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永井委員 限られた時間でありますのでなかなか細かく掘り下げて申し上げることはできないのでありますが、パートタイマーの
関係でさらに若干の問題を引き続いて申し上げてみたいと思うのであります。
たとえば年次有給休暇であるとか休日の問題であるとか、こういう問題についても、いわゆる本工と言われている人たちに比べると適用されている範囲がかなり狭いわけですね。たとえば年次有給休暇でいきますと、本工は八三%、パートタイマーは七七・一%というふうに下がっているわけですね。あるいは休日の
関係についても同じことが言えます。いわゆる
労働基準法上で定められた休日がまともにとれないという
状況も
企業や業者によっては出てまいっております。
これが最前申し上げたように就業規則がまともにできていなかったり労働条件が明示されていないところに実は出てきているわけであります。少なくとも
労働基準法の
関係からいって、このパートタイマーも短時間
労働者で、いわゆる
労働関係法が全面的に適用されるというその
基本からいくと、当然保護されなくてはいけない。こういう面からいくと、私はまだまだ
法律に不備な面があるのではないかという気がしてならぬわけであります。
おもしろい分析があるのです。たとえば有給休暇でいきますと、一週間に一日しか働かないパートタイマーがあったとする。これを
労働基準法の第三十九条を完全に適用しようとすれば、この人が十六年目には二十日働いて二十日付与という状態が出てくる。あるいは隔週に一日
勤務する場合は、十六年目には一日も出勤しないで二十日間付与という権利が発生する。しゃくし定規に解釈すればそういう問題もあるわけですね。私があえてこの問題を出したのは、事ほどさように実際労働法上ではまだまだ不備な点があるということを実は
指摘したいわけであります。
そこでそのことを念頭に置きながら私はお聞きしてみたいと思うのであります。
たとえば
雇用保険の問題について申し上げますと、
労働省の
雇用管理調査によれば、パートタイマーの
雇用保険適用
企業数は三八%しかない。厚生
年金は三六%しかない。健康保険も三八%。もちろんこれはフルタイマーを指して言っているわけであります。
そうして
労働省がこれらの実態をとらえて、
昭和五十年三月二十五日に職安局の発九十七号ですか、「
雇用保険その他
関係法令の施行について」という通達を出していますね。この通達でいきますと、ここにその通達の写しを持っているわけでありますが、このように言っているわけであります。短時間就労者、いわゆるパートタイマーについて、「短時間就労者についてはその者の労働時間、
賃金その他の労働条件が就業規則において明確に定められていると認められる場合であって、次のいずれにも該当するときに限り被保険者として取り扱い、これに該当しない場合は原則として被保険者として取り扱わない。この場合その者が他の社会保険において被保険者として取り扱われている者であるかどうかもその判断の
参考とすること。」このように通達の中で言っているわけでございます。そうして「
雇用保険のみについて被保険者として取り扱われることを希望するような者建次のいずれにも該当する場合であっても被保険者として取り扱わない」、このように明確に
指導しているわけであります。
そういう通達の
内容からいくと、パートタイマーのほとんどがこの
雇用保険の加入が認められないということになってくるわけであります。そういうことからこの
雇用保険の適用
企業数が三八%という数字になっているのではないか、こう私は考えるわけであります。なるほど、社会保険と
雇用保険の同時加入ということは正しいことであります。しかし、本来は
雇用保険と社会保険は別の
制度でありますし、ましてや月収が四万とか五万とか六万とかの低い
賃金の支払いしか受けておらないパートタイマーの場合は、すべての保険に同時加入するということは非常に負担が大きくなることははっきりしているわけです。
したがって、要は現行のこの適用基準というものの適否の問題だと思うわけでありますが、たとえば外国で言うと、デンマークなどは週十五時間、このようになっておりますが、
労働省の通達では二十二時間以上、このようになっています。オランダではいわゆる一般工の三分の一、このように規定しておりますが、この
労働省の通達では四分の三以上、こういうことになっていることから考えて、まさに日本の場合は非常に厳しい、このように私は
指摘をせざるを得ないと思うのであります。したがって、かなり長期に勤められている方でも現在の
労働省の通達基準から外れてしまう、こういうことになっているわけでありますので、
労働省が毎年出している
雇用保険加入促進の趣旨からいってもこれは問題があるのではないか、私はこのように言わざるを得ないと思うのであります。したがって、パートタイマーの在職
期間が長期的になってきている現状から見て、この通達を改善すべきではないか。
雇用保険のみの単独加入ももっともっとスムーズに行えるような
行政指導を早急に行うべきではないか、このことを私はお聞きいたしたいと思います。
そして、パートタイマーは、労働する側の要求する形態でもありますけれ
ども、片方で、多様化した産業構造の必要性から生まれたものでありますので、これを保護するのは私は重要な労働行政であると思いますので、これについて最後に
労働大臣の見解をお伺いし、あわせて、この種の問題についての諸外国の実態をできれば
調査していただいて、その
調査の資料を提出していただきたい、このことをお願い申し上げます。