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小林(進)
委員 長官から非常に格調の高い御返事をいただきまして、私ども意を強ういたしました。ともかく雪は
災害であると同時に、予期せぬときに雪が来るのではなくて、雪は必ず来るのだ、必ず
豪雪というものは来るのだという
前提の上に立って、いまの御答弁を実施に移していただくことをお願いをいたします。
私は問題も整理してまいりましたが、それで
関係各省全部大臣の出席を求めたのでありますが、この熱意のあるなしによって、来たのが、どうもつまらぬのが来たとは言いませんけれども、要求する大臣は見えておりませんが、ここへ大蔵省、文部省、厚生省、農林省、建設省、自治省、運輸省、通産省と、これは私が決めたのじゃない、事務局が順序を決めましたけれども、この順序に従って、いま質問の要旨を変えて、この各省の順番に質問いたしますから、各省、当たった者は幸せだと思って、順次御答弁を願いたい。この順序はまず第一に大蔵省になっているから、まず大蔵省に申し上げる。
今度の
雪害で
住民の立場からいって一番困っている問題は、公的立場ではいわゆる
生活道路、
生活道路がふさがっているということが一番の
問題点です。これをどう
処理するかということは各官庁ともに考えてもらわなくちゃいかぬ。
いま
一つは、個人の家庭の予想しない労苦と諸掛かり。また大蔵省に私は申し上げるのだが、しゃべっていると時間が長くなりますから駆け足で言うのだけれども、いままでは、雪おろしのためにがかった
費用は、一年間の収入の一〇%以上かかった場合にはこれは雑損控除の中で認めるという制度を設けていた。けれども実際に当たったことは
一つもない。そこで、ことしは自民党の税制
調査会長が大蔵省と話をしてくれて、雪おろしは雑損控除である、五万円以上の
費用が雪おろしにがかった場合には、これは雑損控除で認める。
一体、五万円というのは何だ。個人の家、一回おろすには二人半の手間賃だ。一人雇って一日一万円、二人半で二万五千円、それが二回、五人分の手間賃だ。二回の雪おろしだけは個人が負担してくれ、それ以上のものは
政府が雑損控除で必要経費として認めますというところまで来たのだ。
小林さん、これでどうだと言うけれども、聞いてみたら、とてもこんなことではだめなんです。大蔵省、来ていますね。だめなんです、こんなことでは。というのは、いま雪おろしに、たとえば二万円出すからと言ったところで、それは
新潟県に行ったって、
福井県に行ったって、
富山県に行ったって、だれも雇われて来てくれる人はいません。自分の家の仕事でいっぱいなんだ。それだから、この三週間なら三週間、家じゅう一生懸命で、おっ母さんと娘さん、おばあさんまで出て、昼夜の分かちなく雪おろしに奉仕をしている。この雪おろしに奉仕しているのは、自力でやったんだからといって、これは雑損控除の対象にならないんだ。何ぼやったってだめなんです。ところが、やらなければ自分のうちはぶっつぶれる。
道路はふさがって人も通れないから、泣きながらやっているわけだ。これを一体どうめんどうを見るかということが
一つですよ。
そこで、知恵を出したわけだ。それならばしようがない。家が並んでいるんだから、私がAとすれば隣のお父っつあんがBとする。それじゃ、自分のうちをどんどん毎日三週間もおろしているが、私があなたのうちをひとつおろしたことにしましょう。だから、あなたは今度は私のうちをおろしたことにして、そうして受け取りを出すわけだ。おれはお隣のうちへ行ってともかく十日間雪おろしをしました、十万円支払ったという受け取りを持ってきて、そして、そのうちの五万円は雑損控除の対象になりますよね。ところが、こっちの方はどうだ。私は五万円は税金を差し引いてもらうが、こっちのお父っつぁまは、わしの方から十万円もらったということは、十万円所得がふえたということで、こっちは勤労所得に入れられて、ぽかっと税金を持っていかれてしまう。こっちは五万円だけはまけてもらうけれども、十万円が新しく税金の対象になるということで、大蔵省から見ればとんとんで、何にも損しなくていいんだ。こういう形になると、雑損控除というのは自力では認めない、そして今度は、隣組と力を合わせてお互いにやり合ったことにしたところで何も特典はないという、こういう問題がある。
こういうことがあるから、いわゆる先ほどの激甚地
指定、これはどうしてもやってもらわなくちゃいかぬ。いままだ
調査中だとおっしゃるならいいが、いつまでにその
調査を仕上げるか知りませんが、やってもらったら、その激甚地
指定地域におけるものはとやかく言わないで、一定の標準で雪おろしの
費用等は一律一体で、ちゃんと二十万円なら二十万円、十万円なら十万円
