということで、私も筑豊地帯に所属しているだけに、主観的な立場は非常に苦しいものがあることは事実でございます。  私も実は閣議でも発言をいたしましたけれども産炭地域振興法の延長というものを十年間、これをどういうふうに振興するかということは非常に重大なことで、これとつまり幹線であるそういう交通網の廃止とは相矛盾するし、これをどういうふうに調整するかということは重大問題であるということを述べましたのですが、このことについては、私も現在も非常に重大な問題であるというふうに考えております。  ただ、国鉄再建法による政令というようなことで、ある程度基準が決まっておりますし、それをかぶせてくるということと、産炭地だけ特別だということでこれを調整するというようなことは、現実的には非常にむずかしい話です。しかし、一応こういうふうに決まっておりますけれども、いつも言うんですけれども、死刑の宣告を受けて執行猶予を受けている部分がある、これの分については振興法が通った後でまだまだ調整の余地があるんじゃないかという気持ちは私ははっきり持っておるわけで、その点の調整については今後とも努力しなければならないというふうに考えております。
  48. 中西績介

    中西(績)委員 私は、この地方ローカル線の場合、地方ローカル線の赤字が国鉄を大きく経営難に陥れたということには決してならないと思うのです。それは、私たちは通産省の係の担当の皆さんあるいはその他多くの省庁の皆さんといろいろお話をいたしましても、赤字になったその経営的な面の数字を提出できないという、運輸省なり国鉄側に弱さがあるわけです。たとえば、五十四年度の八千二百十八億円の赤字、これの問題になっているローカル線の部分になりますと六百八十六億円です。しかもこの中には、割引定期を初めとするものを除外をすると、百五十億程度しか赤字にはならないということを言われています。  ということになりますと、本当にこのローカル線を廃止することが国鉄の再建なりあるいは経営を黒字化するかというと決してそうではないわけなんです。そのことがわかっておりながら、このようにして産炭地域なり過疎地域、こういうところの過疎化をさらに助長するような政策になってあらわれておるわけでありますから、特にそうした意味で、産炭地域振興のかかわりからいたしましても、今後どう対処しでいくかということが大変重要じゃないだろうかと私は思います。いま大臣も言われましたように、あきらめずにこの調整をする、そういう意見のようでありますけれども、いずれにいたしましても、大体政令が出れば地方に移された段階だと言われますだけに、通産省としては行政的に今後どういう対応をしていくのか、この点について一言だけお答えください。
  49. 田中六助

    田中(六)国務大臣 残る手段といたしましては、実際にこれを撤去する、あるいはいろんなこれが代替の交通網を整備するというときには、幸いに、県知事はもちろんそうでございますけれども、そういう市町村の人たちとも十分相談をするという余裕のある項目もございますので、そういう点、私どももそれらの人々の意見を十分聞くということにして、地方の時代と申しますか、ローカル線あるいはそれに絡む人々の意見をそこで何とか実現したいという気持ちでおります。
  50. 中西績介

    中西(績)委員 特にこれは二日の段階でありますけれども、政令にははっきりしておりませんが、「なお、上記の」幾つかの線名がございますけれども、「「六十年度までの転換対象」の営業線の数及びキロ数に関しては、代替道路の整備状況及び開発計画等による旅客輸送量の増加見込みの確認の結果変更することがある。」というなお書き的なものが論議されておったわけであります。     〔岡田(利)委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、そういうことも考え合わせてまいりますと、これは産炭地域としてこれからまとまりかけて、基本計画が立案されるわけです。そうしてまいりますだけに、何としてもそういう点から確保していかないと、産炭地域の輸送量そのものよりもイメージダウンが先に立って、全くそういう体制ができ上がってこない、住民自身も大変な打撃を受けるということになり、意欲すらも欠いていくということになるわけでありますから、ぜひこの点は最後まであきらめずに、市町村との相談なり、そうした際の援助的なあるいは指導的な立場を堅持されんことを要請をしておきたいと思います。
  51. 田中六助

    田中(六)国務大臣 中西委員仰せのとおり、私もそういうふうに思いますし、最後まで努力していきたいというふうに思います。
  52. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、次に鉱害対策問題について四、五点お伺いをしたいと思います。  時間がありませんので、簡単に申し上げますけれども、鉱害量の再調査を昨年来行っておりまして、昨年の秋くらいにその結果が出るということで私たちも待ち望んでおったわけでありますけれども、これはおくれておるようでありますが、理由は何でしょう。そしていつごろになりそうですか。
  53. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘の全国鉱害量調査につきましては、有資力炭鉱関係市町村などから提出されました調査票をもとにいたしまして、石炭鉱害事業団の協力も得まして審査、さらに現地調査を実施をいたしておりまして、その上で残存鉱害量を把握しようとするものでございます。鉱害の発生をいたしております地域は広範に及んでおりますし、また、鉱害の態様も複雑化しておりますために、現在その集計に予想以上時間がかかっておるわけであります。いずれにいたしましても、私どもとしてはできるだけ早く取りまとめを終え、今後の予算要求には間に合わせる形でその作業を取りまとめたいと思っております。  集計がいつごろ終了するかというお尋ねでございますが、そういう予算要求等の段取りもございますので、私どもは五、六月ごろには完了させたいと思っております。
  54. 中西績介

    中西(績)委員 おくれましたのは、何と申しましてもたくさんの鉱害量もあるし、そして新規のものなり、複雑多岐にわたるようになってきたのではないかと私は思っています。そういうことがこうしておくれてきたのではないかということ、と同時に、相当数あるということをいまの時期から予測できるのではないかと私は推測をします。そうした中で有資力の鉱害復旧が大変おくれています。昨年もこのことを指摘いたしましたけれども、特に計画的にこれを推進していかないと、将来大きな禍根としてこれが残ってくるのではないか。  たとえば、先ほど大臣のお答えでは、臨鉱法などにつきましても一定の年限延長をするというようなお答えがあったようでありますけれども、しかし、有資力だけが残っていくという可能性だってあるわけですね。一定の期限を切られたときに果たしてできるかどうかという大変多くの問題を含んでいます。したがって、この点、今後の見通し問題点、そして計画的なものをこれから立ててでも強めていくのかどうか、この点どうでしょう。
  55. 福川伸次

    福川政府委員 鉱害復旧につきましては、四十七年度から始めてまいりました長期復旧計画が現在進行しておるわけでございますけれども、その進捗状況が、確かに進捗率におきまして、現在のこの法律の存続期間中に完了するのは大変厳しい状況があるわけでございます。特に、御指摘のように有資力の復旧がおくれておるわけでありますが、その理由といたしましては、鉱害復旧についての被害者との合意がおくれている、あるいはかなり大型車鉱害地を抱えているために、特にその合意等が進まないといったような問題があるわけでございます。  鉱害賠償義務者は本来鉱業法上その被害について適切な賠償を行わなければなりませんし、また、復旧法によります復旧物件につきましては、その法律に定められました納付金を負担することになっておるわけでございまして、私どもも鉱害賠償義務者を十分指導いたしますと同時に、石炭鉱害事業団の鉱害賠償資金の貸付制度等を活用いたしまして、この有資力鉱害の復旧の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。先ほど申しましたように、現在残存鉱害量の調査をいたしておるわけでございますが、その調査結果に基づきましてこの辺の諸対策につきましても検討を続けてまいる所存でございます。
  56. 中西績介

    中西(績)委員 この点は、特に先ほども申し上げましたように、被害者からいたしますと、これが無資力になっておれば、こういうものが出てくるわけです。もうすでにちゃんと復旧が済んでおるではないか。ところが、有資力であるばかりにこの点はどうなっておるかということを大変苦慮いたしておりますし、もう少しわれわれの納得できる、あるいは住民の納得できる、被害者の納得のできる内容のものをいち早く計画的に示していただくことを強く要請をしておきたいと思います。  それから金賠済みの問題でありますけれども、これも大変多くの問題を残しております。特に今後の対応でありますが、法の延長なり何なりということになってまいりますとこれは依然続いてくるわけですね。ですから、たとえば道路だとかの関係で、道路を鉱害復旧いたしますと金賠であっても今度は関連事業としてその部分は措置される、処理されるわけなんです。ところが、そういうものがなければそのまま放置をされる。そこに差が出てくるわけなんです。  したがって、金賠済みの場合の内容が十分であれば納得いくんだけれども、だまされて印鑑をつかせられたというような状況のところだってあるわけですね。確かに、その時期の金額からいたしましても賠償額にならないような金額がたくさんあるわけです。そうした場合には何らかの方策を考えなくてはならないと思うのですけれども、これからこの位置づけをどうしていくのか、見通しなりありましたら……。
  57. 福川伸次

    福川政府委員 いま御指摘の金銭賠償済みの物件の復旧につきましては、確かにお話のようにいろいろなケースがあることを私ども承知をいたしております。現在、現行の復旧法で規定いたします鉱害は鉱業法上の賠償義務が存在する鉱害ということでございますので、金銭賠償済みの物件につきましては、復旧法上復旧を行うことが法律上限界があるということも、法律論として御理解いただきたいわけであります。しかしながら、いま御指摘のように、関連で復旧している例もあるではないかというお話でございましたが、金銭賠償済みの物件でございましても、新規の採掘に伴いまして鉱害が発生した場合、あるいは周辺の鉱害復旧との関連で復旧が必要となるといったような場合につきましては、工事の対象として連係復旧として取り上げている場合もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、いまの金銭賠償済みの物件につきましては、法律上鉱害賠償義務が存在しないことになっておりまして、そこに法律上の限界がありますという点につきましては、御理解をいただきたいと思います。
  58. 中西績介

    中西(績)委員 法律上義務がないということはもう万々認めての上の問題でありまして、その地域全体を見ますと、隣ではそれが関連で措置をされて、その隣ではもうそのまま見捨てられていくという事態があるからこそ問題が出てくるわけなんですね。ですから、この点は、これから後、法的措置なりが非常にむずかしいということは万々わかりながらも、どうするかということを、今度の法の延長とあわせまして、やはりもう一度具体的に検討をし直すなり何なりしてもらわなくちゃならぬと私は思います。したがって、この点は、きょうは時間がありませんから要望だけにとどめておきます。  そこで、鉱害の中でもう一つ。国鉄の場合には、鉄道運行のために運行保安を確保しておく必要があるわけでありますから、陥落した場合には、一定の保安維持のための措置だけは必ずやっておるわけですね。ところが、この手だてが終わりますと、その周囲、周辺というのはどうなるかといいますと、たとえば道路あるいは水路あるいは周辺のたんぼ等を含めまして、措置がされないという結果になるわけです。たとえば県道の場合でありますると、ガードになっている部分がだんだん低くなってきて通れなくなってくる。だから、今度は下を掘るわけですね。掘ると今度はそこに水がたまるという事態になってくるでしょう。  ですから、こういう点あたりを考えてみますと、それが措置されなければ、上の方が低いわけですから物が通せないという事態で、道路面からいいますならば通行困難になる、経済的効果がだんだん低下をしてぐるということになってくるわけです。農地なんかにおきましては、もうもちろんであります。水が十分ではありませんし、通水不可能になってくる可能性だってあるわけでありますから。こういう点はいままで見落としておったんではないかと思いますが、今後どういう措置をとるのか、この点お答えいただきたい。
  59. 福川伸次

    福川政府委員 鉄道の鉱害につきましては、鉱害発生の都度、安全運行に支障のないように復旧には努めてまいったわけでございます。現在時点におきまして、その鉄道の運転保安上、支障を来しているところはないものと私ども考えております。  また、鉄道の復旧といまお話しの周辺物件の復旧の調整につきましても、いろいろ御指摘ではございましたが、私どもも、その周辺物件の復旧の調整につきましても、必要に応じて従来も行ってまいりましたし、今後とも沿線の地区の復旧との調整ということにつきましては、十分調整を図って、その復旧を行っていかなければならないと考えております。
  60. 中西績介

    中西(績)委員 そういたしますと、たとえば県道周辺の、金賠なら金賠済みのところであっても、県道をかさ上げすることによって鉱害復旧がなされますと、それが関連事業で直ちに措置されるようになっています。それと同じように、やはりこうした道路、農地あるいは宅地あたりを含みましてやるということを意味するわけですか。
  61. 福川伸次

    福川政府委員 いまの御指摘の点につきましては、金賠済みの点につきましては先ほど答えしたような問題でございますが、その連係復旧というような形でできるものであるかどうか、これはそのときの実情に応じて考えなければならないと思いますし、また、その復旧の方法につきましても、どのような形態が復旧工法として最も適切かつ合理的、経済的であるかという点を、ケースごとに考えていかなければならないと思っております。
  62. 中西績介

    中西(績)委員 そうすると、たとえばいま私たちが具体的に指摘をしますと、その点については、その地区における問題を具体的に十分把握をしながら措置をしていくということで理解をしてよろしいですね。
  63. 福川伸次

    福川政府委員 もちろん、その鉱害のございます周辺全体を判断をいたしまして、合理的な方法でその鉱害には対処をしてまいりたいと思っております。
  64. 中西績介

    中西(績)委員 合理的方法というきわめて抽象的な言葉で言われるんで、ぼくらわかりにくいんですけれども、具体的にそれがもしあればやるということをやはり明確にしていただかないと、鉄道が通っているばかりに、今度はそのために影響を受けるということになるわけですからね。ここだけは確認してください。
  65. 福川伸次

    福川政府委員 いま先生が具体的にどのケースを考えておられるか、私ども十分想像がつきませんけれども、そのそれぞれの鉱害の状況等につきまして、私ども先ほど申しましたように、鉄道の復旧と周辺物件の復旧の調整につきまして、全体の鉱害の状況等を考えて、それと法律的な問題あるいは経済的な諸問題あるいは効用の回復ということについて、連関をとりながら考えていきたいと思います。
  66. 中西績介

    中西(績)委員 じゃ、一つだけ例を挙げますけれども、日田彦山線という線があります。その駅で伊田という駅がありますけれども、その手前に彦山川という川がありまして、約二メートル近くのパラぺットをつくっているわけですね。落ち込んでいて危ないから、今度はパラペットを組んで、セメントの壁をつくっておるわけです。その壁はどうなっているかといったら、もうわずかのことで上の橋脚につくようになっているんです。そして道路は、今度はそれでは通れないわけですから、ずっと下の方を掘り割ったような形で低くして通しておるというのが実態なんですね、県道なら県道で。ほかにもありますけれども、こういう事態が一つあるわけです。そういう実態になっておるところではどうするんですかということです。
  67. 福川伸次

    福川政府委員 いま彦山川の御指摘がございまして、その川は、私どもとしては一応効用は復旧しているものと考えております。その場合に、今度鉄道の道路の下に浸水等の被害があるという御指摘かと思いますが、その場合には道路のかさ上げをいたしますと、その連係として有効けた下を確保する必要から、鉄道をかさ上げをする必要があるという御指摘であったかと思うわけでございます。その際のガード下の道路の効用阻害現象につきましては、浸水によりまして通行不能であるというようなことでございますので、その浸水を排除すれば足りるのではなかろうかというふうに思うわけでございまして、現在私ども通産局の方の判断といたしましては、ポンプによります排水方法が、復旧工法として最も合理的あるいは経済的であるのではないかという考え方を持っております。
  68. 中西績介

    中西(績)委員 そんなことを言っていたのでは大変なことです。集中豪雨だとかそういうあれからしますと、第一パラペットそのものが問題であるというのに、その横の道路がそういうかっこうになれば、それは浸水を排除すれば事が済むというような言い方では、全く効用を回復したということにはならぬのです。効用回復ということの意味をもう少し考えていただかなくてはならぬですよ。こういうような感覚で物をとらえておるから鉱害復旧がいつまでも——特に有資力関係についておくれていくのはあたりまえなのです。このことはあくまでも真剣に取り組むという姿勢がなければできません。  そこで、法改正を控えておるし、今後のこういうものを含んだ鉱害対策はどうやっていくのか、延長するというのは先ほど答えいただきましたので、それを含んでこの点、大臣どうですか。
  69. 田中六助

    田中(六)国務大臣 中西委員のおっしゃる場所は私も小さいときからよく知っておる場所でございまして、そういうものを含めまして、鉱害法の改正をやる場合に審議会の鉱害部会に一応諮りますけれども、その審議会答申に対しても私ども事務当局が意見も申し上げるでしょうし、また国会で審議する場合に、ただ自動延長ということでなく、内容についても十分現実性を持つような法改正ができればというふうに私は希望しております。
  70. 中西績介

