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1981-02-27 第94回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十七日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 斎藤  実君    理事 浜野  剛君 理事 林  大幹君    理事 水平 豊彦君 理事 安田 貴六君    理事 沢田  広君 理事 永井 孝信君    理事 草川 昭三君 理事 玉置 一弥君       阿部 文男君    浦野 烋興君       鹿野 道彦君    玉生 孝久君       中西 啓介君    中村喜四郎君       後藤  茂君    新盛 辰雄君       三浦  隆君    中路 雅弘君       伊藤 公介君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君         建 設 大 臣 斉藤滋与史君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      仲山 順一君         警察庁交通局長 池田 速雄君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 犬井 圭介君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松井 和治君         建設省道路局長 渡辺 修自君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     松尾 直良君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   登坂重次郎君     中西 啓介君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及  び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一四号)  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 斎藤実

    斎藤委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草川昭三君。
  3. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。時間が限られておりますので、私は、運輸大臣関西空港建設問題について、問題点をしぼってお伺いをしたいと思います。  私は、実は昨年の三月の衆議院の予算委員会の席上で、関西空港建設場所活断層があるという問題を取り上げました。いわゆる泉佐野断層の問題でございますが、当時、松本航空局長は、泉佐野断層については正確に発見をされていないし、また、この断層による障害の発生はないというような旨の答弁がございました。私は、そうはっきりとそのことについて断定をしていいのかどうかという疑問を投げかけたわけでございますが、折しも昨年の暮れに神戸大学の三東教授という方が有力な、私と同じような、泉南沖計画されておるところの空港構想について、地震学上これは非常に危険な場所であるという見解表明をされました。三東教授は、ここにありますところのいわゆる根来断層は、地震学活動度というのはAに分類をされて、国内でもトップクラスの危険度を有する活断層である、ここを震源地としたところの地震計算上行いますとマグニチュード七、空港場所マグニチュード六の烈震になる可能性があるわけですから、このいわゆる人工島というのですか、人工の島の地盤ということを考えると、これがどろどろの流動化になるということすら考えられるという、こういう一つ見解表明されたわけでございますが、この点についての航空局の御見解はどのようなものか、お伺いしたいと思います。
  4. 松井和治

    松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございました根来断層、これを含みますいわゆる中央構造体という大きな断層が、ほぼ紀ノ川沿い東西に走っております。御指摘のとおりでございます。これを航空審議会審議をいたしまして、専門家先生お二人に御意見をお聞きしたわけでございます。その先生方の御意見を取りまとめて申し上げますと、この活断層による地震というものは、確かに御指摘のように大きな地震を起こす可能性がある。大阪湾にはもう一つ、有馬・高槻構造線という、京都の北から神戸の北を通りまして、東西に走る断層がございます。この二つの大きな断層は、いずれも大きな地震を起こす可能性がございますが、その周期は、現在の学問では数千年ないし十何万年というあいまいさでしかわからないという御説明でございました。また、もし起こった場合の地震の大きさと申しますのは、ただいま御指摘のようにマグニチュード七、あるいは最大限をとりますと八・五ぐらいになる可能性もある、こういうことでございました。  ただ、そのような場合に、この空港島のみならず阪神間の諸都市につきましては、かなり大きな被害が及ぶことが想定されるわけでございまして、数千年から十何万年という周期で起こる地震のために空港島をつくらないということになりますならば、この京阪神間の鉄道道路あるいは橋梁、こういったものはすべて問題があるということにならざるを得ないわけでございまして、そういう意味で、数千年から十何万年の周期で起こるかもしれない地震のために空港島をつくらないというのはおかしいではないかというような御意見でございました。  私ども、その後さらに、とにかく地震の起こる可能性はあるわけでございますので、仮に根来断層震源地にいたしまして、マグニチュード七・〇程度地震が発生いたしました場合、私ども計画しております新空港護岸耐震性検討をいたしたわけでございます。その場合、私どものシミュレーションの結果によりますと、埋め立て土砂液状化可能性について致命的な被害が及ぶというようなことがないということが専門家の手によって確認をされておる次第でございます。したがいまして、かなりの長い周期で起こる可能性は確かに秘めておりますけれども、そのことによって、この予定地空港をつくることを断念する必要はないというふうに考えております。
  5. 草川昭三

    草川委員 これも将来の予測の問題でございますから、はっきり言えば切りがないじゃないか、そんなことを言っておれば何もできませんよ、こういう御答弁だと思うのですが、そういうことがございましたので、私は昨年の暮れにこの問題についての質問主意書提出をしたわけでございます。  実は、この質問主意書の中にも若干触れておるわけでございますけれども、いまお話がございました航空審議会の第二次答申というのですか修正案というのですか、予算編成関連をいたしまして、審議会の方の意見が第一と第二の間で、特にいまの耐震性の問題を含めて、ずいぶん工事内容という計画が変わってきておるわけです。たとえば第一回の答申のときには、空港の規模を面積千二百ヘクタールですか、これが答申後わずか二カ月の間に変わってまいりまして、面積は六百ヘクタールという、二分の一に変わる。あるいは空港能力も、当切は二十六万回という能力ですか、ターミナル地域能力としては十六万回でございますが、これが答申後わずか二カ月の間に十六万回、あるいはターミナル地域能力としては十三万回に落ちるわけです。しかも、基本的に滑走路は三本の予定計画が一本に大幅に修正をされておるわけです。この二カ月の間にどうしてこんなにマスタープランが変更するのかというのは、この関西空港のような大がかりな国家的なプロジェクトに比べますと、私どもは少し理解に苦しむ点が多いわけです。  さらに、いま問題になりますのは、先ほど触れられましたいわゆる護岸等建設工事内容ですけれども、第二次答申案の中では、非常に細かい技術的なことになりますから詳しく触れませんけれども、地図というか絵を見ましても、最初のときに比べますと、地盤改良も非常に小さくなっておりますし、消波構造等につきましても、当初案に比べますと、護岸構造についても大幅な変更があるわけでございます。そうなってまいりますと、ますます縮小案提出という考え方については、私は、いま地震という問題を問題提起をし、いまの御答弁では、専門家では、十分対応を立ててあるからいいと言うのですが、その専門家がつくった答申案が、答申案発表後わずか二カ月の間に大幅な変更になるわけですが、少しひど過ぎると思うのです。この第一次、第二次というか、その二カ月後に出た修正案余りにも内容のひどさについてどのような御見解か、お伺いします。
  6. 松井和治

    松井(和)政府委員 ただいま御質問がございました、いわゆる修正案というものを策定した理由でございますけれども航空審議会から昨年の九月一日に答申がございました「関西国際空港設置計画について」というものは、関西国際空港の最終的な姿をお示しいただいたというふうに私ども理解しておるわけでございまして、それをどういう手順でどういう期間につくり上げていくのか、これは私ども行政当局が最も適切な方法を考えるべきだというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、現下の財政事情等を考慮いたしますと、逐次に建設を行いまして、一部供用可能になりました時点で開港をし、そこで収入を得ながらさらに逐次、次の段階建設を進めていく、こういういわば段階的な施工を行うという姿が最も適切な方法だと考えた次第でございます。  そこで、その段階的施工と別に、ただいま御指摘のございました護岸構造に変化があったではないかという御質問でございますが、私どもただいま申し上げましたような財政事情等を考慮いたしました最も経済的な、しかし安全性はいささかも損わない工法というものをその後研究をいたしたわけでございますが、護岸厚みと申しますか、これは後ろ側陸地部分の土の土圧を支えるために、第一次案では非常に大きな、かなり厚い護岸を想定したわけでございます。  ところが、空港と申しますのは御案内のように護岸のすぐ端まで土を盛らなくても、滑走路の端から着陸帯、それからさらに余裕を持った土地をとるのが普通でございますので、そこは必ずしも土でなくてもいいという点に着目いたしまして、今回の新しい案では護岸中側のところに水面をとりまして、そこに至る土地を傾斜した土地にいたしまして、護岸にかかる土圧を軽減したわけでございます。そのことによって護岸厚みが薄くなった、したがって下の地盤改良面積も少なくて済むようになった。しかし、この護岸を支える地盤の強さというものにつきましては、前回の第一次案といささかも変わっていないということを技術的に検証いたしておる次第でございます。
  7. 草川昭三

