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1981-05-12 第94回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    小委員会昭和五十六年二月二十四日(火曜 日)委員会において、設置することに決した。 二月二十四日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       植竹 繁雄君    浦野 烋興君       奥田 幹生君    島村 宜伸君       田原  隆君    橋口  隆君       原田昇左右君    水平 豊彦君       宮下 創平君    粟山  明君       渡辺 秀央君    後藤  茂君       城地 豊司君    藤田 高敏君       水田  稔君    長田 武士君       北側 義一君    宮田 早苗君       渡辺  貢君    伊藤 公介君 二月二十四日  島村宜伸君が委員長指名で、小委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和五十六年五月十二日(火曜日)     午前十時十一分開議  出席小委員    小委員長 島村 宜伸君       植竹 繁雄君    浦野 烋興君       奥田 幹生君    田原  隆君       橋口  隆君    原田昇左右君       水平 豊彦君    宮下 創平君       粟山  明君    渡辺 秀央君       後藤  茂君    城地 豊司君       藤田 高敏君    水田  稔君       長田 武士君    北側 義一君       宮田 早苗君    渡辺  貢君       伊藤 公介君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君  小委員外出席者         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     山本 貞一君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電運転管         理室長     末広 恵雄君         参  考  人         (原子力発電関         係団体協議会会         長)(福井県知         事)      中川平太夫君         参  考  人         (政策科学研究         所理事長)   笠井 章弘君         参  考  人         (東京電力株式         会社企画室長) 依田  直君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 五月十二日  小委員水田稔君三月十八日委員辞任につき、そ  の補欠として水田稔君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員伊藤公介君四月一日委員辞任につき、そ  の補欠として伊藤公介君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員浦野烋興君四月七日委員辞任につき、そ  の補欠として浦野烋興君委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員城地豊司君四月八日委員辞任につき、そ  の補欠として城地豊司君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員植竹繁雄君四月二十二日委員辞任につ  き、その補欠として植竹繁雄君が委員長指名  で小委員選任された。 同日  小委員奥田幹生君同月七日委員辞任につき、そ  の補欠として奥田幹生君が委員長指名小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  エネルギー・鉱物資源問題に関する件      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会を開会いたします。  エネルギー・鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。  まず、昭和五十六年度におけるエネルギー政策重点事項並びに短期、中期、長期の電力需給計画電源立地計画現状及び見通しについて政府から説明を聴取いたします。森山資源エネルギー庁長官
  3. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御説明に入る前に、先般の敦賀原子力発電所事故に関しまして、一言申し述べさせていただきたいと思います。  原子力推進に当たりまして、政府といたしましては、何よりも安全性確保大前提であるという考え方に基づきまして対処してまいったわけでございますが、そのようなやさきに先般の事故が起きましたことば、国民皆様方信頼を裏切るものといたしまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  今後は、このような事態を再び繰り返すことのないよう、原子力発電安全性確保のために万全の努力をしてまいる決意でございまして、現在、今回の事故の教訓も踏まえまして、安全管理行政につきまして所要の検討を鋭意行っているところでございます。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第でございます。  次に、五十六年度におきますエネルギー政策及び電源開発計画につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  お手元に資料を三種類お配りしてございます。「昭和五十六年度資源エネルギー政策重点事項」という資料及び「昭和五十六年度エネルギー関係特別会計予算について」、これは一枚紙でございます。それから「電源立地関係資料」という三種類資料をお配りしてございます。  まず最初に、「昭和五十六年度資源エネルギー政策重点事項」につきまして簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。  まず、大きな第一の柱といたしまして「石油安定供給確保」がございます。それから第二番目の大きな課題といたしまして「電源の脱石油化電源立地推進」という項目を考えております。それから三番目に、二ページに参りまして「石油代替エネルギー開発及び供給安定化推進」ということを考えております。それから四番目に「エネルギー転換促進」、五番目に「省エネルギー推進」、六番目に「エネルギーコミュニケーション推進」、七番目に「資源安定供給確保」、八番目に「国際資源エネルギー政策展開」、九番目に「その他」とございます。この九本の柱が、五十六年度におきます資源エネルギー政策重点事項として私どもが考えているところでございます。  時間の関係もございますので、その詳細についての説明は省略いたしますが、まず重点的な項目に従いまして、それぞれ簡単な御説明をさせていただきたいと存じます。  まず第一に、「石油安定供給確保」についてでございます。  御承知のように、昨今の国際石油情勢はかなり小康状態を保っておる次第でございます。一九八〇年、昨年一年間の平均の全世界原油生産量は約五千九百七十万バレル・パー・デーでございまして、一昨年に比べまして約五%ほど減少をしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように世界需要が大変下回っておりますので、原油生産が五%下回ったにもかかわりませず、需給は安定の傾向にございます。ただ、中長期で見ますと、こういう傾向がいつまでも続くということも考えられませんので、私どもといたしますと、やはり長い目で見た石油安定供給対策は考える必要があろうということでございまして、まず、エネルギー政策の第一の柱といたしまして石油安定供給確保を図ろうという次第でございます。  このためには原油の多面的な確保が先決の問題でございまして、経済協力人的交流を深めまして原油供給多角化を図るとともに、内外の石油開発積極的推進に一層努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。  