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1981-03-18 第94回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月十八日(水曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 斎藤  実君    理事 浜野  剛君 理事 林  大幹君    理事 水平 豊彦君 理事 安田 貴六君    理事 沢田  広君 理事 永井 孝信君    理事 草川 昭三君 理事 玉置 一弥君       阿部 文男君    浦野 烋興君       加藤 六月君    鹿野 道彦君       関谷 勝嗣君    玉生 孝久君       塚原 俊平君    後藤  茂君       新盛 辰雄君    三浦  隆君       中路 雅弘君    伊藤 公介君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      中山 太郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   安孫子藤吉君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      仲山 順一君         警察庁交通局長 池田 速雄君         運輸省航空局次         長       多田  稔君  委員外出席者         国税庁直税部法         人税課長    四元 俊明君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 三月十六日  自動車事故対策センター法の一部を改正する法  律案内閣提出第四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 斎藤実

    斎藤委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。
  3. 新盛辰雄

    新盛委員 さきの当委員会での所信表明について、交通安全対策の諸問題全般にわたって関係大臣お尋ねをしたいと思います。  まず、総理府総務長官も御承知だと思いますが、今年度は第二次交通安全基本計画最終年度になっております。五十一年から五十五年度までこの計画をお進めになったのですが、これは交通事故者数が最高を記録しました昭和四十五年の一万六千七百六十五人の半減目標にして、警察庁あたりでは八千人以下にしたいというふうな心づもりであったのでありますが、この警察白書の中でも明らかなように、自動車保有台数というのが三千八百万台になってきている。毎年二百万台ベースで増加しておりますし、また運転免許人口も毎年平均二百万人増加しているという現状で、すでに四千三百万人に達しているという状況であります。この車の洪水あるいは場合によっては走る凶器、こういう車社会の中では、毎年こうした交通事故死者を抑えていくためには、いままで大変苦労もあっただろうと思いますが、計画最終年度におきましてなぜその八千人以下に抑えることができなかったのか。原因はいろいろございましょうが、そのことについて総理府総務長官あるいは公安委員長の方でも実態を把握しておられると思いますので、まずそれからお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 中山太郎

    中山国務大臣 お答えをいたします。  昭和四十五年の半減目標にした第二次計画が、この最終年に当たって、いわゆる目標達成に少し届かなかったという点は、まことに遺憾なことと存じております。  なお、お尋ねの、どうしてここに至らなかったかという最近の大きな原因といいますものは、若者たちが一台の車に乗って無謀運転をやるあるいはかたまって飲酒運転をやってガードレールにぶち当たって全員が死ぬというケースが昨年から多発をいたしておりまして、そういうことの累計が急増の大きな原因になっておるというふうに存じております。
  5. 新盛辰雄

    新盛委員 こうしてこの交通事故死傷者数減少率が停滞をしたというのは、いま長官お答えになっておられるように、確かにマナーが悪いあるいはまた無謀な運転というようなことで、年々実は減少どころか増大の方に入っている。しかし、こうした交通道徳、みずからの生命を失うこともあり、財産を失うという悲劇を毎年毎年繰り返しているという現状で、これだけの交通事故がどうしたら未然防止できるか。あらゆる施策が行われているとは思いますけれども、交通事故発生件数だとか負傷者数の近年の増加傾向、これは当委員会でもこれまで何回か議論がされておったわけですね。しかし、議論はされておりますが、行政仕組みに欠陥があるのか、あるいはまた今日までのいわゆる交通全般にわたる、今度第三次の交通安全基本計画をお立てになるわけですけれども、こうしたことに対して歯どめをかけること、それはただ漠としたことじゃなくて、何か交通安全対策上の問題として、中には交通安全庁でもつくったらどうか、まあ第二次臨時行政調査会が発足をして逆にこれを縮めようとする小さな政府という動きの中で、交通安全対策庁などというのをつくったらどうかという声も実は出てくるのですね。あるいは自動車安全法などつくって、もうどうしたって車社会なんだから、そういう抜本的な対策を立てる必要があるじゃないか。一面では総合交通政策を立てなさい、こういう議論もあるわけですが、これに対して長官、どうお考えになっておるか、また公安委員長としてもどういうように対策を講じておられるか、お伺いしたいと思うのです。
  6. 中山太郎

    中山国務大臣 先生も御指摘のとおり、車の保有台数が三千八百万台、免許保有者が四千三百万人と毎年二百万人ずつふえていくというこの姿は、まさに車社会日本全体が入り込んだ。その中で、ことしはちょうど国際障害者年にも当たりますので、交通事故による身体障害者手帳交付者は一体何人いるかということを実は総理府調査をいたしましたが、十万人いるわけです。昨年行いました百九十五万人対象の調査の中では、いわゆる後天的な身体障害者の中で四・五%が交通事故による身体障害者である。それも十四歳以上だということでございまして、子供たちの数を入れると計算ができないような姿に実はなっております。  こういう問題をとらえる一方、いままでの交通安全のやり方というものが歩行者中心であった、つまり信号灯さえつければいいのじゃないか、こういうふうな考え方行政が行われておりましたけれども、車社会に入りました日本におきましてとるべき政策としては、やはりドライバー安全教育をやるということが非常に必要な時代になってきた、こういうことで、今日まで比較的なおざりにされておりました運転者教育を徹底的にやる、しかも義務教育課程においてそれをヨーロッパのようにやらなければならないということに着目をいたしまして、二カ月前でございましたか、私、文部大臣に正式に会見を申し入れて、学校の教科の中にいわゆる運転者としての心がけというものを正規の教科に取り入れてほしい、こういうことを実は申し入れている最中でございまして、文部省でも検討をしていただいておると考えております。  なお、いわゆる新しい道路網整備あるいは本四架橋の計画、そういうものが国土庁やらいろいろな方面で出ております。こういう中で各地域においては車の流れが大きく変わってまいるという状況を踏まえまして、政府といたしましては、戦後初めて五月の二十八日、二十九日の二日間にわたって新しい車社会のための交通シンポジウム東京で開催し、全国各地から関係者担当官東京に集めます。また、自動車事故により障害を受けられた方、そういう身体障害者の方にも、みずからの経験に応じて御発言をいただく、あるいは残された遺族たちがどういうふうな生活を送っておられるか、そういう遺族の声も聞かしていただく。また、道路整備をどうやるか、こういうふうな問題について全体的な新しい社会のための具体的な政策というものをシンポジウムを通じて検討いたしまして、概算要求の時期までにできる限りの施策を立ててまいりたい、このように考えております。
  7. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 いま総務長官から申されたとおりでありますが、一言つけ加えますと、警察といたしましても最近の交通事故多発原因等について分析調査をいまいたしているわけでございます。そこから一つの結論を出して、その点についての重点的な施策及び実行を図っていきたいと考えているわけでありますが、結局交通安全施策整備、これは依然として重要でありますから、これについては最大の努力をし、今回もその予算措置を講じたところでございます。  もう一点はドライバー、いまも総務長官がお触れになりましたが、この問題がきわめて重要になってきておる。この教育の徹底、こういうようなことが従来以上に力点を置いていかなければならぬ問題であろうかと思っております。それから、あわせて取り締まり関係、これはやはり相当重要なウエートを占めておるものだと思いますので、ひとつ徹底的にやっていこう。それから、交通流れについてもいろいろ変動があるわけでございまするから、地域社会に対してあらかじめその問題についての心構えを徹底させるとか、あるいは取り締まりをさらに強めるとか、局地的な問題についても重点を置いてやっていかなければならぬだろう。そんなことを考えますと、新しい方法というものはなかなかむずかしい。そこで、従来ある施策というものを一段と徹底させるほかに、分析の結果を見まして弱点であるところを強化していくというようなことでこの事態に対応すべきものだろうと考えておるところでございます。
  8. 新盛辰雄

    新盛委員 総理府総務長官、何か次の参議院の予算委員会もあるそうで、ここでお引き取りをいただいてもいいと思うのですが、ただ一言確認しておきたいと思うのです。  おっしゃるとおり交通安全教育とか安全対策あるいは交通遺児遺族の救済、そうしたことを現場の意見を聞きたい。そうだとすれば労働者あるいは経営者あるいは市民、学者、そうした方々の広く意見を聞く、画期的なことだとは思うのですが、国が直轄をする交通安全対策委員会、そういうものをつくって、すべての交通総合政策を初めとして、安全教育の問題を含めましてやれないものかどうなんですか、お考えを聞かしていただきたいと思うのです。  また、先ほど私も申し上げましたが、もうこれまで四千三百万人の免許保有者もおる。これは乗用車にしましてもすでに二千万台を超えていますね。だからこれが五千万台というようなことになってきたときに、道路とかあるいは信号とかあるいは立体交差、その他いろいろな設備の問題も出てくるでしょうが、それを管理する、指導する、監督をする、そうしたものを扱う庁が要るのじゃないか、交通の総合的な対策という面で交通安全庁をつくったらどうかという声は出てくるわけですね。それはいまの第二次臨調の関係もございますから逆行するという話もありましょうが、それじゃなくて、もはやこういう新しい事態を迎えつつあるので、当面は交通安全対策委員会というのを発足させる気はないかどうか、御検討いただけるかどうかお聞かせをいただきたいと思うのです。
  9. 中山太郎

    中山国務大臣 行政管理庁の考え方行政機構を簡素化するという考え方が大きく基本に引いてございますが、先生指摘の点は、新しい社会に入っていく日本問題点でございます。私どもといたしましては、関係各省庁とこのシンポジウムを通じていろいろと意見を調整させていただいて、どのような形をとることが最も社会に必要であるかというふうなことで結論を急がしていただきたい、このように考えております。
  10. 新盛辰雄

    新盛委員 それでは、細部にわたって入りますので、どうぞよろしゅうございます。  警察庁お尋ねをしますが、最近の交通事故発生状況が年々悪化しておるという、いままでのお話のとおりであります。第一当事者違反別交通事故発生件数のうち、整備不良車両運転による事故状況というのはこの数年間どうなっていますか。
  11. 池田速雄

    池田政府委員 第一当事者整備不良車両運転によります交通事故の数でございますけれども、昨年五十五年は三百六十一件でございまして、全事故の中で占めます比率は〇・一%というふうになっております。経年で申しますと、五十年には七百九十五件でございまして、このときは構成率が〇二一%でございましたけれども、五十一年に六百八十七件〇・一%となりまして以来、ほぼ全事故の〇・一%という数字で推移してまいっております。
  12. 新盛辰雄

    新盛委員 ただいまの答弁自動車整備不良に起因する事故件数が前年比では若干増加しておるのですけれども、まあ年々減少しておる。それで五十二年度が〇・一%だとか、五十三年が〇・〇九六%あるいは五十四年が〇・〇七五、五十五年は変わらない、こういうことになっているようであります。  しかし、こうして減少している状況警察庁としては整備不良車両事故というのが率が減少しているというのはどういう傾向だとつかんでおられるのでしょうか。これはどうですか。
  13. 池田速雄

