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1981-03-27 第94回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十七日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 伏木 和雄君 理事 渡辺 武三君       鹿野 道彦君    桜井  新君       田村 良平君    谷  洋一君       登坂重次郎君    中西 啓介君       中村正三郎君    羽田野忠文君       畑 英次郎君    船田  元君       保利 耕輔君    堀之内久男君       井上 普方君    小野 信一君       山花 貞夫君    横山 利秋君       竹内 勝彦君    薮仲 義彦君       瀬崎 博義君    中島 武敏君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君  出席政府委員         国土庁水資源局         長       北野  章君         建設政務次官  住  栄作君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 大塩 敏樹君         環境庁水質保全         局水質規制課長 渡辺 一志君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     渡辺  修君         建設省都市局下         水道部長    遠山  啓君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   横山 利秋君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     横山 利秋君 同月二十七日  辞任         補欠選任   金丸  信君     保利 耕輔君   鴨田利太郎君     船田  元君   竹中 修一君     畑 英次郎君   村田敬次郎君     中村正三郎君   薮仲 義彦君     竹内 勝彦君 同日  辞任         補欠選任   中村正三郎君     村田敬次郎君   畑 英次郎君     竹中 修一君   船田  元君     鴨田利太郎君   保利 耕輔君     金丸  信君   竹内 勝彦君     薮仲 義彦君     ————————————— 三月二十七日  住宅都市整備公団法案内閣提出第三四号) 同月二十五日  小零細建設業者受注確保等緊急対策に関す  る請願(安藤巖紹介)(第二一三四号)  同(岩佐恵美紹介)(第二一三五号)  同(浦井洋紹介)(第二一三六号)  同(小沢和秋紹介)(第二一三七号)  同(金子満広紹介)(第二一三八号)  同(栗田翠紹介)(第二一三九号)  同(小林政子紹介)(第二一四〇号)  同(榊利夫紹介)(第二一四一号)  同(瀬崎博義紹介)(第二一四二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二一四三号)  同(辻第一君紹介)(第二一四四号)  同(寺前巖紹介)(第二一四五号)  同(中路雅弘紹介)(第二一四六号)  同(中島武敏紹介)(第二一四七号)  同(野間友一紹介)(第二一四八号)  同(林百郎君紹介)(第二一四九号)  同(東中光雄紹介)(第二一五〇号)  同(不破哲三紹介)(第二一五一号)  同(藤田スミ紹介)(第二一五二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二一五三号)  同(正森成二君紹介)(第二一五四号)  同(松本善明紹介)(第二一五五号)  同(三浦久紹介)(第二一五六号)  同(三谷秀治紹介)(第二一五七号)  同(蓑輪幸代紹介)(第二一五八号)  同(村上弘紹介)(第二一五九号)  同(山原健二郎紹介)(第二一六〇号)  同(四ツ谷光子紹介)(第二一六一号)  同(渡辺貢紹介)(第二一六二号)  同(阿部未喜男君紹介)(第二一九三号)  同(池端清一紹介)(第二一九四号)  同(上田卓三紹介)(第二一九五号)  同(上田哲紹介)(第二一九六号)  同(上原康助紹介)(第二一九七号)  同(小川国彦紹介)(第二一九八号)  同(久保等紹介)(第二一九九号)  同(上坂昇紹介)(第二二〇〇号)  同(清水勇紹介)(第二二〇一号)  同(関晴正紹介)(第二二〇二号)  同(田邊誠紹介)(第二二〇三号)  同(高田富之紹介)(第二二〇四号)  同(武部文紹介)(第二二〇五号)  同(福岡義登紹介)(第二二〇六号)  同(藤田高敏紹介)(第二二〇七号)  同(米田東吾紹介)(第二二〇八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三三号)  住宅都市整備公団法案内閣提出第三四号)      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 きょうは三月二十七日であります。下水道質問を始めます前に、大臣に少し確認をしておきたいと思うのです。  先般、当委員会会計検査院大蔵省に来てもらいまして、要するに三月末で工事が竣工していないのに竣工したと称して予算を支出した案件は全国で約一万件あった、その一万件の件数はすべてこれ刑法に基づく公文書偽造である、自今かかることのないように継続申請をして、違法なことのないように厳重にお願いをいたし、両大臣を初め各関係諸公は、本年はさようなことのないように努力することをお約束なさいました。  一方、与野党の間に合意がございまして、本年度自然増収あるいは不用額あるいは剰余金等がどれぐらいあるか、その見積もりは困難であるといたしましても、減税をぜひしたいというのが衆議院の総意となりました。まさにその意味におきましては、私が注文いたしました公文書偽造せずに本年度支出すべきものでないものは支出すべきでない、継続にするというふうにしたならば、五十四年、五十二年の実績をもってすれば、建設省大蔵省をもってしても相当の不用額が出ると思うのであります。それが減税に使用されるのでありますから、その点については、先般当委員会で行いました質疑応答を十分踏まえて遺憾のないようにしておられると思うのですが、いかがでしょうか。
  4. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  未執行の問題につきまして過般来先生初め先生方から御指摘をいただいておりますし、会計検査院指摘をいただきましたこと等をよく承知いたしまして、そのようなことで貴重な財源をいわゆる不効率な事態に置かないように十分配慮してまいりたい、このように考えるところでございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 下水道関係におきましても会計検査院指摘を受けたことは、局長部長を初め御存じのとおりであります。建設省全般はもとよりでございますが、少なくとも下水道関係において再び三たび会計検査院からこの種の指摘を受けることはないと思いますが、お約束できますか。
  6. 升本達夫

    升本政府委員 貴重な公共事業費執行でございますので、御指摘の点につきましては今後十分留意をいたし、地方公共団体を督励してまいりたいと考えております。
  7. 横山利秋

    横山委員 もしもこれだけやってなおかつ私ども調査あるいはまた会計検査院指摘を受けるようなことがありましたら、これは何も公文書を偽造した地方自治体なり国の出先機関の問題でなくて、あなた方の監督責任を追及するつもりでございますから、その点を十分お含みおき願いたいと思います。  さて法家について若干の質問をいたしたいと思います。  最初は、特別の地方債の問題であります。  特債制度をこのまま継続をいたしますならば、下水道事業のために獲得した国費はすべて借金返済に充当をされる結果になってしまい、流域下水道都市下水路はすべて地方負担となりかねない、それのみならず特債発行額が純国費を上回り、財源構成上に逆転現象を生じる、そうなりますと、この制度を続ける限り、下水道財源制度が崩れていくような心配を私はいたします。  たとえば五十六年度公共下水道の経費を見ますと四千三百四十九億、対前年度比八%増。ところが五十六年度元本返済分は千七百五十四億、これは五十六年度公共下水道の四〇%に達しておる。だからそれを差し引きますと、純国費は二千五百九十四億。これだけ考えますならば、対前年度比から見ますとむしろ三%の減になっているではないか。これでは公共下水道事業費補助金不足確保できない。そこで、前年度比一〇%増の特債二千七百六十二億円を発行して補助金に代行しているが、このために五十七年度償還額は五十六年度よりも五百億も増加するという結果になる。これはあなた方の数字をそのまま使って私が試算をしたわけでありますが、特債制度というものがいかぬと言っているわけじゃないけれども、それをどんどん借金返済に向けてしまってそれがどんどん国費を食っていく、そのたびにまた特債を出す、また借金というような傾向をどうお考えになりますか。
  8. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの特別の地方債制度でございますが、国庫補助金の一部を特別の地方債で立てかえて手当てをいたしまして、翌年度から四年間で国費を分割交付して償還する制度でございまして、昭和五十年度から公共下水道事業適用されまして、下水道事業促進にその限りにおきましては大いに役立ってきたと私ども考えております。  しかしながら、この制度継続して適用してまいりましたことに伴いまして、その償還に充てる国費もただいまおただしのように毎年度ふえてまいっておることも事実でございます。したがいまして、下水道事業費確保いたしますために、償還国費増加額上積み措置あるいはその額に相当する特別の地方債をまた新たに増額発行が必要になるという状況にあることも御指摘のとおりでございます。国庫補助金は本来毎年度予算で計上して手当てをされるべきものというふうに考えておりますので、特別の地方債導入はあくまでも財政の必要から生じた緊急避難的な措置というふうに私ども理解をいたしておりまして、したがいまして今後は機会を得て、その機会ごとにその適用割合を段階的に減少さしていくということに努力をいたしてまいりたい、最終的には本制度の終息をできるだけ早い時期に図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 最終的にはこの特債をなくしたいときれいごとをおっしゃるけれども特債を始めるときにはこれはカンフル注射だという気持ちで、まあいいだろうということで始める、そのカンフル注射が今度はカンフル注射じゃなくなっちゃって、それがなくてはもう生きられぬ、ことしも特債、来年も特債ということをやっていく、それで体がだんだんむしばまれてしまって、元本償還にそれがどんどんウエートを占めていく、実際の事業費が少なくなってしまう、何をやっているんだかわけがわからない、こういう結果を私は心配をするわけです。あなたが言うように将来なくしたいということは、どういう手順、どういう方法でそれを実現するというのですか。それはいつごろからどういうふうになっていくのですか。
  10. 升本達夫

    升本政府委員 財政事情の問題でございますので、直ちに見通し的に何年度までということを申し上げられる材料をいま手元に持たないわけでございます。しかし、私どもは何よりも下水道普及促進ということを第一義に考えたいというふうに考えてまいりました。御承知のとおり、現在までのところ三〇%という状況でございます。これをできるだけ早い時期に相応の普及率まで引き上げたい、これをやはり最大の目標考えておりますので、その間においては、ただいまのような応急的な措置財政必要性からある程度入ってまいるのはやむを得ないのではないかと考えている次第でございます。したがいまして、一定の普及率確保ができるという状況に至りましたならば、その時点で徐々にその特別の地方債制度の縮減が図り得るのではないかと考えている次第でございます。  しかしながら、そうは申しながら、その間の期間が大変長うございますので、私どもとしてはできるだけこの特別の地方債償還に充てられるような財源を新たに見出すべく、努力をしてまいらなければならないと考えているところでございまして、内部的には十分いろいろな検討をいたしておるわけでございますが、残念ながら新しく財源確保いたしますには、御承知のように下水道には受益者負担というような制度もすでに適用をされておりますし、あるいは都市施設整備というような観点から申しますと、都市計画税というような税制もすでにございます。そのような現状の諸制度を踏まえて考えますと、なかなか新たな財源が即効的に見つかるというようなものではないのではないか、そのような状況を踏まえながら、何とかかわり得る財源確保を、技術的なものも含めまして努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 いまとなっては特債麻薬というか、アヘンのようなもので、一時は苦しみがない。そのアヘンを飲めば、非常に張り切っちゃって下水道仕事に一生懸命になる。だんだんアヘン中毒になってしまって、悪いとは知りながら特債特債でという仕事をする。そうすると、そのアヘンを買う借金を返済せんならぬというわけで、借金元本の中から返済する。そうすると、事業費が少なくなっていくというようなやり方に今日なっておると思います。  あなたの御答弁は二つあった。一つは、下水道が完成すればいいじゃないか。そんなことは百年河清を待つようなもので、いまの五次五計が完成したってまた新しい目標を設定せんならぬ。もう一つは、かわり財源を見つけたいが、大蔵省もおらぬし、建設省だけではなかなかそうはうまくいかぬ、何とかかわり独立財源が欲しい、こう言っておるけれども、それも別に予定があるわけではない、こういう堂々めぐりですね、大臣。何とかせぬと特債麻薬中毒ですよ。大臣はどうお考えになっているのですか。
  12. 升本達夫

    升本政府委員 ちょっと数字の補足をさせていただきます。  努力目標については私先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、その努力一つの成果と考えていただきたいのは、来年度、五十六年度予算につきまして、この特別の地方債の中には処理場建設費に充てられるものと、それからパイプでございますね、管渠建設費に充てられるものという区分でやっておりますが、実は管渠建設費に充てられる特別地方債の全建設費割合が、本年度、五十五年度は二八・三%でございました。これを玉十六年度は二七・九%というふうに引き下げをさせていただくことにいたしました。われわれの需要要請に対しまして大変乏しい窮屈な国費予算でございますけれども、その中でそのようなやりくりをしながら特別の地方債を減少させる努力はいたしておるということを御報告申し上げたいと思います。
  13. 横山利秋

    横山委員 努力といったって九牛の一毛ぐらいですからね、根本的な展望にはならぬ。大臣は後でお答えを願わなければならぬのですけれども、次に移りたいと思います。  二番目は、国庫補助金対象枠の問題であります。  五十六年度を初年度とする五次五計は、補助対象率を改定するという前提計画されておりましたね。ところが五次五計案の閣議決定では補助対象率は従来の四次五計のとおりと、改定されておりません。したがって、自治体においては、四次五計に比較いたしますと財政負担が増額することになって、地方財政を圧迫することになりはしないか。  たとえば指定都市は四次五計では四五、それが五次五計では案は四七になっておったはずではありませんか。一般都市では特定都市が七五が七七になっておったはず、それから特定環境保全下水道では特定都市が七五が七七になっておったはずではありませんか。計画は改定、実際は予算として出てくるものは四次五計と一緒、これはあなた方の努力が足らぬのか、大蔵省がけしからぬのか、どうなんですか。
  14. 升本達夫

    升本政府委員 五カ年計画の新たな策定の時期でございます。この五カ年計画は、下水のみに限らず、すべての公共施設につきまして経済社会七カ年計画に基づいて設定をされることになります。御承知のとおり、経済社会七カ年計画は、その実施目標年次の一年半の繰り下げということはございましたが、総投資額並びにその中の各施設別のシェアにつきましては現行の計画どおりということで意思決定がなされたわけでございます。したがいまして、この経済社会七カ年計画の大枠の中で、財政事情を勘案しながら各施設別の五カ年計画も決定されることは、私どもといたしましてはやむを得ない、当然のところというふうに理解をいたしております。  そこで、問題は、その五カ年計画の総投資額でございます。総投資額と絡みまして国庫補助金の総額でございます。これにただいま申し上げました前提的な枠組みがございます以上、結局はその投資額の中でどのような事業にそれを使っていくかということになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、まず第一の要請として下水道人口普及率を少しでも引き上げてまいるということを第一義的に考えたわけでございます。補助対象率引き上げということも私どもとしては大きな課題でございまして、御指摘のように、要求時におきましては七カ年計画のそのままの執行前提とすれば補助対象率引き上げも可能であろうという判断のもとに要求をいたしたわけでございますが、先ほど来申し上げましたような経緯によりまして七カ年計画修正、フォローアップがなされました結果、補助対象率引き上げとそれから普及率の増大と、いわば二者択一を迫られるような形になったわけでございます。私どもとしてはまことにやむを得ない選択とは申しながら、普及率引き上げのためにできるだけ国費を使わしていただきたい、かように判断をいたした次第でございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 普及率引き上げてんびんにかけて普及率引き上げをとった、しようがありません、こういうことなんですが、私は、後からも申し上げますけれども、五次五計がこれでうまくできるだろうかという問題の第一として、いまその補助対象率引き上げ計画倒れになったということをまず第一に指摘をしておきたいと思います。  次は、三次処理に要する財政制度なのであります。  五次五計においても、「水質環境基準達成維持を図るとともに、湖沼等閉鎖性水域富栄養化を防止するため必要な地域について三次処理を推進する。」とあります。ところで、三次処理を行うためには、施設建設費用地取得費等に巨額の資金を要し、またランニングコストも二次処理に比べてきわめて大きくなります。したがって、これらに要する財政負担のルールを国で具体化しない限り、自治体で独自に取り組むことは著しく困難であると考えるが、いかがですか。
  16. 升本達夫

    升本政府委員 三次処理につきましては、いろいろな目的が御承知のとおりございます。たとえば、一般の汚水の汚れを取るための処理をさらに高めるという意味もございますし、あるいは窒素でございますとか燐でございますとか、そういった特殊な成分を取り除くための処理方式ということで三次処理が求められている場合もございます。そのいろいろな目的、機能によりまして若干判断も変わり得るかもしれませんが、総じて三次処理施設につきましてはかなり大きな投資額となることも当然予想されるわけでございまして、これに対する国庫補助あり方につきましては、これからさらに検討を要する課題であることは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、現状状況におきましては、三次処理を行わなければならない要請が、その水域地域状況によって、いわば下水道整備の側で当然そこまで配慮しなければならない場合ということもあると想定いたしますと、そのような場合に、特に国庫補助率引き上げなければならないということもまたこれはむずかしいこともあろうかと思います。その辺のところも十分勘案しながら今後の三次処理に対する補助制度あり方について検討をいたしてまいりたいと思っております。
  17. 横山利秋

    横山委員 五次五計の目標値について少し数字を挙げて聞きたいと思います。  四次五計は、人口普及率二二・八%から出発して四〇%まで、すなわち一七・二%の増加目標にして七兆一千億の予算を組んだ。そして六兆八千四百億円を執行しましたね。ところが、普及率は七・二%しか増加しなかった、事業達成率は四二%にすぎなかった、また、四次五計では、普及率一%当たり四千百三十億円を予定したが九千五百億円を要したと推定をいたします。ここまでの数字に違いはありませんか。
  18. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまお示しいただいた数字の中で、端数的なもの若干の相違はございますけれども、四次五計の計画額七兆一千億円に対して実績は六兆八千六百七十三億円という数字になっております。  それから、ただいま先生実績において処理人口普及率七・二%アップとおっしゃいましたけれども、これは五十五年度末、本年度末を三〇%という前提に置いてのお話であろうかと思うわけでございますが、これは五十五年度末の見込みが少しダウンをいたしまして二九・六%という数字になっております。したがいまして、この期間中の実績七・二%とおっしゃったのは六・八%というふうに修正をしていただきたいと思うわけでございます。したがいまして、これにつれまして五次五カ年計画中の増加普及率は、先生は一四%とはじいておられると思いますが、これが一四・四%ということになるわけでございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 わかりました。数字の多少の間違いはありましたが、大局的には私の言わんとする前提はそのとおりであると思われます。ところが、五次五計では一%の増加に対して八千四百三十億円しか見込んでいないと私は推定をするわけです。今後年間最低五%ぐらいの物価上昇率を見込まなければなりますまい。五%でも私は少ないと思うのですけれども最低五%を見込む。そうすると、一%当たり八千四百三十億円の予算では、四次五計の七四・四%、すなわち五次五計終了時の昭和六十年度までに普及率はわずかに五・四%しか伸びないのではないか、こういうふうに私はそろばんをはじくわけです。しかるに五次五計では普及率は現在の三〇%を四四%にするとして一四%のアップを見込んでいる。あなたの方は普及率を一四%アップと見込んでいるが、私の推算でいくとわずか五・四%にしかならぬのです。これは多少の数字の誤差はありましても、一%当たり単価が八千四百三十億円予算上見込んであるとするが、四次五計では実績九千五百億円いっているじゃないか、そして、五次五計の一%当たり単価八千四百三十億円が今後の物価上昇率を五%と見込めば、とてもじゃないけれどもこんなものできるはずないじゃないかと思うのです。どうです。
  20. 升本達夫

    升本政府委員 横山先生の御試算を拝聴させていただきますと、四次五計の実績普及率一%当たり投資額で九千五百億かかっておるじゃないか、これは計画額の四千百三十億円に比べて二・三倍になっておるではないか、したがいまして、今回も先ほどの私ども試算しております計画の五次五計の計画単価が同じように伸びると、二。三倍というような実績値に変わるとすれば、結果的には普及率の増は五・四にしかならぬじゃないか、こういう御指摘のように承ったのでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、その現状四次五カ年の実績値二・三倍という数字、これは必ずしも先生のおっしゃいますような物価上昇だけに起因するものではないわけでございまして、この上昇に至った理由につきましては、いろいろな計画時の想定と事業実態との間の乖離の現象から単価が引き上がった例がございます。たとえば市街地の中の工法が非常に複雑な工法を要するケースが多くなって、たとえばシールド工法とかそういった複雑な工法を要するケースが多くなったために、全体の事業費単価が上がらざるを得なかったというような問題もございますし、あるいは環境保全上の必要から、単なる処理施設だけではなくて、処理場にいろいろな環境保全対策施設が必要になりましたとかいうような問題がございます。  さらに一番大きな要素は、下水は大変手間暇がかかる事業でございますので、五カ年の計画の中で投資額が全部生きてまいるということにはならないわけでございます。つまり仕掛かり品が大変多いというような問題もござい某すし、あるいは、施設としてはでき上がっておっても、たとえば処理場ができ上がって処理能力が十万人分あるとしましても、管渠の整備が不十分なために現実には五万人分しか稼働していないというような、いわば処理能力が寝ているというような問題もございます。これも実績単価にはそのまま算入をされてまいるわけでございます。したがいまして、計画実績単価の間の差というのは必ずしも物価上昇だけに限らない。物価上昇のファクターもございます。かなりのファクターであることも御指摘のとおりでございますが、この二・三倍を全部物価上昇に起因するものというふうに仮定をされますと、ちょっとこの仮定が大き過ぎるのではなかろうかというような感じがいたします。したがいまして、この二・三倍という倍率をただいまの私ども試算しております第五次五カ年の計画単価に乗ずるというような考え方、あるいは四次五計の実績単価に乗ずるというような考え方で先延ばしをされますと、これは私どもから言わせていただきますと、不当に単価引き上げを御計算になっているのではなかろうか、こういうふうに思う次第でございます。  第五次の五カ年計画におきましては、ただいまの仕掛かり品の問題でございますとか、あるいはいままで投資して能力としてあらわれてこない状態のままにあるものを稼働状態に置くとかいうような、いろいろな状況変化がございますので、私どもの積算しております単価をもちましておおむね所期の事業量の達成ができるというふうに考えている次第でございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 あなたもそういつまでもその席におるわけじゃあるまいし、大臣も五次五計ができ上がるころに総理大臣になっておるかもしれぬけれども、いまのお話はちょっと楽観に過ぎやしませんかね。大臣どう思いますか。いままでは仕掛かりの問題があったからそれが生きてこなかったんだ、これから生きてくるよとおっしゃるけれども、いまからやる工事だって同じことじゃないですか。私はそう思う。私は専門家じゃないから、常識的に物を言うんだけれども、いままでは仕掛かりが多い、それが生きできますと言うんだけれども、これからまたやはり仕掛かりが始まるのですよ。同じことになりはしませんかな。これはいいですよ。あなたが専門的立場で言ったら私は負けてしまうが、私の方は政治的感覚で物を言っているんだから、常識で物を言っているんだから。立場の相違もあるし意見の相違もある。いずれにしても五次五計は計画どおりうまくいきそうもない。四次五計がうまくいかなかったんだから五次五計がうまくいくはずがないと言ったら怒られるかもしれませんが、四次五計の実績を踏まえてみて、なぜうまくいかなかったか、そういうことを考えると、五次五計が完全に行われるような体制に、私は単価の問題やいろいろな問題を指摘したけれども、ちょっと砂上の楼閣じゃないですかね。大臣どうですか。
  22. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 大変厳しい御指摘でございまして、ただ私も、ニュアンスとしては若干先生の御指摘のような感覚を持っております。というのは、世界的な経済事情、同本の財政事情考えますと、果たして計画どおりいくかというような危惧を持つような状況ではありますけれども、当事者といたしましては、やはり目標というものを決めて、弱気にならず、消極的にならず、積極的に取り組まなければならない下水道事業であろうかと思います。したがいまして、初めからどうもということでなく、ひとつ御協力、御指導いただいて、何とか目標が達成できるように御教導願えればよろしいんじゃなかろうかと思います。四次五計の結果、また五次五計が確かに厳しい状況であることは承知いたしております。それだけにこの計画執行当たりましては、計画的に、効率的に、なお強い指導のもとに、整合性を持った施設を推進していく以外、とにもかくにも努力する以外ないわけでございまして、危惧は危惧としてよく拝聴いたしまして、心してそうした問題を排除しながら目的の達成に向かって進めていきたい、このように考えるものでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 偽らぬ政治家としての告白じみたことになるかもしれませんが、下水道の整備というのは目に見えぬですね。私ども町を見て、ああ、あそこは公害があるな、あそこに川があるなと思うけれども下水道は見えぬですからね。しかも、下水道をやったと言うと、ああそうかありがとうと言って選挙民が絶対に投票するということにもなかなかならぬですな、正直なところ。そこで、この下水道事業計画達成ということはなかなか政治力が集まってこない。有権者が必死になって下水道を整備してもらわなければ困るということになかなかならぬですね。流域下水道一つとってみましても内輪げんかをしたり、そんなものはということになっちゃうんですね。そこのところが五次五計を実行せしめる、いい意味での政治力が結集できないところに一つ私は問題があるんじゃなかろうかと思う。道路をつくるといえば目に見えますからな、私は建設についてはまだ一年生でございますけれども、やってみて、下水道に一生懸命になっている人だれやと思って探してみたけれども、どうも余りないようですな。(「一生懸命やっているぞ、われわれは」と呼ぶ者あり)あるか、(「あります、あります」と呼ぶ者あり)こういう顔をする人があるということはまことに力強い。われわれも、とにかく下水道について、いま私が指摘したような、五次五計が、この数字からいってもいろいろな点からいっても、どうも砂上の楼閣に思えてしようがないのです。あなた方そうは思わないかね。(「いや、そんなことはない」と呼ぶ者あり)まことに私はその点では、——だって、四次五計がうまくいかなかったじゃないの。そのうまくいかなかった原因なり何なりがカバーされてないんじゃないか。補助対象率計画どおりになってないじゃないか、単価だって下がっているじゃないの。そういうことを考えると、何か一つ工夫をしなければ大蔵省説得にしたところでうまくいかないんじゃないか。そういうことを私は思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
  24. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 なかなか手厳しい御指摘でございます。一にかかってやはり、日本の社会環境の目的意識というのでしょうか、先ほどの日に見えない工事はなかなか進まないという形、それから、特に都市の方におきましては直接生活環境の乱雑、汚染等につながりますので非常に積極性がありますけれども、地方へ行きますとなかなか直接的でありません。どうしても、たとえばトイレにいたしましてもまだ六五%、七千三百万人の方がくみ取り式の便所を使っておる。これを地方で推奨しても、負担金はいやだ、おれはこのままでいいよと、あるいはまた化学肥料も使わないでまだ自然肥料を使うというところもあるということ。したがって、こうしたことをわれわれはPRしていかなければならないからよけい工事も進まないということになっていくと思います。砂上の楼閣ということはちょっと厳し過ぎるわけでありますが、計画を立てて、やはり順序を立てて、実効ある仕事を効率的にやるという以外ないわけでありまして、御意見はあろうかと思いますけれども計画計画として、とにかくも達成のためにみんなで力を合わせて促進、推進してまいりたい、このように考えているものでございます。(「みんなで力を合わせるんじゃないよ、大臣が一生懸命にならなくちゃだめだ」と呼ぶ者あり)
  25. 横山利秋

