運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-03-20 第94回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 斎藤  実君    理事 浜野  剛君 理事 林  大幹君    理事 水平 豊彦君 理事 安田 貴六君    理事 沢田  広君 理事 永井 孝信君    理事 草川 昭三君 理事 玉置 一弥君       阿部 文男君    浦野 烋興君       鹿野 道彦君    亀井 善之君       玉生 孝久君    塚原 俊平君       中村喜四郎君    丹羽 兵助君       鳩山 邦夫君    小野 信一君       後藤  茂君    新盛 辰雄君       三浦  隆君    中路 雅弘君       伊藤 公介君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      中山 太郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   安孫子藤吉君  出席政府委員         総理府総務副長         官       佐藤 信二君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      仲山 順一君         警察庁交通局長 池田 速雄君         運輸政務次官  三枝 三郎君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 犬井 圭介君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省道路局長 渡辺 修自君  委員外出席者         文部省体育局学         校保健課長   長谷川善一君         厚生省医務局指         導助成課長   小沢 壮六君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         郵政省電波監理         局監視部監視業         務課長     筒井 正夫君         消防庁予防救急         課長      山越 芳男君         日本国有鉄道施         設局踏切課長  斉田  登君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     亀井 善之君   中西 啓介君     鳩山 邦夫君   新盛 辰雄君     小野 信一君 同日  辞任         補欠選任   亀井 善之君     関谷 勝嗣君   鳩山 邦夫君     中西 啓介君   小野 信一君     新盛 辰雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及  び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一四号)      ————◇—————
  2. 斎藤実

    斎藤委員長 これより会議を開きます。  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
  3. 永井孝信

    永井委員 今度かけられているこの議案について集中的に質問してみたいと思うのであります。  まず初めに運輸大臣に対してお聞き申し上げますが、第二次の総合対策踏切道改良促進法の改正は、昭和五十一年から五十五年までの五カ年間に連続立体交差化三百キロメートル、そうして単独立体交差化五百カ所の改良を行うことを目標に掲げて整備してきたのですね。その目標もある程度成果が得られたように思うのでありますが、しかし、五十四年度においては事故件数も千三百十七件、国鉄では八百三十九件、民鉄で四百七十八件、これだけ事故件数が出ているわけです。これに伴う死者は二百九十六人、負傷者が六百四十一人、死傷者の合計は全部で九百三十七人に上っておるのでありますが、この種の重大事故というのは依然として後を絶っておらないのが実情であります。この実態に対する政府取り組みと今後の対応策について、運輸大臣としての決意を冒頭にお聞きしたいと思う。
  4. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 交通事故特に踏切事故でございますが、これの防止を根本的にやろうといたしますと、鉄軌道はできるだけ道路と交差しないのがいいし、道路とのかかわり合いが少ないほど事故が少ないと思うております。でございますから、私たちといたしましては、規定どおり連続立体交差化なり単独立体交差化事業を進めていきたいと思うておりますし、それと同時に、私が最近感じますのは、踏切構造が非常に無理なところも若干あるように思うております。たとえば、非常に交通量の多いところでも自動閉鎖機を使っておるようなところがございまして、そういうところは交通量が多いがためにどうしても自動閉鎖機を無視して通る、私どもの選挙区ではそういう事故が比較的あるのです。そういうところに対してはやはり監視制度を別なものをちゃんとつくるようなことも必要じゃないかと思うております。いずれにいたしましても、事故が依然としてふえつつあるということに対しましては非常に遺憾のきわみであります。
  5. 永井孝信

    永井委員 いま大臣の御答弁の中に、たとえば構造上無理な点が多分にある、何らかの監視制度というのも必要ではないかという示唆があったわけでありますが、たとえば立体交差化を進めるに当たってなかなか目標どおりにスムーズに進捗しないという場合、立体交差化がされるまでの間、自動遮断機はあってもある程度重要な踏切道についてはやはり要員を張りつけることなどが、交通事故を絶滅するという観点からいくとむしろ必要なのではないか。  天王寺の阪和線に魔の踏切と言われておるところがあるのですが、ラッシュ時になりますと一時間のうち五十七分間もひどいときは遮断機がおりている。これは立体交差化計画があるのですが、地元の問題もあってなかなか進捗していない。国も府も、予算をつけたとしてもなかなかこのことが実行できないという実情にあるわけです。そこには遮断機があって踏切警手、そういう職員の方も配置されているわけでありますが、それでもなおかつ待ち切れずに踏切の中に入って死亡事故を起こすという現実が出てきているわけです。だから魔の踏切だと言われている。こう考えると、その辺の監視体制というのは、そういう特殊なところについては、極端なことを言えば踏切警手だけに任せるのではなくて、むしろ公権力が発揮できるような人たちもそういう重点的な時間帯には張りつけるぐらいの配慮が欲しい、このことを私は強く要望しておきたいと思うのであります。  その次に、踏切事故のピークというのは、自動車事故よりも十年ほど早い昭和三十年代に訪れているわけです。政府側のいろいろな資料を調べてみますと、昭和三十五年度の踏切事故発生件数は実に五千五百四十八件もあったのです。したがって、最近の五十四年度に比べるとその当時は四倍もあったということになるわけです。このような踏切事故激増期を経過してきて、踏切道改良促進法あるいは交通安全対策基本法あるいは総理府交通安全対策室というものが設置された。そして、鉄道事業者あるいは道路管理者警察庁、または都道府県などの自治体、これらが一体となって事故防止に取り組んできて第一次の踏切事故防止総合対策というものがスタートしていると私は理解しているわけです。その後第二次総合対策が進められて、その効果が、立体交差化などによって踏切道がだんだん減少してくる、踏切事故大幅減少となって出てきているのでありまして、踏切種類別事故件数を見ましても五十四年度では千三百十七件に減ってきているわけです。そう考えていきますと、事故件数が減ったということと、件数は減ったとしても依然として踏切重大事故が絶滅できないでいるという状態の中で、その事故自体分類件数は減ったけれども、どういう事故が起きているのかという分類、たとえば衝撃物別あるいは自動車種類別、こういうものをいま起きている事故内容で言えば具体的に一体どういうように分類できるか、これを示してもらいたいと思うのです。
  6. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  五十四年度の数字でございますが、いま御指摘踏切事故衝撃物別分類でございますが、千三百十七件の全体の中で自動車がやはり大宗を占めておりまして九百九件、六九%でございます。そのほか歩行者が百八十六件、一四%、軽車両が百五十件、一一%、その他六%、こういうような分類になっております。それから、さらに自動車種類別分類いたしますと、九百九件の内訳でございますが、普通乗用車が五百三十三件、五九%、貨物自動車ダンプカー等が二百四十七件、二七%、その他二輪自動車で一四%、こういうような分類になっております。
  7. 永井孝信

    永井委員 いまそういうお話を数字別にはお聞きしたわけでありますが、踏切道改良促進法でいきますと、交通事故防止交通円滑化に寄与するということを目的としているわけです。この踏切事故内容をいま見ますと、御答弁もあったわけでありますが、十人以上の死傷者を出した重大事故というのは最近一年間に四件発生しているわけです。自動車大型化に伴う事故も出てきている。そうして、踏切事故をいま言われたように種類別分類はできるわけでありますが、ここに安全対策という資料、これは政府の出した資料でありますが、これを見ましても、電車や列車の直前横断が二百三十四件、二八%にも上っている。これを中心にして無謀通行というものが後を絶たない。国鉄の場合五百三十二件、そして民鉄の場合三百十七件。パーセントで見ると、この五百三十二件というのは全体の六三%、民鉄の場合の三百十七件というのは六六・三%に該当するわけですね。この実態運輸大臣あるいは建設大臣としてもどのように受けとめて、実際この踏切事故防止するための対策を進めようとしているのか、少し内容的に御説明願いたいと思うのです。
  8. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、踏切事故の大半を占めておりますのが直前横断あるいは無謀運行というような態様でございます。全部を合わせまして、直前横断無謀運行等が六二%、八百二十二件というふうな現状でございまして、これは今後の対策におきまして非常に問題であろうかと思います。  二面考えられますが、こうしたことに対応するために踏切保安設備整備というようなハード面、これが第一番でございますけれども、それだけでなしに、踏切を通行いたします自動車運行者等に対しまして、より一層安全意識を高揚するというようなソフト面対策が一層推進されることが必要であろうかと思います。  今後、踏切対策につきましては、自動車が運行される踏切道につきましては原則的に遮断機を設けるということがどうしても必要になってくるということで、今後の新しい第三次の計画におきましてはこうした観点から十分にハードの面もやっていきたい、またソフトの面ではより一層、全国交通安全運動等を通じまして注意を喚起したい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  9. 永井孝信

    永井委員 踏切保安設備整備費補助について一つお伺いするわけでありますが、五年サイクルで中小民鉄対策として継続しているわけですね。この新計画補助率というのは、整備にかかった工事費について赤字を計上した会社に対して補助することになっておるのでありますが、国が二分の一、地方公共団体が三分の一、そして今度の新年度予算では、金額的に申し上げますと三十五億九千万円、そのうち民鉄分は五億三千二百万円計上されているわけですね。この整備目標は五カ年間で千六百カ所の踏切対象としているわけでありますが、整備を図ろうとする中小民鉄関係はいま厳しい経営難に置かれているわけですね。この公共交通経営難というのは何も国鉄だけの専売特許ではない。民鉄関係についても非常に厳しい状況に置かれている。そういう中で、この工事補助をするについては、むしろ補助基準緩和ということを求めてきているケースが非常に多い。この実態を私たちが十分に把握をして、それにこたえていかなくてはいけない、そして、この踏切安全対策ということについては実効の上がるようにしていかなければいかぬ、こう思うのでありますが、この補助率アップというものを考える余地はないのか、これをお聞きしたいと思います。
  10. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 おっしゃるとおり、中小民鉄、なかなか苦しい実情の中で踏切対策実施しておるわけでございます。御指摘のように、中小私鉄につきまして補助対象は、鉄軌道事業単独の場合に損失を計上したり、あるいは固定資産営業利益率七%以下、それから全事業につきましても損失を計上するというようなわりかし厳しい補助対象制約がございます。  御指摘のようなこうした制約をもう少し緩和したらどうかというような気持ちは十分ございますが、現下の厳しい財政事情の中で、私ども今後とも努力いたしたいと思いますが、なかなかこの緩和につきましてはむずかしい問題であろうか、このように思う次第でございます。
  11. 永井孝信

    永井委員 いま鉄監局長からそういうお答えを聞いたのですが、大臣としての決意はどうですか。
  12. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御承知のように、踏切道の安全というのは、鉄道業者たる者は十分な自分の責任で行うべきものであるというこの原則は、御承知いただけると思うのです。ただし、それをやるにいたしましても、鉄道事業者、企業が赤字ではしようがない、これではなかなか進まないからというので補助事業が採択されておるわけでございますが、私たち補助率アップ、これは現在の財政上なかなかむずかしいと思うております。しかし、個別にいろいろな指導もし、民鉄が積極的にこれに取り組んでくれるならば、われわれは融資の面だとかいろいろな面で応援し得るものはある。それは運輸コストとしてやはり将来においては計算されていくべきものでございますし、そうするとあながち補助制度だけがこれを促進するというものではないように思うのであります。だから、こちらの方の安全に対する厳しい指導とそれに対する民鉄業者取り組み、こういう問題についても一段と促進していく必要があるように思うております。
  13. 永井孝信

    永井委員 私は、民鉄経営者にとってみれば、踏切を幾ら改良しようとも踏切に投資することによって乗客数がふえたり、踏切に投資することによって利益が上がるというものではないだけに、政府のそういう交通対策上の補助によほどの大胆な取り組みがないと、経営が苦しいだけにどうしてもそういうものは後回しになっていく、これが私はいまの全国踏切道改良がおくれている一つの原因でもあると見ているのですよ。だから、いま大臣が言われたように自前が原則だ、こう言われてみても、そのことだけで事足りるということにならない、補助をするという以上は実効の上がるということを念頭に置いて、この補助率というものもアップを考えるべきだ、こういう強い要望を私はここで改めてしておきますので、ひとつ大臣の方も検討してもらいたい、このことを要望しておきます。  それから次に、踏切道立体交差化事業及びこの構造改良事業について鉄道事業者道路管理者とが協議する必要があるのは、立体交差化構造改良計画を作成する場合とその実施に要する費用の負担割合を定める場合であるということになっているわけでありますが、法律上の規定協議が成立しない場合の手続は実は置かれていないのですね。仮に協議が成立しない場合の取り扱い及び措置はどのようになさるのか、ひとつお聞きしたいと思うのであります。明確に答えてください。
  14. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  両者協議、円満に協議するように、またそれが成立するように期待をしておるわけでございますが、どうしても両者の間で協議が成立しない場合、こういうことは余りないと思いますけれども最後手段としてとり得る法律上の措置といたしましては道路法の第二十条あるいは第三十一条あるいは第五十五条というふうな規定がございまして、運輸大臣建設大臣が再協議をいたしましてこれを決定する、あるいはまた運輸大臣建設大臣が共同いたしまして裁定をする、こういうような規定に従いまして実施をするということになろうかと思います。
  15. 永井孝信

    永井委員 鉄道事業者または道路管理者立体交差化計画に従って当該踏切道改良計画どおり実施しない場合における、いわゆる踏切道関係法に基づく改良を強制するという手段はあるのか。いまの答弁を聞きますと、なかなか強制するような手段というふうにも受け取れないのでありますが、しかし交通対策という面からいくと、ある程度強い力というものが求められてくる。この辺の関係について、もし強制する手段があるとするなら何を根拠にできるか、もう一度お答え願えますか。
  16. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 踏切道改良促進法におきましては、その強制規定はございません。万が一、正当な事由がないのに改良計画に従いまして改良実施しないというような場合におきましては、国鉄にありましては日本国有鉄道法、それから民鉄につきましては地方鉄道法あるいは軌道法というような法体系ができておりまして、この法律に従いましていわゆる監督命令が発せられることになっております。こういう事態になるということは異常事態でございまして、めったにあることではないと思いますが、どうしても対応がそういうことでなければまずいという場合には、最後手段をとりまして監督命令を発するということもやむを得ないかと思います。  この命令に違反しまして、なおかつしないというような場合におきましては、国鉄の場合においては罰則、それから私鉄の場合におきましては役員の解任というような法律上の最後手段がございます。いままでそういうことはありませんが、そういうことのないように十分指導してまいりたい、こう思っている次第でございます。
  17. 永井孝信

    永井委員 運輸大臣にお聞きするのでありますが、踏切道の問題は時間がありませんので深く突っ込みませんけれども、次に、最近の交通問題というのは交通需給アンバランスが改善できないまま依然として交通の混雑というものが激化してきているわけですね。政府は、現在の交通需要がどのような理由で各分野に配分されているか、その問題についてどのように認識されておるか。認識しておられるとするならば、今後の総合交通体系の進むべき方向というものをどのように考えていらっしゃるか、基本的な見解をお聞きしたいと思います。
  18. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 その問題につきまして現在、運輸政策審議会におきまして今後の交通機関の制限あるいはそれの配分等につきまして研究いたしておりまして、その担当官がちょうど来ておりますので、審議内容等を説明いたさせます。
  19. 石月昭二

    石月政府委員 お答え申し上げます。  交通需要がどのように配分されるかという御質問でございますけれども、私ども交通につきましてもやはり利用者の自由な選択というようなものが尊重されなければならないと基本的には考えております。  しかしながら、先生承知のように、交通の場合におきましては、たとえば大都市交通のように交通空間上の制約のある問題もございますし、また、最近激化しております環境問題というようなことで環境上の障害があって、自動車の増加というようなことについても一定の制約があるというようなケースもございますし、さらにはエネルギー問題のように供給の先行き不安といったようないろいろな制約条件がございます。     〔委員長退席水平委員長代理着席〕 したがいまして、利用者選択するからといいましてその選択に応じまして供給をふやすということについてはかなり問題がございます。したがいまして、そういう諸制約条件を踏まえながら、なおかつ各交通機関の持つ特性というものが十分に発揮できるような、それでなおかつ利用者のニーズに対応できるような方向需要を調整、誘導していかなければならない、このように考えている次第でございます。  また、現在運輸政策審議会でそういう基本的な認識に立ちながら、最近激化しておりますもろもろの制約条件をもう一回詳しく分析いたしまして、それから特に最近では、御承知のように安定成長時代に移りまして、施設整備等につきましても財源の調達等にいろいろ問題が出てまいっておりますので、高度成長時代と違いまして、航空も新幹線もというような重畳的な施設整備から、いろいろ知恵と工夫を用いまして、できるだけ各交通機関特性を組み合わせた効率的な交通体系を形成していかなければならぬ。このように基本的に考えておる次第でございますけれども目下運輸政策審議会でいろいろ御議論をいただいておりますので、その結論を待ちまして八〇年代の交通政策というものにつきまして方向を出していきたい、このように考えている次第でございます。
  20. 永井孝信

    永井委員 効率的な交通体系を検討していくと言われているわけでありますが、そうすると、全体の交通需給アンバランスを解消するという立場から考えて、鉄道というものの交通体系に占める位置づけはどのように考えていらっしゃるのですか。
  21. 石月昭二

    石月政府委員 御承知のように、鉄道は非常に大量な物を高速で運びます場合にコストが安く、それから時間が正確であり、なおかつエネルギーの消費も非常に効率のいいものであるというぐあいに認識しております。したがいまして、このような鉄道特性を踏まえて、鉄道交通における分担すべき分野というものは、第一には都市間の旅客輸送、第二番目には大量の輸送需要があり、なお空間的な制約がございます大都市通勤通学交通というような問題、それからさらには、貨物分野におきましては、大量でありなおかつ定型的な輸送量があるようなところというようなものにつきましては極力鉄道を使う。さらには、鉄道先生承知のように、どうしても小運送が必要でございますので、小運送分野につきましては鉄道自動車をうまく組み合わせまして、鉄道の持つ能力というものを極力活用していきたい、このように考えている次第でございます。
  22. 永井孝信

    永井委員 最近、道路整備というのは、急増する自動車台数から見て、私は著しく立ちおくれていると思うのですね。道路はなるほど延びているのですけれども保有台数ということから見ると立ちおくれている。そのことによって幹線道路や一部の補助幹線道路交通が非常に偏在してきている。そして現実都市環境の悪化という問題に直結してきているわけです。そういう関係から見ると、今後の道路整備というのは、政府の言う財政事情の厳しさ、こういうことから考えると、ますます困難になってくると見ざるを得ないと思うのですね。  このような状況の中で、わが国の自動車保有台数やあるいは運転免許者取得者数が毎年増加している。いままでの当委員会における質疑を聞いておりましても、いま現在四千三百万人と言われている免許取得者が、毎年二百万ずつふえていく。三千八百万台の保有台数がこのごろは免許取得者の数に匹敵するほど二百万台近くふえていく、このように見られているわけです。このような状況の中で先般政府が、いまも総合交通体系のことをちょっと触れてみたのでありますが、国鉄地方線についてその多くを廃止をするという政令を実は決めたわけですね。道路整備が片方で思うように進まない。そういうことを考えると、地方線というものを本当に廃止して将来の大計を誤ることがないのかどうなのか、この辺はもう一度再検討すべきではないかと思うのでありますが、運輸大臣、ひとつお答えいただけませんか。
  23. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 道路と車との相関関係はやはり窮屈になると思っております。しかしながら、これは道路も相当進んでまいりました。御承知のように特定財源を中心といたしまして、道路建設は異常な建設ピッチで進められてまいりました。これに対しましては、道路関係者の努力は私は大変なものであったと思って敬意を表しておるのです。しかしそれを上回る勢いで自動車がふえていった。これは何かといいましたら、やはり車の持つ便利さ、安易さそして快適さ、スピーディー、こういうものが豊かさを求める国民の希望にぴったり合っておった。それで異常に伸びたと思っておりますし、それを裏づける所得もともどもに伸びていったと思うのであります。  そこで、私たちがいま将来の交通体系というものを見てまいりますと、部分的な局地的な交通は、地域的なものは車が中心にならざるを得ないだろう。しかし、都市交通であるとか、あるいは大都市過密地域における交通は、大量輸送の面から見まして鉄道に依存せざるを得ない。そういうふうな区別をして考えていきますと、これからの道路整備というのは、おっしゃるように、地域内における道路整備が非常に大事だ。それをしようといたしましても、これはどうしても地方財政が現在こんなに窮屈なときでございますので、道路建設に必要な投資というものは、私たちの立場から申しますならば、できるだけそういう地域交通に役立つ道路投資を進めていってもらいたいという希望でございますし、できれば、都市交通等の輸送はできるだけ鉄道が責任を持って果たしていく、そういう責任区分等も今後さらに話し合いで決めていくべきではないかと思ったりいたしております。
  24. 永井孝信

    永井委員 大臣の御答弁を聞きますと、なるほど道路交通網は非常に進んできた。全体から見たら確かに進んでいるんですよ。しかし私が言っているのは、いまでさえ年間に二百万台ふえるという可能性がきわめて高い。その片方で、いま審議官が言われていましたように、総合交通体系をいま検討しているわけでしょう。検討しているのだけれども現実財政事情が厳しいと言われている中で来年度の予算を見ても道路財源は伸びがゼロでしょう。事実上ゼロでしょう。そういう状況の中で道路整備が本当に追いつくのか。もし追いつかない、道路整備が不十分なまま終わっていくという場合に、実際この自動車保有台数にこたえていくことができないような状況が現出したときに、片方でそれとは無関係赤字のローカル線だから切り捨てるということでどんどん進めていくことは大きな百年の大計を誤ることになりはしないか。地方の中で交通体系を確立すると言ってみても、そこには、いま大臣が言われたように、自治体の協力も必要になってくる。その自治体が、将来の地方における実情から考えていま地方ローカル線を廃止することは地方における交通体系を非常に混乱に陥れるという実情を訴えているときに、何が何でもそれでも既定方針どおりいこうと言われるのか、あるいはその実情を見て再検討することがあると言われるのか。そこのところをごく簡単でいいですから、大臣もう一回お答えいただきたい。
  25. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御質問でございますけれども、私は、依然として車の需要はふえていくと思います。といって、道路整備がそれに伴わないから自動車を制限して鉄道に移行せしめるといたしましても、それは政策的には私は不可能に思います。と申しますのは、やはり自動車の使用制限というのはとてもできるものではないと思います。でございますから、それでは鉄道を温存してそれだけの需要がふえるかと申しまして、過去のいきさつをずっと見てまいりますと、いわば特定地方交通線と言われる線路のところは逐年密度は残念なから落ちてきております。自動車の使用を完全にとめる手があるといたしますならばこれは話は別でございますけれども、そうでない以上は、やはりそういう地域社会におきます道路整備をできるだけ進めていただくのが国民のニーズに合った政策ではないか、こう思っております。したがいまして、特定地方交通線の対策につきましては、代替道路がないと言えば、これはもう当然鉄道がその使命を果たしていかなければなりませんけれども、代替道路が確保されておるところにつきましてはこの政策は有効に適用させてもらいたいと思っております。
  26. 永井孝信

    永井委員 そうすると、代替道路現実的に着実に整備されていない、こういうところはやはり実態に合って措置をすると私は理解するのでありますが、私がもう一言言っておきたいのは、ニーズにこたえるためにということでどんどん道路をつくっていくとすれば、いまのような状況自動車がふえていけば日本の国土を全部道路で埋めてしまわなければいかぬということになると思うのです。それほどのことができるのか。むしろそれよりも現在あるものを活用するということをより真剣に考えるべきではないのかということを私は申し上げておりますので、その辺の私の申し上げていることを理解していただきたい。限られた時間ですから私は集中的に言っているのでありますが、さらにこの問題、これからも機会あるごとに、委員会の場を通して、大臣とも極端に言えば議論してみたい、こう思っておりますので、きょうはその辺でとめておきますが、私はあくまでもあるものを活用するという前提に立って、必要なときは大胆に見直しをする、再検討することにやぶさかでない、このぐらいの態度はとってもらいたい、このことを強く求めておきます。  その次に、時間がだんだんなくなりましたが、残ったものは午後の質疑に回しますけれども一つだけ自動車構造の問題についてお聞きしておきたいと思うのであります。  最近自動車メーカーによる乗用車の新型車種あるいはモデルチェンジ、こういうことで非常に販売競争が華々しくなってきているわけです。各地で新車発表会あるいは展示試乗会が相次いで開催されている。非常に好奇心をそそるようなことまで実際はやられているわけであります。そのことが私はいかぬと言うわけではないのであります。しかし乗用車の型式によっては交通安全上非常に問題がある面を含んでいる。たとえば、私は細かい型式の名前は知りませんけれども、新しい車のタイプでツードアの車で後の窓ガラスの面積が非常に広い、緩やかなカーブを描いている、こういう車が最近非常にふえてきたわけであります。そういう後面の窓ガラスの面積の広い車は太陽光線の反射が非常に激しい。そのために後からついていく車の運転者が非常に眩惑されて交通事故につながるケースが多いわけです。これは私の経験でありますが、つい一週間前に私日曜日自分で車を通釈しまして、明姫幹線という国道を、四十キロの距離でありますが、走っておったのでありますが、前にそういう車が走っておったのです。午前中なのにまともに窓ガラス全面が太陽のようになるのです。一カ所じゃなくて全面が太陽のように反射するんです。目をあけておることができないんです。といって、遮蔽板をおろすとテールランプだけ見て走らなければいかぬ。これでは交差点などで非常に危ないということで四苦八苦して実は自分が運転したのです。とまって次の車を先に行かせようと思っても、待避線がないために、私は四十キロ走って明石というところに着いたら目が痛くて涙がこぼれてきて、ついにそこで目薬を買って差したのですけれども、こういうことが現実問題非常に多いと思うのです。運輸省は自動車の型式の審査をやっておりますが、こういう審査をやる場合に後面の窓ガラスの反射によるそういう問題点、影響というものを考慮して審査を行っているのか。私は、これは単に自動車の小さい一つ構造上の問題じゃなくて、これだけ自動車台数がふえてきた時点だけにこういう問題も真剣に取り上げてもらわなければいかぬ、こう思うのでありますが、こういう型式審査の関係についてお答え願いたいと思います。
  27. 宇野則義

    ○宇野説明員 お答え申し上げます。  自動車の窓ガラスにつきましては私ども保安基準の規定に従いまして審査をしておるわけでございますが、現在の規定の考え方といたしましては、乗員の被害軽減という見地から、自動車に使う窓ガラスには安全ガラスを使わなければならない、こういう義務づけをいたしておりまして、その点につきまして審査をいたしておるわけでございます。自動車の後面ガラスの反射光による影響につきましては、ただいま先生から御指摘があったわけでございますけれども、私どももこれまでいろいろな事故の事例を具体的に解析するとか、あるいは事故原因等を究明をする過程におきまして、これまでの事故の全体の中では、後面ガラスの反射ということによる原因と申しますか、理由ということは、そう特に目立った形であらわれてまいっておりません。したがいまして、現在、ガラスの考え方といたしましては、どうしてもドライバーから見た視界の確保ということを優先して考えなければならないと思いますけれども、その視界の確保ということと反射光との関係につきましては、技術的に非常にむずかしい問題がございまして、今後の問題として残されておるわけでございます。したがって結論で申し上げますと、現在のところ構造面における眩惑防止の審査は行っておりませんし、世界的に、私ども国際基準的にもいろいろな検討をいたしておりますけれども、外国におきましても審査をしていないという実情にございます。
  28. 永井孝信

    永井委員 自動車の設計をする側にとれば、車の中に乗って運転するドライバーの立場からの安全ということは非常に進歩してきていると思うのですね。しかし販売を拡張するために、たとえば見たところ非常にいい型式、こういうものにこだわり過ぎておったのでは、将来大変な禍根を残すことになると思って、私は一つの具体的な例として申し上げておるのであって、これは一回実情を調べてください。私自身がそういう経験をしたのですから。しかも高速道路が二千八百キロも延びておる現在、もし高速道路でそういうことから何か少しの誤りでも起こせば、これは重大事故につながることは間違いないのですから、構造上の問題のチェックということはむしろ非常に大切になっているのではないか。したがって、「自動車の安全確保のための技術的方策について」ということを運輸技術審議会で中間答申を行っているわけでありますが、こういう問題をそこで検討の対象にしてもらいたいということをつけ加えておきます。  そして、これはドライバーとして感じることを私は事のついでに率直に申し上げるのでありますが、たとえば道路運送車両の保安基準の三十三条に言う前照灯、あの霧のときに使う黄色いランプですね。あれが最近非常にふえてきておるのでありますが、これは霧が深くて視界の悪いときに点灯をするものだと思うのでありますけれども、夕暮れどきに、いわゆるまだヘッドライトをつける以前の段階で、あの前照灯をつけるケースが非常に多くなってきた。これも、つける側にすれば、こういうものをつけているんだという自己顕示欲があるのかもしれませんけれども、あれは普通のヘッドライトと違って、対向車は大変なんですよね。ところが、そういう問題について、ほとんど交通安全上の指導がされたという話も私は聞いたことがないのでありますが、公安委員長、スピード違反ばかり取り締まらぬで、そういう事故につながるような問題ももっと取り締まりというよりも、そういうものは霧のとき以外は必要じゃないのですから、普通のスモールランプでいいのです。だからそういう面についても、もっと交通安全を守るということからの教育とか指導とかいうものを、ぜひ私はしてもらいたいと思うのであります。安全講習会においてもそうであります。その辺の関係について、公安委員長としてひとつお答えいただけませんか。
  29. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 ごもっともなことだと思いまするので、この点は取り上げてひとつ検討さしていただきます。
  30. 永井孝信

