○
中川参考人 私は、
原子力発電関係団体協議会会長の
福井県知事の
中川平太夫でございます。
まず初めに、わが
福井県における
原子力行政に対する
基本姿勢と、
立地の
現状について御
説明を申し上げます。
本県では、
地域住民の健康と安全を守る
立場から、まず第一に、
安全性が
確保されること、第二に、
地域の
住民の
理解と同意が得られること、そして第三に、
地域に
恒久的福祉がもたらされることの
三つの
原則を
基本にいたしまして、今日まで慎重に対処してまいったわけでございます。
県は、
立地市町とともに、
施設設置者と
発電所周辺環境の
安全確保を
中心とした
安全協定等を締結いたしますと同時に、
環境放射能監視、
温排水影響調査等の
安全確認体制の
充実強化を図りまして、
地域の全世帯を対象にした
原子力広報を初め、
地域振興策、
防災対策等に全力を傾倒してまいっているところでございます。
その結果、わが
福井県では、九基六百十九万キロワットの
原子力発電所が
立地をされておる次第でございます。こういう
立場では、
わが国における
原子力発電の
パイオニア的役割りを果たし、
石油代替エネルギーの
開発が緊要な
国家的課題とされている中で、国の
エネルギー政策にも
協力してまいったと自負いたしております。六百十九万キロワットは、いまの全国の
原子力発電所の
設備能力の約四〇%でございます。
また、昨年来からは、スリーマイルアイランドの
事故や国内での相次ぐ
事故、
故障等の後遺症からもようやく抜け出しまして、
関西電力株式会社の
高浜原子力発電所の三、四号機、各百十七万キロワット近くのもの二基が昨年の十二月に着工を始めたわけでございますし、ただいま
日本原子力発電株式会社の
敦賀原子力発電所の一号機が
事故を起こしたのでございますが、その隣に百十万キロワットの大型の二
号炉の準備が進んでおりまして、いま
原子力安全委員会による
安全審査中でございます。その他、この
敦賀半島に
敦賀市の
白木地区というのがあるのでございますが、ここの
わが国最初の
高速増殖炉「もんじゅ」について、ただいま科学技術庁による
安全審査が行われているわけでございまして、今後これらが具体的に取り組む
段階を迎えようといたしておる次第でございます。
先ほど申し上げましたとおり、
福井県では、新増設ないしは
計画中のものを含めますと、合計十三基九百三十七万キロワットにも及んでおる次第でございますが、このことは、
福井県なりに
原電行政に取り組む
三つの
原則を掲げまして、その中でもとりわけ第一の
原則でございます安全が
確保されることを最
重点といたしまして、その都度慎重に対処をしてまいりました。これらの点は、各県とも共通の問題だと存じておる次第でございます。
かかる点から、次に
安全性の問題について申し上げたいと存じます。
原子力の
開発利用を進めるに当たりましては、言うまでもなく
安全性の
確保が
大前提であることは申し上げる必要もございません。
安全性の
確保こそが
原子力発電の円滑な
推進のための
国民的合意を得られる
基本的要件であると考えておるのでございます。
先ほどは、昨年来
福井県の
原電の新増設問題がようやく軌道に乗りつつあることを申し上げましたが、今回の
日本原電敦賀一号機の事件は、十数年来培われてまいりましたこの
安全性に対する
地域住民の
信頼感を一朝にしてぬぐい去りまして、
立地県、市町村の
努力とはうらはらに、きわめて
不信感を増大していると言わざるを得ない
現状でございます。一昨年来から、
大飯一号機の思わざるECCSの作動、あるいは
高浜二号機の
水漏れ等の
事故がございましたけれ
ども、これは炉の中のことでございまして、今回は炉の外であった
事故でございますし、
建屋の中にそうしたものを閉じ込めてしまうんだという
原則を外れてしまったわけでございまして、
放射能が
建屋の外へ出てしまったわけでございます。そういう点では、従来の
事故なり
故障とは非常に趣を異にいたしておりますし、もう一つは、
隠しがあったということに
ついては、これはもうよほどのことを考えないと、この
疑いを取り除くことはむずかしいと私は思っておるのでございます。こういう点で、私
ども素人といたしまして、たとえばただいま通産省がいろいろ
調査されましてそれを御
発表になる、あるいは従来にございました