    横山委員 私も、国会議員生活二十五年になるのですけれども下水道を初めて勉強して、ああ、これはもっとみんなが力を入れなければならぬと自分でも思っているけれども、いまやじが出たように、大臣がひとつ下水道のようなことについて火の粉を散らしてやってもらわぬと、われわれもバックアップのしがいかないですから、がんばっていただきたいと思うのです。  今度は事業団の運営について伺いたいと思うのです。  聞けば事業団はわずか数百名なんですね。地方自治体仕事を請け負って下水道工事をやるという仕事なんです。いろいろ話を方々で聞いてみました、ところが、地方自治体に言わせてみれば、ひとつ頼むよ、それじゃやってあげましょうと言って東京から乗り込んできていろいろやる。やった。はいさようならと言って、できたら逃げていっちゃう。逃げていくというのは言い方がおかしいんですけれども、とにかくはいさようなら、できましたよ、あとはあなた方しっかりやりなさいよ、こう言う。ところが、頼んでやってもらう以上は地方自治体にそう専門家がおるわけではありませんよね。だから維持管理がうまくいかないと言うんですよ。つくるだけつくっておいて、はいできましたよ、あなた方はしっかりやりなさいよと言われたって、技術者がそうおるわけじゃなし、維持管理についてそううまくいかない、そういうところに第一の問題点がおると言っておりますが、いかがですか。
  26. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘のように下水道事業団は、これから下水道普及してまいりますと、下水道の整備を担当しなければならないいわば小さな市町村のためにお手伝いをするということで昭和四十七年に発足をしたものでございます。その団の組織の目的はあくまでも自治体のお手伝いをするということでございます。いまの御指摘のような維持管理のための技術者につきましても、技術者の養成という仕事事業団の大きな仕事一つにいたしておるわけでございまして、現在までのところ各種の研修をやっておりますが、維持管理に関する研修を実施いたしております。これによりまして千三百九十七名、大体千四百名の人の維持管理の技術研修を行っております。これらが地方自治体においてでき上がった施設の運営に直接担当をしていただけることになろうかと思います。このほか下水道法に定めます技術検定の実施も事業団がやっておりまして、下水道建設のための技術者の技術検定あるいは維持管理のための技術者の技術検定を実施しております。この関係の合格者の累計数は、現在までのところ四千四百名余に及ぶわけでございます。このような事業を通じまして、事業団としても精いっぱい自治体のお手伝いをいたしておるところでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 本来事業団の仕事は、本質的に建設省仕事ではないんですかね。大体人間はあなたの方の天下りでしょう。中心はそうでしょう。それで事業団が市町村から委託を受けてやるにしたって、建設省が一枚かんで、それはいい、悪いと言う。そうすると、事実上屋上屋の仕事をしているということじゃないんでしょうか。それから、維持管理にしたところで工事にしたところで、現場で計画、設計、監督だけやるんであって、仕事は外注、下請。現場の人を工事会社で使うわけでしょう。そうすると、研修をやったやったと言うけれども、研修を数万名やっているわけじゃないんだから、結局は研修を受けた市町村の職員がお日付役でやっておるだけで、実際は維持管理は、工事をやった民間会社が維持管理の下請をやっているんじゃないですか、どうなんですか。
  28. 升本達夫

    升本政府委員 下水道法のたてまえと申しますか、現在の下水道整備制度から申しまして、公共下水道は市町村の責任で整備し、管理していただくということになっております。したがいまして、公共下水道として設置される処理場等の施設について国が直接にその仕事をやるということは、現在の制度では無理があろうかと思うわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、小さな市町村になりますと、これは自分の責任といったてまえになっておるものの、実際の公共下水道の設置、運営というのは非常にむずかしい場合があるわけでございまして、その場合に主として技術的な面で十分お手伝いをするようなシステムが必要であろうということから事業団の発足を見たわけでございます。  そこで、第二点のおただしでございました維持管理研修をやると言うけれども、実際の維持管理は業者がやっているのではないかというおただしでございましたけれども、これはもちろん部分的な、一番末端的な仕事についてはその都度発注するということはあり得ると思いますけれども公共施設としての下水道の維持管理ということは公共団体の責任でございますので、当然その責任にかかわることは公共団体の職員が責任を持って当たらなければならない、その場合に技術的な知識、経験も十分な職員が必要になるわけでございます。そのような職務に当たる職員をただいま申し上げました事業団研修によって育成していくという状況であるわけでございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 私の言うのは事業団が中途半端だということなんです。本当に事業団にやらせるなら、建設省事業団にもっと権限委譲というか、仕事をどんどんやらせて、維持管理まで完璧に指導しろと、つくりました、はい市町村に渡したよ、あとはあなたの責任だよというようなことでは不十分だ。そういう中途半端な事業団であるから、そこからいろいろな摩擦というかふぐあいが起こっておるということなんであります。これは改めてまた別の機会に具体例を引きたいと思います。  次は、予備費と調整費の問題であります。  この調査室がつくってくれた資料を見ますと、一次計画では予備費なし、二次計画では三百億円計画額があって実績なし、三次計画では一千億計画額があって実績百六十五億、四次計画では何と四千億の計画額があって、実績はまだ聞いておりませんが、四次計画実績はどのくらいですか。(「ございません」と呼ぶ者あり)ない。つまり、一次計画から四次計画まで三百億、一千億、四千億という予備費があって、三次計画でわずか百六十五億使っただけだ。何か聞けばこれは沖繩関係だそうですね。一体予備費は何のためにあったんだ。予備費は予備費だから、緊急のものがなかったから使わぬでもそれは当然じゃありませんかとあなた言うかもしらぬね。これはどうももったいないなというわけで調整費になったのじゃないかという感じがするわけです。こんなに予算を組んでおいてちょっとも使わなかった、これでは損するぞ、そんなくらいなら使えるようにしようというわけで、今度は調整費が五千九百億円ですか、こうなったと私は思うのですね。  そこで、予備費と調整費とは法律上どう違うのですか。
  30. 升本達夫

    升本政府委員 予備費は、その計画当初に想定ができなかった相当の事態が生じない殴り執行されないという性格のものでございます。予備費を置くに当たっては、計画立案当時に想定できなかったことが計画期間中に生じた場合に予備費をもって対応する、こういう性格のものでございます。調整費は、現在の流動的な経済情勢、それから厳しい財政事情等に事業執行全体として弾力的に対応いたしますために設定されたものでございます。したがいまして、今後の経済、財政事情及び事業の進捗状況等を考慮して、必要に応じ支出されることになるものというふうに理解をいたしております。
  31. 横山利秋

    横山委員 手っ取り早い話、予備費は大蔵大臣がうんと言わなければだめだ、使えぬ、調整費は、大蔵大臣におい使ったぞと建設大臣が言えば、建設大臣が勝手に使っていい、こういうことですか。
  32. 升本達夫

    升本政府委員 調整費もあらかじめその使途が定められ、予定されているものではございませんので、その調整費を取り崩してどのような支出項目に充てるかということにつきましては、当然十分に関係省庁と事前に協議をして定めなければならないことというふうに考えております。
  33. 横山利秋

    横山委員 はっきり聞かせてもらいたいのです。財政法上どう違うかということなんですが、私の言っていることがイエスかノーかで答えてもらいたい。私の感じは、予備費は大蔵大臣と絶対協議、大蔵大臣がいかぬと言えばそれまでのこと、しかし調整費は主体が建設大臣に移って、御連絡はいたします、御連絡はいたしますが、私の判断で年間割り当てはちゃんと何に使いますか言いますよというふうに、対等から主体が移った、こう解釈してよろしいかと聞いているのです。
  34. 升本達夫

    升本政府委員 執行の事務手続につきましては、予備費といい調整費といい差異はないものというふうに理解をしております。
  35. 横山利秋

    横山委員 相違はないと言いながら、あなたはさっき一番最初に、予備費というのは緊急、不測の事態が、何と言ったか知らぬけれども、そのようなことを言って、調整費は、一般公共事業と地方単独事業との間にいろいろあるから、それに弾力的に対応するために使うのだ、こうでしょう。性格がまるっきり違うじゃないの。あなたの話はどうも小むずかしいが、大臣、もっとわかりやすく言ってくれませんか。小むずかしく言うからいかぬのだ。
  36. 升本達夫

    升本政府委員 調整費も予備費も取り崩す手続は変わりはないと私ども理解しておりますけれども、どういう場合に取り崩すかということについては、判断の基準が違うのではないかということを申し上げたつもりでございます。
  37. 横山利秋

    横山委員 そうすると、調整費があって、今度は予備費がなくなったのだ。予備費をなくしていいのかね。この調整費は、緊急の思いがけない、百六十五億沖繩で使ったが、そんなようなことがあったときは予備費的なものを含むというふうに解釈して、緊急な突発事故が起こったときには調整費から使わざるを得ない。予備費というものがなくなったという意味が私にはまた逆に今度はわからない。大蔵省と妥協したなら妥協したと言いなさいよ。
  38. 升本達夫

    升本政府委員 厳密にその性格を分けて、事由によってその出しどころを区別して整理をしておけという御主張になれば、あるいは先生のおっしゃる御議論もあり得るかと思いますが、計画期間中の事業量の調整という意味でございますと、調整費も同じ目的を持っているものでございます。したがいまして、その枠の中で、仮に当初発生が予想されていなかったものが出てきた場合に、対応し得る場合もあり得るかと思います。以上のことから、特に今回は予備費を定める必要はなかったものというふうに私ども理解をしております。
  39. 横山利秋

    横山委員 どうもはっきりせぬな。それなら予備費でもいいじゃないか。予備費五千九百億でもいいじゃないか。何でそれが調整費になった。それは建設大臣が頭を使って、うまいことをやったなと私は感心したのだ。うまいこと予備費をなくして、おれの自由裁量がふえたから、これでひとつおれの政治力のあるところを見せようというわけで調整費をつくったと思ったら、そうではないらしいな。それなら予備費を調整費にした意味が私には逆に言えばよくわからぬ。全額五千九百億を調整費にして、それを五カ年の間にうまいことあんばいしながら事業を達成するということだというならば、それじゃ突発的事故の予備費がないのはどういうわけだといって聞いているのですよ。そこのところがあいまいもことしてどうもはっきりせぬな。
  40. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 五カ年計画全体を通ずる問題でございますから、私から答弁させていただきます。  予備費につきましては、先生承知のように、財政法に法律的な規定はあるわけでございますが、五カ年計画の予備費につきましては法律上の規定はございません。しかし、先ほど都市局長が申し上げましたように、予備費につきましては、財政法二十四条に規定するような、予見しがたい予算の不足に充てるということで、運用は非常に厳密になっておるわけでございます。これに対しまして調整費は、先ほど御答弁がありましたように、今後の財政、経済事情及び事業の進捗状況等に応じて使えるということでございまして、これは広い概念でございます。したがいまして、調整費の中には予備費的な性格のものも含まれているということでございますから、不測の事態が生じた場合にはこの調整費で予備費的なものも使える、こういうことございます。ただし手続につきましては、予備費の場合でありましても調整費の場合でありましても関係省庁と協議する必要がある、このように解しているわけでございます。
  41. 横山利秋

    横山委員 時間がなくなってしまって往生するのだが、最後は流域下水道です。  端的に言いますと、でかければでかい方がいいということで、いろいろ新しいもの好き屋の人間が大きな流域下水道計画した。ところが、やっておるうちに仲間割れが生ずる、住民の反対があるというわけで計画がなかなかうまく進まぬ。そのうちにその中のある市ある町が、おれのところだけで単独でやるということをやる。それで、でき上がるころには何のためにこんなでかいものをつくったかわからぬという状況があるのじゃないかと私は思うのです。だから、いろいろな資料なりいろいろな意見を聞いてみましても、でかいほどいいということは流域下水道には本来当てはまらぬではないか。本来下水道は、局長の言うように市町村のやるべき仕事だとするならば、あんまりでかいことを考えぬ方が摩擦が少なくて、単価も安くて、時間も早くできるのじゃないか、この際考え直したらどうかというのが私の結論ですが、どうですかね。
  42. 升本達夫

    升本政府委員 下水道は、基本的には公共下水道として、市町村がその責任においてやるべきこととなっておったわけでございますが、近時の水質環境行政の進展に伴いまして、河川の水質の保全ということに大変大きな規制がかかるような状況になってまいっております。こういった水質環境基準の達成というような要請、さらには自然保護というような観点から、下水道の整備が必ずしも大きな都市だけでいいということにはならない状況にあるわけでございます。  そこで、河川の流域単位に、水質保全あるいはその目的のための下水道の整備を総合的な計画をもって立案し、必要な下水道整備を図っていきたい、こういったてまえにいたしまして、流域別の総合的な計画を立てること並びにそれを前提として、必要がある場合には流域下水道という形で県がその実施責任を持つような制度考えたわけでございます。  そこで、下水道計画の策定に当たりましては、その地域の地形、それから河川流量、その他の自然的な条件、それから下水の処理水の放流先の状況、総合的な水利用の見通しといったものを十分勘案いたしまして、複数の下水道計画を流域単位につくりまして、その結果、水質環境基準の達成、維持のためにどうであるか、あるいは下流の利水との調整がどうであるか、あるいは整備に要する費用がどうであるか、投資効率等を十分勘案して、最も合理的、効果的な処理方式ということを選ぶたてまえにいたしております。その結果、流域下水道をその地域についてとった方が、ただいま申し上げました諸点にかんがみて合理的であり有利であるという判断をいたしまして、流域下水道計画を立てるわけでございます。したがいまして、その計画の達成の時点におきましては当然にその方がより合理的かつ効率的な結果になるということについては、私ども自信を持って申せることだとお答えを申し上げたいと思うわけでございます。  ただ、その下水道の設備の建設期間、これが御指摘のようにかなりの長期を要することになりますし、また、一部の反対運動のために、さらにその期間がおくれるという状況が若干の個所について生じていることも事実でございます。そのような場合に、私どもが承っております限りにおいては、御指摘のように上流部について公共下水道を単独で実施するというような要望があるようなお話は、実質的なお話としては承っておりますけれども、現在までのところ流域下水道計画との調整という重要な問題がございますので、その計画の達成という観点から十分検討していかなければならないという段階にとどまっておるわけでございます。
  43. 横山利秋

    横山委員 時間がありません。最後に希望だけ申し上げておきますが、御存じかと思いますが、去年の十一月に日弁連が人権擁護大会をやりまして、下水道法制に関する決議をいたしたことは御存じのとおりであります。ここで、大会で三つ決議をしております。一つは「有害物質を含む工場排水の下水道への流入を禁止すること」、二つ目は「下水処理施設の規模を地域の特性に応じた適正なものとすること」、三つ目は「住民参加の保障規定をおくこと」であります。このことは、日弁連がとにかく下水道について大会までに、これを決議いたしますためにはいろいろな準備、研究をし、九月には関弁連が大会で決議をしたのを受けて、全国の弁護士さんが下水道について注目をしたということは、私は画期的なことだと思うのです。それだけ下水のありよう、仕事のありよう、流域下水道のありよう、住民との関係のありようということについてきわめて大きな国民的関心事になっておるということだと思うのです。いま局長は、地域住民の反対があったためにおくれるけれども、できれば喜んでもらえるというような趣旨をおっしゃいましたが、民主主義のときですから、日弁連がこれほどまでに大討論をし、研究を数カ月も続けてやってきておるという気持ちは、単に下水道をつくればいいということではなかろうと思うのです。下水道法の法制についても再検討しろと言っておるわけでありますが、それらの点について大臣はどうお考えになりますか伺って、質問を終わりたいと思います。
  44. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 下水道に対する数々の御卓見をいただきまして、大変ありがたく思います。特に日弁連の工場排水の問題、地域住民参加の問題、規模の問題等々、一々それだけの検討の結果の御発表でありまして、これは私たちは十分承知しなければならないかと思います。  ただ問題は、いわゆる近代国家、先進国としての日本の下水道環境というものが非常に立ちおくれているということの事実は認めざるを得ません。したがって、社会環境、生活環境整備のための基本的な問題でございますので、一番大事な水資源の確保あるいは閉鎖性水域を良質な環境に置くというような大きな目的もありますので、住民参加、御理解をいただいて何とか所期の目的を達成するように進めていきたいと思います。  確かにいままでのところ、田舎へ行きましても忽然ととてつもないでかい下水道関係がありまして驚く。地元の方がこれまでしなくてもというお考え地域もございます。しかも工事が長期にわたりますので、大変御迷惑をかけるというときもありますけれども、長い目で見ますと、結果的には私は、大きいことが必ずしもよくないという御指摘もございましたけれども、やはり日本の国の国情、これから進んでいくであろう開発社会を考えたときに、多少御理解に無理があっても、ある程度の御理解をいただきながら進めていく方が結果的にはいいような気もいたしますけれども、いずれにいたしましても、地域住民の方々が一番良的な環境の中で快適な生活をするということが目的でありますので、住民の方々の御意見を聞きながら、整合性を持った手段、方法でコンセンサスを十分得て進めてまいりたい、このように考えるものでございます。ありがとうございました。
  45. 稲村利幸

    稲村委員長 木間章君。
  46. 木間章

    ○木間委員 安易なことかもしれませんけれども、まず下水道の設置の目的についてお尋ねをしてみたいと思うのです。  下水道を設けて下水処理をする、近代社会にとってはきわめて必要なことでありますが、この点について、法では明文化をしておるわけでありますが、どのように考えられておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  47. 升本達夫

    升本政府委員 下水道は、御承知のとおり、市街地の下水を排除し、処理をするということのために必要な都市の基幹的な施設でございます。市街地におきます浸水の防除と、水洗化の実現等によりまして安全、快適な居住環境を確保するということが一つ目的であろうと思いますし、また、公共用水域の水質の保全を図り、都市の健全な発展に資するという施設でもあるわけでございます。以上の観点から、必要不可欠な施設というふうに理解をしております。
  48. 木間章

    ○木間委員 先ほど、先輩議員の横山委員の方の質問に答えて、大臣も、いま一つの問題として水資源の確保ということを述べておいでになるわけであります。私も今日まで、この下水道法をざあっと見てみたわけでありますが、第一条の目的には、いま局長おっしゃったように「管理の基準等を定めて、下水道の整備を図り、もって都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資する」、このようになっておるところでありますが、昨今の諸情勢から、水資源の開発というのはきわめて重要になっておる。これは大臣も先ほどの答弁の中で、あったところであります。  私は、この下水道促進をしていきたい、またやってもらいたい、今日的には都市居住者のみならず、全国至るところでその要請が強くなっておりますが、ここに水資源とのかかわりで大きな落とし穴があるような気がしてならないわけであります。都市計画中央審議会の答申を見ておりましてでも、たとえば四十八年の七月のものを引用さしていただきますと、「今後の生活様式の高度化と産業活動の拡大は、水需要をさらに増大させるであろうが、ダム等の新規水源の立地難等から、水資源の新規開発は今後困難の度を深め、とくに、特定地域における水需給は逼迫することが予想されている。」このようにも述べておりまして、いまきわめて大きな問題になりつつあるわけです。ですから私は、これからの下水道あり方は、単に快適な生活を送るためにと、それだけではいけないと思うのです。そのためには、自然環境を損なわないことが一つは肝要であります。そのためには水質の保全を図るんだ、こうおっしゃっておいででありますが、私はいま一つ、再び水を使用するということに立っていかなければならないと思うのです。ですから、私たちはこれからの下水道あり方というのは、人間文明と自然との調和を絶えず保っていかないといけないと思うのです。  後ほどまた申し上げてみたいと思いますが、いま局長が言っておいでになるように、流域下水道についてもそれなりに自信を持っておるんだ、こうおっしゃっておいでになりますが、考えてみますと、山のふもとから流域の下水、排水をまとめて流末で一括処理をして水域に排出をしておる、こういう形になるわけでありますから、いま六十九の流域下水道を見ておりましてでも、ほとんどがそういう形をたどっておろうと思います。つまり、自然現象とマッチしていないというのがいまの実態ではないでしょうか。ですから、先ほど横山委員も言いましたように、大きいものは何でもいいものだということでは、私は逆に自然を壊していくんじゃなかろうか、このように思うわけです。特に最近のわが国の農業面を見ておりましても、三万コンクリの用水、排水路がひし並んでおりますし、下水に至ってはまさに水蒸気として蒸発する余地さえないように、四万をコンクリで固めた水路がどんどん完成されておるわけでありますから、私は、水位の低下はもちろん、現在の河川の水量の保全というのは全く欠けておるように思えて仕方がないわけです。この点局長いかがなものでしょうか。
  49. 升本達夫

