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1981-03-24 第94回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十四日(火曜日)     午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 森下 元晴君    理事 東家 嘉幸君 理事 原田昇左右君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 春田 重昭君 理事 中野 寛成君       天野 光晴君    石田 博英君       植竹 繁雄君    桜井  新君       竹下  登君    近岡理一郎君       高田 富之君    田中 昭二君       和田 一仁君    辻  第一君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (北海道開発庁          長官)         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    大西 昭一君         北海道開発庁計         画監理官    富士野昭典君         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁長官官房         会計課長    大森 敬介君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁大都市圏         整備局長    伊藤 晴朗君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     青山 正明君         大蔵省主計局司         計課長     岡崎  豊君         大蔵省銀行局特         別金融課長   日向  隆君         国税庁直税部資         産税課長    木下 信親君         文部省初等中等         教育局財務課長 倉地 克次君         林野庁林政部企         画課長     岡田 明輝君         林野庁林政部森         林組合課長   安橋 隆雄君         林野庁林政部林         産課長     山口  昭君         運輸省航空局飛         行場部長    山本  長君         建設省都市局区         画整理課長   依田 和夫君         自治省財政局指         導課長     木村  仁君         会計検査院事務         総局第一局長  佐藤 雅信君         会計検査院事務         総局第三局長  肥後 昭一君         会計検査院事務         総局第五局長  丹下  巧君         北海道東北開発         公庫総裁    新保 實生君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十三年度政府関係機関決算書  昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管北海道開発庁国土庁)、北海  道東北開発公庫〕      ————◇—————
  2. 森下元晴

    森下委員長代理 これより会議を開きます。  昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管北海道開発庁国土庁及び北海道東北開発公庫について審査を行います。  これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  3. 井上一成

    井上(一)委員 前回に続いて、国土庁長官に私は関西空港建設について関連してお尋ねをしたいと思います。  航空審答申を尊重するという意思前回確認をしたわけでありますが、さらにここで、新空港建設については周辺整備本体建設とは切り離せないものであるという、いわばすべてに優先されるべきものだ、そういう考えに立つわけでありますが、長官認識をここでただしておきたいと思います。
  4. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  こういう非常に大きなプロジェクトでございますから、当然周辺整備のことを積極的にやらなければならぬことを痛感いたしております。幸いに国土庁としてはいままで近畿圏整備を推進してきておりますので、さらにそれをもう少し積極的に空港に合わせて整備を進めていきたい、こう思っております。
  5. 井上一成

    井上(一)委員 今回関西空港に関しては国土庁地元に示す整備案を現在用意しているのかどうか、そのことについて長官からお答えをいただきたいと思います。
  6. 原健三郎

    原国務大臣 これは周辺整備のいろんなプラン等々を考慮しておりますが、まだ発表する域まで至っておりませんので、いわゆるこれは本省だけでやるべき問題でなく、地元意見も聞く等々、それからさらに進んで国際空港進行状態にもあわせてやる考えで、現在のところまだ発表するまでに至っておりません。
  7. 井上一成

    井上(一)委員 長官用意ができているけれども発表できないのか、あるいは用意ができていないのか、そういうことについてはいかがなんですか。
  8. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 五十二年以来、この空港建設泉州沖候補地として調査するという運輸省の御方針以来、私どもの方で関係省庁とともに、この空港立地した場合に泉州地域あるいは和歌山地域を中心にこの地域にどういう変動考えられるであろうか、これに対処するためにどんな対策が必要であるかということについて基礎的な調査等検討をしておる段階でございます。これをまとめるに当たりましては、いずれまた関係省庁はもちろん、関係地方公共団体等との意思疎通も必要であろうかと考えます。その意味で私どもはいまのところまだ成案をまとめるには至っていないというのが現状でございます。
  9. 井上一成

    井上(一)委員 いま手元には成案がないということです。五十三年度において国土庁関連でどれだけの予算でどんな調査をなされたのか、その結果はどうであったのか。
  10. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 五十三年度の調査の御指摘でございますが、私ども関西国際空港周辺地域調査につきましては、国土庁、通商産業省、運輸省建設省農林水産省が分担をいたしまして、農林水産省は五十三年度からでございますが、昭和五十二年度からの三カ年計画で一応始めたものでございまして、実際はこの調査の前提となりました基礎データ等が途中で変わりましたために五十五年度に至っております。御指摘の五十三年度につきましては、国土庁といたしましてはその中で約三百三十万の予算で、この地域の将来フレームといいますか、たとえば昭和六十五年度あるいは昭和七十五年の人口工業出荷額、そういったものがどういう変動を来すであろうかといったような点についての調査をいたしておるところでございます。
  11. 井上一成

    井上(一)委員 その調査の委託結果状況等については後でさらに尋ねていきます。  国土庁は独自の地元に示す整備案がまだ用意されていない、こういうことでございます。運輸省としては運輸大臣空港建設に当たっては国会の中でいろいろと答えております。アクセス関係一つをとらえても、既存の鉄道の引き込み線をつくりたいとか、あるいは道路阪神高速大阪湾岸線の泉大津までの既存道路をさらに延長していきたいのだ、そういう発言はなされているわけなんですけれども国土庁としては近畿圏さらには大都市圏、そしてこの泉州沖周辺整備というものは最優先して国土庁の見地からこれはとらえてほしいと私は思うのです。運輸大臣発言をされていることだけでは不十分だし、そんなことでは周辺整備にはならない。だから、さらにもっと大きな周辺整備案というものが示されなければ地元の住民は非常に不安である、こういうことなんです。いつごろをめどに関西空港周辺整備国土庁としての案が成案になるのか、そういう見通しを聞いておきます。
  12. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 御指摘運輸大臣発言も承知いたしておりますし、また運輸省の方でさしあたり回ないし五月に予定しておると聞いております地元への事前の予備的な協議の中で、空港建設あるいは開港時に直接必要なアクセス交通等について、とりあえずの見解関係省庁打ち合わせの上提示したいという意向も聞いておるわけでございますが、同時に、いま先生言われるとおり、周辺整備というものがそういった空港利用のための直接の交通施設だけでないことも確かでございます。私ども、この空港ができますれば、いま申し上げましたような空港利用のための直接の交通施設等根幹的なもの、さらに空港立地することによりまして人口もふえましょうし、町の構造等もいろいろ変わってくるわけでございます。そういった地域変動があります、さらに、せっかくこれだけの空港ができるなら、これを機会に泉州地域はもちろん、隣接地域を含め、さらには近畿圏全体についての将来の発展計画といったようなものも国並びに地方としてしっかりした計画構想を持っておるべきじゃなかろうかと理解をいたしておりますので、私どもといたしましては、そのことにつきまして国土庁での勉強はもちろん、関係省庁地方公共団体とその辺についての意見交換を十分行っていきたい。それがいつごろまとまるかという御質問でございますが、空港計画まとまりぐあい、あるいは地元との予備的な事前協議段取り、そういったものとの絡みもございますので、いまのところ確たる日付とか、あるいはどういう形のものというのをこの段階でお示しするのは非常にむずかしいというような状況でございます。
  13. 井上一成

    井上(一)委員 本体にかかわる問題は別として、国土庁としては周辺整備の全体的なものはまだ成案がないということで、さらにいま予備協議の話にも触れられたわけですけれども予備協議ということになれば国土庁としてはいま示すものがない、国土庁は示すものがないとすれば予備協議には対応できない、そういうふうに理解してよろしいわけですね。運輸省は四月、五月ごろにできれば予備協議をしたいのだということを言っているのですけれども、まずそういうことについて国土庁は参画できるのかどうか。参画するとしたら国土庁事前の案を示さなければいけないと思うのですけれども、いまお答えのようにそれができ上がっていないとすれば予備協議には参画できない、こういうふうになるわけですね。そういう理解でよろしゅうございますか、
  14. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 運輸省の予備的な協議段取り、あるいはその内容の詳細をまだ私ども伺っておるわけではございませんが、先ほど御指摘がありましたように、空港建設に伴う直接的な関連施設としての基幹的交通施設といったようなものに関しまして、国の考え方をその中に含めて提示しようという御意向があるやに聞いております。その限りにおいて運輸省の方では当然国土庁並び建設省等関係省庁と下打ち合わせはされると思います。実際に出ていきます案は運輸省限りの意見として、案として出ていくのだと思いますが、その限りの打ち合わせ事前にあると思いますし、それなりの対応はいたしたいと思います。  しかしながら、先ほど先生が言われましたような、それにとどまらず、泉州地域はもちろん、周辺地域を含めました、あるいは将来の発展動向を踏まえた大きな意味での地域整備構想あるいは地域整備計画といったようなものを盛り込む意味での対応を要求されましても、それは私どもの方としてはいまの段階では不可能でございます。
  15. 井上一成

    井上(一)委員 運輸省だけ独自の案としても、まだ正式には国土庁には話し合いかないわけですね。
  16. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 現段階内容については伺っておりません。
  17. 井上一成

    井上(一)委員 運輸省は、本体にかかわる交通機関部分的整備、しかし、空港建設によって受ける周辺の変化というか、条件はいろいろ変わるわけですから、それにどう対応していくかということを国土庁としてもきっちりしておかなければいけないと思うのです。そこがやはり大事じゃないか、それが国土庁の役目というのでしょうか、統括して国土庁がそういうことに関心を示してもらわなければいけない。それ以前にそういうことが部分的に起こり得た、あったとしても、それは結果的には何ら意味を持たない。やはり大きな一つ計画の中で空港それ自体の機能が十分活用されなければいけない。空港が機能したって、周辺整備が不十分であるという段階では、これは地元との協議にならないわけなんですよ。  国土庁長官に重ねてお伺いをいたしますけれども長官、いまお聞きのように、運輸省としてはそういう本体工事に絡む路線の延長だとか、一定計画を示しているわけですね。十分ではありませんよ、十分ではありませんけれども、しかし、それだけでは周辺整備には何ら——あるいはそのことによってさらに周辺整備を補強しなければいけない。たとえば湾岸線延長地域にどう波及するか。そういう意味では、国土庁が十分な対応ができていない今日、四月や五月に予備協議をするということについて、国土庁長官はどう受けとめられますか。
  18. 原健三郎

    原国務大臣 大体、運輸省が積極的に話を進めておるということは私どもも仄聞いたしております。正式には申し入れてきてくれておりませんが、もし、たとえばですが、五月、六月に関係省庁で一応打ち合わせをやるというふうになりましたら、私どもは喜んでその打ち合わせに進みたいと思っております。それは一回ぐらいやったとか二回やったから全部の周辺整備のことがぴっしゃり決まる、こういうところまでは至っておりません。これは運輸省だって同様です。でありますが、運輸省がぜひ周辺整備について相談に乗ってくれというなら、喜んで積極的に五月でも六月でもそれに応ずる考えがございます。  さらに、それなら国土庁でもっと周辺整備を積極的に急いでやれという議論もございますが、地元との関係があります。大阪府とか和歌山県等々がどういうことを希望するか、どういうことをやってくれと言うか、まだその点の交渉も私どもとしては進んでおりませんが、とにかく運輸省がそういう予備的な、予備的のもう一つ予備的というような会合になるでしょうが、それが要求されましたならば、進んで応じる考えでございます。それからスタートしてもよろしいと思います。
  19. 井上一成

    井上(一)委員 長官、まだ運輸省から何の話もないし、相談もない、そしてそういう予備協議には協力体制をとる、ただ、国土庁自身もまだ国土庁の案がないわけなんですよ、そういうことの状態現状の中で、四月や五月という物理的な問題としてこれは実際に可能なのか、私はそういうことを聞いているわけなんです。実際四月、五月に国土庁としては間に合うのかどうか、そんなときに国土庁の大まかな案でも示せるのかどうか。いま局長のお話では、私の受けとめ方は無理だと言う。
  20. 原健三郎

    原国務大臣 先生のおっしゃるような考えではちょっと無理だろうと思います、しかし、私の申し上げておるのは、運輸省がとにかく予備的な交渉としてまず話し合いを始めてみようじゃないか、そうしてどういう点をやるか等々、各省庁の間において話し合いを進めてみようかというときには応じて、話を進めてみたい、こう思っておるわけであります。まだその程度でございます。
  21. 井上一成

    井上(一)委員 長官、私が指摘したように、四月、五月ごろは、いまの段階では国土庁としては無理である、ぼくはそれはそのとおりだと思うのです。しかし、運輸省が示してくればそれに協力体制をとる、こういうことですね。
  22. 原健三郎

    原国務大臣 そうです。
  23. 井上一成

    井上(一)委員 ではさらに、きょうは国土庁長官国土庁関係関連した質問に限りたいと思いますので……。  国土庁地元に示すいわゆる整備案なるもの、まだ完成しておりません、成案になっておりませんが、そういうものは、今後地元国土庁が示す、あるいはいつ示せるかわからない、しかしその整備案についてはいわゆる政府責任で必ず実施する、実施できるのだ、こういうものに自信を持って、国土庁は、地元には迷惑をかけない、すべて政府責任でそれは実施するのだ、そういう案を示してほしいと私は思うわけなんです。そういうふうにお願いを兼ねて、ひとつここで国土庁見解を聞いておきたいと思います。
  24. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 周辺整備計画という形のものをどういう形で地元にお示しするか、その辺の政府対応がまだはっきり決まっていない段階でございますので、明確なお答えはいたしかねるわけでございますが、実際に空港立地いたしまして、それに関連する周辺地域整備に関する構想がまとまり、あるいはそのために必要な施設整備事業に関する計画がまとまった段階での体制の問題として、当然国は、国の関係で主体的に整備すべきものはしっかりやりたいと思いますし、また地方公共団体等事業主体になる事業につきましても十分な協力はいたしたいと考えておるところでございます。
  25. 井上一成

    井上(一)委員 地方自治体国土庁の示す整備計画案賛成をした、あるいはそれに了解をした、そういう場合にでも、財政的に地方自治体にいわゆる負担をさせない、無理をさせない、そういうことは十分保証できるのですね。
  26. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 何分まだ周辺整備に関する問題については構想検討中でございまして、全体の事業のボリューム、中身、決まっておるわけではございませんので、関係地方公共団体に及ぼす財政的な問題等についての検討も済んでおるわけではございません。御指摘の点、必ずしも明確な御答弁はいたしかねます。
  27. 井上一成

    井上(一)委員 国土庁長官、これは話の中身としては、気は焦るけれども物はついていかない、いまはそういうような状況だと思うのですよ。まあ年度が切られておりますけれども、それに対応する仕事というのでしょうか、国土庁としても策はないわけなんですね。まあ運輸省がやられる予備協議、たとえばそういうことを通してまた国土庁見解を明らかにしていくということだけれども、そういうことになると、完成時がさらに先に延びていくきらいがあるのではないかという一抹の不安もあるわけなんですね。長官、どうですか。
  28. 森下元晴

    森下委員長代理 伊藤局長先にやってください。後で長官答えてください。
  29. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 事務的な問題でございますから、ちょっと事前に御説明申し上げたいと思います。  周辺整備に関する構想ないしは計画といったものを最終的に固める形というのはどうなりますものですか。国の方で案を出して、あるいは地元からこれをああしてくれ、こうしてくれという御批判をいただいて直すというやり方もありましょうし、地元卸自身で将来の展望を踏まえた構想をまとめられ、これに国が協力していくというやり方もありましょう。いずれにしても、空港立地そのものについての運輸省あるいは政府地元との協議と並行して詰めていかなきゃいかぬ問題だと私ども考えますので、空港立地内容の固まりぐあいと並行して、そういった周辺整備構想についての政府地元協議を精力的に詰めていきたいということを私ども考えたいと思います。
  30. 井上一成

    井上(一)委員 局長は何を言っているのですか。国際空港関西建設をしようという航空審答申があり、その建設に絡んで周辺整備周辺地域をどう国土庁としては整備していくのかと、これは国が示さにゃいかぬわけですね。それに対して、地元の合意がなされるがなされないか、あるいはかかわる要求が出る出ない、そういうことは後の問題で、関西空港建設に絡んでの周辺整備はこう整備していくのだという案は国が示すべきだ。そして一定の大まかな概略でも示しながら、地元がそれに対してどういうような反応を示していくか。いままで聞いたところでは、まだできてないと言うから、いつごろそういう案ができるのだ、まだいまのところ日にちもわからない、非常にいわば先の遠い話だから、それじゃその本体完成時がさらに延長されるきらいがあるのではないかと、こういうような質問をしているわけなんです、山長官からひとつ。
  31. 原健三郎

    原国務大臣 御説の点はよくわかりました。われわれとしても国際空港関西で一日も早く完成することを熱望いたしております。でありますが、国土庁周辺整備計画ができましたと言いますと、その全容を発表せいとこう言われますので、まだ発表の時期には至っておりませんが、決して怠けておってやっていないというのではございませんので、空港立地がだんだん進んでまいるに従うてわれわれも相談し、決まりましても国土庁だけではいけませんので、運輸省等とも相談して、逐次卸期待に沿うように進めていきたい、こう考えております。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 長官努力をしていくのだというそのことは、姿勢はよくわかるのです。だけれども中身、実体としてはまだ国土庁のものもでき上がってない。いま長官は、発表するといろいろ問題があると言われたが、まだ発表できるどころか、発表が実質的にはできないわけなんですよ、まだ案がないわけなんですね、そういうことの現状から踏まえて、私は期限が、いわゆる運輸省の予定しているような期限が延びるのじゃないか、こういうふうに問うているわけなんです。延びるのか延びないのか。あるいはひょっとしたら延びるかもわからない、こういうことなのか。これは長官から答えてください。
  33. 原健三郎

    原国務大臣 まだ具体的に関西国際空港をぴしゃっと何年何月にやってしまうというところまで、諸般の、何と申しますか、機が熟していないというのが本当の生首でございます。でありますから、まことに歯切れの悪いことを言っておりますが、実際には、本当のことはまだ、そういう歯切れよく何年何月までに周辺をやって、その次の空港立地はいつまでやるというところをお答えするまでには至っておりません、ただし、決して怠けておるわけではございませんので、それ相応のことをやっております。現に大阪湾岸道路なんかは、ことしも予算がついて、尼崎から西宮までの道路が開通するようになり、それをさらに今度は反対に国際空港の方へも延ばすというような計画をすでに私ども聞いておるところであります。御説は賛成でございますので、ぜひ早く完成するように努力いたしたい、こう思っております。
  34. 井上一成

    井上(一)委員 長官の言われるように、そんなに思うようにいかぬわけですから、それは努力をするということで、いまのところはそれ以上答えられないでしょうし、いつ完成するか。ところがまだ片側の運輸省運輸大臣は、一定期限を切ってこうありたい、ああしたいということを言っているわけなんですが、関西地区に本格的な国際空港を緊急に整備する必要性長官認識していらっしゃるのかどうかを、ここでちょっと念のために聞いておきたいと思います。
  35. 原健三郎

    原国務大臣 御承知のように、日本のように、成田でも、ことに関西国際空港欠陥空港であると言われております。夜は飛べないとか、いろいろな制約があるし、できることなら関西の新しい空港において、二十四時間世界の飛行機が飛んでくるように、そうして世界航空需要者の希望に沿うように関西に新たに国際空港をつくることはきわめて大事なことで、それは関西発展のためにも寄与すること絶大であろうと思います。いまのような関西の、欠陥欠陥、大変な欠陥空港になってしまっておる実情を思えば、いま建設が非常におくれておると申さざるを得ないので、われわれもその認識は人後に落ちるものではございません。急いでやりたいと思っております。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、緊急性を十分認識しているということであれば、いわゆる今日の国家財政事情等からも考えて、早くつくるというそういう状態をつくり出すために、早うつくるのにはどうしたらいいのだ、どういうことが考えられますか。
  37. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 いずれにしましても、空港建設地元の合意のない形ではできないわけでございます。私どもとしては、あるいは最初の地元との御相談が国の立場として不完全なものでありましても、できるだけ早く地元との協議を進めさせていただくのがよろしいのではないかというふうに考えております。
  38. 井上一成