    永井委員 あとまだ運輸大臣に質問したいことがあるのでありますが、運輸大臣は、きょう午前中一時間半ということでございますので、残った分は、申しわけないと思いますけれども午後に回さしていただきますので、大臣が不在でも関係者からお答えいただきますようにお願いいたしまして、私の持ち時間が来ましたので終わります。
  31. 水平豊彦

    水平委員長代理 次に、草川昭三君。
  32. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。時間が十四分よりありませんので、運輸大臣にひとつ集中的にお願い申し上げるわけであります。  第一番に、今回踏切道改良促進するための審議をしておるわけでございますが、この促進法は昭和三十六年に制定されてから二十年経過し今日に至っておるわけでございますが、この踏切保安設備整備について、いままでの第二次計画の達成率というのはどのような状況ですか。
  33. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  第二次の踏切対策の達成率でございますが、第二次は御案内のとおり五十一年度から五年間にわたりまして、立体交差化構造改良踏切保安設備整備というものを総合的に実施をしてまいったわけでございますが、この第二次対策の五十五年度の完了によりまして、連続立体交差化構造改良事業目標を上回る結果になるものと予想されます。それから単独立体交差と踏切保安設備整備については八割から九割の達成率が確保されるものという予想がございますので、第二次の踏切対策につきましては、ほぼ十分な目的が達成できるものと考えておるところでございます。
  34. 草川昭三

    ○草川委員 そういうことから、今度は第三次の整備事業計画になるわけでございますが、これがどういうように達成されるかわかりませんけれども、一応現行の整備目的というものは第三次ですべて達成をされるのか、あるいは将来の長期的な展望に立てば、その後なお残るものがあるとするならば、それは一体何なのか、お伺いをします。
  35. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  第三次の総合対策でございますが、これが完全に実施された場合に、大規模な構造改良保安設備整備はほとんど現在考えられる全部が整備される、このように想定をするわけでございます。ただ立体交差化につきましては、なかなか金額がかさむ問題でございまして、なお若干のものが残る、おおむね七〇%程度がこの第三次で整備される、こういうような想定でございまして、この点はなお引き続き実施してまいりたいと考えておる次第でございます。     〔水平委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 草川昭三

    ○草川委員 なお引き続き残るということは当然でしょうし、また都市化の進展もこれから著しいものがあると思うので、非常に重要な問題になるわけでございますが、とりあえず、もう一回前に戻しまして、踏切道の整理統合ということになるわけでございますが、これはいろいろと、国鉄もございますし、私鉄その他もありますが、私鉄の方なんかとお話をしますと、地元との利害が非常にふくそうする関係があって、だれが鈴をつけるかというところが一番問題なので、一定の基準というものを設けて推進をすべきではないだろうか。そうしないと、現地での話し合いということになるけれども非常にむずかしいのだという悩みがずいぶんあるわけです。私どもも実際地元へ行きますと、総論賛成、各論反対という立場に立つ場合もあるわけでございますし、これは非常にむずかしい問題ですけれども踏切事故防止総合対策ということを考えますと、この統廃合という問題については、たとえば踏切道の距離間隔なんか、国鉄の平均間隔は七百メーターだけれども私鉄は特に都市の場合は三百メーター間隔になる、非常に短いので統廃合をしたいのだけれども都市化の中では大変な抵抗があるわけですから、これもなかなかできないが、距離間隔なり、あるいはそれに利用状況というものを掛け算をするような何か一つ基準というものをつくらないと促進をされないのではないだろうか。これはぜひそういう意味で整理統合基準を設定してもらいたいという要望があるわけですが、ひとつ大臣の方からぜひお答えを願いたいと思うのですが、どうですか。
  37. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 草川さんと同じように、この問題は総論賛成で各論反対、本当に私も地元でたくさん困った問題を持っておるのです。一つうまくいったかなと私が思いますのは、側道を整備してやることによってそれが統合を容易にしたような例もあるのですが、やはり道路構造の問題とあわせて地元に問題を提示していかないとなかなか片づかないように思うております。したがって、いままでの連続立体交差の要件がなかなか厳しいのですが、これからはでき得ればそれを可能にするような方法も考えてみたらどうだろうなと、いままでの経験からしまして私はそういう感じがしておるところであります。
  38. 草川昭三

    ○草川委員 いまも側道設置あるいはまた迂回路の整備ということが言われておりますが、そのとおりだと思うのですが、これも実は地方自治体にある程度国の方からも助成をするというようなことも考えませんと、側道なり迂回路の整備というのはなかなかうまくいかぬと思うのですね。ということになりますと、これはもう運輸省の筋を離れるということになりますし、非常にむずかしいので、いま申し上げたように、そういうことも含めて整理統合基準ということをもう少し大きく見直してみる必要があると私は思うのです。そうしませんと、せっかくこの改良法が延長されましても、いわゆる現場というのですか、地元の促進ということにはなかなかつながっていかないと思うので、これはぜひ一度お考えを願いたい、こう思います。  時間がございませんので、次にいきます。  これもぜひ運輸大臣にお答えを願いたいのですが、例の、非常に最近ホットな論争になっておりますところの自動車の検査業務についてですね。民間の能力の活用を図って指定自動車整備工場における指定整備率を引き上げるという方向が昨年の年末に閣議決定でもなされておりますし、それから行政改革上、自動車の検査のあり方についても問題提起がございまして、これはいま運輸技術審議会で一年間の間にひとつ結論を出そうじゃないかということで話が進められておると思うのですが、この見通しなりこの問題についての対応は審議会と並行するわけですが、一つの見解というようなものは大臣として一体どのように持ってお見えになりますか。
  39. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御承知のように、これは現在運輸技術審議会に諮問いたしまして、その答申を待って私たち対応を考えたいと思うております。この答申も、来年のできるだけ早い時期に、年度末までにはぜひひとつ出していただきたいと思うておるのです。  自動車は最近非常に機能がよくなってまいりましたし、また生産技術も進んでまいりまして非常にりっばなものを、故障の少ないものができてまいりました。ですから、その面からいいますならば、たとえば自動車の検査というものもそうしばしばやらなくてもいいじゃないかということを言われる、これももっともなんですが、一面から見ましたら非常に複雑化しておりまして、素人では全くわからない構造になっております。それだけに事故が起こりましたら大変なまた危険なものでもあると思うております。ですから、私たちはその二つの間で悩んでおるようなことでございます。その辺を運輸技術審議会にしっかりとひとつ確かめて対応を考えたいと思うております。
  40. 草川昭三

    ○草川委員 これは審議会での答申を待つということになると思いますが、いまの大臣の前半のことにウエートを置いた答申案が審議会の方でたとえば出されたとしても、実は現行の自動車行政というのは、自賠責保険や重量税のようにいろいろと複雑な周辺問題があるわけでして、それがこの車検制度を一つ基準にして周辺問題というのは出てきている点があると思うのですが、こういうものもあわせて審議をしていきませんと、いわゆる技術だけで結論が論じられるということはまたこれ問題が出るんじゃないだろうかと私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  41. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 運輸技術審議会の答申を待ちまして、まさにそういう点、車検に伴いますところのいろいろな制度がございますが、その関係を考えて運輸省としての対応を決めなければならぬと思うております。
  42. 草川昭三

    ○草川委員 ですからこれは、運輸省だけでなくて当然いろいろな、大蔵省関係の問題も出てくるわけですが、省庁間で並行して何か打ち合わせなり相談を進められるという計画はあるのでしょうか。
  43. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 先生指摘のとおり、大分関係する省庁は多うございます。大蔵省それから環境庁、警察庁等々の御意見も今後十分聞いて対処してまいりたいというふうに考えております。
  44. 草川昭三

    ○草川委員 これは国民も身近な行政ということで非常に深い関心のあることでございますので、この技術問題だけに偏らなくて、あわせて関係省庁との打ち合わせなり討論ということも国民にわかるようにぜひひとつ審議を進めていただきたいということだけ要望いたしまして、私の時間も来たようでございますから終わりたいと思います。ありがとうございました。
  45. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、三浦隆君。
  46. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 運輸大臣にお尋ねいたします。  初めに、第三次総合対策の重点施策についてです。  踏切道改良促進については、昭和三十六年法百九十五号として制定されました踏切道改良促進法に基づき、以来立体交差化構造改良踏切保安設備整備等が進められてきました。しかし、いまもなお重大事故は後を絶たない状況です。これまでの対策を振り返ってみますと、昭和四十六年二月八日、交通対策本部決定の第一次踏切事故防止総合対策では、単独立体交差化及び道路の新設に伴う立体交差化に重点が置かれ、同五十一年二月十二日、交通対策本部決定の第二次総合対策では、都市における土地利用の実態から見て、個々の踏切道をそれぞれ単独に立体交差するよりも、同時に数カ所の踏切道を高架または地下化する連続立体交差化に重点が置かれてきました。このたびの二月九日、交通対策本部決定の第三次踏切事故防止総合対策についてではさまざまな整備目標が決められておりますが、その重点施策はどこに置かれるのでしょうか、まずお尋ねしたいと思います。
  47. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答え申します。  いま先生指摘のように、第三次の踏切事故防止総合対策におきましては五つの柱を立てております。立体交差化構造改良、保安施設整備、それから交通規制、さらに踏切道の統廃合、この五本柱でございまして、従来の第一次、第二次に比べまして重点はどうかというお尋ねでございますが、第三次におきまして踏切対策のいわば仕上げをしたいという気持ちでございまして、この五本の柱をいわば全面的に実行してまいりたいということに尽きるわけでございまして、総合的、一体的に関係の方々とこの五本の柱の遂行を実行したいというところで、その中で一つどうだ、こういうふうなことにつきましては必ずしも明確な柱を一つ取り出すことはできないんでございますが、全面的にやってまいりたいというところでございます。
  48. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 それでは運輸大臣に新しい総合対策実施に伴う総括的な決意的な表明でもひとつ……。
  49. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この第三次新対策が決定されるに際しまして、やはり重点は構造的な改革をする問題、先ほど五つの問題を申しておりましたが、これと、それから取り締まり、指導関係と二つございますが、どうしても構造的な問題が重点になってくると思うております。立体化にいたしましても統廃合にいたしましても、それ自体を実施しようといたしますならば、それに伴うところの道路なりあるいは鉄道構造に手をつけていかざるを得ない、そういう問題を、予算との関係財政上の関係ございましょうけれども安全対策上の最重点事項として取り上げていかざるを得ないと思うております。
  50. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 二番目に、今後の踏切除去の見通しについてお尋ねします。  踏切事故防止総合対策に基づいて国鉄民鉄ともに踏切の除去が進められています。国鉄の場合、全国踏切数は昨年三万カ所を割りまして二十年前の昭和三十五年度に比較して一万二千余り減少してきました。しかし、これからは沿線の都市開発等に伴い踏切の除去も年々むずかしさが予想されます。今後の踏切対策の見通しについてどのようにお考えでしょうか。
  51. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も地元に帰りまして、踏切道の整理は相当進んだように思うのですが、しかし一方におきまして、やはり大きい事故があるところは過密地帯のところが多いように思います。そういうところはどうしても連続立体化を進めるとかあるいは単独でも立体化を進めていくということが根本解決のように思うております。ですから、踏切の統廃合、除却というものを一方で進めると同時に、そういう立体化も積極的に進めていかなければ、いわば悲惨な交通事故の解消にはつながらないんではないかと思います。
  52. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 立体化を具体的に進めていくには費用の問題ももちろんかかりますし、もう一つには人が大ぜい住んでおりますと反対運動も強いかもしれません。よほどの決意がないと現実にはむずかしかろう、こう思います。  そこで、踏切保安設備整備にかかる予算額の減少が見られるようですが、これについてお尋ねいたします。  昭和五十六年度予算によれば、踏切事故防止総合対策を推進するため踏切保安設備整備に要する費用について、補助金は三十四億八千九百万円と決まりました、このうち国鉄が占める予算額は二十九億五千七百万円で、昨年の二十九億七千二百万円に比べて一千五百万円ほど落ち込んでいます。この落ち込みの理由と踏切道整備の現状の受けとめ方、さらに今後の見通しについて再度お尋ねいたします。
  53. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  国鉄踏切保安施設の助成額が減少しておるではないかということでございますが、個所数でまいりますと、五十六年度は五十五年度と同じように対象個所数といたしましては八百三十九カ所を対象といたしておりまして、全く同じ個所でございます。ただ、そのやり方が四種を一種に格上げしたり、四種を三種にしたり、あるいは三種を一種に上げたりというような中身が若干ずつ違っております。こうした関係上、総体的な金額といたしまして工事費が若干減少をし、それに対応いたしまして補助金の金額が千五百万円ほど減少を見たわけでございますが、個別の中身を見ますと決して本年度、五十五年度に劣らない改良促進を図っていくということが言えると思いますので、金額の問題は別にいたしまして成果は十分に上げたいと思っておる次第でございます。
  54. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 実際にいろいろと諸物価が上がってきたりあるいは反対運動の声が高まりますというと、思った以上に費用がかかるものだろう、こう思います。にもかかわらず現実に減少していくということは、よほどの上手なやり方といいましょうか、決意を持たれないとむずかしいんだろうと思います。  それでは、先に進ましていただきます。交通安全施設等整備事業五カ年計画財政再建との関連についてです。  昭和五十六年二月三日付の閣議了解によります交通安全施設等整備事業五カ年計画の結びに「本計画は、今後の経済、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るものとする。」とあります。昭和六十年には公債の返却が始まりますが、財政再建に関連して、小さい政府論から緊縮財政も予想されます。整備事業計画を滞りなく完了させ得るという自信を大臣はどの程度までお持ちでしょうか。
  55. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 財政上から見ましたら、大変むずかしい状況にあると私は思います。しかし、ここで踏切道の統廃合、改良それから連続立体化という、要するに交通安全対策上とるべき措置につきましては、地方自治体とも協議をし、都市計画実施の順位を優先的にやっていただくとかそういうこと等もやはりわれわれは相談申し上げなければならぬのではないかと思うております。要するに、公共事業にどれが重点ということはなかなか差別つけにくいことではございますけれども、従来から一次、二次と進めてまいりましたその効果が相当出てまいりましたことでもございますし、また現在交通事故の主体はやはり踏切道を中心として起こってきていること等ございまして、もう一踏ん張りこれの推進を図っていかなければならぬという決意をしておるものであります。
  56. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 交通安全功労者表彰というのがあるようですが、昨今の実情、その内訳について、これは大臣でなくても結構ですが、お答えいただきたいと思います。
  57. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ちょっと数字なり中身を検討がおくれておりますが、また後ほど調査いたしましてお答えしたいと思います。
  58. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 それでは、その実情につきましては後ほどといたしまして、その表彰の基準というか規定があろうかと思うのですが、その中にいわゆる踏切警手の方などの表彰というのは入りますでしょうか。
  59. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 これは踏切警手の方を対象にいたしまして毎年運輸大臣表彰を実施いたしております。
  60. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 そろそろ時間のようでございますが、資料によりますと第一種の踏切道事故件数の減少化が鈍いようでありまして、そういう意味ではその現場に携わっております踏切警手さんの働きというものは大変大きな比重を占めようかと思います。そういう意味で、今後踏切警手さんの表彰というものを特に推進していただくことによって踏切事故が減っていくんじゃないかという期待を持っているのですが、いかがでしょうか。
  61. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そういう御労苦に対しましては、今後十分配慮してまいります。
  62. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 では時間ですので、これでやめます。
  63. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、中路雅弘君。
  64. 中路雅弘

    ○中路委員 大変短い時間ですので、午後の質問と関連した問題で、運輸大臣がおられる際に二、三お聞きしておきたいと思います。  今度の法案の中にもありますが、踏切道改良促進の問題で、特に大都市では連続立体交差化というのが大変重要な問題でして、私の住んでおります川崎市なんかウナギの寝床のような都市で、南武線が真ん中を走っている。この高架化問題というのは、都市の機能を高める上でも、交通安全の問題からも、あるいは朝夕になりますと列車が連続していますから、ほとんど踏切が締まり切りという状態の中で、大変急がれているわけですが、具体的な問題は午後の質問にしまして、この踏切道改良、特に連続立体交差化をやる場合の費用負担の問題、最初に現状はどうなっているかお聞きしたいと思います。
  65. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 この連続立体交差化の費用負担につきましては、いわゆる運建協定といいますか、それから建国協定というような前からの協定によりまして、これを実施しておるわけでございます。その基本になりまするところは、それぞれの受益の限度を考慮いたしまして、受益相当分をそれぞれ分担をするということでございまして、連続立体交差の場合におきましては、すでに鉄道のあるところについて、都市計画などで道路事情等の観点からこれを高架化するところが多うございまして、そうした場合におきまして、鉄道鉄道の受ける受益相当部分、現実には国鉄の場合は一〇%、私鉄の場合は七%相当分というような分担をいたしまして連続立交を実施している実情でございます。
  66. 中路雅弘

    ○中路委員 これは大臣にひとつお願いもあるわけですけれども、いまお話しのように、連続の立体交差の場合には、鉄道既設分でいいますと国鉄が一〇%、民鉄でいいますと七%、その他は九〇%が道路管理者及び都市計画事業事業者の負担になるわけですから、いわゆる自治体側の負担というのは大変重いわけですね。いまの自治体の財政の中で、立体化を進めていく上でも、財政面から見ますと、事業決定をする場合に、この財政上の負担が大変大きな障害にもなっているということでして、国鉄国鉄の大変な現状がありますから、私は私鉄の場合は大手私鉄の方がもう少し負担を持ってもらう必要があるのじゃないかと思うのです。これは国鉄が負担というわけにいきませんから、ひとつ国と国鉄とで相談していただいて、もう少し自治体の負担が軽減されるような方法を今後検討していただきたい。一応いまお話しの運輸省、建設省、それから国鉄を含めた協定があるわけですが、この協定をいまどうするというストレートの回答はむずかしいと思いますけれども、一度検討していただきたい。やはり自治体負担というのは全国的に大きな問題になっているわけで、この点について大臣のお考えをひとつお聞きしたい。
  67. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まず、国鉄なり私鉄の受益の負担でございますが、この計算はいわば工事前の受益を基準にしておる、これは私も経験してまいりました。それと、連続立体高架化して駅前整備ができて、その後に受ける受益というもの、これはやはり相当考慮してもいいんじゃないか。たとえば駅前の整備ができましてバスが入ってくる、タクシーの乗り場ができる、これによって鉄道の乗客がかなりふえることは事実でございます。そういうことで、将来にわたる受益というものもある程度考慮してもいいんじゃないか。これは私たちも検討してみたいと思うております。  ところで、地方自治体の負担が非常にふえるという御心配でございますが、確かにこれは地方自治体として一時的に大変な負担であることも事実でございます。しかし、御承知のように、この連続立体高架という事業だけで地方自治体の事業を進めておるのではなしに、これに伴いまして街路事業がその事業に入ってまいりますし、下水道事業もそこにひっついてまいります。そういう点、総合いたしますと、いわば地方自治体の連続立体高架事業に取り組む取り組み方によって、負担が非常に違ってくると思うております。これが一つ。  それからもう一つ、立体高架化いたしました後の、いわば自治体に入ります収入、固定資産税というようなものも、その周辺を中心といたしまして相当変わってまいりまして、将来における財政に寄与する力というものは、相当大きいものもございますし、そういう点、やはりきめ細かく検討するといたしますならば、そういう点もいろいろ総合的に検討しなければならぬのではないかと思うております。  いずれにいたしましても、現在の国の財政状況におきまして、現在の建国協定を中心といたしまして国並びに地方自治体の負担の率をいま直ちに改正していくことは、なかなか容易ならぬことだと思うておりますけれども、提案でございまするので、われわれも鋭意勉強し、その準備はいたしたいと思います。
  68. 中路雅弘

    ○中路委員 これから勉強して検討もしていただけるというお話なんで、ひとつこの点は具体的に一度関係の自治体等の意見も聞いていただいて検討をお願いしたいと思います。  もう一点お聞きしておきたいんですが、高架になった場合の高架下の利用の問題です。これは高架下の使用料というのが細目協定で出ていまして、無償で公共用施設等に開放しているのが一割くらいですね。あとは高架下利用の株式会社等つくっていろいろやっておられるのですが、この点でも、高架下の公共的な利用の問題については非常に要望が強いですね。いままでも、自転車置き場、子供広場、あるいは消防器具を入れるとか、こうした市民や自治体側からの要望も非常に強くあるわけです。  私は、この点で一つ提案もあるんですが、自転車法が成立しましたから、この法律で協力することが義務づけられているわけですね。自転車駐車場の設置については、地方公共団体道路管理者から鉄道用地の提供について申し入れがあったときは、その鉄道用地の譲渡や貸し付けに積極的に協力しなければならないというのが第五条にありますから。いま一〇%というと、自転車置き場をつくるだけであふれちゃうんですね。だから、公共用地に一部提供するといっても、その他のことは全くできないという状態なんで、少なくともこの一〇%というのを広げていただきたいのですが、一つの考え方として、たとえば自転車置き場について別枠といいますか、つくる場合には、それに一〇%上乗せするとか、いろいろ方法はあると思うんですが、いずれ高架下の利用について、もう少し公共的な利用で、いまの一〇%という幅をいろいろ検討していただきたい。こういう自転車の置き場の問題も協力が義務づけられているわけですから、ひとつその点で検討していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  69. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そのことと、先ほど御質問ございました鉄道側の連続立体高架事業に伴う負担を多くしろということとは、これはどうも相矛盾するような状況でございますので、そこらの兼ね合いが大事かと思うのです。  そこで私は、この自転車置き場につきまして、私らも手がけてまいりました高架事業の下ですが、どうも駅から少し離れますと、自転車に乗ってくる人は利用しないんですね。それで駅の前のところに他人の迷惑を構わず置いておくというのが多い。私は、むしろこの自転車置き場を促進すると同時に、自転車利用者のマナーに対してもやはり何とかそれを誘導する方法はないだろうかということを思うております。そういう状況でございますので、なかなかこれは慎重に考えたいと思うております。
  70. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしましても、この一〇%で、さっきの問題とも関連するのですが、自治体の側から言うと、自治体もこの高架事業には相当負担している。それで、できた高架下の利用は一〇%というのでは、これは少し狭過ぎる、と。いろいろ要望は強いですね。私の近くでも、消防器具の置き場がなくて困っていまして、何とかそこを貸してもらえないかという無償の要求もあるんですね。こうした公共的な要求については、少し弾力的なあれでやはり検討していただくということをあわせてお願いしておきたいと思います。  それでは、最後に一問だけ要望を述べておきたいのですが、高架化事業で、午後の場合に私、少し話をしようと思うのですが、事業に伴う騒音だとか振動だとか日照の問題、電波障害、こうした公害対策、あるいはその補償の問題、あるいはこうした用地の買収、こういうことが、またこの踏切道の整理、統廃合、高架化問題で、解決が十分でなくて、おくれている一つの要因になっていますので、この点では、ひとつ地方自治体や住民の意思も十分尊重しながら進めてほしいので、もう少しこの問題では、補償の問題でもいまの現状に合ったような一定の基準といいますか、見直していただいて、私は、この事業がスムーズにいくためにも、大変自分でもいろいろ関係していまして、重要な問題だと思いますので、この点はひとつ、一言でいいのですけれども、こうした住民の意見等も取り入れて、現状に即した指定の基準といいますか、こうした問題の解決をお願いしたいと思うのですが、その点御検討いただけますか。
  71. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この事業をやりますときに、環境アセスメントを当然やらなければならぬのですが、その環境アセスメントを作成いたしますときの、いわば環境庁の指針がございますが、この指針と、これはあと将来の補償との関係というようなもの、こういうような問題について私たち協議してみたいと思っております。
  72. 中路雅弘

    ○中路委員 終わります。
  73. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、伊藤公介君。
  74. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 踏切事故による死傷者の数が減っているということは私も承知をいたしておるわけでありますが、しかし、私ども東京に住んでおりまして、踏切交通渋滞の非常に大きな要因になっているわけでありまして、特に第三種、第四種の踏切道の解消ということは非常に大事な問題ではないかというふうに思っておりますが、第三種、第四種の踏切の解消等については、どういう方向で解消していくのかということを一点お伺いして、何せ私の、大臣への与えられた時間が五分ですので、もう私の方が質問すれば終わってしまうわけでありますから、私ども、大都市に住んで、踏切の問題は非常に切実な問題でございますが、同時に、交通安全ということから考えますと、やはり大都市、世界を代表するワシントンだとかあるいはニューヨークだとかあるいはパリであるとか、そういう都市に負けない日本の玄関をつくる必要がある。そういう意味では、具体的に申し上げれば、東京は、二十三区は山手線という環状線がございますし、三多摩は二十六市五町一村、東京はこれまで東西の交通あるいは交通機関道路ができていても、非常に南北の関係が悪いということは、かねてから御指摘を受けてきたところでございまして、かつて本委員会で田村運輸大臣に私はこのことを申し上げました。  東京は将来二極構造にすべきだ、山手線と三多摩をモノレールか、あるいはいま開発されております新交通システムのような形で三多摩二十六市五町一村を結んで、そして南北の交通渋滞の解消を図る、そういう東京の大きな二極構造という大構想に向けて、国は積極的に取り組むべきではないか。当時、運輸大臣は、大変積極的な御答弁をいただいたわけでありますが、その後、国の方では、依然として東京のこうした大きな都市交通改革に取り組むという姿勢がどうもうかがえないような気がいたします。そこで、東京都はこの構想を、実は鈴木知事がつい最近明らかにいたしました。三多摩をモノレールで結ぶ電環都市構想というものに具体的に取り組むということを明らかにいたしました。私は、一地方自治体だけでなしに、東京が世界の玄関だということを考えますと、国自身がこうした問題に積極的に取り組むべきだというふうに思いますが、きわめて限られた時間でございますので、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  75. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 鈴木知事がそういう構想を出されたということは、私も非常に結構なことだと思っております。要するに、交通というのは、その地域の住民の方々の意向というものが決定的な要因になってまいりまして、その協力を得なければ、いかなる交通事業も進みませんしいたしますので、そういう地方自治体が計画される、東京都自身がそういう計画をされるということであれば、われわれも、まだ何らお話は聞いておりませんけれども、話をお聞きいたしまして、それが単なる構想ではなくして、政策としてどのように乗せていくのかという政策への手法等もいろいろあわせてお聞きいたしたいと思っております。
  76. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 第三種、第四種の踏切道の解消の問題は、どなたか御答弁をいただきたいと思いますが、せっかくいま大臣からお話がございました。これは、東京都はもう構想ではないんですよ。具体的にやろうということですでに踏み切っているわけですね。私は、先ほど申し上げたとおり、地方自治体が構想を出してきたら検討するなんということではなくて、つい先日も御議論がありましたけれども、少なく押さえたって、とにかく八千人もの交通事故で亡くなるという人がいるわけですから、やはり抜本的な、命を大事にするという都市づくりをしなければいかぬ。そういう意味では、まず大都市の東京の抜本的な交通改革に取り組むべきだ。これは東京都の鈴木さんが言ったから言わないからではなくて、日本を代表する運輸大臣として、東京の交通改革に抜本的な問題に取り組んでいただきたいということを私は申し上げたわけでございます。
  77. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは基本的にはわれわれの責任でそういう都市交通というものを進めていかなければならぬ。ですから、地下鉄一つにいたしましても、絶えず運輸省からは積極的な計画の提示を求めておるようなことでございます。  それで、先ほどおっしゃいました三多摩地域とそれからいわば東京都心との関係というようなものは、そうおっしゃいますけれどもやはり地方自治体の意向というものが大事でございまして、もしそういうふうに、もしというよりも現在そのように東京が決められてこれを政策的に軌道に乗せていかれる、そしてそれを実施の段階まで持っていかれるということであれば、これはもう当然われわれといたしましても強力な協力をしなければならぬし、また運輸省で担当するところがございましたならば当然われわれの担当としてそれは進めていかなければならぬ。まだお話を承っておりませんので、私はいま何とも申し上げられないということを申し上げた次第です。
  78. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 三種、四種の格上げの問題でございますが、いままでも特に四種、何もない無人踏切につきましては、これを数少なくするように最大の努力をしてまいったわけでございますが、第三次の計画におきましてもここに重点を置きまして、四種、三種の一種昇格という点、個所数といたしましては四千カ所を目標実施してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  79. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、繰り返すようでございますが、一地方自治体の問題ではない、特に東京はある意味では日本の玄関でもあるわけでございますので、モデル都市として積極的に国自身が抜本的な交通改革に取り組んでいただきたい。しかも新交通システム等、非常に最先端の技術も進んでいるわけでありますから、そういうものを積極的に取り入れて、当然地域の協力を得なければなりませんけれども、すでに十年前からこの構想はあって、私自身も実は初めて国会に打って出たときにこの公約をして出てまいりました。委員会の中でも時々の運輸大臣にも申し上げてきたところでございまして、国のそうした直接的な機関の中で東京の交通改革をどうするか、あるいは大阪はどうするか、将来の理想都市はどうあるべきかということをやはり国自身が、地方自治体や地域住民の協力を得て積極的に交通問題には取り組んでいただきたい。そういう都市づくりをすることによって交通事故を少しでも少なくしていくことができる。いまのように、特に東京は美濃部都政の中では、目先のことで歩道橋をつくるあるいはガードレールをつくるということはやっても理想的な都市づくりをするという目標がなかった、大変残念なことでありますけれども、幸いにして鈴木知事が誕生してそういう計画を東京都も打ち出しているわけでありますから、国自身はぜひこの問題にも積極的に取り組んでいただきたいということを強く要望したいと思います。
  80. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は鈴木知事も非常に尊敬している知事さんでございますし、まだそのお話をお聞きしておりませんが、近いうちに私のところへ何かお越しになる機会があるようでございますので、そのときにお聞きいたしまして、その構想をどのように進めるか、私たちも十分お話ししてみたいと思うております。ですから、それが政策に乗っていくものであれば、われわれといたしましても積極的に協力するにやぶさかではございませんし、当然のことだと思うております。
  81. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、後藤茂君。
  82. 後藤茂