大飯の
事故あるいは
高浜の
事故、これらも
監督官庁でございます
立場からいろいろ
調査になりまして御
発表なさるのでございますが、この御
発表を承りながら、だれが考えても容易に
理解できるような単純な操作のミスでございましたし、またわれわれが容易に考えることができない、
ステンレス性の栓でなければならないのがしんち
ゅう合金の栓であった、しんち
ゅう合金の栓が必要でないところにしんち
ゅう合金の栓が置いてあって、それを
作業員が間違えたのだというような、どうも
素人が考えて、必要のないところになぜそれが置いてあったんだ、あったから間違ったのじゃないか。であるとするならば、もっとどこかにも使っておるのだろうというような
疑いが持たれるような簡単なことが間違いとして言われておるわけでございます。そういうようなことがかつてございましたのは、美浜一号機の
燃料棒折損の
事故隠しが約三年間ぐらいわからなかった、
隠してあったというようなことも今日までにございまして、そういう点で今回の
事故について、いろいろ
政府は御
調査になっても、そういう
素人が考えるような事柄が、どうしても
素人に納得することができないままに置かれておりまして、こういう
事故隠しにつきましては本当に残念であったというように思っておるわけでございます。
しかし、この巨大な
施設を運用管理する、これは人の問題でございますし、また仕組みの問題でございます。そして、
設置者自体の体質の問題でもあろうかと思うのでございますが、このようなことは社会的にも、企業と
政府も大きな責任を持っていただかなければならぬというように私は思っておる次第でございます。
県といたしましては、今日まで
地域住民の健康と安全を守る地方自治体としての
立場から、法的な権限は全くございませんけれ
ども、県民の生命を守るという
立場から独自で諸対策に積極的に取り組んでまいった次第でございます。
原子力発電所が何基設置されまして、若狭湾は原発の銀座だと言われておるほど設置されておりますけれ
ども、そのために府県に特別に国家からいただくという金はきわめてわずかでございます。しかし、わが県のような小さな県でも原発が設置をされておりますだけに、約四十名近くの職員をそのために使っておるのです。これはすべて、言われなくても、交付税をもらわなくても、県民の生命、財産を守るという、あるいは環境を守るという
立場に立ちまして知事がやらなければならない責任だと存じておるわけでございますが、今日まで安全問題は国任せにしてくれというような
立場でいつも臨んでまいられましたが、今回はからずもこの
事故隠しの発見になったのは、新聞報道とは別に、あそこの環境
放射能調査をやりまして、
福井県の衛研がホンダワラを採取してこれを
調査いたしました結果が火つけになりまして、おかしいではございませんか、
調査してくださいということから、これは明らかになったのでございます。大変皮肉な現象であったと思うのです。
それから、協定はございますけれ
ども、何の権限もございませんから、相手方の承諾がなければなかなか中に立ち入ることができないのでございますが、まあ、ようやく相手方が、立ち入ってごらんくださいということになりまして、わが県の専門の職員が入りましたところが、その
建屋の下にマンホールがあった。それもわが
福井県の技術職員が発見をしたわけであります。
こんなようなわけでございまして、
信頼をいたしておりました、また
監督官庁である
政府が御発見にならずに、そうしたことが、皮肉にも何の権限もない地方自治体が発見をしたというようなことになったことは、まことに残念であったと思う次第でございます。国におかれましては、今回のこういうような事例を契機に、まずさんざんお願いを申し上げまして運転管理専門官
制度をおつくりいただいたわけでございますが、この権限をやはり
充実強化をしていただかなければならないと思います。
私
どもは、幾つかの重要港湾を持っておるのでございますが、重要港湾を建設する場合には運輸省の建設事務所がその地にやってまいりまして直接発注をして、設計監理を運輸省がいたしておるわけでございます。
原電の場合には、企業におやらせになるわけでございますから、当然企業を信じておやらせになっておるわけでございますし、また企業はそれにこたえなければならないわけでございますけれ