    井上(一)委員 局長、それは地元の合意を得るということは大事なことだし、地元の合意がなければ建設はしない、地元との話し合いが最前提である、そういう考え方は長官も持っていらっしゃると思います、長官、もう確認する必要はないのですけれども、そういうお考えはまず持っていらっしゃいますね。地元とのその話し合いが最前提であるという考え、これを念のために聞いておきましょう。
  39. 原健三郎

    原国務大臣 それは地元のいわゆる地方自治体相談して、話し合っていくことはきわめて大事なことだと思っております。
  40. 井上一成

    井上(一)委員 これはもうほんの確認で、わかり切ったことだけれども地元の合意が、話し合いが最前提であるということ。  局長長官が、緊急に整備する必要があるかどうかという私の質問に、あると、それならば、今日の財政事情の中で早くつくるにはどないしたらいい、どういうことを考えていらっしゃるのですか、こういうことを長官に尋ねたわけです。そうしたら局長が出てきて、地元との合意が云々と言う。これはもう最初にわかったことなのだ、地元の合意ができなければやれない。地元の合意を得るために地元に示す整備案なんかがどんどんつくられていくわけなのです。ただ、それは国土庁としてまだできていない。それも、それはまだできていないのだからよろしい。運輸省は四、五月ごろと言っているけれども国土庁はできていない。それは、窓口というか対応策は何らない、それは、私は泉州沖における関西空港建設というものは運輸大臣が言っているようにそんなにテンポ早く進まぬのじゃないだろうかということを心配してちょっと尋ねたわけです。そしたら長官もそのとおりだろうという御認識なのです。では緊急必要性はどうなのだと言えば、それは緊急性を感じる、認識している、こういう流れ。そしたらどないしたらいいのだという質問を私は流してきているわけです。私のこの一連の質問に対して、どうしたらいいのか、どういう考えを持っていらっしゃるのか、長官から答えてもらいたい。ぼくは長官に尋ねたいと思う、
  41. 原健三郎

    原国務大臣 お答えします。  それはいろいろ条件があるし、私ども、それは早く関西国際空港建設のことを熱望いたしております。先生のお尋ねのように、さてどうしたらそれを早くできるかという具体策になると、なかなかそないぴしゃっとお答えすることは非常にむずかしいということを御承知おき願いたいと思います。  まず第一は、やはり地元協議して、お互いにそれは分担もありましょうが、地元地方公共団体の合意を得ることが必要であります。地元の方もかなり積極的な意見もございます。ことに大阪府下におけるいろいろな団体等もいま熱望してきております。それらとよく協議してやりたい、  もう一つ、もうちょっと景気がよくなることも非常に必要だと思う。これは莫大な国の投資を必要といたしますので、いまのように非常に国家財政が窮迫して、一番どん底に落ち込んでおる事情では、苦手おくれることは、諸般の情勢上悪い時期に入った、こう考えざるを得ませんが、そういう等々のもろもろの条件を早く克服して進んでいきたい、こう思っております。
  42. 井上一成

    井上(一)委員 そこで、国土庁長官にさらに尋ねたいと思うのですが、自民党の党内の話で、たしか三月四日だったと思いますが、航空特別委員会と交通部会というのがありまして、正副部会長・委員会議がなされたわけですね。この中では、関西地域における完全な国際空港、そのことについて党の費用と機関を使って神戸沖案を正式検討課題とすると決めた、そういうふうに私は聞き及んでいるわけです、まず、こういうことを御承知なのかどうかということ。さらには、この問題については来年度の概算要求期までに検討を終えて、できれば来年度予算調査費を概算要求する動きがある、こういうことを私は聞いているわけです。とりわけ、その参画者の中には近畿圏整備委員長が同席をされた、そういうことも私は聞き及んでいるわけなのです。これは一つの提言なのか、あるいは案の域でありますけれども、私はここで国土庁長官に、いま現在航空審が出した泉州沖案、これが非常に条件の悪い状態の中で何かもう一歩という取り組みが国の方では示されていないし、そういう中で持ち上がった神戸沖案ですね、仮称神戸沖案と私は申し上げておきますが、いままで指摘をしてきました泉州沖案、まさか並立したとは私は思わないのですけれども泉州沖案がそこまで後退しているというのか、非常に歩みが遅いというのか、急に神戸沖案が出てきたわけですけれども、この絡み、この話について、国土庁長官はどう受けとめられ、どうこれからの取り組みをなさろうとするのか、この折に聞いておきたいと思います。  さらにもう一点、阪神沖国際空港の提案という資料の中に、この資料作成に当たって多くの政府関係官庁や専門家の助力を得た、こういうことを書かれているわけですけれども国土庁はこれにかかわったのかどうか、この点も長官から聞いておきましょう。
  43. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  まず最初に、その神戸沖国際空港のいろいろな調査資料の中に、国土庁関係いたしておりません、参画もいたしておりません。  それから次に、神戸沖国際空港か泉南沖国際空港がという話ですが、私どもとしては、政府はもうすでに航空審議会の答申のとおり泉南沖にやろうということに一致してそれを進めておるところでございます。
  44. 井上一成

    井上(一)委員 国土庁長官からのいまのお答えで、政府の統一見解、そして国土庁長官としての取り組みはわかりました。ということは、自民党の中でこういう論議がなされ、こういう動きがあるということは、同じ自民党の党の中でありますし、近畿圏整備委員長がそこにかかわってくるということになると、国土庁としてもこれは無視できないと思うのですけれども、このことについては事情を十分調査されて、後刻報告をいただけますか。
  45. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 後刻御報告申し上げます。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 この資料の中では、財政的な面、財源的な面だとかいろいろと指摘をされた部分があるわけですが、それはきょうここで論ずる時間がありません。国土庁から報告を受けて、その点についてはまだ論議を重ねます。  さらにここで少し、運輸省予備協議をしたい、先ほどから何回も申し上げました。国土庁はまだ何らそれに対して対応ができていない。政府の窓口は、周辺整備としては一体どこがなるのですか。
  47. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 予備的協議に関する限りは、運輸省運輸省の案としての空港計画案、あるいは環境影響評価案、あるいは周辺地域整備関係する施設についての案をお示しすることになろうと思いますが、その後実際に空港立地するまでの段階で必要な周辺地域整備構想のまとめ、あるいはそれの実行段階打ち合わせ等につきまして、私どもはやはり近畿圏整備の立場から国土庁が中心になっていろいろまとめたいとは思っておりますけれども、言われるところの周辺整備に関するものにつきましては、地元公共団体等の所管する事業も大変たくさんあります。そういったものについては、むしろ国が協力する、地元の創意と工夫に期待しながらこれに協力をしていくという立場もあるわけでございまして、この周辺地域整備計画をどういう形でまとめるかということ自体政府対応はまだはっきりしておりませんので、窓口がどうなるかということをいまの段階お答えするわけにはまいらぬと思います。ただ、国土庁といたしましては、先ほど来申し上げますように、近畿圏整備の立場からこれに十分協力をしていきたい、また、その要請があれば国土庁が中心になってこれをまとめるという覚悟でございます。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 周辺整備国土庁が監督官庁じゃないのですか。
  49. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 近畿圏整備に関する所管一般を私ども担当しておるつもりでございますので、そういう立場から、いま御指摘のような言われ方をされますれば私どもの所管だと申し上げた方がよろしいかと思います。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 国土庁責任官庁であるのですから。ただ、空港建設運輸省の分野、道路建設、そういう点については建設省の分野。しかし総じてまとめは国土庁じゃありませんか。政府の窓口は国土庁である、これはそういう認識でよろしいのでしょう。
  51. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 私ども実態的にそのつもりで努力いたしたいと思います。
  52. 井上一成

    井上(一)委員 さて、そういうことで、繰り返して念を押しておきますけれども予備協議の問題については運輸省サイドの話であって、国土庁としてはこれについてはまだ具体案がないということは先ほど申されました。国土庁を窓口とする政府関係機関の調整あるいは根回し、そういうことも含めてですよ、そういうことを含めて、運輸省の出しているこの予備協議というものは政府意思ではない、運輸省意思ではあるけれども政府の統一意思ではない、そういうことでございますね。もちろん、国土庁がそれに加わるだけの条件はまだ備わっていないということは冒頭に言われましたから、そこはもう聞きません。わかっています。理解をしています。国土庁周辺整備政府全体の窓口である、それもいま確認をし合いました。だから、運輸省の言う予備協議というものについては政府の統一した意思ではない、そう理解してよろしいですね、
  53. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 運輸省限りの案で事前に提示されるものと理解をいたしておりますが、運輸省といたしましては関係省庁に関する部分については当然下打ち合わせその他があるものと理解いたしております。
  54. 井上一成

    井上(一)委員 だから私は、政府意思というものを地元協議の中で示していかなければいけない、こういうことは指摘しておきたいと思います、その中で、運輸省の案があり、国土庁と、あるいは関係省庁、農水省もあるでしょうし、建設省もあるでしょうし、そういうものがすり合わせられて、地元周辺整備の、あるいは建設に絡む地域構想というものを示していかなければいけない。そういうことなんですが、原長官、私の見解に同意、そのとおりとおっしゃるのか、お疲れでしょうけれども、ちょっとその点、
  55. 原健三郎

    原国務大臣 あなたの見解はそのとおりでございます。
  56. 井上一成

    井上(一)委員 局長、いま長官がおっしゃったように、私は、素直なお答えで、そのとおりだと思う。全く実態はそうなんですよ。本音なんです。そういうことを考えてみると、私は決してこの問題についていまの段階でどうだ、こうだということは申し上げませんけれども、流れとしては、運輸省の切なる願望というのでしょうか、こうありたい、早く建設したい、あるいはこうしたいのだという気持ちが先に走って、そして実体が伴わないのだ。言うたら、運輸大臣にえらい申しわけないけれども、リップサービスみたいなもので、口ではああだこうだ、努力します、検討しますと言ったって、実際は、幻の計画とまでは言わなくても豆腐の上にレールを敷いておるようなものですよ。関西空港泉州沖建設するというそのレールを豆腐の上に敷いておる。そういう点から阪神沖というものがまた出てきた。きっちりとした基盤の上にレールを敷かぬからいろいろな話が出てくる、どちらを選択するかということについては、泉州沖だ、国土庁長官はそうおっしゃって、それが政府見解だということだからそれはよくわかったのですけれども、もう少し地元の合意を得るためにも政府努力、そして具体的な案というものを示さなければ、この問題についてはなかなか基盤のかっちりしたところにレールは敷かれませんよ、こういうことなんです、長官。私はそう思ってこの問題を指摘してきたわけなんですけれども国土庁長官として、いま私が申し上げたそういうことを十分踏まえて今後対応していただきたい、こう思うのです。
  57. 原健三郎

    原国務大臣 御説をよく拝聴いたしました。その御意見を踏まえて、きわめて積極的に推進いたしたい、こう考えております。
  58. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、国土庁長官と、局長にもあわせて聞いておきます、  関西空港建設というこの問題が持ち上がったのは大阪の現国際空港の対策として新空港建設が持ち上がったわけでありますから、そういうことについてはもうしつこく申し上げません。新空港泉州沖にしぼって対応するという、国土庁長官としてはさっきからそういうお答えがあるのです。現空港に対して国土庁としては、いわゆる環境整備から周辺の土地利用等も含めて具体的にどういう取り組みをしていくのか、これは局長からひとつ聞かせてほしい、  長官からは、国土庁泉州沖にしぼって対応していく、そのために現空港の対策はどういう方向で取り組んでいくのだということを、ひとつここで聞いておきたいと思います。
  59. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 空港並びに空港周辺に関する諸問題につきましては、もっぱら運輸省の専管としてやっておることでございます。私ども国土庁として直接所管をいたしておるわけではございませんので、明確なお答えは御勘弁いただきたいと思います。
  60. 原健三郎

    原国務大臣 お答えします。  伊丹空港については、これは運輸省の専管でありますので、国土庁意見を申し上げることは差し控えたいと思います。
  61. 井上一成

    井上(一)委員 局長空港それ自体は運輸省です。それはさっきからの泉州沖空港もそのとおりなんですよ。そのいわゆる対策、公害対策とかあるいは現空港の対策を講じていく上で国土庁としては全く関与しないのだということなのか、そんなことはないわけなんです、やっぱり国土庁にもかかわってくる問題が起こっておるわけなんだから、そういうことについて国土庁は窓口として、近畿圏整備という中でどうとらえていくのか。跡地利用の問題も含めて建設省とそういう詰めの話をなされておるのか。
  62. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 御指摘のとおり、私ども近畿圏全般の問題として関係各省と御相談を申し上げまして、近畿圏整備のための基本的な構想をまとめ、またはそのために必要な施策を立案し、その実施の推進を調整し、図ってまいるわけでございますが、個々の事業につきましてそれぞれ所管省というものもあるわけでございます。私ども国土庁限りで、もちろん現在の伊丹空港に全く無関心というわけではありませんけれども、その限りにおきましては、たとえば近畿圏基本整備計画、私どもが中心になってまとめた計画でございますけれども大阪国際空港については「空港周辺における航空機騒音による障害の防止等のため、発生源対策及び民家防音工事、緑地の整備等の空港周辺対策を積極的に推進し、地域社会との調和に努める。」云々という事業一つの方針として出ておりまして、運輸省の方針として運輸省の方で精力的に進めていただいておるものと理解しております。
  63. 井上一成

    井上(一)委員 そういうふうに具体的に防音対策も含め、あるいは跡地の問題も含めて運輸省がちゃんとしてくれている、実態はそうじゃないわけです。歯抜け状態になって点在している、そういう状態をどう効率的に跡地の問題を処理していくかということに触れないといけないわけなんです。だから、そういうことに国土庁として取り組みをより積極的に進めてもらわなければ困るし、運輸省にも建設省にもそういう話し合いを持ってもらわなければ困ると思うのです。そういうことは運輸省が一生懸命やっていると思っておりますということでなくて、現在実態を承知しておるのか、そういう実態を承知していなければ実態を調査して、十分なのか不十分なのか、不十分であればどうするのかということを私は聞いているわけなんです。国土庁としてはさらに現空港問題について実態掌握の上に立って対応策を講ずるべきだと思うのですけれども見解を聞かしてください。
  64. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 御質問の中で、跡地云々という点、私ども実態をよく認識しておらぬのでございますが、御趣旨の点、運輸省に伝えまして、勉強いたしたいと思います。
  65. 井上一成

    井上(一)委員 そのことについても国土庁として報告を受けて、またその問題については指摘をしていきます。  さらにここで、地価公示制度の問題について若干尋ねておきます。  現在の地価の公示制度は地価の抑制に十分役立っているというふうに考えていらっしゃるのかどうか。
  66. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価公示制度につきましては、都市地域等におきまして、標準地の正常な価格を公示するということにしておりまして、公的及び民間におきます土地取引等におきます適正な地価の形成に資するということが目的でございます。現在のところ一般の土地取引に対しましては、その指標とする。さらに、不動産鑑定士等が鑑定評価を行う場合には、その基準とする。公共事業の実施におきます土地の取得価格の算定及び補償金の額の算定の規準とする。国土利用計画法によります土地取引の許可制及び届け出制におきまして、土地取引規制の基準とするなどなど、地価公示法と国土利用計画法等に定められているわけでございますが、私どもそれらの点におきまして、正常な取引価格の形成に十分効果を上げておるというふうに考えております、
  67. 井上一成

    井上(一)委員 いまの公示制度、いわゆる売買実例でいわば地価の価格を追認しているような形なんですね。それで、そういうような形をとっている以上は決して地価の抑制に役立っているとは言い切れないと思うのですよ。  そういう点で、それではさらにもっと具体的に聞きましょう。  国土利用計画法による二千平米以上の取引について、これは現在どんな形で処理をされているか。説明を聞く前に私の方から、これは都道府県に届け出の義務づけがあって、地価については知事が指導する、そういうことで地価についての知事の指導、価格の決定の基準は一体あるのかないのか。そういう価格の基準、一つの決定の基準があるのかどうか、そういうことも聞いておきたい。  さらには、分割取引という、たとえば二千平米以上を細分化していく、そういう形の中では、こういう指導からは抜けられるわけです。そういうことによって、いわゆる合法的というのでしょうか、法の網の目が大きいからそれを小さくくぐり抜けるという方法、手段があるわけなんです。そういうことについて知事から勧告というのでしょうか、注意、そういうことをした事実があるのか、あるとすれば何件ぐらいそういう事例があるのか、このことについても聞いておきます。
  68. 山岡一男

    ○山岡政府委員 まず地価公示の性格でありますけれども、地価公示につきまして「正常な価格」といいます場合には、いわゆる不動産鑑定評価基準等に基づきましていわゆる取引事例法、周辺の取引の中でいろいろな取引がございますが、その中で売り進み、買い急ぎ等については捨象いたしますけれども、十分参考にいたす取引事例法、それから収益還元法、造成原価法等々、不動産鑑定評価基準で定めております鑑定手法によりまして正常価格を判定しておるものでございます。  国土利用計画法の運用に当たって都道府県がそういうものを運用する場合の基準は何かということでございますけれども先生御案内のとおり、地価公示の地点は実際にはどういう地域にあって、どういう形状で、駅からどれくらい距離があって、地域、地区はどういう地区で、それから容積率は何%で。法律上の規制はこういう地域にかかっているということ、それが全部地価公示の内容でございます。したがいまして、国土利用計画法上そういうものを運用いたします場合には、最寄りのそういう地価公示の地点とそういう諸元を全部比較いたしまして、それと比べればこちらの方は駅に近いから高いとか、遠いから安いとか、そういうようなことをすべて比較をいたしまして一応の基準を出すわけでございます。これは地価公示法におきましては十一条というのがございまして、規準とせよというふうに書いてございます。規準の規というのは、実際申しますと基という字ではなくて規という字を使っております。それを物差しとしてよく比べなさいという趣旨でございまして、そういうものをいわゆる国土利用計画法上の運用の際の基とするということでございます。  それから分割取引でございますが、これは「一団の土地」というのが法律上書いてございまして、一団性ということについては先生おっしゃいますとおり、逃げようと思えば分割で発注する場合もあるわけでございます。これにつきましては、特に一団性の取り扱いにつきまして厳重に監視をするということが国土利用計画法の運用上都道府県にきつく指示してございます。したがいまして、そういうふうな分割行為がありました際に強く指示をいたし、指導もいたしております。相当件数やったということは間違いございませんが、いま私の手元に具体的資料がございませんので、何年に何件そういう指導をしたかということにつきましては後刻資料でお届けしたいと思います。
  69. 井上一成

