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田中(六)
国務大臣 この問題は、私は
二つの側面を考えておるわけでございます。
一つは、ミクロと申しますか、非常に近視眼的な眼前の問題でございますけれ
ども、私
ども、いまの外為及び外国貿易管理法に基づく貿管令につきましては、
輸出業者から申請がある。私の方でこれを承認する。そしてまた次に税関でチェックする。それで、違反者があるならば罰則をやるという
一つの過程を通るわけでございます。したがって、現実に千五百五十五億ドルと言ったのは五十六年度の
見通しでございまして、五十五年度は千三百六十億ドルの貿易量があるわけでございまして、その中、大体チェックの対象になる量は四百から四百五十万件だと言われておりますけれ
ども、そういう審査の対象の中で、税関の職員が約七百名と言われております。こういう人たちが、いま申しましたそういうプロセスを経て確認をする場合に、それがどうだろうか、やはり漏れていく場合もあるでしょうし、現実に堀田ハガネは漏れたわけでございます。これも皆さんに
指摘しましたように、刑法とか刑事訴訟法あるいは民訴でもそうでございますけれ
ども、こうしてはいけない、こうすればこういう罰則があるという
法律が世の中には多うございます。それから刑務所もあるし、また巡査の派出所、警察署もある。これは別に犯罪があろうがあるまいが、
予測した
一つの体制でございまして、人間に性悪説、性善説があることから来たのかどうか疑問といたしましても、そういうことがある。それでもなお殺人事件が頻繁にあるし、どろぼうは一日こうしている間にもどこかで妙なことが行われているでしょうし、そういう犯罪を考えて、犯罪数あるいは殺人数などを見ましたときに、それならば第二刑法をつくるか、第三刑法をつくるかという問題よりも、現行の
法律をいかにシビアにするか、あるいは現行体制をいかに強化するかということに頭がいくと思うのです。それと同様に、私
どもいま行政改革、機構改革で、人数をふやすことはむしろほとんど不可能な状態にある中でどうするかといった場合に、いまの貿管令で私
どもが行った方がいいんじゃないか。
法律で取り締まることよりも、むしろいまの体制を強化していくということの方が私はベターじゃないかという見解を持っておるわけでございます。
第二の側面は、私
どもいま貿管令とかいろいろなもので規制しております品物、つまり現実に、武器そのものは別でございますけれ
ども、一九八〇年代に臨みまして、だんだん時代とともに汎用品というものを考えたときに、私は、
日本の貿易量が非常に多いだけに、
輸出の立国あるいは技術立国という場合に、競争力というものを持たなければいかぬということを考えて貿易量との勘案をしますときに、
日本の将来の技術というもの、すでにIC回路はそうでございます。この次にどういうことになるのか。航空機になるかもしれないし、その他のものになるかもしれない。たとえば飛行機
一つとってみても、エンジン、尾翼あるいは胴体あるいは両翼をとってみても、その機械の中の何
一つとってみても武器につながるものになるものじゃないかと思いますし、ICそのものでも、御
承知のように、いま四ミリから五ミリ角のチップの中に二十万から三十万の素子が入るコンピューターの
関係があるし、時計もそうですし、カメラもそう、
日本の
自動車が非常に優秀なのも、やはりそういうものを使っているからだと思うのです。食料品でもそれを戦場に持っていけば武器になる。その他衣類にいたしましても繊維にいたしましても、そういったことがこれからはあるであろう。私
どもは発展途上国に次々に一九八〇年代の技術、いろいろな品物を譲って、そういうものを製造させなくてはならない。私
どもは次代の産業をねらう場合に、複合先端産業というものに焦点を合わしていかざるを得ない。そうなるときに、単に大企業だけではない、すそ野の広い、いま
委員も御
指摘のような
日本の中小企業の状態、人数の状態あるいは件数の状態でございますので、そういうものに-現実にすでにコンピューターでもそうですが、IC
関係でもそうですし、鉄板
関係でも十分中堅企業、中小企業が用いているわけです。あるいはつくっているわけです。
そういうことを総合的に勘案しますときに、
二つのそういう側面から与えたときに、私は、むしろ
法律よりも現行制度で、それを私
どもがお互いに注意して、それで厳重にやっていけばいいのじゃないかという判断に立っておるわけでございます。ただ、私が
法律を云々することは、御
承知のように、いま国会で各党でやるということになっておりますのでそれはタブーでございますけれ
ども、私の見解を言いますならば、大体要約しますとそういうところでございます。