    ○後藤委員 まず最初に、第一次から第二次と交通安全基本計画が進められてまいりましたけれども、どうも最近は負傷者数が五十三年からふえてきた、さらに五十五年度には死者数が増加してくる、こういう状況になってきたわけですが、最初に、それぞれ建設省、総理府警察庁の方から、こうしたせっかく交通安全基本計画に基づいて各種の施策が講じられてきておりますのに、最近ふえてきたのは一体どこに原因があるのだろうか、それから、これをこれから第三次交通安全基本計画に生かすとすれば、優先順位等をどうしていくべきなんだろうか、いままでと同じような延長線上で考えていったらいいのか、それとももう少し重点的に考えていく必要があるのか、こういった点が問題になるかと思いますので、これらの点につきまして最初にお考えをお伺いをしておきたいと思います。
  83. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 第一次、第二次の交通安全五カ年計画の結果を踏まえて、なお死傷者数がふえているというようなお話で、その問題点についてどう考えるかということでございました。  御案内のように第一次は四十六年から始まったわけであります。四十五年が死傷者といいますか、事故のピークでございまして、当時約百万、九十八万人と言われました。その後第一次、第二次を経過して、所信表明でも申し上げましたように、五十五年度で死傷者が六十万に減ってまいりました。四十五年のピーク時に死者数が一万六千七百名ほどでありましたけれども、五十五年度が八千七百名というような状況で、この二、三年ちょっと伸びがありますけれども、一応私はこの計画そのものは成果を上げているものと思います。  御指摘のように、なお問題点はどこにあるかということでございます。安全施設整備も図ってまいりましたけれども、なぜこの事故者数が多いか、また、事故内容でございますけれども歩行者と自転車利用者が多いのですね。死者数の中の四四%が歩行者、自転車利用者であります。欧米の場合これは三〇%でございますので、この計画を進めておってもなおかつ日本の死亡事故者数が高いということは御案内のとおりであります。したがって、問題点はやはり歩行者、いわゆる歩行弱者といいましょうか、歩行者、自転車利用者であろうし、障害者についても配慮のもとに交通安全施設整備を進めていかなければならぬということに尽きると思います。したがって、所信表明でも申し上げましたように、今後の課題として、一次、二次の計画を踏まえて、私の方といたしまして、建設省といたしましては歩道、いわゆる歩行者、自転車利用者を中心に重点的に歩道の整備を図ってまいる、このような考え方のもとに進めてまいる所存でございます。
  84. 後藤茂

    ○後藤委員 警察庁総理府、それぞれ簡単でいいですから……。
  85. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 交通事故発生件数昭和四十四年をピークに減少を続けておるわけでありますが、五十三年から微増傾向が続いております。このような状況のもとで交通事故の発生に歯どめをかけるためには交通安全施設整備はもちろん、交通安全教育の施策を徹底をさせにゃいかぬ、また交通事故の発生状況対応いたしまして、新たなる角度からもう一度検討を加えてみる必要があるだろう、そういうことによりまして、実効を上げるような方策をひとつ確立をいたしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  86. 佐藤信二

    ○佐藤政府委員 いま両大臣からお答えがありましたが、総理府といたしましては、第二次交通安全基本計画、これは御存じのように国の関係行政機関また地方の公共団体また国民の理解と積極的な協力ということでやってまいりまして、先ほどお話がございましたが、交通事故による死傷者というのは五十四年に八千四百六十六人、九年間連続して減少してまいりました。  しかしながら、五十五年には若干これが増加して八千七百六十人になったということも事実でございます。実はこの計画の策定をいたしましたときの根拠になる昭和四十五年の交通事故による死亡者数というのは一万六千七百六十五人でございましたので、その半数ということを目標とした第二次計画、その半数には達しませんでしたが、ほぼ目標を達成したものと考えておるわけでございます。  しかし、最近大変交通事故というものが増加する傾向にあるということで、その主な原因というのは私どもの方では、いわゆる運転者による信号の無視だとか飲酒運転だとか、また無免許等というような非常に悪質なものがあるというように実は考えておるわけでございます。  そういうことで、交通安全の施策の整備というような各種の施策を推進することは当然でございますが、いまのような傾向からいって、道路交通に参加する人たちが全員が思いやり、また譲り合いという心を持って行動をしなければいけないということで、交通道徳の涵養だとか、また交通安全思想の高揚というもの、こういうものが一番重要だというふうに考えておるわけでございます。
  87. 後藤茂

    ○後藤委員 歩行者だとか自転車者利用者等の事故が大変多くなってきていると大臣お答えでございましたけれども一つの統計でちょっと検討していただきたいなと思うのがあるのです。  きょう配られております「人と車」の中にも四方さんが「昭和四十五年から四十六年頃にかけておおむね欧米諸国に追いつき、その後、追い越した」と書いてあります。  ところが、この統計を見てみますと、死亡事故と判定する場合の事故発生から死亡までの時間のとり方というのがこれは各国違うのですね。日本の場合には、事故発生から二十四時間以内に死亡した場合に死者というように統計になっているわけです。もちろんポルトガルのように事故現場もしくは搬送中に死亡した者を死者と言い、それ以外は負傷者になっておりますが、こういうような統計になっているのですが、イギリス、アメリカ、ベルギー、スウェーデン、オランダ、西ドイツ、ノルウェー、この統計を見ますと、事故発生後三十日以内の死亡となっておるわけです。最近医学も発達してまいりましたし、また救急医療施設も充実をしてまいりました、点滴等で十日や一カ月くらいはもたせることも可能になっているわけですね。  そういたしますと、カナダのように事故発生から十二カ月、これは少し長いかと思いますけれども、三十日ぐらいの欧米諸国ぐらいにならした方がいいのではないだろうか、統計から考えてみまして。そうすれば、当然いまの死亡者の数よりもふえてくるだろうと思いますけれども、これがふえるから怠慢であるとかいうこととは別に、もっと欧米並みに統計を出して、その上に立ってこうした対策を講じていく必要があるのじゃないだろうかと思うわけです。  国家公安委員長、この統計ですね、日本は二十四時間以内、もちろんその間に二日だとか三日だとか一週間というのもありますけれども、私はこの資料を見てみまして三十日以内ぐらいが妥当ではないかと思いますので、これは私の考えですが、公安委員長、どういうようにこの点はお考えでしょうか。
  88. 池田速雄

    ○池田政府委員 交通事故の統計に警察の統計が利用されておりますので、その点についての御質問だと存じますけれども、特に死亡事故につきましては、御指摘のございましたとおり、警察統計といたしましては二十四時間以内の道路上の交通事故の死者を計上いたしておるわけでございます。  経緯を調べてみますと、戦後二十三年に初めて正式の統計のとり方を決めまして以来、ずっとこういうやり方でやってきておるわけでございますけれども、なぜそういうことに決められたかというのを考えてみますと、一つは、統計でございますからやはり正確性が必要であるということ、それから警察の活動上どうしても速報性というものが必要だといったようなこと等から、二十四時間ということが決められたのだというふうに理解いたしております。  交通事故が発生いたしますと直ちに処理をいたします警察といたしましては、実は時間が経過いたしますればいたしますだけ、大変実態をきわめにくくなるというのが現状でございます。したがいまして、現在は二十四時間ということでとっておりますけれども、それ以上のもの、たとえば一週間でございますとか十日でございますとかあるいは一カ月というような統計をとるということになりますと、大変な手間がかかるというような面もございます。さらに正確性がより期しにくくなるというような点もございます。さらにまた速報性という点で、特に警察の場合にはできるだけ早く情勢を知っていろいろな手を打ちたい、こういうことで、現在も御案内のとおり前日までの死者というものは翌日には把握できるようにいたしておりまして、それをもとにしていろいろな対策も講じておるところでございますし、一部報道機関におかれましても、毎日前日の死者数というものを掲示いただいているところもあるわけでございます。  それで私どもといたしましては、確かに御指摘の点も十分いろいろ考えてみまして、現在の私どもの統計ではいま申し上げましたような数字を出しておりますけれども、厚生省でおとりになっておられます厚生統計では、亡くなられました方を、事故の発生時期がいつであろうと、仮に数年前であろうと交通事故によるものにつきましては全部計上しておられるわけでございます。それも御案内のとおりでございますけれども昭和四十五年に例を挙げますと、警察統計では一万六千七百六十五名でございますが、厚生統計によりますと二万一千五百三十五人、こういうことになっております。五十四年までは厚生統計がすでにお出しになっておられますけれども、その際にも警察統計の数字に比べますと、統計の根拠が若干違いますけれども、三九%増、こういうことになっております。したがいまして、私どもとしましては大体警察統計の三割から三割を若干上回るぐらいの方が、現実にはその後亡くなっておられるという、ふうに考えておるわけでございます。
  89. 後藤茂

    ○後藤委員 私は正確性とか速報性の問題を指摘しているのではないので、最近国際化してきているのに、国際的な統計に合わせていったらどうかということを指摘しているのです。だから、正確性なり速報性あるいはきょうの死者数何名、これはそのとおりいままでどおりおやりになれば結構だと思うのです。それからまたいろいろな事務繁雑、手続等々がややこしいと言われるなら、イギリスやアメリカ、ベルギー、スウェーデン、オランダ、西ドイツ、ノルウェー、こういうところだって同じだと思うのですね、発生者数が多い少ないということはあるでしょうけれども。アメリカ等は大変多いだろうと思うのです。そういたしますと、この統計の整備というのは、やはり見てすぐわかるように、国際比較がわかるように、その上に立って、じゃ交通の安全施設なり整備がどういうようになされていくかということをお互いに情報交換等もして、その資料にしていくためには、正確性と速報性という現在の制度を変えろということを申し上げているのではなくて、少なくとも最近の状況では——決められたのが二十何年ですか、相当年月がたっているわけですから、この辺でひとつ国際的な死者統計の出し方ということについて警察庁としても十分に研究をされて、こういう統計に合わせていくようにしていく。そうでないと、多いとか少ないとかというものの国際比較は出てこないだろう。日本だけが車があるとか、日本だけの特殊事情というのは別ですけれども、大体似たような悩みを最近持ち初めておるわけですから、これは答弁は結構です。要望だけ申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほど冒頭にお聞きをいたしまして、歩行者だとか自転車利用者というものの事故が非常に多いという御指摘があったわけです。私大変ホットなニュースを申し上げたいのですけれども、三月十五日に私の地元で午前八時十分ごろに、山陽線ですから幹線ですね。姫路から西の方に行く貨物列車に女子高校生がはねられて即死をしているのです。これは、私、警察庁の方から姫路署の方に電話を入れていただいて現場の周辺略図というものを取り寄せていただいたわけでございます。後でそちらの方にお渡しをいたしますが、大きな踏切一つございます。六・五メートルの踏切です。事故があったのは一・九メートルの幅員で、四種の踏切です。もちろんこれは遮断機もございませんし、警報機もない踏切でありますけれども、それから東に二百二十メートル、西に四百八十メートルのところに幅員六・五メートルの踏切がある。これは一種の踏切ですが、この踏切を南に出ますと、道路鉄道がそのまま並行しておるものですから、全くそこにゆとりがないものですから、私ども車で運転をいたしておりましても、踏切を越えて道路に出てくるときには上り下りの自動車が交差いたしておりますので非常に苦労する。まして子供さんやあるいはお年寄りや自転車に乗っている人はどうしても、その踏切遮断機が上がる、わっと車が交差するわけですから非常に憂うつになりますね。恐らく、歩行者、自転車の人はできるならば、ほかに踏切があればそこを通りたいという心理が働くだろうと思うのです。たまたまいつもこの女子高校生が通っている一種の踏切を越えたところ、いまの自動車の交差しているところじゃない西側の方ですけれども、そこを越えたところが道路工事をしておった。そうすると、踏切を越えても道路工事があるからまた迂回しなければならぬということで、その無人あるいは遮断機のない無警報のところを通って、やられている。見通しはそんなに悪くありません。悪くないのですが、そこではねられて即死した。つい五日前のことです。こういった踏切整備に対する感覚が、歩行者、自転車利用者というような非常に弱い立場にいる人々の観点に立って踏切道整備が行われていないのではないかという気がしてならないのです。モータリゼーションで自動車が非常にふえてきている、あるいは都市が急膨張してくる。しかし踏切整備というものは、つまり自動車交通が第一優先順位になって行われてきているように思えてならない。ですからこういう大変悲しい出来事等も出てきているわけですけれども、これからの踏切整備に対して、こうした歩行者あるいは自転車利用者の優先、保護、安全というものを最優先にやっていくお考えをお聞かせいただきたいし、それから現場の状況をお聞きになりました警察庁の方は、この点についてどういう認識をお持ちになっていらっしゃるか、簡単で結構でございますがお答えいただきたいと思います。
  90. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 先生のお話のございました事故については、私どもも調べてみましたが、ただいまお話のとおりでございまして、歩行者踏切での安全を図ると申しますのもいろいろな対策があろうかと存じます。いま踏切道構造改良と申しまして、たとえば幅員が踏切のところだけ狭いものはやはり事故の原因にもなりましょうし、あいたときに一度にお通りになるときにぐあいが悪いという点もありましょうし、それから路面がでこぼこであるとどうしても危険であるという点もあろうかと思います。こういった点は私どもも十分ケース・バイ・ケースでその現地の具体の状況対応するような方策を考えてまいりたいと思っております。
  91. 池田速雄

    ○池田政府委員 御指摘事故は、お話のございましたとおり、平生お通りにならない、しかも道路条件の余りよくない道路をお通りになったということにも遠因があろうかと思いますので、個々の事例に即しまして道路管理者その他に十分協議して対策を講ずるように指示してまいりたいと思います。
  92. 後藤茂

    ○後藤委員 それぞれの踏切が持っておる条件は大変違いますから、ぜひそういうようにきめ細かく対策を講じていただきたいが、先ほども私が御指摘をいたしておりますように、皆さん方の念頭にはまず自動車交通というものがあって、歩行者、自転車というものは、こうやって質問をいたしますと言葉では出てまいりますけれども、やはりそばに置かれているというきらいがあるわけですから、ひとつ重点的に取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、時間があと三十分余りしかございませんが、先ほど来運輸大臣に、踏切なり高速立体交差等についての費用負担の問題が各委員から質問が出ておりました。私はこれから、素朴な質問で大変恐縮でございますけれどもひとつお教えをいただきたい。踏切というのは一体何かということをまずお聞かせいただきたいと思います。  踏切道改良促進法の第二条に「「踏切道」とは、鉄道道路法による道路とが交差している場合における踏切道をいう。」これはまことに無味乾燥な言葉でございますけれども踏切というのは一体どういうように理解をしたらいいのか、建設の方に非常に強い関係があるので大臣、ひとつお答えいただきます。
  93. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 非常に簡単なようで、聞かれますと表現のしようがむずかしいわけであります。法令を読んだそのものずばりであろうかと思います。  ただ問題は、それぞれの交通体系の中の交差時点における事故というものを想起した場合で考えますと、人命にもかかわる大変大きな問題でございますので、どうお答えしていいのか、踏切交差というものについてはいま少しく重要な感覚で対応すべきものであるのではないか、このように考えるものでございます。
  94. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣は私の質問を大変むずかしくお考えになっていらっしゃるようで、すぐ御答弁ができない。私なんか頭が大変単純なものですから、踏切というのは汽車なり電車が走っていく、そこを自動車だとか人が通らなければ踏切は要らないわけでしょう。ただ鉄道なりあるいは軌道なりが通っているときに、そこに社会の発展の過程で車が通るようになった。昔はどこを通ってもいいところも——いまだっていいところもありますが、通っちゃいけないところを通っている人がいます。しかし、常時車が通るようになる、あるいは人が通るようになる。そこに踏切ができるんだろうと思うのですね。大臣、こう理解していいでしょうか。
  95. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 先生の御指摘のとおりと存じます。ある一定の地表のスペースをある場合には鉄道が使い、ある場合は道路交通が使うということでございますから、法律用語で申し上げますといわゆる効用を兼ねると申しますか、そういうものであろうかと存じます。
  96. 後藤茂

    ○後藤委員 新しい線はほとんど踏切がないように、つまり平面交差をしないように建設されていくのだと思います。そういたしますと、大体この踏切というのは先に鉄道、軌道が敷かれておった。あるいは道路ももちろんあるかわかりませんけれども、後から鉄道が来たところもあるかわかりませんが、いずれにしても車なり人がそこを通るということによる利便の施設だろうと思うのです。  そこで、その費用負担の問題ですけれども、立体交差の方は余り言いません。先ほど大臣も七%、一〇%、民鉄七%、それから国鉄が一〇%ということを言っておりまして、これが妥当な比率だというように言っておりましたけれども、私はちっとも妥当じゃないと思うのです。全く力関係で決まってきている問題だと思いますので、そのことには触れませんが、踏切改良の場合というのは、これはその費用負担というものをどういうように考えていらっしゃいますのか、まずそのことをお伺いをいたしまして次に入ってみたいと思います。
  97. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、相互に効用を兼ねるというようなものでございますので、管理の方法とか管理に関する費用につきましてはやはりそれぞれが相互に協議をして定めることということになっているわけでございます。したがいまして、この踏切道改良いたします場合、原因者が明確である場合もあろうかと存じます。先ほど先生がお話しになりましたとおりでございます。しかし明確でない場合につきましては、踏切道改良することが踏切事故防止に寄与する、ひいては双方に利益をもたらすということがあるわけでございます。その点を勘案しまして、基本的にはやはり双方の負担によってなされるべきものと思うわけでございます。  その場合の割合につきましては、その改良が必要となった原因であるとかその工事の規模、それからその受益の程度と申しますか、そういったものを勘案して協議をして決めるということになろうかと思います。負担の問題につきましては、そういう意味でいろいろむずかしい点はございますが、なお十分検討いたしてまいりたいと存じます。
  98. 後藤茂

    ○後藤委員 建国協定とか建運協定とかというのがそのためにつくられております。これは大分古い協定ですから、いまの時点に合わないものがいっぱいあるだろうと私は思うのですね。先ほど永井委員の方から指摘をいたしまして、相談をしてみたけれども調わなかったらどうするんだと言ったら、建設大臣運輸大臣の方で関係各省でさらに協議をしていくというようなことを言っておりますけれども、私は、こうした踏切整備をしていかなければならぬ、なるほど踏切における事故というものが非常に多発してきているわけですから、これを整備しなければならないという政治的な課題というものは非常に大きいと思う。問題は、費用負担によって整備がおくれたり、あるいは先ほど言いましたように自動車交通の激しいところは先にやるけれども、ほかはやらないということであってはならないと思うのですね。そういたしますと、財政の振りかえだろうと思う、再配分だろうと思うのです。これを、やれ自治体が財政が困るからとか、あるいは国鉄なり民鉄がその負担能力が非常に低いからとかいうことを越えた対策というものをこの踏切整備に対してはとっていくべきじゃないかというように私は考えるわけです。  そのことは私が冒頭に、踏切というのは一体何だろうかということを考えていった場合に、人がそこをより多く通るようになってきた、あるいは車がより多く通るようになってきた、そこで整備をしていかなければならないということは、道路は、たくさんの資金を投じて、しかも道路特定財源までつけて、なぜああいうように整備をされていくんだろうか。そして道路の延長にありますところに鉄道が敷かれておった。その鉄道踏切を、おまえが負担だ、こちらが負担だ、やれ受益者がどうだとか、その後の保守は鉄道側が持つんだとかなんとかと、そういうややこしいことをしないで、出てくる金は鉄道の場合、国鉄の場合にはあるいは民鉄の場合には、利用者の負担というものが入ってくるかもわかりませんけれども、しかし、もっと道路整備されていく、あるいは橋梁が整備されると同じように踏切というものは考えられないのかどうか、この点いかがでございましょうか。
  99. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 建国協定につきましては、先生も十分御承知と思いますが、三十一年度に協定をいたしまして、いまのところ道路側が三分の二、国鉄が三分の一でございますが、何か聞くところによりますと、戦前はこういった割合ではなかったということを聞いておるわけでございます。  ただ、現実踏切整備状況について調べてみますと、先ほどちょっと申し上げましたように、そのままの幅では前後の道路の幅より狭い。前後の道路も当然改良してくる、広げてくるわけでございます。踏切も広げて整備するケース現実には多いようでございます。そういったことで過去の負担の平均を出してみますと、道路側が八九%というような数字も出ておるようでございます。
  100. 後藤茂

    ○後藤委員 広げた場合は、これは費用は道路管理者の方なんでしょう。
  101. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 そのとおりでございます。
  102. 後藤茂

    ○後藤委員 では、広げない場合の改良というのが何で費用負担をしていかなければならぬのですか。そういうややこしいことをしなくてもいいんじゃないかと思うのです。  つまり、たとえば道路を建設する場合に、ガードレールをつくる、あるいはカーブミラーをつくる、あるいは信号灯をつくっていく、この費用は、それぞれの家の前にガードレールがつけられた、おまえのところは受益者だから、これから車が飛び込んでこないだろう、安全である、したがって費用を持ちなさいということを言わないでしょう。あるいは交通信号にいたしましても、カーブミラー等にいたしましても、つまり道路交通安全のための施設というものはその道路建設に付帯してつくられていく。今度のこの法律にいたしましても、しばしばこの委員会で議論されておるものにいたしましても、やはり国の責任において、自治体の責任において、道路管理者がこういうものは当然の付帯施設としてつけていくわけでしょう。そういう考えに踏切というものはなぜならないんだろうかということ、しかも、踏切のそうした費用負担の場合には、これは民鉄の中小と大手とが違う、国鉄民鉄が違う。なぜ違うんですか。
  103. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 道路が必要とする度合いが強ければ道路で持っていいではないかという御趣旨であろうかと存ずるわけでございます。先ほどある一定の空間を相互に使う、効用を兼ねて使うわけでございますと申し上げましたが、交通安全の面からいいましても、これは道路側が必ず一時停止をしなければいかぬというのが通常のケースでございまして、若干鉄道が優先的にお使いになるという面もございます。  それから、この踏切改良することによりまして事故が減るという効果は相互に受けるわけでございますので、そういった点でいろいろ鉄道の若干の負担をお願いしているというケースではございますが、私どもといたしましては、最近の社会情勢を見ますと、道路側の必要性というものもかなり多かろうと存じますので、その点につきましては今後とも考えてまいりたいと存じます。
  104. 後藤茂

    ○後藤委員 私は、ずっと協定も見せてもらい、それからいままでの費用負担等のあれも見せてもらいながら、どうしてこうむずかしく、しかもこれは大変でしょう、費用負担の相談をしていくことも。どこかがやって、仮に自治体の方が大変大きく持つというなら、交付金で見ればいいじゃないですか。金が出てくるところは同じなんですからね。ぜひそういう観点に立って取り上げていく必要があるだろう。私はこのことに対して非常に疑問を持っています。しかも、第一種の踏切等で遮断機が設置される、あるいは警報機が設置される、この保守管理の費用はどちらが持つのですか。
  105. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 鉄道側が全部負担いたします。
  106. 後藤茂

    ○後藤委員 そうすると、その費用を持つのは、先ほども指摘がされておりましたように鉄道側に大変なメリットがある。したがって、その費用は持って当然であるというようにお考えになっていらっしゃるわけですか。
  107. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 そのとおりでございます。
  108. 後藤茂

    ○後藤委員 いろいろ説明を聞いておりますと、非常に皆さん方はむずかしくむずかしくお考えになっていると思う。警報機なりあるいは遮断機等も鉄道の列車のスピードなり、あるいは回数によって、これに連動しているんだと思うのですけれども、ですから、保守管理はどうも道路管理者よりも私は鉄道側、国鉄側もしくは民鉄側の方が当然だと思うのです。しかし、先ほども永井委員がちょっと指摘いたしておりましたけれども、そのことによって別に大きな収益が上がるわけではない。国鉄の場合には、いまは大変な赤字を出しておりますが、しかし一応独立採算の枠がかかっている。民鉄の場合には、やはり企業ですから収益というものも考えていかなければならない。そのことによって運賃等も決められていくわけですね。駅構内のホームがつくられるとかあるいは駅舎がつくられるとかということと踏切というのは性格が違うだろうと私は思う。これも財政の再配分をすればどうだろうということを申し上げる。つまり交通手段として線路を横切る場合に、施設が何もなければ大変困ります。したがって、施設をつくる。そのために当然警報機なり遮断機なりをつけていく。その費用というのは振りかえにしていったらどうか。物の考え方ですよ。そういうことが考えられないのか。いや、これはいいものをつくっていただきました、未来永劫ひとつ国鉄側あるいは民鉄側がその費用を負担いたしましょうということは、どうも私ども素人的な常識から見ると大変おかしいと思う。つまり私が先ほど言ったように、ガードレールだとかあるいはカーブミラーだとか、信号機だとかをつくると同じ考えに立てないんだろうか。なぜ踏切だけが別にそこに、その負担割合はともかくといたしまして、負担をしていかなければならないのかという理由づけが私にはどうもはっきりいたしませんので、こういったことに対して、いや、もうそのとおりでございまして、私たちが費用を負担するのは当然でございます、こういうようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。この辺は少し、いや、そう言われれば検討をしてみる必要があるのではないかというようにお考えになるか。一言で結構です。
  109. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 問題の所在につきましては、先生指摘の点もございますが、この両面での共用部分というようなことからして、受益の観点からいままでの長い歴史の中でそれぞれの負担区分がまとめられてきた経緯もございますので、この際抜本的に見直したらどうかというような貴重な御意見ではございますが、なかなかこれはむずかしいと思います。しかし先生の御意見もございますので、関係方面とも今後とも勉強はしてまいりたい、このように存じておる次第でございます。
  110. 後藤茂

    ○後藤委員 大変くどいようで恐縮なんです。それからまた、この問題についてはこういう協定もありますし、長い歴史もあるでしょうし。ただ、この協定ができたころというのは、まだ私は、民鉄にいたしましても国鉄にいたしましても、非常にゆとり——ゆとりはなかったかわかりませんけれども、心理的にはやっぱりゆとりがあっただろうと思うのですね。ですから、こういった踏切に対する費用というものがもっと早く再検討されていってしかるべきだろうと思うのです。そういうことが全くなされていないということは私は非常に疑問を感じておったものですから御指摘をいたしました。  そこで大臣、この踏切の問題ですけれども道路をつくっていく場合にいろんな障害物があります。その障害物が自然条件である場合はともかくとして、買収をしていかなければならぬとか新たな工作物をつくっていかなければならぬとか、この費用は全部道路管理者の方で見ておられるわけでしょう。いかがですか。
  111. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 対するものが自然条件の場合は全部道路側で見ることになっております。
  112. 後藤茂

