○草川委員 私は、きょうは時間がありませんからそう何回も申し上げませんけれども、この見直しということ、あるいは指定教習所の
あり方等についての今後の改善はぜひ
考えていただきたいと思うのです。
そこで、いま一度現在の学科試験の出題
傾向でございますが、
警察庁の方としては、学科試験の出題
内容について、これは私資料をいただいておるわけでございます。
昭和四十七年に出ておる一つの態度でございましょうが、「問題の難易」ということについて「
運転者として必要にして十分なむずかしさであることを
基本とし、おおむね例題に示す程度とする。」ということで、例題がたしか千五百ですか、あるわけです。それを各都道府県でいろいろと組み合わせをしてやるわけでございますが、また同じこの
昭和五十年に出ておる指導で、第二種免許の出題要領では、「問題作成の基準は、あくまでもこの例題を参考にして、」千五百を参考にして、ひっかけ問題あるいは解答が正とも誤りとも受け取れるような問題を出してはいけない、あるいはことさら難解な問題等を出さないように留意をしろという一定の配慮があるわけですね。これは私はそのとおり非常にりっぱな指導だと思うのです。ところが、先ほど言いましたように、非常に問題もあるわけでございます。
たとえば「目の見えない人は、」視覚
障害者のことですが、「必らず盲導犬を連れて歩くことになっている。」という質問があるわけです。これはもちろん私は非常に重要な問題だと思うのですが、盲導犬というのは、御存じのとおり、いま全国でわずか二百頭から二百五十頭くらいしかないのですよ。一頭を育てますのに二百万円から二百五十万円かかるわけでございまして、国からも助成金が出ておる。昨年の道交法の改正でようやくこの問題が認知をされた形になっておるので、私どもは非常にうれしいと思うのですが、一般の
方々に、「目の見えない人は、必らず盲導犬を連れて歩くことになっている。」なんということはあり得ないわけですから、こういう出題も私は、出題をする人自身か、今日の視覚
障害者——特にことしは
国際障害者年でありますから、「盲導犬を連れて歩くことになっている。」と言えば、ああ、そういうことかなと思う人がおるかもわからぬと思いますね。それは全く次元の違う話ではございますけれども、その配慮が出題者に足らぬと思うのですよ。これは特に昔からの出題じゃありません、去年から出てきた新しい出題ですから、こういう点も私はぜひ反省をしていただきたい、こう思うのです。
〔水平
委員長代理退席、
委員長着席〕
細かい点を申し上げるわけじゃございませんけれども、同じような点でございます。たとえば「大地震の警戒宣言が発せられたときには、一般
車両は
道路の左側に寄って停止する。」という出題があるわけです。これは正解はペケなんですよ。あたりまえでしょう。大地震があるときに、一々左にとまって、どうするかなんて、そんなのんびりとした問題じゃないわけです。特別なものを出すと、大地震があったときにはと言ったって、
運転手は大地震があるかないかということをどう
判断するかという問題があります。それはもう本能的にとめて待避をするとか、いろんな処置をしなければならないという例もあるわけでございまして、言えば切りがないくらいの点があるので、この
運転免許の学科試験はぜひ常識的なものにしておいて、学校では本当に
マナーだとか、あるいは予知できない点について、とっさの場合どうしたらいいのかという具体的な指導をする公安
委員会では、
事故率が少ないとさえ言われておるわけです。これは労働省のある労災担当の人が別の意味でテストをやっておりましたら、そこの都道府県における公安
委員会の出題
傾向によって、労働災害の対応の仕方も違うという経験を申した方がいるんですよ。
だから、私が何回か申し上げますように、とにかく大学の入学試験と違うわけですから、はねのけるというやり方ではなくて、あくまでも常識をテストしていく、これを原則にしていただいて、豊かな経験を持った
交通警察官上がりの方が見えるわけですから、いろんな事例研究をやる。こういう場合はこういう事例があるということを長時間にわたって学校で
教育をする。そのことが私は災害
多発を防ぐことになると思いますし、できたら学校でそういう映画の上映をするとか、それをやるようにすればずいぶん変わると思うんで、その点について、時間が来たようでございますから、最後に
国家公安委員長から見解を賜って、終わりたいと思います。