    池田政府委員 整備不良車両によります内容を見ますと、大多数がタイヤ関係が多いようでございまして、そのほかブレーキでございますとか、ハンドルあるいは灯火器、そういうものの整備不良を内容といたしております。こういった整備不良車両運転が少ないということは、いろいろな仕組みと申しますか、安全な車を運転するような仕組み自体の問題、それからドライバーマナーの問題そういうものも逐次よくなってきておる、そういう原因であろうかというふうに考えております。
  14. 新盛辰雄

    新盛委員 これは検査というのが、これから入ります車検の問題がそれに移り変わっていくわけでありますが、最近週刊現代だとかあるいはいまあそこに持ってきて言っておられるようですが、しきりと車両検査あり方について議論がされております。  当委員会では、特にこれはその面にわたる具体的な諸問題を提起をしながらユーザーの側に対しても、あるいは車両検査をしておられる運輸省陸運局、あるいはまた車両整備工場皆さんのこれからの生存権の問題等考えていかなければなりませんが、この車両検査の中で事故発生率が非常に低いということだけでいまおっしゃるような議論としては私は出てこないと思うのです。街頭検査で仮に運輸省検査官が立ち会った場合、これはすべて車両不備、いまタイヤの摩耗が多いとかおっしゃいましたが、これもやはり検査基準の中に入っておるわけですから、そういうものを確実に点検をし一斉検査をすれば、担当官であれば確実にそれを発見することができる。失礼ですけれども、警察官車両技術整備の知識があって警察に入ったわけではありませんから、街頭に出てごく常識的な検査基準に基づくものについては一応摘発することができましょうが、具体的な中の検査部分ですね、不備であったか良好であったかということをわかる判断としては、やはり検査官が、一定の資格を持った方々が出た方が率は逆に増加していくのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  15. 池田速雄

    池田政府委員 整備不良車両取り締まりにつきましては、警察街頭検査の際にこれを行うわけでございますけれども、警察官そのものの教養にももちろん努めておりますが、でき得る限り陸運当局の方にもお願いいたしまして、一緒になって取り締まりをやってもらっておる、こういうのが実情でございます。その結果、昨年一年間に整備不良車両として取り締まりました件数が十七万二千二百九十七件ございますが、こういった点につきましては、今後とも専門家であります陸運当局の協力を得ながら続けてまいりたいというふうに考えております。
  16. 新盛辰雄

    新盛委員 近年自動車技術が非常に発達をしておりますし、性能もきわめて優秀になっております。日本車両が一番いいから外国へどんどん持っていかれてまた自動車摩擦が起こるという状況でありますけれども、こういう実態の中で最近車検とか定期検査整備が大きなウエートを占めている。その占めていることが安全運行のためには当然である。  しかし、こうした自動車事故未然防止するという、この中でどうも附に落ちない、車検あり方というのはどうなんだという、これはユーザー側から見れば非常にイメージが悪いのですね。車両整備を行っている車両工場の方から見れば、もっと期間が欲しい、また運輸省検査官陸運局あたりにおられる皆さんから見れば、これは今日の行政が悪いんじゃないか、言うならば、台数はこんなに年々ふえているのですけれども、現実はこれを担当する国の検査官などのいわゆる要員というのはきわめて微増である。たとえば五十四年までの十五年間の国の車検台数約三百五十万台から約八百六十万台へほぼ二・五倍になった際に、こちらの検査要員はわずか八百二十四人から一千四十七人、わずか一・三倍、こういう状況であります。これで対応できるかどうかということも実は議論として出ているわけであります。  このことについて、車検あり方、また整備工場では車検整備料金定期検査整備料金、こうした金が二千ccの乗用車でもすぐ十二、三万取られるのですね。それも定期検査の二年検査をする際に出さなければいけない、もうまごう方なく出さなければいけない。これはどうなっているかということを言うのはあたりまえで、この辺の実態は、工場にもいろいろありましょうが、また車検期間昭和二十六年に一応つくられた道路運送車両法内容から、今度は三十七年ですか、改正されてつくられた、そういう経過はありますが、それから以降今日、車社会の中でほとんど構造が変わっている。だから、どういうふうにこれからの車検あり方考えていかなければならないのか、これは関係当局からひとつお答えいただきたいと思います。
  17. 宇野則義

    宇野説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘がございました自動車検査問題につきまして、私どもこれまで長い間にわたって、法律に基づいた検査実施してまいったわけでございますけれども、先ほど来話が出ておりますように、自動車運行安全性確保、それから自動車排出ガス中心にいたしました公害防止を図るために、検査という制度を使いましてその実を上げようという努力をしてまいったわけでございます。しかしながら、御承知のように、車が技術進歩とともに非常に改良されてまいってきております。したがいまして、現在これからの自動車検査及びその整備あり方についてどうあるべきかということの検討に入っておるわけでございますけれども、自動車性能が改善されました反面、公害防止装置あるいは安全対策のために自動車構造装置等が非常に高度化し、複雑化してまいった面がございます。それから一方、三千八百万台の車の中で俗にマイカーと言われております車が二千万台を超えるほどになっておりまして、使われ方も非常に多種多様な使われ方をするという状況にございます。したがいまして、そういうような技術の改善あるいは使用形態使用実態というものを踏まえながら、本来の目的であります安全性確保あるいは公害防止ということを前提にしつつ、新しい姿の検査整備あり方について検討しようということでございまして、二月二日に、運輸大臣諮問機関でございます運輸技術審議会に、この点につきまして将来あるべき姿を御検討、御審議大臣からお願いをし、現在作業に入っておるところでございます。
  18. 新盛辰雄

    新盛委員 運輸技術審議会が二月二日に開催されて、自後自動車検査整備あり方検討、手続、あるいは検査整備小委員会をつくるなど、これまでの諸問題について検討されるやの内容が明らかにされているようです。それは私も承知しております。それで、これはここで議論するからその結論を待ってということになるのでしょうが、そう悠長に待っておるわけにはいかぬのです。  昭和二十六年に道路運送車両法制定されて現行車検制度の基礎ができたのですね。その際は、最初車検期間はともに一年間でしたね。しかし、走行距離点検だったのですから、走行距離によってその点検の度合い、ファクターを求めていたわけです。ところが、三十七年にこの車検期間現行のいわゆる自家用車二年、営業車一年と決められたのですね。その決められた際に、走行距離点検というのを実は期間点検に変えたのですね。それはどういうことなんでしょう。現状に合わないのではないのですか。
  19. 宇野則義

    宇野説明員 お答えいたします。  先生いま御指摘のとおりでございまして、昭和二十六年に現在の道路運送車両法が新しく制定をされました。そのときにやはり整備という定期点検的な概念がございました。そのときは走行距離ベース点検をするという制度を創設しておったわけでございます。その理由といたしましては、当時は戦後の復興時代でございまして、トラックを中心車両数が非常にふえつつあったということ、それから、使用形態が非常に高速化するとか長距離化するという傾向が見られておった反面、車両老朽化あるいは整備不良による事故といったようなものが問題になってまいりまして、この法律をつくったわけでございますが、その当時約五十三万台ほどの車がございまして、貨物自動車それから営業用自動車というような事業の用に供されるものが主体になっておりました。したがいまして、走行距離管理ユーザーサイドで比較的やりやすかったということがございまして、現在のように使われ方の多様化という傾向はその当時は非常に少なかったわけでございます。したがいまして、車の傷み方は、時間とともに車の部品が傷むというものもございますけれども、そういうものも大体走行キロに置きかえられるということから、走行距離ベース整備という制度をとっておったわけでございます。  そこで、三十七年に法律を改正いたしまして、このときには期間の変更をやったわけでございますけれども、その翌年の三十八年に走行キロベース点検整備から期間ベース点検整備に変えたわけでございます。  その理由といたしましては、法律制定後十数年たちまして、自家用乗用車がだんだん普及をしてまいりました。二十六年当時はわずか八%ほどの占有率であったのですけれども、この当時でもうすでに二割近いマイカー普及が見られるようになってまいりました。その反面、このマイカーというものの使われ方が現在と同様に非常に多様化してまいりまして、走行距離等についても一般の個人的な管理が非常にむずかしくなってきたということがございまして、点検整備をより普及し、徹底させるためには期間ベースで平等にやった方がやりやすいだろうということから、走行キロベース点検整備期間ベース点検整備に変えた次第でございます。
  20. 新盛辰雄

    新盛委員 いままでの運輸省整備部長答弁を聞いておりますと、三十年前に制定された現行車検制度は当時の車両性能に合わせて設定されたというふうにその間を推則するのですが、こういう事態性能も機能もきわめてよくなった、品質も飛躍的に改良されているということから見て、車検期間を延長するのが至当なのか、徹底した車検制度を充実をするのが至当なのか、その判断はどうお考えですか。
  21. 宇野則義

    宇野説明員 お答え申し上げます。  冒頭にお答え申し上げたのですけれども、現在の検査期間マイカー中心に申し上げますと、自家用乗用車は二年になっております。これがかなり時間を経過しておるわけでございますが、二年に決めた当時の事情といまの事情とは内容的には変わっておりますが、先ほど来話が出ておりますように、現在の自家用乗用車が二千数百万台になるような普及を示してまいりました。その間、安全規制の強化、それから公害対策実施排ガス対策実施ということで、技術進歩と同時に車そのものも中身が変わってきておりまして、構造の複雑、高度化という問題、あるいは自家用乗用車で、走りの距離の非常に少ない車から非常に走る車まで使われ方が非常に広範にわたっております。さらには高速道路普及によりまして高速化といったような傾向も出ておりまして、従来決めた二年という検査期間については、別の意味で、問題があるということで現在そのまま残してまいったわけでございます。しかしながら、先生指摘のようにいまのままでいいのかどうか、それから整備の問題も絡めまして、これからのあるべき姿ということは当然検討する必要はあるだろうということで、先ほど申し上げました運輸技術審議会の中で、これは検査だけの問題でも片づかないと思います。やはり車の管理というものを常時やっていく必要は、社会的な責務としてあろうかと思いますので、そういう整備検査を一つのシステムとして物事を考えながら、これからのあるべき姿というものを検討してまいりたいというふうに考えております。
  22. 新盛辰雄

    新盛委員 それで、検査あり方についてもいろいろと問題があるのじゃないか。民間車検制度あるいは国で行う車検、そういうようなのがありますが、走行実態にそぐわない車検内容をいまでもおとりになっているところに問題があるように私は思うのです。  それは、実は高速時代に入ったのですね。道路はどんどん高速化しています。その安全性のチェックを現行保安基準で対象としているのはいかがなものかと思うのです。一例をとって言えば、これはもうすでにメーカーの方では百キロを超えるとチンチンと鳴るように仕掛けはなっているのですが、ほとんど百五十キロ、百八十キロという、走行キロあり方としてはごく常識であります。そういう中で、たとえばブレーキ検査は時速〇・二キロの超低速の状態で点検をするのですね。トラックのブレーキ検査も、これは荷物を積んだ状況の中でやるということにはなっていない。あるいはまたスピードメーターの誤差、これも四十キロどまりでやっている。あるいはまた高速走行状態の操縦性能とか走行性能検査では、こうしたことは一切行われていないわけであります。前照灯の検査を見ても、最近高速道路で外灯がすべて、夜でも明るくしてあるのですから、遠距離の、遠目のライトというのはある意味ではもう機能を果たしていない。田舎道を走れば別でありますけれども。それが現実は近目の点検というのは、いわゆる前照灯ですね、それは余り点検をしないで遠目の方だけを検査の基準に当てはめてしきりと見る。やはりこういうのが手直しされなければ手抜き検査になるのではないかという指摘を受けるのも当然だと思うのです。そういうことについて、技術の問題じゃなくていわゆる整備あり方点検検査あり方に問題がありはしないか。ただ運輸技術審議会にすべてをお任せしましたと言うけれども、行政で行う場合に先取りをしなければならないんじゃないか。そういうことについてはどういうふうにお考えですか。
  23. 宇野則義