    ○後藤委員 そうすると、鉄道は自然条件じゃなくて、そこにのた打ち回っている鉄道けしからぬからおまえ負担しろという形の考えに立つわけでしょうか。
  113. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 先ほども申し上げましたように、ある一定の空間を若干優先的に鉄道側が使われる、そういう点は考慮さしていただく必要があるんではないかということでございます。
  114. 後藤茂

    ○後藤委員 これはもう幾ら議論いたしておりましても、いまの制度があるわけですから、はい、すぐに変えますということはないかと思います。けれども、この踏切整備されていかないというのはいろんな意思が働いているからだと思うのです。鉄道側にしてみれば余り踏切整備はしてほしくない、わずかであっても負担をしていかなければならぬ。民鉄の側だって同じだと思うのです。あるいは先ほども指摘がされておりましたけれども、自治体の側についても、それに対応する費用というものが都市計画を進めていく上においても十分に国で見てもらえない。これはもう公安委員長の方はずっと自治体でやっていらっしゃったわけですから十分そういったことは、費用がかかるからすぐにその分については交付金で見てくれるというようなことはそうございませんから、この踏切は何とかこうしてほしい、あるいはこの踏切は廃止をしたいと思ってもなかなか廃止できない。先ほど女子高生が通ったところも、本当言えば道路管理者なり鉄道の側は廃止をしたいということです。そうしますと、これを廃止しますと約七百メーターか八百メーター踏切がなくなるわけです。地元の人々は、たとえ警報機がなかろうと遮断機がなかろうと、それは置いておいてほしい、これは生活交通だという意思がある。そこでそのままにされていくわけですね。そうすると、こういった道路建設なんというのはもっと建設省の一つの意思で行われていく、その費用はまずすべて負担をしていくんだ。その中で、いまもし仮に利益が上がるあるいはメリットがあるというところについては別の方法で考えていくような発想に転換していけばどうか、こういうように思えるのですよ。それがいままでの、法律事項でも何でもない慣例でずっときておって、協定でやられてきております。根拠が全くないわけです。そういたしますと、国鉄が連続立体交差の場合に一〇%持つ、民鉄が七%持つ、これも、もし私がこの根拠は何かということをしつこく聞いていけば答えられぬだろうと思うのですね。あるいは大手は比較的経営内容がいいから大手はそちらで持つ、しかし中小の場合は補助金でやっていく。これだって大変おかしいと思うのですね。幾ら経営内容がいいといたしましても、やはりよけいな費用ですから、公害問題でもこれはよく言われるわけですけれども鉄道側にしてみればよけいな費用だからよほど追い詰められなければやらないということになる。そういたしますと、せっかくきょうこうやって法案の審議をいたしております、踏切道整備ということをやっております。幾らやっておったといたしましても、計画ができたといたしましても、その優先順位なり予算のつけ方というものがいろいろな思惑というものが絡んでまいりましてなかなか進まない。しかも費用負担というものを相談をしてやる。それが合意が調わないということになりますと、トップのところまで持っていかなければならぬというようなことになるわけでしょう、現実の問題といたしまして。こういう現実の問題があるということです。  そこで建設大臣、こういった道路にかかわって道路が延長する過程に橋をつくっていかなければならぬ、トンネルをつくっていかなければならぬ、あるいは踏切がある、こういうものに対しては、もっと建設する側の意思としてこれについて全面的に責任を負っていくという角度をとるべきではないか、私はこういうように考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
  115. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 踏切の問題からいろいろと問題点が指摘されたわけであります。道路整備それから鉄道交通網、いま協定でその財源の問題を、お互いに総合的に出していくという形で考え直すという時点ではなかろうかという問題も指摘されて、また道路についての付属的なものにつきましても管理者として責任を持ってやれというような御指摘でございますけれども踏切のことにつきましては、これは長い間の協定が結ばれた次元をさかのぼって考えますと、まだ鉄道もそう過密でもなかっただろうし、道路もそうなかった。お互いに道路のところを鉄道が通る場合もありましょうし、鉄道のところを後から道路が通る場合もありましょうし、あるいはまた地方の強い要望でやむを得ず交差しなければならぬというような、あれこれ複雑な事情が絡み合って、協定のもとにそれぞれの負担率が決まったという来し方であろうと思います。  御指摘のように、御意見は全くそのとおりでありまして、これは御意見をいただきながらこれからの問題として検討しなければならない問題ではなかろうかと思います。とにもかくにも、踏切道改良の問題あるいは道路整備の問題につきましても、管理者としてただいま先生の御指摘の面、あらゆる面につきまして十分配慮の上対処してまいりたい、このように考えるものでございます。
  116. 後藤茂

    ○後藤委員 こういった問題は、特に各省庁にわたります場合、縦割り行政というのは非常に災いをしてまいります。したがって、都市計画にいたしましても道路行政にいたしましても、あるいは交通行政にいたしましても、やはり一つの意思でそういった計画なり対策が講じられていくように、もちろんその上に立って協議をしていかなければならぬものはいっぱいあるわけですけれども予算が出ていくところそれから計画をしていくところ、こういったところはぜひひとつ、一つの意思でやっていくように制度も変えていっていただきたいと思います。  それから、ずっとお聞きをしていっておりますと、結局これまでの何ということなしの慣行で来ているわけです。どちらかが力が強いときに——この配分を見てごらんなさい。後でゆっくり検討されるとわかりますけれども、力の強い方あるいは若干ゆとりのある方に、そういうところに来ているわけです。それでゆとりがなくなると、今度悲鳴を上げてしまって、何が結果に残るかというと整備ができないということが結果として残るわけです。そのことで歩行者なり自転車なりあるいは自動車なりの安全が損なわれていくのじゃないか。ですから、これはすぐれて政治的な課題だと思うのです。政治の場でこういったものがきちっと裏づけられて進められていくときに、きょうも法案審議をいたしておりますけれども、初めてこれに命が入ってくるだろう。最初に女子高生の方の即死の例を挙げましたのも、私はそこに一つの論点を持ちたかったから申し上げたわけです。  もう一つ、これも大変幼稚な質問で恐縮ですけれども、私が車なりで走っておって一つ気がつきますのは外側線というのですか、道路がありまして、そして二車線、四車線というような道路じゃなしに、その道路の路肩の方に白い線が走っている。そしてその白い線の三十センチから五十センチくらいの横にガードレールがあるという道路がたくさん散見されます。そこで、このガードレールというのは一体どう理解していったらいいのか。これはどなたでも結構ですが、ガードレールというのは一体何のために、どういう役割りを果たすものとして設置をされているのか。
  117. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 ガードレールの効用でございますけれども、車両の逸脱の防止という効用がございます。それから歩道、車道の区別があります道路におきまして、歩車道境界に設置するガードレールがございますが、これは歩道に車が飛び込まないということと、歩行者のみだりな横断を防止するというような効果を持つものでございます。
  118. 後藤茂

    ○後藤委員 ガードレールは車両が逸脱をしないためにある、これはガードレールの一つの役割りだろうと思う。それからもう一つは、そのガードレールによって歩行者なりあるいは自転車に乗っている者なりの人命の安全が確保される、この二つの役割りを果たしているのだろうと思うのです。  そういたしますと、特に地方道、あるいはいま一級、二級という言葉はないのでしょうけれども、国道でもそれほど広くない、歩道が確保できないというようなところの道路に外側線があって、そして三十センチばかり置いてガードレールがあるのです。こういたしますと、その外側線とガードレールの間というのは、私どもはこれは歩道だと思うのです。この外側線というのは、なぜつくられているのでしょうか。
  119. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 道路の断面から申し上げますと、やはり車が常時使う部分と、それから路肩と称される、これは交通の機能を確保するためにも必要でございますし路体を保護するためにも必要でございますが、その路肩の部分がございます。その境に外側線を設けるわけでございます。  ただいま先生のお話は、外側線があってさらにその外側にガードレールがある場合が通常ですから、路肩に相当する部分を歩行者が歩いておった場合に、車が飛び込んでくればかえってガードレールとはさまれてしまうじゃないか、こういう御心配ではないかと思うわけでございます。実は数年前にもそういう事故の例がございまして、私どもいろいろ悩んだわけでございますが、歩行者の多いところはやはり歩道をちゃんと設置するのが第一だと思います。そういう意味で、この交通安全の第三次五カ年につきましても歩道整備を進めてまいりたいと存じますが、たまたまそういうところが車がもし転落すればがけであって非常に危ないとかという場合には、やむを得ずガードレールをつくるわけでございます。しかしながら歩行者の危険防止のためには、そういう歩行者交通量によりましてはむしろ道路構造そのものを直すという方向に努力をいたしたいと思います。
  120. 後藤茂

    ○後藤委員 もちろん道路構造そのものを直していかなければならぬということですけれども、そこに外側線がありますと運転者は運転しやすいかもわかりません。しかし歩行者というのは、そこが歩道のように錯覚を起こすわけです。かえってない方がいいぐらいなんです。そして、仮に車がぐんと寄ってまいります。運転者の方は外側線がありますから相当歩行者のところに寄っても、その人をひくとかひっかけるとかということのないところまでぎりぎり入ってくる。しかし、歩行者の方はぐっと寄ってまいりますとびっくりしてしまいますね。あわてるということで足をとられるという事故等にもつながっていくわけです。ところが、逃げようと思ったって今度はガードレールがあって逃げられない。つまり、ここでもやはり自動車優先の道路構造道路管理になっているのではないだろうか。一メーターぐらいもあれば当然歩道ができ上がるわけですけれども、それほどのゆとりがない場合のガードレールのつけ方というものはそれぞれの地域によって、たとえばそのすぐそばに川が流れているとか、あるいは千尋ではないにいたしましても谷底であるとかというようなところはそれぞれ一概に画一的には申し上げられませんけれども、どうも大変安易に運転者の運行に利便なように、外側線だとかガードレールの点も車の逸脱を防止するためにとかいう角度からのみ道路構造というものが行われているんじゃないだろうか、大臣。これは私たちはもう一度考え方を改めていかなきゃならない一つの例で、いま外側線とそのそばにありますガードレールのことを挙げたわけです。全部が全部それがいけないというわけではございません。しかし、その付近に集落がある。そして迂回するような道路が少ない。ついその人々はたんぽに行くとかあるいは買い物に行くときにそこを通っていく。外側線とガードレールの間に若干の幅があるとすれば当然そこを歩道として考えていくという歩行者の心理というものも大切にしながら、この道路構造というものは改良なり建設なりということをぜひひとつ進めていっていただきたいということを申し上げまして、私の持ち時間参りましたので、終わらしていただきたいと思います。
  121. 斎藤実

    斎藤委員長 この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十三分開議
  122. 斎藤実

    斎藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。永井孝信君。
  123. 永井孝信

    永井委員 大分時間が切迫していますので、できるだけこの委員会の進行が早く進むようにということで、協力する立場から質問したいと思うのでありますが、そういうことで答弁の方もできるだけ簡潔にお願いしておきたい、このように思います。  まず初めに、今後の交通事故の発生の見通しということについて政府はどのように予測しているのか、これは総理府でもよろしゅうございますが、ひとつお答えいただきたいと思います。
  124. 佐藤信二

    ○佐藤政府委員 総理府といたしましては、五十四年から五十五年にかけまして交通事故発生状況の長期予測というものをいたしました。そうした調査研究を行った結果、交通安全施設の設置量の伸びと事故防止のための施策がおおむね過去と同様の推移をするという前提に立ちますと、昭和六十年には事故発生件数が約五十四万件、死者数では約八千二百人、これは八千二百十八人という予測でございます。そしてまた、事故防止のための施策を昭和五十五年の水準で凍結した場合は、昭和六十年の事故発生件数というのは約六十三万件、死者数では一万二百九十三人、一万人を超えるというような実は数字を出しております。
  125. 永井孝信

    永井委員 この昭和六十年の交通事故死者数というのは想定で出ているわけですが、いまも御答弁いただいたわけでありますけれども交通事故防止の努力が、政策的に申し上げまして昭和五十五年の水準で凍結された場合一万人を超える、いま言われたように一万二百九十三人ですか、そのように予測されているわけでありますが、その一万二百九十三人というふうに予測がされるというその理由と根拠、何に基づいて予測ができたのか、このまま凍結すれば現在以上に事故死者数がふえていく、そういう憂慮すべき事態とは特に何を具体的に指すのか、明らかにしてください。
  126. 佐藤信二

    ○佐藤政府委員 お答えいたします。  いまおっしゃるように予測をいたしました前提が実はございます。それは、自動車事故発生件数自動車台数また免許者数というのが大変影響があるわけでございますが、これは年々大体二百万という規模で増加をしているわけでございます。そうして、こうした自動車台数運転免許者数等が五十五年から六十年までにそうした私が申しましたような数字で推移するわけでございますが、一方、交通安全施設の設置等の進捗状態、また救急医療体制の整備等の交通事故防止という方が五十五年の水準で凍結されたというふうな前提に立っているわけでございます。
  127. 永井孝信

    永井委員 第三次五カ年計画をこれから策定されて実施に移されていくわけでありますけれども、警察の立場からいって交通事故死者数を具体的にどの程度に抑えるのか、いままでいろいろな数字が挙げられているわけでありますが、ひとつその目標というものを明確にしてください。
  128. 池田速雄

    ○池田政府委員 警察といたしましては、当面は、昨年増加いたしておりますので、それに歯どめをかけて抑止するということに努めますとともに、六十年には八千人以下に抑えるという目標を立てておるわけでございます。
  129. 永井孝信

    永井委員 ここに「全日本交通安全ニュース」のコピーを持っているわけでありますが、これは警察庁が記事を提供しているわけでありますけれども、この中にも書いてありますけれども、「交通事故による死者は今なお年間八千四百人を超え、負傷者は約六十万人におよんでおり、交通事故は国民が日常生活において感じている不安の最大のものである。」という形容を使っているわけですね。私は、いろいろな文献を見ましても、政府資料を見ましても、とにもかくにも交通事故死をなくしようということが表に出てくるのでありますけれども交通事故死は事故が起きるから死ぬのであって、そういう観点からいくと、死に至らないけれども事故の後遺症によって生活を破壊されるという人がずいぶんいるわけですね。そうすると、交通事故による死亡者を八千人以下に抑えたい、これは非常に大切なことでありまして、ゆるがせにしてはならぬことでありますけれども、あわせてこの事故件数を減少するために何ができるのか、事故件数を総体数で減少させる数値はどこに置くのか、これはやはりもっともっとアピールしなければいかぬと思うのですね。そういう立場でその目標といいますか、持っておられるなら数字を明らかにしてください。
  130. 仲山順一

    ○仲山政府委員 第三次の交通基本計画の策定に当たっては、いまのようなことを前提にしまして、人と車との共存にふさわしいような安全で快適な交通社会の実現ということを図ることを目的にやっておりまして、そのために歩行者、自転車利用者、幼児、老人、身体障害者等がすべて安心して通行できるという道路交通環境整備、これは歩道とかあるいは自転車道の整備ということになるわけでございますが、さらに交通道徳に基づいた交通安全意識の高揚、交通事故の被害を最小限に抑えるための被害者救済対策の推進等、あらゆる面で総合的、計画的に実施するということによりまして、先ほど警察の方からお答えがございましたように、八千人以下にとどめたいということを目標にしてやっております。
  131. 永井孝信

    永井委員 交通事故死者数を八千人以下に抑えるということが、もちろんこれは一番大切なことなんですよ、大切なことなんだけれども交通事故で亡くなられる数字、このことばかりが表へ出て、どうも全体の事故そのものを減らすということが欠けがちなんですよ。そこのところを私は非常に重視をしているわけでありますが、たとえばこの「日常生活における不安」という中に、交通事故に遭うかもわからぬということで大いにおそれを感じているという人が六九%と出ていますね。漠然と感じる人を加えれば九五%の人が日常生活の中で一番大きな脅威を感じておる、こう言っておるわけですね。あと地震とか火災とか職場での事故とか大きな病気をするとか、いろんなことでも統計をとってありますけれども、やはりこの交通事故ということで一番大きな脅威を感じているわけですね。  そこで、いままで二回にわたる五カ年計画を推進をしてきて、もちろん道路整備は不十分だ、あるいは安全施設は不十分だ、これからもっとやっていかなければいかぬということは私はわかるのですけれども、いままで二次にわたるそういう政策を遂行してきて、いまなお、たとえば最近の資料で見ても交通事故件数というのはふえているわけですね。なぜそうなのか、ここのところを私はもっとえぐり出してもらいたいと思うのですね。そのえぐり出したことがないと本当の政策というのは、文字では幾ら書けても本当の生きた政策になっていかないと思うのですよ。その辺のところを、担当する側としてひとつ明らかにしてもらいたいと思うのですけどね。
  132. 仲山順一

    ○仲山政府委員 その原因はいろいろとあると思いますが、やはり二百万台ずつ車もふえ、それから人口もふえておるというふうな客観的な情勢もございますし、それから、これは申していいかどうかわかりませんが、石油関係が一時は大変逼迫しておりましたが、最近はどこのガソリンスタンド等でも大変油も出回っておりますし、それから、最近は暴力教室等に見られるような暴力的な風潮といいますか、そういうふうなのが出てきて暴走族等が非常に多くなった。そのために関係者がそれに忙殺されて、大変な全体に影響を及ばしておるというふうないろいろな原因が出てまいりまして、そのためにふえておる。それであるから、われわれは暴走族の総合的な対策を立てるように去年からやっておるわけでございますが、その他学校全体に働きかけてやっておるというふうなわけでございます。
  133. 永井孝信

    永井委員 そこで、具体的な問題に入っていきたいと思うのでありますが、たとえば夜間の交通事故の死亡事件で言いますと、ここにも警察庁の出した資料があるわけでありますが、昭和五十四年度で、もちろん事故件数もふえているわけでありますが、死亡事故件数もパーセントとしては上がってきているわけですね。四九・四%、ざっと五〇%に相当するものが死亡事故につながっている。  こう考えますと、この夜間の交通対策ということはもう当面緊急的な課題として私は対応しなくてはいけないと思うのでありますが、この夜間の対応について特段の対応策を考えられているのかどうなのか。
  134. 仲山順一

    ○仲山政府委員 それは非常に警察当局が一生懸命になってやってくれておりますし、また安全協会、母の会、その他関係者も努力しておるわけでございますが、なお一層その点は努力するということに第三次でもなっておるようなわけでございます。
  135. 永井孝信

    永井委員 私はここに外国の文献でありますけれども交通事故をなくするための課題というのは世界共通しておるわけでありますから、この外国の文献をちょっと手に入れて見てみたのでありますが、非常にユニークな調査がされているわけですね。  それによりますと、夜間や運転者の視認性が損われるような悪天候のときに事故率がきわめて高い、これは常識的にはあたりまえのことなんですよ。道路照明を設置することで夜間の運転者の視認性を改善することができる、その改善することができれば、いままで外国の各国の、先進国と言われておる国々を中心にしてでありますが、夜間の事故率というのは三〇%低下しているということが統計上報告されているわけですね。  照明をつければ道路が明るくなって見やすいから事故が減るということはあたりまえのことなんだけれども、その交通事故対策のあたりまえのことが手抜かりがされ過ぎている。これは私は政策的に非常に重視していかなければいけない課題だと思っているのです。照明が十分であれば改善されることがわかっています。わが国は高速道路もずいぶんできてきました、あるいは地方の主要交通路もできてきました。そう考えますと、道路照明の整備にかなり重点を置くことによって、外国の文献にも明らかになっておるように三〇%も死亡事故が減少するという効果が、これはだれが見ても常識的にわかるわけでありますから、この辺の関係について道路照明の問題でひとつこれからの取り組みを聞かしていただきたいと思うのです。  具体的に一つの問題を例として出しますと、全国にたくさん道路も走っている、あるいは道路上のトンネルもいろいろあります。私の住んでいるところでも、神明、第二神明であるとかあるいは姫路バイパスであるとか高速道路が走っておりまして私も毎日のように通るのでありますけれども、たとえば長さ三百メートル、四百メートル、五百メートル程度のトンネルの中に、半分は非常に照明が明るい、ちょうどトンネルの真ん中から二分の一は途端にがくんと光度が落ちるような照明設備が、行ってごらんなさい、残っているのですよ。そうすると、明るい方から入ってきてトンネルの真ん中に来た途端に前が暗くなる、しかもそのトンネルがカーブしているという状況現実に残っているわけでありますから、この道路照明というのはなおざりにすることのできない問題だ。当然常識的に考えられることがなおざりにされてきた。もちろん予算をつけていろいろやっているのでありましょうけれども、不十分過ぎる。だからその常識的なところから何とか改善することをやっていかなくてはいけない、こう考えますので、この道路照明についてお答えいただけますか。
  136. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  道路照明が夜間の事故を軽減する効果、これは御指摘のとおり大変大きいものでございまして、いろいろわが国の土木研究所で調べましたもの、あるいは諸外国の例等もございますが、大ざっぱに言いまして、たとえば連続的に照明をいたしますと事故が五割以上、場合によっては九割ぐらい減るというようなデータもあるようでございます。私ども、そういう意味合いにおきまして道路照明は十分つくってまいりたいと思っております。現況で全国で約百十四万基ございまして、今回の第三次五カ年計画でこれにさらに一万三千基を追加する予定にいたしております。  ただ照明は、先生承知のように電気を食うわけでございまして、ただいま非常に省エネルギーということも言われておるわけでございます。こういう点でこの二律背反することをどう両立させるかという問題があるわけでございます。たとえばただいまお話にございましたトンネル内の照明につきましても、入り口から明るいものからだんだん暗くしていって、目をならしながら真ん中の暗いところに順応していただくというような方法をもちろんやるわけでございますが、これにつきましても、たとえばトンネルの出口の方に天然の明かりを、空の明かりをだんだん暗くしていくような施設をつくれば電気代が助かるという点もございますので、われわれといたしましても今後ともその辺十分両立させながら交通安全も守るということで研究を進めてまいりたいと存じております。
  137. 永井孝信

    永井委員 省エネルギーということは非常に大切なことですけれども、この省エネルギーを強調する余り、道路照明などがなおざりにされることがあってはならぬと思うのです。片方で人命がたくさん損われている、それを何とかなぐそうというときに、省エネルギーと言うなら、もっとほかに幾らでもすることがあるわけだ。そんなもの、道路の照明をふやすのに省エネルギーのことなんか持ち出すのは、ぼくは交通事故を絶滅するという決意からいくと不謹慎きわまりないと思うのですよ。もう一回それを答えてください。
  138. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 ちょっとその点を強調し過ぎたかもしれませんが、ただ、非常に危険な地点を局部的に照明するというのは大変効果のあることでもございます。たとえば、前後が何もないところで横断歩道があるというような場合につきましては、歩行者の姿を浮かび上がらせるというのは大変効果のあることでございます。そういう意味で、私どもも決して全部必要なところもつけないということではなく、つけながら、かついろいろな工夫をしながら事故防止に万全を期したい、この精神においては変わりございませんので、再度お答えさせていただきます。
  139. 永井孝信

    永井委員 私が申し上げましたこの外国の調査の関係でいきますと、各種の道路標識についてもかなりユニークな研究をしているわけでありますが、この各種道路の「標識に要求される視認性」という表題の中で次のように述べているのですよ。「運転者がいろいろな交通状況や悪天候の下で、どの程度の判読しやすさを必要とするかについてはよく知られていない。」警察もあればドライバーもあるが、それぞれの立場でよく知られていない。「必要とされる程度の判読しやすさを備えることが車の制御や交通流にどのように影響するかについても研究される必要があろう。」というふうに指摘をしているわけですね。わが国においてはこの視認性という問題に関して調査研究がされているのか、あるいはされているとするならどのようにされているのか、お答えいただけますか。
  140. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 道路標識の視認性につきましてもいろいろ研究がなされております。特に土木研究所におきましては人工の雨を降らせる装置をつくっておりまして、こういった条件下で特に夜間とか、どういうものが見やすいかいろいろ検討しているところでございます。  一例を申し上げますならば、たとえば色の問題でございますが、車速と標識を判読できた距離との関係ということでいろいろ調査がなされておりまして、やはり地の色、地といいますか標識のバックになる色と文字の色との組み合わせ、これでいろいろな組み合わせがございますが、どういう組み合わせがいいのか、こういったものがなされております。また文字の大きさ等につきましても、同じような施設を使いまして判読距離の関係を調べておりまして、設計速度に応じてどの程度のものがいいというような研究は十分やっておるところでございます。
  141. 永井孝信

    永井委員 いまの御答弁では調査研究はされているようでありますけれども、世界各国と比較してもきわめて交通事故が多いわが国において、調査研究に要るものはつけて、本腰を入れてもらいたいと思うのです。  仮に安全対策についてそういう視認性の問題という立場から検討された、これが着実に活用されなくてはいけないわけですね。そのいままで検討されていることについて、そのことが根源になって具体的に改善された事例というのはあるのですか。
  142. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 たとえば道路標識におきまして、こういった結果を使いまして警察庁との御相談でまとめましたものに指定方向外進行禁止の標識であるとか、そういったものはこの研究の成果を利用いたしましてバックを青にし矢印を白にする、これが非常に見やすいという結果を使いましてできた標識でございます。
  143. 永井孝信

    永井委員 この視認性の研究をさらに広範に深めてもらいたいと思うのでありますが、この視認性の研究結果というものができれば、非常に多角的にわたっている分野の中で一定の基準というものに当てはめることができるようにひとつ御配慮願いたい、こうひとつ強く要望しておきたいと思います。  その次に、もうすでに何回も言われてきていることでありますが、車両台数がもう四千万台近い、きょうの時点では四千万を超えているかもしれませんね。これからもさらに増加していくだろう、このように考えられているわけであります。しかし、政府の側が出してきました新しい五カ年計画を策定するに当たってのいろいろな基本施策を見ましても、一応すべての項目は羅列はしてあるのですけれども、具体的にこれからやろうとしていく内容予算的な措置を見ても、あるいは重点施策を見ても、やはり車の側からの施策に重点が置かれている。私は、そのことは決して間違いではないと思うのでありますが、たとえば午前中の質疑の中で、後藤議員からも指摘しておりましたけれども、ガードレールの問題が提起されておりましたね。このガードレールの問題に対して、車が飛び込まないこと、歩行者がみだりに横断をしないことなどが設置の一つの基準になっているというお答えもあるわけであります。しかし、現実歩行者の立場からすると、歩行者は弱いわけですから、歩行者をどうやって守っていくのか。交通事故死の原因を見ても、直前横断とか確認の不履行とかいろいろな問題がありますけれども、結果としてはやはり歩行者の方が、弱者が強者に傷められているという、こういう車社会でありますだけに、歩行者の立場からの施策というものにもつと重点が置かれなくてはいけない、実はこのように考えるわけです。だから、歩行者優先という言葉が言われるけれども、これが言葉で終わってはならない、このことを銘記してもらいたいと私は思うのですよ。  そこで、幾つか聞いておきたいと思うのでありますが、たとえば歩道の整備は一体どの程度——国道であるとが県道という主要な道路がありますけれども、田舎の小さい道まではさておいても、交通量の多いところには歩道というのは一体どの程度整備されているのか、あるいは計画に対してどの程度進捗しているのかを明らかにしていただけませんか。
  144. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 道路法道路が全体で百十万キロでございます。これは市町村道まで含めておりますが、そのうちで歩道つきの道路が六万一千キロでございます。私ども交通状況、これは自動車歩行者状況等も全部勘案をいたしまして、最終的に歩道つきの道路が二十三万キロは必要であるという目標を立てております。したがいまして、現状では四分の一を若干上回ったという状況でございますが、その二十三万キロの中でも緊急を要すると思われるものが約十万キロございます。これを第三次五カ年の間に何とか概成をするところまで持っていきたいと考えております。
  145. 永井孝信

