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1981-02-20 第94回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 伏木 和雄君       鹿野 道彦君    鴨田利太郎君       桜井  新君    田村 良平君       竹中 修一君    谷  洋一君       登坂重次郎君    中西 啓介君       堀之内久男君    村田敬次郎君       井上 普方君    小野 信一君       山花 貞夫君    横山 利秋君       薮仲 義彦君    林  保夫君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         総理府人事局次         長       森  卓也君         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         建設政務次官  住  栄作君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局次長   林  博男君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    倉持 哲士君         環境庁水質保全         局水質管理課長 大塩 敏樹君         大蔵省主税局税         制第一課長   内海  孚君         大蔵省理財局資         金第二課長   柴田 章平君         国税庁直税部所         得税課長    冨尾 一郎君         文部省管理局指         導課長     福岡純一郎君         林野庁指導部治         山課長     松本 廣治君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 松下  弘君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   石田  寛君         建設大臣官房官         庁営繕部長   高野  隆君         自治省財政局調         整室長     井下登喜男君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     久保田誠三君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   小野 信一君     石橋 政嗣君 同日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     小野 信一君     ————————————— 二月十四日  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三三号) 同月十九日  都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第三六号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鴨田利太郎君。
  3. 鴨田利太郎

    鴨田委員 まず住宅問題につきましてお伺いしたいと思います。  わが国住宅を歴史的に見ますと、戦後、四百二十万戸、本当にこれは緊急に必要であるというふうな戸数主義から出発しまして、そして昭和二十年には被災都市応急簡易住宅建設要綱が発表され、その実現に向かって努力され、そしてまた二十五年には住宅金融公産法、昭和二十六年には公営住宅法、そして三十年には住宅建設十カ年計画、そしてまた三十一年には住宅建設五カ年計画、そして三十八年には十年間に一千万戸の住宅を建設しよう、そして四十一年には住宅建設計画法が生まれ、同時に第一期住宅五カ年計画がスタートし、そしてだんだん居住水準向上というものを図ろうということになったわけでありまして、四十六年には第二期住宅建設五カ年計画、そして第三期五カ年計画となってまいりまして、いよいよ今度は第四期五カ年計画に入るわけであります。  このような歴史的な事情考えてみますと、住宅数世帯総数かなり上回り、空き家数が約二百七十万戸に達するなど、戸数の面での量的充足は一応顕著な運びになってまいりました。また、質の面においても、全体としまして居住水準は着実な向上を見せているようでありますが、東京大阪などの大都市地域においては、低質木賃アパートの残存、それから最低居住水準未満居住世帯の多数の存在に見られるように、なお住宅問題は深刻であります。今後の住宅政策におきましては大都市対策に重点を置くべきだと考えますが、第四期住宅建設五カ年計画案においては、大都市地域居住水準改善のためにどのような対策考えておるのか、大臣に御所見を伺いたいと思う次第であります。
  4. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  いま先生指摘のように、戦後の住宅事情は非常に厳しいものがございました。直後、絶対不足数が四百万と言われておりました。その後、いま御指摘のように、昭和三十年に公団ができ、関係施策を進めてまいり、まあまあいまのところ住宅数が一応世帯数を満たすところまで来ておりますし、公営公団住宅におきましても有効ストックが二百三十万戸というような状況になってきております。  ただ、問題は、いま先生御心配のように、大都市過密都市における居住者、特に勤労者方々居住の問題がいま問題になっておるわけであります。今度第四期住宅五カ年計画を御審議願うわけでありますけれども、特に大都市における借家世帯住居水準がまだ残念ながら相当満たされておらない現状でございますので、この面につきまして特に配慮して進めてまいりたいと思います。特に、戦後、ベビーブーム以後、それぞれの家庭に入りましても、その人たちの子供が成長し、世帯構造家族構造にも変化が生じておりますので、その面につきましても配慮し、公営公団住宅等を質的にも向上を重ねながら、居住最低水準方々になお良質住宅に入っていただくように、融資の問題あるいは長期特別分譲住宅供給等を図りながら進めてまいりたい、このように考えているものでございます。
  5. 鴨田利太郎

    鴨田委員 いま大臣の御説明で今後の方針というのが大体わかりましたけれども、今後、最低居住水準平均居住水準とはどのように考えていらっしゃいますか。
  6. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話のありました最低居住水準につきましては、私ども昭和六十年度を展望いたしまして、すべての世帯方々がこれらの最低居住水準レベルに達することができるような施策を展開したいというふうに考えているものでございまして、その水準につきましては、世帯構成によりまして差がございますが、一般的には四人の標準世帯方々に対しまして住居専用面積五十平方メートル、いわゆる三DKという形のものを想定しておりますが、そういうレベルに到達したいというふうに考えております。  また、平均居住水準は、同じく昭和六十年度の展望といたしまして、全世帯の半数以上の方々がこれらを達成することができるようにということを目標といたしておりまして、その際の標準規模といたしましては、同じく四人の標準世帯方々につきまして三LDKで住居専用面積八十六平方メートル程度考えておるものでございます。
  7. 鴨田利太郎

    鴨田委員 さらに重要なことは高齢化社会到来への対応でございます。  わが国はこれから欧米諸国より以上のスピードで高齢化が進むと予想されております。高齢化社会ということになりますと、国民一人一人が自己の生涯における生活設計、老後の備えを若年層のときから着実に行うことが必要となり、国といたしましてもこうした国民生活設計ができる限り容易となるよう側面から援助していくことが必要であると思われます。高齢化社会到来対応しまして住宅対策をどのように推進していくのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  8. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生高齢化方々のための配慮につきまして御質問いただきましたことに敬意を表する次第であります。御案内のとおりわが国高齢化社会は非常に欧米諸国に比して顕著なものがございます。六十五歳以上の方々がやがて一千万になんなんとするような高齢化社会の中で、こういう人たち良質社会環境の中で、生きがいのある人生を送っていくための最も重大なことは住宅対策であろうかと思います。したがいまして、老人世帯老人同居世帯についての十分な配慮がなされなければならないことは当然なことでございます。このため、従来から老人同居世帯に対しましては、規模設備等の面で配慮した公営住宅供給公団住宅への入居の優遇、住宅金融公庫割り増し貸し付け等を現実に行いつつ、この問題の解決に向かって前向きで現在まで進めておりますが、なお今後の課題として対応してまいりたい、このように考えるものでございます。
  9. 鴨田利太郎

    鴨田委員 ただいまのでわかりました。  次に質問申し上げます。  今後の住宅対策につきましては、人口の中高年齢化が進行すること、戦後のいわゆるベビーブーム世代持ち家取得年齢に達すること等から、持ち家に対する需要が今後とも高水準推移すると想定されます。これに対する対応は非常に重大であります。特に住宅金融公庫の果たすべき役割りは大きいと考えられます。来年度から実施される住宅金融公庫の五・五%金利適用所得制限について、当初予算折衝の過程では、六百万円で制限を行うこと、さらに面積制限まで行うこととの提案があったにもかかわらず、最終的には八百万の所得制限のみで済んだことは、不十分ながら評価するということでございますけれども、しかしながら、今後の勤労者所得上昇に合わせて、制限所得八百万の適切な見直しを常にローリングしていかなければならぬ、こういうふうに私は考えます。これにつきまして大臣のお答えをお伺いしたいと思います。
  10. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  五十六年度予算におきまして住宅金融公庫融資所得制限が導入をされました。御指摘のようにいろいろといきさつがあったわけでございますが、最終的には八百万円ということにしていただいたわけであります。当然先生の御指摘のように、時代推移とともに社会環境家族構成等変化してまいり、また、もちろん所得関係においても変化があるわけで、そうしたことは、ケース・バイ・ケースというよりも、時代推移を見ながら当然見直していくものと私たち考えております。所得制限によっていやしくも国民住宅ニーズに影響があってはならないわけで、先生配慮のとおりのような形で進めてまいりたい、このように考えております。
  11. 鴨田利太郎

    鴨田委員 いまのお話で大体わかりましたけれども住宅金融公庫の金だけでは、勤労者は、もちろん土地建物も購入するには不足であります。現在どのくらいの値段がしておるかといいますと、われわれが見ますと、勤労者は、大体年間五百万の所得の方が三倍から四倍ぐらいでもって土地建物が買えればこれは一番理想的なんでありますけれども、高ねの花みたいなものでなかなかそういうことは無理でありますけれども、どうしてもすぐローンというような手に飛びつきやすくなります。こういう点におきまして、これから景気が上昇すればいいですけれども、いまのままでいきまして賃金も余り上がらない、こうなってまいりますとローン返済の難度は大変多くなってくると思いますけれども、現在平均所得の何%ぐらいの返済難易度になっておるかというのを、もしも大蔵省の方いらっしゃいましたらちょっとお聞きしたいと思います。要するに個人が借りた場合の……。
  12. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  現在の住宅ローンを借りている方々の全体につきましては私ども詳細に承知しておりませんが、住宅金融公庫におきまして融資を受けておられる方々平均所得等を見ますと、五十五年の中間の集計でございますが、おおむね四百万弱ぐらいの年収の方々でございまして、その方々自己資金住宅金融公庫融資と、それから銀行その他の融資等を受けましてこれを実施しているという実態のように伺っておりますが、その際、これは返済額の方で見ます場合に、収入の大体二〇%かも二五%程度返済をしていらっしゃるというふうに聞いております。
  13. 鴨田利太郎

    鴨田委員 私が聞くところによりますと、大体平均が二八%、それで返せないで親子心中してしまうというふうな例が多々あると思います。これからますますこういうふうなローンは多くなってまいりますけれども、これにつきまして、先ほどの住宅問題につきましての融資政府もよくこれを見てもらいまして、ひとつ勤労者が本当に楽に返せるような方向にいくよう考えていってもらいたいというのが私の要望でございます。  次にお伺い申し上げます。住宅問題の締めくくりとして、住宅基本法についてお伺いしたいと思います。  まず、建設大臣所信表明の中で「住宅政策基本的方向を示すための立法措置」とありますが、これは従来住宅基本法と言われていたものを指すのですか。また、「鋭意検討」というのは、いまの国会に提出するということなのか、大臣の御所見を伺いたいと思う次第でございます。
  14. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  所信表明の「住宅政策基本的方向を示すための立法措置」ということの御質問でございます。これは、従来住宅基本法と言われたものでありまして、今国会に提出するように鋭意検討しております。
  15. 鴨田利太郎

    鴨田委員 さらに、住宅基本法の具体的な内容としてはどういうものを考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  16. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま大臣からお答え申しましたように、今国会に提案すべく現在鋭意検討を進めておりますが、その内容といたしまして、私ども現在考えております段階では、住宅政策目標、国及び地方公共団体の責務、居住水準目標の設定、住宅計画の策定、住宅に関する施策基本的方向等住宅政策基本的事項につきましてこれを盛り込みたいということで検討しているものでございます。
  17. 鴨田利太郎

    鴨田委員 住宅基本法につきましては、公明党、社会党ももちろん一つの法案を持っているそうでございますけれども、わが自由民主党も深い関心を抱いておりまして、昨年秋以来プロジェクトチームを設置して検討を重ねているところであります。これとの調整についていかに考えておるか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  18. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  自民党におきましてプロジェクトチームでこの問題について取り組んでおられます。われわれは、十分住宅基本法に反映させていきたいと、このように考えております。
  19. 鴨田利太郎

    鴨田委員 現在の住宅不況状況にかんがみまして、第四期住宅建設五カ年計画達成を図るためには相当の政策努力を要することには間違いがございませんが、とりわけ大都市地域において宅地確保が最大のかぎを握るのではないかと考えます。そこで、次に宅地問題について幾つ建設省考えを伺いたいと思います。  実は、去る二月十三日の同本経済新聞を見ました。今後五年間の建設省見通しとして、宅地必要量全国で一〇%不足するとし、特に東京大阪圏不足が深刻化する旨を報道しておりましたが、この報道は本当ですか。
  20. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。現在建設省におきましては、今後の宅地供給政策の指針とするために、昭和五十六年度から昭和六十年度までの五カ年間と昭和六十一年度から昭和六十五年度までの五カ年間、合わせまして十カ年間を対象期間といたします宅地需給長期見通しを今年度中に策定すべく、その作業を進めておるところでございます。いま御指摘の一部の新聞報道されました数字は、作業中間段階幾つもの数字をはじいておりますけれども、その一つでございます。いま御指摘がございましたように、そこでは六万六千ヘクタールぐらいの宅地が必要であろう、しかし供給は約六万ヘクタールだという報道でございますけれども、この数字は、実は宅地必要量につきましては最大限多目に推定したものでございます。たとえば、現在東京平均宅地面積が百四十二平米、大阪では百五平米でございますけれども、それを一応百六十七平米まで水準を上げるという仮定ではしいたものでございます。なお、供給量につきましてはきわめて控え目に試算をしたものでございまして、いまだ最終的に確定した数字ではございません。それで、確定した数字につきましては、本年の三月下旬に予定されております第四期の住宅建設五カ年計画の決定までに間に合わせるべく、現在、住宅宅地審議会等にも御意見を聞きながら作業を進めております。  現段階におきまして、私ども考えます五十六年度から六十年度までの前期の五カ年間の宅地必要量は、既成市街地それから新しく市街地になるもの合わせまして六万ヘクタール強、六万二千から三千ヘクタール程度ではないかと推定をいたしております。これを過去の実績のデータがございます新市街地の分で比較してみますと、全国のベースで見ますと、近年の宅地供給実績をやや上回っておりますけれども首都圏につきましてはいまお話のございましたように、かなり厳しい状況のもとにあります。しかしながら、各般宅地供給施策を強力に推進することによりまして、供給可能な数字であると判断いたしておるところでございます。
  21. 鴨田利太郎

    鴨田委員 第三期計画で二千ヘクタールの不足があり、六十年までの住宅建設宅地不足計画達成になるのではないかというふうなことは考えられませんね。
  22. 宮繁護

    宮繁政府委員 いま申し上げましたように、各般施策を強力に推進することによりまして、計画されております住宅が建設される敷地の確保について最大限の努力をしたいと思っております。
  23. 鴨田利太郎

    鴨田委員 いまのお話で、今後五カ年間の宅地必要に対しては政策努力によって何とか供給が可能だということで大体信じます。一生懸命やってください。  しかし、近年の宅地供給量は年々減少の一途をたどっているのが現状です。この厳しい状況は今後とも続くとすると、相当強力な宅地対策の実施がなければなりません。現在の宅地供給停滞を打開し、宅地供給促進を図るために建設省としてじゃ今後どのような具体的な政策をとっていくのか、こういうことでございます。宅地が現在商品化されております。というのは、農地が商品化されております。この点はAB農地につきましても宅地並み課税をかけながら、片方において自治体から補助金を出していただくことになっておる。これはみんな国民が認めておることでございまして、これに対しまして、かつて、十年前に三井不動産会社江戸英雄社長は、東京湾を埋め立てたならば坪四万円で宅地として供給ができるであろう、日本の狭い国土を有効に使用するには国土を新たにつくる以外にはないのだ、そしてその崩した山はまた新たに利用できるだろう、こういうふうな発案をしたことがありました。これはただの発案で終わってしまったわけでございますけれども、神戸市のポートアイランドみたいに、農地があってそれを売らないんだったら表に出ていく、こういうふうな考え方も具体的には実現されております。その点についての大臣所信を承りたいと思うわけであります。
  24. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  宅地供給の問題は住宅政策の中の大きなキーポイントであろうかと思います。先生指摘のように、この問題を解決しなくて住宅政策解決はあり得ないわけであります。さすれば、宅地をどのように供給するか、見つけ出すかということに問題点があります。山林原野あるいは農地計画的な開発もありましょう、あるいは遊休地有効利用、既存の市街地の再開発という問題、また鴨田先生指摘のように山を削って埋め立てをし、両面にわたっての宅地政策もあろうかと思います。そのような問題を抱えながらこの問題に取り組んでいくわけであります。なお、そのほかに税制の問題もありましょうし、民間デベロッパーの協力も必要であろうし、また区画整理事業をやった都市計画地における住宅政策のための関連公共施設促進をやって、コストダウンを図るという問題もあろうかと思います。いま申し上げましたようなあるいは融資制度の問題もありましょう。こうした問題を総合的に解決をしながら、建設省としてはなお前向きで進めてまいりたい、このようにいたすものでございます。
  25. 鴨田利太郎

    鴨田委員 そういうふうにして一生懸命努力をなすって、国民の福祉の向上のために宅地をこれからつくっていくんだという大臣の心はよくわかりました。一生懸命お願いしたいと思います。  次に、また問題を提起いたします。  宅地の量の確保もさることながら、今後は量から質へと言われておる住宅政策の展開とあわせて、質のよい宅地供給を図っていくことが重要であると考えます。したがって、今後の宅地供給を進めるに当たりましては、道路公園等関連公共公益施設整備の充実を図り、良好な町づくりに努めていくことがきわめて重要であります。さらに、最近の宅地供給停滞原因一つは、このような関連施設整備に要する負担が重いこと、これはいま大臣がちょっとお触れになりましたけれども宅地開発業者がそのために事業意欲を減退させていることにも大きな原因があると思います。このような状況に対処しまして、建設省としてはどのように施策を講じられますか。
  26. 宮繁護

    宮繁政府委員 いまお話のとおり、宅地開発事業を推進するに当たりまして良質環境を保全する意味からも、また市町村におきましてかなり財政負担を強いられるというようなことで、宅地開発事業に関連いたします道路とか公園とか学校等施設整備が大変重要でございます。従来から建設省におきましては街路とか公園一般公共事業につきましても団地に対しまして優先的に配分をするように努めておりまして、昭和五十五年度の実績を見ましても、御承知のとおり一般公共事業費伸び率はゼロでございましたけれども、特にこの団地関連につきましてはかなり伸び率配分をいたしております。  それから、現在住宅公団等宅地を造成いたします場合の道路とか学校等につきましては、その整備事業地方公共団体にかわって費用を立てかえまして実施し、その後低い利息で長い年月にわたってその費用を返していただくというような立てかえ施行制度等もやっておりまして、これらの制度改善も逐次講じてまいっております。  それから、特に昭和五十三年度におきまして新しく創設を見ました住宅宅鈍関連公共施設整備促進事業、いわゆる関公促進事業と申しておりますけれども、これにつきましては年々その事業費の拡大を図っておりまして、昭和五十六年度におきましても公共事業費伸び率がゼロでございましたけれども、これは国費九百億を国費約一千億に伸ばしまして、関連公共施設整備促進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  27. 鴨田利太郎

    鴨田委員 いまの説明で大体わかってきたのですけれども、その関連公共公益施設の国家の補助金、これがたとえば都市計画なんかでやる場合でありますと、上物だけ二分の一出して下物には全然、たとえば保育所だとか消防署だとか、そういうふうなものは出して、上物だけには二分の一の補助金を出す、下は出さない、こういうことでもって各公共団体はなかなか金がかかる。だから一生懸命宅地を造成しようと思ってもちょっと容易じゃない、逃げ腰になる、こういう状態が続いております。それからまた、都市計画法と建築基準法の矛盾があります。たとえば、片一方は道路は四メートルでいいという建築基準法をやっております。片一方は八メートルだったかな、それでいい、以上でなければいかぬとか言っております。そういう法律的な矛盾もやはり解決しなければならぬと思うのですが、この点についてはどういうふうに考えますか。
  28. 宮繁護

    宮繁政府委員 最初のお話の、地方財政の負担を軽減する上で補助率等について十分考えよというお話でございますけれども、現在も人口急増町村につきましては、消防施設でありますとか小中学校等につきましては、それぞれの所管の省におきまして特別の補助率のかさ上げ措置を講じていただいておりますし、また、地方交付税の算定等に当たりましても、自治省の方でいろいろ御配慮をいただいております。しかし、私どもとしましても常にこの問題につきましては十分意を用いる必要もございまして、事務次官名でそれぞれ自治省、厚生省、文部省等に対しましても、この団地関連の諸施設整備のための財源措置につきまして、十分御配慮を賜るようにお願いをしておるところでございます。  あとの問題は、住宅を建てます場合に、一応建築基準法の規定で、四メートル以上の道路に間口二メートルは接続しなければならないというような規定がございますけれども、このことは、一応その敷地につきましても、いろいろな日常生活その他の関連におきまして最小限必要な道路の接続義務を規定したものでございまして、それと一方、公共施設である道路整備する場合の基準に多少差があるのはやむを得ないところではないかと考えております。
  29. 鴨田利太郎

    鴨田委員 またこれは後でお話をよく聞きます。西ドイツあたりでは、本当の地区詳細計画まで立てておるそうでして、大きなプランだけでなく、本当に細かいプランまで立てた上で地主の承諾を得て土地開発をするということです。日本の場合には、地主の承諾を得ないでもって勝手に青写真だけをつくってしまって、さあどうぞと言ったってなかなかできなかったというのが大きないままでの失敗であると私は土地開発については思うわけでございます。  次に、近年大都市地域の市街化区域においては、特に大規模宅地開発の適地が少なくなりつつあります。したがって、今後とも市街化区域内の開発有効利用を進めていくことは当然でありますが、同時に市街化調整区域であっても、計画的で良好な宅地供給につながるものについては積極的に開発許可を行っていくことも必要であると考えますが、建設省考えをお聞きしたい。
  30. 宮繁護

    宮繁政府委員 いまお話のとおり、現下の非常に厳しい住宅宅地事情対応いたしまして、良質宅地を円滑に供給するためには、今後とも民間の宅地開発を含めまして、いままで宅地でないところを新規に宅地にする事業、これを推進していく必要がございます。基本的には、私どもといたしましては市街化区域内におきまして計画的に宅地開発が図られるように指導をいたしておりますけれども、特に住宅宅地事情の逼迫をいたしております大都市地域におきましては、お話のとおり、市街化調整区域内における開発行為でありましても、計画的な市街化を図る上で支障がないと認められるような場合には、良質宅地計画的な供給に資する大規模なものにつきましては、開発許可の適切な運用を図るように従来からも指導してきたところでございます。  なお、昨年九月には、線引きの見直しの方針につきまして、都市局長からも通牒が発せられたところでございますけれども、これに合わせまして市街化調整区域内における二十ヘクタール以上の開発行為に係る開発許可の取り扱いにつきましても、特に宅地需給の逼迫をいたしております三大都市圏等を中心として、改めてその適切な運用方を私の名前で通知をいたしまして指導いたしておるところでございまして、今後ともこの方針のもとに都道府県を十分指導してまいる考えでございます。
  31. 鴨田利太郎

    鴨田委員 最近の大都市地域における宅地供給停滞には深刻なものがあると考えられますが、一方では、三大都市圏の市街化区域内にはなお九万五千ヘクタールの農地が残されております。したがって、今後これらの農地計画宅地化を進めていくことが宅地政策の重要な柱になると思いますが、この一環として、市街化区域内の農地に対するいわゆる宅地並み課税について建設省としてはどういうふうに考えておるか。たとえば、現在クリをつくっておるのは、東京都が名産地になりつつあるということです。AB農地をほっておいて、そこに一番金のかからないクリの木を植えておけば、これがまた実を結んで金になる、こういうふうなことを私はちょっと聞いたのでございます。いわば商品化されているものをどうして吐き出させるか、この点についての宅地並み課税、これをどういうふうに実際に考えているのか、これを聞きたいと思います。
  32. 宮繁護

    宮繁政府委員 市街化区域内の農地に対する課税の適正化の問題でございますけれども、特に宅地需給の逼迫いたしております大都市地域の市街化区域につきましては、私どもはやはり社会や経済や文化の発展に対応して土地の利用もスムーズに転換さるべきだと考えております。また同時に、課税の公平の見地から見ましても、やはりこれにつきましては実効のある措置を図っていかなければならないと考えております。  なお、この点につきましては、五十四年末の政府の税制調査会の答申におきまして、「昭和五十七年度分以降の固定資産税及び都市計画税については、長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、新たにC農地を課税の適正化措置の対象に加えるとともに」「A農地及びB農地に対する課税を強化するため、十分な検討を行うべきである。」という答申が出ております。これに即しまして、建設省におきましても五十七年度からの実施をめどといたしまして、関係省庁ともいま十分協議をいたしておるような状況でございます。
  33. 鴨田利太郎

    鴨田委員 営農をする意思があるという場合、何年をめどとして営農するのですか。十年を言うのか二十年を言うのか。——いまよく聞きますとわかりました。確かにミニ住宅を入手した人の固定資産税が、一ヘクタールの土地農地として課税されるよりもはるかに高い、大体百倍ぐらい高いと言われております。そしてA農地の場合には、宅地並みに完全課税されるといま言ったように百倍から百三十倍ぐらいになるのですが、宅地不足に代表される土地問題解決策として、制定された土地税制の大きな柱は譲渡税であり、そして農地の課税であり、保有税であるとされております。要するに、いま局長がおっしゃったように、ぜひひとつ宅地並み課税につきましては、ざる法にならないようにやってもらいたい。そしてまた営農する場合には、営農として二十年なら二十年営農するのだという場合にはいいけれども、それ以外には宅地並み課税はかけますよ、こういうふうにして実施期間をしっかりと守っていくように努力すれば、必ず土地は出てくるのではないかと私は思う次第であります。  それでは次に問題を移します。  去る二月十日の国土庁の発表によりますと、昨年十月一日から本年一月一日までの三カ月間の地価の変動率は全国計で一・九%、住宅地では二・四%となっており、その前の期と比べれば上昇率に鈍化の傾向が見られるようですが、年間を通じての変動率の累計では、住宅地で一〇・九%と二けたの上昇を示しております。そのような地価の上昇が続きますと、住生活の充実にとって大きな障害になることは明らかであります。この際強力な土地対策が必要であると考えるのでありますが、国土庁長官として最近の地価動向をどのように認識し、これを踏まえてどのような施策を展開しようとしておりますか、承りたいと思う次第でございます。
  34. 原健三郎