    升本政府委員 下水道計画を立案いたします場合に、これは流域下水道のみに限らぬことでございますけれども、特に流域下水道のような大規模な下水道整備を行います場合には、事前の調査が大変重要でございまして、これは法律に基づいて総合計画を立てるといったてまえにもなっております。その計画を立てます場合の勘案条件といたしまして、その地域の地形、降水量、河川の流量その他の自然的条件、それから土地利用の見通し、水利用の見通し、汚水量、水質の見通し、放流先の状況等、いわゆる自然条件下において下水道を設置いたします場合の必要条件については、考えられる限り取り込んで検討いたしておるわけでございまして、その結果として、その地域が自然保護、水質保全の観点からもあるいは経済効率の観点からも適切と認められる場合に流域下水道を実施いたしておるわけでございます。したがいまして、流域下水道設置計画の場合に、どこからどのように下水を集約し、どのようにこれを誘導してどこで処理する、どこで放流するということも、自然環境とマッチした方法で行うということを大原則にいたしておりますので、御指摘のようなことは、計画のとおり的確に実行される限りにおいてはあり得ないというふうに考えているわけでございます。  現実に私ども調査をいたしておりました結果でございますけれども流域下水道によって、従来自然に河川に流れていた水が上流部でカットされて下流部に移ってしまうというその水量の割合は、河川の低水流量に対して五%ないし一〇%程度というふうな数値になっておりまして、したがいまして、御心配のような、そのことによって自然流が決定的な影響を受けるということはあり得ないことというふうに私ども理解をしております。
  50. 木間章

    ○木間委員 後ほどまたこのことで申し上げてみたいと思いますが、確かに四十五年の公害国会の後制定されました下水道法の中の流域下水道整備総合計画を見ておりますと、いま局長おっしゃったように、当該公共水域に係る水利用の見通し等が大きなポイントになっておるのはそのとおりでございます。しかし現実はそうはなっていないと言わざるを得ないのであります。後ほど申し上げますが、たとえば六十九水域の中で終末処理場を一カ所に設けておるのが何と五十カ所です。そして二カ所もしくは六カ所につくっておるのは残り十九と申しましょうか、ほとんどが一カ所もしくは二カ所に集中をされております。これもまた後ほど申し上げてみたいと思いますが、今世紀末には全人口の九割を達成したいのだ、こうなってまいりますと、いよいよ局長がおっしゃったように五%もしくは一〇%ではおさまらないような気がしてなりません。これからまたの議論の中で深めていきたいと思いますが。  では続きまして、いま四次五計が終わろうとしておるわけであります。新しく五次五計が始まるわけでありますが、この四次五計の評価をどのようにされておるのか、お伺いをいたします。
  51. 升本達夫

    升本政府委員 四次下水道整備五カ年計画は、計画事業費七兆五千億円、このうち予備費四千億円でございますが、これによりまして昭和五十五年度末の処理人口普及率四〇%を目途といたしておったわけでございますが、最終年度のい本年度昭和五十五年度予算における五カ年計画投資額の進捗率は九六・七%ということになりまして、この結果、処理人口普及率は約三〇%になる見込みでございます。  以上のような実績でございまして、事業費の面ではほぼ計画額に近い投資が行われたという状況でございますが、人口普及率におきましては、先ほど来申し上げておりましたような諸要因によりまして、計画目標をかなり下回る結果となっておることにつきましては、これはやむを得ないことであったとは言い条、非常に遺憾な結果であろうというふうに考えておる次第でございます。
  52. 木間章

    ○木間委員 確かに四次五計は七兆五千億円、予備費がありましたから実質的には七兆一千億円で発足を見たわけでありますが、普及率も、いま局長おっしゃったように、当初四〇%を見込んでおったが三〇%になった、その理由は、もう一遍お尋ねしてみたいと思いますが、残念ながら三次五計の結末と同じような結果になっておる、私はこう言わざるを得ません。三次五計のときにも物価上昇が大きな悩みであったということを言われておりまして、いま四次五計を終える今日の段階でも、同じようなことで何の進歩もなかったのじゃなかろうか。もちろん建設省といえども政府を構成されておる一つの役所でありますから、物価の推移等についても十分配慮はいただいたとは思いますけれども、同じような結末をたどっておる、私はこのように見るわけですが、局長それでいいでしょうか。
  53. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘のように、過去の累次の五カ年計画計画実績とを比較してまいりますと、初期の一次、二次の段階におきましては、計画目的量と実績との乖離ということが大変少ない状況で推移をいたしました。三次、四次と累次にだんだんその間の乖離がふえているということは事実でございます。  その経過を顧みますと、私ども考えますのは、やはり初期におきましては下水道整備の条件が比較的容易なところに着手され、建設が行われる例が比較的多かったということが言えようかと思います。これがだんだん対象の面積も広がり、対象の地域も広がり、また同時に、従来からやっておりますところは市街地の混雑度が上がってきたというような状況のもとにおいて、計画との乖離が多くなったという点が一つあろうかと思います。それから、特に顕著には、第四次につきましての乖離がはなはだしいのは、御承知のような石油ショックによる物価騰貴、これがいわば予見し得ないような状況で起こったということが大きなファクターであったかと思います。三次についてはそう言えます。それから四次につきましては、第二次の石油ショック、このような条件から予見しがたい値上がりを生じたということが大きなファクターとして挙げられると考えております。
  54. 木間章

    ○木間委員 では、今度の五次五計の中で、五十六年度から六十年度までの五カ年間でございますが、この普及率をどのように引き上げようとされておるのか、お尋ねをしてみたいと思います。
  55. 升本達夫

    升本政府委員 第五次の五カ年計画におきましては、計画最終年度昭和六十年度までに処理人口普及率を約四四%に高めることを目標にいたしまして、総投資額十一兆八千億円を予定いたしておるところでございます。
  56. 木間章

    ○木間委員 今度の五カ年計画で一四%引き上げたい、こういうことであるわけです。そこで、この十一兆八千億円は普及率一%当たりどの程度になるだろうか、私なりに計算をしてみたわけでありますが、八千四百三十億円を見込んでおるのであります。先ほどお伺いをいたしました第四次五カ年計画では七兆一千億円、その結果七・二%普及率が上がったわけですが、このときには一%引き上げることに要する経費として九千八百六十億円を投資したことになっておるわけであります。昨今の経済の推移を見ておりましてでも、また、国の経済の成長率も五・五%とせられておりますから、私は、この数字を比較した場合に前期五カ年計画よりも一%当たりの経費が低くなるということは想定されないのですが、今度の五計を見た限りでは前回と比較いたしますとそのような数字になってくるわけでありますが、私どもどう判断すればいいのかちょっと疑問に思っておるわけであります。この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  57. 升本達夫

    升本政府委員 第四次の五カ年計画実績におきまして九千八百六十億円かかったではないかという御指摘でございますが、これは先ほど横山先生にお答え申し上げましたように若干の伸び率の変更がございますので、修正を加えていただきたいと思うわけでございますが、おおむねそれに近いような実績であったことは事実でございます。  そこで、第五次の五カ年計画単価がそれを下回っているということで果たして実効が、目標達成がいかがであろうかという御指摘に承ったわけでございますが、これは、第四次の計画期間中の状況と、これから予定されます五カ年間における状況との間のいろいろな相違がございます。端的に申し上げますと、まず第一番目には、四次五カ年の期間中に投資された施設で未完成のもの、それから未使用の施設、つまり仕掛かり品が相当の額に及んでおります。それから第二点といたしまして、現五カ年期間中に実施しております事業のうち、たとえば処理場でございますとかあるいは管渠の一部でございますとか、いわゆる先行投資部分がかなり含まれております。特に処理場につきましては、これは一体のものとして建設いたしますので、処理能力は計画処理能力を満たすものができ上がっておりましても、管渠のでき上がりぐあいによって流入水の割合が低いという状況がございます。それから第三点といたしまして、今度の五カ年計画におきましては、整備単価が高い指定都市における建設のシェアが四次計画に比べて低下をいたすことになっております。従来は五〇対五〇つまり一対一の割合指定都市とその他の都市に配分を予定いたしておりましたが、第五次の五カ年におきましては五五対四五というふうに比率を変えております。それから第四点といたしまして、事業の重点が地方都市に移行することに伴いまして、また大都市におきましても都市の中心部から周辺部に移ってまいることによりまして、管渠工事につきまして、シールド工法、推進工法等のいわゆる特殊工事の採用比率が低下をしてまいります。  このような条件を勘案考慮いたしまして、五次五計の単価を定めたものでございまして、私どもといたしましてはこの目標達成に無理な単価ではないというふうに考えている次第でございます。しかしながら、なおこれからの五カ年期間中の事業の実施に当たりましては、極力事業効果の大きい個所に重点的に投資をしてまいりますとか、あるいは工法の選定に当たりましても極力経済的、効率的な工法を選んで事業を実施してまいりますとかいうような努力は必要と考えております。目的を達成すべく極力そのような努力を重ねてまいりたいと考えております。
  58. 木間章

    ○木間委員 局長はこの道の専門家でありますが、私どもは内部のそういったものについてはなかなかわからないわけであります。今度の五計の中でも、たとえば市街地から郊外の方へ出ていくんだ、こうおっしゃられれば、私どもは、管渠にかなりの延長が必要になってくるのではなかろうか、あるいはまた、いま閉鎖性水域状況を見ておりましても、いまの二次処理ではなかなか処理ができなかった燐だとかあるいは窒素だとか、そういったものについてもこれから対処していくんだ、このようになっておろうと思います。そうしてまいりますと、一%当たり単価は横並びもしくは上回るべきではないだろうか、このように大まかに考えるわけであります。これまたいずれ五カ年計画の終わりごろにいろいろ総括がなされ、また次の計画に向けて進まれると思います。  ただ申し上げたいのは、四次五計にしたって、三次五計にしても、物価の推移がこの進捗率その他に非常に大きな障害になった、こういうことでありましたから、今度の五計を進められるに当たりましてそういったことのないようにぜひ万々の対応をお願いしたいと思うのであります。  次の質問に移りますが、下水道整備の最終目標をどこに置いておいでになるのか、昭和何年ごろに完成をされようとするのかお尋ねしてみたいと思います。  四次五計ができるときに、昭和六十年には下水処理人口の普及率は市街地では一〇〇%、総人口に対しては九〇%、こういうことで出発をされたわけでありますが、その後のいろいろの変化から、昭和五十四年八月には修正をされておるところであります。昭和七十五年までに達成をしたい、こうされておりますが、いまの五次五計を策定されるに当たりましての建設省の御決意をひとつお尋ねしてみたいと思います。
  59. 升本達夫

    升本政府委員 お尋ねの長期的な整備目標でございますが、昭和五十四年の八月に都市計画中央審議会から「今後の下水道整備あり方」について御答申をいただいておりますが、その中で、昭和七十五年ごろまでに大都市、地方都市の隔てなく市街地について下水道を完全に整備をすることとしたい、これによりまして下水処理人口の対総人口普及率をおおむね九〇%まで引き上げたいということを目標として示されておるわけでございます。  ただいまおただしの新五次五カ年計画に当たっての長期見通しということでございましたけれども、これはお聞き取りのように、長期的な整備目標といたしましておおむね七十五年時点という時点を想定いたしておりますので、特に今回の五カ年計画の策定に当たって、この長期目標の見直しということはいたしておりません。われわれといたしましては、この長期目標を目指しまして、第五次の五カ年計画の完全な遂行のために努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  60. 木間章

    ○木間委員 この都市計画中央審議会の答申は努力目標なんだ、こうおっしゃられたと思うわけでありますが、答申を受けての対応でありますから、単に努力目標だけでは済まない面があるのじゃなかろうか。そのような安易な考え方でおりますと、計画は立ててみたけれども結果的には及ばなかった、こういうことになってしまう、私はこのように指摘せざるを得ないのであります。確かに答申ではこれからの二十年間で一〇〇%やるのだから、そうなってまいりますと、この五計の中では一四%引き上げるわけでありますが、残り五六%になりましょうか。そうしますと、勢い年平均約三%近い伸び率で対応しなければならない、このように私は思うわけです。  そうしてまいりますと、先ほど横山委員に対する答弁の中で、流域下水道には私は自信を持っておるのだというようなことが出てきておる、私はこのように思うわけです。というのは、市町村単独でつくるよりも大きいものはいいのだ式の、一からげにしたような流域下水道になっていくのじゃなかろうか。ちょっとうがった見方かもしれませんけれども、私はそのように思えてならないわけてあります。そうしてまいりますと、いま下水道には市町村個別でやるもの、あるいは流域絡めてやるもの、いろいろの方式がありますが、勢いこれからの下水道流域下水道に重点がかかっていくのではなかろうか、このように見るわけですが、局長いかがでしょうか。
  61. 升本達夫

    升本政府委員 たとえば五カ年計画というような大きな計画の段階で、流域下水道を積極的に進めるというような考え方を具体の場所について考えて、それを政策目標にしているわけではございません。流域下水道を取り上げるかあるいは在来の公共下水道方式でいくかということの判断は、あくまでも先ほど来申し上げておりますような河川流域単位で見まして、その地域に適切な下水道整備計画として、よりすぐれた方を採用するという考え方でございます。しかしながら、現在までの実績にかんがみ、これから下水道整備が予定されるような地域、流域を対象として想定をいたしました場合に、在来の実績にかんがみますと、相当量の流域下水道の整備というのはこれからも必要になってくるであろうという判断のもとに、五カ年計画の中の流域下水道あるいは公共下水道のシェアの配分を一応いたしておるわけでございます。私どもは、流域下水道については御指摘のような問題があるとすれば、それは実施に絡む実施段階の問題ではないかという認識をいたしております。計画の適切な実施を図りますために、十分な御理解をいただく努力をさらに重ねてまいる必要があろうかというふうに考えている次第でございます。
  62. 木間章

    ○木間委員 局長は、実施段階での対応なんだ、このようにおっしゃられたと思いますが、しかしいまの仕組みはそうはなっていない。  いま一つの例を申し上げてみたいと思いますが、たとえば国庫補助対象率の中からもこのことが言えるのであります、公共下水道では平均六一・五%の助成率でありますが、流域下水道を見ておりますと九三%、一概に率だけで判断できないものもあることは私も感ずるわけでありますが、こういった手法から言っても、市町村は何とかいまの財源難から国の力が欲しい、国の助成を高くしてほしい、こういったことで、勢いこの九三%の流域下水道方式に乗ってくる、私はこのように思うわけです。ですから、局長は現地の対応がポイントなんだ、このようにおっしゃっておいでになりますけれども財政面から見てもそうはなっていない。建設省はこれからの方式は流域下水道を暗に奨励されておる、このように見ておるわけであります。本当に局長がおっしゃったように地元の判断次第なんだということであれば、この公共下水道にもそれなりの補助対象率引き上げがあっていいのじゃなかろうか、私はこのようにも思うわけであります。  そこで、今度の五カ年計画を見ておりまして、新たな事業として第二種流域下水道事業を創設する、このようになっておるわけですが、具体的にはどういうものなのかお示しをいただきたいと思うのです。
  63. 升本達夫

    升本政府委員 最近の状況から、特に地方部、地方圏におきます下水道整備が大変立ちおくれておるという状況判断がございます。そのために、自然保護の観点あるいはまた下流部におきます都市用水等の水利の問題に大変深刻な問題が生じているという地域が増大をいたしているわけでございます。これらの地域におきまして水質保全を徹底いたしますためには、下水道の整備が緊急の課題になると理解をしているわけでございますが、このような地域におきましては、市町村の財政力が弱いあるいは技術力が弱いというような状況が多く見られるわけでございまして、早急に下水道整備に着手することが困難な場合が多いわけでございます。このような場合に対応いたしますために、来年度昭和五十六年度から流域下水道事業を拡充いたしまして、ただいまの流域下水道事業におきましては計画人口十万以上ということでやらしていただいておりますけれども、これをさらに規模を引き下げまして、比較的小規模な計画人口の地域を対象として第二種流域下水道事業を創設いたしたわけでございます。この第二種流域下水道事業も当然に都道府県が事業主体となって行うわけでございますので、これによって早急に下水道の整備を図ることが期待できようかと考えている次第でございます。
  64. 木間章

    ○木間委員 第二種流域下水道の採用の問題についても、はからずも先ほどの質問と関連するわけですが、技術問題もさることながら、やはり財政力の問題を挙げておいでになるわけでありますから、私はやはり流域下水道が一面気になって仕方がないわけであります。そこで流域下水道、それなりにいい面も持っておろうと思いますが、最終的には流域下水道のメリットをどのように私ども理解をすればいいのか、建設省考えておいでになることをひとつ教えていただきたいと思うのです。
  65. 升本達夫

    升本政府委員 流域下水道には先ほど来申し上げているようないろいろな効果があるわけでございますけれども、特に私どもが大きなメリットとして考えておりますのは、市町村という行政区域にとらわれないで、あくまでも地形等の地理的条件に従いまして処理場の位置を選択できる。それから下水道はすべて自然流下を主体としておりますので、そのような形で施設の配置が可能となる。つまりポンプアップ等の必要性の生ずる場合が非常に少なくなる等によりまして、建設費、維持管理費、両面において経済的であるということが言えようかと思います。  それから同じくやはり行政区域にとらわれないという利点のために、水資源の保全という観点から、水質環境基準を達成する上で最適な地点に処理水を放流することができるという利点もございまして、水質保全上の効果が大変大きいというふうに考えております。  それから、都道府県が整備主体になるわけでございまして、先ほど来おただしの点でございますけれども、やはりその点から執行能力、技術力あるいは財政力という点で早急に下水道の整備を進めるために効果的であろうというふうに考えております。  その他技術的に申し上げますと、流入水の水量の均等化あるいは水質の均質化ということが期待されることもございますし、また、維持管理の段階におきましても、これはかなり集約的な維持管理、特に処理場につきましては集約的な維持管理ができるわけでございますので、十分な維持管理体制がとりやすいというような効果もあろうかと思います。
  66. 木間章

    ○木間委員 幾つか理由を挙げられたんですが、一つ財政的メリットの問題であります。確かに処理場なんかをつくるときに、五カ所、三カ所つくるよりも一カ所につくった方がいいじゃないか。ある意味ではうなずけないでもありませんけれども、しかし、流域下水道というのは工事が始まって、いままでの例を見ておりましても、完成するのに十年サイクルで動いておるような気がするわけです。つまり膨大な先行投資をまず必要とする。それは各市町村を結ぶわけでありますから、連携地区は別といたしましても、非連檐の地区を大きな管渠で結ぶわけでありますから、それらからくる財政上のデメリットは、私は処理場だけの問題で判断をしてはいけない。もちろん局長は総合的に見ておいでになるとは思いますが、私はそうはいかないと思うのです。全国各地の市町村の実態、県の実態等を見ておりましても、この財政負担が大変なんだ、このように一様に申しておいでになることからも、私は必ずしも財政的なメリットというものは、局長考えでおいでになるようなことはいかがなものか、私は異にするわけであります。ですから、この地方財政を圧迫をする、今日の中ではあるいは一般会計をも食いつぶしに入っていく、こういう危険性を非常に持っておるわけでありますから、この補助率の引き上げ等についても考えていかなければならない。  さらに第二種流域下水道をやっていくんだということになれば、財政力の特に乏しい町村の範疇にも入るわけでありますから、そういったものに対応するいまの御決意をお聞かせいただければと思います。
  67. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまのおただしの中で、国の高率補助、補助率に検討が必要ではないかという御趣旨であったと思うわけでございますけれども流域下水道公共下水道より高率となっておりますのは、その施設の性格が大変広域的な効果、効果が広域に及ぶというような点、さらに整備に緊急性を要するというようなことから、高率の補助率を設定いたしておるわけでございまして、これはたとえば道路におきましても、河川におきましても、その施設の対象の機能等に着目して国の補助率に差異が生じているという実態と比較をしていただきますと、あながち無理な設定ではないというふうに御理解をいただけるものというふうに考えております。  これから市町村が下水道を推進いたしてまいります場合に、さらに国の助成措置の重加ということを考えてしかるべきではないかという御指摘でございましたけれども先生承知のとおり、過去類似の五カ年計画の遂行期間中を通じまして、徐々に下水道整備についての補助率の引き上げを図ってまいっております。したがいまして、特に現状におきましては、補助率につきましては他の公共施設に対する国の補助率と比較をいたしまして遜色のない段階まで来ているものというふうに私ども理解をいたしております。したがいまして、地方公共団体のこの条件下におけるさらに御努力をお願いをいたしていきたい。財政面におきましてはさらに地方債の条件の改善という問題もございますけれども、私どもとしてはこのような財政措置状況下において御努力をお願いしていきたい。ただ、この計画面あるいは技術面等におきましては、地方公共団体の御意見を十分伺いながら、われわれとしてもより適切に下水道の整備のために努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  68. 木間章

    ○木間委員 他の公共事業と比較をして遜色がないのだ、このようにおっしゃっておりますが、私はやはりずば抜けていいようにしていただかないと、これからの市町村、特に第二種流域下水道をやろうとする町村にとっては、一番大きな財政上の悩みがのしかかってきておる、このように思うわけであります。そういった意味では、ぜひ今世紀末には一〇〇%やるのだ、このような答申も出ておりますし、決意のほどは努力目標だということで私は不満足でありますけれども、そういう一定の方向も出ておるわけでありますから、ぜひそういった面での応分の財政負担を、これからも引き上げるための努力要請をしておきたいと思います。  いま一つの問題の中に、水質あるいは水流の問題が一つはあったわけであります。水質の問題はまた別にいたしましても、私は水の流れの問題で冒頭、設置目的は何なのか、その中でお伺いをいたしたように、この流域下水道はやはり自然現象に逆らっておるのではなかろうか、実はこのように思えて仕方がないわけです。局長は、一カ所にまとめて放流をすればいいんだ、そういうことを言っておいででありますが、先ほどもちょっと言いましたように、今日六十九流域下水道計画の中で、たとえば終末処理場の数を見てみたときに、六カ所に設けているのは一流域ありました。三カ所に設けようとするのが三です。二カ所が十五です。圧倒的に一カ所のところが多い。五十流域もある、こういうことであります。ですから、局長もおっしゃっておいでになるように、水は高いところから低いところへ流れる、自然の流れで処理をするのだ、こういうことになってまいりますと、勢い川上で集めた水が四万鉄筋コンクリの管で川下へ送られていく。そうしてまいりますと、私はこれからの地下水というものがどう国民生活に影響を与えるものか。まさに今世紀末に全人口の九〇%あるいは市街化区域の一〇〇%、このことを達成したい。その達成された後のことを考えてみますと、私はこのままでいいんだろうか、大きな心配を持つ一人であります。ですから、この処理場も一カ所に集中すみのではなくて、あるいは上流、中流、下流、こういった分割方式はいかがなものか。それは流域下水道の方式になじまないのだ、こうおっしゃるかもしれませんけれども、二十一世紀の私たちの生活を考えたときに、いまの水資源の問題はいかがなものか、この点が大変重要でなかろうかと私は思うわけです。もっとも幾つかの文献を見ておりますと、上水道と下水道の中間に中水道の計画もあるやに実は聞くわけでありますが、川下まで運んだ汚水をきれいにして、またパイプを埋めて上流ヘポンプアップで持っていく、先々そうでもしなかったらこの水との関係が出てこないと私は思うのです。ですから、それをやる前にいまの流域下水道処理場の位置の問題について、建設省は各地方をもっと指導されるべきではないだろうか、このように私は思うわけですが、私の心配は余りにも先走りしていましょうか、局長のお考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  69. 升本達夫