    井上(一)委員 いまの答えは、さっき私が言った売買実例での地価を追認をしていく、だから売買実例を基本、基準として地価の公示制度が成り立っている、こういうふうに思うのです。だから新しい地価抑制策という中から公示規準というものはきっちり定めていくべきではないだろうか、こういうことなんです。だから価格の決定の基準なんというものはあってないようなものだ。駅からどうだとかこうだとか、いま周辺の売買実例を参考に、あるいは土地の形状だとか言われているけれども、実際は地価がどんどん上がる中で十分な役割り、役目を来たしてないという認識に私は立っているわけです。  さらには、実務的なものは市町村、いわゆる自治体に任せておるわけなんです、国の方ではいろいろ言われるけれども、知事だとかあるいは市町村に、自治体にこういう問題については任せているというそういう実態、大いに考え直すべきだ、こういうことです。  さらに私はもう一点、近畿圏整備法に関連して尋ねておきます。  少し長い名称ですけれども、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律、これは特例法でしたけれども延長になったわけでありますが、やはり対象事業の拡大というのでしょうか、そういう事業が拡大されている。さらには補助率の引き上げ等、これはいままでも何回となく国に要望、陳情しているわけですけれども、実態は、たとえば五十六年度の例をとっても、私の記憶では、たしか前年度に比べて補助枠は総枠で七%だったか減額になっていると思うのです。そういう実態の中では、本当に財政的に十分な充実を図っていくのだとか、あるいは計画的に事業を進めていくということに非常に支障がある。むしろ近畿圏整備を図る上においてこの法律の趣旨を生かすためには、裏づけの財源、財政というものがもっときっちり整備されなければいけないし、何ぼせっかく特例法を延長しても、その裏づけが総枠で昨年度より減額をしている、こういう実情。国土庁として、いや要求をしたのだけれども大蔵で削られたのだとか、あるいはいろいろな国家財政の中でこういうものが沈められたのだと、それは思いますけれども、やはり日本の国土の有効かつ適切な利用ということの見地に立てば、私は、もっともっと中身も含めて充足をしていくべきである、ひとつそういうことに対する見解、さらにはさっき指摘をした地価公示制度の問題については、後刻資料を提出していただくということですけれども指摘したことについて検討をすべきではないか、こういうことを尋ねて、私のとりあえずの質問を終えます。  あと残された分については留保しておきます。
  70. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 首都圏、近畿圏等の近郊整備地帯並びに再開発区域に関します財政特例法、自治省所管でございますが、事業そのものの調整は私どもの方でやっておりますので、私どもといたしましては、御指摘のとおり、これら政策区域の今後の進展のために、できる限り手厚い措置はお願いをいたしたいところでございますが、何分現下の財政事情もございます。また、これまでの措置によりまして、若干実績が上がったということも考えられるわけでございまして、自治省の御努力でこれまでの延長がとりあえずできましたことを大変ありがたく思っておるわけでございます。  いま御指摘になりました数字の点、私ちょうど手元に数字を持っておりませんのでございますが、いまのところ五十二年度の実績、五十四年度支での数字が出ておるかと思います。総枠としてどういう状況になっておりますか、ちょっと突然の御質問で数字は持っておりませんので、後刻御報告申し上げたいと思います。
  71. 森下元晴

    森下委員長代理 新村勝雄君、     〔森下委員長代理退席、東家委員長代理     着席〕
  72. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、これは国土庁の広い意味での所管になると思いますけれども、土地区画整理事業に関連をするその中での課税の問題を伺いたいと思うわけです。  その前に、いま日本におきましては、宅地の供給が非常に逼迫をしておる。それが主要な原因で土地の値上がりがかなり顕著であります。消費者物価の平均をはるかに超えて土地の値上がりが続いておるという状況でありますが、国民生活の安定のためにも、やはり地価を安定させるということはきわめて緊急の課題であると思います。その中で土地区画整理事業というものが、地価の安定及び宅地の安定的な供給のためにかなりの役割りを果たしておると思うのですけれども、土地区画整理事業が土地政策の中で占める位置づけ、これについては国土庁としてはどういう基本的なお考えを持っておりますか。
  73. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生おっしゃいましたとおり土地区画整理事業につきましては、土地供給のために、宅地供給のために非常に有効な手段でございまして、ウエートも高いというふうに考えております。
  74. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、国土庁としては、もちろん政府としても、今後とも土地区画整理事業については強く推進をされる、そういう御方針でよろしゅうございますか。
  75. 山岡一男

    ○山岡政府委員 積極的に推進していただきたいと考えております。
  76. 新村勝雄

    ○新村委員 そこで一つの問題点があるわけなんです。それは、土地区画整理事業を行っておりまして、事業計画の決定から清算までの間には相当の期間がかかるのが普通であります。そしてそういうことは望ましくはないのですけれども計画決定の時点と清算の時点では地価がかなり違ってくる、高騰してくるということが事実としてあるわけであります。そして、本件は千葉県の松戸市内において行われておる土地区画整理事業の実例でありますが、当初の計画とそれから清算の時期との間において減歩卒が約一〇%程度少なくて済むという、こういう事態が起こったわけであります。そこで清算のときに、普通ならば、その差がわずかであれば金で清算をするのが通例でありますけれども、この場合には一〇%、しかも相当面積の土地を持っておる方がおられるということで、この清算の段階で土地をもって清算をしようとしておるわけです。すなわち保留地を持ち分に応じて土地で返還をして清算をする、こういう方法をとろうといたしておるわけでありますけれども、その場合に、土地で返還をされた分については一時所得として課税をされる、こういう状況があるわけであります、この点については、常識的に考えても非常に納得がいかないわけでありまして、本来ならば、最初に減歩卒が正確にわかっておれば、清算のときに土地で返すその土地というものは、換地のときに各地主が換地を受けて返還を受ける土地の中に当然含まれるべきものである、ところが、最初にそれがわからなかったために、清算の段階で追加をして土地を返した。いわば追加換地、そういう言葉があるかどうかわかりませんけれども、追加換地という形で地主に返すわけであります、この返す分についても所得として課税をされるということでは、これは常識的にも非常に納得いきがたいものでありますけれども、その点について、ひとつ御見解をいただきたいと思います。
  77. 山岡一男

    ○山岡政府委員 土地区画整理の実施の途中で地価が変わったということで、たとえば保留地処分の価格等につきまして影響があるということは想像できます。そういう場合、私ども、第一義には土地区画整理の計画変更の問題ではないかと思います。土地区画整理事業につきましては、所管省でございます建設省におきまして十分指導がなされておるということであろうと思いますが、いま先生がおっしゃいましたようなお話につきまして、私ども詳細を十分承知しておりませんので、この場で意見を申し上げることは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、土地区画整理事業は宅地供給のために非常に重要な事業だと考えておりますので、御指導よろしきを得ましてりっぱに進むことを期待しております。
  78. 新村勝雄

    ○新村委員 こういう問題が起こりますと、これは組合員に対してはなはだしく不利になるわけでありまして、土地で返ってきたその土地に対して課税をされる、それから、返ってきた土地を売りますとさらに課税をされる、こういうことでありますから、これは土地区画整理事業の健全な運営、発展からいたしましてもかなり障害になる問題ではないかと思うのです。返ってくる土地というのは本来がその人の土地でありまして、一時組合に委任というか委託というのかをして運営をして、清算の段階でそれだけ減歩卒が低くて済んだということで返ってくるわけでありますから、これは本来自分が預けておいたものをもとに戻すわけでありますから、これは所得ではないというふうにどうしても考えられるわけですね、そこのところをひとつはっきりしていただきたいのです。
  79. 山岡一男

    ○山岡政府委員 これはむしろ建設省の御答弁の範囲かと思いますが、私ども承知いたしておりますのは、土地区画整理の場合、公共施設整備をいたしまして、宅地を、相互換地をいたしましてきれいに整理をする、その場合のかかりました費用を保留地の処分によって賄うというのが土地区画整理の基本的なスタイルであろうと思います。その場合の保留地の値段が変わって、そのために少なくてよかったというのが先生御設例のケースだと思いますが、私ども、そういう場合には計画変更というのが本来でございまして、計画変更によりまして適正な保留地の減歩がなされるということが土地区画整理の本道じゃなかろうかと思うわけでございます。しかし、いずれにいたしましても詳細は土地区画整理を主管しておられます建設省の守備範囲でございますので、私としての考えを申し上げさしていただきました。
  80. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  本件事業につきまして、ただいまの保留地の件でございますが、実際の処理に当たりましては、保留地のうち二・一五%につきまして、地権者に対し優先的に売り渡したものと聞いております。したがいまして、換地として地権者に指定したものではございませんで、保留地として定めたものを地権者に売り渡したというふうに聞いております。
  81. 新村勝雄

    ○新村委員 それは、もともとがそういった事情を十分承知していないということのためにそういう考えを一時は起こしたようでありますけれども、そうじゃなくて、この事件の性質そのものは、自分のものが返ってくるということがこれは事実でありますから、こういう場合には土地で地主に返して、それに対しては課税をしないという扱いをすることが正しいのではないかと思うのです。その一つの根拠としては、土地区画整理組合は本来土地を持ち得ないと、こういうのが従来の政府見解だと思います。そういたしますと、保留地というのは、便宜上組合が保存登記をしますけれども、これは所有権が組合に移ったわけではない、本質的にはですよ、便宜的に保存登記をしておるということだと思うのです。そうなってまいりますと、所有権は組合には本質的には移らないわけでありますから、一時組合がその土地を保管をしておって清算の段階で、あるいはまた換地の段階で地主に返すということだと思います。そうなりますと、自分のものを買うというのはおかしいし、返ってくる土地に対して課税するということもこれまたおかしいわけでありますけれども、いかがでしょうか、
  82. 依田和夫

    ○依田説明員 区画整理法上、九十六条に保留地を定めることができるようになっておりますが、保留地につきましては、換地処分によりまして施行者の所有地となるというふうに定められております。したがいまして、保留地となりました場合には従前の権利者の所有地ではなくなるということでございます。
  83. 新村勝雄

    ○新村委員 昭和五年五月八日農局一一〇五号、鹿児島県知事あて農務局長通牒というのがありますけれども、これによりますと、これは土地区画整理組合でも同じだと思いますが、「耕地整理組合は整理施行地区内の土地所有者を以て組織する社団法人であるから組合自ら土地を有する能力はない。従って組合地区内の土地を競落することはできない。」という通牒があるわけです。これは、区画整理組合が本質的に所有権を有することはできないということを、当時の農林省でしょうけれども、から通牒が出ているわけですね。これと矛盾すると思いますが、その点はいかがでしょうか。
  84. 依田和夫

    ○依田説明員 土地区画整理組合は組合員によって構成されておりますが、保留地を売却いたしますのは組合員と限定することはございませんで、第三者に売却をいたすのが通例でございまして、したがいまして、組合の構成員と保留地の譲渡を受ける方とには法的な関係はないというふうに理解をいたしております。
  85. 新村勝雄

    ○新村委員 ですから、組合はその保留地を所有する機能がないというのが政府見解だと思うのですよ。ですから、保存登記はするけれども、これは組合員のものを一時預かっているのだ、本質的に所有権がそこに移転するのではない、こう解すべきだと思うのですが、いかがですか。
  86. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  保留地は事業によって新たに生み出された土地でございますので、組合員の所有に帰属する土地ではございません。
  87. 新村勝雄

    ○新村委員 新たに生み出された土地ということではないでしょう、これは組合員の全体の土地のうちで、その一部を費用のために保留地として保管するわけですから、新たに生み出されたものではないのですね、これは組合員の共有地でしょう。ただ、現在の登記法上は共有地として登記することができないということで保存登記は確かにしますけれども、これは組合のものではないと思います。その点はいかがでしょう。これは個々の組合員の所有土地の集合体であって、組合のものではないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  88. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  保留地は、事業の費用に充てるため、また組合の定款に定められた目的のために定めることができるということになっておりまして、その目的のために定めました保留地は、そのような意味で組合員の土地ということではないということでございます。
  89. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、昭和五年の農務局長通牒、この解釈はどうなるわけですか。それと矛盾しないですか。
  90. 依田和夫

    ○依田説明員 換地処分によりまして保留地が確定いたします。したがいまして、換地処分前におきましては、保留地はいわゆる未指定の土地という状況に置かれておるわけでございます。
  91. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、もう一つの事実があるのですけれども、この区画整理の最終の清算の段階で登記をしたわけです、これは減歩卒が低下をしたために土地が相当余った、その土地を組合のメンバーに返したわけですけれども、返したときの登記の登記原因が、民法第六百四十六条二項によって所有権を移転するということになっておるわけですよ。そうなると「受任者力委任者ノ為メニ自己ノ名ヲ以テ取得シタル権利ハ之ヲ委任者二移転スルコトヲ要ス」、これは六百四十六条二項ですけれども、この条項に基づいて、預かっているものをもとに返した、こういう登記原因になっておるわけです。ですから、これは売買でもなければ贈与でもないし、また代物弁済でもなければ収用でもないわけで、預かっているものをもとに返したのです、こういう登記原因になっておるわけです。そうしますと、いまの御説明とは矛盾をいたしませんか。
  92. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、この問題については十分掌握をいたしておらないところでございます。もし必要がございますれば、この点をさらに詳細に調査いたしたいと思います。
  93. 新村勝雄

    ○新村委員 その点については、法務省からいらっしゃっていると思いますが、御説明をいただきたいと思います。
  94. 青山正明

    ○青山説明員 先生の御指摘のように、この保留地につきましては、土地区画整理組合のために所有権保存の登記がされました後に、恐らく組合員だと思いますが、数人の方に対しましてその所有権の一部移転の登記がされております。その登記原因は、先生指摘のように、民法第六百四十六条第二項による移転というふうにされております。  この登記がされました経緯でございますが、御承知のように、この所有権移転の登記は、登記権利者及び登記義務者の双方の申請によってされるわけでございますが、その申請の際に、当事者がその登記の原因を民法第六百四十六条第二項による移転ということで申請されまして、登記官はそれをそのまま受理して登記をしたという経緯でございます。
  95. 新村勝雄

    ○新村委員 そうなりますと、登記所としては、法務省の名においてそういう事実をここで確認をなさっておるわけですね。この登記原因は、民法六百四十六条二項によるということでここに確認をされ、それに基づいて所有権が移転をされたわけでありますから、これは国の最も権威ある法務省の御判断によってそういうことが確認をされているわけですね。
  96. 青山正明

    ○青山説明員 所有権の移転の登記を申請する場合の申請書には、登記原因を証する書面がある場合にはその書面を添付することになっておりますけれども、登記原因を証する書面がない場合あるいはこれを提出することができない場合には、これを提出しないで、申請書の副本を提出するという手続になっております。  本件のケースの場合には、登記原因証書がないということで、申請書副本を提出して登記がされているわけであります。したがいまして、登記官といたしましては、申請のように民法六百四十六条二項による移転が真実あったのかどうかということを必ずしも確認しているわけではございません。これは登記手続法上そのような原因が実体上あるのかどうかということは、登記官の審査事項にはなっていないということからそういうことになっているわけでございまして、したがいまして、先生おっしゃいますように、登記官の方が民法六百四十六条二項による移転があったということを確認したという意味は持っていないというように御理解いただきたいわけであります。
  97. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、登記簿に記載されてある事項は、事実を法務省が確認をされて、その上でそういう処分がされたということではないのですか。
  98. 青山正明

    ○青山説明員 登記は、実体上の権利関係を正確に公示するということがその使命でございますけれども、その実体的な真実を確保するためには、登記法の所定の必要な手続を踏んで、必要な添付書類を添付して手続がされるということによって担保するという仕組みになっているわけでございます。所有権移転があったということでその所有権移転の登記をする場合には、登記権利者と登記義務者が双方で申請をするということを通じて、実体的な真実が確保されるようにという手続構造になっております。登記の原因につきましては、必ずしも登記官の方でそれが真実かどうかということを実質審査するといったてまえにはなっておりませんので、そういう意味で民法六百四十六条二項による移転の原因が確かにそうであったのかどうかということは登記官の審査事項にはなっていないということでございます。  ただ、なお念のために付言させていただきますと、登記原因が登記されている原因と仮に一致していないということがございましても、所有権の移転自体があった、別な原因ではあるけれども所有権の移転自体はあったということでございますればその登記は有効であるということが、学説、判例上異論のないところでございます。
  99. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、所有権の所在についてはこれで確認をされるけれども、登記原因については国は責任を持たないということですか。これではちょっと困ると思いますね。登記原因というのは、所有権が移転する場合の原因としては重要な一つのファクターであるはずですから、これが登記簿に記載された事実と違う、違ってもそれは責任持てないということでは非常に困ると思うのですけれども、それはどうなんですか。
  100. 青山正明

    ○青山説明員 先ほども申しましたように、登記は実体上の権利関係を正確に公示するということがその究極の使命であるわけでございますけれども、しかしながら、真実の原因が何であるかということを登記官が実質的な審査をするといったてまえをとりますと登記の円滑な迅速な処理ができなくなるということが考えられますし、また登記官の判断というものも、そこまで厳格に判断ができるかどうかという問題もあるわけでございます。  そこで、実体関係に適合した登記をするという要請と、迅速に登記をするという要請との調和点といたしまして、当事者双方からの申請によって登記を処理するというのが不動産登記法のたてまえとされているわけでございます。
  101. 新村勝雄

    ○新村委員 先ほどのお答えで、所要の書類をつける、書類がない場合には登記官の認定によって行うのだというふうにおっしゃっておりますが、少なくとも登記官がこういう事実が事実としてあったというふうに認定をされたからこういう内容の移転になったわけですね。これは間違いないと思うのです、そうじゃなくて、でたらめやったということじゃ絶対ないはずですから、それは認めていらっしゃるわけですよ。そうしますと、この記載はやはり国が責任を持っていただかなければ困りますよ。これは実際はこう書いてあるけれども、実体はどうだかわからないのだ、それについては責任を持ちませんよということでは、これはないと思うのです。
  102. 青山正明

    ○青山説明員 私の先ほどの御説明が舌足らずだったかもしれませんけれども、不動産登記法上、登記原因を証する書面が添付されない場合には、登記官が職権で実体的な判断をした上で登記をするということではございませんで、登記原因を証する書面がない場合、あるいはあってもそれを提出することができない場合には、申請書副本を提出するという構造になっておりまして、登記原因が真実あったのかどうかということは、登記官の判断事項とはされていないわけでございます。  したがいまして、たとえば実際は売買が行われたにもかかわらず、贈与というような登記原因で登記の申請がございますと、贈与ということで登記がされるということがあるわけでございます。それは実体に合っていないということになるわけでございますけれども、贈与にしろ売買にしろ、所有権の移転があったということは確かでございますので、登記原因の記載において実体に合わない面がございましても、その登記は有効であるという解釈になっているわけでございます。
  103. 新村勝雄

    ○新村委員 本件については、申請書の副本が添付をされたというふうに先ほどおっしゃっていましたね。ですから、それによってもこれは民法六百四十六条の二項でやることが妥当である、正しいというふうな認定がそこでなされておるわけですね。
  104. 青山正明

    ○青山説明員 このケースの場合に民法第六百四十六条二項による移転があったのかどうかということは、先ほど来るる申し上げておりますように、登記官は確認しているわけではございませんが、ただ、一般的に申しますと、不動産の所有権が民法第六百四十六条の二項の規定によりまして移転することがあり得るということから、そういう申請がされればそのまま登記官としては認めて登記をしたということであろうというふうに思います、
  105. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、最後にはっきりお答えをいただきたいのですが、この記載については法務省としては責任をお持ちになるわけでしょう。
  106. 青山正明

    ○青山説明員 責任を持つかというお尋ねでございますが、これが実体的にもそのとおり間違いないかどうかということは、先ほどから御説明しておりますように、登記官の審査を経ておりませんので、私どもとしてはこれが真実であるということは断言はいたしかねるわけでございます。
  107. 新村勝雄

    ○新村委員 しかし法務省の公簿にはっきりと記載されておるわけでありますから、これをもとにして、その他の関係する、あるいは派生してくる問題の判断の根拠に一応はなる、そう考えざるを得ないわけです。  そこで、別の質問になりますけれども、こういうことで、この保留地というのは、別々に登記はされていないけれども各メンバーの土地の集合体であって決して組合のものではない、保存登記かされているけれども組合のものではないということが言えると思うのです、これは農務局長の通牒によっても明らかでありますし、この登記によっても明らかです。この登記が正しいということであれば、そう判断せざるを得ないわけです。ですから、追加換地、後で追加して交付された土地というのはその人のものであって、組合に預けておいたものがもとに戻ってきたということであって、これは所得ではない。絶対に所得と認定できる根拠はないわけですね。そういう観点から、ひとつ国税庁御当局の御意見を伺いたいと思います。
  108. 木下信親

