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川本委員 次に私は、
雇用保険法の中で前から宿題になっています日雇い失業給付の段階制の問題について、この際もう一度詰問をして、そしてこれは
労働省の責任を明らかにしてもらうとともに、ひとつはっきりした御答弁をいただきたいと思うわけです。
五十四年の二月二十七日に、私がこの社労
委員会で当時の栗原
労働大臣に対して質問をいたしました。御承知のように、
雇用保険法の第十八条でいわゆる基本日額の自動的変更の規定があるわけです。そして同じく
雇用保険法の第四十九条で日雇い
労働者の失業給付の基本日額の自動的改定の規定があるわけです。
ところが、いまのこの法律の
一つの大きな欠陥ですけれども、一般失業給付については毎勤
統計で二〇%ですね、百分の百二十になったときには自動的に改定される。だから現在のように
賃金水準、物価
水準が
年間六%か七%ということであっても大体三年ぐらいに一回は改定されるということになるわけです。ところが、この前も
指摘しておりますが、日雇い
労働者の場合は、この前二千七百円から四千百円に改定されたのですけれども、これは五十三年だったと思いますが、そのときの差額は実に五二%ですよ。五二%上がらなければ改定してない。こういう形です。いまのように五%や六%や八%という
賃金上昇の
状態でしたら、こんなもの五二%になろうと思ったら十年かかりますよ。その間一般失業給付はふえていくし、日雇い
労働者の失業給付はふえない。その間
賃金は同じように上がっていっている。
ところが、段階制の中では、一級と二級と三級との比率で、二分の一ずつ足してその比率がどうだというような計算方法があって、その計算に達しない限り改定できない。これは法律の持っておる非常に大きな矛盾点だと私は思うわけです。
これは奈良から出ておられた私の先輩の八木一男
先生がこの問題を
指摘されて、当時の
労働大臣から、次の法
改正のときには多段階制で、三段階を四段階ないし五段階にしますという答弁をいただいておられたわけなんです。ところが、八木
先生が亡くなられて私が五十一年の年末に当選させていただいて、その上でまた
労働大臣にこの八木
先生に対する約束はどうなっておるのだと聞いたら、知らぬとは言わぬけれども、ともかく現在の
状態では大変いろいろ制度的にも問題があるので検討いたしたい。しかし、次の答弁で栗原
労働大臣はこう言われておる、制度
改正というようなとき、料率を改定するというようなときにはぜひというのがいまの考え方でございます。三段階を四段階にしたり五段階にしたりということを言われた。細野
局長もそのときは、次の改定の中で対処させていただきたいというふうに申し上げるのが一番責任あるお返事ではなかろうかと存じますと、こう言っておるわけです。だから、今度のこの法律
改正で当然出てくるものと私は期待しておった。
ところが、これまた全然ほおかぶりですよ。素知らぬ顔をしておる。これは
労働大臣がかわっておられるけれども、答弁はやはり
労働大臣の答弁としてそのまま守られなければいけないと思うわけです。
まして記録を調べてみますと、日雇い失業給付についての段階制の是正等その
改善については可及的速やかに所要の措置を講ずること、こういう社労
委員会の附帯決議が、八木
先生が質問されたときにもついておるのです。その後にもついておる。私の五十四年のときも。もう三回同じ附帯決議がなされておる。こういうのは全く日雇い
労働者というものを差別するような、べつ視するような政策のあらわれだと私は思うわけです。
少なくともこの点については、今度の法
改正の中で処理されるべきはずのものであったと私は思います、いままでの約束から言うと。それがなされていないということは、これはもう大きく怒りを感ずるところですけれども、
労働大臣、どうするのかということをひとつお答えいただきたいと思います。