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1981-02-18 第94回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月十八日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 片岡 清一君 理事 小泉純一郎君    理事 塩崎  潤君 理事 松本 十郎君    理事 佐藤 観樹君 理事 新村 勝雄君    理事 伏木 和雄君 理事 中井  洽君       足立 篤郎君    上村千一郎君       後藤田正晴君    高村 正彦君       佐藤 一郎君    瀬戸山三男君       竹下  登君    浜田卓二郎君       粟山  明君    堀  昌雄君       山口 鶴男君    岡田 正勝君       安藤  巖君    小杉  隆君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     大林 勝臣君  委員外出席者         議     員 後藤田正晴君         議     員 片岡 清一君         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         自治省行政局選         挙部選挙課長  岩田  脩君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ————————————— 委員異動 二月十八日  辞任         補欠選任   佐藤 一郎君     高村 正彦君   渡海元三郎君     浜田卓二郎君   古井 喜實君     粟山  明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案竹下登君  外二名提出、第九十三回国会衆法第一七号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  竹下登君外二名提出公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 後藤田さん、片岡さん、どうも御苦労さまです。こうして質問をする側とお答えになる側とで後藤田さんとお会いするのは、もう十数年ぶりでありまして、大変なつかしく感ずる次第であります。  そこで、まずお尋ねしたいと思うのですが、最近よく金のかからぬ選挙を実現しなければならない、こういうお話があるのですが、金のかからぬ選挙というと、何か自然現象のような感じがするわけでありまして、これはどうも少し間違っているのではないか。金をかける選挙をやめなければならない。自然現象で金がかかっていく、それを少しやめなければいかぬというのではなくて、本質的には金をかける人がいる、その金をかける選挙をやめさせなければいけないということではないか。認識の問題でありますが、私はそう考えております。選挙経験者でもある後藤田さん、御感想はいかがですか。
  4. 後藤田正晴

    後藤田議員 両方であろうと思います。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 両方の要素がない、絶無であるというふうには私も思いませんけれども、やはり力点は、金をかける人がいる、金をかける選挙がある、これをなくしていかなくてはいけないというふうに考えることの方が、より比重が重くなければいけない、重点はそこになければいけない、こう思うのですが、いかがですか。
  6. 後藤田正晴

    後藤田議員 もちろん山口さんおっしゃるような面があると思います。また、その御議論も適切な御意見だと思いますが、同時に、いまの選挙個人本位選挙でありますね。これはやはり個人本位選挙から政党本位選挙に移すことが一つの基本ではなかろうか、こういう意味で、両方じゃありませんかと申し上げたわけでございます。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただいまのお話は、ある程度了解をいたします。  しかし問題は、現在の選挙個人選挙の傾向が強い。そういう中で金をかける選挙ということがまかり通っている。そういう中で金をかける人もおる。特定の県の名前を挙げるのは失礼だと思いますから挙げませんけれども、金権何県というような御批判が出るのも、そういう現象のあらわれではないかと思います。そういう意味で、金のかからぬ選挙、否むしろ、金をかける選挙を絶滅する、絶滅というのはちょっと行き過ぎかと思いますが、できるだけ自粛をさせていくという努力を私たちお互いがしなければならないのじゃないか、かように思っております。  同時に、公職選挙法を改正いたしまして、より政党本位の方向に持っていくということは、これは私たちが当然考えなければならない課題であると思います。  そういう意味幾つお尋ねをいたしたいと思いますが、今回の自民党さんの御提出法律案要綱の第二を拝見いたしますと「選挙事務所に関する事項」というのがございまして、「選挙事務所ごとに、一日につき一回を超えて移動することができないものとする」こうなっております。これは選挙事務所移動する、選挙事務所開きを行う、選挙事務所開きが何回も何回も行われるということは、そこにやや問題が発生する余地がある、こういうお考えで、これを提案したと思いますが、いかがですか。
  8. 片岡清一

    片岡議員 そのとおりでございます。そういう弊がだんだん出てきておるという状況でありまして、それがやはりいろいろ買収、饗応につながる可能性があるということで、これをやめよう、こういうことにしたわけでございます。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 片岡さん、弊害を具体的に言えば、どういう事態を想定しておられるわけですか。
  10. 片岡清一

    片岡議員 一日のうちに二、三回場所を変えてやるという場合、その場所というものの中には、屋外においてやるというようなことも行われまして、その場所で祝い酒をやるというような弊も出てきておるようであります。そういうことをできるだけ慎むということで、一日一回、こういうふうに規制をしたわけでございます。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 趣旨はよくわかりました。  そこで、そういう趣旨であるといたしますと、選挙事務所が余りにも大き過ぎるということが問題ではないかと思うのです。これもある週刊雑誌に、かつて五十四年十月の選挙の際に報道されたのですが、別にどこということは申し上げませんが、二万平米に上る大敷地の中に二階建てプレハブが四棟建っておる、二階建てプレハブが二棟建っておる。うっかり入りますと迷子になるということで、ガードマンの方がおりまして交通整理をする、あるいは案内をしなければならない。中に三百人ぐらい一遍に食事ができるような大食堂もしつらえてある。電話戦術をおやりになる。これは大いにやってしかるべきものだと思うのですが、その電話をかけるところの部屋に行きますと、五十台も電話を並べておられるというようなことが、ある週刊雑誌報道されたことがありました。  選挙事務所移動制限なさるということを考えました場合に、当然余り過大な、世界一とは言わないけれども、日本一の大選挙事務所というようなものがある。また、その近くには、ややその三分の二ぐらいの規模の大事務所が建っておるというような状況は、これはやはり考えてみる必要があるのじゃないか。候補者の御本人にしたって、そんなものをやりたいというお気持だったのじゃないだろうと思うのです。周りのいろいろなことがあって、周囲に御熱心な方が余りにも大ぜいい過ぎて、そういうような事態になったのかもしれません。といたしますと、やはり選挙事務所移動の回数のみならず、敷地建物制限というものも当然、片岡さんなり後藤田さんの頭のどこかのすみにはおありだったのじゃないだろうかな、こうも推察するのですが、そういう点のお考えはございませんでしたでしょうか。
  12. 片岡清一

    片岡議員 選挙事務所のことについては、ただいまお話がございましたように、非常に特別な広さを持ったものをお使いになったという実例があるということでございますが、私はその週刊誌のものは読んでおらなかったのですが、大体これは一様に規制するということは大変むずかしいことであろうと思います。それぞれのやはり候補者の都合によりまして、また、地域の、集まってくる人たち状況にもよりまして、これを一様に規制するということは大変むずかしいというようなことで、いろいろ検討はいたしましたが、まあこれは常識的にやっていくということで、それでいいのじゃないかというようなことで、今度の規制の中には取り入れなかったわけでございます。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省選挙部長さん、お見えのようでございますが、自治省選挙部としまして、やはり全国で選挙が行われる、その場合の選挙事務所がどの程度規模のものがあるのかというようなことについて、ある程度調査といいますか、実情把握と申しますか、そういうことはおやりになったことはございませんか。
  14. 大林勝臣

    大林政府委員 現行法では、選挙事務所につきましては、設置あるいは個所数異動、そういった問題を規制しておるだけでございまして、規模についての特段制限を設けておりませんために、従来、選挙事務所規模の大小につきましては、特に調査いたしたことはございません。ただ、ここ数年来いろいろ一部におきまして、いま仰せのような形態選挙事務所もあるということは耳にはいたしておりますが、特に私どもの方で事務的に調査したことはございません。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、お尋ねしたいと思うのですが、一面では法定選挙費用というものがあるから、そういうべらぼうに大きな敷地で、また、べらぼうに大きな建物選挙をやるということになれば、おのずから法定選挙費用の側から規制を受けるのではないだろうかというのが、自治省選挙部としてのお考え方なんだろうと思いますが、そうでございますか。  また、そういうことを耳にしておられるということでございますから、とすれば、そういう余りにも大きな選挙事務所を設営した場合に、法定選挙費用の上からいってどうかなという御感想も当然お持ちになったのではないだろうかと思いますが、その辺の御感想というか、疑点というか、そういうものをお感じになったことは、自治省ございませんか。
  16. 大林勝臣

    大林政府委員 現在の選挙運動に関する規制と申しますのは、御承知のように選挙運動費用を押さえる一方で、その選挙運動費用制限実効を期するという意味合いもかねて、個々の選挙運動規制という両面規制が設けられておるわけであります。確かに選挙事務所につきましては、規模その他の規制特段ございませんために、選挙運動費用の中で選挙事務所経費も賄っていただくシステムにはなっておるわけでございますが、特に非常に規模の大きい選挙事務所につきましては、地域によって違いますけれども、非常に経費もかかるであろうということは推測できます。  そこで私どもも事務的に、果たして選挙事務所規模について何か考えるとすれば、どのような考え方があるだろうかということを検討したこともございます。ございますけれども、なかなか建物形態敷地の面積、それぞれ雑多でございますために、一定敷地坪数であるとか、あるいは建物坪数であるとかいうことを法律あるいは政令の上で特段基準を設ける技術的な工夫がなかなかつかないでおるのが現状でございます。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 公職選挙法施行令第百二十八条の二「実費弁償及び報酬の額の基準等」というのがございます。ここで鉄道賃、船賃、車賃宿泊料弁当料茶菓料、こういったものについて一定制限を行っておるようでございます。それからまた公職選挙法の百三十九条「飲食物提供禁止」というのを見ますと「選挙運動に従事する者及び選挙運動のために使用する労務者に対し、公職候補者一人について、当該選挙選挙運動期間中、政令で定める弁当料の額の範囲内で、かつ、両者を通じて十五人分(四十五食分)」提供することができるというような規定があるようです。そうしますと、三百人一度に食事ができるような大食堂それから、それに提供するために御飯を炊かなければいけませんので、そのために三人の方が常時飯炊き専門で、この仕事をしておられるというような報道週刊雑誌にあったのですが、そういうような状況がもし仮に事実であるとするならば、当然この公職選挙法の百三十九条なり私が読み上げました政令なりというものからいって、これははみ出すことは明らかではないか。  それで自治省選挙部としても、そういうような状況があるということを耳にしておられるということだとすれば、この選挙法規定からいって当然これは問題がある。当然公職選挙法の百三十九条なり私が読み上げました施行令なりに違反するおそれのある状況ではないか、こういうふうに御判断なさるのが当然ではないだろうかと思うのですが、この点、選挙部長さん、いかがでございましょうか。
  18. 大林勝臣

    大林政府委員 御指摘のように公職選挙法では、選挙運動に関して飲食物提供してはならないであるとか、あるいはいろいろな運動員に対する実費弁償単価を定めております。したがいまして、選挙事務所におきましていろいろな飲食物提供するということになりますと、間々、選挙運動に関して飲食物提供したということになろうかと思います。ただ、そういう行為をする、あるいは政令で決めておる単価以上の金員を支給するという問題は、直接には選挙事務所規模というものとは関係のないものでございまして、選挙事務所の態様、規模いかんにかかわらず、飲食物提供をするとか単価以上の金員を払うということになりますれば、その面で違反となるということでございます。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 おっしゃることはわかりますよ。選挙事務所が小さくたって、ほかで幾らでも飲食物提供をやればやれるじゃないか、それはおっしゃるとおりだと思うのです。ただ堂々、選挙事務所を構えて、そこに大食堂がある、御飯を炊く人が三人、専門で日夜奮励努力をしておられるというようなことであるとすれば、これは明らかに堂々と公職選挙法違反する事態がまかり通っておるというふうに思うのがあたりまえではありませんか。ですから結局、事務所にそういう膨大なものがあるということが、すなわち選挙法なり施行令なりに違反する事態を起こしやすいというふうに思うのがあたりまえじゃありませんか。とすれば、そういったものに対して法令を守らせるということをお考えになるならば、当然、選挙事務所規模等についても一定制限を加えた方が、いわば法令が守りやすい状態をつくることになる。私は何も、その御本人がどうこうと言っているわけではありません。御本人がそういうことをしたくなくても、周りが熱心過ぎて、わいわいやることもあり得るだろうと思うのです。とすれば、それを規制するためにも、選挙事務所なり建物というものについて一定制限を加えることの方が、より効果的な実効を上げることができるんではないだろうかということを、自治省選挙部としてはお考えになるのがあたりまえではないかなという趣旨で申し上げているわけです。いかがでしょうか。
  20. 大林勝臣

    大林政府委員 そういう選挙事務所規模の制約問題につきましては、数年来、当委員会におきましても御意見のあったところでございます。私どもとしまして、なかなかその実態の把握ができませんので、試みに選挙運動費用収支報告の中で、どういう程度の、選挙運動費用の中での選挙事務所経費の占める率があるのかというのを一遍目を通してみたのでありますけれども、これまた候補者方々によって、まことに区々まちまちでありまして、非常にわずかな金額で済まされておられる方もあれば、かなりの多額の費用をそれに費やしておられる方もございます。そういうこともございまして、いろいろの御意見を踏まえて、場合によりますと、何か選挙事務所形態あるいは規模について考えようがあるんではないかというような気持ち考えてみたのでございますが、先般お話し申し上げましたように、規模の問題をどういう合理的な基準で押さえ、それが十分に確認できるかという基準がなかなか見つけがたいところでございます。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 片岡さんでも後藤田さんでも結構ですが、今回提案されました方にお尋ねしたいと思うのです。  選挙事務所規模について、たしか、わが党の議員がかつて公選特別委員会で議論したこともあったと思います。また、いま私が申し上げたようなことは、お二人とも御理解をいただいておるんじゃないかと思うのですが、そうしますと提案者としては、今回はこういう提案にしか至らなかったけれども自民党公選対策特別委員会のメンバーである後藤田さんなり片岡さんとしては、将来選挙事務所敷地あるいは建物坪数等々については、やはりある程度制限しないと、公職選挙法ないしは施行令関係からいって問題だな、今回はできなかったが将来は考えてみょうがなというようなお気持ちもないではないのではないだろうか、こう推察もするわけなんですが、その辺はいかがでございますか。
  22. 後藤田正晴

    後藤田議員 御説のように、とてつもない選挙事務所があることも事実ですし、いまのところは、そういった場合には事務所経費がかさみますから、法定選挙費用で押さえてある。同時にまた地域によってもいろいろ千差万別ですので、自治省当局としては、この問題いままで手がついておりません。  しかし、仰せのように余り必要以上のものをつくったって意味のないことですし、同時にまた、そのこと自身がはでな選挙ではないかということになりますと周辺から注目を浴びますから、そういったことはできるだけ避けた方がいいし、といって、いまあることも事実ですから、ならば、やっぱりこれは先行きの検討課題にしてしかるべきであろう、かように考えます。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の方、どうですか、やっぱり検討課題だとお考えになりますか。
  24. 大林勝臣

    大林政府委員 事務的な研究は続けてまいりたいと思います。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ひとつ大いに検討をしていただきたいと存じます。  さてそこで、一般選挙民といいますか、一般市民と申しますか、市民の側からも、法定選挙費用があるということは知っているわけですね。片や非常に過大な事務所がある、非常にはでな事務所があるということになりますと、どうもおかしいな、あれで法定選挙費用の中でおさまるはずはないよというふうに思うのが常識だろうと私は思うのです。そういう疑問も当然市民皆さんがお持ちになる。そして事務所の方に、これは一体どういうことかと聞くと、いやこれは、選挙事務所経費選挙事務所経費、しかし、おれの事務所にはちゃんと後援会の立て札も立っておるじゃないか、したがって、そちらはその後援会仕事としてやっているんだというふうにお答えになるケースもあったやに聞いているわけなんです。  しかし、この点は選挙部長さんにお尋ねしますが、選挙期間中の後援会活動というものは、当然一定制限があるはずだと思うんですが、いかがでございますか。
  26. 大林勝臣

    大林政府委員 後援会活動にはいろいろな形態のものがあるわけでございますが、一番重点で行われておりますのは、その後援会後援をする政治家のために、その大成を願って、いろいろな政治活動を行っておられるわけであります。ただ、これが選挙期間中になりました場合には、まず第一に選挙運動との関係が一体どういうことになるかということが問題になるわけでありまして、後援会活動が、常時は政治活動ということではありましょうけれども選挙期間中に入りますと、選挙運動的な色彩が非常に濃くなるということもまた常識であろうと思います。したがいまして、一般選挙運動に関する規制というものが、その後援会活動にも当然かぶってまいりましょうし、それから、御承知のように選挙期間中は「寄附禁止」というものもございますので、その両面から後援会活動規制されておる現状でございます。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これも別に、どこということで申し上げるわけではない、一般論でございますが、この選挙期間中、後援会活動と称してバスを何十台、場合によっては何百台と動員をいたしまして、そして何々、何地区後援会というようなステッカーをお張りになって、有権者方々を、選挙事務所と並立してある後援会事務所動員をされる。そして食事提供し、おみやげを持たして帰すというような行為があったことも、これまた週刊誌新聞等報道で目にしたこともあるわけです。こういったものは明らかに公職選挙法の百九十九条の五「後援団体に関する寄附等禁止」第二項に触れる行為ではないだろうかなと思うのですが、いかがでしょうか。
  28. 大林勝臣

    大林政府委員 公職選挙法の百九十九条の五第二項におきましては、何人後援会集会その他の行事におきまして、いま御指摘になったような行為をすることは禁止されております。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 禁止をされておるのですが、堂々とまかり通っているケースがないわけではない。選挙遊説に行きましても、その地区へ行きますと、有権者の方は皆さんほとんどバスに乗って幾つかの選挙事務所にいらしているものですから、残っているのは子供と学校の先生と役場の職員とお巡りさんぐらいしかいない。あとの有権者は全くおいでにならないというような現象も聞くことがあるわけですが、そういうことはいかにも問題ではないだろうかなと思うのですが、この点もいかがでございますか。
  30. 大林勝臣

    大林政府委員 旅行会とか、名目のいかんを問いませんで、そういった行事におきまして、非常に広い意味で言います寄附饗応接待その他いろいろなことをすべて網羅いたしまして百九十九条の五は禁止をいたしておるところでございますので、御指摘のような例も、その範囲の中に入ってくると思います。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうケースは明らかに公職選挙法違反をするということを、自治省として各府県の選挙管理委員会ないしは事務局周知徹底しているはずだと思いますが、その点はいかがでございますか。
  32. 大林勝臣