    ○木下説明員 ただいま法務省からお答えがございましたけれども、私どもとしましては、登記簿を含めまして、あるいは契約書等いろいろな資料を総合判断いたしまして、本件の取引は売買契約であるということで処理を進めております。
  109. 新村勝雄

    ○新村委員 一方には預かったものを返したのだという、こういう公簿があるわけですね。公簿というのは公に国の機関によって認定をされておる、そういう根拠があるわけですね、そうしてまた、組合は土地を持ち得ないという、こういう政府の統一見解が一貫してあるわけですね。こういう状況の中でもとの地主に返ってきた土地が、これは所得である、こう断定されたのでは全く理解に苦しむわけなんですが、長官いかがですか、この問題についてどういう印象をお持ちですか。
  110. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど御答弁申し上げたわけでございますが、詳細は私どもよく了知いたしておりません。したがいまして、御意見は差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしろ土地区画整理事業は大事な事業でございますので、その辺のところを関係省の間でもよく詰めていただいて真っすぐ事業を進めていただくということが一番大事だと考えております。
  111. 新村勝雄

    ○新村委員 国税庁は所有権の問題であるとかあるいは課税の問題等については法令に基づいて判断をする以外にはないと思いますけれども、本件については、特措法であるとかあるいは所得税法をストレートに適用される状況ではないと思うのです。どうでしょうか、その点は、ストレートに適用はされない。たとえば登記簿にこういう記載があるということもあるわけですから、これは自分のものを返してもらったのだということを登記簿がちゃんと証明しているわけですから。こういう状況の中で現在の特措法の規定なり所得税法の規定なりはこの事実によってその直用を排除される、これは重要な要件になるのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。     〔東家委員長代理退席、森下委員長代理     着席〕
  112. 木下信親

    ○木下説明員 先ほど申し上げましたポイントのほかにもし先生のようにお考えになりますと、土地区画整理法の法律構成そのものを否定せざるを得ないということでございまして、税法あるいは特別措置法というのは、土地区画整理法の厳格な手続を経た換地計画、これに基づく換地処分、これを前提としまして租税特別措置法の「譲渡がなかったものとみなす。」という規定ができているわけでございまして、これを否定するということは税法が予定しているところではございません。まして国税庁の通達でそういうことができるわけではございません。そういうことでございますので、私どもとしましては、先ほど申し上げましたことも含めまして、これは売買契約に基づく土地の移転であるということで、一時所得ということで課税をさせていただきたいと考えております。
  113. 新村勝雄

    ○新村委員 これはもともとが、保存登記をする場合も構成メンバー全員の共有地として登記をしておけば問題ないと思いますね。そうすればこれは共有地が返ってくるわけでありますから問題はないわけでありますけれども、一時組合が所有権の保存登記をしておったというところに問題があると思うのです。ここで所有権が中断をされる、所有権がここで失われる、こういうことになると思うのですけれども、そこでお伺いしたいのですが、これからこういう事態が方々であるかもしれませんね。そこで、土地区画整理事業の円滑な推進を図るためにはこういう事態を制度的に解決をしていく必要があるのじゃないでしょうか、建設省としてはいかがですか、
  114. 依田和夫

    ○依田説明員 土地区画整理法に定められました換地計画の変更等によって対処すべきことと考えられます。したがいまして、保留地として定められました以上は保留地が換地処分の翌日において施行者に取得されることになるわけでございますが、その処分によってもたらされます、直接的には土地区画整理法ではございませんけれども、もたらされます結果につきましてはやむを得ないものと考えるところでございます。
  115. 新村勝雄

    ○新村委員 これは換地計画の変更をしますと相当の時間がかかるわけです。そうすると、地主にとっても、それからまたそこに入居しようとする人にとっても大変な障害になってくるわけですね。ですから、清算の段階で残った、余分になった、その土地のその部分だけについての配分計画をそこで決定をして、それを行政庁が認可をする、そういう便法はとれないものですか。その点はいかがでしょう。
  116. 依田和夫

    ○依田説明員 今回のケースに見られますように、保留地としてこれを権利者に売り渡すというやり方もあったわけでございますが、区画整理の手法上の問題と課税の問題とは別個な問題でございますので、もし課税の問題を予測いたします場合には、めんどうというお話もございましたけれども、換地計画の変更をするというのが筋道ではないかというふうに考えるところでございます。
  117. 新村勝雄

    ○新村委員 換地計画の変更ということになりますと、全体の計画を全部図面もつくり直さなければならぬということですね。そうじゃなくて、その部分だけについての変更ができないかということです。
  118. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  換地計画は従前地に照応して定めておりますので、最終段に近くなりまして一部の変更という事態が生じてまいりますと、これは全体の換地計画の変更に及ぶ、それほどに大変な変更ではございますけれども、しかし、そういった困難はあるにせよ、すべき場合は変更をすべきではないかというふうに思う次第でございます。
  119. 新村勝雄

    ○新村委員 税務当局は、課税するのは現在の制度あるいは法に基づいてやっておるのだから、制度的なものが整備をされればいいのだ、たとえば残った土地を配分する場合に、配分計画が行政当局によってオーソライズされればそれに基づいて免除もします、当然それは特措法に該当すると思いますからいいと思いますけれども、それができないところに問題があるのですね。その配分を区画整理組合がやったのではオーソライズされたことにならない、行政庁の認可がなければこれはだめなんだ、こういうのが税務当局の言い分なんですよ。ですから、一〇%なら一〇%減歩卒が低下したことによる残った土地の配分について行政庁がオーソライズすればいいわけですよ。そういう方法がとれないのかということですよ。それがとれないということになると、最初から全体計画をやり直さなくちゃならないわけですから、これは大変なことですよ、時間もかかる。地主にとっても入居者にとっても大変不便だ、こういうことなんですけれども、そこらの制度的なものを再検討されるお考えはあるかどうかということです。
  120. 依田和夫

    ○依田説明員 区画整理の法上の手続といたしましては、現在変更する計画はございません。
  121. 新村勝雄

    ○新村委員 こういう不合理を解決する方法をひとつ検討願いたいというのですよ。これはひとつ長官、どうですかね、こういう不合理があるのですけれども
  122. 山岡一男

    ○山岡政府委員 ただいまここで拝聴しておりました限りにおきまして、私ども内容が完全によく掌握できませんので、御意見は差し控えさせていただきたいと思います。
  123. 新村勝雄

    ○新村委員 ですから、こういうことが、不合理が起こるわけですから、この不合理を解決することをひとつ検討していただきたいと思うのですが、いかがですか、検討していただけませんか。
  124. 山岡一男

    ○山岡政府委員 中身につきまして、関係各省ともよく伺って勉強はしたいと思いますけれども、直ちに中身をどうこうという話については控えさせていただきたいと思います。
  125. 新村勝雄

    ○新村委員 ですから、検討してくださいよ、検討を。検討もできないというのじゃしようがない。検討してくださいと言うのです。
  126. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  不合理であるかないかを含めまして検討させていただきます。
  127. 新村勝雄

    ○新村委員 十分ひとつ、今後関係各省とも連絡をとりながら検討していただきたいと思います。  終わります。
  128. 森下元晴

    森下委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十一分休憩      ————◇—————     午後三時五十八分開議
  129. 森下元晴

    森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春田重昭君。
  130. 春田重昭

    ○春田委員 特殊法人の北海道東北開発公庫、こういうのがありますけれども、この公庫の設立目的について、まずお答えいただきたいと思います。
  131. 新保實生

    ○新保説明員 北海道東北開発公庫設立の趣旨は、北海道、東北地方の産業の振興開発のために長期資金を融資すること、それから出資をすること、それを目的として設立されたわけでございます。
  132. 春田重昭

    ○春田委員 五十四年の決算報告では、北海道東北開発公庫の船舶資金の貸し付けにつきまして会計検査院から指摘がされております。その内容について概略御説明をいただきたいと思います。
  133. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 北海道東北開発公庫では、地方開発のために船舶資金の貸し付けを行っております。  昨年の会計検査におきまして、五十四年度末までに就航している二十九会社の船舶四十一隻について検査いたしましたところ、この貸し付けにつきましては、融資の対象となった船舶に対し北海道、東北地域への就航を義務づけておりますが、外航船の全部及び相当数の内航船につきまして、指定航路での就航が著しく少なくなっていたり、指定航路には全く就航していないものがあり、中にはこのような事態が二年以上継続しているものが八隻、貸付相手方六会社、貸付金額で四十八億二千万円ある状況でありました。  これは、同公庫において、外航船のように指定航路での就航を確保することに懸念のある種類の船舶を対象に貸し付けるときは運航計画の妥当性についての検討を他の船舶より厳格に行うべきであるのに、これに関する具体的基準が欠けていたこと、貸付相手方が提出した船舶運航状況に関する報告について客観的な資料によりその事実を確認することとしていなかったために、報告が事実と相違しているのにこれを看過ごしていたことなど、貸付審査の方法、自後の管理体制について不備な点があると認められましたので指摘しましたところ、北海道東北開発公庫では、貸付対象船舶の選定についての内部基準や、指定航路での就航が少なくなっているものに対する対応処置の内容、時期等に関する具体的な取り扱い基準を整備するなどの処置を講じたものであります。  以上でございます。
  134. 春田重昭

    ○春田委員 公庫の方に再度お尋ねしますけれども、船舶貸し付けの基準というものがあると思うのですね。これを簡単にお答えいただきたいと思うのです。
  135. 新保實生

    ○新保説明員 北海道東北開発公庫は、北海道、東北地区に存在する事業者に対して融資するのがたてまえでございますけれども、これは船舶に対しても融資することになっております。その基準といたしましては、北海道、東北地方に就航するということが条件でございますが、一〇〇%の就航を条件とするということは地域開発の目的から言って必ずしも現実に即していない。そこで、主たる指定航路というものが北海道、東北地区に存在するということを条件として船舶に対して融資することにいたしておるわけでございます。
  136. 春田重昭

    ○春田委員 検査院の報告では、貸付対象船舶が同地域に就航して同地域における積み荷または揚げ荷を主たる目的とするものに限定しているという形で書いてありますけれども、これは貸付契約書ですか、これでははっきりうたっておるわけですか。
  137. 新保實生

    ○新保説明員 貸付契約書には指定航路という条項がございまして、その中に、この指定航路に就航することを厳守してください、こういうふうに書いてあるわけでございます。
  138. 春田重昭

    ○春田委員 いま総裁からも就航率というものが出ましたけれども、この就航率の定義、これについて簡単に御説明をいただきたいと思います。
  139. 新保實生

    ○新保説明員 就航率の定義は法律上決まっておるわけではございませんし、私ども考えとしましては、航海数というものが普通言われておりますが、一つの荷物を積み切ってそれを揚げ切る、それをもって一航海としておるわけでございますけれども、その航海数が一年間に十幾つかある、その中の少なくとも半分以上は北海道、東北地区に寄港してくださいよ、こういう条件でもってお貸し申し上げておるわけでございます。
  140. 春田重昭

    ○春田委員 ここでは、いわゆる就航率は五〇%以上であれば融資の対象にしていこう、こういう形で公庫としては認めている、こういうことですか。
  141. 新保實生

    ○新保説明員 その五〇というのは最小限五〇ということでございまして、五〇あればいいということではなくて、もっと五〇以上なければ本来はいけないわけでございますけれども、しかし、一時的に五〇を下回るということも特殊な理由があるならば仕方がない、しかし少なくとも半分は確保しなければならぬ、そういう気持ちでやっておるわけでございます。
  142. 春田重昭

    ○春田委員 この北東公庫というものは北海道、東北地方発展、またその産業の振興等のためにあるわけですね。こういう地域公庫は、この北東公庫以外に沖繩にありますけれども、それ以外にないわけですよ。こうした公庫が設けられたのは、特に北東地域というものは豪雪地帯であるとか、そういう点で産業が非常におくれておるという点でこうした地域公庫が認められたのではないかと思うのです。  そこで船舶への貸し付けもそういう形で航路を指定している。当然北東地域を起点、終点としながら航海していく、これが原則になっているわけですね。契約書で限定していることは、就航率が一〇〇%で当然なのだけれども、特殊な事情があった場合にはやむを得ない場合がある、したがって最低条件として五〇%以上の就航率を当然守っていかなければいけない、こういうことで理解していいわけですか。
  143. 新保實生

    ○新保説明員 御承知のように、北海道、東北地区は面積的には全国の四三%、人口は一五%あるわけでございますが、工業出荷額は八%と、非常に工業、産業がおくれておるわけでございます。各地方公共団体では工業団地などをつくって企業誘致に努めておるわけでございますけれども、これもいろいろな気象的、地理的な条件があって思わしくない。物流と申しますけれども、貨物の交通の便が非常によろしいということも一つは企業誘致の要件になるわけでございまして、そういう意味で、本州なり海外との航路というか北海道、東北地区に寄港するということは、やはり開発の一つのきっかけになるのじゃないだろうか、そこで一〇〇%ということを固執しますと、これはなかなか来ていただけないわけでございまして、そこはある程度の幅を持って、しかし少なくとも半分は北海道、東北地区に寄港していただきたい、こういうことでやっておるわけでございます。やはりその地域の振興開発のためには、そういう貨物の流通を円滑化するということも必要ではないかということで始めておる制度でございます。
  144. 春田重昭

    ○春田委員 そこで会計検査院に確認いたしますけれども、いま御説明があったように、公庫では一応貸し付けの基準といいますか、また契約書等でそうしたものをきちっとうたっておるわけですね、それに違反して船舶の貸し付けが行われた、こういうことで検査院としては指摘したのだ、こういうことで理解していいですか。
  145. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 私どもとしましては、こういう融資の場合に、やはり民間からの借り入れが促進するような形で融資が行われなければいけませんし、また一方におきましては、そういう行政目的を達しなければいけない、しかし実際に貸し付けの審査あるいはその後の管理をどうするかという問題があるわけでございますけれども、最初貸し付けの審査の場合に適切であったかどうかという問題が一つあるわけでございますが、やはりそれは借入側の事情、貸付側の事情をいろいろ考えなくてはいけなくて、その辺の判断の問題も一つあるわけでございます。管理の問題になりますと、そういう契約条件に違反したから、違っていたから直ちにと——その契約条件に全く違反しているかどうかという判断の問題が一つあるわけでございます。それやこれやいろいろ考えまして、全体的に見ましてどうも審査の方法なりあるいは貸し付け後の管理の整備体制がうまくないのではないかということで指摘しているわけでございます。
  146. 春田重昭

    ○春田委員 会計検査院では船舶四十一隻を検査の対象とした、しかし処置を要求したのが八隻という形になっておるわけでございますけれども、残り三十三隻はこの貸付基準といいますか、契約書どおり守っていた、こういうことですか。
  147. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 先ほど公庫の方で一応五〇%ラインという御説明がございましたけれども、そういうラインを一つ考えまして、私どもの検査報告の中では二十隻、そのうち八隻というふうな指摘をしているわけでございます。四十一隻の中で特に著しい、あるいは就航していないというものを指摘して、その中でそういう状態が二年間続いているものは八隻であるというような形で指摘しているわけでございます。
  148. 春田重昭

    ○春田委員 五〇%以上の就航率を二年以上保っているものについては指摘していないけれどもそれ以下のものについてはこのように指摘している、こういうことですね。ということは残り三十三隻も必ずしも就航率を守っているとは言えない。五〇%以下のものもあるし、五〇%以下であっても二年継続していなかった場合においては挙げていない、こういうことですね。
  149. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 前段で一応指摘しているものは五〇%以下がいずれか一年にある、八隻につきましては両方を通じまして、二年間を通じての平均がさらに低い基準でもってそれを下回っているということで指摘しているわけでございます。五〇%を基準にしているわけではございません。
  150. 春田重昭

    ○春田委員 その五〇%以下というのは、平均して、両年度を通して大体何%くらいになるのですか。
  151. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 大体三〇%以下だというふうに思います、
  152. 春田重昭

    ○春田委員 当然就航率一〇〇%になるべきところが両年度を通して平均三〇%以下の就航しかないというのが指摘されているわけです。残り三十三隻に関しても必ずしも五〇%いっているとは言えないわけですね。そういう面でこの船舶貸し付けというのはきわめて不正常な形で融資されている、貸し付けられている、こう指摘されてもいいのじゃないか、こう思うわけでございます。  ところで、公庫の方にお尋ねしますけれども、こうした就航率がきわめて悪い状態の中で貸し付けをされているわけでございますけれども、その原因は、どういうことで起こってきているわけですか。
  153. 新保實生

    ○新保説明員 こういう結果になったことについてはまことに申しわけないと考えておりますが、二年以上にわたりまして就航率が非常に低かったというその八隻につきましては、半分が外航船で半分が内航船でございます。その外航船は冷凍運搬船が多いわけでございまして、二百海里問題が起こりましたあの前後に融資をいたしておるわけでございますけれども、二百海里宣言を各国がやりまして、いわゆる北洋漁業が非常に制限される、北海道、東北はその北洋漁業でとれました魚をもとにしてこれを加工して輸出しておったわけでございますけれども、その原料となるものがとれなくなるのじゃないか、こういうような見通しもございました、そういうわけで冷凍船をつくってこれにかわる原料となる魚を輸入しなければならないという考え方が関係者の中で非常に強く出てきたわけでございます。事実北洋の漁業は非常に漁獲が少なくなったわけでございます。そのかわりに輸入魚がふえるであろうかというふうに考えておったわけでございますけれども、実は輸入の魚の内容が変わってしまいまして、非常に高級魚が多くなりました。フィッシュブロックの原料となるスケソウダラ、そういうものがいままでは多かったわけでございますけれども、そういうものの漁獲が非常に少なくなりまして、それにかわる材料として期待しておった魚というものがなかなか入ってこなくなりまして、高級魚が入る。その高級魚ということになりますと直接東京とか横浜の消費地に入るわけでございまして、北海道や東北ということになりますと、どうしても商売の量が少ない、大きな船に小さな荷物を積んで持っていったのでは採算的に悪い、そういうそろばんの問題なども出てまいりまして北海道、東北に対する就航率が非常に下がったわけでございます。それから、昔から北海道、東北は水産加工をしてこれを外国に輸出する基地であったわけでございますけれども、その輸出を当て込んでおったのですが、その輸出量というものも円高とかあるいは北洋漁業の漁獲制限とかそういうことによって量的にも非常に少なくなってきた、輸出、輸入ともに少なくなってきた、こういう事情が重なっておるわけでございます。  それから内航船に関しましても、これは弁解にはなりませんけれども、ある一つの例を申しますと、四十九年、五十年、五十一年と、構造不況の時代に北海道にある工場にある原料を運ぶという内航船がございましたけれども、その工場の操業率が非常に下がり、運ぶべき原料が少なくなってきた、そういうようなことで就航率が下がる、そういう事情もございます。そういう予想してなかった経済の変化といいますか、そういうことにもよっておるわけでございます。  しかし、それはそれとしまして、就航率を全体として半分以上確保しなければならぬということは契約上の約束でございますから、これを直していただくように是正を求めておりますし、それができない場合は繰り上げ償還をしていただくということで、現にその措置を取っており、進行中でございます。
  154. 春田重昭

