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小林(進)
委員 私は、医学の問題は全く素人でございまして、なおかつ言葉を知りません。あるいは
先生方に失礼なことを申し上げるようなことがありましても、ひとつあらかじめお許しをいただきたいと思うのでございます。
社会党でございますが、社会党は、この
丸山ワクチンに対しましては党議によってこれを保険薬として採用すべきであるということを決定をいたしております。その決定に基づきまして昨年末、わが党の飛鳥田
委員長が鈴木総理と党首会談をやるときに幾つかの重点項目を並べましたが、その中で、この
丸山ワクチンを早期に採用することも党首会談の重大な項目として話し合いをいたしました。これに対して鈴木総理も、これを受けて、努めて善処をする、こういう確約をされておるのであります。同時に、当時の厚生大臣でありました園田直氏にもこの党首会談の内容をそのままぶつけて話し合いをしたときに、園田氏も、ともかく
丸山ワクチンは無害である、これは
先生方も証明になっておる、それからもう毎日数百名が生きるか死ぬかという生命をかけてその薬を得るために付属
病院まで行って狂奔をしているというこの事実、この明らかなる事実は黙視できないのである、これをあえて意地悪く、あるいはまたほかの考えで拒否するようなことがかりそめにもあるとするならば、これは人権問題であり、人道問題であるから、努めて善処いたします、こういう確約をされておるのであります。ところが、どうも総理大臣、前厚生大臣の約束どおり事が進まないのが非常に残念でありまするけれども、そういう
立場でひとつ四人の
先生方に御質問を申し上げたいと思います。
何しろ限られた時間でございますので、かいつまんで申し上げますが、まず、
桜井欽夫
先生には三つの問題についてお伺いいたします。
いま私の手元に抗
悪性腫瘍剤調査会のメンバーの名簿がございます。当社労の
委員長からは資料の用い方について激しい御質問がありましたが、私は資料採用の問題の前に、この
調査会の人的構成について御質問いたしたいと思うのであります。
十三名を拝見いたしますが、この中ではいわゆるクレスチン、これは同種の薬でございますが、それの資料をみずから作成をした人が二人も三人も含まれておる。
座長のあなた
自身も、このクレスチンの資料を作成する重要な役回り、みずから答案を書いてみずから点数をつけていらっしゃるという
役割りをしていますが、そのほかにも、あるいはこの中で塚越茂
先生しかり、太田和雄
先生しかりであります。なお、そのほかに、
丸山ワクチンについて最も明確に反対
意見を表明していられる古江尚
先生ですか、これもわれわれの
調査によりますと、ピシバニールの資料の作成をしておいでになる。こういうふうに一人一人
調査いたしますと、第三者として公平な
立場に立つという人はないということを言わざるを得ないのであります。
そこで私はお伺いいたしますが、この十三人の中で
丸山ワクチンというものを肯定する
立場でいらっしゃる方が一体何人いらっしゃいますか。これが
一つ。
しかもまだ、その中で一体この
丸山ワクチンというものを、あなたはさっき
基礎をやられた方が六人、
臨床が六人、それと
座長を含めて十三人とおっしゃったが、事実上
丸山ワクチンをみずから研さんをし、
臨床された
調査会委員の方が一体いらっしゃるか、いらっしゃらないか、お聞きしたい。私の
調査によると、みんなもうこれは、何といいますか、食わないうちにあれは水だとかあれは
効果がないとかいう反対の人だけが集まっている集団なんだな。
特に申し上げたいが、これは午後の厚生省の部で私は申し上げる。厚生官僚なんというやつはけしからぬやつなんでありますが、この中で同じようなのが、国立衛生
試験所の毒性部長だとかあるいは国立
病院医療センターの外科部長だとかいるが、大体国立といえばいよいよ厚生省の指揮下にあると見てよろしいが、その中でも、この
丸山ワクチンなどというものを真剣に
実験し、
調査をし、その成果を上げていらっしゃる、御本人を前にして悪いですけれども、
梅原先生も同じ
国立熱海病院にいらっしゃるんだから、反対の者を入れるんなら賛成の者も入れて均衡をとってしかるべきじゃないか。なぜ入れない。こういう一方的な、全く反対の偏向学者の集団をつくり上げておる。ここに私はまず問題があると思うのでございまして、こんなことをしゃべっていると時間がなくなりますから言いますけれども、この十三人の人
たちが本当に
丸山ワクチンというものを
臨床し、治験とあなた方はおっしゃるかもしれませんが、治験をされた、そういう経験の上に立っていられる方がいらっしゃるかどうか、それが
一つ。いいですか、あなたに対する質問を三つ持っているのです。これが
一つです。
第二番目に、皆さん方先ほどから東北大学のこのたびの
実験資料は非常にりっぱであるというおほめの言葉がありましたが、その東北大学の後藤教授がお出しになった資料をあなた
たちは素直に解釈をしてない。
東北大学医学部教授後藤由夫、