費用がかかったという、若干つかみ勘定の形になるけれども、そういうふうにして見てもらわなければ、とてもこれは、税金の雑損控除などという制度を設けたところで、十万円控除と同じで何にも効果がない。この問題はひとつ考えていただきたい。いいですか、大蔵省。
それから、いま
一つ私は申し上げます。雪おろしというものは、おろす作業よりも、おろした雪を除去して川へでも堀へでも持っていって運んでしまうという、これが金がかかるのです。おろしっ放しにしておけば
道路はふさがるのですから。県道や国道は国がロータリーなんかで運んでくれるからまだいいけれども、われわれが一番
生活している、軒下から菜っぱを買いに行きます、学校へ行きますという
生活道路、裏通りだとか横町の路地だとかいう
道路は何もめんどうを見てくれない。何かありますか、そういうものが。別な言葉で言えば
市町村道と仮定してもよろしいが、私はあえて
生活道路と言うが、これに対しては国も県も何もめんどうを見ないじゃないですか。仕方がない、町内別でお互いに自腹を切り合って、その雪をトラックで運んだり、自分の自家用車で運んだり、それもできない者はよそから車を頼んできて、それを雇い入れて近くの川とか遠くの川へこれを捨てに行っている。この
費用は一体どういたしますか。これをめんどうを見ますか。だから、もう少し話のわかる者——保岡君、君は何しろ沖繩だから雪を知らないんだ。知らないから、私も知らないのに話をするんでまことになんだけれども、いいですか、これは重大なことですからよく聞いておいてほしい。それほど個人の負担で泣きながらやっているんです。
それで、そのままにさせてはおけないものだから、各
自治体が知恵を出し合って、いまここに木間さんがいらっしゃるから例にとると、これは高岡市です。高岡市の木間さんが住んでいる町内会では、ブルドーザー、トラックを頼んで、一日頼んで三十万円ですよ、そしてその町内のおろした雪を、道がふさがっているから、それをトラック、ブルドーザーで遠くまで運んで捨ててもらっている。町内総出です。それでその三十万円のトラック代、二日雇うと六十万円。それから、町内の人がみんなで積んだり掃いたりして、その中には腰痛者もできる、腰の曲がった人もできる、そのかかった
費用は町内別の割り当てです。間口の大きいのはよけい出す、間口の小さいのは少し出すというので、戸別にその金を負担していく。それはだれもめんどうを見ないのだ。そういうことをやったら、これは町内サービスだからあたりまえだというのがお役人の頭なんです。
ところが一歩進歩した町内、今度は
福井市です。
福井市へ行きますと、町内でもそういう同じことをやるのです。同じ行動をやっておりますと、これは
福井の市長はなかなか進歩的なりっぱな市長さんです。その市長さんは、市には金がない、ないけれども余りにも気の毒だからというので、雪を片づける
費用を、これは平均でございますけれども、一戸に五百円ずつやっている。おまえさん、その金はどこからお出しになっていると思う。みんな超過負担です。国から出るわけじゃないから、
自治体が超過負担で、こうやって町内の人々に雪おろしの
費用をやっているのです。
ところが、もっと進歩しているのは、わが
新潟県の長岡市です。長岡市は町内あるいは町内までまとまらなければ、その町内の中の十戸なりあるいは二十戸なりで集団を組んで、その前にある
道路、
生活道路の雪を運んで片づけられるという場合には、その六割は市で出しましょう、四割だけはその団体を組んで雪を掃除する
方々の
個人負担にしてください、こういうふうにした。これは長岡の市長、助役に聞いた話です。それで、その六割を出したほかに、町内が個人で運べませんから、やはりダンプを雇うわけです。そのダンプも町内の団体の要求があれば市がみんなお世話いたしますと言って、市がそのダンプやトラックも世話して、それで
除雪をやらしている。それで
除雪が済めば六割の金は市が出す。その市の金はどこから出すか。これは何も国からも県からも来るわけじゃありません。全部われわれの超過負担でございますと言っている。
こういう実情でいま雪の始末をしているのがある。これは各
市町村によってみんなやり方が違う。いいですか、これを一体大蔵省、どうあなたは
措置するつもりでいるか。それを自力でやったんだからおまえたちの負担にしておけと言ったら、
住民は泣いても泣き切れない。
お父っつぁんは勤めへ行く、役所へ行く。お父っつぁんは会社に行ったら会社の仕事をしないのです。お父っつぁんは役所に行ったら役所の仕事をしないのです。役所のサービス、
屋根の上へ上がって一生懸命雪おろしをやっているんだ。おっ母さんは朝から晩まで、夜の夜中まで、腰曲げて、腰痛になっても雪掃除して、そして雪おろしの仕事をしているというのが
現状なんですよ。この惨たんたる
現状を一体どう涙のある
措置をするかというのが、これは重大な問題ですよ。笑い事じゃないのだ、いいですか。その答弁をしてください。