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浦井委員 時間が迫ってきたようなんで、最後に私、
大臣に要望をしたいことがある。
それは、
大臣も非常に神戸に縁の深い方でありますから神戸の問題でありますが、御承知のように神戸には地場
産業としていまこの法改正で問題になっております清酒があります。これが東神戸。それから、御存じだろうと思うけれ
ども、西神戸にはケミカルシューズ
産業というのがある。第三のくつと言われておるわけなんです。このケミカルシューズの問題なんですが、ここへ行きましても、やはり
先生そんなもの中退金に入るだけの魅力おまへんわ、こうなるわけですよ、この間行ってきたわけですけれ
ども。やはり商工
会議所なんかの特定
退職金制度というところに、融資の関係もありますから皆そこへ行く。こういう
状況。
そこから話をいろいろ聞いてきたんですけれ
ども、この業界が年にくつを大体三千八百九十万足。ケミカルシューズですから、ゴムぐつでもないし普通の履物でもない。年商が多いときは二千億ほどあったんだけれ
ども現在は六百億ぐらい。それで、業界の従事者が一万人で、非常にすそ野が広いんでずっとそのすそ野も全部入れると、関係者が大体二万五千人。これは長田区それから須磨区、こういうところです。これは
大臣も御承知のように、明治以後まず神戸、大阪に人がずっと集まってまいりまして、そこでそういう安い労働力を利用してマッチ
産業が起こる。これがまた外地のさらに安い労働力に食われて、ダンロップを初めとしたゴムぐつ
産業、そして戦後ケミカルに発展していく。そういう同じ労働力を使っておる関係上、零細業者の集まりなんです。しかも、さっき言いましたように、下請のすそ野が広い。しかももう
一つは、業者にもあるいは
従業員にも在日朝鮮人が多いという特色がある。造船や鉄鋼と並んで、そういうような
零細企業の集まりであるにもかかわらず、神戸の景気全体を左右するだけの力を持っておるわけですよね。この間のオイルショックでも非常に大きな打撃を受けたけれ
ども、かなり素早く対応をして、輸出型をやめて国内需要型にするという形で、何とか業界としていま一生懸命一人前になるために
努力をしておるわけなんです。
ここに至るまで、かなり零細業者が多くて、しかも在日朝鮮人という外国人の参入が多いということで、金融機関からも差別をされる、あるいは市民
一般からも、当初はややともすれば余り高い評価は受けておらなかったわけであります。近促法であるとかあるいは産地振興法というものの適用を受けて、県や市もある程度援助もして業界の自覚も高まって、いまや清酒と並んで神戸の代表的な地場
産業になってきておる。これは
大臣もよく御承知だろうと思うわけなんです。
ところが、非常に大きな悩みがあるわけなんです。それは、この間行って聞いたのですけれ
ども、たとえばことしの四月に新規の学卒者でその業界に入ってきた人がゼロだという。まずゼロ。
数字として捕捉できないという
状況で、こんなことが続いておれば後継者の育成がきわめて困難だというのが、協同組合の役員の皆さん方のいまの最大の悩みであるわけなんです。
そこで、この間県や市の役人も一緒に西ドイツやイタリア、イギリス、こういうところへ行って、くつ学校があるというので、そこへ見に行ってきた。非常に参考になったと言うて帰ってこられたわけなんですが、向こうの
状況というのは、くつ学校でも全部国立になっておる、そして百年ぐらいの歴史を持っておる、こういうことなんですね。
そういえば、たとえば清酒なんかの場合は、御承知のように大阪大学に、あれは工学部の醗酵工学科ですか、これはやはり清酒業界の運動でつくられたということもありますし、日本全体で言えば、造船工学科なんというものもやはりそういう経緯でつくられたと言って言えぬことない。くつ学校が国立であっても不思議でないというふうに私も思ったわけなんです。こういう国立のくつ学校みたいなものがたとえばつくられるとしたら、これは非常に業界の評価が高まるのですよね。やはり神戸でケミカルシューズに働いておるんだということになると、まだちょっと後ろめたい感じが残っておりますが、そういう感じが一掃されるほどイメージアップにもつながる。それと、韓国、台湾、あるいはシンガポール、インドネシアというような東アジアの方の
人たちの人材も、権威のあるくつ学校がつくられたら、非常にやってくるという気宇壮大な希望でもあるわけなんです。
そこで、
中小企業庁来ておられますか。——それでは通産省に。このケミカル業界が近促法なり産地振興法なりの業種適用を受けて、かなりまじめに
行政指導を受け入れて、いままで計画もつくり、
努力もしてきたことはよく御承知だろうと思う。大体どこの計画でもそうですけれ
ども、官庁の指導のとおりに新製品の開発であるとか新市場の開発というようなことと同時に、人材養成もうたってきておるわけなんです。これは通産省が指導されたんだろうと思う。だから、人材養成をうたう限りは、こういうケミカル業界に人材養成という点で何らかの援助の手を差し伸べるべきではないかと私は思うのですが、通産省の御意見をお聞きいたしたいと思います。