    ○春田委員 原因が円高や二百海里宣言等によって北洋漁業が非常に大変な状態になったのでこういう形になったということでございますけれども、この円高や二百海里宣言というのは昭和五十二、三年のころなんですよね。新聞報道等によれば、そうしたことが事前にわかっていながら実際に貸し付けているじゃないかということも指摘されておるわけです、今回一応六社八隻が指摘されておるわけでございますけれども、検査院として六社八隻の船名と会社名というのは発表できますか。
  155. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 私どもは、できるだけ個別企業の名前を出さないというふうな方針をとっておりますので、発表は遠慮させていただきたいと思います。
  156. 春田重昭

    ○春田委員 この問題につきましては昨年の五月、そして六月ごろの新聞等に出ているわけでございまして、すでにもう新聞報道等によりましても四社六隻が判明しているわけでございますが、残り二社二隻はわからないわけでございます。これはいわゆる不正な融資を受けているわけでございまして、中には、新聞等には「うそつき船」とか「違反運航」とかいう形で書かれておるわけでございまして、新聞等ではすでに半分以上の名前がわかっておるわけですよ。そういう点からいっても、会計検査院としては当然公平を保つためにも発表すべきじゃないですか。
  157. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 先ほど御説明しましたように、これは私どもとしては不当事項として指摘しているわけでもございませんし、それから契約条件に違反している状態があるわけですけれども、いろいろ事情があってそういうふうになっておるわけでございますので、直ちに契約に違反していると言える問題ではございませんので、この際はひとつ発表を控えさせていただきたいと思います。
  158. 春田重昭

    ○春田委員 新聞に名前の出ているのがありますので申し上げますけれども、それを確認していきたいと思うのです。相沢海運株式会社、船の名前が勢正丸、それから東京リーファーズ株式会社が「とうきょうりいふあ」、それから八島海運株式会社が岳鳥丸、共栄海運がたかつき丸、ひろつき丸、すずらん丸と、一応出ておりますけれども、これは間違いございませんか。
  159. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 八隻の中に入っているものもあれば入ってないものもありますけれども、外航船は一応私どもの方では全部ということで表現しておりますので、八隻ではなくてこういうものがあるというものの中には、外航船であれば指摘の中に入っているということになると思います。
  160. 春田重昭

    ○春田委員 さらに新聞報道ではこういう形で書かれているわけです。  これは公庫の方にお尋ねしますけれども、先ほど円高や二百海里宣言等によって就航率が悪くなったということでございますね。いま言った相沢海運の勢正丸でございますが、これは冷凍運搬船ではない、貨物船であるということで理由にならない。また、八島海運の岳鳥丸は五十二年の九月でありまして、いわゆる融資の決定時には円高騒ぎがすでにもう来ている。要するに、円高騒ぎのあった後に融資が決定されている。それから東京リーファーズの「とうきょうりいふあ」でございますが、二百海里宣言を各国がやったわけでございますが、二百海里宣言の一、二カ月前にすでにこの融資が決定されている。こういうことでございまして、その辺のいわゆる国際情勢をつかんでいれば十分融資の決定といいますか、審査の段階でチェックができるはずだ、こういう形で載っているわけですね、これに対して公庫としてはどう反論しますか。
  161. 新保實生

    ○新保説明員 冷凍船の実際に計画された時期についてはいろいろございますけれども、ともかく調べますと、冷凍船の建造時期というのはある一つの時期に集中して行われる、これは国際的にそういう周期があるのだそうでございます。それともう一つ、たまたまあの当時は造船業界が非常に不況でございまして、非常に船価が安かったのでございますので、あの時期に船舶の建造が集中したわけでございます。その一つの理由として二百海里という問題もございまして、全部が二百海里というわけではございません。  それから、相沢海運につきましては、これは冷凍船ではございません。一般貨物船でございまして、これはまた後ほど申し上げようと思っているのでございますけれども、いずれにしても、冷凍船にしても一般貨物船にしても、なかなか北海道、東北に就航を確保するということは船の性格からいってむずかしいということがわかりましたので、昨年の六月からそれは融資の対象として取り上げない、こういうふうな取り扱いにいたしたわけでございます。
  162. 春田重昭

    ○春田委員 検査院にお尋ねしますけれども、こうした問題が発覚したのは五十四年の検査報告で一応出ておるわけですが、それ以前にはわからなかったわけですか。
  163. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 かなり前にも若干そうした事態がございまして、検査の際に指摘している事実はございます。
  164. 春田重昭

    ○春田委員 いま検査院からは、過去にも相当警告してきたということでございます。そうした警告にも耳をかさず、同じ行為をやっていたということは非常に悪質だと思うのですね。それで検査院としても処置要求という形で検査報告にきちっと載ったんだと思うのですね。となれば、要するに処置要求というよりも不当事項として挙げるべきじゃないですか、
  165. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 この問題というのは、公庫等からも説明がございましたように、ある地方開発、北海道地域あるいは東北地域の開発という一つの目的がありまして、それを融資という形で処置しているわけでございまして、その間に借りる側といいますか、民間のそういうものを誘導するというふうなことで、契約の審査自体をどうすべきか、かなり広い窓口にしまして、その中身を厳しくする、厳しくすると非常に借りにくいということにもなりますし、そういう契約審査の方法がございます。  もう一つは管理の問題でございますけれども、管理といたしまして、そういう状態が続いたときに、その原因がどうやってそういうふうに起きたのかとか、その場合にどういう処置がとれるかということで、一応契約書の中にはそういう条件がうたってございますけれども、それなりの事情があって融資の場合のいろいろな措置がとられる。この件に関しましては、最初、契約の審査の場合に非常に窓口を広くしているけれども、その中で厳しく審査をしなければいけないのにどうも厳しさに欠けていたのじゃないかという問題、さらにそれから管理の問題といたしましては、本院の指摘によりまして、実際に管理の若干の基準みたいなものがあったわけでございます。ところが、いざそれを発動するということになりますと、はっきり具体的な形での発動の仕方といいますか、こういう融資なんかのことでございますので、ある程度は公平に行われるとか、どういう条件で発動するというふうなことが決まっておりますと発動しやすいということなんですけれども、その辺のところがはっきりしていなかったということで、管理の面での体制、行動というものが直ちにとれないようなことがある。  もう一つは、運航実績につきまして、従来報告を貸付先からとっていたわけでございますけれども、ところがその中に虚偽のといいますか、事実と相違したような報告があった。この点をもっと客観的な根拠のあるものをとるべきじゃなかったか、そういうふうなことで、公庫当局としても虚偽の報告をそのまま信用したというふうな面もございまして、個別の事項としてこれを取り上げるということにやや難がありまして、むしろ体制の問題じゃないかということで処置要求事項として取り上げようといたしましたところ、公庫側でこれを改善いたしましたので、処置済みというふうな処置をとったわけでございます。
  166. 春田重昭

    ○春田委員 これが初犯であればわからないこともないのですけれども、聞くところによると、過去再三指摘されている。警告している。それにも耳をかさずこうした不正行為といいますか、いわゆる適正な融資をやってない、こういうことですから、制度そのものが完備とは言えないけれどもある程度整っておる、あとは要するに公庫の運用の問題なんですよ。そういう点では、私、この問題につきまして感ずることは、公庫自身もある程度知っていたのじゃないかという面もあるわけです。癒着しているのじゃないかという感じも持つわけでございまして、十分反省をしているという公庫総裁の話がございますけれども、検査院からの再三の指摘にもかかわらずこういう事態を繰り返すというのは、本当に反省しているかどうかというのは私は疑わしい面もあると思うのですよ、今回が初めてでないということでしょう。公庫の総裁としてどう感じているのですか。
  167. 新保實生

    ○新保説明員 公庫としては大変申しわけないと思っておりますが、ただ、公庫としましては、内航船についてはかなり昔から経験を持っておりました。それから外航船に関しましても、専用船とかそういうものについてはかなりの実績がございましたので、これについては四十年代から実施をいたしておるわけでございますけれども、一般の貨物船あるいは冷凍船ということになりますと初めての経験であったわけです。あの当時の私ども考え方をいま振り返ってみますと、ちょっと行き過ぎていたかなという感じはいたしますが、北海道、東北の水産加工基地が非常に困っておられる、将来に対して非常に不安を持っておられる。あの当時の新聞切り抜きを私どもずっと見直したわけでございますけれども、それを関係業界の方々、それから地方自治体の方々、みんな心配しておられましたので、やはりこういう冷凍船というものは必要なのじゃないだろうかというふうに考えたわけでございます。  それから審査に当たりまして借り入れをされる方の書類を拝見しますと、年間の運航計画というのをお出しになるわけでございます。一年間にこれだけ航海をいたします。そのうち何回は北海道、東北に対して寄港いたします、それに積む荷物はこういう品物でございますという運航計画モデル的なものを出しておられるわけでございます。それについていろいろな角度から調査をしたわけでございますけれども、これを実行してもらえるだろうと思ってやったわけでございますが、いろいろな情勢の変化がございまして、そのとおりいかない。基本的には北海道、東北の消費力、購買力というか、そういうものが非常にやはり下回っておる。それからつくった船が非常に大きい。そこで、船の大きさと実際の現地の必要とする貨物の需要量とがマッチしないというようなところに根本の原因があるのじゃないかと反省しておるわけでございます。その後いろいろ私ども公庫の内部全部で見直しをいたしまして、二度とかようなことはあってはならないというので、いろいろな点において改善を実行したわけでございます。それで、東北、北海道地区に就航率が高く確保できるのはいいのですが、そうでない可能性のあるものについては、継続的に就航率を維持できないようなものについては、船の種類から考えましてそういうものは初めから排除しようじゃないかというようなことが一つでございます。  それから実際に就航の実績を確保するのも、会社の報告だけでなくて、会社が港湾当局にお出しになっておる報告書の写しを添えていただくとか、あるいは直接公庫が海上保安部とかそういうところに照会する、そういうふうな手段も講ずることにいたしました。  第三に管理の問題でございますけれども、これは率直に申しまして管理の体制がはっきり決まっていなかったわけでございます。今度はだれが、いつ、どういうふうにするということまではっきり決めまして、その手順に従ってやっていくということを実行いたしております。  今度はそういうことのないようにいたしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  168. 春田重昭

    ○春田委員 どうもいまの答弁聞きますと、起こった原因というのは、どうしても外的条件、外的要因によって今回のこうしたいわゆる事件といいますか問題になった、こういうふうに聞こえるわけですよね。確かにそうしたものもあるかもしれませんけれども、私は、より根本的な問題は、やはり内部の問題だと思うのです。運用の問題だと思うのです。  たとえば相沢海運の勢正丸におきましては、計画時においては、六回の年間就航をする、そのうちの四回だけは北東地域に寄港するように必ずいたしますという、契約書の中には誓約書みたいなものがあるわけです。ところが全然就航していない。また、東京リーファーズのとうきょうりいふあ丸におきましては、五十四年に二回北東地域に寄港いたしました、こういうふうな形で報告なさっているし、公庫としてもそれを受けているわけです。ところが全然寄港していない。新聞記者に詰められて、泉社長ですか、「北海道、東北に船を入れると採算がとれない。「昨年二度寄港した」と公庫に報告したのは、その場しのぎのでたらめ。」である。「今度帰ったとき、何とか東北のドックにでも入れたいと考えている。」こういう点で本当に基本的ないわゆる内部的な問題が暴露されているわけですよ、  そういう形で、まず審査の時点のいわゆるチェックがいいかげんであった。また、たとえ融資が決定されても、管理面でいいかげんであったということがいままでの検査院からの報告でもはっきりわかるわけでございまして、そういう点では、本当にいわゆる過去再三指摘、今回の処置要求、こういう点から考えて、いわゆる内部の問題である、公庫自身の問題である、このように私は思うわけでございます。  そこで、もう一点だけ聞きたいと思うのですが、いわゆる就航率が非常に悪いということは、他の地域を回っているわけですよね。ところが、他の地域では沖繩で同じ開発公庫があるわけでございますけれども、沖繩、東北以外でいわゆるこうした船舶の建造の融資制度といいますか、貸付制度というものはあると思うのです。大蔵省の方お見えになっていると思いますが、そういう制度はどういう制度があるのか、お答えいただきたいと思うのです。
  169. 日向隆

    ○日向説明員 いま委員指摘になりました北東公庫、沖繩公庫以外には、御案内と思いますが、開銀におきまして、これは計画造船に基づきまして船舶の建造に対しまして融資を行っております。それ以外には、輸銀におきまして、これは別の観点でございますが、船舶の輸出につきまして一定の融資を行っておる、こういうことでございます。
  170. 春田重昭

    ○春田委員 こういう制度があるのは公庫は知っていますか。
  171. 新保實生

    ○新保説明員 制度の細部にわたっては存じませんけれども、そういうものがあるということはよく承知しております。
  172. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、先ほど言ったように、明らかにこの就航率五〇%以上確保するのはむずかしいような申し込みもあるわけですから、こういう制度があるのだったら、ちゃんとその時点で指導し、相手に説得すれば、こうしたずさんな融資はないと思うのです。そういう指導はしなかったのですか。
  173. 新保實生

    ○新保説明員 貸し出しを決定した時点におきましてはそこまで考えていなかったわけでございますけれども、この約束どおりの就航率が確保できるだろう、こういう見通してございました。しかし、結果においてそうでないものが大分出てきたわけでございまして、それは申しわけないと思っております。  そこで、その後におけるわれわれの処置でございますけれども、検査院に指摘されました八隻につきましてはそれぞれ事情を調べまして、就航率改善の指示をし、それから繰り上げ償還の勧告をいたしております。すでにその大部分は実行されておりまして、繰り上げ償還済みが八隻のうち五隻でございます。それから来年度早々に繰り上げ償還をいたしますというのが一隻ございまして、あとの二隻は自分の努力でこの就航率を引き上げますからもう少し待っておってください、結果を見てください、こういうふうな申し出でございますので、この八隻以外の十二隻につきましても一つ一つトレースしまして注意をし、それから必要な措置はとっておる次第でございます。
  174. 春田重昭

    ○春田委員 長官にお尋ねしますけれども、こうしたいわゆるずさんな融資が行われていたわけでございますけれども、監督官庁としての長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  175. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  こういう思わぬ事態になりまして、監督官庁としてまことに遺憾千万に存じております。今後こういうことのないよう十分注意していきたいと思います、また、公庫総裁も非常な反省をし、決意を新たにしてやると言っておりますから、その点もあわせて御了承のほどお願い申し上げます。
  176. 春田重昭

    ○春田委員 思わぬ事故ではないと私は思うのです。これは本当にそういう形で知り得ながらそういう形で融資していたという点では大問題だと思うのです。報告を受けながらそれが虚偽であったという問題、こういう問題もやはり公文書違反になっちゃうわけですよ。そういう点でやはり基本的な問題が欠けていたということで、長官としても今後の指導を厳しくやっていただきたいと、要求しておきます。  さらに大蔵省にお聞きしますけれども、この北東公庫の原資というのはほとんどが財投資金なんですね、この資金が有効かつ適正に使われていたと私は思われないわけでございますが、この点どう考えるか。また、財政再建の立場から今後どういう形で大蔵省としては指導していくのか。
  177. 日向隆

    ○日向説明員 北東公庫も政府関係金融機関の一つといたしまして、いま御議論ございましたように、北東地区におきます産業の振興開発に資するという政策目的を遂行するために融資活動を行っているわけでございます。御指摘のように、その原資は財政投融資の資金ないしは北東公庫債を発行して得た資金を使っているわけでございまして、それが政策目的に合致して使われることが私どもとしては必要であるというふうに考えております。したがいまして、いまお話がございましたように、その政策目的に合致してない貸し出しについては、一刻も早く合致するように指導しなければならないとともに、もしどうしてもその指導に従わない場合におきましては、契約条項等に照らしまして繰り上げ償還尊厳しい措置をとる必要があるのではないかというふうに考えております。  私どもといたしましては、この問題につきましては管理の問題がきわめて重要な問題ではなかったかというふうに考えておりますので、この管理体制の充実ということにつきまして今後とも十分指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  178. 春田重昭

    ○春田委員 貸付金を償還すればいいという問題ではないと私は思うのです。  大蔵省にお尋ねしますけれども、農林漁業金融公庫というのがありますけれども、この公庫では、こうした違反行為は繰り上げ償還だけではなくして違約金も取っておると聞いておりますけれども、こうしたいわゆる今回の行為に対しては、違約金というものについてはお考えになりませんかどうか。
  179. 日向隆

    ○日向説明員 長期の資金を貸し出した場合におきまして、期限前にその利益を失わせるといういわゆる繰り上げ償還はかなりのペナルティーといいますか、借入者にとりましては大きな問題だと思います。したがいまして、現在北東公庫におきましては繰り上げ償還をもって措置するということになっておりまして、委員は御存じと思いますけれども、違約金をとるというところまで至っておりません。  農林漁業金融公庫についての御指摘がございましたが、これは果たして違約金と言っていいかどうか私にも判断しかねますが、一定の率と実際に貸し出した率との差を徴収しているように聞いております。
  180. 春田重昭

    ○春田委員 繰り上げ償還そのものがペナルティーであるという考え方でございますけれども、こうした悪質なものはその報告そのものが就航していると言いながら虚偽なんですから、そういう面では悪質なものはもっと厳罰をもってやるべきであると私は思っておるわけでございます。  時間がございませんから、次へ進んでまいりたいと思いますが、この北東公庫につきましては、検査院といたしましては融資先の検査をしたことがあるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  181. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 私どもといたしましては、融資先については一応権限を持っていませんので、いわゆる肩越し検査ということになるわけでございますけれども、北東公庫につきましては、設備の現況についての調査には協力していただいておりますけれども、会計帳簿等の会社の帳簿につきましては御協力をいただいておりません。
  182. 春田重昭

    ○春田委員 北東公庫はなぜ肩越し検査に協力しないのですか。
  183. 新保實生

    ○新保説明員 肩越し検査の正確な意味はちょっとあれですが、いままで検査院から御要望のあった融資先の実態というものにつきましては、私どもできるだけ事情を説明申し上げております。それから、でき上がった設備等についての実地の御案内もいたしております。帳簿につきましては、御要望があれば今後借入人との相談において善処いたしたいと考えております。
  184. 春田重昭

    ○春田委員 公庫と検査院の見解が若干違うと思うのですが、いまの公庫総裁発言につきまして、検査院としてはこれで肩越し検査ができると理解になりますか。
  185. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 私どもは会計検査というものはいろいろ権限があってやるわけでございますけれども、その権限を行使する中で、私ども実際に検査をやっている者として一番大事に思っているのは、やはり相手方の協力を得て検査する、その協力の中でわれわれが相手方が十分納得できるようなことを指摘していくということが一つの基本でございまして、ただいま公庫の総裁からできるだけ協力していきたいということでございますので、私どもそれを今後の検査の中で生かしていきたいと考えております。
  186. 春田重昭

    ○春田委員 公庫総裁に確認しますけれども、いままでの帳簿の検査等は公庫等でやっていたわけですね。これは融資先の現場において帳簿の公開に協力していく、こう理解していいのですか、
  187. 新保實生

    ○新保説明員 私どもは、会計検査院の検査に対しましてはいままでもできるだけ御協力申し上げてきたと考えております。具体的にあそこの帳簿が見たいというお申し出がいままであんまりはなかったのじゃないかと私は考えておるのでございますけれども、今後は相手方と相談の上でできるだけ御要望に沿うように善処したいと考えております。
  188. 春田重昭