    ○原国務大臣 鴨田先生にお答えします。  御承知のように、地価の動向については、これはもう難事中の難事でございます。御承知のように、いわゆる土地の需要は限りなくあるし、経済が発展してくるし、だからいよいよ需要はふえるが、御承知のように土地はもうほとんど供給は不可能である。でありますから、その需要供給のバランスが破れていよいよ土地の値が高くなってくるという現象であります。だから難事中の難事であるのでございますが、ほっておくわけではございません。しかしながら、日本現状を見ましたら、やや地価が上がりつつありますけれども、三大圏が一番よく上がりつつあるし、それでその傾向はどちらかというと狂乱物価のときのように急激に上がっておるのではなくて、上昇はしておるが上昇率の方はやや鈍化しておる、こういう現象であります、それなら全然心配要らぬかといいますとそうでもなくて、われわれは今後とも十分警戒を要するところであると考えております。しかし、投機的な土地取引は一応影をおさめておるということはわれわれとしても一安心のところであります。  これをどうするかというのですが、これはなかなかむずかしいことでありますが、長期的には過密と過疎のバランスをとっていきたい、こういうきわめて抽象的なことになるのであります。当面の対策としては、投機的土地取引の抑制を力強く強力に進めていく、そして多少でも宅地供給促進を図っていきたい、こういうことをやっております。さきの臨時国会で農住組合法を本委員会においても通過させていただきました。これも土地供給一つの方法であると考えております。投機的なものはもちろん取り締まるし、その他遊休地を利用するとか都市の再開発をやるとか、いろいろあります。そういう宅地供給促進についていろいろな施策を逐次進めていって御期待に沿うようにいたしたい、こう考えております。
  35. 鴨田利太郎

    鴨田委員 いまの御説明でよくわかりました。土地は常に売り手市場であります。供給側の恣意的な判断によって地価が決められていっているのが現状でありますので、私たち国民のことを考えますと夢を常に持てるように施策を実行していただきたいと思う次第でございます。  次にお伺いします。  ただいま長官から御答弁があったように、当面の土地対策の最も重要な課題は宅地供給促進することであると考えております。この場合において、特に全国で約二十二万ヘクタール、三大都市圏でも約九万五千ヘクタール存在する、これは昭和五十四年一月一日現在でございますけれども、市街化区域内の農地について、営農を希望する農家に対して必要な措置を講じつつ宅地化を促進することはきわめて重要であると考えられるのであります。昨年秋の臨時国会で成立しました、ただいま長官おっしゃいました農住組合法は、このような市街化区域内の農地宅地化を促進する上で有効な手法の一つであると思われますが、農住組合制度の円滑な活用が図られるよう、来年度に向けてどのような財政上あるいは税制上の助成を講ずるようにしておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  36. 山岡一男

    ○山岡政府委員 農住組合制度の円滑な活用を図りたいということで、五十六年度におきまして財政上、金融上の新たな措置といたしまして三点ばかり準備をいたしました。  一つは、農住組合の事業計画の策定等に必要な経費に対して新たに補助を行うことということでございます。農住組合事業推進費というふうに申しておりますけれども、たとえば農住組合が新しく総会を開かれまして土地を丈量し計画をつくられるという立ち上がり資金が、標準的な組合を考えますと一千万強要るわけでございます。そういうものに対しまして二分の一は補助したいというようなことで予算を要求いたしております。それから都府県等の指導事務費、それからさらに農協等に委託をいたしまして掘り起こしをいたします経費、それからマニュアルを作成するような経費、そういうふうなものを予算といたしまして計上いたし、今国会に御提案いたしておるわけでございます。それから農住組合の行います特定土地区画整理事業、これを組合等の区画整理補助事業の対象に加えていただくということになっております。  それからもう一点でございますが、農住組合を農業近代化資金の借り受け主体にしていただくということでございまして、これにつきましては政令の改正が要るわけでございますけれども、農住組合法の施行令を施行いたします際に政令を改正いたしまして、共同利用施設の設置でございますとか客土でございますとか水田の転換でございますとか、そういうものに対します農業近代化資金の借り受け主体に加えるというようなことをいたしておるわけでございます。  さらに、既存の制度の活用という点につきましていろいろと進めてまいりたいと考えております。  住宅金融公庫の貸し付けにつきましても、民間宅地造成貸し付け、一般土地担保賃貸住宅一般団地住宅貸し付け等々ございますが、これらのものも活用さしていただきたいと思っております。  それから農地所有者等の賃貸住宅建設融資利子補給制度、それから日本住宅公団民営賃貸用特定分譲住宅制度、それから先ほど御説明ございました住宅宅地関連公共施設整備促進事業、これらのものにつきましては、既存の制度の中におきまして、農住組合の事業につきまして積極的に活用していただくということを考えておるわけでございます。  さらに税制上の措置といたしましては、農住組合の行います交換分合、農住組合の設置いたします農業共同利用施設等につきまして、所得税、法人税、登録免許税、固定資産税、特別土地保有税等の減免措置を講ずることといたしております。  細目は多岐にわたりますので省略さしていただきますけれども、これも本年度の税制改正ということで、税制改正法の中に盛り込んで要求さしていただいておる次第でございます。
  37. 鴨田利太郎

    鴨田委員 次に震災対策について御質問申し上げます。  昨年十月にはアルジェリア、十一月に南イタリアで強い地震が発生し、大きな被害を生じたことは記憶に新しいところであります。言うまでもなく、わが国も環太平洋地震帯に属し、世界に発生する地震の一割はわが国及びその近海で発生すると言われているほどの地震国であります。わが国にとって震災対策は重要な課題であります。人口、産業の集積の進んだ大都市の震災対策は焦眉の急であり、特にわが国の首都である東京を含む南関東地域で大規模な地震が発生した場合、大きな被害が生ずることは疑いありません。  国土庁が新規に実施をされようとしておる南関東地域を対象とする被害想定調査は、このような観点から都市における震災対策を積極的に推進するための前提条件としておやりになるつもりなのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思う次第でございます。
  38. 原健三郎

    ○原国務大臣 いま鴨田先生がおっしゃったとおり、東海地区に地震が起こるということは、すでにもう学者等の意見が一致しておるのですが、南関東においても決して油断ができるわけではございませんので、もし起こった場合においては、ことに南関東地区においては、それは文化、経済、政治、一切の中心でありますので、それは大変なことになることは御案内のとおりでございます。  そこで、この点も非常に希望も多いし、何とかいたしたいというので、今度の予算におきましても被害想定調査費を要求いたしております。予算が通りましたらその経費をもって被害想定の調査をやって、どのくらいの被害になるか、その被害の大きさに応じてどういう対策をやるか、本年度、昭和五十六年度中にこれを調査して、その対策を積極的に、具体的に進めていく考えでおります。
  39. 鴨田利太郎

    鴨田委員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思いますけれども、たとえば、私の感想を申し上げますれば、ガラス一つとりましても、ガラスの破片でもってこの間の静岡の爆発は要するに相当の被害をこうむったわけであります。ガラスを玉ガラスみたいな、自動車のガラスみたいなものにするとか、高層ビルのガラスに金網を張るとか、何かそういうような方法から始まりまして、震度七の場合に、歩道橋が落っこちた場合は一体どうするのだ、自動車が通れなくなってしまうじゃないか、こういうような問題もありますし、また、東京都内の避難所を見ますと、お寺、公園、そういうふうなところがございます。しかし、皆さんも御存じのとおり、お寺なんかは、墓地はお金をうんと持っている人ほどでかい墓にする。みんな四角ですから、あれがひっくり返ってきますと重いですから相当のけがをします。そういうようなこと、または水がめのこと、水がめというのは飲料水のような問題、そういうふうな問題も、いろいろこれからの国土利用計画の中にばっちりと入れてもらいまして、私たち市民が安心して生活ができるように、大臣に切望するものでございます。  時間が参りましたので、これで質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  40. 稲村利幸

    稲村委員長 桜井新君。
  41. 桜井新

    ○桜井委員 いまほどは、鴨田先輩の方から格調の高い住宅宅地等に関する総論の開陳があったわけでありますが、私はまだ当選して一年もたちませんが、初めての質問でございますので、国民の声、地方自治体の声といったような各論について、国土庁並びに建設省に質問をさしていただきたいと思うわけであります。  鉄は熱いうちにたたけとも言われております。そういう中で、大変しつこいようでありますが、一月の二十八日に災害対策特別委員会でも申し上げましたけれども、まだあの悲惨な雪の大惨事の記憶が新たなうちに、もう一度このことについて触れさせていただきたいと思いますので、それぞれの局関係に三つ四つたださしていただきたいと思います。  ことしの北陸、東北地方を襲った大異常豪雪は全くすさまじいものであったと思います。私も四十八年間この世に生活をさせてもらっておりますが、いまだかつてあれだけ大変な豪雪は体験したことがない、それほど本当にひどい豪雪でございました。天魔のなせるわざとはいいながら、余りにも悲惨なことで、本当にとうとい人命を失われた方々あるいは自分の住む家を全壊されるというような大被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  実は私の町では、まだいまでも三メートルもの雪の中に、雪の冷蔵庫の中に埋まったような感じになっておるわけであります。そして明けても暮れても、家へ残った家族はもちろんでございますが、一家の生計を支えるために外へ出て働く人たちも、降る盛りは、ことしの場合を申し上げますと、昨年の暮れ二十五、六日ごろから一月いっぱい、ほとんど朝五時ごろ起きて、子供たちを学校へ通わせるために、そして一日家をあけて外へ出ても大丈夫なための手当てをまず朝飯までにやる、それが終わると勤めに出てくるわけですが、もちろん家へ残った年寄りや奥さん方がいらっしゃる方はなお雪の片づけに回るわけでありますけれども、主人は外へ出て、それからまた勤めが終わって家へ帰ってまいりますと、夕飯を食べて、そして夜の十一時、十二時まで雪片づけ、雪掘りに明け暮れをする。そういうことで、主人がいるところはいいんですが、出かせぎをして奥さん一人で残った、子供さんと一緒だなんという家庭になりますと、目をあけてから日をつむるまで、本当に雪との闘いで明け暮れする。一歩間違えば人命も失うということでありますから、当然そういう中にはノイローゼみたいになってしまう方もございます。  いまでこそ大分よくなりましたけれども、雪国に、特に年寄りに自殺者が多いというのもそういった宿命的な環境も大きく左右していると思うわけでありますが、私はそういう中で、しかし宿命とあきらめていいのだろうか、そんな雪の中に住んでなくたっていいじゃないか、こう言われる方もあるかもしれませんが、しかし私はそうは思いません。あの文明開化の明治維新のときから、世界の経済大国と言われるようになった今日でも、雪国に期待するところ、負うところは非常に多い。あの終戦後の食糧の乏しかったころ、自分たちが食べる米さえも全く残さずに全部農家から、あの私どもの地域から米を大都会へとしぼり上げていったわけでありますし、また、それ電気だ、それ水だと要求をされておる現実を見るにつけ、私はやはり日本の国に雪国はなくてはならないものだと思っておるわけであります。  しかも、この雪は即水であります。北陸、東北、北海道地域全般もそうでありますが、私が一番自分の記憶にはっきりしておる新潟県のことを考えてみても、あの雪の多い山から流れ出てくる信濃川、そして只見川、やがては阿賀野川になるあの大河、それがこの越後平野を支えておるわけでございます。そんなことを考えるときに、私は、これだけ宇宙の果てまで探査をしようという時代であります。この技術と力をもって二度とこういったとうとい人命を失うような、犠牲者を出さないような手当てをぜひすべきだと思うのであります。  私の記憶では三十八年、いわゆる三八豪雪と言われたときに、時の建設大臣河野一郎さんが新潟県に乗り込んでまいりまして、それ以来雪に対する考え方をそれ以前と全く大改革をした。そして、道路というものはどんなに冬であっても除雪をして自動車交通を確保すべきだ、こういう観念が定着をしてまいりました。私どもは昔のことが記憶に残っておりますから、大変ありがたいことだと思った。ところがいまの若い人たちは、雪のために交通どめになった、汽車がとまったというと、とんでもない話だ、何をしているのだ、こういう考え方です。これは決して悲しむべきことではない、そういう世の中になったということは先輩方の努力のおかげであり、日本の前進だと思って、私は大いに賛意を表し敬意を払いたいと思っておるわけであります。  そんなときにとうとい多くの人命を失い、そしてまた家屋の全壊等を含んだ大被害を受けられたたくさんの被災者を出したわけでありますが、こういった第二、第三の犠牲者を出さないためにも、二度とこういうことが繰り返されないように、この際いままでと全く発想を変えていただいて、こういうことをなくするためにはどういう制度をつくったらいいのか、そういうような考え方で、これはこういう法律でだめなんだなんということではなくて、思い切って制度の改正等を含んだ国政の前進があるべきだと思うのでありますが、災害を担当しております原国土庁長官に、長官の基本的な考え方をお伺いしたいと思うわけであります。
  42. 原健三郎

    ○原国務大臣 ただいま桜井先生から非常に現地で体験された切々たるお言葉を拝聴しまして、深く感激いたしておるところであります。私も現地へ行きまして、その実情をよく把握してまいったつもりであります。その豪雪地帯の方々がいかに苦しんでおるかという実情も目の当たり見せてもらいまして、まさに百聞は一見にしかずというたとえのとおり、身につまされるものが多くございました。それでぜひこの対策を根本的にやらねばならぬ、こう考えております。それで、今度も政府の豪雪対策本部も早く設置し、現地視察も早くやりまして、現地の人々に御安心を願うようなこともいたしました。しかし、不幸にも新潟のあの地区において亡くなられた方もございましたので、深く弔意を表する次第でございます。  それで、再び豪雪の被害のないようにいたしたい、いまいかなる策があるかというお言葉でございますが、一つは、やはり今度の災害で一番助かったのは、北陸自動車道が雪の中においても開通しておったということであります。これで生鮮食料品等が運ばれて、急激な物価の上昇もなく、まず生活の安定も来しておった、これは近代自動車道がなかったら大変なことで、昔のように汽車だけに頼っておったら非常な被害があったことと思います。でありますから、今後ともこの自動車道をさらに整備して、雪の排除に向かって積極的にやりたい、それが一つ。もっと根本的には豪雪被害のない都市をつくりたい。豪雪無被害都市の建設ということをいま富山県の知事が提唱していて、この間も、一週間ほど前に富山県に行ってまいりました。そうすると、富山県でモデル都市をつくりますから丁国の方とも相提携して、中央も地方も一緒になってぜひ豪雪無被害の都市をつくりたい。それはいろいろありましょう。融雪設備をやるとかいうのも一つでしょうが、その他交通等々、まことに賛成である。根本的にそういうことをやらなければとてもこれはときどき豪雪が来て困る。経費がかかるでしょうが、とにかく官山県の知事がやると言うからやっていただきたい。政府も応援します。相呼応して、豪雪無被害都市の建設に向かってひとつ相ともにいきましょう、そういう決意を新たにして帰ってきたような次第でございまして、そういう方向に向かって進めていきたい、そして災いを転じて幅といたしたい、こう思っております。
  43. 桜井新

    ○桜井委員 大臣のかたい決意をお伺いいたしましたが、雪国の実情というものはいま大臣御視察いただいたというお話で、おわかりのとおりでありますが、問題は、こういうことがあってはいかぬ、これをなくするためにはどうやったらいいかという発想で取り組むか取り組まないかというところに解決ができるかできないかという問題があると思うのです。ことしは福島県だとかあるいは福井、石川とか、通常あんまり豪雪被害に泣かない地域が相当悩まされたということで、一層雪に関する関心が高まった。こういう機会でありますから、ぜひ制度の新しい改革をやりながら前進していただきたい、私はこう期待をするわけであります。  私のところは、長官御視察をいただいておわかりのとおり、先輩方の努力で、国鉄だけはいかんせん残念でありました。しかしながら国道を初めとした道路は、建設省初め地方自治体等の必死の努力でおっしゃるとおり本当に完全な輸送確保ができた。そして日常の生活はもちろん、経済活動もできたということは大変喜ばしいことでありますが、こういったように準備をやっておるところはあの盛りで四メートル、五メートルという雪の中でもやれるし、準備をやってないところは福井や石川のようなことにもなるわけでありますので、そんなことを考えながらぜひひとつ解決をするんだ、解決をするためにどうやるかという姿勢で取り組んでいただきたいといま一度お願いしておきます。  実は、長官おっしゃるとおり、ことしは長岡、そして新井の地すべりがあったわけでありますが、地すべりのことについては早々に河川局から調査団を出していただいて、地元ではかつてない対応と本当に喜び、そしてまた被災者は勇気づけられて復興にがんばっておりました。また、その後のなだれ災害等につきましても政府そして議会の皆さんから本当に直ちに現地調査をやっていただいて、この点は地元の一人として厚くお礼を申し上げておきます。  さて私は、そういう中で四つほど質問をしたいと思いますが、時間が十二時までということであと二十五分でございますので、あるいは全部し切れないようなことになるかと思います。私の質問は全く各論的なことでございまして、私は簡単だと思っているのです。私は簡単だと思っているのですが、いままで私がレクチュアを受けた範囲では、各局各課ともなかなかむずかしい問題だ、こうはね返ってきておるわけであります。そんな中で斉藤建設大臣、原国土庁長官にひとつ大英断を下していただきたい、こういうことをまずもってお願いを申し上げておきます。  最初に、実はちょうどいま国道昇格の議論がなされておるところであります。大詰めにきておると思うのでありますが、このことについて大蔵省からは四千キロぐらいでというようなことを言われておる。建設省としてはそんなことじゃとても地元、地方の声にこたえることができない。いますでに一万二千余キロの希望が出ておるとも聞いております。そういう中でこれはぜひひとつ、ことしの雪を見ても、これまた災特でも私申し上げたのでありますが、私どもがたび重なる視察をしましたところが、地元が災害を受けて因っておるときに地元住民の感情を逆なでするような視察をするなんと言って、実は喜ばれたり皮肉られたりという一幕もあった。それは、一車線しかあいてないものですから、視察団がずっと車を並べて行きますと、三、四十分通勤車が全然走れないのですね。そういう状態です。雪国は、交通確保をするためには何といっても二車線以上の道路確保が大事であります。そんな中で、国道になっても全く不通になっておる地域がいまだたくさんあるわけでありますから、これはぜひひとつがんばって指定をすると同時に、これから予算を大いに活用していただきたいと思うのでありますが、その中で一点だけ、私は道路局長の御意見をお伺いしたいと思うのであります。  私は県会を二期ばかりやったのでありますが、そういう中でずっと見てきて、一体県道と国道の区別というのはどこにあるんだろうと疑いたくなるような国道もあるわけですね。そうかと思うと、こんな道路でどうしてこれが国道として扱われないんだろう、何年来陳情しておると承っておるが一体どういうんだろう、こういう大変強い疑問を持ってまいりましたので、今度の国道昇格指定に当たっては、国民の目から見てそういう行政の不公平というものを強く感じさせるような、あるいは時と場合によっては寝た子を起こすようなことになりかねない行政措置がなされては大変だと思うわけでありますが、どんな心構えてこの国道昇格に対処せられるのかちょっと御所見をお伺いしたいと思います。
  44. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  国道の指定でございますけれども、国道としては当然具備すべき要件がいろいろとあるわけでございます。まず道路法の第五条にいろいろと規定がございまして、この規定に合致するということはもちろんでございます。それからなお私ども考えておりますことは、国道に昇格することによって適切な国道の網を形成する、これをまず考えなければいかぬ、それから、かつその路線そのものがきわめて重要である、こういう判断になろうかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、いろいろ人口であるとか面積であるとかあるいは交通量であるとか周辺の産業活動の状況であるとか、こういったことを考えながらただいま選定作業を進めておりますので、なるほどというようなものを今回の昇格で選定いたしたいと思っております。
  45. 桜井新

    ○桜井委員 いま最後のお言葉で、国民がなるほどと納得できるような路線を指定するというお言葉を聞きましたので大変力強く感じておりますが、ぜひそういうふうにやっていただきたい。いろいろ地元の声もあるでしょう。いろいろな政治家からの声もあるでしょう。そういう中で公平を欠かないように、これはぜひお願いしておきます。  それから次に、これまたせっかく年末までに編成をされた予算がいま審議中でありますが、それぞれ個所づけが行われることだろうと思うわけであります。これについても、特に豪雪にちなんで申し上げますならば、雪国はやはり第一は生活道路確保ということだと思うのであります。どんな小さな集落でも万一の非常時に備えて、いかなる豪雪といえども交通確保のできる一本ぐらいの道はまず押さえなければならぬ。そういう意味で、ぜひひとつ生活道路第一、優先、次はやはり地域の産業活動だということだと思います。それから広域的な活動ということになると思うのです、もちろん国道、県道というようなランクづけの中でのことは私も十分承知をしております。たとえば市町村道一つ、あるいは県道だけという中での順位を決めるならば、いま申し上げたようなことで重要度を決めて傾斜配分をしていくべきじゃないか、こう思っておりますが、私のところへもたびたび町村長が陳情に来るけれども、どうしても町村長が理解のできないような予算のつけ方もあるわけであります。これまたこういうことになるべきではないと思っておりますので、これは先ほどの決意と同じで答弁はおよそ期待されるとおりの答弁があるかと思いますので、私の方では時間の関係で注文だけつけておきます。  さて、次に豪雪のことについて申し上げますが、豪雪のことについて、二つほど提言をしたいと思うのであります。  一つは、実は前の地方道課長からいろいろ調査をしていただいた結果で、制度としてはあるのでありますが予算枠の関係でどうしても思うようにいかない、こういうことでありますけれども、御承知のように福井でも富山でも石川でも新潟でも非常に市街地の中の除雪にはこのたび困ったわけであります。これを何として解決をするかということはまず機械に頼る、それから許される範囲で水を利用することが第一番だと思うのです。ところが、その中で、地下水という問題は限界もあり、そしてまた、その地域の気象状況等によっても利用できる地域と利用できない地域がございます。そういう観点から、流雪溝をつくって流すということは水さえあれば非常に有効だということで、それぞれの都市によっては自治体の中でいろいろそういった協議会をつくってこれを進めているようでありますが、問題は水源確保に非常に金がかかるのです。それから、流雪溝をつくって流しても流末処理がうまくいっていないと人工水害が起きることになって、これがまた悩みの種で、どこでも大変なんです。一定の水量がないと、雪というのは不思議なもので、冷たい水の中に入れますと場合によると雪が水の中で太ることもあるのです。そういう実態もありますので、やはり一定の水量があって流さなければならぬ。そこで、豪雪予算の中でやりますと、どうしても水源確保と流末処理については、飴の鉄より笹の銭的な感じになりがちなので思うに任せませんが、しかしこれは長い目で見ると安定した生活環境確保という面ではこれにまさる手段はないと思うのです。これは、新しい発想としていま各市町村が必死になってこのことに取り組んでおりますので、私は、そういったテストケースについてはぜひ優先的に予算をつけてやるべきだ、あるいはもっと役所の方から積極的にそういう発想で指導すべきだ、こう考えておりますが、このことについて局長の御意見をお伺いしたいと思います。
  46. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 確かに先生お話にございましたように、流雪溝等がきわめて都市内の除雪について有効であるという実例が多いわけでございまして、私どもも五カ年計画におきまして、流雪溝は凍雪害防止という事業の中でやっておりますが、五十六年度までの進捗率も、一般道路に比べまして二%ほど上げました進捗率でやっているわけでございます。  ただ、お話にございましたように、やはり水源の確保が一番の問題でございまして、それとあわせてその水を引いてくる、あるいはお話にございました流末の処理という、水をどこかに持っていくというような広域的な施設も必要でございます。それからまた、場合によりましては水利権の問題が出てくるというようなこともあろうかと思います。そういう意味合いで立ちおくれてなかなかできないということもあろうと思いますので、何か関係者の協議その他をうまく進めるような方法、こういったことも十分指導してまいりたいと思っております。
  47. 桜井新

    ○桜井委員 ありがとうございました。  そこでそのついでに、都市計画等をやらなければなかなか道路幅員の確保できない市街地の中では、両側へ側溝をつくるという発想でなくて、路面のむしろ真ん中を下げて、真ん中一カ所に寄せて幅広い流雪溝をつくるというような考え方もあわせて御検討いただきたいと思います。  なお続いてもう一つでございますが、機械除雪について各市町村ともその採択基準を改正してくれということで、機械の補助金についていろいろ陳情も建設省に出ておることだと思うわけでありますが、私が今回の除雪の中で一番困ったことは、個人のひとり暮らしの家庭から盛んに自治体に救援を求めてこられる。ところがどんなに金を張ってもそこに応援に出す人手がないわけですね。これには困って、各市町村ともブルやバックホー等を頼んで、うちの周りの排雪を機械でやりながら人力を浮かして、それを派遣したというような実例もあったけれども、最後にはその機械すら求められなかったということでございます。そういう観点からしてやはり機械の力というのは大きいと思うのですが、これはロータリー車みたいなものが一番効果的でありますけれども、本体からアタッチメントまで全部そろえて持っておるということは、夏場、本体はほかに活用する方法もあるとしても、いわゆるロータリーフライヤーなんかは全く使えないのでありますが、本体でも全然使えない機械もあるわけであります。そんなことから考えて、できることであれば冬遊休機械となって、豪雪地ですから冬は全然使えない機械がいっぱいあるわけです。そういう中の建設業者が持っておるものはそれでも最大限に活用しているようでありますが、そのほかに、たとえば民間に五十馬力、七十馬力という大型トラクターを持っておる農家もたくさんあるわけであります。こういったものにロータリーフライヤーのアタッチメントをセットしてやれるような契約をしておくならば、これはいざというときに役に立つし、しかも経費としては非常に効率的な活用になると思う。大体私が調べた範囲では、たとえば二百馬力の例を言うと、ロータリーフライヤーだけで八百万。そして本体が千三百万くらいだそうでありますが、まあ物によっては大体一対二というようなことで、本来ロータリーフライヤーを本体まで一軍買う金があれば、アタッチメントだけならば三つ分買えるというような感じがありますので、制度としてはあるそうでありますが、これもむしろ自治体に積極的に建設省の方が指導しながらやらなければだめなことかと思っております。こういったことについては、予算活用上からもぜひ検討すべきことかと思っております。そんなことでひとつこのことについても局長のお考えをお伺いしたいと思います。
  48. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 ただいま先生から大変有益な御意見を承ったわけでございますが、すでに建設省といたしましてもダンプトラック、トラクターショベルなど一般の建設用機械につきましては除雪用のアタッチメントを実用化しているわけでございます。しかし、いまお話のございましたように、農耕用機械等につきましてもその必要があると考えておりますから、積極的に調査、研究を進めてまいりたいと思っております。
  49. 桜井新

