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1981-05-13 第94回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月十三日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 斎藤  実君    理事 浜野  剛君 理事 水平 豊彦君    理事 安田 貴六君 理事 永井 孝信君    理事 草川 昭三君 理事 玉置 一弥君       阿部 文男君    浦野 烋興君       鹿野 道彦君    関谷 勝嗣君       玉生 孝久君    中西 啓介君       新盛 辰雄君    米田 東吾君       三浦  隆君    中路 雅弘君       伊藤 公介君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      仲山 順一君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     松尾 直良君         厚生省社会局生         活課長     山口 剛彦君         参  考  人         (保険審議会会         長)      林  修三君         参  考  人         (社団法人日本         損害保険協会会         長)      平田 秋夫君         参  考  人         (全国労働者自         動車共済生活協         同組合連合会専         務理事)    細江 貞助君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 五月七日  交通安全施策の改善に関する請願(河上民雄君  紹介)(第三七四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件(自動車保険に関する  問題)      ————◇—————
  2. 斎藤実

    斎藤委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  本日は、自動車保険に関する問題について、参考人として保険審議会会長林修三君、社団法人日本損害保険協会会長平田秋夫君及び全国労働者自動車共済生活協同組合連合会専務理事細江貞助君に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。御承知のとおり、交通事故による死傷者は昨年一年間で六十万人余に及び、憂慮すべき事態となっております。かかる事態に伴い、社会的要請から自動車保険に対する関心と期待が高まっております。本日は、それぞれのお立場から、自動車保険に関する問題につきまして、忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。  なお、参考人の御意見質疑応答の形式でお聞きすることといたします。  これより質疑を行います。  この際、委員各位に申し上げます。林参考人は、所用のため正午に退席されますので御了承願います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。阿部文男君。
  3. 阿部文男

    阿部(文)委員 本日は、各参考人の方々には、大変お忙しいところにもかかわらず、わざわざ御出席いただきまして、厚く御礼を申し上げます。  私に割り当てられました時間が大変短いので、先に簡単に質問を申しますので、お答えもなるべく簡明にお願い申し上げたいと存じます。  最初に、林参考人に一点のみお伺いをいたします。保険事業については、その社会性公共性にかんがみ厳しい法的規制が行われておりますが、同種の事業を行っている共済、とりわけ任意共済と言われるものに対しては全く法的措置がとり行われていないのであります。たとえばこれらの共済事業のうち、自動車共済のように共済組合員保護のみでなく被害者第三者として関係してくるようなものについては、いわゆる被害者保護等観点から、保険事業と同様の法的規制が行われるよう法体系を整備すべきと考えますが、この点について林参考人の御意見をお聞かせ願いたいと存ずる次第でございます。
  4. 林修三

    林参考人 お答えいたします。  ただいま阿部先生からお話がございましたとおりに、損害保険事業共済事業、特にいわゆる任意共済と言われるものは、経済的、社会的には同じような役目をしていることはおっしゃるとおりでございます。ところが、御承知のようにこれは制度基盤が違いまして、損害保険事業につきましては、契約そのものについては商法に保険に関する規定がございますし、それから事業者がやります場合のいろいろの規制につきましては、保険業法に基づいて非常に厳しい監督あるいは規制が行われておるわけでございます。これはいろいろ社会的に国民生活に及ぼす影響が非常に大きいところがございますので、そういう法的規制があることだと思っております。  ところで、この任意共済でございますが、御承知のようにこれはいろいろな協同組合法農業協同組合法とか消費生活協同組合法というような各種協同組合法あるいは労働組合法、いろいろな法律に基づいて、いわゆるそれらの組合の行います一種の共済事業として行われてきておるわけでございます。これは戦後の社会状況の過程である程度は必然的に発生してきたものだと思うのです。  それで実際やっておりますことは、この共済事業は、特に損害関係のいまお話しの自動車共済などは、自動車保険と実に似たような作用をしております。しかし、その法的な基盤が違いますので、それに対する監督規制が全く違うような体系になっておりまして、いまの各種協同組合法には監督官庁がございまして、それぞれ若干の監督をやっておるはずでございますが、それは保険事業に比べるとちょっと比べものにならないような形でございます。いまおっしゃいますとおりに、ことに自動車共済などは被害者等第三者に非常な影響のあるものでございますから、やはり共済加入した者による損害のあった場合の損害金支払い等担保される必要があるわけで、これについては、本質的には保険事業に似たような監督規制が必要なものであろうと私は思います。ただ、その監督を行います役所をどうするかは、これまたそれぞれ別個のいろいろな問題がございます。それぞれの根拠になっております法律所管官庁もございますし、そこらをどうするかという問題はかねてあるわけでございますが、いまおっしゃいますとおりに、監督については、共済事業そのものは性質的にはいわゆる組合員とか会員相互扶助基盤とするものでありまして、損害保険とは法律的な性質は違うものでございますけれども経済的作用社会的作用は非常に類似しておりますので、これはやはり監督規制規定を相当整備する必要があると私は考えております。  これはかねて、たとえば私もつい最近まで行政監理委員会委員をしておりましたけれども行政管理庁あたりでもこの共済事業についての若干の監査を行いまして、どうも監督規定が不備ではないかというようなことを指摘しております。おっしゃるとおりに、その点は問題だろうと思っております。
  5. 阿部文男

    阿部(文)委員 次に、平田参考人に三点お伺いいたしたいと思います。時間の関係で先に三項目を一括質問いたしますので、答弁も一括お願いします。  第一点は、交通事故昭和四十六年以降減少しておりますが、近年また増加する傾向にあって、車社会国民免許時代を迎え、交通事故防止対策は当面の急務とされております。また、不幸にして事故に遭われた被害者救済対策急務であります。自動車保険は現代の車社会において交通事故被害者救済制度としては不可欠なものであり、自賠責保険制度とあわせて社会的役割りも非常に重いと言えるもので、自動車保険事業を営む損保業界としての基本的な姿勢についてまずお伺いしたいと思うのであります。  第二点として、最近マスコミが取り上げたことを契機として、損保業界自動車共済とが比較され、世間の耳目を集めております。交通事故被害者救済する制度として、保険事業のほかに各種共済組合が行っております自動車共済は、損害保険会社とは法律根拠あるいは事業形態も異なっておりますが、損保事業共済事業あり方について、平田参考人の率直な御意見を伺いたいと思うのであります。  第三番目は、示談代行の問題であります。自動車事故解決に当たっては自動車保険示談代行を行う制度が設けられていると聞いておりますが、これは加害者事故解決するに当たりすべてを保険会社に任せて、事故道義的責任さえも果たさないとの声も聞かれるのであります。このことは一種の社会悪の助長にもつながる危険もあります。この示談代行に対して、業界としてはどのような取り組み方をしておられるのかお伺いしたいのであります。
  6. 平田秋夫

    平田参考人 お答えいたします。  まず第一点の、自動車保険損保の基本的な取り組み姿勢についてでございますが、損害保険業界では、現在細かいものも含めますと、百以上の損害保険種目を取り扱っておりますけれども、その中で自動車保険は、交通戦争と言われる大きな社会問題と直結する最も社会公共性の強い保険種目でございます。したがいまして、私どもは、加害者が十分な賠償資力を備えることによりまして被害者救済を図る観点から、自動車保険普及促進こそ業界最大の責務であると認識をいたしまして、長年にわたって努力を続けてきておる次第でございます。また、自動車保険自動車損害賠償責任保険を合わせますと総収入保険料の約半分を占めるに至っておりまして、損害保険経営観点からも、その健全な発展を目指すことは重要な問題であると考えておる次第でございます。  そこで、私ども自動車保険運営に当たりまして常々心がけております三点を申し上げたいと存じます。  まず第一点は、お客のニーズを的確にとらえて、内容のすぐれたわかりやすい保険をお客様に提供することであります。  第二は、保険料をより低廉にかつ公平に提供できるよう努めることであります。  第三は、万一事故発生した場合は、契約者被害者双方が納得した円満な解決早期に図れるような十分な事故処理体制を確立することであります。  以上申し述べました三点を基本姿勢といたしまして今後も鋭意努力を重ねまして、社会公共のお役に立つ自動車保険運営を図ってまいりたいと存ずる次第でございます。  次に、第二点でございますが、損保共済あり方について御質問がございましたが、共済事業は、その構成員相互扶助本旨としてすでに社会になじんでいる制度と考えております。したがいまして、その本旨にのっとり健全な経営が行われている限り、社会的にも有益な事業と存ずる次第でございます。損害保険事業とは事業形態事業内容を異にしておると認識をいたしておりますが、契約者保護被害者救済及びモラルリスク防止等双方共通課題であると存じますので、これらの課題に対しましてさらに積極的にそれぞれが努力していかなければならないと考える次第でございます。  第三点の示談代行に関する点でございますが、示談代行と申しますのは、交通事故が起きた場合に、契約者からの申し出があり、被害者の了承が得られれば、保険責任額の範囲におきまして、契約者にかわって保険会社が直接被害者交通事故により生じた損害とその支払いについて御相談をし、解決に当たることを保険会社に義務づけている制度でございます。  御承知のように、交通事故を起こしますと加害者被害者双方話し合いだけではなかなか早期かつ円満な解決が図れない場合がございます。したがいまして、保険会社が直接被害者の方と話し合い被害者の要求も十分に聞き、適正な損害額を算出し、円満な解決を図ってほしいとの要望が強く、昭和四十九年三月、対人事故示談代行制度を組み込んだ自動車保険を発売したわけでございます。もちろんこの制度を発足させるに当たりましては、被害者の方に不利になることがないようにいろいろ研究をいたしました。  その第一は、被害者保険会社に対する直接請求権の導入でございます。たとえば、加害者が不誠実で交渉に応じない場合、加害者損害賠償請求権を行使しない旨の書面による承諾がなされたとき、あるいは加害者またはその相続人の破産したとき、または加害者が生死不明のとき、あるいは加害者が死亡し、かつその相続人がいないとき、このような場合には、被害者が直接保険会社損害賠償額支払い請求ができる道を開いてきたわけでございます。  第二は、全社統一支払い基準設定でございます。裁判判例動向等参考にいたしまして、会社によりまして被害者への賠償額に差が出ないよう全社統一支払い基準設定をいたしております。  第三は、財団法人交通事故紛争処理センターの設置であります。被害者が万一保険会社との話し合い賠償額等に不満がある場合は、このセンター申し出ていただくことによりまして、解決のために相談、和解のあっせん、裁定等を受けられることになっております。  現在では、示談代行制度を取り入れている自家用自動車保険契約件数は千七百八十七万台でございまして、全自動車保険契約件数の七八%を占めるほどになりまして大変好評を得ている次第でございます。また、賠償問題の解決保険金支払いがこの制度を設ける前に比較いたしまして早まってきておりまして、被害者救済の実が上がっていることも喜ばしいことであると考えております。ただし、御指摘のように、ごく一部には道義的責任さえも果たさない加害者がいることは遺憾に存ずる次第でございます。何しろ対人賠償事故支払いは年間二十二万件にも達しておりまして、この種の加害者はごく一部にすぎないのでありますが、契約の際、万一事故を起こした場合は、被害者に対する加害者の当然の道義的行為として、保険契約者または被保険者に通夜、葬儀への参列、被害者への見舞いなど、社会的儀礼を尽くすように注意を喚起いたしまして、また被害者との話し合いに当たりましては協力を呼びかけるとともに、解決最終段階には必ず同席を求めるようにと協会より業界内に徹底を図っておる次第でございますが、今後もさらに厳重にこの点につきましては指導していきたいと存ずる次第でございます。
  7. 阿部文男

    阿部(文)委員 次に、細江参考人に三点お伺いいたします。  その第一点は、各種共済事業発展は目覚ましいものがあり、それなりに貢献されておられることに敬意を表するものでありますが、自動車共済については、損保業界のように法的規制もなく、自主的な運営に任されているのが実態であると理解しておりますが、その契約については、被害者救済観点より、担保内容、それから事故時の対応等加入者に面接し、十分説明を行うことがきわめて重要なことと思われますが、募集従事者に対する実際の教育について具体的にどのように行われておりますか、まずこの点をお伺いしたいのであります。  次に第二点として、共済事業組合員最大奉仕をすることを目的とし、組合員相互間で特定の者がこうむった損害組合員全員で負担し合うことを本旨とする共済制度でありますが、交通事故被害者という第三者救済加入者保護の面についても十分な配慮がなされなければならないと思うのであります。こうした観点から貴自動車共済が行っております現行の料率責任準備金で将来担保能力が完全に保証されるかどうか、それが被害者救済の欠如に流れるようなことがないのか、私は老婆心ながらこのことについてもお伺いいたしたいと思うのであります。  最後に第三点として、自動車共済においても保険同様事故が起きた場合の事故処理サービスが不可欠でありますが、その事故査定体制について、また加害者が不誠実で示談に応じない場合や行方不明等示談ができない場合、被害者が直接請求できないと聞いておりますが、対人事故対物事故等について具体的な処理方法についてお伺いしたいのであります。
  8. 細江貞助