    升本政府委員 流域下水道は大変大がかりな事業になりますし、したがって、完成までに公共下水道に比べますとどうしても時間がかかるというような問題もございますし、あるいはまた処理場を集約いたしますために、自分みずからの地域からの汚水以外のものも引き受けて処理しなければならないという感覚的な問題もございます。いろいろな問題がございまして、御批判をいただいている例がないわけではございません。しかしながら、私どもといたしましては、流域下水道の整備を選択いたします前提といたしまして、河川の流量については特に十分に留意をいたしております。端的に申し上げますと、河川の水自体に自然浄化能力がないようなところに公共下水道なりの処理水が大量に入りますと、それがかえって自然条件の悪化をもたらすというようなことがございまして、そのような条件を十分考慮しながら流域の実態、実情に即しまして必要な整備計画として流域下水道が選択されているという状況でございますので、御理解を賜りたいと思います。  御指摘のように、現在六十九流域下水道、九十五処理区で事業を実施しておりますが、このうちすでに三十五処理区で一部の供用開始が行われております。あるいは今年度中に供用される見込みでございます。したがいまして、この状況から見ますと、流域下水道であるがゆえに特におくれているという状況にはないというふうに私ども判断をいたしております。数ある流域下水道の中には、御指摘のようにいろいろ問題が生じて事業が滞っておるという例がもちろんございますけれども、やはり計画そのものの問題というよりは、先ほど来申し上げましたようにその計画適用の問題、事業実施の問題ではないかというふうに私ども考えている次第でございます。  先生のおただしの、流域下水道の場合は処理場一つに集約することが原則であるかという趣旨のお尋ねであったかと思いますが、必ずしも処理場一つにすることが流域下水道の原則とは私は考えておりません。その流域の状況に従って一つに集約できるときにはすればよろしいし、あるいはそれを分割した方がより合理的であり、効率的であるというような場合には分割も当然考えられるわけでございます。このような諸条件を勘案しながら流域下水道の整備計画を策定いたしているつもりでございます。  この計画策定に当たりましては、当然地元の市町村と十分協議を申し上げ、その了解を得て策定し事業に取りかかる、そういう仕組みで努力をいたしておるわけでございますので、要はその実現の仕方、計画の実施の仕方にさらに工夫が必要であるというようなこともあろうかと思います。その辺につきましては県当局とも十分通じ、あるいは市町村に対しましても連絡を保ちながら的確な実施ができるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
  70. 木間章

    ○木間委員 私の質問申し上げておるのは、将来下水道が全国的に行き届いたときに果たして——今日でさえ水探しに各市町村は躍起になっておるところであります。飲む水にさえ不足をしておる、こういう状況下にあるわけでありますから、水の再利用ということを重点に置いていかなかったら大変な結末になるんじゃなかろうか。あわてて中水道なるものをつくって、またぞろ大きな管で下流から上流ヘパイプ敷設をしなければならないようなことが起こらないように、いまから対応を強めていかなければならない、このように申し上げておるところです。残念ですがなかなか議論がかみ合いませかけれども、私は、やはり二十一世紀を迎えたときにお互いに後顧の憂えのないようにいまから準備をしていかなければならないことを指摘申し上げておきたいと思います。  時間もだんだんなくなってきておるわけでありますが、私は三次処理の問題について少し申し上げてみたいと思います。  特に富栄養化の問題、あるいは窒素、燐を何とかしなければならない。二次処理でもそれなりにやっておいでになるわけでありますが、決定的なものがないということであろうと思います。そしていろいろ文献を見ておりましても、これからも解明のために鋭意研究を進めていくんだ、こういうことでありますが、私はやはり再利用するときにこういったものを的確にやっていかなければならないと思いますが、今度の五次五計でこの種の技術開発についての対応をどのように持っておいでになるのか、お伺いをしたいと思います。
  71. 升本達夫

    升本政府委員 三次処理必要性につきましては、その目的、機能によりまして二つあろうかと思います。一つは、一般の下水で処理を予定されております汚濁量のカット、さらにカット率をよくするという意味におきまして、二次処理に加えてさらに三次処理が必要になるだろう、それからさらには生活排水の中に含まれております窒素、燐といったような特殊な質、これをカットするというような必要性から三次処理が求められる場合というふうに分けられるかと思います。  前者のBODで表示されます汚れのカットについての三次処理については、すでに実施の段階に入っておることも先生よく御承知のとおりでございます。窒素、燐につきましても、このうち燐につきましてはすでにその除去が実用化の段階に入っておりまして、この処理方式の確立に伴いまして、必要とするところにつきまして三次処理を実施してまいるというふうに考えているところでございます。  第五次の下水道整備五カ年計画期間中におきましては、この点につきましてさらに一層調査研究を推進する予定をいたしておりまして、必要に応じましてこの五カ年期間中に富栄養化防止の観点から下水道整備計画を策定し、燐の除去等を目的とする三次処理を実施することについて検討を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  72. 木間章

    ○木間委員 時間がありませんので要望申し上げておきたいと思います。  この二次処理、三次処理、もちろん工場排水の規制等も十分にやっていかなかったら、いま政府の方で検討されております例のフェニックス計画といいましょうか、港湾における広域廃棄物埋立処分場の整備に関する法律案なるものがクローズアップされてきておるわけであります。それらを二次処理、三次処理をあいまいにして、出たものはそこへ埋め立てて処分をすればいいんだということにならないようにぜひお願いをしたいと思いますし、先ほどから言っておりますように、水資源を再利用するんだという観点に立てば、なおそのことの研究開発をより一層進めていただかなければなりません。ですから、安易にこのフェニックス計画に移行するようなことのないようにひとつお願いをいたしまして、今度の法案に対する私の質疑を終わらせていただきます。どうも御苦労様でした。
  73. 稲村利幸

    稲村委員長 この際、暫時休憩いたします。  念のため申し上げますが、本会議散会後直ちに再開いたしますので御承知願います。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時五十三分開議
  74. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  75. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、下水道整備五カ年計画について若干質問させていただきます。  最初に、下水道の具体的な問題に入る前に、句点か大臣に基本的なお考えについて伺っておきたいと思うのでございますが、建設省が行う事業それ自体、私はある意味では後世に非常に大きな影響を残す大事業であろうかと思うわけでございます。今回の下水道もそうでありますけれども、治山治水に始まって、河川、護岸、こういう事業そのものがある意味では自然をつくり変えてしまうというような大きな結果を生むわけでございます。そこでやはりこの建設省事業自体の中で自然の摂理といいますか、自然の持っている大きなバランスといいますか、そういう力というものをないがしろにすることは、後で大きなしっぺ返しを食うのではないか。これは言葉の表現かもしれませんけれども、よく自然との闘いという言葉があります。闘っているうちはいいですけれども、今度は自然を克服する、これが果たしてそのままでいいのかどうか。やはり自然との調和という考えはこれから非常に大事じゃないか。いろいろな意味で自然の生態系を変えてしまうということが出てくるのじゃないかと私は思うのでございます。  これは大臣が静岡でございますから、静岡の例を具体的に私何点か申し上げたいと思うのですが、これは建設だけじゃない、通産の影響もあるわけでございますけれども、昔は越すに越されぬ大井川、流量の豊富な一級河川です。大臣が新幹線に乗ったり東海道線にお乗りになればわかるとおり、いま大井川にはほとんど水がございません。いま建設省は窮余の一策として塩郷から一定量の水を放流しています。これも発電ということによって管渠によって水が引かれて、あの一級河川の上に水がない。自然の維持流量は確保しますと言うけれども、結果として後世に残されたものは、あの砂漠のような大井川が忽然とそこに出現してくるわけでございます。  また、大臣の選挙区であるあの伊豆半島、先般の伊豆大島近海地震のとき、一番ずたずたに壊れたのは道路公団のつくった道路だったですね。大臣もよく御存じです。下田は陸の孤島になりました。あのとき、昔の人がつくった意外に古い時代からある道路というのは丈夫だった。確かに近代技術でつくったかもしれませんけれども、簡単に壊れてしまった。  つい先日、建設省も地建からおいでになって、掛川バイパスが通りました。通ってわずか二日間、五十数時間で雨でやはりずたずたに崩れてしまいました。地元のこの新聞を大臣もごらんになったと思うのです。バイパス開通で「これで安眠できる」という新聞の見出しです。それが二日目のあれには「三カ所で土砂崩れ」、ずたずたです。これは道路公団がつくった道路です、  こうなってきますと、自然というものがいまの建設技術を超えるところにあるとこのような非常に大きな結果を生みますので、今回の下水道の問題等含めまして、建設省が行おうとする事業の根底の中にやはり自然とのバランスといいますか、自然との調和といいますか、特に下水道などは、いままで自然の流れの中でリサイクルしておったものを管渠によって通して、最後はあの汚泥が発生してくるわけです。リサイクルという自然の摂理をどこかで切るという可能性も出てくるわけです。  そうしますと私が大臣に冒頭に伺っておきたいのは、いま環境庁を初めとして環境影響評価という問題が大きく話題になっております。まあ通産省あたりは頑強に抵抗しているということでございますが、建設省が行うこれからの事業の一番の根底の中に、やはりこの環境影響評価というものを十分配慮しつつ、快適な都市生活あるいは一切の事業というものが行われていかなければならないと思うのでございますが、鈴木内閣の閣僚の一人として、総理は環境アセスメント法案を今国会に出したいと言っておりますが、大臣はこの環境アセスメント法案に対してどのようなお考えか、まず伺っておきたいのです。
  76. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 環境アセスメント法案につきましては、建設省といたしましても当然これに協力することにやぶさかでないわけであります。すでに建設省では、五十二年の七月に次官通達をもって建設省所管事業につきましては環境影響評価についての当面の措置方針を策定いたしまして、それに基づいてきつく諸事業をやるようにいたしております。特に環境、自然破壊につながるような問題については、事前に十分調査して執行するように、住民の方々の御理解を得ながらやるというようなことで進めておるわけであります。  御指摘は、道路、下水道、国民生活に必要な大きな事業をやる上において、自然との調和をどのように求めていくかということの御指摘であったわけであります。伊豆の例があったわけでありますけれども、なかなか自然と近代技術をもってする施設との、技術的な問題というよりも、国民の要望にこたえるために多少の無理があることは否めない事実であろうかと思います。さりとて下水道施設にせよ道路施設にせよ、どの程度まで国民のニーズにこたえながら自然の中に置くかということについて、いろいろとバランスの問題もありましょうけれども、御指摘のようにとにもかくにも一度壊した自然は返らないという原点だけは忘れずに、やはり地域環境の整合性を考えて、こうした大きな事業、特に民間事業の模範となる公共事業でございますので、その点十分な配慮をもってこれからも努めてまいりたい、このように考えるものでございます。
  77. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは具体的な下水道の問題について何点かお伺いしますけれども、先ほど来、同僚委員の方からも同じ問題が指摘されております。私は、それをまた改めてほかの角度からお伺いしたいわけでございますが、先ほども流域下水道ということが取り上げられました。ここで建設省考えを伺いたいわけでございますが、先ほどの局長の答弁の中にも、なぜ四次五計あるいは三次五計もそうでございますけれども、三次、四次と来るときに、事業費はほぼ達成しておるけれども普及率でいきますと非常に落ちる、これは中心部の、工法等で非常に困難な地域の工事が重点であったという御説明があったわけでございます。  これから下水道事業というのは、だんだん人口集中からある意味では中小都市の方へ移行していくのがこれからの普及の方向であろうと思うのです。そのときにやはり流域下水道公共下水道との問題が出てくると思うのでございます。果たして人口が希薄な地域流域下水道というものは、いわゆる巨大なのは非常に不利益が多い、スケールメリットといいますか、私は逆にこの流域下水道の持つ巨大性がその地域にとっては大きなお荷物になってくるのではないか、いわゆる主要な管渠はできていきますけれども、各地域で地方自治体が持たなければならない部分の管渠と、そういう問題について逆にデメリットの方が多くなってくるんじゃないかと思う。ということは、具体的に言うと、一人当たりの建設コストは今後むしろ流域下水道の方が高くなってくるんじゃないか。こうなってまいりますと、私は流域下水道を重点ということではなくして、いろんな形の下水処理があってもいいんではないか。先ほどの御説明のように、第二種の流域下水道考えておりますと言っておりますけれども、私はそういう意味で建設コストの面から考えても、この辺であるべき下水道のバランスは考え直さなければならないんじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。
  78. 升本達夫

    升本政府委員 下水道の使命といたしまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、市街地帯の汚水の排除、生活環境の向上ということと、一面におきまして公共水域の水質保全という大きな要請がございます。先生ただしのように、自然環境の保全という観点から大変大きな機能を果たすべく要請をされているわけでございます。  河川の流域ごとに考えてまいりますと、公共下水道によって処理をいたすことになりますと、処理場の立地の問題でどうしても地域的な制約が出てくるということから、必ずしも望ましくないところへ放流水を放流しなければならないというような状況も多々あるわけでございます。そのような条件をつぶさに流域ごとに調査検討いたしまして、その流域に適切な水質環境保全という観点からも、適切な下水道整備計画として流域下水道の選択という結論に至っておるわけでございます。したがいまして、そのような観点から見まして、流域下水道という整備方式が将来にわたって非効率になってくるというような御指摘は、直ちに私どもとしては同じように考えて申し上げるわけにはまいらぬのではないかというふうに考えるわけでございます。  そこで流域下水道の効率、特に経済性の問題でございますけれども、私ども流域下水道の整備計画を立てます場合に、その点につきましては十分代替案との間で比較検討した結果選択するわけでございますので、経済的な効果については疑いを持っておらないわけでございますが、たまたま現在の実績をもってお示し申し上げますと、単独の公共下水道の場合と流域で実施いたしております下水道の場合との単価の比較をいたしますと、単独公共下水道は一人当たり大体七十一万円という単価を要しておりますのに対しまして、流域関係は七十二万円という単価になっております。これは現状までのところの比較でございまして、御承知のとおり流域下水道につきましては、さらにこれに関連する公共下水道が枝葉のようについてまいりまして、完成された暁にはさらに処理人口はふえるわけでございますので、完成された時点で比較をいたしますと恐らくこの単価の差というのは逆転し、さらに流域並びに関連公共下水道単価がはるかに下回るということになろうかと考えております。
  79. 薮仲義彦

    薮仲委員 私はそういう問題と、もう一点は先ほども指摘がございましたけれども、さっきなぜ大井川の例を引いたかといいますと、あれは全然下水道とは違いますが、いわゆる発電のために本来流れるべき川の上に水を流さないで、ダムからダムヘと管渠で引くものですから、表面には水が全然流れない。川というものの、完全な砂漠です。同じように流域下水道というものが将来普及率九〇%、そういう事態になったときに、先ほど私が指摘したのは、自然に降った雨が自然な形で土壌に浸透して海へ流れていくというのがいわゆる自然のサイクルでしょう。それがある瞬間に管渠に集められてどっと出ていくという流れの形が、果たして自然環境に大きな影響がないのかどうか。先ほどの御答弁ではそれは十分河川の維持流量を計算しておりますとか、五%とか一〇%以内とかいろいろ御答弁がありました。しかし果たしてそうなのか。いままで建設省がおやりになった工事、ずっと結論を見てみますと、大きな河川ではほとんど発電という大義の前に水がなくなってくる。自然流量を維持しますといつもおっしやるけれども、結果は砂漠です。こういう流域下水道等による雨水等の処理の仕方については、余り大がかりな処理の仕方というよりも、コンパクトな形で処理した方がいいんじゃないのか。地下水とか伏流水が足りなくなるよ、多摩川などはその危険性があるんじゃないかということを指摘する学者もおるようでございますが、やはり川の持つ自然の浄化能力というものを生かしつつ、公共下水道というもの、流域下水道というものを考えなければならぬと思います。  もう一点、局長流域下水道のメリットとして、一番水質を汚さないところに流しますという御答弁があった。私は逆だと思うのです。処理場というのはどこへ流してもいいような水の処理ができるような技術開発をすべきこそが処理場の持つ機能だと思う。むしろこれから水が足りなくなる、中水道、雑用水というものがこれからだんだん都市部では出てくると思うのです。そうなれば、処理場を通った水はどこへ出しても大丈夫ですよというほど処理技術というものが高度化され、すばらしいものになっていくことが好ましい形だと私は思うのです。そういうことを考えますと、私は流域下水道の持つ将来の課題として、自然の環境影響評価というものを十分配慮していただきたい。この点篤と重ねて申し上げますが、いかがでございますか。
  80. 升本達夫

    升本政府委員 確かにおただしのように、下水の処理水はどこへ出しても十分な浄化が行われておるという状況になることが望ましいわけではございますが、現状のところは御承知のとおり下水の処理水は標準値として二〇ppmという汚れまで浄化するということが一応現状の限界になっておるわけでございます。したがいまして、一般の河川でかなり汚れたところでも一〇ppmというところが平常の流水の水質度合いと思われるわけでございますので、処理場の水はその限りにおいては自然の流水に比べれば若干の汚れ度にはなっているわけでございます。将来にわたってさらにその処理水の水質を高めるという努力は必要でございますし、現に努力をいたしておるわけでございますが、現状はそのような状況にあります。したがいまして、それを前提として考えますと、処理水の放流地点については十分慎重な配慮が必要になるわけでございます。  それから、もう一つのおただし流域下水道によって河川の流量が著しく低減するのではないか、五%ないし一〇%の響きでございますと先ほど申し上げましたことについての再度のおただしでございますけれども、私ども流域下水道におきましては一般的に分流式という方式をとっておりまして、雨水については別のはけ口から河川なりの公共水域に排出する、こういったてまえにいたしております。したがいまして、管渠をもって下流の処理場まで運んでまいります水は汚水でございますので、パーセンテージからいきましてさほどのものにはならないというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  81. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題はいずれ歴史が証明すると思いますので、指摘しておくにとどめておきますけれども、十分配慮していただきたい点の一つでございます。  次の問題は、処理場で発生する汚泥の処分についてお伺いしたいわけでございます。  建設省の方から資料をいただきました、昭和四十九年以降の資料しかないということでいただいたわけでございますが、私はここで何点か指摘したいのですが、下水道の整備がどんどん拡充されていく、そうすると等位級数的に発生する汚泥の量というのはふえてくる。特に下水道整備五カ年計画、これは要求時点ですから普及率が多少パーセントは違いますけれども、その時点では五五%の普及率要求なさったようですが、その時点で現在の発生量の約倍の発生量になりますよ、大体いま二百四十万立方でございますから、それの倍、五百万立方近いものが発生してまいりますということが指摘されるわけでございます。  具体的に東京都の例などを申し上げた方がわかりやすいと思うのですが、東京都を調べてみましたところ、東京都の下水局では、東京都が処理できるのは、処理できると言いましても陸上廃棄、海面埋め立て、有効利用、海洋還元という処理のバランスがここに載っておるわけでございますが、この中で有効利用、これは四十九年から五十五年度までほとんど一一%から一三・九というふうに一〇%台の有効利用で、大宗は何かといいますと、陸上、海上の埋め立てに使われているわけです。これが現在の汚泥処理です。そこで東京都の話に戻りますけれども、東京都で現在発生している汚泥は、ではいつまで埋め立て可能なのかというと、東京都か水道局では現在中央防波堤内に埋めておりますけれども、六十年まででいっぱいになってしまいます。先ほどもお話ございましたように、フェニックス計画で何とかこの汚泥の広域処理をしたいんだというのが建設省考えのようであります。しかし、現時点でこのフェニックス計画がどうなるのかというと、六十二、三年ごろからしか発足しないんじゃないですか。そうしますとここに二年間のギャップがあるわけでございます。いずれにしましても、発生する汚泥というのは五五%で五百万立米、それがさらに九〇%になりますと現在の活性汚泥の処理方法でいきますとどんどん汚泥がふえていきます。いまから出てくる汚泥をどうするのか。  さっき冒頭に私はなぜこのことを言ったかというと、下水道処理というのは自然のリサイクルというものをどこかで分断しているわけです。発生した汚泥を大地に還元できるというなら好ましい。有効利用が一〇%です。自然のリサイクルを切断しているこの建設省事業を、リサイクルできないまま放置するとこのように汚泥がどんどんたまってくる。だから私は、建設省事業の一番根底に、大地にリサイクルできるという姿勢がないと大きな課題を残しますよ、このことなんです。ですから、これがどんどんふえていって海洋もしくは陸上で埋め立てすることができません。しかも、さっきから問題になっていますように、一次、二次処理では有害物質も必ずしも完全除去できません、農地へ還元するには危険が多過ぎます。重金属等を含んでおったらどうするかということで、必ずしもそれを大地へ還元することは不可能です。こうなりますと、私はここで指摘したいことが二つある。  一つは、さしあたって、この発生する汚泥を埋め立てに使っておる、普及率をどんどん伸ばすのは結構だが、汚泥の処分をどうなさるのか、明確にしていただきたい。  それから、私が手元にいただいた資料のこのような処理のバランス、陸上埋め立て、海面埋め立て、有効利用、海洋還元というバランス、これを変えないと大変なことになる。有効利用の面をさらに拡大し、また、汚泥の発生を少なくするような処理の方法を考えないと行き詰まってしまうと私は思うのです。やはりリサイクルができないいまの下水道処理の根本的な問題がここにある。このバランスを変えなさいということと、さしあたって六十年までは埋め立てをしなければならないのだったら、これはどうやって今後処理なさるのか、汚泥処理についての明確なお考えをお伺いしたいのです。
  82. 升本達夫

    升本政府委員 現在のところの発生汚泥量がおただしのとおり二百四十万立米、それから六十年度時点におきましてはほぼそれの二倍近くに達するということも御指摘のとおりでございます。  現在のこの二百四十万立米の処理、処分方法でございますけれども、これもおただしのように、陸上並びに海面の埋め立て処分が全体の八〇%近くということでございまして、肥料その他への有効利用量が一四%にとどまっておるわけでございます。そこで私どもといたしましては、やはり第一点のおただしの今後の有効利用の促進という観点から、大いに現在技術開発を積極的に努力中でございまして、下水汚泥の堆肥化、コンポスト化技術につきましてはほぼすでに実用の域に達しております。たとえば山形市でございますとか東京都、福岡市、鹿児島市等において本格的な事業化に進んでおる段階でございます。したがいまして、このような方向で一層今後技術開発を進めますと同時に、農業関係者と十分協議を持ちまして、利用者の信頼を確保しながら供給の増大を図っていきたいと考えている次第でございます。  しかしながら、この利用の伸展と申しましても、申し上げましたように大変利用率として極端に上がるということを期待することは無理でございますので、やはり当面は処分地の確保が最大の懸案事項であることも御指摘のとおりでございます。この点につきましては、現在、来年度五十六年度は九千万余の調査費をもちまして、これは技術開発の調査の実施と同時に、海面の埋め立て処分等につきましても必要な調査を実施しておりまして、これがいままでのところ五十八年時点までに調査を完了し、五十九年度から事業化にかかりたいというような段取りをもって調査を実施いたしておる段階でございます。できるだけ早く結論を得まして事業化の運びに至りたいと考えておる次第でございます。
  83. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、私はきょうは何点か指摘しておきますので、いま結論をと言ってもいまのような御答弁で終わりでしょうけれども、汚泥処理ということは下水道事業が将来にわたって抱え込んでいかなければならない大きな課題でございますので、いまのような御答弁で私は決して満足しておりません。十分な対処の仕方を考えていただきたいと重ねて要望しておきます。  その次に、私は、いわゆるエネルギーの問題、いわゆる省エネという表現がございますけれども、一体処理場はどうなんだというところから問題を一つ提起しておきたいと思うのでございます。  昭和五十三年度電力消費実績でいきますと、処理場数が三百六十四処理場、使用電力量年間約二十億キロワットアワー使います。一処理場当たり五百四十九万キロワットアワーの電力を消費しております。現在の活性汚泥法というものは、処理場が一カ所ふえますとこのように非常な電力を食うわけであります。処理の仕方自体がもう非常な電力を食う形になっている。万が一停電等の異常事態が発生したら、これは他の事柄も全部同じでございますけれども、特にこれは大変な事態が起こるわけでございますが、それはそれとして、現在の処理の仕方というのは必ずしも省エネルギーではないのではないかと私は思うわけでございます。きょうは時間がございませんから、資源エネルギー庁を呼んでいませんから、特に問題にいたしませんけれども、水力発電、火力発電あるいは原子力発電が発電所一カ所当たり平均どのくらい発電しているのか。概算でございますが、火力発電ですと一カ所十八億キロワットアワー、原子力発電で一発電所当たり六十三億キロワットアワー。それを見ても処理場というものは、原子力発電所一カ所だとか、火力発電所一カ所よりも大変な電力を消費しているわけであります。  下水道事業というものはやはり将来を考えていかなければならない。現在の活性汚泥法だけでいいのかどうか。もっと省エネルギーというものに取り組まなければならない。いまの活性汚泥法は相当電力を食っているのですよ。それは忘れてはいけない重大な視点だと私は思います。これについていかがですか。
  84. 遠山啓