    草川委員 これは専門的なことに立ち入りますから、きょうは余り詳しく触れませんが、実は私の質問主意書に対しては、政府側の方からはいまおっしゃったように「埋立地地盤改良については修正していない。」という質問主意書答弁になっておるわけです。しかし、私はいまのお話を聞いておりましても、かなり工法を具体的に変えて、そしてその結果影響するところについては変わりがないという言い方なんでございまして、私は実は正確な答弁ではないと思うのです。  しかも、現場運輸省の第三港湾建設局というのがあるわけでございますが、神戸調査をいたしておるところの調査設計事務所の次長さんが一月三十日、工業時事通信社の主催の講演会で、護岸の下の地盤改良方法についてはどの方法を使うかまだ決めていないということを申してみえるわけです。あるいは二番目に、軟弱地盤全部を改良してしまうのではなくて、費用を安上がりにするために地盤改良をしない部分をたくさん残す方法が考えられるとか、あるいは地盤がこれでどの程度安定するかわからないというような講演をしてみえるわけです。いわゆる答申護岸は、見積もりを非常にラフに出すために出した参考図だというようなことも言っておみえになるわけでありますし、この縮小案は工費の節減の趣旨に沿ってこれも一つやり方だと本省に提案をしておるにすぎないというようなことを言っておみえになるわけでございますが、さらに問題になりますのは、この図面を見ましても、サンドコンパクションというのですか、地盤改良のためにくいを打つ、砂の柱でございますけれども地震があったときの挙動、動きが明らかになっていないというようなことも発言をされておるわけであります。現地専門家方々がいまの局長答弁と食い違うようなお話をしてみえるということは、これは今後の基本的な問題について非常に重大な疑問が出るわけでございますが、その点はどうでしょうか。
  8. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 仰せのように、技術的にこの工法でこれだけの工事量になるとかいうようなものは、私はまだ本当のところは決まらないのじゃないかと思うております。そのために、やはり現場土質なりヘドロの程度というものをもう少し精密に調べる必要があると思うております。今回そのための予算もついたわけでございますし、それによりましてとりあえず地盤調査を徹底的に行いたい、こう思うております。とりあえず予備調査いたしました段階では、この程度地盤であるということを想定していろんな工法が議論されておるのですから、地盤精密検査をした結果によっては、再度工法そのものにもいろんな再検討が加えられるかもわからない、私はそう思うております。いずれにしても、経済的で安全というその目標に対してどう取り組んでいくかということ、これは先ほど来御質問の中にありました趣旨で、われわれも同じ気持ちでいま取り組んでおるところであります。
  9. 草川昭三

    草川委員 実は私は当初の行きがかりがございまして地震のことばかり言っておるわけですけれども地震が大きな人工島に及ぼす影響がどうかというので、私自身は、これが関西であろうとどこになろうと、全く直接関心を持っていない立場でございますが、技術的に、特に三東教授の御提案というのは、もし東海大地震があると、必ず歴史的にある一定の周期をもって関西の方に地震が誘発をされるであろうというような御意見もあるわけでございまして、そういうことがある程度わかるにもかかわらず、大きな人工島をつるということの危険性を主張しておるわけです。  そういう意味で、いま大臣の方からとりあえず調査をしてから、工法についてはまた将来いろんな問題もあるだろうという御発言でございますが、何といいましても、地盤調査についてはくれぐれも地震対策上の問題を中心にやっていただきたいということを私は申し上げておきたいと思うのですが、五十六年度の地盤調査について地震対策上はどのような判断で調査をなされるのか、これは技術的なことになりますが、お伺いしたいと思います。
  10. 松井和治

    松井(和)政府委員 五十六年度予算におきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、現地土質地盤に関する調査を主体に行う予定でございます。なおまた、一部先ほど先生の御指摘にございました地盤改良やり方、これを地盤改良試験工事という形で実施をいたしたいというふうに考えております。  ただ、地震に関します従来の私ども技術者研究、これは非常に進んでおりまして、十分安全な空港建設するということは可能であると考えておりますけれども地盤調査をさらに詳細にいたしまして、また地盤改良試験工事も行うということによって、先生指摘地震に対する配慮ができるようになるというように考えております。
  11. 草川昭三

    草川委員 時間が来ましたので、最後大臣に、いまのような問題提議につきまして、いずれにいたしましても安全ということを考えますと、これは非常に財政上の負担という問題も来るわけでございますが、将来の空港の問題について、安全ということを中心にした場合の財政負担に一体耐え得るプロジェクトであるかどうか、最後に御質問をして終わりたいと思います。
  12. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 安全に対するコストというものは、私はやはり相当付加されてくると思います。これは先ほどえらい御質問の中で、私もあえて申し上げさせていただくならば、関東におきましてもいま直下型地震なんかが言われておるので、そこらの安全対策もやはりすべてコストに見ていかなければならぬだろう。そこで、この安全をとるについて、また技術の進歩によって、安全を十分にとってもコストを下げ得る技術も同時に開発されていくような気がいたしまして、それはどの辺までいくのか、私はわかりませんけれども、そういう研究も進めたいと思うております。しかし、仰せのように、安全を確保するための分はやはりコストとして計算していかなければならぬ。そのことは収支計算にとりましても厳しい状況になることは、やはりわれわれも承知の上で計画を立てなければいかぬと思うております。
  13. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  14. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、沢田広君。
  15. 沢田広

    沢田委員 二人大臣が来ておりますから、大臣からお伺いをいたしてまいります。  いま政府は、財政再建元年というふうな表現をもって述べられております。この財政再建か、あるいは増税元年か、その意味するものは別といたしまして、いわゆる交通の分野における財政再建とのつながりあるいは関連性、あるいは見直しと私は言いたいのでありますが、そういう点についてどのような見地で、考え方でおられるのか。この予算なり今年度のあれを見ますると、従来のマンネリを脱してはおらない。財政再建だと言いながら、やはり一つのエリアを守ろう、従来の慣行を守ろう、こういうことだけにきゅうきゅうとして、政府全体として財政再建に当たっている姿勢だとは思えないのでありますが、運輸大臣の国鉄なんかの場合は別といたしまして、いわゆる交通安全関係についてはそのように思われるのですが、御意見があったらひとつ運輸大臣建設大臣、それぞれ簡単で結構ですが、お述べいただきたいと思います。
  16. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 安全対策につきまして、私たちは三つの面から検討をいたしております。努力しております。それは、交通施設そのもの安全性を確保すること、それから次には輸送機器でございますが、これの確実、安全を確保する、それとやはり教育訓練、意識の問題だと思うておりまして、その三つの面から安全対策を講じております。  そこで、港湾空港それから鉄道等につきまして、安全対策に対する投資というものは逐年ふえてきておりますし、額は後で政府委員からも話すと思いますが、われわれは施設機器には十分予算的な配慮をしたつもりでございます。
  17. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  建設省といたしましては、所信表明にも申し上げましたように、御提案いたしております第三次交通安全施設対策五カ年計画に基づいて、第二次に引き続き、特に交通事故が、やや昨今減少しつつありましたけれども、前年度非常に伸びたというようなことを踏まえて、交通安全施設重点を置いておる。特にその中でもいわゆる歩行者自転車利用者等弱者に対する安全施策を考えながら、財政事情の厳しい折でありますけれども、第二次に引き続き対応してまいりたいという考えでおるところであります。
  18. 沢田広