    ○桜井委員 ありがとうございました。  道路関係はいま一つ構造上のことがございますけれども、これはまた後日にさせていただきます。  次に、住宅局の関係でございますが、これも災特でいろいろ御議論があったところでございますけれども、まず最初に国土庁長官にお伺いをしたいと思うのであります。  がけ地危険地域の移転事業についででございますけれども、あるいは防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、こういう問題でありますが、災害基本法等については豪雪という言葉がちゃんとうたってございますけれども、いまのこのがけ近にしても防災のための集団移転にしても、残念ながら実は豪雪という言葉がない。特にそのために、私は災特でも申し上げましたけれども、第一線で一番国民と折衝を持たなければならない市町村長から、二戸でも対象にしてくれ、十戸以上の集団移転なんということはなかなか言うべくしてできないことだからという陳情が出るようになったのも、このがけ近という制度があって、などという中に包含をしていま適用していただくということで、行政上はいいのでありますけれども、そういった疑問が出てきたことも、これはやはり豪雪という言葉がここに載っていないということで、常に国の行政支配を受けておる立場としてはなかなかこういうことは現実問題として対応してくれないという、日ごろのやはり慣行があればこそだと思うので、この際ぜひ、実際は適用しているのですから、言葉をひとつ挿入するぐらいのことは別に問題はないかと思うので、これは当然改正をして挿入すべきかと思いますが、長官の御所見、お願いします。
  50. 原健三郎

    ○原国務大臣 お言葉のとおり、豪雪というのはどうしたのか入っていないのですが、しかし、実際上は豪雪の被害等については災害と同じように取り扱っておるところでございますから、実際の被害等は何もございませんですが、これはどうするか、事務当局、検討するか。(桜井委員検討してください」と呼ぶ)それでは検討いたします。
  51. 桜井新

    ○桜井委員 検討するということで承りましたので、ぜひこれは改正の方向検討していただきたいと思いますが、これは実害がなかったのじゃなくて、あって、相当金をかけて東京陳情やったのですよ。やった結果こういうことでやれるという話になったのですから、そういう点でぜひ御検討を願いたいと思います。  それからもう一つお伺いしたいのでありますが、災害を実際に受けて、災害を受けたことには間違いないのでありますが、行政の対応の仕方によっては、同じ災害を受けていながら別の行政措置を受けなければならない。いわば行政対応に大きな差をつけられるようなことになる。こういうことは一体あっていいのでしょうかね、長官。被災者が災害を受けているのですよ。
  52. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 やや事務的なことでございますので、私からお答え申し上げます。  災害を受けた場合の被災者の救済の件に関しまして、その災害が非常に大きい災害であるかあるいは局地的な災害であるかというのについて、若干の差のある場合もございます。これは、災害復旧に関しまして、偶人の受ける被害としては同じでございましても、まず地域の問題として片づける。しかしながら、地域の問題としては片づけられないような非常に大きな災害で、国の手を差し伸べなければならない、そういうような観点からそういうような法律の差ができているというふうに理解をしているところでございます。
  53. 桜井新

    ○桜井委員 それは事務屋さんにお答えさせればそういうことになるので、それで私は長官に聞いたのですが、それこそまさに政治判断をして、この際私は改善をすべきだと思いますので、私がこれから言うことについて、これもいま答弁を求めれば同じような答えが返ってくると思うので、答弁をしてもらわなくても結構ですが、これはそうすべきだと思うので、ひとつ検討していただきたいと思う。ということは、この激甚災害法の適用になりますと、災害を受けた被災者が住宅金融公庫融資を受けて移転をする場合に、据え置き期間金利が三%になるのです。ところが、普通の災害であると五・〇五%、こういうことになります。しかし、激甚であろうがどんな災害であろうが、家をそっくりやられて被害を受けている人にとっては変わりないでしょう。個人が被害を受けている立場では全く変わりがないのです。そういったことを行政が救ってやるとすれば、まさに鈴木総理が就任早々臨時国会の席で、等しからざる政治はやるべきでないということで、あの行政姿勢を私は聞いて本当に感心をしたのでありますが、政治は常にそうあるべきだ。乏しきを憂えず等しからざるを憂えるということでなければならぬと思うのです。そういう観点から、これは私は当然激甚法と同じ扱いを、実際損壊しているのですから、予防じゃないのですから、そういう点で私は改めるべきかと思いますので、これは御検討を要望しておきます。  それから建築基準法にかかわることでありますが、最近豪雪から家屋を守るために、屋根の上に毎日上がって除雪をするということだけでは、さっき申し上げたようなこともございまして、だんだん核家族化が進んで、子供たちは雪のないところへ行く。年寄りが残る。あるいは若い者がそばにおっても、核家族化が地方でも進んでおるわけでありますが、そういう中でいわゆるひとり暮らしの家にも地域のボランティアとして手を差し伸べてやらなければならない。それは降る盛りにはなかなかいままでどおりの生活様式では思うようにいかぬということで、実はいろいろな知恵を出してきておる。そして除雪をしなくてもいいような、屋根の勾配を変えるとか、屋根の上に消雪パイプを上げるとか、あるいはそうした場合に周りに雪が落ちるわけでありますが、地下水のあるところは屋根の消雪パイプも家の周りの消雪パイプもできるわけでありますけれども、ないところや屋根の込んだところではいろいろまた別の知恵を働かせなければならない。そこで基礎を上げるわけです。ところが一メートル五十以上になりますと、これは実はいままではいわゆる一階分とみなされて、三階建てという解釈にされてしまうのです。そうなってくると、建築基準法の二十七条それから六十二条から耐火構造にしなければならぬという制約が出てくるわけです。大変なことであります。そういうことでありますので、雪国の場合だけは全くそういうこととは違う目的でやるわけです。ところが最近になってこういった声が非常に強くなりましたら、一メートル五十ということに余りこだわらない行政対応をしてくれるようになった。この点は喜ばしいのでありますが、まだ三階建てとみなされて、実は今度の湯之谷村の南山荘のなだれ被害を見てもおわかりのように、なだれが続いてきて床下まで飛び込んだということになると何が起きるかわからぬので、やはり本当に基礎であってもある程度床の下は外側を囲っておかなければ雪国はもたないわけであります。また、中の湿気も多くなってまいります。そんなことで外を囲ってしまうと三階建てとみなす。そうなってくると全く大変な費用がかかるわけでございまして、この点、ただでさえ冬を越すためにいろいろな意味で生活費がかかる。だから役人さんは寒冷地手当というのを特別に出すのですが、同じ地域に生活しても一般民間人は寒冷地手当なんというのはもらっていないのです。だからそういう意味で、ぜひこれは特別な計らいをお願いしたいことと、それから基礎もそういった形になりますと、三階建てとみなされたときには、今度は、きょうは自治省からもおいでいただいておりますが、固定資産税の評価、積雪寒冷地については減価方式をとっていただいておるわけでありますが、この対象に私どもはならない、こう理解している。ところがいろいろお聞きをしてみたら、普通のところ、木造の場合は二十五点までいくけれども、いわゆる非木造、鉄筋コンクリートの場合は三点ないし五点という減価方式もあるのだ。実際そういうことで施行されていると言われましたが、二十五と三ないし五では雲泥の差でありますから、これもぜひ改善をお願いしたいと思うのでありますが、これはひとつ建設大臣から、先ほど申し上げましたように三十八年河野一郎建設大臣がおいでになって道路に対する考え方を大きく変えていただいた、そのことが地域の生活そして産業振興に画期的な変化を与えてくれたわけでありますが、この際やはり個人の生活でも雪国の中で大きな転換を図っていかなければならない大事な経験だと思うわけでありますので、時間がないのでぜひひとつ大臣からこれについて御所見をお伺いしたいと思うわけであります。
  54. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 豪雪、積雪寒冷地帯における環境、特に道路の問題と住宅の問題についての先生の御卓見につきまして、本当に敬意を表しながら聞いておりました。このたびの豪雪は三十八年、五十一年に見られなかった、まさに希有の豪雪でありますだけに、いままでなかった問題点が出てまいっておるわけであります。  道路、幹線道路につきましては、御案内のようにいち早く対応いたしましたのでそうトラブルなく、一部の交通規制はありましたけれども、一応の国道、県道の主要幹線道路につきましては確保できましたけれども、御指摘のような地点でいきますとやはり問題でありますので、特別地域についての道路対策につきましてはまた特別の対応をしなければならないのじゃなかろうかということをいま考えたわけであります。  なお、住宅につきましては、高床式といいましょうか、豪雪地帯の特別の家星につきましては、従来からその対象といたしておるわけでありますが、さきの経験から、いわゆる三階建てにみなされるようなものであっても下が車庫等に使われている問題については、一応解決を図って補助対象にいたしております。したがって、構造等の問題でありますので、これもまた指導、PRの不足の分もあると思いますけれども先生指摘の面をも含めて、これまた対応しなければならない問題ではなかろうかと思います。とにもかくにも一応三階建てのようであっても、高床式に準ずるような形で車庫等に使われている問題についてはすでに対象といたしております。先生は、なおもっとはっきりとしろということであろうかと思いますが、その分も含めて対応いたしたい、このように考えます。
  55. 桜井新

    ○桜井委員 もう三分頼みます。  いま大臣から大変ありがたいお言葉をちょうだいしましたが、実は住宅金融公庫融資大臣おっしゃるとおりなんですよ。ところが、建築基準法の取り扱いと固定資産税の問題は全然手が触れられていませんので、そのことを申し上げたわけでありますが、頼みます。  それから、最後にいま一点だけぜひお願いしたいことは、これだけの大災害を生んだなだれのことでございます。  なだれ防止というのは、従来の考え方からいいますと、林野庁の治山課がやっております治山と森林保護という目的でのなだれ防止対策、それから鉄道とか道路とかいったものが、それぞれの自分たちの財産並びに機能保全のためになだれ防止対策をするということにとどまってきたわけであります。しかし、それぞれ雪国は現実にこういったものが毎年起きておりますので、それを拡大解釈、運用をしていただきながら、何とか危険個所にはやってくれということでひたすらお願いしてやってきておるというのが現状だろうと思うのです。このことは、きょうは建設省もそれから林野庁も担当官来ておりますけれども、時間がないので審議官から私の認識に誤りがあるかどうか、ちょっと御答弁願います。
  56. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 今回の豪雪におきまして、先生指摘のとおり、新潟県の守門村あるいは湯之谷村でなだれ災害が発生して痛ましい事故が起きましたこと、大変申しわけないというか、お気の毒に思っている次第でございます。  なだれというのは非常にむずかしいものでございまして、いろいろな気象条件、それからその地方の条件というものによって起きるわけでございます。いまとっております対策といたしまして、先生お話しのような施策のほかに、現実の問題として、なだれ発生の危険のある場合に地方公共団体が中心になりまして危険個所の警戒、標識の設置あるいは避難命令等によって住民の安全を図っているところでございます。このたびは二月四日に、今後なだれ等の発生が予想されることにかんがみまして、政府の豪雪対策本部長から関係道府県知事あてになだれ融雪災害等の防止のための防災体制の強化に万全を期すように通達を出したところでございます。  しかしながら恒久対策というのが問題なんでございます。この問題についてはいろいろむずかしい問題がございますけれども、今後関係省庁と密接に連絡を図って進めてまいりたい、さように考えている次第でございます。
  57. 桜井新

    ○桜井委員 そういうことを聞いているんじゃなくて、恒久対策としてのいまの制度はそういう目的だけで、もともといわゆる人家、人身を守るためのなだれ防止専門に考えられておるような制度はない、私がいままでお伺いした範囲ではそういうお答えしか返ってきてないのです。  そこで、実はいま審議官言われたように、なだれというのは、底なだれについてはがけ崩れ等と大体似たような地域に起きるのです。ところが表層なだれというのは、いま審議官おっしゃったとおり、そのときの気候や気温や風向き、積雪量、雪質、そういったことによって発生する、しかもその発生の方向も変わって起きる、こういうことなんでありますが、しかし一歩誤ると底なだれ上りも表層なだれ、私らの地域ではあやと言って去りますが、このあやが起こす災害の方が恐ろしい。瞬時に多くの人命を失うのはほとんどあやなんです。そういう点ではあやの研究も進んでおりますが、あやの危険性そのものを人家、人身に向けてどう対応していくかということについては、早ういう観点から私は専門のなだれ防止対策というのがなければならぬと思うので、ぜひこの際国土庁並びに建設省と御相談の上でその目的に向かった所管を決めていただいて、そしてそういう調査全国的にやりながら、しかもそれ専門の予算水とってぜひ対応すべきだ、そして二度とこういう犠牲者が起きないような最大の努力を図るべきかと思いますので、これまた再度の催促でありますので、要望にかえておきます。大変ありがとうございました。
  58. 稲村利幸

    稲村委員長 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後零時三十一分開議
  59. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本住宅公団理事久保田誠三君に御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  61. 稲村利幸

    稲村委員長 質疑を続行いたします。木間章君。
  62. 木間章

    ○木間委員 質問に入る前に、一言苦言を申し上げたいと思うのであります。  かねて建設行政についてはいろいろの疑惑が持たれてきましたし、また、その工事等にまつわる汚職事件が中央地方を通じて、これまた残念ながら後を絶たない現状下にあるわけであります。  先般、十六日の日だったでしょうか、東京都内のホテルで大手建設業界の首脳者の会議がございまして、その中身を知りたいといいましょうか、そういった点で盗聴器が仕掛けられておったことが明らかになってまいりました。もちろん取材の自由は保障されなければなりませんが、しかし、そういった手段方法を選ばない、言語道断だと思いますし、また、その事件が発生して、その事実、内容が明らかになった段階でその記者は解雇になったということも報ぜられておるわけでありますが、至極当然だったと思うわけであります。そうはいってもやはり入札その他等の中には、もっともっとえりを正していかなければならない、このように実は痛感するものであります。これらの問題につきましては、いず九また別の機会に質問等で申し上げていきたいと思いますが、政府当局におかれましてもぜひそうした疑惑を一掃していただきまして、まさに綱紀粛正、国民の負託を、そして国民の政治に対する不信をこれから招かないように努力を続けていただきたいと思うのであります。  それでは質問に入らしていただきます。  豪雪問題に重点を置きながら、大臣あるいは長官以下の皆さんに質問をさせていただきたいと思うのであります。  昨年末から北陸地方に降り始めた雪は中部、東北、北海道はもちろんでありましたが、中国、四国、九州方面の山間地にも降りまして、わが国土の半数を雪で埋め尽くしたといいましょうか、そしてまた、一日の降雪量も一メートルを超える地域が続発してまいったわけであります。まさに近年まれに見る豪雪となったところであります。そして、その雪質は多量の水分を含んでおりまして、これまた被害を各地に続発させました。所によっては三十八年の豪雪をはるかにしのぎまして、二月十二日現在で九十二名ものとうとい人命を奪い去ったことを初め、住宅、学校、工場の建造物を押しつぶし、また農業、林業、水産業や中小企業あるいは各種交通機関、通信機関にも激甚な損害を与えてきたところであります。また、雪をはねのけるために地域住民は昼夜の分からなく除雪、排雪と闘い、経済出費はもちろんでありますが、肉体的にも精神的にもまさに疲労の極限に達しておる。地方自治体もまたそのための膨大な費用を支出し、今日自治体財政は極度に圧迫を受けておる現状であります。  政府は今度の豪雪にいち早く災害対策本部を設けられまして、各地をお見舞いしながら、また雪と闘っておる地域住民に激励をなされてきたところであります。その行動は近年にない機敏な対応であったと私も見ておりましたし、国土庁長官はみずからあの豪雪の中を被災地を訪問いただき激励をされたことは、被災地のこれからの生活に大きな希望を与えたことであったでしょう。長官初め調査団の皆さんにこの機会に慰労と感謝を申し上げ、また被災地の皆さんにも豪雪のお見舞いを申し上げるところであります。  さて、この五六豪雪の特徴は、第一には年末年始の休暇の時期を襲ったということでありましょう。また第二には、約一カ月にも及ぶ長期、連続的に降り続いたことでありました。そして、そのことは量的にも三八豪雪を上回る豪雪となったことは第三の特徴であったと思います。第四には、気温が比較的高いときに降っています。福井や石川、富山では零度きりぎりで大量に降ったという記録が残っております。したがいまして雪質もまた非常に重く、勢い莫大な被害に発展をしていった。また第五の特徴は、このべた雪は雪の降っておるさなかにもなだれや地すべりを伴いました。また第六の特徴は、雪自体の問題ではありませんでしたが、市民生活の向上といいましょうか、変化が伴ってきたということであります。福井県では旧型二十八年の豪雪当時に三万八千台余の乗用車、ほかの自動車があったわけでありますが、今回ではその十倍の三十三万台に上っておりますし、また、富山県でも三十八年四万三千台であったものが、今次では四十一万五千、これもまた十倍に上っておりますから、勢いこの豪雪に埋まった中での対応は大変でございました。もちろん車の所有者は車庫に入れておかなければならないのでありますが、車庫の道あけがままならない。そういったことで道端にほうっておくという現象もありましたから、勢い除排雪にも大変影響を与えたところでありました。また、その作業中にもし車との接触がありますと別の意味での問題が生じてまいっております。損害賠償の請求をするなど、こういった新たな問題が続発をしてきたわけであります。また、地域ぐるみ、市ぐるみでの除排雪の運動もあったせいでしょうか、狭い小路を除排雪車が一斉に行き来をする、雪捨て場がない、福井市では松平城の城趾公園のお堀に雪を捨てておりました。そして、山のようにそれが累積されておりましたし、また九頭竜川に捨てる、川幅が四分の一に狭くなってきてしまう、そしてこれからの二次災害が大変危ぶまれる、こういうかつて経験をしなかったような状態にも遭遇をしてきたところであります。  そこで、まず原国土庁長官に心境をお尋ねしたいのでありますが、長官は温暖な淡路島の出身でございます。この豪雪の中を全国を視察をいただいたわけでありますが、まず率直に受けとめられた感想をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  63. 原健三郎

    ○原国務大臣 感想を言う前に、ただいま木間先生から非常におほめの言葉をいただきまして、まことに感激いたしておるところでございます。  それで次に、多数の犠牲者が出ましたことはまことに申しわけなく、深く弔意を表する次第であります。  私は、いまおっしゃったように淡路島というところに育って中学まで出まして、それから後も大学その他東京であるし、アメリカへも行っておりましたが、雪のないところにずっとおって、それから帰ってから東京で住んでおりますが、これもまた豪雪などとはほど遠いところに住んでおります。  それで、今度政府の豪雪対策本部長として初めて北陸地方へ参りまして、一言で言うならば本当にびっくりしました。そこへ行って感じたことは、これはもう本当に本で読んだり物を見たりしてもわからない、百聞は一見にしかず、見るだけでも胸痛むものがございました。いわんやそこで住んでおるということになると、大変なことであると思います。行ってほんの短時間の視察だけでも胸痛む思いであるのに、そこにお住まいの方々がいかに苦しい思いをしておられるか、よくわかったような次第であります。  それで、ただそういう苦しいとか苦しみがよくわかるとかいうだけでは終わりませんので、政府の豪雪対策本部長として応急対策をやる、あるいは恒久対策もいろいろやるし、閣議においても私は六回報告いたしまして、その対策は全部閣議の了承を得て現地に通達いたしました。最近になってから、二月六日には、またなだれが起きるであろうということを考えまして、私の名前でなだれ対策をやるようにという注意の手紙を知事に対して出したような次第でもあります。  これから応急対策、恒久対策、いろいろやりたいと思っております。応急対策については、打つべき手はほとんど打ちまして、逐次これの実を結びたいと思っております。恒久対策については、最前も申したのですが、富山県の知事にこの間も、十日ほどになりますか行きまして、富山県の知事はこの前にもおっしゃった。今度も言うのです。もうこれは、毎年豪雪に見舞われてはたまらないから豪雪の被害をなくする方策をひとつ立てたい。それには雪のことを余り知らない人よりも、われわれが現地で苦しんでおるのであるから、富山県の知事の名において、私において具体釣な対策をやりますから、豪雪が降ってきても被害の広い無被害都市をつくります。その対策を一遍研究して、案ができたら持っていくから中央の方にも応援していただきたい。中央と県と地方と協力してその対策をやりたいと言う。私は賛成でありますから、やってくれ。われわれも、たとえば融雪対策とか機械での排雪、除雪対策とかいろいろあるのでしょうが、その根本的なものを一度考えてもらいたい、これならというところをひとつみんなでやろうじゃないかというところまで来ておりまして、その対策を富山県知事が持ってきていただくことを待望いたしておる次第でございます。  せっかくいろいろと御忠言をいただいて、現在及び将来に向かって万遺漏なきを期したいと思っております。ありがとうございました。
  64. 木間章

    ○木間委員 決意を込めた感想を述べていただいたわけであります。確かに長官は一月十日に富山県も訪ねていただきまして、そして雪と闘っておる知事以下県民の皆さんに力強い励ましをされておったところであります。そのときの私のノートから、もう少し具体的に申し上げてみたいと思いますが、長官は、県民の皆さんの困りぐあいは身につまされて受けとめました、国の財政は多端には間違いないけれども、災害との闘いはまたこの再建の問題とは全く別なんだ、このようにおっしゃって、さらに具体的に、資金面でも税制上もあわせて期待をしてもらいたい、そして県民の皆さんがほっとしたところで、長官は、いいかげんなお上手を言いに来たのではない、私は責任を持ってやります、このようにおっしゃっておいでになったわけでありまして、被災地の県民はまさに地獄で仏に会ったような、そういった心境であすからの除雪、排雪に鼓舞をしていったところであります。いまの御決意の中でそのことはうかがい免れるのでありますが、今度は具体的に幾つかの問題について、私の感じ、御指摘を申し上げながら、さらに詰め合っていきたいと思っておるわけであります。  今日、この豪雪地帯の知事や市町村長はもちろんでありますが、いろいろの団体の皆さんからぜひ激甚災害法の適用をしてもらいたい、こういうことが寄せられておるところでありますし、また、私ども幾つかの現地を回った段階でも陳情を受けたところでありますが、まずその激甚災害の指定をするかいなか、見通しについて現状をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  65. 原健三郎

    ○原国務大臣 激甚災害を指定する方向で進んでおります。そういう必要が出てきた場合においては激甚災害を適用しようということは、閣議の了解も得ておるところであります、御案内のとおり、まだ雪がこれから降るかもわかりませんし、結局全部雪がこれでいよいよ終わりになったという時点を見きわめて、その被害の状況を全部調べ上げて、それで激甚指定もいたしますし、その他の融資とか万般の金融措置、税制措置等々をやる考えでおりますから、もうしばらく御猶予をお願いしたいと思います。
  66. 木間章

    ○木間委員 作業中でさらにどういった状況が出てくるやも知れず、これからも全国的なものを調査等を行ってやっていく決意だ、こういうことであったと思いますが、確かに激甚法の発動には一定の物差しもあるということでありましょう。しかし、今日までいろいろまた雑音が入ってくるわけであります。激甚法の発動をするには、たとえばもっともっと被害が大きくなければなかなか当てはまらない、一つの地方で学校の二つや三つつぶれないと、非常に残念なことでありますが、こういった雑音等も入ってくるわけであります。確かに、この法の性格からいって、一番わかりやすいのは、たとえば地震とか風水害とか大火災とか、そういった事故に遭遇いたしまして、公共施設に甚大な被害を与えた、そういったときには一番端的にわかるわけでありますが、まさに雪は全地全地区をまだ覆っておりますから、これから雪解けにならないと出てこないわけであります。  そこで一番心配するのは、やはりつなぎの問題であろうと思います。それぞれの省庁におかれましてもやられておるわけであります。そこで、そういった中で、私はこの被害が結果的にどうなるのか、それによって発動するのかしないのか、また、こういった一つの心配も出てくるわけであります。確かに雪が降る、そして今日このような豪雪で埋め尽くしたときに、黙って見ておればいまからでも被害の想定ができるわけでありますが、しかしこの雪だけは他の自然災害と違いまして、何とかお互いに力を合わせればその被害を未然に防ぐことができる。私どもも雪国の出身でありますし、今日多くの経験をお互いにしてきておるわけでありますから、ほかの災害と違う側面を持っておると私は経験の中から申し上げるわけであります。したがいまして、いたずらに激甚法を発動するということだけではなくて、仮に激甚法そのものが発動できない場合でも、激甚法が発動されたと同じような手当てをする必要があるのじゃなかろうか。後ほどまた申し上げてみたいと思いますが、長官も視察をされて現場で、家族ぐるみで、地域ぐるみで、そして自治体ぐるみでがんばっておる、雪を何とかはねのけておる、昼夜を分かたず老いも若きもやっておる、このことを見てこられたわけでありますから、私はそうした労苦も一面では評価をしながら、貴重な財産を失ってはいけない、学校の話をまたちょっとしてみたいと思いますが、つぶれるまで待ってやるよりも、いま子供たちの教育を休ませてはいけない、そういった意味でPTAなどは無料奉仕でやっておるということなどあるわけでありますから、単に数字の上であらわれたあらわれないだけの判断ではいけないと思います。また、激甚法だけで救い切れない面も多く出てきておるわけでありますから、そういったときには思い切った制度をつくる等々の対応をやっていかなければならないわけでありまして、そういった点での御要望をこの機会に申し上げておきたいと思います。  次に、生活道路の除雪、排雪の対策についてでありますが、これもいろいろの場で論議が交わされてきておるところであります。具体的に一、二申し上げてみたいと思いますが、豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法ができておるわけであります。三八豪雪の後、経験の中から出てきたわけでありますが、いまこの法律は発動されておるのかどうか、文部省の方がおいでになっておると思いますが、お尋ねをしたいと思います。
  67. 福岡純一郎