    中西(績)委員 時間がありませんからこの点についてはこれで打ち切りますけれども、内容について本格的に取り組んでいかない限り、被害を受けた人たちは何も自分がやったわけじゃないのですから、この点だけは十分認識をして、しかも対応する側からいたしますと国にも一半の責任があるわけですね。特にこういう激しいところというのはほとんど重鉱害地なのです。特鉱に認定されるようなところが多いわけですから、そういう点からいたしますとこれは国の責任と言ってもいいわけですから・そういうことから考えますと、十分考えていただいて措置されることを強く要請しておきます。  そこで、時間が参りましたので失業対策の問題についてまとめて聞きますので、簡単にお答えいただきたいと思うのです。  昨年末に失業対策制度調査研究会から報告がありまして、労働省はその施策を確定しようとしておるのですけれども、方針が提示されるのはいつごろになるのか、これが一つ。  それから二つ目に、特に筑豊産炭地域における問題というのは大変厳しい状況になっておりますだけに、同和対策地域であるし過疎地域であるし失業多発地域である、全部重なっておるという条件の中での問題でありますから、特に、もしこれが改廃されて、いま答申のように六十五歳線引きなどということで強行されるというようなことになってまいりますと、この地域の商工業の問題あるいは自治体の諸事業あるいは財政等多くの影響が出てまいります。したがって、この線引きについて強制的に首切りを行わない、高齢者、病弱者などの整理に当たっては組合あるいは事業主体、国、三者が十分に話し合いを進めていただいて、一方的な措置を行うべきではないと思いますけれども、この点はどうなるのか。  そして三点目に、期限つきの引退特例一時金、退職金制度の確立をぜひ図るようにしていただきたいし、退職者が安心して暮らせるような積極的な退職金の引き上げ、こういう措置になるようにしていただきたいと思いますけれども、この点はどうなるのか。  そして三事業、特に六十五歳の線引き等と関連いたしましていろいろ問題が出てくるでありましょうけれども、この点、五十六年度予算の今後の事業内容と運営を含めまして、方針を明らかにしてほしいと思います。
  71. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 まず、研究会の報告を受けての方針の提示時期でございますが、これは予算が成立をいたしました後できるだけ早い時期に示したい、こう考えております。  それから、次の強制的にやるべきではない、こういう観点お話でございます。これをできるだけ円滑にやっていくという考え方については、研究会の方からも提示されておるわけでございます。そのために、今度の特例一時金の実施によりまして、この際リタイアされる方はこれでひとつリタイアしてください。しかし、この際これでリタイアされない方につきましては、高齢、病弱者についてその後の生活相談等を安定所、事業主体あるいは福祉関係機関等と連携をいたしながら、就労者団体あるいは就労者の方々とも話し合いをしながら、五年間程度の猶予期間の中で円滑に進めていきたい、こういう考え方でおるわけでございまして、そういうためにも、また就労団体の皆さんとも現在も話し合いをいろいろいたしておる、こういうことでございまして、強制的、一方的にやるというような形にしないようなことでやりたい、こう思っておるところでございます。  それから次に、退職金についてのお話でございますが、失対就労者というのは日々雇用の方々であり、しかもまた、できるだけ早く民間へ就職をしていただく、そのための一時的な就労の場であるわけでございます。そういう意味では、一般の退職金制度というものが、できるだけ長く就労していただくためにそういう退職金というものを用意しておるということと性格が異なっておりますので、退職金というものについての制度化ということはなかなかできないものだと考えております。  しかし、その方々が再就職していかれるということに関しましては就職支度金制度というものを設けておるわけでございまして、就職の際のお手伝いをしようということで用意をしておるわけでございます。特に、今後この特例一時金実施後におきまして、さらにこの就職支度金制度の内容の充実等によりまして、その後の再就職、自立への役に立てていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。  それからまた、三事業につきましてのお尋ねでございますが、炭鉱離職者緊急就労対策事業、いわゆる緊就事業でございますが、これにつきましては、来年度二千四百五十人ということで、五十五年度よりも五十人減の枠で実施をする予定にいたしております。事業費単価は前年の八%アップということで用意をいたしております。また、産炭地開発就労事業、いわゆる開就事業でございますが、これにつきましては、五十五年度と同様三千二百人の枠で実施をするということであり、事業費単価につきましては、八・二%アップの事業費単価を予定いたしております。また、特定地域開発就労事業、いわゆる特開事業でございますが、これも五十五年度と同様五千人の枠で実施を予定いたしておりまして、事業費単価につきましても前年の八%アップを予定いたしておるところでございます。  今後のこれらの事業の運営方針についてでございますが、産炭地域の現状、いま先生も御指摘ございましたけれども、雇用失業情勢が依然として厳しい情勢にございます。たとえば全国の求人倍率が現在〇・七二であるのに対して、筑豊地域では〇・二二というような厳しい状況にある中におきまして、早急な雇用機会の拡大は望めないという状況にございますので、当面五十六年度におきましては、従来の方針で運営をしていくというようなことで考えております。  なお、昨年出されましたこの産炭地域振興審議会答申におきましては、これらの就労事業につきまして引き続きその合理的運営を図る、こういう考え方が示されておるわけでございます。そういう意味で、この答申を率直に受けとめまして、産炭地域振興対策との関連も考慮しながら、その合理的な運営を図りつつ継続実施をしていく、こういうような考え方をいたしておりまして、今後もそういった点について、具体的な運営のあり方について検討を進めていきたい、こう考えております。  また、特開事業につきましては、五十六年度におきましては従来の方針で運営していく予定でおるわけでございますが、五十七年度以降につきましては、従前のものは現行どおり続けるということでございますが、この失対制度調査研究報告におきまして、この特開事業を一年間のオン・ザ・ジョブ・トレーニング的な機能を果たすような、そういう仕組みにするよう改善を提案されておりますので、新しく特開に就労される方につきまして、こういう新しい仕組みのものを骨格としたものの検討を今後進めていく、こんなような考え方でおるわけでございます。
  72. 中西績介

    中西(績)委員 もう時間が参りましたので終えますけれども、いずれにしましても、この問題については、関係の団体なりと十分打ち合わせを遂げていただいて、いま筑豊における混乱した状態が、産炭地振興のための施策が、ようやくこれから十年間新たに出発をしようとするときに、こういう問題でさらに波乱を起こさないようにしていただくことを強く要請をしまして、終わりたいと思います。  以上です。
  73. 森中守義

    森中委員長 岡田利春君。
  74. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 冒頭に、今年度特別会計の石炭勘定、特に原重油の関税の関係では、一千二百七十三億予算が計上されて、前年度対比十六億の伸びになっています。次の前年度剰余金受け入れ、前年は五十一億一千二百万円、今年度は百十三億九千五百万円、これは昭和五十四年度の剰余金が計上されておるわけです。こう見ますと、やはり先ほど森山長官も答弁されましたけれども、原重油関税では十六億しか伸びていないわけですから、そういう意味で、今年度恐らく剰余金は、こんなに百億もないと思うんですね。したがって、来年度予算編成考えなければならぬということは、私は、きわめて当然であろうかと思うわけです。  そこで、一つだけ、なぜ一体百十三億、約一〇%余ったのか、それと、今年は大体どの程度におさまる見込みか、お聞きいたしておきたいと思います。
  75. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、五十六年度の予算に計上いたします約百十四億円の剰余金は、五十四年度、前年度の剰余金で、これを一年置きまして五十六年度に計上する、こういうことになったわけでございます。このとき、五十四年度では、当時の歳入あるいは歳出状況等を事業の執行状況等から見まして、これだけの剰余金が出たわけでございますが、五十五年度につきましては、御指摘のように歳入が当初よりも省エネルギー等々で減ってまいっておりますので、五十五年度につきましては、剰余金が出る余裕は余りないものと私ども考えております。
  76. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 三月末の国内の在庫の見通しについて承っておきたいと思います。
  77. 福川伸次

    福川政府委員 五十五年度につきましての貯炭、在庫の見通しというお尋ねでございます。原料炭と一般炭と分けて御説明申し上げますと、まず原料炭につきましては、かなり生産が一般炭にシフトいたしましたこと、さらに原料炭の有力な炭鉱一つでございました夕張新鉱が、不幸にして昨年の八月に災害が発生いたしましたことなどから供給が減少いたしておりまして、現時点におきます年度末の原料炭の貯炭見通しは、当初八十七万トン程度と予想しておりましたが、四十万トン程度に下がるのではなかろうかというふうに思います。これは五十四年度末の貯炭に比較いたしました場合には、百二十五万トン程度の相当大幅な減少となるわけでございます。  一方、一般炭につきましては、原料炭からのシフトにより供給が増加いたしましたが、また一方で、需要も当初見通しを若干上回るということでございまして、貯炭は、当初、五十五年度末には六十三万トン程度になるのではなかろうかと見通しておりましたが、八十万トン程度ふえまして、百四十万トン程度になるのではなかろうかと思っております。しかしながら、貯炭の見通しといたしましては、前年度に比べますと相当程度減少する、こういうことになっております。
  78. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 五十六年度の石炭の大まかな需給見通しについて、すでに海外炭の手配等もいたしておるわけですから、大まかな見通しはあると思いますので、大まかな見通しについて伺っておきたいと思います。
  79. 福川伸次

    福川政府委員 五十六年度の石炭の需要見通しにつきましては、現在需要業界等を中心にいたしまして調査を進めておるところでございます。まだ集計が終わっておりませんので確たることは申し上げられる段階にはございませんが、現時点での見通しを申し上げますと、まず原料炭につきましては、鉄鋼生産が今後それほど大きく伸びない、むしろ停滞ぎみに推移するということでございますので、原料炭の需要につきましては、今年度とそれほど大きな差はないのではなかろうかというふうに考えております。しかしながら、一般炭につきましては、セメントを中心にいたしまして、産業石炭転換の進展がございますし、また同時に、新規石炭火力発電の運転の開始等がございます。あるいはまた、石油火力の石炭転換等がございますので、五十五年度に引き続きまして、需要は内外炭ともかなり増加するというふうに考えております。  一般炭の輸入に関しましては、すでに五十五年の四月からことしの一月までで五百八十万トン程度になっておりまして、恐らく今年度の輸入は七百万トン前後に達するものと思われますが、これが五十六年度にはまたかなりの程度増加するというふうに考えております。  一方、供給面でございますが、国内炭生産は、一般炭を中心とした需要がふえておるということへ対応いたしまして、生産体制も一般炭にシフトをしていくということでございまして、生産内容といたしましては、原料炭より一般炭の方がふえていく。それで全体の水準といたしましては千八百万トン程度を若干上回るということになるのではなかろうかというふうに思うわけであります。  一方、海外炭の輸入につきまして、原料炭についてはそれほど大きな変化はないと思いますが、一般炭につきましては、日本のみならずヨーロッパ、東南アジア等でも石炭需要が伸びておるということがございますので、供給サイドにおきましては、主要産炭国におきますインフラの制約等もございまして、需給はタイトになるというふうになるわけでございまして、われわれといたしましても、輸入一般炭の確保のために、たとえば中国に増量を要請するとか、そのほか可能な限りでの供給能力の増加を要請いたしまして、石炭の輸入の確保に努めてまいるというふうに考えております。
  80. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ことしは、石炭にとってはいわば非常に歴史的な年になろうと思うのです。いまから二十年前に、わが国のエネルギーは油と石炭がフィフティー・フィフティーであったわけですね。昭和三十六年、それから逆転をいたしたわけです。しかし、ことしは輸入一般炭の方が国内一般炭を上同声可能性がある、ことしはそういう歴史的な年になるだろう、こう見ておるわけです。  いま部長が言われましたけれども、今年の輸入の一般炭は一千百万トンから一千二百万トン程度になるのではないか、国内一般炭は一千百万トン、したがって需要は大体二千二百万トン程度、こう見込まれますと、大体百万トンから二百万トンのいわばバッファーが出てくるというのが大体五十六年度の見通しではないか、こう私自身は見通しをいたしているわけであります。特にセメントの場合に一千万トンから一千百万トン、電力が九百万トンから一千万トン。したがって、一千九百万トンから二千百万トン程度の一般炭がいわばセメント、電力で消費をされる、こういう状況とほぼ言えるのではなかろうか、こう私は見ておるわけです。  そこで、いま部長からも言われておりますように、一般炭の確保は非常に重要であります。だが、一方において炭価の動向もきわめて激動いたしているわけです。五十六年度の海外炭炭価の動向について部長はどういう判断をされておるか、承っておきたいと思います。
  81. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、一般炭の炭価につきましては、五十四年度の平均輸入価格が四十二・二ドルでございましたが、五十六年、ことしの一月におきましては六十ドル近く、五十九・五ドルということになっております。四月と対比いたしますと、四十ハドルでございましたから、五十五年度中に四月から一月までですでに十ドル近い値上がりをしたというのが現在の傾向でございます。この背景には石油価格の高騰あるいは石炭の見直しということが急速に進展したわけでございますが、このように一般炭の需要の拡大を反映いたしまして、それに伴いまして、短期的には産炭国の供給能力が及ばなかったことが原因となりまして、このような上昇を遂げてきたわけでございます。  今後の海外炭価格が安定的に推移をいたしていきますためには、世界的な需要拡大のテンポに合わせまして、産炭国におきます新規の炭鉱開発、あるいは鉄道、港湾等インフラの整備、あるいは日本におきます輸入引き取りの流通設備の整備といったようなことが重要でございます。当面、ここ一、二年はやや需給はタイトの状況が続く、それが価格に反映するものと思っておりますが、私どもも、できる限り産炭国の供給能力増加のために協力をし、また、安定的な取引関係を図っていくという点に努力をいたしたいと思っております。
  82. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 南アフリカ共和国と鉄鋼業界ですね、この原料炭、いわゆる弱粘の価格は十ドルアップの五十二ドル。一般炭は伊藤忠が住友セメントに供給するわけですが、十三万トンの成約をして五十ドルですね。向こうの金にすると三十九ラントでありますから、大体五十ドル、こう言っていいわけですね。したがって、五十六年度の海外の一般炭は最低十ドルアップということを念頭に置かなければならぬのではないか。もちろん、豪州の場合にもいま連邦政府がガイドラインを設けて、豪州ドルでありますけれども、四十五ドルのガイドラインを設けた。大体五十ドルですね。大体この水準が最低ではなかろうか。いずれ中国も十ドルアップ以上の、最低その程度のアップで炭価が決まるのではないか、こう私は予想しているわけです。そういう意味で、五十六年度は五十五年度に比べて十ドルアップの趨勢にある、こう言い切っていいのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  83. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど申しましたように、ヨーロッパ等におきましても、先生しばしば御指摘のように、ポーランド情勢等を反映いたしましてかなり輸入需要がふえておりますので、ある程度需給関係はタイト化いたしておるわけでございます。しかしながら、現在、豪州あるいは中国と関係業界炭価の交渉をいたしておるわけでございます。もちろん、世界的には今後の景気動向等にも左右される側面がございます。また、いま価格交渉を実施しているという状況でもございますので、どの程度に相なるかということにつきましての見通しは差し控えさせていただきたいと思います。
  84. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 予算委員会で輸入炭との格差の問題について質問をして、国内炭は石油価格の大体六割程度、こういう答弁をいただいておるわけです。私は油、輸入炭、それから国内炭炭価の比較というものをひとつ基準化する必要があると思うのですね。とり方によってまちまちなわけですよ。  どういうところにその基準的なものを設けるかという点で、高砂、電発火力ですね、ここを一応モデルにとって、響灘で大型船舶から小型に移しかえて高砂に運ぶ、そういうような形で国内炭価と比較しますと、国内炭の場合には、五十四年の下期の一万五千四百三十円というものをとって比較をしますと、五十五年の五月は、これはもちろん全部換算しておりますから、輸入炭は中国、豪州平均をして一万三千六百八十円。したがって、国内炭はカロリー当たり二円七十七銭、それから輸入炭の方は二円四十五銭、これは湿分を全部引いてありますから炭味であります。  そうしますと、五十五年五月の油のC重油の高砂における価格は五万三千円、これは仮払いであります。そうすると、五円四十一銭という数字が出るわけです。そして二千八百五十円の、カロリー当たり五十一銭の石炭のデメリットを引いて計算しても、国内炭の場合には油に対して二円十三銭安い、外炭の場合には二円四十五銭安い、こういう数字が出るわけです。ただし、このC重油はサルファ三%なわけです。もしサルファ一%であればどうなるか。大体〇・一%に対して四百五十円程度を計算すれば大変な数字になるわけです。ところが、石炭にはサルファメリットというのはないわけですね。たとえば三池の炭は非常にサルファが高い、北海道の炭は〇・三以下である、サルファメリットというものは全然見込まれていないわけです。油と同じようにサルファメリットをもし見込むとすれば、国内炭であっても実に半額以下ですね。このカロリー当たり計算をして、デメリットを引いても半額以下になる。  たとえば北海道電力の五千カロリーの炭はカロリー二円四十一銭でありますから、これで計算をすると油との差はますます広がって四割程度、こういう数字が出てくるわけです。しかも、北電の場合には、北海道炭にはサルファが少ないわけですから、脱硫装置というのは要らないわけです。脱硝装置は必要であるけれども、脱硫装置は必要がない。こういうものを計算しますと半分以下で、四割程度価格だ、こういう数字になるのだと私は思うのです。そういう意味で、油、そしてまた国内炭、国外炭の比較というものを考えなければならぬのではないのか。  したがって、高砂に持っていく場合に、積みかえる場合トン大体二千円かかるわけでありますから、これはコールセンターに揚げれば三千六百円かかるわけですね、いまの試算でも。これをさらに船に積むということになれば五千円ぐらい違うわけであります。もし五千円上乗せをして計算をすると、国内炭は決して高くないという数字が出るわけですね。もし五十六年度十ドル上がれば二千円以上上がるわけでありますから、むしろ国内炭の方が安くなるわけです。完全に逆転するわけです。こういう数字になるし、そういう一定の基準を設けて油と内外の炭価を比較する。こういうものをルール化しないと、さわり方によってずいぶん差があるわけです。そういう方向で、石炭部の場合は特に石炭サイドに立っているわけですから、そういう尺度というものを設けて議論する必要があるのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  85. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、国内炭と輸入石油あるいは輸入石炭、これの価格比較をどのようにするのが適切であるかという点は、いろいろな条件等でなかなかむずかしい問題があるわけでございますが、先生から一つの方式についての御示唆をいただいたわけであります。御承知のように、これを揚げ地火力で比較する場合あるいは産炭地で比較する場合、いろいろな計算がございまして、私どももそれぞれの場合に応じましていろいろな計算をいたしておるわけであります。いずれにいたしましても、取引形態がかなり複雑でございますので、たとえば産炭地に近いところの火力あるいは海岸に近いところの場合あるいは揚げ地の場合、いろいろなところでその価格の比較が問題として出てくるわけでございます。  私どもも前回予算委員会でも御答弁申し上げましたように、現在でも国内炭、輸入炭、輸入重油、それぞれの格差があるわけでございますが、先生の御指摘一つの方法であろうかと思うわけであります。どこの地点をとっていくかという点は、非常にこれはむずかしいところでございますが、先生の御指摘の点も一つの御示唆として十分研究してまいりたいと思います。
  86. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 五十六年度の炭価の問題でありますけれども合理化臨時措置法第五十八条には基準炭価の定めが書いてあるわけです。その要素としては「石炭生産費石炭輸入価格石炭以外の燃料の価格その他の経済事情」大体この四つの要素基準炭価を決めると五十八条に定められておるわけです。  そうしますと、前段質問もいたしましたが、石炭生産費は上がってくる、当然賃上げもあるわけでありますから。まして、炭鉱労働者は去年は六%程度、その前は三%程度ですね、二年連続で。非常にベースアップも低いわけです。そういう点では、生産費の面でも基準炭価を上げるという要素がある。石炭輸入価格が平均十ドル上がるとすれば二千円を超えるわけです。石炭以外の燃料、油も同様ですね。四月からまた上がるわけですね。その他の経済事情、とにかくいずれを見ても五十六年度の炭価はアップしなければならない、法律の定めによってアップしなければならない、こう明確だと思うのです。まあ海外炭の上がった分とは言いませんけれども、たとえば二千円以上上がれば半分の千円程度は値上げせざるを得ないというのは、法の精神からいっても、客観情勢からいっても、あらゆる面から考えてもそういう環境にある、こう思うのですが、いかがですか。
  87. 福川伸次