ども、ちょっと過ちを犯しますと取り返しのつかない問題になりますので、直接国の責任ある
立場の方が
原電のサイドに駐在をしてくださいまして、その人が国にかわってその
原子力発電所の運転管理の状況を絶えず監視をしていただき、同時にお願いをいたしたいというのが私
どものねらいでございましたが、そのように人員の配置をしていただいたのでございますけれ
ども、どうも今回のいろいろな報告を承っておりますと、この方々にはそれにふさわしい権限が与えられてなかったようでございます。こういう点も含めて、また人の問題も含めまして、それぞれひとつ適切な
措置をおとりくださいますようにお願いを申し上げる次第でございます。
また、安全協定というのは紳士協約でございまして、法律には、何の裏づけもございません。そこで、こうしたことが起こりますと、地方自治体の役割りもやはり明確にしていただく必要があるのではなかろうかと私は思うのでございます。同意したらそれで終わり、あとは全部国が管理監督をするんだというたてまえになっておるわけでございますが、
立地の市町とか
立地の県というものは、やはりそれだけでは
住民に御納得いただける
立場に立つことができないように思われてならないのでございます。こういう点は、今回の
事故が、わが
福井県が自分を守る
立場で自由にやっておった姿の中から発見をされたということをごらんいただいてもおわかりだと私は思うのでございます。
さらに、これはもう、従来現実に幾つも問題がございますが、全部、ああそうか、なるほどそうだなというように腹の中から打ち解けて
理解ができたというような答えがなかなか出ておらない。こういう点を思いますと、人は本来的に、過ちを犯したら
隠したいものなんです。正直がいかにりっぱだと言われても、本来、だれもわからぬからと、これは本能なんです。だから
原電についても、それは私も、作業時に過ちを犯して、こんなことは大したことない、黙っておれというのは本能であったと思うのです。だから、それがあたりまえだという形にお考えをいただいて、
事故隠しをすることができないような仕組みというものを、これは疑ってはいけないと思いますけれ
ども、
疑いながらおつくりをいただく、そして今度はそれを私
どもが
説明を受け、従来の体験から割り出して、ああ、これならもう
事故隠しというものはないな、今度はできないぞ、それはもう信用できるぞというような状態になるように、失われた
信頼の回復に全力をお挙げいただきたいというように私は願う次第でございます。それがなければ
原子力行政の今後の前進はあり得ない、
原電立地の
促進はあり得ないというように私は思う次第でございます。
さて、
原電立地の
促進に当たっては、その
立地を契機に
地域の総合的な振興を図りたいと期待をしておりますが、そのことが
三つの
原則であります
地域に恒久的な福祉をもたらすことにもつながるものと考えておるのでございますが、安全が
確保されなければだれも同意しないわけでございますから、安全の
確保ということは
地域の
住民の同意につながっていくと私は思うのでございます。
原子力発電所というのは一たん
立地をいたしますと、
地域の
住民は、
事故があるなしにかかわらず、もう永遠にそうした危ないのだという、これはもう間違ったら大変なことになるのだという危険の負担だけは消えないのです。だから、危険の負担は、三年か五年か金をやるぞ、固定資産税を払うぞ、では終わらないと私は思うのであります。
わが国の
原子力発電所がトイレなき住宅だと言われておりますが、今度起きたのは、不幸にしてそのトイレがないために起きたわけでございます。これをどうするのだという答えを出さずに前進をしておるわけでございますが、これを聞かれると私も答えようがないのでございます。だから、そのこととは別に、一遍
原電が
立地をしたら永遠に、子々孫々に至るまで危険の負担を担ぐのだから、それで君らの
地域はそのために物を与えるとか建物を建ててやるというのではなしに、その
地域の産業や経済が発展をして
住民は永遠に幸せになれるのだ、やはりそういうことを願わなければならないと思うのでございますが、従来からこの三番目の問題が一番
課題にされてまいってきておるわけでございます。
しかしながら、今日まで国におかれましても、
電源開発促進税法を初めとする
電源三法や各種の
交付金制度をつくっていただきまして、