また、石油備蓄につきましては、民間九十日備蓄ということで政策推進いたしておりますけれども、この九十日備蓄体制達成維持を図ってまいりたいというふうに考えておりますが、あわせまして三千万キロリッター国家備蓄目標達成に向けまして、備蓄基地の建設あるいはタンカー備蓄推進に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、さらに石油関係技術開発等につきまして引き続き努力をしてまいりたいと思いますし、また、消費者に大変大事な問題といたしまして石油流通対策充実に努めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。  以上が石油安定供給確保の内容につきましての簡単な御説明でございます。  それから、電源の問題につきましては最後にまとめて申し上げますのでこれを省略いたしまして、第二に、石油代替エネルギー対策につきまして簡単に申し上げたいと存じます。  石油代替エネルギー対策につきましては、五十五年度に新エネルギー総合開発機構等の設立をお認めいただきましていろいろな制度が発足したわけでございますが、その制度的枠組みを活用いたしまして、五十六年度は引き続きまして施策展開を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。  このために海外炭の探鉱、開発促進でございますとかあるいはLNG利用拡大水力地熱太陽等開発利用促進するとともに、石炭利用技術を初めとする石油代替エネルギー技術開発を積極的に推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  次に、「エネルギー転換促進」でございますが、これは産業におきますエネルギー転換促進といたしまして、先ほどちょっと申し上げましたように、石炭あるいはLNGへの転換促進するための金融、税制上の措置を引き続き拡充強化してまいりたいと考えております。  具体的な問題として、最近クローズアップされておりますソーラーシステムあるいはガス冷房普及促進につきまして一層の推進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、「省エネルギー推進」でございますけれども政府におきましては、先般の総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして今年度の石油消費節減目標を二千五百万キロリッターと設定したわけでございまして、この二千五百万キロリッター消費節約達成するために万全の措置を考えたいというふうに思っております。たとえば冷暖房温度の制限あるいはマイカーの自粛、その他幾つかの運動の目標をつくっておるわけでございますけれども、そういったもろもろの処置の周知徹底を一層図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから石炭につきまして、先ほどちょっと申し落としましたけれども、現在政府におきまして、石炭鉱業審議会石炭政策の新しい展開の諮問をいたしておりまして、大体この八月ごろに答申をいただけるものというふうに期待をいたしております。その答申を踏まえまして、新しい石炭時代におきます石炭政策充実を図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。  その他の項目につきましては、時間の関係がございますので省略をさせていただきまして、次に、電源関係につきまして御説明を申し上げます。  先ほどお配りしました資料の中の「電源立地関係資料」をごらんいただきたいと存じます。  先般、三月の二十五日に電力各社から電気事業法に基づきます電力施設計画が届け出をされたところでございます。この計画によりますと、電力需要昭和六十五年度におきまして、電気事業用で八千百八十六億キロワットアワー程度というふうに見込んでいる次第でございまして、これは五十四年度に対比いたしますと年平均で五・二%程度伸びということになります。また、最大需要電力は一億七千五百七十四万キロワット程度と見込まれておるわけでございまして、年平均にいたしますと六・一%程度伸びというふうに考えている次第でございます。  このように着実に増大してまいります電力需要適確にこたえていくためには、電源開発計画的に進めていく必要がございます。お配りいたしました資料の第一ページをごらんいただきますと、当面の電源開発に関しまして、施設計画によりますと五十六年度に一千百九十四万キロワット、五十七年度に一千九百六十一万キロワットの新たな電源立地電調審で決定されることが期待されておるわけでございます。この中で、原子力につきましてはそれぞれ七基六百六万キロワット、十基一千六十四万キロワットが含まれておる次第でございます。  なお、資料の三ページをごらんいただきますと、電源開発計画どおりに進んだ場合とそうでない場合との二つのケースにつきまして、供給予備率がどう推移するかを示しておる次第でございます。この供給予備率と申しますのは、おおむね八%ないし一〇%が適当であると言われておりますので、電調審決定済み電源しか開発されなかった場合には、六十年度以降電力需給に不安が持たれるようになります。六十三年度以降ば完全に需要供給を上回る、こういう事態になることが懸念されるわけでございます。一方、各社電源開発計画が予定どおり進みますと、六十五年度まで適正予備率確保することができる次第でございます。  資料の二ページに戻っていただきまして、二ページに、今回の施設計画で届け出られました年度末の電源構成電気事業審議会目標あるいは石油代替エネルギー供給目標との対比を示しておるわけでございます。水力LPG及び地熱につきましては若干国の目標を下回る数値となっておりますけれども原子力につきましてはほぼ目標と一致いたしております。また、石炭及びLNG火力目標をかなり上回っておるものとなっておりまして、全体といたしましては、今回の施設計画石油代替エネルギー供給目標等の国の目標とほぼ一致いたしておりまして、電力会社といたしまして国の目標の実現に向けて努力する旨の決意の表明と言えるかと思っておる次第でございます。  しかしながら、この計画は容易に達成できるものではございません。特に原子力につきましては、難航いたしております立地促進に官民を挙げて最大限の努力を積み重ねていく必要があろうかと思います。幸いにいたしまして、五十五年度の電調審決定規模は一千九百四十四万キロワットと史上最高数値が示されたわけでございまして、この中には原子力が二年三カ月ぶりに三基三百二万キロワット含まれておる次第でございます。しかしながら、資料四ページの表をごらんいただきますとおわかりのように、五十四年度以前の決定状況は必ずしも芳しいものではございませんでした。五十五年度におきます順調な電調審決定を五十六年度以降も維持することは、なかなか容易ではないというふうに考えている次第でございます。  六十年代の電力需給の安定はいま考えておかないと達成がむずかしいわけでございまして、資料の七ページをごらんいただきますと、原子力の例でリードタイムが示されておる次第でございます。計画地点の選定から運転開始まで九年程度で済んでおりましたものが、現在は十五年程度まで延びていることがおわかりいただけると思います。六十五年度を目標といたしました電源開発につきましては、この数年のうちにめどを立てる必要が生じてきておるわけでございます。  このため、政府といたしましては、安全性確保に万全を期することを大前提といたしまして、電源立地地域地域振興地元福祉の向上を図り、電源立地につきましての地元理解増進に努めてまいりたいと考えている次第でございます。  五十六年度からは、従来から実施しておりました電源立地促進対策交付金に加えまして、原子力発電施設等周辺地域交付金及び電力移出県等交付金から成る電源立地特別交付金並びに水力発電施設周辺地域交付金が創設されておりまして、これらの交付金を活用しながら地元理解増進を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。  また、PAパブリックアクセプタンス事業につきましても、現在要対策重要電源といたしまして指定されております二十八地点中心に、通産政務次官に現地に行っていただくなど機動的なパブリックアクセプタンス事業推進してまいりましたけれども、今後とも必要に応じ地点の追加を行うなど、より積極的な活動をしてまいりたいと考えている次第でございます。  なお、五十六年度から施設計画掲上前立地初期段階地点におきましても、調査広報等PA事業展開することとしておりますので、従来の施策と相まって電源立地推進に寄与するものと考えている次第でございます。  最後に重ねて申し上げたいと存じますが、地元理解協力をいただくためには、原子力につきましては何といいましても安全性確保が最も重要というふうに認識しております。今後とも安全性確保に万全を期しまして、冒頭に申し上げましたように、今回の敦賀発電所におきますような事故が再び繰り返されることのないように十分なる対応策を考えてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第でございます。  以上でございます。