    沢田委員 では、建設大臣の方からお伺いしますが、交通安全施設というものは、いまも若干触れられたようでありますが、どの程度の水準に達すれば施設、これは農業と同じように、どんなにたくさん肥料をやろうと、あるいはどんなに一生懸命朝から晩までそこのところを耕していたとしても、十人、二十人そこに人をかけようと収穫高限度があるわけです。安全という問題についても、金だけで解決する問題ではないですね。建設大臣は、安全施設投資額がどの程度になればこれは完了するというのか。これを若干申し上げますと、昭和四十四年からやってきた金額だけを挙げますと、若干物価スライドすると、一兆二千億それから補助で大体五千百億、地方単独事業で七千二百億。信号機は実に六十万基、道路標識は五千万本、昭和四十四年から今日に至るまでこういう施設をやってきた。それでもなおかつこの後の、何が足らないのか、何を必要とするのか、それ以上やっても、果たして交通安全に寄与できる投資計画はあるんだろうか、そういう疑問を抱くわけです。  それからもう一つ事故の現状からいきますと、どういう道路に一番事故が多いのか、建設大臣御存じですか。その点はひとつ逆に大臣見識のほどをお聞かせいただきたい。
  19. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 事故に対応する限度でございますが、これは非常にむずかしい問題であろうかと思います。ヨーロッパで、私の記憶に間違いなければ、ブラッセルはおよそ開放的な都市で、免許証もないような形で、放任したような形でありますが、非常に事故がないということを、私は七、八年前視察したときのことをたまたまいま思い出したわけであります。交通安全施設整備する限度というものはなかなかいまここで限定的に証明することはむずかしいと思いますが、とにもかくにも一応歩行者弱者を守り得る、予算の範囲もありましょうけれども、日本の道路そのもの整備もまだおくれておりますので、そうしたことで関連してやっていきますと、いまようやく第三次五カ年計画ということを考えたわけで、引き続きなお整備をしていかなければならないのではなかろうかと思います。  またあわせて、この問題はやはり法律規制もさりながら、車利用者方々マナーあるいは見識あるいは指導の問題もありましょうが、これは三位一体にしないとなかなか交通事故から弱者を守るということにはならないと思います。  いま御指摘のどういう道路に一番事故が多いかといいますと、私も具体的なことは申し上げられませんけれども、私もオーナードライバーでございますので、常識的に考えて、やはり一応一般地方道幹線道路中心にした一般地方道に非常に事故が多いのじゃなかろうか。これは、歩行者自転車ドライバーも、何かしら規制、規則それからマナーというものにやや解放感を持つというのでしょうか、意外にそういう面で事故が多いのじゃなかろうか、このように考えます。したがってこれからの交通安全施設対策につきましては、高速道路は当然のことながら、これからの重点はそうした方面に向かって対応していくべきものであろう、このように考えるものでございます。
  20. 沢田広

    沢田委員 抽象的にお答えをいただいたのでありますが、では結論的に、どこまでの限界がない仕事をするというほど無計画なことはないのじゃないか。今日まで交通安全白書どもたくさん出ているわけですね。また原因も判明しているわけです。その原因も判明していれば、その原因について、これは運輸省も含めて、警察がきょうおりませんけれども、そういうものを含めて総合的に四者が打ち合わせをして、その問題点を出して、それをそれぞれの省が出すのではなくて、やはり総合的にそこに重点配分をする、そういう時期に来ているんじゃないかと思うのです。ちなみに事故は、いま大臣がおっしゃったように市町村道が圧倒的に、二十万件で四四%を占めているわけです。一般都道府県は七万で一五%、もとの一級国道、これは高速道路は除きますが、七万で、やはり一四・六%大体これが主なものです。  ただ問題は、道路幅員なんです。どこの幅員場所が一番多いか、どういう道路構造の中が事故が多いのか、その点を実は大臣に聞きたかったわけです。これは今後の都市計画をやるにしても道路――結論的に言いますと、一番多いのは五・五メートルから七・五メートル、これが三分の一を占めているのです。しかも七・五メートルから九メートルの間が一五%程度、あと四・五メートル以下三・五メートル以下というのはほとんどない、全部合わせても一〇%以下なんです。いわゆる道路の安全ということを考えれば、ただむやみに都市計画で広げることは、これはマイナスだということをこの数字は示しているわけです。もし安全という立場から考えるとすれば、都市計画そのものを改めて見直さなくちゃならぬ。九メートルから十三メートルも一四・二%ですね、幅員が広がれば広がるほどというか。五・五メートルから七・五メートル、帯に短したすきに長し、こういう道路がダンプも入ってくる率も多いし、結果的には隘路になって、事故が十六万件、三四%を占めているわけですね。その辺をやはり建設大臣としては、ひとつ御理解がいただけたかどうかということなんです。死亡率で見ますと、やはり五・五メートルから七・五メートルが三千百六十四、七・五メートルから九メートルで一千四百二十二件、五・五メートル未満は全部合わせても千件という状況ですね。  ではどういう地域に事故が多いのかというと、これまた市街地は少なく、非市街地というところ。事故はどういうところに起きているかと言えば、屈折のあるところ、曲がり角ですね、そういうところにあるわけです。これが、あなたの方から出されているいろいろな資料を総合的に、その分だけを拾い上げてみると、そういう立体的な、安全というものをどこに視点を置かなければならぬかということが出てくるわけです。  さらに延長千キロ当たりにしますと、やはり十三メートルから十八メートルの道路で七千件、五・五メートルから九メートルは一千六百件、これが一番大きいんですね。あとはほとんどない、こういう数字になっています。  ですから、これを総合的に頭の中で描いてみますとどういうことが言えるのかと言えば、都市計画も考え直さなくちゃいかぬだろう、本当の安全ということをどこを重点的に考えていったらいいかという視点というものがわかっていただけるだろうと思うのですね。その点どうですか、大臣。いままで言ったことによって安全というものを考える場合に、建設道路を考える場合にはどういう分野がこれからのネックになっていくんだということが、教育だ教育だということを言われておりますけれども、この統計から見ると、こういうふうに立体的なものが出てくるわけですね。都市計画も考え直さなくちゃいかぬ。これはもう騒音もあるし、いろんな問題もある。昭和二十二年ごろからつくった都市計画が金科玉条のように、今日のような状態にかかわらず、全然そのまま置かれている。そんなものは実行できやしない。そんなものをいつまでも後生大事に蔵の中に入れておいて、都市計画都市計画だ、何が都市計画ですか。それはもうお蔵入りのようなものだ。実行できやしない。だから、百年計画だといいながら、もう今日の段階に来たらやはり向こう十年ぐらいの都市計画に全部見直すべきだと私は思うのですね。  その点、二つの問題を提起しましたが、大臣はいかがお考えになっておられますか。
  21. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  道路環境、道路交通安全の限界について、いままでの経過を取り上げながら御指摘があったわけでありますが、なかなかこの問題について、いま私自身、どの程度の限界をもってよしとするかということの結論を得ていないわけであります。  御案内のように昭和四十九年に、道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準に基づきまして、これは道路局長都市局長の通達でございますが、鋭意その環境について実施してまいってきておるわけでありますが、いま御指摘のように、都市計画を含めてこのモータリゼーションの折に、事故とあわせて総合的におっしゃるような計画検討すべき時期に来ておるように私も考えます。  先生も恐らく道路構築上の問題、構造上の問題、そして環境についての御指摘であろうかと思います。まさに先生指摘のようにその時期に来ておるということをいま改めて痛感するわけで、五カ年計画を立てる上からも、また道路構造上の規制法等につきましても、あわせていままでの実例、実施結果を勘案して対応する時期だ、このように私は考えるものでございます。
  22. 沢田広

    沢田委員 じゃ改めて検討された結果については――いつになるかわからぬ。大臣やめてから検討されたんではこれは困っちゃいますから、やっぱり在任中に、少なくとも次ぐらいまでの間にはその結果を、ある程度のオーソドックスなものをひとつ提起していただくようにお約束できますか。
  23. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 すでに具体的な事例をお示しくださっておりますので、そのことについては案外早く、成案までいかないまでも経過的なものについてはまとめられるんじゃなかろうか、このように考えます。
  24. 沢田広

    沢田委員 時間の関係で次に参りますが、運輸省関係で交通安全施設の実績の統計をとってないということのようなんですが、これは運輸大臣御承知ですか。そういう実態であるということについては。
  25. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 どういう項目かわかりませんが、大抵の統計はあると思うのでございますが、御指摘いただければ検討いたしますが……。
  26. 沢田広

