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田口委員 貴重な時間でひとつ要を得たお答えをいただきたいのです。
午前中大変問題になりました労働基準局補償課の名前で出ておる、これは部内資料だそうですが、「林業関係の労災保険収支の
実情と問題点」、私はこれを一べつして、いろいろ問題ありましたが、どうもこれから見た判断とそこから得られる対応が多少問題があるのじゃないか。もう午前中繰り返し言われておりますから私は言いませんが、ただこの文書の中で、保険の収支の状況が悪化の一途をたどっておる、その原因は
振動障害の激増にある、したがって
振動障害の新規発生を防止するための
対策というものが年々強化をされて、やがてその
予防効果というものが次第に上がってくるだろう。私はそう願いたいと思うのですね。
ところが、同じ政府部内で、四月十四日の本
委員会で、林野庁
田中業
務課長がこういう答弁——私はこれを無理にこじつけて解釈しようとは思いませんけれども、林業労働者の労働生産性の問題に限ってこういう言い方をしておるのですね。国有林の直用労働者と民間の林業労働者との間の生産性の問題、ちょっと要約をいたしますと、官民の比較のケースはないけれども、標準的な仕事のやり方を一〇〇といたしまして、一〇〇より下回ったらそれだけ悪いんだ、こういう前段の説明で、
昭和四十七年の九三が最高、「その後逐年残念ながら低下をいたしまして、五十年ごろは七九の最低の
数字になっております」、この原因は「いろいろ
振動障害の多発でございますとか、それに対します
対策のおくれとか、あるいは一部労使紛争もあったわけでございます」、こういう言い方は、九三が最高で最低の七九になったのは
振動障害、それからそれに絡まる労使紛争があったから生産性が落ちておるんだ、その後逐年努力をいたしまして八六になったり、五十五年度は決算途上ですがまあ九〇までいくだろう、こういう
田中説明員の答弁があるわけでございます。
そこで、私は
大臣にちょっと後でお答えをいただきたいと思うのですけれども、さっきからいろいろ問題になっている、確かに収入が百億に対して支出は三百億だ、その収支の
改善を図らなければならぬということは常識で言ってもわかるのですけれども、その収支の
改善を図るために新規発生を大いに抑えていこう、
予防に万全を期そうという言い方をしておきながら、一方の発生源、
振動病の発生源は言うならばその職場で言ったら山、機械は
チェーンソー、その発生源において
予防対策は二の次にしてどんどん生産性を上げることにのみどうも意を用いておるかのようなこの林野庁の御答弁ではないのか。
そうすると、この問題になっております文書でも指摘をしておりますように、百に対して三百だから保険料の負担の限界を超えておる、このままいったら林業経営の基盤を危うくするとまで
労働省は心配しておるのですけれども、その心配をされておる発生源では、
振動病の発生は二の次だ、どんどん生産性を上げろというようなことを言っておるとしか私は思えない。
ところが、この九三、七九といった
数字に関連しますと、午前中
矢山委員からも具体的な
数字がありましたが、
昭和四十九年七百八十八、ここで余りにも発生が多いためにのこぎりにかえておるのですね。のこぎりにかえたために生産性の
数字が七九までぐんと落ちた。落ちたけれども
振動病の発生件数は五十年には四百八、前年の約半分、以降逐年二百一、百九十五、八十七、七十三、
昭和五十五年の十二月には二十四というふうに
振動病の発生
予防という
数字はこの限りでは具体的な
数字となってあらわれてきておる。
ですから、これは民間の労働者と国有林直用労働者の生産性の比較ということでがちゃがちゃ言うのではなくて、ここまで実績を上げておるのですからね、さっき
大臣の答弁もありましたけれども、民間の
山林労働者にもそういった方法でやれば新規の発生件数は減ることは実験済みだ。そうなってくると、
振動病の発生件数が減ってくる、しかも労働生産性は五十五年の九〇にまで近づいてきておるというのですから、生産性も上がる、一方労災保険も安定化の方向に持っていけるのではないか。私が言うとおりに行けば三方うまくおさまるじゃないかと私は思うのですね。
しかし、いまどうしても林野庁、この間の十四日の答弁では、どうも国有林直用労働者は
振動病だなんのかんの言って働かないけれども、それでは労働生産性は上がらぬから検討いたしますということを思っておるのか。全林野の諸君と労働協約を結んでこのように発生件数も減り、リモコンとかなんとかということで生産性も上がっておる
現状にかんがみて、この民有林の、民間の労働者にも推し広めていこうとする気がないのか。
そういう点、まず林野庁のお考えを聞きたいし、最前御論議がありましたけれども、もう一遍
大臣の
振動病の絶滅、
予防強化のための御決意を伺いたいと思います。