  4. 島村宜伸

    島村委員長 次に、電源立地問題について調査を進めてまいりたいと存じます。  本日は、参考人として、原子力発電関係団体協議会会長福井県知事中川平太夫君政策科学研究所理事長笠井章弘君、東京電力株式会社企画室長依田直君、以上三名の方々の御出席をお願いいたしております。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  ただいま政府当局から電源立地計画現状見通しについて説明を徴したところでありますが、電源開発についてリードタイムがかかり過ぎることは、わが国エネルギー政策の長期安定的な確立にとって大きなマイナス要因であると言わなければなりません。この機会に、電源立地問題について広範な国民のコンセンサスを得られるような問題点の解明を進めるため論議を深めることは、本小委員会に課せられた使命であると存じます。  参考人各位におかれましては、本問題について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせ願いたいと存じます。  議事の順序といたしましては、まず参考人各位からお一人十五分程度意見をお述べいただきました後、懇談に入りたいと存じます。  それでは、中川参考人にお願いいたします。
  5. 中川平太夫

    中川参考人 私は、原子力発電関係団体協議会会長福井県知事中川平太夫でございます。  まず初めに、わが福井県における原子力行政に対する基本姿勢と、立地現状について御説明を申し上げます。  本県では、地域住民の健康と安全を守る立場から、まず第一に、安全性確保されること、第二に、地域住民理解と同意が得られること、そして第三に、地域恒久的福祉がもたらされることの三つ原則基本にいたしまして、今日まで慎重に対処してまいったわけでございます。  県は、立地市町とともに、施設設置者発電所周辺環境安全確保中心とした安全協定等を締結いたしますと同時に、環境放射能監視温排水影響調査等安全確認体制充実強化を図りまして、地域の全世帯を対象にした原子力広報を初め、地域振興策防災対策等に全力を傾倒してまいっているところでございます。  その結果、わが福井県では、九基六百十九万キロワットの原子力発電所立地をされておる次第でございます。こういう立場では、わが国における原子力発電パイオニア的役割りを果たし、石油代替エネルギー開発が緊要な国家的課題とされている中で、国のエネルギー政策にも協力してまいったと自負いたしております。六百十九万キロワットは、いまの全国の原子力発電所設備能力の約四〇%でございます。  また、昨年来からは、スリーマイルアイランドの事故や国内での相次ぐ事故故障等の後遺症からもようやく抜け出しまして、関西電力株式会社高浜原子力発電所の三、四号機、各百十七万キロワット近くのもの二基が昨年の十二月に着工を始めたわけでございますし、ただいま日本原子力発電株式会社敦賀原子力発電所の一号機が事故を起こしたのでございますが、その隣に百十万キロワットの大型の二号炉の準備が進んでおりまして、いま原子力安全委員会による安全審査中でございます。その他、この敦賀半島敦賀市の白木地区というのがあるのでございますが、ここのわが国最初高速増殖炉「もんじゅ」について、ただいま科学技術庁による安全審査が行われているわけでございまして、今後これらが具体的に取り組む段階を迎えようといたしておる次第でございます。  先ほど申し上げましたとおり、福井県では、新増設ないしは計画中のものを含めますと、合計十三基九百三十七万キロワットにも及んでおる次第でございますが、このことは、福井県なりに原電行政に取り組む三つ原則を掲げまして、その中でもとりわけ第一の原則でございます安全が確保されることを最重点といたしまして、その都度慎重に対処をしてまいりました。これらの点は、各県とも共通の問題だと存じておる次第でございます。  かかる点から、次に安全性の問題について申し上げたいと存じます。  原子力開発利用を進めるに当たりましては、言うまでもなく安全性確保大前提であることは申し上げる必要もございません。安全性確保こそが原子力発電の円滑な推進のための国民的合意を得られる基本的要件であると考えておるのでございます。  先ほどは、昨年来福井県の原電の新増設問題がようやく軌道に乗りつつあることを申し上げましたが、今回の日本原電敦賀一号機の事件は、十数年来培われてまいりましたこの安全性に対する地域住民信頼感を一朝にしてぬぐい去りまして、立地県、市町村の努力とはうらはらに、きわめて不信感を増大していると言わざるを得ない現状でございます。一昨年来から、大飯一号機の思わざるECCSの作動、あるいは高浜二号機の水漏れ等事故がございましたけれども、これは炉の中のことでございまして、今回は炉の外であった事故でございますし、建屋の中にそうしたものを閉じ込めてしまうんだという原則を外れてしまったわけでございまして、放射能建屋の外へ出てしまったわけでございます。そういう点では、従来の事故なり故障とは非常に趣を異にいたしておりますし、もう一つは、隠しがあったということに  ついては、これはもうよほどのことを考えないと、この疑いを取り除くことはむずかしいと私は思っておるのでございます。こういう点で、私ども素人といたしまして、たとえばただいま通産省がいろいろ調査されましてそれを御発表になる、あるいは従来にございました大飯事故あるいは高浜事故、これらも監督官庁でございます立場からいろいろ調査になりまして御発表なさるのでございますが、この御発表を承りながら、だれが考えても容易に理解できるような単純な操作のミスでございましたし、またわれわれが容易に考えることができない、ステンレス性の栓でなければならないのがしんちゅう合金の栓であった、しんちゅう合金の栓が必要でないところにしんちゅう合金の栓が置いてあって、それを作業員が間違えたのだというような、どうも素人が考えて、必要のないところになぜそれが置いてあったんだ、あったから間違ったのじゃないか。であるとするならば、もっとどこかにも使っておるのだろうというような疑いが持たれるような簡単なことが間違いとして言われておるわけでございます。そういうようなことがかつてございましたのは、美浜一号機の燃料棒折損事故隠しが約三年間ぐらいわからなかった、隠してあったというようなことも今日までにございまして、そういう点で今回の事故について、いろいろ政府は御調査になっても、そういう素人が考えるような事柄が、どうしても素人に納得することができないままに置かれておりまして、こういう事故隠しにつきましては本当に残念であったというように思っておるわけでございます。  しかし、この巨大な施設を運用管理する、これは人の問題でございますし、また仕組みの問題でございます。そして、設置者自体の体質の問題でもあろうかと思うのでございますが、このようなことは社会的にも、企業と政府も大きな責任を持っていただかなければならぬというように私は思っておる次第でございます。  県といたしましては、今日まで地域住民の健康と安全を守る地方自治体としての立場から、法的な権限は全くございませんけれども、県民の生命を守るという立場から独自で諸対策に積極的に取り組んでまいった次第でございます。原子力発電所が何基設置されまして、若狭湾は原発の銀座だと言われておるほど設置されておりますけれども、そのために府県に特別に国家からいただくという金はきわめてわずかでございます。しかし、わが県のような小さな県でも原発が設置をされておりますだけに、約四十名近くの職員をそのために使っておるのです。これはすべて、言われなくても、交付税をもらわなくても、県民の生命、財産を守るという、あるいは環境を守るという立場に立ちまして知事がやらなければならない責任だと存じておるわけでございますが、今日まで安全問題は国任せにしてくれというような立場でいつも臨んでまいられましたが、今回はからずもこの事故隠しの発見になったのは、新聞報道とは別に、あそこの環境放射能調査をやりまして、福井県の衛研がホンダワラを採取してこれを調査いたしました結果が火つけになりまして、おかしいではございませんか、調査してくださいということから、これは明らかになったのでございます。大変皮肉な現象であったと思うのです。  それから、協定はございますけれども、何の権限もございませんから、相手方の承諾がなければなかなか中に立ち入ることができないのでございますが、まあ、ようやく相手方が、立ち入ってごらんくださいということになりまして、わが県の専門の職員が入りましたところが、その建屋の下にマンホールがあった。