    福川政府委員 先生指摘のように、五十六年度標準炭価を、やがて年度に入りますと決めてまいらねばならないわけでございます。御指摘のようなことになっているわけでございまして、石炭鉱業審議会意見を聞きまして、私どももその標準炭価の作業にやがて入っていく準備をいたしておるところでございます。  五十六年度の炭価決定に当たりましては、御指摘のように今後の海外炭あるいは輸入石油の動向、あるいは他の公共料金の動きあるいは国内炭需給動向、さらにまた生産費の上昇の動向等々を考慮しながら、石炭鉱業経営の安定を目指して、国内炭の需要の安定的確保を得るということも含めて、需要業界の理解を得ながら決定してまいりたいと思っております。いま石炭業界の方としても、どのようなタイミングで需要業界との話をしていくかという点については、もう少し状況を見てその方針を決めたいというふうに言っておりますが、私どもとしては、関係業界との話し合いを見きわめた上で、法律に定めました諸要因を十分分析をいたしまして決定をしてまいりたいと考えております。
  88. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 慎重な答弁でありますけれども、私はどの要素を見ても炭価アップは避けられない、こう言わざるを得ないと思うわけです。一番問題点は北電の場合ですね。あるいは原料炭の場合の問題があるでしょうけれども、私はやはり基準炭価をできるだけ早く検討を開始すべきだということをまず要望いたしておきたいと思います。  そこで、最近の海外炭の動向の中で、現在豪州は貨車輸送関係が全面ストライキを三月七日から行っておるわけですね。まだ解決しないのではないでしょうか。滞船は実にシドニーで四十日、ニューカッスルで三十日の滞船日数ですね。アメリカの場合はまだこれはひどくて、七十日間滞船をしている。だから、六ドルから十ドルぐらいすぐ滞船料で出てしまうわけですね。こういう状況にあるわけです。幸いアメリカの全米炭鉱のストライキは、労働協約の改定が三カ年延長でほぼ避けられそうでありますけれども、これがまあ朗報であります。  そういう意味から私は判断しますと、現在、それぞれ鉄鋼あるいはまたセメント会社等が西海岸における石炭のスポット買い等に出動いたしておりますけれども、この海外炭開発については、もう少し、もう一回議論をして、その戦略目標というものをぴしっと決めなければ、今度は遅きに失することになるのではなかろうか、こう思うのですが、通産省では、海外炭の輸入の問題についての委員会もつくっておりますけれども、そういう海外炭開発確保の戦略というものの構築を進めておるのかどうか、承っておきたいと思います。
  89. 福川伸次

    福川政府委員 石油代替エネルギーの供給目標に従いまして、その確保に万全を期さねばならないという点は、経済の安定的運営のために不可欠な要因でございます。先生指摘のとおりに、今後海外炭を安定的に輸入してまいりますためには、いろいろな側面でこれを進めていかなければならないわけであります。  いま豪州のストライキの御指摘がございましたが、昨年もストライキがあって、供給が一時不安定になったという要因がございます。そういう意味からいえば、供給先を分散化をしていくということも必要でございますし、さらにまた、そのためには、それぞれの経済協力その他の諸制度も十分活用していかなければなりませんし、あるいはまた相手国のインフラの整備につきましても、相手国の要望がございます限りにおいてはそれを進めていく必要があろうかと思っておるわけであります。  現在、私どもでも、海外炭のこの問題につきましての委員会を、エネルギー庁長官の諮問機関として設けまして、関係業界学識経験者あるいは商社等も含めまして、いま、その見通しを立て、その政策的な方向検討をいたしておるところでございます。  さらにまた、コールチェーンシステムとでも申しましょうか、相手国の山の開発からあるいはインフラの整備、さらに輸送、国内のコールセンターの受け入れあるいはコールセンターから需要地へのインランドの輸送その他日本需要地との関連を結びながら、そのような立地あるいは流通機構の整備ということも不可欠であるわけでございます。  また、実施に関しましても、最近、電力業界には、海外石炭資源開発株式会社等をつくりまして、安定的にその石炭資源を確保していくという体制の整備も進められておるわけでございますし、他方、鉄鋼業界につきましても、従来の共同輸入体制というものを進めておるわけでございます。  そういうわけで、私どもも、日本の需要の動向あるいはそれぞれ相手国の政治的な諸情勢あるいは経済的な諸事情、あるいは輸送事情等を勘案いたしまして、これを総合的な戦略として、私どもとしても、政策的に早目早目に手を打っていくという努力は引き続きしてまいりたいと考えております。
  90. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 三月末の電調審はもう開かれたのですか。——この電調審で石炭火力の計画について審議が行われたと思うのですが、その内容についてお知らせ願いたい。
  91. 石井賢吾

    ○石井政府委員 本日行われました電調審におきまして決定されました石炭火力は、全体で四発電所、八基、出力にいたしまして五百八十万キロワットでございます。  この内訳を申し上げますと、北海道電力の苫東厚真第二号、これが六十万キロワットでございます。それから東北電力の能代一−三号、これが六十万キロワット三基ございます。九州電力の松浦一、二号、七十万キロワット二基、それに電源開発株式会社の松浦一、二号、百万キロワット二基。以上、五百八十万キロワットでございます。
  92. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 九州電力の苓北一、二号、七十万、二基、これは電調審にかける予定で進めておったわけでありますけれども、これが抜けておるわけでありますが、地元との話し合いがつかないというだけでありますか。
  93. 石井賢吾

    ○石井政府委員 九州電力の施設計画におきましては、本年度末、電調審に掲上したいということで九州電力が地元熊本県当局及び苓北町当局、さらに苓北町の地先漁協でございます苓北漁協と一応交渉をしてまいったわけでございます。知事のあっせんによりまして、漁業補償額等、総額につきましてはセットしたようでございますが、遺憾ながら漁業権滅失の合意に必要な三分の二の多数を獲得することが漁業組合の総会において不可能になりまして、したがいまして、今回は漁業補償につきましてのめどがつかないということで、九州電力としては今回の電調審付議につきましては断念した次第でございます。
  94. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 転換石炭火力発電所の問題でありますけれども、最近また情勢が変わってきておるのではないかと私は思うのですけれども、その動向について御説明願いたいと思います。
  95. 石井賢吾

    ○石井政府委員 電気事業におきます石油依存からの脱却を図るということからいきますと、石油代替電源の開発をするということはもちろんでございますが、既存石油火力からの転換を促進するということが同時にきわめて大切でございます。そういう観点から、昨年夏以降、当省といたしまして各電力会社の石油火力発電所につきまして総点検を実施いたしたわけでございますし、現在もそのフォローアップを続けております。現段階におきまして具体的に決まっておりますのは、あるいは先生承知かと思います、八基百十五万キロワットという数字、これはすでにお答えした数字でございますが、いまのところ具体的には変わっておりませんが、さらにこれを増大させるべく、われわれとしてもさらにフォローアップを継続してまいりたいというふうに思っております。
  96. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 東北電力と住友軽金属ですか、住軽アルミニウム工業、共同火力がございますね。これもずいぶんもめたわけですね。一方は二十万キロのあれを独自につくる、いやそうはいかぬと、話はついたような感じもするわけでありますけれども、これが三十五万、二基あるわけですが、この石炭転換の方針は決定した、両者が合意に達した、こう受けとめていいかどうかというのが一つです。  第二には、九電の港発電所、これは石炭部の方になるのですけれども、重油から転換をして石炭だきにする、ところがあそこは三池炭鉱のそばなわけです。しかし、三池炭鉱の炭の供給が間に合わないということで、豪州炭を入れて補完して使う、こういう計画のように承っておるのですが、これはどういう意味なのか、承っておきたいと思うのです。  それと、北海道電力の知内一号、二号は電調審で承認を得ておりますけれども、最近の需給関係で、二号機は建設を二年間繰り下げるという方向にある、こう私は推察をいたしておるわけであります。しかも、二年繰り下げる場合には、知内の三十五万は石炭専焼に切りかえる。先ほど言ったように油と石炭の比較というのははっきりしているわけでありますから、これはやはりその方向が正しいと私は思うのですけれども、この三点についてお答え願いたいと思います。
  97. 石井賢吾

    ○石井政府委員 第一点の酒田共同火力でございますが、比較的長期間にわたりまして東北電力との調整に時間を要したわけでございますが、大体合意に達する状況に現在なりつつございまして、まだ最終的な合意は形成されておらない状況でございます。いましばらくの時間がかかるのではないかと思います。  それから、九州の港一号でございますが、一応私ども、現在五十六年度の施設計画を電力から集めておる段階でございまして、これは転換を五十八年度内にいたしたいという希望でございますので、それまでの間に具体的な石炭の手当てをしていかなければいかぬということだと承知しておりまして、私どもまだ具体的な石炭確保策というものについては承知いたしておりません。  第三点の北電知内でございますが、これもいま申し上げました五十六年度の施設計画にあるいは二年繰り下げという方向が盛り込まれるのではなかろうかと思いますが、これについてもいましばらく、四月の上旬くらい時間をかけてその施設計画を検討してまいるつもりにしております。その段階で先生お話しの石炭専焼への転換、これが地元との調整上、果たして可能なのかどうかを含めまして十分検討していきたいと思っております。
  98. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 九電力の中でいつでも北海道電力が問題になるわけですが、かつては、国内炭をたいておるから北電の電気料金は高くなる、実際は内容をよく検討するとそうではないのですが、そういう説明が行われた。今度は伊達一号、二号に続いて、それ以前には苫小牧の共同火力が一、二、三号ある、そして知内に一、二号をつくる、この方向は、北海道の電気料金を上げなければならない方向だと思うのですね。ざっと計算しても、石炭をたくのと重油をたく場合、北電で比較すると一年間七〇%のロードで百億くらい違うでしょう。二十年たったら二千億違うのですから、むしろ北海道のようなああいう場合は、今度は逆に石炭火力発電所をつくった方が北海道の電力料金の水準に大きく貢献するということになるのだ、こう言い切ってもいいのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  99. 石井賢吾

    ○石井政府委員 五十五年度の決算、これはまだ中間決算しかわかっておりませんが、ここで見る限りにおきましては、確かに先生のおっしゃる長期的な経営戦略といたしまして、大体私ども五十五年度運開のコストを計算してみますと、一キロワットアワー当たり、石炭の場合、輸入炭でございますと大体十一円から十三円程度国内炭の場合には十四、五円というところではなかろうかと思っております。他方、石油は十九円程度でございますので、その意味におきまして、経営戦略としてコストの安い方へシフトしていくということは当然のことだと思っております。ただ、先ほどちょっと言いかけました中間決算を見ますと、遺憾ながら円高という情勢が大きく電力会社経営に貢献している面がございまして、その限りにおきましては、石油が少ないということが円高の差益を北海道電力に関しては非常に小さくしているということで、値上げ時期にもよりましたが、若干他の電力会社との格差をもたらしているというのが実情ではなかろうかと思っております。
  100. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 苫小牧厚真はできたばかりで、来年は一年間運開されるわけですね。だが、炭の張りつけ状況を見ますと八十三万トンでしょう。八十三万トンということは七〇%のロードですね。これなどは七八%に上げれば九十二万トンくらいの石炭を必要とするわけですね。逆に火力発電所の油のロードを下げた方がいいわけですね。そういう意味ではやはり円高の問題もございますから、もちろん経営ですから北電自身は考えておると思いますけれども、どうも炭の割りつけ状況から見ると、苫東厚真は依然として七〇%ロードで五十六年度抑えるという契約内容ですわね。こういう点などは私は非常に不思議に見ているわけであります。そういう点で、他の八電力との関係もございますから、そういう点についても十分努力をしてもらいたいということをこの機会にお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、時間がありませんから、北炭問題、当面の三カ年間の再建方策ができたことは私も非常に喜んでおるわけであります。特にその中で、将来一般炭の採掘、平安八尺の方に移るわけでありますけれども、平安八尺の一般炭の炭質はどういう炭質でありますか。
  101. 福川伸次

    福川政府委員 平安八尺層の炭質につきましては、私どもで現在承知しております限りでは熱量が六千五百カロリー、硫黄分が〇・三二、灰が二二%というふうに承知しております。
  102. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私の手元にはまだいい数字が来ているのです。六千五百カロリーで灰分が一七%、サルファが〇・二%、こういう数字もあるわけであります。サンプルのとり方によって違うのでしょうけれども、いずれにしても、北海道における一般炭の中でも最上質の部類に入る一般炭だということが言えるのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  103. 福川伸次

    福川政府委員 夕張新鉱におきます一般炭あるいは原料炭、いま先生も一般炭の御指摘がございましたが、私どもも、ここは原料炭ともども炭質としては優秀な部類に属する、日本としては有利な石炭賦存に恵まれている炭鉱であるというふうに考えております。
  104. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 原料炭も日本一の原料炭、一般炭も最高の炭だという点で、新鉱の安定、このことが非常に期待されるわけであります。そこで私は、一応三年間の再建計画が打ち出されましたけれども、第七次政策の中で北炭問題をさらにどう扱うかという点について当然議論すべきではないか、こういう気がするのであります。  その理由は、以前の閉山しようというものは第三次肩がわりでこれは全部消化されておるわけですね。第三次肩がわり以降、いま残っておる大手炭鉱で閉山したところは北炭以外にないわけですね。私の記憶ではそうなんです。しかも、第三次肩がわり以降、北炭の場合は四つの炭鉱を閉山しておる。北炭は原料炭でありましたから、純一般炭じゃありませんから、やはり原料炭が必要だということで、他の企業と違って残ってきた、こう言えるだろうと思うのです。これは一つの大きなファクターだと思うのですね。それと、世界に類例のない幌内炭鉱の水没、これを復旧して今日稼働を開始しておるわけです。しかも将来的なフィールドは、旧住友鉱あるいはまた盤の沢をにらんで十分なフィールドがある、こういうところが幌内炭鉱であります。  したがって、企業間格差という問題の中で、過去のそういう経緯の中で格差はあることはあるわけですね。そればかりだということを言っておるのじゃありませんけれども、そういうものがあるわけでありますから、企業間格差を是正するとか国内炭鉱を安定させるという意味で、北炭の問題は第七次政策の中で十分議論されなければならない問題である、こう私は思うのですが、いかがでしょうか。
  105. 福川伸次

    福川政府委員 北炭の問題につきましては、私どもも、しばしばこの再建が問題になります中で、いま申し上げましたような比較的恵まれた状況にある炭鉱でありますだけに、何とか再建の道はないかということを大臣の御指導のもとにいろいろ努力いたしたわけでございます。  第七次政策の中でどのようにその北炭考えるかということでございますが、私どもはもちろん、この北炭の山は三山で、現在の生産規模の中で相当のウエートを占めるわけでございますので、この北炭のあり方というのは当然無関係ではないと考えております。私ども一応、五十八年度にこの収益基盤を確立するということで、現在その計画の実施に当たっておるわけでございまして、私どもそれなりの財政的な援助をしながら、五十九年度に収益基盤が確立できるということで、今回の計画の修正を認めることに石炭鉱業審議会から御意見をいただいたわけであります。  私どもも、この北炭がいまいろいろな経過をたどってまいっておりますが、労使の努力によりまして、いま御指摘のような平安八尺層、さらにその前に展開いたします北部の原料炭の開発等々がまずここで十分確立ができて、関係金融機関からの支援もできるような企業体制にするのがまず第一であろうというふうに考えておるわけでございます。  私どもも、第七次政策の中でもちろん北炭生産規模というものはそれなりに評価をし、その位置づけ考えてまいりたいと思っておりますが、その中で、いますぐに北炭そのものについてを念頭に置きました対策ということよりは、現在決められております、一応認められております、また金融機関からの理解、協力が得られております計画をまず実施をして、それぞれの企業の体質、基盤をつくるということに努力をしてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。
  106. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、企業間格差というものがある程度解消しないと、国内石炭産業は安定しないと思うのですね。したがって、今度の第七次政策一つの大きな命題である企業格差をどう解消するか。この中で北炭の問題が議論されないと、企業間格差の是正や国内石炭産業の安定というものを期することができないと思うからであります。そういう意味で、いずれまた議論できると思いますので、この問題は避けて通ってはいけない問題だ、こう思いますので、そのことを指摘をしておきたい、こう思います。  次に、第七次政策でコールセンターの問題とマル近船の問題の議論がなされなければならないと私は思うわけです。  マル近船は現在二十一隻あって、第一隻目は雄海丸、しかも八二年三月でちょうど命数に達するわけですね。三十七年から四十三年の間に二十一隻ができ上がっておるわけでありますから、次々と命数に達してまいるわけです。しかもマル近船は、一千七十五万トンの海上輸送の石炭のうち、五百九十三万二千トン、約六割弱くらいのものがマル近船で運搬されておるわけです。したがって、いずれ、コールセンターに揚げた石炭も内航に載せて他の港に持っていくという必要性が増大するわけですから、新たな角度で、マル近船問題というのは第七次政策の中で検討しなければならない課題である、こう思うわけです。  同時に、コールセンターの場合に、いま響灘コールセンター、NKコールセンター、宇部コールセンター、今度は室蘭の祝津のコールセンター、あとバースの方、漸次石炭バースもでき上がりつつあるという状況でありますけれども、しかし、いずれもこれはミニコールセンターだ、こう言っていいわけです。ですから、戦略的なコールセンターとしてしばしば問題になってきておる苫小牧あるいは九州の伊王島、これらは早急に進めなければならない課題であると認識をするのですけれども、このコールセンターとマル近船についての考え方を承っておきたいと思います。
  107. 福川伸次