    沢田委員 私は委員部を通じて、これからの安全対策というものを見直そうという立場からいままでの三年の実績を提出してほしい、こういうふうに実は要請したのでありますが、残念ながら届きませんでした。今明日中の提出は困難であるというのが運輸省の回答でございます。これはきわめて遺憾なことでありまして、そういうことで所信表明ができるということはちょっとおかしいということにもなるわけでありまして、よくしかっておいていただきたいと思います。きょうはこの程度にしておきますがね。  それから、従来言われております自動車の車検制度は審議会をもってやっておられるようでありますが、言うならばこれも行政改革、行財政の見直しの一つとして私たち提起をしているわけですね。たとえば外国へ行けば昔の二百五十年前の家を使っているわけですね。日本はこのごろわりあい簡単な安易な建物をつくるために、二十年か二十五年ぐらいしかもたない家ができている。そういうように時代とともに違うし、わらぶき屋根なんというのは二百年も三百年ももつ。途中ふきかえることはありますが、もちます。だから車検というものをいま言っているのは、産業の再編成というものは必然的にこれから日本はやらなくちゃならぬ。いずれにしても、従来のその業界をそのまま温存して、日本の国が普通の七カ年計画の成長率を確保するということはむずかしい。いずれにしても産業は変わっていくという一つの時代に来ていることは、これはお認めいただけるだろうと思います。そういうときには、やっぱりある意味においての再点検というものをしなければいかぬ。見直さなければならぬ。それが、政府は増税という形でいま出されているんであろうし、あるいは行財政の見直しをやろう、行政改革もやろう、こう言われているのだろうと思うのです。運輸大臣もいま私が言っている見解についてはどのようにお考えですか。
  27. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 特に交通機器といいましょうか、輸送機関というものがどんどんと日進月歩技術開発してきておりますので、それにふさわしい安全の点検というものは当然必要になってくると思うておりまして、そういう機器の発達に伴うところの安全点検のあり方というものも同様であろうと思うております。
  28. 沢田広

    沢田委員 大臣にじゃなくて今度は事務当局に、本来は大臣だけにしたいのですが、何か分科会の関係があるということですから、その関係で整備部長の方に一言お聞きをして、早く行かしてやらなければかわいそうだろうと思いますから便宜を図りますが、現在の車検制度は昭和二十六年に制定された車検の基準なんですね。当時は約四十二万台。昭和二十六年というと、私もまだ車は乗ってなかったですね、私は三十四年からですから。そういう状況のときに乗っていた車の壊れぐあいと今日のようないわゆる機械化をされてきて非常に充実をしてきた状況、それが同じような形で行われているということについては、若干ずつ排気ガスだとかそういうものが改善されたとしても、少しもそれが変わっていかないということについては、これはとにかくおかしな現象だというふうに考えられるわけでありまして、結論を言えば、それだけ物もよくなっただろう、道路もよくなった、舗装率もこんなに高くなった、それで車検を毎年同じようにやっているという理由はわれわれには理解できない。あなたらの頭も昔と同じように、昭和二十六年ごろと同じように古いのかというふうに私は疑いたくなる。だから、これは昭和三十七年に一部改正をしたんでありますが、実際の舗装とか安全とかというものを考えながら強化されたこの実績に伴って車検というものをさらに延ばして、言うならこれは国民からは迷惑な問題なんですよ。迷惑な話だ。問題は、税の取り方の問題だけが残るんでありますが、車検というのは国民に対して非常に反感ばかり買われている。考え方としてはいわゆる詐欺か何かに遭っているようなものにしかなってない。ああ、また車検か、またぶったくられるな、これが本当の国民の気持ちなんですね。もっと官僚というものは庶民性を持っていただかなくちゃならぬ。いい車であれば、ああいいよ、悪かったら病院に行くんだから、そういう一つの弾力性というものを持つ。しかし、法律だからそうは簡単にいかぬ。そうだとすれば、じゃ全体的にレベルアップをして一年なり二年を延ばす、このぐらいのことは今日の時代になってできないなんてこと言っていることがおかしい。これは政治的な質問だから、部長の答弁聞いてもしようがないんですよね。言いわけばかり言っているだけであって、言いわけ聞くために質問しているんじゃないんだから。これはやはり政治的に判断して大臣自身もそう思うでしょう。それをもし長くして選挙区へ行ってあなたが言えば、市民の皆さんがああありがたいです大臣、恐らくこう言うに決まってますよ。それを金科玉条のように何か業界だけを守っていくというつもりなんでしょうが、そのことは殺すことになる。いまの農業政策と同じである。下手な過保護をやることが下手に殺してしまう。子供だって同じことですよ。下手な過保護が弱い子供にしてしまうのと同じで、そういう条件から見れば、やはりある程度の英断で政治的には今日の情勢を見て決断をしなければいかぬ問題じゃないか、こう思いますが、これはもう部長はいなくてもいいです。だから大臣ひとつここでお答えいただきます。
  29. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 確かに自動車の性能も構造も変わってまいりました。そこで、御質問趣旨、私も実はよくわかるんです。といって、こんな技術的なものを扱うのにいわば私らのような素人考えでもいきません。そこで、運輸技術審議会というのがございまして、そこへ諮問をいたしまして、機械は確かによくなっておるがそれだけに一面非常に複雑にもなっておるということも御承知のとおりでございまして、車の中にミニコンピューターが入ってくるというような状況ですから、複雑になればちょっとした故障が大きい事故になりかねないということもございますし、そういうこといろいろございますので、技術専門家に二月二日であったと思いますが私の方から諮問書を出しました。この結果を見て判断さしていただきたいと思いますので、もうしばらく御猶予いただきたいと思うのです。
  30. 沢田広

    沢田委員 猶予というのはいつごろ。そのうち、そのうちというのは日本語のうちの一番悪いものなんですよね。そのうちに何とかというのは一番近くて遠いんです。ですから、大臣はいつごろまでに見通しを持って考えていただけますか。
  31. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 一年ということで諮問をいたしました。
  32. 沢田広

    沢田委員 すると、二月二日に諮問をしてから来年の二月一日までを一応めどとしている、こういうふうに考えていいですね。
  33. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 大体そのように御承知いただいて結構です。
  34. 沢田広

    沢田委員 整備部長、もし用があったら行っていいですからね、運輸大臣がおられますから。  次に、時間の関係で自賠償の問題に入らしていただきますが、自賠償の報告等を考えていきますと、いろいろな事件が起きているわけですね。いま医療の荒廃もさることながら、これは部分的な問題で質問をしまた提言をするわけですが、三年なり二年ぐらいにずっと変えてきたわけですね。この実態を見ますると、いままでの改正の事実から見ますと、五百万から一千万円あるいは一千万から千五百万円あるいは千五百万から二千万円ということを変えてきた年数は大体二年ないし三年なんです。ですから、昭和五十三年七月に決めましたこの二千万円も同時にまた百二十万の医療費の金額も当然変えてくる時期にそろそろ来ている。物価指数も同じように上がってきている。また医療費もいま言ったように今度手術も値上げするなんということを言っているくらいである。そうでなくたって自賠償の医療費は普通の病気の八倍から十倍というのが世間相場ですからね。だから傷害の場合は見舞い金とかそういうものは出ない、医療費だけで全部食われてしまう、こういう現在の状況となっているわけです。  ですから、現在の収入支出から見ますると、五十三年度末で保険料の収入は五千九百七十億、支払い保険は四千二百五十一億。これがもし十分の一であったとすればたったの四百二十五億で済んでいる。その倍だとしても一千億ぐらいで済んでいる。そうすると五千九百七十億も国民が納めそして支払われた保険金が、いま言ったような二千万円の死亡関係はそうごまかしはないんですが、そうでない医療関係についてはもう相当な大幅なものがあると考えて差し引き計算をしてみても約二千億ぐらいの増ということになる。ですから、まず期間としては五百万、五百万、五百万上げてきた。判例もだんだん上がってきている。そういう状況から見て、やはり死亡一時金についても増額すべきだし、それから傷害による損害の医療関係についても百二十万を引き上げるべき時期に来た、こういうふうに私は判断するし、財政的にもそういう可能性があるというふうに思います。その方法一つ。それからもう一つは掛金を値下げをするということ。もしこれだけ点検を十分にやっていくならば二千億程度出てくる。その二千億は当然国民に還元すべきあるいは税金を下げる、こういうことにも通ずるわけです。いずれをとるかは別として、やはりもっと見直しをして、引き上げなら引き上げの方に答弁を考えていくことは妥当な線じゃなかろうか、こういうふうに思いますが、その点御意見を承りたいと思います。
  35. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生指摘のとおり、自動車損害賠償責任保険の保険金の限度額につきましては、五十三年七月に死亡について千五百万から二千万に、傷害につきましては百万から百二十万に、後遺障害につきましては障害の程度に応じて千五百万から五十六万となっておったものを二千万から七十五万というふうに引き上げまして、また五十四年二月には支払い基準を改定いたしております。  いまお話しになりました今後の保険金の限度額の引き上げについてでございますが、これにつきましては、裁判等におきます賠償の水準あるいは物価、賃金水準等の経済、社会の動向、他の損害賠償制度におきます賠償水準の推移、保険収支の状況というものを勘案しながら、被害者保護に欠けることのないようしかるべき時期に慎重に検討してまいりたいと考えております。
  36. 沢田広