それもわが福井県の技術職員が発見をしたわけであります。  こんなようなわけでございまして、信頼をいたしておりました、また監督官庁である政府が御発見にならずに、そうしたことが、皮肉にも何の権限もない地方自治体が発見をしたというようなことになったことは、まことに残念であったと思う次第でございます。国におかれましては、今回のこういうような事例を契機に、まずさんざんお願いを申し上げまして運転管理専門官制度をおつくりいただいたわけでございますが、この権限をやはり充実強化をしていただかなければならないと思います。  私どもは、幾つかの重要港湾を持っておるのでございますが、重要港湾を建設する場合には運輸省の建設事務所がその地にやってまいりまして直接発注をして、設計監理を運輸省がいたしておるわけでございます。原電の場合には、企業におやらせになるわけでございますから、当然企業を信じておやらせになっておるわけでございますし、また企業はそれにこたえなければならないわけでございますけれども、ちょっと過ちを犯しますと取り返しのつかない問題になりますので、直接国の責任ある立場の方が原電のサイドに駐在をしてくださいまして、その人が国にかわってその原子力発電所の運転管理の状況を絶えず監視をしていただき、同時にお願いをいたしたいというのが私どものねらいでございましたが、そのように人員の配置をしていただいたのでございますけれども、どうも今回のいろいろな報告を承っておりますと、この方々にはそれにふさわしい権限が与えられてなかったようでございます。こういう点も含めて、また人の問題も含めまして、それぞれひとつ適切な措置をおとりくださいますようにお願いを申し上げる次第でございます。  また、安全協定というのは紳士協約でございまして、法律には、何の裏づけもございません。そこで、こうしたことが起こりますと、地方自治体の役割りもやはり明確にしていただく必要があるのではなかろうかと私は思うのでございます。同意したらそれで終わり、あとは全部国が管理監督をするんだというたてまえになっておるわけでございますが、立地の市町とか立地の県というものは、やはりそれだけでは住民に御納得いただける立場に立つことができないように思われてならないのでございます。こういう点は、今回の事故が、わが福井県が自分を守る立場で自由にやっておった姿の中から発見をされたということをごらんいただいてもおわかりだと私は思うのでございます。  さらに、これはもう、従来現実に幾つも問題がございますが、全部、ああそうか、なるほどそうだなというように腹の中から打ち解けて理解ができたというような答えがなかなか出ておらない。こういう点を思いますと、人は本来的に、過ちを犯したら隠したいものなんです。正直がいかにりっぱだと言われても、本来、だれもわからぬからと、これは本能なんです。だから原電についても、それは私も、作業時に過ちを犯して、こんなことは大したことない、黙っておれというのは本能であったと思うのです。だから、それがあたりまえだという形にお考えをいただいて、事故隠しをすることができないような仕組みというものを、これは疑ってはいけないと思いますけれども疑いながらおつくりをいただく、そして今度はそれを私ども説明を受け、従来の体験から割り出して、ああ、これならもう事故隠しというものはないな、今度はできないぞ、それはもう信用できるぞというような状態になるように、失われた信頼の回復に全力をお挙げいただきたいというように私は願う次第でございます。それがなければ原子力行政の今後の前進はあり得ない、原電立地促進はあり得ないというように私は思う次第でございます。  さて、原電立地促進に当たっては、その立地を契機に地域の総合的な振興を図りたいと期待をしておりますが、そのことが三つ原則であります地域に恒久的な福祉をもたらすことにもつながるものと考えておるのでございますが、安全が確保されなければだれも同意しないわけでございますから、安全の確保ということは地域住民の同意につながっていくと私は思うのでございます。原子力発電所というのは一たん立地をいたしますと、地域住民は、事故があるなしにかかわらず、もう永遠にそうした危ないのだという、これはもう間違ったら大変なことになるのだという危険の負担だけは消えないのです。だから、危険の負担は、三年か五年か金をやるぞ、固定資産税を払うぞ、では終わらないと私は思うのであります。  わが国原子力発電所がトイレなき住宅だと言われておりますが、今度起きたのは、不幸にしてそのトイレがないために起きたわけでございます。これをどうするのだという答えを出さずに前進をしておるわけでございますが、これを聞かれると私も答えようがないのでございます。だから、そのこととは別に、一遍原電立地をしたら永遠に、子々孫々に至るまで危険の負担を担ぐのだから、それで君らの地域はそのために物を与えるとか建物を建ててやるというのではなしに、その地域の産業や経済が発展をして住民は永遠に幸せになれるのだ、やはりそういうことを願わなければならないと思うのでございますが、従来からこの三番目の問題が一番課題にされてまいってきておるわけでございます。  しかしながら、今日まで国におかれましても、電源開発促進税法を初めとする電源三法や各種の交付金制度をつくっていただきまして、地域住民にこたえていただいておりまして、まことにありがたい結構なことだと思っておるのでございますが、これは必ずしもその地域住民のニーズに沿っていないというのが現状でございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、還元策というのは一時的でございまして、あめ玉が三年か五年するとなくなるということになるわけでございます。したがって、地域の恒久的な振興に結びついていないという課題をいま担ぎまして、これを何とか切り開いていただく道をひとつお願いいたしたい。あるいは、現在のこの交付金制度では公共施設中心に整備が行われており、産業振興あるいはそういうことを中心にした過疎の地の雇用の機会を創出する面が非常に少ないという点が、やはり私どもとしてはお願いをしたい点でございます。第三には、地域還元が市町村を単位としてとらえられておりますので、これは広げようがないのかもわかりませんが、周辺地域全体の開発整備が行われない、面というような広さにおける開発整備が行われないというような問題が実はあるわけでございます。  わが福井県は、年間に二百八十一億キロワットアワーの電力が生産をされておるのでございますけれども、わが福井県で消費される電力は年間に三十八億キロワットアワーでございまして、実は総発電量の八六%が京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、近畿に送り出されていくわけでございます。それだけの発電をしながら約九〇%が自分の地元で消費されない、消費地へ送り出されるわけでございますから、言うなれば、関西方面の大消費地のために地域住民は危険を負担して発電に応じた、こういうように言えるわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、その電力が生産県の産業振興等には活用されずに大消費地で消費されまして、その消費地では消費した電力から電気税が集まっておるわけでございます。それは消費地の都道府県に還元をされておるわけでございます。ところが、発電については何の還元もない。したがって発電税をいただきたい、そんな考え方が出てくるわけでございます。海浜の過疎の果ての地に、貧しいとま屋に住んでおる老人を仮に思い出すといたしますと、隣の発電所から受ける電気料金も、大阪の中心でネオンをつけて歓楽を楽しんでおる電気料金も一緒でございまして、そのお隣の人は生涯子々孫々に至るまで危険負担を担いで、そして電力を消費する地では電気税というようなものを消費量によって地方自治体に払っておる。そんなことを思いますと、何かこれはちょっと直していただきたい問題があるように、私はいつも感じておるわけでございます。  そういう点で原子力発電関係団体協議会におきましても、本来の地域別料金制度の導入あるいは原電地域の恒久的な振興を図るための特別立法の制定を強く要望しておるわけでございますので、どうか速やかなる制定をお願い申し上げる次第でございます。  最後に、その他の問題について申し上げます。  その一つは、ただいま申し上げました地域別電気料金制度、つまり原子力発電施設等周辺地域交付金という形で今回はお取り扱いになられまして、電力会社の電力料金に上乗せして徴収をされまして、それが税として国会に認められまして、それが今度はさらにプールをされまして、電力料金を安くした分だけこの交付金電力会社に交付される仕組みでございます。