    永井委員 歩道の設置の目標にはまだほど遠いのですね。この歩道の設置というのは何よりも急がれることであります。しかし、交通事故の発生率の最も高いのは、一級国道と言われているりっぱな国道よりも、幅員が五・五メートル、六メートルあるいは六・五メートル程度のところに集中しているわけです。これは警察の交通白書を見てもその数字は明らかになっているわけです。しかしその歩道が、いま言われたように緊急に必要とするところから設置をしていきたいということなんでありますけれども、いろいろな地域の特徴があったとしても、本当に緊急なところからやられているのか、私はどうもそのことが納得できないのですよ。  私の住んでいるところで言いますと、国道が走っている、これはずっと昔からある国道で、かなり幅の広い国道でありますが、この国道にはほとんど歩道はありません。そして、新たに国道のバイパスができたわけでありますが、この国道のバイパスに側道が全部できているわけですね。ところがこの側道というのは全部に一本で通っているのではなくて、側道のある部分とない部分があるものですから、側道を利用する自動車はかなり前の国道から住宅地の中をその側道まで入っていかなければいかぬ。そういうこともありますから、現実的には利用度が非常に少ないのですね。利用度が少ないのだけれども、その側道は、いま私の住んでいるところではどんどん工事が進んでいるのですよ。かなり幅の広い側道でして、側道の幅員があれなら恐らく七、八メートルあるでしょう。その側道にもともと歩道用に白線が引いてあったのですけれども、その白線が引いてあったものを今度は歩道用に一段高くして縁石をつけてりっぱな歩道にいましているのでありますが、この歩道がいまどんどん進んでいる。ところがそれと交わって、国道は東西でありますが南北道路にいわゆる主要の地方道というのが通っているわけですね。この主要地方道は幅員が五・五メートル、広いところで六メートルしかないのですよ。これは県道でありますけれども主要道であります。この県道は、一日に一万台をはるかに超える交通量があるのですよ。しかも、その一万台を超える交通量のうち大型トラックが二分の一以上を占めているという、そういう道路なんですね。この道路には一行に歩道の工事が始まらない。そうして死亡事故から見ると、その主要県道の一キロくらいの短い区間で一年間に六人、七人と死亡事故が発生している。これはもちろん国の補助あるいは自治体の負担率、こういうものもあるのでしょうけれども、とにかくあらゆる障害があったとしても、そういう実際に交通事故の多発地帯、交通量の多いところ、道路の幅員が狭くて交通量の多いところですね、こういうところにまず何が何でもつけるということをやっていくべきではないのか。私がちょっとひが目で見るのかもしれませんけれども、つけやすいところからつけていく。もちろん住宅なんか建っていないところはつけやすいのだけれども、つけやすいところからつけていくというのも一つの方法かもしれぬけれども、しかし、必要なところは少々の障害を乗り越えてでもつけていくというその姿勢がまず根本にないと、幾ら歩行者優先と言ってみてもそれは言葉だけに終わってしまう、こう考えるのですがいかがでしょうか。
  146. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 歩道をつけやすいところからつけておるのではないかという御指摘でございますが、実はこの交通安全事業の中では通学路の事業もいたしておりますので、そういうところで通学路の場合でございますと、朝夕は子供たちが通るわけでございますが昼間は余り人が通らぬという、中にはそういうところもございます。  しかしながら、いま例としてお挙げになりました加古川バイパスと加古川−北条線であろうと思いますが、このあたりのことになりますと、実はつけたいのだけれども人家連檐区域のために現道に歩道がつけられないというところが片やあり、片やたんぼが続いております関係でつけやすいというところがあるというのは事実でございます。加古川バイパスにつきましては、側道も約三千三百台ぐらいの自動車交通量がございますし、またインターチェンジの付近で自転車が非常に多いようなことでもございますので、自転車を一緒に通す歩道、こういうもので整備をしておるわけでございます。  そこで、最後に御指摘がありました本当に欲しいところはどうするんだというお尋ねでございますが、やはりこの交通安全事業で歩道を設置するというのが非常にむずかしいようなところ、しかもどうしても必要なところ、これはやはり一般の道路改築事業によりまして、必要ならば通過交通を迂回させるバイパスをつくってそちらへ回してしまう。そうすれば現道は交通量も減りますのでまたさらにいろいろな手が打てる、こういうことになろうかと思います。したがいまして、これは交通安全事業だけでなく、道路の一般道路事業をうまく組み合わせまして安全を確保するという方向で進めてまいりたいと思っております。
  147. 永井孝信

    永井委員 バイパスの計画はずいぶんあるのですよね。全国のバイパス計画路線というのはあるのですけれども、まだ一向に、もちろん用地買収も手をつけるところまで行っていないわけですね。あくまでも計画の段階にとどまっているわけですよ。住宅開発地域については、もともとバイパスに予定しておってもそのことは公表されてもおりませんので、そこにどんどん住宅地が開発されてしまう。さていよいよバイパスをつけるときになったら、これまたバイパスがつかないということになるのですよ。その辺の関係は、もっと生きた行政の進め方として、バイパスをつくるならそのバイパスに予定するところについてはあらかじめ前段の手段を打っていく、手だてをつくっていくということぐらいしてもらわないと、そのバイパスだってまた立ち消えになってしまう。いつまでたっても歩道もつかない、バイパスがつかないことができてくるのですから。それは個所を挙げれば幾らでも私は具体的に指摘できるのですよ。そういう関係の前段の手だてというのはどういうように考えられていますか。
  148. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 いろいろな方策があろうかと存じますが、私どもも調査はいろいろやっておりますけれども、たとえば都市計画区域でございますと、その調査の結果をもとにいたしましてバイパスの都市計画決定を先行させる、これは一つ手段であろうかと存じます。  ただいま私どものよりどころとしております道路法につきまして、実は全般的な道路計画決定というようなことが決められておりませんものですから、いまのところは都市計画決定等を十分効果的に手法として使わしていただきたいと思っております。
  149. 永井孝信

    永井委員 できれば交通事故の多発地域、これは全部——これは建設省ですか、それとも公安委員会か、どちらかわかりませんけれども全国交通事故の多発地域というのは大体路線別にわかりているわけでありますので、その個所における歩道の設置状況、あるいはバイパス計画などの計画の策定状況、これらについて、この場で明らかになればお答え願いたいし、明らかにならなければ後ほどで結構でございますので、ある程度明確な資料を提出していただきたいと思うのですが、どうでございましょう。
  150. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 ただいま手元にちょっと資料を持っておりませんので、後ほど提出をさしていただきたいと存じます。  なお、バイパスをつくりました場合、現道、もとの道で非常に事故が減ったというようなデータもございますので、あわせて御提出申し上げます。
  151. 永井孝信

    永井委員 建設大臣にちょっとお伺いするのでございますけれども、国道は国の直轄管理の国道と知事管理の国道がございますね。直轄管理の国道は比較的いいのでありますが、知事管理の国道というのは、私はその管理がなかなか行き届いていないのではないかという気がするのです。それはどういうことかといいますと、平面を走っている国道ならいいんですけれども、ある程度、何メートルかの高低の差があるところですね。のり面をつけて走っている国道、こういう国道ののり面が——私の手元にも幾通かの投書が来ているわけであります。もしその投書を参考にしたいということなら投書をお見せいたしますけれども、そののり面が不法に占拠されているということの御指摘がずいぶん投書で来るんですよ。のり面が不法に占拠されている。ということは、のり面を道路面まで全部土を盛って、埋め立てて住宅を建てたり店を開業したりいろんなことをするのですが、埋め立てるものですからそののり面が全部占領されてしまうという問題があるんですよ。それを私いろいろ調べてみたのですが、正規の手続のとられているものもある。正規の手続がとられて、そののり面の部分を必要とするときはいつでもそこはのける、除去するとかいうことで確約をして正規の手続をとっているものもあるんですが、手続をとらないまま不法占拠をされているというケースもかなりあるんですよ。そこに今度歩道をつけるということになると、既得権だ何だとかいうことになってこれまた歩道をつけるのに大きな支障を来すという問題もあるのですが、こういう国道ののり面などの管理は一体どうなっているんですか。これはひとつ建設大臣お答えいただけませんか。
  152. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 大臣のお答えの前に、実情につきまして簡単に申し上げさしていただきたいと存じます。  確かにのり面の不法占用は相当数ございます。ただいま先生は県知事管理の国道についてのお話でございましたが、いま私、持っておりますのは、建設大臣管理の国道の資料でございますが、四十九年十二月末で六千百二十二件の不法占用がございましたものが、五十六年二月末で二千二百十八件に減っている、こういうようなことでいろいろ努力はしておる。ただし、御指摘のように非常に支障がございます。したがいまして、いろいろな機会をつかまえながらこの不法占用物件を除去することに最大の努力をいたしたいと思っております。
  153. 永井孝信

    永井委員 国有財産がたとえわずかでも不法に占拠されるということが見過ごされていきますと、これからの用地買収とかいろいろな問題に支障を来しますので、大分減ってきているようでございますけれども、これはひとつ厳に管理を強めていただきますように、関係の知事の方にも建設省の方から通達を出すなり何なりしかるべき措置をとってもらいたいと思う。  その次に身体障害者の問題について、私は前の九十三国会でも取り上げたことがあるのでありますが、身体障害者用の交通安全対策、ことしは障害者年でもありますし、非常に重視をされているのでありますが、本当に身障者の方々のことを考えた施策がどこまで生かされるかというのは、まさに具体的な施策をどこまで誠意を持って実現するかということにかかってくると思うのですね。私は、この身障者の問題について、言葉では障害者年だからということはいろいろわかるのですけれども、じゃ実際それぞれの立場にいる人たちがどこまで本気に身障者の方々のことを考えているだろうか。たとえばこの間新聞にも出ておりましたけれども民鉄国鉄を含めて鉄道の駅のホームに身障者の方々のための何とかいう、正規の名前は忘れましたけれども、設置してありますね。あの設置しているものでも、国鉄によって、あるいは国鉄民鉄によっては設置の基準が違っているわけですね。そうすると、不幸にして失明された方々が電車を利用する場合にでも、民間の民鉄を利用している人が今度たまたま国鉄に乗ったときは、戸惑いを生じる。そのことが事故につながるということだってあるのですよ。私は、それぞれの国鉄なり民鉄なりが基準を決めたその理由はあるのでしょうけれども、せめてこういう公共輸送に携わるものとして、一定の基準というものは普遍でなければいけない、そうしないと、本当の効果が出てこない、こう思うのでございますが、どうでございますか。
  154. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 御指摘の点はまことにごもっともなことだと思います。国鉄私鉄の間でそうした基準というものができれば非常に結構だと思いますが、一遍施設したものをまたさらに施設をし直すというような点もございますので、今後新しい方向としましては、統一ができるかどうか十分検討してまいりたいと思います。
  155. 永井孝信

    永井委員 私はこれは行政の側の後追いだと思うのですね。これから検討する、改善をすると言ってみても、いままで設置したものが改善されなかったら、その分は残っていくわけですよ。私はそういう行政であってはならぬと思うのですね。だから、本来金のかかることでありますけれども、たとえば国鉄民鉄と比較して、この方がよりベターだということがあるとするなら、そのベターでない方はベターの方に合わせるということぐらいはやってのけないと、いつまでたってもこの種の問題の解消はできない。片方で身障者の車いすを使っていられる方々の横断歩道を何とか便利なものにしていこうということで、スロープをつけた横断歩道橋をつくる。そういうものは片方でつくられているんだけれども、じゃ全国の横断歩道が全部そうならない限り、すべての人が利用できない。これは膨大な数でありますから大変な資金が要りますけれども、しかし、少なくとも行政が後追いするからそういう矛盾が出てくる。私はこのことを厳になくするようなこれからの行政指導のあり方ということについて注文をつけておきたいと思う。  たとえば心のこもってない話で、これは国会で取り上げるべき問題かどうか私はわかりませんけれども、小さい問題で一つだけ目についたことを申し上げるのですが、東京の八重洲の地下街に建設大臣入られたことがありますか、買い物などに。私はあそこによく行くのですが、それぞれのそういう地下街にしろどの施設にしろそうでありますが、管理をする側がいかに無神経かということを腹立たしく思うのですよ。八重洲の地下街に行ってごらんなさい。国鉄の八重洲の中央口から地下へ入る階段が両方に出ているのです。一カ所から出ておるのですね。両方にエスカレーターがついている。そのエスカレーターは両方とも下り専門なんです。北口の方に行けば北口の方のエスカレーターも下り専門、南口へ行けば南口のエスカレーターも下り専門。上がるエスカレーターがないわけですよ。お年寄りも身体障害者の方もいられる。あんなものはボタン一つで操作できるんだから、せめて二つあるところは片一方は上りにするぐらいの配慮があってしかるべきだ。そのことだって、だれも管理する側が不思議に思わない。私はこういう姿勢が続く限り、幾ら障害者年だと言ってみても効果を上げることはできないと思いますので、これは一つの具体的な例として申し上げておきたいと思います。  時間がなくなってきましたので最後に……。この予算面で見ましても、ことしは非常に財政事情が厳しいということで全体の予算の伸び率が低く抑えられたということは、まあある面では評価する人もいるだろうし、ある面では不満を持つ人もいるだろう。しかし私は、とりわけこの道路行政とかこういう交通安全対策事業についてきわめて伸び率が低いということは非常に遺憾に思うのですよ。本当に交通事故を絶滅したい、そういう願望を持って行政を進めていくとするなら、むしろこういう交通安全対策事業などについては他のものよりも伸び率がもっと高くなくてはいけない、そのぐらいであってしかるべきだ、こう思うのです。そういう考えからいきますと、この予算の伸びがたとえばゼロである道路事業、これは現実に物価が上昇する分だけ実際は下がっていきますね。これから第三次五カ年計画をつくって積極的に進めるというのでありますが、どう考えてもこれでは不十分過ぎる。全体のこの五カ年間で見ればわずかでも伸びているではないか、こういうお答えがあるかもしれませんけれども、単年度で見る限り来年度はむしろマイナスになっていますよ。そういうことを考えますと、この交通安全対策にもっともっと積極的な姿勢が関係閣僚の皆さん方にほしい、私はこう思います。それぞれ関係各省が単独で物事に処するのではなくて、それぞれが協力し合う、これは当然なことでありますが、そのことを具体性をもって実現するようにしてもらいたい。たとえばここに提起されております交通安全対策政府の説明資料を見ましても、基本政策の中に掲げてある分で重点の置き方がそれぞれかなりアンバランスがあると思うのですね。それぞれアンバランスがあって、これは建設省のエリア、これは公安委員会のエリア、これは運輸省のエリアということになったんでは、このせっかくの第三次計画も実を結ぶことが非常に乏しいということになってまいりますので、その関係について、建設大臣と公安委員長お見えになっておるのでありますから、最後決意をお聞きして私の質問を終わりたいと思いますので、ひとつ決意をお願いいたします。
  156. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  永井先生交通安全に対する御意見、所見、御指摘について全く同感でございますし、いろいろと教えられるところがございました。  三次五計に盛られている問題につきましても、当然私たちは十分とは考えておりません。ただ御案内のような財政再建、財政事情のもとで、とにもかくにも事業量だけは確保してまいろうというような心組みで財源確保に努めたところでございます。  ともあれ、交通事故が四十五年をピークに、一次、二次五カ年計画をやって、自動車は倍増いたしましたけれども交通事故の方は四十五年のピークから見れば、事故死を見れば半分だというような状況。ただし、この二、三年微増があってちょっと心配いたしておりますが、あれこれ考え合わせて先生の御指摘があったことと思います。交通事故をなくするのは、当然私たちの所管でありますれば交通安全施設整備を図らなければなりません。あわせて道路規制の問題、交通規制の問題あるいはマナーの問題もありましょうけれども、せっかく各省それぞれ関係がございますので、各関係省庁とよく緊密な連絡のもとに何とか欧米以下に日本の交通災害を——施設整備をいたしまして、何とかりっぱな安全交通環境づくりをやってまいりたい、このように考えているところでございます。
  157. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 警察当局といたしましては、交通事故防止に関する取り締まりあるいは物的設備の整備、またドライバーに対するマナーの確立、また交通安全運動を通じましての一般の人々への啓蒙運動等に最大の努力をしているわけでございまするが、これは道路その他の関係も皆ございまして、有機的な対策を進めてまいらなければならぬと思っております。それで総理府にその中心部を置いているわけでございまして、関係各省がこのもとに有機的な連絡をとって、そしてこの交通事故防止に最大限度に成果を上げたいと努力をしているところでございます。  御注意の点につきましては、十分意を体しまして、今後総理府を中心として有機的な連絡を図って努力をしてまいるつもりでございます。
  158. 永井孝信

    永井委員 いろいろとお答えいただいたのでありますが、ひとつ言葉だけに終わらないように本当に誠意を持って進めてもらって、なるほど新五カ年計画ができてよかったなと言えるような結果が得られますように心から要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  159. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、三浦隆君。
  160. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 初めに、建設大臣にお尋ねいたします。  交通弱者の安全対策についてです。歩行者交通事故死傷者数は、統計によりますと年少者、特に六歳以下と六十歳以上の高齢者に死傷者がきわめて多くなっているわけです。たとえば五十四年度の統計によりますと、十万人当たりの負傷者数のところ、六歳以下が二七二・一の割合に対して三十歳から三十四歳の方は三一・六というくらいに、大変大きな開きが出ております。  そこで、これらの交通弱者に対して、これまでもそれなりの対策はとられてきたわけですが、従来自動車優先の道路整備を促進してきたため、その対策に立ちおくれがあったのは否めないことだと思います。第三次交通安全施設等整備事業五カ年計画では、年少者並びに高齢者に対し特にどういう積極的な対策をとられるお考えでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  161. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  三次五計で弱者に対する交通対策ということでございました。先生ただいま御指摘のように、年少者、高齢者あるいは障害者ともに含めて歩行者、自転車利用者の方々の事故死における割合というものは、トータルで四四%という大変高い率でございまして、われわれもそのことに対応するための安全施設をいかようにするかということで頭を痛めているところでございます。したがって三次五計では、先生指摘のようにこうしたことを重点に、とりあえずとにもかくにもその方々のための歩道整備を重点にやってまいる。なお、あわせて関連の交差面における施設につきましても重点的にやってまいるというようなことで進めてまいる所存でございます。  なお、直ちにこれが効果を上げるというところまで積極的にやるということには一遍にできませんけれども、とにかく五カ年の間にいまある歩道の六万キロを、一応の当面目標として十万キロまで延ばしたいというような具体的な計画をもって進めているところでございます。
  162. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 さらに具体的な問題は後で個々にお尋ねしたいと思いますが、続けましてことしは国際障害者年ですので、心身障害者に対する安全対策についてお尋ねします。  交通弱者の中でも特に心身障害者に対する交通安全について、具体的にはこの後でお尋ねしますので、大臣、一般論としてどのような対策をお考えですか、お尋ねしたいと思います。
  163. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  国際連合の一つの大きな柱として、ことしは国際福祉年に設定されておるわけであります。建設省といたしましては、従来から障害者に対しては、いわゆる横断歩道における歩道橋あるいは地下道、あるいは肢体障害者だけではなくて視聴覚障害者の方々にも配慮しながら進めてまいっておるところでございますが、特に障害者年ということでございますので、なお一層従来からやってまいっております段差の解消、斜路の設置等にも思いをいたしてなお拡大して、障害者の方々のためにいままでの具体的な問題になおプラスして積極的に進めていく所存でございます。
  164. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、美観対策についてお尋ねしたいと思います。  首都高速を初めとします高速道路の防音壁は、騒音防止安全対策に欠かすことのできないものとしてそれなりの効果を発揮しています。しかしそのほとんどは実用本位だけのものであって、外から見ても内から見ても全く美しさというものがありません。美を求める心は各人の心をやさしくし、交通安全にプラスするものと思われますし、日本の国力自体も戦前なり戦争直後と違って豊かになってきたことですから、これからは防音壁を初め道路の建設、整備に美しさを配慮するよう美観対策を立ててほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  165. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 全く先生と同感なんです。私もしばしば東名高速道路を利用さしていただいているのですけれども、どういうことであるのか単に遮音、防音に力を入れて美観ということが忘れられておるわけで、これはいま少しくこうした問題も配慮があってしかるべきではないかということは、私自身も日ごろから考えている問題であります。道路そのものの機能性あるいは意義というものはさりながら、それに付帯する防音等々につきましては、周辺の環境を考えながら美的感覚を持ってやるということが一番よろしいのじゃなかろうかと思います。まあ道路一つにしても、考えてみますれば文化的なものでありますし、ましてや地域社会に溶け込んだ道路であるならばあるほど、そうした防音対策につきましても当然おのずから文化的といいますか、芸術性を求めたり、あるいは自然環境の中で生かされるような施設をも加味したものをやっていかなければならないのではなかろうかと考えておるわけであります。ただ、いままでのところは、高速道路ができて防音、遮音ということで地域のニーズに急ぐ余り、どうしても事務的に機械的に施設だけつくったというきらいがあったのではなかろうかと思います。これからは先生の御指摘のように、いろんな面で文化的というか芸術性といいますか、環境にマッチした美的感覚を持ったものを進めてまいることがよろしいのじゃなかろうかと思いまして、今後の課題として検討させていただきたいと思います。
  166. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 およそ時代が変わりますと、時代の変化とともに政治も経済も教育もいろいろと変わってこようかと思います。これまでのわが国が貧しいときには、豊かにさえなれば幸せになれると思いながら、実際には心の貧しさというかいたわりを失ってだんだんおかしくなっているのが教育の方にもあるわけです。そういう意味で、道路の方もないよりはあった方がいいという点では、いまも不足は不足でありますけれども、そろそろいわゆる美しさというものを求めてもいい、こう考えております。  実はこの後に安全教育について御質問をしたいわけですが、一応各担当大臣の方は交通安全教育の必要性ということを常に強調しておられて、各省からそれなりの出席者もおいでいただいているわけです。私はこれについて文部省にもお尋ねしたいと思っておりましたところが、大臣どころか初等教育の局長さんどころか、全く私の予想しておらない担当の方にお見えをいただいております。大変不本意でございまして、速やかにこの安全教育担当の初等教育局長さんなりしかるべき方の御出席をあらかじめ求めておきたい、こう考えます。  質問の方を続行させていただきますが、続きまして地震対策についてであります。高速道路では事故などが起こるとほかの道に抜けることも困難であり、交通渋滞を来します。この場合、救命救急自動車であれ消防自動車であれ、走らすことが全く不可能という事態も少なくありません。石油など危険物輸送車であればなおのこと、地震など不慮の災害が起こった場合、高速道路での被害が発生すると大変に危険でございます。消防自動車に頼らなくても消火活動がなし得るような何らかの装置を、たとえば高速道路の一定間隔に水などが出るような消火装置をつけるとか、高速道路にそうしたものを設置するような新しい観点に立っての対策を考えられてもいいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  167. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  地震等で火災が生じた場合非常に困るのではないかという御趣旨かと存じます。高速道路に沿いましてずっと消火栓をつくるというようなことにつきましては水源確保という点から事実上は非常にむずかしい問題ではないかと思うわけでございます。しかしながら、高速道路で一番警戒をしなければいけませんことは、先日日本坂トンネルで大きな火災が起こったわけでございますけれども、こういう長大トンネルにおける火災事故等、これは一番警戒をしなければいけないものでございます。したがいまして、日本坂トンネルの不幸な事故の経験を踏まえまして、こういったところにおきます警報であるとかあるいは初期消火施設の充実、こういったことにつきましてはただいま鋭意努力中でございます。ちょっと一般道路についてというお答えになりませんけれども、お答えとさせていただきます。
  168. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、コミュニティー道路の問題についてお尋ねいたします。  第三次の交通安全施設等整備事業五カ年計画におきまして、歩行者が安全かつ快適に通行できる交通環境を形成するため、新たに歩行者優先のコミュニティー道路整備実施することになっております。そこで、コミュニティー道路とは具体的にどのようなものであるのか、またどのような整備方針をここに持たれておるのか、お尋ねしたいと思います。
  169. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 コミュニティー道路は、都市部におきまして、幹線道路がありまして通過交通はそちらの方を通るという場合に、これに並行するようないわゆる裏通り等につきまして通過交通を抑制しながら歩行者が安全かつ快適に通れるというような道路にしたい、これがコミュニティー道路の発想でございます。つまり、裏通りの歩行者優先道路とでも申し上げればよろしいのかと思います。  第三次五カ年計画におきましては、歩行者、自転車交通が多く見込まれ、また学校であるとか公園であるとか、こういうような公共施設につながっております道路、こういったところを重点に実施をしてまいりたいと思っておるわけでございまして、昭和五十六年度には北海道の岩見沢等々兵庫県の尼崎市までいまのところ八カ所において実施をする予定にいたしております。
  170. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、交通安全教育の問題についていろいろとお尋ねしたいと思います。  初めに文部省の方に、年少者、高齢者など交通弱者による交通被害が現に少なくありません。年少者は飛び出し事故や駐車車両直前直後の横断など不注意によるものが多く、高齢者は体力の衰えによるものが多いと統計にはあります。一方、戦後の日本は個人主義思想の普及などと相まって、自己のことのみを考え、他人を思いやるやさしさなり助け合うという連帯の気持ちが薄れております。この際、義務教育において学校教育の体育や道徳教育など正規な授業の中に交通安全教育を組み入れ、交通安全思想の普及の徹底を図る必要があろうと思います。この安全教育を通じ、自己の交通安全を図るとともに、心身障害者や高齢者などには手を差し伸べて一緒に横断歩道を渡るようなやさしい心と社会連帯の意識を子供たちに教えることが望ましいと思うのです。この問題に対します教育基本法なり学校教育法なりそうした教育理念の問題については文教委員会で改めて行うとしまして、きょうお見えの担当の課長さんから一言お願いします。
  171. 長谷川善一

    ○長谷川説明員 ちょっと手違いがございまして、失礼いたしました。  現在学校で交通安全教育をどのように行っておるかと申しますと、先生御存じのとおり、自他の生命の尊重という基本理念に立ちまして、心身の発達段階あるいは地域の実情に即しまして安全に必要な行動様式を理解させるということのほかに、身近な交通環境における危険に気づきまして的確な判断のもとに安全行動できる能力と態度を養うということをねらいとしておりまして、特別活動の中の学級指導、ホームルーム、それから学校行事を中心にやっております。教科の中におきましても、保健、体育といった学校の教育活動全体を通じまして計画的、継続的に行うように指導してまいってきておるところでございます。道徳の方でもそういうようなことはいろいろと取り上げておりまして、生命の尊重あるいは安全の保持、礼儀作法、遵法精神、そういったふうなことで取り上げておりますけれども、なお一層今後努力を続けていくつもりでございます。
  172. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いわゆる体育活動や何かで取り入れて条件反射的なものを養う、そういう細かいことを実はお尋ねしようとしたわけではなかったのです。先ほどの高速道路における美観の問題もそうなんですが、いまの日本は昔と大きく変わってまいりまして、物はかなり豊かになってきているわけでして、これからは芸術なりそうした美しいものにあこがれるという気持ち、情操というふうなものが必要だと思うし、互いに助け合って生きるということが必要なんだろう。特に校内暴力事件の発生などを見ると、教育の現場の教師と生徒の間ですらかなりがたがたな事件が起こっておりますし、家庭の中の夫婦親子でも同じようなことが言われているわけです。  そこで、道路を走る中も、余り見ばえのしないところを、それこそ刑務所のへいがずっと並んでおるようなものじゃないかというふうなところをずっと行くと気分的にもめいるし余りいいことが予想されない。それよりも、美しい木が植わっているとかそのほか何か色彩感覚でもきれいなところに行っていた方が人間の心としてやさしさが得られるのじゃないかということを、単なる建設サイドの物的なものでなくて何か情念に訴えるものを考えていただけないかという質問があったわけであります。同じことで、交通安全教育も単なる副読本を配って時間を済ます、そういうことではないんであって、むしろ道徳なら道徳の教科書そのものへと組み込んでほしい。単なる自分の命の安全性だけではなくてもっと新しい観点の何かを、この教育基本法なり学校教育法の教育の目標、理念、そうしたものをこの安全教育を通じて期待したかったということでございます。  特に幼児教育、もちろん大変効果も上がっておりますし必要なんですが、幼児教育には一定の限界がある、このように思います。いわゆる大人と幼児には基本的な違いがあります。われわれは車がどの程度の速さで走ってくるやら、あるいはブレーキをとめてからどのくらいの距離を車がさらに走ってくるものやら、ある程度の予測ができますが、子供にそれを求めても教えても限界があろうと思うのです。また同時に、われわれは右を見て左を見てとか教わればそれを行うゆとりを持ち得ますが、幼児は本能的に飛び出そうと思ったら真っすぐにすっ飛んでいってしまう。そういうときにただ幼児を対象に教育をしておったのではどうにもならないのでして、その飛び出そうとする幼児を引きとめる人がどうしても必要になってこようと思うのです。その一端としての学校教育なんだ、こうとらえております。高学年者は低学年者に対して一緒に横断歩道を渡ってあげよう、そのやさしさが欲しかったということです。同じことで、それは義務教育だけではないのであって、ぜひとも高等教育の中にも取り上げてほしい。いわゆる暴走族問題なども出ております。荒々しい子供たちの中に自分の高校以外の、いわゆる幼稚園なり小さな子供あるいは年寄りが通ろうとするときに高校生に対して、手を差し伸べろと教えることが、みずからそのくらいのやさしさを知ってくれば、暴走族へ加担するようなことはなくなってくれるのではないか、そういう期待を持つので、これもまた文部省の方に、特に高校教育の方にも取り入れてほしい。いわゆる体育課程でも結構ですけれども、やらないよりはよほどましですから、その点ももう一度文部省から御答弁をいただきたい。
  173. 長谷川善一