    ○遠山説明員 若干技術的なことになりますので、私から答弁させていただきます。  御指摘のように、現在の活性汚泥はかなりの電力を消費しております。その中で一番電力を食うのが空気を発生いたしますブロアでございます。現在そういう活性汚泥をほとんど全国的に使っておりますが、これから地方の時代というのを迎えまして、農村地方までも下水道普及するに当たりましては、その地域に応じたような経済的な処理方法を考えていきたいと思っております。  現在行われております活性汚泥法につきましても、一層の省エネ化を図るという意味から調査を現在実施中でございまして、五十四年度から五十六年度まで、あるいは別途建設技術評価制度というものも利用いたしまして、曝気によるエネルギーの節減ということについてやっておりますし、また別途、汚泥から出てまいりますガスを利用しまして、これで発電をいたしまして処理場の電気を一部賄う、こういうようなこともあわせて行っておりまして、全体として下水道のエネルギーが減るようにということでいま研究を実施中でございます。
  85. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、いま申し上げたエネルギーの問題も、今後の対策としてどうか心にとどめておいていただきたい。簡単に言えば発電所を十基つくって初めて処理場の必要電力量になるという単純計算、粗っぽい計算ですけれども、それほど処理場をつくるということは電力を食うのだということを前提にして省エネに取り組んでいただかなければ、現在の総エネルギー量に占める比率は確かに低いです、建設省によれば。いまは低いですよ。だからといってないがしろにしていい課題ではございませんので、この問題、十分お含みおきいただきたいと思います。  それから次の問題、時間がありませんからどんどんいきますけれども、いまの活性汚泥法という処理の仕方で、一次あるいは二次処理します。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕 この処理能力というものは非常に大事なんです。活性汚泥ですから、生き物ですから。この活性汚泥がいわゆる処理能力を減退させるということは、それだけ質の悪い処理水が公共水域に出ていくわけです。やはり処理能力を非常に適正な状態に保っておくということは非常に大事です。きょうは時間がありませんから具体的な指摘はやめますが、いわゆる処理場から出てくる水のデータをずっと調べますと、雨が大量に降ったときの水質が非常に好ましい状態にあることは大臣も御承知のとおりです。やはり活性汚泥の適正な処理能力というものを維持することが非常に大事なことです。  では、その能力を低下させる原因は何があるか。これはいわゆる有害物質、重金属等を含んだ有害物質が混入してきますと、活性汚泥の能力が急激に減衰してくるわけです。ということは、何かといいますと、まだ生活汚水ならいいのですが、工場汚水が入ってまいりますと、この処理能力が非常に低下するという課題がございます。  これも具体的に申し上げますと、やはり一番おひざ元の東京都の例で言った方がはっきりすると思いますが、東京都の下水処理場から出る下水処理あり方検討しております東京都か水汚泥処理調査委員会、その答申が出ておるわけでございますけれども、この見出しは「下水道パンクの都」、こうなっておるわけでございます。なぜかというと、工場汚水がいわゆる現在の処理能力を低下させる、だからいろいろ、その次に聞きますけれども、法律で除害施設をつけますとかなんとかという御説明を聞いたところで何にもならないのです。現実に活性汚泥の能力が低下しているのですから。ここで言っているのはどういうことかというと、工場汚水を下水道に入れるのをやめてしまったらどうだ。これは都市部においては非常にむずかしいのです。都市に工場が混在しておりますから、分離しろなんて簡単にできないかもしれない。しかし、物の考え方として私は非常におもしろいといいますか、今後下水道問題を考える上に非常に大事な視点だと思うのです。ということは、工場汚水が入ってこなければ、危険な物質が混入しなければ汚泥のリサイクルは非常にやりやすいわけです。いまコンポストとおっしゃったけれども、東京都のコンポストはそんなすばらしいものではない。まだまだこれからです。とても農地へ還元なんて安心して受けられない状態にあるわけです。重金属が抜けないのですから。そうなってまいりますと、コンポスト化して肥料にしようといっても、もしも工場汚水が入っていなければリサイクルは非常に簡単なんです。ある意味では非常にやりやすい。そうなりますと、この東京都の答申にあるように、工場汚水は直接河川に流せ、そうすればもしも工場汚水が汚れておったり、悪臭であったり、非常に危険なものであれば生物が浮き上がってくる、工場みずから、世間の監視のもとに明渠の川を流れるのですから、世間の非難を浴びて、工場自体が適正な水質の水を流すように改まるだろうというのが大ざっぱに言えばこの答申の内容なんです。  そうなってまいりますと、やはり下水の中に工場用水を、除害施設をつけるとかつけないとかいう問題ではなくして、一つ考える視点として、いわゆる生活用水と工場用水というものを分離した形のこの考え方というのは、これからの下水道あり方として非常に大事な考え方ではないかと思うのですが、この点、大臣いかがでしょう。
  86. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまおただしの、東京都の調査委員会の答申でございますが、私どもも読ませていただいております。  その内容を若干申し上げさせていただきますと、「工場排水を下水道に受け入れるか否かの考え方の選択は、社会的、経済的に都市でのあらゆる分野にかかわり合いのある重要な課題であるから、今後、公害防止の理念と下水道事業の歴史と将来の展望、さらには実務の可能性の視点で検討し、実態に則し、かつ矛盾を生じない案をとるべきであろう。このためには、「社会的コンセンサスを得ることに多くの時間を要すると考えられる。」というふうに述べておられるわけでございます。  御指摘課題一つの問題、将来検討を要すべき課題ではございますけれども、私どもは現在の市街地におきます土地利用の状況、工場が住居地に散在して混在しているような状況から、必ずしも工場排水を一般の排水と分けて処理すべきであるということにはならないのではないか、経済的な面からもそうでございますし、また、仮に工場が自分で排水処理をするとしても、処理水の排出先に戸惑うというような問題が至るところに出てくるという状況になろうかと思います。  そのような状況にあることと、それから、工場にも種類によりまして、工場汚水の中でも一般家庭排水と一緒に処理した方が便利なものが非常にたくさん含まれておるわけでございますので、そのような点を総合的に勘案して、この御答申にあるように、やはり社会的コンセンサスを得ることに多くの時間を要する問題ではないかという視角から、検討させていただくべきものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  87. 薮仲義彦

    薮仲委員 御答弁をいただいたのですが、大臣、もう少し私の言った趣旨を明確につかんでほしい。私の言ったのは、工場の中でも有害な物質を発生する危険性があるということを大前提にしていまのことを申し上げたのです。それを承知の上で言っているのですよ。工場の中でも、たとえば有害でない水を下水道に入れてはいかぬなんて、そんな荒っぽいことを私は言ってないのです。いわゆる活性汚泥というものの処理能力を低下させるような危険なものについては、むしろ事前にチェックをして、放流についてはもっと監督を厳しくする必要があるでしょう。考え方としては必要なことじゃないか。何でもかんでも下水道に入れるということではなくして、むしろ下水道処理した方がいいもの、処理しない方がいいものということをこれからの行政の中で考えられる方が、発生する汚泥等の処理のことまで考えますと大事な視点ではなかろうかと私は思います。もちろん経済的な効果等を十分踏まえてそういうことを行うべきであります。  ただ、一つの提言として、これからの行政の中で、下水の中に何でも入れてしまえということではなくして、むしろ下水に入れるべき水はこういう水を入れていこうという考えでやっていきませんと、いまのように発生する汚泥に困るわけです。こういう考え方も一つ大事じゃないか、下水に入れるべき水はこうなのだということで積極的に建設省が取り組んだ方が楽じゃないかと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  88. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 工場汚水と下水道とのかかわり合いでありますが、先ほど来先生のお話を聞いて、水資源の確保と水の再利用、そして地域の環境との調和、それから下水道あり方、存在価値、こうしたことを総合的に私は考えておったのですけれども、実は私の選挙区でも、工場排水で汚れて、工場公害ということできつくやりました工場がつぶれました。しかし川はきれいになりました。魚が泳ぐようになりましたが、下水道が整備されたらその水がみんな下水道へ行ってしまって、川がからからになってしまったという大変な事態があるので、この点の整合性が非常にむずかしいと思います。  いまの工場排水でございますけれども、これは公害対策基本法もありますし、水質汚濁防止法もありますので、公害を出すような企業は社会的責任を持って、とにかくみずから有毒の、害のある水は出さないという工場規制によって処理できると思うのです。そして、御指摘のような形で分類して、下水道へ出すものと河川へ出すものと分けていけば、水資源の問題から再利用の問題からいろいろな問題がある程度解決していくのじゃなかろうかと私は思います。そのことをあわせて恐らく御指摘になっているものと思います。建設省所管だけではまいりませんので、厚生省あるいは環境庁、関係省庁もございますので、やはりこれからの課題として、これだけ水というものが大事になっておる、あるいはまた社会環境整備も生活環境整備もしなければならぬという、そのコンセンサスをどのようなところに求めていくかということは、御指摘を伺いながら大きな課題として取り組んでまいりたい、このように考えます。
  89. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかその点を心にとどめておかれたいと思うのでございます。なぜ私がこの点を申し上げたかといいますと、いま大臣の御答弁にもありましたように、建設省だけの所管ではございません。上水道で厚生省、そして水質汚濁防止法で環境庁が絡んでくるわけでございます。この水質汚濁防止法という法律が上水から下水の間でどこにかかっているかといいますと、工場から出る水を下水道に入れなければ、工場から出る時点で水質汚濁防止法がひっかかってくるのです。しかし下水へ入れますと環境庁の手を離れるわけです。そして環境庁の水質汚濁防止法の網がかかってきますのは、処理場から出る処理水にかかってくるわけです。その処理水の中には生活用水もあれば、有害な水を流した工場もあれば、いろいろな工場が全部入っておりますので、これはその責任を明確にはできません。いまおっしゃったように、法制の立場からいっても処理水を下水に入れるか公共用水に入れるかで法のかかり方が違ってくるわけです。その点も十分御承知のことだと思いますので、問題の解決の方法として私は指摘をしておきますから、よろしくお願いをしたいと思うのでございます。  もう一つ、私はこの点を伺っておきたいのですが、いわゆる三次処理、これはだんだんお金がかかってくるわけでございます。この三次処理を行えば行うほどスラッジが多くなります、こういうことが言われておるわけでございますけれども、それでは建設省全体として三次処理という、有害なものを除いてリサイクルできるようにしていこうという方向を選択なさるのか、それとも、いま私が言ったように、リサイクルできないような、重金属などをコンポストの中から抜くのは大変なんです。そんなことは技術的に不可能に近いのです。そういうことをさせないで、処理しやすいような汚泥をつくってリサイクルの方向へ行くのか、あるいは従来どおり埋め立てを続けていくのか。大変荒っぽい考え方ですけれども、これからの下水道事業の終末処理あり方は、三次処理を重点的にするのか、それともリサイクルを重点的にするのか。それは全部ですと御答弁になるかもしれませんけれども、やはりこれは大事な点ですので、どの方向に一番ウエートを置かれるのか、お伺いしておきます。
  90. 升本達夫

    升本政府委員 三次処理についての技術開発を進めるということはもとより大事なことでございますけれども処理の限界というものが当然あるわけでございます。したがいまして、三次処理によって処理水の水質を高めるということは可能でございましても、その処理の後に残った汚泥の活用という点につきましては、かえってこれは、三次処理については汚泥の品質がまた悪化するということも考えられるわけでございます。したがいまして、処理汚泥の利用、再利用という観点からいきますと、やはり最初の下水道に入ります水質の中で汚泥に悪影響を及ぼすようなものは極力これを排除するという仕組みの徹底を図るべきではないかと思うわけでございます。  先ほどお答えを漏らしましたけれども先生よく御承知のとおり、下水道に受け入れます場合にも、工場排水を受け入れます場合には、水質汚濁防止法の規制とほぼ同じような規制がかぶっているわけでございますので、たてまえからすれば、下水に入れる場合でも重金属等の水質を悪化させるものは工場側で除却をすることが義務づけられているわけでございます。したがいまして、これからはその制度の徹底を図るということで除却の状況を十分監視してまいりたい、そのために必要な人員、必要な施策を講じていきたいというふうに考える次第でございます。
  91. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がないので、これは簡単に御答弁をいただいて結構です。  いま局長が御答弁になったように、確かに法の網はそのとおりです。そこで、昭和五十一年の緊急措置法、下水道法の改正で、有害な下水は出さないように、特定事業場に対して——これは水の使用量が非常に多いわけですが、特定事業場以下のところに問題がないとは言えないと私は思うのです。それでいまこの問題を指摘するわけですが、いま局長がおっしゃったように、特定事業場に対して水質汚濁防止のための除害施設の設置が義務づけられている、しかし、その特定事業場以下の事業場に対しても、これからは監視といいますか、良好な水を出すような指導というものが非常に大事じゃないかなと私は思いますが、これはきょうはごく簡単にやっておきます。またこの次にやります。  それから、きょうずっと問題になっておった四次五計から五次五計の問題点をやりたいのですが、きょうは時間がないので一つだけ指摘しておきます。  地方自治体財政事情、これはもう御承知のとおりでございますが、いろいろな事情があると思うのです。昭和四十五年から五十五年までの地方財政計画を見させていただいたのですが、たとえば昭和五十年時点ですと政府資金が約七〇。四%。ところが、五十一年からは一九。四というように、地方自治体下水道事業を行うときに、良質な運用部資金の比率が非常に少なくなってくるわけです。先ほど来指摘されましたように、地方自治体の負担を軽減するためには良質な資金というのが非常に大事な課題ではなかろうかと私は思います。  それからもう一点は、これも粗い計算ですからいかがかとは思いますが、粗い計算で聞いておってください。普及率を一%上げるのに四次五計では九千五百億かかっております。五次五計ですと普及率一%で八千四百三十億。先ほど来の御答弁を聞いておりますと、これからは非常に工事のやりやすいところですしお金がかかりませんという御答弁のようでございますが、それにしても物価上昇等を見てまいりますと、普及率で言うのはいかがかと思うのですけれども、四次五計が九千五百億かかっているのが八千四百三十億という、普及率一%当たりのコストは非常に安くなっているわけですから、これが五年たってまた言いわけをしなくて済むように、確かに五次五計が計画どおり進捗なさるのか。事業費事業量ベースでいきますと、お金は一〇〇%近く使いました、普及率は伸びませんでしたというのが今日までの結果です。きょうは結果だけ言っておきます。こういう点で、五次五計が終わったときに、やはりだめだったということが絶対ないということは言えないかと思いますけれども、それに近い御決意があるかどうか、その辺はいかがでしょう。
  92. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまの地方自治体の負担増の問題でございますが、地方債の資金手当てにつきましては、確かにここ数年来かなり政府資金の比率が落ちておりましたけれども、五十三年度を境といたしまして、五十四年度、五十五年度と逐次政府資金の割合増加させております。したがいまして、徐々にではございますが、自治体財政には好条件が設定されつつあるというふうに御理解をお願いいたしたいと思うわけでございます。  それから、第五次の計画の遂行に当たって、四次の結果と同じようなことになるのではなかろうかという御指摘の御趣旨かと思うのでございます。この点につきましては、私ども先ほども御説明申し上げましたところでございますけれども、この来たるべき五カ年の計画期間中には、事業実施の状況前提条件がかなり変わってまいるというふうに予測をいたしております。端的に申し上げますと、四次の期間中にいわば先行的に投資された部分の量がかなり多くなっております。これが五次に稼働してまいりますことになりますので、単価的にはかなりの軽減になろうかというふうに考えられますこと、さらには、指定都市一般都市との配分比率が変わってまいりますことによって、比較的安い単価事業がふえてまいるということ、それから同時に、そのような状況でございますので、工事の施工の問題がかなり軽減されてくるという要素がございますこと等を含めまして、私どもとしては、物価の異常な上昇がないことはこれは祈るのみでございますけれども、その他の条件につきましてはただいま申し上げました条件の好転を踏まえて実現に努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  93. 薮仲義彦

    薮仲委員 先般来ずっと各委員がそのことを指摘しておりますので、どうかしっかり取り組んで、好ましい結果を得るように努力していただきたい。重ねて要望してこの問題を終わります。  次に雑用水、いわゆる中水道の問題について何点がお伺いしたいのですが、これをなぜここで取り上げるかといいますと、現在御承知のようにサンシャイン60ビルあるいは全国でいろいろな建物が中水道を使っております。そしてまた福岡で見られますように、将来の水の不足に対して地域ぐるみ中水道というものを使っていこうという動きが出ているわけです。  そこで、私は問題提起をしたいわけでございますが、当然中水道というものを行うについて、行政でございますから、それを施行するのにしっかりとした法の裏づけあるいは政令なりまた監督なり、あらゆる法制の上にきちんとした安全や事業主体や事業内容というものが全部確立した上で行われていればいいのですが、果たしてそうなのかどうかをきょうは確認をしておきたいと思うのです。  普通上水道ですと厚生省所管で、水道法とかいわゆる建築物における衛生的環境の確保に関する法律、こういうもので建物に網をかけています。そうして通産省等がかかわってまいりますと、工業用水道事業法が引っかかってきます。また、建設省は当然建築基準法で建物の中の配管について網をかけるでしょう。また下水道法等で、その運用でやってくるでしょう。あるいはもっと基本的な法律でいけば河川法等もかかわってくるかもしれません。現在の中水道というものはどういう法のもとに工事が行われ、現在のサンシャイン60あるいは福岡と、いろいろな地域で中水道が敷設されてくるが、どこの省庁が監督指導をし、何法をもってこれが運用され、行われているのかということを念のためにきょうは確認をしておきたいのですが、厚生省は現在の中水道に対してどういう監督権限と、具体的に何法をもってこういうものを、たとえば取り締まりとか安全を確認するとか、上水道と誤飲させないことが問題になったときに、どういう監督権限とどういう法律でこれをおやりになるか、時間がありませんから簡単にお答えください。
  94. 渡辺修自

    渡辺(修)説明員 お答え申し上げます。  厚生省は、先生指摘のように上水道を所管しております省庁でありますと同時に、国民の保健衛生の維持向上という衛生行政をも所管している役所でございまして、その両方の面から御指摘の雑用水道について重大な関心は有しておるわけでございますけれども、残念ながら雑用水道について全般的、総合的な法的な規制、制度というものはまだ整備されていない。しかし、私ども特にとりわけて衛生上支障のない形で雑用水道が利用されるべきだという見地から、従来いろいろ調査研究を重ね、それから先生おっしゃった一定の延べ面積以上の特定建築物につきましては、その限りにおいてしかるべき法制も持っております。こういう法制に乗せていくということも検討していかなければいけないだろうと思っておりますが、当面は、私どもとしては、飲み水として間違って飲んでしまうということのないような、誤飲あるいは誤用、こういったおそれの少ない水洗便所用に雑用水道を活用していただくということを重点的に進める必要があるだろう、そのための水質基準づくりというようなことに具体的に取り組んでいるところでございます。
  95. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設省、いかがでしょう。建設省のいわゆる中水道に対する監督権限、何法によってどういうことができるのか、簡単で結構です。
  96. 升本達夫

    升本政府委員 各建築物の中の処理水の再循環につきましては、これはおただしのように建築基準法の規定によりまして配管に関する規制がございます。その規定を一部適用し、一部準用しながら監督をいたしておるという状況にございます。  それからあとは、下水処理水の再利用をもって中水道化するというようなことも考えられるわけでございます。この点につきましては、下水事業当局者がモデル事業を現在実施中でございまして、福岡市においてモデル事業を実施中でございますし、来年度からは東京都新宿副都心でモデル事業を実施する予定でございます。このようなモデル事業の成果を踏まえて適切な循環方式を確立いたしたい、かように考えているところでございます。
  97. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がないですから結論だけ言いますから、大臣よく聞いておいてください、中水道について。  厚生省も言ったように、厚生省は口に入る水以外はいまのところ関係ありません。ざっくばらんに言えばそういうことです。飲めない水は関係ないと言われればそれまでなんです。しかし現実にああいうビルやいろいろな地域で始まってきます、そういうときに何の法制化もなしに事業だけが進んでいく。建設省がいま御答弁になったけれども、よくわからない。結局準用するだけなんです、建築基準法を準用するとか。準用の段階で事業がどんどん進んでいくことは好ましいことではございません。これは主務官庁が国土庁、後で御答弁いただきますけれども、できるだけ早い機会にこの中水道に見合った立法措置、水質であるとかいろいろな基準をつくって、少なくとも行政が立ちおくれて事業だけが進んでいくことのないように、この立法措置は至急に、もちろん所管は国土庁を中心にやっていることでございましょうけれども直接的には建設大臣のところが一番影響性が大きいところでございますから、どうか立法のことについて御努力をいただきたいという点が一つ。  それからもう一つ。これは最後に伺っておきます。本当はもっとしっかり伺いたいのですが、湖沼、閉鎖性水域です。  閉鎖性水域の汚染というものは非常に大きな問題がございまして、これは環境庁が主管でございますが、いわゆる湖沼法をつくったらどうだという動きがある。またわが党も湖沼法を提出してございます。しかし建設省等は河川法との絡みでなかなか問題があるとしていらっしゃいます。もちろん河川法を改正することは必要ですが、この湖沼というものの持っている景観であるとか飲み水に使うとか、いろいろな生活環境の中でのことを考えますと、河川法の改正だけでは湖沼の問題は解決できないんじゃないか。やはり特別な湖沼法というものをつくって、その中で当然河川法等を改正しながら、景観、水質等を含めた湖沼のすばらしさ、好ましい環境を残すべきだと私は思うわけでございますが、この点で建設省が賛成はいたしかねるという動きをそれとなく聞いておるわけでございます。これについて大臣は湖沼法を、たとえば環境庁等がやろうとすれば真っ先かけて反対なさるのか。湖沼を守るために協力をする体制で御努力いただきたいと私は思っている一人でございますが、その二つを大臣にお伺いしたいのです。  国土庁には、中水道を早急に結論を出すべきだと思うのですが、その辺の見解を伺って私の質問を終わります。
  98. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 中水道の問題、雑用水の処理の問題でございますけれども、これはもう先生おっしゃるとおり新しい課題でありまして、水の価値観の非常に高まった折、水の利用もしなければならないというようなことを考えましたときに、これは関係省庁とよく措置しなければならぬ、このように考えます。  それから湖沼法の問題でございますけれども、別に建設省が反対しているわけではありません。環境庁長官からも協力するようにアドバイスをいただいておりますけれども、法律的にどの程度の整合性を持たせるかということは事務レベルでは^たとえば水質汚濁防止法、公害防止法、それから環境保全法、河川法、関係法律だけでたしか八本か九本あるのですね。そうした関係法とあわせてどのように持っていくかということで、やはり役所ですからなかなか新しいものに飛びつくというのは、いままでの法律との絡み合いがあろうかと思いますので、なお前向きで御相談申し上げていい結果を——全く死んでしまったらおしまいなんですね。したがって、閉鎖性の水域、湖沼に関しては関心を持って協力することにやぶさかではありません。
  99. 北野章