    ○福岡説明員 御説明申し上げます。  いわゆる公共施設の除雪法でございますが、これは豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法によりまして、今後、地方公共団体が行う学校等施設の除雪事業に要する経費につきまして、平年に比較いたしまして著しく多額である場合には、当該地方公共団体の財政事情を勘案いたしまして、その二分の一の補助を行うということでございます。今冬は降雪量も多く、かつ降雪の区域も広範囲にわたっておりまして、すでに現在の時点で降雪の政令指定の基準に達しておりますので、政令を指定する方針を固めております。それで、そのための準備をするように関係地方公共団体に指導を行っている次第でございます。
  68. 木間章

    ○木間委員 ぜひ一日も早くお願いをしたいところであります。御承知のとおり、地方自治体は平年時の十倍を超える支出も行っておるわけでありますし、年度末にも差しかかっておるという事情もありますので、一同も早くその手だてをやっていただきたいと思うのであります。  そこで、この法律を見てみますと、一つの疑問にぶつかるわけでありますが、その除雪費用が平年時の一・五倍を超えた場合、こういう一つの規定があるわけであります。費用でありますから単純に比較ができるわけでありますが、私は一面、それだけでいいのかどうか疑問に思うわけです。というのは、一たん豪雪を受けますと、たとえば雪の量にそっくり連動はしないとは思いますが、私どもの素人考えからいきますと、一メートルのところは一メートル五十降るとあるいは適用になるのじゃなかろうかというような気がします。同し一・五倍でも、四メートルのところでありますと、六メートル降らないと対象にならないのか。先ほども言いましたように、雪の量そのものは支出増とは比例はいたさないと思いますが、そういった疑問にぶつかったときに、いま少し実情に合ったような制度考える必要があるのじゃなかろうか、このように思うわけであります。まあ私の考えが間違っておれば間違っておると御指摘をいただきたいのでありますが、お考えをお尋ねしたいと思います。
  69. 福岡純一郎

    ○福岡説明員 御説明申し上げます。  本法におきましては、除雪事業に要する費用が平年に比べて著しく多額である場合に、その地方公共団体の財政事情等を勘案いたしまして特に必要と認められる場合に国庫補助を行うというような立法趣旨になっている次第でございます。それで、積雪量と除雪費の地方財政に及ぼす影響の二点につきまして配慮をいたしておるものでございまして、先生がおっしゃいましたように、積雪の差のみで傾斜配分をするということは適当ではないというふうに考えている次第でございます。  なお、学校施設の除雪費につきましては、今後十分にその実態の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
  70. 木間章

    ○木間委員 この政令の中身には、平年における事業に要する費用の一・五倍とはっきり数字が出ておるわけでありますがね、  まあ、それはまた別にいたしまして、この法律に関連いたしまして建設省にお尋ねをしてみたいと思いますが、この公共施設の中に道路は含まれておりません。その理由を少しお尋ねをしてみたいと思います。
  71. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  調べてみたわけでございますが、どうも制定当時の事情が定かでございません。ただ、先生先ほど御指摘ございましたように、三八豪雪を契機にしてこの法律ができた次第でございまして、実は道路の方につきましては、昭和三十一年に積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法が制定されていたわけでございます。こういったことで、この公共の施設費用の補助に関する特別措置法の制定に当たりましては、学校等の公共の施設だけに限ったのではないかというふうに思われます。
  72. 木間章

    ○木間委員 私はここに、この法律が提案されたときの、昭和三十八年六月二十六日の災害対策特別委員会会議録を持ってきております。この中には、はっきりと理由をうたっておるところであります。それは委員の質問で、なぜ道路を除いたのか、こういう中に出ておるわけでありますが、「別途提案して御審議を願っております積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案により、道路の除雪事業を」省いたんだ、このように実はなっておるところであります。ですから、いまいろいろ調べてみたとおっしゃいますが、この会議録を見ればわかるわけでありまして、ぜひこのことを認めていただけるかどうか御確認をいただきたいと思います。
  73. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 実は議事録まで調べておりませんでした点、大変申しわけございません。十分その辺もう一度私ども再確認をいたしてみたいと思っております。
  74. 木間章

    ○木間委員 このコピーは国立国会図書館から取り寄せてまいったわけでありまして、これをひとつ確認をしてもらいたいと思いますが、確認いただけますか。(木間委員、コピーを示す)この議事録のコピーを確認いただきましたので、また後ほど申し上げてみたいと思います。  また、文部省にお尋ねをするところでありますが、この公共施設の除雪事業云々の法律は、先ほどもお話があったように三八豪雪の経験を受けて制定されたわけであります。そのときの関係者にいろいろ尋ねてみますと、三八豪雪、これは三十八年の一月から二月にかけて降ったわけでありますが、国会審議のさなかにいろいろ文教施設、特に学校施設等の除雪、排雪の実態が報告されて論議を呼んだところであります、当時、委員会の最中にも小中学校の雪おろしに学校の児童生徒をお手伝いさせておったという報告がありましたし、果たしてそれでいいものかどうか。これまた審議の途中で、たまたま東北地方の学校でありますが、倒壊したという事故もあったようであります。そういったことを児童生徒にやらしちゃいかぬ、何とか国は抜本的に見直して法律制度を発足させよう、そういうことでこの法が制定されてきた経過を持っておるわけであります。  そこで、私どもはまた今次の豪雪の実態を各地区を訪問しながら調べてまいりましたが、それと同じような生徒を使う除雪作業が行われておるわけであります。こういった貴重な経験からせっかくやろうと踏み切ったこの制度が生かされていない、私は大変残念に思うわけであります。あるいは全国各地区のことだからでは済まされないと私は思います。ここに記録写真も持っておるわけでありますが、こういったことについて、文部省は一体どう考えておられるのか、どう見ておられるのか、まずお尋ねをしてみたいと思います。
  75. 福岡純一郎

    ○福岡説明員 御説明申し上げます。  児童等に校舎の雪おろしの手伝いをさせるというようなことは、学校におきます除雪作業でございますが、このたびの豪雪のように人手不足がちでかつ緊急を要する場合であれば、教育上の配慮のもとに危険の有無や作業量等を考慮いたしまして、状況に応じて判断すべきものと考えておりまして、このような見地から、一般に危険の多い校舎等の屋根の雪おろしは適当ではないというふうに考えておりますが、教員の指導のもとに、勤労体験学習の一環といたしまして行われます校庭の除雪作業というようなものは差し支えがないのではないかというふうに考えております。
  76. 木間章

    ○木間委員 私の質問に答えていないと思います。私は校舎の屋根の雪おろしの話を先ほどから申し上げておるのであります。運動場を、あるいは体育の時間とかその他のときを見て雪踏みをしたりあるいは道あけをしたり、そういったことはいまおっしゃるようにわかるわけでありますが、私の申し上げておるのはそうではないのです。この三八豪雪のときに学校の屋根の雪おろしをしておった、体育館、講堂の雪おろしをしておった、これを何とかしなければならない。当時はまだまだ不十分でありましたから、市町村の財政事情もありましたでしょう、ところが先ほどの法律は、財政的に措置をする法律として生まれ出たわけであります。先ほど、この法制度が発動されたのかどうかお尋ねをいたしますと、大体発動するという前提のもとに作業を進めておるのだ、そういうことでありますが、私はもっと県や市町村を指導をされてよかったのではないだろうか。もし多大な出費があれば、こういったことでちゃんと国は考えておるから心配せずにやってもらいたい。私は、この児童生徒を屋根へ上げるということは、子供なんですよ、そういったことについてもう一遍御見解をお尋ねしたいと思います。
  77. 福岡純一郎

    ○福岡説明員 先ほど御説明申し上げましたように、危険の多い校舎等の屋根の雪おろしは、これは適当ではないというふうに考えておりますし、また、現在そのようなことがあるかないか調査中でございます。  それで、前回の調査におきまして……
  78. 木間章

    ○木間委員 私が言っておるのは、これから調査をしてみなさい、そういうことがあったら大変だぞと言っておるのではないのです。ここに写真があるのですよ。私はさっきから写真を持って申し上げておるということを言っておりますよ。これをちょっと見てください。どこかは別にいたします。これは現場写真なんです。
  79. 福岡純一郎

    ○福岡説明員 御説明不足で申しわけございませんでした。  小学校、中学校等の義務教育におきましては、そういうことをさせることは適当ではないというふうに考えておりますが、高等学校のような場合におきましては、教師の指導のもとに危険のないような範囲におきまして雪おろしに協力させるというようなことはあってもよろしいのではないかというふうに考えております。
  80. 木間章

    ○木間委員 御注意を申し上げておきたいと思いますが、田舎町で、そうして小規模の中学校でございますが、生徒百六十七人を雪おろしのために動員をしたという報告までついておるわけです。  それといま一点、この学校の雪おろしについての関連で申し上げてみたいと思いますが、この報告書の中に、PTAも延べ百九十二人動員をされております。そして、その中身は無報酬で除雪を行っておるということであります。これらを見てみますと、児童生徒の問題はもちろん許されてはならないことでありますが、この法律を発動いただければこういったものも解決できるのではなかろうか。ですから、文部省はせっかくこういう法律があるのだから、起こったときにやるのではなくて、そういう後手の対策をやるのではなくて、あるいは冬季を迎える十一月の終わりか十二月の初めごろに、各市町村長や学校長に、こういう制度がありますから万遺憾なきを期せられたい、期してもらいたい、がんばってもらいたい、なぜそのことを督励できないのですか。私は実はその返事をお聞きしたかったのですよ。もう一遍答弁をお願いします。
  81. 福岡純一郎

    ○福岡説明員 このような制度があるということにつきまして今後とも市町村に十分徹底させるように図ってまいりたいと思っております。
  82. 木間章

    ○木間委員 これも苦言を呈しておきますが、私は、この法律を見て中身を勉強させてもらいたい、この証拠書類があったわけですから。そして建設省政府委員室を通じて御相談申し上げたら、文部省の所管であります。文部省へ申し上げたら、そういった法律は何の法律ですか、こういう返事が返ってくるわけですよ。そうしますと、三八豪雪の貴重な経験の中に総理大臣以下、何とか雪退治をしなければならない、国民の皆さんに被害があってはいけない、守ろうじゃないかということでせっかくおつくりになった法律ですが、いま課長の方からるる答弁されておる中にも、文部省へ問い合わせたときの返事がそっくりそのまま出ておると私は言わざるを得ないのであります。けしからぬ話なんですよ。貴重な経験で、そして国会国民のためになる制度をつくろう、行政当局もぜひやってもらいたい、やろう、そういうことでこの制度ができたわけでありますから、ぜひ直ちに発動して、そして発動する前に、こういう手を打つからこれからもひとつ対応してもらいたい、そういう檄を飛ばしてもらいたいと思います。  次に、生活道路の問題は先ほども言いましたように各市町村とも一番の難事業であったと思うわけであります。午前の審議の中でも、ぜひ市町村道を何とか財政手当てをやってもらいたい、このことも出されておったわけでありますが、この法律制度の中に積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法が出ております。この中身は国道、県道の徐排雪事業を対象にしておりまして、生活道路といいますか、市町村道が対象になっていないのであります。この理由をひとつお尋ねしてみたいと思います。
  83. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 市町村道につきましてもこの対象には一部なっているわけでございます。この法律に基づきまして積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画道路整備五カ年計画と同時につくっております。市町村道に対しましては、たとえば防雪事業といたしまして消雪パイプをつくるとか、こういった費用を補助いたしております。また、凍雪害防止事業ということで、たとえば流雪溝であるとか路盤改良であるとか、こういったものも補助をいたしております。ただ、除雪に関しましては除雪機械の補助をやっている、こういうことになっているわけでございます。市町村道はなかなか細かく網の目のようになっておりますし、機械の補助をいたしたという理由は、そういった意味で弾力的に対応していただくという意味で機械の補助をしているわけでございます。
  84. 木間章

    ○木間委員 先ほどの学校施設等を含めた公共施設の除排雪に道路が入っていない、その理由はこの法律があるからだということを申し上げてきたと思います。  そこで、いま局長おっしゃったように確かにロータリー車等々の機械購入に補助制度が行われておるところであります。ところがこの所管を調べてみますと、このロータリー車等の除雪機械の担当は残念ながら道路局ではありませんでした。大臣官房の建設機械課の所管事業としてやられておるわけであります。そうしてまいりますと、本来道路行政を担当されておるのは道路局であります。雪が降ってきて道路交通に大変な支障を来す、そこで除排雪事業をやろう、ロータリー車を購入して積極的にやっていこうとすれば、本来道路局が担当されなければならないのではないだろうか。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕 その結果、後ほどまた申し上げてみたいと思いますが、一定の枠がありまして、自治体がこの事業を積極的に取り入れてやっていこうと言ってもなかなか順番が回ってこない。そして豪雪にぶつかった。残念ながら現場ではこういう実態であったわけであります。ですから私は、やっぱり道路行政を担当されておる道路局の方でこの事業をやられた方がもっともっと的確にできるのではないだろうか、このように実は思っておるわけであります。  それからまた、この補助率の問題にも格差が生じております。本法の対象になっておる国、県道あるいは市町村道の中でも特に指定をしたものについては三分の二の助成がされておりますが、除雪等の機械を購入する場合には二分の一の助成措置のようであります。こういったところにもいま一つ何かが求められなければならない、このようにも私は思うわけでありますが、所信をお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  85. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 建設機械のうち道路部分については道路局でやったらどうか、こういう御意見でございますが、建設省の機械課は道路と河川とその他の機械全部をやっておるわけでございまして、したがって官房に置いてあるわけでございます。しかし道路の除雪機械その他につきましては、これは非常に重要な問題でございますから、道路局と十分調整をとりながら、同じ省内のことでございますから十分な連絡をとってやっておるわけでございます。  それから補助率の問題が出たわけでございますが、これはやはりそれぞれの重要性に基づいて補助率が決まっておるわけでございまして、われわれといたしましてはなるべく補助率を上げたいと思うわけでございますが、こういう財政難の時代でございますからなかなか思うようにいかないというのが実情でございます。
  86. 木間章

    ○木間委員 ぜひこれからも検討を重ねていただきまして、前向きで取り組んでいただきたいと思うのであります。  いま一つ道路に関連をする問題で、活動火山対策特別措置法というのがあるわけであります。この法律を調べてみますと、火山の爆発によって火山灰があたり一面を覆い尽くすのは御案内のとおりであります。道路上に降った灰を国の財政援助で取り除いていこう、私はまさに当然の措置だと思うのでありますが、この中に市町村道が含まれておるのであります。したがいまして、雪も大量に市町村道を埋め尽くしまして、先ほど申し上げましたように各地方ではその対応に大わらわの状況であったわけであります。同じ自然災害からくる道路上の難物を取りのけるのにこうした隔たりがあるというのは、私は残念でならないわけであります。雪は時期が来れば消えるものだ、そういう認識があってはいけないと思います。確かに先ほどから言っておりますように、地域ぐるみで肩すかしをやってきた結果今日の道路交通が守られておるわけでありまして、ただ黙って消えるまで待っておりますと、三月はおろか、四月、五月に今日の豪雪量からいっても残るわけでありますから、私は、そういうふうに手をこまねいておってはいけない、何とかやろうということで闘ってきたわけでありますが、この活火山法との関連において大変矛盾に思うものでありますから、そういった立場からのいま一つの御見解をお示しいただきたいと思うのであります。
  87. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生指摘のとおりでございまして、活動火山対策特別措置法では市町村道の降灰事業についても見ているわけでございますが、雪の場合は、先ほども申し上げましたように、いろいろ網の目のようになっております市町村道、また施設がいろいろできたりというような事情変化もございましょうから、弾力的に対応していただくという意味合いで、市町村道除雪は交付税、特別交付税による財源措置ということを原則にしているわけでございますけれども、火山と若干は似ておるのかもしれませんが、特別の豪雪があった場合はこういうものではとうてい対応できないということでございまして、先生御承知のとおり、五十一年の豪雪におきましては、臨時特例措置といたしまして、幹線市町村道に対する補助を予備費を支出していただきまして行った事例がございます。今冬につきましてもこの五十一年の措置に準じた措置を講じようということで、いま努力中でございます。
  88. 木間章

    ○木間委員 私は、先ほどから三つの現在の法律制度を述べながら申し上げておるのでありまして、私は確かに交付税なり特別交付税なりあるいは五十一年の経験の中からの予備費の支出等々も伺っておるところであります。しかし私は、今度の豪雪は、あるいはあす来るやもしれないわけでございますが、豪雪に見舞われてその対応に大わらわをするのではなくて、法制度をきちっとやってもらいたい、このことを申し上げておるところであります。  そこで、大臣、この幾つかの例も具体的に今回作動しておるわけでありますから、雪を軽視をしておるのじゃないと、特に国土庁長官全国各地を見回っていただきまして、そういった意味合いの決意も述べられてきました。これは道路関係でございますから、建設大臣に決意をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  89. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  今度の豪雪に対していろいろと問題点が出てきておることは私たちも十分承知いたしております。ただいま先生の御指摘の三つの法律、いま先生の御指摘の話を聞きながら、正直に言って確かにアンバランスな対応の仕方のようにも考えております。なお、私といたしましては、十分この三つの法律の経過、バックグラウンドをよく検討させていただきまして、このたびの豪雪に際して、豪雪地帯におられる皆さん方が平均して国の調整を受けられるような形にすることが一番公平な政治のようにも考えられるわけであります。ただ問題はすでに法律があることでございますので、いろいろと勘案しながらひとつ研究させていただきたい、このように考えるものでございます。
  90. 木間章

    ○木間委員 今日寄せられております陳情のどれをとってもこの問題が大きくクローズアップされておるわけでありますから、ぜひ建設大臣にも、前向きでやろうということでありますから、お願いを申し上げておきたいと思います。  次に、雪と税金制度のことについて若干お尋ねをしてみたいと思います。  今日の固定資産税、特に家屋に関するものについて、あるいは自動車税等についても若干雪の配慮がなされております。この問題はまたいずれかの機会に述べることにいたしまして、今度の国会にも所得税法の一部改正の中で提案をされておるわけでありますが、雑損控除で従来年間収入の一〇%を超えたものについては出費として見ていこうということでありましたが、今度はそのほかに五万円という制度が出ておるわけであります。後ほどのことにも関連をいたしますのでこの五万円の考え方といいましょうか、足切りをした考え方といいましょうか、ちょっとお尋ねをしてみたいと思うのです。
  91. 内海孚

    内海説明員 お答え申し上げます。  一般の雪おろしの費用というのは、通常の経費で考えますと家事関連費でございます。したがって、これがもし災害に関連していない場合には、一般の課税最低限の中に含まれているものというふうに考えているわけでございます。ただ、しかしながら雑損控除というものがございまして、これは資産等にかなり大きな損害が生じたという場合には、その納税者の担税能力がそれだけ減るということに着目いたしまして控除することになっているわけでございます。したがって、そういうことから考えまして、相当以上の金額の雪おろし費用があった場合ということで、この五万円というものは御存じのとおり医療費の足切り等とのバランスを考えて設定しております。
  92. 木間章

    ○木間委員 一〇%なり五万円なりの足切りは、納税者の担税能力に応じて設けておるのだ、こういうことであるわけでありますが、私は本当に納税者の担税能力を考えておいでかどうか大変疑問に思うわけであります。御承知のとおり積雪寒冷地帯、特に豪雪地帯は、全国的に見てみましても過疎過密の分野から言いますと過疎地域であります。また、各種企業の集中の状況を見でおりましても、過疎地域にはなかなか集まっていない。したがいまして県民所得の比較から言いましても残念ながら豪雪地域は低いわけであります。そうしてまいりますと、医療費控除は別にいたしましても、雪の損害に対する雑損失の見方というのは、いま課長がおっしゃられたことと逆のことでないだろうか、私はこのように申し上げざるを得ないのです。ですから私は、この一〇%なりの足切りというのは撤廃すべきだ、このように考えるわけです。くどいようですが、いかがでしょうか。
  93. 内海孚

    内海説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の過疎の問題につきましては、たとえば過疎地域に対する特別償却制度等いろいろ税制上配慮も行われているわけでございます。なお、雑損という場合にはやはり災害ということに関連した支出でございまして、一般のそれに達しない程度のものにつきましては、当然のことながら課税最低限の中で見ていく、一般の家事関連費として扱わざるを得ないという税制上の基本的な考え方からいって、足切りを廃止することは困難であろうと考えております。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 木間章

    ○木間委員 私は、この豪雪の期間も北陸と東京の往復をしたわけでありますが、たとえば雪国でありますと、完全装備をしなかったら積雪寒冷の中での生活はやっていけないところであります。ところが太平洋沿岸の比較的温暖なところへ参りますと、衣服にいたしましても北陸その他で着ておるような装束とは全く異なって出ておるわけであります。ですから、雪国の冬季間の対応というのは本当に経験した者でなければわからない、そういった実態があるわけです。また、車を一つ求めましてでもスノータイヤをつけなければならない、タイヤチェーンをつけなければならない。出費が本当にかさむわけであります。  後ほどまた申し上げてみたいと思いますが、一般的なことでありますが、屋根の雪おろし、この経費、また、今日人手がないわけでありますからみずからやらざるを得ない。昼夜兼行で、しかも老いも若きもその作業に従事をしておる。また、出かせぎ地域の皆さんはもっと深刻であります。家庭には年寄りか子供しかおりませんから、勢いふるさとへ戻って雪おろしをしなければならない。また、そういった皆さんは日かせぎ者が多いわけでありますから、賃金は受けられないわけであります。そういった中で、一カ月間仕事もしないで雪と闘っておる。先ほどからも言っておりますように、自分のところの屋根の雪おろしだけではなくて、雪をおろせば前の市町村道にひっかかる。市や町はなかなかやってくれない。みずからやらざるを得ない。たとえば私の住んでおります隣の町内は真ん中に市道が通っておるわけですが、市の除雪計画の中に残念ながら入っておりません。勢い町内でやらざるを得ないのです。三十七世帯のうちの二世帯老人世帯がありまして、三十五世帯でやっておるわけでありますが、この市道上の除雪、排雪費だけで百十六万実はかかっておるわけであります。ですからこういったものが累積をする。たとえば自分が勤めに出て、そして自分の家の雪おろしをだれか人を頼んでやっていこう。従来はまだ雪かき人夫も集まったわけでありますが、今月どこの御家庭でもみんな勤めておるわけでありまして、そういった皆さんは集まってくれません。ですから、勢い自前でやらざるを得ない。そういういろいろの家庭環境があるわけであります。ですから、この雪に対する雑損失控除は、他の盗難や火災と全く性格を異にしておる。くどいようでありますが、雪国の者でなければなかなか実感としてわかない、私はそう言わざるを得ないのです。ですから、納税者の担税能力に応じて足切りはあっていいんだという考え方には私は納得できません。この論議はなかなか交わらないと思いますから、次に進んでみたいと思います。  そこで、いまほども申し上げましたように、自前でやらざるを得ない、こういったものについても雑損失控除の対象になるのかどうか、お尋ねしてみたいと思います。
  95. 内海孚

    内海説明員 お答え申し上げます。  税というものは、その性格からいっていろいろな限界がございます。たとえば、今度の特に配慮をさせていただきましたあの雪おろしについての五万円という足切りを今度設けさせていただく御提案をしているわけですけれども、そういう場合でも納税者でなければこれは効果がありません。それからもう一つ、やはり実際にお金を支出していない限りこれを所得から引くということも、これは税の性格から見て困難なんでございます。そういう限界がある中で、税制面でぎりぎり配慮いたしましたのが今回の措置でございまして、先ほどお話しございましたが、たとえば盗難とか横領とかと違う。やはり災害に直接関連して支出した費用につきましては、従来は一〇%ということでしたから、たとえば所得が三百万の人は、三十万を超える雪おろしの費用がなければだめだったのが、今度は五万円を超えた場合にはそれが適用になるわけで、私どもは、税制の考え方の許す中でぎりぎりの配慮をしております御提案をしている次第であります。
  96. 木間章

    ○木間委員 先ほどから申し上げておりますように、仮に出かせぎに出ておっても、人手が集まらない、勢いお年寄りや子供にだけ任せるわけにいかないということで、身銭を切ってふるさとへ戻って雪おろしをする、そういったものも、自分の財産を守ることなんだから当然なんだ。また領収書を発行できる性格のものでもないのだからそれは見れないのだということでは、私はやはり雪国の皆さんは納得されないと思います。わが国国土の五二%が豪雪地域であります。一億一千七百万、その中の二千百万人がこの豪雪地域に住んでおるわけであります。ですから、私は税の不公平さがそういった中にもあらわれておる。私もこの豪雪を経験いたしまして、東海地方のいろいろの皆さんにお会いをしてきました。訴えてきました。そうしますと、冗談ではないと思いますが、なぜそんなところにあえて住んでおるのか、こういう返事しか返ってこないわけであります。私はこの一億一千万、山奥におろうと、みんなが力を合わせて今日のわが国の繁栄をから取ってきたわけでありますから、私はやはりそういった税制度の中におけるしゃくし定規的なやり方ではなくて、もっと公平さが実感としてわいてくるような税制の面を確立していかなければならないと実は思っておるわけであります。課長さんはその税制度を運用しておる頂点の方でありますから、なかなかこの段階制度を変更するということは言い切れないと思いますから、私どもはそういう考え方を雪国のみんなが共通して持っておるという御認識をまずいただきたいし、またそのことをいつかの機会にまた議論をさせていただきたいと思うのであります。  次に科学技術庁の方にお伺いをするわけでありますが、この水分の多いべた雪は、いろいろの損害もまた多いのであります。そこで、今日雪の研究所が新潟県、山形県にそれぞれ設けられていろいろ研究されておるわけでありますが、今度の雪の現状を見ておりますと、たとえば排雪車の中のロータリー車を見ましても、二日間、三日間作動すれば一日修理工場へ入れ広ければならない。あるいは街頭の信号機が雪の重みで折れ曲がってしまう。そういったことが随所に見られるわけであります。  そこで、このべた雪の特性からいって、もっとべた雪にメスを入れる必要があるのではなかろうか、このように思うわけでありまして、今度の豪雪の経験の中から、北陸地方を中心にした県や市町村の皆さんは、ぜひこのべた雪の研究施設を誘致をしたい、つくってもらいたい、こういう陳情が相次いでおるところであります。ぜひ私もべた雪を経験しておる一人としてそういった対応を進めてもらいたいと思いますが、所見をお尋ねしたいと思います。
  97. 倉持哲士

