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小林政府
委員 昭和五十六年度厚生省所管予算の概要につきまして、お手元の資料に従いまして簡単に御説明申し上げます。
昭和五十六年度厚生省関係の予算額は、総額で八兆七千六百四十二億四千七百万円でございます。前年度に対しまして、額で六千百四十七億七千二百万円の増、率で七・五%の伸びを示しております。
次のページは、厚生省予算を経費別に掲げたものでございます。一番下の欄でごらんいただきますと、厚生省予算額の一般会計総予算に対する割合は一八・七%となっております。
以下、主な内容について御説明申し上げます。
目次のページを三枚飛ばしていただきまして、一ページをごらんいただきたいと存じます。
最初は、国際
障害者年特別対策でございます。
昭和五十六年が国際
障害者年であることを考慮いたしまして特別の施策を行うこととし、所要の予算を計上しております。
まず一ページは、国際
障害者年記念事業でございます。備考欄にありますように、各種の国際的セミナー、シンポジウム、それから記念スポーツ大会、さらに全国身障者総合福祉センターの建設等がその主な内容でございます。
次に、二ページと三ページは、従来から実施してきている事業でございますが、国際
障害者年を契機に例年以上にその
充実を図ることとしているものでございます。
主なものを申し上げますと、まず備考欄の一番上の
障害者福祉都市でございますが、
障害者の住みよい町づくりを進めるための施策でありまして、これについて新規四十七市を含め七十二市に大幅にその対象の拡大を図ることとしております。また、関係方面から非常に御要望の強い
障害者社会参加促進事業につきまして、一県当たりの単価を増額いたしますとともに、メニュー事業の数を三事業ふやしまして二十事業に
充実することといたしております。
三ページの中ほどでございますが、心身
障害児(者)施設地域療育事業でございます。いわゆる施設オープン化対策でございますが、その実施延べ施設数を二百三十二から二百九十二施設に、また次の精神薄弱者通所援護事業費の対象施設を五十七カ所から八十七カ所にとそれぞれ大幅な個所数増を行うことといたしております。
四ページ以降は福祉関係でございます。
まず、在宅
老人福祉対策でございますが、総額で九十二億七千万円を計上しております。特に、下に参りまして、家庭奉仕員につきましてその増員と処遇
改善を図っているほか、五ページへ参りまして、中ほどにあります居宅サービス事業の経費を新たに計上しております。これはいわば訪問サービスとも言うべき施策でありまして、寝たきり老人等の家庭に出かけまして入浴、給食あるいは洗たく等のサービスを行う事業でございます。
在宅
身体障害者対策につきましては、五百二十一億一千万円を計上しておりまして、すでに御説明したもののほか、七ページの中ほどにございますが、福祉手当につきまして手当月額を一万円に増額するとともに、本人所得制限を二人世帯で三百万円へと大幅に引き上げを行うこととしております。
在宅心身
障害児(者)対策につきましては、九百四十二億一千五百万円を計上しております。
八ページの下の方をごらんいただきますと、特別児童扶養手当がございますが、その手当月額の引き上げと本人所得制限、これは六人世帯でありますが、五百六万から五百二十三万へと引き上げを図っております。
九ページはボランティア活動等の推進でございまして、十五億五千五百万円を計上しております。
新規といたしまして、心配ごと相談所のケース処理研究協議会費を新たに計上いたしましたほか、福祉活動専門員の増員を行うことといたしております。
十ページは家庭保健対策でございます。まず、心身障害研究費の増額、それから下段の方に参りまして小児慢性特定疾患治療研究費につきまして対象範囲を拡大をいたしております。
それから十二ページへ参りまして、児童の健全育成対策でございます。総額で五十四億八千五百万円を計上しております。児童館、児童センター、それぞれ七十カ所、計百四十カ所の新設を予定しております。それから一番下へ参りまして、国立総合児童センター(こどもの城)でございますが、この建設経費として十六億円余を計上いたしております。
十三ページは児童手当制度でございます。児童手当制度につきましては制度内で給付の重点化を図ることとしておりまして、所得制限を若干引き下げましたけれども、手当月額につきましては、給付の必要性の高い低所得層について六千五百円から七千円へと増額を図っております。