    大林政府委員 寄附饗応接待の問題につきましては、御承知のように候補者につきましては、常時不断にほとんど全面的に禁止をされておるところでありますし、あるいは後援会につきましても選挙前九十日、あるいは衆議院の場合、解散でございますと選挙期間中ということに相なりますけれども、ほとんどすべての寄附行為というものが後援会については禁止をされておるわけであります。これにつきまして有権者及び候補者あるいは後援会の三者が十分に自覚をしていただくのが一番いいのでありますけれども、私の方といたしましても、その趣旨を十分に御了解いただきますように、できるだけの周知を図ってきたつもりでございます。ただ、こういった周知は、これでもかこれでもかと再三再四やる必要があるとは存じておりますので、今年度におきましても、すでに実施計画を現在検討しておるところでありますし、今後ともできるだけの周知を図ってまいりたいと思います。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点は周知徹底を万全を期してやっていただきたいと思います。  そこで、この法律を見まして、これはどういうことかなと疑問に思っているのですが、それをお尋ねしたいと思うのです。  百九十九条の五の二項「何人も、後援団体の総会その他の集会又は後援団体が行なう見学、旅行その他の行事において、第四項各号の区分による当該選挙ごと一定期間当該選挙区内にある者に対し、饗応接待(通常用いられる程度食事提供を除く。)をし、又は金銭若しくは記念品その他の物品を供与してはならない。」こうあるのですが、この場合の「饗応接待(通常用いられる程度食事提供を除く。)」とは、どの程度のものを想定して、このように書いておられるのですか。また、この法文の「除く」と言われる内容については、どの程度のものを考えておられますか、お尋ねをいたします。     〔委員長退席塩崎委員長代理着席
  34. 大林勝臣

    大林政府委員 三十七年に立法されました時点におきまして、いろいろそういう話もあったようでございますけれども、現在におきましても、その括弧書きの(通常用いられる程度食事)というのは、選挙法規定をいたしておりますいわゆる弁当料、現在五百円ということになっておりますけれども、そういったものを大体頭の中に入れておいて、これと非常にかけ離れたような金額の料理を出すということにつきましては、まず通常用いられる食事ではないであろう。ただ、しからば五百円をちょっと上回ったらどうであるか、こうであるかというような問題もございましょうけれども、大体標準としては選挙法に定められております弁当料の額というものを念頭に置いておるところでございます。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その場合、数は選挙法では十五人とかいう制限があるのですが、そっちの方は制限はなくて野放し、幾らでもいいということなのですか。そうなりますと、私は、選挙期間後援会活動禁止する、寄附行為禁止するという趣旨からいって少し問題の規定ではないかなという感じを持つのですが、いかがですか。     〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 大林勝臣

    大林政府委員 「通常用いられる」という場合に、現在は先ほど申し上げましたような大体の標準単価というものを頭に置いておりますけれども、その人員の範囲、これもしからば従来後援会がやっておったようなやり方の範囲であればいいのかどうかというところまで含めて規定をしておるかどうかについては、確たる解釈もございません。ただ、選挙期間中に、たとえ「通常用いられる程度」つまり五百円を頭に置いた標準的な弁当ということでございましても、従来の後援会活動において、どの程度のものをやっておったか、それが選挙期間中にはびっくりするような大ぜいを集めてやり出すという話になりますと、饗応接待の問題よりは、むしろ買収的なニュアンスというものが側面から出てくるのではないかと考えております。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 何十台、何百台というバス動員して大ぜいの人をお運びになる。その場合バス代を徴収すれば別かと思いますが、そうでないということになれば当然その分、便宜供与をしたということになるのでしょうから、その面からも当然問題があるのじゃないか、こう考えますが、いかがですか。
  38. 大林勝臣

    大林政府委員 バス代を負担することも該当いたします。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 以上、いろいろお尋ねをしたわけですが、公職選挙法の百三十九条についても、また百九十九条の五の第二項につきましても罰則、があるわけですね。とすれば、罰則があるからといって、いま後藤田さんに聞くわけにはまいりませんので、警察庁の方からお見えだと思いますが、取り締まりの側とすれば明らかな違反事実として御調査になるということは当然であろうと思うのですが、その点は警察庁、漆間さんでございますか、いかがでございますか。
  40. 漆間英治

    ○漆間説明員 お尋ねのような行為につきましては、いまも御答弁がありましたように、百三十九条の「飲食物提供禁止」であるとか、あるいは百九十九条の五第二項の「後援団体に関する寄附等禁止」に当たる場合が多いと思われますし、さらに進んで、これらの行為がいわゆる投票依頼行為に及んでおれば、これは二百二十一条の買収、饗応としてとらえるべき事柄であるというように考えております。そのような方針のもとに、このような行為を認知した場合には、その内容に応じて警告または検挙をいたしております。前回のダブル選挙においても、そのような検挙例もございますし、警告例もございます。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう態度で対処をいただいておれば結構だと思うのですが、要は、問題は、またもとに戻りますけれども、極端に大きな敷地を持った選挙事務所、また膨大な大食堂を備えた選挙事務所というものがございますと、どうしてもやはりいま申し上げたような事例が起きやすい。また、自治省お答えになったような、あるいは警察庁の捜査二課長さんがお答えになったような遺憾な事態も起こりやすいということだろうと思います。そういう意味で、この際御検討をいただくということのお答えはいただいたわけでございますが、この際さらに私ども検討いたしますが、自治省当局も十分御検討をいただきまして、そして冒頭申し上げたように、金のかからぬ選挙、いや、むしろ金をかけない選挙というものを実現する。金のかかる選挙をなくしていくという観点でお取り組みをいただきたいということを特にお願いを申し上げておく次第であります。  それから、次にお尋ねをしたいと思うのですが、第四の「任意制ポスター掲示場」に関する事項であります。この規定意味するところは、私もわからぬではありません。町の美観を守るという点から、一定の掲示場にポスターを貼付いたしましてやっていこうということを、自治体によりましては現在まで、話し合い、申し合わせによって行ってきたというケースもよく承知をいたしております。  ただ問題は、都道府県の議会の議員選挙の場合は、これは一つの選挙区の議員定数が何十人というようなことはないわけですね。十人とかあるいは十数人とかいうことはあり得ると思うのですが、そう大きな数は現実にはない。ところが市会議員さんになりますと、地方自治法の規定にもございますけれども、人口十五万以上二十万までの都市におきましては議員定数が四十名、人口二十万から三十万未満の都市におきましては四十四名、人員二十万以上の都市におきましては議員定数が四十八名、このように地方自治法で規定されております。大体選挙区によりまして違うと思いますが、場合によっては倍ぐらいの候補者がお立ちになることもあるわけです。そうすると定数四十八の倍というようなことになりますと、百名近い候補者のポスターを張らなければいかぬ。そういう掲示場というのは、考えようによっては大変な、実質的に実行不可能ではないだろうかというふうに思うのです。  その点、この法律をお考えになりました提案者でございます後藤田さん、片岡さん、いかがでございましょうか。市の場合は多過ぎて、ちょっと無理ではないだろうかなという感じがするのですが、どうでしょうか。
  42. 片岡清一

    片岡議員 お話のように人数の多い場合は大変不向きであるということが言えると思います。したがいまして、今度の制限といいますか規定では、市町村のような場合は義務的ではなしに、その義務制のポスター掲示場をつくる場合には、条例でもってそれを実行するということを決めるわけでございますから、その市町村の実情に即して、それぞれの発意によってやってもらう、こういうことになるわけでございまして、その点は融通性があることを御理解賜りたいと思います。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そのことはよくわかります。条例によるのですから、その地域の実情を考えて、そんな無理な制度というものはやることはないだろうというのは、これは常識だろうと思うのですが、やはり選挙ということになりますと、率直に言って候補者間の利害もございましょう、あるいは党派の利害というものもございましょう。そうなりますと条例というのは議会の過半数でもって決まるわけですからね。ですから、いやどうも、そういうのはまずいよ、幾ら何でも、そういう膨大な大きな掲示場というのは実質的に無理ではないかとか、あるいは新しくお立ちになる新人の皆さんにとってみれば、できるだけポスターを貼付したいというようなお気持ちもある。しかし現実には、条例を決めるのは、その当時在職しておられる議員皆さん方の意思によって決まるということもあるわけですから、この辺、やはり町村議会の場合は、これはそう無理な事態というのはないだろうと思いますが、市の場合は、場合によっては、やはり少し無理な状況が起きる可能性があるのではないかな、こういう感じを持たざるを得ないわけです。  その辺、自治省お尋ねしたいと思うのですが、現実に、この定数四十名、四十四名、四十八名というような議員選挙において、ここにありますように衆議院の場合のような、投票区の「五箇所以上十箇所以内」というもので掲示場をおつくりになるということは、しばしば自治省選挙部は、特に都会においては掲示場の建設等では非常に苦労しておられる経験もあるだろうと思うのですが、そういう中でのお考えがあれば、ひとつ大林さん、お答えをいただきたいなと思います。
  44. 大林勝臣

    大林政府委員 任意制ポスター掲示場につきましては、現行法でも、すでに、条例で市町村も任意制ポスターを設けることができる、こういうことになっておりまして、ただ設置個所は一投票区一カ所でもよろしい、実はこうなっておるわけであります。  近年、都道府県あるいは市町村を含めまして、もうなかなか張る場所がない。張る場所の競争になる。そこで、やはり国会の選挙あるいは知事選挙におきまして、全国区はございませんけれども、義務制のポスター掲示場というのができておる。したがって、できるところであれば、都道府県の議会の議員あるいは市町村の選挙におきましても、衆議院あるいは参議院の地方区、知事並みの義務制のポスター掲示場というのを考えてくれないだろうかという要望が地元の方からあったのも事実でございます。  今回、特に自民党提案ということになっておりますけれども、そのお話がございましたときに、私ども選挙管理委員会としては一体どう考えるであろうかということを一番心配いたしましたので、選挙管理委員会の方に意見を求めておりました。そういたしますと、やはり選挙管理委員会としては、先生が御指摘になりましたような、いわゆるできるところとできないところというのがございます。現在の一投票区一カ所でも、できるところとできないところがあるわけでありまして、つまりできるところもあるし、できないところもあるから、そこは議会と選挙管理委員会の方でいろいろ技術的にも相談をし、条例で定めるというふうにしてくれれば、つまり任意的な規定にしておいていただければ、むしろその方がいいのではないか、こういうお答え選挙管理委員会の方からあったわけであります。  したがいまして、余り候補者数が多いというようなところにつきましては、恐らく現在でも一投票区一カ所の掲示場ですら非常に困難でございますから、今度の五カ所ないし十カ所というような掲示場をつくることは、これはまたそれ以上に困難であろうと思います。したがいまして候補者数、その選挙区の状況によりまして、できるところにつきましては議会と選挙管理委員会の技術的な協議、そういうものも含めまして、それぞれの団体の任意に任す、こういう仕組みにいたしたわけでございます。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、お考え方はわかるのです。ただ、現実に大都市といいますか政令都市になりますと選挙区ができますから、いいわけですけれども政令都市に近い、たとえば具体的に言えば人口三十万以上の市あるいはそれに近い市、議員定数が非常に多いというところは選挙区は一選挙区であるわけですからね。したがって、私が指摘したような、ちょっと想像もつかぬような大掲示板が必要になるわけでございまして、そういうものはもちろん条例で決めるのだから、実情に即して当該自治体の選管なりあるいは議会がいろいろ話し合いで判断する問題だからとは言いますけれども、ちょっとやはり初めから無理だというふうに想定されるものは、この法律から外しておいた方がいいのではないかなという感じがいたします。その辺は提案者の方、いかがでございますか。
  46. 片岡清一

    片岡議員 おっしゃるように市町村の大きさによって、おのずから議員の定数が違います。したがって候補者の数も、そのときどきによって、これまた大変膨大なものになる場合もあると思います。それらの点を考えまして、これはやはりそういう場合があるから、いま山口さんのお話では、そういう市町村のものは条例でやるにしても制度として認めない方がいいのじゃないかという御趣旨かと思いますが、金のかからない選挙というたてまえから、希望して条例で決めるということになるならば、そういうことも考えてもよろしいですよ、こういう点で中へ入れたわけでございます。どこまでも各市町村の認定の問題、発意の問題でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 確かに、そうすればポスターを印刷する枚数も少なくて済むとか、また貼付のために相当な人手も要するわけでしょうから、そういう点から金のかからぬといいますか、金をかけない選挙といいますか、そういう点でメリットがあるということは、それはおっしゃる面もあることも私も認めますよ。しかし問題は、冒頭私が指摘いたしましたように、大きな事務所を放置し、そうして後援会活動まがいの面でそれが横行するということの方が、まさに金がかかるといいますか、金をかけるのであって、そういったものに比べれば、この任意ポスター掲示場に関する事項の経費の節約分というのは微々たるものではないだろうか、むしろ本末転倒ではないだろうか。むしろ、そっちの方をもっとお考えになった方がしかるべきではなかったか、こういう感じがいたします。  したがいまして、この点は理事会におきまして私どもの党の代表の方から、この辺はひとつ考えたらどうだろうか。特に町村は別としても市の議員選挙については、いろいろ問題もあるのじゃないかということを提起してお話し合いをすると思いますので、この点はひとつ提案者の方においても謙虚に耳を傾けて話し合いに応じていただきたい。鈴木さんも「和の政治」なんと言っておるわけでございまして、最近は「和の政治」に角が生えて「税の政治」ではないかというふうな批判をする方もありますが、まあそれは余談ですけれどもお話し合いをしたらどうだろうかと思いますが、どうですか。
  48. 後藤田正晴

    後藤田議員 るる御意見承りましたが、実は、いま任意制の掲示板をつくっている市町村があるわけですね。ところが、せっかくつくっているのだけれども、掲示場以外にやっても一向差し支えないということで、それではせっかく任意制のポスター掲示場を、それぞれの市町村でお選びになっているにかかわらず、その効果がない。そこを何とかしてくださいという市町村の選挙管理委員会の御要望で実は、これは入れたものなのです。だから任意制のポスター掲示場をおつくりになる以上は、そのかわり一カ所ではいけませんよと、やはりこれは周知しなければいけませんからね。それならば義務制と同じ程度の掲示場をつくるという条件で効果が上がるようにいたしましょう、こういったわけですね。だから私ども提案者としましては、むしろ一線の選挙管理委員会意見を素直に受け入れてこうやったわけです。  したがって、基本はやはりおっしゃるように無理な点がたくさん市町村に出てくると思います。それは従来もやってないでしょうし、これから先だって、それを法律ができたからといって慫慂すべき筋合いのものではない。これはあくまでも実態に合わせてやっていただければ結構だ。しかし、実態に合わせておやりになる以上は、その効果が上がるようなやり方をやらなければいけませんよ、こういう趣旨で入れてあるのだ。この点ぜひひとつ御理解をしておいていただきたい、かように思います。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう趣旨で「掲示場ごとに公職候補者一人につきそれぞれ一枚を限り掲示するほかは、掲示することができないものとすること。」という規定を入れたのは、そこに意味があるのだという御説明は、それはそういった趣旨の申し出が各選管からあったということもわかります。しかしこの点は、お互いに候補者になろうとする者が自粛をするといいますか申し合わせをして、やらないでいこうではないかということにすれば、私はそれも防げるのではないかと思うのです。また、そういうことで申し合わせがあったにかかわらず、それを破って、どんどん特定の人間が何人か張ったということになれば、それはおのずから、その地域の住民の皆さんが投票を通じて意思表示をするなり御判断をされる問題だと思うのですね。ですから、この点はむしろ議員皆さんの申し合わせ、あるいは候補者になろうとする方々の申し合わせ、そして、その申し合わせを破ったかどうかということは、むしろ住民の批判に任せるということにした方がいいのではないか。そうすれば、さっき言いましたような、ちょっと非常識事態が起きるなどということを想定する必要もないのではないかなというふうに思うのです。  そういう趣旨で、ここでやりとりするばかりでは解決しないと思いますので、これは各党の代表である理事さんのお話し合いで、ひとつ御検討いただきたいなというのが率直な気持ちです。そういう意味でお願いしたいと思うのですが、重ねてお願いします。
  50. 片岡清一

    片岡議員 この法律案につきましては、これはお話のように十分各党の御意見を尊重しながら話し合いで決めていく、合意を得ていくということが、これは大事でありまして、われわれは、そういうことについてはいささかも努力をきらうものではございません。  ただしかし、私は何も山口さんと論争するわけではございませんが、いみじくも山口委員が冒頭におっしゃいましたように、選挙に金をかけないようにするのと、かからないようにするのと、これはおのずから私は違うと思うのです。かけないというのは、やはり候補者の意思から、かけるか、かけぬかということを決める、そういう制度と、それから、これは制度として決めてやると、どうしても金がかかる、かけまいと思ってもかかるというのと、二つあると思います。お話選挙事務所の大きなものといったようなたとえの一つをとってみますと、これは選挙に金のかからないようにするという本人の意思さえあれば、そんなばかげたことはやらないわけでございます。ところがポスターの場合は、これは一例でございまして、制度としてかけないようにする、かからないようにするということも大事だということで中に入れたのでございます。  これからお話し合いをする場合も、本人がしっかり金のかけないような選挙をしようという、そしてまた、それが選挙の公正を正すという意味において非常に大事なことだと思うのですが、そういう個人の発意に出るものについては、これは余りいろいろ規制することはどうかというふうにも思います。それらの点を考慮しながら十分よくお話し合いをしていきたい、かように思っておる次第でございます。
  51. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ポスターを例にとりますと、結局、版代の方がかかるわけで、枚数を五十枚刷ったからうんと安い、五百枚刷ったからうんとかかるというものでは、印刷というものはないわけですね。ですから、結局ポスターの枚数を制限すること自体、経費の面からいったら、そんなに効果というものはないわけです。私は、むしろそういう意味では、文書図画、言論というものを通じて有権者皆さん方に候補者自体が考えている考え方を理解してもらう、そういうところの制限というものはなるべくしないで、そして、そうではなくて、さっきからお尋ねをして、自治省も、あるいは警察庁もお答えになったような、そういった事案をできるだけなくしていくということが、本当にきれいな選挙をやっていくゆえんではないだろうかというふうに思うのです。したがいまして、いま私が申し上げたような点を念頭に置かれて話し合いをいただくことを希望いたしておきます。  次に、お尋ねしたいと思うのですが、都道府県議員選挙選挙区の問題です。いま衆議院が、定数是正でありますとか一票の重みが違うとか、いろいろな意味で議論がございます。しかし、わが国の衆議院の選挙制度というのは中選挙区制をとっているわけです。昭和二十二年地方自治法が施行になりまして、都道府県会議員の定数なり選挙区なりの規定ができました。このとき、やはり衆議院の選挙が中選挙区になっているから同じような趣旨で都道府県の議員選挙も中選挙区で出発をしたと私は思うのです。ところが、その後、町村合併というものが行われまして、そうして人口数万の市が生まれる、そうなりますと残った郡は、これまた人口数万になる、という中で現状、都道府県の選挙区については一名区が非常にふえたわけです。自治省に、もしわかればお答えいただきたいと思うのですが、都道府県の選挙区の中で一名区がどのくらいの割合、現在ございますか。わかりましたらで結構でございますが、お答えをいただきます。
  52. 大林勝臣