    ○倉持説明員 御説明申し上げます。  先ほど先生おっしゃいましたように、防災科学技術センターにおきましては、長岡市及び新庄市にそれぞれ雪害の研究施設を持っておるわけでございますが、特に長岡市の方に設けられております雪害実験研究所におきましては、北陸型のべた雪についても調査研究の対象にしておりまして、科学技術庁といたしましては今後ともこちらの方を中心といたしまして、そちらのべた雪の調査研究を充実してまいりたいと思うわけでございます。  それから今年度の豪雪に対しましても、現在特別研究促進調整費というものを使いまして、北陸を中心といたしました今回の雪害に関する研究を進めているわけでございます。  以上でございます。
  98. 木間章

    ○木間委員 次に、提案をしたみたいと思います。  この豪雪との闘いは、先ほどからも申し上げましたし、またその対応についての御決意もそれぞれのところからお聞きをしたわけでありますが、たとえば税金制度との絡みの中でも、所得税を納めておいでになる方々はまだ一定経費以上があれば控除対象になるわけであります。ところが、所得税を納め切っていない、市民税や町民税の均等割の世帯だけはいかに経費がかかって領収証があろうともこれはどうしようもないわけであります。特にこの雪の支出増は、雪国である限りは収入の多い少ないにかかわらず、それぞれ応分の負担をしておるわけであります。そういった点から考えてみますと、所得金額の低い層ほど家計に占める割合は深刻です。確かに福祉世帯といいますか生活保護世帯は、この除雪費等は家屋扶助の一時扶助で救済されておりますし、あるいは母子家庭その他についても若干の恩典はあるわけでありますが、そのボーダーライン層がきわめて深刻な打撃を受けておるわけであります。また、先ほどから言っておりますように、単に自分の財産を守るための家屋の雪おろしだけではなくて、本来市町村や県や国がやらなければならない道路、公の道路の除排雪も住民がみずからの犠牲でやってきておるところであります。私も幾つかの実例を持っておりますが、新潟県の長岡市では、町ぐるみでやった場合にあるいは集団的にやった場合に、その経費の六割が市の方から交付金として出されております。また、私の住んでおります高岡市でも世帯当たり千円の、これは交付金といっても出費の経費から比較いたしますと話にならないわけでありますから、見舞い的なものとでもいいましょうか、そういう支給がなされておるところであります。  そこで、先ほどから言っておりますように、いろいろ国の制度も洗ってみましたが、なかなかその実態に沿っていない。ところが、住民は雪から何とか学校施設を守らなければならない、道路交通を確保しなければならない、そういった面で昼夜の分からなくがんばっておるわけでありますから、ぜひ国におきましても、その激励をされてきた皆さんの立場から、激励金とでもいいましょうか、あるいはまたこれからもがんばってもらいたいといった意味での奨励的な意味合いを含めたものといいましょうか、国の方でも応分の処置をされたいと私は思うのです。端的に申し上げますと、この豪雪地域に何らかの交付金を出すことはどうだろうか、このように提案をするわけであります。  先ほども、くどいようですが、たとえば日雇いの人は休んで自宅の雪おろしをしなければならない。休めば当然賃金がカットされるわけであります。また、出かせぎの人は家へ戻ってやらなければならない。一年十二カ月生活をしていくのに、今度の豪雪は一カ月の闘いでありました。つまり十一カ月の収入で十二カ月を暮らしていくということでありますから、国土庁の長官から冒頭からいろいろ御決意も聞いておりますし、ぜひそういった立場で何らかの救済をする必要があるんじゃなかろうか、このように考えるわけでありますが、決意をお聞かせ願いたいと思います。
  99. 原健三郎

    ○原国務大臣 御承知のようにもういろいろな対策をやっておるのですが、一般的の家庭に対して見舞い金というか激励金というのを差し上げる、これはなかなか国土庁で単純に一庁で決めるわけにもいきませんし、いき言われましても私はよろしゅうございますと言うわけに、御趣旨はよくわかりましたけれども、影響するところなかなか広範にわたりまして、税制上の問題とか各省庁に及ぼす影響等々ありますから、一応いまのところはそういうことをやる考えはございません。
  100. 木間章

    ○木間委員 私は先ほど、税金制度の中で何とか認めるべきではないだろうか、これもノーという返事であります。また市町村道も何とか国の財政援助でやってもらいたい、ノーであります。ところが住民はそういった中で今日がんばってきておる。自分の身の回りの問題だけではなくて、公共団体の道路を自分らの出費でやってきておるわけでありますから、私はやはりいまこそ英断を持って対応すべきではないだろうか、このように考えるわけであります。つまり、政治判断をされるべきでないだろうか、このように思うわけですが、どうでしょうか。やはりノーですか。
  101. 原健三郎

    ○原国務大臣 御趣旨の点はよくわかりますが、具体的にそれでは見舞い金を出すか出さぬかという点は、なおよく各省庁に相談して決めたいと思っております。
  102. 木間章

    ○木間委員 まあ検討にも値しないということでしょうか。なかなか御返事がもらえないわけでありますが、時間も過ぎておって大変恐縮ですが、もう一点お尋ねをしてみたいと思います。  国家公務員の給与制度の中に寒冷地手当に関する法律があります。そこで、この中に、いわゆる寒冷地手当の一部として豪雪手当が制度化されておるわけであります。この法律の中身の説明は省きまして、今日までこの制度の支給例があるのかどうか、まず総理府にお願いをいたします。
  103. 森卓也

    ○森(卓)政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねの豪雪にかかわります寒冷地手当は、国家公務員の寒冷地手当に関する法律の四条と五条の規定によりまして人事院の勧告事項となっておるわけでありますが、この手当につきましては、法律の規定が設けられて以来、人事院の勧告が行われたことはございませんので、したがって支給した例はございません。
  104. 木間章

    ○木間委員 それでは、もし人勧があれば支給をする用意があるかどうかお尋ねをしたいと思います。
  105. 森卓也

    ○森(卓)政府委員 もし人事院の方の調査研究に基づく勧告が行われましたらば、その段階におきまして直ちに関係者と協議に入りたいと考えております。
  106. 木間章

    ○木間委員 それでは人事院の方がお見えになっておると思いますが、今度の五六豪雪に対しまして、私は法律要件を具備しておる、このように思っておりますが、人事院のお考えと、そしてもし勧告の作業が進んでおるようでしたら、そのこともあわせて御案内をいただきたいと思います。
  107. 林博男

    ○林説明員 お答え申し上げます。  いわゆる豪雪手当についてのお尋ねでございますけれども、この手当は、御案内のとおりいわゆる寒冷地手当の支給地域区分で申しまして三級地以下の地域、こういう地域にはいわゆる加算額が出ないわけでございますけれども、そういうような地域におきまして異常な気象条件がございまして、相当な量の積雪が相当広範な地域にわたりまして、かつ相当長期間にわたってあった、こういう場合、すなわち三級地以下の地域がその冬につきましては四級地に準ずるというふうに認められる場合に支給するという趣旨の手当でございます。  ところで、今回の北陸地方を中心といたしました豪雪につきましては、これを豪雪手当の対象にすべきだという御要望を各方面から私どもの方へお聞きしております。それで、人事院といたしましては気象官署のテーク等を中心といたしまして、各地におきます積雪の状況、そういう気象データをもとに検討をしておるところでございます。ただ、何分二月いっぱいぐらいはまだこれからも雪が降る可能性がございますので、したがいまして、さらにそれが進んだ段階で落ちついたところでもって状況を把握する必要がある、こういうことで検討をいたしております。  それから、すでにお話に出ておりますように、政府等におきましてもいろいろな対応策が講ぜられておるところでございますので、そういうものの状況をもあわせて見ながら慎重に検討いたしたいということでございます。
  108. 木間章

    ○木間委員 政府の方も冒頭申し上げましたようにこの豪雪を五六豪雪と名づけられまして、対策本部も日夜懸命に努力をされておるわけでありますから、ぜひこの法の趣旨に沿って一日も早く日の目を見ますように対応をお願いをしておきたいと思います。  またその他、折損木やあるいは母子家庭その他の状況等についても申し上げたいのでありますが、きょう、わが党の小林代議士会長が予算委員会でも取り上げられますので重複を避けまして、特に建設省関係のある、もう時間も余りないわけでありますから、決意をひとつお願いをしてみたいと思います。  たとえば今度の豪雪を経験した結果、富山県下三十五の市町村でも一斉にロータリー車をぜひ購入をしたい、そういう希望が出されておるわけであります。すでに陳情書も届いたかと思いますが、富山県内の希望台数だけを見ましても五十台を上回っております。そして、私ども調査に出た段階でも、ぜひこの除雪機械の購入枠そのものを見直してもらいたい、ふやしてもらいたい、できれば財政援助ももっと高率なものに、そういうこともあるわけですが、そういった災害は忘れたころにやってくる、この三十八年の経験が生かされていない。先ほどの論議の中でも申し上げておりますが、ぜひそういった現地で闘った皆さんの状況を判断いただきまして、広めてもらいたいと思います。  それからまた、国土庁長官が先ほど冒頭申されましたように、多くの豪雪地域では雪が降れば何とか消す方法を考えよう、消していこう、積もれば排除をしよう、そういうことが訴えられておりますし、決意もされております。長官もまた、そういったことはこれからの対応のかなめなんだ、こうおっしゃっておりますから、恒久的な無雪町づくりといいましょうか、無雪害都市づくりといいましょうか、ぜひ取り経んでいただかなければなりません。  また、この豪雪もやがては暖かい時期を迎えまして、今度は二次災害が大変心配をされるわけであります。すでに幾つかの地域でなだれ現象も起こりまして、尊い人命が失われております。また、地すべりの連動する時期にも入るわけであります。河川等のはんらんも大変心配されるわけであります。ぜひこういった問題についても的確な対応をいただきたいと思いますが、一つ一つの時間的な制約もありますので、建設大臣の方からまとめて御決意をひとつお聞かせいただきまして、私の質問を終わらせてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  109. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  このたびの豪雪につきましては特別な豪雪という考え方でなく、今後の大きな教訓、指針としてこれに対応すべきものと考えるわけであります。従来の法律に従っていただけでは大きな隆路、欠点というものも出てまいっておるわけであります。まさに先生指摘の諸般の考え方をもとにして、これには積極的な対応を示していかなければならないかと思います。建設省といたしましても、当然生活、産業道路あるいはなだれの問題、あわせて生ずるであろう地すべり等々の問題につきましても、とにもかくにも防災という面と、それから起きた災害の早期の復旧、復興に鋭意努力を重ねてまいる所存でございます。
  110. 木間章

    ○木間委員 私は今度の豪雪の経験から、三十八年の苦汁が生かされていない、これも再三申し上げております。ですから、ぜひ雪を災害として行政制度の中へ、単に言葉の上だけではなくて、制度の上できっちりとつくっていきたい、これがまた国民のニーズにこたえるきわめて重要なポイントであろうとも思います。そういった立場でこれからも法律制度の提案を含めまして、それこそ超党派で豪雪災害を取り除くための努力を申し上げたいことを披瀝いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。大変どうも御苦労さまでした。
  111. 稲村利幸

  112. 小野信一

    小野委員 大臣の直轄河川ではありますけれども、水質については何ら権限のない建設省でありますけれども、現在、北上川水質汚染の新中和処理施設の問題が維持管理主体のことで停滞いたしておりますので、その議論の経過を申し上げながら、大臣として早急に解決していただきたいという要望を兼ねまして、大臣にしばらくの間そこに座っておっていただきたい、こう考えます。  御存じのように北上川は岩手、宮城両県の穀倉地帯を貫通する全国第四位、東北では流域地域第一の大河川でございます。その豊かな流れは、文化的にも経済的にも東北の発展のために大きな寄与をいたしてまいりました。しかし、北上川の第二支流である赤川上流部で明治初年に開発されました硫黄鉱床の採掘が旧松尾鉱業の手によって進められるにつれて、排出する坑廃水が逐年増加して、特に戦中、戦後の食糧増産時代に硫安を求める国策会社として汚水が急激にふえ、汚濁が著しく進み、かつての清流の面影がなくなってしまいました。特に四十七年に回収硫黄の影響によって松尾鉱業株式会社が鉱業権を放棄して閉山いたしました。このために公害防止義務者が現在不在であります。岩手県は中和処理の継続対策関係省庁に要望して、いわゆる五省庁会議の協議の結果、四十七年から中和事業として建設省が暫定的に松尾鉱山が行っておった中和事業を進めております。  そこで、北上川の水質というものは、松尾鉱山の発展とともに汚濁が進んだわけでありますけれども環境庁の方ではあるいは政府の方では、北上川の汚染の進みぐあい、いつごろから始まっていつごろをピークとし、そして現在の汚濁状況はどんな状態にあるのか、もし調査しておるとすれば、まず報告を求めます。
  113. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  松尾鉱山につきましては、かなり以前から坑内水等によります鉱害問題がございました。特に戦後におきましては、大量の硫黄を採取したことによりまして水質がきわめて悪化いたしまして、一時は北上川の中流部までその影響がございました。しかしながら、先ほど先生がお示しのように、暫定中和作業などが行われましてその影響が縮小はされておりますけれども、やはり旧鉱山の周辺につきましては、人の健康に影響があるとされております砒素等の濃度がきわめて高くて、全国的に見ました公共用水域の水質から見てきわめて問題のある状況となっております。したがいまして、これらについては、現在進めております中和処理施設の稼働によりましてこの影響を下流に及ぼすことのないように措置する必要がある、このように考えております。
  114. 小野信一

    小野委員 資料が十分でないようでありますけれども、私ども調査によりますと、北上川の盛岡周辺のPHの経年変化を見ますと、昭和十二年ごろまではほぼ中性でありました。昭和十九年から二十五年ごろは五ないし六、二十六年から三十六年までは回ないし五、三十七年から四十八年の前半までは三ないし四と異常な低下をいたしております。この酸性化によって農業利水等に大きな支障を来しました。この北上川水質の酸性化は松尾鉱山の採掘量と関係があるとお考えになりますか。
  115. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  お示しの水素イオン濃度二以下の強い酸性の廃水の量あるいはその水質の状況から見てまいりますと、過去におきまして採掘した坑道等から溶出してくるものであり、その生産規模、累積に応じて質が悪化したものというように考えております。ただし、この付近におきましては、若干付近の地質等から、そういった酸性のある程度低い水が自然的に湧出していたという事実もございます。
  116. 小野信一

    小野委員 鉱山行政は、その付与、監督などは通産省の管轄であり、松尾鉱山の跡地は国有林であり、河川の管理者は建設省であります。四十七年も鉱業権の放棄、松尾鉱山の廃止以前の監督指導行政はすべていま申し上げましたように国の直接管理のもとにありました。したがって、採掘量の増大によって北上川の水質が汚染されたのは明らかに国の監督不行き届きあるいは指導行政の怠慢の結果であります。もし松尾鉱山が存在し、この時期にこれらのような大きな問題が派生して資力がないために北上川水質の保全政策ができなかったとするならば、要するに四十七年前にこのような実態が起こったとするならば、岩手県在り宮城県の地方自治体に処理施設の管理主体を任せるのではなくて、当然国の責任として行わなければならないことは、この経過からいって事実であります。  ところが、管理主体である松尾鉱山が閉山してしまった後、八年ないし九年たった今日、この新中和処理施設の管理主体をめぐって地方自治体と国とが意見が対立して、ことしの十月から稼働しなければならない中和処理施設の稼働が、完成した部分すらいまだに動いておりません。なぜこのような問題が起こったのか、その五省庁連絡会議の事務当局である通産から、まず通産の考え方をお聞きすると同時に、なぜ意見が一致しないか、その理由をお聞きいたします。
  117. 松下弘

    ○松下説明員 お答え申し上げます。  五省庁会議の事務局は私ども通産省でございませんで、環境庁が一応窓口というか、調整役でやっておりますので、私の方からお答えすべき性格のものではないと思いますが、通産省の立場といたしまして、過去において監督はやっておったわけです。その当時の基準等は守らせるように監督していたわけでございます。その後、四十五年に通産省としまして北上川流域における硫化化合物挙動態様に関する委員会というものを設置しまして、三メートル坑口を閉鎖したわけです。従来の水が出ていた三メートル坑口を閉鎖したわけですが、その後水位が上がりまして上部の方から水が出るようになったということで、その水が百十二メートル坑から出ましたので、八十三メートルの位置から抜本しまして、赤川まで百五十八メートルの間の導水、排水工事等を、四十六年から通産省で鉱害防止工事費補助金という制度を発足させて、その制度に乗っかって、その枠の中で岩手県に実施をしていただきました。それから、露天掘りの剥土工事等も行うということで対応してきたわけですけれども、四十九年度には、できるだけ水の出方を少なくさせるような検討を金属鉱業事業団に検討してもらいまして、その対策を講ずるための検討をした。その結果、新中和施設、特に中和処理としまして酸化バクテリアを使う新しい、従来の方法と比較しますと経費の非常に安く済む方法によりまして処理ができるということで、五十一年に調査設計に着手しまして、五十二年度から建設に取りかかったということでございます。
  118. 小野信一

    小野委員 そういうことを聞いているのじゃなくて、新中和処理施設の管理主体をめぐって五省庁会議の意見が一致されない、そのために責任者がまだ不在であります。なぜ五省庁会議の中で各関係省庁の意見が一致しないのか、通産はどういう意見を持ってこれに対処しようとするのか、お聞きしておるわけです。
  119. 松下弘

    ○松下説明員 お答え申し上げます。  新中和処理施設の維持管理問題につきましての通産省の立場は、五省庁会議で、御指摘のように新中和処理施設の稼働までに結論を得るものということで、引き続き関係省庁で十分検討がなされているわけですけれども、当省としましては、現在の休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度を前提としまして、その上で、維持管理に対し技術的に困難な面等について国の立場から支援できないかどうか、調査検討を進めてまいりたいと考えているわけでございまして、各省庁それぞれ立場、主張があるわけですけれども、私ども五省庁会議の窓口といいますか、事務局ではございませんので、その他の省庁のお考えについては私の方から申し上げるわけにはまいらないと思います。
  120. 小野信一

    小野委員 要するに通産は、新中和処理施設は国の財政補助をもって県が主体として行うべきだ、こういう考え方だということがわかりました。  次に、事務局を担当しておる環境庁ではこの問題をどうお考えになりますか。
  121. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  先ほど通産省といたしましては、現行の補助金制度を前提としながら鉱害防止対策を進めていきたいという御意見がございましたが、環境庁といたしましては、ただいまのところはそういった御意見あるいはそれに反対される御意見をお伺いしながら意見を調整する立場にございますので、維持管理主体を稼働時までに決定するということがおくれまして、そういう点では大変申しわけないと存じますが、できる限りその意見を詰めまして、速やかに結論を得たい、かように考えている次第でございます。
  122. 小野信一

    小野委員 環境庁とすれば、国が責任主体となるのか、地方自治体が管理主体となるのか、どちらでもいいから意見さえ一致していただければそれでいい、要するに指導的意見は何も持っていない、こう理解していいわけですか。
  123. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  北上川の水質につきましては、公害対策基本法に基づきます環境基準の類型が指定され、また県際河川でもございますので、環境庁としてはその水質の保全につきましては重大な関心を持っているわけでございます。そういった意味合いから、この中和処理施設の運営につきましては私どもも十分な機能が図られるような体制が望ましいということは申し上げておりますが、いまお話しの管理そのものの主体が水質保全上いろいろ問題があるかどうかという議論ではなくて、管理主体そのものをある程度割り切って考えていこうということでございますので、そういう点につきましては、環境庁として特段の意見を述べているわけではございません。しかしながら、具体的にその体制の問題が明確化される段階では、やはり水質保全上遺漏があってはなりませんので、そういう意味では、環境庁としては今後の詰め方に重大な関心を持っているということでございます。
  124. 小野信一

    小野委員 処理施設の機能が最も有効に働けるような管理主体を選ぶべきだ、こういう答弁でありますけれども、それならば国が管理すべきなのか、地方自治体が管理した方が有効なのか、ソリッドとデメリットを比較して、環境庁が当然他の省庁に対して指導すべき立場にあるのではないかと思いますけれども、もう一度答弁してください。
  125. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  先ほど東お話がございます考え方は、大別いたしますと二つございます。一つは、国が管理の主体となってこの対策を進めるというものと、地方自治体が主体となる、この二つでございます。それのいろいろな論点は、それぞれの立場で、たとえば地方自治あるいは地方行政を進める上で、一方はそういった形が望ましいと言っているのに対しまして、一方は鉱山行政の一元化ということを踏まえてそちらの方がよりベターであるというお話でございます。そういった観点につきましては、環境庁上しましてどちらがよいかということは即断しかねる要件でございます。ただし、先ほど申し上げましたように、現実に公害防止事業と申しますのは、国が行う場合もあり、地方自治体が行う場合もございます。休廃止鉱山につきましては、いま十余りの実態を見てまいりますと自治体が行っているわけでございますが、ただ、松尾につきましては特別の事情がある。問題は、特別の事情というのは何かということじゃないかと思います。これにつきましては、他の休廃止鉱山よりも規模が多い、あるいは特殊な技術を要するとかあるいは排出水が二県にまたがる、また、それ以外にこの廃水の処理の前提となっております計画につきましては、一応毎分二十トンという水量を想定した計画でございますが、もし不測の事態が起こった場合にどうするかというような多種多様の要件がございますので、環境庁としましては、そういった御意見をただいま承りまして、その間環境保全上の問題があれば環境庁として御意見は申し上げていくという段階でございます。
  126. 小野信一

    小野委員 自治省もおいでになっておると思いますけれども、地方行政を進める上でこの問題について自治省はどのような見解をお持ちなのか、お聞きいたします。
  127. 井下登喜男

    ○井下説明員 自治省といたしましては、この事業が鉱害に起因して行われるものであること、それからただいま環境庁の方から申し上げましたように、単に岩手県だけではございませんで、宮城県にもかかわる広域的な影響を持つ問題でおること、それから、他に例を見ないような非常に大規模施設でございまして、特殊な技術も必要であること、さらに、一年限りというわけではございませんで、恒久的にこの事業をやっていかなければならない、その場合に、いまの補助制度でございますと、これは単なる予算補助制度でございますから非常に不安定と言えないこともないわけでございます。そういった意味におきましてやはり法的な位置づけをはっきりさせる必要があること等の観点から、本件につきましては国の責任において対処されるべき問題であると考えているわけでございます。私どもとしましても、このような方向関係省庁と協議いたしまして早急に結論を見出してまいりたいと考えております。
  128. 小野信一

    小野委員 要するに、各関係省庁間で基本的な対立は、旧松尾鉱山の廃水処理は国の責任で行うべきだという自治省の立場と寸現行の休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度で行うべきだという通産の対立にあると思います。  ただ、昨年の四月には第一系列の中和処理施設が稼働いたしました。ところが、管理主体が決まらないものですから直ちに中止、休業されております。十月には第二、第三系列がやはり稼働する段階にまでいっておるのに、これまた休止いたしております。ことしの十月には第四系列まで完成いたしまして、十分直ちに稼働できる段階であるにもかかわらず、本予算に計上されておるにもかかわらず、いまだに決定いたしておりません。第一次から第三次まで系列が完成して、もし稼働しているとすれば、現在の中和処理能力でも北上川の水質もかなり清流化されておるにもかかわらず、それがいまだに稼働しておらないというところに非常に大きな問題があります。もちろん五省庁間では第四系列が完成する十月までに管理主体をはっきりする、こう述べておりますけれども、そのめどはいつごろと立てておるのか、事務局の方からお聞きいたします。
  129. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  私どもは昨年の十一月を目途に結論を得べく努力したわけでございますが、なお意見が分かれて、残念ながら事務当局といたしましてまとめることができなかったわけでございますが、その後引き続きこの関係につきましては調整を行っておりますので、できるだけ早く結論を得るように今後とも努力してまいる考えでございます。
  130. 小野信一