SSM研究論文執筆責任者の野村暢郎というのですか、この方が厚生省薬務局
中央薬事審議会抗
悪性腫瘍剤調査会の
座長桜井欽夫殿ということで、そして自分
たちの出した資料をあなた
たちは正しくそれを採用していないという、「発言に対する
異議申入れ」というものがちゃんと文書で出ている。
それは一体内容は何かと言えば、時間がないから残念でありますけれども、この東北大学でお調べになりました二百十二人の末期的
がん患者をいわゆる
丸山ワクチン、化学薬品と両方をやって、その結果が、化学剤と
丸山ワクチンを投与した者は、一年半たったけれども三人生き残っておる。片っ方、皆さん方が許可した化学薬品を与えた者は、一年半たったら一人も残らないで全部スーラスーラ。スーラスーラというのは中国の言葉で死ぬということであります。死んだということであります。みんな死んでしまった。けれども
丸山ワクチンと化学薬品を
併用して与えた者は三人通ったという、その資料をあなた方は努めて過小評価をしておる。その評価の仕方が納得できないと言って後藤教授が
異議の申し立てをお出しになっている。
実に私は貴重だと思うが、しかしあなた方はそれを半分だけ訂正された。たった一人の末期の
手術もできない
がん患者が生き残っておることだけは認めたが、他の二人はまだ軽症の
がん患者だというような理屈をつけて、あなた方はこの
異議の申し立てを採用されてない。
前向きで善意に解釈か、悪意に解釈か。これは天地の開きがあるのですよ。百人ですかあるいは二百人ですか知りませんけれども、三人も一年半も命を長らえてくるというその
効果は大変なものだ。キリストは何と言いましたか。九十九匹が正しく行っても一匹の迷う羊がいたらこれを助けろ。ましてや三人ですよ、三人も一年半も命を長らえている。この
効果は実に甚大でなければならぬが、それを認めない。これが
一つ。なぜこれをやらぬのか、これは第二問です。
第三問として、これは私も何回かお会いして、この問題については私の非常にいい友人の東大の篠原教授以下六人の方々が署名であなた方をやめさせろという厚生大臣に対する
陳情書、さすがに学者の書いた
文章ですね、一分のすきもない、りっぱなものであります。
その中には、あなた方はクレスチンだ、ピシバニールだ、みんな薬屋のひもつきじゃないか。そんなもので一体公正な
判定ができるか。人の生き死にに関する問題だ。どこの世界にあったって、反対者がいれば賛成者、中立の第三者というものを構成して物を
審議するというのが
国会におけるわれわれの常識です。ところが、あなた方の
調査会とか
審議会だけはこの常識が通らない。なぜ通らないかというと、
がんに対する学者が少ないからだ。何を言うか。この
丸山ワクチンを肯定する人
たちも山ほどいるのです。この人
たちを厚生省もあなた方も、あれは学者じゃない、
専門家じゃないと言っている。まして
臨床の現場においてこつこつと人の命を助けるために働いて、三十六も三十八もちゃんと科学的な
データをつくり上げて、そしてそれを厚生省へ
提出している山形県の名医もいらっしゃいますよ。われわれから見ればこれこそ本当の学者であり、本当の名医であると思うのだ。厚生省は、あなた方は、どうした、ああ開業医か、開業医の
データなんというものは机の上にほうり上げてそのまま用いない。一体医者の権威と医者の学問と医者の
専門を否定するものはだれだ。われわれじゃない、あなた方
自身じゃありませんか。医者がみずからの同僚、みずからの友人、みずからの仲間の
研究をみんな否定しているのです。そして自分
たちだけ天皇さんになったつもりで、自分のやることだけが正しいと思っている。そのやり方はだめです。一体なぜそういう人
たちのこの真摯な態度をあなた方の
研究の中に反映させられないのか、これが私のあなたに対する質問ですよ、いいですか。
もっと言いたいことがありますけれども、いまのこの篠原教授を
中心にする申し立て書を一体どうあなた方は取り上げるかということです。
それからいま
一つです。あなたは村山雄一という阪大の教授を御存じでございますか。あなたの先輩ですか。(
桜井参考人「違いますけれども存じております」と呼ぶ)そうですか。まあ、よろしゅうございます。この村山さんがやはり
丸山ワクチンと同じようにいま結核菌からワクチンのBCGを……(「山村さんです」と呼ぶ者あり)山村、山村雄一。村山じゃない。村山さんは厚生大臣でございます。間違えました。山村雄一でございますが、その人が結核菌からワクチンをいま
研究されている。BCGでございますかなここから新しい免疫のワクチンをいま
研究中である。
そこで、この人の
研究に
丸山ワクチンが邪魔をする、だからこれを抑えるという、そういう学会の、何か聞くところによりますと村山雄一教授は(「山村」と呼ぶ者あり)村山か。あ、山村、山村。どうも村山君とは選挙区が一緒で朝から晩までこれに脅かされているものでありますから、ついどうも習い性となりまして申しわけございませんけれども、その山村でありますが、近くいまの医師会の武見
