○水田
委員 私は、塩化ビニールの業種の問題についてお伺いしたいのですが、その前に、一つは、全体的な産業構造の問題で
大臣に冒頭お伺いしておきたいと思うのです。
いま、日米とか
日本とECとの間の
経済摩擦というのは、自動車であるとかVTRであるとか、大変に
日本が強いということでいろいろ言われているわけです。恐らく
アメリカも、自由貿易の原則は崩さないというたてまえをとりながら、いわゆるロビーの力が強くて立法という圧力をかけながら自主規制を求めてくる。そういう強い圧がかかってきておるわけであります。
しかし、それは
日本の業者間の協定なら単に独禁法違反で済むわけです。ただ、こういう問題を
考えるときに、たとえば自動車の
アメリカへの進出ということも求められるかもしれない。しかし、たとえばカラーテレビが
アメリカへ大量に入っていったときに同じような摩擦があったわけです。現在
アメリカへカラーテレビの工場が六社進出して、向こうで二百四十万台つくっている。たとえば、そのときに
日本のカラーテレビの工場がVTRに転換できなかったら大変な雇用問題が実は
日本で起こってくる。そういうぐあいに一つの
経済摩擦の問題というのは、強い場合でも、問題解決についてはそういう問題が起こってくるわけでありますが、残念ながら全体的に見た場合に、
日本と
アメリカ、
日本とECの間で
日本が強いというのは一体どれだけなんだろうか。むしろ弱いといいますか、国際競争で負けておる業種というのが大変今日の不況の中でもたくさん
影響を受けておる。それは、特に四十八年あるいは五十四年というオイルショックによって
電力料が上がる、あるいは原料が高騰するというような中でたくさんの業種に起こってきておるわけであります。
したがって、そういう
日本の産業構造を
考える場合、強いものだけでなくて、そういったおくれた、それは技術がおくれておるのか、あるいは構造的にそういう立場に置かれておるのかという問題もある。しかし、いま強いといういわゆる
日本の産業が成り立っておるのは、
日本においていま悪いと言われておる基礎素材をつくる多くの産業というのが、品質のいいものを安定的に、ある程度は値段の点でも競争できる、安いもので供給できるという条件があったから、今日の
経済摩擦になるような強い商品ができてきた。その一つずつが崩れかけている。
この前
大臣がおられなかったので政務次官に申し上げたのですが、たとえば鉄鋼は強いと言われるけれ
ども、フェロアロイがやられてしまえば、副原料ですから鉄鋼もかげってくる、あるいはいろいろな商品にアルミを使うという場合もあります。そういうことなどを
考えながら、
日本の産業構造を一体どういう
方向へ持っていったらいいのか。そういう中でたとえば化学産業というのは、まさに原料の値上がり、
石油そのものが原料ですから、そして
電力料の大幅な値上がりによってダブルのパンチを受けておるわけであります。ですから、こういう問題を含めて
日本民族が生きていくためには、一体産業構造をどういう形に持っていったらいいのか。たとえば
石油化学は原料はもう外国で、産油国で工場をつくってやり出す。
日本へ持ってきてエチレンをつくる必要はない、向こうから入れろということになるのか。なっても困るわけですね。そういう問題も含めて、
日本の強いあるいはいま大変厳しい状態に置かれておる産業をどういう形で、たとえばアルミなら百六十万から百十万になってきた、それでもなおかつやられておるというような問題、あるいは苛性ソーダ等についても化学産業の基礎素材だけれ
ども、このままでいいのかどうか、いろいろな問題があるわけです。そういうことも含めて、これからの
日本の産業構造というものをどういう
方向へ持っていくのか、細かい点はよろしいですから、大まかな
方向として、
大臣に、
日本の産業が生き残っていくための
方向というものを、ひとつお
考えがあれば冒頭に聞かせていただきたい、こういうぐあいに思うわけです。