次に、母子・寡婦等福祉対策でございます。千八百二十八億八百万円を計上しております。母子福祉貸付金及び寡婦福祉貸付補助金につきましてそれぞれ貸付原資の追加を行うとともに、児童扶養手当につきまして手当月額の
改善を図ることといたしております。
一番下は、低所得者援護の強化でございます。次のページにありますように、まず生活保護につきまして民間最終消費支出の動向等を勘案いたしまして、生活扶助基準の八・七%の引き上げを行うこととしております。また、世帯更生資金貸付.制度につきましては、貸付限度額の引き上げ等貸付枠の拡大を行うこととしております。
それから
社会福祉施設の施設
整備の関係でございますが、六百六十七億円を計上しております。前年と同額でございますが、備考欄にございますように
障害者更生保養センター、これは仮称でございます、それから
身体障害者通所ホームを新たにその対象に加え、また特別養護老人ホームの補助基準面積を
改善する等の措置がこの中に盛り込まれております。
一番下でございますが、施設運営の
改善、いわゆる措置費の
改善でございます。これにつきましては職員の増員のほか、十五ページの上の方にございますが、四十四時間勤務体制の実質的確立のための初年度分の経費を新たに計上しているところでございます。また、次の十六ページでございますが、乳児
保育につきましてその対象をD2階層からD4階層へ拡大する
改善も行っております。
十七ページは健康づくり対策でございます。総額で百九十三億九千九百万円を計上しております。
主な内容といたしましては、備考欄の中ほどにございます
婦人の健康診査費及び栄養
改善地区組織活動費の対象地区の拡大。それから十八ページの下の方へ参りまして職場における健康づくりの中の政府管掌健康保険被保険者教育事業費の新規計上。それから次の、地域における健康つくりの中の市町村栄養
改善事業費の対象市町村数の増等を行うことといたしております。
次に、地域医療の
充実でございますが、プライマリーケア対策といたしまして六十一億五千四百万円を計上しておりまして、臨床研修の
充実を図ることとしております。
救急医療対策につきましては百五十三億百万円を、それから次のページへ参りまして、僻地医療対策につきましては四十五億八千五百万円を計上しておりまして、それぞれ計画的な
整備を進めることとしております。
二十一ページ、医療情報システム体制の
整備でございます。これにつきましては、医療情報システムの開発、普及、導入の各部門におきまして特にその推進を図ることとしております。
二十二ページ以降に特殊疾病対策が列挙してございます。
まず小児医療対策でございますが、国立小児病院その他の施設
整備が中心でございます。
それから循環器対策の中には、国立循環器病センターの増床分の経費あるいは循環器病研究委託費の
増額等が含まれております。
それからがん対策でございますが、国立がんセンターの施設
整備、二十三ページの一番上にございますがん研究助成金の増額がその中に入っております。
二十四ページは難病対策でございますが、特定疾患治療研究費の対象疾患を二十三疾患に拡充することとしております。
一番下段の脳卒中リハビリテーション対策につきましては、二十五ページの上にありますようにリハビリテーション施設及び老人慢性疾患専門医療施設の
整備を計画的に進めることといたしまして、所要の経費を計上しております。
二十六ページは感染症対策でございまして、新たに感染症
予防情報網の
整備を図ることとしまして六千五百万円を新規に計上しております。
二十七ページの一番下でございますが、保健衛生施設の
整備でございます。五十九億三千二百万と前年同額でございますが、事項といたしまして二十八ページの中ほどにあります原爆被爆者保健福祉施設を新たに追加しております。また画医療施設等の
整備につきましては、これも七十三億六千九百万と前年同額でございますが、これにつきましても、事項といたしまして二十九ページにございます老人デーケア施設を追加することといたしております。
三十ページは年金制度でございます。
まず、厚生年金、船員保険及び拠出制国民年金につきまして、物価スライドによる給付
改善を行うこととしております。すなわち、
昭和五十五年度の消費者物価上昇率に応じまして年金額の
改定を行うこととしております。実施時期は厚生年金、船員保険は五十六年六月、国民年金は五十六年七月といたしております。
次に、福祉年金でございますが、年金額の引き上げについて、老齢福祉年金の場合で申しますと、月額二万二千五百円から二万四千円に千五百円のアップを図っております。ただし、扶養義務者の収入に比較的余裕のある年収六百万以上の場合は、これは六人世帯でございますが、五百円増の二万三千円といたしております。