    細江参考人 細江でございます。  私ども法人は、昭和二十三年に制定されました消費生活協同組合法によって厚生大臣認可を受けて厳しい指導監督を受けながら運営をいたしておりますから、保険業法によって大蔵省監督を受けておられる保険会社と何ら変わりはないと思います。たとえば事業規約を制定する場合にいたしましても、その共済契約限度額についてそれだけの担保能力があるか、裏づけとしての内部留保の資金についての一定の基準があります。その基準となる裏づけがなければ認可をされません。そういう意味では、いま御指摘のような自由奔放な運営はいたしておりません。さらに、おととしの行政管理庁調査以来さらにその監督が厳しくなっておりますから、そういう事実はございませんので誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。  それから、募集者教育の問題でありますが、私どもの運動は法人として組織的に運営をいたしております。会員のそれぞれの職場には共済担当者というのがいるわけです。これは仕事の傍らに組合員のためにそうした便宜を図っておりますが、年に何回かそういう担当者を集めまして制度の詳しい説明を行い、そして後日誤解のないように説明をいたしております。特に私どもの場合には、この加入を取り扱う人が事故を起こした組合員に対して後の事故処理にも直ちに結びつくわけです。ですから、加入時点で適当な説明をしておりますと、事故発生をしてからそこで事実がばれますから、そういう適当な宣伝はできませんので、その辺は厳しく取り扱いをいたしております。  それから、いま御心配になっております被害者保護、この考え方は全く損保と同様であります。いままで他の共済事業の場合には組合員相互相互扶助でありますが、自動車共済を取り上げました理由というのは、すでに一般共済事業の場合には二十数年の歴史があります。自動車共済はようやく六年半であります。なぜおくれておるかといいますと、二十数年前には労働者生活の中に自動車は普及しておりません。最近自動車が普及してまいりまして、当然労働者が持つ自動車事故を起こします。そういう場合に労働者社会的責任を負うためにはその賠償責任、公正妥当な賠償を支払うだけの資力準備するという社会的なモラルを確立する必要がある、続いてその賠償金を支払うために労働者生活を破綻させてはならない、両面からこの共済制度を取り上げたわけでありまして、その被害者優先という考え方には全く保険と同様の趣旨のもとにこれを設定し、運営をいたしております。  それから、いま御心配になっておりますような事故調査あるいは示談に応じない不誠意加害者とかあるいは行方不明の加害者、そういう事実はございません。なぜかといいますと、それは組織をもって加入させておりまして、不特定多数のそういう人を対象にいたしておりませんから、その意味では身元がはっきりしておりますし、常に組織責任を負っています。  それから、示談代行の問題でありますが、これは中身についてもう少し詳しくお調べになる必要があると思いますが、表面的な示談代行というのは無条件でされておるわけじゃありません。そこには条件と制約があります。でありますから、私ども制度の中には示談代行という制度は設けておりませんけれども事故発生をしますと査定専門員が直ちに現地へ駆けつけまして事故の状態を調査をしその過失割合について十分調査をする、さらには損害程度について調査をしまして双方の円滑な示談が成立するように援助をしておるわけです。なおその間には、たとえば病院に長期入院しておるその加害者療養費支払いができない、そういう場合には自賠責の分も含めまして私の方で一時払いあるいは立てかえ払い、一括払い、そうした方法をとっておりますから、被害者に御不自由を与えておる事実はないと確信いたしております。  それから、担保能力の問題でございますが、ここに昨年の十一月の総代会の資料の貸借対照表がございますが、この時点ですでに出資金を八億二千八百七十四万円、その後三千万円ふえておりますから八億五千万円です。ですから、この種の団体で六年半くらいの経過の中で約九億近い出資金を積み立てておる、さらには異常保険準備金としては六億一千万円積み立てておりますし、法定積立金は三億八百万円積み立てております。そういう意味では、まだわずか六年半の事業経験でありますが、決して遜色のない、裏づけとしての準備は確立いたしておると確信いたしております。  以上でございます。
  9. 阿部文男

    阿部(文)委員 きょう厚生省からお見えになっておる——それじゃこの機会に厚生省の御意見を伺っておきたいと思います。  ただいま細江参考人からお答えになりました自動車共済における事故査定体制について、対人事故対物事故等の具体的な処理方法について監督官庁立場にあります厚生省としてはどのように指導されておりますか。このことについてもお聞かせを願いたいと思うわけでございます。
  10. 山口剛彦

    山口説明員 先ほど来お話がございましたように、消費生活協同組合組合員皆さんの自発的な協同組織体でございますし、組合員最大奉仕をすることを目的にしておりますので、私どもといたしましては組合員による自主的な運営というものに大きな期待をかけておるわけでございます。しかし、自動車共済事業組合員保護のみならず被害者救済という社会的にも非常に影響の大きな事業でございますので、従来からそういった点に配慮をいたしまして、御指摘がございました料率設定ですとか責任準備金等の許認可に当たりましては厳正なチェックをしてまいっております。ただいま御指摘のございました事故が起きました後の処理体制あるいは査定体制の充実ということにつきましても、その都度私ども立場組合を指導してまいってきておるところでございますけれども、大変重要な大きな事業でございますので、今後とも御指摘を踏まえまして消費生活協同組合が十分にその社会的な使命を果たせるように、私どもといたしましても指導監督に万全を期していきたいというふうに考えております。
  11. 阿部文男

    阿部(文)委員 以上で私の質問を終わります。いろいろありがとうございました。
  12. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、新盛辰雄君。
  13. 新盛辰雄

    新盛委員 参考人皆さんには、自動車保険共済ともにこれからの自動車社会において大変御苦労いただいております。また本日は、この種の問題について国会の中で参考意見を述べていただくことに対して深く敬意を表します。  実は、四月二十二日に私の方から、大蔵省関係におきまして若干この種の問題について質問を行い、内容的にもその回答をいただいたのでありますが、この四月二十二日の委員会示談代行の問題で、保険会社がすべて処理してくれるということで加害者責任がきわめて希薄になっているのじゃないか、あるいはモラルが低下しているということを申し上げたのでありますが、このことについて松尾説明員の方からお答えがございました。加害者十分誠意を示すように損保を通じて指導しているということでございました。現実、その後いろいろと私どももそれぞれの事業内容に深く立ち入ってみますと、ほとんど加害者自体保険会社に任せている。任された保険会社は一方的に損害額を算定してこれでイエスかノーかというような、加害者の納得が得られないので、あるいは訴訟でも何でもやってもらえばいいじゃないかというような、極端な一方的なやり方で加害者に対応されている向きもあるわけです。こうした一般的な最近の傾向を見まして、専門的な知識のない代理店肩がわりをさせているという事実は募取法にも触れるのじゃないかとか、あるいは保険業法あるいは弁護士法、そうしたものにもこの種の扱いについては触れているのじゃないか。だから、このことについて監督官庁として具体的に、ただ加害者皆さんに対するモラルの問題だけを問うのじゃなくて、内容的にどうなのか、あるべき姿、これはこれからの行政指導としてどうお考えなのかを、まずもう一回お聞かせいただきたいと思うのです。
  14. 松尾直良

    松尾説明員 四月二十二日にもいろいろお答え申し上げましたが、時間も限られておりましたので必ずしも十分な御説明ではなかったかと存じますので、改めてこの問題についての当局の考え方を申し上げたいと存じます。  示談代行という制度がどうして導入されたかということは、前回も若干申し上げましたように、交通事故が非常にふえてきて年間何十万件、そういう中で被害者救済という点から申しますと、この保険は結局賠償責任保険でございますので、その前提として損害賠償額というものが早期に適正な額で確定するということが必要なわけでございます。これは欧米の社会と日本の社会と、いろいろ歴史あるいは社会の風土が違っておりますので、今日欧米の社会では加害者被害者が直接話し合うまでもなく、双方保険会社同士で金額が直ちに算出されるとかそういったことが長年にわたって確立しておるように聞いておるのでありますが、日本の場合には欧米と違ってそういう権利社会的な風土でございませんので、こういう事故がございますと加害者被害者の間でなかなか話が進まない、そういうことによって結果的に被害者救済が時間的におくれるということにもなりかねない、あるいは加害者の側に立った方も専門的知識がないために自分の負担を少しでも小さくしたいということでなかなか示談が進まない、こういった要素がございまして、そこへ専門的な知識を持った者が助言することによってこういう損害賠償額というものを早期に確定する、それがひいては被害者救済にもつながる、こういう趣旨から導入をされたわけでございます。したがいまして、私ども、この制度自体は望ましい制度であってそれが今後ますます定着していくことが望ましいと考えておるわけでございますが、御指摘になりました問題は、一つは加害者が道義的な責任を全く感じないで保険会社任せにしておるではないかという道義的な問題それから損害保険会社の社員が示談代行を行うことによって被害者が不当な圧迫を受けておるのではないかということであろうかと思うのであります。  第一の点につきましては、前回もお答え申し上げましたように、損害保険協会を通じましてそういうことのないように、つまり示談代行というものはそういう損害賠償額を確定するための代行制度であって、道義的な責任、道義的な部面についてまで代行できる性格のものではないということを、趣旨を十分徹底するように指導してきておりますし、御指摘のように中にはそういうことでない人間がまだいるというお話でございますが、今後ともそういうことのないようにこれは指導してまいりたいと思うのでございます。  それから次の問題でございますが、こういう制度があるために被害者が非常に泣かされているのじゃないかという御指摘ではないかと思うのでございますが、この損害賠償額の決定というのは大変にむずかしい問題、つまり両方の当事者それぞれの言い分が通常なかなか同じ方向に行かないと申しますか、どうしても相対立する、たとえば事実関係一つをとりましてもかなり見解が違うというようなことがあるわけでございます。そういう点から支払い基準、査定基準というものを設けまして、同一損害には同一の補償が働くような基準を設けておりまして、これによって示談代行と申しますか損害額の確定をしていくということをいたしておるわけでございます。示談代行契約者にかわりまして被害者と折衝に当たる人間がこの査定基準を無視するというようなことはないと確信いたしております。また、そういう適正な査定が行われるように私ども業界を通じて常日ごろ指導をしておるわけでございます。  それから、損害保険会社あるいは代理店に対する定期的な検査というような機会におきまして法律違反等の事実がないかどうかということは十分に検査をいたしておるわけでございまして、現在募取法に触れるとか保険業法に触れるとかいうような事例は承知しておりませんが、仮にそういう事例があればそういう検査の際に指摘をするということになろうかと存ずる次第でございまして、いずれにいたしましても、この制度が円滑にかつ本来の目的でございます被害者救済という点でよりよく機能するように今後とも指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 新盛辰雄

    新盛委員 ただいまの大蔵省のそういう監督官庁としての指導のあり方を踏まえまして、損保協会平田参考人、このことについて協会としてはどういう御見解を持っておられますか。時間がないものですから、簡潔に要領よくお答えいただきたいと思うのです。
  16. 平田秋夫

    平田参考人 ただいま先生から御指摘がございました示談代行保険加害者責任を希薄にしているのではないかという点でございますが、業界といたしましては、契約をするときと事故通知の受け付けをするときに、被害者に対する謝罪はもちろんのこと、見舞いあるいは通夜、葬儀の参列等加害者としての社会的儀礼は十分尽くすように強力に契約者を指導いたしておるわけでございます。実際にはほとんどの契約者、いわゆる加害者でございますが、きちっと道義的責任を果たしまして、誠意ある態度で円満な解決が図られているのがほとんどでございますけれども、ごく一部に先生のおっしゃいましたような例のあることも事実でございます。しかしながら、全般としては御指摘のような示談代行があるために道義的責任が希薄になることを助長するというような状況にはないというふうに考えておる次第でございます。  それから、第二の点でございますけれども業界が設けております支払い基準を適用いたしまして算定いたしました損害額根拠を詳しく説明いたしまして、納得が得られるように努めておるわけでございます。業界といたしましては、この支払い基準は裁判によらない示談ベースのものとして被害者救済するのに十分な水準を確保しておるものと考えておりまして、話し合いを深めることによりまして必ず円満な了解が得られるものと考えておる次第でございます。  なお、先ほど申しましたように、どうしても被害者の方が保険会社の提示する金額で納得が得られないという場合には、先ほど申しました財団法人交通事故紛争処理センター申し出て裁定を受けるという道も開かれておるわけでございます。
  17. 新盛辰雄

    新盛委員 自動車共済連の細江参考人にお伺いしたいと思うのですが、損保会社の宣伝ビラなどをよく拝見するのですけれども、商品内容損保と比較をして大変劣っているのじゃないかという中で、共済のウイークポイントと言えばいわゆる査定体制であるのだという中で、特にこの全労済の示談代行保険という関係では契約者示談のやり方を説明するだけで介入しないというふうに言われているのですが、それでは行き届いたサービスがないじゃないか、こういう一面に私どもも気づくのですけれども、その事実はどうなんでしょうか。
  18. 細江貞助

    細江参考人 自動車共済連の制度示談代行がないのは欠陥商品だという中傷を私も耳にしておりますが、それは事実に当たらない中傷である。といいますのは、なぜ私ども示談代行という制度を取り入れていないかという理由でありますが、この示談代行という言葉自身、私自身は好まないのです。なぜかと言えば、加害者被害者というのは当事者として誠意をもって事故解決賠償金支払いに当たる、これが社会モラルの常識だと思うのです。それを会社なり組合なりが代行するということは、そこに加害者誠意なり被害者の気持ちなりが損なわれていく危険性があると思います。  いま先生が御指摘のように、私ども事故発生をいたしますと、直ちに査定専門員が現場へ駆けつけまして現地調査をします。被害者意見も聞きます。加害者意見も聞きまして、そこに過失割合の状態等について常識的な判断をいたします。最近の傾向といたしまして、交通事故に対するいろいろ賠償金請求のあんちょこが出てまして、こういうあんちょこには最高の基準が書いてあるわけです。そうすると大概の被害者というのはその最高の賠償金額の基準が自分に該当するという主張をされます。そこで問題の解決がおくれる。  それから、賠償金というものは、どういう過失割合なりどういう査定基準によって支払われるかという常識的な一般の知識がありませんから、自己の主張だけをするというのが実態です。そういう場合に、専門的な査定専門員が常識的に説明をし、時間をかけて双方を説得、納得させる、このような行為をやっておるわけです。  でありますから、私ども示談に立ち会うという行為については、それを一つの商品化をして料率計算の中に織り込むべきではなくて、現在の制度の中でサービスとしてそれは当然含まれておる業務である、そのように判断をいたしております。  以上です。
  19. 新盛辰雄

    新盛委員 次に、これも当委員会におきまして私の方から問題提起をしたのでありますが、保険共済の純率の統一問題について保険審議会の林参考人にお伺いしたいと思うのでありますが、先ほど御説明もございましたように、自動車保険自動車共済は、その目的はもちろん事故による損害賠償責任をカバーするという仕組みを基本にしているわけでありますが、内容的に言えば、似てはいるけれども、ある意味では監督業務の面で少し自動車共済の方に有利なのじゃないかというお話もございました。しかし、保険で言う純保険料共済で言う純掛金はある意味では理論的に一致するのじゃないか。したがって、これは両者が統一をして、付加率の面で競争し合うということがきわめてユーザーのニーズにこたえられるのじゃないかというふうに思うのですけれども、どういうお考えでしょうか。
  20. 林修三

