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竹内(勝)
委員 御承知のように、公明党として去る三月十二日、特定
湖沼環境保全特別
措置法案を提出いたしました。今回の
政府案である、どういう名前になるかわかりませんが
湖沼保全法案に対し、何らかの参考になったかどうか伺っておきたいわけでございますが、今回、公明党として出したこの提案の中身をこの際若干述べさしていただきたいと思います。
湖沼は、国土を支え、構成する重要な要素として、また、飲料水源等の水資源の豊かな供給源として、あるいは、水産業、観光及び運輸交通等の手段や媒体として
国民生活の向上や産業の発展の上にはかり知れない
役割りと機能を果たしてきたことはいまさら申すまでもございません。
また、
湖沼はその青い水や美しい景観等が
国民の心のよりどころとして、古来より深く愛着されてきたかけがえのない自然でもあるとともに、その紀元が地球の形成とともにある、はるかなる歴史は、多種多様な生物をはぐくんで学術的にも文化的にもまことに貴重な自然的造物となっているのでございます。
こうした重要な機能と価値を有する
湖沼が近年、著しく
環境の悪化を見ていることはまことにゆゆしき問題でございます。このことは、私
どもが
湖沼の与える豊かな恵みを享受することはかりに心を奪われ、その恵みの源泉である
湖沼を
保護、保全し、その機能を維持、増進させることに深く配慮してこなかった結果と言わざるを得ません。
環境庁の
昭和五十四年度
自然環境保全基礎
調査によれば、
わが国の天然
湖沼はその面積が一ヘクタール以上のものが四百七十を数え、一方、ダム等の人造湖は堤高十五メートル以上のものは二千七百四十四あります。これらのうち
湖沼として
環境基準が指定されている
湖沼の
CODの
環境基準の不適合率は、五十二年度で六四・八%、五十三年度で六二・五%、五十四年度で五八・二%と六割前後が不合格となっており、河川や海域と比較して二倍近くの不合格率を示しているのでございます。
また、琵琶湖等で問題になっている
湖沼における淡水赤潮や水の華の発生
状況は、
環境庁のアンケート
調査によれば、
調査対象百三十七
湖沼のうち三十七
湖沼、二七%です。それらによる被害のあったもの十三
湖沼に及んでおります。
さらに、
昭和五十三年度の水道協会雑誌によれば、全国の貯水量五万立方メートル以上の水道水源となっている
湖沼・貯水池百三十二のうち何らかの水道
水質障害の発生したものは八十三、六三%です。かび臭障害が五十五、四一%と報告されております。
また、
水質の悪化のみならず、
湖沼周辺の
自然環境や、
湖沼特有の景観・風致並びに文化財等の歴史的・文化的
環境や生活
環境が、周辺の都市化及び工業化の進行によって著しい破壊や汚染を見ております。とともに、それが
湖沼の
水質悪化をさらに増幅させるという悪循環を繰り返しているのが現状でございます。
こうした現状を放置すれば、
湖沼の自然的
特殊性や制約条件からいって、
湖沼の
環境悪化がますます深刻化し、
国民の健康と生活及び産業発展の上から取り返しのつかない損失を招くことは必至であると言わねばなりません。
湖沼の
環境保全については、これまで
関係地方公共団体がそれなりに熱心に対応してきたところでありますが、
湖沼の持つ自然的
特殊性、すなわち閉鎖性、滞留性、非循環性、低自浄性といった自然的条件の限界を一
地方公共団体が克服することは困難であります。また、
湖沼における
環境保全対策について、自浄力やキャパシティーの高い河川や海域と同一レベルの
対策をもってしては、その
環境悪化を食いとめることは不可能であります。したがって、
湖沼の特有性に適合する施策の実施が必要となってくるのでございます。
その
意味から、
湖沼が持つ本来の機能と価値を維持、増進し、後世代に永く継承していくためにも、公益上重要な
湖沼について国家的見地から総合的、抜本的な特別の
措置を早急に講ずることが必要であり、このたび、三月十二日でございましたけれ
ども、公明党といたしまして特定
湖沼環境保全特別
措置法案を発表したのは御承知のとおりでございます。参議院から提出しましたので、若干の内容を本
委員会で述べさせていただきましたけれ
ども、この趣旨に乗って、わが党が出した提案に対して、何らかの今後の参考になったかどうか、その見解、所感を述べていただければありがたいと思います。