    大林政府委員 ただいま資料を持っておりませんので、お答えいたしかねますが、かなりあると存じます。
  53. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、これは私はちょっと問題ではないかと思うのです。現在の自治法でいきましても合区すればできるわけですけれども、なかなかやはり、一名区が得だという政党もあるわけでございますので、合区が制度にはあるけれども、現実にはまあ行われていないというのが実情だろうと思うのですね。そして大林さんがお答えになったように、一名区が相当な割合として現に存在している。この辺は衆議院の選挙が中選挙区をとっております。三名区から五名区の間ということになっておりますが、まあ県会の場合は、それをそのまま当てはめるというわけにいきませんけれども、少なくとも衆議院が中選挙区であれば、それに近い形の都道府県の選挙区というものができるような、そういった制度の改正というものを行うのが私は筋ではないだろうかというふうに思います。その辺、自治省のお考えがあれば承っておきましょう。
  54. 大林勝臣

    大林政府委員 衆議院につきましては、御承知のように大正十四年以来、その時点における、また政治的な背景というもので今日まで来ておるわけでございますが、都道府県議会議員選挙区の選挙区別定数について、御指摘のございましたような点あろうかと思いますけれども、私ども考えでは、都道府県の選挙区というものが、現在、衆議院等と違いまして要するに郡市を単位にするのを原則といたしております。郡市を単位にして選挙区を定めておるということ自体、やはり昔から都道府県の行政というものが市、郡というものをにらみながら恐らく行政が行われてきたに違いない。そういった行政的な背景で現在の選挙区が決まっておるのでありまして、郡を割るとか、あるいは市を割るとかということにつきますと、やはり地方行政独特の立場から、いろんな支障が出てくるということが予想されるところでありまして、まあ一人区の問題をどうするかという問題は一つの問題ではありましょうけれども、現在すでに都道府県の選挙区の定め方あるいはその定数の配分の仕方につきましては、かなり地域間格差、その地域における特殊事情の考慮というものも法律上考慮されておるところでありまして、恐らくは、選挙区のあり方、選挙区の割り方、こういったものを現在のたてまえから変更するということは、なかなかむずかしいような感じがいたします。
  55. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 郡市によるということになっているわけですね。だからというのですが、しかし、いま郡というのは一体どういうものなんでしょうか。かつて郡制というものがあったし、太古にさかのぼっても郡というものがあったようですけれども、いま現実の法令の中で郡という言葉が出てくるのは、公職選挙法と自治法の選挙に関する規定以外には、郡というのは六法全書から全く姿を消しているのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  56. 大林勝臣

    大林政府委員 ほかの法令でどの程度残っておるかというところまで存じておりませんが、郡というのは、どれだけの意味があるかとおっしゃられますと、やはり一つの行政区画、行政単位という、非常な歴史的な意味というものは強く持っておると存じております。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 歴史的なそういうものがあったということは承知していますが、後藤田さん、片岡さんも、かつて内務官僚であれでしょうから、郡というのは、公職選挙法ぐらいにしか、もう残していないのじゃないですか。ほかの法律にはないと思いますが、いかがですか。
  58. 後藤田正晴

    後藤田議員 私も、あんまりこのごろ法律を読まぬものですからなんですが、制度としてどんなのがあるかというと、そんなにたくさんは残ってないと思います。ただ、やはりまあ郵便にも使っていますし、行政の一つの区画くらいの観念で、いま残っておると思います。  御質問の都道府県の議会の議員の定数ということになりますと、これはやはり一つは人口が基準ですね。しかし同時に、都道府県の議員の場合には、行政単位ということで郡市を代表しているという地域性の問題がきわめて濃厚にあるのじゃないか、私はかように考えております。したがって、おっしゃるように一つの郡が町村合併あるいは郡境の変更、こういったようなことで人口にアンバランスができておるというようなことから、一つの郡で一人しか出てないといったような選挙区が相当あると思います。しかし、それはやはり都道府県の場合には、何といっても原敬内閣のときの郡制廃止まで、大きな日本の行政の本当に中核的な単位だったわけですから、それの名残かもしれません。しかし、いずれにせよ地域を代表するのだといった点が色濃く残っているから、おっしゃるように衆議院が中選挙区だから、都道府県の議員の場合もそれに合わせて地域性をなくして一人区なんてなくしろといった議論は直ちに出てこない、私はかように考えるわけでございます。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 後藤田さんと論争するつもりもないのですけれども、いま自治省が進めている広域市町村圏だって、郡を抜きにして幾らもやっているじゃありませんか。やはりそういう時代になっているのですね。ところが公職選挙法だけは郡が残り、都道府県の選挙制度だけは郡市によるんだということで、郡が原敬内閣以前の大きな顔をして、そのまま残っているというのも私は少しおかしいのじゃないかなと思うのです。  この点は、そういう意味ではやはり衆議院の選挙区が中選挙区だということは、それなりの日本国民の英知で現在こういう制度になっていると思いますので、都道府県の議員選挙も、自治法施行当時は、町村合併以前はそれなりに郡というのが人口規模があって、そして当時の都道府県の選挙区からいけば一名区なんというのはなくて、ちょうど衆議院の中選挙区に当たるような選挙区であったことは、これまた歴史的な事実だと思うのです。そういった状態をいま一度思い直して制度の改正をするということが必要ではないか。これは意見になりまして、どうも後藤田さんの方の党では、将来はどうか知りませんが、現状ではなかなかうんとは言わないだろうと思いますから、そうすべきだということを強く申し上げておくにとどめましょう。  それから次は、第五は飛びまして第六ですが、「政党その他の政治活動を行う団体の宣伝告知のための自動車及び拡声機に関する事項」でありますが、これは冒頭、後藤田さんがお答えになったと思うのですが、個人本位選挙から政党本位選挙にしていこう、それが選挙を改善していく道だ、こうおっしゃられました。これはまさに政党の行う活動について規制を加えようということでございまして、その点、この規定後藤田さんの冒頭の御趣旨からいって相反する規定ではないかな、こういう感じがするのですが、いかがですか。
  60. 後藤田正晴

    後藤田議員 この点は、本来、政治活動は自由ですし、選挙運動だって私、自由が本来のたてまえだと思いますね。ただしかし、他方、選挙の公正という面も確保しなければならぬ。だから現在の二百一条のたてまえというのは、政党それから「政治活動を行う団体」というものも、少なくとも公示期間選挙期間中はひとつ選挙運動まがいの行為は一応やめようじやないか。しかし、さればといって、すべてそれをやめてしまうというわけにはいかぬじゃないか。ならば、ひとつ確認団体というものを設けて、そして確認団体が一定の行動をやる、こういうことですから、つまりは選挙というものの公正を確保する限度において、少なくとも最小限差し控えるべきことは選挙運動期間中は差し控えようじゃないか、こういう趣旨規定だと思いますね。  ところが、今日の選挙の実態を見ると、こういうことは本来お互いが良識で自粛をすれば別段何ということは本当はないのですけれども選挙というのは戦いですから、そういうわけにもいかぬという面があるので、だから今日の実態を見ると、言葉は悪いかもしれませんけれども合法圏の拡大とでも言うのですかね、そういうようなことで、だんだんと拡販車といったような名目のもとに今日、選挙の騒音公害と言われるほどの実態が出てきた。さらに、それをよく点検をすると、政党の拡販車のようではあるが、個人が、選挙の拡販車の名のもとにおいて、やっているものすら出てきておるじゃないか、これではいかにも選挙の公正の面からぐあいが悪いということで、そういう車について今回規制を加えたらどうだ、こういうことでやっておるわけです。  したがって、これの解釈、運用というものは、一部の政党機関紙等で、ずいぶん私たたかれていますよね。だけれども、そんなことであってはならぬ。やはり立法の趣旨を踏まえて政党あるいは「政治活動を行う団体」もやってもらうし、同時にまた、これの規制の任に当たる選挙管理委員会あるいはまた第一線の取り締まり当局、これらもその趣旨を踏まえて、そして非常識な運営に絶対になっては相ならぬ。こういうことで今日のいわゆる選挙騒音公害と言われるものをなくしようじゃないか、こういう両々相まっての考え方でうまくやっていきたい、かような趣旨で立案をしたものでございます。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 先ほど来、事務所の問題等でお尋ねをいたしましたが、これは一般論として新聞、雑誌等で拝見したことでお尋ねをしたわけですけれども、今回の場合は、この問題は私ども選挙区の実情でお尋ねしたいと思っているのですが、私ども選挙区で見ますと、一番いわゆる拡販車なるものがたくさん出ているのは自由民主党です。自由新報の拡販車が一番台数も多く、盛大に走り回りまして、先ほどのお話のようであれば騒音公害をまき散らしておられるわけであります。その次は、わが日本社会党でありまして、その次は公明党であって、日本共産党は実は一番台数が少ないわけです。そういう状況です。  ただ問題は、私どもの党でもいわゆる拡販車が出ておりますが、これは党の総支部というものがございまして、そこで常時、宣伝カーを持っているわけですね。そしてそこで党の演説もすれば、あるいは社会新報の販売の宣伝もしている。その同じ台数の範囲で、総選挙になった場合も、選挙期間中の場合も同じものが拡販車として活動しているというのが状況なんです。問題は、自由新報さんの場合は、日ごろは自由新報の販売活動にはさっぱり従事をされておられないが、選挙になると多数あらわれて、そうして大いに騒音をまき散らしておられるというところに、私はむしろ問題があるのではないかと思うのです。常時、その政党本来の活動として政治活動あるいは新聞の販売活動に従来している。それがそのまま選挙になっても活動しているというなら別に私は問題はないと思うのですね。要は、後藤田さん、いみじくも言われました、個人として何か拡販車をつくってやっているような動きがある、こう言われましたが、そういうものに私は問題があると思うのです。  ですから、これも先ほど来、私はポスターの掲示場で申し上げたのですけれども、少なくとも政党として常時活動しておるものというのは住民の目にも触れているわけですね。それ以外、日ごろ住民の目に触れなかったものが突如としてあらわれて、やっているというものに対して、住民の皆さんがそれぞれ関心を持ち、そういった状況について批判を加えていくというような啓発活動をすることによって、何もこのような規定は必要ないのではないかなというふうに思うのです。私の選挙区の場合を申し上げたので、ほかの選挙区は、いや違う、ほかの政党の方が数倍も多くやっておるよというところもあるかもしれません。しかし、それが常時行動しているのではなくて、選挙になって突如あらわれて、ある党が、その党の機関紙の販売活動をおやりになっておる、いわば選挙まがいの行動をやっておられるということであれば、その党に対して、その地域の住民が批判を向けるべきだ、こう私は思うのです。そういう形でこの問題を解決するのが筋ではないのかなというふうに私は個人的に思っておりますが、その点について提案者の方の御感想はどうでしょうか。
  62. 後藤田正晴

    後藤田議員 おっしゃるように住民の批判で、法律規定を待つまでもなく改まるようであれば、それが一番結構だと思います。しかし、そうじゃないんじゃないですか。山口さんの選挙区は、いま言ったような順番で多く出てくるかもしれません。私の選挙区では一つも出ておりません。だから選挙区によって大変違う。しかし大都市等は、まさに選挙の騒音公害というところにまで至っておる。これが住民の批判にこたえて今回の改正をしよう、こういうことでございます。  住民の批判で各政党あるいは各候補者が本当におやめになるなら法律は要りません。しかし山口さん、それではできないんじゃないですか。山口さんもお気持ちの中では、それでは住民の批判だけでやめるかといったら、やめないんじゃないかとお思いになっているんじゃないですか。私はそう思うのですよ。だから、今日の住民の批判にこたえて、これはやはり立法府みずからの手によって改めようではないかというのが、今日のこの提案になったわけでございます。
  63. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは各党間の自制によって、それがすべていきなり改まるかといいますと、地域によっては、それはいろいろ問題が起こるだろうということは、同じような気持ちを持ちますよ。しかし、もしそういうことになれば、やはり有権者皆さん方が当然批判をする。ですから、たとえば党首会談でもやって、そうして通例動いている拡販車、通常、党の組織が持っている車以外に、個人が仕立てて拡販車をうんと出して選挙まがいの行動はやらないということを知らせる。それに対して、もし違うような党があったら、国民の皆さんが批判をするというようなことをやれば、私は、それも一つの解決の方法ではないかと思うのです。  ですから私は、問題は、大選挙事務所をつくり、先ほど来言いましたように買収、饗応に類するような行動が一面ではどんどん野放しで行われている、そういった問題にメスを入れようとしないで、ほかのポスターの問題とか、あるいは政党本位選挙といいながら、たまたま個人が、そのときになってたくさんの拡販車を出して、わあわあやるということが問題だという批判に籍口して、そういう面での規制を主として加えていこうというようなことは、少し本末転倒ではないのかなというふうに思っているわけです。この点は当委員会でもずいぶん議論になったことだろうと思いますから、これ以上議論することは私も避けたいと思いますが、この点もやはり理事会におきまして各党の意見を十分お聞きいただいて、話し合いで解決をするという形で対処をいただきたい、かように思います。  そこで、もう時間ですから最後の質問にしようと思うのですが、この第六の「政党その他の政治活動を行う団体の宣伝告知のための自動車及び拡声機に関する事項」の二項ですが、これはハンドマイクなんかを持って、拡販車と同じように政党機関紙の販売活動に籍口して選挙まがいの行動をするのを規制する、こういう趣旨で、この二項はできているというふうに確認してよろしいですか。
  64. 後藤田正晴

    後藤田議員 そのとおりでございます。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それ以外のことは想定をしていないということを明確にお答えいただけますか。
  66. 後藤田正晴

    後藤田議員 それ以外のことは考えておりません。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 質問を終わります。
  68. 久野忠治

    久野委員長 安藤巖君。
  69. 安藤巖

    ○安藤委員 質問の前に、十二日の日も申し上げたのですが、いま審議をされておりますこの法案は自民党議員提案であります。にもかかわらず、自民党の席が寒々としておりまして、これは本当に自民党はやる気があるのかどうか疑わしいと言わざるを得ないのですが、それは早急に委員長の方から、しかるべく自民党委員の出席を促していただきたい、このことを要望いたします。
  70. 久野忠治

    久野委員長 要望についてはしかるべく手配いたします。
  71. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、きょうは私は、先回の十二日に質問をいたしました中で、自治省大林選挙部長が、労働組合等の集会について、「政治活動を行う団体」か、あるいは政治目的を持った集会かどうかということについて、証拠によって協議して判断するというふうに答弁をされました。その関係についてポイントをしぼってお尋ねをしようと思います。  しかしその前に、ひとつ念のために確かめておきたいことがあるのです。実は全学連、全日本学生自治会総連合が、少し前ですが、三月中旬までの宣伝活動のための道路使用許可申請をしたところが、東京中野警察署が都内全域の道路のうち、二月八日まで、これは八王子、秋川市、千代田区を除外するというふうにただし書きをして許可をしたわけです。二月八日投票で、この三つの市、区では首長の選挙が行われているところですね。そういうようなことで、それを除外して許可したのだというふうに思うのですが、これはどういうような理由で、そういう区域を除外して許可したのか。  それから、ついでに一緒にお尋ねしますが、これは警察庁の方でお答えいただきたいと思うのですが、日本民主青年同盟東京都委員会の宣伝カーの道路使用許可申請に対しても、代々木警察署が同じく二月八日までの千代田区、八王子市での宣伝を規制した。それから一月十八日までの保谷市での宣伝活動を許可区域から除外した。御承知のように保谷市でも一月十八日まで市長選挙が行われておったわけです。  それから、もう一つ、ついでにお尋ねしますが、新婦人の会中央本部が宣伝カーの使用許可申請をしたのに対して、これは東京の神田警察署、選挙のやっているところはやらないようにというふうに口頭で指示したというのですが、これはどういうような根拠に基づいて、そういう制限を加えたのか、警察庁の方からお答えいただきたいと思います。
  72. 漆間英治

    ○漆間説明員 政党等の機関紙誌のいわゆる拡販用自動車、あるいはこれに類するものにつきましては、御承知のように道路交通法の第七十七条第一項第四号で警察署長の許可を要することとされておる地域がございます。東京はそういう地域だと思いますが、そういう地域では、このような種類の自動車を走らせる場合には、事前に許可申請が出てまいります。そのときに、その内容を審査しまして、支障がないと判断いたしますれば許可をいたしておるのが現状でございます。  いま御質問の件は、急に御指摘を受けましたので、これは調べてみなければわかりませんけれども、従来の一般的な指導方針として、道路交通法上の使用許可をすることが、その申請の内容に従って走行する場合に他の法令違反する度合いが強い場合には、その旨の注意を申し上げて指導するというようなこともいたしております。いまのようなケースがそれに当たるかどうかは、全部調べておりませんのでわかりませんが、一番初めに御質問のありました全学連の件につきましては、その地域については申請書に記載されていなかったというように聞いております。申請書自体に、その地域は除外してあったというふうに聞いております。したがいまして、その地域を除外して許可したのはそれは当然のことでございます。その他の団体につきましては、いま初めてお聞きしましたので、どうして、そのようなことになりましたかわかりませんが、(「電話で調べて答弁しろ」と呼ぶ者あり)早速調べて答弁をいたしましょう。
  73. 安藤巖