    宇野説明員 お答えいたします。  私ども国が、運輸省実施しております自動車検査実施につきましては、法律に基づきました保安基準に適合しているかどうかということをチェックするわけでございますが、実際の作業は各都道府県にございます陸運事務所で実施いたしております。  具体的な話といたしまして申し上げますならば、機械を使った検査か何種類かございます。かじ取り車輪の並びぐあいを調べるサイドスリップテスター、あるいはブレーキの性能、制動能力を調べるためのブレーキテスター、それから排出ガスの一酸化炭素、炭化水素の濃度のチェック、前照灯の明るさあるいはその向きというものを調べるためのヘッドライトテスト、それから速度計の誤差を検査いたしますスピードメーターテスターというようなことで検査実施しております。そのほかに、機械を使わないんですけれども、検査官の技能といいますか、エンジンルームの中あるいは床下等の機器配置あるいは構造、装置につきまして、目視を中心にその状態を検査をいたしておるわけでございます。  この間、私どもも検査あり方につきまして行政的にもこれまで幾つかの改善をしてきております。と申しますのは、一方において検査の合理化という問題もございますが、機械の精度向上といったようなものを促進することによりまして、検査の精度を上げようということで現在ほぼ新しいシステムの検査機械が全国に行き渡ってきております。  しかしながら、先生いま御指摘ございましたように、テストの仕方あるいはそのテスト項目、こういうものが時代に合わなければいかぬのじゃないかというお話をいまいただいたわけでございますけれども、私ども行政的にすぐできるものはそれなりにやってまいりたいと思いますし、先取りというお話がございましたけれども、将来いかにあるべきかということは、やはりかなり慎重といいますか、十分な議論を尽くしてから方向を見きわめていきたいというふうに考えております。  なお、国の検査に付随いたしまして、現在指定自動車整備事業制度といういわゆる民間車検制度をとっておりまして、その指定工場の中の検査あり方というものも当然これは直接的に関連をしてまいります。したがいまして、そういう整備工場あり方というものも踏まえた上で、いま御指摘のような項目について今後十分検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  24. 新盛辰雄

    新盛委員 欧米には車検のない国や州があります。その実態や、あるいはなぜそうなっているかということは把握をしておられると思いますが、簡単に説明いただきたいと思います。
  25. 宇野則義

    宇野説明員 お答えいたします。  自動車検査につきましての諸外国の例でございますが、欧米自動車先進国を中心にいたしまして私どもがいま把握しております国々では、ほとんどの国は実施をいたしております。ただアメリカのように、国全体でなくて州単位でこの検査実施しているところがございまして、アメリカは、具体的に申し上げますと五十州一特別区あるわけでございますけれども、現在私どもでつかんでおります検査実施をしているところは四十四州でございまして、残る七州は全然実施をしてないという実態はございます。  ただ、諸外国の検査実施の経緯等を調べてみますと、やはり自動車安全性確保ということと、それから公害防止という、排出ガス検査実施しておるところが非常に多うございまして、特にヨーロッパにおきましてはこれからその制度が拡充強化されようという傾向にあるわけでございます。  それから発展途上国におきましては、検査実施しておるところと実施してないところと、さらにはこれから実施をしようというところと、三種類あるわけでございますが、最近の事例で申し上げますならば、サウジアラビアは現在検査実施いたしておりませんけれども、つい先般もサウジアラビアの当局の担当者が私どもの運輸省の方に参りまして、これから検査実施し、安全基準をつくりたいんだけれども、ひとつ御指導いただけないかというようなことで申し入れのあった事例もございます。
  26. 新盛辰雄

    新盛委員 時間がありませんので先を急ぎますが、結果的には、いま車検問題が世間の大きな話題になっているというのは、行政あり方についての指摘もあります。そして特にユーザーの側から見ますと、車検を行う場合にいわゆる小型自動車乗用車二千ccを例にとってみますと、車検整備料金が五万五千円から六万五千円ですよ。自動車重量税が三万七千八百円です。これは二年ごとに来ます。そして自賠責保険が三万二千六百五十円、これは二十四カ月。そして検査手数料は千二百円、これは指定整備の場合は七百円になっています。ところが、これを車検のたびごとに出すわけですね。そうしますと、結局どうしてこんな車検を——どこを検査したのかわからない、乗った途端に何か車輪が外れてしまったとかというのに、なぜこんなに金を使うのだという疑問を持ってくるユーザーは、これは当然だと思うのです。たとえば車検整備料金が、これは東京の例でも数字の上で明らかなんですが、車検整備料金現状の中で、二千ccで六万九千円から十四万四千円、こっちは六カ月の定期点検の場合でも一万二千円から四万二千円、こんなに差があるのですね。こういうのは何とかなりませんか。自賠責の方とかあるいは自動車重量税というのは公の国の政策の問題もありますけれども、こういうものをすべて合わせて、車検となると一つの恐怖感が出てくる。金を大変たくさん払わなければいけない。だから車検はなくしてくれという声が出ているのですね。なお運輸省はかねがね車の点検というのは、ユーザー自身が自己の責任において、自覚において——アメリカのようにいわゆる自己の車両管理をきちっとしなければ、もし一たん事故を起こしたら大変なことになる。それに対する責任追及とか賠責とか、あるいはすべての面で徹底的に追及されるから、みずからを防衛するために、車検制度がなくても車検を受けられる一つの、何といいますか道徳というか、そういうものに切りかわっているのですね。だから運輸省も、やがてはそういうふうにした方がいいんじゃないかという論理をこれまで展開しておられたのですが、これからはどうなんですか、その辺は。
  27. 宇野則義

    宇野説明員 お答えいたします。  もう先生十分御認識のように、自動車安全性を維持するためには、使用期間中絶えず車の管理をしつつ、その性能維持に努めるということが必要でございます。しかしながら、車自体は高速で走行するものでございますし、その安全運行確保するために、その使用状況に応じて生じてまいりますところの部品の摩耗だとか劣化だとか、あるいはひずみといったようなものを適切な時期に点検整備をするということが必要になってこようかと思います。そういうことから、自動車を使われておりますユーザーの方に点検整備をしていただくということが法律で決められておるところでございます。  一方、車検という、国が実施しております車検制度につきましては、これらのユーザー方々点検整備というものを前提としておるわけでございますけれども、その使用する車両が安全基準、保安基準に適合しているかどうかということを一定の時期に確認するということになっておるわけでございまして、そのユーザー方々点検整備ということと、国の検査というものが相まって、自動車の安全の確保を図るシステムになっておるわけでございます。残念ながら、現状はまだそのユーザー方々点検整備が一〇〇%十分に行われてないという状況が一つございますし、また国が検査をしておるその実績から見まして、現在でも絶対数で言いまして百万台を超える車両検査の際に不合格というような結果になっておるわけでございます。  したがいまして、これからの交通事故防止あるいは公害対策というものを考えますと、現在の状況では、まだこの車検制度というものは保安、公害防止上必要不可欠なものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  28. 新盛辰雄

    新盛委員 車検の問題について次の問題について要望しておきますから、お答えはまた別途機会を見ていただいて、議論をしたいと思うのです。  こうして、抜本的な対策をもう立てなければならない時期に来た。とするならば道路運送車両法の抜本的な改正も必要になったんじゃないか。そういう中で、運輸省のこの検査官を有効に活用すべきだ。台数がふえて検査官は微増という状況では大変これは問題があるんじゃないか。また国民の安全交通権の確保に重点を置いた自動車安全法というようなものをつくる必要があるんじゃないか。いたずらに行管の行政の経費の節減だと称して、こういう部面でいわゆる自動車社会の中で特に車検期間の延長の諸問題も出ている最近でありますから、そうした問題についてやはりこの基本的なものを、いわゆるユーザー側の自覚、責任、そうしたことにおいてどうするのかというこの抜本的な問題も検討する必要があるだろう。  さらに、手抜き車検防止の中で、いまの民間の車検制度、これは工場がたくさんありますが、それを一挙につぶすという形になったら大変なことであります。だけれども、この整備あり方については、先ほど紹介したように非常に料金が違う。そういう面では過当競争という状況が生まれているんじゃないか。その辺にもメスを入れる必要があるんじゃないか。そして国の代行車検機関として有効な機能を生かし得るように、ぜひこの指定基準を再度練り直して、これからの自動車整備あるいは車検あるいは走行に対する諸問題の解決に当たってほしい、これは強く要望申し上げておきます。  次に、所信表明総務長官の方からもありました、交通の安全は国民福祉の根幹であるという認識のもとに、私どもとしても一層着実に事故防止しなければならない、少なくとも死傷者を出すようなことのないように総合交通政策というのを強力に進める必要があるということについては同感であります。しかし陸上交通の全般にわたって、まあ海だとか空の交通安全行政においては調整機能として最近特に航空政策の見直しが叫ばれております。これは大型ジェット機化あるいは国際線、国内線、それに伴う輸送圏の問題や幹線とは何かあるいは支線とは何か、こういうようなことにおける問題がいろいろと出ております。中距離輸送を含めた航空政策について長官の御見解をまずいただきたいのであります。
  29. 中山太郎

    中山国務大臣 海空の安全対策というものはもちろん重要でございます。総理府が預かっております交通安全対策室の所掌事務というものの中には一つの取り決めがございまして、一々申し上げて大変失礼でございますけれども、「各行政機関の交通の安全に関する事務の連絡に関すること。」「他の行政機関の所掌に属しない事務のうち交通の安全に関するものを調査し、企画し、及び立案すること。」それから「各行政機関の陸上交通の安全に関する施策及び事務の総合調整に関すること。」「中央交通安全対策会議の庶務に関すること。」「前各号に掲げるもののほか、交通安全対策基本法の施行に関すること。」こうなっておりまして、かつて起こりました航空自衛隊と全日空の衝突事故のような場合には、所管の官庁との調整事務というようなことで安全対策の本部を作業させたことはございますけれども、現状のままではそれぞれ運輸省がその所管の省として安全もつかさどっておる、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
  30. 新盛辰雄

    新盛委員 次に、航空憲法と呼ばれておりますこの事業分野のことであります。  昭和四十五年の閣議了解事項そしてまた四十七年の大臣通達で、もうすでに十年を経過しております。これはもう歴史的経過もございますし、これから新しい需要とニーズにしたえるべき航空企業の体質も若干変わってきたのじゃないかと思うのです。そういう中で、いつまでも大臣通達でこの航空分野の取り扱いをこのまま継続してやっていかれるのかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  31. 多田稔

