○桜井
委員 いまほどは、鴨田先輩の方から格調の高い
住宅、
宅地等に関する総論の開陳があったわけでありますが、私はまだ当選して一年も
たちませんが、初めての質問でございますので、
国民の声、地方自治体の声といったような各論について、
国土庁並びに
建設省に質問をさしていただきたいと思うわけであります。
鉄は熱いうちにたたけとも言われております。そういう中で、大変しつこいようでありますが、一月の二十八日に災害
対策特別
委員会でも申し上げましたけれ
ども、まだあの悲惨な雪の大惨事の記憶が新たなうちに、もう一度このことについて触れさせていただきたいと思いますので、それぞれの局
関係に三つ四つたださしていただきたいと思います。
ことしの北陸、東北地方を襲った大異常豪雪は全くすさまじいものであったと思います。私も四十八年間この世に生活をさせてもらっておりますが、いまだかつてあれだけ大変な豪雪は体験したことがない、それほど本当にひどい豪雪でございました。天魔のなせるわざとはいいながら、余りにも悲惨なことで、本当にとうとい人命を失われた
方々あるいは自分の住む家を全壊されるというような大被害に遭われた
方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
実は私の町では、まだいまでも三メートルもの雪の中に、雪の冷蔵庫の中に埋まったような感じになっておるわけであります。そして明けても暮れても、家へ残った家族はもちろんでございますが、一家の生計を支えるために外へ出て働く
人たちも、降る盛りは、ことしの場合を申し上げますと、昨年の暮れ二十五、六日ごろから一月いっぱい、ほとんど朝五時ごろ起きて、子供
たちを学校へ通わせるために、そして一日家をあけて外へ出ても大丈夫なための手当てをまず朝飯までにやる、それが終わると勤めに出てくるわけですが、もちろん家へ残った年寄りや奥さん方がいらっしゃる方はなお雪の片づけに回るわけでありますけれ
ども、主人は外へ出て、それからまた勤めが終わって家へ帰ってまいりますと、夕飯を食べて、そして夜の十一時、十二時まで雪片づけ、雪掘りに明け暮れをする。そういうことで、主人がいるところはいいんですが、出かせぎをして奥さん一人で残った、子供さんと一緒だなんという家庭になりますと、目をあけてから日をつむるまで、本当に雪との闘いで明け暮れする。一歩間違えば人命も失うということでありますから、当然そういう中にはノイローゼみたいになってしまう方もございます。
いまでこそ大分よくなりましたけれ
ども、雪国に、特に年寄りに自殺者が多いというのもそういった宿命的な
環境も大きく左右していると思うわけでありますが、私はそういう中で、しかし宿命とあきらめていいのだろうか、そんな雪の中に住んでなくたっていいじゃないか、こう言われる方もあるかもしれませんが、しかし私はそうは思いません。あの文明開化の明治維新のときから、世界の経済大国と言われるようになった今日でも、雪国に期待するところ、負うところは非常に多い。あの終戦後の食糧の乏しかったころ、自分
たちが食べる米さえも全く残さずに全部農家から、あの私
どもの地域から米を大都会へとしぼり上げていったわけでありますし、また、それ電気だ、それ水だと要求をされておる現実を見るにつけ、私はやはり
日本の国に雪国はなくてはならないものだと思っておるわけであります。
しかも、この雪は即水であります。北陸、東北、北海道地域全般もそうでありますが、私が一番自分の記憶にはっきりしておる新潟県のことを
考えてみても、あの雪の多い山から流れ出てくる信濃川、そして只見川、やがては阿賀野川になるあの大河、それがこの越後平野を支えておるわけでございます。そんなことを
考えるときに、私は、これだけ宇宙の果てまで探査をしようという
時代であります。この技術と力をもって二度とこういったとうとい人命を失うような、犠牲者を出さないような手当てをぜひすべきだと思うのであります。
私の記憶では三十八年、いわゆる三八豪雪と言われたときに、時の
建設大臣河野一郎さんが新潟県に乗り込んでまいりまして、それ以来雪に対する
考え方をそれ以前と全く大改革をした。そして、
道路というものはどんなに冬であっても除雪をして自動車交通を
確保すべきだ、こういう観念が定着をしてまいりました。私
どもは昔のことが記憶に残っておりますから、大変ありがたいことだと思った。ところがいまの若い
人たちは、雪のために交通どめになった、汽車がとまったというと、とんでもない話だ、何をしているのだ、こういう
考え方です。これは決して悲しむべきことではない、そういう世の中になったということは先輩方の
努力のおかげであり、
日本の前進だと思って、私は大いに賛意を表し敬意を払いたいと思っておるわけであります。
そんなときにとうとい多くの人命を失い、そしてまた家屋の全壊等を含んだ大被害を受けられたたくさんの被災者を出したわけでありますが、こういった第二、第三の犠牲者を出さないためにも、二度とこういうことが繰り返されないように、この際いままでと全く発想を変えていただいて、こういうことをなくするためにはどういう
制度をつくったらいいのか、そういうような
考え方で、これはこういう法律でだめなんだなんということではなくて、思い切って
制度の改正等を含んだ国政の前進があるべきだと思うのでありますが、災害を担当しております原
国土庁長官に、長官の基本的な
考え方をお伺いしたいと思うわけであります。