    ○北野政府委員 雑用水利用につきましては先生指摘のように、水需給逼迫地域における非常に重要な手段でございます。したがいまして、今後国が主導して促進しなければならないと考えておりまして、私ども地域の実情に即してその導入を図っていくという方針でございます。それぞれ省庁におきましてそういった必要性を認めて、制度化に向けて現在調査検討がされておりますが、国土庁としては長期水需給計画、それから水資源開発基本計画を推進する立場にありますので、総合調整官庁として水資源開発利用の中での雑用水利用の位置づけというものを明確にいたしまして、関係省庁、地方公共団体の役割り分担等について積極的に連絡調整をとりながら、促進のための制度の確立に向けて努力してまいりたいと考えております。
  100. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  101. 池田行彦

    ○池田(行)委員長代理 次に、渡辺武三君。
  102. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 建設大臣は、本法案の提案理由の中で「立ち遅れの著しい下水道の整備を推進し、良好な生活環境の確保を図ることは、現下の急務であります。」こう述べておられるわけでありますが、このような大臣の御認識と現実の事業の進行状態とはやや矛盾をいたしておると思いますが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  103. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  計画のそごといいますか、おくれておることは事実でございます。なるがゆえに五次五計において三次、四次の阻害要因を見きわめながら目標設定をして、何とか環境整備を図っていきたいという熱意のあらわれでございまして、計画性、効率性を考えて何とか目標達成に努力をいたしたい、このように考えているところでございます。  ただ過去の計画がなぜ目標を著しく達し得なかったかというのは、下水道という事業が長期にわたりますし、環境の問題もございますし、国民の現時点における下水道に対する認識、意識の問題もございましょうし、総合的な事業がスムーズに行われなかったということもありますが、そのことを、一々私は言いわけのようなことは申し上げません。とにもかくにも目標を達し得なかったということについては遺憾のきわみでありますし、そうしたことを踏まえて何とか新しい計画に基づいてやってまいりたい、このように考えているものでございます。
  104. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 事業がおくれておる原因はいろいろあろうかと思いますが、新しい計画を迎えるに当たって、私は、第四次五計の中におけるそのような要因を一つ一つつぶしていかなければいけないのではないだろうか、こう考えるわけでございます。したがいまして、四次五計の中で実際の計画がおくれてきておるわけですけれども、そのおくれた大きな原因からひとつ順番に並べてみてくれませんか。
  105. 升本達夫

    升本政府委員 四次五計の達成状況につきまして、そのおくれの原因でございますけれども、まず一つは物価の上昇であろうかと思います。五カ年計画策定時点以降の建設物価の上昇。それから第二点といたしまして、環境問題がかなり増幅をいたしております。それに対応いたしますための施策、費用の増大、具体的には、たとえば終末処理場には全部覆いをかけなければならなくなりますとか、あるいは脱臭設備等も大変金のかかるものでございます。そのような状況にあること。それから第三点といたしまして、市街地の混雑度の上昇に伴いまして、管渠の敷設に当たりまして複雑な工法を採用しなければならない比率が増加いたしたこと。それから第四点といたしまして、先ほど来御説明申し上げております処理場等の先行的な投資、つまり第四次の計画期間中に現実の処理能力としては上がってこない投資額がかなりございます。そのような点が大きく影響したものというふうに考えております。
  106. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そういたしますと、それらの要因に対しては、第五次の計画の中ではどのような配慮をもってこれに対応しておられるのでございましょうか。項目別に順番に御説明いただきたいと思います。
  107. 升本達夫

    升本政府委員 第一点の建設物価の上昇につきましては、これは第四次の期間中に第二次の石油ショックという状況もありました。これは今後の経済全般の展開にかかわる問題でございますので、これを予防的に云々ということをいま申し上げられないのは残念でございますが、そういう要素がございます。  それから第二点の終末処理場等の設備費の増大につきましては、所要額見込むということで努力をいたしたつもりでございます。  それから第三点につきましては、要するに特殊工法等の敷設の所要単価が上がったという点については、これからの整備の対象地域がかなり地方にシフトしてまいります。具体的には指定都市一般都市との間の配分比率も変わってまいります。一般都市の方に重点が移ってまいるというような状況、さらに指定都市の中でも市街地縁辺部の方にかなり対象地域が移ってまいるということから、少なくとも第四次におけるような高比率の特殊工法採用ということは予定しなくてもいいことになるのではないか。  それから第四点の先行投資につきましては、もちろん第五次から第六次にかけましても、第六次のための先行投資部分も一部第五次の計画の中に含まれることには変わりないわけでございますけれども、第四次が流域下水道を中心としてきわめて大きく対象がふくれてまいった時期に当たりまして、先行投資分がどうしても上り調子のときには大きく出ます。したがいまして、五次においては後年次への先行投資部分が比較的小さくて済むというような状況がございます。  以上のようなことを総合いたしまして、何とか第五次においては計画の達成が見込めるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  108. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 下水道部で発行いたしております「日本の下水道」の中ではどう言っているかと言うと、下水道整備をめぐる環境は決して楽観できる状況にはないのだ、このような状況のもとで下水道の整備を着実に進めるためには、特に下水道に対する国民の理解と協力が不可欠だ、こう言っているわけですね。いま局長が挙げられました理由の中にはこの問題がどうも入っていなかったようですけれども下水道部がここに特記をして国民の理解と協力は不可欠だと言っているわけですけれども、この国民の理解と協力を得るために一体どのような対応をしておられるのでしょうか。
  109. 遠山啓

    ○遠山説明員 お答えいたします。  環境問題でございますが、先ほど局長が申しましたように、処理場につきまして臭気の防止の問題あるいは覆蓋の問題等、いろいろ四次の計画中に新しく起きてきた問題がございます。しかし、つくってみた後で、非常に豪華であるというような感じもなきにしもあらずということでございまして、われわれ公共団体を今後指導するに当たりまして、実際にそれを運転した場合に維持管理費がよけいにかかる、そういう観点から、もっと質素につくって実害がないようなことを考えるべきではないかというようなことも指導しておるところでございます。  また、特殊工法等につきましても同じことが言えまして、市街地におきます工事が非常に規制が厳しくなりましてこういうことになったわけでございますが、それと同時に、設計に安易なといいますか、地元の方たちにもう少し御協力をお願いすればいいところを、言えば安易にやってしまうというようなこともございますので、公共団体に対しましてもっと地元の協力を得るように、そういった計画で五次に当たる必要があるということを強調してまいった次第でございまして、ただいま申し上げたようなことが単価に反映しておるというふうにわれわれ考えておるところでございます。
  110. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも若干ぴんとこないのですが、ここに書いていらっしゃる、地方公共団体を指導することが国民の理解と協力を得ることだ、不可欠なことだ、こういう意味で言っておられるのかどうか。本来、現在滞っておる大きな理由として、たとえば流域下水道等につきましても、他の市町村の汚物を何でおれの町村に持ってこなければならぬか、こういう感情的な問題もございますね。そういういわば一般的な国民の理解を得るためのPRといいますか、下水道必要性といいますか、そういうものに対する理解と説得に対してどのような努力をしておられるのかということが聞きたかったわけですけれども、単に地方公共団体にうまくやれよ、本来下水道そのものが工事主体、事業主体は地方自治団体ですから、ややもすると従来建設省を呼んで、何でトラブルがあるのか、いやそれは県が事業主体でございましてと、どうもあやふやなことばかりが実際は続いておるというのが現状なんですよ。ところが、実際にこうお書きになっておるから、そういう反省点の上に立って、今後は新しい方法で何らかの方向をおやりになるのかと思って実は聞いたわけですが、従来と変わりないという御答弁のようです。それでは余り変わってこないのではないか。
  111. 升本達夫

    升本政府委員 大変事務的な御答弁を申し上げましたので、いわばこれからの事業を進行する場合の基礎的な条件の変化について御説明をさせていただいたわけでございまして、それらの条件を総合的に使いながら下水道の整備促進を図ってまいらなければならないわけでございます。その整備促進を図ってまいります場合の、いわばソフトウエア的な面におきまして留意が必要ではないかというおただしであろうかと思うわけでございます。  私どももまさしく同じように理解をいたしておるわけでございまして、たとえば流域下水道につきましても、計画の立案時においてはかなり十分な調整をいたしておるのが通常というふうに理解をしておりますが、それを実施の段階に当たりまして、少し時間を急ぎ過ぎたためにかえって大きな争議を引き起こすという問題もございましょうし、あるいは流域下水道目的、機能についての御説明が地元の住民の方々にもう一つ徹底を欠いていたというような条件もあろうかと思います。そのような点を、原因を少し洗い起こして、個別の対応について勉強する必要があるのではないかという反省を強くいたしておるわけでございまして、そのようなことをこれからの一つの政策進行のための課題考えているところでございます。  いずれにしましても、下水道の整備は公共団体の責任においてやっていただくという制度でございますので、何よりも公共団体の理解努力を促してまいらなければならないと思いまして、われわれもそのような視角に立ちまして、十分公共団体との連絡を密にして実施を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  112. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公共事業だから国民は協力するのが当然だという姿勢が、お役所だからやむを得ないかとも思いますが、とかくそういう基本的な問題が実は公共事業にはある。したがって、本来もっと親切に理解を求める努力ということが必要ではないか。道路においてもしかりであったわけですけれども、最近は相当一生懸命おやりになっておる。下水道は、先ほど目に見えないというお話もございましたけれども、やはり生活を守るといいますか、実は大変大切な施設なんですから、その面では単なる感情的な行き違い等々によって事業にそごを来すということは、これは本来から言えば税金のむだ遣いになるし、実際は大変なことなんですよ。そのときにできてしまえばよかったものが、後で予算を倍額つぎ込んでも十分にできなかったということも当然起こってまいるわけですから。そういう意味から考えますと、この下水道に対する国民の理解を得るという努力、そのこと自身は非常に大切なことではないだろうかと私は思う。もう少しその辺に力を入れて、事前の説得といいますか、理解といいますか、そういう方向に力を注ぐ必要があるんではないか、こう思うわけですが、何か目新しくそういうことをお考えになりませんか。
  113. 升本達夫

    升本政府委員 いまお答えするほどまとまった形で考えが詰まっているという段階にあるわけではございません。しかし、数カ所の流域下水道についてほぼ似たような進行過程にあるということにかんがみまして、やはり個別の対応にもう一つ国としても努力をしていくことが必要ではないかという認識を持っておりまして、その方向で具体に関係県との話し合いを進める方法について検討をいたしておる段階でございます。
  114. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 われわれが、現実にそういう場面に当たっていろいろ該当地区の方々の御意見なり、あるいは地方議員の方々の御意見を聞いておりますと、多分に誤解に基づくものもありますし、あるいは感情的なものに基づくものもある。そういう判断をいたしていきますと、もう少し親切なPRをするならばこんなにこじれなくてもよかったのではないかと思うことが実は間々起きておるわけです。それらに迅速に対応していくということが私は非常に必要だと思うので、ややもすると中央では、トラブルが起きておるけれども一体何をやっているんだと第三者的な立場で見てしまう、十分な原因の把握も行わない、こういうきらいがなきにしもあらずでございまして、そういう意味では事業地方公共団体がやるといたしましても、お得意の行政指導というやつがあるわけですから、その辺ではもっともっと積極的に介入できる余地があるのではないだろうか。そのこと自身が事業全体の進捗あるいは下水道普及率を高めることにも通じてまいるわけですから、私はもっと力を入れてそういう面を指導していただきたい、特に要望をいたしておきます。  それから、流域下水道は、いわゆる水質の汚濁を防止するためには大変効果的なものであろうというふうに私は考えておるわけでございますが、最近やはり量的な問題等々から、かえって問題があるんではないかという御意見が出ております。果たしてそうかどうかは私も若干の疑問を持っておりますが、流域的に汚水を集めて合理的に処理をしていく、それがだめだということであれば、それは分散的に処理をしよう、こういう御意見ではないかと思いますけれども、特殊な地域ではあるいはそういうことも必要なところがあろうかと思いますけれども一般的にはやはりより合理的な汚水の処理ということになれば、流域下水道というのは相当効果を発揮するのではないか、こう私は思うわけでございます。特に、従来出ておると思いますが、反対の主要な意見、それらについてどのように把握をしておられるか、所見を伺いたいと思うのです。
  115. 升本達夫

    升本政府委員 現在流域下水道は三十八都道府県、六十九カ所で実施いたしておりますが、このうち処理区の数で申しまして九処理区におきまして反対運動が生じております。それから三カ所につきまして訴訟という状況に至っております。  反対の主な意見は、一つは先ほど先生指摘なさいましたように、終末処理場に他の市町村からの汚水が流入するということ。それから第二点といたしまして、悪質な工場排水が流入すみ、そのことによって水処理が阻害されて公共用水域が汚濁する原因となるという問題がある。それから第三点といたしまして、終末処理場の設置によって悪臭や大気汚染等の公害が生じる。それから第四点といたしまして、農地等の他に利用されている土地が処理場用地に転用されるということが不都合であるというような問題。それから第五点といたしまして、大変広域を対象として、長い管渠を通して汚水を収集するということになりますので、河川の持つ自然の浄化効果が発揮されないというような問題、さらに河川の流量が減少するというような問題がある。これは望ましいことではない。大体そんなような反対理由になろうかと思いますが、お聞き取りのとおり、ただいまのうち二番目、三番目、四番目というようなところは、特に流域下水道なるがゆえにということではないのではないかと私ども考えておりまして、これにつきましては、流域下水道公共下水道を通じまして悪質な工場排水の排除には十分留意いたしてまいらなければならぬことでございますし、あるいは終末処理場の悪臭、大気汚染の問題については十分な予防措置を講じなければならないことでございます。それから農地等が処理場に転用されるという問題は、下水道の施設に限らず、ある程度やむを得ないことではないかというふうに考えておるわけでございます。  第一点の処理場に他の市町村からの汚水が流入するという問題は、理論的な問題というよりはむしろ感情的な問題が非常に大きなウエートを占めていると思いますけれども、この点につきましては流域下水道の効用、機能についての十分な御理解をいただくこと。それから仕事の順序についても十分理解を求めながら進めるというような対応が必要であろうかというふうに考えております。  それから第五番目に申し上げました河川水が流量が減るという問題あるいは浄化効果が発揮されないで不経済ではないか、こういう御指摘でございますけれども流域下水道を選択いたします場合には、先生よく御承知のとおり、事前に十分流域につきまして総合的な調査検討をいたしまして、上流部で処理水が流せるものなら流すというようなことを考えながら、いろいろな案について検討した結果、やはり流域下水道をもって対応するのが適切と判断された結果で流域下水道を選択しているつもりでございます。この辺につきましては十分な説明が欠けているために、あるいは理解を得られないために問題を生じているという点が多いのではないかというふうに考えている次第でございます。
  116. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 第二項で言われました、いわば工場排水を除外すべきだ、こういう意見の反対運動があることも私は承知をいたしておりますが、本来環境を守るという面から多くの県で条例が策定をされ、あるいは水質汚濁防止法等の影響もあって、工場から出す排水というのが非常に厳しい規制を実は受けておるわけですね。逆に言えば一般家庭の雑排水よりもきれいにして出している工場がたくさんある。問題はむしろ中小弱小企業における除害施設というものが、先ほども大臣が言っておられましたように、汚水をきれいにするためにいろいろ設備をしたらついに工場がつぶれてしまった、こうおっしゃっておりましたけれども、そのように非常に資本力の小さい弱小企業、そういうところではまだまだ問題があろうかと思いますけれども、むしろ逆に下水道に対して工場排水の取り入れを拒否していけば、そういう中小企業に対して非常に大きな打撃を与えてしまうというおそれがある、こう考えるわけですが、その辺はいかがお考えになっておられるのでございましょうか。
  117. 升本達夫

    升本政府委員 除害施設の設置の比率は年々向上いたしておるわけでございまして、大企業の設置率は大変高くなっております。御指摘のように小さな工場については比較的設置率が落ちておりますけれども、これにつきましては、やはり小さな企業であるといっても下水そのものの処理に影響を与えるような汚水を流すというようなことであっては困るわけでございますので、やはり何らかの形で除害施設の設置を督促してまいる必要があろうかと思います。その場合に、中小企業につきましての金融上の助成等については十分配慮し、そのような活用を図るように働きかけて、除害施設の設置の推進、促進を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  118. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そのこと自身も、実は一般的に言うと工場というものがすべてそういうものを排出するんだという誤った考え方に陥りやすいのですね。本来そうでない、別にそんなに害のある汚水を流している工場ではないものまでも一緒になって排撃をされてしまう、こういうことが実際は地方で間々起こってくるのですね。確かに重金属等を含む汚水を排出する工場、これは特定工場で出てまいりますが、そこはそことして別の対策をとりながらも、一般的に工場汚水を排撃するという風潮、このこと自身も、やはりそれにはそれなりの対応をしていかなければいけないと思うのですね。実際にはどうもそうではなくて、みそもくそも一緒にされたまま工場排水排撃という方向で実は事態は動いている、こう考えるわけですが、その辺はどういうふうに処理をされるつもりですか。
  119. 升本達夫

    升本政府委員 御承知のとおり、下水道に排出できる水質の基準は下水道法をもって定めておりますが、水質汚濁防止法によりまして、いわゆる公共用水域に排出可能な程度までは少なくとも重金属類については除害をしていただかなければならない。ただBODとかSSというような数値であらわされます汚濁につきましては、これは下水道によって処理することが下水道の本務でございますので、この点については十分受け入れが可能であるわけでございます。企業の種類によっては、たとえば食品工業のようなものはむしろBOD、SSで表示されるような汚濁量が非常に大きいというようなことになりますし、あるいはメッキ業のようなものにつきましては、これは重金属類が出るというように、企業の種類によって排出水の水質が大いに異なってまいるわけでございますので、その企業の種類に応じました適切な除害施設の設置をわれわれとしては大いに慫慂して努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  120. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 現実は、実際私が承知をしておる流域下水道は境川流域下水道、愛知県刈谷市に終末処理場をつくろうということで、刈谷市にその反対運動が起こっておるということでございまして、その結果あらわれていることは、工場排水排撃、この一本やりでございまして、実際にその工場排水が本当に重金属を含む排水がどうか、こういろいろ調べてみますと、中にはそれはもちろんメッキ工場等もありますから問題のある工場ものろうかと思いますが、大半はそうでない工場も多い。ところが現実にはそれらを全部一緒にして工場排水はだめだ、こういうことになっていっているんですよ、現実には。そこで市長も困って、じゃ工場排水は全部もう入れません、こういうことで事態が進んでいるわけですからね。そういうことに対して建設省はどう指導をしていかれるつもりかということを実は聞いているんです。
  121. 升本達夫

    升本政府委員 やはり下水道制度というものは都市の排水の一括処理ということで位置づけられておるわけでございますので、その制度の趣旨を全うできるように、十分都道府県段階、市町村段階においての説明不足を補っていくということか必要なのではないかと思うわけでございます。制度自体についていまの段階でわれわれとして特に手直しをしなければならないという必要性を感じているわけではございませんので、現行の制度が的確に運用されることを願っているわけでございます。そのために、現行制度の的確な運用について、都道府県を通じ市町村に対してさらにその制度の趣旨並びに規制の実態について徹底を図るように努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  122. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その規制の対象その他等は、いまの規制の方法がそうなっているというふうに申し上げているわけではなくて、規制の方法はそうであっても、現実にまた違った方向で動いておるということですから、それらに対してどうするかという問題が当然やはり別個の問題として起こってきておる。だから、規制をどうしようと考えていない、これは当然なことだろうと思いますが、したがって、そういう問題も全般的に言えばおくれている下水道普及をするために必要な問題ですから、たとえ法規制上問題がない、こう言われても、現実にはいろいろな問題が起こっておるということを十分ひとつ認識をしていただいて、そういう面にも力を入れていただかなくてはならぬのではないか、こういうことを実は御指摘を申し上げておるわけでございます。  さらに、これも先ほど大臣も答弁をしておられましたように、下水道をつくると河川水がなくなってしまって、河川の自浄作用を損ねてしまう、そして生態系の破壊と水資源の枯渇をもたらす、現実にあった、こういうふうに大臣はおっしゃっておるんですが、現実にそういうことが起こってくるかもしれませんが、そのような問題については、その該当地区の下水道立案計画に対して一体どのような配慮がなされておったのか、こういうことを実はお聞きしたいんですが。
  123. 升本達夫

    升本政府委員 下水道の整備計画を立案いたします場合には、その対象地域の地形、降水量等の、自然条件あるいは河川の流量その他の条件を十分に前提条件として勘案をいたしますし、また、土地利用の現状と将来に対する見通し、それから水利用の将来に対する見通し、それから汚水の量、それから水質の見通し、それから下水放流先の状況、そのようなものをすべて勘案要素として検討し、いろいろな代替案を比較して最終的にあるべき整備計画を決定する、こういう手だてを講じておりますし、その計画を決定するに当たりましては、地元の地方公共団体の意見も十分に聞きながら作成する、こういう手続をとっておりますので、おただしのようなことが計画考えられるということは私どもとしては考えがたいことでございます。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕 下水の整備計画のために、その整備計画が的確に行われたためにその河川の流量が著しく減少したということはあり得ないのではないかというのが私どもの感じでございます。もしそういうことが間違ってあり得るとすれば、それは計画の変更、修正が当然必要になろうかと思います。
  124. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私も局長の言を信じたいわけですけれども、残念ながら大臣がそういう事実があったとさっきおっしゃったのだから、それは少しおかしいではないか、一体どういう計画をしているのか、こう聞かざるを得ないのですが、大臣はいかがですか。
  125. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いささか具体例を明示してしまったわけですけれども、事実であったことは事実であります。これは、あの私が指摘したところはたしか特殊環境で流域も短いものですからそういうことになってしまったので、一つの大変まずい例を申し上げたのかもしれませんけれども、そういうことでなく、そうしたこともあり得るということを想定して事業については十分なケース等を集めて配慮して、環境破壊につながらないような方法でやるものであろうと思いますし、また、そのような方法でやることが当然の責務でもあろうかと思います。御指摘のようなことにならないように、それには木間先生や薮中先生等々皆さん御指摘のありましたとおり、やはり再利用ということにつながっていきますし、どう申し上げていいのでしょうか、技術的な問題もありましょう。いろいろな問題を検討して、何とか水資源確保につながった下水道対策を図ってまいりたい、このように考えるものでございます。
  126. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長、あり得ないことが起こったわけですけれども、それは計画にどういうそごがありましたか。
  127. 升本達夫

    升本政府委員 具体の例につきまして大臣から御指示をいただいておるわけでございませんので、私はその状況を十分把握しておる段階にございません。もしそういう状況があれば、その原因について十分検討しなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  128. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 重大な問題が起こっているわけですから、それはもういち早くそういう原因が探求されて、そういうことの起こらないようにしていかなければならぬわけでして、担当局長がそれを知らなくて起こり得るはずがない、こうおっしゃっておるのですけれども、現実にはそういう問題が起こっておるとすれば、先ほど来疑問に出されておるようにおかしいではないか、こうならざるを得ないことになるのですね。だから一日も早く、もしもそんなことが現実に問題として起こっておるならば、早く原因を調査をしてもらって、二度と再びそういうことが起きないようにしていただかなければならぬ、こう考えております。  そこで、流域下水道公共下水道に比べて経済性に劣るという意見も私は聞いているのですけれども、それは事実でございましょうか。
  129. 升本達夫