    福川政府委員 石炭近代化専用船は、従来、国内炭の輸送の合理化と輸送コストの低減を目的としてその建造が進められ、所要の助成措置が講ぜられてきたわけでございます。  一方、御指摘のように、今後海外炭の輸入が増加してまいりますと、コールセンターの建設ということが必要になってまいるわけでございます。コールセンターの方式が進んでまいりますと、御指摘のとおりコールセンターから内航海運によります二次輸送の需要というのが増大してまいります。従来、もっぱら国内炭に限られておりました石炭の内航海運輸送というものが、今後は当然海外炭にも拡大することになるわけでございます。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕  このように非常に大きな変革、新しい時代に対処いたしてまいりますためには、内外炭を通じました合理的な輸送体系のあり方ということが必要でございまして、国内炭輸送の確保という点は、もちろん私どもも重要な課題としてその観点でとらえていかなければなりませんが、同時に、コールセンターの立地のあり方あるいはこれに伴います海外炭の第二次の内航輸送の問題、このような需要の動向を見きわめて、その建造に努力をしてまいらねばならないというふうに考えておるわけでございます。  先ほど申しました、現在の検討を進めております海外炭の懇談会におきましても、この輸送問題、もちろん外航輸送も含めてでございますが、内航輸送も重要な課題といたしまして、今後の内航需要の予測も含めまして関係者とも相談をし、あるいは関係省庁とも御協力をしながら、この対策は十分検討してまいらなければならないと考えております。  また、コールセンターにつきましても、いま御指摘のように、現在稼働中のものが石炭あるいは鉄鋼の周辺にございますが、大規模なコールセンター、御指摘のように苫小牧、崎戸あるいはまだ計画中と伺います伊王島等につきましても、そのほか幾つかのプロジェクトがございますが、輸送需要を見きわめながら、大きなコールセンター、これが輸送的にも非常にメリットがあるわけでございますし、もちろん各港湾の状況あるいは周辺の理解というものを含めながら、大規模な戦略的なコールセンターの建設も、需要動向に合わせながら進めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  108. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 企業間格差という前に、石炭問題というのは体制問題という問題意識を持たなければならないということはしばしば言われてきているわけであります。  そこで、企業間格差以前の炭鉱間の格差一つには地理的条件、二つ目には地質的条件、こういうものが炭鉱間の格差になっておるわけであります。そこで、私は炭鉱間の格差考える場合に、この地理的条件というのはわかりますわね、炭鉱の位置ですから、これは理解ができるわけですけれども、地質的条件ではどういう要素炭鉱間の格差と言われますか。
  109. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、地理的な条件は輸送コストに影響を与える一つの要因でございます。地質的な条件、これは生産コストに影響を与える要因でございますが、たとえて申しますと、炭層の傾斜の状態あるいは断層の状態、炭層の厚さあるいは石炭の品質あるいは保安に関連をいたしますガスの湧出量あるいは湧水量あるいは温度、地圧といったようなものが生産コストに影響を与える地質的な条件というふうに考えております。
  110. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この場合、わが国の石炭賦存条件というものは、傾斜がきついということは——ほぼ現行炭鉱で見れば原料炭、炭質がいいわけですね、したがって炭価も高い、歩どまりも比較的いい、こういう要件がついておるわけですね。これはメリットの方だと思うのですね。原料炭が特別に多い、したがって、炭価が高い、歩どまりが非常にいい、こういう点はメリットの面として出てくるのだと思うのです。  そしてデメリットの分としていま述べられた点が出てまいるわけですが、大体いま部長が言われた点にまだつけ加えなければならぬ問題は、出炭当たりの掘進の必要量、それからこれが岩盤であるか沿層であるかという問題が当然問題になるわけです。それと採炭方式で、急傾斜の場合には傾斜が強いというだけでなくして、その払い跡に充てんをせざるを得ないかどうか、払い跡充てんの問題、この二点をつけ加えられれば、私は大体いま石炭部長が言われた地質的な炭鉱間の格差条件だ、こう言っていいと思うのですね。  そうしますと、これを一定の基準を設けて点数をつけてコンピューターにかければ、炭鉱間の地質的な条件格差というものが出るのじゃないでしょうか。そういう試みをする考えはございませんか。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように炭鉱間の格差、これがコストの差を通じまして企業収支に大きな影響を及ぼすわけでございます。  現在、その炭鉱間の格差につきまして、御承知のように安定補給金格差をつけておるわけでございますが、いま御指摘の点も含めまして、地質的な条件をどのように評価をしていけばよろしいのか、あるいは炭層自身もそれぞれ場所により変化もいたしておりますので、これをすぐコンピューターにかけてやれば格差が合理的に算定できるかどうかという点につきましては、私どもいまのところ自信はございません。  いずれにいたしましても、この炭鉱間の格差がどのようになっているのか、これはいろいろ輸送コストとの関係もございましょうし、いろいろな差があるわけでございます。もちろん、企業合理化努力によって克服し得る面もございますし、また、その限界を超える部分もあるわけでございまして、そこの炭鉱間の格差をどのように業界全体としてとらえるか、あるいはまた政策的な範囲でとらえるかという点は、私どもも、一つの大きな課題として研究をしてまいりたいと思っております。
  112. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、人的な面に関連するものはこれは格差とは言えないと思うのですね。たとえば技術力とかあるいはまた管理の体制だとか、あるいはまた出稼率だとか技能の程度とか、こういうものは、これは用意をしなければならぬわけでありますから、格差とは言えない。しかし、いま述べた点はやはり格差であるわけでありますから、第七次政策の中で、いま炭鉱格差とか企業間格差、いろいろな問題が出ておりますけれども、こういう問題の分析の上に立って、第七次政策というものを出さなければならないのではないか。特に、今度の場合はそういう重要な問題を避けて通らないで、第七次政策の中で十分検討すべき問題だ、こう思いますが、この点はいかがですか。
  113. 福川伸次

    福川政府委員 その格差を科学的にどのように評価をして全体として位置づけるかという点につきましては、いま申しましたように、いま幾つかの要因をどのようなウエートづけで評価をしたらいいかという点に、いろいろ私どもも研究しなければならない点があるわけでございますので、いまここでこの方式でいたしますということを申し上げる段階にはございませんが、いずれにいたしましても、この炭鉱間の格差という問題、自然条件の制約という問題は、どの程度までそれを考慮し、業界として全体の中でとらえてその格差の是正を図っていくか、あるいは政策的な是正を図っていくかという点は、私どもも十分議論をしなければならない点でございまして、現在もそれぞれ既存炭鉱につきまして、その自然条件賦存条件等を考慮いたしまして、将来の開発の計画等も、その将来の経営計画の一環としてとらえて評価をしてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、この格差問題というのは、七次政策の中で一つの重要な課題でございまして、現在も検討委員会の中でも、御指摘のような点も含めていろいろ御議論をいただいているところでございます。
  114. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 現在進めている石鉱審の中で、新鉱の開発については初めからあきらめちゃって、余り目が向いていないのではないか、無関心ではないのかという感じが私はするわけであります。これから議論されるのかもしれません。やはり可能性調査を行っているわけですから、これをまず総括をして新鉱開発可能性があるかどうか、この結論は七次政策で出さなければ、いままで国費を使って調査をしたのに、まだこれは報告もされていないし、対外的に発表もされていない。いつ発表されるのだろうか。同時に、やはり新鉱開発の問題については当然議論されなければならないと思うわけです。  私は、今日それぞれの地域の中で有望地域と見られるウエンベツ地域の新鉱開発、パンフレットを印刷をして私から通産省にも石鉱審にも提案をいたしたいということで、いま印刷に回しておりますので、三十一日に申し入れをいたしたい、こう思っておるわけです。この点について、第七次政策の中で十分検討されるもの、こう思いますけれども、いかがですか。
  115. 福川伸次

    福川政府委員 国内炭開発可能性調査につきましては、五十年度から九地域選定をし、さらに三地域に五十一年度にはしぼり、最近に至りましては天北と釧路西部にしぼりまして、その地質状況のみならず開発可能性等につきまして、鉱害問題あるいは輸送問題、労働力の確保あるいは権利関係等々を考慮しながら調査を進めてまいっておるわけでございます。新鉱の開発をどのように考えていくかという点は、これは検討委員会でもしばしば議論をされておるところでございまして、私どもも、技術的な側面から私ども承知をいたしております限りの資料を提供申し上げて御討議を願っておるところでございます。  先生の方で、いまお話がございましたように、今後の新鉱の可能性ということについてもし御提案があるということでございますれば、私どもも新鉱開発という点は一つ課題として検討委員会の中でも取り上げておりますし、七次策の中で十分研究さしていただきたいと思っております。
  116. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 第七次政策の中には鉱害の問題も当然答申されるものと思うわけですけれども、この鉱害問題の審議はどういう角度で行われるのか。いままでは、第六次答申までは鉱害問題というのは、スペースは非常に小さいのですけれども出されたわけです。今回は法律の延長がありますから、相当のウエートをかけた答申が必要だと思うのです。  それから、労働省関係のたとえば緊就の問題開就の問題これもずっと長くやってきておるわけですね。一方においては、雇用保険の関係は特例法を設けてやるということで進んでおるわけですね。それに連関して、やはり緊就などについても考えなければならぬわけでしょう。また雇用の問題、労働力の確保の問題、こういう労働関係の面はどういう角度で第七次政策では議論されるのか、承っておきたいのです。
  117. 福川伸次

    福川政府委員 まず第一点の鉱害関係のあり方でございますが、これは現在残存鉱害量の調査を進めておりますが、その調査結果がまとまりました段階で、私どもも今後の政策のあり方の検討を進めてまいる予定にいたしております。従来、この臨鉱法関係が切れますときには、石炭鉱業審議会の中に別途部会を設けて御審議をいただいておりまして、私どももまだ方針を固めているわけではございませんが、その残存鉱害量の調査一つの柱とし、また既存のいろいろな諸制度を十分評価、アセスいたしまして、恐らく従来と同様の形で別途に検討のための場を設けてその検討を進めていくということにいたしたいと思っております。  労働力の問題に関しましては、これも関係方面からいろいろな御提案、御示唆がございます。もちろん、生産を進めていきます場合には、御指摘のように労働力の問題というのは重要な点でございます。もちろん、私ども通産省の範囲におきましては、私どもの方としては主として生産あるいは流通等に関与いたしますというその側面からが中心になるわけでございますが、特に保安関係あるいは技術者技術指導、そのほか、また私どもの方で従来からやってまいっております労働力確保のための諸施策、たとえば教育問題あるいは福祉施設の近代化資金によります融資等々の手段も含めまして、その検討は進めていくつもりでございます。  いまお話がございました緊就、開就等の問題につきましては、労働省の方で御検討を願っております。
  118. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 労働省の方でも、労働力の確保問題が今後の石炭政策の上で大変大きな問題であるという認識は持っておるわけでございまして、まだ今後の作業の進め方につきましての細かい打ち合わせはしておりませんが、通産省ともよく連携をとっていきたいと思っております。  なお、緊就、開就の問題につきましては、昨年の産炭地域振興審議会答申一つ考え方が出ております。今後そういった基本的な考え方の中で具体的にどうしていくのか。これは今後の石炭政策という観点とちょっと離れまして、現在の緊就、開就事業そのものをどう持っていくのか。特に、先ほど中西委員からのお話もございました失業対策事業との関係、今後の持っていき方というようなものとの関係もございまして、そういう意味で、私たちなりに引き続き合理的運営を図っていく、この考え方をどう具体化していくか、今後検討をしていかなければならぬということで考えておるところでございます。
  119. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いま通産省は、各炭鉱の十年の一つの計画等についても提出を求めて検討されているようでありますけれども、私はこれはないよりある方がいいと思いますけれども、これを余り頼るということはどうかなという感じがするわけです。これからの国内炭鉱の基本的発想は、資源を大切にして、そして最も効率よく掘ることなんです。いままでは経営というものがありますから、経営に合わせて生産量を決める、そういう無理もあるだろうと思うのですね。  そういう点では、特に深部化する国内炭鉱というものは、そういう視点がなければいかぬわけですから、OPEC思想ですね、大切にとにかく効率よく長く掘るという基本点に立ってこれからの石炭政策は進めなければならない、私はこう思っておるわけです。そうすると、第三者的な診断といいますか、客観的な診断ということがこれから非常に大切になるのではないかと思うのです。いろいろな計画を出させることは結構でありますけれども、客観的にも少し分析検討して、そういう角度から見る。こういう視点がないとなかなかいい政策ができないのではないか、こう思います。  先ほど第七次政策答申の日程についても答弁がありましたけれども、慎重に十分検討して、ただ早く答申を出せばいいというものではないと思うのですね。多少時間がずれても、十分練り上げたものを今回は答申をすべきだということを期待をいたしておりますので、そのことを申し上げておきたいと思います。  最後に、通産大臣に伺っておきますけれども、私に言わせると、第七次政策というものはどういうところにポイントがあるかと言えば、第一には、財政資金ですべて賄うなどということはとてもできないわけでありますから、炭価決定ルールというものを、基準炭価法律もあるわけでありますから、この機会にそれぞれのエネルギー価格のバランス等も見ながら、何らかの炭価決定ルールというものをやはり第一に構築することではないか。  第二には、一般炭ももうことしで輸入炭と国内生産が逆転するわけでありますから、そうすると国内炭の優先引き取り需給関係というものが常に安定するということを第一義的に確立しなければいかぬのではないか。国内炭一つの在庫に利用するということになりますと大変なことだと思うのです。量がふえていくわけですから、むしろ在庫の面は海外炭でコールセンターで考えていくというような方向をとって、一定のランニングストック以上はやはり抑えて、バランスが常にとれる措置が第二の課題。  第三の課題は、企業間や炭鉱間の格差があればやはり国内炭鉱は安定しないわけです。これをどう調整をするか。格差をどう是正をするか。したがって、これは体制的に考えた方がいいのか、それとも何らかの措置でこれを考えるのか。そういう意味では体制問題もついておるわけです。  この三次元の方程式を同時に解くところに第七次政策方向がある、私はこう判断せざるを得ないのでありますけれども、いままでの私の質疑を聞いて、この機会に通産大臣の所見を承っておきたいと思います。
  120. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私ども第七次答申をことしの半ばごろまでには得たい。昨年八月六日に諮問して以来、いろいろ通産省としても内部検討すると同時に、審議会の人々とも話を進めておるわけでございますが、幸いに、審議会の人々は、それぞれの経験者とはいいながらも中立的な立場でやろうということを決めておりますので、その検討は私はみごとなものができることを期待しておるわけでございます。  第一点の炭価、つまり炭の値段をはっきりさせておけということ。確かにこれは毎年ユーザー側、電力会社あるいはセメント会社その他といつも問題になって、決まるのが非常に大変でございますので、これは一つルールを決めておくと非常に楽じゃないかというふうに思っておりますし、答申の中で何か新しい手法というものを考えてもらいたいという意欲を持っております。  それから炭の、これは一種のコールセンターみたいなものを私はあなたの質問を聞いておって頭に描いたわけでございますけれども、御承知のように石油の問題でわかるように、イラン・イラクの紛争がございますと、さあこれをどうするか、ホルムズ海峡が閉鎖されればどうなるか、湾岸諸国の国々に対する依存度が余りにも大きかったために大騒ぎをせざるを得ないということになりますと、分散化というようなことあるいは備蓄というようなものが考えられます。したがって、石炭も一カ所から持ってくるんじゃなくて、やはり中国、豪州、インドネシアあるいはカナダとかいうようなところに輸入炭——どうせ日本は、御指摘のように二千万トン以上はほとんど不可能です。現実には一千八百万トンになっておりますし、やはり一億六千三百五十万トンという一つの十年後の炭量を考えますときに、海外に大きく依存せざるを得ない。したがって、そうなればやはり備蓄の問題とかコールセンターとかいろいろなことを考えざるを得ないわけでございます。  三番目の企業間格差の問題は、戦後われわれが石炭問題を討議するときに常に考えられた問題でございまして、先ほど福川部長企業間格差の内容についていろいろ申し上げましたし、また岡田委員からは、傾斜生産あるいは深部の問題あるいは切羽とか掘進の問題も出ておりますが、企業間格差を是正するためには、それぞれの炭鉱に見合った金額の問題を、当然現在も一部利用されておりますけれども、これにつきましても十分考え答申が出ることを望んでおります。ちょうど一年以上、第七次答申の出る期間を予定しておりますので、時折話は聞いておりますけれども、私どもはこれを新しい石炭の時代ということで銘打っておりますし、岡田委員の御指摘になった三点につきましても十分に応じ得るようなどっしりした答申が出ることを期待し、その答申によって私どもは新しい石炭政策のスタートをしたいというふうに思っております。
  121. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 終わります。
  122. 森中守義

    森中委員長 田中昭二君。
  123. 田中昭二

    田中(昭)委員 きょうは通産大臣も御出席いただいて石炭の問題についてお尋ねするわけですが、大臣と同じく旧産炭地問題等大変いろいろな問題を抱えておりまして、この問題につきましてはまた法案の審議においてお尋ねするとしまして、きょうは所信表明に対する質問でございますから、それらの中の小さい問題ですけれどもお聞きしていきたいと思います。  まず、エネルギー問題が大変な問題であることは同様でございますし、石油の代替エネルギー、その中でも最大の供給源は石炭であるというように所信表明の中でお述べになっております。その石炭の液化について、日本、アメリカ、西独の三国で国際共同開発する大型石炭液化プロジェクトについて、わが国の当初の取り組みといいますか、そしてその後の経過を踏まえて、現時点で問題になっております点について、まずお聞かせ願いたいと思います。
  124. 田中六助