これは、その限りにおいてはいま直ちにはその方法しかないのかもわかりませんが、やはり今後わが国の電力全体というものをどうするのかという点で、改めて、先ほど私が申し上げましたような、発電をたくさんしておる県、そして消費をたくさんしておる県という両面からの立場に立っていろいろ問題を御支援いただく、適切な措置を講じていただきたいと思うわけでございます。  皆さん御承知のように、東京電力の料金と東北電力の料金とが逆転をしてまいりまして、しかも東京電力の料金の値上げが低かったのは、福島県内にある東京電力の原子力発電の量によって上がらなかったし、東北電力には原子力発電がなかったので電力料金が逆転して東北電力管内の工場の誘致が非常にむずかしいとか、住民は、東京の人のために発電して自分たちには何にもならぬとか、いろいろ問題が出てきておりますが、今後そういう問題が至るところに出てくるように思われるのであります。ただ福井県の場合には、北陸電力が九電力中最低料金でございます。その次が関西電力でございます。関西電力は八番目、北電が九番目でございますので、なかなかその逆転がございませんので、いま東京、東北におけるような同じ問題はございませんけれども、いま申しましたような考え方は、立地県各県に実は共通をいたしておるというようにお考えを賜りたいと存じます。  そして、これをやるにつきまして、いろいろ御検討いただいておるのだろうと思いますが、立地市町村あるいは隣接市町村、これは従来の交付金が配分された地域でございまして、その地域の人の協力という点でこういうようにお取り上げになったのだと思いますが、私どもは、実はそれだけではなかなか腹がふくれないのでございます。なぜなれば、電調審地元県の知事の同意が法令上定められておるわけでございます。この間も敦賀事故で反対の人々が参りまして、そして私に申しましたのは、知事、若狭湾が原電銀座と言われるほど集中したのは君が認めたからだよ、こう言われたのです、知事が認めたからできたのですよと。こういう立場を考えますと、これは私は、府県単位にどうしてもお考えいただかなければならない。また、私には何の権限もございませんが、住民を守る立場から四十名の職員を擁して原電の行政対策に当たっておりますというような点を先ほど申し上げました。これを市町村にやれと言っている方が無理であります。そういう考え方をいたしますと、府県単位にお考えいただくというように実はお願いを申し上げたいというわけでございます。  今回の敦賀原発のケースは申すに及ばず、しばしば申し上げましたように、廃炉に至るまで、どこかへ持っていってお捨てになるまでは避けて通れないのが地元県の知事の立場でございます。したがって、こうした制度の運用に当たりましては、立地促進を最終のねらいとされておるわけでございますから、単に隣接をしておる云々で機械的にお考えにならずに、よく立地県に御相談をいただきたいというように思っておる次第でございます。  ちょっとおもしろいお話を申し上げますが、大飯原子力発電所、関電の一、二号機立地のときにその町がもめまして、誘致をしようという町長のリコールが実は始まったのでございます。そこで私、これは大変困ったと思いまして、時岡民雄という町長でございますが、町長に、あなたはリコールを受けないで、残念だけれどもとにかく町長をやめなさいと言って、町長のリコールをとめさしたのでございます。そのリコール運動を一体だれが指導したのか。これは反対する人々が住民指導してくれたのでございますけれども、一番よく指導したのは京都府の府庁の職員、舞鶴市の市役所の職員労働組合の幹部の方々が仕事のようにやってまいりまして、福井県の住民に目覚めなさいという指導を実はしてくれました。その指導がもとになりましてリコールが始まろうとしておるので、仕方なしに町長をやめさした。次には反対派の町長しか出られないわけでございますから、その間私どもが参りまして調整をして、次の町長を立てて、次の町長が転換をさせるのに一年以上かかったという歴史があるのであります。ところが交付税がもらえるようになったら、おまえのところは隣だというて、舞鶴とか綾部市まであたりまえのように金が行きまして、実は腹が立って仕方がなかったことがあるのでございます。こういう点で、原子力の何たるかを、広報活動も何もしたこともない山の向こうの別の府県まで対等に交付税が参るというようなことについては、私は、本当に立地県の苦労をもう少し認めていただきたいというように実は強く思うわけでございます。  また、そういう点ではだんだんと政府においてもお考えをいただけるようになってまいったことには間違いございません。これはありがたいことだ、福井県の敦賀に発電所ができるので、われわれは山の向こうで何にも見えないけれども、思わぬ金をたくさんいただくのだ。それはいいわけです。その府県にとってはいいわけでございますけれども、進める苦労を重ねるわれわれの側にとっては、欲も重なりましてそういうことを実は思った次第でございます。こういうことにつきましては、今後ともいろいろとまたお考えをいただきましてへ使用の目的の拡大や制限の撤廃等をお願いをいたしたいというように思っている次第でございます。  また、二つ目には核燃料税がございます。これは原子力発電所がとまりますと、予定のようにはなかなか税金がいただけないわけでございます。これは五年間で二百億ということで、法定外普通税として自治省からお許しをいただいたわけでございますが、五カ年の時限つきでございます。ところが事故があり、故障がありして休んでおりますので、五年が参りましてもとても二百億の半分にも満たないような程度現状でございます。こういうものにつきましても、そうした状態をよくお調べの上で、私どもとしては期限延長をお願いいたしたいというように実は思っておるのでございますが、このうちの四割は立地市町村に改めて交付をいたすわけでございますし、六割は地元の県有の、一番には道路等を直す財源に充てておるわけでございまして、その金が来たから府県がのうのうと目的以外のところに決して使っておるのではないのでございます。こういう点につきましても、ひとつよくお考えを賜りたいというようにお願いを申し上げる次第でございます。  また、防災対策でございますが、これはいま鋭意取りまとめ中でございますけれども、一遍避難訓練をやれという声が盛んに出てまいるのであります。そんなことをやる必要はございませんというように今日までお断りをしてまいりましたし、また、いま私は、わざわざそういうことをやる必要がないのだというように思っておりますが、仮に事故隠しが大問題になったといたしますと、これは取り返しがつかないということになりますので、りっぱな防災計画だけはつくっておきまして常時住民の方にも御説明を申し上げまして、このときに指図と同時に、自分たちがやっていただくことだけは明確にしておかなければならないなというように思っておるわけでございます。  三番目には、電源立地促進対策交付金でございますが、これも先ほど申し上げましたようなわけでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。宣伝のための交付金でございますが、これも宣伝をする必要のないところまで交付金が来ておるというようなわけでございますので、お改めいただきたいと思います。  四番目は、固定資産税の問題でございます。  これは、耐用年数の改正をお願いしたいと思っておりますのは、現行は償却十五年になっておるわけでございますが、実施設計を承りますと耐用年数は三十年でございます。だから、一遍にたくさんの利益金を払わぬで十五年で償却し終わるというように、片方では、税の方面では言われておりますが、しかし、実施設計の方では三十年というように決められておりますので、これは安定的な立地市町村の財源になり得るように、三十年という年数にお改めをいただきたいと私は思っておるわけでございます。  また、その五つは、先ほど申し上げました防災対策でございます。  この中で、とにかく原子力災害というのは目に見えないのでございまして、わかったころにはもう勝負が終わってしまっておる。私、一月に大雪害を受けたわけでございますが、雪は目に見えるわけです。だから、払いのけて通らなければならぬから大騒ぎになりますけれども、払いのける努力はされるのです。ところがこの場合には、目に見えない。わかるようになったら、それは終わってしまっているわけです。というわけでございますので、一般の災害の法律の中でこれに当たってもらうというのはどうも私は心もとないのでございます。そのための特別の立法、あるいは今回の事故隠しの一連の中から国及び地方自治体の役割りを明確にしていただきたい、また、それの財源措置をお願いしたいというように思っておるようなわけでございます。  以上、私は、今日までの電源立地に伴う安全性確保問題、地域の振興対策等の現状課題について細かく申し上げた次第でございますが、地域住民理解協力が得られまして、原子力発電所地域の社会と永久に共存していくためにはやはり徹底した安全対策、そして地域の恒久的な振興を図ることが必要だと存じておりますので、諸先生方におかれましては、どうかひとつ立地県の事情をよろしく御理解賜りまして、今後とも振興策に一段とお力添えを賜りますようお願いを申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  6. 島村宜伸