地域の
住民にこたえていただいておりまして、まことにありがたい結構なことだと思っておるのでございますが、これは必ずしもその
地域住民のニーズに沿っていないというのが
現状でございます。
そこで、先ほど申し上げましたように、還元策というのは一時的でございまして、あめ玉が三年か五年するとなくなるということになるわけでございます。したがって、
地域の恒久的な振興に結びついていないという
課題をいま担ぎまして、これを何とか切り開いていただく道をひとつお願いいたしたい。あるいは、現在のこの
交付金制度では公共
施設中心に整備が行われており、産業振興あるいはそういうことを
中心にした過疎の地の雇用の機会を創出する面が非常に少ないという点が、やはり私
どもとしてはお願いをしたい点でございます。第三には、
地域還元が市町村を単位としてとらえられておりますので、これは広げようがないのかもわかりませんが、周辺
地域全体の
開発整備が行われない、面というような広さにおける
開発整備が行われないというような問題が実はあるわけでございます。
わが
福井県は、年間に二百八十一億キロワットアワーの電力が
生産をされておるのでございますけれ
ども、わが
福井県で消費される電力は年間に三十八億キロワットアワーでございまして、実は総発電量の八六%が京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、近畿に送り出されていくわけでございます。それだけの発電をしながら約九〇%が自分の
地元で消費されない、消費地へ送り出されるわけでございますから、言うなれば、関西方面の大消費地のために
地域住民は危険を負担して発電に応じた、こういうように言えるわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、その電力が
生産県の産業振興等には活用されずに大消費地で消費されまして、その消費地では消費した電力から電気税が集まっておるわけでございます。それは消費地の都道府県に還元をされておるわけでございます。ところが、発電については何の還元もない。したがって発電税をいただきたい、そんな考え方が出てくるわけでございます。海浜の過疎の果ての地に、貧しいとま屋に住んでおる老人を仮に思い出すといたしますと、隣の発電所から受ける電気料金も、大阪の
中心でネオンをつけて歓楽を楽しんでおる電気料金も一緒でございまして、そのお隣の人は生涯子々孫々に至るまで危険負担を担いで、そして電力を消費する地では電気税というようなものを消費量によって地方自治体に払っておる。そんなことを思いますと、何かこれはちょっと直していただきたい問題があるように、私はいつも感じておるわけでございます。
そういう点で
原子力発電関係団体協議会におきましても、本来の
地域別料金
制度の導入あるいは
原電地域の恒久的な振興を図るための特別立法の制定を強く要望しておるわけでございますので、どうか速やかなる制定をお願い申し上げる次第でございます。
最後に、その他の問題について申し上げます。
その一つは、ただいま申し上げました
地域別電気料金
制度、つまり
原子力発電施設等周辺地域交付金という形で今回はお取り扱いになられまして、
電力会社の電力料金に上乗せして徴収をされまして、それが税として国会に認められまして、それが今度はさらにプールをされまして、電力料金を安くした分だけこの
交付金が
電力会社に交付される仕組みでございます。これは、その限りにおいてはいま直ちにはその方法しかないのかもわかりませんが、やはり今後
わが国の電力全体というものをどうするのかという点で、改めて、先ほど私が申し上げましたような、発電をたくさんしておる県、そして消費をたくさんしておる県という両面からの
立場に立っていろいろ問題を御支援いただく、適切な
措置を講じていただきたいと思うわけでございます。
皆さん御承知のように、東京電力の料金と東北電力の料金とが逆転をしてまいりまして、しかも東京電力の料金の値上げが低かったのは、福島県内にある東京電力の
原子力発電の量によって上がらなかったし、東北電力には
原子力発電がなかったので電力料金が逆転して東北電力管内の工場の誘致が非常にむずかしいとか、
住民は、東京の人のために発電して自分たちには何にもならぬとか、いろいろ問題が出てきておりますが、今後そういう問題が至るところに出てくるように思われるのであります。ただ