    沢田委員 しかるべき時期に検討するなんというのは、われわれのせせこましい今日の日本の情勢の中で、そんなものは答弁になっていないですよ。やるのかやらないのか、どっちですか。やるならいつです。この忙しいさなかにやっているのだから、間の延びた答弁はしないでもう少しきっぱりやってくださいよ。
  37. 飯島篤

    ○飯島政府委員 保険金の限度額につきましては、正直のところ言ってまだ時期を申し上げる段階に至っておりません。いろいろなデータを収集いたしているところでございます。ただ、先ほどちょっと触れました支払い基準につきましては、目下具体的な作業に入っております。
  38. 沢田広

    沢田委員 大蔵省の方も来ておるわけですから、これは大蔵省の方の財政計算の面から見て、一般の生保業界というもの、あるいは判例等から見て、私は若干でも引き上げなければならぬ時期に来たと思っておりますが、これはどういうふうにお考えになっておられるか、お答えをいただきたい。
  39. 松尾直良

    ○松尾説明員 ただいま自動車局長からも御答弁がございましたように、この問題を考える場合の要素といたしまして、一つ先生指摘のような裁判の事例による賠償の実績というもの、それから物価、賃金水準というようなもろもろの価格の動向、もう一つは、ほかにいろいろな賠償制度がございますが、そういったものにおきます死亡の場合の補償金というものとのバランスの問題、最後に保険収支がどうなるかという四つがあろうかと思うのでございます。  第一の裁判の実例がどうなっておるかというのは、これは資料的にはある意味では時々刻々わかるというものではなかろうかと思っておりますし、二番目の世の中一般の価格水準がどうかということも、統計的には比較的簡単に把握可能なものであると思います。そこで、三番目のほかの制度との関連でございますが、私ども承知しております限りでは、現在の死亡を例にとりまして二千万という水準は、たとえば最近にできました制度として犯罪被害者に対する救済の制度、これは御案内のとおり約八百万というような水準であるということでございます。類似のいろいろなものがございますが、そういったものとのバランスを考える余地があるのじゃなかろうか。それから、最後の保険収支の点でございますが、五十三年七月に現在の二千万、傷害の百二十万というようなものに引き上げましたときに、今後の保険収支を考えまして、保険料を据え置きのままで引き上げを行ったわけでございます。したがいまして、五十三年度以降保険収支が若干ずつ赤字になっていく、いわばそれまでに蓄積されておりますものを食いつぶしていくという前提で料率を変えないで引き上げを行ったわけでございまして、この保険収支、いわゆるポリシー・イヤー・ベースと申しますか、実績が出るのにかなり時間がかかります。ただ、私どもいろいろな方法で推計いたしてみますと、保険収支はずっとマイナスで来ておりまして、今後限度額の引き上げが妥当かどうかを考える場合に、先生おっしゃいますような限度の引き上げか料率の引き下げかという選択ではないという状況にあるように推察をいたしておるわけでございまして、そういった点からいま直ちに引き上げるということを現在の時点では考えておらないということでございます。
  40. 沢田広

    沢田委員 物価水準その他から見れば約二割ぐらいは上がらなければならぬという状況にある。五十三年七月から今日までの物価水準、賃金水準を考えればその程度になりますね。そうすると、大体二千四、五百万という数字にはなるわけです。片方も、二割とすれば百五十万ぐらいに上げなければならぬ。十分に財源はあると私が思っているのは、あなたがどう言おうと何しようと、自賠償の医療の請求のでたらめさというものは実績として出ている。厚生省を呼んでいないのですけれども、実際にあなたの方では内部チェック、点検してみたことはありますか。どこにでも、マスコミの方からだっていろいろ出ているじゃないですか。時間の関係であと六分か七分しかないから、挙げる例は幾つもあるのですがきょうは挙げませんけれども、たくさんのでたらめ請求があるわけですよ。常識八倍と言うのですよ。大臣、知っているでしょう。普通の健康保険にかかった八倍は自賠償では取られている。そういうことをもっと点検し直してみれば――八倍と言えば二千億も浮いてしまうのですよ。そういう点を大目に見ておいて、今度は料金の値上げか収支の方だということを議論しても、国民は納得しないですね。だから、数として見れば通知制度を拡大するとか、病気になっても、被害者請求をやる場合もありますが、大体加害者がやってしまう。本人は、治ればいいやということで出ていってしまう。幾ら金がかかったかということは皆目わからない。その辺の内容をきちっと精査する気持ちはありますか。
  41. 松尾直良

    ○松尾説明員 御指摘のとおり、医療費の問題が非常に重大であり、かつ大きなウエートを占める問題であるということで当委員会でも常に御議論がございまして、そういう御議論を踏まえまして、私ども運輸省、厚生省と三省で協議会をつくりまして、この医療費の実態調査を行ってきておりますし、またいろいろな協議をいたしておるわけでございます。  救急医療という特質から通常の医療より若干医療費が高いということはある程度避けられない問題もあろうかと思うのでありますけれども、自動車の保険料率算定会の損害査定事務所というのがそれぞれ地方にございます。ここでそれぞれの地区の医師会との間で一点単価をどうするかというようなことにつきましても協議をするというようなことで、大変むずかしい問題でございますけれども、それなりにここ二年ばかりいろいろやってきておるわけでございます。ただ、それがなかなかすぱっと解決していないという点は御指摘のとおりかと思うのでございますが、三省協議会に基づきますいろいろな実態調査につきましても、目下最終的な報告整理の段階に入っておりますので、医療費の問題というのは私どもだけでもなかなかできない問題でございますし、厚生省、運輸省の御協力を得ながら医療費の適正化ということに今後とも取り組んでいきたい、かように考えておる次第でございます。
  42. 沢田広

    沢田委員 そのいままでやったやつを公表していただけませんか。幾らか高いということは認めますよ。二割五分夜間勤務にはくっつく、あるいは深夜になれば五割増しになる、こういうことですから。それにしたって、多目に見たって倍以上にはならない。五割増しというのは常識の線でしょう。しかし、これだって年じゅう夜ばかりの事故とは限らぬ、昼間の事故もあるのですから、そういうようなことでいけば、五割増しだってこれは甘い線なのですね。それが八倍というのは、これはぶったくりよりどろぼうよりひどいのだ。合法的などろぼうなのだ。だから、こういうことが許されて、世の中の正義というようなものがもし仮にあるとすれば、まあいまは余りないけれども、しかし、もしあるとするならば、こういうものがまかり通る世の中なんというものはでたらめな社会だということになってしまう。だから、そういうことから見れば、皆さんはどういうふうに思っておられるかわからぬが、国民の政治への不信感あるいはこういうようなものに、車検も含めてですが、車検のときにべらぼうな金を持っていかれてしまう、そういう不信感を招かないで済む。それだけの努力をした者が、事故があった場合には、死亡一時金になるなりあるいは傷害の医療費になるなり、そういう見返りにわれわれは厳重にやっているのですよという、もっと中正な立場はとれませんか。もう余り時間がなくなってしまったので、意見になってしまいましたけれども、いままでの資料を公表してもらうこと、そして国民の前でいままでの実績の医療費がどういうものであったか、それを明らかにして、そしてその中から判断をする。その上に立ってさらに、いま二割程度は物価も賃金も上がったのだからそれは上げてもらう、あとは内部の節約でやる、十分金は出せる、私はこういうふうに考えますが、いままで八倍だったとかということは知っているのでしょう。そういう条件の中からこの自賠償の問題をさらに見直して充実をさせる、そういう気持ちで、引き上げるということで検討していただけませんか。
  43. 松尾直良