    ○多田(稔)政府委員 お話のように、昭和四十五年に閣議了解がなされまして御指摘のとおり十年たっておりますが、この間航空輸送の大衆化が進展をするとか、それから地方空港の国際化といったような新しい事態がいろいろ出ております。しかし一方におきましては、たとえば羽田であるとかあるいは成田であるとかあるいは大阪の空港であるとか、そういったような空港の事情は依然として制約された状態にございます。また、最近航空関係では燃料費のコストアップ、これが非常に大きく影響しておりますが、さらに旅客需要が低迷する等、これまで過去十数年間航空関係は非常に目覚ましい発展を遂げたわけでございますけれども、今後の見通しになりますといろいろむずかしい問題がまだございます。  そこで、御指摘のように四十五年の閣議了解であるとかあるいは四十七年の運輸大臣達といったような航空企業の運営体制について見直しをすべきではないか、こういうようなお話がございました。今後私ども、将来の輸送需要の見通しであるとかあるいは空港の整備の進捗状況、そういったものを見ながらいろいろ検討したいと考えておりますが、現在直ちにこれを変更するほどの事情にはないのではないか、このように考えております。
  32. 新盛辰雄

    新盛委員 国際空港化が非常に進んでおりますし、空港整備はそれに基づいて充実をされつつあります。交通行政はほとんどもう見直しをする時期に来ていると私は思っているのです。  その一例として、これも非常に長い懸案の問題でありますが、成田から鹿児島−香港などのように国内の空港を経由する国際線、そうして国内区間の空席、フィル・アップ・ライトと言っておりますが、そういうことによっていま省エネ時代にジェット燃料を空噴きさせているようなむだをいつまでもおやりになるのですか。それは日航、全日空の関係における国際線あるいは国内線、事業分野ですね、これはいまの四十七年の大臣通達であるわけですが、そういう中でもはや空港利用の面で、たとえば鹿児島空港あたりでは国際線も確実に五百人乗りの大型ジェットが着陸し離陸するのですから、そういう面を考えていきますとこの空席活用制度というのはもう現実の問題になったのじゃないか。それは全日空さんの言い方もよくわかります。日航さんのおっしゃることもよくわかりまず。しかしそういう調整を事業分野あるいは国際線、国内線、国内線の場合の幹線だとか支線だとか、何か知らぬけれどもそういう決め方がされているわけでありますが、これはもう前々からの問題として、また地方の方からも強い要望事項として問題が提起されているわけであります。こういうふうに私どもの鹿児島の地元からも出てきているのでありますが、もうそろそろ決断をすべき時期ではないか、お聞かせいただきたい。
  33. 多田稔

    ○多田(稔)政府委員 日本航空がたとえば成田空港から鹿児島空港、さらに香港あるいはシンガポール、そういったところに国際線が飛んでおりますが、そのうち成田から鹿児島までの間は比較的すいてございます。そこで、そのあいている席を利用しそこに国内線のお客さんを乗せたらどうか、こういうお話でございます。  私ども、先生の御指摘のようにかなり前からいろいろ検討してまいりました。大きく申しまして三点問題がございます。  一つは、日本航空株式会社法によりまして、日本航空は「国際路線及び国内幹線における定期航空運送業並びにこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とする。」とございまして、国内幹線をすると書いてございます。そこで鹿児島−成田間が一体国内幹線であろうかという問題が、法律上の第一点でございます。  その次に第二点は、事業分野あるいは輸送力調整の問題でございます。先ほどの四十五年の閣議了解あるいは四十七年の大臣通達等によりまして、日本航空は国際線及び国内幹線を行う会社というふうに規定されておりますが、これを動かすということは、これまで過去十数年間比較的航空界の発展に貢献したと考えられております事業分野にいろいろ変更を加えるということになります。この点が第二点の問題でございます。  もう一つの点はCIQの問題でございます。もし成田と鹿児島の間に、国際線のお客さんと同時に国内線のお客さんが両方乗り込んだときに、一体それをどういうふうに取り扱うか。私どもCIQと申しておりますが、税関なりあるいは入管の手続を終えた人と終えていない人とが一緒に乗り込んで、そこで、たとえばまだ関税を払っていない外国輸入品等が国内線のお客さんに渡された場合に、一体どういうふうにそれを処理したらいいかとか、そういったいろいろむずかしい問題がございまして、実はこれまで長いこと検討しておりましたが、いまだに解決がついておりません。  私どもでは現在これを、運輸大臣の私的懇談会でございます航空政策懇談会というのがございますが、ここで有識者の御意見を徴しながらこの問題につきまして結論を得たい、そういうふうに考えております。
  34. 新盛辰雄

    新盛委員 もう時間がありませんのでやめますが、いつごろまでにその結論は出ますか。
  35. 多田稔

    ○多田(稔)政府委員 この懇談会は、昨年の九月に開きましてこれまで六回開かれております。私どもでも近くこれを開きたいと思っておりますが、現在まだいろいろむずかしい問題がございますので、この方々の御意見を伺いながら結論を得たいと考えております。
  36. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、草川昭三君。
  37. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  まず総務長官の方にお伺いをいたしますが、今年度をもって第二次交通安全基本計画が終了をして、新しく第三次交通安全基本計画が策定をされ、これが実施をされる方向にあると思うのですが、その基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。
  38. 中山太郎

    中山国務大臣 今回始まります第三次交通安全基本計画は、昭和六十年までに年間の死者を八千人に抑えるということを最大の目標といたしまして、交通安全のための長期的な予測というものを踏まえて、これからの新しい車社会のための総合的な交通政策の樹立に向かいたいと考えております。
  39. 草川昭三

    ○草川委員 いま八千人に抑えるという一つの方向がおっしゃられたわけでございますが、最近の交通事故の発生件数の推移を見ますと必ずしも達成されそうにありません。死亡者数の半減ということが一つの大きな目標になっておるわけでございますが、それが達成されない最大の原因はいかがなものか、何が原因か、お伺いしたいと思います。
  40. 中山太郎

    中山国務大臣 大都市における交通対策というものが一番最初に始まったのは、交通信号灯の設置をやるということが各県の公安委員会中心に行われたことで、それから横断歩道を高架に上げる、こういうふうなことをずいぶん都市政策としてやってきたわけでございます。それで、昭和四十五年の一万六千人近い死者が本年八千七百人ばかりまでおりてきたのですが、目的値より少し高いというところは、歩行者のための政策を一応ここでドライバーに切りかえるかという一つの転換点に達したのではないか。そういう観点から、この死者の問題に関しましても私ども総理府交通安全対策室としては重大な関心を持って、やはり西欧並みに学校の正規の教科で、自動車運転する人間が車社会で心得るべき事柄を教育するということが、運転免許四千三百万人、自動車台数三千八百万台の現実の日本社会でのきわめて必要な、また急いで手を打たなければならない作業として、いま文部省と交渉しておる最中でございます。
  41. 草川昭三

    ○草川委員 いま学校の正規の教育というのですか、これを重点的に取り上げることが必要だとおっしゃられたのですが、その方向は私どもも大変賛成でございまして、ぜひその旨をやっていただきたいのです。  きょうは実はそのことに関連をいたしまして、ドライバーの方の教習所のいわゆる学科教育というのでしょうか、あるいはテストの点が果たしていかがなものか、いまの趣旨に応ずる形でやられておるかどうかということをちょっと私ども取り上げさせていただきたいと思うのです。  自動車は現代科学の粋でございますし、いま日本の車は非常にいい車になってきておるわけでございますが、問題は、運転をする技術だけではなくて、いわゆるドライバーの本当の注意義務だとかマナーだとか道徳というものを学校でも、まず義務教育の段階でも教えると同時に、教習所で少しそのトレーニングの時間を長くとるべきじゃないかと思うのです。それが事故の発生を、ポテンシャルというものをとめることになるのじゃないかと思うのです。私ども運転免許の学科試験をずっと集めて、これは政府委員の方からもいただいてきたわけでございますけれども、出題傾向を見ますと、かなりパズルメントというのですか、パズル的なところが多いわけです。私の知っておる教習所の先生なんかにも聞きますと、全国でたくさんの学校があるわけでございますから、後でその数だとかいろいろなことを聞きますけれども、自分のところで勉強した生徒の合格率を高めるためにどうしても丸印、ペケ印の暗記の、記憶のための時間が一〇〇%だと言うのですよ。先生には交通警察官上がりの方も見えますし、それからかなり訓練をした方も見えるので、本当はこういう事故の場合があるからこういうようにしなければいかぬよとか、その時間帯をたくさんとりたいと言うんです。しかし、その時間をとると丸印、ペケ印の合格テストからどうしても外れるので実は問題があるのだ、悩みがあるのだということがあるわけです。きょうはそれを少し具体的に一回取り上げてみたいと思うのですが、私の言うことはいやがらせでなくて、本当に公安委員長にぼくがいま言うことをどうだと聞いたら常識的な意味で打率は半分いかぬですよ。そんないやがらせ質問をしませんからいいですけれども。総務長官に聞いたっていいと思うのですよ。この質問についてどうお考えになるかと言うと、ものすごく考えなければいかぬ点がある。いわゆるひっかけ質問というのがかなりあるのですね。  おもしろいのもあるんです。自動二輪の点なんかも、こういう言い方があります。自動二輪車の前輪のがたは後輪のがたより危険度が大きいというわけですね、オートバイの場合。だが実際はそんな車に乗るわけはないのです。前のがたと後ろのがた、そんなのはどっちだっていいわけですよ、がたがきている車に乗らなければいいわけですから。常識というのはそういうものでしょう。それを前輪のがたは後輪のがたより危ないとか、そんなことは考える必要はないでしょう。そんな要らぬことを考える暇があるなら危ない車に乗るな、これでどうなんでしょうね。まずその基本的なことについてお伺いしたいと思います。
  42. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 どうもそのとおりだろうと思います。
  43. 草川昭三

    ○草川委員 そのとおりだとおっしゃっていただきますと次の質問がなくなってしまうわけですから、一応用意しておる質問は全部出していかないといかぬわけでございます。  公安委員会がせっかく認定したわけですから、学科試験がその認定した学校で合格すればいいじゃないか、県の公安委員会でやる検査というのは適性検査だけでいいのではないだろうか、これがかえって行政上も簡素化になるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  44. 池田速雄

    池田政府委員 御指摘の点は、学科試験は現在公安委員会がやっておりますけれども、その試験に合格するための教育というものに教習所では偏りかちでなかろうか、こういうことでございますので、まず前段といたしましての公安委員会がやります学科試験の内容につきましては、これまでもいろいろな検討を加えているところでございますけれども、今後ともなお改善には努力してまいりたいという基本方針を持っております。  第二の御質問の、教習所で学科をやればそれで十分じゃないか、あるいは効率化が図られるのではなかろうか、こういう御指摘でございますけれども、試験の管理という点から申しますと、実は試験場でやる方が試験といたしましては大変効率的なわけでございますが、教習所の方では、先ほど御指摘のように学科を学科として教える、あるいは技能の段階では技能だけを教えるということでなくて、学科につきましては学科として教場で教えられるものを教え、さらに技能を教える場合でも、ただ機械の操作ということだけでなくて、実際にこういう場合には現実の交通の場ではこういうことがあるんだからこうした方がいいんじゃないかというようなことも含めて教えるような指導というものを御趣旨を十分体しまして私どもやってまいりたいというふうに考えます。     〔委員長退席、水平委員長代理着席〕
  45. 草川昭三

