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1981-02-27 第94回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十七日(金曜日)     午後零時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 伏木 和雄君 理事 渡辺 武三君       鹿野 道彦君    金丸  信君       桜井  新君    谷  洋一君       登坂重次郎君    中西 啓介君       羽田野忠文君    堀之内久男君       井上 普方君    山花 貞夫君       薮仲 義彦君    瀬崎 博義君       中島 武敏君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁大都市圏         整備局長    伊藤 晴朗君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 大塩 敏樹君         建設省河川局河         川計画課長   渡辺 重幸君         建設省河川局開         発課長     広瀬 利雄君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社建設局長   斎伯  哲君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     久保田誠三君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大島 哲男君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本住宅公団理事久保田誠三君及び日本道路公団理事大島哲男君の御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 きょうは、第四期住宅建設五カ年計画について、これを中心にお伺いをいたしたいと思いますが、特に、いままでずっと五カ年計画、五カ年計画ということで三期やってまいりまして、五十六年度からまた新しい五カ年計画に入る、こういう段階で、現在の住宅事情というものがあらゆる面で非常に行き詰まっている。私は、この行き詰まりの一番の原因というのはやはり土地問題、宅地、これが非常に値上がりしてきて結果的に住宅取得することすら困難になってきている。ですから、土地問題、宅地というものが安定的に供給できるような対策を立てていかなければいけない、これが一番基本だというふうにいまの時点で考えております。それはまた別の機会にいろいろ私の考え方を申し上げたり、皆さん考え方をお聞きしたりして詰めていきたいと思いますが、きょうは、先ほど申し上げましたように上物、特に住宅中心にいろいろ申し上げたい、こういうふうに思います。  そこで、まず第一番に、いままで住宅基本法の制定ということについていろいろやりとりしてまいりました、最終的にこの五十六年度の第四期住宅建設五カ年計画が発足するこの時点に、基本法も長い間の懸案を解決して制定しよう、こういうふうになってきているというふうに思うわけです。だとすれば、この住宅基本法と四期五計というものについて無関係ではないというふうに私は思うのです。ですから、そういうことを考えていくと、恐らくまず住宅基本法が制定されて、新しい発想と新しい計画で四期五計というものが計画されなければいけないのではないか、こういうふうに思うのですけれども、問題は逆になってきている。いま四期五計は審議会意見を聴取しているようでありますけれども、五十六年度予算を含めて、計画としては省の方で決定になったようであります。しかし、住宅基本法の方はいまだにいつ出るかわからない、内容もわからない、これは全く、この機会にというふうに皆さんの方で約束してきても逆になっている。この辺のところがわからないわけですけれども、本当に四期五計も基本法に沿って制定されようとしているのか、そういうものを含めて、基本法が必ずこの国会に出るのか、その点をお聞きいたしたいというふうに思います。
  6. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生指摘のように、住宅基本にかかわる問題、四期五計の住宅政策、ともにやはり基本的な問題は宅地の供給問題であろうかと思います。それはさておきという先生のお話でありまして、この四期五計と住宅基本法との絡み合いはいかがであるかという御指摘であります。住宅基本法が先なのか、四期五計が先なのかというよって来る計画的な問題のスタートでございますので、これは当然両々相まって絡み合っていくものであろうかと思います。  ただ問題は、四期五計は期間的な問題がありまして、どうしても三期に引き続きということで、時期的な継続的な問題がありますので先に提案したという形になったわけでありますが、基本的な問題としては、住宅基本法につきましてもあわせていま諸条についてせっかく検討中でございますし、各党皆様方のところでもいろいろと御案内のような計画もありますし、基本法でございますので、慎重配慮ということで、現在のところなかなか成案を得るところまでいってないというのは事実でございます。したがって、提出について時期のずれはございますが、何とか詰めて、成案を得次第、今国会には出さなければならないというよりも、出すような形で何とか進めさせていただきたいと、このように考えているところでございます。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、四期五計でありますけれども、私は、五カ年計画四期目に入るわけですけれども、これを制定する場合に、三期五計がどのような経過をたどって、計画との実績がどういうふうになってきたのか、その上に立ってこの五年間の住宅事情がどうなるのか、そういう総括と、住宅の将来についての検討の上に立って、それにふさわしい四期五計にしなければいけないのではないか、こういうふうに基本的には思うわけであります、  そこで、三期五計の計画実績について見るわけですけれども、余りにも開きが大き過ぎる。  まず、公庫住宅について見ますと、計画では百九十万戸、実績では二百五十二万戸、一三二%の実績ということになっているわけであります。これは御存じのように景気対策ということで、住宅建設景気に対しての波及効果が大きいということで、ここ数年増せ増せというふうにやってきた結果、計画よりも三二%も上回る実績を上げた。このことを私は否定するわけではありませんけれども、しかし、これは言えば持ち家なんですよね。ただそこへ若干の誘導をしてやるという、その結果、いませっかくその金をお借りして住宅を建てても、ローン関係とかそういうことが積み重なって俗に言うローン地獄というような状態が起きて、それらの人にとっては行き詰まって大変な事情になってきている。その結果、社会問題になるような事態も起きてきている。  反面、賃貸中心にする住宅の方を見ていきますと、公営住宅計画が四十九万五千戸、実績は三十六万戸で七二%、それから公団住宅計画が三十一万戸で実績が十七万戸、五四%、言いかえれば持ち家の方は計画よりも進んだけれども賃貸の方は計画よりもずっと下回ってしまった、こういう実情だと思うのです。ですから、全体的に計画実績ずれが非常に大きく出てしまった、こういうふうになった原因というものがどこにあったのかという点について大臣にお伺いいたしたいというふうに思います。
  8. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまの先生の、公団住宅あるいはまた公営住宅建設につきまして、計画実績の乖離はどういう原因であったかということでございますが、主として公団公営ともにそうでございますが、一つには、大都市への人口集中の鈍化、あるいはまた住宅の量的な充足、そういったようなことを背景にいたしますところの、住宅につきましての国民の皆様方需要動向というものが変化してきているといった点が一つあろうかと思います、それから二番目には、これらの公的賃貸住宅建設してまいります際に最も重要な用地取得でございますが、最近の地価高騰等を反映いたしましてその取得が非常にむずかしくなってきている。三番目といたしましては、関連公共施設あるいは公益施設等整備につきまして、地元の公共団体あるいはまた地域の住民の方々との間での調整に非常に難航をして時間がかかるといったようなこと等が、このように実績が落ちたといったことの大きな原因であろうかというふうに考えております。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 量もそうですけれども、質をよくしていこうということについては、この三期五計の決定をされたときにも住宅宅地審議会から答申がありまして、すでにそういう方向が、いわゆる質を高めていこうという方向で三期五計もできたはずです。ですから、それはもう計画について皆さんの方の手法が追いつかなかったということで、言いわけにすぎないというふうに私は思うのです。それと、宅地の問題はまた別にあるというふうに言っているわけですけれども取得が困難だ。いずれにいたしましてももう大きなずれを来してしまった。しかも、先ほど御答弁がございました幾つかの原因でそのずれが出てきているのだということになれば、四期五計というものはそういう総括と反省の上に立って計画が立てられ、それが完全に実施できる方向政策が打ち立てもれていかなければならないのではないか、それに対しての財政的な、資金的な裏づけというものも予算上きちっとなされなければいけないのではないか、こういうふうに思うのです、ところが、この四期五計というのは、いろいろ検討してみますと全くその逆のような計画裏づけになっていまして、私にとりましては全く不満です。  若干、時間もありませんからポイントだけ申し上げますと、数だけ言うな、質だと言うけれども、数の面でちょっと検討してみますと、確かに概算要求したときと実際に決まったときで賃貸関係がダウンしているのですね。公営住宅については四十万戸要求したけれども決定は三十六万戸、公庫住宅については、三期のときには百九十万戸のものを概算要求では二百三十万戸要求して、これも二百二十万戸ということで減った。それから、その他の住宅というのが七十五万戸要求して六十万戸になった、そして合計として三百六十五万戸が三百五十万戸に概算要求と実際の計画ずれを来してきているしそして全体としては、こういう公営関係住宅をいま申し上げましたように減らして、総体で四期五計は七百七十万戸というふうになっているのをそのままにして計画に移したということになると、持ち家政策の方へ重点を移行させた。これは皆さんが必要だと言って、概算要求でさせたのと予算で決まったのとそれだけのずれがこう出てきたわけですね。  それでは過去のものをちょっと見てみますと、二期計画以降、公共賃貸計画よりもずっと減ってきていまして、二期五計のときには七〇%しか実績が上がらなかった、それで今度三期、これで終わるわけですけれども、三期は二期のときよりも計画が下がっているのです。これを二期のときの計画に移してみて実績がどうかというと、五一%になっちゃう。じゃ、今度四期五計をつくろうとしているわけですけれども、それがまたやはり七〇%前後しかできなかったということになると、二期に置きかえれば三八%ということになっちゃうのです。ということは、公共賃貸公共賃貸というふうに言いながら、どんどん公共賃貸というものを圧縮して持ち家、民間と、こういうふうになってきています。私は前々から言ってきているわけですけれども、三大都市圏住宅事情を解決するということになれば、何回か言うように、まずこれは土地問題、そして三大都市圏ぐらいに住む人は賃貸で住むという覚悟をしなければ、持ち家持ち家と言ったってなかなか住めない。したがって、公共賃貸というものを環境のいいもの、質のいいものを低廉で提供できるような施策をこの四期五計の中でやっていかなければ、またまた七〇%ぐらいしかできない、こういうふうにまたダウンしていってしまうのじゃないでしょうか。その点についてまず決意をひとつ聞いておきたいというふうに思うのです。
  10. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま先生指摘のとおり、私どもの方で現在原案として考えております第四期の住宅建設五カ年計画の案におきましては、総戸数は七百七十万戸と見込みまして、そのうち公的資金による住宅を三百五十万戸というふうにしているところでございます。その中で公営住宅あるいは公団住宅等につきましては、第三期の五カ年計画に比べまして若干下回った数字になっておりますが、これらを実際に建設するに当たりまして、御案内のように、居住水準の改善のおくれております大都市地域におきまして重点的にこれを実施するといったようなことで対処してまいりますれば、六十年度を展望いたしました段階での居住水準の目標も十分達し得るというふうに考えております。  ただ、その際、もう一つ考えなければなりませんのは、公団住宅あるいは公営住宅等の既存のストックというものも相当の量に上っております。これらを活用いたしまして住みかえを適正に進めていくといったようなことも必要になってまいろうかと考えておるところでございます。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 そういうふうに言いましても、じゃ五十六年度住宅関係予算を見た場合に、四期五計の建設戸数を平均に五で割ってみて、いやこの一年間これだけの戸数が必要だ、こういうことになるわけですけれども、それぞれが全部五で割ったよりも少ないわけですね。ですから、計画自身がもう四期五計が実施できないようになっているのですよ。いや、来年ふやすという保証があるか、その次にふやすという保証があるかと言えば、これは全然ないわけですね。ですから、どうも計画というのがいままでの延長線で大体計画だけは立てて、実績実績でそのままそのままというふうになっているような気がしてたまらないわけです。五で割って一年間の分にも五十六年度は足りない。それのみではなくて、さまざまな問題が出てきていると思うのです。  二、三点申し上げて考え方をお聞きしたいというふうに思うわけですけれども、それでは日本住宅公団関係の点についてちょっと見てみますと、まず公団に対する出資金というのがありますね。五十五年には特別用地環境整備というのが五億円、それからモデル事業が五億円で、出資金が十億ついたわけですね。ところが、五十六年度は五億八千万皆さん概算要求で要求したところが査定はゼロだった。事業は続いているわけですよ。ところが、これはゼロということになると仕事をやめてしまうのか、やめないとすればどこからか金を持ってこなければならぬ、こういう事態が起きてきているわけですね。  それから住宅公団に対する補助金ですけれども、ここのところずっと五十三年も五十四年も五十五年もそれぞれ当初予算に金がついて、補正で五十五年はなおつく。五十五年の場合には当初予算で六百五十五億二千八百万円もついた。そうして五十六年度予算の中で、皆さんのは概算要求で八百四十六億九千二百万円要求した、ところが二百十億三千二百万円しかつかなかった、四分の一しかつかなかった。これは当然要る金なんです。これはどうなるのですか。
  12. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  まず第一点の五十六年度におきますところの出資金が計上されていない問題でございますが、五十五年度出資金として計上されております十億円の内訳といたしまして、その半分の五億円は特定住宅市街地総合整備促進事業、いわゆるモデル事業と言っておりますこの地区内におきます先行取得用地に係る費用を、一部出資金によって金利を薄めるというために使っているものであります。残りの五億円は団地環境整備に要する費用の一部につきまして出資金をちょうだいしたものでございます。まず第一の特定住宅市街地総合整備促進事業につきましては、現在の事業実施状況に対応いたしまして考えました場合、五十五年度、五十六年度の両年度にまたがってこの出資金を使用することで足りるということで必要がなくなりました。それからまた団地環境整備に対します出資金につきましては、御案内のとおりかつての家賃の不均衡の是正ということと相関連して出資をいたしたものでございますが、五十六年度につきますところの対象の団地は非常に限られた小範囲なものになる予定でございますので、従来までに出資しております総計百十三億円の総合収支の中で措置できるということで、今回必要でなくなったというふうに判断しておるものでございます。したがいまして、従来どおり住宅公団仕事が実施できるというふうに考えまして、五十六年度はこのような措置をとったものでございます。  また公団に対します補給金は、これも公団資金コストを大幅に引き下げまして公団住宅家賃を軽減する等のために、調達コスト資金コストとの差額を補てんするものでございます。この交付につきましては従来前年度決算の確定を待って行っていたところでございまして、必ずしも当初予算におきまして所要額全額を計上しなければならないというものではなくて、過去何年間かの間におきます予算計上方法年度によりましてかなりの差がある状況でございます。こういう状況の中で、五十六年度におきましては前年度決算見込み額の一部、二百十億円を計上したものでございますが、この点につきましては基本として従来と変わったことでございませんで、将来必要な範囲におきまして国からの補給金を交付するという考え方でございます。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 必要じゃなくて済むものだったら皆さん概算要求なんか初めからしなければいいんだよ。違う金でできるということはそれだけの金が少なくなにしたということですよ。ですから、そういうふうに順に縮小されてきている、しかし計画の方はやりますよというふうになってきている、その点を私は言っているわけですね。  それから一つ確認しておきますけれども補給金の方は、確かに皆さんの方の規定を見ますと、これは決算の場合に補給していくのですから当初予算でなくもいいという言い方は出てきます。しかし前はそういう方法だったけれども、五十三、五十四、五十五年は当初予算に大体つけてきた。予算編成というものは、当初予算で必要なものは全部つけるというのが予算編成の仕方なんです。後でまた出てきたのは補正予算で組めばいいというのは予算編成の仕方じゃないのですよ。初めから補正予算というものを計算すべきじゃないというふうに思う。それを今回は皆さんの方も概算要求で先ほど申し上げましたように八百四十六億も要求した。ところが実際には二百十億しかつかなかった。これは、また次に申し上げる公庫の方もそういう事情があるわけですけれども、大蔵省の財政再建ということで、ここのところ五年くらいとにかくできるだけそういうものを抑えていって財政再建をしていくという、その大きな方針の一環として予算をつけるのを縮小していくという方針が出てきたのです。その方針を通すということになると、補正なり後でつければいいと言っているけれども、それは縮小して経営努力なり、またはこの場合で言えば家賃の方へ影響させて賄いなさいよ、いままでのようにはいきませんよ、こういう方針の出てくることは理の当然だというふうに私は思う。そういうふうにはなりませんか。必ずそれは将来にわたって補てんされるという自信がありますか。その点について確認しておきたいというふうに思います。
  14. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先生指摘のとおり、五十六年度におきますところの概算要求は五十五年度におきますところの措置と同様の考え方に基づいて要求したものでございます。しかしながら、最近の財政事情等の厳しい中で、社会資本整備といったような面の方にとりあえず重点的に振り向けるというような問題もありまして、一時補給金の額が少なくなっておりますが、先ほどもお話し申しましたように、この補給金性格必要性につきましては基本は全然変わっておりません。したがいまして私どもも、今後の足らざるところは一般会計からの補てんによる、そういうようなことを基本に置いて、財政当局の方も変更はしておらないということでございますので、今後の予算措置の中で確実に措置をしていく、また御指摘のような家賃その他の条件の改悪といいますか、そういったようなことはあり得ないというふうに考えているところでございます。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 補給金の方はあり得ないということですが、出資金の方は違うところに影響が出ることは間違いないですわ。これはもうどうにもならない。  それから住宅金融公庫補給金というのは公団の方と少し性格が違うと思う。いままでは全額ついてきたわけですけれども、五十六年度は全部つけるわけにはいかない、不足分については借入金措置しなさい、その利息分だけは見ますよと。しかもこれは五年間ということですが、こういう方式がまた五年間続くということになるとすれば、利子補給の五分の一を削っている分について五年間続けば全額返済の方になってしまう、こういう理屈になるわけですけれども、これは公庫のこれからの運営から見ると大変なことだというふうに思うのです。極端に言えば経営努力合理化といっても公団と違ってやりようがないわけです。利子を上げるか、そういう方法でどこか手直ししなければこの埋め合わせは出てこないわけです。ですからこの関係について、将来の展望を含めてお聞きしておきたいというふうに思います。
  16. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 住宅金融公庫補給金につきましては、これも御案内のように、資金運用部からの借入金公庫貸付金との金利差及び貸し付けに必要な手数料、事務費等の経費を損益上の損失補てんといたしまして、従来その全額一般会計から補てんしてきているところでございます。また、公庫の融資の利率につきましては、重要なことでございますが、これがまた法定されておるというようなところから、公庫につきましてはその計数が各年度ごとに非常にはっきりいたします。そういうことで、従来とも各年度ごとに確実に補てんをしてもらってきていたところでございますが、五十六年度の場合は国の財政状況というようなことが厳しかったことあるいは現在の金利動向といったようなこと等を勘案いたしまして、五十五年度補正後の予算額を上回る部分につきましてこれを五年間で措置するということといたしましてその一部を計上し、総額二千百七十四億円を計上したものでございますが、五十六年度予算編成に当たりましても、公庫におきますところの最も重要な点は無抽せん方式による貸し付けを維持するに必要な戸数を確保すること、また基本となる五分五厘の基準金利を維持すること、こういった公庫の制度の根幹を守るというような立場からこれを維持し、しかしながら一部の補給金につきましてはこれを後年度に繰り延べることもやむを得ないとしたところでございますが、これも制度上当然に補給することが公庫の運営上必要なものでありますだけに、今後とも私どもはこの制度の根幹を維持するとともに、補給金の確保について最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは大臣、いまずっと申し上げてきたのは、四期五計に入る、計画を立てる、しかし私はしさいに検討してみると、それを達成する裏づけが、理屈はいろいろあるでしょう。先ほど言ったように、財政再建という中だから補給金などについてはいろいろな方法で少し減らすなり向こうへ延べていくなり、しかしそういう財政措置が一つ一つ崩れていくことによって計画は立てても実施できないのじゃないか、こういうことを言っているわけですよね。確かにいま財政再建ということでいろいろ補助金補給金については問題になっていますけれども、不要不急のものについては確かに補助金というものは整理していかなければいけません。しかし、いま私が言っている補給金というのは国民のために、住宅のために還元されているわけですよ。こういうのはどこも不要不急になっていないわけですよ。ですから、こういうのはやはり残して、なお低廉な、優秀な住宅を国民の皆さんに提供していく、こういうことにしていかなければ。どんなに計画を立ててもしりつぼみ、そして計画実績では開きがますます出てきてしまう、こういうふうになると思うのですね。その点の決意をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  18. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  中村先生が、公営にしろ公庫にしろ、住宅対策について非常に御懸念をいただいておりますことに敬意を表する次第であります。  ただ、四期五計にかかわる問題があるなしにかかわらず、とにもかくにも風の財政再建ということが重要課題の柱になった中で、いかに先生の御指摘のような形で住宅供給を確保するかということに問題があったわけで、全く一時的なやむを得ない措置として財政当局措置にわれわれも従ったわけであります。したがって、四期五計の計画の達成はもとより、一時的な措置措置として、これについての基本的な考え方としての将来の一般財源からの補てんにつきましては、十分それは承知の上で、御懸念のないような形で厳しく対処してまいる所存でございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 四期五年間の計画ですね、先ほどの公庫のものも五年間でとなっているわけです、だから、いずれにしても五年間の計画はいっぱいかかっているわけです。だから、口ではいろいろそういう御懸念のないように一生懸命にがんばる、こう言われるけれども住宅というものを考えたり、それから建設省で所管している他の公共事業の道路の問題を例にとってみれば、新規七カ年計画で一年半繰り延べしたということになっているわけですけれども住宅投資というものはその中に入っていないですね。住宅だけのけているのですよ。それで、計画だけは立てていく、財政の裏づけはそのときそのとき。道路なんかは特殊財源を含めて、そのほかの下水道にしてもこういうものがきちっとしている、ですから、国全体の財政投資のあり方から見ていくとちょっと片手落ちじゃないか、私はこういう感じを持っています。  それから、その辺の裏づけがきちっとなくて、計画だけ立ててそのとき任せでやっていく。ですから、いろいろな附路が出てくれば公共賃貸をますます計画よりも縮小していく、裏づけが外れていく、こういうことじゃないかというふうに思うのです。ですから、そういう全体的なものを含めて検討し、対策を立てていっていただきたい、私はこういうふうに思います。これは私の要求というか要望です。  時間がありませんから次に入りますが、そういうことでこの計画を立て、住宅対策をやっていくわけですけれども、先ほど申し上げましたように、さてこの計画を立てたとすれば、一番隘路になっている宅地の、五年間の見通しでもいいです、十年間の見通しが立てば一番いいわけですけれども、その受けざらがきちっと計画上、対策上立たなければ、先ほどどうしてこれだけの計画実績の開きが出るのだと言ったら、やはり宅地対策というものが間に合わなかった、こういう御回答でしたけれども、これは四期五計、それに対しての受けざら、いわゆる宅地対策というものが立てられなければいけないと思うのです。その見通しについてまず国土庁からお聞きし、また建設省からそれについてお聞きいたしたいというふうに思うのです。こういう宅地というものを考えた場合に、俗に言えば国土庁の方は売り手であって、建設省の方は買い手だと思うのです、ですから、表裏一体の関係がそこに出てこなければいかぬ、こういうふうに思うのです。御回答をお願いいたします。
  20. 山岡一男