    林参考人 いまの新盛先生のお尋ねでございますが、共済事業保険事業は、先ほど申しましたように、その果たしております経済的、社会的作用には非常に似た点がございまして、自動車事故に対して負うべき損害賠償責任担保するという意味においては非常に似たような点がございますけれども、それぞれの事業の法的な基盤は違うわけでございまして、損害保険事業は一般公衆を相手としてこの商品を売ってその契約をしておるわけでございまじて、不特定多数の者がこの保険集団に入っておるわけでございます。  これに対しまして共済事業の方は、これはやはり一定の、たとえば自動車共済連で言えば消費生活協同組合法に基づく協同組合でございますから、その組合組合員のための一つのサービスとしての相互扶助事業としての共済事業をやっているわけでございます。相手方は相当多数ではございますが、おのずから特定な範囲でございます。実際上員外利用というものがあるかどうか私は存じませんけれども、これも法的には制限されているわけでございます。したがって、これは特定多数の集団でございます。  したがいまして、その性質によって、たとえば保険数理によって純粋保険料あるいはいまの純率的なものをはじき出すにいたしましても、対象となるべき集団が違いますし、そこの危険の発生度合いも違うわけでございまして、これは必ずしも同じことにはならないのじゃないか、私はそう思うのでございます。つまり保険の方は不特定多数の一般の大衆でございますから、相当広い範囲でこの危険の発生度合い、その中にはいろいろな自動車の運転についての相当未熟な者ももちろん入っておるわけで、これに対して共済連の方は労働組合員消費生活協同組合員でございますからある程度その範囲は特定されておるわけで、したがって危険発生度についても相当差があると考えていいと私は思うのです。したがいまして、純率が必ずしも同一にはならない、これはどうもやむを得ないことじゃないかと考えるわけでございます。  それから、付加保険料は、付加率の方は、これはそれぞれの募集のやり方が違いますし、またおのずから違ってくるのも当然だろうと思いますが、これは必ずしも両方は一致しない。純率は同じで付加率だけで競争すべきだという命題は必ずしも成り立たない、そういうふうに私は思っております。
  21. 新盛辰雄

    新盛委員 このことについて損保協会平田参考人の方に続いた方がいいのでしょうけれども、ここで自動車共済連の細江参考人の方はこのことについてどういうふうにお考えでしょうか。
  22. 細江貞助

    細江参考人 いま御指摘のように、料率について、その中の純掛金部分ですね、これを統一するということは私は大変好ましいことだと思うのです。私の方は異存ございません。なぜかと言えば、自動車保険自動車共済も、大切なのは、被害者救済という趣旨を生かすためには、現在自賠責保険以外に任意の保険なり共済に入っていない無保険車、無共済車が大変あることです。そういう車ほど大きな事故を起こして被害者に対する賠償支払いが十分行われていない。これがやはり交通遺児を生んでおる悲惨な状態だと思うのです。そこでそういう保険に入ってない、共済に入ってない無共済車、無保険車をなくするためには、なるたけ安い掛金で任意の保険なり共済加入できるということが一つの条件であろうと思います。そういう意味からいきましてもこれは大切だということが一つ。  私は決して共済だから安くできる、リスクが低いということにはならない。と申しますのは、私ども契約者は確かに組織組合員です。その組合員だけが車を運転するのじゃなくて、組合員の被共済者家族が車を運転する場合も共済を提供しておるわけです。家族の大部分、特に若い青年層の子弟の場合は一般の民間会社に多くが働いています。ですから、一般的に不特定多数と言われる保険の対象となっておるそういう人たちが私ども組合員の被共済者としてこの共済の適用下に入っているわけですから、コストもリスクも決して私どもの方が特に有利な条件にある、そういうことには特別ならないと私は判断をいたしております。
  23. 新盛辰雄

    新盛委員 損保協会平田参考人にお尋ねしますけれども、ただいまの細江参考人の積極的な御意見がございました。共済側の考えはいまおっしゃいましたように非常に前向きでございますけれども、あなたの方はこれに同意できますか、どうですか。
  24. 平田秋夫

    平田参考人 いま純率の点についてでございますが、実は純率につきましては自動車保険料率算定会の所管でございまして、私からここでお答えする立場にはないわけでございます。しかしながら、一般論として申し上げますけれども保険理論といたしまして、危険集団が全く同じであれば理論的には純率も同じになるということが言えると思います。ただ、危険集団と申しましても、損保はただいまお話がございましたように不特定多数の契約を取り扱っておりますのに対しまして、共済のことは私はよく存じませんけれども、比較的危険度の低い集団に契約が集中しているのではないかと思われるのでございまして、そうなれば、冒頭に言いました点からいいましても、料率の差異のあるのは当然だと思うわけでございます。また危険集団と申しましても、その区分けにつきましてはいろいろございまして、たとえば自動車の車種別のほかに地域別とかあるいは職業別とかあるいは車の名柄別とか走行の距離別とか用途別等、いろいろのやり方が考えられるわけでありまして、これはなかなかむずかしい問題がたくさん含まれておりますので、そういう点については慎重に進める必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  25. 新盛辰雄

    新盛委員 次に、損保共済、この関係、お互いに寄り寄り協調的競争というようなぐあいにいけばいいのですが、なかなかそういうふうにまいらないところにいろいろ問題があるようで、競争は避けられない宿命であるかもしれないけれども、それぞれの立場がございますし、また、損保損保の方の商品事業活動というのもありますし、自動車共済共済でまたこれいろいろと運動の方法等やっておられるわけです。  こうした中で損保協会平田参考人にお伺いしますけれども自動車共済連の発足に関連してあなたがインタビューで言われましたことに非常に気になる文言があるのです。それは、共済とは対抗意識で、協調的競争の道を見出していった方がいいのではないかという問いかけに対して、示談代行で対抗するとおっしゃっておりますし、その後の動きを見ますと、自動車保険委員会によって、あるいは技術アジャスター協会に対して損保と競合関係にある共済損害調査に協力してはならないとかという指導、指示あるいは自賠責の書類の貸し出しをどうも思わしくないとお考えなのかこれを拒否をされるとか、幾つかの例も実は散見をされるわけです。あるいは共済から問い合わせのありました中の書類でも、損保は、農協以外の共済については保険加入する際に無事故歴の通算ということも何かおやりにならない。こういうことだと、お互いに協調し合い——競合するものもありましょうが、これからの大衆のニーズにこたえるという面ではいかがなものか。そういう敵視策というか、相手をいろいろと、共済はこういう欠点があるとか、あるいはこちらの方はこういう有利なものがあるとか、その商品の内容においてもいろいろとあるのでしょうが、こういうことではやはりよくないのではないか。もっと損保協会としても、すでにこれほど発達をしている自動車共済皆さん方の事業ということについても十分認知された上でこれからのあるべき姿といいますか、そういうものをつくるべきじゃないかと思うのでございますが、いかなる御見解をお持ちでしょうか。
  26. 平田秋夫

    平田参考人 昨年でございましたか、日経新聞に出ました記事の中の私の発言につきまして、共済に対して協調的ではない、むしろ挑戦的ではないかというような受けとめがございましたら、これは私の真意ではございませんので、この場で私の意図を説明させていただきたいと思うわけでございます。  先ほども自民党の先生からの御質問お答えいたしましたとおり、私は、保険共済は存立の基盤を異にしておりますけれども、それぞれ社会的に有意義な事業として健全な発展を目指すものでございまして、これを前提といたしましてお互いに研さんを積み重ね、公正な競争をしていくことが社会のために大いに結構なことだというふうに存じておるわけでございまして、敵視するというような気持ちは毛頭ございません。以上のような基本認識に立ちまして、損保の取り扱っております、先ほどから問題になっております示談代行保険というものは、先ほども申し述べましたとおり社会のニーズに合った大変よい保険であると自負いたしておりますので、これをPRをいたしまして、その効用を十分発揮していきたいという意向を私は述べたにすぎないわけでございます。  先生から具体的に御指摘のございました技術アジャスターの問題等でございますが、まず技術アジャスターの問題につきましては、技術アジャスター協会に対しまして、専門委員会におきまして実情を調査するためのアンケートをお願いした事実はございますけれども、御指摘のような指示はいたしておりません。  それから、第二番目の書類の貸し出しでございますけれども自賠責書類の貸し出しにつきましては、拒否している事実はございません。この点につきましては、昭和五十二年十一月に所管の自動車料率算定会から各社に対しまして、共済から要請があれば貸し出しを行うよう確認の手紙を出しておるわけでございます。  それから、無事故歴のことでございますけれども共済では農協とのみ実施しておることは事実でございます。無事故割引につきましては、これは自動車算定会の所管事項でございますから、私からお答えするのは適当でないかもわかりませんけれども、農協は損保保険と似通ったものを売っておりまして、全国幅広く取り扱っております。たとえば北海道から九州に移りましても無事故割引の継承ができるようになっておりますし、相当長期に契約のレコードが保存されているというようなことから、損保と同様の取り扱いをすることに算定会でなったものと考えられるわけでございます。
  27. 新盛辰雄

    新盛委員 もう一回お聞きしますが、確かに自動車保険の市場が狭まってきておる、そういう中で、まあアウトサイダーというふうに言われるのかどうかわかりませんが、この自動車共済連というのは急速に伸びてきておりますし、その存在は無視はできないわけですね。片や損保業界もある意味では、一皮むけばこれは内部矛盾が非常に露呈されているのじゃないか、寡占化の戦略をめぐってだか知りませんが、大手と中小の商品合戦というのは、もうその確執たるやまさしく醜いパイの争い、こういうふうに言われてもおるわけですね。  だから、商売がたきは自動車共済であるかもしれませんが、またこの大手と中小の損保の内部においてもいろいろと問題があるわけですね。この事業の進みぐあいを正しく見詰めようとする人々からは、本当にあるべき姿というのは何だろうかということが言われているのですよ。だから、このことについては、やはり前向きにとらえていくべきじゃないだろうか。いまおっしゃいましたいろんな御回答ございましたけれども、問題は心構えの問題だと思うのでありますが、協会としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  28. 平田秋夫

    平田参考人 重ねての御質問でございますけれども共済に対する考え方は先ほども申し上げたとおりでございますが、業界内の大手と中小の問題の点でございますけれども、これは損保も他の産業界の例に漏れず、相当激しい競争をやっておることは事実でございます。  しかしながら、業界内にいろいろ大手と中小の問題はありますけれども、一般の消費者、契約者あるいは自動車保険で言いますところの第三者被害者というような、第三者にこの大手と中小の問題が迷惑を及ぼすというかっこうで及んでいくようなことになっては相ならないというふうに私は協会長として考えておる次第でございます。時世の変遷に従いまして、マーケットの状況もどんどん変わってまいりますので、いま大手というふうに言われておる会社も、決して長い将来にわたって大手であるかどうかもこれは保証できない問題でございますし、また中小という問題も、果たして現在の大手というものに対比して今後も弱い立場であるかということは言えないことでございますので、お互いに時世の変化あるいは消費者のニーズ等に従って業界内で研さんに努めていくということは必要であろうかと思うわけでございます。
  29. 新盛辰雄

    新盛委員 細江参考人に、ただいまの平田参考人の御答弁を踏まえまして、どうお考えか。相互にその立場を尊重、理解し合って、保険保険なりに、共済共済なりにその使命を達成するという前向きの方向ということに、私どもそう考えたいわけでありますけれども、いまの平田参考人の御見解に対していかがなお考えをお持ちでしょうか。
  30. 細江貞助

    細江参考人 御指摘のように、自動車共済連発足しました当時はいろいろ妨害、中傷がございました。たとえば自賠責の給付金を決定した資料を見せてほしい——これは私ども自動車共済連には自賠責共済なり自賠責保険の取り扱いがまだ認められておりませんから、どうしても保険会社なり農協が自賠責保険の算定、決定をされた資料を見せていただかないと、あと私どもの方の共済金決定にいろいろ支障を来すわけです。そのことがひいては被害者の利益にもつながるわけです。そういう意味で見せてほしいということで、最初の間はさほどそういう抵抗はなかったのですが、三年くらい前にそのような文書が出まして、当時私の方からも損保協会に公文書で抗議をいたしまして、その後は一応、いま平田参考人おっしゃいましたような指示が出されたようでありますが、ただそれが各地方すべての保険会社の下部組織まで徹底をしておらない、そういうところにまだ欠陥がありまして、部分的にトラブルがやはり出ております。  それからアジャスターの問題でありますが、アジャスター制度そのものは、損保協会が研修をし認定証書を与えられた制度でありますから、それを私どもが便乗して利用させていただく、そういう立場です。だから、拒否をしろという指令が出ればそれについて私どもの方がとやかく言う筋ではないかもしれませんけれども、アジャスターの皆さん方の意見を聞きますと、会社に雇用されたものではない、そういう資格を持って会社の業務を請け負って、その手数料で言ってみれば収入を得ておる。だから、それは損保会社であろうと、農協であろうと、自動車共済連であろうと、仕事がもらえればそれだけ収入になるわけですから、ぜひ私どもを利用してほしい、そういう指示はあるけれども陰ながらも協力をするという形では協力いただいておりますが、公然とできないところにやはり後ろめたさのようなものがあってぎくしゃくしているのは事実ですから、うまく指導していただきたいと思うわけです。  それから、たとえば損保から自動車共済連に契約を更新します、そういう場合に私ども契約者の利益を保護する立場で無事故期間を通算しています。全共連からの切りかえも無事故期間を通算していますが、最近私どもの方から損保に切りかえる場合に無事故期間を通算しないというふうな問題が出てきまして、それはどういう場合に生ずるかといいますと、共済というのは、たとえば職域共済の場合には、職域の労働者という地位を退職によって失いますと組合員でなくなる。なくなった場合に、損保なら損保に切りかえなければならない。そのときに無事故通算がされないということは大変不利益であるということで実は不安を持っているわけです。そういう意味では、そうしたことはやはりお互いに融通し合って加入者の利益を計らってやる、このことが大切ではないかと思います。  私どもとしては、損保共済、これが共存共栄できるはずだ、そういうぐあいに考えております。それはたとえば私どもが去年全国共済連という形に組織発展的に拡大しました。八月十一日の日本経済新聞が大々的に取り上げてくれたものですから多少反響が大き過ぎたわけでありますが、そのことによって連日電話で問い合わせが相当あります。そういう安い共済ならばぜひ切りかえたいという要望もありますが、それではいままで損保に入っておった契約者がすべて一遍にこちらへ切りかわるかというと、そういうぐあいにはなりません。それは、契約者というのは車検の関係だとか修理工場の関係だとかあるいは自分の姻戚関係代理店があるとかという関係自動車保険に入っておるといういろいろな関係があるわけです。ですから、そういう義理人情を切って直ちにこちらへ切りかわるというふうにはなりませんので、その意味ではそんなに不安がられる必要はないのではないか。むしろ、制度加入者にどれだけ有利か、どれだけサービスがいいか、こういうことによって、制度そのものがお互いに競争することによって改善されれば、加入者のためにも被害者のためにも利益になるわけですから、社会保障を補完するという保険共済の公益性からいってそういう姿が正しかろうと思います。私どももその意味では正しい競争、利益を第三者加入者に及ぼす競争という立場でありたいと思いますし、これはたとえば欧州の協同組合保険等の例を見ましてもそういう事実が数十年の歴史を持っておるわけですから、そういう基盤を日本の場合にもぜひ形成し合っていきたい、そのように念願いたしております。
  31. 新盛辰雄