    ○長谷川説明員 高等学校の教育についての御指摘でございます。文部省といたしましても、第三次交通安全基本計画の五カ年の間には、高校教師の現職教育あるいは指導資料の開発と普及、そういった方面を中心にいたしまして、積極的に取り組んでいくつもりでございます。
  174. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 今度は学校教育だけではなくて、いわゆる成人に対する教育というか社会教育の場でも大きな必要性があろうと思います。  総理府の方にお尋ねをしたいのですが、次代を担う青少年が、街頭でお年寄りや幼児等の歩行を助けてあげること、特に横断歩道などで手助けをしてあげるような、交通安全に積極的に寄与するような、そういう青少年育成国民運動というふうなものでも展開していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  175. 仲山順一

    ○仲山政府委員 非常に結構な御指摘ではないかと考えます。従来からの春、秋の全国交通安全運動におきまして、街頭における保護、誘導活動の強化ということで、老人、子供等の道路横断時の保護、誘導活動を積極的に行うように指導しているところでございますが、特に青少年がそのような活動を積極的に行うことは大変結構なことでありますので、先生の御趣旨を生かすように、今後さらに各都道府県、関係団体に対し、強力に指導してまいりたい、こう考えております。よろしくお願いいたします。
  176. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 ぜひそうお願いしたいのですが、さらにそれを一歩進めまして、ロータリークラブとかライオンズクラブというのがありまして、いわゆる社会奉仕に専念されているわけです。これも、わが国ではかなり福祉施設が整ってきておりまして、いまそこにテレビを持っていっても、あるいは冷蔵庫を持っていっても何をしても、ちょっとそっとの物的なものを持っていったぐらいでは、余り大して喜んでももらえないぐらい、そんなように日本は大きく変わってきたのだと思うのです。ですから、物をやることが奉仕なのだというふうな、それも大きな必要性があろうかと思うのですが、それだけではなくて、交通安全の運動に積極的に取り組むようなロータリーなりライオンズの奉仕活動となり得るように、ひとつ交通安全対策室とそうした主要団体との間の緊密な連絡を図っていただけるものなのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  177. 仲山順一

    ○仲山政府委員 春、秋の交通安全等におきましては、青年会議所を初め各関係団体等に来てもらって御協力をお願いしておるわけでございますが、先生の御趣旨に沿いまして、さらにロータリークラブ、ライオンズクラブその他関係のボランティア活動関係広くやりまして、奉仕の精神を高揚させるように努力したいと思っております。
  178. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次は交通安全の功労者表彰について、実は午前中お尋ねしましたところ、午後、資料も整ったということでございますので、その実情について運輸省の方にお尋ねをしたいと思います。
  179. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  交通安全の功労者表彰の関係でございますが、当省の関係といたしましては、まず踏切警手の表彰、それから道路運送関係の、バス、タクシー、トラックなどの事業に従事しております運転手の方の表彰、それから自動車整備士の表彰、こういうような交通関係の功労者表彰がございます。  まず、踏切関係でございますが、昭和三十一年度からこれを制度化いたしまして、踏切警手といたしまして無事故で三十年以上の勤務、あるいは自己の危険を顧みずに人命救助をしたような方を対象にいたしまして、五十五年度までに約六百名が運輸大臣表彰を受けております。最近は、毎年の数が少しずつ減ってきておりますが、これは最近の踏切の統廃合等によりまして、踏切自体が少なくなってきておりますし、それから、踏切警手が減少しておりますので、対象が少なくなったということで、その選択を少なくしたということではないわけでございます。引き続き今後とも優良踏切警手につきましては、その功労に報いるように表彰制度を活用してまいりたい。  なおまた、地方鉄道関係の従事者表彰というのを新しく昨年からつくりまして、これも事故防止の功労があった者に対しまして、運輸大臣表彰を昨年二十名行っております。そのほか、交通安全に関係いたします、先ほど申し上げました運転手の表彰につきましては、五十五年度までに約二千八百名の運輸大臣表彰、それから自動車整備士の表彰につきましては、同じく五十五年度までに約九百名の運輸大臣表彰を実施しておるところでございます。  以上でございます。
  180. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いまお話のありましたような、踏切の警手さんを初め、比較的社会の表に目立たないけれども、大変に御苦労されている方がもっともっといらっしゃれば、むしろ積極的に御表彰をお願いしたいと思っております。それからさらに進めまして、交通対策本部では、地域社会における交通安全に功績のあった人を表彰していると聞いておりますけれども、これに青少年も積極的に表彰するような道が講ぜられるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  181. 仲山順一

    ○仲山政府委員 交通安全の表彰につきましては、「交通安全功労者表彰の実施について」という昭和四十六年三月十五日の交通対策本部決定がございまして、これに基づきまして、ボランティア活動として地域社会における交通安全の確保、交通安全思想の普及に顕著な功労、功績のあった者に対しまして、毎年一回行うということになっております。  この表彰につきましては、県知事からの推薦を受けた者について、その功績の内容、活動の期間、推薦、回数等を考慮して決定することにしております。  それで、ただいま先生指摘の、交通安全に功績のあった青少年についても積極的に表彰すべきだと思われるがどうかという御質問でございますが、交通安全のための諸活動については、青少年の中にも、御指摘のとおり、大人にすぐれるとも劣らない熱意を持って積極的に取り組んでおる者がたくさんおりますし、心強く感じておるところでございます。  ところで、交通安全は国民全体の念願であり、そのためには幅広い各分野におきまして、また、あらゆる機会を利用しまして積極的、献身的に行われておりまして、そのような御努力をされている多数の中から選ばれて表彰を受けるということで、そのため、それ相当に長期にわたって献身的御努力、継続的御努力ということが必要になってくるわけでございます。そのようなわけで、青少年につきましても、最初から表彰の対象からは除外するということばないようにしますが、いまのような背景がございますものですから、なかなかむずかしいわけでございますが、りっぱな功績があった者につきましては、今後積極的に、いまの先生の御趣旨を生かしまして、その方向で努力させていただきたい、こう思います。
  182. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 こういう表彰は、納得のいくものでしたならば、積極的にふやしていただいた方がいいと思うのです。ただ、中には何となくわれわれに納得のいかないときもございます。いまちょっと思い浮かびました。  たしか北陸トンネルにおける事故の際に、事故が大きく発生して、大ぜいの死傷者が生じたことがあったと思います。そのときに、運転士さんの判断がしかるべきものであれば、いわゆる死傷者がなくて済んだかもしれないし、少なくなったかもしれない。場合によっては業務上過失致死罪さえ成立するのではないかということから裁判になったのだと思いますが、たまたま裁判上は助かったようです。しかし、少なくても法の違反はともかくとして、その処置が誤ったというか少なくても穏当を欠いておったのじゃないかという疑いはいまも強く残っております。ところが、新聞によりますと、あろうことかその運転士さんは、運輸大臣から二段階表彰で二階級特進というふうに新聞には載っておるわけです。反省して懲戒処分にされるのではなくて逆に二階級特進でほめられるというのは私にはどうも解せないというふうに思いますが、この問題についてはまたいずれかのときに触れたいと思います。また安全教育の点に触れまして、自動車の教習所の科目の中で、免許をとりますときに、先ほど学校教育なんかで言いましたように子供の特性という点を特に教えてあげてほしい。運転の技術の上手下手だとかあるいはルールがどうだこうだということはある程度知識としては了解できるわけでして、あと不足するというものがあるならば、そのドライバー自体がどこの交通信号のところ、交差点あたりに来ても、そのほかのところでもですが、子供たちや何かに対するいたわりの心を持つということだし、特にその子供が自分とは違う本当の幼児でいわゆる飛び出すような特性を持っているのだ、であればより慎重になるだろうということで、その運転者教育の必須科目の中にいわゆる子供の特性というものを教えるようにしてほしい。  それからもう一つには、いま二輸免許取得者に対しては取得時講習というのを行っているようでありまして、この二輸免許の取得者がまたともすれば暴走族となりやすい大変危険な感じもするわけですから、この人たちにも、講習時に子供の特性というものを教えることによって、やさしさを徹底させていただきたいと思うのですが、警察庁のお答えをいただきたい。
  183. 池田速雄

    ○池田政府委員 御指摘のとおり、自動車教習所の教習の場合でございますと、現実交通の場に出ることが少ないものですから、そういった機会がございませんので、それだけ一層御指摘の点を尊重して教育に当たりたいと思います。現在模擬運転装置等ではそういう実例を課しておりますが、御趣旨を体してなお徹底するようにいたしたいと思います。  第二の、二輪車の取得時の講習につきましても、同じ趣旨で対処してまいりたいと思います。
  184. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 警察庁の方にお尋ねいたします。  これまでわが国の一万台当たりの交通事故の死者数は、昭和元年の統計では一万台当たり五百二十九・九人、昭和三十五年に激減しまして三十四・九人、四十五年に九・〇、五十四年に二…三というふうになりまして、昭和の初めの一万台当たりの五百二十九・九に対して五十四年度二・三というのは、諸外国にも誇っていいわが国の成果だと思います。それなりの交通安全に対する各担当省の大変なお力添えの成果がここにはあった、すばらしいことだと思っておりますが、ところがここのところちょっと残念なことに、昭和五十五年度の事故件数の増加なり死傷者数の増加が見られるようでありますが、これについて何かお考えのところがあったらお尋ねしたい。
  185. 池田速雄

    ○池田政府委員 ここ九年間連続して減少してまいりました交通事故死者がふえておりますが、内容を見ますと、特に歩行者等につきましてはまだ占める比率は高いですが、減少傾向を続けておる、車関係が多くなりつつあるというのが特徴であろうかと思います。その現象といたしましては、特に目立ちますのは、一つは若者の無謀運転に起因する事故、それから酒酔い、無免許、信号無視等の悪質な違反によります増加。事故類型で見ますと、人対車両では横断歩道横断中、車両相互では出会い頭の事故、車両単独ではカーブ地点等の事故等がふえておるのが特に目立っておりますので、大きな対策とあわせまして、こういう細かい点にも留意いたしまして減少を図ってまいるようにいたしたいというふうに考えております。
  186. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 踏切事故国鉄の方は年々少しずつだが減ってきております。これに対して民鉄踏切事故が、五十三年から五十四年にかけまして、第一種百五十八であったものが百六十三へ、第三種七十七であったものが九十八へと、民鉄だけふえてきております。これに伴いまして、踏切事故による死傷者数が、民鉄の場合には五十三年から五十四年にかけて、三百三十三人であったものが三百七十五人とふえてきているわけです。国鉄の場合が減ってきているのに民鉄の場合になぜふえたんだろうかなという疑問があるのですが、お答えいただけますでしょうか。
  187. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 民鉄の例でございますと、五十四年度で特殊な事故が二件ばかりございまして、これが事故件数といたしまして死傷の率を高めている、こういう実情でございまして、こういうことのないように今後留意したいと思います。
  188. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 単に死傷者数がふえたのではなくて、事故数そのものが一つや二つじゃなくてふえてきているということですから、やはり何らかの原因があるのだろうと思うのです。その原因がわからなければ対処するのも大変困難だろう、このように思います。なぜなら、年々年々整備事業計画が推移して、お金はかけまして、少しずつはよくなってきているはずでありますから、それが今度だけに限って変わったという何かの理由ですね、これが本当に一年だけならいいですが、またも続くようですと、ちょっと問題があろうかと思いますので、なぜ踏切事故が起こったかという分析をさらに徹底されてほしい、このように考えます。  次に、障害者年にもかかわりを持つのですが、横断歩道におきます歩行者用の青信号についてなんです。  いわゆる青信号の時間というものが決まっているのだろうと思うのですけれども、健康な人が渡り得る時間と、病人だとか心身障害者の人の渡る時間と、どうしても違いが出てくるのだろう、こう思うわけです。そこで、そうした心身障害者や高齢者の施設のあるところ、その付近の横断歩道の青信号については、特に時間を延ばしてあげる方が親切なんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  189. 池田速雄

    ○池田政府委員 信号機の青時間の長さにつきましては、歩行者の横断が確保できるように、道路幅員あるいは道路交通量、横断者の構成と申しますか、横断者がお年寄りの方とか幼児とか、そういう点も考慮して時間設定を行っておるところでございますけれども、御指摘のように、心身障害者やお年寄りの方の施設等の近くにあります信号機につきましては、より一層配意して時間設定をしてまいりたいというふうに考えます。
  190. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 横断歩道には、ところどころ、盲人用のチャイムがついているところと、つかないところとあるわけですが、やはりこれも国際障害者年というのを契機としながら、できる限り全面的にといいましょうか、横断歩道のところには盲人用チャイムをつけてあげることが望ましいのじゃないか、つけることが望ましいと思うのですが、いかがでしょうか。
  191. 池田速雄

    ○池田政府委員 今回の第三次の五カ年計画におきましても、新たに千三百基ほど設けることといたしておりますので、努力を続けてまいる所存でございます。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕
  192. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 交通管制センターの問題についてお尋ねしたいと思います。  自動車がふえてくる一方、道路整備がどうしても資金の都合その他で伸び悩んでいる。また、道路整備、拡張していくにばかなり多額の費用がどうしてもかかる。そういう意味では、自動車の少ない道路では交通管制の必要性は、比較的安い費用でできるということからも大きな意味を持っていると思うのです。この点で、現在の交通状況に応じて自動車の停止とか進行の指示、走行状態の指示、キロ選択の指示を行ってダイナミックなコントロールをされているということはそれなりに大きな役割りですし、評価されるべきもの、こう考えているわけですが、今度の整備計画の中でも十五の交通管制センターを増設するというふうなことが言われておりますが、それはどこに、どのように設置されるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  193. 池田速雄

    ○池田政府委員 交通管制センターにつきましては、今回の計画で十五の都市を予定しているわけでございますが、基本的には人口集中地区、人口十万人以上の都市をカバーすることにいたしておりまして、これができますとほぼ目的を達成するんじゃなかろうかというふうに考えております。  具体的な都市につきましては、現在の計画ができますと都道府県からの積み上げ計画ということになるわけでございまして、その際に確定するわけでございますが、とりあえず五十六年度につきましては、三重県の津、それから神奈川県の相模原、福島県の郡山、長野県の松本、愛知県の岡崎の五市に設置するように話し合いを続けているところでございます。
  194. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 管制センターのテレビにはいわゆる混雑する主要交差点の交通状況が映されているんだと思うのですが、どの程度まで映されて、どの程度までの効果というものが上がっているのでしょうか。
  195. 池田速雄

    ○池田政府委員 交通管制センターのテレビでは交通状況がわかる程度のテレビ映像でございまして、単にコンピューターではかり得ない生の姿といいますか、そういうものが現に目で見える、それから、コンピューターで感知できません、特に歩行者交通量につきまして見えるということが最大の特徴になっております。
  196. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 現在、交差点での交通事故というのが昭和五十四年度には市街地、非市街地合わせますと全体の六〇・七%までも及ぶと言われますし、特に都市部におけるいわゆる交差点内、交差点付近で三五・二%というふうに言われております。こうしたところでまた事故が起こりやすいわけですが、特に東京などのように、もしその交差点が克明にテレビで映され得るものならば、事故が起こりましたときに直ちにそれを写真などで撮れないものかどうか。もしそうすれば、後で事故の争訟などが起こったような場合にも大変有効ですし、正しい処置がとり得るんじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  197. 池田速雄

    ○池田政府委員 現在のテレビでございますと、ビデオ撮りはできると思いますが、それを直ちに写真化するということにはまだなっておりませんので、さらに検討を進めてみたいと思います。
  198. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 ビデオで撮れればそれなりの大きな効果があると思いますので、写真じゃなくてもぜひビデオでも撮ることが望ましいと思います。  時間のようですので、続きはまた次回ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
  199. 安田貴六

    ○安田委員長代理 中路雅弘君。
  200. 中路雅弘

    ○中路委員 質問に入る前に一言。  一昨日私が取り上げました全国交通安全母の会連合会の一部役員の不正の問題ですが、私が質問した後、当日の午後に事務局長がもう辞表を出しているようですけれども、この調査がいまどうなっているのか、最初に一言お聞きしたいと思います。  特に、この際、私一言触れておきますと、この問題を重視していますのは、全国五百万の会員を擁していると言われているボランティアのお母さんたちが行っている、善意の意思によって成り立っている団体でもありますし、近く交通安全週間が始まりますと、街頭で交通安全指導に立っているお母さんたちのボランティアの精神を踏みにじるものになってはならないと思うわけなので、こうした問題も取り上げてきたわけです。  いままだ中間かもしれませんが、調査がどう進んでいるのか、一言お聞きしたいと思います。
  201. 仲山順一

    ○仲山政府委員 全国交通安全母の会連合会の問題につきましては、当委員会で前回先生が御指摘をされました事実を含めまして、当事者を初め関係者から事情を聞きますとともに、必要な書類等につきまして引き続き鋭意調査しておりますが、事実関係を確認のためにはいま少し時間がかかるものと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  202. 中路雅弘

    ○中路委員 これは大臣も厳正な調査を約束されましたので、ぜひやっていただきたいと思いますが、二、三点補足して私は話しておきたいのです。  たとえば、一昨日、事務局長の五百万円の扱いの問題について指摘をしましたが、事務局長が小切手で五百万を出すのにはだれかの決裁が必要なわけですね。だれも決裁せずに事務局長だけの判断でやっている仕組みだとすれば、これ自体がまた問題ですけれども、私が調べましたら、一昨日お話をした小切手、五十四年四月十日付で実際には出ているのですが、一年後の日にちに改ざんをした、貸付金ということで直したこの小切手は、振替伝票を見ますと、専務理事の吉川氏の印鑑が押されています。こうした点にも個人の問題だけでできることじゃないというふうにも思いますし、またこの全交母が個人に対して何百万も、これは法人ですから個人に貸付金を出すというようなことは、決算を見ても普通はないわけですね。  たとえば、これも一例だけ挙げておきますと、口座の帳簿を見ますと、五十四年の四月二日に祐成という人に二百万円の貸し付けがやられています。そして、これは小切手の〇九三九として振り出されているわけですけれども、この祐成という人は母の会に何の関係もない人で、調べましたら別の社団法人の日本青年奉仕会の常務理事をやっている肩書きの人ですけれども、こうした貸し付けも出ています。  また、ゼウスという輸入先の会社がわずか五十三年十月から五十四年の四月までだけで約千三百万からの寄付金を出しているのですが、この巨額な寄付金も、全交母に何を行ったのかということもやはり私は疑惑だと思うのです。  たとえばこの型式第一号をゼウスがとったということにも、全く実績のない会社ですが、原因があると思いますし、またこれを組み立てたサニー工業は専務理事の御主人が社長をやっているという会社でありますから、一、二例を挙げましたけれども、決してこれは一部の幹部というだけではなくて、私は非常に重要な疑惑が多々あると思いますので、こうした五百万からの善意のボランティアのお母さんで支えている、国の補助金や委託金を出している団体ですから、やはり不明朗を一掃するということで、積極的な調査を重ねてお願いをしておきたいと思います。  それから、質問に入るわけですけれども、午前中運輸大臣に高架化事業の問題について、連続立体化の問題でお尋ねをしましたので、幾つか要請もしましたのでその関連から御質問したいと思います。  その高架化事業の具体例を挙げながら御質問をしたいと思いますが、川崎市を縦断している南武線、川崎はウナギの寝床のような町ですから、百万都市ですから、この中心の南武線というのが踏切も幾つもありますし、朝夕の渋滞では列車が通ると全く踏切は閉まったまま、都市機能も麻痺するというような状態なので、この高架化事業はぜひ一日も早く完成をさせたいと考えているわけですが、いま第一期工事が進められていますが、簡単に、南武線の高架化事業の第一期工事の進行状況、完成の見通しについてお聞きをしたいと思います。
  203. 升本達夫

    升本政府委員 お尋ねの南武線の連続高架交差化事業立体交差化事業の現状でございますが、現在、武蔵小杉駅から武蔵新城駅間約四・五キロメートルの区間につきまして事業実施いたしております。川崎市が事業主体となります都市計画事業として実施をいたしておりまして、総事業費は約二百四十七億円を予定をいたしております。このうち本年度末までの実施予定額は七十二億円でございまして、進捗率は用地補償約四〇%、それから土木工事が約二〇%でございまして、全体の進捗率は約二九%になる見込みでございます。     〔安田委員長代理退席、委員長着席〕  本事業につきましては大変重要な事業と認識いたしておりますので、できるだけ早期に完成するように事業主体である川崎市を指導してまいりたいというふうに考えております。
  204. 中路雅弘

    ○中路委員 少しおくれていますけれども、完成の見通しというのは第一期工事は大体いつごろでしょうか。
  205. 升本達夫

    升本政府委員 事業認可の期間は昭和五十年度から着手いたしまして一応五十七年度ということでスタートしたわけでございますが、ただいま申し上げましたような事業進捗率でございますので、現在の事業認可期間にでき上がるということはちょっと望み得ないという状況でございます。したがいまして、完成年度はただいまの事業認可期間より数カ年遅延するという見込みでございます。
  206. 中路雅弘

    ○中路委員 これが完成しますと十二カ所の踏切が除去されるわけで、道路の車の安全、それから都市の機能の点でも非常に重要なんですね。動脈ですから、一日も早い実現が要望されているわけです。  午前中もお尋ねしましたが、一般的な負担割合がありますけれども、この第一期工事の、いま総工費はお話しになりましたが、その総工費の負担割合はどうなっていますか。
  207. 斉田登

    ○斉田説明員 第一期踏切事業の総工事費は二百四十七億円でございまして、そのうち都市側負担は二百十二億円、国鉄負担は三十五億円でございまして、約一四%でございます。
  208. 中路雅弘

    ○中路委員 午前中の質問でありましたいまの運輸省、建設省、そして国鉄との協定で一応国鉄一〇%という負担割合ですが、南武線の第一期工事には一四・二%、三十五億という負担ですが、私はこの中で、午前中にも大臣にお願いをしたわけですけれども、やはりこうした工事について特に自治体の負担が大変大きいということが各地で出ているわけなので、これは大臣からも今後検討しようという御答弁をいただいていますから、あえて繰り返して御質問しませんけれども、これから第二期工事もあることなので、国鉄だけにこれまたしわ寄せするというわけにはいきませんので、国、国鉄を含めて自治体のそうした要望も十分取り入れながらひとつ進めていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいと思います。  それで、まだ四キロの間の問題ですので、いずれにしてもこれは続いて進めなくてはなりませんが、第二期の工事ですね。まだ事業の決定はしていませんけれども、工事の計画というのは、いまどういう進捗状況ですか。
  209. 升本達夫

    升本政府委員 武蔵新城からさらに西の方へ上がってまいります区間についてのおただしだろうと思うわけでございますが、現在、第三京浜を越えるところ、くぐるところ、これからさらに西北へ上がります区間、約四・一キロメートルの区間につきまして、五十三年度、五十四年度にかけまして補助対象になります調査を実施をいたしたわけでございます。この区間につきましては五十四年度に調査を終わっておりますが、何分にもたとえば東急田園都市線との交差あるいは国道二百四十六号との立体交差等がすでに存在をいたしておりますので、これらの施設状況にかんがみてさらにどのような事業を行っていくのがいいのか、技術的な面、さらに経済的な面あるいはまた環境的な面、各面から多角的な検討が必要となろうかというふうに考えております。十分地元の状況等を伺いながら検討いたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  210. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのお話ですと、現在の第一期工事から引き続いて第三京浜、それから田園都市線溝の口を抜けて恐らく東名の入り口のあたり近くまでだと思いますけれども、第二期工事のいま調査費をつけて調査をされているということですが、第一期工事自身が少し延びているわけですけれども、第一期が終わってからということではまた大変先になりますし、特にいまお話しのように第二期工事の区間がこの地域だとしますと、川崎市では最も都市問題が集中して人口急増地域でもありますから、その解決が急がれているわけですし、また、おくれますと費用もどんどんふえていくということにもなりますから、できましたら第一期工事を進行させながら、あわせて市とも積極的に協議していただいて、第二期工事が早く出発ができるようにしていただきたい。市の方でも、お話を聞きますと、都市計画決定は五十八年か九年ころには予定しているそうですが、ひとつ市とも十分協議をして進めていただきたいと思います。この機会に、第二期工事までは調査費がついているのですが、南武線全体の高架化事業というのはどういう見通しなんですか。
  211. 升本達夫

    升本政府委員 南武線が御承知のとおり川崎から立川間約三十六キロメートルに及ぶ首都圏南西部の環状線的な機能を持つ大変重要な路線であるという認識はいたしております。しかしながら、この路線が大変敷設時期が古うございまして、昭和初期の敷設でございまして、その後の市街地の発展状況から各所に道路との交差関係、これをどういうふうに処理するかという状況が生じていることも十分承知をいたしておるところでございます。したがいまして、さらに西北部へ延長される期間についても、将来どのように道路との立体交差を考えていくかということが大きな問題になるわけでございますけれども、この場合、必ずしも当然に連続立体交差という形で考えていく必要があるかどうか。部分的な立体交差で処理ができる面はそのような処理も考えられることでございましょうし、その全体につきまして沿道の状況、それから連続立体の条件に当たるかどうかというような技術的な面、さらに財政事情等総合的にいろいろ考えながら判断をいたしていくべきことではないかというふうに考えるわけでございます。  先ほど申し上げました、現在実施中の武蔵小杉−武蔵新城駅間、さらに武蔵新城駅−久地駅間の調査区間、それ以外の部分につきましては、いま申し上げましたような諸要件を考えながら、地元の公共団体とも御相談をしながらこれからの取り組み方を考えてまいりたいと考えております。
  212. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点、これはやはり午前中の大臣との質疑でやりましたので簡単にしますが、高架下の利用の問題です。  具体的な南武線のいまの第一期工事との関係で言いますと、高架下の貸付面積、たとえば一〇%の無償貸付の割合で見ますと、これは市の担当者の話ですが、正確でないけれども、たとえば百メートルぐらいになってしまうというんですね、十メートル幅としますと、無償貸付で実際使えるのは。そうしますと、自転車置き場くらいの要望をやればそれであふれてしまう。いま子供広場や消防器具の設置あるいは小さい集会所、こうしたものが住民や自治体から殺到しているわけです。無償貸付以外の高架下の用地についての管理や運営は、たとえばこの南武線の場合どういうふうな構想でやられるわけですか。
  213. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまおただしの南武線の高架下利用でございますが、現在事業実施しております区間にかかわります高架下利用の可能面積が全体で三万一千八百平米に及んでおるわけでございます。これに対しまして、現在地元の市側としてはその半分以上に当たります一万八千平米くらい使わせてくれというような要求をいたしていると承っております。したがいまして、この市側の要求に基づいて具体にいま国鉄と利用計画について協議中という段階でございますが、この場合この利用の基準につきましては、ただいまおただしのとおり、国鉄との協定それからその細目に従いまして行われることになるわけでございます。一〇%といういわば無償の権利としての使われるスペース以外にも、もちろん市側の必要に応じて利用は可能でございますが、その場合の条件は、それぞれ国鉄側の貸付規定に従って行わなければならないことになりますけれども、この場合も使用目的によっていろいろな方法が考えられるわけでございますので、一概に一〇%にこだわることはないのではないかと私は考えております。都市側の施設利用の要請というのは、おただしのように自転車駐車場というようなものもございます。さらには児童公園的なものもございましょうし、あるいは市役所の駅前派出所という要請もございましょうし、都市側の要請は近時非常に多くなっているという実態もございます。そのような実態を踏まえまして、十分地元の方々の利用に便宜なように、そういう方向で利用計画が立つように私どもとしても努力をいたしてまいりたいと考えております。
  214. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しのように、公共的な施設を中心に非常に要望も強いので、一〇%ということだけにこだわらないでできるだけ地元とも協議していただいて、要望にこたえられるようにお願いしたいと思います。  きょうは幾つかの問題を時間内で質問したいものですから、一応南武線問題はこれで一区切りしまして、法案に関連した問題でひとつお聞きしたいのです。  歩道の整備のおくれや特に横断の対策、この問題についてお尋ねしたいのです。これは皆さんからいただいた資料なのでこちらの方からお話ししますが、警察庁交通局の資料をいただいたのを見ますと、一九七〇年以降、交通事故の発生状況を見ると全体として減少していますが、ここ数年停滞ないし増加している。その中でも歩行者や自転車などのいわゆる交通弱者といいますか、この交通事故の死者の占める割合が先進諸外国と比較して大変日本が高い。資料で見ますと、歩行者と自転車などの交通事故の中において占める死者の割合を見ますと、一九七八年ですが、アメリカが一七・三%、フランスが二二・八%、スウェーデンが二九・三%、西ドイツが三五・〇%、イギリスが四〇・一%、そして日本が四五・四%で一番高い比率になっているわけです。一九八〇年で日本のを見ますと両方合わせますと四三・六%ということになりますから、先進諸外国に比べて、こうした歩行者や自転車乗用者の死者の占める比率が異常に高いというのが私特徴だと思います。そういう意味で交通事故対策はいまなおこうした人たちを中心に据えたものに今後もやっていかなければならない。もう一つ一九八〇年のデータを見ますと、死亡事故件数の中で特に横断歩道やその付近以外の横断中の死亡事故件数が四五%ぐらいになっています。最も多い。だから横断のための施設が一層また従来にも増して重要だし、いままでの状況では非常に不足しているのではないかと考えるのですが、最初に総理府のお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
  215. 仲山順一