    ○草川委員 もう一回私が申し上げますのは、公認をした学校でなぜ運転免許試験の学科試験がやれないのか。実は、公安委員会の認定になるには、学校長とか教習の職員について一定の経験者というので、大体警察の署長さん上がりの方がたくさん入ってみえるわけですよ。ですから、そういう指導員というものがいたり管理者というものがいるから、それで私はいいのじゃないだろうか、こう思うのですが、ひとつこの指定教習所にどのような管理者が入っているのか、それはパーセントはどの程度か、お伺いしたいと思います。
  46. 池田速雄

    池田政府委員 管理者につきましては、全国で千四百三十人でございますが、そのうち何らかの形で交通警察等の経験者が千百八十九名、八三%の構成率になっております。
  47. 草川昭三

    ○草川委員 いま申し上げましたように、全国で指定教習所の数というのが昭和五十五年で千四百三十です。いまおっしゃられましたように、管理人は当然千四百三十人いなければいかぬわけですが、そのうちの八三%はまず警察の署長さんなりそれに近い方々がお見えになるわけで、八三%いるわけですから、これはもう公安委員会そのものなんですよ。だから、別に信用できないということではないと思うのですね。だったら合理化という面でも——私ともも免許の書きかえに行きますけれども、大変な数ですよ、これは。特にもう夏場なんというのは大変な混雑で、戦争のような状況なんでございますが、行政改革上からいっても、私はこの指定教習所の中で運転免許試験等は代替しても信用ができるものだと思うのですが、もう一回その点について、方向についてお答え願いたいと思うのです。
  48. 池田速雄

    池田政府委員 国の、免許を与えますについての制度あり方ということになろうかと思いますけれども、現在の段階では、私どもの方では、学科試験は公安委員会の方で十分行える体制にあるし、特に試験を受けられる方の便宜という点から考えても適当なんじゃなかろうか。ただ、技能につきましては、御指摘にもありましたとおり、確かに形式的な処理だけで済まない点もございますので、十分見きわめ的な意味を含めまして、指定教習所で十分教育していただきました方につきましては試験免除、こういう形でおりますので、現在のところ、いまの制度に改変を加える考えは持っておりません。
  49. 草川昭三

    ○草川委員 私は、きょうは時間がありませんからそう何回も申し上げませんけれども、この見直しということ、あるいは指定教習所のあり方等についての今後の改善はぜひ考えていただきたいと思うのです。  そこで、いま一度現在の学科試験の出題傾向でございますが、警察庁の方としては、学科試験の出題内容について、これは私資料をいただいておるわけでございます。昭和四十七年に出ておる一つの態度でございましょうが、「問題の難易」ということについて「運転者として必要にして十分なむずかしさであることを基本とし、おおむね例題に示す程度とする。」ということで、例題がたしか千五百ですか、あるわけです。それを各都道府県でいろいろと組み合わせをしてやるわけでございますが、また同じこの昭和五十年に出ておる指導で、第二種免許の出題要領では、「問題作成の基準は、あくまでもこの例題を参考にして、」千五百を参考にして、ひっかけ問題あるいは解答が正とも誤りとも受け取れるような問題を出してはいけない、あるいはことさら難解な問題等を出さないように留意をしろという一定の配慮があるわけですね。これは私はそのとおり非常にりっぱな指導だと思うのです。ところが、先ほど言いましたように、非常に問題もあるわけでございます。  たとえば「目の見えない人は、」視覚障害者のことですが、「必らず盲導犬を連れて歩くことになっている。」という質問があるわけです。これはもちろん私は非常に重要な問題だと思うのですが、盲導犬というのは、御存じのとおり、いま全国でわずか二百頭から二百五十頭くらいしかないのですよ。一頭を育てますのに二百万円から二百五十万円かかるわけでございまして、国からも助成金が出ておる。昨年の道交法の改正でようやくこの問題が認知をされた形になっておるので、私どもは非常にうれしいと思うのですが、一般の方々に、「目の見えない人は、必らず盲導犬を連れて歩くことになっている。」なんということはあり得ないわけですから、こういう出題も私は、出題をする人自身か、今日の視覚障害者——特にことしは国際障害者年でありますから、「盲導犬を連れて歩くことになっている。」と言えば、ああ、そういうことかなと思う人がおるかもわからぬと思いますね。それは全く次元の違う話ではございますけれども、その配慮が出題者に足らぬと思うのですよ。これは特に昔からの出題じゃありません、去年から出てきた新しい出題ですから、こういう点も私はぜひ反省をしていただきたい、こう思うのです。     〔水平委員長代理退席、委員長着席〕  細かい点を申し上げるわけじゃございませんけれども、同じような点でございます。たとえば「大地震の警戒宣言が発せられたときには、一般車両道路の左側に寄って停止する。」という出題があるわけです。これは正解はペケなんですよ。あたりまえでしょう。大地震があるときに、一々左にとまって、どうするかなんて、そんなのんびりとした問題じゃないわけです。特別なものを出すと、大地震があったときにはと言ったって、運転手は大地震があるかないかということをどう判断するかという問題があります。それはもう本能的にとめて待避をするとか、いろんな処置をしなければならないという例もあるわけでございまして、言えば切りがないくらいの点があるので、この運転免許の学科試験はぜひ常識的なものにしておいて、学校では本当にマナーだとか、あるいは予知できない点について、とっさの場合どうしたらいいのかという具体的な指導をする公安委員会では、事故率が少ないとさえ言われておるわけです。これは労働省のある労災担当の人が別の意味でテストをやっておりましたら、そこの都道府県における公安委員会の出題傾向によって、労働災害の対応の仕方も違うという経験を申した方がいるんですよ。  だから、私が何回か申し上げますように、とにかく大学の入学試験と違うわけですから、はねのけるというやり方ではなくて、あくまでも常識をテストしていく、これを原則にしていただいて、豊かな経験を持った交通警察官上がりの方が見えるわけですから、いろんな事例研究をやる。こういう場合はこういう事例があるということを長時間にわたって学校で教育をする。そのことが私は災害多発を防ぐことになると思いますし、できたら学校でそういう映画の上映をするとか、それをやるようにすればずいぶん変わると思うんで、その点について、時間が来たようでございますから、最後に国家公安委員長から見解を賜って、終わりたいと思います。
  50. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 お話の点を承っておりますと、まことにごもっともでございまして、そういう方向が一つの方向じゃなかろうかという感じを深くいたしたところでございます。現在行われておりまする制度に、そういう方向をどういうふうに取り入れるかということについては、ひとつ内部的によく検討してみたいと思います。
  51. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  52. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、玉置一弥君。
  53. 玉置一弥

    ○玉置委員 特に交通事故対策で最近いろいろな面がかなり整備をされてきたように思いますし、また世間一般で交通安全という面に対して、自治会活動であるとか育友会活動、いろいろな組織の中で組織活動としての取り組みがなされているというお話も聞いておりますけれども、しかし残念なことに昨年は十年ぶりに死傷者が増加をしてきたという結果が出ております。現在運転免許を保有されておる方が、四千三百万くらいですか、かなりおられる。車の保有台数も四千万に近い数字になってきております。  そこで、第二次交通安全施設等整備事業五カ年計画というものが実施されておりますけれども、それと第三次と絡み合わせてお話をお伺いしたい、かように思います。  まず、国家公安委員長にお伺いをいたしますけれども、昭和六十年までに交通事故による死傷者を八千人以下に抑えるというお話をされておりまして、さらに効率的で安定した都市交通確保等、良好な交通環境の整備を図ることを目標とすると述べておられますけれども、最近、都市の再開発とか、あるいは陸上特会の動きにもございましたように、都市近辺の交通整備というものをかなり重視されておられます。そういう中で、まず、第三次交通安全施設等整備事業五カ年計画という内容について、一応具体的な中身とそれに当たっての決意というものをお伺いいたしたいと思います。
  54. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 第三次計画の中身につきましては、政府委員の方から詳細に申し上げます。  どうしても、いまの六十年に八千人の死者、これを下回りたいということで、警察当局といたしましては監督の問題、指導の問題、整備の問題運転者マナーの一層の充実という点に力点を置きましてこの目的を達成したい、こういう決意を持ってこれから当たってまいるつもりでありますが、その内容につきましては政府委員の方からお答えをいたさせます。
  55. 池田速雄

    池田政府委員 第三次の交通安全施設等整備事業五カ年計画を策定いたします場合の基本方針といたしましては、四点ほど掲げておりますが、第一は、都市部及びその周辺におきます交通事故防止交通の円滑化を図りますために、現在六十ほどできております交通管制センターを新たに十五ほど増設いたしますほか、既設センターの整備拡充を行うことといたしております。  二番目は、信号機の感応化、系統化の推進あるいは歩行者用灯器の増設等によりまして信号機の高度化を図ること。また、きめ細かい交通規制、適切な交通情報の提供を行うための路側の可変標識の導入でございますとか、道路交通情報提供施設の整備を図ることといたしておるわけでございます。  三番目が、通学路、新規供用道路、歩行者横断の多い道路等におきます交通事故防止しますために信号機を約二万七百基新設することといたしております。なお、新設の信号機は交通状況に対応できる多段化のものにいたしたいということで計画いたしておるわけでございます。  四番目が、道路標識、道路標示その他の交通安全施設の一層の整備拡充を図ることといたしておるわけでございますが、若干内容を詳しく申し上げますと、たとえば信号機の高度化を図ることによりまして、車の流れもスムーズにし、公害のない交通環境をつくるといったような点を挙げましたけれども、現在交通管制センターの中で制御できます信号機、地域制御と申しておりますが、そういう信号機でございますとか、個々の信号機につきまして感応式あるいは路線自動感応あるいは多段系統、こういったような交通流れに応じて操作のできます信号機が、合わせますと現在では四万三千基ほどございまして、全信号機の四三%程度でございますけれども、これを六十年度末には、合わせますと六万二千基ぐらい、約五一%程度にまでそういった高度化を図るということをいたしております。それから新設いたします信号機の中で六千基はいわゆる押しボタン式の歩行者用の信号機でございます。このことによりまして、現在信号機のない横断歩道が大変多いわけでございますけれども、これを大体半分程度にまでいたしたい、こういうようなことも考えておるわけでございます。
  56. 玉置一弥