    小野委員 先ほど通産当局は、松尾鉱山に対して適切な指導を行ってまいった、こういう答弁がありましたけれども、先ほど私が申し上げましたように、昭和十九年から二十五年にPHが五ないし六あったものが、二十六年から三十六年までの十年間では四−五、その後の十年間では三−四と異常に酸化が進んでおります。要するに、十分なる指導監督を行っておらなかったことがこの数字から明らかであります。鉱山行政が通産の管理下にあり、しかもその敷地が国有地であり、河川が建設省め所管であり、水利権が建設省の所管であり、地方自治体とすれば何らこれらの行政に関与する立場がなかったにもかかわらず、今回管理主体として指定されるということは、まことに不本意と感じておることは私は当然だろうと思います。  昭和四十六年八月二日に、衆議院の公害対策委員会で採択されたこの中和処理施設環境庁、国の責任で行うべきだという請願に対して、閣議されたいとしております。佐藤内閣の当時であります。この紹介議員は鈴木現総理大臣。鈴木総理大臣が一代議士のときに請願を行い、これが閣議され、現在総理として国の方針を決める最高の地位にある場合に、一議員のときは国で行うべきだ、こう考え、総理になって、これは岩手県があるいは地方団体が行うべきだと考えが変わったとは私は考えられませんし、そう変わっては行政を進める上でまことに困ったことになるわけでありますけれども、これらの経過を大臣としては十分頭の中に入れておいていただきたいと思います。  岩手県が中和処理施設を施行主体として進める際の経過は、要するに緊急事態であり、この管理主体の決定が、いままで述べましたように五省庁の会議で決まりませんので、暫定措置として、将来管理主体は国が行うということで施設の建設に取りかかった。要するに暫定措置であり、将来国が行うことが付帯条件で着工した、こう言われておりますけれども、この事実は環境庁としてはお認めになりますか。
  131. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  詳細ないきさつにつきましては存じ上げない点があるかもわかりませんが、私どもが承知しておりますのは、昭和五十一年または五十二年の関係省庁の了解事項からも明らかなように、この建設あるいは建設工事に先立って管理主体を決めるべきであるということであったにもかかわらず、この問題の緊急性から建設に着手して、稼働までにその管理主体を決めるということから、そういった御意見が出たということはある程度推測されることじゃないかと思います。
  132. 小野信一

    小野委員 大臣に最後にお願いしておきますけれども建設省とすれば、大里とすれば北上川の水質については責任があるわけじゃございませんけれども、管理者とすれば、やはりこれらに対する意見なり注文は当然あってしかるべきだろう、こう考えます。特に建設費百億以上、単年度のランニングコスト十億を超える経費であります。そして松尾鉱山が稼働しておるころには、監督、水質、その敷地、すべて国の管轄の中で行われた事業が、その処理だけが地方自治体に任されるというのでは、県民としても財政負担上も納得できることではございませんので、一級河川最高責任者である大臣として、早急に国としてこれを管理運営していく、こういう方向で五省庁会議に適切なアドバイスを行っていただきたい、こう考えますけれども大臣所見をお伺いします。
  133. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  松尾鉱山にかかわる北上川の問題につきまして、非常な御懸念をいただいた小野先生に敬意を表します。  いままでのプロセスを私も聞いておりますが、非常に残念な経過措置で推移しておりますことを申しわけなく思うわけであります。所管はいずれにいたしましても、建設省といたしましては、いままでの考え方としては休廃止鉱山を所管する行政の中において解決すべきものであるというように聞いておりますが、私たち北上川を管理する者としては、所管がいずれにあろうとも、とにもかくにも毎日汚染されていることについて、岩手、宮城両県、この水域にかかわる住民の生命に係る大きな問題でございますので、なお、経過は経過として早期にこの問題が解決でき得ますように、せっかく五省庁会議があるようでございます、環境庁で関係省庁の意見を取りまとめて、まとめていく方向で進んでおるようでございますけれども、なお、せっかくの新中和施設が十二分な稼働をして、地域住民に迷惑のかからないように、早期に措置し得るように、所管の大臣としても関係省庁によく申し上げて、先生の御懸念を一日も早く、先生の御懸念だけでなく、地域住民の心配を一日も早く解決できるように協力をいたしたい、このように考えるものでございます。
  134. 小野信一

    小野委員 大臣の一層の御奮闘を祈念して終わります。
  135. 稲村利幸

    稲村委員長 伏木和雄君。     〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕
  136. 伏木和雄

    ○伏木委員 建設大臣にお伺いをいたします。本年度の予算は、昨年に引き続き公共事業は伸びがない、こういうことでありますが、この公共事業伸び率ゼロということについて、大臣の御心境といいますか、お考えを承りたいと思うわけでございます。  五十三年度の予算のときに、たしか二七、八%の公共事業の伸びがございました。このとき、現幹事長櫻内建設大臣にどうですかとこう伺いましたところ、まさに花咲かじじいの心境です、こういうことで、もう枯木に花を吹かせます、こんなような勢いでさっそうとしておりました。最近ある人が、建設省のお役人の顔を見ていると何となくさえない、こういうようなことを言う人がございますけれども、この予算伸び率ゼロということにつきまして、大臣どのような御心境であるか、伺いたいと思います。
  137. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  五十三年度の折の花咲かじじいの心境ということでございますけれども、現時点の私はとうていそんな心境にはなり得ないところであります。ただ、現内閣の政治課題の最重点が財政再建ということでございますので、大きな観点に立ちますと、当然内閣の一員としてこれに協力しなければならないわけであります。とするとどうするかということでございますけれども伸び率ゼロであっても、それ以上に有効的確に事業執行の面で、いままでの十の予算は十執行という。ことではなく、十の予算を十二、三と、より一層効果的に執行をするという考え方で、建設省の諸君も決して意気消沈することなく、前向きで、積極的に、闘志満々で公共事業の執行に取り組んでおるわけで、伏木先生のほかえって裏を返せば御激励かとも思います。改めて何かと御協力を賜わりますように、お礼の意味を込めてお答えをする次第であります。
  138. 伏木和雄

    ○伏木委員 財政が非常に厳しいという点におきましては私どもも全く同様の考えでございます。現政府の方針を見ますと、国債を二兆円減額する、これも私どもも全く同感でございます。無制限な国債発行なんということはとんでもない。しかし、その二兆円減額の方途といたしまして、国民に対するサービスを低下させるとかあるいは増税で行う、この方法論になりますと私どもも非常に疑義がございます、もっと行政改革などを懸命にやって、そして国民に対するサービスを低下させることなく、あるいは増税によるという安易な道をとらずにこの財政再建を図らなければならないと考えているわけでございます。だからといって、私どもは相変わらず建設国債を発行し、従来のような公共事業を続行せよという意味で申し上げているわけではございませんが、もう少し政府にも考え方があるのではないか。そういう意味から先般大臣所信表明を伺ったわけでございますか、余り従来の所信表明と変わらない。新たな財政再建元年などというにぎにぎしい言葉を使うわりには、これほど膨大な公共事業費を抱える建設省の所管の大臣さんとしてはいささか残念に思うわけでございまして、もう少し大胆な、新しい提言というものもあってしかるべきではないかと思います。そういう意味から若干御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一番目に、このように財政が厳しくなってきた以上、公共事業の各部門というものをもう一度見直す必要があるのではないだろうか。各部門それぞれ最終目標というものが掲げられておるはずでありますが、その進捗状況などによって、進んでいるところはある程度ブレーキをかけながら、おくれている部門に対して予算を振り当てていく。国民生活から見て特におくれているものを洗い出して、そういうところに重点的に予算配分していくという考え方なども、これからのわが国の経済事情に沿って考えるならば大胆にやらなければならない一つではないか、このように考えますが、この点いかがでございましょうか。
  139. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生の御指摘、お考え方に私も全く同感でございます。苦しい予算であればあるほど重点的に予算配分をして執行するということが、これはもう基本原則であろうかと思います。総点検はいたしながら、国民の要望するところ、公共関係に重点を置いて、地域別、事業別に、よりよい配分のもとにより少ない予算をより効果的に、先生の御指摘のような考え方で対応してまいりたい、このように考えます。
  140. 伏木和雄

    ○伏木委員 と申し上げますのは、よく政府は、減税などを口にしますと、すぐに国際比較を持ってまいります。国際的に見てわが国の税制は非常に国民負担を軽くしていると盛んに国際比較を出すわけでございますが、わが国の社会資本の投下、整備水準と申しますか、これを比較してみますと、たとえば一人当たりの公園面積は、イギリスが三〇・四平米、西ドイツが二六・九平米、フランスが八・四平米、イタリアが一一・四平米、アメリカが一二・九平米でございます。これに対してわが国公園は一人当たり一・七、まるっきり比較にはならないほどの整備率でございます。あるいは水洗便所つき住宅、これを見ますと、イギリス九八・九、西ドイツ九四・二、フランス五一・八、アメリカ九八・二、これに対しましてわが国はわずかに三一・四%、これはもう諸外国の三分の一でございます。  こういう点から見まして、先ほど申し上げましたように財政再建やらなければならない。しかし、だからといってこのようにおくれている公共事業に対して目のかたきのように、財政再建だから公共事業を削減するのがあたりまえだという考え方、これは大きな間違いである。同時に、一刻も早くこのおくれた部分を直さなければならない。  そこで、五十三年の公共事業の各部門の、これは建設省関係だけ申し上げますと、各部門のシェアを見てみます。そうしますと、道路で三三・九、治山治水で一一・一、都市計画で一〇・九、住宅で四四・一と、先ほどの花咲かじじいの話じゃありませんけれども予算が膨大に伸びたときも、今度のように徹底的に詰めなきゃならないときも、五十六年度が道路整備が三三・六で、治山治水一一・四、都市計画一二・二、住宅が四二・八、ほとんど変わってないわけですよ。たっぷり予算があるときも、こういう厳しいときも、予算に占める割合というものが全然変わってこない。ただ一律に何%伸びというような安易な予算配分をやっている。私は、この辺からもう徹底的に改めるべきではないか、もう少し優先順位をつけて予算配分をすべきであると思いますが、この点いかがでございましょうか。
  141. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いま先生のおっしゃられた数字はそのとおりでございますが、先ほども先生申されましたように、わが国の公共施設整備率は道路が最も進んでいる、こう言われているわけでございますが、これは諸外国に比べますとまだ二分の一、下水においては三分の一、公園に至っては十分の一、こういうような状況でございまして、確かにウエートをつけたいことはつけたいわけでございますけれども、それぞれがまた不足しているという段階でございまして、要望が非常に強い。特に予算の伸びが少ない場合にはなかなかそこでウエートを置くことがむずかしい、こういう状況にあるわけでございます。  なお、ちなみに申し上げますと、昭和四十年と五十六年とを比べますとこの比率は相当変わっておるわけでございまして、長期的にごらんいただきますと、たとえば道路が五一・八%であったものが五十六年には三三・六になっている。逆に下水にいたしますと、三・七%であったものが一〇・二%、それから住宅におきましては二五・七が四二・八というように、長期的に見ますと相当の配分の違いが行われておるわけでございますが、短期的にはなかなか困難な事情がございます。  しかしながら、先生の御説まことにごもっともでございますから、これからもそういう点に十分配慮いたしまして、予算の少ないときには重点的に配分をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  142. 伏木和雄

    ○伏木委員 もう一点伺いますのは、これな地域的配分でございます。これも従来から余り変わっていないといいますか、むしろ逆に逆にという方向へ流れておるような気がします。  一橋大学の石先生がおもしろいものをつくってくれまして、これは一人当たりの公共投資の配分でございます。国民一人について公共投資がどのように配分されているかというのを都道府県別に見てみた表がございますけれども、これによりますと、国民一人当たり相対比といたしまして、県別に千葉県は相対比で言うと〇・八であります。東京都が〇・五、神奈川県が〇・七、愛知県〇・九、京都が〇・八、大阪が〇・八。これに対しまして福井県一・四、鳥取県一・八、富山県一・五。このように、ただいま初めに申し上げた以外の県はほとんど一を超しております。したがいまして、人口比から見まして各県別の一人当たりの公共投資が、東京都の人に比べますと福井の人は何と三倍の一人当たりの公共事業予算配分が行われている。別に私勘ぐるわけじゃありませんけれども、何か現政権というのは公共事業でたれているんじゃないか。というのは、よく選挙法で問題になりまして、東京高裁からも判決がございましたが、議員一人当たりの人口比、これが余りにもアンバランスである。参議院であるとひどいところは五倍、衆議院で四笛、こういう非常に不公平な議席になっております。これがこういう公共事業にまで飛び出してきているんではないか。結局議員一人当たりについて票の重みが重いとこうほど、要するに保守党の皆さんの強いところの予算が人口比でもって大きく配分されている。これは勘ぐりですから、別にあえて私はそういうことを言っているわけではありません。ただ、このように高度成長以降この二十年間でわが国の形態というものが変わっているはずであります。したがいまして、その地域に対する公共投資、それに対する経済効果というものも大きな変化が出てきているはずであります。にもかかわらず予算配分ということになりますと、従来の各県から出てくる予算要望、前年対比で何%上乗せという相も変わらない姿、これであっては行政改革なんということを幾ら叫んでみても、予算配分が前年対比で行われるというようなことであればなかなか行政改革というものも進まないでありましょうし、あるいはこのように厳しい予算になっても事業の選別等もなかなかやりにくい。何とかこの旧来の予算のつけ方、これを改革していかなければならないときが来ているんではないか。これが、法のもとに平等であるべき政府から出てくる金の使い方が人口比に対して余りにも不公平であるなんという訴訟問題になって、選挙じゃありませんけれども、また違憲の判決なんということになったらえらいことになりますし、まあそういうことは、公共事業ですから必ずしも人口比だけで議論をするということはおかしいことであります。それは私もわかりますけれども、ただ従来の流れ、これを大きく見直さなければならないときではないか。これは人口比を一つの例として使ったわけでありますけれども、この点いかがでございましょう。
  143. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先生おっしゃられましたように、公共事業配分につきまして人口比だけをとるというのは必ずしも適切でないと考えます。われわれの考えといたしましては、まず施設整備状況がどうなっているか、あるいは面積も相当問題になるわけでございます。それから人口というようなものを総合的に勘案いたしまして配分をいたしているわけでございます。特に最近の経済不祝の場合におきましては、地域経済に占める公共事業のウエートというのは非常に大きいものがございます。たとえば大都会であれば、設備投資が行われる場合におきましても地方ではなかなか行われないというような状況もあるわけでございますから、そういう点も十分勘案しなければならないと思うわけでございます。しかしながら先生がおっしゃいましたように、これから乏しい予算をいかに配分するかということは、あらゆる角度から十分検討した上でやるべきものだと考えております。
  144. 伏木和雄

    ○伏木委員 もう一つこの予算配分について伺いたいと思いますが、それは、この公共事業が経済動向に重大な影響を持ってくるというのは当然のことでございますが、ことしの経済見通しを見ますと、政府見通し五・三%、こういうことになっております。ところが、景気に対する影響、公共投資はマイナス〇・一、前年度は固定資本形成が二十二兆五千億円、本年度は二十三兆九千億円でありますけれども、昨年度は〇・三%寄与しているわけです、経済成長に対しまして。ところが、本年度はこれだけ公共事業を使うにしてもマイナスの〇・一%、こういうことになっております。しかし、公共事業の需要創出効果は一・三六とか経済企画庁の方では言っておりますけれども、この創出効果というものをもっと高められないのかということになりますと、同じ予算をつけましても、その部門別によって経済に与える影響度というものは違うんではないか。そうしますと、このように厳しい経済で増税まで国民の皆さんに強いなければならないというときに、同じ公共事業に金を使うのであれば少しでも経済効果というものを、景気に好影響を与えるような予算配分といいますか、こういう点でも考えていかなければならない、こういう点から建設省の方に伺いましたけれども、各部門別の波及効果というものが計算されてない。経済企画庁に聞きましても公共事業の部門別の波及度というものは算出されてない、公共投資全体としての計算しかできていないというようなことで、これを算出するのはまだ大変なことになるのかもしれませんが、こういう経済効果というものも考慮し、どのような波及効果が各部門で出てくるのかというような検討もすべきではないか、こう考えますが、この点いかがですか。
  145. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、公共事業全体の波及効果につきましては、いまおっしゃられたように一・三六とかいうような数字があるわけでございますが、個々の事業についてはそういうものはございません。しかしながら、生産誘発係数というのがございまして、たとえば公共事業一つやればどれだけの物資が動くかというようなことでございますが、それにつきましては、住宅であるとか道路であるとか治水であるとか、それぞれの部門別のものがございます。それを見ますると、大体二倍前後ということで、それぞれの公共事業についてそれほどの差はございません。しかしながら、先生おっしゃいましたように、こういう公共事業が少ないときには、特に生産誘発効果よりも波及効果の大きいものをやらなければならないわけでございますから。たとえば建設省の来年度の予算を執行する場合におきましては、なるべく用地費を使わないようなものを重点的にやって工事費に回るような形にする、それで生産誘発効果を大きくするような形にしたいというようなことも考えているわけでございまして、先ほど申されましたように、確かに五・三%に占める公共事業の割合はマイナスになっておりますが、それをなるべく影響がよく出るような形でこれからの事業を進めてまいりたいと考えているわけでございます。
  146. 伏木和雄

    ○伏木委員 では次に住宅問題をお伺いいたします。  五十六年度から四期五計が出発をするわけでありますが、これを見ますと、六十年までに最低居住水準を全世帯確保できるようにする、半数以上の世帯平均居住水準達成することを目標としている、こういう非常に結構な、私どももこれはぜひやらなければならない、こう考えますが、建設白書によりますと、最低居住水準に満たない世帯が五十三年で四百七十五万世帯、それ以降若干減ったとしても四百万世帯程度最低居住水準以下という方々がいらっしゃるわけでございます。したがいまして、これからの住宅対策の重点は、この最低居住水準以下の四百万世帯の解消こそ第一義に考えるべきではないか、こう考えます。それにしては五十六年度の住宅対策予算、これを見ますと、そう努力している方向には感じられないわけでありますが、これからの住宅対策として、最低居住水準以下の世帯を最低の居住水準までに上げることが最重点ではないか、こう考えますが、この点いかがでございますか。
  147. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えをいたします。  昭和五十六年度から始まります第四期住宅建設五カ年計画におきましては、先生指摘のとおり、居住水準目標最低居住水準平均居住水準と置きまして、その両方をそれぞれに達成したいというふうに考えておりますが、中でも、特に大都市地域借家世帯に見られます最低居住水準未満の世帯の解消ということが非常に大きな課題となっておろうかと思います。  そういうことで、私どもいろいろと推計をいたしました結果、昭和六十年度までに総計七百七十万戸の住宅建設を見込みまして、そのうち、公的資金によります住宅を三百五十万戸というふうに計画を現在案として立てておるところでございますが、これらにつきましては、いろいろな過去の建設の動向、解消のテンポ、そういったようなものを見通しまして六十年度までに、努力は必要でありますが、十分に達成できるものと考えておるところでございます。
  148. 伏木和雄

    ○伏木委員 その住宅建設目標でありますけれども最低居住水準を高めるというのには、公的住宅と言ってもやはり公営住宅あるいは公団住宅というところにウエートが入らなければ、なかなかそこまで一般庶民は手が回らない、私どもはこう考えるわけであります。そういう意味からこの四期五計は公営住宅が十三万五千戸前の計画よりも減っております。あるいは公団住宅が十一万戸の減少となっています。公庫住宅については確かに、三十万戸というふうにふやされておりますが、しかしこの公庫住宅と言っても民間自力建設と言っても、今日の状況ではさして変わらないのではないか。この点について後ほどお伺いはいたしますけれども最低居住水準までにすべての世帯を引き上げると言う以上は、公営公団、ここにもっと力が入らなければこの解消にはならない、こう考えますが、この点はいかがですか。
  149. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま先生指摘のとおり、第四期の五カ年計画の案におきましては、公営住宅を三十六万戸、公団住宅を二十万戸、また公庫住宅につきまして二百二十万戸見込んでおりますが、これらは全国世帯居住水準、また賃貸住宅の需給状況、そういったようなものを見まして、この程度の建設を進めることにより、またその他の諸施策も合わせることによりまして現在の目標達成できるものと思って計画したものでございます。もちろんその具体的な建設に当たりましては、先ほど申しましたように、大都市地域に重点的に建設を進めるというようなことが必要であろうかと考えております。
  150. 伏木和雄

    ○伏木委員 私は、この四期五計は前の五カ年計画よりはるか後退して、庶民サイドに立ったものではない、このように考えます。  それは一応おきまして、この新たな五カ年計画、さらにもう一歩突っ込んでみますと、公営住宅が三十二万戸、とすると、年平均六万四千戸ということになります。ところが、初年度において、五十六年度においては五万五千戸しか予算が計上されておりません。したがいまして、この五年の平均から九千戸少なくなっております。公団住宅にいたしましても、二十万戸ですから年平均四万戸、これに対して三万八千戸しか初年度のせておりません。財政上の理由などあるかもしれませんが、しかし初年度からこういう消極的な姿勢であってはとうてい少ない。第三期住宅五カ年計画に比べて後退しながら、さらに後退しているこの五カ年計画も初年度からこんな消極的であってはとうてい達成ができないんではないか。ますますこうした公営公共住宅に庶民が入れなくなってしまうのではないか、このように考えますが、初年度の勢いが余りにも弱過ぎないか、いかがでしょう。
  151. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 昭和五十六年度の予算におきましては、公営住宅のうちいわゆる改良住宅を除きましたものにつきまして、お話しのとおり五万五千戸ということにしておりますが、先ほど申しましたように、第四期の五カ年計画に必要な戸数を見込みまして、それに伴う初年度の分として計上したものでございます。もちろん今後この戸数計画に従って順次拡大していく必要があろうかと思いますが、五十六年度におきまして市街地住宅供給促進事業制度の創設等を行いまして、そういうことによりまして職住近接と土地の高度利用といったようなことを考えていけると思いますし、また、公営住宅だけでなくて公団住宅につきましても、従来の経緯から勘案いたしまして賃貸系の住宅をふやすというような措置をとりましてスタートさせたわけでございます。また、その中には規模の増、単価の増等を含めておりますので、現在の財政状況の中におきましてはこれでもってスタートさせ五カ年計画達成が図り得るというふうに考えております。
  152. 伏木和雄

    ○伏木委員 時間がありませんから、先の方へどんどん進ましていただきますけれども。なぜ公団住宅公営住宅をつくらなければならぬかと申しますと、いまや公庫住宅は手詰まりがきているんではないか、こう考えるわけです。私どももいろんな調査をしましたけれども一つの例を挙げてみたいと思います。  国税庁の五十四年度版の民間給与実態表から見ますと、サラリーマンの平均給与は三百三十一万円ということになっております。これが仮に七%アップされたといたしましても三百五十五万円、こういう実態でございます。ところが、東京都心から通勤時間一時間半、そこで一つの例でありますけれども宅地百七十三平米、それで延べ床面積が九十二平米、二月建てでありますけれども、価格が二千六百二十六万円であります。これはいわゆる頭金が二〇%、五百二十六万円、住宅金融公庫からの融資が五百九十万円、銀行ローンが千五百十万円。したがいまして、この方の毎月の払い、これは八万六千九百二十八円、ボーナスのときに四十七万八千二百六十九円、したがいまして年間百九十九万九千六百七十四円、これが都心から一時間半離れたところのこの程度住宅であります。確かに金融公庫の金は五百九十万円入っておりますけれども、年間に百九十九万円、二百万円。国税庁の平均給与三百五十五万円です。これではとうていこういうものは手は出ない。あるいはこれも同じく今度は都心から一時間二十分離れました居住面積八十平米のマンション。価格が二千二百六十万円であります。契約金が四百六十万円、金融公庫から八百十万円、銀行ローンが九百九十万。したがいましてこの方はマンションで年間百四十五万円払わなければならない。三百五十五万の収入の人がどうやって百四十五万も払っていくのか。いまや公庫住宅をいかにふやしても庶民の手の届かないところへいっている。したがいまして、公営住宅をつくる以外にないと私は申し上げる次第でございますが、このような実態につきまして、大臣どのようにお考えでございましょうか。
  153. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 大変恐縮ですが、少し事務的な事柄にもかかわりますので私から少し御説明をさしていただきたいと思います。  ただいまの国税庁の方の数字、私承知しておりませんが、私どもの方で常に参考として用いております貯蓄動向調査等によりまして、五十四年の全世帯平均所得を見ますと、平均といたしまして四百三十一万円となっております。そのうち勤労者世帯所得は四百十三万円というふうになっております。また、これを住宅金融公庫におきますところの融資によりましての実績等を見ますと、五十四年度の分の数字で見ますと一カ月当たりの返済額平均六万八千九百円となっておりまして、返済負担率が二二・九%となっております。これは高層住宅といいますか、いわゆるマンションにつきましてのものでございます。なお、個人住宅一般貸し付けにつきましてはいま申しました数字より低い数字となっておりまして、返済率等は一九・七%が平均となっております。これは建てかえの方もいらっしゃる、すなわちすでに土地を持っていらっしゃる方もかなりいらっしゃると思いますので、土地建物が一緒に購入されるというような意味で、通常言っておりますマンションの購入の方が適当かと思って申し上げた次第でございますが、そういった実態となっておりまして、一般的に三十六、七歳くらい平均の方が購入していらっしゃるというような実態でございます。したがいまして、大まかに見ますと平均的な所得方々につきまして、それぞれの貯蓄等の努力は必要かと思いますが、公庫によりますところの住宅の購入も相当程度国民の間で普及し、御利用いただいていると思っております。  ただ、もちろん相当の、自分の精いっぱいの御努力をいただきましてもわれわれが考えております適正な居住水準に至らないという所得方々もいらっしゃいますので、そういう方々に対しましてはまさに公共の賃貸住宅等を積極的に供給することによって、目標達成を図りたいというふうに考えているところでございます。
  154. 伏木和雄