    ○松尾説明員 八倍というのが非常に極端なケースとして、そういうものもあろうかと思いますが、全部が水準として八倍だというふうには私ども伺っておりませんが、いずれにしても御指摘のような実態、関係省とも協議をいたしまして御報告するようなことを考えてまいりたいと思っております。
  44. 沢田広

    沢田委員 運輸大臣、どうですか、これは。
  45. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も保険料とか支払いの保険給付額、これの問題で絶えず関係者が検討しておることも承知いたしておりますし、交通事故の発生件数がずっと下がってまいりまして非常にいい傾向であったと思っておったのが、昨年あたりからちょっと横ばいの状況でもあるわけです。そういう点がございますので、私は、自賠責の財政、これは今後ともそう楽観的な見方もできないように思うのです。そこで、いま御提案のございました医療費の正確な支払いというもの、これはやはり重大な関心を持って見なければいかぬ、これが正確に被害者保護になっておるのかどうかという点ももっと見なければいかぬと思いますので、実態調査等を通じまして、われわれもその点は十分に意を払っていきたいと思うております。
  46. 沢田広

    沢田委員 大臣の言われたのをひとつ下の幹部は、下というと余り縁起がよくないでしょうが、いわゆる官僚の皆さんは、この間の答弁ではないが、拳々服膺して、速やかに資料の提出、点検、そういうようなものをひとつやるように。これはよろしいですね。――頭を振っているから。こう言っておかないと、返事をしたかしないか速記録に残っていかないから、ちゃんと頭を振っていた、縦に振っていたということを現象報告をして、そして私の質問はちょうど時間になりましたから終わりますけれども最後に、これは建設大臣、先ほども述べたように、現在のこの交通安全に対するもとからの見直し、道路構造、それから最後になって、もう三十秒ぐらいしかないのですが、これは運輸省と両方なんですが、自転車の法律ができました。国立などはまた条例をつくったようですが、政令はいつ出してくれるのですか。いつごろ出す予定ですか。  それから、道路構造令の中で自転車道というものを敷設する背景はどういう具体的な進め方をしているのですか。簡単にひとりお答えをいただきたいと思います。
  47. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  いわゆる自転車法案に関しましては、この前の臨時国会でも先生からお尋ねがございましてお答えをしたわけでございます。ただいま、道路構造令の改正につきましては、この自転車問題、それから、先ほどお尋ねのございましたいわゆる道路安全対策、環境対策を含めましたもの、これを入れるべくただいま鋭意検討しているところでございます。なるべく早い機会に改正に持ってまいりたいと思っております。
  48. 沢田広

    沢田委員 なるべく早いというのが、これがよくないのだよ。もう時間になるけれども、なるべくとか、そのうちとか、というのはだめなんであって、いつごろまでと、答弁にはもう少し見通しと自信と、それから自分の決意を持って述べてくださいよ。
  49. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 ただいまその原案の素案をつくりまして、各地方建設局あるいは都道府県等の現場の担当者の意見を聞くべく照会中なんでございます。これがまとまってきました段階で、まあ本省へ返ってきましてから半年もあれば大体まとまるのじゃないかと思います。
  50. 沢田広

    沢田委員 時間がないからきょうは勘弁しますが、この次はそういう答弁をしないように……。  どうもありがとうございました。
  51. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、中路雅弘君。
  52. 中路雅弘

    ○中路委員 限られた時間ですから、一つの問題にしぼってお尋ねしますが、ことしの国際障害者年を迎えまして、障害者の社会生活、社会の全面的な参加ということが目的になっているわけですが、障害者のための町づくりといいますか、特に交通体系の問題ですね。この障害者対策と関連して、建設省あるいは運輸省で特に力を入れてやっていきたいという施策について、一言でいいのですが、簡潔に最初大臣から、建設大臣運輸大臣からお聞きをしたいと思います。
  53. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  一言にということでございますから一言申し上げますと、障害者のための道路対策といたしましては、すでに第一次、第二次交通安全施設整備事業で推進してまいってきておりますので、国際障害者年であるからということでなく継続的になお配意しながら、また後ほど御提案申し上げます第三次交通安全施設事業の中に盛り込んで対処してまいりたい、このように考えております。
  54. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 できるだけ運輸省関係の諸施設あるいは交通機関等に対しまして、積極的に取り組んでまいります。
  55. 中路雅弘

    ○中路委員 具体的な問題で一、二お尋ねしたいのですが、一つは、国際障害者年日本推進協議会の方から出されています幾つかの要望事項があるわけですが、建設省所管のもので交通安全に関するものとして、いまの点字ブロックですね、進められています点字ブロックの形状や施設設置方法が全国的に統一されてない、各団体の意見もありまして、ばらばらのところがあるということが関係者から指摘されているわけですが、この問題、これからどんどん敷設が進んでいく、また障害者が遠くへ移動するという際にばらばらだと非常に困難もありますし、要請として点字ブロック、盲人用信号機等の形状や施設設置方法の全国的な統一を図ってほしいということが一つ強く出されています。建設省として、たしか四十八年に関係の局長の通達、あるいは課長名での点字ブロックについての基準づくりのための参考例を地方自治体などに示して意見を求められていることもありますし、四十九年には建設省技術研究補助金で交通安全協会がこの問題の研究もされた文書もいただいているのですが、この要請、全国的に統一、調整してほしいという問題について、いまどのように対処されているのか、お尋ねしたいと思います。
  56. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えをいたします。  ただいまいろいろ通達を出しておりますような状況につきましては、先生からお話のあったとおりでございまして、いま基準にいたしておりますのは、先ほどの四十八年十一月十四日付に示しましたいわゆる点字ブロック等の設置参考例というものを流しておりますこれを参考にしておるわけでありまして、その後もさらに、御指摘がございましたようにいろいろ研究は進めているわけでございます。  まあ、見ますと、地域によりまして若干そういう不統一というようなものも見られないわけではございませんけれども、こういったものは道路もそうでございますが、道路以外の公共の建物であるとかそういったものも統一するとするならば、やはり一緒にした方が望ましいわけでございます。その点につきましては担当の厚生省を初めとする関係機関、地方公共団体、視覚障害者団体等といろいろ御相談をしながらやる必要があろうかと思いますので、この点につきましては、私どもとしてもできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  57. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題は昨年の予算委員会の分科会でも私たちの同僚議員が取り上げまして、厚生省の方も全国的な統一的な形になっていくということが非常に望ましいので、そのような方向で努力する、当時の野呂厚生大臣が中央心身障害者対策協議会の場でも取り組んでいきたいという答弁もされていますし、すでに一年経過をしているわけですね。そういう点ではひとつ関係の厚生省等も含めまして、これからどんどん敷設が進むわけですから、早急にこの調整については結論を出して、関係のところへ指示も出すようにしていただきたいということをあわせてお願いしておきたいのですが、大臣、この点ひとつ急いでいただきたいのですが、いかがですか。
  58. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生の御指摘をまつまでもなく、その方向をつけて一応のガイドラインはできておるわけでありますので、積極的に進めてまいります。
  59. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点、運輸省の関係でエレベーターの問題なんですが、最近障害者の垂直移動といいますか、地下鉄だとかあるいは駅も橋上駅になってきますと、大きな都市交通は地下鉄が中心になってきますから、その際に現在ですと障害者の利用に大変大きな、文字どおり困難をもたらすわけですね。  最近お聞きしましたら、京都市で近く開通する市営地下鉄烏丸線というのは六・九キロの間で五月の末に開通するのですが、営業開始時点で全駅の八駅のうち大きな四駅では障害者が利用できるエレベーターが設置される。あるいは福岡市でも現在工事中である地下鉄一号線、一部開通ですが、身障者が利用できるエレベーターがこの部分開通の段階で七駅中利用者の多い二駅設置、さらに博多まで延長されるときには、四駅か五駅になると言われていますし、大阪市でも新線建設の中でエレベーターの設置が計画されているようです。首都圏、東京を見ますと、交通営団及び都営地下鉄、それぞれエレベーターの設置、いままでは全くされてないのですね。  私も丸の内線を使って国会へ来ているのですが、たまに見るのですけれども、ボランティアあるいは介添えの人がついて、最近は電動いすが多いわけですから、助役まで動員されて三人、四人がかりであの階段を上るという場面も見受けられるわけです。垂直交通の中ではエレベーターが一番安全な手段でもありますから、既設の地下鉄に設置する場合には大変これから障害も多いわけですが、特に新しく今後地下鉄等を建設する場合には、この問題はこれからの交通中心になってきますから、運輸省も積極的に推進してほしい。たとえば横浜の市営地下鉄が五十九年に新横浜駅まで延長されるのですが、何か横浜市の当局と障害者の皆さんがお話し合いしたら、横浜ではこの区間にはエレベーターをつくらない。エレベーターは危ないとかいろいろ意見もあるそうですが、少なくとも新横浜駅のような大きな駅は検討したらどうか。技術的な問題もあると思いますから、運輸省としても関係のところとも相談していただいて、こういう新設される地下鉄にはできる限りこうした施策が推進できるようにひとつ進めていただきたいと思うのですが、エレベーターの問題について、まず最初に大臣にちょっとお考えをお聞きしておきたいのです。
  60. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 お尋ねの中にございましたように、既設の駅にはなかなかこれはむつかしいと思うのです。ですから、新設に際してはできるだけ配慮するように、私の方からも関係当局の方にこういう要望があるということを強く要請いたしておきます。
  61. 中路雅弘

