○
薮仲委員 当
委員会に設置されております小
委員会等で、また細かい問題等はさらに詰めていくことになっておるようでございますが、その点も踏まえまして、農水省の十分な対応を重ねてお願いをする次第でございます。
次に、先ほど来の
質問をずっと見てまいりますと、やはり気象という問題が
災害に非常に大きなかかわり合いがあるわけでございます。そういう
観点から、長官に御理解いただくと同時に、現在気象庁が大変鋭意
努力して、気象
観測、通報等に
研究を重ねておることは、私は十分承知しそれを評価した上で、さらなる
努力をお願いするという意味で、何点かお伺いをしておきたいのでございますが、これはもう当該の
委員会等で
指摘もされていることで、私が重ねてというのもいかがかと思うのですが、やはりこれは
災害という立場から、長官にも御理解いただくためにちょっと申し上げたいのです。
気象庁に対する行政管理庁の行政監察があるわけでございますが、そこの冒頭に「気象に関する情報は、
国民一般の日常的な活動に不可欠なものとなっていることは
もとより、防災活動等の面で極めて重要な役割を担っており、その質的向上を図ることが社会的に強く要請されている。」等々ございますが、さらに「我が国は、その自然環境から、気象
災害が」、気象
災害という言葉が出ておりますが、「気象
災害が生じやすく、毎年多くの人命損傷を余儀なくされているほか、家屋、公共
施設等の
被害額も
昭和五十三年度で約七千三百四十億円に及んでいる。このような背景から、気象庁の気象、地象及び水象に関する
観測の成果や、これに基づいて発表される天気予報、注意報、警報等」は大事である、ということがここにうたわれてございます。そういう防災の
観点からの
指摘に対して、どうなったのかということをお伺いしたいわけでございます。
これは
大臣もよく御存じでございますけれ
ども、朝晩われわれがテレビを見ておりますと天気予報が出てまいります。そのとき、日本列島の上に静止衛星の「ひまわり」から送られてくる雲画像というものが載っかりまして、日本の天気はこうですよということが出てくるわけです。この行政監察の第一点の
指摘はその雲画像について
指摘されているわけでございますが、静止衛星「ひまわり」から送られてくるこの雲画像というものがどのような活用のされ方をしておるか、また、これがもっと有効に使われれば日本の気象というものはさらに精度が上がるんじゃないかという
指摘があるわけでございます。
これは全部読みますと長くなりますから簡単に言いますと、静止衛星「ひまわり」から雲画像が送られてくるのは、気象庁の本庁に送られてまいります。本庁から
全国管区気象台、五管区あるわけです。沖繩を入れて六カ所ですね。そこへ雲画像を送るときには、模写像を無線のファクシミリで送ります。これは
観測した時点から五時間後です。雲の
状況は
観測した時点から五時間後ですし、模写像であるので、ファクシミリで送っているものでございますから、画像が不鮮明である、非常に解析しにくいという点をここで
指摘しているわけでございます。しかも、これを管区気象台が直接受ければ、もっと警報であるとか予報の精度が上がるでしょうという
指摘なんです。
これは、ここでこういう
指摘されているわけですね。ここで一番問題は、こうなっているわけです。重ねて言うのもなんですが、「
地方予報担当官署においては、
観測時から約五時間遅れで本庁から無線ファクシミリにより一日二回送画される雲画像、
観測時から約四時間遅れで、気象衛星センターから本庁のアデスを経由して一日四回配信される雲解析図、及び雲解析結果に関する中央気象指示報などを
利用しているにすぎない。」、時間的おくれがどういう影響になるかという例がここに載っています。
これは
大臣に渡しておいてくださいと言ったからお持ちだと思いますが、これの七ページに、
昭和五十三年六月十日から十一日にかけてのある
地方県での
雨量が出ています。三時間
雨量が百三十五ミリメートル、十日の十五時から十一日十一時までの総
雨量は三百四十七ミリメートル、これによって県内に大雨があって、床上浸水八戸、床下浸水三百七十一戸、
道路損壊二十三カ所という大きな