    升本政府委員 流域下水道の建設を選択いたします場合には、先ほど来御説明申し上げましたような諸般の状況を勘案して決定をいたすわけでございまして、特にその諸般の状況の中には、費用、便益の比較を代替案について行いました上で適切なものを採用するという経過をたどりまして、流域下水道の決定ということに至っているわけでございますので、特にそのために公共下水道に比して経済性に劣るということは、私どもとしてはあり得ないことというふうに考えている次第でございます。現実に第四次の計画で建設をいたしました流域下水道と、それから一般公共下水道の場合の単価の比較をやってまいりますと、単独の公共下水道の場合には処理人口一人当たり七十一万円という結果が出ておりますのに対しまして、流域下水道の場合には一人当たり七十二万円という数字でございます。したがいまして、第四次の結果で比較をいたしてみましても、ほぼ同じということでございますが、これも先ほど来御説明申し上げておりますように、第四次の計画期間中は流域下水道はまだ手をつけ始めた段階のところが多うございまして、これにつながるべき関連公共下水道の整備が不十分な状況にあるのが一般例でございます。そのような状況下において、すでに処理人口一人当たり公共下水道とほぼ同じ単価になっておるわけでございますので、これから流域下水道に関連する公共下水道網が整備されてまいりますと、この一人当たり単価は飛躍的に低減されてくるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  130. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それではちょっと質問内容を変えますが、第四次五カ年計画と第五次五カ年計画を比較をいたしますと、金額的に見てまいりますと、この中で著しく減少しておりますのは特定公共下水道、これが第四次に比べて約五割減ということになっております。これには何か特別な理由がおありでございましょうか。
  131. 遠山啓

    ○遠山説明員 特定公共下水道は、言うならば工場団地の下水道でございます。新しく工場団地をつくります場合にもっぱら特定公共下水道を使っておりますが、いままでのところ工場の進出状況が芳しくございませんで、そのために事業が四次五カ年の間でも計画をかなり下回ったということと、五次計画でもそれだけの要望がなかったというのが実情でございます。
  132. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 一方で工場排水を下水道に入れないという排撃運動があり、片や特定公共下水道は要望がないからつくらない、こういう相矛盾した問題が現実には起こっているのですね。もちろん工場団地を対象としておる特定公共下水道だ、こうおっしゃるのか、あるいは工場団地を対象としなくとも、従来から工場群といいますか、都市の中に偏在している多くの工場がある、こういうようなところもあわせてその工場団地的な特定公共下水道というものが本来敷設されていってもいいのではないかと考えるわけですが、その辺はいかがでございましょう。
  133. 遠山啓

    ○遠山説明員 過去におきましては、先生おっしやいましたように町の中に存在しております工場を集めるというような特定公共下水道もございました。しかし、そういうことをやるにいたしましても、かなり工場というのが密集していなければなかなか不可能でございますので、そういうところはもうすでに下水道が終わりまして、いまはもっぱら新しい工場団地をつくるというところにこの特定公共下水道事業が使われておるということでございます。
  134. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 下水道の効率的な運営を図るために、確かに工場群の中にはそういう重金属等を排出する工場があるわけですから、そういうのを職種別がいろいろ分類をして特に団地的にかためる、そして特別な処理施設をつくる、こういう考え方はございませんか。
  135. 遠山啓

    ○遠山説明員 一例ではございますが、町の中からそういう公害を出す工場を別途移しまして団地をつくりまして、それでもっぱら工場排水を処理する下水道というのをつくっている例がございますが、排出する工場排水によりまして、それは共同の処理でございますから効率よくやろうということで始まったわけでございますが、排出する排水の質が工場によってかなり違うものでございますから、河系統かに分けて処理をしなければならないということで、必ずしも効率的ではないというふうに聞いております。
  136. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも言っておられることがよくわからぬのですけれども、普通の公共下水道なりあるいは流域下水道なりに、そういう重金属を出す工場が仮にあったとすると、そういう中に仮に混入してしまったとすると問題が非常に大きくなるわけですね、したがって。そういう特定な重金属を排出する工場は特別に一定の範囲内にかためる、こういうことがむしろ合理的でないという理由がよくわからぬのですよ。
  137. 升本達夫

    升本政府委員 おっしゃるようなことが市街地の形成という点から可能であれば確かにそれが適当ではないかと思います。しかし、現在の市街地の形成状況からまいりまして、工場の立地を仕分けをして、特定の工場について下水処理のためだけにその移転をお願いする、集約をお願いするということがなかなか実際問題としてむずかしい状況にあるというふうに理解をしております。したがいまして、先ほど下水道部長が御説明申し上げましたように、特定公共下水道は、工業団地をつくるというような視角からでき上がっているところについての排水を引き受ける場合に非常に適した制度であるけれども、そのことのゆえに下水道の排出水を均質化するというような要請から、特に工場の移転をお願いするというようなところまでには現実の行政が至っていないというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  138. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 かつては都市の中から工場を何とか郊外へという考え方のもとに工場再配置と申しますか、そういう方向がとられていっておったわけですね。だからさらに進んでいけば、当然生活環境を守るためにいろいろな問題がその後出てきているわけですから、当然そういう考え方も下水道の中の一環として出てきてもいいんじゃないか、こういうことを実は申し上げているわけでして、すでに都市の中における騒音等の問題から、工場をなるべく住環境と離れたところへ、こういう考え方から工場団地的な方向が出てきた。その時点ではまだこの下水道も余り大きな問題になっていなかった。最近ではそれらがさらに下水道の面にまで拡大されて、相当各市町村ともこの下水道の整備については要望が高い。こういう時代を迎えておるわけですから、そういう時代を迎えてさらにそういう面に対しての配慮をしていかなければならぬのではないか、こう実は考えながら申し上げておるのであって、現実はまだ要請が少ないとかなんとかおっしゃっておりますが、むしろ進んでそういう方向で将来方向を考えていくということの方がより合理性があるのではないか、こう私は考えるわけでございますから、再度御答弁を願いたいと思います。
  139. 升本達夫

    升本政府委員 御趣旨については十分理解しているつもりでございます。要は都道府県段階、市町村段階の自治体が市街地の形成をどのように将来図っていくかということに密接に関連する問題であろうと思いますので、そのような計画が行われます場合に、下水の処理というサイドからの意見も十分反映するようにこれから努力をいたしてまいりたいと考えております。
  140. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 最後に三次処理についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  三次処理必要性についてはいろいろ強調をされております。しかし、現実にはまだ十分な処理能力がない、あるいは適当な技術が開発をされていない、こういうことでございますが、この三次処理が完全に行い得るというような見通し、時期的な見通しあるいは技術的な見通しについてお答えを願いたいと思います。
  141. 遠山啓

    ○遠山説明員 時期的な見通しというのがきわめて困難なお答えになるわけでございますが、現在、技術的には三次処理目的によりまして、BODとかCODという環境基準対策の三次処理につきましては六つの処理場ですでに始めております。しかしながら燐とか窒素という富栄養化にかかわる三次処理につきましては、燐につきましてはすでに実用化の段階に入っておりますが、窒素につきましてはまだ高額な費用がかかるということで実用化の域には至っておりません。しかし、アメリカ等の技術等を考えますと、それも近いうちに導入が可能であろうかというふうに思っておりますが、先ほど来申し上げておりますように、二次処理自体がまだ三〇%という程度でございまして、その二次処理でも燐なり窒素というのが二〇%ないし四〇%取れるということでございます。われわれは第一義的には二次処理を速やかに広げまして、国全体の水質のレベルを上げたいというふうに考えておりまして、地域的に必要なところについて三次処理を実施していくという考えを持っております。
  142. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 流域下水道のような大規模な処理場をつくろうといたしますと、どうしても三次処理が必要になってくる、実際はこういう段階ですね。そうじゃありませんか。
  143. 遠山啓

    ○遠山説明員 先ほど局長も申しましたように、処理場をつくります場合、まず最初に処理場をつくるわけですが、それに関連する枝線のパイプができませんと容量に見合った水量が入ってこないわけでございまして、どうしても最初の段階ではかなり処理場に余裕がございますので、水質的には三次処理をやったと同じ効果の水が出てまいるわけでございます。したがいまして、処理場がかなり普及したといいますか、パイプが普及した段階から三次処理を必要なところについて行うつもりでございます。
  144. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その答弁がよくわからぬですな、何で最初のうちは二次処理だけでよくて、そのうちに三次処理が必要になるのか。そうではなくて、実際は三次処理必要性というのは非常に説かれておる。そういう必要性に対して開発的な体制というものは一体どうなっているのか。もっとはっきり聞けば、一体下水道部はそれにどう対応しておるのか。技術開発できぬ、できぬ、まだ完全ではない、ないと言っておるが、これは一体下水道部がやっておるのかどこがやっておるのか、それに対してどのような促進といいますか、対応をしておるのか。一日も早くやらなければならぬ。たとえば三次処理がないために反対運動が起こっていることも現実には多いわけでしょう。だからそういう必要性に応じてどのような技術開発に対する対応体制が整えられておるのか、こういうことを実はお聞きしたいのです。
  145. 遠山啓

    ○遠山説明員 三次処理の技術開発につきましては、日本下水道事業団及び建設省の土木研究所等を通じまして技術開発を進めております。また、民間の力をかりまして開発したものを導入していくというつもりでございまして、また一方、日米下水処理技術委員会というのを持っておりまして、アメリカの最新の技術も、お互いに交流しながらそれを導入していく考えでございまして、できるだけ早い機会にそれらのいいものが開発されることを期待しつつやっておるわけでございます。
  146. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 下水道を実際に担当している局なり部ですから、期待をしてもらっておったんでは困るんですよ。むしろ積極的にそれらを開発促進する対応策は何だ、こういうことなんで、第三者的な機関ではないわけですから、その辺の見通し。たとえば自動車だって排気ガスの問題でいろいろ厳しい規制を課せられた。そのうちにアメリカができるでしょうということじゃなくて、世界に先駆けてそういう技術を開発し、やっていかなければならぬ、そういう意気込みを持って対応するには一体どうしていらっしゃるのですかと聞いているのに、何か第三者的な返答ばかりで困るのです。
  147. 升本達夫

    升本政府委員 三次処理の技術的な段階についてはただいま下水道部長からお答えしたとおりでございます。ただ、私どものその研究体制でございますけれども、これは御承知のとおり建設省の中に土木研究所がございます。その研究所の中の下水道部、さらにその下水道部の中に三次処理研究室という組織を設けまして鋭意努力をいたしておるわけでございますが、何分にも、これは国際的に見ましても、三次処理について、費用効果等も含めて決定的に適切な処理方式が開発されたというところまではまだ至ってないように私は承っております。したがいまして、アメリカの開発を待つということでなく、アメリカの開発とともどもこちらも努力をしてまいるという過程にあるわけでございますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。  ただ、先ほど一言下水道部長が申し上げたのは、現状においては三次処理ということが言葉が非常に理解しやすいために大変期待が多くなっておるわけでございますが、現実の水処理、一定の水質の確保ということについては、二次処理を徹底的に広めていくことでかなり有効に対応できるという事実を申し上げたつもりでございまして、そういうこともこれから住民の御理解をいただかなければならない点ではないか、かように考えておる次第でございます。
  148. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 答弁が行き違いになって大変恐縮でございました。  御指摘いただいたわけで、これを機会に三次処理につきましては、せっかくこうした研究機関もございますので、なお積極的に督励をいたしまして早期に解決を図りたいと考えております。
  149. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。
  150. 稲村利幸

  151. 中島武敏

    中島(武)委員 第五次五カ年計画下水道の総人口普及率目標を見ますと四四%になっています。五十五年度末が三〇%の見込みということですから、五カ年で一四%引き上げる、こういう目標なのですね。ところが、当初、昨年の八月でしょうか、概算要求を行った段階では五五%の普及率目標ということで概算要求をやられたわけです。五五%といってももともと非常に低いと私は思います。そのもともと低い要求が余りにも低く切り縮められてしまっているというのが実態なのです。要求をした建設大臣としてはこれについて一体どう考えておられるのだろうか、この問題をまず伺いたいと思うのです。
  152. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 四次五計の結果から五次五計で予算組みにつきましてお願いをいたしました。先ほど来阻害要因が多々あるわけであります。ただ、私たちとしては七カ年計画で五〇%以上の計画をいたしておったわけでございますが、御案内のような経済事情で一年半繰り延べ、五カ年計画の中で、なお圧縮された財源の中でありますけれども、さきの五カ年計画状況を踏まえて何とか目的達成のために四四%という目標を設定いたしたわけであります。  御指摘を待つまでもなく、過去の五カ年計画を踏まえても相当厳しいことは覚悟いたしておりますけれども、さればこそかえって私たちといたしましては、環境整備のためにせっかく協力、努力して目的達成のために何とか進めていきたい、このように考えるものでございます。
  153. 中島武敏

    中島(武)委員 日本の下水道普及率というのは、欧米諸国に比べるとお話にならぬぐらい低いわけなのです。政府の方は、口を開きますとよくGNP資本主義世界第二位である、全世界的に見ても第三位だということを言っていろいろ自慢しておられるのですけれども、しかし下水道を見る限りにおいては非常に低いのです。いまも大臣から答弁があったのですけれども、欧米諸国に比較して日本は一体どれぐらいおくれている、何年ぐらいおくれているとお考えなのか、どういう認識に立っておやりになっていらっしゃるのか、ここをまた重ねて伺いたいと思うのです。
  154. 升本達夫

    升本政府委員 現在の欧米諸国の状況は、これまた国によって違いますけれども、おおむね七〇%ないし八〇%という普及率に至っておるわけでございます。  そこで、わが国の場合の下水道の整備につきましては、長期構想を持ちまして昭和七十五年時点を目途に、これは正確に七十五年になればということではございませんけれども、おおむね七十五年時点、二十一世紀に入る時点をもちまして人口普及率で九〇%というところまで下水道の整備を進行させたい、そのことによっておおむね現在の先進諸国のレベルもしくはそれを上回るところに到着できる、かように考えておる次第でございます。
  155. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、現在少なくとも一世紀はおくれていると思うのです。妙なことを言い出すみたいですけれども、ビクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」という作品があります、御存じだと思うのですけれども、ジャン・バルジャンがコゼットの婚約者であるマリウスを担いで下水道へもぐり込んだというのは一体いつか。一八三三年の六月六日だろうというように思われているのです。このときすでにパリにおいては下水道の長さ四十・三キロメートルという数字があります。つまり、これは十九世紀の前半なのです。そして、十九世紀の後半には大都市においてはほぼ一〇〇%、パリにおいてもほぼ一〇〇%下水道は完成しているのです。ところが日本はどうか。先ほど長期目標なるものを言われましたが、下水道に力を入れ始めたというのはごく近年のこと、こう考えても間違いはないと私は思うのです。だから、大都市のことを考えるとこれは一世紀どころか二世紀近くもおくれているのじゃないかという気さえしないわけではないわけなのです。  なぜこんなに日本の下水道がおくれているのか、そしてなぜこんなに普及率が低いのか、この根本的な原因は一体どこにあるのか、ここをまずきわめることが大事なのじゃないかと私は思うのです。この点で大臣は一体どうお考えになっておられますか、何でこんなに低いのだと。
  156. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 「レ・ミゼラブル」のお話から説き起こして日本の下水道のおくれを御指摘なさったわけですけれども、いわゆる欧米諸国と日本の生活態様が全く違っておったということ。昔から日本は士農工商と言われました。いまは侍がありませんけれども、農業国でありましただけに、それと地形的な問題として下水道ということに対する関心は非常におくれておったことは否めない事実であります。しかも、近代化もつい最近のことでございます。下水道事業も、御案内のように今度お願いしておるのは五次五計、考えてみますと国でやる施策においても二十年そこそこでございます。まして、御案内のようにまだくみ取り式を使っておられる方々が六五%、七千三百万人ぐらいいらっしゃるというような国柄でございますので、これらの方々の関心をいただきながら、下水道施設というものは相当財源的にも巨大なものが必要でありますだけに、なかなか事業も進んでまいらないというのが実情でございます。日本の国民性、国の環境、国土、そして近代化のおくれ、こうしたことが総合的に下水道のおくれの理由だというふうに私は承知いたしております。しかし、もうすでに日本は先進国の仲間入りして、いわゆる経済大国となったわけでありまして、この百年になりましょうか、それ以上のおくれを何とか取り戻して、皆さん方の御協力をいただいて、二十一世紀にはとにもかくにも九〇%以上、都市部においては一〇〇%の下水道普及率を達成したい、このような心組みでいませっかく努力をいたしているところでございます。
  157. 中島武敏

    中島(武)委員 都市局長はどう考えておられますか。
  158. 升本達夫

    升本政府委員 わが国において下水道の整備がおくれている理由につきましては、全くただいま大臣がお話しになったとおりというふうに理解をいたしております。  ちなみに数字を御報告申し上げさせていただきますと、第一次の下水道整備計画がスタートいたしました三十八年度、その直前の三十七年度末、これは西暦一九六二年でございますが、この時点におきます下水道普及率は六・七%でございました。したがいまして、僅々二十年のうちにと大臣がただいま申されましたように、三十八年以降現在まで十数年という経過を経ましてようやく三〇%というところに到達したわけでございますけれども、この伸び率は国際的に見てかなり評価をしていただいていいものではないかというふうに考えている次第でございます。なお、さらにこの線に沿って普及の拡大に努めたいと思っております。
  159. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、大臣が言われた国民性、環境あるいは近代化のおくれ、このことをもろに否定しようとは思いません。思いませんが、しかしそうなんだろうかという疑問を非常に持つのです。それはなぜかというと、日本では人間の住む町づくりという問題が非常に不十分にしか考えられてこなかったのじゃないかということをやはり感ぜざるを得ないのです。といいますのは、ほかでもありませんが、一八八四年、明治十七年、ずいぶん古い話をするようですけれども、時の東京府知事である芳川顕正は、東京の市区改正のあり方について政府に意見を上申しております。市区改正と申しますのは、申し上げるまでもありませんが、いわば日本で初めての都市計画であります。そのときにどういう意見を上申しているかというのを見てみると、「おもうに、道路、橋梁、河川は本なり。水道、家屋、下水は末なり。故に先ずその根本たる道路、橋梁、河川の設計を定むる時は、他は自然。容易に定むることうべきものとす」こういう見解を述べております。これは手っ取り早く言いますと、当時の支配層が考えておりました都市計画というのは、道路、河川、橋梁などの産業基盤づくり、ここのところを非常に重点的に考えていたのじゃないか。そして、住宅とか上水道、下水道、こういう住民生活に直接必要な施設を後回しに考えていたというように私は思うのです。  ところが、この意見について諮問を受けた元老院が見解を述べております。この見解は「東京市区改正と陸海拡張のいずれが重くいずれが軽さを比較するに、すなわち陸海軍拡張は一日も忽諸に付すべからざる急務なるも、東京市区改正は単に美挙というべきことにして目下の急務というべきことにあらざるなり」、こう言っているのですね。つまり明治以来、富国強兵とか殖産興業ということを中心的なスローガンにして、住民のための住みよい都市づくりということが非常に圧迫をされ、軽視をされてきた、こういう歴史を持っていると私は思います。  では戦後はどうか。戦前はなるほどそうだったかもしれない。しかし、戦後は本当にそういう点が改まったんだろうか、ここなんですけれども、しかし戦後は、これまた政府が公共投資で一番重視をしてきましたのは、申し上げるまでもなく産業基盤投資であります。生活基盤投資はやはり軽視をし続けられてきたわけであります。高度成長期における産業基盤と生活基盤、これを見てみますと、住宅、学校、福祉施設、下水道、上水道、こういう生活基盤一に対して産業基盤は二ないし二・七、こっちの方に圧倒的に比重がかかっておりました。私どももこの問題はずいぶん前からいろいろと意見も言いました。住民の要求もずいぶんありました。自治体からの要求もありました。最近は若干改善されてきておりまして、新経済社会七カ年計画、これを見ますと一対一・四というところまで来ております。しかし、大事なのは、ここで相当思い切って考えを変えて、そうして生活基盤を本当に重視する、下水道なんかも本当に重視するというところに進む必要があるんじゃないか、この問題なんです。  それで、冒頭お尋ねしましたように、昨年八月に概算要求された段階というものから比較しますと、実際に閣議了解をしておられるのはぐっとレベルダウンしているのですね。ここで相当思い切って生活基盤を重視する、下水道はもちろん重視するというふうにやはり変わらなければいけないのじゃないか。建設大臣としては相当奮闘せなければいかぬ。閣議了解はすでにやっておられるようですけれども、何だったらこの閣議了解ぐらいもう一度考え直すというぐらいおやりになる決意があるかないか、ちょっと私はお尋ねしたいと思うのです。
  160. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 御指摘を待つまでもなく、日本の社会環境整備、社会資本はおくれております。したがって、国の方向づけとしてこの基盤整備については最も重要課題として積極的に取り組まなければならない問題であろうかと思います。きょうも本会議場で総理も言われましたけれども、まず住宅という問題も取り上げまして、重要課題であるというような御発言もございました。とにもかくにも前段の先生のおっしゃることにはちょっと納得しない、どうもいかがと思うところもございましたけれども、やはり生活基盤の非常に貧弱であった日本でまずやることは衣食であったろうと思います。まず衣食足りて何とかという、衣食足りてこれからようやく社会資本の充実に向かっていくところまで来たわけで、これは国民の方々が大いに切磋琢磨して、勉強して、科学技術を進め、近代化して、ようやく食が足りていよいよこれから住環境、そして生活環境というところに順次来たのであろうと思います。とにもかくにも欧米先進国との違いについては現実の問題としてわれわれは考えさせられる問題でありますが、これからやはり力をつけた日本として、御指摘を待つまでもなく、また御指摘のように、こうした下水道ももちろんそうでありますけれども、社会資本の充実、環境整備について、経済力のある日本でございますので、重点的に施行して努力してまいりたい、またそうすべきであろう、このように考えるものでございます。
  161. 中島武敏

    中島(武)委員 下水道五カ年計画についての閣議了解、これを見ますと、一と二がありまして、二は、「本計画は、今後の経済、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るものとする。」こうあるのです。それで、弾力的に実施を図るということは切り下がっていくということばかりじゃなくて、もっとこれをオーバーしてもよろしい、もっと目標を超過達成してもよろしい、こういうことをも含むものではなかろうかと思うのですけれども、そしてまたそういう気構えで取り組むべきじゃないかというように思うのですけれども大臣、これはどういうふうに解釈すればいいのですか。
  162. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 当然そのような心組みで対応することであろう、このように考えております。
  163. 中島武敏

    中島(武)委員 この四次五計を見ましても目標どおりいかないわけですよ。逆に下がっていくわけですね。これではしようがないんです。弾力的実施を図る、経済事情、財政事情、銭がない、調子が悪い、それでまた下がっていく、こういう方向では全然お話にならないと思うのですね。しかし、四次五計を見ますと実際はそういうふうになってしまう。だから五次五計についてはよほどかたい決意で取り組んでもらわなければならないと思っているのですけれども大臣、もう一度、本当にこれは真剣にやるという決意をまず聞きたいものだと思うのです。
  164. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 四次五計の投資額についてはマイナスをいたしておらないわけで、精いっぱいやっております。ただ、経済環境、物価高あるいは地域の方々との調整の問題等々でおくれたわけでありまして、やはり御案内のような社会経済情勢の中で非常に変化が多い中でこれに対応していくにはそれなりの覚悟が必要であろうかと思います。されば、先生の御指摘を待つまでもなく、それに十分な対応をして何とか所期の目的を達成させるべく、努力をする心構えは当然のことながらしかと持って対処してまいりたい、このように考えます。
  165. 中島武敏