    ○山岡政府委員 宅地供給の長期的な目標につきましては、昭和五十二年に策定されました第三次全国総合開発計画の中に定めているところでございます、その中には、宅地のみではなくて農地、工業用地、レクリェーション用地等につきましても十年を見通しまして、さらに十五年を見通して十年をおおむねの計画とするというスタイルで見通しをつくっております。その中で住宅地につきましては、五十一年から六十年までに新規の宅地がミディアムグロスで十二万八子ヘクタール、五十一年から六十五年までの長期見通し十九万ヘクタールというふうに見込んでおるわけでございます。なお、既成市街地等を含みましたそういうふうな土地の利用につきましては、「国土の利用の基本方向は、国土利用計画法に基づく国土利用計画によるものとする。」というふうに三全総でも定めておりまして、国土利用計画の全国計画の中におきまして、新規宅地それから既存宅地の転用等も含めた見通し等をつくっております。  しかし、これはあくまで見通し、基本でございまして、そういうものの実施につきましては、それぞれの所管されます省庁におきましていろいろな計画をもっと即地的におつくりになるわけでございます。今回の場合にも、建設省は五カ年計画策定に沿われまして宅地需給の見通しをおつくりになるということでございまして、私どもも先ほど申し上げました基本を踏まえながら、そういうふうな建設省でおつくりになります計画についての結果も踏まえながら、総合的に対策を講じてまいりたいと思っておるわけでございます。
  21. 宮繁護

    宮繁政府委員 建設省におきましては、今後の宅地供給施策の指針とするために、昭和五十六年度から昭和六十年度までの五カ年間、それから昭和六十一年度から昭和六十五年度までの五カ年、合わせまして十年間を対象期間とする宅地需給長期見通しを今年度中に策定することにいたしております。住宅は五カ年計画でございますけれども宅地は供給するまでにかなり長い期間がかかりますので、前期五カ年と後期五カ年というふうにいたしたわけでございます。現在この作業を急いでおりますけれども、いままでこういった宅地の需要見通しはございましたけれども、供給で裏づけされました見通しというものはございませんでした。そういう意味では大変むずかしい作業でございまして、現在も住宅宅地審議会に部会を設けていただきまして、専門の学者の方にもいろいろ御意見を伺いながら作業を進めております。  それで、いまお話がございましたように、三全総の数字も一応ございますけれども、この三全総の数字は、最近の出生率の低下あるいは最近の地方定住志向というようなことで、大都市への人口の圧力は多少これよりも弱まるのではないか、そういうふうにも考えておりまして、そういった三全総の数値等も参考にしながらいま作業をいたしております。現在のところ、第四期の住宅建設五カ年計画の期間に対応いたします前期の五カ年計画で、新規に宅地を必要とする量と既成市街地の工業用地等が新しく住宅用地になる、こういったものを合計いたしまして大体六万二、三千ヘクタールになるのではないかと考えております。  このうち新市街地分で考えてみますと、全国、マクロで見ました場合には近年の宅地の供給実績をやや上回る程度でございますけれども、首都圏ではかなり厳しい状況でございます。そこで、各般の宅地供給施策を強力に推進することによりまして供給がある程度可能な数字をいまはじき出そうといたしておるところでございます。
  22. 中村茂

    中村(茂)委員 国土庁、土地問題を何回聞いても五十二年のときの三全総のその数字しかお聞きしないんですけれども、それは確かに基本でしょうけれども、変化しているわけですから、もう少し実情に合わせて需給見通し、それからどのくらい必要か、それに対しての対策、こういうものをもっと私どもの前に示していただきたい、こういうふうに思うのです。  それから、建設省の方で確かに予算も見積もって今度長期需給見通しのきちっとしたものをつくってくる、その努力は評価いたします。まだその作業中だということですが、いずれにしても前期、後期に分けて、十カ年計画も結構ですし、それから前期の方は四期五計とも合ってくるわけですから、きちっとした方針をつくっていただきたいというふうに思います。  日本経済新聞の二月十三日の需給見通し、これは恐らく四期五計のこれだけのものを計画していけば五年間でこれだけ必要だ、こういう数字だと思いますけれども、案外数字まできちっと出ているのですけれども、それによりますと、六千六百ヘクタールが不足する、特に三大都市圏の場合には五千六百ヘクタールが不足する、こういう数字になっていますね。これは皆さんの考えでいるものと、まだ完成しませんけれども、やや数字は合っているのですか。
  23. 宮繁護

