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1981-04-17 第94回国会 衆議院 環境委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十七日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 山崎平八郎君    理事 戸沢 政方君 理事 中村正三郎君    理事 吹田  愰君 理事 水野  清君    理事 野口 幸一君 理事 馬場  昇君    理事 岡本 富夫君 理事 中井  洽君       池田  淳君    大野  明君       玉生 孝久君    橋本龍太郎君       畑 英次郎君    藤波 孝生君       島田 琢郎君    山本 政弘君       竹内 勝彦君    木下敬之助君       米沢  隆君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 鯨岡 兵輔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       北村 和男君         環境庁自然保護         局長      正田 泰央君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君  委員外出席者         科学技術庁振興         局管理課長   清水 眞金君         科学技術庁原子         力局核燃料課長 坂内富士男君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 平野 侃三君         法務省刑事局刑         事課長     飛田 清弘君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   杉戸 大作君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    飯田 善彦君         通商産業省生活         産業局紙業課長 佐藤 剛男君         工業技術院総務         部産業公害研究         調整官     松井  司君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     幸前 成隆君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   池田  淳君     塩谷 一夫君   田原  隆君     野呂 恭一君   玉生 孝久君     有馬 元治君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     玉生 孝久君   塩谷 一夫君     池田  淳君 同月十七日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     島田 琢郎君   大野  潔君     竹内 勝彦君   木下敬之助君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     岩垂寿喜男君   竹内 勝彦君     大野  潔君   米沢  隆君     木下敬之助君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ――――◇―――――
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより会議を開きます。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  3. 島田琢郎

    島田委員 鯨岡大臣とは初めてここでお話をさしてもらうわけであります。昨年まで私もこの委員会におりまして、いろいろなじみの正田さんやいろいろな方といろいろな問題をやり合ったわけでありますが、きょうは久しぶりにここでお話をさしていただくことになりました。  まず冒頭に、中公審答申が出まして、政府もこの答申を受けて湖沼関係法案づくりに鋭意努力をされているやに伺っているのですが、なかなかこれが形になってあらわれてこない。どういうところがいま問題になっていてなかなか国会提出までいかないのか、問題点を含めて経過をひとつお尋ねしたい、こう思います。
  4. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 折衝の任に当たっている局長から細かく答えさせようと思いますが、大まかに言いますと、先生方にお決めいただいたいろいろな法律がありますね。それをみんな一生懸命になってやっているのです。だから、その上屋上屋を重ねるようなことにはならないだろうか、屋上屋を重ねることになると言っているわけじゃないのですが、ならないだろうかということを、配慮といいますか、そういう心配をしている。  私の方は、いま先生御発言のように、中公審答申があったわけですから、答申をよく見ればわかるように、六〇%はだめである、四〇%しか達成されてないという実情である、これでは困る、そこでこういうようなことについて配慮していったらいいじゃないかという答申がありました。それに基づいて法案はつくってあるわけでございます。だから、この間もお答えしたのですが、私は一日に二時間も三時間も勉強しているのですよ、その上何かいろいろなこと言う必要はないじゃないか、こう言われる。私どもの方は、二時間も三時間も勉強していることを疑うわけではない。そうでしょう、しかし、それで合格しなければしようがないじゃないですか。それで合格するかと言えばしないのですから、しないおそれが多いのですから、そこで何かを考えなければならないのじゃないか、そこで、中公審のあのいただいた答申に基づいて法案をつくっているわけでございまして、せっかくいま努力中でございますが、詳細の点については局長から答えさせます。
  5. 小野重和

    小野(重)政府委員 中公審答申基本でございますけれども、これはただいま大臣がお答えしましたように、湖が特に汚れている、その原因は、御案内のようにいわゆる閉鎖性水域でございまして、非常に汚濁に敏感であり、汚濁しやすいということであります。したがいまして、その対策といたしましては、従来の水質汚濁防止法ではやはり不十分だということで、そこでいろいろな規制も強化せざるを得ませんし、それからまたいろいろな事業も総合的に実施する。あらゆる施策を総合的、計画的に進めまして、湖沼の水をよくするという点がこの中公審基本だと考えております。したがいまして、それに沿った法案を作成して各省庁協議しているわけでございますが、いろいろな汚濁原因がございまして、それの対策をそれぞれ進めなければいけないわけでありますけれども、その間のバランスをどうとるかというのが非常にむずかしい問題でございまして、これは各省庁にまたがりますもので、その辺の協議に非常に時間がかかっているということがございます。それからまた、従来のいろいろな諸制度があります。たとえば河川法のようなものでありますけれども、そういうものとの調整問題がもう一つ問題がございます。大きく言ってその二つの点につきまして各省庁と詰めておるところでございますが、もう大分詰まってまいりまして、最終段階にいま来ているというふうに私どもは判断いたしております。もうしばらく御猶予いただきたいと存じております。
  6. 島田琢郎