    田中(六)国務大臣 田中委員指摘のことはSRCIIの問題だと思います。SRCIIの現状は、国会でたびたび政府の方針を述べておりますが、レーガン大統領の一般教書並びに付属文書の中に、いままで一般会計に入れておったSRCIIの予算を今度は合成燃料公社に移管するということをうたっておるために起こっておる問題でございます。  これは、正式には福田元総理がアメリカに行ってそういう話を進めまして、昨年度からこれが両国並びに西ドイツ、三国ともども一般会計の予算の中に——これは政府協定でございますので、それぞれの政府の一般会計の中に予算が組まれたわけでございまして、トータル十四億ドルということで、シェア、はアメリカが五〇%、日本と西ドイツはそれぞれ二五%でございます。日本もすでに昨年度予算を計上し、今回も百五十億円を新予算の中に計上しておるわけでございます。それをアメリカ側が一般会計から合成燃料公社というところに移管するということをうたっておるために問題が生じているのですけれども、伊東外務大臣もヘイグ国務相に会ったときに、クレームではございませんが、この問題についてどうだということを言ったようです。  私どもといたしましては、あくまで協定にのっとって正式のいままでどおりの約束を貫きたいと思いますし、いま国会で御審議をお願いしております私どもの予算の中にそれを入れております。それからもう一つは、アメリカも合成燃料公社に移管すると言いつつも、これは相手国側、つまり日本、西ドイツと十分協議、話し合いをした結果ということを付属文書の中にうたっておりますので、アメリカが公社の中に入れても、私どもは協定どおりの主張を貫いていくという方針には少しも変わりなく、伊東外務大臣もきょう帰りますので、ついでにそれを聞いてみょうがなと思っておりますし、政府は既定方針どおり進む考えでございます。
  125. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま大臣から概略御説明を聞いたわけですが、私がお聞きしたい点は、いま問題になっておるのは、アメリカ、西ドイツともども、何か財政が大変困難になっておるということからこういう問題点が出てきておると聞いておるわけでございます。それで、いまの話の中にありました七八年に福田元総理が行かれたときに話が出て、そうして翌年に大平さんが行かれて大体の話が固まり、そして昨年協定が成立した、そういう問題で、この福田さんも最近アメリカに行かれましたし、それから伊東外務大臣も渡米してきょうお帰りになるというようなことでございますが、そういう外交面から見た、外務省から見たこの問題に対する、先ほど通産大臣の御答弁以外のことでおわかりになっておることがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  126. 林暘

    ○林説明員 お答え申し上げます。  いま田中大臣からも御答弁がございましたけれども、伊東大臣がアメリカに参りまして、三月二十四日にヘイグ国務長官と会われたわけでございますけれども、その会談におきましては伊東大臣の方から、SRCII計画について、これはエネルギー開発に関する国際協力の象徴として発足したものである、それが今回米側の予算でその実施機関を合成燃料公社に変更したようだけれども日本としては、本件は将来とも代替エネルギー観点から重要視しているので、その継続に尽力をしてほしいという趣旨のことを述べられました。それに対してヘイグ長官からは、今後これをいかに取り進めるのが最善か十分に検討していきたいという趣旨の発言があった次第でございます。  それから、福田元総理の訪米に関しましては、福田元総理は米側と一連の会談をしておられますが、その中ではこのSRCII計画についてのお話は出なかったというふうに承知しております。
  127. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、もう少し具体的に教えていただきたいのです。  その前に、所信表明の中で大臣は、石炭の利用については、いわゆる石炭の液化は国際協力を図りつつその開発を推進するというようにお述べになっておるわけでございますから、このことについては大臣の積極的な取り組みといいますか対応というものが欲しいわけでございます。そういう意味において、くどいようでございますが、いま起こっておる問題この対応策、そして関係諸国といえばアメリカと西ドイツですが、西ドイツははっきり八一年の予算にはこれは入れない、外すというような報道もなされておりますから、そういうものも含めてもう少し積極的な姿勢をお聞かせ願いたい。
  128. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私ども政府は、十年間の長期エネルギー暫定見通しというものを立てておりまして、石炭あるいはLNGそれから原子力発電、地熱、水力、それからその他の項目の中で約三千八百万キロリットルのエネルギー考えているわけでございます。その中に石炭液化、つまりSRCIIを含めますそういう石炭の液化というものも大きな命題として十年間の計画の中に入れているわけでございます。  日本国内にもすでに三液化方式というものをとっているわけでございますけれども、アメリカや西ドイツの技術も、合弁でやっていけばさらに液化の技術向上にもなりますし、石炭の液化問題はカロリーの高い石炭を必要としない面がございますので、そういう点につきましても十分対処し得るという観点からこれを進めているわけでございます。したがって、エネルギーが豊富にあるアメリカとは違った立場で、これらの技術を向上して対処しようというわが国にとってはかなり重要な問題でございます。  西ドイツがこのSRCIIのプロジェクトを放棄したというはっきりしたことは私どもまだ聞いておりませず、アメリカに対しましては、合成燃料公社にその予算が回るということは一般教書の中にうたっておりますし、先ほど申しましたように、付属書の中には日本とドイツと相談して正式に決めるということをうたっているわけでございまして、私どもは、アグリーメント、つまり国際間の、しかも先進国である米国、西ドイツでございますし、発展途上国だからというわけじゃございませんけれども、発展途上国の国々には時折そういうこともあろうかと思いますけれども、先進国中の先進国が協定を一方的に崩すことは、戦争とかそういう場合は別でございますが、こういう平和なときにはほとんどないような状態でございます。  日本が、向こうがそうだからこちらもはいオーケーという態勢にはございませず、先ほど申し上げましたように、私どもは私どもの協定をあくまで守るという立場からこの問題に対処していこうという決意でございます。幸いにアメリカの会計年度の施行が十月でございます。したがって、まだ十分な時間もございますし、私どもはそのことについて断固として既定方針どおりの考えで進みたい、あるいは進むという決意でございます。
  129. 田中昭二

    田中(昭)委員 いずれ大臣もアメリカに行かれるわけでしょうから、そのときは、ぜひひとつその問題は確信を持てるようなお話をしていただきたいと思います。先ほどから、国際協定だから、先進国だからそういうことはないのだ、こうおっしゃっておりますけれども、報道を見てみますと、何かこの開発計画はもう中止せざるを得ないとか、事業が縮小してそしてだめになるのではないか、こういうことが言われておりますので、そういう面から見れば、わが国のこの問題に対する取り組みがちょっと甘かったのではないか、こういう気持ちがしますけれども、これは、いまからの大臣のお力できちっとしてもらわなければいということを申し述べておかしてもらいます。  これに関連しまして、日本では日本SRCの設立ということも受けざらとして考えてあるようでございますが、これはどうなっておりますか。何か通産省はこれにきちっとした指導をなさるのでしょうか。いかがなんでしょうか。
  130. 福川伸次

    福川政府委員 このSRCIIのプロジェクトにつきましては、われわれといたしましては、ナショナルプロジェクトとして取り組むということで関係企業をえりすぐりまして新会社を設立する、日本SRCという会社をつくるということになりまして、それでSRCインターナショナルインコーポレーテッド、国際ジョイントベンチャーに参加するということで準備を進めているわけでございます。すでに昨年十二月に設立発起人会を開きまして、現在設立準備中でございます。  いま御指摘のように、アメリカあるいはドイツにいろいろな報道がございますが、現在のところ、日本関係業界におきましてもこの会社を設立する、SRCIIのプロジェクトは引き続き参加をして、今後の石油代替エネルギー一つ中心的な課題として、その技術開発にも協力していくという姿勢でございます。まだ設立総会には至っておりませんが、発起人会をすでに終わっておりまして、現在設立準備の手続を進めているところでございます。
  131. 田中昭二

    田中(昭)委員 昨年、いわゆる石油代替エネルギーの供給目標をつくられましたが、わが国のサンシャイン計画の四つのプロジェクトのうち、石炭液化で一九九〇年には二千二百六十万キロを供給するというふうにあると思います。そこでいまの問題等も関連しますが、現在のわが国の能力といいますか技術、そういうものについては私まだ明らかではありませんが、いずれにしろこういう大型プラントの建設が大変むずかしい時期でもございますが、このサンシャイン計画の二千二百六十万キロというものが実現できますか。
  132. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先ほど通産大臣からも御答弁がございましたように、現在わが国では工業技術院が中心になりまして三方式によります石炭液化の研究を進めているわけでございます。いわゆる自主開発路線をやっているわけでございますが、この自主開発路線と、いまお話しになっておられますSRCIIを含めました国際共同開発がうまくコンバインされることによりまして自主開発路線もさらに加速するのではないか、こういう発想で私どもも国際共同開発に取り組んだわけでございます。SRCIIの考え方につきましては大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、今後とも継続をしてまいりたいということでございます。  なお、いま御指摘の、日本国内で自主開発路線でやっております三方式が大丈夫かという御質問でございました。これは現時点におきましては、確かにSRCIIの方式に比べますとある程度見劣りがするということは事実だと思います。SRCIIの方が一日当たり六千トンぐらいの石炭の処理をするということで、格段に進んでいるわけでございますけれども、それに比べまして、日本の三方式は一日当たりの処理量が一トンとか二トンで大変見劣りがするわけでございますけれども、これは技術的にはすでに解明されている技術でございますので、あとはいかにこれを促進するかということに課題が移ってきたのではないかと思う次第でございます。  そこで、昨年国会で成立させていただきました石油代替エネルギー開発導入促進法をベースにいたしまして、新エネルギー総合開発機構というものも特殊法人として設立をお認めいただいたわけでございますので、いまここで集約的にこの問題に取り組むという姿勢をとったわけでございます。幸いにいたしまして、財源的な措置もかなりな程度措置をしていただいておりますので、そういった体制論あるいは財政的な裏づけを含めまして、今後急速にこの三方式を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  133. 田中昭二

    田中(昭)委員 この供給目標自体が十年後の大体の数値だろうと思いますが、こういう大変な開発といいますかプロジェクトのためには、おっしゃったように財政的なものがいろいろ組まれておる、これは私もわかるのです。  いまからお聞きすることは細かいことで、お役所の方から数字の点だけちょっとお聞きしたいと思いますが、このSRCIIの分担金ですね、これは大体全体の四分の一を日本が出資するということになりますと、日本の円換算で大体七百億くらいだろうと思うのです。その七百億ぐらい、まあ八百億になるか知りませんが、その金はどういうふうに出資するのですか。  ということは、五十六年度の予算のあれを見てみますと「石炭関係分予算予定額」これは最初からですと長うございますからあれですが、これを見ますと、五十五年度には七十五億、五十六年度には百五十一億、こうなっておりますね。そうすると、いま長官がおっしゃった新機構の方ではこれが百五十億と七十四億、こうなっておるのですね。予算が五十六年度は百五十億、五十五年は七十四億だった。こっちの予算で見ていきますと、五十五年が七十五億で五十六年が百五十一億、こうわずかな違いがあるのです。そういうことがありまして、大体四分の一の出資金はどういうふうに出すのですか。
  134. 福川伸次

    福川政府委員 昨年の七月に結ばれました協定によりますと、一応一九七九年の十月から八三年の三月までが設計段階、それで設計が終わりまして部分的に建設に入ってまいりますが、近く建設に着手をして八四年の九月まで建設にかかる。さらにまた、並行いたしまして運転をいたしまして、八九年の九月までに試運転、いわゆる実証のテストを行う、こういう計画になっておりまして、総プロジェクトコストが十四億三千九百万ドルの見込みというふうになっておりまして、これの二五%を日本が払うということになります。  払い方といたしましては、現在ございます協定によりますと、通産省からアメリカのエネルギー省に支払うということになっておりまして、エネルギー省がドイツから入ってまいりました分担金も含め、また日本から払います分担金も含めましてSRCインターナショナルという国際ジョイントベンチャーに依託開発をする、こういうことになってまいります。  予算額につきましては、私どもは石特会計の石油代替エネルギー勘定の中で、五十五年度は七十三億九千百万円、五十六年度は百五十億一千万円、こういう予算を計上いたしております。先ほど申しましたように、このプロジェクトは八九年の九月までという計画になっております。もちろん、今後プロジェクトの工事の進行状況に応じまして、あるいはこの完成時期等がずれる可能性はあろうかとは思いますが、一応これだけの年限の間にいま申し上げました七百億ないし八百億、これはレートによって変わってまいりますが、これを代替勘定から支払っていく、こういう計画になっておりますので、五十六年度は百五十億の予定になっております。その後五十七、五十八、以下順次必要に応じまして、工事の進捗度に応じましてこれを払っていく、こういうことになっております。
  135. 田中昭二

    田中(昭)委員 五十五年度の予算には七十五億とか七十四億とかいう数字が出ておって、現実にはことしの二月に何か二十億支払いをしたわけでしょう。そういう予算はあってもその中で実際に出資するのは幾らかと聞いているのです、五十五年度と五十六年度は。
  136. 福川伸次

    福川政府委員 現実の支払いに関しましては、これは私どもとして、いま申し上げましたように五十五年度で七十三億九千万円の予算を計上いたしてございますが、現実の分担金の支払いは、現在まで御指摘のとおり一千万ドル支払っております。これは昨年の九月までの工事の進捗度を一応想定をいたしまして、それの四分の一相当を支払ったということになっておるわけでございます。  今年度、五十五年度中の残りの分をいつ支払うかということにつきましては、今後アメリカと協議をして年度末までに払うということになっておりますが、いま申し上げましたように、予算措置等がアメリカでもいろいろ動いておりますので、現在残りの分をいつどのように支払っていくかということについては、まだアメリカとの協議をいたしておりません。
  137. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、細かい金のことですからあれですが、結局アメリカのSRCIIに対する取り組みがいろいろ揺れ動いているというようなことで、いまの予算額も五十億くらいですか、余ったものについてはどうなるか。それから五十六年度の百五十億もですね。私は、こういうことは小さい問題だけれども大事な問題ではなかろうか。ですから、もしもそういう余る金があったら、もう少し国産の技術プロジェクトの方にでも力を入れるというようなことはどうだろうかな、こういうことも思うのですが、そういう点はいかがなものでしょうか。
  138. 福川伸次

    福川政府委員 いま私申しましたように、一千万ドル支払いましたのは昨年の九月までの工事の進捗度に見合ったものを支払ったわけでございまして、その後工事あるいは設計作業が進んでおりますので、それに応じました額というのは今後協定上支払っていくべき性質のものでございます。  もちろん、今後そのプロジェクトに応じまして、五十六年度、これも四分の一相当分を順次支払っていくわけでございますが、私どもとしてはこのプロジェクトを遂行いたしたいということで考えておりまして、もし仮に五十五年度に残額が出ました場合には、これは五十六年度にそれの支出をする。一応工事テンポをできるだけ取り戻して当初の予定どおり、できる限り八九年の九月、八〇年代の間にはこのSRCIIのプロジェクトをぜひ完成をさせたいということで、私どもとしてはこの対応をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。別途ほかの国産技術等につきまして、いまサンシャイン計画のお尋ねもございまして、これにつきましてはそれぞれの規模に応じました所要の予算を確保いたしておるわけでございます。
  139. 田中昭二

    田中(昭)委員 時間の関係で中国の石炭問題を飛ばしまして、石炭の安定供給の面についてまず……。  先ほどの供給目標によりますと、いわゆる十年後の六十五年には、先ほど大臣がおっしゃっておったように一億六千三百五十万トンですか、その中に海外炭の輸入が一億四千三百五十万トン、まあ二千万トン体制ということがうかがわれるわけですが、こういうふうに海外炭の輸入が大変急速にふえていく、増大していく。ということは、すなわち、わが国が資源小国であるというこのわが国の宿命的なものをあらわしておる、こういうふうに思うのです。  そこで、将来石炭が、先ほどからも海外炭の供給については相手国、産炭地国のいろいろな問題も去年夏あたりから起こっておるというようなことを見ますと、石炭がいわゆる生産国の国際戦略として使われる可能性もないとは言えない、私こういう心配をするのです。特に石油の問題ではわが国もひどいショックを受けましたが、石炭が国際戦略として使われるという可能性を、大臣はどういうお考えをお持ちなのか、私の考えが余り心配し過ぎであれば、その点も含めてひとつお考えを承りたい。
  140. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私どもエネルギーの安定確保、これがやはり至上命題でございまして、エネルギー対策は国の大きな安全保障政策の一環でございます。このたびも代替エネルギー、省エネルギー、それからエネルギーの安定確保という三項目を掲げておりますけれども、中でもエネルギーの安定確保ということがやはり一番大切でございますし、田中委員考え過ぎだとかいうようなことも、私ども少しも思っておりませず、むしろそのように考えていただかなくてはいけないというふうに思っております。  中国に対しましても昨年度一千万トンの予約をしておりますが、まだ中国自身、私昨年の暮れに日中経済閣僚会議に行きましたところが、石油の生産見通しというのは暗いけれども石炭はいろいろな隔地、奥地にある。すでに貯炭をして、それが野天に放置されたまま自然発火していることもあるというようなことでございました。どうしてそれが港湾に行って日本に来ないかと言いますと、鉄道や道路あるいは港湾、そういう整備ができていないわけです。隣の国にそういうもったいない事態が発生しておりますので、やはりインフラの関係経済協力をすれば中国も助かるのではないかというようなことが考えられます。  また、豪州などにつきましても、遠いから途中でコールセンターを設けてそこまで運ぶ。非常にストライキの多い、炭鉱労働者がストを一カ月も二カ月も平気でやるようなところでございますので、やはりストライキしないうちにうんと石炭をかき集めておくという方法、したがって、これはコールセンターなどの構想が浮かぶわけでございますが、いずれにしても、代替エネルギーの主要な項目として石炭位置づけられておりますし、私どもは、石油の場合に見られますようなことを十分踏まえて、そういう石炭の輸入の分散化なども考えて、総合安全保障政策ということでエネルギー位置づけまして、これからも考えていかなければならないというふうに思っております。
  141. 田中昭二