    宮繁政府委員 一部の新聞にお話しのとおりの数字が出ました。これは実は、私どもが中間的にいろいろな数値を出しまして作業を進めております一つの数値でもございます。  ここでちょっと御説明いたしますと、現在東京圏では五十三年度で一戸当たりの敷地面積が百四十二平米になっておりまして、大阪圏では大変小さくて百五平米になっております。それを今度の五カ年計画で仮に平均で百六十七平米、東京圏の百四十二を百六十七、大阪圏の百五を全国平均の百六十七まで引き上げた場合にはどの程度宅地が必要になるかということをはじきまして、全国で合計いたしましたところ、不足量が六千六百ヘクタールになりました。その後の作業の過程におきましては、どうも東京圏、大阪圏でこれほど宅地の水準を引き上げることは無理ではなかろうか。そこで一方、東京、大阪圏につきまして、この新聞にも出ておりますけれども、供給量も、この供給量のほかにさらにいろいろな対策を進めた場合にどの程度供給が可能であるか、こういう数字もはじきまして、現在若干東京圏、大阪圏の敷地面積を落としております。たとえば東京圏では百五十平米くらいの数値になろうかと思います。  そういういろいろな数値をはじき出しまして、そして需要と供給のバランスがどうなるか、そしてその場合にその供給量が果たしてその施策で出てくるのかどうかというようなところを現在検討中でございます。
  24. 中村茂

    中村(茂)委員 中身はいいですけれども、六千六百ヘクタールという数値はこれよりか少し下がりますか、上がりますか、
  25. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほど私、現在のところは六万二、三千ヘクタールと申し上げました。この新聞の数字は六万六千百ヘクタールとなっておりまして、供給量が五万九千五百ということになっております。それで、いまやっております数字は、先ほど申し上げましたように東京圏、大阪圏のレベルアップを全国平均の百六十七まで持ってくるのはむずかしいということで、これをもう少し抑えました。そういたしますと、東京圏、大阪圏の必要な宅地量が減ってまいります。それから、他の地域につきましては、現在までの一戸当たりの敷地面積が徐々にふえてまいっております。それで、その傾向を伸ばしましてはじいております。東京圏、大阪園以外は大体供給と需要がバランスしそうでございますけれども、東京圏におきましてはやはりいままでの施策のそのままの延長ではだめでございまして、これから新しい施策を展開しまして供給量をふやす、そういうことで一応いま数字的には六万二、三千ヘクタールというところで作業いたしております。
  26. 中村茂

    中村(茂)委員 いずれにしてもそれだけの面積が見当の上では不足するわけですよ。ということになると、この不足分をどうするかという対策が緊急な課題として必要になってくる。ところが、どこを見渡してもその対策というものを発見することができない。したがって、これはもう国土庁を含めこの対策というものが私どもの納得できるような、四期五計ができた、受けざらはこういうことで長期需給見通しをつくってこれだけどうしても不足する、その対策を行って完全に計画ができます、こういう答えを一日も早くつくっていただきますように、強く要望しておきたいというふうに思います。  大臣、四期五計というものを中心にその内容、特に公共賃貸計画上も実績もますます下がってきているではないか、その裏打ちになる財政措置も五十六年度予算も下がってきているではないか、そういう状況の中で三大都市圏住宅事情を解決するとすれば、やはりもっともっと優良な公共賃貸というところに目を向けなければ住宅問題は解決できませんよ。そうして、その受けざらについても、不足分をどうするかという対策が非常に緊急な課題になってきている。総括すれば、私はそういうことを要望または意見を兼ねて申し上げたわけですけれども総括として建設大臣はどういうふうにお考えですか。
  27. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  住宅問題、わけても四期五計の中に盛り込まれた計画方向づけ、その実現の中身、特に過密都市、都市化の中における公共賃貸住宅のあり方、先生の要望というよりも御指摘、御意見、私たちも全く同感であります。財政事情厳しい折に御要望、御指摘の向きに万全の措置をしながら、計画にのっとってとにもかくにも公共賃貸住宅の充足を図りながら、特に大都市における勤労者の方々の住宅確保のために努力する所存でございます。
  28. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、若干の問題について方針をお聞きいたしたいというふうに思います。いろいろな言い方がありますけれども、私は一口に高速自動車道というふうに申し上げますが、これを審議する国土開発幹線自動車道建設審議会ですか、まず第一点として、これはいつ開かれる見通しでしょうか。
  29. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  現在高速道路の整備計画を出しております区間は五千四百十五キロメートルでございます。ただ、前回の審議会が五十三年十一月でございまして、二年余を経過しておるわけでございます。この間他事業との関連等におきまして新たに整備計画を追加するという必要のあるような区間も徐々に出てきております。したがって、そういった区間を中心にいたしまして、いま地方建設局でやっております調査状況、それからすでに整備計画決定して仕事をやっております区間の進捗状況といったものを勘案しながら、五十六年度内に新たに国土開発幹線自動車道建設審議会を開催していただきまして、これに新たな整備計画をお諮りいたしたいと考えておるわけでございます。ただ、新たな整備計画を出します場合、当然有料道路でございます。採算性の問題をやはり検討しなければいけないわけでございます。今後の出します区間は、やはり日本の国土を横断するような区間が多くなってまいりまして、山岳地帯を通過するというようなことで工費がかさむ、交通量は東名、名神のようには多くないというようなことで、採算性にはいろいろ問題がございます。したがいまして、昨年十二月にこの採算性の問題について建設大臣から道路審議会に諮問をいたしております。この結果をある程度見ましてからこの国土開発幹線自動車道建設審議会を開催いたしたいと思っております。
  30. 中村茂

    中村(茂)委員 これは長野県の信濃毎日新聞ですけれども、二月十日付で、関越道上越線、これは佐久市まで整備計画が決まったわけですけれども、それ以降の線についてはまだ決まっておりませんのを、佐久市から須坂市までを飛び越して、須坂以降について次に開かれる審議会整備計画が諮問される、こういう記事がいま申し上げた新聞に載ったわけですけれども、こういうある区間を飛び越して次をどんどんやっていくというような計画、そういうことは行われるのでしょうか。
  31. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 新聞にそのような記事が出たことは私どもも見たわけでございますが、先ほど申し上げましたように地方建設局で環境影響評価も含めていろいろ調査をやっております段階で、建設省としてはどこを出すということをまだ決定したわけではございません。
  32. 中村茂

    中村(茂)委員 もう一点簡単にお聞きいたしますが、国道昇格についていまどのような状況になっているでしょうか。いつごろこの国道昇格が決まる予定になっているでしょうか。この点をお聞きして私の質問を終わりたいと思いますし。
  33. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 国道昇格はこれまで大体五年おきにやってまいったわけでございます。道路網再編成の一環としてだんだん昇格をしてまいるということでございますが、最近の経済社会の変化に対応いたしまして、国道網もそろそろ再検討すべき時期であるというふうに思っておるわけでございます。  そこで、昨年の四月に、おおむね四千キロメートルを目途として国道昇格をやるということを発表したわけでございます。いままでに数で大体百六十路線、延長にいたしまして約一万二手キロメートルというような大変強い御要望が全国から出てまいりました。そこでいろいろ選定作業を進めてまいったわけでございますが、その辺になりますといろいろ甲乙つけがたいものも多数出てまいります。そこで大蔵省とも協議をいたしまして、五千キロメートル台に乗せることはやむを得ないということで判断をしておる次第でございます。五十五年度中には原案を取りまとめまして、これは政令でございますから当然閣議に語るわけでございますが、その前に五十六年度になりましたらなるべく早い機会に道路審議会に諮って決定をするようにしてまいりたいと考えております。
  34. 中村茂

    中村(茂)委員 前の発表は四千キロで、いま五千キロというのは、大蔵折衝で最終的に決まった案ですか、まだこれよりか上がるのですか、その点を聞きたい。
  35. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 まだ全体がびしっと決まって何キロというところまではいっておりません。そのような全国の候補路線を勘案いたしますと、五千キロ台でなければむしろ非常に不公平になる、こういうことでございまして、まだその大枠の話でございます。
  36. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  37. 稲村利幸

    稲村委員長 山花貞夫君。
  38. 山花貞夫

    ○山花委員 私は、まず最初に、国道十六号バイパス計画にかかわる幾つかの問題について伺いたいと思います。  国道十六号線は東京環状線とも言われておりますけれども、首都圏における唯一の環状線でありまして、首都圏と北日本、裏日本を結ぶ主要な産業道路と言われています。  この国道十六号線に関しまして、八上子地区を中心としたバイパスの計画が、古くは昭和三十五、六年ごろからスタートしたわけですが、具体的には四十一年になって建設省が調査に着手され、四十四年、東京都の都市計画審議会の議を経て都市計画決定されました。四十五年度から建設省が測量を開始、四十六年から用地買収が始められ、四十七年から一部工事の着手があったわけですが、実はこの間にもそのバイパスについて地域の住民からさまざまな問題が提起されてきたという経過もありましたけれども、ここ数年振り返りますと、具体的には五十二年の八月二十日、一部新聞が本格的なこのバイパスの工事計画について発表をいたしまして、以後周辺住民の間におきましてこの問題について大きな議論が起こり、今日に至っているわけであります。  この間生じました幾つかの問題についてお伺いいたしたいと思いますが、まず冒頭、この国道十六号線バイパスの全体の計画、工事の概要、そして今日までの進捗状況等につきまして建設省にお伺いをいたします。
  39. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えをいたします。  八王子バイパスにつきましては、ただいま先生からお話のございましたとおりの経過をたどって進めているわけでございますが、もともと国道十六号は、先生御高承のとおり、八王子市内で二十号と交わりましてまた分岐するというクランク型の道路になっておりまして、大変な渋滞が生じているわけでございます。したがいまして、四十四年度に都市計画決定をされまして――失礼しました、これは四十三年と五十三年に分かれておりますけれども、延長十・五キロメートルの区間を直轄事業として着手をしたわけでございます。  いろいろ進めてまいっておりまして、八上子インターの北から二十号線にぶつかるまでの区間はすでに五十二年十二月に交通開放したわけでございますけれども事業を緊急に進める必要があるということで、八王子の北野というところから南の区間につきまして、四・五キロメートルでございますが、一部区間を日本道路公団の一般有料道路事業としようということで事業化をいたしました。これは事業許可が五十三年の十一月でございまして、用地には五十四年度から着手をいたしております。残りの直轄施行区間、それからただいま申し上げました日本道路公団の施行区間、ともに現在完成の目標は五十八年度に置いております。
  40. 山花貞夫

    ○山花委員 特に有料道路区間を中心といたしまして工事の進捗状況と現状、今後の計画の内容について、これは道路公団からお伺いをいたしたいと思います。
  41. 大島哲男

    大島参考人 道路公団が受け持っております延長は四・五キロでございます。事業許可を五十二年の十一月二十七日に受けまして、総事業費二百七十五億円をもって着工しております。  現在のところ、四・五キロの間のセンター全部を一応終わりまして、幅ぐいもほとんど終わっております。用地買収に五十四年、五十五年とかかっております。引き続き用地買収を進めていきたいと思っております。完成は五十九年三月を目標としております。
  42. 山花貞夫

    ○山花委員 いま伺いました計画が進められる過程でありますけれども、その間、特に有料道路が通る部分につきまして、たとえば東急の片倉吉団地あるいは西武の北野台団地といった形で非常に多くの住宅建設されました。具体的には、東急の場合には片倉台団地開発のための買収を昭和三十八年から三十九年に始め、四十五年十二月に開発許可がされまして、その後開発がなされ、現在非常に多くの住宅建設されています。なお建設が続いているという現状であります。  実はこの過程の中で、そうした開発事業者から土地を購入した皆さんは、いま現実に工事が進められている大規模な有料道路が、その住宅の真ん中を通っていくということについては知らずに多くの皆さんが土地を購入し、家を建設して今日に至ったわけであります。伺ってみますと、最近になりますと、この販売につきましても問題の有料道路が開設されるということが説明書などにかなり詳細に記載されているということではありますが、当初の段階ではそうしたことは全くなかったようであります。案内のパンフレットその他につきましても、道路計画が十六号バイパスであるというようなことについては全く明示されませんでして、どんな道路になるか、いつ着工するかわかりません、こういうことで皆さんは土地を買ってそこに家を建てられたわけであります。生活道路ができるわけですから将来生活がしやすくなるでしょう、こういう説明を受けた方も大ぜいいらっしゃるようであります。  そうした、いわば公害多発地域から多摩の自然環境の非常によいこの地区に土地を買い求め、そして家を建設された皆さんにとりますと、ここに産業道路のバイパスができるということについては大変大きな関心を呼ぶことになりました。一言で申しますと道路公害が一体どうなるかということについての関心が高まって、今日まで建設省を初めとして道路公団あるいは地元八王子の市役所と、それぞれの自治会を中心としたこの問題に取り組んでいる皆さんが交渉などをされまして今日に至ったわけですが、こうした大規模道路建設、特に有料道路建設に伴うさまざまな公害問題につきましてどのように対策を立ててこられたのか、環境アセスの関係についてどのような努力があったのか、そしてそれが対住民に対してどのように説明されてきたのかということにつきましてお伺いをいたしたいと思います。
  43. 大島哲男

    大島参考人 片倉台、北野台の両団地につきましては、都市計画決定の後に開発計画決定されておりますために、当初関東地建と八王子市とそれから団地の起業者と調整をいたしまして、公害のない道路にしようということで、両側に環境を守るための緩衝帯を設けた道路構造としております。そのためにいろいろ対策を練っておりますが、環境予測につきましては、五十三年の十一月の都市計画変更の際にいろいろ調査をいたしまして、地区の方々には説明しております。
  44. 山花貞夫

    ○山花委員 調査をして説明をされたということですけれども、どういう機関がどのような調査をしたのか、そしてそれをどのように説明したのかということについていま少し詳しく御説明をお願いしたいと思います。
  45. 大島哲男