被害が出ているわけですが、このときにこの雲画像が送られてこないために、管区気象台がどのような予報を出したかといいますと、レーダーの探知範囲内では警報級の強い積乱雲が認められなかったから、十日の夕刻から夜半にかけての雨は寒冷前線の通過に伴う一過性の雷雨
程度と見込んで、大雨の予想ができなかったんだというのです。ところが、実際は大雨が降って、これだけの
被害が出ました。ここに問題があるわけですね。
私がここで
指摘したいのは、「もしこれがリアルタイムで入っておれば、少なくとも五時間か六時間早く大雨
洪水警報の発表が可能であった」、こうなっておるわけです。これが
一つ。防災の見地から非常に大事なことです。数時間前に大雨
洪水が的確につかめますよ、ということがここに
指摘されているのです。
もう
一つ、
大臣、これもちょっとここに出てくるわけですが、日本の気象
観測のためにレーダーによって雲の
状況を
観測しております。二十官署でやっておりまして、半径三百キロメートルをレーダーで調べております。ですから、ほとんど日本列島全部、レーダーで雲の状態はわかります。
それと同時に、この中にはアメダスという言葉が出てまいります。これは正式には自動気象計による
地域気象
観測網といいますけれ
ども、雨の量とか風向きとか、そういうものが自動的に計測されて、データバンクに入ってまいりますよという、アメダスという
施設が千三百十二カ所にあって、雨の量を的確に自動的に計測しております。これは大手町にある電電公社の電算機に入っております。
ところが、問題は、この気象レーダーでやった雲の像と
雨量というものが、重なった形で
資料として使っておりません。これをやはり、
雨量を正確にするためには、レーダーでつかんだ雲の解析と雨の量を的確に使えば、もっと気象の精度が上がりますよ、という
指摘がここに出ているわけです。
これもなぜ私が
指摘するかというと、ここに具体的な例が出ている。これは十一ページですが、
昭和五十四年七月十六日、ある県のある町において、「十六時に一時間
雨量百五ミリメートル、十五時から十八時までの三時間
雨量百九十ミリメートルに達する大雨があった。」、ところが、気象台ではこの予報ができなかった。大雨の予報ができず、警報がおくれたわけでございます。
そこでどういうことが
指摘されているかといいますと、ここが大事だと思うのです。この例を気象庁が後で解析してみると、「
観測時刻のレーダーエコーだけでなく、
観測時刻間のエコーの時間的積算を行って、五キロメートルごとの
雨量の相対的分布を推定し、これとアメダスによる
雨量実況分布とを組み合せることにより、アメダスの
観測網にかからない局地的な大雨の存在と、その
雨量の絶対値を、かなりの精度で推定できることが検証されている。」、いわゆる
雨量についてはもっと精度が上げられますよ、という
指摘がされているのです。
いま言われましたように、
一つは雲画像をもっと
地方管区の気象台にダイレクトに入るようにしなさい、しかもそれは余りお金がかかりません。また、いま言ったように、レーダーとアメダスを気象庁の電算機の中に一緒にインプットしてそれを解析すれば、
雨量についてはもっと精度が上がってくるんじゃないですか、という
指摘なんです。
私は、これは気象庁としても当然のことであり、それなりの対応をして
努力していらっしゃると思うのでございますが、行管から
指摘されるということは、気象庁としては非常に残念なことだと思うのですが、われわれが
災害対策の
委員として考えますと、こういう問題についてはもっと早い段階で対応していただきたい。そういう意味で、直接所管の
大臣じゃございませんが、防災という見地から、私は長官にも、気象庁をバックアップして——大蔵省等は
予算要求の段階てはいろいろ問題があるかもしれませんが、起きた
災害に比べれば、こういうものを設置をして、
被害を少なくとめることの方が大事じゃないかと思います。
そういう意味から、
国土庁長官として、気象庁め精度を上げるということについては心を配っていただきたいと思いますし、気象庁もこれに対しては十分対応していると思うのでございますが、こういう
指摘については、いつごろまでにこれを実現するというお考えなのか。われわれは、防災という気持ちの上から、気象条件の精度を上げてほしいという願いがございますので、その
努力について御答弁をいただきたいと思います。