    田中(昭)委員 石炭が見直されるということについては、大臣も私も同じ考えのようでございますし、エネルギーのいままで主体をなしていた石油、油についても大変な、いろいろな問題を引き起こしましたし、大変な問題によって社会も経済も非常に困難な状態でございますから、こういうことを考えますと、また油の二の舞をしたくないという気持ちもあろうかと思います。そういう意味におきまして、わが国独自の石炭に対する国家のプロジェクトといいますか、たとえば石炭のメジャー等について育成計画も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  142. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のとおりに、原料炭のみならず一般炭にわたりましても、今後長期的に安定確保策を講じていかなければならないわけでございます。現在も、その点につきまして日本関係企業それなり努力をいたしますと同時に、五十五年度から新エネルギー総合開発機構によります探鉱資金の低利融資あるいは開発に対します保証などの助成措置を講じてまいったわけでございます。  現在、わが国は、ユーザーであります電力、鉄鋼、商社あるいは石炭会社等の民間企業が、積極的に海外の探鉱開発に乗り出しておるわけでございまして、たとえば電力などでは十社、九電力に電源開発株式会社を加えました十社が共同出資によりまして、海外の石炭開発を目的とした海外石炭資源開発株式会社を設立をいたしておるわけでございます。現在は、原料炭で操業中の海外プロジェクトが六つございます。一般炭で開発中のものが三プロジェクトございます。そのほか開発準備中のものが一般炭、原料炭を通じて十一、さらに探鉱中のものが十五、現在三十五のプロジェクトが、わが国の企業の参加によって進められておるわけでございます。  このように、私どもといたしましては、この民間の活動を積極的に支援していくという形で海外の石炭開発に臨んでいこうというふうに考えておるわけでございます。  もちろん、今後企業の力をつけていく、交渉力をつけていくということは、これは一つの重大な課題でございます。先生指摘のように、メジャーという表現をお使いになられましたが、いま確かに海外の石油メジャーも石炭に進出をするというような機運もございまして、現にアメリカ、豪州、カナダ等においてそのような動きをしているメジャーもございますが、私どもといたしましても、いま申し上げましたように業界の協調体制をつくり、合理的にしかも安く強力に海外の開発に乗り出していける、またそういう交渉力のあるような企業の育成のために、いまございます政策手段を駆使いたしまして支援をしてまいりたいと考えております。
  143. 田中昭二

    田中(昭)委員 時間の都合上、国内炭の振興については飛ばします。  環境庁、せっかく来てもらっておりますからお尋ねしますが、昨日報道されておりますように、エネルギー環境問題懇談会の提言がございました。その中で、石炭火力発電立地についてどのような提言を行っておるのか、お聞かせ願いたい。  それと一緒に、時間がありませんから続いて、石炭へのエネルギー転換に伴っての排出基準の強化、これをどうするのか。この二点をお答え願いたいと思います。
  144. 川崎正道

    ○川崎説明員 ただいまお尋ねの懇談会の提言でございますが、石炭火力発電の立地につきましては、まず第一に、環境基準の未達成地域については、原則として新増設は好ましくないという提言をしております。  これには、ただし書きがございまして、ただし、既存施設からの排出削減等により、当該発電所の運転開始以降において環境基準の達成上支障がないと見込まれる場合は認めることとし、必要に応じ、最善の利用可能な技術を用いるということでございます。それから、その他の地域につきましては、環境の状況に応じ、環境基準維持、達成の観点から所要の公害防止措置が講じられることを前提として、個別に検討するということになっております。  それから、自然環境保全につきましては、国立公園等の重要な地域における開発を避けることを基本とするということをうたっておりまして、自然環境への配慮を行う、こういうことを内容としております。
  145. 卯木稔

    ○卯木説明員 石炭へのエネルギー転換に伴って排出基準の強化をどうするのかということでございますが、石炭利用の増大に伴う大気環境保全対策につきましては、今年度より本格的に石炭の種別、利用形態別の汚染負荷、石炭利用に伴う大気環境実態等について調査を実施しているところでございます。今後、この調査結果を踏まえまして、必要に応じ所要の措置を講じていくこととしておるわけでございます。
  146. 田中昭二

    田中(昭)委員 工業技術院の方からも来てもらっておりますが、石油の備蓄について、タンカー備蓄ではなくて、何かいままで世界でも初めての海上備蓄のプロジェクトができておって、大体完成といいますか、そういう方向だそうでございますが、そのことについて簡単に説明をお願いしたいと思います。
  147. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 タンカー備蓄の問題は、工業技術院も関係がございますが、主として通産省資源エネルギー庁で担当いたしておりますので、私からお答えをいたしたいと思います。  いわゆる国家備蓄といたしましてタンカー備蓄をやっておるわけでございますけれども、このほかに、いわゆる海上備蓄方式というものを現在検討の対象にいたしておるわけでございまして、福岡県の白島地区と長崎県の上五島地区をその候補として考えておるわけでございます。両地区とも十分なる補完調査を実施いたしまして、技術的にも経済的にも問題がないというふうにされておるわけでございますけれども、なお海上備蓄方式になりますとどうしても地元との調整が問題になりますので、現在地元との調整を急いでやっておる、こういう状況でございます。
  148. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣は地元のことでございますからよく御存じと思いますが、相当莫大な費用をかけて莫大な油を備蓄する、これはその成功を祈るわけでございますが、やはりこういう問題はいろんな関連の公害の問題、いろんな問題が起こってくるかと思います。そういうことについてはまたいまからの問題もございましょうが、私ちょっと気にかかることは、大臣も御存じかと思いますが、岡垣に何か海上自衛隊の潜水艦基地をつくるというような話を聞いておりますが、これは大臣もお聞きになっておりますか。何か海上備蓄との関係があるのかなというようなことも聞いたことがあるのですが、御存じでしょうか。
  149. 田中六助

    田中(六)国務大臣 いまのところ、いま田中委員のおっしゃること初めてでございまして、過去には聞いたことはございません。
  150. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう問題については、また別な機会にお尋ねするとしまして、ここでもう一つ、最後に、やはり同じ石炭の備蓄ということにつきまして、私も大臣も同じ県でございますから、「玄海灘に浮かぶ発電所」こういう見出しでございましてね、「人工島をつくり石炭の基地」また「洋上石炭エネルギー基地構想」こういうのがあるのですが、これは大臣御存じですか。
  151. 田中六助

    田中(六)国務大臣 そういうことは知りませんが、長崎県の崎戸には貯炭場をつくるということは私ども大体決めております。
  152. 田中昭二

    田中(昭)委員 じゃ時間が参りましたので、これで終わります。
  153. 森中守義

    森中委員長 小渕正義君。
  154. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私は、石炭利用技術の中の石炭液化、ガス化その他いろいろありますが、先ほどかなりの点が触れられましたので、一部重複しない面についてお尋ねしたいと思います。  石炭の液化技術については先ほどから御説明があっておりましたが、ガス化については現在どの程度進んでおるのか。その現在の大体の状況と、あわせて、先ほど液化で三種類の方式で現在やられて、ある程度基礎的なデータができ上がったということでございましたが、一応三つの中で、パイロットプラントですか、実証プラントの方向まで行って、いよいよ実用化まで行こうというそういう意味で見た場合に、大体同じようなぺースで行っているのか、どの方式のものが一番進行しているのか、そこらあたりをひとつ御説明いただきたい、かように存じます。
  155. 福川伸次

    福川政府委員 お尋ねのガス化につきましては、サンシャイン計画によりまして、高カロリーのガス化及び低カロリーのガス化の技術開発を進めているところでございます。高カロリーのガス化につきましては、現在一日当たり七千立米のプラントを建設中でございまして、昭和五十六年度に建設の完了を目指し運転研究に入るということで、現在順調に進めているところでございます。低カロリーのガス化につきましては、現在一日当たり四十トンのプラントの運転研究を行っておりまして、今後は千トンのプラントの開発に着手する、こういう予定でございます。現在までのところ、このガス化につきましては順調に進んでおるわけでございます。
  156. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 サンシャインに基づきます石炭液化につきましては、現在一トンないし二トン程度のプラントの建設あるいは運転試験を行っておるわけでございまして、昭和六十年ぐらいまでには大体基礎的な研究が終わりまして、昭和六十五年には、当初予定いたしました千五百万キロリッター程度の液化油を実現をいたしたいということで作業をしておるわけでございます。もちろんいま申し上げました数字は、先ほど大臣が答弁いたしました二千二百六十万キロリッターという、石炭液化油全体の期待量のうちの大部分を国産技術で達成いたしたいということでやっているわけでございますけれども、この自主開発路線は必ずしもそれだけで達成できるものでもございませんし、国際共同研究の成果というものを十分踏まえた上で、いま申し上げたような数字を達成したいということでございますので、単に自主開発路線だけでやるんではなくて、SRCIIあるいはEDSといったような国際共同研究も加味いたしまして、いま申し上げましたような数字の実現を達成いたしたい、かように考えている次第でございます。
  157. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうしますと、当初計画した大体のスケジュールに沿って現在この開発がそういうピッチで進んでおるというふうに見ていいのか、開発の目標のスケジュールからいくと、若干でこぼこのそういうふうな形の中で少しおくれた形になっているのかどうか、そこらあたりはいかがかということと、あわせて、ある程度そういうまだ規模の小さい程度のものが現在でき上がっておるようでありますが、ある程度そういうものができ上がると、問題はスケジュール、日程的にどうしても時間というものは短縮できないという形の中で、どうしてもこれだけ六十五年ということにならざるを得ぬのか。ある程度資金を投入して思い切ったそういうものをやれば、大体これから先はもう少しピッチを上げようと考えれば上げられるところまで来ているんじゃないか、また来るんじゃないかと思うのですが、そこらあたりは、どうしてもやむを得ぬ、どうしても時間的に無理なのかどうか、いろいろ積み重ねていった場合に。そこらあたりはいかがでしょうかね。
  158. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 私は事務官でございますので、いま先生の御指摘のように、何とか時間的に繰り上げをいたしまして達成できないかという念願を持っているわけでございます。これはもう先生もよく御承知のとおり、エネルギー問題は時間との闘いでございまして、一刻も早く石油にかわるエネルギー開発をすることが大事だというふうな認識を持っているわけでございまして、技術的な専門の方々にも、何とかがんばって一日でも早く実現をしてほしいということを常々要望するわけでございますけれども、いまの段階で技術者としての良心に従って計画をしますと、先ほど申し上げたような、十年間はどうしてもかかる、こういうような御指摘をいただいておるわけでございます。もちろん、技術者の方々もそういった国策的な意識はお持ちだと思いますけれども、その技術者の良心と、資金的な投入をすることによってタイミングを少しでも繰り上げられないかということの調整に実は私どもは頭を痛めているということでございまして、最初に申し上げましたように、エネルギー行政を担当しておる事務ベースの意見としては一刻も早く、一年でも早くそういった状態を何とか実現してほしい、こういう強い願望を持っているわけでございます。
  159. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 あと一つ、COMですがね。これについてはもう一応実用化段階に入ったというふうに理解しておるわけですが、そういう形の中で、現在実用化といいますか実証段階で、たしかどこかの発電所で、一応そういうものを使おうということになっておるのじゃないかというような理解をしておるわけですが、そのあたりの現状はどうでしょうか。
  160. 福川伸次

    福川政府委員 COMにつきましては、石炭と重油の混合燃料の点につきましては、現在電力会社中心にいたしましてその利用技術を進めておりますが、これからの石油にかわりますCOMの利用と申しますのは非常に進んでおりまして、現在のところ、かなり技術的には開発が進んでおるわけでございまして、現在のところ、もう近く実用化の段階にいくというふうに考えております。
  161. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 この前どこかモデルのところを指定して、このCOMについては中国地方のどこかじゃなかったかと思いますが、どこかそういうところで一応これを使って実際のあれに入るというようなことをたしか聞いたような気がするのですが、それは誤りですか。
  162. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 電源開発株式会社の竹原火力におきまして、そういった試験的なことをやったわけでございます。ある程度技術的に可能だというような状況に立ち至っておりますので、実は四月一日に新しいCOMの会社を設立するという動きがございまして、東京電力、東北電力あるいは電源開発株式会社、こういったところが大株主になりますCOMの会社を設立する、実用化のための新会社を設立するという運びにはなっております。
  163. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それから、こういった石炭利用技術についていま液化、ガス化その他いろいろな問題に取り組まれておるわけでありますが、これらの費用が大体概算すると二兆四千億とか五千億とか長期的に言われているようなことをある本で読んだのでありますが、それだけの膨大な資金というものが、大体この六十五年をめどにこれだけのものをやろうとしたらそれぐらいかかるんだというようなあれでございましたけれども、その点は間違いないのかどうかということと、あわせてそれだけの資金のあれはどういう形の中でそういう対応をしていこうとされているのか。その点は余りにも金額的に大きいのでちょっと懸念をするわけでありますが、そこらあたりの状況についてひとつお示しいただきたい、かように思います。
  164. 福川伸次

    福川政府委員 いま、十カ年計画でその新エネルギー開発の費用が幾らかというのはちょっと手元にございませんので、また後ほど調べて御説明申し上げますが、いま私どもの方で考えております石炭利用技術の五十六年度の予算につきましては、大体百二億円程度の予算を計上いたしまして、排煙の処理あるいは先ほど指摘のCOMあるいは流動床、そのほか微粉炭、褐炭の有効利用、成形コークス、石炭灰の有効利用といったような、石炭の利用技術全体といたしましては、五十六年度の予算で百億円ばかりの予算を計上いたしておるわけでございます。
  165. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 全体はわかりませんか。
  166. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 いま先生がおっしゃいました二兆数千億という数字は、恐らくプラントの建設費まで全部含めた数字ではないかと思うわけでございますが、私どもが基本的に財政資金を投入するときの考え方は、これは新しい仕事をやろうと思います場合にリスクが伴うものでございますので、民間の方だけにその資金負担を期待いたしますとなかなか思い切った技術革新ができないという問題がございますので、特に先進的な技術、たとえば先ほど申し上げました電発の竹原で実験をしたこういうようなものにつきましては、財政資金を投入するということでございまして、それによりまして技術的にある程度確証できましたものをプラント建設するのは民間の方にしていただく、こういうメカニズムになっておるわけでございまして、そういった意味で、財政資金として投入する額が幾らになるか、あるいはそれに基づいて民間の方がプラントを建設されるに要する資金はどの程度になるかという点につきましては、先ほど石炭部長が申し上げましたように数字を詳細に調べまして、後刻また先生に御報告させていただきたいと思います。
  167. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 二兆四千億というのは、民間と政府の公共投資と合わせた数字だったかもわかりませんけれども、いずれにいたしましても、先行投資といいますかこういうものについて、やはり将来的にわが国のエネルギー事情に重大な影響を与える事柄でございますから、ひとつぜひ思い切って大胆に取り組んでいただきたいということを、特にお願いしておきたいと思います。  次に、これも先ほどちょっと触れられておったわけでございますが、要するにエネルギーの長期需給計画見通しについて、先ほどから言われておりましたように、石炭にいたしましても、一般炭でいきますと六十年度は二千二百万トンが必要だ、六十五年度は五千三百五十万トン必要である、こういうような一つ需給計画が成り立っておるわけであります。  そういう中で、先ほどからコールセンターその他のお話が出ておりましたが、こういうふうな需給計画見通しの中で逐次取り組まれておると思うわけでありますが、これに沿って、長期的なそういう一つのスケジュールの中で、たとえばコールセンターは六十年度までには全国どの範囲にどの程度のものをつくらなければいけないとか、石炭運搬船については現状能力これくらいだからこれを幾らまでしていかなければいけないし、年次計画として年に何隻ずつでも建造しなければいかぬとか、そういった需給計画一つのスケジュールに沿った具体的な目標なり計画も持ちながら、実際の実行段階としてのそういうものがあるのかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいわけであります。
  168. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のとおりに、そういった長期的な見通し、展望を立てることが非常に重要であるわけでございます。  御指摘のように、コールセンターにつきましては幾つかの計画がございまして、現在建設中のもので響灘、あるいは稼働中のものでNKコールセンター、さらに現在部分的にやっておりますのが宇部のコールセンター等がございます。私どもといたしましては、このようなコールセンターというのは輸送コストを非常に軽減する、あるいは貯炭を十分持ち得るといったようなことから、今後地元の理解あるいは港湾の状況等を見ながらその立地を考えていかなければならないと思うわけでございますが、今後はかなり大規模のもの、たとえば七、八百万トンの規模といったようなものを考え、また船につきましても十万トン以上の船が着き得るもの、それにつきまして内航船では一万トンあるいは二万トンの船が着き得るようなコールセンターというものの建設が必要になろうというふうに考えております。現在、苫小牧におきまして一応設立準備会が開かれておりますし、また先ほどお話に出ておりますように、長崎県の崎戸地区におきましてかなり大規模なコールセンターの計画が着手しようという段階になっております。  今後、これが十年間にどの程度のものになっていくかという年次計画は、ことし一月から発足いたしましたエネルギー庁長官の諮問機関で、それぞれ日本幾つかの地区に分けまして、どの程度のコールセンターをつくっていくのが合理的であるかということの調査検討をいたしておりますが、今後、先ほど申しました計画のほかに、幾つかのものをさらに検討しなければならないというふうに思っております。また、それに要します海運、輸送能力等につきましても、現在その委員会で海運業界あるいは港湾の専門家も入っていただきまして検討をいたしておるところでございまして、私どもとしては、少なくとも来年度の予算にもある程度のものは反映させるという意気込みで現在検討いたしておるところでございますので、もうしばらく時間の猶予をちょうだいいたしたいと思っております。
  169. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 こういう計画は、やはりその裏づけとなるべき実行計画があってこそ初めて実際に価値あるものになるわけでありますから、ただ机上プランだけでもいけないし、こういうものは逐次そういう年度別くらいの一つの大きな目標を持ちながら、コールセンター一つつくるにいたしましてもかなり膨大な資金を必要とするわけでございますし、そういう意味では港湾設備、コールセンター、運搬手段の問題その他それぞれの需給計画に沿って、そういう一つの実行計画という裏づけがあって初めてこれが生きたものになると私は思います。そういう意味で、いまお話がありましたが、ぜひひとつ早急にそういうものを立てながら取り組んでいただくことを特にお願いしておきたいと思います。  次に、これは環境庁のどなたが来ておられるんですか、三月二十四日にエネルギー環境問題懇談会から一つの提言が新聞等で発表されておりました。中身を私もきのういただいて読ましていただきましたが、これからのエネルギーも非常に大事だけれども環境破壊をすると二度と環境は戻ってこない、大事だからこれをいかに両立させるかということがこれからの大きな課題だということで、かなりシビアにいろいろ問題提起がされておったように思います。特に、具体的に石炭火力の問題にもかなり触れられておったようでありますが、これらの提言を受けて、環境庁としてこれからどのようにしようとされておるのか、これからの取り組み、そういった姿勢についてお考えをお聞きしたいと思います。
  170. 川崎正道

