○横手
委員 限られた時間でございますので、私は次の二つの大きな問題を提起をして、
最後にひとつお考えをお聞かせいただきたいと思う次第であります。
いま御答弁をいただきましたように、こういったことが指摘をされた、そうしてそのことをお認めになった、どうかこのことを今後の中に生かしていただきたいというぐあいに考えます。
次に、私は、いろいろ取りざたされておる問題について多少私なりに整理のつかない問題がございますので、問題提起をしてみたいと思うわけであります。
それは、いわゆる被曝線量の定義といいましょうか、そういうことについてであります。現場におられる人たちと一般の
国民のいわゆる被曝線量に対する感覚、これが非常にかけ離れているのではないかという気がしてならないのであります。たとえば、このときに水がこぼれてきた、そしてそれを発見をされた、この水はいわゆる
オーバーフローした上澄みの水だから大したことはないという認識を持たれた。そのときに必ずサーベーメーターではかられたに違いないわけであります。そして、これは大丈夫だということで、
ぞうきんにしませて、これをバケツにしぼってしかるべきところへ捨てられた。これは中の従業員にしてみれば、この水はどこから流れてきたか、どれくらいの汚れを持っておるかということ、そしてサーベーメーターをつけてみた、それが反応しなかったから、よし大丈夫だ、みんなでこれを早く除去しよう、こういうことだろうと思うわけであります。ところが、一般の
国民の皆さん方から見ておりますと、極端なことを言うと、何か毒物を素手でさわった、こういうような感じを持たれるのではないかという気がするわけであります。したがって、そういった点におけるギャップといいましょうか、もっと実態的な
説明というものがかねてなされていなければならないのじゃないかというぐあいに思います。
たとえば故障の問題にしてもそうであります。軽微な問題とは一体全体どういうことなんだ。話によりますと、百八十万個くらいの部品から成っておる膨大な
設備だということであります。これは故障があるに決まっているわけであります。ですから、建屋そのものが
一つの
タンクみたいな形になっておる、これが
原子力発電所の実態であろうというぐあいに思うわけでございますけれ
ども、そこら辺の問題について私自身、大変奇異に感ずるわけであります。
たとえばきのうの夕刊でございますけれ
ども、夕刊のトップに「「大飯」でも冷却水漏れ」、こういうことが報道されました。これは大変な
事故だろうということで一般の人は見るわけであります。ところが中を見ますと、
通産省の皆さん方は、その
処理は
通常のプロセスだ、こういうことであります。あるいは関電の方の発言は、
報告する必要のない軽微なものであった、こういうことがなされておるのであります。
国民の皆さん方から見れば、
新聞の夕刊のトップに載るというのは大事件だというふうに
判断をされる。中を見ると、
通常のことでございますよ、あるいは
報告しないのでございますよ、こういうことだ。一体全体どっちなんだろう、こういうことで大変な迷いがあるのではないかというぐあいに思います。
さらにもう
一つ、あのときに
福井県は、
科学技術庁の
指導をいただいて、敦賀湾内における
魚介類には異常はございませんという
安全宣言をなされた。ところが一方の
新聞報道によりますと、ある水産物を取り扱っておられるところでは、
福井県の
魚介類集荷自粛を通達、こういうことになっており、当分の間敦賀湾を初め
福井産の
魚介類の集荷をしないように通達を出した、こういう
内容になっておるわけでございます。
国民の
皆様方は、一体全体どちらを信用すればいいのであろうか、県が国の
指導をいただいて
魚介類は安全でございますという
安全宣言をした。ところが一方の
新聞を見ると、
福井県のものは扱わないようにという通達が出た。こういったギャップ、ここら辺の整理がない限り、私はこの
原子力発電の推進のために大きな障害となってくるに違いないというぐあいに考えるわけですが、
通産省のお考えをお聞きするわけであります。
次、続けます。さらに大変大事なことは、私も
原子力発電の建設の現場を見てまいりました。何遍か見ております。あの本体の基礎工事、びっくりするくらいがんじょうなものであります。それは、中でいわゆる核分裂が起こって、そしてそれが
放射能という危ないものを出す、だから大変重いものだからあれだけの基礎がなされるのでございましょうけれ
ども、それにしては
付属設備に基準の甘さがあったのではないかということを指摘せざるを得ないのであります。このスラッジ
タンク、これは発電機本体のかまの中よりももっと汚れたものがあのスラッジ
タンクの中に入っておるはずであります。これが保管をされるこの
部屋が、耐震設計もなされるのでございましょう、いろいろな基準でなされるのでございましょうけれ
ども、しかし、日本原電の
敦賀発電所においては、わずか三十センチ下にあった
一般排水口、これに気づかなかったというのは一体全体どういうことなんでしょうか。本体をつくるときには大変な工事がなされる、それと同じくらい汚れるものを保管しておくところに、検査の基準はあるのでしょうけれ
ども、わずか三十センチ下に一般の
排水口があったのに気がつかなかった。気がつかなくても、そこまでの検査の——しかもその検査は通ったということ、これはまさに
付属設備に対するその基準の甘さというものを露呈したというぐあいに思うわけであります。これを厳重に見直すべきだ。
さらに、これは絶対に漏れないようになっておる、そして二重、三重の防護がしてありますと言いながら、恐らくあしたかあさってになると、ひび割れから漏れてこれが入っていったということが発表されるのであろうと予想するわけでございますけれ
ども、しかし、たとえは大変悪うございますけれ
ども、いわゆる脱獄のプロみたいな人をつかまえてきて、プロでもこれは断じて逃げることができませんというような収容所をつくったけれ
ども、素人がすうっと出てきて、そしてびっくりしてしまったというような現象が今回のこのことではないかという気がするわけであります。
最後に、あれはいろいろな区域があるわけでございますけれ
ども、こういったいわゆる管理区域内というのは一般の人を入れません。なぜ入れないか、
放射能が漏れておる危除性があるし、漏れる
可能性があるからあそこには入れないわけであります。したがって、入る人は服も着がえなければならないし、あるいは住所氏名も書いて入らなければならない、こういうことであります。それだけのことをしながら、そこを流れてくる水をチェックをしないとは一体どういうことなんでしょうか。漏れる、あるいは漏れる
可能性があるから、
人間が入っていくときでもきちっとこれを防護していく、あるいはきちっと届けをしていく、水がそこを流れてくるのを何にもチェックしないというのは一体全体どういうことなんだろうか。少なくとも管理区域内あるいは管理区域内の近くを流れる自然水といえ
ども、これを
環境に放出するときには
モニタリングをつけるべきだ、こういう気がしてこのことを提言するわけでございますが、私に与えられた時間でございますので、以上申し上げましたこのことについてひとつ御見解を
お願い申し上げる次第であります。