    ○安藤委員 確かに突然質問したことは間違いないのですが、これは警察庁管下の警察署がやったことだから、すぐ調べていただきたい、私のこの質問が終わるまでの間に調べていただきたい。  それから、全学連の方も、もともと私がいま言いました制限をされた区域は除外をして申請をしたというふうにおっしゃったのですが、そうしますと、中身はわりとわかっているんじゃないですか、いま、それは除外して申請したのだということまでわかっておるのなら。しかし、よく行われるのは、こことこことここを除外をして申請しなさい、そういうふうに警察の方が介入的な指導をすることが、もうしょっちゅうなんですよ。だから、そういうような行動もあったのじゃないかと私は疑っておりますので、そういうふうな経過があったかどうかということも含めてお調べいただいて回答していただきたいと思うのです。いいですね。  そこで、先ほど最初に申し上げた件ですが、最初に確かめておきたいと思うのですが、法案の要綱の第六の二、そして第二百一条の五の三の二の関係お尋ねしておきたいのですが、「政党その他の政治活動を行う団体」は、機関紙誌の普及宣伝を含む政策の普及宣伝は、自動車及び拡声機を使用しては選挙期間中一切できない、こういうふうになるわけですね。ところが、確認団体のみが政談演説会の会場、街頭演説会の場所、政策の普及宣伝及び演説の告知のために使用する自動車の上、結局三つです、この三つの場所だけで確認団体だけが拡声機を使用できる、こういうふうになっておりますが、それは間違いないですか。
  74. 片岡清一

    片岡議員 そのとおりです。
  75. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、確認団体以外の「政党その他の政治活動を行う団体」は、この三つの場所以外では一切拡声機は使えない、こういうことになるわけですね。
  76. 大林勝臣

    大林政府委員 確認団体以外の団体についての御質問でございますけれども、今回の規制につきましては、確認団体以外のいわゆる「政治活動を行う団体」は、政策の普及宣伝、演説の告知、その中には機関紙誌の宣伝を含む、そういう前提にいたしまして、政策の普及宣伝、演説の告知のための自動車、拡声機は選挙期間中は使えない、こういうことでございます。
  77. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで具体的にお尋ねをしたいと思うのですが、まず労働組合の集会についてお尋ねしたいと思うのです。  大林選挙部長が事務担当者としてお答えになるのももちろん結構でございますけれども提案者の二人の方は、その辺のところはよくおわかりになって、この法案を提案をしておられると思いますので、できる限り提案者の方から答えてくださいよ。提案をしておきながら、わしはそんな微妙なところとか、そんなややこしいところは知らぬということでは無責任なんですよ。いいですね。(後藤田議員「はい、わかりました」と呼ぶ)  そこで御承知のように総評という労働組合があります。この総評という労働組合の、その規約等とか、どうとかいうようなことは一応さておいて、ごく最近の話を私は申し上げたいと思うのです。御承知のように一昨日の十六日、総評は、同盟その他の労働組合、普通労働四団体というふうに言うておりますけれども、ほかの労働三団体とともに、各党それから政府に対して所得税の課税最低限の引き上げによる実質減税を含んだ五十六年度予算の政府案の修正を要請しておるわけです。ということは、いま総評は、予算の修正をして実質減税をしろという要求を掲げて活動をしているわけですが、こういうことになりますと、総評は「政治活動を行う団体」ということになりますか。
  78. 片岡清一

    片岡議員 いまの御指摘の部分については、原則論から申しますと、その総評、労働組合が「政党その他の政治活動を行う団体」かどうかという認定の問題もございますし、(安藤委員「認定そのことを聞いている」と呼ぶ)だから、それが賃上げじゃない、いまお話しのは……(「減税だ、減税」と呼ぶ者あり)減税の問題ですか、(安藤委員「予算の組み替え要求」と呼ぶ)だから、それは、それが政策その他の普及宣伝の問題であるかないかということが認定の分かれ目になるところでありますので、その認定の問題が大変むずかしい問題であります。
  79. 安藤巖

    ○安藤委員 全く答弁になっていないのですよ。提案者は、そんな理解でもってこの法案を提案しているのですか。これはとんでもないことですよ。私が聞いているのは、まさに政治要求ですよ、いま私が言いました総評の掲げている要求は。その活動の問題についての認定の問題、まさにその認定の問題そのものを聞いているのです。そういう活動をしている総評は「政治活動を行う団体」ということになるのかどうか、そのことだけ、ずばり答えてください。
  80. 後藤田正晴

    後藤田議員 総評そのものは労働団体でございます。しかし、その活動は私は、仮に選挙法上の「政治活動を行う団体」になるかならぬかということになると、運動期間じゃありませんから何をやっても自由ですけれども、これが選挙運動期間中であるならば、「政治活動を行う団体」と認定せられます。
  81. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、その総評が選挙活動中に、そういう要求を実現するための決起集会、たとえば日比谷の野外音楽堂、代々木公園とかいろいろありますけれども、そういうところで決起集会を開いた。当然これは多人数、何百、何千、何万という人が集まる。拡声機を使います。すると、どうなりますか。
  82. 後藤田正晴

    後藤田議員 その際には不特定多数の人を集めてそういうことをおやりになる。しかも、その課題が、現在のような減税問題あるいは増税問題これがやかましくなっているときであるならば、それが選挙運動期間中であれば、やはりこの規定に該当せざるを得ない、私はさように解釈をいたします。
  83. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、先ほど私が言いましたように何百、何千、何万ということですから、拡声機を使わなかったら集会は成り立たないですよね。このときは拡声機の使用について、どういうような措置を取り締まり当局はとることになるのでしょうか。
  84. 後藤田正晴

    後藤田議員 この規定であれば拡声機の使用はいけないということになります。この二百一条というのは、御承知のように選挙運動期間中は政治運動が選挙運動まがいになるという点についての規制でございますから、当該その会合が文字どおり、これは選挙運動まがいではないということであれば別ですけれども、そうなるということで禁止規定を置いているわけですから、その間は、確認団体であれば、これはまた確認団体で認められているものはいいですけれども、それ以外はいかぬ、こういうことになろうかと思います。
  85. 安藤巖

    ○安藤委員 確認団体以外のことを私はずっといまお尋ねしているのです。  そうしますと拡声機を現実に使っている。選挙中だ。いま言いましたような減税問題、まさにそのときの選挙の最大の争点の一つということになっておりますと、いま答弁がありましたように、これは規制の対象になる。この前、大林選挙部長は、取り締まり当局が証拠によっていろいろ協議し、判断するというふうに答弁しておられるのですが、取り締まり当局と言えば警察というのが最初に頭に浮かぶわけですが、警察の方は、いま言った状況、拡声機を使ってやっておるという場合には、どういうような措置をおとりになるのでしょうか。
  86. 漆間英治

    ○漆間説明員 警察は、現行の公職選挙法規制あるいは禁止される行為につきましては、その規定実効を担保すべく取り締まりを行う責任を負っているわけでございます。したがいまして、拡声機の使用に関しましても、それが罰則に触れるというものでありますれば、これまでと同様の態度で取り締まりに臨むべきものというように考えております。  ただ、この種の選挙違反の取り締まりに際しましては、正当な選挙運動または政治活動の自由にいやしくも干渉したというようなそしりを受けることのないようにしなければならないことは言うまでもないことでございます。したがいまして、それぞれの事案に応じて、その都度最も妥当な取り締まり方法となるように配意すべきことは当然のことでありまして、お尋ねの件につきましても、そのような方法のもとに適切にやってまいりたいというふうに考えております。
  87. 安藤巖

    ○安藤委員 いま提案者である後藤田委員の方は、規制の対象になるとはっきりおっしゃったわけですね。警察庁の方は個々具体的にやるのだ。私がいまお尋ねしておるのは、まさに具体的なその話をしているのです。個々具体的にやるというのは一般的な答弁です。いまそういう集会が行われている。拡声機を使っている。どうするのですか。
  88. 漆間英治

    ○漆間説明員 警察は具体的な証拠に基づいて事柄を判断いたしますので、その結果、それが法に触れる行為が現に行われておるということでありますれば、これに対して警告その他必要な措置をとることは当然でございます。
  89. 安藤巖

    ○安藤委員 後藤田さんは規制の対象になるとおっしゃっておる。触れるということになればということですが、警告の対象になる。まず拡声機の使用をやめなさいという警告をするわけですか。
  90. 後藤田正晴

    後藤田議員 私の先ほどの答弁は、それが副次的な目的として「政治活動を行う団体」と認定せられる。しかし、当該演説が政談演説であるかどうかということは、その次の認定。したがって、それが政談演説になるという前提で私はお答えをしておるんだ、こういうことでございます。政談演説にならないというのであるならば、それは規制の対象にならぬ。この点も御理解をしておいていただきたいと思います。
  91. 安藤巖

    ○安藤委員 具体的に、その集会が、もう繰り返しませんけれども、減税の要求あるいはほかにも言えば、徴兵制反対とか、あるいは憲法改悪反対とか、あるいは最低賃金制の確立とか、そういう政治課題をひっ提げて、それを総評傘下の組合員あるいはそれに賛成して集まってきている人たちに対して、しっかりと普及宣伝をして徹底して意思の統一を図ってやっていこうというわけなんですよ。物事は具体的なんですよ、これは。
  92. 後藤田正晴

    後藤田議員 だから安藤さんの御質問は、もともと「政治活動を行う団体」になっておる。同時に、それが政談演説になっておる、同時にまた、それが政策の普及宣伝になっているという前提で御質問のようでございますから、その場合には該当いたしますよと、こう言っているわけです。したがって、それが政談演説会に該当するかしないか、あるいはまた、政策の普及宣伝に該当するかしないか、そこらは事実認定の問題になるのだ、このことをはっきりと申し上げておきます。
  93. 安藤巖

    ○安藤委員 まさに政策の普及宣伝をやっている。「政治活動を行う団体」だという認定になれば規制の対象になる。私がいま具体的にお尋ねしているのは、まさに政策の普及宣伝、政治目的を持った集会。その集会によってその団体は「政治活動を行う団体」と認定される。されなければおかしいと思うのですよ。今度この改正案が通ったら、何もしていなかったら、警察は一体何をやっているのだと逆に怒られると思うのですがね。だから、そういうことで具体的なお話をしているのですよ、その場合はどうなんだと。
  94. 後藤田正晴

    後藤田議員 あなたの御質問は、それはもう事実認定の上においても「政治活動を行う団体」だ、こういう前提ですから、それは一つの前提は決まった。その次は、それが政談演説に該当するかどうかということでございます。その事実認定も、あなたの御質問は政談演説になるという前提での御質問、ならば、それはその次の段階に入ります。それは政策の普及宣伝になるのかならぬのか、これもなるのだと言う。この三つの条件を満たした前提での御質問に対して、その場合はなりますよ、私はこう言っている。  しかし、いまあなたが具体的に挙げている事実が、それが政談演説になるのかならぬのか、あるいはまた政策の普及宣伝になるのかならぬのか、これはそのときの事実認定いかんによりますよ、ならなければそれは該当しません、こういうことでございます。
  95. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、いま後藤田さんがおっしゃったような認定をするについては、相当離れたところでおったのではわからないし、やはり、その中身を聞く位置に、認定をする人がいなければならぬのだと思いますが、どうでしょうかね。
  96. 後藤田正晴

    後藤田議員 これは通常、選挙期間中ということになりますと、警察というのは選挙の自由妨害ということを憶病過ぎるほど憶病になって警戒をするのですよ。だから通常そんなものに、わざわざ内偵の人間を出すなんということをやっておりません。そうでなくて、事柄が選挙という時期に入っておるがゆえに、そういう場合には必ず相手側から、あんなものを選挙期間中にやるとは一体何事だという、いわば訴えが出てくるわけです。そうすると、それは放置ができないということになって、初めて警察は、そういう事実があるのかないのかということを調査に行くというのが実態なんです。事前からそこへ内偵員を派遣して、これは選挙法違反になるかならぬかなんということをやるようなやり方を警察はとっておりません。(「やっている」と呼ぶ者あり)やっていない。それはどうしてかというと、それはやはり何といっても選挙の自由を妨害してはいけないのですよ。そういうことですから、大変慎重な扱いだと私は思う。  改めてもう一遍言いますが、あなたの御質問は「政治活動を行う団体」であって政談演説に該当して政策の普及宣伝にも当たる、この三つの条件を満たした場合に、御質問のような総評ですか、それがこういう演説をやるとき拡声機をどうするのだと言うから、それは該当しますよと言っている。その事実認定はそのときの状況によるのだ。そして、その事実認定は、それじゃ内偵まで出すのかと言うから、内偵なんというものは今日は選挙運動の際にはやっておりませんよ、訴え等があれば別ですよ、こういうことを言っているのです。
  97. 安藤巖

    ○安藤委員 総評がそういう個人演説会をやるとかどうとかいう話を私はしているのではないですよ。いま言った具体的な減税の要求の問題について決起集会を開いているということなんです。政策の普及宣伝をやっているのですよ。選挙の自由をできるだけ妨害しないようにというのはあたりまえのことです。しかし、それは確認団体、政党が含まれると思うのですね、あるいは候補者か、等々に対するものについては、それでもある程度相当あるのですが、わりと気を使っている面もあると思います。しかし、そうでない場合は幾つかの集会に対して、なかなか執拗ですよ。  そこで、私は警察庁にお尋ねしたいんですよ。総評が政治約な課題を掲げて、その実現のために決起集会をやっている、意思徹底して、これからさらに行動に移ろう、こういう集会を拡声機を使ってやっている。先ほどあなたは警告することになろうと思うとおっしゃったですね。警告をするということになると、どこか遠くから無線で連絡するわけじゃないのですから、やはりその現場に行かないと警告はできないですね。
  98. 漆間英治

    ○漆間説明員 御質問に対して直接のお答えになっているかどうかわかりませんが、この拡声機の使用が、今回、法改正がなされることによって、いま御質問のような事柄について警察の取り締まりが変わってくるということでは決してないわけでありまして、御承知のように従来の規制でも、一定期間は、「政党その他の政治活動を行う団体」は、たとえばいまのような政談演説会と目されるような事柄を行うことは確認団体以外は禁止されているわけであります。それは拡声機を使用すると否とにかかわらず禁止されているわけであります。したがって、拡声機の使用が今回新たに追加されたから、新たに問題となったということでは決してないわけでありまして、従来も同じような問題はあるわけであります。  そこで、いまの問題について、今度はお答えしたいと思いますが、いまの問題でございますれば、まず問題は、その総評が「政治活動を行う団体」に当たるかどうかというのが第一点、それから第二点は、そこで行われている行動が規制される種類の態様の行動であるかどうか、それが問題なのでありまして、それに該当する場合であれば、それが目の前で行われていればどうするかと聞かれたから、そういう場合であれば警告いたします、こうお答えしたわけでありまして、前提については、やはり事実認定の問題がありますから、具体的な事実関係を踏まえた上で判断をしていくことになろうということでございます。
  99. 安藤巖

    ○安藤委員 前の答弁と同じような、後藤田さんと同じようなことを私は伺っているんじゃないのです。警告することもあると言う以上は、警告するためには、その現場にいなければならぬのじゃないかと言っているんですよ。
  100. 漆間英治

    ○漆間説明員 御質問がずっと継続してきておりますので、まず、その前提の部分について申し上げたわけでありまして、ただいまの御質問にお答えを申し上げますと、それはいろいろな態様があるわけでありまして、第三者からの通報によって、そういう事態を知り得る場合もあれば、直接警察官が現認する場合もあります。それは警察は捜査機関でございますから、いろいろ情報収集のために必要な活動は行うわけであります。それは対象の内容によっていろいろとあるわけでありまして、こちらから出かけていってみる場合もあれば、通報を受けて確認する場合もある、いろいろあるわけでございますので、一概には申し上げられません。
  101. 安藤巖

    ○安藤委員 その団体がそういう「政治活動を行う団体」かどうかということを確認するためには、いろいろ情報活動を行う、そういうことですね。それはいまおっしゃったです。そして、その一つの目安として、当該集会がそういう政治目的を持った集会かどうか、そして政策の宣伝をやっているかどうかということがある。あなたは、集会は開かれるんだし拡声機を使っていいんだ、これからも別に変わりないんだとおっしゃるのですが、今度は拡声機を使ってはいかぬということになるんですよ。拡声機が問題になるんですよ。だから拡声機を使わなければいいんだけれども、拡声機を使っておるということになれば、拡声機を使わないようにという警告をするんでしょう。どうです。
  102. 漆間英治

    ○漆間説明員 いま御質問のような形態で、たとえば野外で集会を持って、そこで御質問のようなことが行われているというようなことでありますと、通常は政談演説会なりあるいは街頭政談演説なり、それに該当すると思うのですね、その内容が政治活動であれば。したがいまして、その場合は従来も同じように規制されているわけでありまして、拡声機を使用すると否とにかかわらず同じだと申し上げているわけであります。(政談演説会も含む)と言っていますが、それは従来も規制されているわけであります。
  103. 安藤巖

    ○安藤委員 だから、それは最初に私は確認したんですよ。確認団体が、最初に言ったその三つの場所で自動車、拡声機を使ってやる街頭演説、政談演説会、それから政策宣伝告知のため、こうでしょう。だから、私が言うておるのは、それ以外の場所なんですよ。そして、その確認団体ではない総評という組合が、そういう政策的な課題を要求するため、実現するための決起集会を開いているんだ、政策の普及宣伝をやっているんだということで言っているのですよ。話を蒸し返さないでくださいよ、いいですか。そして選挙期間中には——その前に、もうちょっと聞かなければいかぬ。それで自分から行って、その点を確認する、ほかからの通報もある、いろいろな場合があるとあなた、おっしゃったですね。行って、現実に使われている、そしてこれは規制の対象になるんだということになったら、拡声機の使用をしないように警告をする。警告しても従わないときはどうするのですか。
  104. 漆間英治

    ○漆間説明員 どうも御質問が、一定の方向に誘導するように御質問されているわけですが、やはり警察は捜査機関でありますから、具体的な事実に基づいて具体的に判断していくより方法がないわけでありまして、いまのように仮にこういう場合はどうか、仮にこういう場合はどうかというような御質問には、なかなかお答えしにくいわけでございますので、一般論としてお答えしているわけであります。(「それでは審議にならぬじゃないか。具体的に」と呼ぶ者あり)ですから、そういう御趣旨で御了解をいただきたいと思います。
  105. 安藤巖