    大島参考人 道路公団が引き受けましてからの調査でございますが、あそこの地区が八王子市内で三地区ございます、鑓水、片倉それから打越という地区でございますが、それにつきましては五十四年度に連続して大気関係の測定をしております、そして、常時観測地点との関連性を追求いたしております。それから騒音につきましては、特に模型をつくりまして、これは道路公団の試験所でございますか、そこで五十分の一の模型をつくりましていろいろ効果を測定し、現在の道路構造では支障がなかろうというような結論を得ております。
  46. 山花貞夫

    ○山花委員 その中身についてできる限りお伺いしたいと思うのですが、たとえば推定の交通量をどのように設定したのか、あるいは具体的にいまお話しになりました環境調査についての予測に用いた交通量はどうであるのか、いろいろこの点について公団から住民に対しパンフレットなどで一応の通知はあるわけでありますけれども、多くの住民の皆さんはその内容になお釈然としない、疑問を持って今日に至っているようであります。交通量につきましてもしかり、あるいは騒音の大きさあるいは大気汚染の問題あるいは振動の問題、それぞれにつきましてなお多くの疑問を持つ中で、この問題に対して反対の運動あるいは条件を求めて話し合いをする、こういうことが続いて今日に至っているようでありますので、その点いま少し具体的に明らかにできる範囲でお話しをいただきたいと思います。
  47. 大島哲男

    大島参考人 騒音につきましては、五十二年の三月に実施しました交通量調査を基礎にいたしまして、供用開始の初年度の五十九年度、それから十年後の六十九年度の交通量を推計いたしまして、その推計をもとにいたしまして、予測には初年度交通量日三万台、それから供用十年後の交通量を日四万台という数値を用いまして、騒音及び排ガスの予測を行っております。騒音につきましては、日本音響学会方式を用いまして行っております。さらに、先ほど申し上げましたように模型実験も行っております。それで、環境基準のうちで厳しい条件でございます夜間の五十ホンを目標としておりまして、これに必要な対策計画しておるわけでございます。  それから排出ガスにつきましては、一般に使われております拡散予測式を用いて、気象条件を加味いたしまして計算しておりますほか、有風時――有風時といいますのは毎秒一メートルのスピードを超える風でございますしそれに対しましては、プルームモデルの式、それから静穏時、これは毎秒一メートル未満の風でございますが、それにつきましてはパフモデル式を用いまして予測しておりまして、それによりますと、供用後十年後でも非常に少ない濃度、オーダーの一つ違うような濃度の排ガスの予測を得ております。  以上でございます。
  48. 山花貞夫

    ○山花委員 一部お話をいただいたわけですけれども、たとえば交通量につきましても、供用初年度三万、そして十年後四万、こういう予測が使われているようですが、現実に国道十六号線について従来八王子の市役所が調査した結果によりましても、十六号線だけでも大変多量の交通量がある。こうしたことが明らかにされているわけであります。  少し古くなりますけれども、五十二年八月二十日、一部新聞などに報道されました八上手市の調査したデータによりますと、相模原市の橋本、片側二車線で一日四万台、八王子市内片側一車線で三万台である、こうしたことが報道されているわけでありますし、あるいは八王子市役所が機械で測定した資料などによりますと、一番交通量の多い中野町というあたりでは、一日六万台という数字が出てきている。こうした十六号を中心とした現実の交通量からいたしますと、皆さんが予測されている供用初年度三万台というのは、これはいささか見積もりに誤りがあるのではないか、このように言われておるわけであります。騒音などにつきましても、これは地形あるいはその防止のための措置についてこれからどうなるかということにもかかわるわけですが、八王子市内の幾つかの場所におきましては、朝から夜まで二十四時間およそ七十ホン前後であるというようなところもありまして、こうした問題については大変皆さんが心配されているわけであります。実はこうした問題については従来から、これは国の関係もありますし道路公団関係もあるわけですが、そうした環境予測に用いたデータあるいはその判断に至る立論経過、そうした問題について幾度か内容の公表をお願いしてきたようでありますけれども、昨年暮れ、ある程度の内容についてお話しをしていただいた後、なお住民の側に疑問とする点がかなり残っているようであります、これは建設省の側にもお願いしたいと思いますし、道路公団の側にもお願いしたいと思うわけでありますけれども、こうした住民がなお疑問に思っている環境関係のさまざまなデータ、調査の資料につきましては、できる限りその内容を住民の側にも明らかにしていただきまして、住民の納得を得るように御努力をいただきたい。このことについて建設省と道路公団それぞれにお伺いをしたいと思います。
  49. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先ほどまで大島理事の方からお話がございましたように、いろいろな計算をいたしまして、その結果をお示ししながら説明を申し上げておるわけでございますけれども、われわれといたしましても十分この関係住民の方々の御理解と御協力を得るよう説明を続けてまいるように、道路公団の方にもお願いをしておきたいと思っております、
  50. 大島哲男

    大島参考人 私どもの現場の工事事務所がございまして、そこの所長以下各所員、機会あるごとに地元の皆さんといろいろ会合したり理解を得べく努力しております。今後もそれを続けていきたいと思っております。
  51. 山花貞夫

    ○山花委員 きょうはごく一般的にお伺いしておりますので、今後具体的な説明を求める機会がそれぞれの立場の皆さんにあると思いますので、そのときにはきょうの御答弁に沿ってひとつ御協力いただくことをこの機会にお願いしておきたいと思います。  さて少し具体的な問題にも入りたいと思うわけですけれども、特に全体計画の中で最近着工かということが伝えられております片倉町周辺の有料道路部分について、しぼってお伺いをいたしたいと思います。  片倉台団地というところは東急の分譲ということですけれども、いわば多摩丘陵自然公園のちょうど真ん中にある第一種住宅用地域として非常に静かな環境のところであります。特にここの自治会の皆さんが、周辺の自治会の皆さんと協力をして問題に取り組んでおられる。取り組みの内容につきましても、一部の意見ということではなく、幾度か全世帯につきましてアンケートなどを実施して、そしてその結果に基づいて皆さんのところにいろいろ御注文も差し上げている、こういう経過のようであります。  そうしたアンケートによりますと、私もこれは大変感心したわけでありますけれども、ほぼ九〇%前後の全所帯の中からの回答を得て、その意見に基づいて建設省あるいは道路公団に要求を出しているということのようですが、そこでは従来のアンケート結果によりますと、大体八九・四%の方が強弱の差はあれこの道路計画に反対である、賛成の方が六・一%であったということが伝えられてまいりましたし、皆さんのお手元にも入っておると思いますけれども、昨年十月十日から十八日までかけて実施したアンケートによりますと、これも回収率は八六・四%ということのようでありましたけれども、全体といたしまして計画どおりの建設賛成が四・八%ということのようでありまして、条件がいろいろついてという反対が七二%と、圧倒的に反対がなお強い、こういう現状のようであります。  ここの有料道路部分につきまして近々着工ということについてのお話も伝えられておるわけでありますが、具体的にここでの従来の年度計画がどうなっていたのか、まずこの点についてお伺いをいたしたいと思います。
  52. 大島哲男

    大島参考人 先ほど申し上げましたように、五十九年春の供用開始を目標としております。それに向かいまして用地買収、それから工事着手というふうに進めるつもりでございます。  それで、現在のところ一番工事に時間がかかりますのが片倉台、北野台の地区の掘り割り方式のところでございます。五十九年春の開通を目指すにはそこをまず着工しなければならぬということで、初めからそこの着手を目標として考えておったわけでございますが、これは順調に進んでおりまするとすでに現地に機械などが入っておるのでございますけれども、現在はまだ話し合いの最中でございますので、発注はまだしておりません。しかしながら、来年度に入りますと早ければ五月ごろから現実に現地で仕事にかかりたいというふうに考えております。
  53. 山花貞夫

    ○山花委員 いまお話しになりました片倉台団地中心とした工事計画に関連する住民の意識調査につきましては先ほど触れたところでありますが、大変特徴的な出来事といたしまして、つい最近でありますけれども、二月十一日の自治会の総会におきまして正式決定されたということで、新聞報道もありましたのでごらんになっておると思いますけれども、先ほどのアンケート調査の結果を踏まえまして、従来の絶対反対というところから、基本的には道路公害に対する姿勢を堅持しながらも条件交渉をすべきだ、条件についていろいろ提案をしていきたい、話し合っていきたい、こういう機運が生じていると伝えられるわけであります。ところがちょうどこの時期が、いま御説明いただきましたとおり工事の発注、着工、五十九年度春ということを目指しての仕事が進もうとしているという時期でもあるわけでして、今日段階で大変重大な場面を迎えているのではないかとわれわれは考えているところであります。  これに関連いたしまして、去る二月十四日には片倉台自治会及び片倉台十六号バイパス対策委員会の名義によりまして、建設大臣、日本道路公団、そしてきょうは関係ありませんけれども八王子市に対して、「国道十六号八王子バイパス問題に関する要求書」が提出されているようであります。また、四日後の五十六年二月十八日には、国道十六号八王子バイパス中谷戸地区反対同盟、打越町旭ケ丘自治会、片倉台自治会、西武北野台自治会、それぞれが大きな団地でありますけれども、この皆さんが「国道十六号八王子バイパス問題に関する共同申し入れ書」を日本道路公団に対して提出しているようであります。  建設省と道路公団それぞれに対しまして、この申し入れ書等をお受け取りになったかどうか、またこの内容について検討をされたかどうか。また、申し入れ書、要求書の内容を見てみますと、一方につきましては「二月二十八日までに」とありますので、一応期限はあしたということになっているわけですが、回答する御準備が進んでいるのか、期間中にそれがあるのか、あるいは期間がおくれても具体的な回答が出されることになるのか、こういった最近の申し入れ等に対する建設省、道路公団のそれぞれの立場でのお返事を伺いたい、御説明をいただきたいと思います。
  54. 大島哲男

    大島参考人 ただいまお伺いいたしました二月十四日付の片倉台団地からの要求書、それから二月十八日付の片倉台、北野台、旭ケ丘及び中谷戸の自治会等からの申し入れ書、公団としては受けております。  これらの各要望事項等につきましては、現在各地区において説明を行っており、重ねてまた説明を続けていきたいというふうに考えております。そして説明の経過を見まして文書で回答する予定でございます。
  55. 山花貞夫

    ○山花委員 いまの御説明ですと、二月二十八日までに文書の回答というのはむずかしい、こういうことでしょうか、その前に、現地でそれぞれ説明をしたり話し合いをしたりということについて触れておったようでございますけれども、その点についてどうなるのか。最終的に文書での回答もいただけるのかどうか、一体それはどういう手続を経た後で文書の回答をいただくということになるのか、この点について補足的に御説明をいただきたいと思います。
  56. 大島哲男

    大島参考人 ここ数日の間、現地で精力的に説明を重ねております。それが済み次第文書で回答いたしたいと思っておりますが、三月に入るかもしれません。
  57. 山花貞夫

    ○山花委員 先ほど触れましたとおり、ごく最近の住民の皆さんの意識として、条件についていろいろ話し合いをしたいという問題提起がなされたようであります。条件についてということで私が公団皆さんからも伺いましたし、住民の皆さんからもいろいろ資料を拝見しているわけですが、そこでは、アンケートの結果にもよりますけれども、希望の上位にあるものとしてトンネル方式ができないか、ふたかけ方式ができないだろうか、特に掘り割りというような形からいたしますとふたかけということができないだろうか、こういうことについて希望があるようであります。この問題についてここで私がお返事をいただくということは適切でないかもしれません。したがって、こうした問題について他にふたかけ方式というようなものがあるのかどうか、そしてそういう事例についてはどういう条件のもとでふたかけ方式というものが実現した経過があるんだろうか、その点について御説明いただける範囲で御説明をしていただければというように思います。
  58. 大島哲男

    大島参考人 道路にふたをかけました例はほかにもございます。その一つは関越道の旭が丘団地というところでございます。もう一つは第二神明道路の明舞団地というところでございまして、ここでは環境基準を守るのに非常にむずかしい、できないということで対策を立てましてふたかけをいたしまして、それぞれ設置に当たりましては他の機関などからそれ相当の負担をしていただいて設置しております。
  59. 山花貞夫

    ○山花委員 実は先ほど指摘いたしました二月十四日及び十八日のそれぞれの文書の内容では、いま御説明いただきましたトンネル、ふたかけなどにしていただきたいということなど二月十四日の文書におきましては四項目、内容的には七つの問題点につきまして具体的な要求が記載されているようであります。二月十八日の文書につきましては「関係地域住民の納得と同意を得るまでは、バイパス建設の着工を強行しないこと。」以下「問題の円満解決を図るためにも、各団体の要求には誠意ある回答を行い、引続き話し合いを継続すること。」等が四団体の要求として出されているようでありますが、先ほどの話でもまず現地で意思の疎通を図る中で最終的に態度を決めたというお話のようでありますので、ぜひこうした問題について誠意ある態度で十分御検討されることを私の立場からも強くお願いをする次第であります。  さて、きょうの問題としては、具体的な問題といたしまして、実はこの糧道路建設をめぐりましては、一方においては道路建設の促進を要求する人たちもいらっしゃいます、一方においてはこれに反対する皆さんもいらっしゃる、各地でその種問題が複雑に絡みまして若干の混乱が起こったというケースもありました。特にこの三多摩地域におきましてはさまざまな道路計画が現在進行中であるということから、幾つかの具体的な事例もあるわけであります。そうした過去の各地のトラブルを振り返りますと、いわば今日のように具体的に工事の着工――一方では予算関係もあるでしょうし、工事の年度関係もあるでしょうし、そのことに迫られまして工事を強行着工するということになり、他方ではこれに強硬に反対する住民との間にトラブルが起こった幾つかの例があるわけであります。ここ数年の例ということでは、この近くでは多摩ニュータウンの中のいわゆる尾根幹線をめぐり、これは住宅公団の工事であったわけですけれども、六、七人の御婦人を中心としたけが人が出る、連日のように現場でトラブルがあったというようなことで、各新聞紙にも報道されたような大変大きな混乱となった前例がありました。私などはそのときにも公団の強行着工に対する問題点を指摘してきたわけでありますけれども、今回の場合には、ごく最近の近くの地域におけるそうした前例があるわけでありますから、強行着工ということによるトラブル、これは何としても避けていただきたいということを強く要求する次第であります。先ほど来のお話の中でも、事業年度関係などである程度制約があるという趣旨でのお話がありましたけれども、そこだけに固執、拘泥をいたしますとどうしてもトラブルが起こりやすいということではないかと思います。先ほど例に挙げました尾根幹線の場合にもそこに最大の問題があったわけでありまして、いま少し話し合いをするということがあるならばあのような事例を防ぐことが十分可能であったのではなかろうかというように考えています。今回のこの工事の進行に当たりましても、その種トラブルは絶対に起こさないようにということについてお願いをいたしたいと希望いたす次第でありますけれども、この点について、これは特に道路公団がどのようにお考えになっているか、お伺いをいたしたいと思います。
  60. 大島哲男