先生が引退されると、彼がその後の日本医師会の会長にあるいはなるのではないか、有力なる候補者の一人であるという風評も聞いておりまして、なかなか医学界のオーソリティーでいらっしゃるという、その人がいまこのワクチンの
研究中である。
そこで、どうも
丸山ワクチンなどというものが出ると邪魔になるからこれを抑えるという、そういう
一般の風評があると言われますが、私はいまの山村さんのそのワクチンが近くあなたの
調査会に持ち出されるような見通しがあるのかどうか、承っておきたい。
それから、これはあなたではありません。あなたではありませんが、
丸山ワクチン、この丸山さんに、おまえはこれを本当に学会から認めてもらいたいならば、いまのこの山村教授のところへ行って、山村さんとひとつ、まあ軍門に伏せとは言わぬけれども、門へ行ってそこでひとつ共同でこの薬を開発するという手続をとられたらいかがですか、そういうことを極力進言をした。これは
梅原先生もよく御存じのはずだと思いますけれども、こういう事実を丸山さんが断られてから大変げきりんに触れて、これが今日の混迷を来しておるもとであるというのがもっぱらの風評であります。風評ですから、これは風評にすぎないのかどうかお聞かせをいただきたい。
時間がありません。これがあなたに対する質問、いま四つです。よく覚えていただきたい。
それから、これは
梅原先生にお伺いいたしますけれども、文藝春秋の八月号、あれはあなたのことを
中心にずっと
丸山ワクチンのことが書いてありますから、あなたはお読みになったと思いまするけれども、ここに切り抜きがあります、この中には、あなたは日本外科学会に行って二回も
丸山ワクチンの、あなたの経験をせられたその事実を
中心にして
報告をせられておる。なお、その他方々に
報告せられておりまして、あるいは七一%とか、数字は細かく言いません、六〇%とか
有効率がある、
効果があるということを
発表せられておる。いまもこれに盛られた文藝春秋の八月号の記事に重大なる間違いがないかどうか、大体事実を報道しているとあなたはおっしゃるのか、私は所見を聞きたいと思うのであります。
私はあなたの勇気に非常に驚いているのであります。この大ぜいの中で孤立を守りながら
丸山ワクチンの
有効性を至るところの学会で堂々と論じておられる。あなたは勇気があります、ごりっぱであります。心から敬服をいたしまして、その御
意見を承りたい。
私は第三問日に、時間がありませんから、もうやめろやめろと言っておりますから、三問目に
砂原先生に申し上げる。
あなたは、
丸山ワクチンの有効無効は別として、これを
患者に投与するまでのステップ、段階が少し間違っている、やはり
人間の命に関することだからステップを踏んでいくべきだというお話がありましたが、それに関連して、
丸山ワクチンは五十一年に
申請をしていま五年たっているけれども、まだ資料が足りない、あるいはアメリカ式の
臨床実験書を添えてこいとかと言われているが、この
先生のおやりになったクレスチンはわずか一年でもう厚生省の関門を通過しておりますね。それから、ピシバニールはまだ三年ですか、二年半でこれは許可になっておるわけですが、私どもが集めました資料あるいは
専門家から聞いたところによりますと、その認可をする条件が違っていると言う。なぜ
丸山ワクチンにだけこういう新しい過酷な資料の
提出を求めているのか。むしろ五十五年度から、ピシバニールあるいはクレスチンにも要求しなかった、新しい最も困難にして手数を要するそういう
実験資料の
提出を要求いたしておりまして、大衆の側あるいは使用する側から見れば、むしろこの要求は非常に不公平だ、こういうことが言われておるのであります。
先生のお話を聞きますと、何か
丸山ワクチンだけがどうもステップを踏み違えたようなお話だったのでございまして、話は逆じゃないかというふうに私は考えたのでございますが、この点をたとえて言いましょうか、
丸山ワクチンは
申請から五年もかかって、しかも五十五年夏から急にアメリカ流の
臨床実験における生存率
データを義務づけた、そして急に認可の
基準を厳しくしてしまった。これを適用すればピシバニールもクレスチンも全部落第するだろうというのが、これは他の
専門医、私じゃないのです、
専門医の
先生の考え方なんですから、この問題についてひとつお聞かせ願いたい。
もう質問時間が来たと言いますから、
委員長、これで終わりますが、私は最後に
佐藤博
先生にお伺いいたしますけれども、
先生は、
動物実験と人体は違うぞ、まして
がんは生体から生ずる、個人個人も差があるし、
人間の質も違うのだから、そう一律一体にはいかないのだ、
人間一人一人の体質、資質がみんな違うように、
がんの質も内容も違うのだから、しかも
先生の長い
基礎学問ですか
臨床によりますれば、まあ二〇%ぐらい効用率はあると
先生はおっしゃるから、やはりこれは保険薬として採用すべきではないかという主張をされておる。私は実にりっぱな名言だなと、心から敬服をいたしておるのでございますが、こういうことについて改めて
先生の御所見を承りたい。
以上、四人の
先生方に御質問を申し上げました。