    中島(武)委員 それでは次の問題に移りますが、五次五計、新しい五カ年計画、これを見ますと、地方を優遇して大都市を軽視している、こういうふうに見えます。私は、地方と大都市を対立させて考えてはいかぬと思います。地方も大いに下水道普及をやらなければなりませんし、しかし同時に大都市も大いに進めなければならない。つまり、結論的に言えばパイ全体を大きくするということをやらなければこれはうまくいかぬわけです、申し上げるまでもないのですけれども。私はそういう観点から、大都市、特に東京の下水道問題について幾つかお尋ねしたいというように思います。  まず一つは、東京では下水道事業に地方公営企業法を適用して独算制を敷いているのです。これは、大都市必ずしもすべて地方公営企業法の適用というふうにやっていないと思いますが、東京ではこういうふうにやっております。ところが、下水道は申し上げるまでもなく非常に公共性が強い事業であります。これを料金で賄うということになりますと相当な無理がくるのですね。そのために東京はこの四月から、もう幾日後になりますか、下水道料金を八〇%値上げをする。これは全国一高い下水道料金になってしまうわけです。つまり受益者に負担をさせるということをごく基本に考えて、料金でその収入を賄っていく、こういうふうになりますとどうしても高い下水道料金にならざるを得ない、矛盾が起きてくる、こういう問題に逢着するのです。そういう点では公共性が強いわけですから、受益者負担ばかりに全部を依存をするというようなやり方は私は正しくないのだと思うのですけれども、この点について建設省としてはどんなふうにお考えになるものか、まずこの点をお尋ねしたいのです。
  166. 升本達夫

    升本政府委員 下水道の使用料の値上げの問題については、東京のみならず数都市において現在進行中でございます。  使用料についての考え方でございますけれども下水道は何と申しましても、その公共性もさることながら、利用者が特定されていること、それから、その利用者が、われわれ一般住民を含めまして一面におきまして水質汚濁の原因者という立場もございます。水質保全のために相応の社会的な費用を負担すべき立場にあるということが言えようかと思います。したがいまして、このような点を考えまして適正な利用者負担を行うのが適当ではなかろうかという考え方に立っておるわけでございます。これは各累次の五カ年計画設定に先立ちまして、その都度下水道財政についての研究委員会を持ちまして、学識経験者の御意見を拝聴しながらあるべき財政体系について御議論をいただいているわけでございますが、この第四次の財政研究委員会の提言におきましても、そのような観点から汚水に係る維持管理費——維持管理費のうち汚水分でございます、これについては当然利用者が負担すべきであるということのほかに、建設費につきましても、国庫補助金などでもちろんカバーされている分、これは除いて、その他の分についての資本費もやはり、その償還についても利用者に負担していただくのが先ほど来申し上げたような原則に立って適当ではないかというような御意見もいただいているわけでございます。このような御意見を踏まえまして、各自治体において適切な使用料を設定しているものというふうに理解をしております。
  167. 中島武敏

    中島(武)委員 使用者が適正な負担をする、これは私は何も否定するわけではないのです。しかし、八〇%も値上げをしなければならないというような、こういう負担のさせ方というのは適正であるかどうかということですね。私は、こういう点ではもっと考えてみなければならぬ点が相当あるのじゃないかと思うのです。現実に東京の下水道建設の財源は一体どこに求められているのか、結局大部分は起債なんです。借金なんです。大部分はそこに依存をして建設をやっているわけです。五十四年度末の起債の未償還額は幾らになっているか、一兆一千二百五十八億円です。一日の利子は二億一千七百万円です。料金収入は幾らか、一日一億四千九百万円、今度値上げになりますから多くなりますけれども、こういう状態ですから赤字が赤字を生む、いわばこれはサラ金財政みたいなものなんです。だから、政府の側からやるべきこととしてやはり必要なことの一つだと私は思うのですけれども、この起債のうち、政府債をもっとふやすということに力を注ぐべきではないかという気がいたします。その政府債と民間債が一体どんな割合になっているかということを調べてみますと、これは東京都の下水道局発行の「下水道財政のしくみ」、これに載っているところですけれども昭和五十年あるいは五十一年といいましょうか、五十一年を境として政府債が極端に落ち込んでいるのです。それまではざっと言って五〇%を超えているというふうに言っていいと思うのです。ところが、それから急に落ち込んで五十一年が政府債が一一%、それから五十二年が同じく二%、五十三年が一〇%、五十四年が一九%、こうなっているのです。自治省に調べてもらった数字は多少違うのです。多少違うので私の方から申し上げておきますと、五十一年が一六・九、五十二年が一七・七、五十二年が一五・三、五十四年が二一・三、それで五十五年が三三・五だ、こういうわけでありますが、この自治省の数字によりますと、五十年は五二・二、こうなっているのです。つまり五十一年から極端に逆転をして、非常に少なくなってしまっている。私はさっきも言いましたけれども、この点については相当政府の側から援助すべきこととして、政府債をもっとふやすべきなんじゃないだろうかという気がするのですけれども、この点については、建設省だけの話じゃないかもしれないけれども、都市局長なんかはどう考えますか、
  168. 升本達夫

    升本政府委員 下水道の整備財源の中で、起債の占めるウエートが大変高いというのは全く御指摘のとおりでございます。したがいまして、その起債の条件をできるだけ有利にするということが下水道整備促進のために大変効果があることも御指摘のとおりでございます。五十年度、五十一年度、五十二年度と、おただしのように起債の総額に対します政府資金の比率が下がってきておりますけれども、五十三年を境といたしまして、五十四年度、五十五年度と徐々にまた政府債の割合が回復しつつあるということも御承知のところだろうと思うわけでございまして、さらにこの線に沿って五十六年度、さらに後年度におきまして政府資金枠の比重を広げていくことにわれわれとしても努力をいたしまして、関係省庁に十分要請をいたしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  169. 中島武敏

    中島(武)委員 急速に以前のように五〇%まで、以前は五〇%超えておったのですけれども、五〇%超えるまでぜひ建設省としても努力していただきたいと思うのですけれども、どうですか。
  170. 升本達夫

    升本政府委員 十分所管庁と相談をしまして、できる限りにおいて政府資金の枠を広げるように努力をしてまいりたいと考えております。
  171. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一つありますのは、国庫補助対象率、これを見ますと一般都市は七五%ですが、政令都市は四五%。それから国庫補助率が道路は四分の三ですが、下水の管渠は十分の六なんです。それから国庫補助の採択基準を見ますと、一般都市は八百ミリ以上、政令都市は三千五百ミリ以上という非常に大きな差があります。三千五百ミリと申しますと、これは本当に大きな管です。これしか対象にならないのです。これは中で競馬やったってできるぐらいの大きな管なんです。もうトラックがどんどん通れるというものでなければ国庫補助の採択基準に合致しないということになっているのです。私はこの問題は、ずばっと申しますけれども、やはり一般都市並みにする必要があるんじゃないか、道路並みにする必要があるんじゃないかと思うのです。昨年の概算要求のときには四七%ということを言ったのですが、これはまた削られてしまう、そういう経過を経ているわけですけれども、こんな調子だったら大都市における下水道事業というのは本当に進まなくなっちゃうと思うのです。先ほど長期目標を挙げられましたけれども、長期目標を本当に実現していこうと思ったら、こんな程度のことをやっておるんじゃだめだと思うのですね。これも都市局長の方からしかたる御答弁をいただきたいと思います。
  172. 升本達夫

    升本政府委員 下水道の補助率につきましては、第一次五カ年計画発足時点におきましては公共下水道三分の一、大都市において四分の一という補助率になっておりました。これを第二次、第三次、第四次の五カ年計画の進行に従いまして逐次改善をいたしてまいっておりまして、御承知のとおり現在は公共下水道処理場について三分の二、管渠について十分の六という補助率になっております。流域下水道についてはさらにそれぞれ四分の三、三分の二の補助率になっております。したがいまして、補助率の点では他の公共施設につきまして、端的には道路との比較がございましたが、並びの関連の公共施設の中の位置づけとしましては、まずまずのところに至っているというのが私ども理解でございます。  それから補助対象率でございますが、これは確かにおただしのように、現時点におきまして一般都市に対する補助対象率指定都市に対する補助対象率に格差がございまして、指定都市については四五%という対象率にとどまっておるわけでございます。これも第一次の五カ年計画時点から比べますと相当の伸びにはなっておるわけでございますが、まだ問題なしとしない状況にあることは御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、少しでもこの補助対象率引き上げるという方向で考えまして、五十六年度予算要求に当たってそのような考え方で要求をいたしたという経緯がございますが、今度の五カ年計画設定に当たりまして、先ほど先生からもお話が出ました経済社会七カ年計画の枠組みの中で五カ年計画をこなしていく、各施設別の五カ年計画を組み立てていくということになりますと、七カ年計画の中の総量並びに施設別のシェア割りということが前提とならざるを得ないわけでございまして、この七カ年計画公共施設投資額の完結時点を一年半延ばさざるを得なかったという経済、財政状況前提として考えますと、その箱の中の金の使い方としては、より優先さすべきものは、先生先ほどから御指摘のとおりの普及率引き上げであろうか、こういうふうに考えまして、やむを得ず今回は補助対象率引き上げを見送った次第でございます。今後財政事情の好転、経済情勢の変化に伴いまして、われわれとしてはそのような重ねての努力はいたしたいと考えておりますが、現状はそのような状況にあるということを御報告申し上げます。
  173. 中島武敏

    中島(武)委員 これは普及率のことを考えればやはり補助対象率どももっと引き上げていくということをやりませんと、これは普及率と非常に大きなかかわりがあるのです、言うまでもないのです。だから、限られた箱の中、この枠内でだけ考えて、限られたパイの中でどっちをどういうふうにするかということだけ考えている考え方からは、なかなかこれは打開しがたいところだと思いますけれども、しかしこれはやはりもっと努力をしませんと、大都市の方は進まないのじゃないかということであります。重ねてこのための努力要求したいと思うのです。  さらにもう一つ東京の問題について言いますと、東京は大都市の中でも他と違って大変特殊性がありますね。つまり私どもがいまいるこの国会、これが存在するのは東京以外にはないのです。衆議院、参議院、それから政府機関がありますのも東京であります。それからさらに全国の大銀行は東京に集中している。あるいは大企業の本社が東京に集中をしている。これは他の大都市には見られない大きな特徴であります。それから、そのために昼間人口が二百四十万人もふえるという、これも特徴なんですね。さらに、その上非常に大きな超高層のビルが林立をし始めている。たとえば最近できたビルで言いますと、サンシャインビルというのがあります。これの年間排水量を見ますと六十四万六千三百九十一立米です。一日の平均排水量が千七百六十六立米。一般家庭の場合には、年間で二百四十ないし三百六十立米、一日〇・六六ないし〇・九八立米。一つの大きなビルができますと二千五百世帯から三千世帯ぐらいの排水をしなければならない。排水をするということは、同時にそれをちゃんと受け入れることのできる建設をやらなければならないということになるわけであります。このために、五十五年度の東京における整備拡充費が三百二十六億円に上っているのです。非常に大きな負担を負わなければならないというところであります。  時間がないから私は引き続き申しますけれども、いま東京でマイタウン構想懇談会の関連基本事業プロジェクトチームの報告書というのがあります。これによりますと、今後二十年間に事務所床面積は三千四百五十九ヘクタールから七千九百四十ヘクタールヘと、四千四百八十一ヘクタールふえる。つまり、二・三倍にふえることになっておるというのです。これは数字だけ聞いているとわかりにくいですけれども、霞が関ビルでいいますとどうかというと、ちょうどこれと同じものが二十年間に三百六から三百七ふえるということになるわけであります。だから、これに伴う拡充費というのは膨大なものになってくるわけであります。私は、こういうのを全部一般的にその料金でというふうに考えていたのでは、とてもじゃないけれども話にならないと思っているのです、もっと集中を規制しなければいけない。これは第一にやらなければならないことだと思う。  それから、こういう大きなビルディングをつくったら、下水道その他の関連施設はやはりこのビルディングをつくるところに負担をしてもらうというぐらいのことは必要だと思います。しかし、同時にこういう特殊性があるのですから、政府も考えなければいかぬのではないかということなんですね。この点についてどう考えられるか、これも伺いたい。
  174. 升本達夫

    升本政府委員 東京都について、他の公共団体、道府県に比べて特殊性があるではないかという御指摘はまさにそのとおりだろうと思います。しかしながら、その特殊性のゆえに、また反面から考えますと、たとえば事業税その他の企業関連の税収あるいは建物が建つことにより事業所税等による税収が、やはり他の道府県に比べて顕著に増収を来すという状況もあろうかと思います。したがいまして、そのような点を総合的に勘案をいたしますと、特に東京都についていまの時点で下水の関係で特別の措置を講じなければならないというのは、私どもとしてはその結論に至る段階に至ってないというふうに考える次第でございます。  それから使用料の問題でございますが、確かに八割の引き上げというのは比率としては大きゅうございますけれども先生よく御承知のとおり、この八割の引き上げをもちまして、一般家庭大体一月二十立米に対する使用料でございますが、これで計算をいたしますと月千二十五円という数字になります。これは、千円といえどももちろんおろそかにはできないわけでございますけれども、また一面、水道料金が全国平均で世帯当たり月大体九百九十六円でございますが、そういう状況にかんがみますと、これは当然とは申しかねますけれども、各利用者に御負担を願える限度のものではなかろうかというふうに考えている次第でございまして、よろしく都民の御協力をいただきたいというふうに考える次第でございます。
  175. 中島武敏

    中島(武)委員 この点は大分見解を異にいたしますね。東京に対しては、あるいは大都市はもちろんですけれども、もっと特別なことを考えなければこれはもう本当にやっていけない、破綻してしまう事態になるということを私、重ねて申し上げておきたいと思うのです。  最後にもう一つ、中小河川と下水道の問題について私伺いたい。  東京の下水道が進まないいままで述べたことのほかにある理由は何か。二つあるのです。一つは東部の三区、足立、葛飾、江戸川は二二、三%の普及率です。ここの問題は、分流式で下水道を敷設することを都市計画決定をし、事業決定をしてやっているわけですけれども、道路が非常に狭いためになかなか難渋している。これが一つの原因なんです。それからもう一つは、世田谷とか練馬、板橋に見られる問題ですけれども、中小河川の改修が進まない、そのために普及率が低くとどまっているという問題なんです。それで、練馬とか板橋は白子川の改修が必要なんです。ところが、東京都が白子川で改修をどれだけやらなければならないかというのを見ますと十キロメートルなんです。そのうち板橋が二・六キロ、練馬が七・四キロなんです。ただし、埼玉県が負担する部分が一・四キロメートルありますので、差し引きますと八・六キロ。八・六キロを改修すればこの板橋も練馬も急速に下水道普及ができるわけであります。ところが東京都の計画を見ますと、五十六年度から五十ミリ対応の工事を始めるということになっているのですけれども、五十六年度予算では板橋地区の護岸工事は百メートル、三億円、こうなんです。もし毎年百メートルずつやっておりますと八十六年かかるのですよ。先ほど私は、一世紀あるいは大都市は二世紀ぐらい諸外国に比べておくれているのじゃないかと言いましたけれども、こんなことをやっていたら三世紀おくれてしまう。これが実情なんです。  東京は世界における日本の顔だと言います。言いますけれども下水道普及率ではいまだにこんな程度。そしてはんらんに悩まされて、水がつく。とてもじゃないけれども世界に対しても物を言えないようなところですよ。私は、中小河川の改修は急速にやらなければだめだと思う。私はいま、五十六年度予算が百メートルだからこれから全部百メートルでいくのだというふうに何も言っているわけじゃありません。ありませんけれども、仮にそう進むとすれば八十六年かかるという問題なんです。だからこれは相当思い切る必要があるのじゃないか。そして、これをやろうと思ったらすぐできることなんですから、東京都の方から相談があればすぐ応じる、一気にふやす、これぐらいのことをやって、首都から水害だとか、下水道がまだちょろんちょろんしているとか、こんなことは直ちに改善するべきじゃないかと思うのです。私、この点についてはっきりした答弁をいただきたいと思っております。
  176. 小坂忠

    ○小坂政府委員 お答えいたします。  白子川の例が出ましたので、白子川を中心にして東京都内の中小河川のお話をしばらくしてみたいと思います。  白子川流域は、東京都内でも比較的最近市街化が非常に急激になってきたというような流域ではないかと思います。私どもといたしましては、東京都内の中小河川と申しますと神田川であるとか石神井川であるとか、ほとんど毎年のように水害が起きておる地域もございますので、それらも勘案しながら改修を進めておるわけでございまして、一応常襲的なはんらんはまずなくさなければいかぬということで、いわゆる三十ミリ対応と申しまして、まず一時間三十ミリの雨に安全にしようということでやっておるわけでございます。  それで、これに対しましてはいままでの努力が実りましてほぼ一〇〇%に近い、九九%くらいはできてきたと思っております。次の段階といたしまして五十ミリ対応、これをやらなければいかぬ。五十ミリ対応が済みますと下水道計画とも整合できるということでございますので、至急これをやらなければいかぬということで、今後精力的にやりたいと思っております。  私どもの治水事業、特に中小河川事業は、第五次五カ年計画を現在最終年度でやっておりますが、来年度から第六次五カ年計画を、これは下水道よりも一年おくれておるのでございますが、組もうと思っております。その中で、この中小河川対策を強力に進めていきたいというふうに考えております。東京都の場合、見かけ上おくれておるように見えるかもしれませんが、一応いままで三十ミリ対応の対策に全力を挙げてきたということで、それなりの成果は上がっておると思いますので御評価願いたいと思います。
  177. 中島武敏

    中島(武)委員 白子川で言えば三十ミリ対応は終わって、五十ミリ対応を五十六年度から始めるということになっているわけです。いま河川局長言われたように、五十ミリ対応でなければ下水道は使えないのです。そういう意味では、さっき申し上げたように五十六年度は百メートル、では八十六年かかるのかというようなことが狂いように、ひとつきちんと、大いに努力をしてもらいたいと思うのです。やはり大都市の問題は地方を引き上げると同時に進めていかなければならないので、そういう点では重ねてもっとしっかりした、要するに下水道下水道だけで進まないのです。河川改修と同時に進めなければならないという面があるわけなんですね。だから、下水道が幾ら気張っても河川改修が進まなかったら何年でもおくれていってしまうという問題になるのですから、この中小河川の改修問題を含めてひとつ大臣の方も大いに力を入れてもらいたいと思うのですが、最後に大臣の答弁を聞いて質問を終わります。
  178. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 大都市における中小河川改修、あわせて下水道の関係がおくれているという御指摘でございました。全くそのとおりでございまして、諸般の問題を解決しながら御指摘の向きに向かって努力をする所存でございます。
  179. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  180. 稲村利幸

    稲村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  181. 稲村利幸

    稲村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 稲村利幸

    稲村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  183. 稲村利幸

    稲村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、池田行彦君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党。国民連合、日本共産党及び新自由クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。池田行彦君。
  184. 池田行彦

    ○池田(行)委員 ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、すでに質疑の過程におきまして委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たつては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 下水道の整備を促進し、地方公共団体財源確保を図るため、公共下水道の補助率の引上げ、補助対象範囲の拡大等に努めるとともに、一般都市指定都市間の格差の是正並びに流域下水道との整合を図ること。  二 下水道の整備に当たつては、良好な環境の確保を図るため、地域住民の意見に配慮し、自然環境と地域の実情に応じた適切な事業計画の策定に努めること。  三 下水の処理に当たつては、下水道の機能を保全し、資源の有効利用の推進を図るため、特定施設に対する監督、監視体制を強化し、有害物質の規制の徹底を図るとともに、中小企業の除害施設の設置に関し、助成措置の充実に努めること。  四 三次処理及び下水汚泥の処理技術の開発・実用化並びに処理水の再利用の促進を図るとともに、有リンの合成洗剤の使用の自粛の促進に努めること。    また、三次処理の維持管理費の費用負担のあり方について検討を進めること。  五 需要者の負担が過大にならないよう適切な措置を講ずること。     右決議する。 以上であります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  185. 稲村利幸

    稲村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  186. 稲村利幸

    稲村委員長 起立総員。よって、池田行彦君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、斉藤建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。斉藤建設大臣
  187. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重し、今後の運用に万全を期して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  188. 稲村利幸

    稲村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  190. 稲村利幸

    稲村委員長 この際、先刻付託になりました住宅都市整備公団法案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。斉藤建設大臣。     —————————————  住宅都市整備公団法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  191. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ただいま議題になりました住宅都市整備公団法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  わが国の住宅事情は、量的には一応充足し、質的にもかなり改善されてきておりますが、住生活の向上、改善に対する国民の要望には依然として根強いものがあり、今後とも住宅の質や住環境等に関する国民の需要動向を十分に見きわめつつ、健康で文化的な生活を営むに足りる良質な住宅、宅地の供給を図り、居住水準の向上に努める必要があります。  また、今後都市化が一層進展することを考慮いたしますと、都市の整備にあたっては、良好な住宅、宅地の供給と健全な新市街地の整備とを一層推進してまいるとともに、大都市地域を中心として都市機能の更新、良好な居住環境の形成等を図るため、既成市街地の再開発及び根幹的な都市公園の整備を強力に推進する必要があります。  このような現状から見て、これからの住宅、都市政策においては、住宅、宅地の供給と都市の整備との相互の関連に十分配慮しながら、これらを総合的、一体的に推進していくことが緊要な課題であります。  このため、これまで住宅、宅地の供給及び健全な市街地の整備を推進してきた日本住宅公団と宅地開発公団とを今般の行政改革を契機として統合し、新たに住宅・都市整備公団を設立し、この新たな公団に、住宅事情の改善を特に必要とする都市地域において、良質な住宅、宅地の大規模な供給を行わせるとともに、健全な市街地の造成、都市の再開発、根幹的な都市公園の整備等を行わせることとした次第であります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  第一に、日本住宅公団及び宅地開発公団を解散し、新たに、住宅・都市整備公団を設立することであります。新公団は、両公団がその解散時において行っている業務を引き続き行うこととし、このため新公団は両公団の一切の権利及び義務を承継することとしております。  第二に、新公団の業務につきましては、現在両公団が実施している住宅、宅地の供給及び健全な市街地の整備の業務を引き続き新公団の業務として推進することといたしますとともに、新たに、都市機能の更新等を主目的とする都市の再開発及び都市環境の改善の効果の大きい根幹的な都市公園の整備を行うこととするほか、これらの業務に関して地方公共団体等に対して技術の提供等を行うこととしております。  第三に、宅地開発公団の場合と同じく、新公団につきましても、関連公共施設の整備を当該公共施設の管理者にかわって新公団が行うことができることとするとともに、関連公共公益施設の整備に伴う地方公共団体財政負担を軽減するために、関連施設整備事業助成基金を設けることとしております。  第四に、資本金、管理委員会、財務及び会計等について所要の規定を設けております。また、役員につきましては、日本住宅公団と宅地開発公団との役員の合計は二十四名でありますが、新公団では十九名以内とすることとしております。  その他、両公団の統合等に伴う所要の経過措置を講ずることとするほか、土地区画整理法、都市再開発法等の関連法律について所要の改正を行うこととしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  192. 稲村利幸

    稲村委員長 以上で趣旨の説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来る四月一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会      ————◇—————