    ○春田委員 長官にお伺いしますけれども、会計検査院法の一部改正問題がいま国会で問題になっているわけでございますが、大蔵省を初め通産省等が反対しているわけですよ。その理由の一つに、現行法で十分対応できる、現に肩越し検査をやっているではないかというのが理由のようになっているわけですよ。ところが会計検査院の報告によりますと、やはり輸銀、開銀そして北東公庫においては過去肩越し検査は一回もなされていないという数字が出ているわけです。公庫総裁においては十分協力してきたと思うとおっしゃっていますけれども、その辺の見解が検査院とかなり違うのですよ。今後は協力していくという話がございましたけれども、いわゆる監督官庁の長官として、今後北東公庫の融資先、相手先までも会計検査院が立ち入って検査する、これに同意し、そして同行して融資先までも肩越し検査が十分できる、こういう体制長官として公庫に対して指導していく、また認めていく、このように理解していいかどうか、長官見解を聞きたいと思います。
  189. 原健三郎

    原国務大臣 いまおっしゃいましたように、今後融資先についていわゆる肩越し検査をしなければ調査の目的を達成することが困難であるというような場合には必要な限度で協力するよう、いままでもやっておったわけですが、一層これを積極的に指示してやらせるようにいたします。  それから、会計検査院法の改正を北海道開発庁長官としてどう考えるかということですが、これはなかなか私の一存ではいきません、よく事情は御承知のとおりであります。この問題については、現在、内閣官房長官のところで調整をいたしておりまして、その調整を私としては待って、その結果が出ましたらそれに従うてやりたい、こう思っております。
  190. 春田重昭

    ○春田委員 最後に長官にもう一点だけお答えいただきたいと思うのですが、この北海道東北開発公庫では、私も過去質問したことがあるわけでございますけれども、その出資、融資というのが必ずしも目的どおり使用されていなかったり、莫大な融資の割りには償還計画が明確でなかったりした事例があるわけです。たとえば北海道の苫小牧やむつ小川原、こういう大規模プロジェクトにおきましてはそうした問題が指摘されているわけですよ。そういう点で、今後北東公庫の運用といいますか姿勢といいますか、基本的な問題が非常に大事になってくる、  いま、政府は財政再建という大変な課題にいどんでいるわけでございまして、こうしたいわゆる国の大事な財投資金を有効適切に使っていかない融資というものは財政再建の大きな壁になってくるわけですね。そういう面で政府が打って一丸となって財政再建をやらなければならないときに、そうしたことが行われているのは非常に残念だと思うわけです、重ねて長官の御決意を聞いて質問を終わりたい、こう思います、
  191. 原健三郎

    原国務大臣 最前からいろいろ御説を拝聴いたしましたが、私も同感でございます。そういう事情は非常によくわかりました。でございますから、今後公庫総裁にも御注意申し上げ、また総裁自身もいまお話のありましたように、えりを正して、いわゆる財政再建のときにやりましょうという決意をいたしておりますから、やってくれることを期待いたしております。われわれの方からもそう指導いたしていきたい、そうして御期待に沿いたいと思っております。
  192. 春田重昭

    ○春田委員 これで終わらしていただきますけれども、実はきょうはあと国土利用法に発表されております遊休地の問題と宅地並み課税の問題について質問する予定でございまして、関係政府委員の方もお見えになっていただいたわけでございますけれども、時間が参りましたので、次の機会に質問さしていただきたい、こう思っております。  終わります、
  193. 森下元晴

    森下委員長代理 和田一仁君。
  194. 和田一仁

    ○和田(一)委員 宅地の問題について若干お聞きしたいと思いますけれども、最近住宅着工が大変冷え切っておるというような新聞記事、あるいはまた一月の建築着工の総数というものが「十四年ぶりの低水準」に大変なダウンをしている、こういう新聞の見出しを見るわけでございますが、この新聞記事というのは建設省が十三日に発表した一月の新築住宅の着工戸数の統計のことですが、これらによりますと、前年同月比で二四・三%という減少になっている、六万八千戸程度にダウンしてしまった、これは大変な低水準になってしまっている、これは四十二年以来十四年ぶりのダウンだというふうに書かれております。五十五年全体としても百二十万戸程度だということで、この住宅不況というものは相当深刻な状況にあるのではないか、こういうふうに判断するわけでございます。これは一体どういうところにその主因があるのか。  原因としては金融その他いろいろな理由があろうと思うのですけれども、その主なる理由というのはやはり土地の問題ではないか、そういうふうに考えるわけです。その土地、特に地価の上昇というものがやはりこういった住宅の不況の大きな原因になっている、そういうふうに考えるわけですが、その点はどうなんでしょうか。それで、地価の最近の動向についてどういうふうに見ておられるのか、御見解をいただきたいと思うのです。
  195. 山岡一男

    ○山岡政府委員 住宅の供給がおくれております理由でございますけれども先生おっしゃいましたように、宅地の供給難といいますか、入手難ということが一つございます。それから、やはり民間金利等の高騰によりますローン等が非常に不便になったという点がございます。それから、関連公共公益施設、これの整備につきまして、地元地方公共団体等の間に宅地供給等についてネックがある、それからやはり住宅を建てようとしますと、マンション等の場合には日照等の問題でいろいろな問題が起こっておる。これらのことが原因であると考えております。  最初に申し上げましたとおり、宅地入手難の中で、土地が高騰いたしましてなかなか買いにくいということも一つの大きな理由であるということは、そのとおりでございます。  最近の地価の情勢でございますけれども、これにつきましては、たとえば三大都市圏の住宅地を例にとってみますと、一昨々年の第二・四半期以来三カ月ごとの伸び率はずっと低下をしてまいっております。実際の伸び率そのものは、四半期ごとの伸び率は低下をしてまいっておりまして、昨年一年間のそういうふうな三カ月ごとの風速を掛け合わしてみますと八・三%というのが標準地の五百五土地点の値上がりでございました。近くこれにつきまして、全国の一万七千地点につきまして地価公示をやることになっておりますが、これは四月一日に公表いたすことになっております。一%前後の相違はあろうかと思いますが、おおむねそういうような状況でございます。これは、昨年の地価公示では一年間を通じまして一〇%上がったということでございましたので、それから見ますと伸び率は鈍化をいたしておる。しかしながら、やはり大都市の住宅地を中心に依然としてある程度の値上がりが続いておるということにつきましては従来と同じようなパターンであろうというふうに思っております。
  196. 和田一仁

    ○和田(一)委員 四月一日の今度の公表でやはり鈍化の傾向をたどっている、そういうふうにごらんになっているかどうか、これは全国的にはあるいはそういう傾向が見えるのかもしれませんけれども、少なくも大都市圏、特に東京圏で、私の手元には昨年の一月一日の公示価格で対前年比一八・三%、それから昨年の七月一日、ちょうどその六カ月後ですが、基準地価格で一八%と、半年でわずか〇・三%、少しは下がったわけですが、全体として、対前年比一八%台という上昇をしているように見えるのですがね。これは全国的には鈍化なのかもしれませんけれども、最も必要とされるようなこういう大都市圏周辺の宅地というものは相変わらずやはり相当な上昇をたどっているのではないかと思いますけれども、その点はどうでしょうか、
  197. 山岡一男

    ○山岡政府委員 本年度の地価公示につきましては四月一日に公表されるということでございまして、土地鑑定委員会の方ではすでに数字はまとめておられますけれども、またこれを申し上げる段階ではないと思います。  ただ、傾向は私ども承っております。三大都市圏におきまして、特に東京圏、大阪圏、名古屋圏の住宅地等におきましてやはり伸び率は相当鈍化をしているというのが一つの特徴であると聞いております。それからさらにもう一つの特徴といたしましては、地方圏がやや対前年度といたしましては伸び率を高めておる、こういうふうに聞いておるわけでございます。  詳しい数字につきましては、四月一日の公示で御承知願いたいと思います。
  198. 和田一仁

    ○和田(一)委員 地価が上がるということは庶民にとってはますます住宅が遠ざかっていくような感じがするわけですね。宅地供給の促進をもっとやらないと地価というものは下がりっこない、こういうふうに考えるわけで、言われるようなウサギ小屋、これはウサギ小屋どころか、もっと悪くなっていくのではないか、そういうふうに考えるわけです。  そこで、長官にちょっとお伺いしたいのですけれども長官は閣議後の先般の記者会見で、東京などの三大都市圏の市街化区域内の農地に対して宅地並み課税の完全実施をやったときに、新聞記事によると、あくまで農業を続けよう、そういう農家には宅地並み課税の適用を除外するのだという考え方を申されておるわけですけれども、これは現在実施を凍結しているようなC農地、将来こういったところに宅地並み課税を導入する場合について、長官のおっしゃるようになりますと、営農意思のあることがはっきりしている、そういうところに対しては課税対象から外す、こういうことなのでしょうか。ちょっとその辺を確認しておきたいのです。
  199. 原健三郎

    原国務大臣 この前私が談話でも申し上げたのでございますが、それから全然意見は変わっておりません。三大都市圏内の市街化区域の農地に対するいわゆる宅地並み課税というのでありますが、それは昭和五十五年の政府の税制調査会の答申の線に沿っておるものでありまして、政府としてはその線に沿って実行いたしたい、こういうわけであります。  第一点は、長期にわたって営農を継続する意思のある者に対しては特別の配慮を行うなど必要な措置を講ずるべしという答申が出ております。それで、引き続き長く営農をやるという考えのある方に対しては特別の措置をやるということは、結局市街化区域に対するいわゆる宅地並み課税をやるなという意味であります。でありますから、そういう営農を継続する方に対しては宅地並み課税はいたしません。これは政府の方も大体この方針でいっておるところでございます。
  200. 和田一仁

    ○和田(一)委員 C農地に対してはどうでしょうか。
  201. 原健三郎

    原国務大臣 C農地もA農地もB農地でも、農業を今後とも続けて営むという方に対しては宅地並み課税は課しません。
  202. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうしますと、いままでと違って、C農地でも営農意思がはっきりしない場合には課税される、宅地並み課税になる、こういうふうに理解をしてよろしいのか。
  203. 原健三郎

    原国務大臣 政府の税制調査会の答申におきましても、C農地についても営農をやらぬ場合においては宅地並み課税を課すべしという答申が出ておりまして、私どもその線に沿ってやる考えでおります。
  204. 和田一仁

    ○和田(一)委員 五十四年度の土地税制改正、これは国土庁建設省で要望した案がございますけれども、この線になるというふうに考えてよろしいのか。
  205. 山岡一男

    ○山岡政府委員 五十四年度に要求いたしました建設省案、国土庁案というのも今後の検討の中の課題の一つということで取り上げられることになろうかと思います。現在のところ関係省庁で勉強会を始めておりますけれども、まだ内容については一切白紙でございまして、いま大臣の答弁にもございましたように、税制調査会の答申の趣旨に沿って十分協議をしていこうということでございます。その検討案の一つにはなろうかと存じます。
  206. 和田一仁

    ○和田(一)委員 検討中という御答弁ですけれども、ちょっとまたお聞きしたいのですけれども、五十四年の案によりますと、対象となる市街化区域農地のうち、現に耕作の用に供されている農地で一定期間以上営農の継続がやむを得ないと認められる農地、この一定期間とかそういった言葉が使われているのですが、これがもし実施になる場合にはどのくらいの期間を考えておられるのか、いま検討中というお話でしたけれども、どの辺の線で検討されているのでしょうか。
  207. 山岡一男

    ○山岡政府委員 まだ原案としては一切できておりません。自治省、建設省、それから農林水産省国土庁、四省庁で今後原案づくりの相談をしていきたいと考えていま進めておるわけでございますが、現在のところ原案は一切ございません。ただ、五十四年度のときの建設省国土庁が要求したのは、当時の一定期間と申しますのは五年ということでございまして、当時それを更新するということを考えたわけでございます。しかし、これはいずれも五十四年当時の要求案でございまして、今後におきましては一切白紙の立場でもう一回検討し直すということでございます。
  208. 和田一仁

    ○和田(一)委員 あの当時は五年で更新を認めて延長していくというようなことでしたが、今度は、一定期間というか期間は切らずにいくのですか、それともやはり期間を切って更新をしていく、さらに継続して一定期間経過後でも再び申請をすればもう一回検討し直そう、そういう考え方でいくのかどうか、その辺もちょっと伺いたい。
  209. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど来答弁申し上げましたように、原案のようなものは一切まだございません。ただ、たたき台の一つとして当時の考え方も俎上に上がるだろうと思いますが、その場合の年限等につきましても今後の協議の中で御相談してまいるということだと思います。
  210. 和田一仁

    ○和田(一)委員 たたき台になる程度でということなので、あるいはこれもそうかもしれませんけれども、当時の案の中には、三大都市圏内の特定の市町村の市街化区域内農地とこうなっているわけなんですが、これは現在は特定の市のようですけれども、これを町村まで含めていくのかどうか、その辺はいかがでしょう、
  211. 山岡一男

    ○山岡政府委員 五十七年度から実施の検討をいたしたいと申します宅地並み課税につきましては、当初、大臣から御答弁がございましたように、政府の税制調査会の答申に即してやろうということでございます。政府税制調査会の答申の中におきましては、三大都市圏内の特定の都市の市街化区域内農地についてという前書きがついております。したがいまして、私どもも今後の検討につきましても同審議会の答申の趣旨に沿いましてその範囲で検討を続けるということになろうかと思っております。
  212. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうすると、案にあったような、町村には及ばない、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  213. 山岡一男

    ○山岡政府委員 答申の趣旨に沿いまして町村を外して現在検討いたしておるところでございます。
  214. 和田一仁

    ○和田(一)委員 もう一つ伺いたいのですが、具体的になった場合に、営農意思というものをどういうふうな手法で確認されていくのか、そういうことももう検討されているかどうか伺いたいのです。
  215. 山岡一男

    ○山岡政府委員 営農の継続について適切な配慮が必要だと答申に書いてございます。したがいまして、営農の継続に対してのとらえ方につきましては当然検討の中に今後入れなければならないと思っております。しかし、それも含めて今後の検討事項というのが現状でございます。ただ、最近のA、B農地につきましてはすでに宅地並み課税が施行されておるわけでございますが、それにつきましては、引き続き三年以上営農の継続の意思があって、農業審議会ですかの議を経まして、そういうような認められたものについてなお市町村長が認めたものについては調整措置をとるという手段がとられております。これらも一つの参考にはなろうかと思います、十分検討の中でそういうものにつきましても今後関係省と詰めてまいりたいと考えております。
  216. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これはここに一番ポイントがあって、営農意思があるのだということを認められれば従来どおりこれは課税が違ってくる、それでないとこれは宅地並み課税になる、こういうことなだけに、この辺がきちっといくかいかないかでこの問題はうんと違ってきちゃう、こういうふうに考えるわけです。その辺が従来と同じようになるとこれはC農地まで含まれて影響するところも大きいわけですけれども、その辺の判定いかんである、こんなふうに考えるのです。そうなってくると、やっぱり課税されない方へ何とかという働きが出てきて、そして当初ねらっているこういったところの土地を宅地に吐き出させようという一番大切なところがそのとおりいかなくなってしまうのではないかと思うのですが、その辺見通しとしてもどうでしょう。
  217. 山岡一男

    ○山岡政府委員 おっしゃるとおりでございまして、営農の継続につきましてだれもが客観的に認められるというような営農でなければならないと思います。そのためには、先ほどちょっと例として申し上げましたけれども、現在行われておりますA、B農地等におきますような方法も一つの方法であろうかと思いますが、そういうものも含めてどなたからも納得していただけるような営農の継続の確認の仕方というものも検討課題にいたしたいと考えております。
  218. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そういうふうにうまくいったとしまして、これで宅地並み課税が実施されることによってどれぐらいの宅地供給が拡大されるか、見通し等がございますでしょうか、五十四年にかつてこういった案を出されたこともあるくらいなので、そういった当時の見通しと比べてこれからどういうふうに見通しが立てられるか、一遍その辺見当だけで結構ですが教えていただきたい、一〇山岡政府委員 宅地並み課税を実施しようということのねらいの中には二つございまして、周辺の宅地との不公平をなくそうということが一つでございます。それから、そういうような保有税を重くするということによりまして供給意欲を増進させようというのがねらいの第二でございます。したがいまして、そういうようなねらいがあるわけでございますけれども、他の土地関連諸施策の補完的な意味でそういうふうな効果があらわれてくるということでございまして、宅地並み課税だけをやればどれだけ宅地が出てくるかというような試算はできないわけでございます。五十四年のときにもそういうふうな供給見込み量は算出をいたしておりませんでした、ただいままでのところA、B農地、それからC農地とあるわけでございますが、三大都市圏内の特定市の宅地並み課税がかかっておりますA、B農地の転換率が、どちらかといいますとほかのものに比べて高いということは明瞭に出ております。したがいまして、他の諸施策とあわせて効用を発揮するものでございますが、宅地並み課税ということが実施されました場合相当な効果が上がるということは言えるだろうと思っております。
  219. 和田一仁

    ○和田(一)委員 先ほどのお話にまた戻るのですけれども、いま東京を中心に大都市周辺の市町村、こういうところは非常に人口の流入がふえているものですから、これ以上余り入ってきてほしくないと、そういう人口抑制の政策をとっているところが見えるわけですね。とにかくミニ開発が余りいい環境はつくらないし、ふえてくることによっていろいろな公益負担をしなければいかぬ、こういうことから、なるべく、結構だというような感じが出てくるわけです、そういう中で、これだけではないにしましても、宅地供給を少しでも促進しようという意味から、いまおっしゃっていた不公平な税制上の問題とあわせて何とかこの宅地供給にドライブをかけようという意味からこれをおやりになるのだろうけれども、果たしてうまくいきそうな感じですか。どうでしょう。実際に、これは市とおっしゃったからですが、その当該市でもうこれ以上余り宅地化はしてほしくない、そういう抵抗も見える中でこれがうまくいくかどうか、その辺の見通しをひとつ。
  220. 山岡一男