    ○玉置委員 大変お金のかかるような話ばかりでございまして、たとえば現在交通渋滞をしている中を走っていますと、込んでいる最先端へ行きましても何で込んでいるのかわからない、そういうことがあります。たとえば事故があるとか障害物があるとかいうことであればよくわかるのですけれども、通過してみると何で込んでいたのかなということがあるわけです。  そこで思いますのは、いま感応式信号機というお話がございましたけれども、確かに交差点の地形というものもありますし、要するに縦と横の交通量の差と信号機のタイミングが合わないということもあるわけで、感応式にすればある程度は解消できると思いますけれども、ただ、いまの財政状況から考えてようやく半分ぐらいにまでかわっていくその時期がかなり先になる。そういうところで、特に混雑地域状況について再度調査をいただきまして、いまの信号機のタクトが本当にそこの交通事情実態に合っているかどうか、こういうことをぜひ確認していただいて、それに合った方向にそれぞれの信号機のタクトを変えていけばお金をかけないで交通混雑の解消ができるのではないか、かように思うわけです。それと、建設省の方は来ておちれないと思いますけれども、地理的にといいますか、交差点が非常に狭い、同じ広さである。そこへ右に左に曲がる車があるということで、片方は横断歩行者待ち、片方は直進車待ち、両方から車線が大変しぼられます。それの方が信号機よりはお金がかかると思いますけれども、いわゆる角を取るあるいは待避車線、こういうものを設ける。この方が追突防止にもなるし、待つ方も非常に安心していられる、歩行者にとっても急激に曲がってくる車がないということでさらに交通安全か徹底されるのではないか、そのように思うわけです。  そこで、非常に簡単でございますけれども、いまの信号機のタクトについて再度調査願えるかどうか、そしてできれば近くの交番所の方に、ある時期、時間帯によっても変わってくると思うので、その時間によって調整をしていただくような作業ができるか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  57. 池田速雄

    池田政府委員 信号機の適切な運用につきましては、私どもも常日ごろ心がけておるところでございますけれども、さらにスムーズになるように、改めてまた、御指摘がございましたので、検討して改善策を講じてまいりたいと思います。  ただ、問題は、大きな地域でございますと、先ほど申し上げました交通管制センターのエリアの区域でございますと、その地点の交通のスムーズということとあわせまして、全体ということを考えて運用いたします。したがいまして、現在では逆の反省といたしまして、全体としては比較的スムーズですけれども、渋滞その他が場所的に拡散してしまって、個々の交差点で見ますと、大変不必要なぐらい渋滞しているのではなかろうかという御指摘もございますので、片一方ではそういう見直しもしたい。それから、そこまで参りませんで、管制エリアの狭い地域、あるいは管制エリア外で路線感応的なところにつきましては、その部分はいいけれども、その周辺が大変に込んでいるのではないかというような御指摘もありますので、両方の面から考えまして、それのある程度の整序といいますか序列づけはしなければいかぬわけでございますけれども、その辺も考えまして、十分検討してまいりたいと思います。  なお、それから私ども考えておりますのは、この管制センター等では車の方は感応できて対応ができるわけですけれども、歩行者の交通量につきましては、実はなかなかカウントしにくいというのが現状でございます。特に駅前等あるいは地下鉄の駅等につきましては、時間帯によりましても大変歩行者の方の交通量が違います。そういうものとの組み合わせをどうするかというところでも苦労しておるわけでございますけれども、歩行者の優先ということも考えながら、車もスムーズに流すというような、総合的な配慮を加えまして、ぜひ御指摘のとおり検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  58. 玉置一弥

    ○玉置委員 特に、多摩川近辺あるいは荒川近辺の、要するに川に沿って来る車が、川を横切る道に入りにくいとか、そういう状況があるわけです。具体的に言うとそういうことなんですけれども、大体大都市近辺には必ず川がありまして、そういう状況が各地で見受けられるわけです。まず、お金をかけないでいかにできるかということを考えていただくのが行財政改革の精神ではないか、そのように考えますので、確かに地域制御というものができれば本当にスムーズになると思うんですね。そういう面では期待をしておりますけれども、とりあえず、まずできることを徹底してやっていただきたい、そういう面からお願いをしておきたいと思います。  それと、第三次交通安全基本計画の前に第二次がございまして、この実績と評価、いろいろ分析をされておられると思います。総務長官にお聞きをいたしたいと思いますけれども、実績と評価というものをどのように受けとめておられて、そしてこの第三次を計画される際に、当初はまだ出ていなかったかと思いますけれども、もうぼつぼつ大体出ておると思うので、その辺をどのように織り込んでこられたか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  59. 中山太郎

    中山国務大臣 お尋ねの第二次に関しましては、当初の目的の死者の数には達しませんでしたけれども、それに近い数字までいった。それからもう一つは、五十四年度の進捗率は七七%ぐらい、五十五年度は一〇〇%をわずか超えた、いわゆる目的達成しておるというような形になっております。しかし、現実的には死者が八千七百人ほどおるわけでございますし、また、身体障害者になっておられる方もずいぶん多くおられるわけなので、第三次計画を立てる、それを遂行していく中には、やはりこれからの全体的な、国土全体の車の流れというものを基本的にもう一回再検討する必要があるのではないか。たとえば明石−鳴門架橋というようなものができてまいりますと、四国から来る車が淡路を横断して、今度は明石に渡ってくる。そうすると、それが西へ行く道路が果たして整備されているのか。そういうところで今度は車がそこで渦巻きになる。そういうことについては、もう兵庫県の知事が全体的な問題として考えてくれということをすでに提起しているわけです。そういうことから考えてまいりますと、この第三次の交通安全の計画というものは、やはり容易ならざる事態に達している。免許証所有数がとにかく二百万ずつふえていく、自動車が二百万台ずつふえていく、そういう中で道路整備というものは、いわゆる立ち退き問題も含めて、これがなかなか進捗しない。しかし、一方では架橋が進んでくる。こういう中で、いわゆる交通麻痺が起こって、交通信号を一応整備したためにかえって交通麻痺が起こる。お巡りさんの立っている日に限って交通がうまくいかないというような声も実はドライバーの中から聞こえてくる。こういう中で、すでに通産省では、工業技術院のプロジェクトで、新しい交通体系システムのために国費を数億円かけて、実はシステム開発を終わっているわけです。しかし、それをやるには莫大な投資が必要になってくるということで、計画自体は実施に踏み込めない、こういう中で、私どもとしては、全体的な交通体系の見直しと交通安全政策というもの、それからドライバーのための教育をどうするか。そういう立体的な交通政策というものを立てるために一応現地各地の意見を聞いていこうということで、五月の末に、戦後初の政府主催の交通安全に関する大シンポジウムを開く、そういうことで二日間にわたって論議をしていただいて、生の声を生きた政策として立てていく、こういうふうにやってまいりたいという考え方でございます。
  60. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かに交通事故発生状況から見まして、愛知県あるいは兵庫県のいわゆる通過車両の多いところ、そういうところの事故発生件数というのは、ほかの府県に比べて格段に多いわけですけれども、車の流れを十分、要するに車と人をなるべく区分をするということも必要でございますし、また、そういう面で見ると、通過車両のスピードといいますか、そういうこと等、影響してくるのではないか、そのように思うわけです。  そういう状況から見て、特に交通弱者についての事故がなかなか減少していかないという状況にもかんがみまして、いまの交通安全教育というものが、学校の中でときどき、ときどきというか、まあやられていることはやられているのですけれども、本当の専門家がやっている教育ではない。ただ、教科書どおりやっている、そういうふうなところではないかというふうに感じるわけです。たとえば親のしっけがかなり影響するわけで、自転車で道路の角を飛び出してくる、あるいは渡る前に必ず右左を見る、一つの癖だと思うんですね。家でもやり、学校でもやりということが必要でございますし、また、心理学的にもそういうことを、子供の立場というものをよく理解して追求していかなければいけないし、非常に重大なことである。それを、学校の先生が片手間にやっている、これが非常に問題ではないか、そのように思うわけです。そういう面で、総務長官として文部大臣その他専門家の方といろいろお話をされていると思いますけれども、これからいわゆる交通安全の専門教育官というか、そういう制度をどんどんと導入されていったらいいのではないか、私はそういうふうに思うわけですけれども、総務長官としてどのようにお考えになっておりますか。
  61. 中山太郎

    中山国務大臣 先生の御指摘のとおりでございまして、いま学校では、社会科の先生とか体育の先生が片手間に教えている。教え方も、黄色になったらとまりなさいとか、用心しなさい、赤になったら渡りなさんなというような程度のことでございまして、いわゆる無謀運転ドライバーの規制というものに対して、やはり日本のこれからの社会というものは、恐らくみんなドライバーになる、ライセンスを持つ時代が来るだろうと思うのです。そのためには、義務教育課程で、いわゆる正規の車の教育を受けた人間が、車社会のために国民を教えるということが制度化されることがきわめて必要だろうと考えておりますので、委員会におかれましてもぜひひとつそういう方向で御審議をいただきたいし、私も所管の大臣といたしましてすでに文部大臣にはその必要性をお話し申し上げて、文部省においても検討していただくようにただいまお願いをしておる最中でございます。
  62. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間が来ましたので終わりますけれども、非常に足の長い話といいますか、教育というのは特に二十年ぐらいたたないと成果が出てこないとか、そして事故傾向から見て何回も事故を起こしている人は継続して起こしている、ひとつ性格的なものもあるというように思うわけです。そういう意味で、ぜひ体系だけではなくて教育面、先ほども運転免許の話がございましたけれども、そういう面も含めてこれからの御検討をお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  63. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、中路雅弘君。
  64. 中路雅弘

    ○中路委員 きょう二つばかり御質問したいというふうに思っていたのですが、時間が二十分と限られていますから、もし後の問題が残りましたら次回にしたいと思うのです。  最初に、きょう理事会の御許可を得て品物を持ってきましたが、御存じの三角板、総理府令が改正になりまして、昭和五十三年から高速道路での停止のときの表示板ですね、三角板と言われていますが、二百メートルから停止板が見えるようにするという、この設置が義務づけられまして、各車がこれを持つわけですから、当時から一千数百億円の産業だということも言われてきたわけです。現物をちょっと見ていただきながら御質問した方がわかりやすいかと思いますので置きますけれども、御存じだと思いますが、これは三角板ですね。日本の場合には五十センチ角というのが規格になっていますが、最初に、この三角板の型式認定をされた企業がどれぐらいあるのか。それから、認定の第一号になりました、最初に認定された企業は何という企業か、御存じですか。
  65. 池田速雄

    池田政府委員 停止表示器材の型式の認定でございますけれども、現在までのところ七十一社から出されました百十六の型式を公安委員会におきまして認定いたしております。  なお、その第一号となりましたのは、五十三年の十一月九日に株式会社ゼウス、株式会社小糸製作所、株式会社津山金属製作所の三社の製品が第一号として型式認定されております。
  66. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しになりました第一号型式認定の株式会社ゼウスですが、日本に決まったときはもちろん生産されてなかったわけですから外国から輸入されたわけですけれども、外国のはほとんど四十五センチ角だったそうですが、五十センチ角のフィンランドのタルム社というところからゼウス社が輸入されてサニー工業が組み立てていますが、サニー工業は後で御質問します全国交通安全母の会連合会の専務理事をされております吉川さんの御主人が社長という会社ですが、サンエスという会社が発売元になっているわけです。  このゼウス社というのは何個分ぐらい認定を受けたか御存じですか。
  67. 池田速雄