    新盛委員 最後に自動車修理工場代理店の問題で、これは大蔵省には言ってなかったのですけれども、常識的なことですが、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。  代理店の兼業修理工場の工賃の問題です。これは専業修理工場に比べて二、三〇%高いというのが大体常識になっているようなんですが、不当な見積もりではないかという指摘をしますと、これは損保の協定価格であると言う工場が最近非常に目立っているそうです。これが事実だとすれば、価格に対する自由競争の原則が保険の介入によって損なわれるのではないか、工賃高騰の原因になってくるのではないかと思われるのです。この価格協定というのは果たして事実なのかどうか、それをひとつお知らせいただきたいと思うのです。  また、この修理工場が代理店をやらされているために、損保を他の代理店に引き抜かれることをおそれて過剰修理や水増し請求が出されることが明らかになってきているのですが、言われている不正請求の温床というか、こういうようなこと等も考えまして、この修理工場の代理店契約は禁止したらどうだろうかというふうなことも考えるのですけれども、これは大蔵省、いま突然のことで御回答できるかどうかわかりませんが、さらに損保協会平田参考人の方にもあわせてお願いをして私の質問を終わりたいと思うのです。
  32. 松尾直良

    松尾説明員 修理工場と損保会社との間で価格協定があるかどうかということを私ども承知しておりませんので、そういう事実があるかどうか存じませんが、御指摘のように、修理工場によって非常に工賃が高い。これは保険関係なしに、修理工場の工賃というのは自分自身の経験から非常にばらつきがあるように私も感じておる次第でございます。どちらかと申しますと、ディーラー系列のところへ持ち込むと非常に高い、しかし何となく安心できるということで、個人的なことで恐縮でございますが、私などは多少高くても何となく安心感を持てるそういうディーラーのところに修理をお願いするということが多いわけでございます。そういう価格協定があるとは聞いておりませんが……(新盛委員「時間がないので、もうイエスかノーかで」と呼ぶ)そういう修理工場を代理店にしておくことが問題ではないかという点でございますが、これは保険の普及という点から考えますと、いろいろな窓口で保険契約が締結される、特に自動車保険につきましてはディーラーであるとか修理工場であるとかあるいはガソリンスタンドであるとか、こういった自動車に縁のあるところが代理店になり、それによって非常に保険の普及が図られているという面は無視できないわけでございます。またそういう修理工場で代理店をやりたい、またその能力を持っておるという人もあるわけでございますので、一概にこれを禁止するのは必ずしも妥当ではないと考える次第でございます。
  33. 新盛辰雄

    新盛委員 済みませんが、時間がないのでイエスかノーかでお願いいたします。
  34. 平田秋夫

    平田参考人 工賃の価格協定があるかないかということでございますが、価格協定というものはございません。ただ、ただいまも保険部長からお話がございましたように、ディーラーのサービス部門で取り扱っている分につきましては、その多くが自分のメーカーの自動車でございますから、修理の仕方とか系列別にほぼ均質化されまして、部品価格などもはっきりしておりますので、参考資料といいますか、われわれはマニュアルと言っておりますが、そういうものを作成して使っておるわけでございまして、価格協定をしているという事実は決してございません。
  35. 新盛辰雄

    新盛委員 本日はお忙しいところ、大変貴重な御意見などを承りましてありがとうございました。これからそれらを十分生かして、自動車保険全般あるいは共済運営伸展のために私ども努力をしてまいりたいと思います。大変ありがとうございました。
  36. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、玉置一弥君。
  37. 玉置一弥

    ○玉置委員 十分しかございませんので、大変こま切れになりますけれども、特に審議会会長の林さんにはこの十分間で大体一方的にしゃべっていただこうかと考えたのですけれども……。  特に、現在の経済社会の構造変化というもので保険業界の変化がかなり迫られていると聞いておりますし、また五十四年六月の答申にもそのようなことがうたわれて、いま一つの方向づけを何かやっておられるように聞いております。そういう中で、五十六年六月、ことしの六月に意見の取りまとめを行って、そしてこれからの方向づけを確定していきたいというようなことを聞いておりますけれども、現在の状況がどういうふうになっているのかをお願いしたいと思います。
  38. 林修三

    林参考人 玉置先生にお答えいたします。  この保険審議会におきましては、損害保険事業あり方、現在の社会経済の情勢に対処して今後保険事業運営等についてのあり方を検討するようにというようなことを大蔵大臣から昨年諮問を受けまして、昨年来いろいろ審議してきております。  これは、保険審議会の運営といたしましては、部会を設けまして、生命保険部会と損害保険部会を設けておるわけでございますが、この損害保険事業につきましては損害保険部会において各委員からずっと忌憚のない意見を出してもらいまして、この春まで、この三月までこの部会を大体月一回あるいは二回のペースでやってまいりました。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕 皆さん意見も大体出てまいりましたので、この答申を取りまとめる段階になっております。  それで、この答申を取りまとめるにつきましては小委員会を設けまして、その小委員会で答申案をまとめよう、それをまた部会にかけてそれからさらに保険審議会にかけて答申をしようという段階でございます。現在この小委員会でその答申案のまとめについて検討している最中でございまして、いまお話のありましたとおりに一応のめどは六月に審議会の答申に持っていきたい、そういう運びになっております。  いまもお話しございましたように、五十四年に損害保険事業につきましても地震保険の改善等につきまして答申をいたしました。その前の段階の保険審議会で損害保険事業についての全般的な洗い直しをしたことがございます。その後、保険審議会の答申が損害保険事業においてどう生かされているかというようなことは、部会においては行政当局から時々報告を受けまして、今回の保険事業あり方についての答申の取りまとめにつきましても、過去における保険審議会の指摘、そういうものがどう実施されているかという実績を踏まえまして、その上でなおかつ保険事業が新しい社会経済情勢に対処するためにはどういう点に留意すべきか、そういうような方向でいま取りまとめをやっておる最中でございます。
  39. 玉置一弥

    ○玉置委員 前回の答申のときに、効率化の促進、公共性社会性の発揮、資産運用の改善というようなことがうたわれておりまして、確かに損害率なども最近低下しているわけですね。そういう状況から見て、やはり一種の共済制度という面から社会的責任あるいは公共性、こういうものが非常なウエートを占めてきておるのではないか。一時は土地投機など大変ありましたけれども社会的責任を逸脱した行為とかそういうものを自粛せられるような動き、そしていわゆる健全経営といいますか舞台を大きくする、そういう方向があるかと思いますけれども、そういう観点から見て、前回の答申が業界あるいは行政の中にどのように受けとめられているか、どのようにお感じになっているか、その辺をお聞きしたいと思うのです。
  40. 林修三

    林参考人 これは保険審議会で答申をしまして、いろいろな事項についての提言をしておるわけでございまして、行政当局においても誠実にその実行に努めておられると私たちは受けとめております。また、業界におきましても損害保険協会等の指導によって、すぐできるものと若干の時間を要するものがございますけれども、実行されておると思います。  それで、現在の段階におきましては、やはり今度答申をするにつきましても損害保険部会でいろいろ議論をいたしました。いまも御指摘社会性公共性のより一層の発揮というような問題も大きなウエートを占めておりまして、これは前に五十四年の生保についての答申をいたしましたときに、その点に特に重点を置いた答申をいたしております。あのときは、損害保険事業につきましては同じ必要があるということを言った程度で、具体的な問題は五十四年のときには地震保険が主体でございました。したがって、損害保険事業につきましての社会性公共性の発揮のわれわれ審議会の具体的な意見は、今回ある程度具体的に出そうということでございまして、これは、いま御指摘もございましたが社会において非常に大きな役割りをいたしております。これは生保についても同じ問題がございましたけれども、たとえば昨今いろいろモラルリスクの問題で、好ましからざる事情も生じております。そういうものに対処する仕方もございますし、それから損害保険事業の資産運用のあり方等についてもこれからいろいろやっていただきたい点もございます。  それから、損害保険事業につきましては、御承知のようにいま二十社が損害保険事業をやっておるわけでございますが、損害保険商品の性質から申しましてわりあい画一的な商品を画一的な料率で売るということが行われているわけで、これは損害保険事業の性質上ある程度やむを得ない点もございますけれども、その範囲でも競争原理を導入する、いろいろな点に工夫をこらして競争原理をより一層導入してもらいたい。あるいはいまの保険商品についての、ことに国民大衆に関係のあるような火災保険とか総合保険とかあるいは自動車保険とか、こういうものにつきましての料率の算定につきましても、より公正な料率算定ができるような配慮を今後いろいろな面でやってもらいたい、そんなことを中心にしていまやっておるわけでございます。
  41. 玉置一弥

    ○玉置委員 競争の原理というお話がございましたけれども、前回の答申の中には、過当競争を排除して募集の秩序を維持していく、そして健全な経営といいますか、資産運用とかいろいろな面での健全性というものをやはり持っていかなければいけないという答申があるわけですけれども、余り言うと時間がなくなるので、二十六分までということでございまして、次回にまた繰り越しをいたします。どうもありがとうございました。
  42. 安田貴六

    ○安田委員長代理 中路雅弘君。
  43. 中路雅弘

    ○中路委員 短時間ですので、最初の機会に、御都合で退席される林参考人に二、三点だけ御質問、御意見をお伺いしたいと思います。  昭和五十三年の七月に死亡の場合の支払い限度額が二千万円に引き上げられたわけですが、それ以降三年ほど経過をしています。昨年の十二月ですか、交通遺児と母親の全国大会においても、要請にも来られましたけれども自賠責保険の死亡支払い限度額を現行の二千万円を三千万円に引き上げてほしいという要望も出されているわけですが、これと任意の自動車保険七千万円、合わせて一億円ぐらいの補償能力をつけさせることが要望でも出ています。  この問題に関連してですが、いま任意保険の対人賠償保険の普及率が、資料を見ますとたしか六〇%弱ぐらいにすぎないと言われていますけれども被害者救済のための自賠責保険支払い限度額を引き上げるということが、任意保険の普及という立場から見た場合、この普及の妨げになりはしないかという御意見もございました。引き上げた場合に任意保険への影響関係ですね、こういうものについてどのようにお考えか、最初にお聞きしたいと思います。
  44. 林修三

    林参考人 自賠責保険金支払い限度の引き上げ問題、これは実は私の関係しております保険審議会の所管ではございませんで、自賠責保険審議会が別にございまして、そこで御検討になることだと思っております。したがって、これはどういうことになるのか、私、いま直接存じておりませんでございますが、いまお話しのように、任意保険の普及率、特に対人賠償についての普及率が必ずしもまだ十分でございません。私は、これはやはりもっと普及すべきだと思います。  それで、これは制度を白紙の上で考えれば、この自賠責保険と任意保険の二本立てというのが果たしていいのか悪いのかという問題、これはあるだろうと思います。今後の研究問題だろうと思います。  しかし、現在すでにこういう制度があるわけでございまして、その制度の上で過去ずっと行われてきておりますので、その前提で物を考えなければいけないと思うわけでございまして、自賠責の方の限度がふえれば、いま掛けている人がもうそれでいいだろうというふうに思う人もないわけではございませんでしょうけれども、昨今の自動車で被害が生じた場合の損害賠償額は、裁判所の判例等を見ましても漸次拡大しておるわけでございまして、これは被害者救済意味から申しましても、やはり自賠責の方が仮に若干の増額をいたしましても、それだけじゃなお十分じゃないと思うわけでございまして、対人賠償についての任意保険あるいは任意共済、これが大いに活動してもらいたい点はあるわけでございまして、われわれといたしましては任意保険あるいは任意共済が——われわれの所管は任意保険でございますが、任意保険が十分に普及をすることを念願しているわけでございまして、これは行政当局なりあるいは損害保険協会会社等がそれに続いて一層の努力をしてもらいたいと思っておるわけでございます。昨今の経済情勢から申しますと、自賠責が若干増額しても、すぐそう響くことはないんじゃないかなと思っておりますけれども、これはやってみないとちょっとわかりません。
  45. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一、二点ですが、支払い限度額が引き上げになりますと、たとえば保険料の引き上げということにつながるわけですから、保有者の負担増になるということで反対の意見もあるわけですね。     〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 自賠責に限っても、自動車の保有者のみに保険料支払い義務を負わされているわけですけれども自動車事故発生に関与する原因を見ますと、自動車メーカーやまた道路状況としての道路管理者も関連してくるわけなんで、これは私の意見なんですけれども、大きな利益を上げながら他方交通事故被害者発生させた自動車メーカーの方の責任としても、保険料の一部を負担させる方向を検討すべきではないかという考えを持っているわけですが、こうすれば現在の保険料を据え置いても給付水準を改善できるわけなんで、この点についてはお考えはいかがでしょうか。
  46. 林修三