福井県の場合には、北陸電力が九電力中最低料金でございます。その次が関西電力でございます。関西電力は八番目、北電が九番目でございますので、なかなかその逆転がございませんので、いま東京、東北におけるような同じ問題はございませんけれ
ども、いま申しましたような考え方は、
立地県各県に実は共通をいたしておるというようにお考えを賜りたいと存じます。
そして、これをやるにつきまして、いろいろ御検討いただいておるのだろうと思いますが、
立地市町村あるいは隣接市町村、これは従来の
交付金が配分された
地域でございまして、その
地域の人の
協力という点でこういうようにお取り上げになったのだと思いますが、私
どもは、実はそれだけではなかなか腹がふくれないのでございます。なぜなれば、
電調審で
地元県の知事の同意が法令上定められておるわけでございます。この間も
敦賀の
事故で反対の人々が参りまして、そして私に申しましたのは、知事、若狭湾が
原電銀座と言われるほど集中したのは君が認めたからだよ、こう言われたのです、知事が認めたからできたのですよと。こういう
立場を考えますと、これは私は、府県単位にどうしてもお考えいただかなければならない。また、私には何の権限もございませんが、
住民を守る
立場から四十名の職員を擁して
原電の行政対策に当たっておりますというような点を先ほど申し上げました。これを市町村にやれと言っている方が無理であります。そういう考え方をいたしますと、府県単位にお考えいただくというように実はお願いを申し上げたいというわけでございます。
今回の
敦賀原発のケースは申すに及ばず、しばしば申し上げましたように、廃炉に至るまで、どこかへ持っていってお捨てになるまでは避けて通れないのが
地元県の知事の
立場でございます。したがって、こうした
制度の運用に当たりましては、
立地の
促進を最終のねらいとされておるわけでございますから、単に隣接をしておる云々で機械的にお考えにならずに、よく
立地県に御相談をいただきたいというように思っておる次第でございます。
ちょっとおもしろいお話を申し上げますが、
大飯原子力発電所、関電の一、二号機
立地のときにその町がもめまして、誘致をしようという町長のリコールが実は始まったのでございます。そこで私、これは大変困ったと思いまして、時岡民雄という町長でございますが、町長に、あなたはリコールを受けないで、残念だけれ
どもとにかく町長をやめなさいと言って、町長のリコールをとめさしたのでございます。そのリコール運動を一体だれが
指導したのか。これは反対する人々が
住民を
指導してくれたのでございますけれ
ども、一番よく
指導したのは京都府の府庁の職員、舞鶴市の市役所の職員労働組合の幹部の方々が仕事のようにやってまいりまして、
福井県の
住民に目覚めなさいという
指導を実はしてくれました。その
指導がもとになりましてリコールが始まろうとしておるので、仕方なしに町長をやめさした。次には反対派の町長しか出られないわけでございますから、その間私
どもが参りまして調整をして、次の町長を立てて、次の町長が
転換をさせるのに一年以上かかったという歴史があるのであります。ところが交付税がもらえるようになったら、おまえのところは隣だというて、舞鶴とか綾部市まであたりまえのように金が行きまして、実は腹が立って仕方がなかったことがあるのでございます。こういう点で、
原子力の何たるかを、広報活動も何もしたこともない山の向こうの別の府県まで対等に交付税が参るというようなことについては、私は、本当に
立地県の苦労をもう少し認めていただきたいというように実は強く思うわけでございます。
また、そういう点ではだんだんと
政府においてもお考えをいただけるようになってまいったことには間違いございません。これはありがたいことだ、
福井県の
敦賀に発電所ができるので、われわれは山の向こうで何にも見えないけれ
ども、思わぬ金をたくさんいただくのだ。それはいいわけです。その府県にとってはいいわけでございますけれ
ども、進める苦労を重ねるわれわれの側にとっては、欲も重なりましてそういうことを実は思った次第でございます。こういうことにつきましては、今後ともいろいろとまたお考えをいただきましてへ使用の目的の拡大や制限の撤廃等をお願いをいたしたいというように思っている次第でございます。