    ○山岡政府委員 最近の地方公共団体の財政難ということでございまして、特に宅地ができますと、最近では新規宅地のためにいろいろな金がかかる、借金が増加をするということで宅地供給を拒否なさる市長が多いということは事実でございます。しかしながら、大都市圏におきまして今後必要な宅地はやはり確保していかなければなりません。したがいまして、そういう市長さんがお断りになりますところにつきましては、説得を重ね、それから、いろいろな方法を市長さんとも協議をしながら円満につくっていくということが今後のわれわれに課された命題であると思っております。そういうものにつきまして市長さん方にも、関連公共公益施設の充実とかいろいろな対策を講じながら宅地の供給を促進していきたいというふうに考えておるわけでございます。宅地並み課税等の見通しということでございましたけれども、五十四年当時のわれわれのまだ乏しい案でございましたけれども、相当な方面からの賛意を得たというふうに私ども思っております。今後におきましても、なおそういうものをたたき台にしまして十分検討を進めたならば、方々の御納得は十分いただけるのではないかということで、鋭意りっぱな案の作成に努力したいと思っております。
  221. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それでは少し三全総についてお聞きしたいのですけれども、三全総の中で、やはり大都市、特に首都圏、こういった巨大都市の機能の問題が非常に重要視されておりまして、その中でも特に首都機能の問題というのは特別に取り上げられているような気がするわけです。東京の移転の問題とかいうのは別にいたしましても、巨大都市のこのままではどうにもならなくなるだろうということからこの三全総というものは出てきている。東京を含めてですが、この巨大都市、そういうところへ集中的になっている、この傾向がこのまま続けば、特に東京なんかの場合には昭和七十五年にはもうこれはピークではないかと、こういうふうに警告しているわけですね。これ以上の負荷を受け入れることはきわめて困難であると三全総でははっきりうたっているわけです。この巨大都市が依然として巨大化しつつある現状の中で、これの限界性というものがいろいろな点であるのではないかと、こう思うのです。その中でこれを三全総に示されているような構造に持っていく、実現していくというために、どういう戦略をいま持っておられるのかなと、こう思うのです。特に私、気になるのは、この限界性と言われる中でどうにもならなくなってしまう問題、つまり土地の問題も、これは巨大化していく、人がふえていくというのは、それなりに土地を何とか得てそこへ人がふえていくわけでしょうが、そういったものに伴って、やはり水資源の問題であるとか、それから防災の面でも、これは国土庁を中心にいろいろ防災の面でも配慮していただいているのですが、この防災の面でも限界性というものがあるのじゃないか。さらには、こういう大都市がピーク時に必要としているエネルギー、これが安定供給していけるかどうかというような、そういう限界性がいろいろあると思うのですが、総括的に言って、いま巨大都市の限界性というものについて、三全総でうたっている、もうそろそろピークだと、そしてこれ以上の負荷にはもう耐えられないぞとはっきり書いてあるわけですけれども、そういう点について、どういう基本構想実現の手段を持っておられるのか、お聞かせをいただきたい。
  222. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 三全総におきまして巨大都市の問題を取り上げて、ただいま御指摘にありましたような、土地、水、さらには夏季のピーク時の電力の問題等々、広い意味での資源の制約の問題が非常に強くなってきて、このまま推移していくと非常に大きな壁に突き当たるということを警告しておること、それから第二の問題としまして、やはり御指摘にありましたような防災面が大変脆弱であるという都市構造の問題、これらを含めて都市改造というものを強力に進める必要があるということをうたっておるわけでございます。基本的には、やはり大都市に集中いたしました人口と産業の地方分散を図るということが基本的な課題になるわけでございますし、これがまた三全総の主要なテーマになっておるわけでございますが、ただ、ここへ来て、最近の動きについて触れさしていただきますと、昨年の十月に実施されました国勢調査の速報が昨年末に発表になっておるわけでございますが、それを見ますと、この昭和五十年から五十五年までの間に人口の減を記録いたしましたのは都道府県ベースでは東京都のみでございまして、かつて三十年代から四十年代にかけましてかなりの地方県で人口流出があったのがむしろそれがとまりまして、逆に増に転じておるというような傾向も見えておりまして、三全総に即した施策が効を奏したというふうなことで自画自賛するつもりはございませんけれども、三十年代から四十年代あるいは五十年代にかけての高度成長期に見られた大都市集中ということの傾向がここへ来てやや様相が変わってきている。これらにつきましては、また近く発表されるであろう一%抽出の結果、もう少し動態的な中身を見なければわかりませんが、社会増減の問題等も含めてさらに様相が変わってきているかなあという感じがいたします。  それから、大都市の場合の人口増が大変急激に進むということの背景には、もちろん社会増もあるわけですが、大都市に定着した層の自然増がかなり大きな作用を果たすだろう、実はこういう認識であったわけですが、御承知のように全国を通じての出生率が非常に低くなっておりますが、その中でも特に大都市地域における出生率が低くなっておるというようなこともございまして、それも先ほど申し上げましたような大都市における人口の急増というものにややブレーキがかかったということの一つの原因ではなかろうかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、もう少し細かなデータがありませんとはっきりしたことを申し上げられませんが、何か三十年代あるいは四十年代と違った様相がうかがわれるというふうな感じがしておる現在でございます。
  223. 和田一仁

    ○和田(一)委員 五十二年に策定された三全総の当時と、去年の国勢調査とでは大分様子が違ってきている。むしろ三全総がこうあるべきではないかと望んでいる方向に傾向としてはなっているということならば大変結構だと思うのですけれども、だからといって、巨大都市の持っているいろいろな問題が限界性に達しないだろうというようなことではないと思うわけですね。それだけにやはりこういったものに対する対策は急いでいかなければいけない。特にさっきおっしゃられた防災に対して非常に脆弱な面を持っておる。特に首都圏、東京なんかが何かあったときに機能障害が起きた場合には、これはその地域だけの問題ではなくて、すべての中枢神経が集まっているだけにその波及はすぐ全国的なものになってしまうし、これは経済だけではなくて社会的な影響も非常に大きいだろう、こんなふうに感ずるわけなんで、特に東京を中心とする大都市の防災性の向上について、何かその後具体的な方策をとっておられるかどうか、ちょっとお聞きしておきたいのです、
  224. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 いま先生から御指摘がございましたように、大都市、特に東京圏におきましては一番心配なのは災害の問題でございます。この問題につきましては、基本的には過密過疎の解消、さらに災害に強い都市づくりという全国土の均衡ある発展のための施策が必要なんでございますが、当面の問題といたしましては、中央防災会議におきまして、大都市震災対策要綱というものを定めまして、それに基づきまして避難地、避難路の整備あるいは建築物の耐震不燃化の推進、情報収集、伝達体制整備、震災対策についての研究開発、こういったような施策を進めているわけでございます。また、東京都におきましても昭和四十六年に東京都震災予防条例というものを制定いたしまして、それ以来東京都震災予防計画というものを四十八年と、それから五十三年に第二次の計画をつくりまして、いまそれを執行中なんでございます。さらに、私どもといたしましては、昭和五十六年度から地震の問題を中心にいたしまして、いま東海地震対策につきましては一応軌道に乗ったわけでございますが、南関東に仮に大きな地震が参りました場合に、ただいま先生から御指摘がございましたようにここが政治、経済、文化の中枢であり、そこに非常に大きな衝撃が与えられるということもございますので、その場合にどんな被害が生ずるか、それを基本にいたしまして、できるだけ被害を軽減するためには応急対策としてどういうことが必要か、あるいは事前に建築物の構造、避難地、避難路の整備等の施策をどういうふうに進めたらいいかということを考えるために、南関東の被災想定という調査を五十六年度から実行するようにいま予算の御審議をいただいているところでございまして、それに先立ちまして五十五年度の予算におきましても、その基本問題に関する調査というのをやっているわけでございます。さらに、五十六年度の予算では、避難地等の基準のあり方といいますか、避難地の配置基準のあり方につきましても国土庁予算に計上している次第でございます。
  225. 和田一仁

    ○和田(一)委員 いま伺うと、そういう検討をしていくのでしょうけれども、これはいつあるかわからないので、そういう点は非常に心配なわけですけれども、もしあったら現状でどんなふうな被害が起きて、それがどんなふうな影響を及ぼすか、そういった検討はしているのでしょうか。
  226. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 地震が起きた場合にどういう被害が生ずるかということにつきましては、古いものといたしましては消防審議会において検討したものがございます。それから、関係地方公共団体におきましても、たとえば東京都あるいは神奈川県あるいは埼玉県、千葉県、川崎市、横浜市等におきましてもそれぞれいろいろな計算をしたものがございます。東京都の計算をしたものといたしましても相当の死傷者が出るというのが一つございます。ただいままでの被害想定では南関東全域を一つの基準でとらえるということでなくて、それぞればらばらの要素もございましたし、さらに数年前と比べますと、たとえばライフラインの問題とか、地下街の問題とか、あるいはパニックの問題とか、新しい要素がいろいろございます。さらに、最近のようにいろいろなものがオンライン化しておりまして電算の中枢がやられたような場合には非常に大きな混乱が生ずるということもございますので、そういうものも含めまして、先ほど申し上げました被災想定というものを通じまして国として勉強もしてもらいたい、それには地方公共団体の御参加もお願いしたい、そういうつもりで進めてまいる所存でございます。
  227. 和田一仁

    ○和田(一)委員 さっきから伺っております限界性の問題ですけれども、こういった災害とは全然違うのですけれども、この巨大都市、特に東京、大阪というところの水資源についての対策は一体どうなっているか。これも大変大事な点で、これがなければ都市の機能もストップしてしまうのではないかと思うのですけれども、水資源についての見通しをちょっとお伺いしたいのです。
  228. 北野章

    ○北野政府委員 お答えいたします。  例といたしまして首都圏の水需要について御説明いたします。  首都圏におきましては、最近における経済の安定成長、それから渇水等を契機といたしまして節水、水使用の合理化が大分進展しておりまして、最近におきましてはその伸びはやや鈍化の傾向にございます。しかし、今後とも生活水準の向上、産業の発展、農業の近代化等によりまして、順調に需要が増大するのではないかと予測しております。国土庁が五十三年に三全総を踏まえまして長期水需給計画を策定しておりますが、これによりますと、昭和六十五年におきましても南関東、関東臨海地域において年間約七億トンの水不足を生ずるのではないかという予測がございまして、計画どおり水資源開発を順調に進めても、当分の間は不安定な状態が続くものと予想しております。このため国土庁といたしましては、首都圏の水供給の中心でございます——首都圏には大きな川は一級河川が大体七つございますが、この中で利根川と荒川の両水系を水資源開発促進法に基づく水資源開発水系に指定いたしまして、水資源開発基本計画を決定して、これに基づきまして霞ケ浦開発、奈良俣ダム、滝沢、浦山ダム等の水資源開発施設建設を積極的に促進しておるところでございます。  また、こういったダムの建設に対しまして、最近水源地域の方々の補償とか地域整備についての要望が非常に多いために、なかなか計画どおり進まないという実態がございまして、これに対しまして、そういった地域の基礎条件が著しく変化する水源地域について、まずダムの起業者による補償の措置、それから四十八年に制定いたしました水源地域対策特別措置法、それから五十一年に設置いたしました利根川・荒川水源地域対策基金、こういった三つを総合的に運用することによりまして、水源地域の生活環境、産業基盤等を整備し、また水没関係住民の生活再建対策を積極的に進めて、ダムの建設を推進しておるというところでございます。  ざらに、この地域における水需給の逼迫状況にかんがみまして、水を使う側、需要の面においても節水志向を定着させるということでいろいろPRいたしておりますが、水利用合理化対策の一環として雑用水利用を推進することにいたしまして、現在検討中でございます。  また、具体的なそういった合理化事業といたしまして、すでに下水処理水の循環利用ということで、荒川調節池緊急水利用高度化事業というものを事業化しております。また、農業用水の合理化といたしまして、例の見沼代用水でございますが、これを改修整備いたしまして、埼玉合口二期事業という名前を付しておりますが、そういうことで水利用の合理化についてもいま積極的に推進しておりまして、開発と水利用というものをワンセットとしてこの地域に定着させたいというふうに考えておる次第でございます。
  229. 和田一仁

    ○和田(一)委員 総括的には足らなくなりそうな水資源ですけれども、下水の循環利用であるとか、いろいろな使い捨てにならないような対策を立てるにしても、これは六十五年ぐらいまでの心配はないのですか。大丈夫でしょうかね。
  230. 北野章

    ○北野政府委員 三大都市圏等におきましては、総体的には水需給の格差が、六十五年まで相当努力いたしましても、若干は縮まってまいりますが、なかなか縮まらない。三大都市圏では、全国的にはなお九億トンぐらい水が不足するという予測をしております。しかし、先ほど申しましたように、そういった水源地域対策等に新しい制度を導入いたしまして積極的にやっておりますし、また水というものは使い捨てをせずに循環利用することによって水の供給が可能でございますので、そういった新しい面についても積極的に検討して制度化していきたいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、こういった三大都市圏におきましては、いずれ西暦二〇〇〇年ぐらいになりますと、開発をやりましても水資源の方から限界があるというふうに予測しておりまして、それに対する長期的な対策が今後必要ではないかと考えております。
  231. 和田一仁

    ○和田(一)委員 限界性の中には、まだほかにもあるわけですが、最近特にエネルギー問題が大変関心が高まっておるわけでございますけれども、大都市、これは都市化されればされるほど電力への依存度が非常に高くなってきておりまして、その電力が夏場の最大ピークで大変苦労している、安定供給のために大変な努力をしているようでございますけれども、こういった面からの都市化の限界性というものが出てくるかどうか、これは供給不能になってしまうのではないか、そういった面の限界性があるかどうか、もしあるとすればどういった対策を立てるべきなのか、最近特に原子力発電に対しても計画どおりなかなかいっていないような感じがいたしまして、立地問題を含めてだんだんと、六十五年度までに五千百から五千三百万キロワットまで原子力発電で賄う、こう言っておりますけれども、そういった計画がずれ込んでいくと、こういった意味での巨大都市の中での電力供給の限界性というものがたちまち来てしまうのではないかという心配をするのですが、大丈夫なんでしょうか、その辺の見通しについて伺いたい。これは通産省の方でないとむずかしければまたあれですが、この三全総の中でとらえている巨大都市の限界性で、こういったエネルギーの面からの対策、この心配があるかどうか。
  232. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 先生指摘のように、先ほどもちょっと触れましたが、大都市のエネルギー、なかんずく電力の供給の問題というのは非常に大きな深刻な問題になってきておるわけでございまして、三全総におきましても、大都市地域につきまして、首都圏、近畿圏、両大都市圏で六十年度までに五百万キロワットないし七百万キロワット程度の電力量の供給を確保する必要がある、こういうことを言っておるわけでございますが、電源立地の困難性等もありまして、なかなか先行き予断は許さないという状況にあろうかと思います。  実は私どももエネルギー問題、全般的に、特に油を中心とした制約が非常に強まってくるという中のエネルギー問題というものを地域別にどうとらえ、どう対応するかということにつきまして、一昨年の秋から実は勉強会をやっておりまして、つい先ほどその報告書を取りまとめたわけでございますが、従来、電力はもちろんそうでございますが、エネルギーという問題が、いわば国レベル、マクロ的な意味での需給という点で問題が取り上げられておったわけですけれども、いま御指摘のありましたような大都市地域の問題も含めて地域別の需給バランスというものを考え対応していく必要があるということを中心に、今後のエネルギーの需給の見通しと、それに対応した地域政策ということで一つの方向づけを行っておるというわけでございます。  具体的に、大都市地域において予想される需給ギャップに対してどういう対策をとるかということにつきましては、専門的にわたりますので私どもの方から申し上げるのはいかがかと思いますが、私どもとしてもエネルギーの需給問題について地域の視点からせっかく対応していくべきであるということで勉強を重ねておる段階でございます。
  233. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間が参りましたが、最後に国土庁に要望しておきたいのです。  土地の問題にいたしましてもそうですけれども、また、いまのこういった三全総を踏まえて、防災の面やあるいは水資源の面やあるいはこういったエネルギーの面、こういう面についても、これは計画立案、この三全総みたいなものを描くだけではなかなかだめだと私は思うのですね。そういった一つの大きな青写真を国として策定される以上、何とかそれの実現を図るために、各省庁にわたっている問題でしょうけれども、そういうものを統合してその計画に近づくような、そういった集約した努力をしていただかないと、これは毎回毎回三全総みたいなものをつくって、こういったものを作文するだけでは何にもならないことになって、こんなことだと要らないのじゃないかというふうになってしまうので、日本の国全体として大事な視点に立って物を考えておられるので、それをぜひそういう方向で、日本の新しい国づくりに進んでいくような方向づけをきっちりしていただきたいと御要望して、終わります。
  234. 森下元晴

    森下委員長代理 辻第一君。
  235. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、過疎の問題について質問をいたします。  過疎の問題というのは、旧過疎法が十年、そして新過疎法で一年たったわけであります。人口の流出というのは一定度減りまして、また、道路の問題とか交通の問題、その他一定の対策がとられたわけでありますけれども、いまなお深刻な問題であります。その旧過疎法は、過疎地域対策緊急措置法という名前でしたが、新過疎法は、過疎地域振興特別措置法、このように移ったわけであります。新法では法律の名称に振興という文字が入っているように、過疎化した地域の振興が主眼であるというふうに思うわけでありますが、そのためには何が必要なのか、大臣に答えをいただきたいと思います。
  236. 原健三郎

    原国務大臣 御説、いろいろ拝聴いたしましたが、過疎地域人口の減少は、近年若干鈍化の傾向にあることは御案内のとおりでございます。そういうふうにして徐々に落ちつきを取り戻しておるところでございます。しかしながら、長期間にわたり人口、なかんずく若者が依然として減少し、郷里を離れるという傾向もございます。それでその結果、地域社会の機能が低下し、人口の急速な老齢化を惹起しておる等、新たな課題を生じていることはそのとおりでございます。これらの課題に対処して国土の均衡ある発展と定住構想の推進を図るため、今後も引き続き過疎対策を積極的に推進していく必要があると考えております。その過疎対策についてはいろいろやり方はございますが、きわめて大事なことで、いまようやくこれから緒についてやっていこうと考えておるところでございます。
  237. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま私は、地域の振興が今度の新過疎法の主眼ではないか、そのためには主に何が必要なのかということをお尋ねしたのですが、簡明にお答えいただきたい。
  238. 四柳修

    ○四柳政府委員 御指摘のように、旧緊急措置法の場合にはやはり過疎現象をとめたいという気持ちがございましたが、それがやはりとまらずに、御案内のような形で過疎市町村が一つの姿で十年たってきた。その姿の中で、やはり今後、いま置かれた条件でのどういう定住条件を整備するのか、御案内のように老齢化も進んでおりますし、あるいは地域の産業というものも必ずしも他の産業に比べれば伸びていない、それなりの厳しい条件ではございますけれども、その置かれた条件の中での地場産業の振興なり地域住民の生活の安定なり、そういったことをやはり計画的に進めるのがその地域なりの振興だろうという考え方で考えたわけでございます。
  239. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまお答えがあったわけですが、私は、いろいろとあるわけでありますけれども、その中でも地域の産業の振興、これが非常に重要であろうというふうに現時点では考えております。それからもう一つは、やはりお年寄りの問題ですね、高齢化社会の対応であろうというふうに思うわけでありますが、この高齢化社会の対応、老人問題についてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  240. 四柳修

    ○四柳政府委員 厚生省初め、それぞれの所管省庁がございますけれども、総括的な形でお答えをいたしたいと思いますけれども、確かに、過疎市町村、一二%以上の高齢者の割合でございまして、一般の平均のそれこそ二十年前を先取りしているかっこうでございます。そういう中で、実は過疎市町村千百十九のうち、三割以上の市町村が自然減でございます。つまり、お生まれになる方が少なくて、お亡くなりになる方が多い、そういう状況でございます。  そういう中で、その地域のいわば今後の支え手というのはやはり御老人の知恵なり力というものを外しては無理だろうと思います。それなりの御老人の知恵なり力もおかりしながら、そういう知恵なり力が出し得るような生活環境というものをやはり考えなくちゃいけない。そういう意味で、新しい振興法でも老人の福祉の問題あるいは医療の確保の問題で幾つかの新しい施策を各省も取り上げ、あるいは過疎債の対象としても取り上げておりますけれども、これまたなかなか、地域の医者の確保の問題ですとかいろいろな問題で支障はあろうかと思いますけれども、それなりの精いっぱいの取り組み方をしてまいりたいと考えております。
  241. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変な問題ですが、特に十分な対応をしていただきたい。老人ホームなど福祉対策や、また、お年寄りは皆病気を持っていますから、医療の問題、そういう点なんかに十分対策をとっていただきたいと要望をしておきます。  次に、話がまた戻るわけでありますが、どうしても、安定した職業や安定した収入、雇用の問題とか、こういうことが非常に大事である。最近も私、過疎地から都会へ出てきた青年に会ったわけですけれども、もう都会に飽き飽きした、やはり帰りたいのだ、帰りたいのだけれども仕事がないのだ、あの美しい自然でゆったりした生活をしたいと言うわけですけれども、仕事を何とかしてほしい、こういう話を聞くわけです。ところが、過疎地域は一般的に農村、山村、漁村、こういうところであるわけですね。奈良県は非常に山が多い。ことに、過疎地のところで見てみますと、林野面積というのが九四%です。天川村なんというと九八%が林野面積で、山と川ばかりだ。農地なんか全くないというような状態で、そこに道がへばりついて、家がへばりついて山はだにある、こんなところなんですね。過疎法の適用のところでも九四%ということですから、大変なことです。もうここでは林業しか主要な産業はないわけですね。こういうところへほかの産業を誘致するといっても、なかなかとてもじゃないけど話にならない。少しはありますけれども、ほとんど問題にならない。それから、観光事業なんて、温泉を掘るとかいろいろ努力をされているわけですけれども、これも主要な柱にはならない、やはり林業がどうしてもそこの村の中心的な産業にならなければならないわけであります。奈良県というのは、林業では先進地です。気候条件にも恵まれておりますし、先人の大変な努力でそういうような林業の先進地になったわけでありますが、これは奈良県の吉野だけではなしに、全国的に見てみましても、林業というのは大変な危機的な状況になってきているわけであります。  もう細々したことは申し上げませんけれども、立木の伐採量や植林の面積や林業就業者、こんな数を見てみましても、どんどん減ってきておるということであります。こういう状態の中で、一番大切な、もう死活問題という林業が将来の展望がないというのですね。それが現状であります。こういう状況の中で、この過疎地域を少しでも活力のあるものにしていく、そして産業を振興するには、林業というのをどうしても振興していくということが重要であろうと思います、この林業に対する対策はどうなっているのか、これは林野庁にお尋ねしたいと思います。
  242. 岡田明輝