    ○仲山政府委員 昭和五十五年中に発生いたしました死亡事故件数事故類型別に見ますと、先生指摘のとおり、人対車両では横断歩道を横断中が五百二十四件、対前年比で百四十九件、三九・七%増、大変に増加しております。このため本年春の全国交通安全運動におきましては歩行者交通事故防止、無謀運転の追放等を重点にいたしまして、歩行者が安心して通行できる道路交通環境の点検整備の促進、街頭における保護、誘導活動の強化、子供、老人等に対する交通安全指導、運転マナーの向上等の推進を強力に実施することとしておりまして、特に一時停止で横断歩行者の安全を守る等の安全運転の励行を呼びかけているところでございます。さらに各都道府県に対しましても歩行者事故防止について今後とも強力に指導いたしまして事故防止の実を上げるように努力してまいる所存でございます。
  216. 中路雅弘

    ○中路委員 横断歩道やその付近以外の横断中の事故についてもいまお話ししましたが、同時に横断歩道を横断中の歩行者死亡事故の割合がまた大変多いわけです。非常に高くなっています。本来歩行者にとって安全であるべき横断歩道で事故が非常に多いということになりますと、歩行者にとって大変不安なことでありますけれども、こうした原因はどこにあるとお考でしょうか。
  217. 仲山順一

    ○仲山政府委員 原因でございますが、これは歩行者のマナー、交通道徳の面が薄いというようなこと、それから車の方も歩行者に対する十分な注意が足りない。種々原因があろうかと思います。
  218. 中路雅弘

    ○中路委員 総理府ですから施設の方のお話はないのですが、歩行者にとって一面不便もあるのですけれども、いわゆる従来の横断歩道橋ですね。安全という点ではやはり確実で安全な横断というための施設では依然としてあるわけですし、また地下の横断歩道というのは、歩道橋に比べれば費用が相当かかりますけれども、便利さの点ではさらに有利だということもあります。  こうした立体横断施設を、第一次、第二次の交通安全五カ年計画で見ますと、いずれもその達成状況整備を大変残しているわけですけれども、この第三次計画との関連で、今後こうした施設についてどのように進められようとお考えですか。
  219. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 第二次五カ年におきます横断歩道橋それから地下横断歩道を含めましたいわゆる立体横断施設でございますが、計画としては七百九十八カ所を考えておりましたが、実績は四百七十四カ所を竣工いたしまして、五九・四%、約六割の事業量としての達成率でございました。横断中の事故防止という点につきましては、この立体横断施設が、多少使いにくい面はございますけれども効果があるわけでございますので、私どもも、今後やはり地域の状況それから利用状況等を勘案しながら第三次計画においても進めてまいりたいと思っております。第三次計画でただいま予定をいたしておりますのは、三百五十三カ所ということに相なっております。
  220. 中路雅弘

    ○中路委員 また同時に、立体横断歩道というのは、老人や身障者、いわゆる交通弱者と言われている人たちにとっては大変不便なものであります。これは私経験したのですが、横断歩道橋のあるところに、同じ個所に今度は信号のついた横断歩道をつけてほしいという要望が、施設人たちが多いところですが、強くありまして、時間が相当かかりましたけれども、それを設置しまして大変喜ばれているという経験もあるのですから、こうした立体的な歩道橋と信号機のついた横断歩道の併設も一つの方法ではないかというふうに思うわけです。また横断歩道橋のスロープ化という方法もあるわけです。全体として横断中の死亡事故というのが大変多いわけですから、この対策として、その地域で何が一番適切なのかという検討も必要ですし、こうしたことが建設省や総理府、公安委員会でそれぞれどのようにいま検討をされているのか、どういう場合に何を採用するのかという適当な基準みたいなものがあるのかどうか、ちょっと不明なので、あわせてお聞きしたいと思いますし、また、今後こうした横断のための施設として新しいものを開発する必要もあるのではないかと思いますけれども、こうした研究がもしやられていましたら、それぞれから簡単に、今後の対策というものについて、この際お聞かせ願いたいと思います。
  221. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 特に立体横断施設につきましては、通学路を中心とした学童の安全といったことを第一に考えて今後つくってまいりたいと存じております。横断歩道橋と横断歩道が併設されておりますような場合は、調査をいたしてみますと、やはり利用率にかなりの差があるようでございまして、横断歩道が併設されておりますと、横断歩道橋を渡る人は七割強、横断歩道がなければ八割台の利用がある、こういうのが実態かと存じます。ただ、利用をしやすくするという意味合いにおきましては、地域の状況、利用状況、あるいはお通りになる方々の状況等で、たとえば特に老人が多いとか、いろいろなこともあろうかと思いますが、階段でなくスロープ式にするとか、あるいは自転車も押し上げられるような勾配の緩いものにするとか、こういったことは今後状況に応じて進めてまいりたいと思っております。
  222. 池田速雄

    ○池田政府委員 御指摘の横断歩道橋のあります付近の横断歩道の新設等につきましては、警察の方と道路管理者の方と緊密な連絡をとりまして十分協議の上設けておるわけでございます。  なお、そのほか警察の施策といたしましては、今回の第三次五カ年計画においても、何といってもまだ横断歩道というのは十分でないという認識を持っておりまして、通学、通園あるいは通勤、買い物等の歩行者道路の横断を車両交通から守るという意味合いにおいても積極的に横断歩道をつくりたいということで、約十一万八千本ほどを計画をいたしております。この計画ができますと、六十年度末には約六十六万四千本ほどの横断歩道が確保できるのではないかと思っております。  また、横断歩道の中身にいたしましても、見やすい横断歩道をつくる、あるいは必要に応じて予告標示をつける、そのことによって車両の運転者の注意を促すというような措置をとる。それから、道路管理者の方にはできるだけ道路照明もお願いしたいということを考慮しております。  また、信号機を整備することによりまして横断歩道横断の安全を確保するということ、俗な言葉で言いますと、まだ裸の横断歩道というのは大変多いわけでございますが、できる限りこういうところにも信号機を、押しボタン式の信号機でございますけれども、つけたいということでございまして、現在信号機のない横断歩道が約十二万五千木ほどございますけれども、今後五カ年間で押しボタン式六千基をもってこれに充てる、こういう考えでございます。  なお、普通の信号交差点におきましても、歩行者用の灯器をできるだけつけてまいりたいということで、約十一万灯ほどの増設を考えておるわけでございます。
  223. 仲山順一

    ○仲山政府委員 具体的な施設の問題でございますので、建設省、警察の研究にまつわけでございますが、うちの方も必要があれば御相談に応じまして、その点をなお進める必要があるというように考えております。そしてそれを実施に移す場合、何と申しましても最後道路の横断歩道での問題でございますから、先ほど申し上げましたとおり、特に春の全国交通安全運動等におきまして、特に安全運転五則、一時停止で横断歩行者の安全を守るという、そういうふうなモラルの関係の安全教育の徹底を呼びかける、こういうふうにさしていただきたいと思っております。
  224. 中路雅弘

    ○中路委員 あと十分ぐらいですので、最後にもう一問お尋ねしたいのですが、それは、先日二月二十五日の午後に、埼玉県川口市にあります浦和自動車教習所のコース内で、指導員が乗っていないいわゆる無線教習車で教習中の女性の教習生が、横転した同じく自動二輪、オートバイの教習中の男性をひいて死亡させたという事故が報道されていますが、この事故はどういう問題だったのか、簡単に御報告いただきたいと思います。
  225. 池田速雄

    ○池田政府委員 お尋ねの事故は、埼玉県川口市の浦和自動車教習所の教習コース内で、二月二十五日の午後一時十分ごろに発生したものでありますけれども、亡くなられましたのは二十四歳の男子の教習生でございまして、自動二輪車の教習を受けておられた方でございます。当日、指導員、三十四歳の指導員でございますが、その指導のもとに、他の一台の教習生を後に従えまして、屈折コースを出まして、そこから左折して周回コースへ出ます際に運転を誤りまして、中央線を越えまして対向車線、対向車線は二車線でございますけれども、そこに飛び出しまして中央付近に転倒いたしたわけでございます。ちょうどその車線には、十八歳の女子の四輪の教習生でございますが、御指摘のとおり無線教習車でございますので同乗者はございません。同じく三十四歳の指導員の指導のもとで他の一台と一緒に運転の教習中であったわけですけれども、この被害者が転倒したところへ差しかかりまして、結果的には轢過されまして、被害者は全身打撲、頸椎骨折等によりまして死亡されたという事故でございます。
  226. 中路雅弘

    ○中路委員 無線による自動車教習というのが取り入れられてきているわけですけれども、この基準といいますか、無線で教習をする場合の教習生の条件だとか含めまして、簡単にひとつ、無線教習の場合にどういう条件なり基準があるのですか。
  227. 池田速雄

    ○池田政府委員 無線教習に当たっての基準につきましては、総理府令あるいは警察庁の通達によりましていろんな基準を示しておるわけでございますが、危険防止を図りますために指導員一人が担当いたします教習車両を三台に制限する、あるいは担当指導員は無線教習に関する講習会、研究会等を受けたベテラン者を充てるようなこと、指導室はコース全般の教習車両が一望できるところに設けること、それから無線教習を受けることができます者は、仮免許を受けます前の第三段階と申しますけれども、その教習課程に限っておりまして、しかもその前には必ず同乗教習を行った後の復習を行う場合に限る、あるいは教習車両のギアの位置、クラッチの操作状況等、一見して把握できるように教習車両にはランプを表示すること等の措置をとらしているわけでございます。
  228. 中路雅弘

    ○中路委員 いただいた資料を見ますと、いま全国の指定自動車教習所、五十五年末で千四百三十カ所あるそうですが、このうち無線指導の設置教習所というのが九百五十二カ所、約六八・七%、七割近く、それで設置式数が千百八十七式というように無線教習を取り入れているところが非常に多くなっているわけですが、この無線教習の趣旨として、依存心を起こさせないとか、運転者の自主性を養うとかという利点はあるかと思いますけれども、何といっても教習中というのは運転免許を取るための初心者の教習でありますから、そういう特殊性を考えると、他の業種と全く違って、常に事故の起こる可能性を前提にしていろいろのシステムを考えなければいけないというのがこの教習所の一つの特徴なわけですね。教習所の中で教習を受ける者はまだ免許をもらっていない、そのための教習ですから、そういう点で安全が第一に考えられなければならないと思うわけです。したがって、これまでも指導員が助手席に同乗して補助ブレーキを教習生とは別に作動する、そういったようなこともやってきたわけですから、そういった点で、私はこの事故を通じていろいろ教習所に聞いてみますと、無線教習による、いわゆる今度は死亡事故ですが、こうした社会問題にならないような、追突だとかいろいろ事故ですね、これは日常茶飯事だ、一つの教習所で月に一回はあるという話を関係者等から聞いています。この点では偶然の事故というのではなくて、いまの無線教習の問題のシステムについてもう一度検討する必要があるのじゃないか。いまお話しのように、一人で三台見ているわけですね。見ることができる。今度の事故は二台を見ているときだったそうですけれども。コントロールタワーから送信機でスイッチを入れてやりますと、相手に送話できるまでにやはり一、二秒かかるという話も聞いておりますし、三十キロで走っていますと、制御をしてもやはり八メートルくらいは走ってしまうというようなことも聞いているわけなんで、一人で三台を無線で見ている場合、しかも今度はオートバイの教習と混合教習になっているわけですね。この点でも大変問題だと思いますので、一人で三台の教習車を持って指導するというやり方、特にこうしたオートバイとの混合教習という問題については、もう二度全国的な実態を見て検討していただきたいと私は思うのですが、いかがですか。
  229. 池田速雄

    ○池田政府委員 今回の事故につきましては現在捜査中でございますけれども、現在までの段階でございますと、この教習の実際のやり方にも問題があったように感じております。  一つは二輪車の指導員でございますけれども、先導してまいりまして後ろの車を全然見てなかったというような点があるようでございます。また無線教習車の指導者につきましてはまだコントロールタワーに上がっていない、つまり指示ができない段階での事故だったといろふうに聞いておるわけでございますので、そのやり方響につきましても指導をいたしますのはもちろんでございますけれども、やはりそういう同乗者のいない無線教習車と、それから外から声だけしかかけることのできない二輪車の教習の混合教習と申しますか、その点につきましても、問題が煮詰まり次第十分検討してまいりたいと思います。
  230. 中路雅弘

    ○中路委員 時間ですので、もう一つこの問題でお願いしておきたいのですが、これはある新聞に出ていた投書ですけれども、横浜の自動車教習所の指導員、三十二歳、中村さんという方の投書の一部をそのまま読みますと、「私の勤めている教習所では、」いまおっしゃった「第三段階の無線教習を三時限と定めてある。」これはさっきおっしゃった基準だと思いますが、「ところが、早く進めようとする指導員は、教習生の実力不足を黙認して無線教習をさせてしまう。今度の事故で、営利を目的とした教習所の実態が暴露された」のではないだろうかというような厳しい投書も出ていますけれども、私も直接関係者に聞きますと、厳密にチェックしてというお話ですけれども、実際はもう全部軒並みにこの無線教習でやっているという話も聞いています。したがって、こうした実態ももう一度よく調べていただいて、いまお話しの、これを機会にもう一度システムについても検討していただくということを強く要請をしておきたいと思うのです。  教習所関係の労働組合の皆さんの要望で見ますと、少なくともこの無線については一人一台を見るということにしてほしいという要求が出ています。それから、混合教習は危ないですからやめるという要求も出ていますから、こうした要求にもひとつ十分留意して検討していただきたいということを最後にお願いしまして、一番最初に御質問しました一昨日の不正の問題については調査中だということなので、ひとつ捜査が終わった段階でぜひ報告をいただきたい。この問題、非常に重要な問題なので、私は引き続いて機会を見てまた御質問したいと思いますので、ひとつ報告は必ずやっていただくということを重ねてお願いしたいのですが、いかがですか。大体いつごろ、最後にそれを聞いて終わりたいと思います。
  231. 仲山順一

    ○仲山政府委員 御指摘のとおりにさせていただきたいと思っております。
  232. 中路雅弘

    ○中路委員 では、終わります。
  233. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、草川昭三君。
  234. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  まず最初に、第二次交通安全施設整備事業五カ年計画の達成状況を見ておりますと、比較的地方の単独事業におくれがあると見受けられるわけです。地方単独事業の財源となっておる交通安全対策の特別交付金の交付状況についてちょっとお伺いをしたいと思うんです。この特別交付金制度が設けられた理由の一つに、将来、地域の実情に応じた交通安全対策を大幅に強化をする必要があるということがうたわれているわけですが、問題は交付金の減少傾向というのがあるわけです。これは私ども資料をいただいたわけでございますが、全国的にもいろんな条件があると思うんですけれども、五十一年、五十二年、五十三年、五十四年を見ておりましても、ばらつきもあるわけでございますし、いわゆる見込み額と収入との関係があるわけでございますが、たとえば五十三年の反則金から上がってくる徴収額と交付金との関係を見ますと、五十三年のギャップは百二億にもなるわけです。五十四年の徴収額と交付金との差を見ますと百二十九億ということになりますが、いかに反則金の徴収額だから見込みというのが簡単にいかないといいながらもこれは少しひどいのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
  235. 池田速雄

    ○池田政府委員 反則金の見込み額とそれからまた特別交付金につきましても、その予算額と実績とに差があるじゃないか、こういう御指摘でございますが、御案内のとおり、特別交付金につきましては反則金の納入されました額で予算を立てておりましても、実は二年前の実績と精算してという仕組みになっておりますのでそういう差が出るということでございます。  反則金の見込み額等につきましても過去の実績で出す、こういうことでございますので、ある程度の相違があるのは御容赦いただきたいと思います。と申しますのは、反則金が実は違反の取り締まりから生ずるものでございますので、そのために取り締まり自体が左右されるというようなことがあっても困りますし、またこの特交金の額を算定いたします場合には全国で見るわけでございますけれども、取り締まりにつきましては各県の交通実態に応じてやられる、こういうことでございますので御理解賜りたいと思います。
  236. 草川昭三

    ○草川委員 いや、こちらは十分理解をした上で心配してこういう質問をしておるわけです。だから、おっしゃったように二年間のずれがあるから漸次修正をされておるわけです。予算ですから、やはり予算額を立てなければ支出ができませんからこういうことになるんですけれども、いま申し上げたように、それにしても四十三年からずっと見ますと五十六億とか十六億とかその都度によって違いますけれども、五十二年の場合は四十五億の差額になっておりますが、五十三年はいま申し上げたように百二億とか五十四年は百二十九億とかいうことになってきますと、二年間のずれがあったとしてもいかがなものか、こういう感じがするわけです。逆にいまおっしゃったように、この数字だけ現場の第一線の方が見たら、百二十何億も差があるから一生懸命徴収をしなければいかぬなんといってモラルの高い人がお見えになってもまたこれは間違った形でモラルになるわけですから、そういうような取り締まりには一切影響がないと思うんですが、その点はどうですか。
  237. 池田速雄

    ○池田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、交通指導、取り締まりにつきましては、交通違反の実態あるいは交通事故実態、そういうものとの関連でやるわけでございますので、その点ははっきり申し上げておきたいと思います。
  238. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、次の方へいきます。  バスレーンのことについてお伺いしたいわけですが、いまも大都市交通網の中では、限られた条件の中ですから、交通渋滞なり公共輸送ということを優先させるためにバスレーンというのが設けられておるわけで、これはそれなりの効果を上げておるわけでございます。  実は問題は、タクシーは公共機関とは言えないわけでございますが、しかし一定の営業ということの目標があるわけでございますし、早朝、都市の場合にはいまバスレーンが引かれておりますと実際利用できないわけです、現実的な問題といたしましては。そこで、かねがねタクシー業界の方方からはバスレーンにぜひ乗り入れをさしてもらいたい、こういう要望が出ておるわけでございますが、その点についての当局の指導方針というのはいかがなものか、お伺いします。
  239. 池田速雄

    ○池田政府委員 御案内のとおり、バスレーンは輸送効率の高い路線バスの正常な運行を確保するということによりまして都市自動車交通総量の削減にも資する、こういったような考え方で設けておりますので、一義的に優先させますものは路線バスということでございますので、自由走行が可能なタクシーを直ちにと、こういうことは画一的に申し上げるのはむずかしいというふうに考えておるわけでございます。ただ、地域の実情によりましては、路線バスの正常な運行を阻害しない、しかも左側の車線を走っております二輪車等の安全走行にも問題がないような場合には、それぞれの都道府県の公安委員会の判断で乗り入れを認めておるわけでございますが、数字だけで申し上げますと、現在全国でバスの専用レーンが五百五十の区間で九百四十五キロほどございますけれども、この中でハイヤー、タクシーの通行を認めておりますのは百四十五の区間で三百二十五キロメートルということになっておるわけでございます。県にいたしますと二十一県ほどが認めておるということでございますが、やはり大都市につきましては現在ではまだバスだけで手いっぱいというのが実情でございます。
  240. 草川昭三

    ○草川委員 実は愛知県で県議会の中でもこの問題が取り上げられておるようでございまして、ある程度試行的に、試しにひとつ一路線を採用するようにしたらどうかという質問がございまして、知事も前向きに対処したいというようなことを御答弁なすっておみえになるように聞いておりますし、いまおっしゃいましたように、せっかくつくったバスレーンでございますからすべてというわけにはいきませんけれども、一度そういう機会を与えてもいいのではないだろうか。あるいは公共輸送が優先ではありますけれども、その間の営業というものも一つあるわけでありますし、利用ということも考えればお願いしたいと思います。  たまたま名古屋の郊外に小牧空港という空港があるんですが、そこに早朝に利用者が非常にたくさんあるわけです。小牧空港に名古屋市内の方が利用するにはどうしてもタクシーを利用される方が非常に多いんです。いまの名古屋空港ですが、行きは行くわけですが、帰りがバスレーンに入ってしまいますので運転手が非常にいやがるわけです。これは正規に断われば乗車拒否になるわけですからある程度認めるわけですが、二時間か三時間かかりまして帰宅がおくれるというので非常に問題があるので、ぜひ部分的にはこのようなことの配慮を要望を申し上げておきたいと思うのです。いまこの場で直ちにどうのこうのと言うわけにはいきませんが、御要望を申し上げておきたいと思うのです。大事なことですから、ひとつぜひお願いをしたいと思うのです。  その次に、ガードレールの問題について建設省にお伺いしたいわけでございますが、実はガードレールというのはどういう設置基準で敷かれるかということが主でございまして、その場合の通行者、歩行者の保護はガードレールによってやられるかどうかということを聞きたいわけです。  道路局の企画課の資料によりますと、防護さくの設置基準というのがあるのですが、これを見ますと、ガードレールというのは、車が方向を誤る、早く言うならば転落を防ぐことだ、これが一つ。それから二番に、運転者の傷害あるいは車両の破損を最小限にとどめることを目的として、副次的に運転者の視線を誘導し——長い縦方向に誘導する。それから歩行者のみだりな横断を抑制するのが目的だというのですね。歩行者は勝手にちょろちょろ横断するな、これはわかるわけですが、問題は、歩行者が歩く、その歩行者の車に対する保護にこのガードレールが使われないのかということなんです。だから、よく狭い道路がございますけれども、県道だとか国道なんかでも狭いところがありますが、そこには道路の際いっぱいにガードレールが設置をされておるわけです。歩行者はガードレールの内側を歩かなければいかぬわけです。そこへ車が来ますと、ガードレールと車の間に歩行者がいるわけです。あるいは狭いトンネルなんかでも、短いトンネルなんかでは特にそうでございますが、人間保護のためにガードレールは使われてないわけですが、やはりこれは車優先になるわけですか、どうでしょう。
  241. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えをいたします。  ガードレールの防護さくの設置基準につきましては、四十七年につくりました当時、先生からいまお話がございましたような目的を書いておるわけでございますけれども、防護さくは、やはり進行方向を誤った車両が路外であるとかあるいは歩道等に逸脱するのを防ぐというのが主たる目的であろうかと思います。したがいまして、歩車道境界に設けますガードレールは、歩行者のみだりな横断ということはもちろんでございますが、同時に当然歩行者の安全を確保するための施設でもあるわけでございます。  そこで、先ほどもお答えしたわけでございますが、狭い道で転落防止のためにガードレールを外側につくると、歩行者がその内側を歩かなければいかぬというケースでございますが、そういうところはむしろさらに道路を広げまして、歩道をつくって、その歩車道境界にガードレールがあるという形にするのが最も望ましいことでございまして、そういう意味で歩道設置は今後とも続けていきたいと思うわけでございます。  なお、歩道が設置できない場合、車両の逸脱を防止することが必要な個所につきましては、やむを得ず逸脱防止用のガードレールを立てることになりますが、そういうところは、当然のことながら、たとえばがけであるとか危ないところでございますから、ガードレールを内側に立てて、その外側を歩行者に歩いていただくというのもまたいかがなものかということでございますので、基本的な対策としては、なるべく早期に歩道を外側に設けるようにして、ただいまの御指摘のような非常に困った状態、ガードレールの内側を歩行者が歩くという状態を解消するように努力することが私どもの任務かと思っております。
  242. 草川昭三

    ○草川委員 先ほども私触れましたように、特に高速道路の下、高速道路とは限りませんけれども、立体交差で狭いトンネルという場合がございまして、拡幅できない条件のところがずいぶんあるわけです。私どもも郡部の出身でございますから、郡部へ行けば行くほどそういうところが目立ちまして、子供の通学等についても非常に危険な状況がございます。私は、できたらガードレール等が設置できない場合については、段差を義務づけされるようなことがあってもいいのではないか。いま白い境界線が引かれておる場合もありますが、非常に汚れてしまって不鮮明でございますし、大型の車になりますと安全上も非常に問題があるわけでありますから、ぜひ段差を義務づけるようにしていただきたいと思います。それから、いわゆる道路局等の防護さくの設置基準も、少し歩行者の安全という言葉、配慮ができるように改善をしていただきたい。そういうことが積み重なって、本当に人命尊重の施策というのができるのではないか、こう思うわけです。意地悪く言うならば、車は転落防止をする、ところが人間はある程度落ちたって仕方がないじゃないかということだって、皮肉にとれぬこともないわけでありますから、改善方をお願いを申し上げたいと思います。  それから救急医療のことにも若干関係をするわけでございますが、交通事故の統計が警察庁と厚生省との間で違うわけでございます。警察庁は、二十四時間以内に死亡した場合に、死亡ということで統計に出るのです。ところが厚生省の方の交通災害による死亡ということが違うわけでございますが、これはどうでしょうね。総理府の方にお答えをしていただいた方がいいかもわかりませんが、交通事故死の統計を一本化というのですか、統合化ということは考えられないのかどうかお伺いします。
  243. 仲山順一

    ○仲山政府委員 先生指摘のとおり、厚生省統計でいう自動車事故による死亡者の数というのは、国際基本分類に基づきまして、自動車事故を直接死因とするすべての死亡の数を計上したものでございます。一方、警察庁の統計でいう交通死亡者は、事故発生後二十四時間以内に死亡したものを指す。これとは異なりまして、時間的な拘束は警察庁の統計でいって、こちらはないわけでございます。警察庁統計では、道路交通法に規定する道路上における車両の交通による死者を交通事故死者として計上するのに対しまして、厚生省統計でいう自動車事故死亡者の数は、道路上における自動車交通事故のほかに道路外、ガレージ等における自動車事故自動車交通事故等の死亡も計上するという相違があるわけでございます。  警察の統計は、死亡事故の発生を迅速に把握しまして対策を立てる上で、現行のものが便宜でございます。一方、厚生省の統計は、交通事故ばかりでなく、他の死因による統計とあわせて利用されますし、また国際比較等にも使用されるなど、それぞれ使用目的が異なっておりますので、それぞれ統計の特徴を生かした利用の仕方を考えておるわけでございます。白書等も、国際比較をする必要があるところは厚生省の統計を使い、それから、いままでずっとやっておりました原因の分類とか、これはコンピューターにずっと入っておりますから、そういうふうなものとの、過去との比較等においては、これは警察の迅速な統計をとらないと迅速な手段を講ずることができないということで使っております。それぞれ長短ございまして、両方使っておりますから、そういうふうな意味で、いま現在はそれなりの効果がある、こういうふうに考えております。
  244. 草川昭三

    ○草川委員 いや、いまの室長の御答弁は現状を述べられただけでございますが、私の聞きたいのは、いまそれぞれの長短があるからこそ使ってみえるわけですが、もう交通事故というのは国民的な関心も呼んでおるわけでございますから、逆に私は一本化するとか、あるいは本当の即死事故と、それから、何か本当に一カ月とか二カ月とか長期療養をしたにもかかわらずとかというのですね。何か歴然とした、もう少しはっきりとした理由が立つならば別ですけれども、いまの程度の御答弁なら、私はどこかで統計は一本化できるのではないか、こう思うので、きょうはこれは私の要望として申し上げておきたい、こう思います。  今度は救急医療の方に移っていきたいと思うのですけれども、きょうは消防庁の方もお見えになっていますからお伺いをいたしますが、いわゆる交通事故に遭って、事故に遭ってから常識的には消防庁の救急車に搬送をお願いして、それから救急センターに担ぎ込まれる。どうもそこからは厚生省になるわけです。問題は、搬送業務については消防庁ということになりますね。私ども道交法なんかで救命救急についてのいろいろな注意義務というのですか、けが人を見た場合にしかじかかくかくの処置をしなければいけないという対策を立てられることが義務づけをされておるわけでございますが、これもこの前申し上げましたように、試験場で一回ぐらい先生の方からお話がある程度で、必ずしもフォローされるという教育はないわけですよね。ぼくたちでももし目の前に大変な重傷者がいたとするならばどうしていいのか、すぐ対応はできませんけれども、救急というよりも、何と言うのでしょうか、プレ救急と言うのですか、事故の前の教育というのは一体どこがやるのか。それは総理府がやるのか、警察庁がやるのか、あるいは厚生省が救急医療の暫時の処置はこうすべきだというように指導をするのか、これは一体どこが中心になるのか、お伺いをします。
  245. 仲山順一