    大島参考人 着工に当たりましてはトラブルを起こさないようにするというのは私どもの根本方針でございます。ただ、こういう大きな工事になりますとすべての人の同意を得るということは非常に困難でございますし、そういう意味におきまして大方の同意が得られれば仕事に踏み切りたいというふうに考えております。
  61. 山花貞夫

    ○山花委員 先ほど申し上げましたとおり、従来の言えば絶対反対から条件闘争にということでの機運が生じまして、そうした全体住民の意向に沿うようにそれぞれの反対の運動をしている皆さんが交渉しようと考えている、こういう時期でもあります。いま大変大事な場面を迎えているのではなかろうかと思いますので、そうした住民の側の動向についても十分慎重に配慮されて対策をとられることを重ねてお願い申し上げる次第であります。  同時に、従来私どもが聞いておりましたところでは、この年度、三月中に工事が始まるのではないかということを地元では大変心配しておるわけでありますけれども、この点について、三月中に工事を始めるということに道路公団側が固執されますと、どうも心配であるというのが率直な私どもの気持ちであるわけでして、三月中に工事着工があるのかないのか、その点については、なお住民の動向についても慎重に配慮されるというこうした姿勢があるのかどうか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  62. 大島哲男

    大島参考人 先ほど申し上げましたように、実際に現地にブルドーザーが入ったりあるいはショベルが入ったりいたしますのは早くて五月ごろというふうに考えておりますが、ただ、工事の契約事務といいますか、それは早期に進めたいというふうに考えております。
  63. 山花貞夫

    ○山花委員 いまお話ありましたプルが入る云々ということにつきましても、余りいついつということをかたい計画にいたしますと、先ほど来お願いしておるような住民のできる限りの同意ということについて支障が生ずる場面も予想されます。したがって、その点につきましては、きょう御答弁いただきましたような全体の流れに沿って十分地元住民の意向を確かめつつ、そこでのできる限りの同意を得るような努力は重ねて続けていただく中で工事の進捗をお図りいただきたいと思いますが、最後にこの点について道路公団から重ねてお伺いをしておきたいと思います。
  64. 大島哲男

    大島参考人 現地の方との間に紛糾を起こさないように十分相互の理解を深め、そのためには私ども十分に説明をいたしましたり、現地の御質問に応じたりいたしまして、その間の融和のうちに仕事を進めていきたいというふうに考えております。
  65. 山花貞夫

    ○山花委員 この点、建設省の所管から、具体的には有料道路ですから道路公団に移っておりますけれども、そういう立場で、これはここだけの問題ではなくて、道路公団所管だけでなく、ずっとバイパス問題続いておりますから、ぜひ建設大臣にもその点に御配慮いただくよう、この機会にお願いしたいと思います。これは特定の問題ですから大臣は後ほどまた御答弁いただきたいと思いますけれども、以上で十六号バイパス問題については終わりまして、残された時間、次の質問に移らしていただきたいと思うのです。  次に、昨年の十一月十九日、これはわが党の中村委員からいろいろお尋ねをいたしました、住宅公団にかかわりますふろがまの問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  この問題につきましては、御承知のとおり、その直前、十一月一日でありますけれども、足立区の住宅公団花畑団地で発生いたしましたガス中毒死という事件、その原因は煙突が排気口から外れたというところにあった。そこで問題となりましたのは、この花畑団地における壁面、壁の排気口は七十五ミリということであり、排気筒との接続に問題があったのではないか、こういう観点から、中村委員の方からこの問題についてさまざまな観点から細かくお伺いをしたところであります。問題のまとめといたしましては、大臣から、公的住宅であるので十分な配慮をもって事故防止についてはやるべきである、この点よく検討させていただきまして、指摘のような形ででも善後措置をさせていただきたい、こういう御返事をいただいた問題であったわけであります。過日一度この問題に触れられたようでありますけれども、重ねてこの問題について若干の点について私からもお伺いをさせていただきたいと思います。  まず冒頭、いわゆる異口径接続につきまして、これは住宅公団において大臣の答弁の趣旨を体してその後点検を実施されていると伺っているわけでありますけれども、その点検の今日までの現状につきまして御説明をいただきたいと思います。
  66. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えいたします。  問題の七十五ミリ排気筒、いわば煙突でございますが、これが壁に埋め込まれた住宅約二百団地、八万戸を対象といたしまして、昭和五十五年、昨年の十二月十三日から、ガス事業者と共同で点検調査を開始いたしました。ただ、年末年始にかかったことやら、それから現地住宅に参りますと不在者が相当数おられるというようなことがございまして、まだ全戸の点検調査が完了いたしませんので、目下なお続きまして鋭意実施を続けているところでございます。見通しといたしましては、点検調査の完了は三月末ぐらいになるのではなかろうか、そういう目途としております。  そういう状況でございますが、点検調査方法につきましては、ガス事業者の点検調査員が現地へ参りまして、目視、目によりまして、ガスふろがまの機器名とかそれからメーカー名とか、さらに一次排気筒、いわばガスがまの排気筒ですね、ガスがまの口径、排気筒の口径、それから排気筒、いわゆる煙突との接続の方法状況等につきまして調査をいたしているわけであります。  なお、ふろがまの点検調査につきましては、まだ全戸完了しておりませんため、その集計はまだできておりませんが、いままでの中間的な状況によりますと、居住者の安全な使用上の観点から行いました接続状況、特にその辺も花畑の例から注意して見まして、その点につきましては比較的良好であるようでありましたけれども、ごく一部には接続の不備が見受けられるものもありまして、その場で安全等の御注意を申し上げたという報告を受けております。
  67. 山花貞夫

    ○山花委員 いま全体の検査の対象のおよその戸数について伺ったわけですけれども、これは全国的なんでしょうか。各支所管内にどのくらいあったのかということにつきまして、必要な範囲で御説明をいただければと思います。
  68. 久保田誠三

    ○久保田参考人 公団住宅で浴室の排気筒、いまの煙突、七十五ミリメートル使用の団地とその戸数は、設計図に基づいて調べたのでありますが、東京支社として百八団地、五万二子六百三十九戸、関東支社七十一団地、二万二千二百六十六戸、関西と中部はございませんで、九州支社が二十五団地、五千三百九十戸、合計二百四団地、八万二百九十五戸となっております。
  69. 山花貞夫

    ○山花委員 時間の節約の意味で、私も設計図面などに基づいた支社則団地名あるいは戸数について若干お話を伺ったところでありますけれども、全国的に大変広範に問題の住宅設備を備えたところが重なっているようであります。  私が居住しておるそばでも幾つかの団地、調布あるいは多摩、府中など、いろいろたくさんあるわけですけれども、問題は、このふろがまにつきましては、五十四年の法律、特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律第二条の特定ガス消費機器とされまして御説明省略していただいても結構ですが、いわば法律によりましてその安全性の観点から、通産省令で定める技術上の基準に適合しているかどうかの周知や調査あるいは災害に対する対策などがかなり詳細に規定されているところであります。  また、異口径接続問題につきましては、すでに四十七年の一月二十日でありますから大変古い時代から通達などでそれをしてはならないというような指示があったようでありますし、現在におきましても先ほどの四十条の二に関連いたします省令によりますと、「排気筒の有効断面積は、ガス湯沸器等の排気筒と接続する部分の有効断面積より小さくないこと。」という明確な規定があるわけであります。七十五ミリの排気口に対してふろがまの方が八十、九十、百、こうした形で従来市販されたものを取りつけるということから無理を生じていたということから、今日の問題が生じているわけでありまして、この間前回の委員会でも問題となりましたように、昨年七十五ミリのかまもできるということになったようでありますから、最近では新しい空き家あるいは建てるところにつきましては、この点について問題が解決しつつあるということのようでありますけれども、なお八万戸程度異口径接続の問題が残っているということでありますと、先ほどのお話にもありました点検調査、三月末ということのようでありますが、一つにはできるだけ早急に調査を進めていただきたいということの希望がありますが、同時に期間に攻められまして点検調査が不十分であってはならないということでもあると思います。いまお話しありましたとおり、現実に見てみるとその日径の接続がどうも危ないのもあったので、その場で勧告、注意も是正もしてきましたというお話ですが、私は、現実にこの異口径接続の点検といいますか、いま私自身がずっと拝見したところでも、非常に危ないと思うような状態がたくさんあったわけであります。問題は、十年来事故が起こっていない、花畑団地の場合にもそれが外れだというような思わぬ特異なケースであって、心配はなさそうであるというお話も伺っておりますけれども、しかし、この省令ではっきりいけないと書いてある、いけないと書いてあるのは、危ないからいけないのだということに尽きるわけでありまして、この点の点検につきましては、時期もありますけれども、内容的にも十分ひとつやっていただきたいということをこの機会にお願いをいたす次第であります。  同時に、これに対する対策ということになりますと、具体的にまだ点検調査中でありますとお話しいただきにくいのかもしれませんが、およその方向といいますか、そういう点についてこれまで部内で御検討されたところがあるならば、その点についてお話しをいただきたいと思います。  同時に、これは取りかえなければだめなのか、修理というようなことでは対策を立てることができないのかということも含めて、従来の御検討の結果について明らかにしていただきたいと思います。
  70. 久保田誠三

    ○久保田参考人 まず、修理の点については、技術上の問題として、ちょっと方法等はないのではなかろうか、こう考えるわけであります。  なお、本題の七十五ミリの排気筒つきのガスふろがまの取りかえ費用は、一台当たりおおむね六万円程度の費用がかかるものと思われます。したがいまして、費用負担につきましては、この前の委員会におきましても中村先生にもお答えいたしましたように、居住者の方々との賃貸借契約書に基づきまして、居住者の方々で修理または取りかえを行っていただくことが公団としてのたてまえにはなっておりますが、本件につきましては、現在点検調査を先ほど申しましたように行っておりますが、これをなお続行しながら、これと並行いたしまして、費用負担をどうするかというような問題などにつきましても、従来のあるいは諸般の実情を総合的に勘案しながら、鋭意目下検討を進めているという状況でございます。
  71. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお話にもありましたとおり、この点はぜひ大臣にも御理解いただきたいと思うところですが、どうも修理ということはむずかしいようであります、まあお金をかければできるということのようでありますが、従来公団から伺っている限りでは、躯体に影響を与えることからなかなかむずかしいようです。われわれとしては、なおその点についてできるだけ検討もしていただきたい、最近のバランスがま、その他の方式によりますと、躯体全体に影響を与えることなく、部分的な穴をあけるというような形で可能なのではなかろうか、こういうことも考えますので、なおその点については御検討いただきたいと思うのですが、どうも全体としては取りかえなければだめであるということになりまして、前回から費用負担の問題が出てきています。  実は、このふろがまにつきましては、公団住宅につきましてはふろとかまは公団が準備するものでありますけれども、公社住宅などにつきましては、ふろがまなどについては居住者持ちというような基本的な差があるようであります。ここから費用負担について明らかに違ってくるのではなかろうかというように私たちは考えておるわけですが、この点もいま御説明いただきました諸般の事情ということの重要な一つの素材として御検討いただきたいと思いますし、なお、いま申し上げましたとおり、公社住宅につきましても異口径接続のたくさんの住宅があったようです。私どもがたとえば東京都住宅供給公社に確かめましたところ、東京都住宅供給公社の場合には、約六千軒ありました古い住宅につきましては、改めて排気口の穴をあける、あるいはそのことについて問題がある場合には集合排気筒方式ということによりまして、一軒約十万円かかったと言っておりますけれども、全部問題が解決したと伝えられております。あるいは約二万二子戸ありました比較的新しい住宅につきましては、バランス方式によりましてこれをとり、すでに問題が解決しているということのようでありまして、住宅供給公社関係の約二万八千戸については、すでに全部解決済みなわけであります。  ところが、住宅公団の八万戸につきましては、いま議論にありましたような経過で、なお検討してこれから対策が立てられるということでありまして、住宅公団関係でこれまで事故が起こっていないからよろしいわけでありますけれども、もしこの間事故が起こりますと大変心配であります。この事態につきまして今後とも御努力いただきますことを、これは公団にはもちろんでありますけれども大臣にも前回の中村委員に重ねて私からもお願いをしておきたいと思いますので、この点についてだけ大臣の御所見を承りたいと思います。
  72. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  昨年の花畑団地の事故につきまして、亡くなられた方には本当にお気の毒で、御冥福をお祈りするわけであります。その後の御質問にもお答えいたしましたように、公団には安全性の問題についてしかと確かめるように指示をいたして、いま公団側からの報告のとおりであります、八万戸に及ぶ戸数でありますので、まだ日程的に煮詰まってはおらないようでありますけれども、あくまで事故があってはならないわけであります。ましてや公的資金を融通しておるこうした公的問題について、欠陥があってはならないということは当然のことであります。異口径の接続の問題が事業者の不手際の問題であるのか、あるいは十年たった後の耐用年数の問題であるのか、あるいは契約時にはどうなっているのか、あるいは補てんする場合の責任問題はどうなっているか、いろいろな問題があるようでございます。しかし、再度事故が起こる前にこれは対応しなければなりませんので、先生指摘の趣は十分承知しながら、公団に対しても重ねて指示をいたし、早急に解決を図るような方向で努力する所存でございます。
  73. 山花貞夫