    ○岡田説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のように、過疎山村、振興山村等におきましては、他の地域に比べまして林野率が非常に高いということがございます。そこにあります豊富な森林資源をうまく活用して収入を確保することが、先生指摘のように、やはり一番、山村の方々の定住を促進するという意味で基本的に大事なことだというふうに私ども考えております。また、林業の立場からも、そういった意味で振興山村、過疎山村の役割り、占める地位というのが非常に大きいというふうに私ども自覚しておるつもりでございます。  こういった意味から、従来から造林あるいは林道その他の公共事業を進めてまいったわけでありますが、昨年からは特に新林業構造改善事業ということで、生産から流通、加工に至る国産材の供給システムをつくり上げると同時に、山村の定住条件といいますか、地域社会の形成にも資するという意味で、いま申し上げた新林業構造改善事業といったような事業を新たに発足させております。  御承知のように、全国的に見ますると、まだ戦後植林した山が多いわけでございますが、今後年を経るにつれまして、これが成熟をして商品化できるようになってくる、こういった機に備えまして、そういった国産材の供給システムを外材に対抗してつくり上げていくことが基本的に大事だというふうに思って、施策を組み立てております。  特にまた、今年度というか、五十六年度でございますが、いま申し上げました戦後植林をいたしましたところが大体二十年生ぐらいになってまいりまして、間伐が進んでおらない、このまま放置しておきますと病虫害の温床となったりするということで、間伐材の生産から流通まで一貫して取り進める間伐促進総合対策というのを用意いたしまして、現在予算の御審議を願っておるところでございます。  また、林業の担い手の育成確保につきましても、五十六年度からは基幹林業技能者の育成のために、特に都道府県知事の認定というか登録を受けた方に特別の雇用のあっせんをするとか、そういった育成に努めるという施策も用意して、これまた新年度予算で御審議を願っておるところでございます。
  243. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま新林業改善事業ですか、そういうことをやっておるとおっしゃって、その中で間伐の問題が出てまいりました。これまでは、山というのは、間伐をするときにはその切った小径木というのが一定で売れて、それで大体費用が貯えたということなんですが、このごろ小径木が売れないのですね。売れても採算が合わない値段でしか売れない、こういう状態なんです。ですから、この間伐の問題というのは非常に大事な問題であったわけでありますが、今度はその補助が出るわけですか。どれぐらい出るのか、  それから、その出た小径木ですが、これは吉野で言いますと、天川村なんかは村営で加工して販路を開くというような努力もされております。まだ成功してないようですが、その他の村でも、この小径木の利用、販路というようなものをいろいろ努力されておるわけでありますが、その間伐の補助の割合と小径木の利用あるいは販売、そういった点について何か考えておられるのか、お尋ねします。
  244. 岡田明輝

    ○岡田説明員 ただいま申し上げました間伐促進総合対策の補助率の関係について御説明いたします。  間伐促進総合対策事業は、全部で五十八億程度予定しておりまして(辻(第)委員「簡単で結構です」と呼ぶ)いまお尋ねの間伐の補助率は、集団的に間伐を実施する市町村、森林組合、その他森業者の組織する団体等に対して十分の四・五相当の補助率でございます。  小径木の点については林産課長が参っておりますので、そちらからお答えいたします。
  245. 山口昭

    ○山口説明員 申し上げます。  戦後植林されました造林地が、大体民有林で七百万町歩ぐらいございます。ちょうどこれがいま申し上げましたように、間伐を必要とする状態になっております。  このような状況にかんがみまして、間伐促進総合対策というものを打っているわけですが、現在小径木の利用につきましてやっておりますのは、一つは財団法人の住宅・木材センターというのがありますが、そこで、セブンバイセブンとわれわれは言っておるのですが、七センチ四角の柱を使いまして住宅を建てるということをいまやっております。これは開発を終わりましてこれから実用化の段階に入ってまいります。それから間伐促進総合対策の一環としまして、小径木といえども使い道があるわけでございますから、いろいろな人のアイデアを募集しまして、物をつくって実際に実用化するということもやっております。それから製材工場でございますが、小径木を専門にするような製材工場をつくっていくということもやっておりまして、総合加工施設の設置のために補助金を出すということもやっております。
  246. 辻第一

    ○辻(第)委員 小径木がしっかり売れるように、ひとつよろしく頼みます。  それから、先ほど後継者の問題を言われたわけでありますが、これは林業家の後継者とそれから山林労働者の問題があると思うのです。奈良県は林業家はやはり大きいところが多い、本当に小さい林業家もおられるわけですけれども、やはり大林業家が多いという特徴があるのですが、私は山林労働者の問題でお尋ねをしたいのです。  奈良県の場合は、先ほど言いましたように、社会の変化の中で山林労働者になる人がなくなってきたわけです。しかも展望がないというふうなことで、現在平均しますと年齢が五十歳代という状態です。これからもう二十年もたてばどないなるのかというような状況であります。どうしてもそのためには林業に展望があるということ、それからそこで労働条件がよくなっていって、しかも仕事が安定するというようなことがない限り、そういう面からでも林業家は大変な事態になってくるわけであります。そういう意味で、いろいろな労働条件の整備、その点に重点を当てた施策をやっていただきたいということ。  それからもう一つは、振動病の問題ですね。林野庁関係あたりのはかなり改善されたようにも聞くわけですけれども、民間の労働者というのは大変な状態です。ですから、そういう振動病の対策、この点について、時間がないので大変恐縮ですが、簡単に答えていただきたい、かように思います。
  247. 安橋隆雄

    安橋説明員 林業労働者を将来にわたりまして安定的に確保していくということの対策でございますけれども、基本的には林業を魅力ある産業にしていくということが必要であるわけでございます。ということで、先ほど出ておりました造林事業あるいは間伐対策事業、新林業構造改善事業などの林業振興施策をとるということ、それからもう一つは山村自体の生活環境条件を整備するということで、これまた新林業構造改善事業の中に新しく環境条件整備のためのメニューも加えて、五十五年度から事業を実施しているというような次第でございます。  それからもう一つは、先生もおっしゃいました林業従事者の就労条件の改善という対策でございます。これにつきましては、退職金共済制度というものがやはり基本条件の整備として必要であろうということで、林業のような季節的、間断的な労働に合ったような中小企業の退職金制度ということで、五十三年度から林野庁の方で三年間の準備事業を行ってきたわけでございますけれども、五十五年度でその事業が終わるわけでございますが、ただいま国会の方に中小企業退職金共済法の一部改正案が上程されておるわけでございまして、その改正を待ちまして五十七年一月一日から特例的な退職金共済制度に林業従事者も加えるというような施策を労働省の方と相談いたしまして準備しているところでございます。林野庁の方といたしましても、五十六年四月から十二月までの間、いままで準備事業で進めてまいりました事業で積み立てられました資金を管理運営して、円滑に制度の方に移行するというような対策も考えているところでございます。  それから、振動障害対策でございますが、振動障害対策につきましては、労働省、厚生省、林野庁の三省庁で連絡協議会をつくりまして、相互に連絡を密にしながら予防対策を中心に振動障害対策を進めているところでございます。  林野庁が受け持っておりますのは予防対策が中心でございまして、振動機械の使用時間の規制を徹底するとか、あるいは振動の少ない機械の開発について予算を組みますとか、あるいは特殊健康診断というものを実施しまして、振動障害にかかっていらっしゃるかどうかというのを調べまして、かかっていらっしゃる方についての治療対策の推進に資するとか、あるいは振動機械使用者に対します振動障害予防のための巡回指導を実施するというような形で、予防対策を中心にいろいろと施策を実施してきているところでございます。
  248. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど言われました退職金制度というのは奈良県独自のものがやられているわけでありますが、国の制度に乗っかっていないということで、ぜひその点の対応をとっていただきたい、このように思います、  今日の林業危機の最大の原因は、やはり過度の外材依存政策であった、無秩序な輸入がやられてきたということの中で国産材がその販路を奪われてきた、こういうことが大きな原因であろうと思うわけであります。それで、この米材など、国産材で賄える針葉樹の輸入を必要最小限に抑える、そして先ほどいろいろ言われましたが、国産材の生産基盤を強化しながら需要の拡大を図るということが非常に大切であろうと私は思うわけであります。  いま外材問題検討会を設けられているということですが、どの程度まで検討が進んでいますか、時間がないので、きわめて簡単におっしゃっていただきたい。それから、将来外材の規制、調整をどのようにされるつもりなのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  249. 山口昭

    ○山口説明員 申し上げます。  外材問題検討会を設置したわけでございますが、これは昨年の秋でございます。木材業はいま大変悪いわけでございますが、一つの基本的な理由は、住宅建設が際立って減っておるわけであります。それともう一つありますのは、木材の輸出国が原木では売りたくないということを言っておるわけでございます。これは雇用機会をできるだけ自分の国でふやしたいということでございます。このような情勢にかんがみまして、外材問題検討会を設けまして、まず一つは木材の中長期の見通し、どのくらい入るかという見通しをいま検討しております。  それからもう一つは、産地国への対策、できるだけ協調体制を持つということであろうと思いますが、それと日本の国内の対策ですね、現在は七割方は外材でございます。ですから国内の問題もございます。これを含めましていま御相談しているところでございまして、結論は夏ごろになろうかと思います。  それから外材輸入の問題でございますが、昨年は丸太は一六%ぐらい減ったわけでございます。これに比べまして製材は九%ふえたということでございまして、製品を輸入するということが国内の産業にいろいろな問題を起こしているということは事実でございます。しかしながら、丸太の輸入を確保するためにも相手の国と円滑な関係を維持するということも必要でございまして、そういうことから輸入を制限するとかいったような強制的な措置によりまして抑制するのはどうもいかがなものかと思っているわけでございます。現在やっておりますのは、相手国とできるだけ対応しまして情報を交換するとか、あるいは相手の国に資源の維持培養のために植林をするとか、そういうことを通じまして製材輸入の急激な増加あるいは丸太をとめるということがないようにやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  250. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ無秩序な輸入がないように、外材に国産材が押されないような対策を十分とっていただきたいということと、それから国産材の活用を広げるという問題、需要の拡大ですね、たとえばいま高層公共住宅が外材中心に使われておる、これを国産材使用を優先すれば、かなり国産材が使われる、こういうふうに私は考えるわけでありますが、この点について簡単にお答えをいただきたい。
  251. 山口昭

    ○山口説明員 林野庁としましては、木材需要の維持拡大という観点から、良質な木造住宅を普及する必要があると考えておるわけでございます。このために改良型の住宅を見本展示いたしましてこれを普及するということも考えているわけでございます。建設省との間におきましては、木材需要の拡大とか木造住宅の振興のために、昭和五十二年十一月に農林水産省建設省の指導のもとに木材・住宅センターというものを設けておるわけでございます。具体的には住宅用の材料の品質を向上させるとか、あるいは新製品を開発するとかといったようなことをやっているわけでございます。  それから、先生指摘の国産材を使ってはどうかということでございますが、木造住宅につきましては住宅公庫の融資の限度額を引き上げるとかあるいは融資の期間を延ばすとか、そういうことをやっております。しかしながら、国産材を使うということになりますと、住宅政策上特定の資材を使うのがいいかどうか、あるいは産業振興というものを加味すべきかどうかというむずかしい問題もございます。林野庁としてはそう願っているわけでございますが、これは関係省庁とも御連絡をとりながら進めていきたいというふうに思います。
  252. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ国産材の活用を広げるように御努力をいただきたい。本当に、吉野というのは製材業もあるわけですが、これまでになかった深刻な不況で、売れない。それから値段が採算以下でしか売れないというような、これまでにない深刻な現状であります。そうなれば林業はもう一つひどいというかっこうになってくるわけですね。ぜひそういう点、外材の輸入を適正なものにする、国産材の活用を広げていただく努力をしていただきたい、こういうように思うわけであります。それから、逆に林業を発展させるから過疎がよくなるし、過疎をいろいろな対策でよくしていただけばまた林業が発展する、こういううらはらの関係にもあるわけですから、そういうことも一言申し上げておきたいと思います。  それから住宅建設、これが進まないと材木は売れませんわね。ところが五十四年は百四十八万戸ですか、大分減りましたね。五十五年は百三十五万戸とか百三十七万戸とか言われておりますね。これでは大変な事態になってきているわけでありますし、住宅が欲しいという国民の願いにもかなっていないということでありますので、住宅建設の見通しについて簡単にお答えをいただきたいというふうに思います。
  253. 山口昭

    ○山口説明員 おっしゃいますように一昨年は百四十八万戸でございました。昨年は百二十七万戸でございます。相当減っておるわけでございます。ことしの見通してございますが、これはいろいろな見通しがございまして、第四次住宅建設計画というものをいま閣議にかけようとしていますが、これによりますと余りいい材料はないようでございます。わが国の経済成長が高度成長から安定成長に移りまして、これまでのようなわけにはどうもいかないようでございます。しかしながら、庶民はできるならば木造住宅に住みたいと言っておるわけでございますから、そういう庶民の願いをできるだけかなえるように、部材の簡略化とか工法の簡略化とか、大工さんが簡単にできるようなことも今後進めていかなければいかぬと考えております。
  254. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、いま過疎の問題から林業の問題を取り上げたのですけれども、わが国の三分の二が森林であり、この森林を守り緑を守る、言いかえれば林業を守り育てるということは治山治水、災害の防止ですね、それから国土の保全、国土のつり合いのとれた利用という面からもこれは欠かせない問題であるというふうに思いますし、また石油や石炭などの資源と違って国内で再生産できる数少ない貴重な資源であると言えるわけですね。ですから森林が持っている木材の生産力を生かして林業に活気を取り戻すということは、資源問題が一層厳しくなってきている一九八〇年代においてきわめて重要な課題である、こういうふうに思うわけであります。そういういろいろな意味関係の方は、林業を守り発展させていただくために、山を守るために御努力をいただきたい。そのことは過疎化や国土の荒廃をなくし、それから七十万人の林業木材労働者を初め中小林業家、木材業者など三百万人の生活と経営を守るということでもありますので、どうかひとつ一層の御努力をいただきたい、こういうふうに要望をして、次に移ります。  次に教育の問題に移りたいわけでありますが、過疎地域というのは子供が減っております。ですから、一学年一学級ということはとてもできないというところがたくさんあるわけですね。そうなりますと、いわゆる複式学級、二年と三年が一緒におるというような学級になったり、あるいは学校統合が行われる。ところが親御さんは、あるいは中には教育委員会も一学年一学級というのを望んでおられるわけです。そういう状態の中で、たとえば吉野に黒滝西小学校というのがあるわけでありますが、時間がありませんので簡単に申しますと、この小学校は五十五年度は六十六人だったのです。ところが五十六年は七十人にふえるわけです。四人ふえるのです。ところがその組み合わせですね。学年学年の組み合わせでクラスが一つ減るわけです。人数はふえるのだけれどもクラスが減るというようなことがあります。これはいわゆる標準法によりますと、一学級の児童数は複式の場合は十八人、こういうふうになっておるのです。ただし、この十八人は昭和六十六年三月三十一日に達成すべきものであり、それまでは漸次これに近づけていくことになっている。現在は二十一人、こういうことであります。したがって、西小の場合、今度は新しい二年と三年が計十九人になるわけですね。だから二十一人には届かないために複式になる、学級数が一つ減る、こういうことになるわけです。過疎の中でも特に僻地というところでありまして、新過疎法では「小規模校における教育の充実」ということもうたわれているわけでありますから、こういう僻地教育の振興の点でも定数の改善を急ぐ必要があるのではないか。ぼちぼち近づける、六十六年春に近づけるというその速度を速めて単式学級の維持を図っていただきたい。中には市町村費で教員を置いているところもあるわけでありますが、単式の学級の維持をできるだけ図っていただきたい、この点について文部省の見解を求めたいと思います。
  255. 倉地克次

    ○倉地説明員 複式学級の問題でございますけれども、この問題は、昭和三十四年以来五回にわたって教職員定数改善計画というのをやってきたわけでございますけれども、その中の重点事項の一つとして取り上げてきた次第でございます。それで五十三年度までに三個学年以上の複式学級は解消したわけでございまして、いまお話しの二個学年の複式学級につきましてもその基準においおい改善してきたわけでございます。それで五十五年から始まりました計画では、いま先生のお話しのようなことで改善を図っておるわけでございますけれども、そういう計画でやっておりますので、私どもとしてはその計画の円滑な実施に最善の努力をしていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。大変恐縮でございますが、そういうことでございますので御了承いただきたいと思います。
  256. 辻第一

    ○辻(第)委員 教育の問題でもいろいろとお話をし、またお尋ねをしたいことがあるわけですが、時間がありませんので、いまお尋ねした点、どうぞひとつ一層の御努力を願いたい。  最後に、昨年過疎法の審議の際に、参議院地方行政委員会で準過疎市町村に対する問題で、わが党の神谷議員の質問に答えて、「そういった市町村に対しましては必要に応じて特交措置を含めて適切な措置を検討してまいりたい」、このように答弁があったわけでありますが、具体的にどのような措置を講じられたのか、自治省にお尋ねをいたします。
  257. 木村仁

    ○木村説明員 具体的には三つの措置を講じております。  第一は、御承知のように、経過団体につきましては五十二年度から五十四年度までの各年の過疎債発行の平均額の五十五年度では八〇%、五十六年度六〇%、五十七年度四〇%、五十八年度二〇%という過疎債の発行を認めるわけでございますが、それだけでは地元負担がふえて事業ができない。そういうことのために、残りの地元負担の一部を一般の地方債の優先配分で措置することといたしまして、すなわち五十五年度には残り二〇%のうちの一五%、それから五十六年度には残り四〇%のうちの三〇%、五十七年度には残り六〇%のうちの四五%、最終年度には残り八〇%のうちの六〇%を優先配分で地方債措置をする、これが第一の措置でございます。  第二の措置は、辺地を持っております経過団体につきましては、辺地債の弾力的かつ優先的な配分を行っておりますが、五十五年度には前年度の約二倍の辺地債が充当されておる次第でございます。  第三が特別交付税の措置でございまして、三十五年度から五十年の間の人口減少市町村の平均以上の人口減がありますところにつきましては、人口減の度合いに応じて特別交付税の措置を講じている次第でございます。
  258. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が来ました。  過疎の問題、本当に深刻な問題であります。今後とも十分な対応、対策をとっていただきますように心から要望をして、質問を終わります。
  259. 森下元晴

    森下委員長代理 次回は、明後二十六日木曜日、午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十三分散会