また、二つ目には核燃料税がございます。これは
原子力発電所がとまりますと、予定のようにはなかなか税金がいただけないわけでございます。これは五年間で二百億ということで、法定外普通税として自治省からお許しをいただいたわけでございますが、五カ年の時限つきでございます。ところが
事故があり、
故障がありして休んでおりますので、五年が参りましてもとても二百億の半分にも満たないような
程度の
現状でございます。こういうものにつきましても、そうした状態をよくお調べの上で、私
どもとしては期限延長をお願いいたしたいというように実は思っておるのでございますが、このうちの四割は
立地市町村に改めて交付をいたすわけでございますし、六割は
地元の県有の、一番には道路等を直す財源に充てておるわけでございまして、その金が来たから府県がのうのうと目的以外のところに決して使っておるのではないのでございます。こういう点につきましても、ひとつよくお考えを賜りたいというようにお願いを申し上げる次第でございます。
また、防災対策でございますが、これはいま鋭意取りまとめ中でございますけれ
ども、一遍避難訓練をやれという声が盛んに出てまいるのであります。そんなことをやる必要はございませんというように今日までお断りをしてまいりましたし、また、いま私は、わざわざそういうことをやる必要がないのだというように思っておりますが、仮に
事故隠しが大問題になったといたしますと、これは取り返しがつかないということになりますので、りっぱな防災
計画だけはつくっておきまして常時
住民の方にも御
説明を申し上げまして、このときに指図と同時に、自分たちがやっていただくことだけは明確にしておかなければならないなというように思っておるわけでございます。
三番目には、
電源立地の
促進対策
交付金でございますが、これも先ほど申し上げましたようなわけでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。宣伝のための
交付金でございますが、これも宣伝をする必要のないところまで
交付金が来ておるというようなわけでございますので、お改めいただきたいと思います。
四番目は、固定資産税の問題でございます。
これは、耐用年数の改正をお願いしたいと思っておりますのは、現行は償却十五年になっておるわけでございますが、実
施設計を承りますと耐用年数は三十年でございます。だから、一遍にたくさんの利益金を払わぬで十五年で償却し終わるというように、片方では、税の方面では言われておりますが、しかし、実
施設計の方では三十年というように決められておりますので、これは安定的な
立地市町村の財源になり得るように、三十年という年数にお改めをいただきたいと私は思っておるわけでございます。
また、その五つは、先ほど申し上げました防災対策でございます。
この中で、とにかく
原子力災害というのは目に見えないのでございまして、わかったころにはもう勝負が終わってしまっておる。私、一月に大雪害を受けたわけでございますが、雪は目に見えるわけです。だから、払いのけて通らなければならぬから大騒ぎになりますけれ
ども、払いのける
努力はされるのです。ところがこの場合には、目に見えない。わかるようになったら、それは終わってしまっているわけです。というわけでございますので、一般の災害の法律の中でこれに当たってもらうというのはどうも私は心もとないのでございます。そのための特別の立法、あるいは今回の
事故隠しの一連の中から国及び地方自治体の役割りを明確にしていただきたい、また、それの財源
措置をお願いしたいというように思っておるようなわけでございます。
以上、私は、今日までの
電源立地に伴う
安全性の
確保問題、
地域の振興対策等の
現状と
課題について細かく申し上げた次第でございますが、
地域の
住民の
理解と
協力が得られまして、
原子力発電所が
地域の社会と永久に共存していくためにはやはり徹底した安全対策、そして
地域の恒久的な振興を図ることが必要だと存じておりますので、諸先生方におかれましては、どうかひとつ
立地県の事情をよろしく御
理解賜りまして、今後とも振興策に一段とお力添えを賜りますようお願いを申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。
ありがとうございました。