    島村委員長 次に、笠井参考人にお願いいたします。
  7. 笠井章弘

    笠井参考人 大分時間が過ぎたようですので、十五分、短く要点だけを申し上げたいと思います。私の方は地域の代表ではございませんので、少し広範な視点で、原発立地に合意形成がなかなかうまくいかないのはどんな原因があるかというところに重点を置いて御報告申し上げたいと思います。  大きく話を分けまして、社会全体レベルの問題としてはどんな問題があるか、次は、地域社会レベルではどんな問題があるか、第三番目は、いま中川知事さんがお話しになりましたように、関連主体、電力会社政府、市町村という関連主体レベルではどんな問題があるか、それから四番目には、従来の合意形成の推進方式にはどんな問題があるか、五番目に、これはその他として、実は原発立地推進を進めている間にいろいろな地域社会の思わざる問題が噴出して、電源立地問題の解決じゃなくて、ほかの問題を解決しないと電源立地推進がなかなか進まないというような問題がございますので、一応その五つに分けて申し上げます。  いま申し上げた順序で行きますと話が少し長くなるので、飛ばしながら重要な問題点だけ申し上げます。  社会全体レベルの問題としては、これは皆さんよく御存じのように、原発立地のみならず、いま新しい大きな土木工事を始められている道路にしても新幹線にしても同じような問題が起こるわけです。たとえば東北新幹線、東北高速道路でも同じですが、高速道路と新幹線はウエルカムである、ただ線路や道路がわが家の隣に来ては困る。エネルギー問題で言えば、石油ショック以来、確かに石油の代替エネルギー開発は、全国調査をすると、必要である、代替エネルギーの本命の原子力でやるのはどうかというと、これは重要であるという御指摘があるのですが、実際に今度は原発立地をやる地域に行きますと、全体としては賛成の方が自分の地域に来るのは反対である、そういう社会的風潮といいますか、一般的問題点が社会全体のレベルでは第一の問題点。  それに関連して、地方の時代あるいは自分の権利を主張する、幾つかのグループをつくって権利を主張するという風潮が公害反対運動以降いろいろな形で出てきている。これは都市でもあるわけでございます。そういう風潮が地域社会にもどんどん浸透していくというような問題もあるわけです。こういうことを考えていまして、一つ、「あなたの地域で何かもめごとが起こったとしたら、あなたはどうされますか」という全国レベルのアンケート調査をしたところ、「仲間と一緒に解決をはかる」、「もめごとを解決するために先頭に立って活動する」という答えが三分の二を占めているわけです。「しばらく事態を見守る」、静観するというのが三分の一です。したがって、こういう社会的、一般的な風潮というものが原発立地には相当大きな影響として基本的に流れているということを御理解いただきたいと思います。  二番目の問題は、原発立地で問題が起こりますのは計画の以前の事前調査あるいは計画の初期の段階、その辺に非常に問題が起こるものですから立地が進まないわけです。この問題については、いま県知事さんからの御報告もありましたけれども、県に権限がない、市町村にも権限が少ないということが一つ地域にとっては問題になる。住民の団体が言っていることのほとんどを調べてみますと、住民を無視した頭越しの交渉である。頭越しの交渉というのは住民だけでなくて、県知事さんもおっしゃっておるように、市町村長さんが一番かっこう悪いです。電力会社は国の方に報告はするのですが、市町村にはしない。発電立地の市町村は、後でいろいろな事件が起こったことを聞くというような形であるわけです。こういうように住民の権利主張が非常に強くなってきた時代に、住民の頭越しにいろいろなことが決められるということに対して相当文句が出ています。これは住民だけではなくて、いまの福井県知事さんの中川さんの方も頭越しにやられているお一人かと思います。  それから、全国レベルの調査で一番問題になってくるのは安全性の問題で、もちろんこれは技術的な問題が入ってきます。安全性の問題で一番関心のあるのは廃棄物処理、放射線障害、安全保安体制、その三つが大体大きな問題として出てきております。  細々したことは後で御質問があったらするとして、第二の問題の地域社会レベルの問題点について申し上げます。  これは、地域の将来展望をはっきり出すか出さないかによって、賛成、反対が非常に変わってくる。これは原発立地によって生業転換だとか居住地あるいは耕作地の移転が行われるわけですが、生活環境が非常に大きく変わるわけです。御存じのように、原発の立地地域は主として過疎の地域が多いわけで、産業は漁業、農業というような一次産業が多いわけです。したがいまして、こういう長年一次産業に従事された方は、生業転換に対して非常に適応が遅いという調査研究もございます。したがいまして、こういう人たちを説得するということには、いままでと違う説得の仕方が必要ではないか。  たとえば、先ほど長官からの御説明がありましたけれども、電力の見通しに従った原発の見通しがあって、それで立地を選ぶわけですが、そういう問題と、地域に生活している人たちが、自分の地域があるいは自分の生業が変わったときに後の生活設計が果たしてうまくいくかどうか。電力あるいはエネルギーの筋といいますか、そういうコンテクストからは話はわかるのですけれども、自分たちの地域の発展なり自分の生活設計の長期の見通しというのは非常に立てにくい。逆に言えば、農業、漁業中心にはそれなりな長期展望は自分たちはいままでやってきたので持っていますが、変わった場合にどうなるかということが問題になる。したがって、地縁的なあるいは包括的ないままでの——漁協というような組織がその組織の代表かもしれませんが、既存の組織がそのまま抵抗運動の組織になるということが一つあります。  それから、農業、漁業など一次産業の場合は、都市型の産業と違って、個人の個別の選択というよりも地域集団、漁民なら漁協、農民なら農協という地域集団として選択しないと生きていけない、ひとりではなかなかいかないということがありますものですから、この立地の反対の運動は非常にむずかしい問題があります。  第三番目の関連主体レベルの問題ですが、これは、先ほど知事さんがお話しした県の頭越しの交渉にも結びつく問題ですが、もう一つ、現在の推進側は、電力会社と行政が大体中心のセクターだと考えられます。これの役割り分担の問題、特に権限の問題がこれでいいのかどうかということについて幾つかの疑問が出されております。  電力会社は、御存じのように電力の安定供給の義務はあるのですが、義務を遂行するための特別な権限を持っているわけではございません。これは私の友人の比喩なんですが、いま警備保障会社というのがたくさんございます。ここもやっておられると思いますが、警察の機能を果たすことを義務づけられている警備会社が実は警察機能を持っていない、警備会社と同じようなのが電力会社じゃないかという表現をしている私の友人もございます。電力会社は一体どんな手段でもって立地の交渉をしているかというと、説得とお金しかございません。だから、相手方が拒否すれば交渉は長期化する。女川が決まりましたけれども十二年くらいかかっておるのは、そういうことも一つの原因かと思います。責任があって本腰を入れて交渉に当たっている電力会社は、そういう意味では力がないわけです、権限を持っていないわけですから。  ところが、権限のある行政はなかなか交渉の激しいところには出てきません。最終的に出てこられるわけですが、いままでの実態調査によると、出るのは大変遅かったような気もいたします。法律の方から言えば、安全監視報告義務、許認可権限、これはすべて国が握っているわけで、中川さんの御指摘のように、地方自治体は直接何にも持っておりませんし、また、今度の事故でもおわかりのように、地方自治体は直接原子力発電を停止させることもできないわけです。  電力会社、中央政府、それから県という三つのレベルの問題点を申し上げたわけですが、この関係を今後どういうふうに新しく改められ、拡充されていくかというのも、合意形成の一つの重要なポイントかと思います。  