    池田政府委員 私どもの方では型式について認定をいたしておりますので、幾ら販売されたかという数字はつかんでおりません。
  68. 中路雅弘

    ○中路委員 少なく見積もっても百万個と言われていますが、私たちの調査では三百万個とも聞いています。最初は非常に高く売ったわけですね。一個三千八百円で販売されておりまして、最近はもう六百円、またもっと下がっていると思いますけれども、一個について五百円の利益があるとしますと、百万個としましても五億円ですね。三百万個としますと十五億円の利益が上がっているわけですけれども、後で御質問します母の会にこのゼウス社はこの時期に多額の寄付金、賛助金も出していますけれども、このゼウス社の所得申告の問題ですが、東京国税局では税金は払われていないというお話も承っていますが、国税庁、お見えになっていますか。——いまゼウス社の所得申告がどうなっているかおわかりですか。
  69. 四元俊明

    ○四元説明員 お答え申し上げます。  税務上の個別にわたる事柄につきましては答弁を差し控えさせていただきたいのでございますが、御指摘の株式会社ゼウスにつきまして、公示された所得金額は最近では承知していないところでございます。
  70. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話ししましたように、莫大な利益が、相当の利益が上がっているわけですね。私たちが聞いているところでは税金が払われていないということもありますので、このゼウスの税金の問題について、所得申告がどうなっているかということを含めまして、また組み立てをしたサニー工業、あわせて販売のサンエス、これについてそれぞれ調査をしていただきたいということを最初にお願いしておきたいのですが、いかがですか。
  71. 四元俊明

    ○四元説明員 お答え申し上げます。  私ども、一般的に申し上げまして、申告書等をちょうだいいたしまして審理をいたします。それで、何か課税上問題がありました場合には、その事案の内容に応じまして、税務調査や税務指導等を実施いたしているところでございます。したがいまして、御指摘の法人につきましても、何か問題がございますれば、それを踏まえて対応させていただきたいと思います。
  72. 中路雅弘

    ○中路委員 それではこれから質問に入りまして、後でもう一度調査をお願いしたいのですが、先ほどお話ししました全国交通安全母の会連合会、これはこのパンフレットを見ますと、四十九年の九月に総理府認可の社団法人として発足をしているわけです。お聞きしますと、全国の都道府県に組織がありまして、会員は五百万とも言われています。お母さん方のボランティア活動によって支えられている、運営されている組織なわけですが、これには総理府から委託費あるいは運輸省から補助金も出ているわけです。時間の関係で私の方から話しますと、たとえば五十六年度、今度の予算を見ますと、総理府の委託費だけで七千二百二十三万円がこの会に出ています。運輸省から五百万の補助金が出ているわけですから、政府としても監督指導については責任もある団体、組織だと思います。  この母の会は、またその他企業からの寄付金、賛助金で賄われているわけですけれども、これは最近幾らか調査をされたと思いますが、先ほどお話ししましたゼウス社からの寄付金が、五十四年、五十五年ですね、まあ五十四年度あたりどのくらいあるかというのは御存じでしょうか。
  73. 仲山順一

    ○仲山政府委員 総理府のただいまの主管法人であります全国交通安全母の会連合会に対しましては、総理府からは、一般の話になりますが、交通安全母親大会、交通安全啓蒙全国キャラバン隊への派遣、交通安全母親活動の指導者の講習等のために、委託費として五十三年度は二千六百七十八万円、五十四年度は四千八百三十六万円支出されております。また、五十五年度には六千九百七十万円が計上されております。全国交通安全母の会連合会の活動に対しまして賛意を表します法人、団体等からの賛助金でございますが、これは五十三年度は千六百六十万円、五十四年度は千二百万円、五十五年度は千六百万円、こういうふうに聞いております。(中路委員「ゼウス社のはわかりますか」と呼ぶ)  それはちょっといまわかりませんですが……。
  74. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しの相当の部分がゼウス社ですね。私の方の資料で、これはお調べになったらすぐわかるのですけれども、たとえば三角板が設置される前はほとんどないのですけれども、設置をされました、施行されました五十三年の、これは法律が決まりましたのが五月二十日、半年後の十一一月一日から私は施行だと思いますけれども、その前後からだけとりますと、ゼウス社から母の会連合会に対する賛助金、寄付金が、五十三年の十月十二日に四万九千七百円、十月三十一日に八千五十円、十一月二十一日に六十万、これから後が施行ですが、十二月二十八日が十万五千六百九十円、五十四年になりますと、一月十一日に百九十四万七千五十円の寄付、二月十五日に二百四十万二千五百八十円、三月三十一日に十三万九千九百七十円、三月二十八日に二百五十九万七千五百六十円、四月十日に五百万というふうに、いまの五十三年の十月から五十四年の四月までとりましても千二百九十四万六百円という寄付がやられているわけですね。いまお話しになった大部分を占めているということも言えるわけですけれども、私は、このゼウス社といまの母の会連合会の  一部役員に、会計で大変不明朗な問題不正の疑惑があるということできよう御質問するわけですけれども、この母の会のこうした運営について最近一応調査もされたということも聞いているのですが、結果はいかがですか、会計の問題等について。
  75. 仲山順一

    ○仲山政府委員 全国交通安全母の会連合会に絡む問題につきましては、現在その事実関係につきまして調査しているところでございまして、現在までのところ特別の問題は確認いたしておりませんが、私どもの主管法人に関連いたしまして何らかの疑惑が持たれたといたしますれば大変残念なことでございまして、今後そのようなことのないように十分厳正な指導をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  76. 中路雅弘

    ○中路委員 たくさんの問題点があるのですが、私はきょう一例だけ挙げて、ぜひこの問題については全国の五百万のお母さん方のボランティアで支えている大事な組織ですから調査を十分してほしいと思うのですが、一例を挙げますと、先ほどお話ししました五十四年のたとえば四月十日に五百万という寄付がやられています。  それで、母の会の取引銀行は東海銀行の上野支店ですか、この当座預金の口座を見ますと、やはり五十四年の四月十日に五百万がゼウスから入金になっています。しかし、そしてこれがすぐ同じ日に引き出されているわけですけれども、これは表帳簿では出てきていません。裏帳簿で同じ日に、四月十日に、五百万が支払われています。小切手の〇九四四でなっているわけですが、ではこの五百万円が引き出されてどこに振り込まれたかという行き先は、この〇九四四の小切手の番号で調べてみますと、住友銀行の下高井戸ということになっているわけです。これはこの母の会の連合会の事務局長、小沢事務局長の個人の口座であります。ここに振り込まれているということなんですね。  こういう事実は、お調べになっておわかりになりましたか。
  77. 仲山順一

    ○仲山政府委員 まだそこまで調べておりませんですが、よく調べたいと思います。
  78. 中路雅弘

    ○中路委員 皆さんが調べられた表の帳簿では、四月十日にこの〇〇九四四の番号の小切手は二万七千六百五十円ということで引き出されたことになっていますね。全く別のことになっています。  それから、これはやはり東海銀行の小切手の控えですが、控えを見ますと、今度は、不思議なことに、五十五年の四月九日に五百万円が、いまの住友銀行下高井戸の方へ出されている小切手がある。そして、同じこの五十五年の四月九日にこの事務局長に五百万を貸し付けたということになっています。しかしこれは全く年度が改ざんをされているのですね。  いまのこの五十五年四月九日五百万が引き出されているという小切手を見ますと、この前後を見ますと、この小切手帳は五十四年の二月から五十四年の四月二十五日までの小切手帳なんです、そこへ五十五年のが一枚入ってきていることはあり得ないのですね。前後を見ますと、その前の小切手は全部、番号を見ますと、五十四年の四月一日とか二日とかなっている。そしてその後は五十四年のやはり四月十三日の小切手。その間に一枚五十五年の四月九日が入ってくるはずがない。これは明らかに改ざんをされているわけですね。だから、これは裏帳簿であるとおりだと思うのですね。五百万が寄付された形になって、それが同じ日にすぐその事務局長の個人に振り込まれているという形ですから、これは事務局長の個人が使い込んだ疑いですね。相当大きな邸宅も建てられていますから。  そういう疑いも非常に濃いと私は思うのですが、先ほど、いま調査をしたけれどもそういう特別の問題がない、いまのところですね、というお話ですが、私一例だけ挙げましたが、これは全部ここに資料がありますけれども、銀行の当座勘定照合表を見ていただければはっきりするのです、これは改ざんできませんから。  ここにあります東海銀行の当座勘定の照合表を見ますと、五十四年の四月十日に五百万母の会に入っています。そして同じ日に五百万これは引き出されているのです。五十四年の四月十日に、同じ日に。だから明白なんです、五十五年にしたということは。ですから、五十五年のまだ決算が出されていませんから、ここで貸し付けたということで、後、操作をされるかもしれませんけれども、こうした銀行の当座勘定照合表なんかを見ますともう明白ですから。  私は一例をきょう挙げたのですけれども、こういう形で五百万の全国の母親のボランティアで支えている組織が食い物にされる、利用されるということは、大変重要なものじゃないか。しかも、政府が補助金を出し委託費を七千万から出しているのですね、総理府が。そして仕事をやっている組織ですね。その点について、きょうは一例だけ挙げました。たくさんの疑惑が、私は材料も持っているわけですけれども、そういう点でひとつ総理府を含めて十分経理の内容その他について調査をしていただきたい。大臣、いかがですか。
  79. 中山太郎

    中山国務大臣 いまお話を承って、お話のように全国の交通安全の母の会というのは大きなボランティア組織でございますから、政府もその活動目的に合致するような補助を行っておる重要な団体でございます。御指摘の点で不審な点が幾つかございます。そういう点につきましては厳重に調査をし、かつ不正な部分があれば適当な処置をいたしたいと考えております。
  80. 中路雅弘

    ○中路委員 国税庁にもう一度お伺いしますけれども、いま私一例を挙げましたけれども、こうした非常に疑惑がある企業との関係の問題です。そういう点ではぜひ調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  81. 四元俊明

    ○四元説明員 お答え申し上げます。  課税上の問題に結びつくような事態が認められました場合、先生指摘の点十分参考にして今後対応してまいりたいと思います。
  82. 中路雅弘

    ○中路委員 一例だけ私はきょうは出したわけです。皆さん調査の結果も踏まえて、この問題については引き続いて御質疑していきたいということをあわせてお話をしておきたいと思うのですが、非常に限られていますので、この問題と関連してもう一点、いわゆるTSマークの認定料ですが、この認定は三角板から始まったというふうにも言われていますが、TSマークの認定料を取っているのかどうか。幾ら取っているのですか。おわかりになりますか。
  83. 池田速雄

    池田政府委員 いわゆる認定料というものはないわけでございますけれども、ただ、現実に検査を担当しております管理技術協会というのがございますけれども、そこにおきましては三十円程度実費を徴収しておるというふうに聞いております。
  84. 中路雅弘