所得制限につきましては、本人所得制限で老齢の場合二人世帯二百十六万四千円から二百二十六万六千円に引き上げ、障害の場合で二人世帯二百十六万四千円から三百万円に大幅に引き上げ、母子の場合二人世帯三百六十一万円据え置きをそれぞれ予定しております。なお、扶養義務者所得制限は六人世帯で八百七十六万円、据え置きでございます。
なお、年金オンライン体制の
整備につきましては、引き続いてその
整備を進めることとしております。
三十二ページは
医療保険制度でございます。
まず、政府管掌健康保険につきましては、備考欄に掲げますような制度
改善をベースにいたしまして、五千二百七十八億円余の国庫負担を計上しております。
三十三ページは船員保険の疾病部門でございますが、これにつきましては国庫負担金を十五億円から二十億円に増額しております。
国民健康保険助成費につきましては、総額で二兆三千七十五億二千四百万円を計上しております。最も大きいのは一の療養給付費補助金でございますが、そのほかに財政調整交付金、臨時財政調整交付金等がこの中に含まれております。なお、助産費補助金につきましては、補助基準額を八万円から十万円に引き上げることといたしております。
三十五ページは老人医療費支給制度でございます。懸案の老人保健医療制度については五十七年度実施をめどに今国会に法案を提出する予定でおりますので、五十六年度予算は現行制度をベースにいたしまして編成しております。なお、所得制限につきましては、本人(夫婦二人)で二百十六万四千円から=百一、一十六万六千円に引き上げ、扶養義務者、これは六人世帯で八百七十六万円は据え置きといたしております。
次は医薬品副作用被害救済制度でございまして、重症スモン患者介護事業費の単価の引き上げを行うことといたしております。
三十七ページは医薬品の安全対策等でございまして、三億八千万円を計上しておりますが、この中には新規施策としまして、医薬品再評価調査費及び医療用具安全性調査費が入っております。
三十九ページへ参りまして、看護婦等医療従事者の養成確保でございます。
この中には看護婦等貸費生貸与金の貸与月額の引き上げ、看護研修研究センターにおける課程の増設、それから四十ページにございます国立病院・国立療養所の看護婦の夜間看護手当の
増額等の経費が含まれております。
理学療法士等の養成につきましては、理学療法士の民間養成所につきまして初めて運営費の助成を行うこととしております。
四十一ページは保母等の養成確保でございまして、保母修学資金貸与費の貸与月額の増額を図ることとしております。
四十二ページは生活環境施設の
整備、いわゆる公共事業費でございます。これにつきましては引き続いて施設
整備を進めることとしておりまして、簡易水道の普及促進で二百七億八千四百万円、水道水源の確保と水道の広域化の推進につきましては七百十七億三千八百万円、廃棄物処理対策につきましては六百四十七億三千万円をそれぞれ計上しております。
二枚飛ばしていただきまして四十五ページでございますが、懸案となっておりました廃棄物の広域最終処分場の確保、いわゆるフェニックス計画につきましては、関係地方公共団体の共同出資による事業主体を設立してこれを推進することといたしまして、新たに広域廃棄物埋立処分場建設事業費を計上しております。
四十六ページは戦傷病者戦没者遺族等の援護対策でございまして、千四百七十二億一千四百万円を計上いたしております。遺骨収集、慰霊巡拝、慰霊碑建設のほか、中国孤児の援護対策に特に力を入れまして、受け入れ施設への委託費、それから肉親調査のための調査活動費を新たに計上しております。それから、義勇隊開拓団員を新たに
援護法の処遇対象といたしております。また遺族年金につきましては、恩給の
改善に準じた
改善を行うことといたしております。
次に、環境衛生関係営業の振興でございまして、八十七億四千五百万円を計上しております。都道府県環境衛生営業指導センターを本年に引き続きまして十一カ所増設することとしております。
原爆被爆者対策の
充実でございますが、これにつきましては原爆被爆者対策基本問題懇談会の御意見を踏まえまして、備考欄にございますような医療特別手当の創設、これは所得制限はございません。それから保健手当の加算制度の創設、さらに原爆小頭症患者手当の法制化等の内容
改善を図ることとしております。
五十ページへ参りまして、研究費でございますが、研究費につきましてその主なものをここにまとめて掲げております。
なお、次の五十一ページ以降に各特別会計の歳入歳出予算等の一覧表をつけてございますが、説明は省略させていただきたいと思います。
以上でございます。