    ○安藤委員 いま私は、すぐれて具体的な話をしているのですよ。そして、こういう具体的なこの場合にどうするんだということを言っているのですよ。あなた方の方は、そういう規制の対象になるという前提でというお話ですな。私は、もうすぐれて具体的な話をしておるのです。  時間がありませんからあれですが、そうすると、そういうときには警告をするんだというところまでいったのですよ、いいですか。そういう段階までいって、警告するんだ。警告をしても——もう段階に来ているのですよ。いいですか、そういう段階の集会だ、規制の対象になるんだ、拡声機の使用をしないように警告をする、警告しても使用をやめない。どうするのですか。何遍同じ質問をさせるのです。
  106. 漆間英治

    ○漆間説明員 それは事案の内容に応じて適切に対応します。
  107. 安藤巖

    ○安藤委員 適切に対応するということは——話が前に戻ってはいけませんよ、そうすると、そういう規制の対象になると判断して——判断しなければ警告しないのです、そうでしょう。あなた、警告するとおっしゃったのですから。警告しても使用をやめない場合は適切に判断する、それは具体的にどういうことですか。
  108. 漆間英治

    ○漆間説明員 その前提として、警告をするためには法律違反の状態があるということが前提でありますので、ですから、あるかどうかというのが問題なんでありまして、あるかどうかは具体的な事実に基づいて判断すべきであると私は申し上げているわけであります。
  109. 安藤巖

    ○安藤委員 そういう判断をして警告をするという段階まで来て、そして、その警告に対して従わないときはどうするのかという話をしているのですよ。適切に判断するとあなたはおっしゃった。また話をもとへ戻す。適切に判断するというのは、具体的にどういうことかというのです。
  110. 漆間英治

    ○漆間説明員 それはやはりケース・バイ・ケースでありまして、ケースによって違うわけであります。
  111. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、その段階で適切に対応する仕方が、その当該集会趣旨とか目的とか、あるいはその当該団体の性格とかというようなことに、また左右されるということになるのですか。それでは警察は、そういう規制の対象になるというところまで判断をして、なおかつ拡声機を使っても、そのまま使用を認める場合と、そうでない場合と、違うんだということになったら、せっかくこれは法律をつくっても何にもならないじゃないですか。どうです。
  112. 漆間英治

    ○漆間説明員 先ほども申し上げましたように、警察は基本的には刑罰法令に触れる行為については厳正に対処する責務を負っておりますが、その刑罰法令を実現するために行う行為というのはいろいろな態様があるわけでありまして、それはいろいろな形態形態に応じて警察が慎重な判断をした上で、先ほど申し上げましたように選挙運動の自由あるいは政治活動の自由というのは最大限に尊重されるべきでありますから、そういう前提のもとにおいて慎重に手段の選択を行うということであります。したがいまして、事案の態様に応じて、まちまちであるというように答えているわけであります。
  113. 安藤巖

    ○安藤委員 この改正案なるものが通れば法律になるわけですよ。これは罰則ついていますね、罰金幾らかということも含めて。そういうことになると、これは犯罪行為が行われていることになるのですよ、そうでしょう。それを警察は黙って見ておるということになるのですか。あるいは警察のいわゆるさじかげんによって、どうにでもするということなんですか、どっちなんです。
  114. 漆間英治

    ○漆間説明員 ですから事案の内容に応じて適切に対処すると言っておるわけであります。
  115. 安藤巖

    ○安藤委員 委員長、注意してくださいよ。あれはまじめな答弁じゃないですよ。  そういう前提で——前提とおっしゃるから私も前提という言葉を使っているだけですが、規制の対象になるんだ、それで警告するんだ。警告してもやめない場合は適切に対応するんだ。対応の中身はどういうことかと聞いたら、また適切にやるんだ。また政治目的かどうかということを判断する。話が全然前へ進まないのですよ。あなた、ごまかしてはだめですよ。しっかり注意してください。
  116. 漆間英治

    ○漆間説明員 これは改めて申し上げるまでもなく、警察のとり得る手段としては警告から検挙まで、さまざまな幅があるわけでありますから、その幅の中で最もふさわしい方法を選択する、こういうふうに申し上げたわけであります。
  117. 安藤巖

    ○安藤委員 そういうとり得る、検挙まで含めて、やるんだ、こういうことがわかりました。  そこで後藤田さんに聞いていただきたいのですが、いわゆる政談演説会とか、どうとかこうとかおっしゃるのですが、選挙中にいろいろな団体が集会を開くということはよくあるのですよ、御存じだと思いますが。いいですか、これは一昨年の十月の選挙のとき、九月の十九日に千代田区で区民大会というのが行われたのですね。これは商店街連合会、民主商工会、区労協などの団体が主催をして、御承知のように一昨年の選挙一般消費税を認めるか認めないかというのが最大の焦点でしたね。一般消費税は許さないという決起集会をやったのですよ。こういうような屋内集会が行われたのですが、これはどうなるのですか、規制の対象になるのですか。もちろん拡声機を使っています。どうですか、お答えできませんか。
  118. 大林勝臣

    大林政府委員 いま御指摘の団体、その団体が、どこで、どういう会合をやられたかというお話でございますけれども、要するにいまの選挙法というのは、選挙期間中は「政治活動を行う団体」はこうこういうことをしてはいけない、こう書いてあるわけです。  そこで、まず第一は、その団体が「政治活動を行う団体」なのかどうかという問題が一つ、それから「政治活動を行う団体」だということになりました場合には、その集会が政談演説会に当たるのか、あるいは政策の普及、まあ今回の立法によりますと、政策の普及のための拡声機の使用ということになりますのか、そういう問題になってくるわけでありまして、個々の事実の認定の問題になるわけであります。
  119. 安藤巖

    ○安藤委員 だから具体的に、そのときの最大の政治課題ですよ。この一般消費税の問題について議論をして、そういうものは許さないという決起集会、これはまさに政策宣伝、政治目的を持った集会。それで、その団体が政治目的を持った政治活動をする団体かどうかということについては、だから私は、もう繰り返さないと言ったのですよ。これまでの議論を踏まえても、綱領、規約に書いてあれば簡単にわかる。しかし、そのほかに、それぞれの活動の実態に即してこれは判断するのだ。いま、その団体がこういうような集会をやっておる、これは「政治活動を行う団体」が、まさに政治目的を持って政策普及宣伝のために行っている集会になるのじゃないですか。どうなんですか。それで拡声機を使っている。これはこの法案ができた場合、規制の対象になるのかどうかということです。
  120. 大林勝臣

    大林政府委員 そこで、第一の「政治活動を行う団体」であるかどうか、要するに、その団体の認定につきましては、通常の場合は、その団体の規約、綱領その他のものによりまして、そういった目的が書かれておるかどうかということが一番手っ取り早い問題であろうと思いますけれども、そういう記載がない場合において、その団体が政治活動を行う目的を有する団体であるかどうかは、その団体の従来の活動なり、それから現在の活動なり、そういったものを総合的に判断をして認定されるのが通常であります。
  121. 安藤巖

    ○安藤委員 だから、私は具体的に、現実に選挙期間中に行われた集会のことをお尋ねしているのですよ。いま、あなたがおっしゃったようなことを踏まえて、そしていま現実に選挙期間中に、この集会が行われているのですよ、一昨年の選挙の最中に。今度法律が変わると、これが対象になるのか、これを聞いているのですよ。どうなんですか。
  122. 大林勝臣

    大林政府委員 今度の法律の改正が行われれば対象になるかならぬかという問題よりも前に、要するに「政治活動を行う団体」が何であるかということにつきましては、今回の法律は全く関係がありません。「政治活動を行う団体」というのは全然今回の立法では改正されておりませんから、「政治活動を行う団体」であるかどうかの認定というのは従来どおりのやり方の認定ということでございます。
  123. 安藤巖

    ○安藤委員 その辺のことはわかっているのです。政治活動を行うということははっきり掲げておる。あるいは、いないまでも一般の経済要求、文化要求にしても、副次的にも政治活動を行うのは「政治活動を行う団体」だというのは、六年前の公選法の改正のときにしっかり議論されているのですよ。私はそれを踏まえて言っているのです。だから、いま私が言いましたような団体が、そういう副次的なのか、あるいは政治目的を持った「政治活動を行う団体」なのかどうかは一応別として、いまここではそのことは言いません、この集会をやっているんだ。副次的にでも、この集会そのものがすでに政治活動を行っていることになるんじゃないのかということを前提にして、それで拡声機を使っておれば対象になるのかということを聞いておるのですよ。  これは幾つかあるのですよ。昨年の同時選挙、六月の三日、これは滋賀県、要求米価実現ということで大津市の滋賀会館で滋賀県農協中央会あるいは同農協農政対策本部が主催した、まさにこれも米価要求の大会が選挙期間中に行われているのです。相当たくさんの人たちが、これは屋内の集会ですが、やはり集まっています。当然拡声機を使います。そうすると、そういうような要求の集会をやるということは、やはりもうすでに政治目的を持った集会、副次的にでも、これは政治活動を行っているという認定をされるのじゃないか。そうすれば拡声機を使っておれば拡声機の禁止ということになるのじゃないかということを、私はまさに具体的に聞いているのですよ。どうなんですか。
  124. 後藤田正晴

    後藤田議員 お答えします。安藤さんの御質問は、それらはすべて「政治活動を行っている団体」だ、同時にまた、それが政策の普及宣伝になっているのだという前提でお聞きになるから、それならそういうことになりますよと私はさっきから言っているのです。しかしながら、問題は、それが政治活動を行っている団体になるのかならぬのか、政策の普及宣伝になるのかならぬのかということは、それはその事実の認定にかかるのですよ。だからすべてが、あなたのような前提になるとは決まりません。私は、一昨年の千代田区でしたかね、千代田区の会合の内容を知りませんから、それは該当するかせぬかよくわかりません。わからぬが、しかし、その場合でも、純粋に、だれも税金がかかるのを歓迎する人は余りいませんから、本当に税を何とかしてもらいたいのだというだけのことであるならば、私は、それはちょっと「政治活動を行う団体」が政策普及宣伝しているとは認定しがたいなと思うのですね。しかし、そこに政治目的を持ってやっておったということになると、それはあきまへんよ、こういうことになりはせぬですか。だから、それはあくまでも事実認定の問題で、私は、あなたの仮定の前提に問題がある、こういうように思うのです。
  125. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、その当該集会——いま私がいろいろ言いました具体的に行われた集会ですが、その集会がそういう政策普及宣伝、政治目的を持った集会かどうか、いま後藤田さんがおっしゃったその前提ですね、かどうかということをやっぱり認定する必要があると思うのですね。  認定するにはどういうような方法で認定をするのか。この前の大林さんの答弁によりますと、証拠によって協議し、判断する。証拠を集めなければいかぬと思うのですよ。そのためにはどうするかということです。
  126. 大林勝臣

    大林政府委員 証拠がなければいかぬ。その証拠の認定をどういうふうなことにするのかということになりますれば、法律の解釈その他につきましては選挙管理委員会なり私どもで、いろいろ御協議に応ずるわけでありますけれども、事実の把握の問題につきましては、これはやはり取り締まり機関の方で措置されるということになろうかと存じます。
  127. 安藤巖

    ○安藤委員 取り締まり機関の措置ということは具体的にどういうことなんですか。具体的にずばっと答えてください。
  128. 漆間英治

    ○漆間説明員 ある団体が公選法上の「政党その他の政治活動を行う団体」に当たるかどうかを認定する場合には、警察といたしましては、その団体の目的なり組織構成なり活動の実績等に関する各種の資料を総合的に検討して結論を出す、そういうような方法で客観的に判断をいたしております。
  129. 安藤巖

    ○安藤委員 どうも、くつの上から何かかゆいところをかいておるみたいな答弁しかしないのですが、そうすると客観的に判断するための証拠の収集活動をする、先ほどそうおっしゃったですね。どうですか、それに間違いないですね。もう一遍答えてください。
  130. 漆間英治

    ○漆間説明員 資料を収集するというふうに申し上げたのであります。
  131. 安藤巖

    ○安藤委員 時間が参りましたのであれですが、最初に質問をいたしまして、私の質問が終わるまでの間に調査をして、電話ででも確かめてほしいということを言うておきましたが、それはどうなりました。
  132. 漆間英治

    ○漆間説明員 全学連につきましては、中野署に道路交通法上の使用許可の申請がございまして、その内容は、学費値上げ反対、政治反動阻止というような内容であったということでありますので、したがいまして、全学連がこのような活動を行うということは、政治活動規制のある、選挙が行われている区域については、政治活動規制にひっかかるおそれがあるので、その旨を注意申し上げたところ、その地域を除いて申請があったということであります。  それから民青につきましても、代々木署に同様の申請がございましたが、同じようなことで注意をしたところが、その地域を除いて申請書が出たということであります。それから新日本婦人会についても同様でございます。  いずれにしましても、道路交通法上の許可申請に際して、その許可した結果が他の法に触れる場合には、そういうことがありますよということを御注意申し上げるということは、一般論として従来もやってきておるところでありますので、そういう指導措置をとった結果そのような内容になったということであるというように報告を受けました。
  133. 安藤巖

    ○安藤委員 だから、そういう指導をしたということはわかりました。  委員長、質問しなければいかぬことがまだ非常にたくさん残りました。きょうは時間が来ましたので終わります。
  134. 久野忠治

    久野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後二時四十二分開議
  135. 久野忠治

    久野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  136. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうは後藤田議員にいろいろお尋ねをしたいと思いますが、いま自民党の中で、いろいろ現行憲法を改正しろという議論がございますね。その現行憲法を改正しろというのは多分に九条その他に関連しているんだろうと思うのでありますけれども後藤田議員は、憲法九十九条、いろいろ天皇、摂政等もありますが、国会議員はこの憲法を遵守し擁護をするという、この第九十九条についてはどういうお考え方か、最初にお答えをいただきたいと思います。
  137. 後藤田正晴

    後藤田議員 これは当然現行憲法を遵守しなければならぬと思います。
  138. 堀昌雄

    ○堀委員 私も、恐らくそういうお答えがある、こんなふうに思っておったんでありますけれども、そこで、現行憲法の四十七条は「選擧區、投票の方法その他兩議院の議員の選擧に關する事項は、法律でこれを定める。」となっておりますね。この点について、後藤田さんはどうお考えでございますか。
  139. 後藤田正晴

    後藤田議員 当然、憲法に従って、憲法の認めておる範囲内において法律で定めていくということであろうと思います。
  140. 堀昌雄

    ○堀委員 「法律」という字句の解釈の問題はございますけれども、要するに選挙制度のようなものは政治の基本にかかわる問題でございますから、少なくとも国民をかなり拘束する制度でございます。同時に、その拘束の仕方によって選挙が公正に行われるかどうかということを決める制度でありますから、私は、この「法律で定める。」ということは非常に重要な意義を持っておる、こう考えますが、後藤田議員はいかがでございましょうか。
  141. 後藤田正晴

    後藤田議員 仰せのとおりでございます。
  142. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでお伺いをいたしたいのでありますけれども、実は今度の自民党提案になりますところの公職選挙法の一部を改正する法律案の中で、すでに質疑が行われておるようでありますけれども、第百四十三条第十五項第一号に関して、「後援団体政治活動のために使用する事務所において掲示することができる立札及び看板の類の数は、同一の公職候補者等に係る後援団体を通じて政令で定める総数の範囲内とするものとすること。」こういうことらしいですね。  私は、政令に委任をするということは、要するに非常に細かい問題であって法律事項の必要のない範囲のものを政令に委任することは、それは差し支えない、こう思うのです。しかし、ここで第百四十三条第十五項第一号に関する立て札の総数の範囲というようなものを明確にしないで政令で定めるなどということは、私は、どう考えても憲法四十七条に違反をする、言うならば憲法違反だ、こう理解をするわけです。ですから、提案者は少なくともこの問題について、総数とは、あなた方はどう考えておるかという問題なくして、こういう法律案提案されておること自体、私は非常に遺憾だと思うのであります。その点についての後藤田さんの御見解を承りたいと思います。
  143. 後藤田正晴

    後藤田議員 御承知のように選挙法というのは、きわめて重要な、政治の運営そのものに関係する、同時にまた、今日の政治は政党政治でございますから、その政党の消長に直接響くような重要な事項と、同時にまた大変技術的な面と、これは二面あるわけです。  そこで、いまおっしゃったようなことはどちらに理解するのか。これは表現の自由という観点から見れば大変重要ではないのか、おっしゃるとおりでございます。しかし同時にまた、これはきわめて技術的な決め方でもある。これはどちらに理解するかということだと思いますね。堀先生は、これは憲法違反の疑いがあるのではないかとおっしゃるけれども、それはちょっと無理じゃないのか。これはやはり合憲な決め方の問題ではないのか。そうして同時に、そのことは国会みずからが立法の過程で判断をして決めれば、それによって憲法違反なんという問題は起きないのではないか、かように考えます。
  144. 堀昌雄

    ○堀委員 いや私が言っておることは、要するに四十七条は「選擧に關する事項は、法律でこれを定める。」こうなっているわけですね。確かに、それは政令に委任することも法律の定めになるかもしれないけれども、そんなむずかしい問題だと思ってないのですよ。総数を幾らにするかなんということは、自民党内で討議をした結果があれば、自民党としてはこう考えるというものがここに出されるのが、法律事項としてしかるべきである。どうも、ちょっと伺ったところによると、これは明確になっていないということのようでありますから、自民党はどういう形の総数を考えておるのか。結果的に政令に委任するとしても、政令に委任すると書いておるけれども、ここの公の場で、その数は自民党はこういうふうに考えておりますという発言がなくして、この法案の審議をこれ以上進めるわけにはいかない、私はこう思うのです。
  145. 片岡清一

    片岡議員 これは政令で決めることになっておるというのは、いまお話しのとおりでございまして、これはひとつ各党とも十分よく話し合って、国会議員の段階、それから国会議員でも全国区の段階、その他いろいろ種類がございますので、それらに応じて、ひとつ十分よく話し合って決めましょう、こういうことになっておりますので、同じ土俵の上でということで、その土俵を決めるのはみんなで相談してやろう、こういうことにしておるわけでございます。
  146. 堀昌雄