    ○山花委員 どうもありがとうございました。
  74. 稲村利幸

    稲村委員長 瀬崎博義君。
  75. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 お願いしております資料を委員長の了解を得て配らせていただきたいと思います。し  建設業界にあっては、しばしば国や公社、公団の工事発注手定価格が事前に元請会社に漏れているのではないかということが問題になってきているわけですね。私が去る二月四日の予算委員会で取り上げました電電公社とその元請認定会社であります東洋電機通信、これは電電公社発注の土木建設部門で七番目に位する一部上場会社でありますが、これとの間に発生した事件というのも、広い意味で言いますとその範囲に入ってくるわけでありますが、その内容は、より重要で深刻な意味を持つものであります。といいますのも、電電公社の工事発注予定価格の詳しい積算方法とか設計変更、夜間補正の査定方法などの工事発注全体にかかわる基本的な重要資料、こういうものが元請側に流出していた、こういう問題だったからであります。これは公社と元請企業の癒着関係を示すものとして、いま問題になっております公社の会議費不正使用問題と同等の、あるいはそれ以上の重要な問題ではないかとわれわれは思います。いまお配りしております資料の三枚目以降は予算委員会でも配付した資料そのままでありますが、本委員会では初めての関係もありますので、簡単にその内容だけ説明をしておきたいと思います。  東洋電機通信工業の「公社積算内容と設計変更の要領について」こういうものが存在をすると私は確信をしておりまして、先般、予算委員会で明らかにいたしました。本日は、その表紙と内容の一部を資料としてただいまお配りしたわけであります。一ページ目にあります。もちろんその全部の紹介はとても時間の関係でできません。要点を申し上げますと、たとえば「公社が外注見積で工事予定価格を積算する場合には、見積額に一〇%の査定をし、公社価格として積算するので注意することこういうことがその東洋電機通信工業のマル秘とされた資料の中にあるわけであります。では、これが公社側の積算資料とどういう点符合するか、これは二枚目に挙げておきました。分社の積算要領の中に一電気通信設備請負工事戸定価格積算の一部を見積書により行なう場合の取扱いについて」というのがあります。これは非常に専門的に書かれておりまして、ちょっとやそっと読んだだけでは理解できません。実は一種の通達でありますが、公社の「電気通信設備請負工事予定価格の積算要領」の中には、実はこういう図解で、予定価格の見積もり手順の説明もされているわけであります。ただ、公社も日々工事発注をしているわけでありますから、そういう点も配慮いたしまして、こういう資料は添付することを差し控えました。そういうことと照らして理解すれば、要は、非常に特殊な工程や材料で一般的な方法による積算が困難な場合には、専門業者から見積書を取って予定価格をはじき出してもよろしいとしているわけなんです。その場合には見積書は原則として二者以上の専門業者から取りなさい、その上でその内容が適正かどうかというものを検討した上で、その適正とされた見積額に〇・九を乗じた額、つまり見積額から一割引いた額を工事予定価格にしなさい、こういう意味のことなんであります。したがって、一ページ目にあります東洋電機通信工業が社内資料としております「公社積算内容と設計変更の要領について」の第一のところに挙げましたものとこれが一致してくるのであります。また、工事をやっている最中に、マンホール管路を掘っている最中に、前から埋めてあった公社の管とかあるいは他のガス管、水道管、こういうものが露出してきたときには、それを保護する名目で工事費補正が行われるんだ、その補正の単価は管の太さによって二種類あるから注意しろ、夜間補正については、工事完成後記録写真を見て判定し、再積算するが、マンボール工事の場合は、管路のランクと違って、一%の変動でもランクが変わる場合には全工程に対してランクの変動があるので注意すること。そこに補正額の式が示してあります。このように、補正は、夜間の工事部分だけ補正されるのではなくて、昼間の工事にもわたって全部補正されるわけなんです、そのために、一ランク変わると受注金額の約五%の変更額になってくる。そしてその写真による夜間の判定の基準とは何か山マンホールの場合はベース鉄筋、側壁鉄筋、スラブ鉄筋、こういう状況さえ夜間であれば、その他の工程が昼であっても夜間と判定される。これももちろん公社の内容にあることなんで、私がわかりやすく解説をしてあります。それから掘削に伴う土質の分類の積算方法等の部分は、現在公社で使用している積算要領そのものではありません。古い方でありますが、そのコピーがそのまま載っているのであります、こういう形で、冒頭申し上げました、電電公社がわれわれ国会議員に対してさえ厳秘としております積算に関する資料が明らかに元請に漏れているではないか、こう指摘したのであります。  これに対しまして、予算委員会の席上では、そんなことはあり得ないと公社側は否定されつつも、しかし調べてみる、そういうお話でありました。そこで第一に、調べた結果、私が指摘いたしました資料、「公社積算内容と設計変更の要領について」、こういう東洋電機通信の文書が確認されたかどうか伺います。
  76. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては大変信じられないことではございましたが、当該業者に厳しく問い合わせましたところ、五、六年前に作成いたしました資料といたしまして「公社積算内容と設計変更の要領について」がございました。内容を調査いたしましたところ、以前使用しておりました積算資料と同じ内容のコピーが一部転載されていることが判明いたしまして、はなはだ遺憾に存じている次第でございます。  なお、先ほど先生からいろいろ御指摘いただきました点につきまして、大変御懇篤な御意見でございましたが、せっかくの機会でございますので、ちょっと触れさせていただいてよろしければ触れさせていただきますが……  まず第一に見積書の点でございます。二者以上の業者から見積書を徴しまして適正かどうかということにつきまして評価いたしまして、それに九掛けするということになっているわけでありますが、これは、業者から持ってまいりました見積もりというのは、いわゆる一般管理費も含めた工事費でございますので、私どもがこれを積算に入れるときには一応九掛けいたしまして、それを公社の一般の契約額に足しまして、その上に一般管理費を足すわけでございますので、御心配の点はないのではないかと私どもは思っておる次第でございます。  なお、続いてお話しをいただいた夜間工事におきます夜間補正の点で、記録写真の点についてでございますが、これもあるいは説明不足で大変申しわけなかったと思っておる次第でございますが、確かに隠蔽工程その他につきましては、写真による記録というものも重視しております。ただ、写真だけによりますといろいろと先生指摘のような問題もあったりするものですから、写真だけでございませんで、工事場所におきます警察でございますとか、あるいは道路管理者の使用許可条件でございますとか、あるいは地域住民との折衝記録とか、あるいは監督の立ち会い等の資料などをもちまして総合的に判定いたしまして、誤りのないようにいろいろ気を配っているところでございますので、どうか御理解いただきますようによろしくお願い申し上げます。
  77. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの補足説明をどう検討するかはわれわれの方も考えるとしても、いずれにしてもこういう資料があったことは確認されたわけですね。しかもその内容はおおむね公社の積算要領を反映しているし、一部はコピーが載っていた、こういう事実でありました。  そこで第二に、特にこういう資料を公社が厳秘にされるのは、発注の相手方、元請には絶対知られてはならないから、こうおっしゃっておったわけですが、その元請に公社側の積算要領がわかっている、あるいは少なくとも主要部分は知られている、どうしてこういう状況になったと現時点でお考えなんですか。
  78. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答え申し上げさせていただきます。  御指摘のように、積算資料が業界に出るということはゆゆしきことでございまして、公社といたしましても積算関係の資料につきましては部外秘の扱いを厳にしているところでございまして、配付の責任者も定めてもおりますし、各書類ごとに配付番号によります管理を行いまして、常にアップ・ツー・デートをしているわけでございますが、古いものは焼却処分にするなど秘密保持に細心の注意を払っているところでございます。  今回御指摘のような事態が生じましたことは全く遺憾なことと存じておりまして、今後かかることにより疑惑などを受けることのないよう重ねて厳格に対処する所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。
  79. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 このように工事価格が漏れるあるいはその積算方法が漏れる一つの大きな要因として、私は先般も、この三枚目の図に見られるように、公社から大量の天下りがある。確かに公社時代に習得した技術を民間で生かすというそれはメリットもあるかもしれないけれども、そのとき同時に、こういう本来外部に出てはならないいろんな資料も流出するのではないか、こういう疑問を呈したのでありますが、そういう点について公社側としてはどうお考えですか。
  80. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答え申し上げます。  先生今回御指摘の件と公社退職者とのかかわりにつきましては、万が一にもあってはならないことと私ども考えている次第でございまして、今後におきましても、関係者が一層公正、厳格に対処するよう指導する考えでございますので、よろしくお願い申し上げます。
  81. 稲村利幸

    稲村委員長 瀬崎君に申し上げますか、この問題につきましては逓信委員会において取り上げられるよう、委員長として要望いたします。
  82. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が冒頭断わりましたように、これは土木建設工事の発注に関する問題なんです。ですから、これはもちろん逓信委員会でも問題にできるでしょうが、建設委員会において問題にしてはならぬという筋合いのものでは絶対ないと思います。だから余り不当な干渉をしないようにしてもらいたい。  いま、積算内容は古いものが漏れているんだというお話でありますが、確かに作成年月日四十九年十一月は古いけれども、この中に盛り込まれている、公社が業者見積もりをとって一〇%引きで工事予定価格をはじき出す部分とかあるいは夜間補正の判断基準、査定のやり方は現在もそのまま生きている項目なんですね。ですからそういう意味でいきますと、たとえこの問題で東洋電機通信がこういう資料をここで破棄したとしても、すでにこの資料を身につけている社員はたくさんいるわけですね。ですからそうなってくると、そういうことは絶対ないようにしてもらいたいけれども、やはり身についているものはついているんで、工事に生きてくると思う。白紙には戻らないわけです。そういう意味で公社としても、今後の予定価格の算定方法、設計変更、夜間補正の査定方法などについてやはり再検討をせざるを得ないのではないか、これが一点。  それから工事の検査方法についても現在のやり方をそのまま延長することは許されないのではないか、検討する必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  83. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答え申し上げます。  御指摘いただきました点につきまして、先ほども御説明申し上げました点につきましては省略さしていただきますが、積算体系そのものにつきまして、その体系そのものというのは積算の考え方を示しているものでございますので、これを特に変えるという考えはございませんのでありますが、公社の積算資料の中身に入りますと、常々採用しております新技術による価格、工程の変化あるいは既存技術は常に改善がされておりますし、施工環境もどんどん変わっておる状況でございますので、その都度改定をしておるのでございますので、中に入っておりますデータ等につきましては常に現状に合わせてアップ・ツー・デートにしていく所存でございます。そんなことで、基本的に現在の体系を変えなくてもよいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  84. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 東洋電気通信初め、その他元請にも資料が出ているかもしれませんが、そういう元請各社に対する処置をどういうふうにされますか、
  85. 斎伯哲

    斎伯説明員 先生から今回御指摘の件につきましては、何度も申し上げますが全く信じがたいことでございまして、深く遺憾の意を表しておる次第でございます。今後再びこのような事態が発生することのないよう私たち自身自戒いたしますとともに、工事業者に対しましても強く指導する所存でございます。
  86. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 真藤総裁に一言伺っておきたいのですが、着任早々でいらっしゃいますから公社内部事情に詳しく通じていない、そういう点は理解をいたします。しかし、この件は、公社の積算内容の資料を入手して、それを実際利用するという意図のもとにつくられている社内資料であることは、読めば一目瞭然なんですね。言えば不公正な手段で工事費補正とか夜間補正をとる手段を教えている、そういう文書でもあるわけであります。他の元請へも天下りがあるという状況から、類似のことがないとは言い切れないと私は思うのです。ですから、こうしたことに対しては総裁がどういう基本姿勢で臨まれるのか。これは公社の内部事情に通じる、通じないにかかわらず問われることだと思います。この事件の処理に臨まれる総裁の基本的な考え方基本的な姿勢を伺っておきたいと思います。
  87. 真藤恒