    ○伏木委員 勤労者平均所得、国税庁の調べで三百五十五万と私は申したわけでございますが、いま局長は四百万ということです。仮に四百万といたしましても年間二百万の返済ではこれはどうしようもないということなんです。この点をしっかりと御理解いただきたいと思います。  さらに住宅審議会の答申の中に、家賃に触れておりますけれども、京浜大都市圏におきましては一昼当たりの家賃が二千九百十円というように言われております。この十年間で二・五倍になっている。したがいまして世帯収入に占める家賃が二〇%を超えるもの、世帯収入です。子供が働いておればそれも全部含めて一世帯の収入の二〇%ですから、これは非常に高いものです。それを超えるものでももう一五%の世帯がこういう高い家賃のところに入っているというわけであります。これも予算委員会でもちょっと話が出たことでありますけれどもわが国の可処分所得を見てみますと、米国の百七十九万、フランスの二百一方、西ドイツの百八十六万、英国の百二十七万、それに対してわが国は百三十六万円であります。可処分所得、税金とか社会保険を納めた後各人が自由に使える金の一人当たりでいきますと、このようにわが国の可処分所得は低い状況であります。あるいはエンゲル係数を調べましても、英国三〇、フランス二九、西ドイツ二六、アメリカ二〇、こういう各国のエンゲル係数に対しましてわが国は三二・六%、食料費が非常に高いものについている。こういう中で家賃も高い。家賃が高くて食べ物が高くて、エンゲル係数三二%とられる。家賃で、先ほどのローン返済でいきますと半分なくなってしまう。一体何のために、食って寝るだけでもって日本人の生活というのは一生を終わってしまうのではないか。したがいまして、家賃に対しても相当な強い考え方を持ちませんと、住宅をただ建てて与えていればいいんだということではなくて、これは民間に力が入れば入るほどこういう結果が出てくるわけです。したがいましてこの家賃につきましてどうお考えになっているか。  あわせて、住宅基本法を今国会に出すということはもう常識的になっていたんですが、所信表明を伺いますといまだに検討、こういうのんきなことをおっしゃっている。住宅基本法をいつごろお出しになってどんな内容のものをいま考えているのか、お伺いしたいと思います。
  155. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  住宅政策全般につきまして御意見をいただきまして恐縮いたしておりますが、確かに家賃の高騰につきましてはその対応に頭を痛めているところであります。いま先生指摘のように可処分所得の問題あるいはエンゲル係数あるいは家賃のパーセントでいくと、特に都市に住んでおられる勤労者の生活がいかに苦しいかということがよくわかるわけであります。せめても住宅についてはもっと楽に、質のいい住宅に住んでもらうということは私たちとしても望むところでありますし、でき得る限りの処置をいたしまして先生の御指摘方向努力する所存でございます。  なお、住宅基本法の問題でございますけれども、審議会からも答申を得ておりますし、その基本法につきましては先生の方のと、各党からもいろいろと御意見をいただいております。なお十分御意見をいただきまして、成案ができ次第早い機会に今国会に出す所存でございます。
  156. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど御指摘の家賃につきましての御見解は、住宅宅地審議会におきます答申にもそのとおりに出ております。そういうようなことを考えまして私どもが今後の施策の重点としてまいりたいと思っておりますことは、自分の能力いっぱいに御負担いただきましても適正規模住宅に入居できない階層に対しまして、特段に施策を重点的に実施してまいる。その際、公共賃貸住宅が大きなウエートを占めることは当然でございます。したがいまして、先ほど申しましたように第四期五カ年計画の中におきますところの計画戸数を、具体的には大都市地域において相当にこれの建設を促進していくということが必要であろうかと思っております。  また一面におきまして、土地をみずから持っていらっしゃる方々がその土地の上に賃貸住宅を建てていかれる、そういう場合におきましては、土地代相当分をある程度家賃におきまして考えて、余りそれを乗せないというようなことが考えられますので、これに対しまして従来からもいろいろと国の利子補給等の措置を講じてきておりますが、今後とも各般施策を通じましてその充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  157. 伏木和雄

    ○伏木委員 住宅基本法の中身でございますが、先ほど、検討されている内容についてちょっとお答えあったようであります。その中で、国並びに地方団体の責務がありますが、国と地方団体の責務を明確に書かなければならないと同時に、住宅に対する国の保障、そして家賃の基準、こういうものも入れるべきだと思いますが、いかがですか。
  158. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど申し上げました私ども考えております基本法案に盛り込むべき事項のうち、国と公共団体の責務といったことも考えておるところでございますが、これの具体的な構成につきましてはいま検討中でございます。また、家賃等につきましても、基本法のあり方というものを考えます場合、住宅政策基本的方向を示すという意味で、総合的な施策体系を明らかにするというような趣旨で考えていきたいと思っております。しかしながら、具体的な個々の施策につきましては、その基本法の成案を得てからのことですが、それを具体的に実施する、各施策として生かしていくというふうになろうかと現段階では考えております。
  159. 伏木和雄

    ○伏木委員 私は、家賃の基準などはどのくらいという、数字で入れるという意味ではなくて、家賃のその水準というか、別の法律で定めるなり何らかの方法で基本法の中に家賃問題も取り上げるべきだ、このように考えますが、いかがですか。
  160. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 現在いろいろと検討しておりまして、その点も問題の一つとして考えておりますが、現段階で、いまここでどういうふうにしたいと申し上げる段階ではないことを御了解いただきます。
  161. 伏木和雄

    ○伏木委員 土地問題やりたかったのですが、時間もございませんので、最後に、住宅金融公庫総裁せっかくお見えになっていますから、飛ばしてそちらの方をやらしていただきます。  一昨日、予算委員会におきまして、わが党の草川君からも指摘をした問題であります。住宅金融公庫の利子補給についてでありますが、これは公庫が財投から八%で資金を借り、これを年利五・五%で、法律で定めて貸し出すようになっております。したがって、この逆ざやは赤字になるに決まってますから、当然一般会計において補給していくというのがあたりまえのことでありますし、従来もそのように行ってきたわけでございますが、五十六年度の予算で六百六十一億、当然政府が利子補給すべきものを住宅金融公庫で財投から借りた。まあこれいろいろ議論ありましたが、その議論の最中ちょっと気になったこと睦、大蔵大臣の答弁で、利子補給に対する政府負担が非常に大変なので、将来は金融公庫の利子の値上げもしなければならないような、上げるとは言いませんけれども、におわせるような答弁をすると、これはとんでもないことだ、先ほどから言っておりますように、ただでさえ住宅が建てにくくなっている今日、公庫の金利を上げるなんてことはとんでもない。そういう議論が出てくるのも、こうした政府の措置、ここにまず第一の原因がある。私は断じてこういうことはやるべきではないと思います。  そこで、公庫の総裁にお伺いします。この六百六十一億というのはどんな条件で財投から借りたんでしょう、総裁。
  162. 大津留温

    ○大津留説明員 公庫の融資の原資、先生指摘のとおり財投から借り入れております。財投の金利と貸出金利との金利差並びに貸し付けの手数料あるいは事務費、こういうものは一般会計から補給するといったてまえでずっとやってきております。  ただ、今日のような非常に厳しい財政下におきます、まことにやむを得ない緊急措置としまして、その一部を財投から借りて、その分はこれから将来五カ年にわたって補てんするという約束のもとに、私どもとしましては一般会計が苦しいから補給金が出せない、出せないために事業計画を圧縮されたんでは困りますから、低金利で無抽せんでやる分はぜひ確保していただきたい、そのためには、どうしてもやむを得ず不足する分は将来にわたって補てんする、こういうことを大蔵省の方でもはっきりと約束していただきましたので、まことにやむを得ないものとして受け入れたわけでございます。
  163. 伏木和雄

    ○伏木委員 理財局来てますか。——それはいま大蔵省の方が約束してくれたからというんですけれども、理財局はそういう口約束でお金をぽんと出しちゃう。何か担保になる措置あるんですか。どういう約束で金を貸したんですか。
  164. 柴田章平

    柴田説明員 お答えいたします。  いま先生の御質問の件でございますが、実は補給金の入れ方については、直接担当いたしておりますのは主計局でございまして、私どもとしては、いま公庫の総裁から御答弁ございましたように、やはり事業量を確保していくために必要な資金ということで、私ども、ことしに限っては万やむを得ない措置ということで、財投資金で御用立てをすることを認めたわけでございます。  その背景には、当然のことながら五十五年度の補正後の予算額を上回る要補給額につきましては、五十六年から五年間にわたって措置をしましょうということを、行政府として、私ども基本的に措置する考え方をつくりまして、さらにそういう前提で、私どもとしては国が公庫の収支差を補てんするという考え方を変えないでやっていけば、ことし十分に乗り切れるだろうということで御用立てをしたものでございまして、基本的な考え方としては、私どもいささかも変わっていないというふうに考えているわけでございます。
  165. 伏木和雄

    ○伏木委員 そうしますと、理財局と主計局で話して六百六十一億ですか、これをすんなり出しちゃったわけですか。予算書のどこにこういうの出ているんですか。  それと、もう一つついでにお伺いします。これ、今後大蔵省が返すということですけれども、そうすれば当然国庫債務負担行為で返さなければならない金ですから、出てこなければならない問題であると思うんです。勝手に金使っておいて返済。それはどこにも記載もされないで、理財局と主計局だけでなあなあで話し合えば、こういう金は動かせるものなんですか、
  166. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私の方からちょっと先に御答弁さしていただきたいと思います。  まず第一の、六百六十一億円という資金運用部資金からの借り入れにつきましては、住宅金融公庫自体がその事業を行いますのに財投資金を借り入れてまいっております。その中で、今回その補給金が一部後年度に回されて、六百六十一億円が借り入れとしてふえるわけでございますので、その両方を合わせまして総額三兆二千九百二十一億円の借り入れを行ったということでございます。  それから、理財局と主計局との関係ということでございますが、私たちの方といたしましては、従来とも住宅金融公庫がいま申しましたように資金運用部資金から借り入れできます。これは年々、そのときによりまして金利は違いますけれども、貸し付けるのは法定で、特に低金利で長期にわたってお貸ししておりますから、当然その差額というものが損失として出てまいりますが、これは昭和四十年度からずっと引き続き補てんをしていただいておるわけでございます。これは、そういうような運用をルールとしてまいっております、ただ、一時期的に財政上の事情等もあって五十六年度の分は一部を後年度に送ったということでございますが、その六百六十一億円お借りするに伴って生じますところの利息も公庫の方に計上しておりますので、国民の方には御迷惑をかけず、また、公庫と国との関係においても従来どおり基本的な方向としては変わりなく運営できるものと思っております。
  167. 伏木和雄

    ○伏木委員 時間がありませんから結論を急ぎますけれども、公庫とすれば六百六十一億余分に借りないでいいはずなのですよ。国の方が当然出すべき六百六十一億を公庫が借りてしまったわけです。その利息分ぐらいは一般会計で出したかもしれませんが、六百六十一億借りたのです。この金はだれが返すのだと言うのです。公庫が返すのか政府の方で返すのか。公庫が返すのならば金利を上げなければ返せないでしょう。そうすると大蔵大臣の発想になってくる。政府が間違いなく返してやるというのだったら、使ってしまう金なんですから当然国庫債務負担行為として将来国が必ずこれは払いますとしなければいかぬでしょうと言うのです。それをめちゃくちゃに主計局と理財局でまあまあと、大蔵省が話し合えば何でもできるのか。それで大蔵大臣でもかわって、あるいは局長さんたちがかわってしまって、金融公庫の六百六十一億、当然国が持つべき金を、お役人さんたちがかわってしまった後になって、五年先になって、いや、これは貸し付けがあるのだからと言われたらどういうことになるのだ。何か残るものがあるのですか。だからどんな条件でお借りになったのか、一筆政府の間違いなく払うからということを取った上でこういう処置をとったのか。財政民主主義から言ったってこれは全く国会を無視したことにもなりますし、そういうことを重ねていくと、便宜的に財投か何かで引っ張り出しておくと、やがては国鉄の二の舞になるのですよ。こういうことはいまのうちから芽を摘んでおかなければ、将来こういう前例を重ねていったらえらいことになってしまう。結局は金利の引き上げということになってくるわけです。ですから、もう時間がありませんからこの辺でやめますけれども大臣、こういうことを理由に住宅金融公庫の金利の引き上げなどということは絶対やってはならぬ、私はこう思いますが、いかがですか。
  168. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  本年度のこの措置は特例措置であり、住宅事情にそごのないように、財政危機の折どのようにするかということではなはだ苦しんだ末の方法であったろうと思います。したがいまして、先生御懸念のことのなきように私たちも十分な対処をいたしてまいりたい、このように考えるものであります。
  169. 伏木和雄

    ○伏木委員 終わります。
  170. 中村靖

    中村(靖)委員長代理 午後四時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後三時三分休憩      ————◇—————     午後四時開議
  171. 村岡兼造

    ○村岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。
  172. 中島武敏

    ○中島(武)委員 きょうは私、まず第一に日本住宅公団のガスふろがまの異口径接続問題、第二に障害者問題、第三に中小建設業者の仕事確保の問題についてお尋ねしたいと思っております。順にお尋ねしていきたいのですが、最初に日本住宅公団のふろがまの異口径接続問題についてお尋ねいたします。  実はこの問題はすでに痛ましい死者を出している問題であります。しかも人命にかかわる非常に大事な問題ですので、昨年社会党の同僚議員もこの問題について質問しておられますが、なおその上に立ってお尋ねしたいと思っておるわけであります。  まず最初にお尋ねしたいのは、昭和四十六年の四月に通産省令が設置をされて、このときにガスのふろがまの排気筒が八十ミリ以上にされたわけです。なぜこのときに八十ミリ以上にされたかという問題について、最初に通産省の方からお聞きしたいと思います。
  173. 石田寛

    ○石田説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生お話にもございましたように、ガス用品の検定制度と申しますのは昭和四十五年のガス事業法改正により制度化されたものでございますが、昭和四十六年の四月に、その中で、ガスふろがまを政令指定いたしまして、検定の対象といたしますとともに、ガス用品の検定等に関する省令というものを制定いたしまして、技術上の基準及び検定の方法を定めたわけでございます。  ガスふろがまの技術上の基準におきまして、ガスの消費量ごとに排気量との関係でガスふろがまにつけるべき排気筒の内径の最低水準を安全確保上の観点から定めたわけてございますが、昭和四十六年の省令制定に際しましては、最もガス消費量の小さいものとして一時間当たり九千六百キロカロリー以下のものを対象としたわけでございますが、それが排気筒の内径を八十ミリメートル以上であることというふうに決めたわけでございます。これは、当時製造、流通しておりましたふろがまは、口径が九十ミリメートル以上のものであったという実態があったようでございます。したがいまして、八十ミリメートルの口径に適合するふろがまというものの生産の実態はなかったようでありますが、そういう実情ではございましたが、保安上の観点から定める検定の基準におきましては、八十ミリメートルのものまで一応含めて将来の製造の可能性を除外することのないようにというふうに考慮いたしまして、八十ミリメートルまでの口径について基準を定める、こういうふうに考えられます。
  174. 中島武敏

    ○中島(武)委員 このときに、建設省に対して協議されましたか、通産省。
  175. 石田寛

    ○石田説明員 大分以前の話でもございまして、私自身いま現在定かにはしておりませんが、事の性質上と申しますか、建設省さんの方にも御相談していたのではないかというふうに思われます。
  176. 中島武敏

    ○中島(武)委員 建設省の方ではこの問題について、この通産省令が設置されるときに協議を受けましたか。
  177. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  いま通産省の方でお話がありましたガスバーナーつきふろがまの技術上の基準を定めます、ガス用品の検定等に関する省令の制定につきましては、それに先立つガス事業法の施行令の改正の際に、通商産業省と建設省との間で、担当者間で協議するというふうになっておったと聞いております。ただ、四十六年のことでございますので、具体的にどのような協議があったか、その点について、残念ながらいまのところ関係資料が残っておりませんので、私の方ちょっと知悉することができませんでした。
  178. 中島武敏

    ○中島(武)委員 公団に伺いますが、当時建設省からこの問題について相談にあずかりましたか。
  179. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えします。  何分大分前の話でございまして、現在、当時の記録等がございませんで、その間の事情は必ずしもつまびらかにいたしませんでございますが、当時当公団はこの問題について了知していなかったというように聞いております。
  180. 中島武敏

    ○中島(武)委員 先ほどの通産省の答弁では、当時は九十ミリ以上のふろがまを製造しているのが実態であって、八十ミリの製造はなかった、そういうふうに答弁がありました。建設省は、協議を受けたと思うが何分古いことであってと、こういうお話でした。それから公団の方はなかったと思うというお話ですね。  私は、実は、この死者が起きるという事故が起きた当時あるいは起きる前から非常にこれは問題になっておった問題でありまして、この話を聞いて非常に不思議に思ったのは、一体その七十五ミリの排気筒、煙突、これが実際に九万五千戸も存在をして、そしてふろがまの方をつくっていないというわけはないと思ったわけであります。  私いろいろ調べてみた。そうしますと、実は確かに当時から、いまの通産省のお話とは違って、そういうふろがまをつくっているわけであります。私が聞きましたところでは、東京瓦斯では非常にはっきりと七十五ミリは生産されていたというふうに言っております。それからA企業は、当時からここは九十ミリをつくっていたところですけれども、しかし大手は九十ミリ以上をつくっているけれども、中小はいろいろつくっていたと思うということでした。B社に聞きますと、六十ミリ以上を私のところではつくっていた、七十五ミリは当然つくっておりました、こういう話であります。C社に聞きますと、四十六年当時七十五ミリは公団関係に入れていた、需要としては多少の減少の傾向にあったが、公団用として七十五ミリを特別につくっていた。G社に聞きますと、七十五ミリは公団関係等の需要で、大手メーカーは九十ミリないし百ミリをつくっていたけれども、自分のところでもわずかであるがつくっていた、中小企業はもう当然つくっていた、こういうふうであるわけなんです。非常に不思議に思う点は、八十ミリにしたい、当時九十ミリ以上しかつくっていなかった、八十ミリもつくっていなかったんだ、こういうふうに通産省の方で言われるのですけれども、通産省はこのつくっているという事実を当時知らなかったのですか。私はこれはちょっと常識を外れると思うのです。  それから、協議を受けたと思うという答弁でありました建設省は、この問題について協議を受けたときに一体どういう態度をとられたのかという問題、この点についてお尋ねしたいのです。
  181. 石田寛

    ○石田説明員 昭和四十六年当時の基準の決定に際しまして、どういう状況把握をしてどういうふうに判断したのかというところは、私ども正確に記録をもって確かめることがただいまのところできませんので、わからない部分があるわけでございますが、いまにして考えますと、あるいは最近におきまして当時の状況を調べてみました範囲では、当時そういう生産の実態がなかったということでございましたので、そのように判断したのではなかろうか、こういうふうに御説明させていただいたわけでございます。
  182. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それはおかしい。建設省、どうですか。
  183. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、十年ほど前のことなものですから、私も協議をいただいたのかどうか、またいただいたとした場合にどういうふうな御相談をしたかということ全体がちょっとわからないということでお答え申し上げたつもりだったわけでございますが、ただいまにして考えますと、住宅公団としては四十二年ごろまではこの七十五ミリの口径のガスぶろを設置していたという事実があり、また当時相当戸数あったということが一つ。それからもう一つは、通産省さんの方でそういう省令を改正されたといたしましても、当時はまだ異口径接続についてそこまで従来のものについて禁止されるという趣旨ではなかっただろう、経過的に十分これで耐えられるというふうに考えられたのではないかというふうな想定をいたしているところでございます。
  184. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これもちょっとおかしい答弁です。先ほど通産省は安全上の観点から設置をした、こういうふうに言われましたね。安全上の観点からこの省令を設けた。ところが実際にその実態がどういうふうになっているかということをつかまないで安全上の観点というのは私はよくわからない。建設省のいまの答弁もわからないのです。どうも腑に落ちない答弁であります。これは困るのは実際のところいって公団が困るのじゃありませんか。それで一番大変なのは公団団地に入居している居住者が困るわけであります。そういうことには全く思いが至らないでやったのだろうか、どうも私はわからない。公団にお尋ねしますけれども、そういう通産省令が設置されてどうされたのでしょうか。建設省やあるいは通産省に対して八十ミリでは困るというふうに言われたのか、七十五ミリで、早速それに合わせて煙突の方を改善しよう、こういうふうに言われたのか、どうなんでしょう。
  185. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えします。  当時、ただいま住宅局長がお答えになりましたように、四十二、三年ごろまでは壁埋め込み式の煙突、排気筒を使ってまいりましたが、四十三年ごろからいわゆるバランスがまに公団は全部かえましたので、その後のものはないわけです。従前のものの取りかえという問題としてあるわけです。そういうものを勘定してみますと約九万五千戸はかりあったわけです。そして当時省令の改正によって七十五ミリのそういうのが市販に出なくなったものですから、公団としてはテラスハウス等あるいは壁を経由するにしても簡単に施工がしやすいものは直しまして、約一万五千戸はそういう改造をしたわけです。そして結局残っているのがいわゆる八万戸という七十五ミリの口径の煙突部分のものが残っているわけでございます。したがって、それにつきましてはさらに当公団としてはやはり現実の問題としてこれを処理しなければならぬわけですから、当時、数年後でしたか、社団法人の日本瓦斯協会に委託いたしまして、煙突の方が七十五ミリ、ガスがまの部分の方が八十ミリのそういう燃焼実験を行いまして、東京瓦斯御自身でも九十ミリの方のかまの方の部分と煙突七十五ミリの燃焼実験もやられました。その他、ほかの方も燃焼実験をやられたと聞いておりますが、そのようなことをやりまして何とか、型式的には合わなかったわけですが、そういうことで当座をしのいできたわけですが、一方、その間、先生いまお話ありましたように、建設省から特に通産省さんの方に、またそれが七十五ミリの復活の問題も含むと思いますが、そういう七十五ミリの煙突で機能し得るような何らかの措置ができないものかどうか、復活の問題も含めましていろいろ御陳情申し上げてきたというのが実態のように私は聞いております。
  186. 中島武敏

    ○中島(武)委員 通産省に陳情されたのは何年ごろですか。
  187. 久保田誠三

    ○久保田参考人 ずばりいつからとは、当時の記録が明らかでないものですから……。その後、改正後比較的間もなくではないかと思います。
  188. 中島武敏

    ○中島(武)委員 間もなく、比較的間もなく陳情した。通産省の方はそれを受けているわけですね。それに対してどういうふうに対処してこられたのですか。
  189. 石田寛

    ○石田説明員 住宅公団さんからの陳情と言われますものを現物として私いま手元に所持しておりませんし、どういう内容の陳情でありましたか私自身いま覚えておりませんが、ガス事業者がガス事業法の規定に基づきまして、各みずから送っているガスを使用しているお客さん、需要家を、ガスの使用を安全の観点から調査して歩くという規定がございますが、その規定に基づきましてガス事業者が調査いたしました結果として、七十五ミリの排気筒に八十ミリを超える接続がある、こういう報告があったりなどいたしますので、そういう事実はもちろん私どももその後承知いたすようになりました。したがいまして、その当時から一貫してその調査を行いますガス事業者から、並びに私どもからも一貫いたしまして排気筒の口径に合ったふろがまを、ふろがまに合った排気筒をというふうに改造、改善いただくように要請、お願いをしてきているところでございます。
  190. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いまの答弁で二つ言われたね。排気筒の方にガスがまを合わせるように、それからガスがまの方に排気筒を合わせるように、二つとも公団の方に要請してきたのですか。
  191. 石田寛

    ○石田説明員 補足して説明申し上げます。  排気筒の、煙突の筒の方はいろいろなケースがあるわけでございまして、八十ミリ、九十ミリ、いろいろな大きさのものがあるわけでございます。いま論点になっておりますのは、確かに七十五ミリの口径を持った排気筒のケースでございまして、その意味におきまして、私はいまよけいなことを申し上げたのですが、排気筒の、煙突の方の太さが九十ミリで、それに百ミリのふろがまをつないである、こういう場合も中にはあるわけでございまして、その場合はどちらかを合わせる、こういうケースに当たるわけでございます。いま問題になっております七十五ミリの場合には、排気筒、煙突の太さの方を改修、改造をしていただく、あるいはそういった煙突を使わない方式にふろがまを改善していただくというような方法があるわけでございます。その点の御説明をさしていただいたわけでございます。
  192. 中島武敏

    ○中島(武)委員 公団にもう一つお尋ねしたいのですが、先ほどの答弁の中にありました、日本瓦斯協会に委託をして、異口径接続が安全である、こういう調査をやっておられる。これは何の目的でおやりになっておるのですか。
  193. 久保田誠三