    ○堀委員 こういう法律案を与党が提案される以上、事前にその措置がされて、要するに与野党間で一致をしたものをここでお答えいただくような手続が当然行われてしかるべきではないのか。その点では私は、立法者側が少し安易に問題をお考えになっておるような気がして仕方がない。やはり法律というのは、国民の権利義務に関して、これを拘束するものでありますから、私どもとしてはそれなりに、この法律を審議をする場で、国民の前に明らかにしなければならぬ問題は明らかにしていかなければいかぬ、こう思うのです。それを、要するに法律ができた後で、みんなで寄って相談をしようということになりますと、これは、憲法四十七条が選挙に関することを法律で定めろということを言っておることと同一内容のものとは必ずしも理解をしがたいというのが私のいまの考え方でございますが、それについてのお答えを少しいただきたいと思います。
  147. 片岡清一

    片岡議員 この法案を前臨時国会で提案いたす前に皆様と御相談しました。そしてその段階では、ひとつ審議の途中で十分話し合ってやろう、こういうことに話し合いが決まったわけでございます。したがいまして、これが採決になるまでの間にか、あるいはその直後に、いろいろお話し合いで決めたい、かように思うのですが、いまの先生の御趣旨からいって、憲法上の大事な委任の政令であるから、できるだけ早くやれとおっしゃる意味は十分よくわかりますので、採決の前ぐらいに何とか話し合いができたら、いたしたい、かように思っておる次第です。
  148. 堀昌雄

    ○堀委員 いま、ここまできて、あと残っておるのは、いま片岡議員のおっしゃったように後の時間で少なくとも処理をするということになると思いますが、採決後ということは、これは問題がございますので、やはりこれは問題をはっきりさせた上で、われわれはこの法案には反対でありますけれども、採決に参加をしたい、こういうふうに思いますので、その点をひとつ明確にお答えをいただいたら、次の問題に入りたいと思います。
  149. 片岡清一

    片岡議員 いま申し上げましたように採決前にひとつ、それを皆さんと話し合って決めたい、かように思っております。
  150. 堀昌雄

    ○堀委員 その次に、第百六十四条の六第三項、第二百一条の十二第四項関係でありますけれども、「「選挙運動のための街頭演説をする者は、長時間にわたり、同一の場所にとどまってすることのないように努めなければならない。」こうありますね。長時間というのはきわめて不明確な表現でありまして、このようなあいまいな表現を法律で用いることは、いろいろと後でトラブルを起こすもとになるわけであります。特に選挙法というものは公正を期するための法律でありますから、問題が明確でなければならないと思うのです。  そこで一体この長時間というのは、たとえば一時間を超えてはならぬとかいうことなら一般的な常識がありますから、要するに、その長時間というものの限度ですね、どこから超えたら長時間で、どこまでが長時間ではないのか。もちろん、そこには一般的な常識という物差しがあるのは当然でありますから、これについては一体提案者はどう考えておられるのかをお答えいただきたいと思います。
  151. 片岡清一

    片岡議員 これも、その場所あるいはその場合、それによって非常にいろいろ違うと思います。たとえば社会党の委員長が来られるとか、あるいは総理大臣が来られるとかというような場合、そういう重要な場合においては余り時間的にそう区切るわけにもなかなかいかぬと思います。ところが朝の駅前におけるあいさつとかいうような場合には、これはやはりお互いに譲り合ってフェアな戦いをするという意味で、お互いに話し合ってその場で決めていく、こういうことが望ましいと思いますので、一般的に申しまして場所及び時間というものを、その場合、場合で一律に決めることは非常に実情にそぐわない場合が多いと思いますので、それらのことを考えまして、これは単なる訓示規定のようなかっこうになりますが、お互いに譲り合って、そしてフェアに選挙戦を戦おう、こういう意味から、その場合、場合で話し合って、できるだけ円満に決めていこうじゃないか、こういうのがたてまえで、その良識に期待をして、こういう訓示規定のようなものにいたした次第でございます。その点、御理解を賜りたいと思います。
  152. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、選挙法というようなもので訓示規定なんというものが一体存在価値があるのかどうか非常に疑問と思うのでございます。ですから訓示規定が書かれたって、それが全然行われないようなものであるならば、法律の権威に関して、そういうような守られもしないような訓示規定法律に入れることに問題がある。率直に言いまして、現在の選挙法の中で法律禁止しておっても実際にはなかなかそのとおりに行われていない問題は実はたくさんあるのですね。法律でかなり厳しく、きちんと書かれていても、それが守られないというのが現在の実態であります。にもかかわらず、さらに守られもしないだろう訓示規定選挙法の中に書き込むということは、法律の権威という面から見ていかがなものであろうか、こういう感じがいたしてならないのでございますが、その点はいかがでございますか。
  153. 片岡清一

    片岡議員 おっしゃるとおり、ことに選挙は戦いでございます。したがって非常に厳しいものであることは私もよくわかります。したがいまして、選挙法を決めるときは性悪説に基づいてやるのがよかろうなどと、私の方の選挙制度調査会会長であられる竹下さんがよくおっしゃるのですが、まさにそうだと思います。しかしながら、この前の政治資金規正法でも、たとえば個人に対する献金を、それぞれの政治団体といいますか、届け出団体、後援会なり自分の持っておる政治団体に届け出をすることになっている、これについて罰則がないわけでございまして、この場合にも、いま先生がおっしゃったような議論が非常に出たわけでございます。しかしこれも、いやしくも国民の選良として選ばれて出てくる、こういう以上は、そういうことに全然かかわらないで、非常に良識のない種類の人であるというようなことを言うのはどうかと思います。選良として、いやしくも国民の代表になるという人だから、ことに民主主義の代表者として出てくる人ですから、規則を守る、こういうことでいこうじゃないかというようなことで御理解がいって、皆さんの御了承を得て法案が成立したことは先生御承知のとおりでございます。  われわれも、この場合、決め方が非常に困難であり、技術的に非常にむずかしいというようなことから、余り、いまおっしゃるような期待ができないかもしれぬが、良識を期待して、ひとつ話し合いの一つのきっかけといいますか、基盤をそこに置いて、そして話し合いをしていこう。恐らく話し合い等で、普通の場合には約一時間ぐらいというようなことになるのじゃないかと思いますが、そういうようなことを基準にして話し合っていこう、こういうようなことを期待しておるわけでございます。
  154. 堀昌雄

    ○堀委員 政治資金規正法の問題は手続論でございますから、それなりの意味があると私、思うのです。要するに届け出団体に、個人で入ったものはひとつ届け出なさい。それはやらない人もあるかもわかりません。しかし、このぐらいのことはやったって、別にどうということはない。これは手続を規定するのですから、それが実行されるかどうかは別として、手続論として私は法律として意味があると思うのでありますけれども、これはどうも「長時間」なんという式のことで一定場所でやるなというのは、手続でもなければ何でもない。いま片岡議員がおっしゃった、そういう良識の問題は、それは当事者が相互に話し合って決めればいいことでありまして、ですから率直に言うと、私ども大体のときは話し合いをして、そういう処理をしているのですが、場合によっては大変硬直的で、ともかく一向に話し合いに乗っていただけないという場合もあるわけですね。  だから率直に言いますと、そういう方たちは、こういう訓示規定があろうとなかろうとだめなんですね。だから、この部分は削除をしたらどうか。要するに、ここでみんなで議論をしているわけで、各党ここにおられるわけですから、お互いが良識の党であれば良識の範囲で対応する。ですから、いまごろになって大変申しわけないのですが、私が申し上げたいことは、法律の権威というものを私どもはもっと真剣に考えなければいけないのじゃないか。国民を拘束し、その権利義務にかかわる問題を、たとえば定足が割れてでもやろうなんというのはもってのほかだと思うのですが、それにあわせて余り無責任なことを法律に書くべきでない。それだけ私ども立法府の者は真剣に法律という問題をわれわれの責任において考えなければならないのではないか、こういう気持ちがいたすのでございますので、その点についての、ひとつ——これはあってもなくても、そう大して変わらないのなら、この際、これは皆さんの方で削除をされたらいかがか、こう思うのでありますが、どうでしょうか。
  155. 片岡清一

    片岡議員 確かに先生のおっしゃるような点もあるかと存じますが、ないのとあるのとでは話し合いの基盤において若干の違いがあるのじゃないか。お互いに、いままでも私もいろいろな経験がございますが、候補者候補者の間、選挙事務所の責任者と責任者の間では大体話し合いがつくものでございます。ただ、選挙運動をやっておる第一線の人同士で、場合によったら言い合いをしたり、けんかになるような場合もございます。しかし私は、できればもっと上の方の選挙事務所の責任者といったようなところで、そういうことを話し合うきっかけをつくる、一つの大事なものであるというふうに考えますときに、全然役に立たぬものとは考えておらぬわけでございまして、できるだけひとつ御理解をいただいて削除をしないでいきたい、かように思っておる次第でございます。
  156. 堀昌雄

    ○堀委員 問題が実は、この表現と提案者考えておられることは違うのじゃないかと私は思うのですね。この表現からするならば、一人の人間が一定場所で長時間やってはいけない、こういうことなんですね。しかし、いまの提案者お話を聞きますと、たとえば各党競合したようなときに、お互いに譲り合ってやろうではないかというのなら、同じ訓示規定でも、そのように書いたらどうなんでしょうかね。  どうもそこのところが、法律の表現が何か街頭演説を制限するかのごとき表現にこれは受け取られるわけですよ。街頭演説の時間を制限することではなしに、要するに公正に街頭演説の機会を各候補者はひとつ配慮をすべしということなら、私は、それなりに意味があると思うのですよ。しかしこの表現では、要するに街頭演説を一カ所で長時間にやってはならぬということは、私に言わせればやはり憲法の表現の自由に大きな支障を来す考え方につながるということでありますから、この点はちょっと——いまの御説明がありまして、その趣旨は了としますが、それならばその趣旨が正確に出るように法律を書くべきではないのか。これだけでは、まさに言論表現の自由を拘束するということになりかねない。一時間というのであっても、場合によっては二時間やらなければ十分でないという場合もあると思うのでありますので、その点についてはいかがでありましょうか。
  157. 片岡清一

    片岡議員 いま先生のおっしゃるように、一時間では間に合わないこともございますし、そうでないこともありますので、二、三十分ずつでやるということもあります。さように場合、場合によって非常に違うものですから、こういう書き方になったわけですが、ただ「同一の場所にとどまってすることのないように努めなければならない。」お互いにそういう良識を持ってやろうじゃないか、こういうつもりで書いてあるのでありまして、これは決して言論の自由を束縛するとか拘束するとかという書き方になっているというふうにも私には思えないわけで、その点は見解の相違かも存じませんが、御理解を賜りたい。
  158. 堀昌雄

    ○堀委員 場所によって、同一の人がずっと聞いているのなら、一時間というのは大変長い時間なんですね。しかし、駅頭のようなところでやっておりますと、要するに人は流れているわけですが、立ちどまって聞いてくれる人があるということを私どもは期待してやるわけです。  私の個人的なことを申して恐縮でありますけれども、私ども選挙区は阪神間でございまして、そうすると最も有権者に話を聞いてもらう機会というのはどうしても駅頭なんです。朝七時から私どもは街頭演説が可能になりますから、大体私どもの駅のところでは、最終が八時二十分ぐらいまで大変たくさんの人が実は通勤をするわけで、その人たちにごくわずかずつ、短時間ずつですけれども話を聞かしながら、少なくとも一時間二十分は連続して一カ所でやるわけですね。それは聞く側からすればごく短時間ですから、私も電車の発着その他をにらみながら、大体二分から三分の話を交互にやる。確かに御近所の方には大変御迷惑をかけますけれども、しかし、これは私どもに許された言論による選挙運動の非常に重要なファクターでありますから、それをひとつやりたい、こうなるわけですね。  ですから、要するに長時間一カ所にとどまるということの内容が、こんなことは同じ人間を相手に一時間もしゃべれるはずはないのです。そうなると、この「長時間にわたり、」とか、こういう表現が一体何を意味しておるのか、実際には。非常に問題があるので、制限をしなければならない、要するに公正のために制限をしなければならないというのなら、それなりの事由が明確にされていない法律事項というものは、これは私は非常に問題がある、こんなふうに考えるわけであります。  ですから、この点については、まだ採決までに時間がございますので、これは各党の方、一遍ちょっと御検討をいただいて、それなりに意味のある表現にするというのなら、それも私はわかりますよ。さっきの片岡議員の御発言のように、ある一カ所に集中をしてまずいから、お互いが譲り合ってやろうというなら、そのような表現で、要するに選挙の公正を守るために、一カ所において候補者その他が同一の場所で街頭演説をする場合にはお互いに時間の配慮をして行うこととすべきであるなどするとか、何か訓辞規定でも、そういうことなら、こういうことがあるから選挙事務所では下部に十分徹底して、お互いがそういうふうに話し合って決めようということになり得るけれども、この表現だけでは、そんなことに何にもならないですよ。だから、私は、そういう意味で、ひとつ同じ法律をつくるのならば、実効があって、国民もなるほどそういう法律が、こういうことのためにつくられておるということが理解できるというものにしなければ、法律の権威というものが国民から疑われるおそれがある、こう思いますので、これはひとつ検討事項として、お願いをしたいと思うのですが、どうでしょうか。
  159. 片岡清一

    片岡議員 これは議員立法でございますし、この議員立法をする前にも、共通の土俵をつくっていこうということで、各党とも御相談を申し上げた次第でございまして、その折には、一応これで御了承いただいておるわけでございます。  そういうことで、ただ先生が、それならそれらしい、もっといい案がありそうだという御示唆を賜りましたので、ひとつ何かよい案をいただきますならば、それでまた皆さんと御相談をして決めていくことも一つの手であると思いますので、われわれは決してこだわっておらぬつもりでおります。どうぞ御理解賜りたいと思います。
  160. 堀昌雄