    林参考人 いまのお話でございますが、やはり保険制度である場合に、保険制度というのは結局、自動車を運転する者が事故を起こした場合の事故損害賠償責任をいかに担保するかという問題でございまして、その場合の損害賠償責任担保を、この保険契約した者のほかに、同時に、その自動車を提供している自動車業者に負担して払わせるということは、なかなかこれは法律的に申しましても、制度的にもうまく結びつかないのではないかという気がいたします。突然のお尋ねでございますから十分なお答えにならないかもわかりませんが、必ずしもうまくいかないのではないか。それから、仮にその事故自動車メーカーの過失等であります場合には、当然に、それによって自動車事故を起こした者等からその自動車メーカーに対して、場合によっては損害賠償請求する方法もございますし、制度としてはどうもそう簡単にいかないんではないかという気が私はしております。
  47. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点だけお聞きしておきますが、先ほどお尋ねもありました今後の損害保険事業あり方について現在保険審で検討されているわけですけれども、この中で、検討の項目の中でありますモラルリスク対策ですね。二重受給や不正を防ぐ対策としてのチェックのシステムですけれども、ある意味ではまた善良な契約者に負担を負わせるということにもなるわけですけれども、このモラルリスク対策についてどのようなお考えか、もう一問お聞きしておきたいと思います。
  48. 林修三

    林参考人 これは結局保険契約を結ぶ一方の当事者である保険会社が十分な調査をして、いわば悪質の契約者が入ってくるのを防止する手段をやるべきだろうと思うわけでございまして、これについては調査をいろいろやる場合には、個人のプライバシーに関係してまいりますこともございまして、特に善良な、そういうことに関係のない契約者にも迷惑を及ぼしてもいけませんでございますから、そういう点やり方はいろいろむずかしいわけでございますが、現在はこれは損害保険会社の方では、たとえば一種のブラックリストみたいなものをつくって、お互いにそれを情報交換しているというふうなこともあるわけでございまして、これもやり方によってはプライバシー侵害になる可能性もございますけれども、これはある程度、そういうような保険会社相互間で情報交換をする、あるいは何かそういう機関を設けて、そういうモラルリスク発生を防止するような情報をどこかで集めて、お互いの損害保険会社に配る、そんなことを考えるべきではなかろうか。個々の契約については当然に、いたずらに営業拡大というようなことに走って、そこいらの調査を怠ることのないように配慮してもらいたい、そういうことも注意事項として言いたい、そういうような意見も出ておるわけでございます。
  49. 中路雅弘

    ○中路委員 時間ですので、終了します。
  50. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、永井孝信君。
  51. 永井孝信

    ○永井委員 参考人皆さんには大変お忙しいところをありがとうございます。限られた時間でありますので端的に御質問申し上げ、またお答えの方も端的にお答えをいただきたいと思うのであります。  まず初めに、きょうの参考人の方々に対する質問の中でも触れられておることでありますが、一般に損保協会の商品として売っている保険は高い、共済は安いという問題が一つは提起をされているわけであります。現に自動車保険自動車共済連の売っている商品の価格差というものが現実に五〇%近くある、このように承知をしているわけでありますが、この保険料率を決める場合、算定会が決めていくということになっているわけでありますが、これが公正に算出されているだろうかどうだろうか、このことが私自身にとっても非常に気になるわけであります。このことは前回の四月二十二日の委員会でも私は質問したことでありますけれども、この自動車保険というものがこれだけ普及してまいりますと、まさに社会的に公益性を強く帯びている、こう考えますだけに、その保険料率を決める場合はやっぱりガラス張りでしてもらいたい、またそうでなくてはいけないと思うのでありますが、いまの実態は、どういう内容でどのように決められていったのかということはユーザーの側には全くわからない、こういう状態になっているわけでありますので、これについて料率算定の内容根拠を公開すべきではないか、このことについて林参考人、ひとつお答えいただきたいと思います。
  52. 林修三

    林参考人 損害保険事業につきましては、いまお話のございましたとおりに損害保険料率算出団体に関する法律というのがございまして、ある範囲で損害保険会社が行います損害保険事業について独禁法の除外例が決めてございます。それに基づきましてこの料率算定会というのを保険会社が共同してつくりまして、そこで料率算定をやりまして、それに基づいて損害保険事業をやっておるわけでございますね。  この料率算定会につきましては、やはり公正に中立的な態度で料金算定をすべきことは、仮にその算定会の基礎は保険事業者が共同してつくるものではございますけれどもそれは確保しなければいけませんで、法律にもそういう点はちゃんと書いてあるわけでございます。ただ従来、いま御指摘のありましたとおりに、この算定会のたとえば主要の職員なり役員がわりあい損害保険会社から出向している者で占められているとか、あるいは全くその算定会の経過が外からはわからないとか、そういうような批判があるわけでございます。これに対しては、現在保険審議会でも、先ほど申しましたけれども損害保険部会で、今後の損害保険事業あり方について検討をしております過程でも問題点として取り上げておるわけでございまして、この料率算定会の料率算定についてのやり方について、より透明度と申しますか、を増すような、あるいは中立性を増すような措置をやってもらうように提案することがいま検討されております。  一つとしては、たとえばこの中立的な立場の職員なり役員をいまよりもふやすというようなことも一つの方法でございますし、それから料率算定会でやりましたこの料率算定の根拠とかあるいはその結果に対する説明も、一般の消費者にわかりやすいような形で、一般の消費者が入手できるような形にするとか、そういうことを検討してもらいたい。今度保険審議会として答申をする損害保険事業についてのあり方の中には、まだ具体的なはっきりした細部の詰めばできておりませんが、委員からの要望としてそういうことが出ておりますので、そういうことをいま検討しておるわけでございます。
  53. 永井孝信

    ○永井委員 いま林参考人が言われましたように、この審議会の中でそういう問題も含めて答申をするように考えていきたいということでありますが、いま林参考人も言われておりますように、算定会のメンバーというのは非常に業界の代表の方々が多いわけですね。私の手元に持っておりますこのメンバー表を見ましても、損保料率算定会の役員は幹事を入れて二十三名いらっしゃるわけですが、業界代表がそのうち十四名を占めていらっしゃる。あるいは自動車算定会の役員メンバーで見ますと、二十二名中業界代表が十七名も入っていらっしゃる。これは、私は必ずしも中身が間違っていると言うのじゃありませんけれども、公益性を持つものだけに、やはりもうちょっとユーザーの代表を入れるとかということが考えられてしかるべきだと思うのであります。  したがって、この保険審議会で答申をされるときも、できれば他の公共料金を決める場合のように公聴会を開くことを義務づけるとか、あるいは学識経験者をもっとふやすとかという具体的な面をひとつ考えていただきたいと私は思うのでありますが、一言で結構ですから林参考人お答えいただきたいと思います。
  54. 林修三

    林参考人 いままでも料率算定会は、もちろん法律の趣旨にのっとりまして公正な立場で十分な資料を集めて、それに基づいて公正な料率算定をしておられると思います。と思いますが、形から申しまして、先ほど申しましたような役員の構成につきましてもう少し中立的な、あるいは学識経験者をふやした方がいいじゃないかというような問題があるわけでございまして、そういう余り具体的な指摘になるかどうかわかりませんが、より公正性、中立性を確保するための組織についての検討をするようにしてもらいたいというようなことは織り込まれるだろうと思っております。  それから、その料率算定の結果が一般の消費者にわかるような、何らかの措置を講ずるというようなことも織り込むようなかっこうにいまなっております。ただ、公聴会を必ず開けというようなことまで具体的に指摘するか。これについては、そういう意見もまだ余り出ていないようなこともございますから、そこまではまだちょっとすぐ具体的なことにはならないかもわかりませんが、より一般の消費者に対するサービスとして、料率の決定についてのいわゆる透明度と申しますか、外からよくわかるような運営をやってもらいたい、あるいはそれを外部にわかるようにしてもらいたいということは、恐らく入れるような方向になるだろうと思っております。
  55. 永井孝信

    ○永井委員 大蔵省にお聞きするのでありますが、四月二十二日の委員会で私が指摘しました大口団体の割引問題でございますが、やはり私はどうしても納得できないのですね。  もう一回繰り返しますと、団体割引が一〇%、無事故が五〇%、車両セットが五%、運転者の限定が一〇%、そして団体割引の拡大がさらに検討されているということですね。もしこの検討されているものがそのまま実施に移されますと、最大限八五%まで割引がされてしまうということになっていくわけであります。この大口団体割引の本当のねらいは一体どこにあるのだろうと私なりにいろいろ考えたわけでありますが、いろんなPR雑誌あるいはいままでの参考人の方々に対する質問を聞いておりましても、結果として中小損保会社が団体契約関係で根こそぎにされていくおそれがあるのではないか、こういう危惧を持たざるを得ないわけであります。あるいは自動車共済というものもある。こういう過当競争というものが、結果として団体割引を中心とした割引率の拡大ということで競争されていっているのではないかという気がするわけでありますが、その一方では、個人的に加入されている方々についてはもちろんその団体割引がないわけでありますので、そうすると実際団体加入をしている者については一つの大きな恩恵があったとしても、一本釣りのような形で加入をさせられていくユーザーの方々にはそういう恩恵がない。私は、これはやはり保険行政のあり方としては問題があるのではないかという気がするのでありますが、保険部長ひとつ恐縮ですが簡単にお答えを願います。
  56. 松尾直良

    松尾説明員 前回もお答えいたしまして、なお簡単にということでございますのでなかなか意を尽くせないのでございますが、公平性の問題というところをどう考えるかということに帰するのではないかと思っております。  保険料水準のあり方というものがそれぞれの危険度に応じて定められる、その危険集団をどういうぐあいに区分していくかということが、一つの大きな問題であろうかと思うのであります。いまいろいろな割引制度がございます中に、たとえば優良割引というもの、これはたとえ先生のおっしゃる一本釣りと申しますかバラで入った方であっても最大五〇%までの割引があるわけでございまして、団体割引というのはそれとはまた別個に、前回も申し上げましたように、特定の大規模な集団において交通安全対策がとられておって、そういういわば危険度が現実に少ない、かつそれを過去の実績に基づいて検証いたしまして、そういうリスク集団、つまり普通よりはリスクが少ないものについて一〇%を限度に割引をいたしておるわけでございます。  ただいま、そういう団体の規模をもう少し広げていくべきではないかというような方向でいろいろ検討が行われておるやに聞いておりますが、まだ必ずしもそこで意見の一致を見てないようであります。ただ、これは一〇%の割引をさらに大きくするというふうな方向で検討されておるというふうには聞いておりませんで、非常に大口のものだけというのもおかしいわけでございまして、あくまでも危険度に応じた割引であるということであれば、多少規模の小さいものについても考えてしかるべきではないか、むしろそういう方向での検討であるように伺っておるわけでございまして、もしそういうことであれば、広くいろいろな会社にとってやはり参入のチャンスが出てくることではないかと思うのであります。  なお、基本的に私ども今後の長期的なあり方といたしましては、いま審議会でもいろいろ御議論いただいておりますが、保険料区分というものをすべてぴちっと決めてしまうのじゃなくて、もう少し競争原理が働くように、ある程度自由な幅というものが作用するのがいいのじゃないかというふうに、基本的には考えている次第でございます。
  57. 永井孝信

    ○永井委員 いまの大蔵省の御答弁をお聞きになって、平田参考人としてひとつ簡単に御意見をお願いしたい。
  58. 平田秋夫

    平田参考人 大口団体割引のことでございますけれども、これはいま保険部長も言われましたとおり、その考え方といたしましてはあくまでも危険度に見合った料率を出すということで、保険料負担の公平化という点にあるわけでございます。そういう立場から団体の場合は、団体の構成員に対する覊絆力といいますか事故抑制力といいますか、そういうものに着目いたしまして、団体みずからが事故防止努力をするということから団体構成員全体の損害率が軽減していくという、それを料率に反映しようというものでございます。したがいまして、単に団体扱いであるから何が何でも割引するというものでは当然ないわけでございます。無事故割引と同様に所定のルールがございまして、損害が減った実績を上げた場合に限って割引の適用を行うというふうに、毎年損害率の推移を検討、検証いたしまして割引率の適正化を図っているわけでございます。業界といたしましては、料率の公平化の一環としてこれは有益な制度だというふうに思っておりまして、今後もこの制度をよりよい制度にするために必要な見直しを行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  59. 永井孝信

    ○永井委員 時間の関係で次の問題に入っていきますが、時間があればいまの問題に後でもう一回触れてみたいと思います。  その次に保険料率の引き下げの問題でありますけれども、ここに五月三日付の日本経済新聞を持っておりますが、今度損保業界の方で平均五%料金を引き下げることが検討されている。早ければ六月から、遅くとも七月から実施をするというふうに書かれているわけであります。年間では一人当たり平均六千円近く安くなる、このようにこの新聞では報道されているわけですね。きょう参考人お三方お見えいただいているわけでありますけれども、たとえばそれぞれが競争原理に基づいてユーザーを獲得していく過程で、私はやはり料率で対抗があるのではないかということを危惧しているわけですね。公益性の強いものだけに危惧しているわけでありますが、この新聞の記事を見ますと、「自治労共済などの労働者共済組合が昨年から安い保険料を武器に自動車保険分野に進出、農協共済、民間損保業界との間で三つどもえの販売競争を展開している。損保会社による今回の「自動車保険料全面見直し」は激しく追い上げる労働者共済への対抗手段になるものだ。」こういうふうに書いているわけですね。こういうことを対抗手段としてどんどんユーザーを巻き込んでやっていくということになってくると、私はやはり混乱を起こすということを危惧するわけであります。まずこれが一つであります。  そうして、五%引き下げる、こう言っているのでありますけれども、たとえばこの自賠責支払い基準が五月一日から平均三%引き上げになっているわけですね。この平均三%引き上げになったものが、結果として任意に五%程度はね返るであろうと私たちは推定をしているわけであります。それはなぜかというと、この支払い基準のそれぞれの金額はたしかこの五月上げられたのでありますけれども支払い限度額は従来どおり据え置かれておるわけであります。そうしますと、入院した場合にもあらゆる場合にも、限度額が改定されないのにそれぞれの支払い基準が上がったものですから、自賠責で負担できる分が短期間に集中されてしまう。こうなると、その後は任意保険がかぶらざるを得ないということになってくるわけですね。そうすると五%程度はね返る、そのはね返ることがわかっている時期に五%引き下げるというのでありますから、私はこの問題について、やはり明らかにしてもらいたいと思うのでありますね。  たとえば加重平均で八%程度の余裕がある、こういうふうに言われて大蔵省が指導したというふうに新聞記事でも解説をしているわけでありますが、この加重平均八%の内訳を私なりに調べてみますと、対人が一〇%、対物が七%、あるいは車が一七%、乗車人に対して一一%、これが加重平均二十社で八%というふうになっているわけですね。こう考えていきますと、それが本当にそういう余裕があってなされるのだとすると、三年前の車物の収支悪化ということから、平均一六%の料率を引き上げているわけでありますが、そのときの算定内容がやはり見通しを間違っておったということにも裏返しとしてなってくるのでありますが、この関係について大蔵省平田参考人からそれぞれ簡単にお答えいただきたい。
  60. 松尾直良