    ○久保田参考人 先ほども申し上げましたように、九万五千戸中屋上まで壁埋め込み式になっておるのが八万戸ばかりありましたが、それ以外の一万五千戸につきましては速やかにその改修を行ったわけですが、残りにつきまして、やはりその構造上、屋上部分まで煙突はいっていたわけです。これを、たとえば根本的に穴をあけて太さを変えるとか、あるいはまたバランスがまになるとまた大きな穴を横につけるとかいうことで、なかなか困難な問題が現実にあるわけです。したがって、ともかくいろいろわが公団としては通産省当局その他に御陳情申し上げつつ、やはり現実の問題として七十五ミリを使わざるを得なかったものですから、それを使う以上はやはりそれが危険性がない、安全であるという認識を得たかったわけです。そういう意味で、やはりそういう必要に迫られてそういう実験をみずからも委託し、それから東京瓦斯さん自身にもお願いしたという経緯でございます。
  194. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは実は違法なんですよね。違法なんだけれども、しかし安全でなければ大変だ、まあ安全であるという保証はないのですけれども、幾らかでもこれは安全だということの証明を得たいと思っておやりになったことだというわけです。それ自身わからないわけではないが、しかし違法な問題なんですね。しかも現実問題としては死者も後に出てくるという問題でもあるわけです。私はこれらの問題を調べてみ、またいまの答弁を聞いてみて思いますのは、実情を全く無視して省令が設置されているということが非常に大きな問題だと思います。しかも、協議を受けられたであろう建設省の方もこれについて異を唱えられたのじゃなくて、やはりそれを受け入れておられたのじゃないでしょうか。どうなんですか。首をひねっておられるから、それじゃそれに対してどうされたのか聞きましょう、
  195. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど申しましたように、正確に協議を受けたかどうかがわからないということを申し上げたわけですが、その後、いま住宅公団からお話がありましたように、何とか七十五ミリの煙突にくっつけられるようにということで日本瓦斯協会等にも委託し、検討され、その結果、たとえば八十ミリのものを接続しても安全であるといったような確認が得られましたので、それで運営していたというふうに思います。  ただ、その後、異口径接続につきまして禁止をするという方向がはっきりしてまいる過程の中で、昭和五十五年からはまた七十五ミリのバーナーにつきましても製造が認められるようになったというような経過がありましたのは、そういったようなことを背景としたことだと考えております。
  196. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは本当に実情を無視して省令の設置をやった。当時はずいぶんたくさんつくっておったのです。つくっておるものをさっきの答弁ではつくっていなかったという答弁をしているのです。これはおかしな話なんです。それで十年間放置されたのです。それで省令改正をやったのです、また七十五ミリでもいいというふうに。ところが、七十五ミリでもいいというふうに言ったのだけれども、その後に死者が出た、こういう事件なんですね。これは挙げて行政の側に責任のある問題だというふうに思います。ほかにどこにこの問題は責任がありますか。そういう問題なんですよ。これはやはりはっきり認識しなければいかぬと思いますね。  それで、私もいろいろ調べてみました。そうすると、何も花畑団地だけじゃないんです。たとえば赤羽台の団地でも、この接続がうまくいってなかったということのためなんでしょう、赤ちゃんが一酸化炭素中毒にかかったという例もあります。あるいは煙突が、外れやすいものですから外れていることに気がついて本当にひやりとしたという人たちもいる。それから自治会の人たちはどうしているかというと、これについてはなるべく通風をよくするように、ふろをたくときには窓をあけるように、こう言っている。そういうふうにニュースなんかに載せて知らせているわけです。ところが窓があかないところがあるのです、これは住宅公団の中に。窓があかないと言っては言い過ぎですけれども、こんなに細いのですよ。しかも、ちょっとあけても、階段のところに設置されているものですから外から全部まる見えなんです。だから、あけたくてもほんのわずかしかあけられない。十年間これで苦しんできているのです。  さて、いま七十五ミリのふろがまをつくってもよろしい、こういうふうになったのですけれども、それじゃ今度は安全性のために買いかえなければならない、だれが費用負担するか、公団の規定ではこれは本人が負担をするということになっているのです。これは私は、責任の所在が行政の側にあるということはきわめてはっきりしている問題なんですから、それを居住者負担でというのは、どこを押しても道理が通らないと思います。すでに昨年十一月のときにもこの問題については社会党の同僚議員からの質問もあったところでありますし、大臣も、初めからおられなかったけれどもお聞きになっていて御存じだと思うし、当時の答弁もありますね、配慮しなければならない。配慮では私は済まない問題じゃないかと思っているのです。この問題についてどう考えられるか、どうしなければならないか、どうしようとするか、この点を伺いたいと思います。
  197. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 昨年の花畑団地の事故にかんがみまして、建設省といたしましては公団に対しまして、安全上の見地から早急に総点検を行うように指示をいたしました。現在公団が、二百四団地、約八万戸の住宅につきましてガス事業者と共同で調査点検を行っていると伺っております。もう少し時日がかかるようでございますが、その結果に基づきまして私ども公団と十分相談をいたしまして、適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  198. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは長いこと調査検討しておってもだめなんです。調査検討しなくても具体的なことはわかっているのです。それは調査検討で済む問題というふうにお考えなのかどうか。これはもうできるだけ早く、すぐにかえるというふうにしなければ人命にかかわる問題なんですから。それで、しかもその場合の行政の責任のとり方はどうなのか、ここのところをはっきり聞きたいのです。いまの調査検討では私は納得できないですよ。はっきり言ってください。
  199. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私の方が公団から報告を受けておりますところでは、昨年十一月中旬にこの委員会におきましてこの問題が取り上げられたわけですが、そのときに公団に指示いたしまして、公団関係のガス事業者とも協議をされまして、昨年の十二月中旬から調査に入ったと聞いております。三月くらいまで全部の調査がかかるということで、公団としても、先生先ほど御指摘のように、一般的な原則としましては賃貸借契約におきまして、ふろがまの修繕、取りかえ等費用負担は入居者ということになっておりますが、いませっかく調査中でもありますので、それらの結果を見た上でどのように措置するかということを公団とも十分相談していきたいということでございます。
  200. 中島武敏

    ○中島(武)委員 大臣はどうお考えになりますか。調査中、確かに調査も必要でしょう、だけれども調査したってしなくたって結論はわかっているのです。見えている問題なんです。事実問題ですからこれははっきりしているのです。戸数や何かがいまどれくらいあるか、そういうことは調査すればわかってくると思います。しかし、これは単なる配慮でいいのかどうかということについて大臣のしかたる答弁をお願いしたい、
  201. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  予算委員会の方で前段聞いておりませんでしたので、経過をいま聞きましたので、失礼いたしました。  昨年委員会で花畑団地のトラブルにつきまして、私も、公的な住宅である限りは責任の所在は一応はっきりいたしておるわけで、この点の処理につきましては、そのときの契約状況あるいはその煙突のトラブル等の現地の問題あるいはその他にそのような欠陥燃焼施設があるのか、そうしたことを十分調査の上配慮するように明確にお答えをいたしております。いま局長に聞きましたら、公団の方でたお調査を進めておる。お役所というのは大体長いのですね、調査がいろいろと財政の問題もありましょう、契約の問題もありましょう、しかも何万戸というものが対象になりますので、なおいま少し時間をいただいて、大変おくれておりますことは恐縮でございますけれども、ひとつ検討の時間をいただきたいと思います。
  202. 中島武敏

    ○中島(武)委員 大臣、重ねて言います。それは調査はしてください。しかし居住者負担でガスのふろがまを買えという結論はいただけない結論なんです。だから、そういう結論が出ることのないように、これは行政の責任なんですから、やはりはっきりちゃんとした責任をとるというふうにきちんとやる、つまり全部行政の側の責任においてふろがまの設置を行う、こういうふうにやってもらいたいと思う。その点、ちょっと重ねて大臣どうです。
  203. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほどお答え申しましたように、現在調査中であると申し上げましたが、調査内容はまだ出てこないのでわかりませんが、やはりこのふろがまの実態、すなわち耐用年数であるとか、いろいろ居住者方々によってどのような取りかえをしていられるか等々、ここら辺全体をしっかと見た上でやらないといかぬというような点がありますので、もう少し時間をいただきたいということでございます。
  204. 中島武敏

    ○中島(武)委員 どうもこれは押し問答になってしまいそうです。だから、私はこの問題については後にまたお尋ねしたいと思います。それは調査をしましても、言っておきますが、調査すれば、何月、どんなふうな状況でということがわかってくるだけなんです。ではそれをどう改善するか、改善の仕方というものは一つしかないのです。異口径接続でなく接続をするということのためには新しくふろがまを購入しなければならない。一体だれが、だれの負担において購入するか、ここが問題になるのです。あと問題になることはないのです。調査をすれば戸数だとか状況だとか、そういうことがわかってくるだけなんです。だから、その点についてやはり政府の側における責任において解決をするというようにやってもらいたい。そうするべきであるということを私重ねて要望して、次の問題に入ります。  次は、障害者問題についてですが、ことしは御存じのとおり国際障害者年であります。一九七九年に国連総会で採択された国際障害者年の行動計画には、障害者がその住んでいる社会の発展に全面参加し、その発展によってもたらされるあらゆる利益の平等な配分の実現を目指すことがうたわれております。障害者が平等に参加できる場づくり、町づくりが非常に重要になってきているわけであります。この問題について、私は幾つかの点をお尋ねしたいと思っております。実はきのう質問通告をした後において、若干の時間の関係もあり、省略したりする部分があろうかと思いますが、御了承をいただきます。  その点でまず一つは、昭和五十四年の六月一日から下肢体幹不自由者がみずから自動車を足がわりとして運転する場合、有料道路の通行料金を五割の範囲内で割り引く制度ができて、これは障害者の方々に非常に喜ばれております。しかし、大づかみに言って私は二つ問題があると思うのです。それはどういう点かと申しますと、一つは、せっかくそういうふうにしてもらっても、実はサービスエリアなどにおいて安心して食堂に入れるか、トイレに行けるか、駐車できるかというような問題、それからもう一つは、この障害者の適用範囲を拡大しなければならないという問題があります。  きょうはその問題についてお尋ねしたいのですが、実際に障害者の方が高速道路を利用した場合に、サービスエリアに寄られる。ところが、食堂へ行くには段差があって行けないとか、あるいはトイレヘ行こうと思ってもうまくいかないとか、あるいは身体障害者専用の駐車場がないとかいうような、いろんな不都合が生まれております。この問題について、まず現在実施の状況はどうなっているか。そしてまた、これを改善する計画についてお尋ねしたいと思うのであります。
  205. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  四十八年度から高速道路関係の身障者の方々に対する対策を始めておりまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、階段をスロープに直すとか、専用トイレ、専用駐車場をつくるというようなことでございます。いままで東名高速道路ほか九路線につきまして二十カ所を完了いたしておるという状況でございます。今年度終わりますと実は二十五になるわけでございまして、またさらに二十四カ所ほど残っておりますけれども、いまの予定では、本年が身障者年であるということも踏まえまして、五十六年度に大分馬力をかけるつもりでございまして、五十七年度には大体完了するという予定にいたしております。  なお、非常電話も使えるようにというようなお話もございますが、これも逐次改善を図っております。
  206. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いまのお話、ちょっと念を押してお尋ねします。これは食堂とかトイレとか駐車場とかそれから電話の問題と、四つあるのですけれども、これはすべてについてですか。
  207. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 五十七年までにおおむね完了させると申しましたのは、サービスエリアにおきます階段のスロープ化でございます。それと専用トイレ、専用駐車場の設置でございます。電話はまたちょっと別でございます。
  208. 中島武敏

    ○中島(武)委員 大いにピッチを上げてもらって、五十七年度と言われましたが、ことしは何といったって国際障害者年ですから、ことしいっぱいぐらいにやるという決意でひとつ進んでもらいたいと思います。  もう一つの問題について伺いますが、この半額割引の制度を適用対象を広げるという問題に関してなんです。この点でかねてから障害者の方々から言われている点では、家族の人たちが運転をする場合、この場合にもひとつ適用してもらいたいということを言っておられるわけです。これもずいぶん問題になりまして、大臣の方からも検討しますという話がすでに答弁のあったところでありますが、一体いつから実施をされるのか、これについてまず最初に伺いたいと思います。
  209. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 いわゆるいまやっております割引割度につきましては、御承知のとおり下肢体幹に障害を持っておられる方、したがいまして、お使いになっておる車は普通の車じゃない、特別な車をお使いになっておるわけでありまして、まさに車を足がわりにして社会活動をしておられる、こういう方々に対する割引を考えているわけでございます。  介護者に対してもというただいまのお話でございましたが、この有料道路はもともと通行される方々に建設費を御負担をいただいて償還をするという制度から成り立っておるものでございまして、それをしも割引をして通っていただくというのは、下肢体幹の不自由な方々につきましては、信号の多い一般道路を通ることが非常に苦痛を与えるという点につきましてこういう制度をとったわけでございまして、介護者につきましてはひとつ一般道路もあるわけでございますので、高速道路を通りますときには通常の料金で通っていただきたい、こういうことをお願いをいたしておるわけでございまして、若干先生の御趣旨には反するわけでございますが、いまのところ特に考えておりません。
  210. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それは問題ですね。介護者の人は自分だけでよそへ行くんじゃなくで、障害者の人を乗せていく場合の話なんですから、この問題は自分の足がわりにしているのと同じことであります用意味は全く同じことなんです。だから、そういう点じゃ私は検討する気持ちがないというんじゃなくて、検討してもらわなければいかぬということを重ねて言いたいのです。もう局長は御存じだと思いますけれども大蔵省それから自治省関係、ここでは物品税あるいは自動車取得税、自動車税については、介護者についても免除するという制度を五十五年から始めたわけです。その点では私は大蔵、自治の方が進んでいると思います。そこのところはやはりもう一回考え直してみるという必要があると思うのですね。いま局長はその意思なし、こういうお考えなんですけれども大臣、これはどうでしょうね。よその省庁なんかも相当おやりになっておられる問題で、建設省あたりがおくれをとっちゃいかぬ。特に障害者問題では大臣はうんちくが深いと私は聞いているんだけれども、どうでしょう、御答弁願いたい。
  211. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。介護者の割引ということでございますけれども、いま局長からお話がありましたように、障害者の運転する場合と介護者の運転する場合は同乗の有無等もあり、やはり一つの区別感覚でこれはやってきた制度ではなかろうかと思います。他の省庁で介護者についての配慮が行われていることは承知いたしておりますが、自動車のこの関係につきましては、いま少しくひとつ時期的な問題、来し方の経過等を考えさせていただきたいと思います。
  212. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いま少し考えるのを早く考えてもらいたい。そして早く実施できるようにぜひ要望しておきます。  関連がありますからもう一つは、内部疾患の人たちに対してこの制度を拡大する意思がないかどうかということについてお尋ねしたいのです。  それはほかでもありませんが、これは東京都の江東区北砂に住んでおられる一ノ瀬明さんという人から私訴えを受けております。この方は腎臓病で現在人工透析を受けている。運送会社に勤めておられる。職場は運送会社なんですね。で、九号線の木場から乗って四号線の新宿を経て高円寺南でおりて東高円寺のクリニックに通院している。しかも月に十二、三回通わなければいけないという状態なんです。一回四百円ですから往復で八百円になる。そうなりますと、月に直しますと九千六百円から一万四百円ということになるわけであります。非常に大きな負担をしている。わけですか、皆さん御存じのように、人工透析というのは術の綱なんですよ。しかも仕事が終わってから駆けつけなければいけない。下をのろのろ走っているんでは時間も決められておりますし、間に合わない。どうしても高速道路を使わなければならないという問題があるわけなんです。  こういうことを考えますと、いわば足がわりにというだけのことで済むのかどうか。これはちょっと足がわりと言って、さっきも介護者の問題と区別されました。区別されましたが、内部疾患の場合でもこういう切実な問題があるのです。こういう内部疾患の人たちに対してこの制度を拡大するという意思がないかどうか、これを検討する気がないかどうか、これを伺いたいと思います。
  213. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先ほど申し上げましたように、下肢体幹に障害を持っておられる方が非常に特殊な自動車を足がわりに使っておられるという点から制度考えたと申し上げたわけでございますが、内部の障害、先生指摘のように、腎臓の場合とか心臓の場合とか肺の場合とかいろいろあるようでございますけれども、私ども考えますのに、やはりこの場合は足がわりといいますか、全く通常と同じ自動車をお使いになればいいわけでございますから、何か程度に応じてそれぞれお使いになっているのではないか。この内部疾患、内部障害の方に拡大をすると仮にいたしましても、その判断というものも実は大変むずかしいのではないかと思うわけでございます。したがいまして、いまのところはっきりいたしておりますのは下肢体幹の不自由な方々、特製の自動車を使っておられる方ということになろうかと思いますので、いましばらくこの制度を続け、その間御指摘のような問題もあるいはあろうかと思いますが、もう少し検討をさせていただきたいと思います。
  214. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは大臣にも申し上げておきますが、いまのことを含めて早期な検討と実施を要望しておきたいと思います。  住宅公団に関連してお尋ねします。エレベーターのボタンの問題です。視覚障害者の方から、私高島平団地その他からずいぶん訴えられておるわけであります。あるいは訪問されてくる方も、視覚障害者の方は大変不便なんです。それで、ぜひひとつ点字ボタンを設置するとかあるいは点字ボタンにすぐに取りかえるというのが無理であるならば、点字のたとえばプラスチック製のものを張りつけるとか接着するとかということ、あるいは要望のある団地にはすぐに応じるとか、いろいろなケース考えられるのですけれども、これらについてすぐに措置をしてもらいたいと思っております。公団の例あるいは建設省の側からお答えをいただきたい。
  215. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、身体障害者の方々につきましては、私ども公団住宅あるいは公営住宅あるいはまた公庫住宅につきましてそれぞれ特段の措置をずっと講じてまいりました。ただいま御指摘の、目の不自由な方が公団住宅にいらっしゃるような場合におきまして、エレベーター等を御利用される場合、点字板が必要であるというふうなお話も伺っております。具体的なケースといたしまして現在私ども検討しておりますのは、特注で点字坂をつくりましてエレベーターの内と外に設置するということがとりあえず考えられますので、現在関係のメーカー等に特注をいたしましてつくってもらうという段取りを整えておると聞いております。また、そういうような方々に対しましては、必要に応じましてお住まいを変えて、もう少し便利のいいところに入っていただくということもあわせて検討し、運用していくつもりでございます。
  216. 中島武敏

    ○中島(武)委員 次の問題に移りたいと思いますが、これは中小企業の仕事確保の問題です。  最初に大臣にお尋ねしたいと思うのです。昨年は倒産件数が、大変不名誉なことですけれども史上第二位。建設業も同様でありまして、東京商工リサーチ調べによりますとやはり史上第二位、しかも負債額の方は第一位というようになっています。中身を見ますと大多数、実は資本金で言いますと一千万円未満のところが倒産件数の九割を占めている。現在の経済動向というのは非常に厳しいわけでありまして、特に中小建設業にとっては深刻であります。  そこで伺いたいのは、現在の経済動向を大臣はどういうふうに見ておられるのか。それから、そういう中で建設業に対してどういう対策考えておられるのか。それからいま一つは、とりわけ中小建設業の対策、この問題でどうお考えになっているか。特に私は中小建設業対策の重要な柱である官公需発注の問題、このことをも含めて大臣の方からまず所見を聞きたいと思います。
  217. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  昨年、建設業を含めて倒産件数が非常に多かったというのは先生指摘のとおりでございます。特に建設業関係は、昨年は倒産件数一万数千件のうち約五千百件ですか、正確な数字は確か五千九十七件かと思います。五十二年度が五千百七十一件でございましたから、史上第二位、先生おっしゃるとおりです。五十二年、五十四年が四千四、五百件でございますから、相当の倒産件数であることは間違いありません。  経済関係は経済企画庁の担当でございますから私から言うのはどうかと思いますけれども、これは世界的な不況、特にオイルトラブルによるコストアップによって経済不況が日本に押し寄せてきて、全般的な経済不況で、こうした面で公需、民需ともに落ち込んだことがこうしたことにかかわり合ってきたものだ、このように考えます。特に建設業は一口に五十万、五百四十万の就業者がいらっしゃいます。そのうちの九九・四%は一億円以下、個人営業だということで、特にもろにこの影響を受けたわけであります。こうしたことを私は昨年早くから、大臣就任以後、経済閣僚会議でもしばしば申し上げて、早く対応していただくように申し上げてきたわけでありますが、大きなうねりの中で、政府対応も的確な対応がなかなかできなかったということも事実でありましょうが、私たち所管省としてはとにもかくにも中小建設業者を救わなければなりません。したがって、制度上の問題として、なお引き続き不況業種に十二月以降も指定していただくとか、あるいは倒産対策、金融措置をするとか、特に住宅関係において落ち込みが多いわけでありますので、公庫の無抽せん方式を維持するとか、区画整理、都市計画における遊休地の高度利用あるいは関公施設の積極的な促進をやってコストダウンを図るということで、住宅建設の推進をしてまいってきたわけであります。  それでもなおかつこれに対応するものがまんべんなくできないことは残念でございます。したがいまして、財政の非常に厳しい折でありましたけれども、三・四半期、四・四半期において公共事業をとにもかくにも完全執行するということで財政当局にも強く要望いたしました。何といたしましても地方の経済を支えるものは、公共事業がその支えとなっておることは先生御承知のとおりであります。そうした措置を行いながら、何とかこの危機を脱し、世界的な経済安定の中で、オイルショックの波及については、少なくとも国内における影響を少しでもやわらげるような形で積極的に中小企業対策に取り組んでいきたいと努力をいたしておるところでございます。
  218. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間がなくなってきましたから、いまの大臣の答弁に立ってまとめてお尋ねします。  一つは、いま大臣が言われた公共事業の年度内の完全執行、この点は、現在の進捗率はどこまで来ているのか、そして年度内と言ったってもう三月で、もうおしまいですから、あと一月半しかないわけですが、一体どういう見通しを持っておられるのか。どこまで実際にできるかということですね。何か三月の末でも七千億円ぐらい繰り越しになるのではないかというような話も出ているわけですけれども、実際にどうなのかということが一つです。  それからもう一つは、中小企業の官公需問題についてなんですが、特にこの問題について伺いたいのです。適正価格で発注するという問題に関連をして、いわゆる足切り問題、この問題について建設省考えを伺いたいと思います。  それは私の方から詳しく言うまでもありませんが、中健審の専門委員会ですでに中間答申が出されておりまして、この足切り三%を下げるということについては意見が一致して、いま法制小委員会検討中ですね。これは業者の側はゼロにする、あるいはそれが無理ならばせめて一%ぐらいにはしなければならないんじゃないかというように私は思っているのですが、この点についての建設省のお考えを聞きたい。  それからもう一つの点は、いま実際に、さっき大臣も認めておられるように、中小建設業は大変なんですね。ところが官公需を受ける場合に、中小企業基本法によりまして、中小企業とは一体どこを言うんだというので、一億、三百人という線が引かれているわけです。これを一億、百人にしてもらいたい、こういう要望が中小建設業の方で相次いでいることはもうよく御存じのことだろうと思います。私は、その点についてお尋ねしたいのは、法律を変える、中小企業庁の考えもあります、どっちにしろ法律を変えるということは大変なことですから、これは内部の運用として一億、百人以下は中小企業だ、だからそういうところに特に配慮をする、仕事を多く出すというような内部運用をやれないものかという気がするわけであります。
  219. 村岡兼造

    ○村岡委員長代理 ちょっと中島君に申し上げますが、大臣予算だから、ひとつ大臣予算委員会の方に出していただきまして、答弁を事務当局にひとつ……。
  220. 中島武敏

    ○中島(武)委員 そうですか。予算委員会で呼ばれているようですから、それでは大臣どうぞ御退席ください。では、局長の方からお答えをしてください。
  221. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 三点の御質問があったわけでございますが、第一点について私から御答弁申し上げます。  公共事業の発注につきましては、御承知のように本年度は上半期については抑制ぎみということで、六〇%に抑えたわけでございます。その後景気の動向等を考えまして、第三・四半期におきましては昨年度の三〇%増し、こういうことで政府の方針が決まりまして、それに基づきまして実施したわけでございますが、十二月末現在におきまして、建設省の例で申しますと八〇・五%の契約率になっておりまして、三〇%よりいささか超えた額で発注がなされております。しかしながら、上半期に抑えました関係上、第四・四半期におきましては去年に比べまして五〇%以上の事業費が残っているわけでございます。  したがいまして、建設省といたしましては、これを先ほど大臣から御答弁がございましたように完全執行いたしたいということで鋭意努力しているわけでございますが、たとえば積雪寒冷地帯におきましては、工事を発注いたしましてもいまの状況では仕事ができない、こういう状況にあるわけでございますから、われわれといたしましては発注だけをいたしまして、適正な繰り越し手続をとうた上で、四、五月にどうしても端境期になりますから、ここで仕事をしてもらう、このように考えているわけでございますし、また、暖かい地方につきましてもできるだけ発注はいたしまして、同じように四、五月の端境期において仕事が中小企業にいくようにしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  なお、中小企業の問題につきましては、建設省といたしましては最大限の努力をしているわけでございまして、たとえば本年度の実施状況を見ますと、上半期におきまして目標率は直轄では四五%ということになっておりますが四五・八までいっておりますから、この目標達成できるものと考えております。  なお、建設省の直轄事業につきましては、やはり大規模工事でございますからなかなか中小企業に発注するということは困難な点があるわけでございますが、先生御承知のように、地方公共団体の事業につきましては七〇%程度が中小企業にいっているわけでございまして、こういう点も十分今後も配慮しながら中小企業の育成に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  222. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいま御質問ございましたいわゆる足切りの問題でございますけれども、御承知のとおり公共工事の標準請負契約約款の中で、賃金とか物価の変動に伴います請負代金額の変更の規定の中でいわゆる足切りというのがございまして、これにつきましては現在中央建設業審議会において改正のための審議を行っていただいております。それで、現行の足切り率は、お話がございましたように三%となっておりまして、これを引き下げることにつきましては発注者側も受注者の側も、双方の意見は一致しておるわけでございますけれども、その引き下げ幅につきまして、現在学識経験者の委員も交えまして審議が進められております。これにつきましては、いずれにしましても近く結論が得られるものと考えております。  私ども、この建設業の振興を担当しておる者の立場といたしましては、できるだけいい方向でこの幅が決まるように努力をしていきたいと考えております。  それから中小企業の定義の問題でございますけれども、現在三百名以下の常雇いの建設業者が中小企業ということになっております。この見直しをいたしますと、仮にそれを百名以下に下げますと、百五十名を常雇いしております建設業の方々がいままでのメリットといいますか、中小企業としてのいろいろな振興対策を受けられなくなるというようないろいろな問題もございます。いま中小企業庁の方で、中小企業政策審議会におきまして審議を開始したところでございます。私どもとしましては、建設業の特殊性も十分考慮に入れながら、この中小企業政策審議会の検討状況あるいは建設業関係団体の意見等を踏まえまして、慎重に対処してまいりたいと思います。  本来的に中小企業の体質改善の問題につきましては、先ほど官房長からも御答弁しましたように、発注の側でいろいろ考慮していただく、それと同時に、何と申しましても脆弱な体質を改善する必要があると思っております。これにはもちろん自助勢力も必要でございますけれども建設省におきましても諸種の対策も講じております、  それからやはり数が多い。五十万業者がございまして、私よく申し上げるのですけれども東京都には喫茶店の数が二万、魚屋さん、八百屋さん、肉屋さんの数も約二万ぐらい、建設業者の数は約三万五千でございます。そういうような意味で、これからはやはり安定成長、それから建設投資額もそれほど大幅な伸びが見込めませんので、こういう経済情勢のもとにおきましては、いたずらに数がふえてもらうのは大変困ることでございますので、そういった許可につきましても安易に数はふやさない、こういうことも考えながら中小企業の対策を極力進めてまいりたいと考えております。
  223. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いまの答弁に対していろいろと議論したいのです。したいのですが、時間もオーバーしておることですからきょうはこの程度でやめまして、次にまたいろいろと聞きたいと思います。  終わります。
  224. 村岡兼造

    ○村岡委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会