ちょっとこれは離れますが、いまの関連主体のレベルのとは離れて、これは全国レベルの方に入れた方がいいかもしれませんけれども、たとえば東京における言論界、あるいは学者先生方の原子力問題に関する合意というのが得られていない、あるいは地域住民以上に学者間の亀裂の方が深いのではないかというような気が私にはしております。そういうものがテレビを通じ、新聞、ラジオを通じて流されてくる、そういうことの影響というのは、直接の阻害要因ではないかもしれませんけれども、実は重要な突破すべき課題の一つというように思います。  次は、推進方式レベルにおける問題点。これには二つございます。  第一は、参加の問題があります。先ほど申し上げたように、権限のない電力会社地元を相手に最初は孤軍奮闘しているわけです。国は、地方自治体に協力は要請するし、電源三法その他の援助はしているわけです。しかし、具体的支援は立地交渉段階では何もないわけです。この立地交渉段階というのが最初のステップで一番問題がある。いままで合意形成が得られない最大のプロセスがここに集中しているために、この辺の新しい改善というものが要望されているわけです。実際方々調べて見ますと一つおもしろい問題にぶつかりまして、初めは反対住民地域社会として対立していたのですが、今度は地方自治体、地元の町だとか村、たとえば村当局、町当局が合意した。それで今度は住民の一部のグループだけが反対。都会の方から反対運動を応援に来る。そうなりますと、賛成した町、村の当局が企業と癒着したということを言われている。それで非常に町の行政一般がやりにくくなったというようなこともございます。ですから、推進方式としてどういう問題があるかといえば、そういういま申し上げた関連主体の問題と、参加のときに、どういう時期にだれがどんな形で参加するかということを、もう少し明確化する必要があるのじゃないか。  推進方式の現在の一番問題点というのは、複数の交渉相手のすべてと個別に交渉を成立させるということをしなければ交渉が妥結したとは言わないわけです。この辺が現在の合意形成の問題の非常に困難な理由でございます。たとえば事前の地質調査、環境調査段階。一方で議会の決議によって誘致が決まった。他方で地権者や漁業の拒否に遭って再度振り出しに戻される。漁業権消滅とかかわりのない隣の漁民の反対で膠着状態。まさにこういういまの決定方式、個別に全部調わないと一歩も進まないということが問題です。よく例に使われるのは国連の安全保障理事会ですか、あの拒否権と同じじゃないかということを言われるのは、こういう推進方式、交渉方式の問題点です。これは非常にぼくはむずかしいことだと思いますが、国連もあれを変えたわけではございませんし、拒否権原理というのは、さっき申し上げた個別の交渉を全部成立させなければ全体がだめだということとつながるわけですが、これをそうじゃない多数決なら多数決、あるいは再び振り出しに戻って再度第三者が審議するとか、いろいろな工夫があると思いますけれども、この辺も新しく検討される課題だと思います。  最後に、決定段階問題点ですが、補償の問題がここでは一番大きく出てくるような気がします。補償というのは、実は東京電力の福島一号炉、それからこの間の女川で十二年間ぐらい間があるのですが、漁業補償だけとってみて、一応これは私の計算ですから当たっているかどうか知りませんが、大体一キロワットアワー当たり九百倍ぐらいになっている。こんなに十年間で上がったものは一つもないのじゃないか。しかし、これが正しいあり方かどうかというのは、正当な補償の基準がないということ。私は、それが多いと言っているわけではございません。正当な補償の基準がないとこういうことも起こり得るということを申し上げたいと思います。したがって、補償問題というものは一体現在現状はどうなっているかというと、補償の基準がないから、ごねて長引かせると結局最後電力会社が譲歩して、ごね得になるというメカニズムが現在あるわけです。これもPAの問題としては重要な課題であると思います。補償は、正当な基準はだれが決めるかという問題を含めて、御検討願いたいと思います。  最後にその他の問題、五番目ですが、これはうちの研究所で方々調べた結果出てきたものですが、原発立地推進をやっていくと、いままでその地域に潜在していた問題が顕在化してくるということが幾つかあるわけです。  たとえば、伝統的な社会ですから、農業社会、漁業社会、漁村というものは日常生活が慣行権で守られているわけです。慣行権の具体例としては入会権や入浜権、里道権なんかがそれに入るわけでして、これは福井県さんでもよく御存じのことだと思いますけれども、こういう権利は通常、部落単位の共同の権利になっているわけです。こういう権利を度外視してさっと立地計画を出すと、もう無言の抵抗が出てくる。たとえば薪をとるとかキノコをとるための入会地、あるいは漁船を干したり魚を干したりするための入浜の里道、こういうものを計画の中にさっと入れると、それによっていままで長年生活してきた者に必ず反発が起こる。もう一つ申し上げますと、いままで水を小河川からとっていたような地域ですと、そこに大きな発電所ができて水をたくさん使ったりすると、これからの水はどうするのか、農民にとって一番必要な水の問題が出てくる。このほかにも幾つかありますけれども、時間の関係でもうおしまいにしますが、原発立地によって、推進によって初めてその地域の昔からのしこりあるいはほかの生活、ほかの産業、そういうものから出てくる問題点がある。  もう一つ、そういうこととは全然別に、原発立地が大きな熱を出したりなんかするために、お魚の生態が変わる、回遊の経路が変わる。非常に簡単に言ってしまうと、海流、潮流が変わるから漁業の方式を変えなければいけないのじゃないかというような問題。それから、これは地震多発県なんか、あるいは大地震を経験した県なんかが非常に問題にしていますが、火事だけでなくて、熱気流が出て気象が変わってくる。霧が発生して船が衝突してというような、原発の立地対策の範囲ではとてもカバーできないような問題も多く問題として提起されております。  したがって、いま五つの領域にわたって問題点だけを御紹介しましたが、これについてどう考えるかということが一つあるわけです。特に第一の安全性の問題は、中川知事さんがおっしゃったように非常に大きな問題でありますので、それが第一であり、その次が、いま五つの分類で申し上げた問題点をどうカバーしていくかというのが第二。第三の問題は、その他で申し上げた、原発推進でいままで考えられなかったような領域に問題が広がっていく、あるいは歴史的に問題があったものがこれを契機に噴出してくるという問題に対して今後どうするのかが一つの課題であろうかと思います。  簡単でございますが、これで終わります。
  8. 島村宜伸

    島村委員長 次に、依田参考人にお願いいたします。
  9. 依田直

    依田参考人 依田でございます。  本日は、電源立地の問題につきまして、私の日ごろ考えておりますところを申し述べさせていただく機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。  今日の電源立地問題は、全国民的なエネルギー問題からの要請という観点と、電源立地の当該地域地域問題としての立場からの要請、この二つの立場の調和の問題という姿で今日、電源立地の問題は出てきていると考えております。その意味で、まずわが国の全国的なエネルギー問題という立場からの抱えております問題の特質について、最初にちょっと申し述べさせていただきたいと思います。  わが国は、非常にエネルギー資源に乏しい海洋国家でございまして、欧米の大陸国家が非常に資源自給度が高いという立場とは異なっておりまして、地政学的に見まして、わが国エネルギー問題というものが国際的に見て非常に厳しい条件下に置かれているということが言えるかと存じます。特に、そのエネルギー資源につきましては海外輸入資源に大きく依存しているわけでございまして、今後のわが国の経済、社会運営の立場からいたしますときに、この資源の安定的な供給確保という問題は、非常に大きな国の重要政策課題になっていると存じます。このエネルギーの海外からの輸入という点につきましての安全保障の重要性、緊急性ということが、今日大きな国民課題になってきております。  このエネルギー問題の面で、わが国が非常に大きく石油に依存しているということは御承知のとおりでございますが、特にこの電源部門におきまして大変大きく石油に依存をいたしております。その意味で、わが国電源立地問題は、この石油に大きく依存しております状態から脱却するための代替エネルギー開発が主軸になっていかなければならないという点で、非常な緊要性に迫られておると考えております。  特に、わが国がこの石油代替エネルギー確保していく上で、重要な視点は四つあろうかと考えております。