    松尾説明員 自動車保険料率の引き下げについての新聞記事がございましたが、この保険料率の検証をただいま算定会の方でいろいろ検討しておる段階でございまして、まだ私ども申請を受けておるわけでございませんので、中身については承知いたしておりません。平均とそれぞれの検証の結果がどうなるかを見た上で、算定会の方からいずれ申請があるものと存じますけれども、現段階ではそういうことでございます。  過去との関係でございますが、この料率というのは実績に基づいて定期的な検証を行っておりまして、前回におきましてはそういう実績に基づいて引き上げをいたした。今回検証しております中で、引き下げられる余地があるというふうに聞いておりますが、それが具体的にどういう水準になるかということは、現段階では私どもまだ承知をいたしておりません。
  61. 平田秋夫

    平田参考人 先ほども申しましたけれども料率のことに関しましては、自動車保険料率算定会の所管でございますので、私からお答えする立場にはございませんけれども、ただ一般的に言えることから申し上げる次第でございます。  まず、先生御指摘がありました新聞記事は、非常に興味ある角度で書いておるようでありますけれども、あくまでも料率というのは、検証の結果引き下げる余裕が出たときは引き下げる、引き上げなければならないような検証の結果が出たときは引き上げるというものでございまして、その他の要素が入る余地はないものとわれわれは考えておるわけでございます。したがいまして、今回のことについては、先ほども言いましたように、これは一般的な意見でございますけれども、御承知のとおり五十四年度末に実施されました道路交通法の改正が自動車事故の軽減に非常に大きく影響いたしましたことは事実でございます。さらにまた、たまたま暖冬に恵まれまして、交通事故が大きく減少したこと等もございまして、車両保険とかあるいは対物賠償保険を中心に損害が低下したのではないかというふうに考えられるわけでございます。  なお、強いて申し上げますれば、いま言いましたような要因はいずれも一過性のものであるということが言えるかと思う次第でございます。
  62. 永井孝信

    ○永井委員 その次の問題をお尋ねしてみたいと思うのでありますが、これは厚生省自動車共済細江参考人にお聞きしたいと思うのであります。  現在の賠償水準、これはいろいろな角度から言われておりまして、いまの保険制度では賠償金額が少ないのではないかとか、いや、それで結構なんだとか、いろいろなことがいろいろな業界紙なんかで報道されているわけでありますが、この自動車共済の限度額が低過ぎるという声が非常に強いわけですね。これは厚生省として、監督官庁でありますので、思い切ってこの限度額も引き上げるべきではないか。少なくとも損保協会の売っている商品あるいは農協共済の売っている商品、あるいは自動車共済の売る商品、これが保険料率の関係もあるのでありましょうけれども、余りに賠償金額が違う。こういう支払い基準が違うということは余り好ましいことじゃないと思うのでありますが、自動車共済に対する限度額を思い切って引き上げることを考えられないか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  63. 山口剛彦

    山口説明員 消費生活協同組合共済事業共済金の限度額につきましては、私ども基準を設けまして指導しておるわけでございますが、従来から社会経済情勢あるいは現実の賠償水準等を考慮しまして引き上げを図ってきております。従来自動車共済につきましては五千万円という最高限度額を決めておりましたけれども、先般五月六日付でこれを八千万円に引き上げるという措置をとったところでございます。したがいまして、自賠責の二千万円と合わせますと一億円の補償ができるということで、私どもといたしましては、現段階では適当な水準ではないかというふうに思っております。また、これはあくまでも基準としての最高限度額でございまして、個々の消費生活協同組合の限度額を幾らにするかという問題につきましては、組合の力量その他ございますので、個々に判断をしてまいりたいと思っております。今後とも社会経済情勢に見合った限度額の設定ということについては、十分配慮してまいりたいと思っております。
  64. 細江貞助

    細江参考人 この限度額の水準はどの辺が適当かというのは大変むずかしいと思うのです。一つには、そのときそのときの賠償金額の水準があると思いますし、それから、この契約限度額が上がれば、保険料あるいは共済掛金が当然上がるわけですから、加入者の負担能力というのがあると思います。いま一つは、加入者がどの程度契約しておけば一番安心かという、安心感の度合いの問題があると思うのです。  現在自動車共済連は五千万が最高であります。これはいま生活課長から説明がありましたように、厚生省認可基準として五千万が最高で、ようやく今度八千万に上がったということでありますから、そういう関係で五千万しかないわけでありますが、じゃ実際に五千万で不足かといいますと、いままで共済金を支払ってきた経過からいきますと不足はいたしておりません。しかし損保から、自動車共済連というのは五千万円が限度じゃないか、その程度では大変不安だ、そういう欠陥商品だという中傷があるわけです。実際にはなぜ不足がないかといいますと、五千万というのは一事故無制限です。たとえば、被害者が三人おる場合には、三人それぞれ最高五千万ということですから、現在の水準からいけばそういう不安はなかった。しかし、現実に農協が一億をすでに認可されておる。あるいは保険の場合には一億円を超える制度がある。そういう状況ですから、共済といたしましても、そこまではぜひ認可を受けられる条件をつくっていただきたい。これはいま生活課長の答弁の中にもあった、その事業団体に担保能力があるかどうかという問題もあろうと思います。しかし、実際にこの自動車共済自動車保険の特徴といいますのは、五千万円を八千万円に引き上げたから掛金が六割上がるということにならないのです。それは、無事故割引の割引率とその掛金の上がった分を差し引きますと負担がわずかで済むわけです。そこで、契約を更新をさせて、契約限度額を伸ばす。伸ばすということは、加入者には安心感を与えるとともに、事業団体としてはそれだけ事業収入はふえるわけです。ふえたといって、契約が一億円になったからといって、一億円の賠償金がどんどん出ていくということになりませんから、それだけ事業収入がふえれば、事業そのものは安定をするわけです。そういう意味で、自動車共済連としても、ぜひ農協あるいは損保並みに限度額が引き上げられるように、担保力も私ども努力いたしますが、制度として認可基準はぜひ設けていただきたいと思います。
  65. 永井孝信

    ○永井委員 そこでもう一つ、ちょっとお尋ねしてみたいと思うのでありますが、この代理店の問題が、いままでの参考人に対する質問の中で出ておりました。この問題は、やはりいろいろな問題を現場では起こしているわけですね。  そこで、私はちょっと実態を訴えてみたいと思うのでありますが、たとえば代理店に指定されている整備工場が価格協定をしていないという御答弁もありました。損保協会の方からあったわけですね。平田参考人からありました。しかし、そういう問題について、こういう問題がある、ああいう問題があるといういろいろなことが提起をされてくるわけです。たとえば自動車共済が、ある事故を起こした車の査定について修繕工場にいろいろなことで行った。そのときに、損保協会の方では、このケースなら修繕せずに交換を認めているということが基準になっている。あるいは、あなたのところのように細かく修繕するのではなくて、全部そこはすぱっとかえるようになっているのだというようなことでトラブルが起きるというのが、やはり現実に起きてくるわけです。全部がそうなっているとは思いませんけれども、そういうことが幾つかたくさんのケースの中で出てくると、代理店あり方ということについて、たとえば修繕工場などが代理店を受けるということ、これについてはやはり現場では不信感を持たれることになる。せっかく損保協会が一生懸命、公益性を表に出されてやっておられることに傷がつく、こういう気がしないわけでもないわけであります。あるいはこの事故処理というものが本当に代理店業務の範疇に入ってしまっているのだろうか、こう考えますと、査定をする、こういうことならいいのでありますけれども示談も代行して、すべてのことを扱ってしまうということになると、やはり弁護士法との関係も出てくるのではないか、私はこういう気がするのでありますが、この問題についてひとつお聞かせ願いたい。  もう一つは、最前の団体割引の関係でちょっと触れておきたいと思うのでありますが、この団体割引を一つの大きな武器にしてこのPRがされる。このPRの場合に、私はここに幾つか資料を持っているわけでありますが、これはたとえば安田火災であったり、その他の保険会社が出しているPR用紙でありますけれども、このPR用紙を見ると、私たちが危惧しているような、たとえば農協共済に対する、あるいは自動車共済に対する敵がい心がまともにあらわれているようなPR用紙がつくられているわけですね。たとえば、私のところはこうだけれども片方はこうだ、どちらがいいですかと言わんばかりのことが書かれている。これは非常に、あってはならぬ業界同士の先鋭な対立を生み出すことになる。結果的にそれに巻き込まれるユーザー側が迷惑を受けることになりますので、そういうあり方について、PRは非常に必要でありますけれども損保協会の方も自動車共済の方も農協共済の方も、すべてが良識に基づいて、あくまで被害者救済するという崇高な使命を持っているわけでありますので、そういう立場でのPRをやるべきではないか、こういう気がしますので、この関係について、ちょっと平田参考人細江参考人に、一言ずつで結構ですからお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  66. 平田秋夫

    平田参考人 まず第一点の、修理工場の代理店の問題でございますが、現在、日本で修理工場の数が大体七万六千店ございます。そのうちの大体八〇%に当たる六万四千店が損保代理店をしておるわけでございます。それの扱う自賠責保険料は、自賠責保険料全体の四一%、それから自動車保険全体に対して一六%という非常に大きなウエートを占めておりまして、保険の普及に非常に役立っておるわけでございます。しかしながら、六万四千店というたくさんの中には、先生御指摘のようなものがあるかもわかりませんけれども、これは損保がそういう指導をしておるわけではございません。先ほど言いましたように、ユーザー系列のものに対してはマニュアルというものがございますけれども、工賃価格協定というものはございません。  それから第二点の、大口割引のPRの問題でございますけれども、明らかに共済に対抗意識を持ったPRとか、あるいは他の保険をかたきにするようなPRというものは、これは損保全体として多少行き過ぎだと私は思うわけでございまして、営業が熾烈な競争になると、そういう行き過ぎの部分があるいは出るかと思うわけでございますが、業界全体としてはそういうふうな態度ではございません。
  67. 細江貞助

    細江参考人 やはり修理工場というのは、自動車を修理するのが本職であって、保険代理店を兼ねるというのは性格が違うと思います。いま平田参考人もおっしゃいましたように、そういう事実はないというのは表面的な話でありまして、実際に私どもの査定員がその修理工場といろいろ修理代金の問題で話し合いをします。そういう場面で、全国的に幾つか実は直面しているわけです。ただその事実について、ここにこうあるということを証明するだけのことは大変むずかしいわけですが、業界がそういう統一料率をしたり、協定料率をしたり、そして自分のお客さんを逃がしたくありませんから、自分が保険代理店をしておる保険契約者には有利な修理をするそういう扱いは事実として出ておりますので、その辺は、もう少し監督行政を厳しくしてもらわないと、全国公正な修理代になっておらない、そのように感じます。  それから宣伝の問題でありますが、問題は、私は、外交員制度にあるような感じがいたします。ですから、元請の会社自身でそういう指導なりあるいはそういうパンフなりは出されていないのが現状だと思います。しかし、実際に加入者を争奪する場合に、そこで出てくる外交員の口からその種のものが実は出ておる。その外交員に対して、自動車共済保険との違いはこういうところだというふうなパンフが、それは元請の会社じゃなくて、そういう代理店等から出されて、それが実は口コミで宣伝されておる。そういうところに問題があるわけでありますから、その辺までもう少し会社自身が責任を負っていただければ、いたずらな競争あるいは誤解を招くような競争は出てこないのではないか。私ども、そういう点は十分注意をして、これからも指導してまいりたいと思っております。
  68. 永井孝信

    ○永井委員 どうもありがとうございました。参考人の先生方には、本当にありがとうございました。いろいろ失礼なことがあったと思いますけれども、ひとつ御勘弁いただきます。ありがとうございました。
  69. 斎藤実

    斎藤委員長 林参考人に申し上げます。  本日は、御多用のところ御出席をいただき、貴重な御意見をお述べくださいまして、ありがとうございました。  御退席をいただいて結構でございます。大変どうもありがとうございました。  次に、草川昭三君。
  70. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  平田細江参考人には大変御苦労さまでございますが、若干の御質問をさせていただきたいと思います。  まず、平田さんにお話をお伺いをしたいわけでございますけれども、過日、私、交通安全特別委員会の方で、保険業法の、いわゆる商号問題について大蔵省にお伺いをしたわけでございますが、現在、損保業界保険の構成比の内容を見ますと、これは七九年の統計ですけれども、四八・八%が自動車関係保険料収入、損害保険の本来業務でございました火災保険が二五・四、海上運賃が九・九でございますか、そういうようなことになっておるわけでして、いわゆる商号から言うならば、もうそろそろ自動車保険というものを主たる保険事業の種類として商号変更をすべきではないだろうか、こう思うわけでございますが、どのようにお考えになっておられますか。
  71. 平田秋夫

    平田参考人 御承知のとおり、保険業法の第四条に「保険会社ハ其ノ商号又ハ名称中二其ノ営ム主タル保険事業ノ種類ヲ示スコトヲ要ス」ということがあるわけでございまして、現在の保険業者が〇〇海上火災あるいは火災海上となっておりますのは、その会社の設立当時に、この法律の趣旨によりまして、主たる種目を掲げたわけでございます。その趣旨は、保険事業というのは広く一般のお客を対象にしておる関係上、その事業内容を一般の方が誤認してはいけないということから出ているごとだというふうに思っておるわけでございます。しかしながら、現在では、先生御指摘のとおり、主たる種目は自動車保険になっていることは事実でございますけれども保険会社の古いのはもう百年以上経過しております。また新しい保険会社でも、戦後設立された会社でも、三十年余り経過しておりまして、いまや日本の国の一般の方に現在の名称が誤認されるというようなことにはなっていない。〇〇火災海上あるいは海上火災でもって十分自動車保険もやっているのだということが、すでに認識をされておるというふうにわれわれは認識をいたしております。また、もう一方、海外取引等におきましては、現在の名称がもうすでに百年以来海外にも定着をしておりますので、確かに業法の趣旨には、実態とは合わない部分がございますけれども、あえてこういうふうに一般の方々に定着している名称をここで変えることによる混乱を考えますと、私は現在のままでいいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  72. 草川昭三