    ○堀委員 ひとつ、それでは各党の皆さんで、いまの問題について、国民にこたえられる法律内容にするということで、ひとつ御検討をいただきたいということをお願いをいたしておきます。  そこで、あとはちょっと、これまた、この法律を離れての話になるのでありますが、この間も私、政治資金規正法の法律に関連いたしまして、鈴木総理に一つ問題を提起をさしていただいております。それは何かといいますと、いまの自民党の金権腐敗と言われておるこの問題は、私は確かに自民党皆さんの中に、そういう倫理観その他で不十分な部分があるということを否定するわけではありませんけれども、それにもまして大きいのは、要するに個人本位選挙になっておるために、心ならずもその競争には金が要る。金が要るなら、どこかから集めてこなければならぬじゃないかということが、私は、いまの日本の選挙制度に大きな禍根を招いておる、こう考えておるわけであります。  この間市川房枝参議院議員が亡くなられました。私は、昭和三十四年でありますか、三年だったか四年でありますか、ちょっとはっきり覚えておりませんが、第一次選挙制度審議会がつくられまして、そのときに私も社会党を代表して特別委員でございましたが、市川房枝さんも実は参議院から特別委員として御参加をいただいておりまして、お互いにそのときに話し合ったことは、何とか日本の選挙制度を政党本位選挙にしない限り公正は阻害されるということを市川さんと話し合ったことを、この間市川さんが亡くなられたときに、しみじみと実は思い出したわけであります。それから約二十年がたっておるわけでありますが、実は、選挙制度審議会は、たび重なる審議をいたしましたけれども選挙制度の問題については何一つ実は自民党政府は取り上げないという形で今日に至っておるわけであります。  私は、この間鈴木総理に申し上げたのは、ともかく政治倫理を確立したいなどということは、まさに訓辞規定でありまして、要するにシステムを変えない限り、訓辞規定幾ら設けてもそれは守られない。だから、お互いがひとつ政党本位選挙で争える仕組みにすることは、いま、この公職選挙委員会に籍を置く与野党の議員の国民に対する責任だ、私は実は、こう理解をしておるわけであります。  そこでこの間、私は西ドイツ方式の比例代表制をひとつ導入したらどうでしょうかという問題提起をいたしました。残念ながら明くる日の新聞を見ますと、共産党の赤旗紙が、社会党の堀議員、小選挙区制を推進というような見出しが出ておるわけであります。私は、共産党の皆さん大変勉強家がそろっていらっしゃるので、いやとんでもない記事が出たものだと思って実は林委員にそのことを申し上げました。これは大変な間違いですよ。西ドイツにおける小選挙区というのは、比例代表で総数が決まって、その総数を、政党の一方的な拘束名簿だけに頼るのは民主的でないから、その半数だけは、政党の名簿のいかんにかかわらず、小選挙区で当選した者をもって当選者にするというための、名簿に対する選挙民の民主的介入だ、こういうふうに理解をしておりまして、制度は、そういうふうになっているのでありますが、何か私が小選挙区を推進しているかのような記事であったことは大変遺憾であったということを林委員に申し上げたわけであります。  それでは、私はなぜ小選挙区に反対かという問題を一つ申し上げますと、いま小選挙区については二つのやり方がとられております。一つはイギリス方式です。イギリス方式の小選挙区制度というのは、比較多数当選制度なのであります。もう一つはフランスの方法であります。フランスは比較多数ではだめで、過半数の投票を得た者がない場合には、一位、二位または一位、二位、三位をもって再度投票を行って、過半数の投票を得た者をもって当選者とする、こういう制度に実はなっているわけであります。  それはどういうことから、こうなっているかといいますと、イギリスは、これからはどうなるかわかりませんが、少なくとも今日までは保守党と労働党の二大政党対立なんであります。二大政党が対立で、自由党はありますが大したことはありませんから、二大政党対立なら比較多数という問題は起こらないのです。大体どっちかが過半数を超えて、どっちかが過半数を割るというのが制度上の問題であります。ところがフランスは御承知のように多党化している国でありますから、比較多数でやれば、その選挙区の選挙民の意思を十分に反映しない候補者が当選する。そこでフランスは多党化しているから、小選挙区でも二回選挙で過半数の支持のある者を選ぶ、こういうふうな制度になっているわけです。  そこで、ただ自民党の方で、これまでいろいろと何回もございました。かつて江崎自治大臣のときに突然として小選挙区法を提案をしてこられました。田中総理のときであります。私は、この公職選挙法委員会で、これに歯どめをかけて、結果的に、それは提出をしないことになりましたけれども、そのときに、いつでも自民党が持ち出されるのはイギリス式の比較多数で小選挙区をやろう、こういう発想であります。だから、これは今日、日本も多党化しておりますから民主的なルールとは言えないわけでありまして、まず小選挙区は、そういう意味でフランス式の方法というなら、また二の次でありますが、まず第一点非常に問題がある。日本の現状に比較多数小選挙区制度を導入することは、きわめて問題があるということで、反対なんであります。  その次に、それではなぜ小選挙区に反対いたすかといいますと、現行中選挙区でもそうでありますけれども、衆議院は、いまともかく委員会が火曜日から金曜日までということになっております。土曜、日曜、月曜——日曜は当然ですが、土曜、月曜委員会をやらない。なぜやらないのか。金帰火来こう称して、金曜日から選挙区に帰って、火曜旦戻ってきて国会でやる。もしこれをやらないと選挙民が、ともかくおれたちに顔を見せないようなやつは投票しない、こういうことになるおそれがあるというわけです。  私はかつて政策審議会長を四年間やっておりまして、党務専一で一生懸命がんばっておりました。その当時、私の地元の市会議員皆さんから、堀さん、党もいいけれども、ちょっと地元へ帰ってくれぬと選挙にならぬぞと、こういう話でありました。しかし私は、国会議員として国政に参加をし、政党の役員として政策に参加をしておって、実は自分の選挙よりも党務、政務の方が大切だと思うから、申しわけないけれども、ひとつ勘弁してくれと言って一生懸命やりました。そうしたら、その次の選挙でみごとに落選という事態が起こるわけでありますね。これは、いま金帰火来をやっているけれども選挙区に集中していないことには次の選挙に出られないのでは、政治家としての一貫性がないわけです。小選挙区になったら、実はもっと帰らなきゃいかぬようになるのですよ。金帰火来じゃなくて、国会は水曜と木曜だけにして、ともかく木曜から帰って、そうして今度は水曜に戻ってくるということにでもしなかったら、何しろ自分はこっちにいるが、相手の候補者は地元にいて、毎日てくてく狭い範囲やられてたら、心ここにあらずで、国会で審議しようなんてことは不可能になる、私はこう思っているんです。  そうすると国政を預かる私どもとしては、その選挙区も大事ですが、要するに国政、政策をもって国民全体に奉仕をするというのが国会議員の任務ではないか。その任務を達成するためには、比例代表制ならば、これはもう選挙区へ帰ってばたばたしなくても、国政の上でしっかりがんばり、そうして、いい政策で政党同士が争うということが、初めて近代的な民主政治を確立する道だ、私はこう考えているわけです。ですから、その限かでは、いま日本のこの風土で政党本位選挙にしようとするならば、何としても西ドイツ方式を導入する以外に道はない。私は、それを単に政党の利害で言っているわけではないのであります。  それはなぜかといいますと、実はこの前ちょっと試算をしてみました。ドント式とかいろんなものを使いますと、これまた偏差が出ますので、単純に比例代表をウエートで計算をしてみるというやり方をしたら、この前の同時選挙、総選挙のときのあの議員の配分がどうなるかというのをちょっと試算をしてみますと、あの選挙で自由民主党として当選した人は二百八十四名でございました。私ども社会党は百七名でありました。公明党三十三名、民社党三十二名、共産党二十九名、新自由クラブ十二名、社民連三、無所属が十一というのが、この間の選挙の党派別の議席数であります。これを完全比例方式でウエートで配分をしますと、自由民主党は二百四十五になります。社会党は九十九になります。公明党は四十六、民社党は三十四、共産党は五十、新自由クラブは十五、社民連は三、無所属十八、こういう形になるのです。  ですから、自由民主党と私どもが多少制度の結果としては減るけれども、この際われわれが踏み切れば、あとの野党の皆さんは、制度が変わるだけでどんと議席数ふえて、そして民意が正しく反映されるわけでありますから、この問題についての大きな反対は起こらない、私はこう見ているわけでありますね。  おまけに、そうなれば今度は自由民主党の皆さんもわれわれも政策の争いになりますね。いまの中選挙区で、われわれ社会党のところは、この間二名以上立てた選挙区は十七しかありませんからね。ですから政党本位選挙のできてないところは十七で、あとの選挙区は一名しか出てなければ、これはもう政党本位選挙と同じになるわけです。その選挙区で候補者が一名なら政党本位選挙と同じになる。自民党は全選挙区でほとんど複数立てておるわけです。だから、そうなれば皆さんの方は、実は私どもとの政策の争いでも何でもないのですよね。自民党内部で、いかにして当選するかという争いで、これは不毛の争いだと私は思うのです。後藤田さんは、そのことはよく身にしみてお感じになっておる、私はこう思うわけであります。何しろ警察庁長官をした人が選挙に出たら途端に選挙違反なんというのは、後藤田さんとしては、こんな制度はどうにもいかぬと、私ども以上に身にしみて、あなたは個人選挙というものの弊害に気がついておられると思う。  ですから私は、ちょっと後藤田さんに伺いたいのですけれども、ひとつわれわれ、この公職選挙法委員が、任期中にこの問題に結論を出すというくらいの気持ちで真剣に取り組むことが、私は日本の政治が本当に民主的で、そしていまの金から離れて、国民のための政策の争いということになって、ようやく先進国の選挙制度のレベルに達する、こう思うんですね。そのくらいのことがやれなければ、私は国民の負託を受けておる国会議員として、きわめて不勉強なものだ、こう考えるのでありますが、後藤田さんのお答えをひとついただきたいと思います。
  161. 後藤田正晴

    後藤田議員 いま堀先生から大変示唆に富む御意見を交えての御質疑がございましたが、おっしゃるように今日、金にまつわるいろいろな事件があります。政治に、できるだけ金をかけないというためには、やはり今日の個人選挙から政党選挙、つまりは政策によって争うということに、私は選挙制度というものは改革をすべきであろうと思います。ただ私も、いまから三年ばかり前に、同志四人でヨーロッパ各国、共産圏も含めまして、選挙制度と、もう一つはユーロコミュニズムの問題で調査に参りました。ところが選挙制度だけは、やはりその国の政治土壌が背景になっておりまして、どの選挙がいい、どの選挙が悪いと一概には決めにくいな、こういう率直な感じを持ちました。  日本は、御承知のように、原敬内閣のときでしたか、だから大正十四年からでしたか、今日は中選挙区になっておる。これもまた日本の政治土壌として生まれてきた経緯があると思います。ただし、その後の長い年月を経まして、これは大変弊害が生まれておるということだけは否定ができません。ことに、堀先生いま御指摘になりましたように、実際この選挙の弊害を一番感じているのは、われわれ自由民主党でございます。まさに同士打ちそのものの選挙なんです。これは、政策で争うという選挙の本義から見ましても、同士打ちなんというのは本来はあり得ようはずのない話なんです。したがって、今日の選挙制度は長い政治土壌の中で育ってきたものではあっても、やはり改革を要する、こう私自身は考えております。  さてそこで、それならどう改革するんだと言えば、政策本位と言えば、これは比例代表制あるいは小選挙区ということにならざるを得ません、これは政党間の争いになりますから。しかしながら、いま御指摘になったようなイギリス式の比較多数のやり方では、死に票の意思を一体どう考えるんだということで、私は、ああいういかにも単純な小選挙区なんてのはとるべきでないと思います。フランスは、御承知のとおり大変複雑な選挙制度をとっていますね。ああいう制度を何も日本がそのまままねる必要はないと思う。日本の政治土壌を考えながら検討すべきは西ドイツの選挙制度、これはやっぱり参考にしてしかるべきではないのか。  西ドイツの選挙制度というのは、先生おっしゃるように比例代表小選挙区という表現が正しいと思う。あれは日本では小選挙区比例代表と言っていますけれども、私は比例代表制が基本で小選挙区である、こう理解する方が正しいと思いますし、これは有力な一つの参考資料であろう、かように考えております。  ただし、これが日本の政治土壌に合うのか合わぬのか、これができるかできないかということになりますと、各政党の消長に直接影響しますから、よほど各政党が日本の政治の将来を考えて、真剣に各党で論議をして、そしてともかく、いまの選挙制度は私はベターとも思わない、やはり改革を要すると考えますので、これは基本なのですから、こういった点は各党が本当に裸になって、国の将来を考え検討すべき時期に来ておるのではないか、かように私自身は考えておる次第でございます。
  162. 堀昌雄

    ○堀委員 後藤田さん、大体私の考えと方向としては一致したお答えをいただきました。  そこで、こういう問題は、ほっておいたら自然に固まるという問題じゃないと私は思っているのです。これは私どもの党も討議しているわけでもございませんで、私は党内で一生懸命言っているという範囲でありますが、与党の中でも、いまの後藤田さんのような御意見もあることがわかりました。そう急にはいきませんでしょうけれども、各党でこの問題を大いに勉強して、この通常国会のうちに、別に公式にこういう委員会でどうこうというのじゃありませんけれども、各党のそういう懇談会といいますか、久野委員長が非公式に主宰をされて、選挙制度改革に関する公選特別委員の懇談会というものをお考えいただいて、各党少し具体的にこの問題を勉強して、そこで議論をやってみるという道を開いていただいたらどうだろうか。  ほっておけば、いつまでたっても選挙制度みたいなものは変わらないのです。やはり私どもが蛮勇をふるってやって、そのことが歴史の上では、なるほど、あのときの国会議員は勇気を持って、よくやったと言われるように、それまで日本の政治は金権腐敗で、一国の総理大臣が逮捕されて裁判で争われているなんというのは先進国としては大変恥ずかしいことなのですが、現象面だけを見ていたってどうにもならぬので、なぜそういうことが起きるかというシステム上の問題にメスを入れてこそ、今日のわれわれの政治家としての責任が果たされる道ではないかと私は考えておるわけであります。久野委員長、いかがでございましょうか。
  163. 久野忠治

    久野委員長 ただいまの堀委員の発言はまことに傾聴すべきものがあると存じます。しかし、現にそれぞれ各党の選挙制度の問題についての調査会なり委員会がつくられておりまして、その関係者の皆さんお話し合いが進められているやに私は承っております。  そこで、ただいま御発議の中にもございましたように、政治資金に関する問題であるとか、ただいま審議をいただいております運動の規制であるとか、あるいは選挙制度の基本に関する問題であるとか、広範な問題を含んでおると私は思います。でございますから、やはり当面は各政党のそれぞれの機関で話し合いを進められ、その進められた結果、当委員会としてこれを取り上げるということに相なりますれば、その際には当委員会で小委員会を設けますか、または全員の方に委員になっていただいて討議を進めるか、何らかの措置を講ずることが妥当ではないか、かように存ずるような次第でございまして、ただいまの堀委員の御提案については私も全く賛成でございますので、しかるべく何らかの措置が講ぜられるように各党間で協議が進められることを期待いたしておるような次第でございます。
  164. 堀昌雄

    ○堀委員 私は率直に言って、いまのこの国会における審議の様式も非常に問題があると思っております。常に政府と私どもとが対立した形で議論をする。しかし、議会というものは、いま提案されておるように議員立法が機能として憲法上付与されておるわけでありますから、こういうような委員会もいいですけれども、いまやラウンドテーブルの委員室がこの分館の中にはたくさんあるのです。  私が言っていることは確かに各党が大いにやっていただかなければなりません。各党で話がまとまらないものでは、その党の方が、そういうふうなことはなかなか言えません。私は長年こんなことをやっているものですから、ルール違反かもしれないけれども、これが日本の政治のためだと思っているので、党議で決まっていないけれども、この間から問題を提起しているわけです。それはフェアなルールだとは私も思いませんので、各党でこの問題を真剣に御討議いただきながら、いまの非公式な形で結構ですから、ラウンドテーブルで、みんなでディスカッションをする、それが本来の国会のあり方ではないのだろうか。だから、政府とやるのもいいと思いますが、もっと議会の主体性を高めるという意味でも、せっかく、ああいう場がもうできているわけでありますから、昔はこの衆議院は向かい合いしがなかったのですが、今度はそうなっていない施設もつくったということは、議会のあり方を、そういう配慮のもとにああいう施設ができたと思いますので、いま久野委員長も私の提案に原則的には御賛成いただいておりますので、委員長の方でもそれなりに御配慮いただき、さらに、きょうは自民党竹下さんを筆頭に副会長ずらっと出ておられるわけでございますから、自民党も真剣な御討議をいただきたいし、各党、共産党も含めて十分この問題の御検討をいただいて、日本の政治の本当に民主的な改革のために各党がそろって真剣な討議をしようということを、委員長だけでなくて各党の皆さんにもお願いしておきたい、私はこう考えるわけでございます。  きょうは突然に参って勝手なことを申し上げたようでありますが、私は率直に言って、今度のこの公職選挙法の改正案も大事だと思いますけれども、これに比べれば、いま私が申し上げておることは大変な開きのあることで、この私が申し上げていることは国民すべての願いだと思っています。そういう意味で、国民のそういう期待にこたえる対応を、ぜひ私どもの責任でやってまいりたい、どうか皆さんの御協力もいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  165. 久野忠治

    久野委員長 新村勝雄君。
  166. 新村勝雄

    ○新村委員 大分議論が煮詰まりましたし、ほとんどの問題点について、すでに議論がなされたわけでありまして、なるべく重複を避けてお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に、提案者にお伺いしたいのですけれども、言うまでもなく政治は国民のものであり、したがいまして選挙もまた有権者本位、国民本位のものでなければいけないと思うのですけれども、いままでの選挙法あるいはこの改正案を拝見しましても、必ずしもそういっていないと思うのです。  ややもすると政治家の立場あるいは政党の立場、むしろ選挙で審判を受けるものの立場からの発想によって選挙法がつくられ、あるいは論議され、改正されるという面が非常に濃いわけですね。これは本末転倒でありまして、選挙をするのは有権者でありますし、国民でありまして、政治家は、その審判を受けるわけでありますから、いままでの選挙法の発想をこの際、根本的に変えて、やはり国民本位の立場から選挙法考えていくということがどうしても必要ではないかと思うわけであります。  そういう点で、私は提案者にお伺いしたいのですけれども、今回の改正案を含めて、選挙法に対してどういう基本的な態度で臨まれておるかということについて、まずお伺いをしたいと思います。
  167. 片岡清一

    片岡議員 ただいま新村委員がおっしゃるとおり、やはり政治も国民のものであり、したがって、その政治を組み立てていく選挙のやり方も国民本位のものでなければならぬことは仰せのとおりだろうと思います。  ただ、その選挙が、やはり制度のつくり方いかんによっては個人的負担が非常に重い。先ほどからお話のございましたように、個人本位選挙から政党本位選挙へと変わっていくということになればまた別でございますけれども、現在わが国にあるような中選挙区制という段階では、やはり個人的に、制度の決め方いかんによっては大変金がかかる。そして、その金がかかることは、その金を調達するという意味で、やはりいろいろな無理がそこへ生じてくる、こういうことが、私は、やはり政治を公正に、正しく運営していく上の一つの大きな妨げになるおそれがあると思います。  そういう点で、やはり選挙のやり方については、お互いに共通の土俵をつくって、そして現在のような中選挙区制なり個人本位選挙である以上、できるだけ個人の候補者の負担が軽くなるように、そのことによって政治の公正を期し、正常化を期していくことができる、こういう立場からお互いに共通の土俵について話し合って、そして金のかからない選挙にしていくということも、私は、大変大事なことであるかと存じます。そういたしますと、どうしても自由な、奔放な、濶達な選挙というもののやり方について、やはりある程度規制といいますか、それを加えていくことも、これはやむを得ないことでありまして、その限度においては、私は、国民の皆さんも御納得いただけるものと、こういうふうに思っておる次第でございます。
  168. 新村勝雄

    ○新村委員 一面はそのとおりだと思いますけれども選挙というのは、やはりこれは国民から厳粛な審判を受けるわけでありますから、その土俵づくりはもちろん必要でありますし、その競争を公正に確保する制度なり規制は必要でありますけれども、やはりその基本においては、有権者から厳正な審判を受けるのだという心構えが必要だと思うんですね。  ところが、従来の選挙制度は必ずしもそういっておりませんし、金がかかるからこうしたい、たとえば参議院の全国区にしても、金がかかり過ぎる、あるいは候補者の体力がとても及ばない、だからこうするんだ、これでは発想がまさに逆立ちの発想でありまして、参議院の全国区にしても、あれはやはり憲法体系の中の一環だと思うんですね。あの発想にしても、やはり第一院に対して第二院の存在価値をあらしむるために、そのためにはやはり全国を一つの選挙区にして、たとえば市川房枝さんのようなりっぱな人が出てこられるような制度をこいねがったというのが、全国区のそもそもの精神だと思うのですけれども、これに対する考え方が、やはり金がかかり過ぎる、あるいは選挙運動が大変であるというのであっては、これは国民の立場ではない。やはり選挙をしてもらう、むしろ選挙の客体であるところの候補者なり政党なりのエゴ、そこから発しているのではないかというような感じがするわけですね。こういう心理、発想では本当の選挙制度は生まれてこないと思うのです。  そういう点で、ひとつ自民党さん、政権党、大政党でありますから、選挙法に対する基本的な発想を変えてもらう。それからまた、私、千葉県でありますけれども、千葉県で大変いろいろ問題が起こって申しわけないのですけれども、こういうことをなくするためには、いかに選挙法を変えても、それだけでは万全ではございません。むしろそれを抜本的に防いでいくためには、選挙に対する発想の転換が必要だ、私はどうしてもそう思うのです。そういう点で、政権党を代表する、そうしてまた、提案者であられる片岡先生あるいは後藤田先生から、その点について特にひとつ御見解をいただきたいわけです。
  169. 片岡清一

    片岡議員 おっしゃるとおり選挙は、国民からわれわれが批判を受け、そして審判を受ける、こういう立場にあることはおっしゃるとおりでございまして、私も、その見解をともにするものでございますが、たとえば、いま例にお引きになりました全国区、これを考えてみましても、私は、全国区というのは、たとえばこれを改めようという意見が出た。これは、いまおっしゃるように、金のかからないようにしようという発想からも出ると思います。それからまた、残酷区と言われるように、個人の労力の限界を超えた厳しい選挙になり過ぎておるというようなことからも、いろいろ意見が出るわけでございますが、同時に私は、国民の皆様の立場からも、全国区については、全然名前の知らない人やら、一体どういう方であるか、あるいはまた、平素どういうりっぱな行動をとっておられる方であるか、口では、あるいはまた、その政見では、りっぱなことをおっしゃっておられるが、本当にそれが行われる人なのであるかどうかということに対する評価も、やはり全国区については国民の皆さん方自体、評価を下すに大変事実上の困難に遭っておる、こういうふうに見ることができる一面があるのではないか、こういうふうに思います。そういたしますと、それをやはりもっと合理的に、国民の皆さん方の立場からもわかりよい、また批判をしやすい、あるいは審判のしやすい、そういう制度に変えていくということも、いろいろ土俵づくりの一つの基盤になる、こういうふうに思うわけでございます。
  170. 後藤田正晴

