○森山(信)
政府委員 まず最初に、最近の
石油の
輸入状況でございますが、率直に申し上げまして五十五暦年の数字は統計が出てまいったわけでございます。パー・デー・ベースに直しますと五百万バレルと五百十万バレル・パー・デーの間、むしろ五百万に近い方で落ちついたわけでございます。なお詳細、若干まだ統計が出ていないところもございますので、抽象的な表現でございますが、おおむねそういう見当で推移したというふうに理解をいたしております。
そこで、年度ベースに直した場合にどの程度の数字になるかについては、まだ若干日にちがかかりますけれ
ども、恐らく当初私
どもが予想いたしました五百四十万バレル・パー・デーよりは相当下回る実績になると
考えております。
これは、いま後藤
先生が御
指摘になりましたように、たとえば
省エネルギーの徹底あるいは燃料転換といったようなことが大変プラスいたしまして、そういう大変好ましい結果になったと判断いたしておりますけれ
ども、もう
一つの要素といたしましては、昨年の夏は大変冷たい夏、いわゆる冷夏という問題もございまして、発電所におきます
石油の消費が相当大幅に減ったという問題もございますし、それから
原子力発電所の稼働が大変よかったという問題もございます。また、大変な豊水であったというような自然に恵まれたところもあったわけでございます。したがいまして、五百四十万バレルから相当大幅に落ち込んだということが、果たして構造的にそういうことになったのかどうか、あるいは一時的な、言ってみると天佑神助に支えられたのか、こういったことの見きわめをもうちょっと時間をかけてやる必要があるのではないかという
考え方をしておるわけでございます。
そこで、六百三十万バレル・パー・デーという中期的な
目標をどう踏まえていくかという問題になるわけでございますけれ
ども、いま申し上げたように、現在の
石油消費が減ったことをどうとらまえるかについて、はっきり言いまして、私
どもまだ、完全に構造的に定着したというふうに言い切るだけの自信もないものでございますので、若干暫定的な
見通しにならざるを得ないと思いますけれ
ども、いずれにいたしましても、六百三十万バレル・パー・デーの
考え方がもうそろそろ検討すべき時期に来ていることは、内心そういうふうな気持ちでおります。
ただ、六百三十万バレル・パー・デーというものが
国内的に申し上げますといろいろな各種の
計画のベースになっておりますし、それから国際的に見ましても、先ほど後藤
先生がお示しになりましたように、東京サミットあるいはそのサミットの後のIEAの閣僚
会議等で国際的な
整合性を持ってつくられた数字でございますので、その辺との調整をやらない限りは、単独に
日本だけで、あるいは単独に通産省だけで判定をするということもまた問題があるのではないかということでございまして、これからオタワ・サミットにかけまして、たとえばIEAの一般の
理事会等におきましてそういうディスカッションが続けられていくのではないかなという気持ちを持っております。
〔
委員長退席、梶山
委員長代理着席〕
ただ、繰り返しになりますけれ
ども、単に六百三十万バレル・パー・デーというものが決められたからそれをあくまでも死守していくという
考え方は硬直的であり過ぎるのかな、こういう気持ちは持っております。