    ○中路委員 横浜の地下鉄については、私の方に障害者団体からも直接要望もいただいているものですから、一度御相談していただきたい。それから既設の場合は、エスカレーターが設置されているところで、車いすの利用者が、単独では無理としても一人の介添え人がいれば車いすのまま利用できるということがあれば非常に改善されるわけですね。ただ、いまのエスカレーターですと、調べてみますと、車いすの幅と介添え人が少なくとも車いすを支えられるだけの幅が必要でありますし、踏み面といいますか平らな部分ですね、こうした幅やけ上げの高さも関連するので研究しなければいけない問題が最低あるわけですけれども、幾つか個所によって違うのですね。たとえば新玉川線のエスカレーターは、介添え人があれば障害者の人が利用しやすいという話も聞いているのです。  時間が限られていますから、詳しい御紹介は、いま持ってきているのですが、しませんけれども、こういった問題の研究者の人たちの文書を見ますと、いまのエスカレーターの幅の問題ですね、身障者が使用できるようにいろいろ改良する必要があるけれども、現状でも少々の改良で一層使用しやすくなるということをいろいろ研究の結果として出しているレポートを読ましていただいたのですけれども、介添えによって既設の設備も安全に利用する可能な方法が考えられるとすれば、エスカレーターの問題について、特に病院の多いところとか、身障者の利用される乗降部の多いところについて、首都圏ではもうエレベーターというのは全くないわけですから、こうした改善についても、規格の問題等もあると思いますから、ひとつ今後通産省を含めて検討をしていただきたいと思うのですが、どなたか担当の方でエスカレーターの改善の問題を少し御意見をお聞きしたいと思います。
  62. 石月昭二

    石月政府委員 ただいま先生お話の御趣旨をよく踏まえまして、関係のところとも十分連絡をいたしまして、規格の統一等につきまして努力をいたしたいと思っております。
  63. 中路雅弘

    ○中路委員 特に最近電動の車いすが多くなっていますから、前のいすですと相当力があれば一人で担いでいくのですけれども、東京の周辺の地下鉄は、駅員が、助役までいつも動員されるという話も聞いておりますので、ぜひこの検討は急いでいただきたい、研究していただきたいと思います。  それから、さっきちょっともう一つお聞きしておこうと思って飛ばしたのですけれども、点字ブロックとの関係で、先ほど言いました交通安全協会の研究の中にあるのですが、点字の案内板という問題です。この研究の中には、メンバーには建設省道路局の人たちがみんな加わっているんですね。だから私は建設省でもお答えができるのではないかと思うのですけれども、この中に、いろいろ点字の案内板というのは、行き先案内というものですか、公共施設等へ向けた盲人用の案内板ですね。そのまとめの中で、「僅かの誘導施設であっても、それが大きな安全効果をもたらし、或は誘導施設の不足する地点においても、安全な歩行が保証され可能となる」ということもその研究の文書のまとめの中で触れられているわけなのです。まだこの盲人用の案内板というのは具体的にはされていませんけれども、こうした研究、実験もやっておられるわけですから、ひとつこの点は具体化するということで検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
  64. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 研究につきましては、点字ブロックの開発研究のほかに、いま御指摘のように、盲人用案内板の開発研究を確かにいたしております。ただ、先生も御指摘がございましたように、やはりこれは統一のものが各所にできるということが望ましいと思いますので、私どもも一生懸命研究はいたしましたが、まだ範囲が若干狭うございますので、各般の方々との調整を急ぎたいと思います。
  65. 中路雅弘

    ○中路委員 あと数分ですから、先ほど沢田先生も御質問になった点で最後一、二問お聞きしておきたいのですが、自転車法の問題です。  昨年十一月、この自転車法が成立して、施行期日がたしか六カ月以内ですから五月中旬ごろまでには施行ということになるわけですけれども、このための施行令とか施行規則あるいは基準をどのように準備されているのか。施行令や施行規則は作成されるのかどうか。  また同時にあわせて聞いておきますが、たとえば第六条の「自転車駐車場の構造及び設備の基準」、先ほど出ましたが、この第二項に関連した技術的な指針、こういうものの作成はいつごろまでにされるのか、お尋ねしたいと思います。
  66. 仲山順一

    ○仲山政府委員 自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律は、いまお話しのとおり、昨年十一月二十五日に公布を見ておりますが、その施行の準備のために、昨年の十二月初めに自転車総合対策関係省庁会議、それから省庁別のヒヤリングを行いまして、基本的な事項につきまして協議しておりまして、さらにまた本年の二月から三月にかけまして都道府県、政令指定都市交通安全主管課長会議、大都市地方自治体に対する説明会等を通じまして、この法律の趣旨及び関連制度の概要等につきまして周知徹底を図っているところでございます。本法の施行は、いま指摘のとおり、公布の日から六カ月を超えない範囲において政令で定める日とされておりますので、それまでの間に関係省庁と十分協議を重ねまして、法施行の準備に遺憾なきを期してまいりたい、こう思っております。  先ほどの御指摘の点につきましても、よく検討いたしまして、考えていきたいと思っております。
  67. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一、二点で終わりますが、運用解釈についても明確にしなければなりませんし、地方自治体や道路管理者等に対して、法律が適正に運営されるような処置をとるべきだと思いますけれども、お聞きしますと、資料集等も準備しているというお話ですが、資料集ということになりますと、施行まで待つまでもなく、早急にまとめて地方自治体等に利用できるようにすべきだと思いますが、いかがですか。
  68. 仲山順一

    ○仲山政府委員 おっしゃるとおりでございますが、今度の法律は施行令それから施行規則への委任事項はないので、施行通達等で、いま御指摘のような点を入れまして、運用上留意事項をはっきりしまして、遺憾なきを期していきたい、こう思っております。
  69. 中路雅弘

    ○中路委員 最後にもう一点お聞きします。  国の助成措置の問題、十二条の中で助成措置等が決められているわけですが、具体的な補助対象の範囲だとか、補助率、補助内容、これはやはり政令などで明確にすべきじゃないかという意見を私は持っているのです。積極的に自転車駐車場の設置に力を入れていく、そういう点でもこの点は明確にしていくことが重要じゃないかと思うのです。最後にこの点についてのお考えもお聞きして、私は、積極的にこうした問題については明確にしていただきたいと考えますが、いかがですか。
  70. 仲山順一

    ○仲山政府委員 この点につきましてはすでに予算で措置されておりますので、その予算の範囲内で運用を、十分に御趣旨のとおりにやらしていただきたい、こういうふうに思っております。
  71. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの点では、私は、もっと積極的にこうした補助の内容について、補助率を含めて政令で明確にすべきだという意見を持っているわけですが、この点はひとつ検討していただくということで、時間になりましたので質問を終わります。
  72. 斎藤実