    ○仲山政府委員 交通事故の被害者の致死率を低減させるというためには、迅速的確なただいまの救急救助が必要であるわけでございまして、そのためにドライバーに対します救急法の教育を普及徹底させなくてはいけない、先生の御指摘のとおりでございます。総理府といたしましては、厚生省初め関係省庁の御協力を得まして、現在のところ社団法人日本交通福祉協会での指導を通じまして、救急ユニットの開発とかドライバーに対します救急法の講習会をするなど、救急法の普及について努力を重ねているところでございます。  なお、いまの点、第三次計画等を通じまして広く関係省庁の御協力を得て進めなくちゃいけない問題である、こういうふうに考えております。
  246. 草川昭三

    ○草川委員 では、今度は搬送業務に従事をする消防庁の方にお伺いをします。  搬送業務に従事をされてみえる救急隊員というのは特別の資格というのがあるかないかということをまずお伺いしますが、何かお伺いしますと百三十五時間の講習が必要だ。百三十五時間の講習を経た方が救急隊員の資格を持って搬送業務に従事をされるわけでございますし、五十七年の三月末までには全員にこの講習を終了したいと言っておみえになりますが、ただいまのところ受講率というのは何%でございますか。
  247. 山越芳男

    ○山越説明員 御指摘がございましたように、救急隊員の資格要件につきましては、昭和五十三年十一月に消防法の施行令の一部を改正いたしまして、百三十五時間の講習を終了した者でなければ救急隊員として救急車に乗れないというような法律上の義務づけをしたわけでございます。その義務づけの施行が五十七年四月一日からということでございまして、現在どの程度この要件を満たした者があるかという御質問でございますが、この要件を満たしております者は、現在で全体の救急隊員の六二%でございます。  現在、全国の都道府県の消防学校等におきまして救急隊員に対する救急講習を最重点に取り上げて、全力を挙げて講習に取り組んでおりますので、五十七年四月一日にはほぼ全員がその資格要件を満たすという見込みでございます。  以上でございます。
  248. 草川昭三

    ○草川委員 この六二%というのは、このパーセントは余り伸びていませんね。だから、四割近い方は無資格でいま搬送業務に従事をしてみえるわけです。白い服を着てお見えになりますから、私どもも一見ドクターのごとく信頼をするわけですよ。ところが、実際はいま言ったように、四〇%の方々は無資格のまま搬送業務についてみえるわけですから、私は若干トラブルがあるのじゃないかと思うのです。  警察庁の場合は、警察官はあれなんですね、警察官に対する救急法の指導状況を見ておりますと、警察官には救急資格制度というのがあるのですね。警察は救急法に関する知識向上のために技能検定制度を設けておるのですよ。人工呼吸だとか三角きんの使用方法だとか止血法で、初級と、熟練をして応用できる者を上級と言う、これは内輪のインフォーマルなものだと思いますが、これに比べると消防庁の場合の受講率の六〇%台というのは私は少しまだ遅いと思うのです。問題があるのじゃないかと思うのですよ。これはやはり早急に、五十七年四月一日からは全員と言わなくてやっていただきたいと思うのです。  これも命のことですから具体的な例を申し上げますが、何も重箱のすみをつついておるというふうにしていただくと消防隊の方に大変恐縮でございますから、素直に私どもの問題提起を聞いていただきたいのですが、ここに「アロー一一九」という、これは主として消防関係の非常にわかりやすい雑誌があるのです。これは月刊誌でございますけれども、この中に「目で見る救急・救助作戦」というのがずっと出ているのです。ケーススタディーというのですか、いろいろな具体的なケースがあるわけです。たまたまこれは二月号ですから新しいところですが、「呼吸停止三回の重篤患者を救命 懸命な心肺そ生で蘇った生命」という非常にりっぱなレポートなんですけれども、たまたまこれは非常に問題じゃないかというので出てきましたのは、ある患者がチェンストーク状態だ、これは専門用語ですが、このチェンストーク状況というのは、詳しく言いますと、医学辞典等で言いますと、非常に呼吸が困難になってきて、一種の心臓病だとか脳圧の高いときに麻酔薬の中毒の患者に見られるような異常な呼吸の状況だという。チェンストーク型呼吸という一つの症状があるわけですが、たまたまこのレポートの中には「呼吸浅くチェンストーク状態、脈弱く欠滞、瞳孔散大反射なし、顔面蒼白」云々、こういうことが書いてある。さあ大変だということを判断したというレポートなんです。ところが、これを医者に見せますと、全くチェンストーク状態というのは逆だと言うのですね。呼吸浅くではなくて、この症状は呼吸は深くて断続的なんだ、違うことを言っているわけですね。それから、ひとみが拡散をして開いてしまう。ところが、このチェンストーク状態というのはひとみは小さくなるのだ、こういうことなのです。これは全く逆のことを言っているわけです。これは重箱のすみをつつくようなことではなくて、人の命の問題ですから申し上げるのですが、この雑誌では非常にりっぱなケーススタディーとして出ておるのですけれども、症状が全く違うわけですよ。それはいま申し上げたように、消防隊の方にそこまで要求するのは無理なんですよ。こんなことを自治労の労働組合に言ったら怒られるでしょうね。そうではなくて、いま一度消防隊の方に逆に戦前の陸軍なり海軍の衛生兵のような特別な訓練というのを与えて、ライセンスを与えて、それこそリタイアされたときには病院なんかの看護士というのですか、精神病院なんかの特別な看護夫、そういうようなライセンスを与えるようにして救命救急に行く間の対応を立てるような資格を与えた方が、いまは消防という感じですけれども、消防と救命救急とは全然違うと思うのですよ。本来ならば救命救急は厚生省の所管だと思いますね。ところが消防というところにあるから中途半端な救急隊員になってしまうのではないか。外国の例なんかを申し上げましても、救命救急に搬送する方々というのは相当な知識を得ておりまして、一部救急自動車に心電図が設置をされておるわけですが、この心電図は救急隊員は本当は使えぬのですね。いろいろなむずかしいところがあるわけです。医師、ドクターの指導に応じてそれを使う限りにおいては、これは厚生省、いいのではないかと思うのですが、この取り扱いについて、私は厚生省と消防庁と別々に意見を聞きたいと思うのですが、どうでしょう。
  249. 山越芳男

    ○山越説明員 先ほど六二%ということを申し上げましたが、それ以外のものも百三十五時間ではございませんで何時間かの相当程度の講習をやっておりますので、その点、御了解いただきたいと思います。  それから、御質問の心電図等を救急隊員に取り扱わせる問題でございますが、現に東京都等でそういったことを実験的にやっている例もございまして、基本的な考え方としましては、医師の管理のもとに、医師の十分の指導を受け、連絡を受け、その上で所要の措置をやるという基本的な考え方に立ってやるべきものであるというふうに私どもは判断しております。
  250. 小沢壮六

    ○小沢説明員 ただいま消防庁の方からもお話がございましたように、私ども医師法あるいは臨床検査技師法等の法律によりまして医行為あるいはそれに類する行為を行う方々につきましてそれぞれ資格を設けておるわけでございます。基本的にはやはりそういった人体に影響を及ぼすような行為につきましては、たとえば医師でございましたら六年間でございますとかあるいは臨床検査技師でしたら三年間とか、長い学習期間を経た方々につきましてさらに国家試験をやるという形で厳格な審査をしているわけでございますので、基本的にはそういう行為はそういった有資格者にやっていただきたいという立場でございます。ただ、緊急の場合において、いわば恒常的に業という形ではない形で、緊急の場合において医師でない方が臨時的、応急的にやむを得ず使用したという場合は、これは関係法律にそのこと自体で違反するということではないというふうに解釈いたしております。
  251. 草川昭三

    ○草川委員 だから、救急のときには使ってもいいわけですが、それが恒常的に使ってもいいとは厚生省としては言えないというところに問題があると思うのです。だから逆に私は、先ほど言いましたように、救急隊員の資格というものを別に考えて、所管庁もはっきりとして、そして市民の方方にも安心していただける搬送業務ということができるように、もっとグレードを上げていくべきではないか、こういう提案をしていきたいと思っております。  時間がございませんから、最後になりますが、いまダンプカー等で不法電波というのですか、不法市民ラジオというものがかなり使われておりまして、土木業界についてもかなりこれが日常業務に活発に使われておるのではないかということがよく言われております。それから、一時不法市民ラジオの、これは内輪の、インフォーマルの管理というのですか、暴力団がこれにかなり介入をしてまいりましてトラブルがあるというような例も二、三出てきておるわけでございますが、この被害内容、不法市民ラジオの被害状況ということについて具体的にどのようなものになっておるのか、あるいは今後の対応をどの程度お考えになっておられるのかお伺いしておきたいと思います。
  252. 筒井正夫

    ○筒井説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、最近ダンプカーとか長距離トラックに積載いたしました不法市民ラジオが増加いたしております。この不法市民ラジオは、先生も御承知と存じますが、もともと輸出用につくられた無線機でございまして、日本のような狭い国土で使用できる無線機ではございません。したがいまして、国内の電波の使用ルールに反したたくさんの周波数を装備いたしておりますし、また強い出力で電波を発射いたします。しかもこれを車両に取りつけて国道上等を走行いたしながら通話をいたしますので、この電波の発射されます付近の御家庭のテレビやラジオに混信妨害を与えております。それから、この周波数は二十六メガないし二十七メガヘルツの周波数帯を使用いたしておりますが、この周波数の近辺に沿岸漁業の小型漁船が使用しておりますところの周波数帯がございます。この周波数帯に不法市民ラジオの電波が近接いたしておりますので、この沿岸漁業に使われております周波数に混信を与えたり、こうした漁船の救難のために設置されております警急自動受信機等に悪影響を及ぼしております。それからまた、日本の国内で許されますところの合法的な市民ラジオが約三十一万局くらい使われておりますが、この合法的な市民ラジオの通信にも妨害を与えております。  そして、この使用の形態は、運転手等がグループをつくりまして、グループ内で雑談をしたり、それからまた道路状況等の連絡をし合っておりますが、中には悪質なものにつきましては、交通取り締まりを逃れるために警察のやっておられます取り締まりの状況等を流し合っておる者がおるようでございます。  これに対しまして郵政省といたしましては、取り締まりといたしましては、監視車の増強等、監視体制整備を強化いたしまして、捜査機関の御協力もいただきながら、年間を通じて強力な取り締まりを行っております。特に昭和五十二年度からは不法電波一掃月間という月間を設定いたしまして、警察庁、通産省、運輸省の自動車局、海上保安庁等の関係省庁、電子機械工業会等の関係団体、報道機関等の御協力もいただきまして強力な取り締まりを行いますとともに、違反防止のための広報活動を強力に進めてまいりました。  しかし、先生指摘のように、まだこうした不法市民ラジオが後を絶ちませんので、昭和五十六年度におきましてもさらに取り締まり方法の改善を図る等、強力な取り締まりを進めていきたいと存じておりますし、また、広報活動につきましても関係の向きの御協力をいただいてさらに充実してまいりたい、かように考えております。
  253. 草川昭三

    ○草川委員 もう時間が来ましたので終わりますが、実は、そういう違法はどんどん取り締まっていただきたいと思いますが、もう一つは、一方で営業用の周波数の割り当てを受けようとしても、いまいっぱいでなかなか許可にならないという問題がございまして、かなり営業用で申請もメジロ押しになっておるわけでございますので、一定の限界はございますが、今日的に非常に技術革新の段階で便利な電波をいろんな営業活動にも利用したいという立場もあるわけでございますから、ひとつこの周波数の割り当て等についてはまた別の立場で認めるべきものは認め、割り当てるべきものは割り当てる、あるいは使用していないものは遠慮なしに取り消して、それを改善する。そして一方でこのような、いまおっしゃったような被害というのですか、迷惑をかけるものについては徹底的に取り締まりはやっていただきたいということを要望して終わりたいと思います。
  254. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、伊藤公介君。
  255. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 一昨日来、所信表明についていろいろな御議論もありました。十年ぶりにして交通事故の死者数がふえたという大変残念な結果でありますが、関係各機関のいろんな御努力も十分理解をした上で、ぜひこれらの原因がどこにあるかということを明らかにし、具体的にその対策に取り組んでいただきたいというふうに思います。  事故実態をいろいろの角度から検討してまいりますと、歩行者あるいは自転車の利用者交通事故の数が非常に多いという結果を数字はあらわしているわけでございますが、その原因がどこにあるのか、また特にデータを伺いますと、大きな道路よりも生活道路と言われるような非常に小さな小幅の道路における事故が減少していないということを数字はあらわしているわけでございますが、昨今の交通事故歩行者であるとかあるいは自転車利用者事故が非常に多いという傾向をどういうようにとらえ、また対策を立てていかれるのか、まず伺いたいと思います。
  256. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり歩行者、自転車の事故が多いというのが非常に特徴でございますが、こういった意味合いにおきまして、従来からも歩道ないしは自転車歩行者道の整備を最重点で進めてまいりましたが、第三次五カ年におきましてもその方針を踏襲し歩道、自転車道の整備を最重点に進めてまいる所存でございます。
  257. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 当面のさまざまな問題に取り組むことはあたりまえのことでございますけれども、どうも道路行政の中に道路哲学といいますか、非常にホットな道路行政というものに欠けているのではないかという気がするわけでございます。  たとえばいま非常に新しい町づくりが進められている、各地域にニュータウンと言われる都市がございます。私どもの住んでおりますところと隣接をしておるところにも多摩ニュータウンのような四十万を超える、周辺集めて五十万になろうというようなニュータウンづくりも進められているわけでありますが、そういうニュータウンづくりの中で、たとえばいま指摘をさしていただいた自転車道、自転車を安全に使用ができる、そういう道路というものはどのように具体的につくられているのか。ニュータウンに隣接をしたところには、今日ではまだ多少細切れの感がございますけれども、地方自治体のサイクリングロードのようなものができています。たとえば東京を流れている多摩川をずっと行ってみますと、川崎の方にもございますし狛江にもある、あるいは稲城にもある。その先の各地方自治体もその部分の多摩川に沿った自転車専用の道路があるわけでございますが、そういうものとニュータウンとのネットワークができていない。かつて大変実力のある建設大臣が、多摩川のあの土手に奥多摩まで大型サイクリングロードを抜いて、都心から奥多摩のあの自然の中まで子供たちやあるいは親子で土曜日、日曜日には何の事故にも遭わずに行ける、そういう計画をされたことも伺っておりますが、地方自治体と国が協力をしてそういう大型の自転車道路をつくり、また生活道路とのネットワークということをもう少し進められれば自転車による事故ももっとなくすことができると思うし、あわせて自転車の利用が東京を初め大都市でももっと快適にできるのではないかというふうにも思うわけでございます。  あわせてこの道路に、ハリの話で恐縮ですけれども、パリに行けば道路といっても非常に風格のある、町にマッチをした石畳の道路があったり、最近は日本でも少し試みをされるようになりましたけれども、きわめてそれは異例でございまして、モザイクの非常にすばらしい道路があって、車優先の道路から、むしろ道路というものを本当に人間に開放するといいますか、歩いていて夢もあり温かみもある、そういう道路行政に向けて、多少金はかかる、しかし町づくりや命を大切にする道路行政というものは、多少の金がかかっても、長い時間をかけて考えれば決してそれはマイナスではないと思いますけれども、いかがでございますか。
  258. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 先生の御認識といいますか見解と全く同感でございまして、日本の道路事情は特に二十年前後で急に道路らしい道路ができたという実情もあり、歴史的なプロセスがヨーロッパと非常に違うということが根本的な原因であろうかと思います。そして昨今の近代化、特に都市化それから地方化等々のアンバランス、こうしたことも、やはり道路事情がネットワーク的に言われる哲学的な関連性を持っていないというところにも原因があろうかと思います。とにもかくにもヨーロッパは交通機関は馬車ということの歴史的な風土を持っておる。日本は、どちらかというと足で歩いておったという道路事情等々を勘案しますと、どうしても近代化のおくれとあわせて道路事情の整備がおくれたことば事実でございます。したがって、幹線道路、地方道等々のネットワークをいかように位置づけてつなげていくかという大きな課題が今後の問題になってくるんじゃなかろうかと思います。  いま東京都内の多摩ニュータウン等々のお話もありましたけれども、同じ東京都の中でさえもニュータウンと都心部とのつながりについての道路事情というものは非常にアンバランスだということ、その点について御指摘があったことと思います。したがって歴史的なバックはバックとして、これからは先生の言われるような形で生きた道路、これを哲学と言えば言われるのでしょうけれども、そういう面で総合的に道路網というものもこれからの課題として考えていかなければならない、もうそういう時点であろうかと思います。  先ほども防音壁が余りにも物的過ぎるという御指摘もあったので、道路一つの風格を持った道路、生活に密着した道路、たとえそれが産業道路であろうと生活道路であろうとコミュニティー道路であろうと、もうそこまで国民の要望というものは近代化、文化性というものを望んでおる時代になってきたということをつくづく考えるわけでありますが、なかなか財源事情等々これあり、またアンバランス都市の発展、バックグラウンドを考えてむずかしいと思いますが、御指摘の意味するところは十分承知いたしておりますので、その点配慮を持ってこれからの交通行政につきましてはせっかく努力してまいる所存でございます。
  259. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 大臣から基本的なお話がございました後でございますが、自転車道のことでお尋ねがございましたので補足させていただきます。  御承知のように、通勤、通学、買い物等に使う自転車道、いわゆる自転車歩行者道とか自転車歩行者専用道路がございます反面、レクリェーション等に使われる大規模自転車道等もやっているわけでございますが、これらが有機的な形で結合されるということは大変望ましいことかと存じますので、私どもも努力をしてまいりたいと存じます。  特に多摩川地区につきましては、先生のお話にもございましたように多摩川に沿う大規模な自転車道が各地でできておりますし、また各地方自治体のものもできつつございますから、これをうまく機能さしていくように私どもも今後とも関係者と十分協議をいたしたいというふうに思います。
  260. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 せっかく大変温かい大臣答弁もございましたので、一言だけぜひお願いしておきたいのですが、いま申し上げたとおり、多摩川は東京の都心と郊外を結ぶ非常に大事な道路になり得るわけですね。信号のない広い道路が実は川崎の方までずっとできているのです。これは先ほどちょっと申し上げた、かつてちょうど高層住宅が東京にでき始めるころに実は奥多摩まで多摩川を真っすぐ通そうという計画があったわけですね。たまたまその計画がちょっと中断しているときに、周辺の方たちが川は自然のままがいいというようなこともございまして、計画はそのままになっているわけでありますが、サイクリングロードに関しては公害もそうありませんし、そして川を通すというのではなくて土手なんですよ、十分それでできるわけです。いまできている道路も、そういう形でサイクリングロードもできておりますから、ぜひひとつ国の機関でも御研究をいただいてこれをネットワークにしていく、この利用価値は本当に十倍にもなるだろうと思うのですね。そうするとあえて車で土曜日、日曜日に郊外まで行かなくたって、自転車で親子で都心からあのすばらしい奥多摩まで来ていただけるということだと思いますので、ぜひ大臣にそうしたことについて国の機関としても御研究をいただきたいと思います。
  261. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 なかなかごりっぱな識見というのですか御要望というのでしょうか、大変ありがたいことであると思います。私も学生のころ多摩川あたりはよく散策をいたしたものであります。昨今行く機会がありませんのでどの程度荒れているのか、恐らく荒れているのだろうと思います。したがって、旧来の多摩川の保存をしながら、地域に住んでおられる方々が生活道路として、サイクリングによしあるいはプロムナード道路と言ってもよろしいし、何かはほえましいというか生活に密着したような計画をできればプランニングして、何とか潤いのある多摩川周辺の環境づくりのために努力していきたい、このように考えます。
  262. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 これは歴史に残る道路になると思いますので、ぜひ大臣御在任中に真剣に御検討をいただきたいと思います。先ほど運輸大臣にもお願い申し上げましたが、それは東京を二分する多摩地域の多摩連環都市構想という、これはモノレール構想とも一緒にしてすばらしい都市づくりになると思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  交通事故の問題がいろいろ議論されてきたところでございますが、実は私の地域にファイト村という、これは交通事故に遭われた子供たちが、自分たちで全くのボランティアで新しい開拓地を確保して、東京でただ一つのファイト村を檜原村というところに去年の夏に開村いたしました。子供たちは、働き手のお父さんをある日突然に失っても、大変母親思いでございまして、母と子協力をして働き手の亡き後を精いっぱい生きているという実態調査が出て、そういう意味では私どもも大変ほっとしているわけであります。しかし、全く突然にやってくる不幸でありますから、幼い子供を抱えた母親にとりますと、育児はしなければならない、他方においては働かなければ生計が成り立たないというまさに二重苦でございまして、それはさまざまな調査にも数字で示されているわけでございます。普通家庭に比較いたしますと、交通遺児の勤労世帯の一人当たりの実収入は半分以下、四六%になっておる。しかもそうした母親はほとんどが臨時雇いであったりあるいはパートで働いている。非常に弱い立場だけれども精いっぱい働きながら子供の教育をやっているというのが実態でございます。  そこで、交通遺児の家庭への配慮ということをぜひお願いしたいと思っているわけでございますが、交通遺児家庭への配慮は、母親の就職の問題もありましょうし、交通遺児の進学等のお手伝いの問題もあろうかと思います。かつてこの委員会で私も取り上げたことがございました交通遺児育英会への補助金の問題、これは国の問題だけでなしに、実は自動車工業会等の補助金、御寄付も何かことしから——当初十億あったのですけれども、その後ずっと断ち切れをしておりまして、その間の関係がどうもしっくりいかなかったというお話も伺っておりましたが、お話を伺うと、関係各機関のいろいろな御努力によってことしから一億円程度の寄付ができるのではないかというふうにも伺っておりますけれども交通遺児家庭への配慮をどのように考えていらっしゃるかまずお聞きをいたしたいと思います。
  263. 仲山順一

    ○仲山政府委員 交通事故によって母子家庭や遺児になった方々についての対策は、すべての恵まれない母子家庭等を対象とした一般の母子福祉対策、修学援助対策がございますが、特にいま先生指摘交通事故による被害家庭で生活や進学に困っているという者に対しましては、自動車損害賠償責任再保険特別会計の運用益を財源といたしまして、育成資金、奨学金を貸し付ける、交通遺児に対します年金支給事業、それから高校在学生等の授業料減免措置等の事業等に対して補助をしておりまして、その補助額を逐次増額しているところでございます。ただいま御指摘の日本自動車工業会の件でございますが、交通遺児育英会への寄付金については、同会の事業を支える大部分を占めておるわけでございまして、広く民間各界からの善意の拠出によるものでございます。総理府といたしましても、広く関係団体等の理解と支援を得るように環境づくりをいたしておるわけでございまして、ただいまの日本自動車工業会は、創設当時、これは昭和四十四年でございますが、その当時は十億円の最大の寄付を行ったわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、その後十年間ばかり寄付をしていなかったわけでございますが、このたび育英会と自動車工業会との間でも相互理解の関係が回復をいたしまして、昭和五十五年には一億円の寄付を受けたというふうに聞いておりまして、順調にいい方へ向かっておるといま見ておりまして、その方向でやるようにわれわれも努力しておるわけでございます。
  264. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 これは、本来労働省かなんかにお聞きした方がいいことだと思いますが、もし総理府でお答えができれば、交通遺児家庭の母親の就職等の配慮をどのようにお考えになっていらっしゃるか。ひとつ、お伺いできればしたいと思うのですけれども
  265. 仲山順一

    ○仲山政府委員 そのような問題も出ておるわけでございますが、第三次計画の策定等に当たっても議論が出たわけでございますが、いまのところ、まだそこまでは具体的にはいっていないのが実情だと思います。
  266. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 少し早目に切り上げろという話でございましたので、時間を残して質問を終わりたいと思いますが、ぜひ温かい道路行政ができますように、関係大臣の一層のお力添えをお願いして質問を終わります。
  267. 斎藤実

    斎藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  268. 斎藤実

    斎藤委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  269. 斎藤実

    斎藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  270. 斎藤実

    斎藤委員長 ただいま可決いたしました本案に対し、水平豊彦君、沢田広君、草川昭三君、玉置一弥君、中路雅弘君及び伊藤公介君から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。水平豊彦君。
  271. 水平豊彦

    水平委員 ただいま議題になりました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブを代表いたしまして、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたっては、次の点について必要な措置を講ずべきである。  一 交通安全施設等整備事業実施にあたっては、次のように配慮すること。   (1)今後進展する高齢化社会に対応して、老人が安心して通行できる道路交通環境の確保に努めること。   (2)通勤、通学中の交通事故防止を図るため、児童、生徒の通学路や自転車利用の多い道路等に係る交通安全施設等の整備について、特段の配慮をすること。   (3)「国際障害者年」の目標である「障害者の完全参加と平等」の実現のため、身体障害者の利用に配慮した交通安全施設等の整備に努めること。  二 交通安全施設等の計画的、効率的な整備とあわせて、各年令段階に応じ生涯にわたって交通安全教育の機会を確保し、交通安全意識の高揚を図るよう措置すること。  三 交通安全の一層の推進を図るため、雇用者においても、交通安全教育の充実、安全運転管理の推進、運転者の労働条件の適正化等交通安全上必要な措置を講ずるよう適切な指導を行うこと。  四 踏切道改良促進法の適切な運用と第三次踏切事故防止総合対策を強力に推進することとし、特に立体交差化事業の一層の促進を図ること。   右決議する。  次に、その趣旨について申し上げます。  第一に、今後、社会の高齢化が進むにつれ、老人が安全に生活するのに適した環境づくりを進めていく必要があります。また、児童生徒の登下校時における事故防止について、引き続き十分な配慮をすることはもちろん、特に最近において、自転車を利用した通勤通学が増加していることにかんがみ、必要な措置を講じていく必要があります。さらに、本年は国際障害者年であり、その趣旨にかんがみ、身体障害者の通行の安全にも十分意を用いていかねばなりません。  交通安全施設等整備事業実施に当たっては、以上の点に配慮すべきであります。  第二に、交通事故防止のためには、交通安全施設等の整備のみでなく、総合的な交通安全対策が必要でありますが、とりわけ、広く交通安全思想の普及徹底を図っていくことが重要であります。このため、交通社会の一員としての責任の自覚を持った社会人を育成するため、生涯にわたって交通安全教育の機会を確保し、交通安全意識の高揚を図るよう措置を講ずべきであります。  第三に、交通安全の一層の推進を図るため、雇用者に期待される役割りには大きいものがあります。特に、家庭や学校における交通安全教育と並んで、職場における交通安全教育は、生涯にわたる交通安全教育の重要な一環をなすものであります。また、運転者を雇用する雇用者においては、安全運転管理の推進や、運転者の労働条件の適正化に努めていかねばなりません。これらの点について、雇用者に対し、適切な指導を行う必要があります。  第四に、踏切事故は年々減少しているとはいえ、一たび事故が起これば、多数の死傷者を発生させるおそれがあります。したがって、踏切道改良促進法について適切な運用を図り、第三次踏切事故防止総合対策の強力な推進に努めていかねばなりません。特に、道路交通量の多い踏切道等については、立体交差化が有効な対策であることにかんがみ、この事業の一層の促進を図っていく必要があります。  よって、政府は、以上の点について人命尊重の基本理念に立って必要な措置を講ずるよう特段の努力をすべきであるというのが趣旨であります。  委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。(拍手)
  272. 斎藤実

    斎藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  水平豊彦君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  273. 斎藤実

    斎藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。斉藤建設大臣
  274. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案につきましては、熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝を申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。  ここに、この法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
  275. 斎藤実

  276. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 ただいま、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案につきまして御議決をいただきまして、まことにありがとう存じました。  ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、御趣旨を十分に尊重いたしまして、今後、交通安全対策に万全を期する考えでございまするので、委員長初め委員各位の御指導、御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。
  277. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、塩川運輸大臣
  278. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ただいま交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案につき慎重御審議の結果、可決いただき、まことにありがとうございました。運輸省といたしましても、ただいまの附帯決議の趣旨を十分体しまして、踏切事故防止等のため、行政に万全を期してまいる所存でございます。
  279. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、中山総理府総務長官。
  280. 中山太郎

    ○中山国務大臣 本法律案による交通安全施策は人命にかかわる問題であり、本委員会においては、この間の事情をしんしゃくされ、本日、本法律案を可決されたところであります。  政府といたしましては、本法の施行に当たり、その御趣旨を体し、また、ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、交通安全施設等の整備に努め、国民の交通安全意識の高揚を図る等、交通安全諸施策を総合的に推進し、交通事故防止に万全を期する所存でございます。     —————————————
  281. 斎藤実

    斎藤委員長 なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  282. 斎藤実

    斎藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  283. 斎藤実

    斎藤委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会