    ○川崎説明員 懇談会の方からせっかくの御提言をいただいておるものですから、環境庁といたしましても、できるだけ前向きに取り組みまして、これからの環境庁の施策に反映をさせて環境保全に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  171. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 せっかくの提言ですから、それを生かして前向きに取り組むことは結構だと私は思います。しかし、私は、この問題は環境庁だけがひとり歩きをしないように、やはり非常に重要な影響を与える問題ですから、関係各省と十分連携をとりながら総合的にやってもらわぬことには、環境庁は環境庁の独自な立場だけで一切ほかのことを考えないで、そういうようにただわれよしというだけでこういう問題を議論しては、大きな禍根を残すことになりかねないという感じがいたします。したがって、いま申されたようなことについて、これから具体化する場合については通産省とか関係各省と十分連携をとりながら、十分意見も聞き入れながらやられるのかどうか、そこらあたりの心構えをちょっとお尋ねします。
  172. 川崎正道

    ○川崎説明員 懇談会の提言の中でも、先生指摘のとおり、エネルギー環境の両立を図っていかなければいけないということを申しておるわけでございます。これからのエネルギー環境の対策を実行していく場合には、当然環境庁だけではできない問題が多々ございます。当然のことながら、通産省等とも十分によく御相談をしてその施策を進めてまいりたい、このように考えております。
  173. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 その点は特によろしくお願いしておきたい。私の方からも御意見として申し上げたいと思います。  次に、これは現実的な問題としてお尋ねいたします。  石炭についてわが国の国内炭二千万トン体制を確立するということがいろいろ言われておるわけでありますが、実際問題としては千八百万トン体制のところでまだ実現できてないようであります。そういう中で現実にいま一番困っている問題、が一つあるわけです。  それは、石炭部長もお聞きだと思いますが、三井三池が年間あれだけ大きく石炭を産出しているわけでありますが、この三井三池炭鉱が排出する、そのための俗に言うボタ、このボタが年間約百八十万トン、霞が関ビルの二十四杯というぐらいになるそうですけれども、こういうのが必ず石炭を掘ることによって出てくるわけでありますが、現在、これからの三井三池の炭鉱として、新規にどのような形でこのボタの処理をするかということで、非常に大きな問題を抱えておるというふうにわれわれは承っておるわけです。  したがって、その一つの大きな障害は、公有水面埋立法というものによってかなり昔と比べると規制がきつくなった。そのために新しくボタを捨てることが、三池はああいう土地でございますから、海面埋め立てで今日まで処理してきておったと思いますけれども、そういうことが非常に厳しくなったためにちょっとできかねている。そういう問題が一つ。そのために窮余の策として四国の高知沖の方の海底に投棄しようかということでその準備を進めている。そのためにそういう新しい運ぶ船をつくらなければいかぬし、またそのための余分なお金、運送費その他でコスト高になる。こういう問題で、二千万トン体制を確立することはいいけれども、それに伴い、生産をするために当然付随して出てくるボタの処理の問題で実は今日困っているわけであります。  そういう点で、規則どおり公有水面埋立法を運用するということ、そこらあたりについて通産省としてはどのようなお考えをお持ちなのか。やはり公有水面埋立法がこういうことだからやむを得ないというふうなことでお考えなのか。それともここらあたりの解釈上の運用における幅をある程度——これは環境庁じゃない、厚生省だそうですけれども、厚生省あたりが若干そこらあたりの運用の幅といいますか、そういうものを認めていただければ、またある程度埋め立てのあれも可能じゃないかという期待もあるような感じがするわけでありますが、そこらあたりについて、まず通産省としてこの問題を知っておられるかどうか、そしてそれに対する解決策としては何かお考えなのかどうか。あわせて、私厚生省というように聞きましたが、厚生省の関係者の方、この問題についてお聞きになっているかどうか、その点お尋ねしたいわけです。
  174. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、三井三池につきましてそのボタの処理、これは従来公有水面の埋め立て等によって対処をしてまいったわけでありますが、最近、自治体の行政区画の調整問題等の事情によりまして、御承知のように埋め立ての処理がむずかしくなって、昨年の十二月から海洋投棄処分を年間約四十万立米程度を投棄をする予定で進めておるわけでございます。その他の処分につきましては、堆積場あるいは土地造成というようなかっこうで処分をいたしておるわけでございまして、これが一つの三池の負担になっているという点については御指摘のとおりでございます。なお、企業では周辺各地の空港等の埋め立てに使用するということが可能になるよう、県当局にも要請をいたしておるわけでございます。  御指摘のように、ボタ捨ての用地の確保というのは安定生産に大きく影響するところでございます。このために、御指摘のような炭鉱につきましては海洋投棄以外にも、たとえばセメントの増量材として利用するというようなことも考えて、多種多様な処理方策を見出していかなければならないと思います。また、埋め立て等につきましては、いろいろ関係府県あるいはそれの規制当局といったところとの調整をして、何とか道を見出してまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、多種多様な処理方策を見出していかなければならないわけでございまして、私どももそれぞれ企業の動き等に十分注目し必要に応じ指導をしてまいる所存でございます。
  175. 小林康彦

    ○小林説明員 お尋ねの公有水面埋立法につきましては運輸省が所管をされておりまして、私ども厚生省といたしましては、公有水面埋立法に基づいて免許を取られ、その場所を廃棄物の最終処分場として使われる、その時点から厚生省が所管をしております廃棄物処理法で規制が始まる、こういう仕組みになっております。
  176. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 環境庁の方がお見えになってこの点をお尋ねしましたら、それは厚生省所管だと言われたんですよ。だから、私はあとのことそうわかりませんのできょうは厚生省の方に来ていただいたんだと思いますが、要するに、公有水面埋め立てについてのそういう具体的なことについてお聞きしたいということで厚生省に回ったわけですけれども、何か手違いのようでありますが、その点は私の方じゃなしに環境庁の方の勘違いだと思いますので、どうぞあしからず御了承いただきたいと思います。  そうしますと、これは運輸省関係になるわけですか、実際埋め立ての免許を与えるまでは。
  177. 小林康彦

    ○小林説明員 運輸省の所管でございます。正確に申し上げますと、港湾区域につきましては運輸省が所管をされ、港湾区域以外の海岸につきましては建設省が所管をされておる免許の行為でございます。
  178. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうしますと、あそこは三池港ですから、当然これは運輸省ということになるわけですね。結局、この前決まった埋め立て免許基準というものの中で、無目的埋め立ての許可というものが厳しくなったり、それから埋め立てた後の目的の変更がかなりむずかしくなったり、それから埋め立て期間が非常に厳しくなったりというようなことで、いままでは埋め立ての許可、認可を得てそのたびにボタを捨てておったのが、それが手いっぱいになってしまってどうにもできなくなって、新しくそういう場をつくろうとしても今度はなかなかできなくなったということが要因のようですね。これはいまここでどうということは申し上げませんけれども、これが四国沖の、近海じゃないにしても、ボタをどんどん海洋投棄することがいいのかどうか、いろいろ問題もまた出てくるのではないかという気もするわけであります。  いずれにいたしましても、そのために十三億か十五億くらいの金をかけて船を新しくつくったし、そのための年間の経費が、結果的に運送費が十億近くかかるということで、これは三池の生産活動が続く限りこの問題はどうしても付随的に出てくる問題でありますので、こういった二千万トン体制を確立するんだどうだと言われても、具体的な問題になるとこういうふうなあっちこっち壁に行き当たるという問題が非常にたくさんあるわけです。したがって、大臣、ここらあたりについても総合的な視野に立ってこういった問題を解決するように、特に関係省庁として、そういうたとえば埋め立て基準の認可についても若干運用の幅ができるようなことができないかどうか、そういう意味で運輸省あたりともっと相談をしていただくとか、ぜひそこらあたりを通産省としてリードしていただいて、こういう問題の解決に当たっていただきたいと思いますけれども、その点の御見解をお聞きしたいと思います。
  179. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私どもは長期エネルギー見通しという計画も持っておりますし、それから二千万トンあるいは一千八百万トン体制というようなことも頭に描いておりますので、それを達成するために支障のないように各省とも十分連絡をして、これが目的の遂行に当たりたいというふうに思います。
  180. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それではこれで終わります。
  181. 森中守義

    森中委員長 小沢和秋君。
  182. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、国鉄ローカル線の問題を中心にしてきょうはお尋ねをしたいと思います。  御存じのとおり三月三日にローカル線の廃止の政令が出されたわけであります。もともと、私たち共産党としては、国鉄財政再建特別措置法の考え方自体に賛成できなかったわけであります。全体で一兆円も赤字が出る中で、ローカル線全部を切ってみたところでその一割にも満たない、そういうようなところをいじってみたところで、国鉄の真の再建の道が開けるということにはならない。ところが、国鉄全体にとってはそういうふうに大勢に影響がないのですが、筑豊産炭地にとっては、このローカル線を奪われるということはもう致命的な結果を引き起こす。  ですから、私たちはこの法案そのものにも反対しましたけれども、政令を出す段階でもそのことを配慮をして、少なくとも政府政策によってこういうような状況になっておる筑豊については、このローカル線を廃止の対象から外すべきだということを強く要求しておったわけであります。しかし、出されてきた政令を見ると、どうもそういうような筑豊の特殊な状況というのはほとんど配慮されずに、ほかと同じ物差しでやりますよというような政令が出てきたような気がしてならぬわけです。その辺、通産省としても努力はされたろうとは思いますけれども、この結果をどう評価しておられるか、まずお尋ねしたいと思います。
  183. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のとおり、私どもも、当委員会の御質疑等を踏まえまして、この特定地方交通線の基準の政令につきましては、私どもの方の立場から、産炭地域振興という見地を十分織り込んでもらいたいということを運輸省当局にも申し上げておったわけでございます。私どもとしても、いろいろ折衝の過程はございましたが、この法律の範囲の中におきまして可能な限りの御主張も申し上げ、また、それなり配慮がなされたものというふうに思っております。もちろん、今後、産炭地域振興を図ってまいるという場合に、道県が広域的な発展計画を作成していくわけでございまして、国鉄等の関係機関と産炭地域振興のために、これは総合的な交通体系の整備ということも非常に必要でございまして、この道県が中心になってまいります広域発展計画の中で、産炭地域の振興とさらに総合的な交通体系の整備ということについての検討を十分行っていくということになるというふうに私どもも思うわけでございます。  先生、いま産炭地の事情が政令を見ると配慮されてないじゃないかという御指摘がございました。私どもも、その産炭地域振興発展計画の中での総合交通体系は重要な課題考えておるわけでございます。法律の範囲の中でいろいろ政令をつくるということになりますと、政令をつくります場合の法律の委任の限界等もございますが、運輸御当局がそれぞれ地方交通線の協議会等を開いて今後の実施を図っていかれるわけでありますし、またその間、今後の産炭地域の広域発展計画の作成あるいは今後の産炭地域振興の施策が結実してまいります成果等々につきましても、運輸御当局等において配慮をしていただくというようなことで、私どもも総合交通体系という点について十分配慮していくようにいたさねばならないと思っております。
  184. 小沢和秋

    小沢(和)委員 いまいろいろ説明がありました。可能な限りの配慮をしてもらったというふうに言われたように思いますけれども、私は政令の条文をいろいろひっくり返してみましたが、たとえば積雪地域などについてはこうするといったような、ちゃんと積雪地域というようなことで具体的にその点の配慮があらわれているなというような条項があるのですけれども産炭地についてはそういうようなものはないのじゃないかと思うのですよ。それでもやはり配慮されておるのでしょうか。
  185. 福川伸次

    福川政府委員 今回のこの法律が、先生承知のように代替輸送手段、バス等に転換することが可能かどうかという点がこの政令の基準一つ法律での考え方になっておるわけでございます。それで、私どももいろいろ御折衝申し上げました結果、第一次の選定の中で、周辺地域において産出される石炭の相当量の輸送の用に供されるものを当初の選定の中から除くというような点につきまして織り込んでいただきましたし、また、今後輸送需要等を算定をいたしてまいります過程で、今後のその輸送需要の算定の中で、産炭地域振興の今後の見通しというものを織り込んでいって算定していただくというようなかっこうでその点を配慮するということが、どうも現在の法律体系からいきますと限界ではなかろうかということで考えたわけでございます。
  186. 小沢和秋

    小沢(和)委員 それでは次に、運輸省の方にお尋ねをしたいと思うのです。  この政令が公布されてから、産炭地ではいままでみんながいろいろ思っていた不安というのが一挙に表面化してきたというふうに思うのです。たとえば国策として石炭にかわる産業を誘致しなければいかぬということで、こういういま廃止の対象になっているような地域の沿線にも、いろいろな企業がそういう誘致策に乗って張りついてきているわけですね。中には重量物を非常に大量に輸送する。だから、これは国鉄の方がとまってしまったらもうつぶれる以外にないというように言っているところも出てきておりますよね。こういうようなところについて、あなた方はどう検討されたのか。  あるいはまた、教育にも非常に大きな影響を持っておる。これは先日の西日本新聞の一面のトップに出ましたけれども、筑豊の地域では、列車で通学をしている高校生が千五百九十二名もいるというわけですね。一次で廃止をされる香月線で二百十四名、添田線で二百四十三名、二次で廃止をされる糸田線が三百十一名、上山田線が七百四十五名、こういう数字も出ているわけです。中には、嘉穂工業高校のように、四百七十六名の生徒中三百三十一名までが列車を利用しなければならないというようなところもあるわけですね。こういうところでは、代替するバスで運び切れるのかという問題もあるし、それよりもう通学不能ということで生徒が集まってこないようになって、学校の存立そのものにもかかわるのじゃないか、あるいは通学区を再検討しなくちゃいけないのじゃないか、こういったようなことで教育委員会が頭を抱えているということが報道されているわけです。  一体こういうような事態を考えているのか。考えているとすれば、あなた方は対策をどういうふうにしたらいいと考えておられるのか、ひとつ簡潔にお答え願いたい。
  187. 金子史生

    金子説明員 お答え申し上げます。  まず、特定地方交通線の選定に当たりましては、五十二年度から五十四年度までの輸送実績に基づいて選定いたすということにいたしておりますけれども、御指摘のような、たとえば工業団地とかあるいは住宅団地、こういったものの完成によりまして、近い将来確実に輸送需要が増加すると見込まれるようなものにつきましては、輸送密度の算定に当たってそういう点を加味して行うことにいたしております。  それから、先生二番目に御指摘の通学の問題でございますけれども、代替輸送の足は必ず確保するということで、具体的にたとえばバスならバス、引き受け手がない場合国鉄バスを走らせるとかいう手段によりまして、必ず代替輸送の足は国の責任として確保する。  それから、運賃負担の増加の問題でございますけれども、これにつきましては、確かに通勤については相当な負担増加が見込まれるわけでございますので、私どもといたしましては、転換交付金、これはキロ当たり三千万円交付されるわけでございますけれども、そのうちから通勤、通学の定期差額の交付金というものを支出することによりまして、たとえば在学している学校を卒業するまでは、転換交付金の中から差額分については賄えるという仕組みにしたいと考えております。
  188. 小沢和秋

    小沢(和)委員 それでは対策にならないと思うのです。今後工業団地ができて、そこでの出荷量がふえる見込みがあるといま話されたでしょう。それじゃお答えにならないと思うのですよ。もうすでに誘致されて張りついているところについて、そういうところがつぶれてしまうじゃないかと言っているのについてはどう答えるつもりなのか。  それからまた、学校についても、いま通学している生徒たちに対しては、その転換交付金ですか、これで過渡的な措置をとると言うけれども、もうそういう通学もできないようなところなら生徒が寄ってこないんじゃないか、そういう意味で学校が成り立たなくなるんじゃないかというふうに言っている不安に対しては、何ら答えたことにならないと思うのですよ。その点どうですか。
  189. 金子史生

    金子説明員 まず、学校の問題でございますけれども、私どもといたしましては、鉄道を廃止しても必ず代替輸送の足は確保するわけでございますので、そういう足がなくなるということには絶対にならないというふうに考えておるわけでございます。  それから、前段で先生御質問の、現在誘致されている企業、そういったものについての輸送問題をどうするかという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、貨物輸送につきましては、基本的には大量定型貨物でないものはトラックによる代替輸送が可能であるというふうに判断しておるわけでございます。そういったことから、大量定型のものは幹線として国鉄に残しますけれども、それ以外のものはトラックによる輸送に転換していただくということになろうかと考えております。
  190. 小沢和秋

    小沢(和)委員 次にもう一点お尋ねしたいと思うのは、地元の関係者はこの政令が出てどう言っているかといいますと、産振法でせっかく十年延長になったから、これからブロックの振興計画というのを、この国鉄線があることを前提にしてつくろうと思っておったやさき、こういう目に遭った、そうすると、もうこれからは国鉄の存在を前提にした振興計画というのは立てられなくなっちまったんじゃないかというふうに、みんな首をかしげているわけですね。あるいはそれを取りのけてしまったら、もうそういう構想そのものを立てられないというように言っている人たちだっていますよ。  こういうことについて、ここではっきりさしていただきたいと思うのは、いまからでも、国鉄線をこういうふうに今後活用していくという点でりっぱな構想が出たということになれば、いま名前が挙がっているような線についても、これは撤回されることがあるんだ、そういう点については、ひとつここではっきり確認しておきたいと思います。いかがですか。
  191. 金子史生

    金子説明員 先ほど申し上げましたように、廃止対象になるかどうかという点につきましては、五十二年度から五十四年度までの輸送密度プラス、今後開発計画等があって増加が予想されるものについては、それらの点を加味したいということにいたしておりますので、現在のわれわれの方針といたしましては、それで賄えるというふうに考えておるわけでございます。
  192. 小沢和秋