    ○草川委員 私は、せっかくこの法律で「主タル保険事業ノ種類」というものから商号というものができておるわけですから、法律が合わなければ改正をしなければいけないでしょうし、実態が、やはり現実というのは大切ですから、いつまでも放置をすることはいかがなものかという趣旨を持っておるものです。  実は、なぜ私はそういうことを申し上げましたかというと、いまこの保険会社というのは非常に歴史があるということをおっしゃっておられるわけですが、そのとおりだと思うのですが、保険会社の内部というものは近代的な形に構成されておるかどうかについていろいろと意見があるわけです。それで、たくさんの会社がありますから、特定会社ばかりではございませんけれども、最近積立型ファミリー交通事故傷害保険というものが非常に大きな商品になっておるわけでして、これは最初は中小損保会社のみに発売許可が大蔵省から与えられておったわけでございますが、最近大手も参加いたしまして非常に販売競争が激化をしておるわけです。それで、従業員の中にはこのために過酷な売上競争が激しくなってきておるとか、それから従業員同士の競争、店同士の競争だとか、支店長あたりの過酷なことがございまして、結局不公正な競争が非常に多くなり、募集の乱れが多いというような、内部からのいろいろな意見があるようでございますが、その点についてはどのようにお考えになっておられますか。
  73. 平田秋夫

    平田参考人 保険会社は歴史があるにかかわらずその内容はまだ近代化してない部分があるのじゃないかという点と、それから具体的にはファミリー交通傷害保険あるいは積立ファミリー保険等の発売をめぐって損保の中に非常に激しい競争、過当競争があるというような御指摘でございます。  第一点の、近代化していない部分があるかどうかにつきましては、これは第三者の批判によっていろいろあると思いますが、われわれは少なくとも時世の推移とともにあるいは時世を先取りした近代化に努めておるつもりでございます。  第二点の、競争でございますけれども、これは確かに営業的には各社激しい競争をしておることは事実でございます。中にはいろいろ、競争があるいは行き過ぎているというような面もあるかと思いますけれども、私は、過当競争であるか否かという点の判断の基準は、これは一般の消費者に保険会社の内部の競争が迷惑をかけているかどうかという点が一番大事ではないかと思うわけでございます。保険会社が競争する結果、消費者はそれがために非常に有利だという面もたくさんあるわけでございますから、それが行き過ぎまして、消費者に迷惑がかかるという点になりますと、これはもう、やはりわれわれとしては、この事業本旨にかんがみまして、大いにその点については注意をしなければならぬと思うわけでございます。
  74. 草川昭三

    ○草川委員 その積立ファミリーはいわゆる消費者の本当に利益になるかどうかという問題にもなるわけでございますが、実際この積立ファミリーは消費者の得になっていないというような意見もあるわけです。それから、先ほども団体割引の問題等についての意見もございましたけれども、一体消費者のニーズにこたえる本当の意味での保険というものを私どもは売ってもらいたいわけです。そして同時に、信頼性の高いものにしてもらいたいわけでありますし、後ほども触れますけれども代理店代行業務等の問題等も含めて、一体どういうような保険というものがこれからのこの車の多い段階で必要なのかということをぜひ私は考えていただきたい、こう思うわけです。  それでいまのようなことを申し上げたわけでございますが、たとえば今度は自賠責の問題でもそうですけれども自賠責獲得にも実は保険業界の中で非常に異常な過当競争が行われておるし、それから自賠責で、代理店の場合でございますが、乗り合い代理店というのがあるわけですけれども、乗り合い代理店の取り合いというのですか、色をつける、プラスアルファをつけるというのですね。いまは保険の手数料が幾らかわかりませんけれども、たとえば自賠責保険一件について千七百円も払う。通常千二百円なんだけれども、五百円一件についてプラスアルファをする。それで、乗り合いの代理店は、いい方へ行く。それの窓口のエージェントというのですかセールスというのですか、従業員の方々は、当然、第一線の立場ですから、あそこがいいのに君のところは何だというような形で、ノルマが一方では課せられる反面苦しい状況にあるというような話もあるわけでございますが、自賠責獲得のために会社としてかなり強いセールスをかけておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  75. 平田秋夫

    平田参考人 まず第一点の、積み立て型商品が果たして消費者のためになっているかどうかという点でございますが、実は損保会社というのは、御承知のとおり明治の初年から百年の歴史を持ちながら、つい八十年間余りは全部掛け捨ての保険で来たわけでございます。それは損保というのは掛け捨てが保険の本当のあり方だということで来たわけでございますけれども、御承知のとおり、日本の風土といいますか、世界一の貯蓄心の高い、貯蓄率の高い日本の国では、やはり掛け捨てはどうしてもいやだという層があるわけでございまして、いまから十数年前に初めて長期総合保険という火災保険の積み立て型の商品を売り出しましたところ、非常な勢いで売れた。要するに消費者がそれを待ち望んでおったということが言えるわけでございます。果たしてその保険が有利かどうかという点につきましては、いろいろ人によって違うと思いますが、われわれは、少なくとも消費者が求めておる商品を良心的なあれに従ってやっていくということにつきましては、やはり日本独特のそういう風土に合ったものだというふうに解釈をいたしておるわけでございます。  それから、自賠責の手数料が千二百円のところに五百円余分に出してやっておるところがあるという御指摘でございますが、こういうことはあってはならないことでございまして、もちろんそういうことに対しては厳重注意をしなければいかぬと思うわけでございます。それほど自賠責の販売に対して大きなプレッシャーをかけておるかどうかということでございますけれども、これは各社の営業の姿勢によってまちまちでございますけれども自賠責というものは保険料の絶対額からいいましても、また、自賠責の果たす役割りからいいましても、各社ともおろそかにはできない種目であることは事実でございます。しかしながら、末端においてそういう行き過ぎが出るようなプレッシャーをかけるということにつきましては、これは損保各社の経営姿勢の問題でございますけれども業界全体としてそういう一つの風潮になっていくというような兆しが見えましたときは、協会長といたしましても厳重にこれは指導しなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
  76. 草川昭三

    ○草川委員 私、たまたま五百円プラスアルファの話はそういう実情をちょっと申し上げたわけでございますから、絶対ないことをここで申し上げておるわけではないので、自賠責の位置づけというのが非常に基本になるわけでありますから、過当競争というよりも約束、ルール、こういうことは明確に守っていただきたい、こう思うわけです。  それで、大蔵省との関係についてお伺いをしますけれども損保業界というのはこういう商品等についてもいろいろと日ごろから研究をなすっておみえになるのですが、大蔵省当局とは定例的な懇談会等はやっておみえになるわけでありますか。
  77. 平田秋夫

    平田参考人 業界には月一回、理事会といいまして、各社の社長が集まる定例の会がございます。その席に大蔵当局から出ていただくことになっておりまして、そこでいろいろ行政指導も受けあるいは業界意見も申し述べて、意思疎通を図ることにしておるわけでございます。業界並びに当局とも非常に忙しい日常でございますので、その時間は昼食の時間を利用してやっておるわけでございます。具体的に申しますと、十二時に集合いたしまして、そして弁当を食べて十二時十五分から大体一時半、遅くとも二時までには終わるというような慣例で、そういうふうな運営をいたしておるわけでございます。
  78. 草川昭三

    ○草川委員 そういう席上に大蔵省の方から、たとえば今度の交通安全特別委員会損害保険の問題等についてどの党が質問をするとか、あるいはどの党の方々が何か意見があるようだというような話が出ておるかということを私はお聞きしたいわけですが、そんなことを申し上げても、こういう席上でございますし、大蔵省もお見えになりますからお答えにならぬと思うのです。  私ども実はこれは委員長にお願いをしたいことでございますが、過日来、皆さん業界の中で、今度の事故対策センター等の問題で法案がかかる、社会党の方と公明党の方が質問をするというような話があったという話は聞いたわけであります。私は実は質問通告も全然してないのにどうしてそういう話が来るのかおかしかったわけでございまして、これは委員長を通じて一回大蔵省当局の意見を聞いてもらいたいということで申し上げたわけでございますが、残念ながらまだその返事を私は聞いておりません。  自動車共済の方々も定例的に大蔵省とは同じようにお話をされておると思うのですけれども、これはやはり当局と業界とは緊密な連絡があってしかるべきだと思いますし、それは何もおかしいことじゃないと思うので、せいぜい連絡は密にしていただいて、よりいい商品をユーザーにやっていただいたり、トラブルがあるならそれを解決するために努力をしていただきたいと思いますけれども、私が申し上げたいのは実はエンドユーザーというのですか、エンドユーザーの声は一体業界にどういうように反映をするのかという問題なんです。エンドユーザーの意見というのはこういう議会が直接皆さんに申し上げるという機会も非常に少ないわけでございまして、どうしても行政当局を通じてお話をするということにもなるわけでありますけれども、余りエンドユーザーの実態ということを無視して業界運営がなされるとするならば、私はいずれそのしっぺ返しというものは来ると思うのです。  たとえば損保業界の中でも金融機関との間にいろいろなトラブルがあるようにも聞いております。たとえば、金融機関による不当な損害保険募集をやめさせてもらいたい、あるいは銀行員による契約募集をやめさせてもらいたい、金融機関の代理店損害保険会社社員に契約募集の代行をさせることをやめさせてもらいたいという要求が損保業界の従業員の中からも出ておるようでございますけれども損保と金融機関との間もいろいろなやりとりの関係がありますから複雑な関係があると思うのですけれども損保業界というのはいま申し上げましたように、関係方面だけを大切にするのではなくて、繰り返し申し上げますけれども、一般の加入者、エンドユーザーというものを大切にするようにお願いをしたいということを要望を申し上げておきたいというように思います。  それから、これはほかの先生方もいろいろとお話があったと思うのですけれども代理店示談代行の違法性という問題が繰り返し言われておるわけです。保険業界としての代理店業務はさることながら、代理店示談代行という問題は、結局一つそのこと自身が法律違反ではないかという問題があります。  それからもう一つは、加害者モラルの低下を招かないかという問題があると思うのです。非常に近代化してまいりますと、商品の売り方のセールスポイントの大きな要素に代理店示談代行というのが非常に大きな役割りを果たすわけでございますので、余り過度な示談代行というものが行われますと、いま申し上げたように、モラルの問題に非常に大きな影響を与えるので、その点はぜひ業界の内部の指導として適正な措置をとられるよう要望申し上げておきたいと思うのです。このような点についてどのようにお考えになっておられるのか、平田さんにお伺いします。
  79. 平田秋夫

    平田参考人 代理店示談代行に関しての先生のあれでございますが、まず代理店の実態を申し上げますと、代理店の基本業務は保険契約の締結であることはもちろんでございますけれども代理店が締結した契約保険事故発生いたしました場合に、契約者のほとんどの方がまず最初に代理店に連絡されるという実情はこれも実情としてあるわけでございます。  代理店保険会社との代理店委託契約書ではその第十条に、代理店は遅滞なく事故状況を保険会社に通知しなければならない、また被保険者保険金請求手続を円滑に行えるよう援助するものとするという規定がございます。それから第十一条に、代理店保険会社から求められた場合を除いて、会社のてん補責任の有無及びその額について何人に対しても意見を述べてはならないというふうに定めておるわけでございます。  したがいまして、私ども代理店に対しまして、ただいま申し述べましたこと以上に逸脱しないように日ごろ十分に注意をいたしておる次第でございますが、業界といたしまして代理店に対して契約者にかわって示談代行を行わせるような指導は一切いたしておりません。万一御指摘のような事実がありますれば、これは改善指導していきたいと存ずる次第でございます。  ただ、代理店契約者は通常懇意の間柄にあることが普通でございますので、中には保険会社が知らないところで代理店代理店としてではなくて個人として契約者から委任を受けて無償で交渉の当事者となっている例はあるかと思います。したがいまして、このような点から、先生の第二番目のことでございますが、御指摘の募取法とか保険業法あるいは弁護士法違反のような点はないわけでございます。  それから、順序が逆になりましたけれども第一点の、このようなことがモラルの低下を助長するようなことになっていないかという点は、先ほどもほかの先生からの御質問に答えたわけでございますけれども、われわれは示談代行することによって契約者がいわゆる社会的な責任道義的責任、こういうものを果たさないようにならないように、保険契約の際あるいは事故が起こりました際に十分にそういう点について配慮をして指導いたしておる次第でございます。
  80. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、実はその代理店の代行業務等については平田会長も大正海上火災でございますか、その関係のところにも現実にはあるわけです。最後におっしゃいましたように、個人としての無償を条件にというお話がございましたが、現実にはセールスの段階ではこれが大きなセールスポイントになっておるわけでありますから、ひとつ慎重の上にも慎重な対応を立てられることを要望いたしまして、大変失礼なことも申し上げましたがお許しを願って、私の質問を終わります。
  81. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、玉置一弥君。
  82. 玉置一弥

    ○玉置委員 今度は十三分でございまして、手短にお願いしたいと思います。  今回、先ほども申し上げましたように、損害率あるいは事故率というものが次第に低下をいたしておりまして、特に自賠責保険保険料率を引き下げるという動きがあるように聞いておりますけれども、まずなぜ下がってきたのかということ、それからやはり経営面から考えて、補償をする体制をつくる、維持をしていくという面から考えて、ここ当分の間どういう様子であるかというその辺をお聞きをしたいと思います。
  83. 平田秋夫

    平田参考人 ただいま先生が自賠責料率とおっしゃいましたけれども、これは民保の保険料率のことだろうと思うわけでございますが、くどいようでございますけれども料率算定会の所管事項でございますので、私はこの場所で正式に意見を述べる立場にはございませんけれども、先ほども言ったことでございますけれども、五十四年末に実施されました道路交通法が損害の軽減に非常に大きく影響したということもございます。それから、たまたまそれと同じ時期に非常な暖冬がございまして、これまた交通事故の軽減に非常に大きく響いた。したがって、これはいずれも一過性の原因でございますけれども、そういうことによりまして事故率が下がっているということが主な原因であるだろうと私は思うわけでございます。しかしながら、現在の傾向を見てみますと、事故はまた徐々にふえておりまして、損害率は徐々に高騰していく傾向にあります。したがいまして、料率は絶えず検証し、その都度結果について上げ下げをするというふうになっていくことになると思いますが、この点につきましても、先ほどもお話がございましたけれども、現在開かれておる保険審議会で今後は検証も毎年やる、それからそれに伴う料率の調整もできるだけ速やかにやるというような方針が審議されておりますので、そういう答申案が出るといたしますと、今後はそのように算定会がやっていくだろうというふうに思うわけでございます。
  84. 玉置一弥