    後藤田議員 選挙は、やはり選挙民といいますか国民の意思が公正に反映する、これは基本だろうと思います。今日の選挙法はそうじゃないじゃないか、選挙せられる者の都合で規定がつくられているように思う、こういう御批判でございますが、そういう面も否定できないと思います。これは、先ほど言いましたように、今日の選挙法というのは、長い間の、そのときどきの改正で積み重ねられてきまして今日になっているので、私は、これが必ずしも最善のものとは思いません。やはり先ほど堀先生のときにお答えしましたように、選挙制度全般、運動の仕方も含めまして、これはやはり根本的に再検討する時期が来ておるのじゃないのか、こう思います。その際に、やはり基本は選挙民の意思が公正に反映するようにするということではなかろうか、かように考えます。  全国区の問題は、いま片岡さんがおっしゃったような趣旨検討しなければならぬわけでございますが、私は、こういう問題の根本は何かと言えば、やはり二院制度のもとにおける参議院のあり方、その中でのいままでの全国区議員というもののあり方、これはやはり参議院の中に日本人の英知というものをどうすれば一番集めることができるのかということを基本に考えて改正すべきであろう、かように私は考えております。
  171. 新村勝雄

    ○新村委員 全国区の問題は一つの例として引いたわけでありますけれども、これに限らず、今回の委員会でも再三にわたって論議をされた定数の問題にいたしましてもやはり同じでありまして、国民の立場に立った発想でなければ、この問題は絶対に解決しないのじゃないかと思います。議員の立場に立って、この問題に取り組んだのでは、とてもこれは際限がないわけであります。恐らく国民は、際限のない定数の増加は望んでいないと思います。そうかといって一対五というような現在の不均衡を国民は決して望んでおらない。しからばどういうふうに、この不均衡の是正をするかということになると、議員の立場からでは、これはとても解決できませんよ、定数の減るところが仮にあるとすれば、そこの人は超党派で反対しますから。そういうことを議員の立場から、こういう選挙制度になっては困るとか定数が減っては困るというのは、はなはだ僣越だと思うのですね。これはむしろ国民の立場、国民の感覚から考えるべきでございます。  ですから制度的には、やはり国会で論議をして、国会で決める以外にはないでしょう。一億一千万の国民が相寄って決定をするということはできませんから、これは手続上あるいは技術的には国会でやるにしても、選挙制度に取り組む議員としての、あるいは国会としての基本的な心構えは、やはり国民の心を心としてやらなければ、とてもこれは解決のつく問題ではないと思うわけであります。この点を政権党である自民党の先生方には、ひとつ篤とお考えをいただきたいと思うわけです。  それから、金権汚職というようなことがたくさん言われておりますけれども自民党さんでは、倫理委員会というようなお話もありますけれども、この問題についてどういうふうに基本的に取り組んでいらっしゃるのか、あるいは今後取り組んでいこうとなさるのか、その基本的な方針を、まず伺いたいと思います。
  172. 片岡清一

    片岡議員 政治に携わる者は国民から御信託をいただくのですから、その信託にこたえて活動する。そのためには、やはりどこまでも公の立場に立つ者としての倫理を心のもとに持って、基本的な立場に立って仕事に精進しなければならぬ、こういうことは当然のことと思います。  自民党といたしましても、いろいろの問題が起きてきました。これは自民党に限らず、ほかのところでも、そういったようなものがときどき顔を出すということでございます。これは古今東西を通じての権力を持つ者の反省がないと、そういう過ちを犯すおそれが非常に多い、こういうことでございまして、やはり政治に携わる者は常にその点は反省して、そういうことのないようにしなければならぬと思います。  そこで自民党は、御推定いただいておりますように、昨年の党大会において倫理綱領というものをつくりまして、そしてこの中で、非常に古い言葉ではありますが、背私向公という言葉が引かれておるわけでございます。聖徳太子の十七条憲法の言葉でありますが、私に背いて公に向かう、これは常に私を忘れて公のことに一生懸命にならなければならぬという基本精神であろうと思います。これを掲げながら、いろいろの倫理綱領、実践綱領を掲げて、そしてこれを基準、基本にして今後精進していかなければならぬということを各党員の心構えとして示されたわけでございまして、われわれもこれにのっとって一生懸命にがんばっていこうと、一生懸命に努力をいたしておる最中でございます。どうぞよろしく。
  173. 新村勝雄

    ○新村委員 選挙法だけではなくて、すべての政治に対処する心構えは国民本位ということで、ひとつこれから御尽力をいただきたいと思うわけであります。  次に、具体的な点を二、三伺いますが、もうほとんど出尽くした問題でありますけれども、一つは選挙事務所の件であります。この改正案では選挙事務所移動についての制限をかけようということですけれども選挙事務所についての規模等については、午前中わが党の先輩議員からお伺いをしました。もう一つ問題は、選挙事務所の数という問題があるわけです。もちろん、これは一つに決まっておりますけれども、まず部長にお伺いしたいのですけれども選挙事務所を一つに制限をしておりますが、選挙事務所に対する基本的な考え方あるいは選挙事務所の機能、それから選挙事務所制限したその趣旨等について、まず伺いたいと思います。
  174. 大林勝臣

    大林政府委員 選挙事務所の数につきましては、戦後特段の改正は行われておりません。戦前から数が法定をされておりまして、これは当時の中選挙区の現状から一当時の議会で、いろいろ御論議いただいてお決めいただいたものだと思います。現在は同じ選挙区制度をつくっておりますので、従前の数をそのまま今日まで受け継いでおるところでございます。
  175. 新村勝雄

    ○新村委員 選挙事務所は一つに法定をされておるわけでありまして、それにはそれなりの理由があるということでありますが、最近の例を見ますと、各市町村ごとに選挙事務所とほとんど同じような規模の、そしてまた機能も同じようなものができております。私は千葉四区でありますけれども、千葉四区の市町村、村はありませんが、規模がいずれも数十万単位ですから各市に一つぐらいつくりたいところでありましょう。そして各候補者ともほとんど、特に自民党さんは全部の市に本部と同じ程度規模選挙事務所をつくっていらっしゃるわけですね。われわれは、とてもまねができませんから、そうはできませんけれども、こういう実態であります。こういうことを御存じですか。
  176. 片岡清一

    片岡議員 選挙事務所は一人の候補者について一カ所ということになっておりまして、必要があれば、この選挙事務所をどこかへ移すというようなことが行われるわけでございます。そして従来、その選挙事務所の移転が大変頻繁に行われまして、一日のうちに数カ所というような場合が出てきておる。そして、それがいずれも、その移転をした場所皆さんにいわゆる振る舞い酒をして、いかがわしい選挙違反に類するような行為が行われておるということで、これは非常に弊害が出てくるという点をとらえまして、今回この選挙事務所の移転は、多くとも一日に一回、一カ所ということにしようという規制をしたわけでございます。  ただいま先生のおっしゃったのは、そういう正式の選挙事務所でなしに、それに類するようなものが事実上できておるではないか、各市町村ごとにできておるではないかというようなことのお話で御質問であるかと存じますが、これはところによって違うと思いますが、まあそういうことのない候補者の場合も多いと思います。あるいは選挙事務所らしい、またそれに類するようなものが事実上つくられておる、といいますのは、後援会がそれぞれできておる、後援会人たちがその後援会事務所に若干集まってきておるというような場合があるかと存じます。これらの問題は、そこで選挙事務所と同じようなことが行われておるとなれば、やはり違反になると存ずる次第でございまして、そういう点はお互い気をつけておると思いますが、そういう事案がある場合には、これは現に現行法でも当然取り締まられるわけでございますから、そういう点は十分必要によって取り締まる必要があると思います。
  177. 新村勝雄

    ○新村委員 選挙事務所移動制限より、むしろそういう実態を制限することの方が必要だと思いますし、このことは拡販車どころの問題ではないと思うのですね。経費の上からいっても、あるいはまた現在の選挙法を無視して、そういうことがやられておるわけですから、この両面からいっても、これは大きい問題だと思いますので、自民党さんにおかれましても、いやこれは自民党さんだけじゃなくて、われわれ自粛しなくてはいけないのですけれども選挙部の方でも、ひとつその実態を調査をされて、放置しておいていいのかどうか、そこらの点も検討願いたいと思います。  時間がありませんので、あと何点かをまとめて御質問しますのでお答えをいただきたいと思います。  その一つは、テレビ放送の件ですが、これは直接この改正案とは関係ありませんけれども、あの運営、録画の撮り方がきわめてかた苦しいわけであります。ジェスチャーを入れてはいけないとか演説の内容についても不穏当なものはいけないとか、あそこに録画に参りますと非常に煩わしい注意を受けて、そういう非常にうるさい制限のもとに五分間の放映をするということでありまして、自由な気持ちで自由な政見の表現、発表ができないというのが実態でございます。何もあそこで暴力をふるうわけじゃないのですから、もう少し自由に五分間、あるいはもっと長い方がいいのですけれども、たとえば五分間であれば五分間でもいいのですが、あの画面を候補者の自由にフルに使わせる、こういうような運営ができないのかどうか。それが一つです。  それから、それに伴って、どの程度の視聴率が現在あるのか、有権者の関心度がどの程度あるのかというような調査も、ひとつこれは選挙部の方でなさったらどうかと思うわけです。  それからもう一つは、これも改正案には関係ありませんけれども、私、先般ヨーロッパへ参りまして痛切な訴えがあったわけですけれども、在留邦人の選挙権の問題であります。在留邦人は、もちろんすべての点で日本国民の義務を果たしておるわけです。ところが選挙権についてだけは、いま大変な制限を受けておる。制限というのじゃなくて、これは事実上不可能であるということになりますけれども、これでは大変に不公平であるし、国民の最も基本的な権利、参政権を事実上行使不可能にしておるという実態でありますけれども、これについては、ひとつぜひ真剣に御検討をいただいて、参政権を行使できるような道を開いていただきたいわけです。これは自民党さんというよりは、むしろ政府にでしょうか、お願いをしたいわけです。現在の交通至便な条件の中では、世界のどこにいたって、これは参政権行使には事実上支障ないわけでありますから、制度的にひとつ整備をしていただきたいと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  178. 後藤田正晴

    後藤田議員 日本人で海外へ行っている人の選挙権行使の問題、これは実は自民党選挙制度調査会で、奥野さんが会長をやっておったときでしたか、若干論議をしたことがございますので、私から、とりあえずお答えをいたしておきたいと思います。  そういうような次第で、わが党としても放置しているわけではございません。ただ問題は、外国に住んでおる日本人、恐らくいま、これは必ずしも正確でありませんけれども選挙権を与えるとなれば十六万ぐらいじゃないか。その際に、一体選挙区をどう考えるのだ。海外選挙区ということを一つ置くとすれば、やはりこの国会の中に、外国で住んでおる日本人としてのいろんな意見が国会に反映になるということになるかと思いますね。  もう一つは、本人の属する選挙区をどこに決めるか。出発前の住所に決めるのか、それともどこかにまとめるのか、そういう大変厄介な問題が一つございます。  もう一つは、日本の選挙法というのは郵便投票を認めておりませんね。そうすると、これは郵便投票というものを認めざるを得ない。だとすると、それが一体今日のこの国内で行われておる投票方法にどういう影響を及ぼしてくるであろうかといったような問題。  さらには、選挙運動がどういう形になるであろうか。  それから、選挙理事務を一体だれがやるのだ。郵便投票ということになれば、これはこっちへ来るわけですが、海外選挙区とでもいうことになると、これは投票の場所を大使館に決めざるを得ない。そうすると一体大使館にそれだけの、選挙管理を行うだけの能力があるのかといったような、大変実は複雑な問題がございまして、当時たしか自治省にも、これは検討したらどうだということを話したことがありますが、事務当局はきわめて消極的です。とても選挙の公正が担保できない、大変これは厄介な問題だ、こういう議論がはね返ってまいります。  しかし、基本的には、やはり海外在留の日本人にもできるだけ選挙の投票の機会を与えるということは、これはもう基本の考え方ですから、何とかひとつ、そういう点も自治省においても検討してもらいたいというようなことを当時私どもとしても申した記憶がございます。  あとは、この問題については自治省当局からお答えをさしていただきたいと思います。
  179. 片岡清一

    片岡議員 自治省から具体的な問題について答弁してもらいます前に、テレビの、現在やっておりますのはどうも窮屈で、何か、もっと自由濶達にやれぬものかというような点の御意見でございます。  実は、わが自由民主党においても調査会でいろいろこの問題を検討いたしまして、報道関係、テレビ会社の関係皆さん方にもおいでいただいて、もっと自由に討論式にやったらどうかとかいうような点について、いろいろ検討をいたしたのでございますが、現在の、テレビ番組を組んでたくさんの人の意見を公正に公平に選挙民に流すということをたてまえにしてやるということになると、番組のつくり方も大変むずかしい、なかなか困難であるという結論になりまして、やはり当分、いまのようなやり方よりも、どうもよい方法がないなということになって、この改正については一応見送った次第でございます。しかし、皆様方の御意見等がございますれば、何かまたいい方法があれば考えていくことは必要なことと存じます。  なお、視聴率その他具体的な問題については自治省から答えてもらいます。
  180. 大林勝臣

    大林政府委員 テレビの効果というのは非常に大きゅうございまして、選挙のたびに政見放送の視聴率、これは放送局がとっておりますし、また私ども選挙後いろいろ調査をいたします世論調査の中でも、候補者の判断を決める際のテレビの占める率というのは非常に大きくなっております、ただいま資料を持っておりませんので具体的な数字を申し上げかねるわけでございますけれども。  それから政見放送がいかにもかた苦しい、変化がない、こういう御批判を私どもは前々から承っておるわけでございまして、昭和四十四年でございましたか、初めて政見放送をテレビで行いました際に、放送局と、その時点においてもいろいろ相談をしたわけでございますが、もうその後十数年たっております。再び同じような研究を私どもと放送局の間で、現在もなおやっておるわけでありますが、放送局の方で、何と申しますか、先ほど来お答えがございましたような公平、平等ということにこだわり過ぎて余りにも画面がかたくなるということも十分認識をされておるわけであります。  ただ問題は、やってみないとわからないわけでありますけれども、衆議院でございますと九百人以上の候補者がお出になる、その中でいろいろな方がございます。まともに政見放送ということで放送をしていただく方もあれば、必ずしもそうでない、いわゆる放送局泣かせというような方もございまして、テレビ局では非常に頭痛はち巻きの状態であることは、また間違いないところであります。そういうところで、できるだけ自由に画面にニュアンスをつけて、していただくということになりました場合に、どんなことになるかということも、また放送局がいろいろ検討をしておることでございまして、引き続き検討課題と心得させていただきたいと思います。  最後の外国の在留邦人の選挙権につきましても、実はこれは長年の課題で申しわけないわけでありますけれども、先ほど後藤田先生の方から具体的ないろいろな問題点を指摘されましたが、事務的にも私ども、そのすべてが実は現在なおかつ問題点と心得ておりまして、外務省ともいろいろ相談をしながら、何かいい方法がないだろうかという研究を続けておりまして、これも引き続き重要な検討課題と心得ております。
  181. 新村勝雄

    ○新村委員 在留邦人の数は、これからますますふえる傾向にあると思いますし、いまの御答弁でも絶対不可能というふうな感じは受けないわけでありまして、ぜひ御検討いただきたい。  それからまたテレビ放送にしても、少なくとも五分間、画面を自由に使わせるという程度の自由は与えていただいた方がいいのじゃないか。細かい注意なり、これはやっちゃいかぬとか、あれはやっちゃいかぬとかいうことは、これはない方がいいのじゃないか、この点もひとつ御検討いただきたいわけです。  時間が参りましたので、最後に一つだけ、はっきりとした統一見解といいますか、まとめの御答弁をいただきたいのですが、今回の改正に関連してマイクについての議論が大分ございました。そこで最終的に、この改正によってマイクの使用、スピーカーの使用がどういうふうに規制されるのか、それをまとめの意味で簡潔に正確にお答えをいただきたい。
  182. 後藤田正晴

    後藤田議員 午前中に、これは安藤先生のときの御質問にもあったのじゃないかと思いますし、佐藤先生からも御質疑があり、いままた御質問がございましたので、正確にお答えをいたしておきたいと思います。  一つ、政治活動を行わない団体であれば今回の改正は関係がございません。  二つ目、「政治活動を行う団体」で確認団体でないものについては、今回の改正により政策の普及宣伝のためのマイクの使用が禁止されるが、政策の普及宣伝は、ほとんどの場合、政談演説会、街頭政談演説の形で行われると思うが、これらに当たれば、マイクの使用のいかんにかかわらず現行法でそのこと自体がすでに禁止をされておりまするので、この点についても従来の扱いと変わりはございません。  政談演説会、街頭政談演説に当たらない政策の普及宣伝方法としては、街頭あるいは路地裏における機関紙等の販売という形で行われており、しかもその際、選挙運動まがいの呼びかけが行われているのが現実の姿であり、選挙の公正を害すると同時に、騒音公害とも言われておる現状にかんがみ、今回新たに、これらの行為をも規制の対象として取り上げられることとしたものでございます。したがって、従来適法に行われていた集会が今回の改正により制約されることになるものではございません。  以上でございます。
  183. 新村勝雄

    ○新村委員 終わります。
  184. 塩崎潤

    塩崎委員 この際、理事会を開いていただくようお願いいたします。
  185. 久野忠治

    久野委員長 ただいま塩崎君から、理事会を開けという御要請でございます。  このままの形で理事皆さんにちょっと御協議をいただきたいと思いますので、どうかお集まりをいただきたいと存じます。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  186. 久野忠治

    久野委員長 速記を始めてください。  お諮りいたします。  ただいまの理事各位との協議によりまして、本案についての質疑はこれにて終局したといたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり〕
  187. 久野忠治

    久野委員長 それでは、やむを得ず賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  188. 久野忠治

    久野委員長 起立多数。よって、本案についての質疑は終局いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会