    小沢(和)委員 いや、私がお尋ねしているのは、いまから国鉄線をこういうふうに活用していきたい、そうすれば当然乗客がふえるとか輸送量がふえるという形で出てくるでしょう。そういうものが出てきた場合には、あなた方としてはそれを検討して、なるほどということになれば当然撤回することもある、いまの段階ではそういう状態なんだというふうに認識していいわけでしょう。
  193. 金子史生

    金子説明員 国鉄の再建法は、六十年度までに経営の健全性を確保するという再建の目標年次がございます。法律上もうたわれておりますので、六十年度までに鉄道特性が発揮し得ないものについては、国鉄としては維持することはできないというふうに考えております。これがさらに長期的に見まして、鉄道特性が発揮できるような見通しがあるとするならば、第三セクター等による鉄道維持を含めて、特定地方交通線対策協議会の場で十分検討していただくことになろうかと考えております。
  194. 小沢和秋

    小沢(和)委員 六十年までということで、十年がかりでこういうふうにするというような構想が出ても、もう五年目くらいまでで待てないから切ってしまいますというようなことでは、私はいかぬと思うのですよ。その点については、国鉄当局としてもさらに前向きで検討してもらいたい。  それからもう一つ、この機会にお尋ねしておきたいと思うんですが、先日、福岡県選出の国会議員が超党派で、筑豊のローカル線をただいまのままで存続させるというだけでは、筑豊の本当の浮揚に貢献できないんじゃなかろうか、だから、むしろ幾つかの点については積極的に先行投資などをやることによって、うんと地域の浮揚、乗客の増加などを考えることができるんじゃなかろうかということで、たとえば臼井−桂川間を短絡しろとか、あるいは油須原線をやはり開通させるべきだとか、宮田線と室木線のドッキングとかいうようなことをいま申し入れているわけですね。私もこれは非常に積極的な考え方だと思っているわけです。  筑豊については、今後一切先行投資はやらないということだったら、せっかく筑豊というところは福岡とか北九州などのような大都市に非常に隣接しているという有利な地域的な条件を持っておる、交通さえよくなればその地理的条件というのを活用してベッドタウンなどとしてぐっと浮揚できる十分な可能性がある、それを生かすか殺すかはやはりこういう積極的な発想に立つかどうかじゃないかと私は思うのです。この点について、筑豊についてはそういう先行的な投資などをしていくという考え方があなた方には全くないのか、その計画いかんによっては今後検討する用意があるのか、ここのところをはっきり伺いたい。
  195. 金子史生

    金子説明員 お答え申し上げます。  この問題はあるいは国鉄の方からお答えするのが適当かとも思いますけれども先生指摘の申し入れ書につきましては、国鉄において検討いたしまして、きょう午前中に世話人の先生方にお示しして、たしかきょう四時から世話人会があるとお聞きしておりますけれども、個別的にお答え申し上げるということになっておるはずでございます。内容につきましては、私の仄聞しておるところによりますと、個別の線について検討するものとあるいは事実上非常にむずかしいものとか、そういったいろいろな内容を含んでおるというふうに聞いております。
  196. 小沢和秋

    小沢(和)委員 田中大臣にこの機会に一言お尋ねしておきたいのです。  私が、この前の臨時国会のときに国鉄ローカル線を積極的に活用するということで考えるべきでないかということを大臣に質問したら、大臣は、自分もかつて油須原線のことなどで一生懸命運動したことがあるけれども、もうそういうような発想ではやれないような事態になってきたと言って、そのときはきわめて消極的な御返事だったように私記憶しておるのです。いまでもそういう考え方なのか。超党派で、いま福岡県内の国会議員たちも何とか筑豊の国鉄線を有効に活用するためにということで積極的に動き出している事態の中で、大臣考えというのは非常に大きな影響を与えると思うのですが、どうお考えですか。
  197. 田中六助

    田中(六)国務大臣 皆様の御努力に努めて沿うように心がけねばならないと思っております。
  198. 小沢和秋

    小沢(和)委員 それでは、次の問題に移りたいと思います。  二番目にお尋ねしたいと思いますのは、国鉄ダイヤの改善の問題です。  私が国鉄ローカル線の問題を調べにいろいろな方とお会いしたりする中で非常に多くの方から聞かされたのは、列車のダイヤが大変不便だ、ただ不便だというだけじゃなしに、列車のダイヤを改めるたびごとにますます不便になっていっているのだという話なのです。  まず、原則論としてお尋ねしておきたいと思うのですが、国鉄としては赤字を減らし収入をふやすために最善のダイヤを組もうということで努力されていると思うのですが、こういうような住民からの不便になっているというような声はあなた方の耳にも入っておるのじゃないかと思うのですが、そういう点について、いまどういうような努力をされているか、一言まずお尋ねしたいと思うのです。
  199. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 ダイヤの問題につきましては、最近では去年の十月に改正いたしたわけでございますが、考え方といたしましては、お客さんの流れが最近大分変わってきておりますので、そのお客さんの流れに合わせて輸送力を設定する。その中でも、たとえば通勤、通学のような輸送、こういうことは時間の制約その他もございますから、利用者の利便ということを十分に考えてやっていく。これは接続などについても同じでございますが、そういうことでお客さんの量的な動きそれから必要度、それから私どもの方から申しますと効率的な輸送を図るということで、私どもとしましては、決して改悪をしているというつもりではございませんで、改善をしていっているというふうに考えております。
  200. 小沢和秋

    小沢(和)委員 抽象的な議論をしても仕方がないので、具体的な問題でお尋ねしてみたいと思うのです。  例を香月線にとってみたいと思うのです。香月線というのは、御存じのとおり北九州市の八幡西区の香月からお隣の中間まで三キロ余り、産炭地の中をずっと走っている線です。今度の第一次の廃止候補に上がっている線であるわけです。ところが、昨年十月のダイヤ改正で通学、通勤者が利用できないというような事態が起こっている。この香月線は、現在七時五十三分発の中間行きというのが事実上唯一の通勤帯のダイヤなのですよ。ところが、去年の改正前は七時四十五分に香月を出ると中間に七時五十五分に着いた。そうすると、すぐ八時に中間発で直方、原田の方に行くものがあって、直方には八時十六分に着く。ですから、筑豊高校とか直方高校とか、高校生が百人以上これを利用して通って、ちょうど始業に間に合うというダイヤにかつてはなっておったわけです。  ところが、今度七時五十三分発ということになってみたら八分おくれた、そのために中間に八時三分に着く。そうすると、七時五十七分に飯塚行きというのがあるように新しいダイヤではなっておって、六分おくれで乗りおくれてしまう。次はどうかというと八時二十分発で、八時三十五分にしか直方に着かないのでこれでは遅刻だということで、みんな筑豊電鉄とか西鉄バスなどに行かざるを得ないというような状況になっているわけです。私が指摘しているこの事実に間違いありませんか。
  201. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 去年十月の改正時点で、御指摘の列車は先生指摘のような状態になっております。  これがそういう状態になりましたのは、九州地区につきましては特急、急行も含めまして大幅なダイヤ改正をいたしたわけでございまして、いま御指摘の一二四列車というのは、折尾から香月までの下り列車、これは一二五列車という列車でございますが、これで使いました車を香月で上りに折り返して使っておるわけでございまして、改正をいたしました際、その改正の中で折尾駅の構内作業、これは鹿児島本線上でございまして、大きなダイヤ改正の影響を受けたわけでございますが、折尾の構内作業を大幅に変更せざるを得ないという状態になりまして、折尾駅のホームの能力、構内作業の要員の充当、こういったような問題がございまして、実は一二五という列車を七分繰り下げざるを得なかった。その折り返しで車を使っておりますので、御指摘の列車が八分繰り下がって不接という形になったわけでございます。  私どもといたしましては、いま先生もおっしゃいましたように、不接になりました列車の後に二五二〇Dという列車がございますが、直方方面への乗り継ぎのお客様はこれで乗り継いでいっていただけるという判断でやったわけでございます。乗り継ぎのお客様は大体三十人ほどいらっしゃったわけでございますが、私どもが現在掌握しております実情から申しますと、ほとんどのお客様はこれを御利用いただいていらっしゃいますし、いまのところ駅、管理局で把握しておりますのは、二名の学生さんがこの列車では時間が間に合わないということで、ほかの運輸機関にお移りになったという状態でございます。これは線路容量だとか構内作業の問題だとかホームの容量、こういうようなものが複雑に絡んでおりますので、制約はございますけれども、今後の問題として勉強はしたい、こう考えておりますけれども、非常な困難がございます。
  202. 小沢和秋

    小沢(和)委員 七時四十分に、いまおっしゃる折尾の方から香月駅に列車が入ってくるわけでしょう。そうしたら十三分間そこでとまって、それから行く。だから七時五十七分に乗れないんですね。これをもっと詰めるというふうに考えたらどうなんですか。私が調べてみたら、五分間で折り返して出るという列車も、この同じ香月−中間間であるんですよ。五分間で折り返している。五分間で折り返したら八分早くなるから、そうすれば十分これは接続するんですよ。いま、あなたは、最終的にはわずか二名しか影響がないと言ったけれども、それは実態をここで話を何とか小さく見せかけようというふうにしているにすぎないことであって、非常に大きな影響があるということで、私のところまで陳情を受けているのですから、だからこういうような努力をもっと積極的にすべきだ。そしてお客さんがもっと便利に乗れるようにすべきだという姿勢に立つべきではないか、もう一遍お尋ねしたい。  それからもう一つ質問をしたいのですが、この同じ列車、七時五十三分発は、やはり折尾まで行っているわけですね。前のときには折尾に八時三分に着いておったから、上り八時八分というのに五分間で十分接続ができたのに、今度おくれたために、やはり折尾には八時十分にしか着かない。ところが八時九分にはもう出てしまうということになっておるんですよ。そうすると、ここでもわずか一分違い。これは鹿児島本線ですね。鹿児島本線に乗られない。一分違いですよ。  これだってほんのちょっと早めたら、もうたくさんのお客が利用できるようになる。これが利用できないために、次が八時二十四分しかないけれども、通勤者というのはみんなぎりぎりにしか行きませんね。だから、この十五分間違うということのために、八時半始業の人たちは、いままでは北九州方面は間に合ったのに、もうみんな間に合わなくなってしまうということで、これはまた利用できないという問題です。だから一本だけれども、これは上りとか下りとかいろいろなところで見るというと、ずいぶん大きな影響を持っている。ほんのちょっと繰り上げるだけで事態はうんとよくなるわけですよ、これは一つの例ですけれども。こういうような点についてもっと改善をすべきではありませんか。
  203. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 第一点の御指摘の部分は、これはDCでございませんで、機関車が牽引をした列車でございますので、機関車のつけかえのためにどうしても現在程度の時間が必要だということでございまして、これがDC等でございましたら、もっと短い時間で折り返しその他ができるわけでございますけれども、そういう制約があるわけでございます。確かに折尾の件も、一分で接続を欠いておるわけでございますけれども、二十四分発というのがございますので、これで御利用いただけるという判断でやったわけでございまして、私どもといたしましては、決して一分とか二分という接続を意図的にそういうふうにやっておるわけでございませんで、いろいろのケースのダイヤを書きまして、その中でどうしてもそれができないかということをいろいろの制約の中で検討した結果、そういう形になっておるわけでございます。したがいまして、いまの段階ではそういう状態でございますけれども、今後勉強してまいりたい、こう申したわけでございまして、決して乗り継ぎの問題をおろそかにして処置をしているつもりはございません。その辺は御理解をいただきたいと思います。  以上でございます。
  204. 小沢和秋

    小沢(和)委員 同じ香月—中間間を行き来しているダイヤを私が調べてみたら、さっき言ったように、五分で現にすぐ折り返して発車しているのがあるんですよ。そのときはできて、このときは十三分かからないとつけかえができないということは、説得力がないと私は思うのです。そしてこのダイヤを調べてみますと、同じ香月—折尾間で、さらに十五時五十八分という香月発も、やはり折尾で一分おくれで接続しない。それから、十七時三分発という香月を出るものも、これもやはり鹿児島本線の上り十七時十八分に一分違いですよ。これも乗れない。こうして一分違いで乗れないというのは幾つ幾つもあるんですね。  この香月線というのは、上りが十一本、下りが十本しかないんですよ。このわずかに走る本数をどう有効に生かすかという点で、お客を一人も逃さぬように、一人でもふやすようにということで真剣に考えるなら、私は、こういうダイヤというものはもっと改善のしようがあると思うのです。私、自分の地元の一番身近なところだけちょっと調べてきましたけれども、こういうような例は、ほかを調べてみたら恐らく幾らでも出てくると思うんですよ。  参考のためにもう一言言いますと、私がこういう事情について香月の駅長にいろいろお尋ねしたら、駅長も答えられないんですよ。そして実は私も門鉄局に、あそこのところをひとつ改善できないかという意見を、乗客の皆さんからもいろいろ聞くからということで、上げておると言うんですね。駅長さんまでがそういうふうに上げておる。こういうようなものについて緊急に見直すべきじゃないですか。この機会に筑豊関係の各ローカルダイヤについて、少ない本数を本当に有効に生かすという点も、あなた方にとっては、これは赤字克服策として非常に大事だと思うのですよ。その点についてどうお考えですか。見直しますか。
  205. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 第一点の、五分で折り返しているのがあるのに、これは時間が長くかかっているではないかという御指摘がございましたけれども、DCの、いわゆるディーゼルカーの列車の運転席の交換と、機関車で牽引をしております客車の機関車のつけかえというものは基本的に作業が違っておりまして、機関車で牽引をしております列車の場合は、どうしてもこれぐらいの時間がかかるわけでございます。決して、五分でできるものを十何分かけて折り返しをやっているわけではございませんので、第一点につきましてはそういうことでございます。  それから第二点の、一分、二分で接続が欠けるものがある、これは駅長も答えられないぐらい、できるのにやらないのではないかという御指摘だと思うのでございますが、実は私ども、ダイヤ改正と申しますのは長距離列車も絡んでおりますし、貨物列車も絡んでおります。したがいまして……(小沢(和)委員「香月線は絡んでおらぬよ」と呼ぶ)全体として絡んでおりますので、ダイヤ改正というのは、大体二年ぐらいかかって作業をやっておるわけでございます。先生指摘のように、私どもも、一分、二分というのを何とか接続できる状態にできないかということは、本当にプロが相当の時間をかけて検討するわけでございますけれども、設備の制約とか車の運用とかホームの能力だとか、こういう面がございまして、現在の時点ではできておらないわけでございます。したがいまして、現在でもいろいろの御意見は、私どもとして理解しておりますし、管理局でも把握をいたしておりますので、そういう点も踏んまえまして、これは気持ちの問題でございませんで、ダイヤをつくる技術の問題が大きく絡んでおりますので、そういう点も十分に知恵を出して検討してまいりたい、こう考えております。  以上でございます。
  206. 小沢和秋

    小沢(和)委員 これで終わります。  時間がありませんから最後に言っておきますけれども、地元の人たちはこのダイヤを見て、これはいよいよ香月線にとどめを刺そうというので、乗れないように乗れないようにということで、意図的にこういうダイヤを組んだのじゃなかろうかということさえ言っておるんですよ。あなた方がそうまでやったと私は思いたくありませんけれども、しかし、そうでないと言うのだったら、本当にこういう声にこたえるように、私は、いま一つだけ例を挙げましたけれども、あっちこっちからそういう話を私は聞いている。これは引き続いて追及をしますけれども、ぜひあなた方の方でも早速見直すように、この機会にひとつそこの決意だけ、もう一遍お尋ねしたい。
  207. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 たびたび申しましたけれども、かなり専門家が、しかもこれは土地の専門家でございますが、一生懸命になって二年間知恵をしぼってやっておるわけでございますので、いわゆる利用が少なくなるように接続をとってない、こう言われますと、私ども立場から言いますと、一生懸命努力をしている職員がいっぱいいるわけでございますので、決してそういうことはない、できるだけの知恵を出してやっておるということでございまして、今後も出る知恵は出しまして、これはタイミングというものがございますけれども、やっていきたいと思っております。  以上でございます。
  208. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  209. 森中守義

    森中委員長 田中通商産業大臣所信表明に対する本日の質問は終了いたしました。      ————◇—————
  210. 森中守義

    森中委員長 次に、内閣提出産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。通商産業大臣田中六助君。     —————————————  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  211. 田中六助

    田中(六)国務大臣 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  産炭地域振興臨時措置法は、石炭鉱業の不況による産炭地域の経済的、社会的疲弊を解消するため、同地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展等を図ることを目的として、昭和三十六年十一月に制定されたものであり、その後昭和四十一年に五年間、昭和四十六年に十年間、それぞれその有効期間の延長が行われ、現在、昭和五十六年十一月十二日をもってその効力を失うこととなっております。従来、産炭地域につきましては、国及び地方公共団体において、本法を基礎として、産業基盤の整備、企業の誘致、生活環境の改善、地方財政への援助等各般にわたる施策展開しており、その結果、同地域は全般にわたり、閉山に伴って悪化した生活環境の修復も進みつつあり、また比較的立地条件に恵まれた地域では企業の進出もかなり促進される等相応の成果を上げております。しかしながら、内陸部を初めとする多くの産炭地域では、今日なお、厳しい雇用失業情勢、老朽化した炭鉱住宅街等の問題が残存し、さらに産業活動が十分でないなどから所得水準が低く、また地方公共団体の財政事情も困窮しており、いまだ経済的、社会的疲弊の解消という産炭地域振興の目的を十分には達成していない状況にあります。  このような産炭地域の実情に対処して、本法に基づく産炭地域振興の諸施策については、今後なお相当の期間これを継続することを必要とする状況にあります。  この法律案は、このような考え方に基づき、産炭地域振興臨時措置法の有効期間及びこれに付随して同法に基づく地方債の利子補給の期間を、それぞれ十年延長しようとするものであります。  なお、この法律案の附則におきまして、通商産業省設置法の一部を改正いたし、通商産業大臣の諮問機関である産炭地域振興審議会の存置期限につきまして、産炭地域振興臨時措置法の有効期間の延長に対応して、十年延長することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  212. 森中守義

    森中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  213. 森中守義

    森中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、参考人の人選、出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 森中守義

    森中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る四月二日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会      ————◇—————