    ○玉置委員 一時期だけ見て料率を上げ下げするというと公定歩合になってしまいますので、調整機能ということよりも、やはり適正料率という面から見て異常負担にならないかどうかあるいは体質を弱体化させないか、その両にらみでやっていかなければいけないと思うのです。余り極端に上げ下げすると非常に戸惑う方がふえてくると思います。そういう面で慎重に対処をお願いしたいと思います。  そこで、最近、実際保険金支払い額の算定の際に聞きます話は、一つは、保険会社事故加害者側と結託をすると言っては言葉が悪いですけれども、要は支払う金額が少なければ、よけいな支払いがなくなるわけですから、そういう面でかなり保険金額そのものを抑えるような工作をしているのではないか。先日の委員会の答弁の中に、これは警察庁の方なんですけれども事故の調書については保険の際に使わないといいますか、あれは保険の場合は示談書か何かだと思いますけれども、各警察署で保管をしております事故の調書、そういうものについては使わないということになっているはずですけれども、実際具体的な動きを調べてみますと、個々にはそれを活用されているという実態があるわけです。その辺で、本来、被害者救済、要するに、担保能力のない人が事故を起こしてそれを担保するということから始まっているわけですから、無理やり抑えつけるというのは保険の本来の目的にそぐわないのではないか、そのように思うわけですけれども、その辺の実態をどういうふうに解釈をされ、どういうふうな日ごろの指導をされておりますか。その辺についてお聞きしたい。
  85. 平田秋夫

    平田参考人 損害がありました場合に、支払い額といいますか、損害の査定額を抑える、そういう角度は保険会社にはないわけでございます。あくまでも保険というものは、先ほど来から申し上げておりますとおり、契約者保護あるいは被害者救済という一つの大きな目的があるわけでございますから、そういう大きな本旨を外れるようなことは、一切われわれとしては考えておらないわけでございます。  ただ御承知のとおり、たとえばけがの場合の過剰診療とか、あるいは先ほども話が出ましたけれども、修理工場等における修理費の過大な見積もりとかいうようなことはありがちなことでございまして、これはやはり適正な支払いをするという原則から見ましても、こういう過剰なものあるいはそういう異常なものにつきましては、公平の原則から見ましても、あるいは先ほど来話が出ております社会悪の助長というようなことにならないようにという点から見ましても、そういう点についてはやはり保険会社としては相当厳しく調べなければいかぬという点はございます。  それから警察の調書といいますか、これは警察の事故証明を取りつけるということは、現在も励行しているわけでございます。以上でございます。
  86. 玉置一弥

    ○玉置委員 先ほどの過剰診療といいますか、そういうふうな場合とか修理費の場合とか、それはたとえ増員をしても十分採算のとれる事項だと思うのですね。そういう面での審査というのを厳しくしていただきたいということと、それから事故の単なる現象面だけをとらえるんじゃなくて要因ですね、なぜ起きたかという面での査定といいますか、そういう面をやはり重点的にやっていただきたい、かように思うわけです。  最近の事故、連帯保証的な要素も非常に出てきておりますし、日本坂トンネルのように大変多数が絡み合うという状況もありますけれども、この前の答申にもございましたように、新しい社会変化への対応という面で、いままでと違って、特に自動車が大変大きく伸びた現段階、これからの保険あり方、答申は答申で出ますけれども、それとは別に業界としてどのようにお考えになっておられますか。
  87. 平田秋夫

    平田参考人 今後の損害保険がどういう考えで運営されていくかという点でございますけれども、一言にして言いますと、社会の変化に応じて、いわゆるユーザーといいますか、需要者のニーズがどういうところにあるかを的確にわれわれがつかみまして、それに合うような保険を売り出していく、そして事故の際に万全のサービスをしていくということに尽きるわけでございます。もちろん言うまでもなく、こういう時世で危険が巨大化してまいりますので、どういう巨額の事故がございましても十分に払えるような保険会社の資産の充実といいますか、担保力の充実という点についてはわれわれはもう十分に心得なければならぬと思っておる次第でございます。
  88. 玉置一弥

    ○玉置委員 先ほどのお話の中にもありましたように、公共性あるいは社会性という面の具体的な動きといいますか、従来、株式会社でありますから当然営利を目的として運営されておりますけれども社会保障制度といいますかの一環でもあるというような感じがするわけです。ところが、個々の動きを見ておりますと、何とか会社の拡大を図り、そしていかにして利益を得るかという動きが目立つわけでございますけれども、いままでのとおりで果たして社会性あるいは公共性というものが定着し得るかどうかという懸念を持っているわけでありますが、その辺についていかがお考えですか。
  89. 平田秋夫

    平田参考人 社会性公共性の点でございますが、損保事業は、事改まって言うまでもございませんけれども、私企業でございまして、私企業である限り適正な利潤を追求することは当然でございますけれども社会性公共性の非常に強い事業であるという本質を経営上絶対に忘れてはいかぬわけでございまして、この点につきましては、われわれ経営者としても常に念頭に置いておるわけでございます。したがいまして、社会性公共性をさらにどういうふうに発揮していくかという点につきましては、ただいまも行われておる保険審議会でいろいろと議論されておりまして、まだまだ不十分な点につきましてはわれわれも今後十分充実するように努めていきたいと思う次第でございます。
  90. 玉置一弥

    ○玉置委員 先ほどから代理店の話が出ておりますけれども損保関係全国で二十八万くらい代理店があるという話を聞いております。特に自賠責保険料の中身を見てみますと、代理店の手数料が六・七%、あと、会社の取り分といいますか、それが一九%くらいですか、非常に率として高いわけですね。保険金が残りの七十数%しかないということになるわけでございますけれども、普通一般の商事会社というものを考えてみた場合に手数料というのは全体で一二、三%しかないわけですね。それだけで十分商事会社としては運営できる。一般の小売店、卸業というものを見ても一八%ぐらいでやっておられるわけですけれども代理店が六・七、これが通常三%ぐらいと言われておるわけですね。そういうものに対して高いのではないか。保険会社の取り分として、資産運用というものも考えて、手数料の中に本来別枠として運用分の利益還元ということで考えていかなければいけないと思うのです。それも当然の責任であると感ずるわけですけれども、そういう面から考えて、いわゆる契約者のサービスという面あるいは今後の健全経営という面から見て、まだまだそういう努力が足りないのではないかと思いますけれども、その辺について一言。
  91. 平田秋夫

    平田参考人 御承知のとおり、自賠責保険はノーロス、ノープロフィットということで、保険会社の利益は一銭もといいますか、一切認められておらない保険でございます。代理店手数料は、ただいま先生おっしゃったように、先ほども出ましたように、いま一件千二百円でございますが、あとは保険会社の経費の実費をいただいておる、利益は一切ないという保険でございます。それから自賠責で預りました保険の支払うまでの期間の、運用益と言っておりますけれども、この運用益につきましてもそれぞれルールに従って還元をいたしておる次第でございます。
  92. 玉置一弥

    ○玉置委員 では、時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。
  93. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、中路雅弘君。
  94. 中路雅弘

    ○中路委員 参考人皆さん本当に遅くまで御苦労さんでございます。私で最後です。  最初に大蔵省にちょっと一言お尋ねしておきたいのですが、自賠責保険の滞留資金ですね、いわゆる運用益は各社ごとに経理区分されていると思いますけれども昭和五十年以降の各年度ごとにどのように変遷しているか。総額でいいです。あわせて、四十六年度から滞留金の運用益による事業が行われているわけですが、各年度ごとの使用額の変遷はどうなっているか、簡単に御報告いただきたい。
  95. 松尾直良

    松尾説明員 四十六年度からというお尋ねでございますが、古い資料はちょっと持ち合わせておりませんので……(中路委員「五十年からで、新しいのでいいです」と呼ぶ)はい。まずそれぞれの年度におきます運用益でございますが、五十年度百八十億円、五十一年度百九十五億円、五十二年度百五十九億円、五十三年度百三十八億円、五十四年度百六十二億円、それから使用額でございますが、五十年度二百四十一億円、五十一年度百三十三億円、五十二年度百三十七億円、五十四年度七十億円、以上でございます。
  96. 中路雅弘

    ○中路委員 いま御報告をいただいた運用益の使い道の問題なんですけれども自賠責の審議会の中でも、脳外科の専門医の早期の大量養成の問題で運用益が使われるべきであるという答申が出されていますけれども、実際言いますと、外科医の育成のためであるということで脳外科用の医療機器を五十四年にも国公私立の大学に寄贈されているわけですが、この寄贈されている脳外科用の医療機器とはどういうものかということと、五十五年度には大学で何校に寄贈されたのか、どのくらいの費用なのか、おわかりになりましたら。おわかりになりますか、会長さん。
  97. 松尾直良

    松尾説明員 恐縮でございますが、突然のお尋ねなのでちょっといま資料を持ち合わせておりませんので……。
  98. 中路雅弘

    ○中路委員 会長さんは御存じだと思いますけれども、この機器はスキャナーという脳の疾患の診断機器として大変有用なものだということをお聞きしていますけれども、五十年で見ますとたしか一台一億五千万円していますから、いまはもっと高いんじゃないかと思います。非常に高価な機器を一律に大学に寄贈するということが運用益の使い道として適切であるかどうかということについて、私意見があるわけですが、大変おくれています地域の救急医療体制の整備ということもいま大変問題になっていますし、こうした点に優先させる必要があるんじゃないかという意見も聞いています。この機器を地域のこうした基幹的な医療機関に配置していく必要があるのではないかという考えを私は持っておるわけですが、このこととあわせて、運用益の支出対象についての基準というのは設けられているのかどうか、二点ばかりお尋ねしたいと思います。
  99. 松尾直良

    松尾説明員 協会長にお尋ねでございましたが、先ほど協会長からも申しましたように、運用益は形式的、法律的には保険会社の財産でございますけれども自賠責保険という強制保険の特質にかんがみまして、その処分権は損害保険会社に自由にされるべきものではない、こういう考え方から、その運用につきましては損保会社以外の中立第三者的な立場の方の御審議を経て決める、こういうことで運用してまいっておるわけでございます。その基本方針というのは自賠責審議会の方で御審議を願って、すでに何回か御答申をいただきまして、その基本線に沿って中立第三者によりまして具体的に運用を決めていただく、こういうことでやっておるわけでございます。  一番最近の自賠責審議会の答申が五十三年であったかと存じますが、運用益につきましては将来の保険料収支のバッファーに充てるほか、救急医療体制あるいは交通安全対策にも使用する、こういうのが基本方針でございまして、時代とともに少しずつ考え方は変わっております。かつては救急医療体制の整備、その中でも特に脳外科医の育成というのが非常に緊急であるということで、いま御指摘のありましたスキャナーというものを大学病院に、いわば研究施設と申しますか脳外科医の育成という目的で配分していくということにかなり重点が置かれたわけでございますが、最近の答申の考え方は、将来の保険料収支のバッファーに充てる、つまりこれは契約者に還元するのが本筋ではないか、それを主体として一部を交通安全対策とか救急医療体制に使用するというお考えであろうかと思うのであります。  この医療施設というのは、御案内のとおり全国に何十万とあるわけでございまして、現在まで運用益から救急医療体制として支出されておりますのは大体日赤と済生会とにしぼって行われておる。この考え方につきましては日赤、済生会というものがそれぞれ全国にかなりな病院を持って救急医療に当たっておられる、また、相当程度民間の寄付等に依存をしておる形の組織である、そういったことに着目をしてここに集中的に行われてきたという考え方であろうかと思うのでございます。このスキャナーというかなり高価なもの——いままで治療用ということで運用益から支出はいたしておらないわけでございます。全国にそれだけたくさんの病院がございますので、なかなかそこをしぼり切れないという問題もございましょうし、それはあくまでも脳外科医の育成だという趣旨で配ってきたわけでございます。救急医療体制にどの程度、また対象をどういうものに配るかということは、私どもも運用益運営委員会の諸先生の御意見も伺いながら毎年度その運用先を決めていく、こういう考え方で運用しておるわけでございます。
  100. 中路雅弘

    ○中路委員 最後に、一点だけ平田会長さんにちょっとお聞きしたいのですけれども、先ほどもちょっとありました自賠責保険については、ノーロス、ノープロフィットの原則で運営されていますから、定められた支払い基準に基づいて損害調査の結果や損害程度等に応じて一律に算出されていますから、社会的公正の問題は余り生じないと思うのです。むしろ限度額や支払い基準が低いという点も私も話を聞いている点もあるのですが、任意保険の点では強制保険でないために過当競争という面もあって、大口契約者に甘く査定するという例も聞いているわけです。いわゆる政策払いといいますか、こういうことも聞いているんですが、こうした原因の一つに、任意保険に明確な支払い基準がないからではないかというふうにも思うのです。この点については対人のあれでは一応支払い基準があるんだということもお聞きしていますが、公開もされていないようですし、その他、対物を含めてこうした基準を明確にする必要があると私は思いますが、お考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  101. 平田秋夫

    平田参考人 支払い基準があるかないかというお尋ねでございますけれども、任意保険支払い基準は、裁判の判例の動向とその認定基準等をにらんでつくっておるわけでございます。したがいまして、そういう基準をつくっておりますけれども、この基準をもって被害者に押しつけるということになりますと、また被害者保護立場から問題が出てまいりますから、そういうことのないように、運営に当たっては十分に注意をいたしておるわけでございますけれども、そういう基準はつくっておることを申し上げておきます。
  102. 中路雅弘

    ○中路委員 時間ですので終わります。
  103. 斎藤実

    斎藤委員長 平田参考人細江参考人に申し上げます。  本日は、長時間にわたり御出席をいただき貴重な御意見をお述べくださいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十七分散会