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林参考人 ただいまの御
質問にお答えいたします。
第一点でございますが、
国政調査は、
一般的な問題あるいは非常に具体的に、
法律とか、あるいはその他の制度上いろいろ問題になるべきこと、たとえば選挙に金が不当に使われるようなことがあるとか、あるいは必ずしも妥当でないような政治献金が行われるとか、あるいは
法律を
改正する必要がある、あるいは
運用を是正する必要がある、そういう前提で、いかなる事態がそこにあるかというふうなことを
調査される、これは当然
国政調査の対象
事項だろう、かように思うわけでございます。それが、たとえば
犯罪捜査のような形で行われることは当然あり得ないわけで、おのずから、それは
国会の
立場において政治的に、いま言ったようないろいろな問題を究明されるという
立場で行われるべきものだろうという気がいたします。
最初に申された
国政調査権の
範囲外の問題で、たとえば過去においての
司法権行使の裁判を
調査するなどということは
範囲外であることは、おっしゃるとおりだと思います。と同時に、いまの
検察権なんかの
行使と同じようなことを
国会ができるわけでもないわけで、これが最初に申しましたように、ある犯罪事件があるというような場合、あるいは犯罪事件めいたものがあるというような場合に、それに
関連して
国会が
国政調査をされるというふうなことは、場合によってはあり得るかもわかりません。しかし、それはおのずから
検察権や警察のやることとは違った趣旨で行われるべきものだろう。あるいはまた
権限も当然違うわけでございますから、それは当然別な見地で、先ほどおっしゃったとおりに、制度の
改正としては、どういうことが必要かということの見地で行われるというのがたてまえではないかというような気がいたします。
それから二番目の
秘密の問題でございますが、この
秘密につきましては、先ほども西田先生にお答えしたとおりに、ある
範囲の
秘密の存在というものは、私はやはり認めざるを得ないと思います。
議院証言法では、公務員の
秘密の場合に、その
秘密について
証言を
拒否できる
手続あるいは
方法が
規定されております。
議院証言法の場合は、ああいう
手続によって最後には
内閣声明までいくことになっております。
いま御指摘のは、たとえば
国会法百四条で官公署等に対して
記録の
提出を求めたというふうな場合の問題であろうかと思いますが、これについては、お話のとおりに、
議院証言法のような
秘密であるということを理由として
提出を拒むという
規定はございませんが、事柄の性質上やはりどうしても客観的に見て公にすることができない、そういう性質のものについては、私は、これは
秘密であると言って
提出を拒むこともできるものと考えております。
これに対して、それを
国会側が納得できない場合にどうなるかというような問題でございますが、これは現在としては
法律的にはその
手続がないわけで、結局政治的な解決というような問題に恐らくなるのだろうという気がいたします。
それで、具体的にロッキード事件に関して不起訴決定があった者についての書類の
提出の御
質問でございます。私は、内容はつまびらかにいたしておりませんから余り適切なお答えはできないのでございますけれども、刑事訴訟法四十七条で言っております「訴訟に関する書類」というのは、訴訟に関するいわゆる生の書類だろうという気がいたします。つまり判決であるとか起訴状であるとか、あるいはいろいろな
供述書であるとか、あるいは実況見分書であるとか、そういうものを言っているのだろうと思います。ある問題について、
政府機関が訴訟に関して決定したものが、果たして、あそこに言う刑事訴訟法四十七条の書類に当たるかどうか、これは私は若干疑問を持っております。
先般、
政府が
国会に御
提出した書類が、果たして四十七条の書類として
提出されたものか、それ以外の、たとえば不起訴に関する従来の捜査経過をまとめた報告書として
提出したものか、この点は私にはよくわかりませんので、的確なお答えはできないわけでございます。しかし仮に四十七条に当たる書類であったとしても、ただし書きで、
国会から
国政調査の
要求があった場合に直ちに全部を出さなければならないかということは、先ほど申したとおりに必ずしもそうではない。やはりそれを明らかにする公共の利益と、それを秘匿するための公共の利益、その両方を勘案した上で決めるべき問題だと思います。また仮に出すといたしましても、それは外部に秘匿を要することであれば、やはり
国会の
秘密会を条件として出すというようなことの配慮があってしかるべきだというような気がいたします。ただ、
国会の
秘密会がなかなか
秘密が保てないという現状、また速
記録に当然載るというような現状からいって、また逆に申しますと、そういうことがありますので、果たして書類が出せるかどうかというような問題があるわけであります。
私は、これは当時、
政府当局から聞いたわけでもございませんから、先ほど御指摘の書類が、果たして刑事訴訟法の四十七条ただし書きに基づいて
政府としては公益上出す必要があると考えて出したものかどうかについての
意見は、ちょっと私としてはよくわかりませんので御
答弁は差し控えたいと思います。
もう一点、第三点でございますが、
国会議員を
証人に呼ぶことについての問題でございます。これは理屈から言えば、
国会議員を
証人に呼んで悪いということはないわけで、一定の
手続で
国会議員が
証人として出られることは
法律的には別に制限はないわけでございます。ただ政治的に、
国会議員は当然
国会に議席を持っておられる、あるいは自由に
国会において発言できる
立場でおられますから、必ずしも
証人でなくてもいいじゃないかという、政治的あるいは妥当性の問題の御
議論があるのだろうと思います。そこは
国会の
運営でお決めになることだろう、かように考えます。