一つは、供給量が十分潤沢に確保されなければならない。第二に、わが国のこの過密な、狭隘な国土でエネルギー生産し消費をしていくという観点からいたしますと、質的に高度なものでなければならない。それから第三には、わが国エネルギー利用という観点からいたしまして、経済的なコストでこのエネルギーの充足が図られなければならないと考えます。最後に、このエネルギーが必要なタイミングで確保ができないとならないということでございます。したがって、この四つの観点からする評価を満たし得る代替エネルギーを私ども確保していかないと、これからのわが国の経済、社会運営というものが十分に果たし得ないと考えておるわけでございます。  そうした観点からいたしますと、種々のエネルギーソースが考えられるわけでございますが、ただいま申し上げました四つの要件を満たし得るようなエネルギー源ということになりますと、原子力石炭あるいはLNGといったものにどうしても大きく依存していかなければならないという宿命的なものがございます。いま申し上げましたエネルギー源というものは、電気エネルギーの形で供給され利用されていくという性質のものでございます。したがいまして、これからわが国が一九八〇年代を通じまして代替エネルギー開発をどうしても安全保障上推進しなければならないという、その場合の長期目標としての代替エネルギー開発の六割を電力に頼らざるを得ないという状況になっております。その点は、先ほど森山長官のお話にもあったとおりでございます。したがいまして、わが国エネルギー問題を長期的に解決をしていくという上で、電源立地の緊要性ということが大きな課題になってまいる。特にわが国の場合には、先ほど申し上げましたような全発電量の約六割を現在石油火力によって発電をいたしております。これに対しまして、米国は同じ電力の供給におきまして、石油への依存度は一七%でございます。英国は一八%でございます。フランスも二五%、西独ばわずか九%ということでございまして、欧米の主要国は、その電力供給におきまして石油への依存度が非常に低いという実態でございます。わずかにイタリアのみが五六%の依存度でございまして、諸外国の電力供給を見てみますと、自国資源への依存度というものが非常に高いという状況になっております。  したがいまして、今後わが国の直面してまいりますエネルギー問題の深刻さを考えますと、将来の需要対応の電源開発ということとあわせて、既存の、すでにでき上がっております石油依存型の電力供給のパターンを是正していくための電源開発が必要になってまいります。その意味で、わが国電源立地の問題というのは、欧米に比べましてきわめて緊要性の高いものであり、かつ、エネルギー問題を解決します上で重要なかぎを握っていると言わざるを得ないというように考えておるわけでございます。  同時に、この電力供給の規模がわが国の場合には非常に大きくて、たとえば私が関係いたしております東京電力一社をとりましても、現在イタリア一国の電力の供給規模と匹敵をいたしております。先ほど長官の方からもお話がございました、これからの電力の施設計画に基づきますと、五年後には現在のフランス、西ドイツに匹敵する規模を一電力会社が運営をしていくという状況になってまいります。したがいまして、この電力供給をどのようなエネルギー資源に依存をしてこれを充足していくかという問題は、欧米の一国の電力問題に匹敵するような状況にある。日本全体としましての電力問題の重大さというものは、欧米の、特にヨーロッパの国の数カ国を総合しました規模の問題を考えていかねばならないというふうな気が非常にいたします。したがいまして、今後の代替エネルギー開発という場合に、どうしても量の問題、そして国内での環境問題に対応できる質の問題、そしてコストの問題、そして必要な時期に必要な充足をというタイミングの問題、この四つの問題をどうしても考えてまいらねばならないと考えておる次第でございます。  このように見てまいりますと、これからの電力供給のあり方といたしましては、できる限り海外へのエネルギー依存度が小さくて、しかも輸送上の負担が小さくて、かつ経済的で、所要外貨の負担が小さいものということが電源開発していきます上で重要な課題になってくる。同時に重要なことは、狭隘な国土の中で電力生産推進していくということになりますと、できるだけ生産密度の高いエネルギーであるということが望ましいということになってまいります。同時に、環境、安全問題という観点が非常に重要でございまして、電源立地が社会的にいかに許容されていくか、そして国土の利用発展と両立し得る電源でなければならないというふうに考えております。そういう意味で、これからの電源立地問題は全国民的な課題として非常に緊要性の高いものと考えておりますが、同時に、国内での地域問題の視点ということを十分に組み入れた電源開発促進ということでなければならないと考えておる次第でございます。  わが国は、欧米に比べまして非常に長い海岸線を持っているという海洋国家の特質から、これまで非常に恵まれた好条件と低廉な海外からの輸入エネルギーに依存して高度の成長発展を遂げてまいりました。今後もこの特質を生かしたエネルギー問題の解決、電源開発推進ということが非常に肝要かと考えております。  ただ、こういったわが国電源開発は、欧米の内陸型の電源立地と異なりまして、臨海立地ということが大きな特質でございます。当然のことといたしまして、水産、漁業資源との調整の問題あるいは陸上における社会環境、安全問題との調整といったことが立地上の大きな政策課題になって出てきております。  今後の電源立地推進という点から申しますと、従来、ともするとエネルギー問題を主体に考えられてまいりましたが、これからは地域の視点ということをエネルギー問題の解決の中に組み入れて、電源立地推進地域社会の福祉の向上、地域発展との調整ということを主題にしてまいらねばならないと考えております。そういう意味で、今日幾つかの電源立地地点あるいは原子力発電所立地地点におきまして地域の視点が重視され、地域の発展にそれなりの寄与がされ、実績が上がってきているということは大変喜ばしいことかと考えております。今後は、さらにそうした電源立地地域的な効用というものが一層増進されていくことが非常に重要でなかろうかと考えております。  そういう意味で、電源立地地域の振興整備に及ぼす影響という点につきまして、幾つかの問題が出てきていると考えられます。  一つは、市町村財政が、電源立地に伴いまして急激な拡大を遂げると同時に、電源立地の一巡とともに縮小へということに向かう不安が述べられております。そうした意味で、一つの恒久的な電源立地地域の財政の安定化という問題に取り組んでいくことが必要になってきていると考えられます。  それから第二に挙げられますのは、建設期間中はいいけれども、建設終了後の雇用機会が減少するという不安の問題があります。したがいまして、電源立地が一つの地域発展の起爆的な要因として作用し、地域の発展振興という形につながっていくことが強く望まれてまいっております。  それから第三の問題といたしまして、均衡のとれた地域産業構造の創出ということに電源立地がつながっていくような施策が大変必要になってこようかと考えております。  第四に、発電所の運転開始後の安全、環境対策の充実ということが強く求められてまいっております。先般来の不祥事というようなことを避けて、地域住民の方々の信頼と安心を得て共存していける電源立地推進ということが一段と急務になっていると考えている次第でございます。  そういった意味で、これからの電源立地地域振興の新しい調和を目指して、総合的な地域発展計画の確立ということに努めていくことが必要かと考えております。  それから第二に、地方の財政安定化対策の確立ということに、政策的な配慮をしていただくことができればというふうに考えております。  それから第三には、安全確保地域保全策の強化と住民理解、支援が得られるようなパブリシティーの対策の充実ということが非常に大きな課題になってきているかと考えている次第でございます。  以上、非常に概括的な形でお話し申し上げた次第でございますが、全国的な問題と地域の問題の調整の接点に今日の電源立地問題があるというふうに理解をいたしている次第でございます。  以上、簡単でございますが……。
  10. 島村宜伸

    島村委員長 以上をもちまして参考人各位からの御意見の開陳は終わりました。  これより懇談に入ります。     〔午前十一時五十二分懇談に入る〕     〔午後一時二十七分懇談を終わる〕
  11. 島村宜伸

    島村委員長 これにて懇談を終わります。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十八分散会