    ○真藤説明員 こういう問題はよほど厳正な規律を確立するというほかに方法がございませんので、今後そういう方向に努めていく予定にいたしております。
  88. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから、これは非常に具体的な問題でありますが、宅内の架設電話を新設するというふうな非常に簡単な建設工事であっても。これが現在七十一社の認定業者を通じてしか発注されない、こういう仕組みになっておりまして、その結果がこの資料の一番最後につけておりますように、公社の発注価格が電話一台つけるのに一万二千円。ところが末端で仕事をしている業者はその半値あるいはそれ以下で工事をさせられる、こういうような事態があります。確かに元請会社は公社からいろんな注文が来るのをうまくこなすために、長らく養成してきた下請組織網を活用するわけです。そういう点では一定の仕事はしているわけであります。しかし、建設業法上は一件ごとの工事についてどの程度元請がその工事に関与しているか、この度合いによって、俗に言う一括下請の疑いがあるかどうか、こういう判定が下ると思うんですね。そういう意味でいくならば、この電話の架設の工事という簡単なものには事実上建設業法上でいう関与を元請はしていない、一括下請になるわけであります。  そこで、具体的な提起といたしまして、一つは、こういう零細な、実際に工事をやっている下請業者が協同組合をつくる、そして中小企業庁から官公需適格組合の認定等を受ける、そして公社がその技術その他の能力を十分審査してこれで大丈夫だというならば、そういう協同組合を組んでいる零細業者に直接発注する、こういうことも検討しなければならないんではないか。そうでもしないと、中小業者に官公需を発注せよという閣議決定の線も守れないことになるのではないかと思うんです。  いま一つ、そうはいっても現在七十一社の元請でがっちり固められているこの受注体制を崩すのはそう簡単ではないと思うんです。その場合に、大量、多種類、そして一つは定型的なこういう工事、これは確かに建設工事には違いないんだけれども、こういうものについて一括下請でないなどといういろんな弁解をすることがむしろ実情に合わない。率直に一括下請になることはやむを得ないものとして認めてはどうか、ちゃんと建設業法には一括下請は禁止だけれども、例外を設けているんですね。それは、「発注者の書面による承諾を得た場合には、適用しない。」こうなっておるんです。ですから、一括下請は認めるが、つまりいまの元請の存在を認めるけれども、その際、書面によって元請の手数料はこれこれの範囲内に限る、こうでもすれば現在の極端な買いただきはなくなるんじゃないかと私は思うんです。こういうこともひとつ活用されてはどうか。  公社の方はあと用事がなくなりますので、先に公社の方のお考えを聞いておきたいと思うのです。
  89. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答え申し上げます。  大変通信建設業界の御事情にお詳しくいらっしゃいまして、いろいろ御指摘をいただきましてありがとうございました。  いま御指摘の点につきましてお答え申し上げる次第でございますが、簡単な建設工事の扱いについて零細な企業の方に直接出されたらどうかということなんでございますが、私どものやっております電気通信設備工事と申しますのは、この席で申し上げるのもなんでございますが、一般の建設業に比べますと専門的な技術を持っておるものでございますので、電気通信サービスを提供するシステム、要するに全国くまなくめぐらしましたネットワークにどこからでも通話ができるという意味で、一つの大きなシステムと申し上げている次第でございますが、その間にどこでも、工事上のわずかな誤りでも出ますととにかく全国の通話ができなくなるというようなことでございますので、非常に神経を使って仕事をしているわけでございます。そのため十分な技術能力、それから工事能力、さらには経営基盤、それから会社の信頼、こういったようなものを持っております認定業者に実は発注をしているわけでございまして、先生指摘のとおりでございます。  しかしながら、零細企業の方々のためというわけではございませんけれども、技術的に軽易な工程、たとえば電柱、支線の防護士事でございますとか、あるいは可搬形交換装置中継函等の囲障工事でございますとか、あるいは塗装、防腐剤及び防虫剤の塗布工事とか、直接電気通信設備の性能に影響を与えないで単独に実施できる工程につきましては、中小企業などへの配慮の観点も含めまして、今後とも直接発注を続けていく考えでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。  なお重ねて、実態として一括下請なのでそれに対する扱いをされたらどうかというような御指摘もいただいたわけでございますが、先ほども御説明申し上げましたように、工事上のわずかなミスも直ちにサービス全体に影響を及ぼすということもございまして、工事品質を確保するという観点から実は下請負禁止工程を定めておりまして、元請業者との契約に際しても条件の一つとしているわけでございます。そのため一括下請ということができないことになっておりますので、どうかよろしく御了承いただきたいと思います。
  90. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ公社の方は退席いただいて結構なんですが、同じ問題について建設省の方に伺いたいのであります。  いま、やはり通信業務という特殊性から、現在のこの元請体制の維持をある程度図らざるを得ないという趣旨の発言もありましたし、また、一括下請禁止条項を設けているという話なんですが、実態はこの前私がるる予算委員会で説明したとおりなんです、ですから、一方ではたとえ通信関係建設工事といえども建設業法の適用を受けているんですから、建設省としてはやはりその面からはメスを入れて、建設業法上一括下請だ、こう考える場合、いま公社側が説明した通信の特殊性と整合して、ではこの現在の下請の圧迫を建設業法のもとにどう救済するか、こういう点は建設省の方からも一定の見解の表明があり、また行政指導が出てしかるべきだと思うのです。いかがでしょうか。
  91. 宮繁護

    宮繁政府委員 建設業法にもいまお話しのように一括下請につきましては禁止規定がございます。この一括下請、法文上の解釈になりますけれども、従来からの行政実例等から見ますと、自分の請け負いました建設工事をそっくりそのまま他人に請け負わせてしまう場合とか、あるいはまた自分の請け負いました建設工事の主体的な部分を取りまとめてこれも他の建設業者に請け負わせた場合、こういうものは一括下請ということで禁止をされております。しかしながら、これに対しまして、工事全体を下請させるような場合でありましても、みずから総合的な企画をやるとかあるいは工事の進捗度に応じて調整をするとかあるいは技術指導その他をやっているような場合は、一応一括下請には該当しないというふうなことでやっております。しかしながら、この一括下請の規定に違反するような事情をわれわれが把握した場合は、当然許可権者でございます建設大臣あるいは都道府県知事におきましてはこれに十分行政指導をする、それでもまだそういう事情が直らないような場合につきましては、指示とか営業停止とかあるいは情状が特に重い場合には許可の取り消し等もできますので、十分こういう点は見きわめて適切な措置をとってまいりたいと考えております。
  92. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が言っているのはそういう意味ではなくて、長年電電公社が七十一社の元請を通じて、先ほどの話ではないけれども、全国いつどこでどんな工事が起ころうともそれには直ちに応じられる体制をつくっている、これは私も認めるわけです、その点での組織性というのは大したものですね。そういう下請網をつくり、その下請を動かすような仕事はちゃんとしているわけですが、事通信ということを離れて純然たる建設業という観点で見るならば、一件ごとの工事に分解すれば一括下請と言われるケースは多々あるわけなのです。だから、公社が一括下請でないと言うのと、われわれが見て、いやあれは一括下請だと言うのと相当基準が違っているような感じがするのです。ですから、建設業法では一括下請を認める例外もあるのだから、この際それを適用して、公社の特殊性に建設業法をミックスした形で一括下請の書面を交わして、その中で、そのかわり下請圧迫ができないようにきちっと手数料を明示する。これは電力会社がやっているようなシステムですね。建設省の方でもこういうこともよく研究して、勧告というと大げさになるかもしれませんが、アドバイス等をしていく必要もあるのじゃないか、こういうことを言っているわけです、いかがでしょう。
  93. 宮繁護

    宮繁政府委員 私が先ほど答弁いたしましたのは、法律の解釈としてどういう場合に一括下請の禁止に該当するかどうかということでございまして、ただ、この場合に、公社が法律に基づきまして書面等で承諾を与えまして一括下請をやれるわけですから、諸般の事情を考慮して公社がそれをおやりになるかどうか、そのことについてまで私どもの方でとかく差し出がましいことを言うのはいかがなものかと思います。しかしながら、建設業の健全な発展あるいは中小建設業者の振興のためにも、これからも所要の措置はとってまいりたいと考えております。
  94. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現在大規模な工事で、先ほどの東洋電機通信の下請業者に対する圧迫問題もあるのですが、これはいま建設省も解決のため鋭意努力をいただいておりますから、きょうはその具体例をここに持ち出すことはやめますが、そういうものの取り扱いを通じて痛感することは、電電公社を取り巻く大下元請の感覚というのは、契約の仕方とか下請に対する接し方等々でいわゆる物の売買という感覚が非常に強い、きわめて商社的色彩が強い、建設業法上、とりわけ特定建設業者としての理解とか自覚が薄いのを痛感するのです。こういう点については、建設大原としても、いかに公社専門の、一〇〇%公社に依存している一部上場会社があるというまさに異例の業界ではありますけれども、特定建設業者の許可をとっている以上は、建設業法に従う業務のやり方、これをすべきだという点で特別な指導、場合によっては大臣名で通達を出すぐらいのことは必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  95. 宮繁護

    宮繁政府委員 お話しのとおり電電公社の元請会社も建設業者として、許可権者でございます大臣あるいは知事の監督下に当然服するわけでございます。それで、私どもといたしましても、先般予算委員会で御指摘がございました点につきましては、当事者双方をお呼びしまして事情調査いたしました。その結果、下請契約関係につきまして適当でないところもございましたので、これは是正するように指示をしたところでございます。  なお、二次下請に対する賃金不払いの問題等もございまして、この点につきましてもさらに十分事情を聴取いたしまして、円満にこれが解決されるように指導してまいりたい。そういう意味ではこの七十一社につきましても、冒頭に申し上げましたように建設業者でございますので、これからも十分指導監督をしてまいりたいと考えております。
  96. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、この際七十一社の元請に対しては特別に注意喚起の必要があるのではないかと思うのです。大臣が通達するとか局長名の通達を出すとか、こういう点の検討はないかということを聞いているのです。
  97. 宮繁護

    宮繁政府委員 御指摘がございました問題につきまして、私ども事情を十分把握いたしておりますので、これにつきましては適切な指導をとろうと思っております。しかし、仮に七十一社全般につきましてもそういう点がありとすれば、これは適切な措置を講じなければならないと考えております。
  98. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、公社の発注、受注に関する問題は一応終わりまして、次は琵琶湖関係の質問を進めたいと思います。     〔委員長退席、村岡委員長代理着席〕  まず、国土庁長官に伺いたいのでありますが、空からではあるそうですが、長官も直接琵琶湖を視察されたそうですね、率直な御感想と、今後の琵琶湖問題で一番優先させなければならないと考えていらっしゃるのは何か、お答えをいただきたいと思います。
  99. 原健三郎

    ○原国務大臣 ヘリコプターからも見せていただきましたし、豪雪のときには現地にも行って琵琶湖の方もよく見せていただきました。国土保全上琵琶湖のいろいろな、いまいわゆる大変な総合開発をやっておりますが、まだ必ずしも十分でないし、今後総合開発を十分進めていかねばならぬ、そういうことを痛感したような次第でございます。
  100. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 琵琶湖の水質問題についてはどうお感じになりましたか。
  101. 原健三郎