    斎藤委員長 伊藤公介君。
  73. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 大変時間が限られておりますから、ほんの二、三点、基本的なことを、きょうは大臣御出席でございますから伺いたいと思います。  ただいま御議論になりましたけれども、ちょうど私ども委員会で昨年自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律というものを努力してつくり上げ、関係各方面の御努力をいただいて、間もなく施行になるわけでありますが、この趣旨が今度の第三次交通安全施設等整備事業五カ年計画というものにどのように生かされているのかということをまずお伺いいたしたいと思います。
  74. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  第三次交通安全施設整備五カ年計画におきましては、自転車の問題につきましてもその安全の確保という点について考えておるわけでございまして、自転車道あるいは自転車歩行者道の整備を推進するということにいたしております。いろいろ場所によりまして構造的に分離するとかあるいは歩道と一緒にするとかというような場合もあるわけでございますが、公安委員会の行う交通規制と連携を図りつつ、効果的なものにいたしたいと思うわけでございます。それで第三次五カ年計画におきましては大体自転車道、これは自転車歩行者道を含むわけでございますが、七千百キロメートル程度整備いたしたいと考えております。ちなみに現在ございます延長は、五十五年三月末でございますが、自転車道と自転車歩行者道、それから自転車歩行者専用道路と言っておるものもございますが、全部合わせて約二万九千六百キロでございます。
  75. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 第三次交通安全施設等整備事業五カ年計画の中で、建設大臣所信表明の中にもございますとおり、弱い立場にある方々安全対策あるいは自転車利用者交通事故から守るということが一つの柱になっておりますし、もう一つは踏切を指定して、立体交差化あるいは連続立体交差化の事業を推進をするということを進めたい、いずれも大変大事な問題でございます。しかし、先ほども御議論ありましたけれども、特にことしは身障者に対するいろんな提案もされ、企画もされているわけでありますけれども、そういう年だからということではないにしても、こういうことを契機にしないと、なかなか道路対策の中でも、たとえば道路の段差をなくして車いすで歩けるようにと言えば、盲人の方々にとってはさらに細かな配慮をしないと、段差をなくすことによって、逆に非常に安全に通行するということが不可能になってしまう。いろいろな配慮が必要だと思いますが、そうしたいろいろな、特にハンディキャップを持っている方々交通安全に対する、あるいは一人で野外の道路を渡ったりできるということを、どういう形でそういう皆さんの意見というものを調査をして、具体的に行政に生かしているか、まずそのどういう形でやっているかということをお伺いしたいと思います。
  76. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 必ずしも全般についてお答えできるわけではございませんけれども、先ほどいろいろ点字ブロックのお話がございましたように、いろいろな協会あるいは組織があるわけでございまして、非常に数は多いようでございますけれども、たとえば一例として申し上げますならば、世界盲人福祉協議会であるとか、日本盲人福祉センターであるとか、いろいろあるようでございます。こういった方々の御意見を伺ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  77. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 これまではいろんな各種団体、機関があったと思うのですけれども、そういう各種団体、機関の意見調整をどのようにして、具体的にそういうものを、たとえばいま申し上げたように車いすの方々にはこういう道路方法を考えたらいいとか、あるいは目の見えない方々にはどういう配慮が必要だとか、そういうことの、つまり道路を利用するハンディキャップを持った方々のそうしたニーズをどういう形で吸い上げていくか。そういう機関というものはきちっと整理できていないのですか。どういう形でいままでやってきたのですか、それを伺いたい。
  78. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 先ほどの例で申し上げますならば、いろいろと調べました結果、こういう方々の団体がよかろう、こういうことでございまして、なお、先生の御指摘の、今度は車いすの場合とかございますので、私どもも十分研究をいたしまして、そういった方々の声をくみ上げるようにいたしたいと思っております。
  79. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 重ねて伺うようですけれども、いまそういう団体が幾つあって、そうしてそういう方たちと定期的にそういう皆さんの声を聞くという、そういう関係の機関というものはすでにできているのでしょうか。もし個別的であるということなら、そうしたいろいろな、ハンディキャップを持っていると言っても非常にいろいろな方たちがいるわけでありまして、きめの細かい行政が必要だと思っているわけで、きちっとしたそういう皆さんからの声を吸い上げるという連絡の協議会といいますか、そういうものが必要ではないかと実は思っているわけなんですが、これまでそういう機関が具体的にできていて、あるいは定期的にそういう会合をお持ちになってこられているのかどうか。もしそういうことが十分できていないとすれば、こうしたことを契機にして関係の各団体との連絡協議会、そうしてそういうところからの意見というものを吸い上げて具体的に行政に生かせるという道を聞くべきだと私は思っておりますが、どうでしょうか。
  80. 仲山順一

    ○仲山政府委員 総理府にいま障害者年の室もございますし、いろいろと関係の団体等もございますから、御趣旨の点よく拝聴しまして、その線に沿ってさせていただきたい、こう思っております。
  81. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 ことしはいろんな意味で非常にいい機会だと思いますので、ことしこういうチャンスに皆さんのいろいろな意見というものを吸い上げられるきちっとした機関というものができていれば、それが今後も継続されるわけでございます。私も身近に車いすを使っている身内もございまして、いろいろそういうことを常日ごろ、こうしてほしい、ああしてほしい、しかしこうすればこちらが立たないという、しかし両方調整してこうすればうまく信号を渡れるのですといういろいろな意見を実は聞いているわけなんで、ことしは、定例で皆さんからのいろいろな意見を調整できるという機関をぜひつくっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それからもう一つの非常に大きな柱でありますが、私ども都市の東京に住んでおりますと、踏切の問題ですね。たとえば東京を例にとりますと、どこに行っても交通道路にしても鉄道にしても東西に向けてできているわけでありますが、南北の交通というものはみんな踏切でずたずたになっていて、そしてこれは、いままでやってきたけれども、五十六年度以降もさらに改良すべきところは改良するんだ、こういう御趣旨だと思いますが、これまで踏切改善あるいは立体交差の作業というものは、東京なんか見ますと非常におくれているわけですね。交通渋滞の一番ネックになっているのがこの踏切なわけで、せっかく大臣御出席でございますから、この踏切を指定して立体交差化あるいは連続立体交差化の事業を推進するということでありますが、具体的に五十六年度以降どういう形で、しかも実際に大都市でどんなふうに掌握をされていて、いままで以上に強力に取り組んでくださるという御決意だけ伺って、質問を終わりたいと思います。
  82. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生の御指摘のように、大都市における交通渋滞のネックはまさに交差地点にあるわけであります。後ほど御提案申し上げます今次五カ年計画におきましてもそれを盛り込んであるわけでありますが、すでにある道路の立体交差化、しかも継続的ということについてはなかなか頭を痛め、その周辺環境の問題もございましょうが、具体的なことについてはケース・バイ・ケースで、できることからやっていくという方法しかなかろうかと思いますが、とにもかくにも過密都市における渋滞解消のための先生の御指摘考え方については全く同感でございまして、積極的に取り組んでまいりたいと思います。  あわせて、この問題は過密都市における防災対策上からも非常に緊急な問題なんです。したがって、御指摘を待つまでもなく、あらゆることを想定して積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  83. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 終わります。      ――――◇―――――
  84. 斎藤実

    斎藤委員長 次に、内閣提出交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提案理由の説明を聴取いたします。斉藤建設大臣。     ―――――――――――――  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  85. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ただいま議題となりました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  交通事故の防止は国民共通の願いであり、従前より、国、地方公共団体等が一体となって各般の交通安全対策を強力に実施しているところであります。  この結果、交通事故は年々減少の傾向をたどってまいりましたが、最近に至って再び増加の兆しが見られ、昭和五十五年においては、交通事故による死者は八千七百六十人、負傷者は約六十万人に達しており、その状況には、依然として憂慮すべきものがあります。  このような情勢に対処するため、現行の計画に引き続き、昭和五十六年度以降の五カ年間において、交通安全施設等整備事業に関する計画を作成し、総合的な計画のもとに交通安全施設等整備事業を実施するとともに、踏切道についても、現行の措置に引き続き、昭和五十六年度以降の五カ年間において、その改良を促進するための措置を講ずる必要があります。  したがいまして、法律案といたしましては、第一条で、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正し、昭和五十六年度以降の五カ年間において実施すべき交通安全施設等整備事業に関する計画を作成することとするとともに、第二条で、踏切道改良促進法の一部を改正し、昭和五十六年度以降の五カ年間において改良することが必要と認められる踏切道について指定することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願いいたします。
  86. 斎藤実

    斎藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十三分散会