    ○中路委員 三角板から始まって最近ヘルメットもいろいろと金を取っているわけです、一個当たり二十円、三十円と。私たちの調査では、このTSマークの認定料を取った事態について、いまお話ししましたように大変疑惑がたくさんあるわけです。この問題についても改めて御質議をしたいと思いますので、その点については、もう時間か来たということなので、問題だけひとつ指摘をしておいて質疑を終わりたいと思います。あとの問題をもう一点質疑をしたかったのですが、時間が来ましたので、すぐありますから自動車教習所の問題については次回に御質問させていただきたいと思います。
  85. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、伊藤公介君。
  86. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 所信表明の中にも表明されているわけでございますが、昭和四十六年以降九年間連続をして減少してまいりました交通事故による死傷者は、十年目にして一転して昨年は激増をしたという大変悲しい結果が出たわけでありますが、最近の交通事故の、特に昨年ふえたという原因がどこにあったかということが非常に大事な問題点だと思います。いろいろ私もいただいた資料を数字を拾ってみますと、当然車もふえているわけでありますし、あるいは運転免許を取られている方も非常に多いわけでありますし、先ほど長官のお話のとおり、いずれは国民のみんな運転免許を取得する、そういう時代になろうとしているわけでありますから、さまざまな問題点があることも当然なことでありますが、どうも運転者運転技術あるいはマナーというところに非常に問題があるような気がいたします。  それと交通事故の特徴を見ますと、若い人たちの無謀運転、良心的な運転をされている方たちも当然いるわけでありますけれども、無謀な運転によって事故の巻き添えになっているというケースも非常に多いわけでございます。未成年者の層では十六歳から十九歳が七十六人、全体の中では六・九%、成人層では二十歳から二十九歳が百三十九人、一一%、非常に目立ってふえているわけであります。死者の数は特に真夜中から早朝にかけて非常に多い。信号無視というのが六十三件、全体の三八・七%、無免許運転が九十件、二三・八%、あるいは酒酔いですね、最近は非常に厳しくなってまいりましたけれども、百三件、一五%、非常に悪質な違反がふえている。そういう運転マナーの未熟によって事故が非常にふえているのではないかというふうに思っておりますが、最近の事故の特徴について公安委員長の御意見をまず伺いたいと思います。
  87. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 目標を達成することができなくてはなはだ残念に思っているわけでありますが、お話のとおりに最近における事故発生というものは、若い連中に大変多いように思っております。この増加の原因につきましては、いろいろ検討しておりまするので、政府委員の方から補足をしてお答えをさせます。
  88. 池田速雄

    池田政府委員 ただいま御指摘ございましたとおり、車の増加それからドライバーの増加という背景があろうかと思いますけれども、五十三年ごろから実は件数、死傷者につきましては、ほぼ横ばいないし増加の傾向は若干見られていたわけでございますが、ここに参りまして急に死者の数がふえてきたということでございます。  現象面で見ますと、いま仰せのとおり特に年齢別でいきますと若い者が多くなっておるというようなこと、それから内容無謀運転が多くなっておるということ、それから場所的に見ますと、たとえばカーブ地点でございますとか出会い頭の交差点での事故あるいは横断歩行者に対します事故というようなものの増加が著しいわけでございます。  それで、御指摘のとおり若い者が特に夜等に通常の交通でないといいますか、業務交通でないような状態で無謀な運転をやるということが多いわけでございますが、これは一つはやはり社会風潮、暴走族が現在の一つの象徴でございますならば、それに引きずられたような形も多分にあるんじゃなかろうかというふうに考えております。特に無謀運転につきましては、実は五十三年の道路交通法の改正の際に、たとえば酒酔い運転等につきましての規制が大変厳しくなったわけでございますけれども、一例を挙げますと、酒酔いで申しますと、五十三年から五十四年につきましては百四十九件減った。それが一昨年から昨年にかけましては百三件ふえたということで、全部戻ったとは言いませんけれども、かなりの部分またそういう無謀運転がふえておるということは大変遺憾に思います。こういった点等を踏まえまして適切な対策を講じて、ぜひまた減少のきっかけをつかむようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  89. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 そこで、第一次の交通安全基本計画あるいは第二次交通安全基本計画、いずれもこれは、御趣旨の中には事故の数を半減することを目標にうたっているわけでございます。当然、そうした関係各位のいろいろな御努力関係機関の御努力があったことは私どもも認めるところでございますけれども、しかし現実に事故がふえている、しかも非常に悪質な事故がふえているという状況も無視できないところであろうと思います。  そこで、第三次の交通安全基本計画の要綱について一、二点ちょっと伺いたいのでありますが、運転技術マナーの欠如ということを私は指摘させていただきまして、第三次の交通安全基本計画の中でこうした問題に具体的にどのように取り組んでいるのか。たとえば暴走族の退治をどうするか。小中学校の自転車の利用についての指導あるいは高校生のバイクの運転、先ほどもちょっと同僚議員の御指摘にもございましたけれども、単に交通安全ということだけではなしに、つまり、人間の命のとうとさという面からの人間教育の中で、本腰を入れてこの問題に取り組むときが来ているのではないかと私は考えるわけでありますが、第三次交通安全基本計画の中で、これが具体的にどういう形で教育の中で取り組まれているのかということが一点。  時間がありませんのでもう一つ続けて御質問させていただきますが、ことしはちょうど国際障害者年でもございます。これを契機にして、身障者の方々に対する配慮も当然行われていると伺っておりますが、身障者の方々専用の運転免許の試験場の計画がされていると伺っております。その計画はどのようになっているのでしょうか。身障者の方々にとっては、車に乗れるということになりますと、非常に行動半径は広がるわけでありますし、画期的なことになるだろうと思っておりますが、現実には、今日の試験場ではそういう配慮がなされていないというのが実態であります。そういう点についてはどのような御配慮が第三次基本計画の中でなされているか、御説明をいただきたいと思います。
  90. 仲山順一

    ○仲山政府委員 ごもっともなことでございます。この第三次でございますが、大体第二次をもとにしまして、なおそれ以上に、いま先生のお話のような趣旨を踏まえまして目下検討しているところでございまして、これは今月の下旬に決定していただくということでお願いしている次第でございます。  その内容の概略でございますが、いまのところ、小学校、中学校においては、歩行者としての安全のみならず、自転車の安全な利用についての重点的な指導をする。高等学校においては、小学校、中学校における指導を一層発展させて、特別活動のホームルームあるいは学校行事、生徒会活動を中心として、よき社会人として必要な交通マナーを身につけさせるようにする。さらに、生徒や地域社会の実情に応じまして、二輪車の安全に関する内容について必要に応じて適宜取り上げまして、安全に関する意識の高揚と実践力の向上を図るための指導を行いたい。このために、それぞれ効果的に実施するために、小中学校安全指導の手引き、自転車に関する安全指導の手引き、それから二輪車に関する交通安全指導資料の趣旨の徹底を図るというふうにいたしたい。それから交通安全教育に関する調査研究、指導資料の作成、講習会の開催によりまして、教える教職員の指導力の向上それから教材等の整備を推進して、新しいモータリゼーションの時代の要求にこたえるようにしていきたい、こういうふうに考えて、大臣からもその点は文部省によく申すように言われておりまして、それぞれわれわれその線でがんばっているところでございます。
  91. 池田速雄

    池田政府委員 身体障害者の方に対します免許の対策でございますけれども、現在免許をお取りいただいている方が全国で十万八千六百三十九人おられます。この方々につきましては条件をつけているわけでございますが、補聴器使用の条件をつけておりますのが九千八百六件、車両を限定いたしておりますものが九万三千三百九件、義手あるいは義足の使用を条件づけておりますものが三千百十三件でございます。こういった方々のためには各県の運転試験場に相談コーナーあるいは相談室を設けておりまして、あらかじめ御相談をいただきますと、必要に応じてそういう施設のあります教習所を御紹介申し上げるとか、こういう措置をとっていただいたらいいじゃないかというような御相談に応じているわけでございます。昨年中には、そういった指導のもとで教習所で教習をされまして免許を取られました方が四千五百一人と聞いているわけでございます。私どもの方もそういったことを中心にいたしまして、免許以外にも、また盲人用の信号機の設置をこれからの五カ年で、現在二千七百基ありますものを千三百基ふやすとか、なお現在こういった方々につきましては駐車の除外車両指定の証票を発行いたしておりますが、その数が約四万六千件ほどございますし、そういった対策をさらに強化してまいりたいと思います。  なお、御指摘のお話は、恐らく厚生省において現在やっておりますリハビリの方の施設ではないかと思いますので、そういう施設での免許の取得の相談につきましては私どもとしても積極的に御相談に応じたいと考えております。
  92. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 交通安全の問題は当然いま教育の現場の問題にも非常にかかわりのある問題でございますので、総務長官、ぜひ文部大臣にも計画の趣旨をよく御理解いただいて、具体的に義務教育の中でもこうしたことが取り組まれるように御努力をぜひいただきたいと思います。  時間が参りまして、せっかく総務長官お見えいただいたのでいろいろ伺いたいことがありましたけれども、ことしの目標は死者八千人に抑えるという目標を立てられたようでありますが、八千人の死亡者を出すことも大変悲しいことでございます。万全を期してこの問題に重大な決意で取り組んでいただきたいというふうに長官にお願いを申し上げたいと思います。
  93. 中山太郎

    中山国務大臣 いま先生のお話、死者八千人に抑えろということでございますが、私どもとしては、八千人から一人でも少ない方がいいというのが政府の大きな念願でございます。御案内のように、戦後の死者が交通事故だけで四十万人になっております。原子力発電所が危険だと言われておりますけれども、原子力発電所の事故は死亡者ゼロでございますけれども、毎日の生活の中では過去三十五年間に四十万人の人命が失われている、こういう事実を見て、私ども、交通事故というものを国民全体がやはり積極的に防止するようにお互いが努力しなければならない。そのためには信号灯とか歩道橋の設置も、政府あるいは地方公共自治体の責任でございますけれども、片一方においては、やはりドライバーの心得というものが必要になってくる。ただし、ここに一つのネックがございます。それはすでに文部大臣にお話しに参りましたけれども、学校の教科のカリキュラムを組むのに一定の年の枠があるということでございまして、この問題については、引き続き私どもも文部当局と相談をいたしてお願いしてまいりますが、ぜひひとつ国会の方においても、文教関係とも十分御相談をいただいて、この委員会の御発言の御趣旨が生かされるように御尽力いただくように、私からもお願いを申し上げておきたいと思います。
  94. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 警視庁の方にもおいでをいただいて御質問をしようと思いましたが、私どもの東京の町田市で、最近二輪レーンという新しい試みが実は行われたわけでございますが、この問題は、すでにございます自転車専用道路であるとか、そういうような形で今後法規制をしていくのかどうなのかという問題を含めて、まだ試みのきわめて初めの段階でありますから、結果は出ていないと思いますので、いずれまたその御報告をいただいて、法的な規制をしていく範疇に入るのか等々も御研究をいただきたいと思います。  質問を終わらしていただきます。
  95. 斎藤実

    斎藤委員長 次回は、来る二十日金曜日午前九時三十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二分散会