    ○原国務大臣 まだ、初め計画したほど琵琶湖の水質を保全し、十分目的を達していないような気がいたしました。
  102. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 本当に一遍直接琵琶湖を船にでも乗り込んでごらんになりますと、水質悪化の深刻さがよくわかっていただけるので、その機会をとっていただきたいと思います。  さて、そういう深刻さの中で、昨年七月一日から滋賀県は琵琶湖富栄養化防止条例を実施したわけです。八カ月ほどになるのでありますが、どういう効果を上げたのか、これが第一点。第二点は、一県でとにかく条例をつくってやろうというのでいろいろ困難な面が出てきているのです。どんな困難点があらわれているか、これが二つ目、そして三つ目、この条例でできる限界をどう考えておるか、環境庁に伺いたいと思います。
  103. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  琵琶湖の富栄養化を防止するため、滋賀県では上場、事業場に対する燐、窒素の規制とともに、燐を含む家庭用合成洗剤の販売、使用禁止を盛り込んだ富栄養化防止のための総合的な措置を条例で講じたということにつきましては、琵琶湖の水質保全のためにきわめて意義のあることであって、私どももその効果に期待しているところでございます。  具体的な事例と申しますと、この合成洗剤の無燐化への切りかえによりまして琵琶湖全体の水質そのものは、御案内のように水が入れかわるまで約二十年を要するということでございますので、そういった点での効果は今後にまつところが多いわけでございますが、琵琶湖に直接流入する河川などにつきましては、燐の濃度が明らかに減少するなどの効果があらわれているわけでございます。しかしながら、上流の効果と申しますのをより効果的にするためには、水質保全に対する皆さん方の意識の高揚ということも必要でございますが、下水道とか屎尿処理施設の各種水質保全に資する事業を一層推進する必要がございます。また、工場、事業場の排水処理施設の整備などについてもなお今後とも拡充を図っていく必要がございます。なお、それに加えまして総量規制の導入とか、排水規制になじみにくい施設についての施設管理基準の導入など、総合的な対策を講ずることが必要であると考えております。
  104. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今後の必要な施策のあることを述べられたわけでありますが、現在滋賀県は条例はつくったもののその実施が非常に困難だと言っている問題もあるのですね。ことしからは工場や事業場のNP排水処理施設も義務づけられてくるのですが、これが猶予期間内にできない見通しのものが相当出てきている。それから小規模な事業場に適した処理技術が実際のところまだ開発されていないという矛盾も出てきている、それから市町村の屎尿処理施設等々についても排水基準強化に伴ってNP除去の改良をするわけですが、この維持費が莫大で、国の応援がないために深刻だという問題や、回収した燐を含む合成洗剤が三万箱余りたまっているのですね、これの処分の方法がなくて困っている等々書かれているわけですね。まあこれはお伝えをしておきたいと思うのです。  そこで、三月中旬には提出されるであろうと言われている湖沼法なのですが、これで、いま言われた条例でカバーし切れない、いわゆる限界になっている問題等々が解決される期待というのはどの程度あるのですか。
  105. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。     〔村岡委員長代理退席、委員長着席〕  現在私ども、先般中央公害対策審議会から答申されました「湖沼環境保全のための制度のあり方について」に基づきまして法案の作業を行っておる段階でございますので、具体的なお話は申し上げることができないわけでございますが、たとえば先ほど申し上げましたように総量規制の導入であるとかあるいは許可制の導入であるとか、排水基準になじまない施設につきましてはたとえば維持管理基準のようなものを設けて指導するとか、そういった対策とあわせて、湖沼の水質のみならず、湖沼の周りの水辺の環境もあわせて保全していくような考え方検討している次第でございます。基本的には、国が湖沼の環境保全のための基本方針を出しまして、関係都道府県知事がこれに基づきまして、かつ湖沼の特性に即し、具体的な計画を定めまして、先ほど来申し上げましたような各種の措置を総合的に推進することができるようにすることを考えている次第でございます。
  106. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま言われましたこの中公審の答申ですが、その中では「湖岸及びその近傍の陸域、いわゆる水辺であって自然的環境が維持されているところは、生態系が微妙な均衡を保って維持されている場所であり、陸域と水域との間の緩衝地帯として水質保全機能も有している。」ここの保全の重要性を強調されているのですね。そのために具体的な施策として、湖辺の環境の保護保全のためにはいままでの法体系、自然環境保全法とか自然公園法、都市計画法、これだけでは不十分だ、「湖沼の総合的な環境保全の見地から、湖沼周辺の自然的環境保全のための対策の一層の充実を図ることが必要」だという指摘がありますね。実はこの湖沼環境保全専門小委員会には琵琶湖条例で非常に苦労した滋賀県の岸謙一環境部長もメンバーの一人として参加していますね。その苦労話、どんな話がされたのかいろいろと伺っているわけなのですが、水辺というところは生態系的に見て湖沼の最も弱いところであって、こういうところの大規模な人工化は治水上やむを得ない場合に限るとして極力抑えるべきなのだ、こういう強い意見が出ておった、こういうことの反映がいま私の紹介した文章にあらわれている、こういう説明も聞いたわけであります。  そこで、詳しい説明はできないと言われましたが、いま準備されつつある政府法案の期待される焦点の一つは、水辺については一定の範囲を限って環境保全地区の指定を行って、そこでの建設行為等人工的な変化を与える行為を許可制にする、こういう部分だということを聞いているのですが、こういうのは確実にやはり法案にするのに残ってくるのでしょうね。いかがですか。
  107. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  ただいまお示しの湖沼水辺の環境保全につきましては、審議会でもまた審議会の部会の下に設けました専門委員会におきましても多くの議論がございまして、答申におきましては、そういった問題を十分検討するようにという答申がなされているわけでございます。  現在そういった残されている自然と申しますのを保全するための制度といたしましては、自然環境保全法、自然公園法あるいは都市緑地保全法あるいは都市計画法など関連する法律制度があるわけでございますが、それぞれはその法律の目的によりまして、その目的を達成するためにいろんな施策が行われているわけでございますが、私どもも、そういった制度というものになお加えまして、こういった湖沼の周りの水辺というものを守っていく必要があるのではないかというように考えている次第でございますが、具体的な法律案につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現在私ども関係省庁とお話し合いを進めている段階でございますので、その内容等については、繰り返しになりますが、ここで申し上げられないわけでございますが、私どもとしましては、いずれにいたしましても、どういう手だてをとるかは別にいたしまして、湖沼の水辺を守っていきたい、このように考えている次第でございます。
  108. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その前に、現在の琵琶湖総合開発計画では、大規模な湖岸堤、それも一部は湖中堤として建設される計画があるわけですね。こういう工事はこの答申の趣旨からいくならば、やらないで済むものならやらないでおく、あるいは最小限度のものに限る、こういうことがその趣旨に沿うものじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  109. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  湖沼につきましては、それぞれ治水、利水その他いろいろな目的がいまのところあるわけでございますが、湖中堤につきましては、環境保全に支障を及ぼさないように配慮することが必要であると考えております。
  110. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 来年の三月末で期限の切れる琵琶湖総合開発特別措置法の延長が当面の焦点になっているのでありますが、それを前提に琵琶湖総合開発計画の見直し作業が進んでいる、昨年の八月国土庁から伺ったところでは、昨年十二月までに県段階の作業を終わって今年早々には国土庁の検討に入り、三月ごろには政府の検討を終わるであろう、こう聞いておったのです。このスケジュールはどうなっておるのでしょうか。
  111. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 滋賀県にお願いしておりました作業、若干おくれておりまして、現在滋賀県の方におきまして各事業の進捗状況を各省と共同で点検するとともに、今後の処理方針について検討しておるということでございまして、滋賀県の作業自体がまとまるのが四月、五月であろうかと思っております。ただ、私どもの方はそれをなかなか待っておれませんので、別途関係各省とともにやっております各省連絡会の幹事会等におきまして、滋賀県のこの作業と並行して現在の計画の進捗状況等の点検、今後の方針等についての打ち合わせを開始したところでございます。
  112. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 滋賀県の作業で最もおくれている原因、どういうふうに見ていらっしゃいます。
  113. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 最もおくれておるという点、私ども実はそれほど詳細にその中身を知っておるわけではございません。滋賀県自身、いろいろ大変な作業であったと思っております。滋賀県としては精力的にやっていただいてはいると思いますが、何分広範多岐にわたる問題でございますので……。
  114. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 琵琶湖総合開発特別措置法、四十七年にできているのですが、少しそこに至る歴史的経過を振り返ってみたいと思うのですね。時間が限られますので、くどい説明をされますと困るのです。私も一連のことは承知しているのです。それで、その中の問題がどこかということを探りたいわけですね。こっちの言ったことだけ的確に答えてほしい。  まず、昭和三十九年九月に建設省が非公式ながら琵琶湖総合開発構想を発表した。四十年の十一月にそれに基づき琵琶湖総合開発の構想を建設省が正式に発表した、ところが、これが四十三年の七月に撤回されるわけですね。この建設省が発表した二つの構想の特徴、そして撤回した理由、簡単におっしゃってください。
  115. 小坂忠

    ○小坂政府委員 やや詳細な、具体的な事実になりますので、説明員から御説明したいと思います。
  116. 渡辺重幸

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  昭和三十九年に非公式に発表いたしました構想は、琵琶湖を琵琶湖大橋の地点で締め切りまして低いダムをつくる、そういうことで、マイナス一メートル四十までは全湖を使って、それ以下につきましては北湖のみを活用しよう、このような案でございます。  それで、この非公式な御通知の後検討いたしまして、一応事業費までを含めましてさらに計画を確定したものを公式に県の方にお示ししたわけでございます。その前後いたしまして、滋賀県の方からもいろいろとお考えが提案されまして、その場合に滋賀県の方の基本的なお考えといたしましては、やはり南湖と北湖とを分離するのではなしに、全湖を一様に活用するという方向が望ましいという強い意向が従前よりずっとあったわけでございます。したがいまして、建設省といたしましては、滋賀県の意向を尊重いたしまして、閉め切る案というものを撤回することに相なったというふうに承知しております。
  117. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次いで、四十五年の十二月二十八日に関係省庁の事務次官等による琵琶湖総合開発についての申し合わせが行われるのですね。その関係省庁とは経企庁、大蔵省、建設省、自治省の事務次官と近畿圏整備本部次長の申し合わせになっているのですが、この特徴を一言にして言えば、これはどういうことですか、
  118. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 先生御承知のとおり、それまでの建設省並びに経済企画庁の方で検討を進めてまいりました琵琶湖の下流地域の水需要に見合う水資源開発そのものの検討と、滋賀県が特に要望しておりました琵琶湖及び周辺地域の総合的な地域開発というのを一体的に推進をする必要があるんじゃないかという点が、これらの関係省庁の間で意見として煮詰まってまいりまして、たまたま四十六年度予算といたしまして、水資源開発公団事業予算十億円をつけるに当たりまして、改めてそのことを確認をしたというふうに理解いたしております。
  119. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いままでの説明でもわかるように、当初建設省の案は非常に露骨な水利用案で、南湖と北湖を分断してしまうということであったけれども、さすがにそれは撤回された。次いで、事務次官による申し合わせが行われたけれども、これも結局下流の水の利用にセットして、滋賀県内琵琶湖周辺の地域開発を進めるという案であった。その間、四十六年十二月には淀川工事実施基本計画も変更されるのですが、ここには初めて保全という言葉が出てくるのですが、それは洪水による湖岸地域の被害をほとんど解消し、あわせて下流地域における水需要の増大に対処するため、洪水時における湖水位の低下を図るため湖岸堤等の建設を行う、こういうことなんで、今日いう水質保全とは全く概念の違う、水位変動の洪水被害から周辺を守る。こういう意味の保全だったのですね。なお、先ほど言われました滋賀県側が出した意見にもこの水質保全というものは欠けております、要は、下流に水を送る以上は滋賀県の開発もやってくれよという内容なんです。  そういう経過で四十七年三月二十七日の有名な申し合わせになるわけですね。このいわゆる新規開発水量毎秒四十トン、それから利用水位幅プラス・マイナス一・五メートル、この申し合わせというのは、では法律上どういう位置を占めるのか、答弁をいただきたいと思います。
  120. 小坂忠

    ○小坂政府委員 お答えいたします。  いわゆる法的には決まったものではございませんので、ただ、行政的には意味があろうかと思います。
  121. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この申し合わせの会議環境庁の名は出てこないのですが、環境庁は参加を呼びかけられたけれども行かなかったのか、もともと参加の呼びかけがなかったのか、どっちですか。
  122. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  その辺の事情をつまびらかにいたしておりませんが、環境庁が発足いたしましたのは四十六年の七月でございます。
  123. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そのときできています。このときすでに環境庁は存在をしておったのですが、最も重大な関係を持つ環境庁は、関係省庁としてここに名を連ねていないのです。そういうわけで推移してきて、今度湖沼法が制定されようということになっているのでしょう。制定されることを前提に考えますと、そしてその湖沼法が審議会の答申をさらに尊重してつくられるということを前提にすればでありますが、「講じようとする施策をできる限り具体的に明記した当該湖沼の湖沼環境保全計画を策定し、国及び地方公共団体はこれを強力かつ着実に推進していくことが肝要である。」こう答申は言っているのです。当然これは法案に反映されると思うのですよ。  すると、琵琶湖はどうなるか。一方は琵琶湖総合開発特別措置法による琵琶湖総合開発計画が適用されてくる。一方では、今後できるであろう湖沼法の湖沼といいますか、琵琶湖環境保全計画が適用されてくる。この二つの適用を受けるわけですね。さて、いずれを優先させるのか、あるいは両者の整合性をどういう機能によって保とうというのか。これは答弁は国土庁でしょうか。
  124. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  琵琶湖総合開発特別措置法の問題につきましては、地元の滋賀県の意向を十分聞きながら、国土庁で検討されるべきことであろうかと思いますが、この件につきましては、まだ私どもも正式なお話は伺っておらないわけでございます。また、私どもの法案につきましても、現在そういった関係も含めて調整の段階でございます、いずれにいたしましても、私どもは、湖沼の環境を保全する措置と申しますのは琵琶湖の特性から見て当然必要なことでございますので、その辺の話し合いは今後つけられるものと考えております。
  125. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 非常に不確定要素の多い部分、そして各省庁間の調整は今後に残されていること、そして今後話し合いはつけられるべきもの、こういうことがいま明らかになったわけでしょう。しかもこの答申が保全計画のあり方として示している、これは具体的に何項目か挙がっているのですが、この中には下水道及び屎尿処理施設の整備に関することとか、それから先ほど言った湖辺、水辺の自然的環境の保全、利用に関する措置に関することなどが挙がっているわけです。そうしてまいりますと、これが生まれてくると、水質保全上当然これだけの下水道はやってくださいよというのが出てきたときに、さて、特別措置法に基づく開発計画の方が、それよりも下水道がおくれるという場合の調整は当然起こってくるだろうと思います。また、その保全計画の方で、いま計画されている湖岸堤とか湖中堤あるいは南湖しゅんせつについては、これは規模が大き過ぎるからもう少し縮小せいとか、あるいは湖中堤は水質悪化を招くのではないか、検討し直すべきだというのが出てくると、当然開発計画にそれは反映しなければ整合ということにならないわけですね。そういうふうに考えてきますと、開発計画は十年も前からやっているんだからこれが先発部隊だ、これに優先権があるんだ、後から出てきた保全計画はそれに合わせればいいんだ、もしもこうなったら湖沼法をつくる意味は全くなくなるでしょう。そういう意味で、結論として申し上げたいのは、琵琶湖総合開発特別措置法がつくられる歴史的経過の中には、もっぱら水の利用ということと滋賀県の開発ということだけが眼中にあって、水質保全は抜けておった、これが一つ。それから、水位を一・五メートル上げ下げしてまで毎秒四十トン下流に水を送るというあの申し合わせの時点でもこの環境問題は全然抜けて、機構上も環境庁は呼んでなかった、こういう一つの大きな欠点がある。そしていま湖沼法がつくられかかっている。つくられてくれば、当然それに基づく保全計画との整合性が出てくる。そのことが目の前にわかっておって、それを抜いて開発計画を見直してみたところで、これはまさにナンセンスというか、非常に片手落ちな開発計画の見直しにしかならない。そういう点で、この開発計画の見直し作業については、いま申し上げました諸般の事情を考慮して、もう一度湖岸堤などの建設のもとになった、しかも法律に基づいたものではない、行政的には意味があると言われたが、まず四十七年三月の申し合わせ時点に返って、環境庁なども含めて、水質問題も含めて、結論はどうなろうとももう一遍申し合わせそのものの検討のし直しからやっていくべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、ひとつどちらかの大臣の見解をぜひいただきたいところであります。
  126. 稲村利幸

    稲村委員長 時間が四分過ぎておりますから簡潔にお願いします。
  127. 原健三郎

    ○原国務大臣 お答え申し上げます。  結論的に先生がおっしゃったことは賛成でございまして、水質保全、水質の回復等を決して無視してやる考えはございません。十分考慮してやる考えてあります。
  128. 稲村利幸

    稲村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後三時三十四分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