    島田委員 各省庁調整に手間取っているというお話でありますが、どうも環境庁長官は歴代、アセスで悩み、今度また湖沼保全法を出そうと思うとあちこちからいちゃもんがつく。鯨岡長官なら元気がいいから、何とかこんな壁は破って、アセスメント法だってもう今国会で成立するのではないかと期待して、私はあなたの就任に期待をかけていたのでありますが、これもどうやら、最近の新聞を見ますと、またぞろ幻に終わってしまうというふうな感じであります。せめて湖沼保全立法がうまくいくのではないか、またうまくいかなければいかぬ、こう思っておりましたが、これもまたどうやら非常にむずかしい状況にあるようであります。小野局長はずいぶん煮詰まってきたからと言いながら、もうしばらくと言うのでありますが、しばらくと言えば、一年でも二年でも三年でもしばらくでありますが、そういう間にもうどんどん湖沼汚濁が進んでいく、こういう状況になっていますし、すでにこの立法化はかなりおくれているというふうに言われておりまして、現地でもずいぶん早くこうした規制というものをやって、せっかくの湖や沼を汚くしないように、汚くなっちゃったのだけれども、これからでも何とかひとつ取り戻していかなければならぬ、こういうことで現地では大変心配しているわけであります。  私ども北海道にもずいぶんたくさんの湖沼を持っておりますし、私も現にサロマ湖のふちで牧場を構えておりますので、サロマ湖水質汚濁という問題については非常に神経を使っている一人であります。特に漁師の皆さんから漁をする立場で昔のサロマ湖を取り戻さなければならないという動きもあります。私はその湖畔で牧場を構えているものですから、ふん尿の処理なんかについても非常に気を使っていかなければいけませんし、こういう問題についてもしばしば利害相反するような立場での話も出てきます。しかし、それは利害相反するということではいけませんで、やはり利害が一致する立場でこれは考えていかなければならない。したがって、小野局長もつい先日までは食糧庁にいらっしゃって農林省の役人でありますから、農業の問題についても、セクトで、おれたちだけがよければいいんだということには相ならない。したがって、それぞれ個々の努力というものも必要でありますけれども、やはり一定の基準というものがあって、それに対する行政措置というものがうまくマッチしていけば、これを未然防止することができるという立場で、こういう問題にも私はしばしば物を言ってきた一人であります。しかし、いざ行政の最高のところでこの問題を手がけようとすると、関係省庁セクトで物を言う、こういうふうなことでなかなかうまくいかない。これはアセスに象徴されるごとく、なかなかにして、経済問題を持っております各省庁立場というやつがそのときになると一遍に噴き出してきちゃってうまくいかない、こうなるわけであります。しかし、これは急がなくてはならないので、いましばらく、こうおっしゃるけれども、すでに長官は勇ましくラッパを鳴らしてこれだけでもやるよとおっしゃっているわけですから、今国会でこれが提出されてくるというふうに私ども考えていたのでありますが、どうやらもうこれは今国会はだめだと見る方が正確のように思えるのですが、これはいかがなんですか。
  7. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 この国会はとても見込みはない、だめだと思う方が正確だというのは、どうぞお考え直し願いたい。私は、この国会で御審議をいただく、ただ御審議をいただく日数がだんだん減ってまいりましたので、これがまことに恐縮なことでありますが、遅くなって申しわけないのですが、どうぞ法案が出たならば詰めて御審議をいただきたい、こう思っているわけであります。しばらくというのはいつまでたったってしばらくだぞ、こういう御忠言でございますが、私どもの言うしばらくというのは、この国会先生方の御審議をいただくということが前提でございますから、そういう意味でのしばらくということでございますので、局長のしばらくというのをそういうふうにお取り上げいただきたいと思います。  それから、この機会にちょっと申し上げておきますが、先生言われたように、アセスでも湖沼でもみんな同じです。NOxの問題でもみんな同じ。ただ、NOxは政令でございますからちょっと違いますが、どういうふうに同じかと言えば二つありますね。  一つは、非常に時代が、いまの時期がわれに有利でないというか、そういう表現はおかしいですが、それは御承知のとおりエネルギー問題に象徴されますが、日本の経済がこのままでは危ない。油の値段は昭和四十七年、一九七二年と比べれば十倍で買えないですから、しかも金を出せば幾らでも買えるというものでもない。こういうことになれば、油に依存することが非常に多いわが国は、油に依存することを少なくしなければならぬという至上命令がありますから、石炭の見直しをしよう、原子力発電所考えようということはどうしてもやらなければならぬことですから、そういうときにそれにいささかでもブレーキになるような話はちょっと控えてもらいたい、これは当然の成り行きのような、一面から見れば。われわれの方から言えば、そういう時代だからこそなおさらのことなんですが、こういうことで経済に重点が置かれて、ずっと経済の方に傾斜してまいりましたから、これが一つです。  それから、やはりいま先生もおっしゃいましたけれども、それぞれの立場で一生懸命やっているわけですよ。それを私は疑うわけじゃないのです。その一生懸命やっているところへわれわれが割り込んでいくような感じ考えようによってはしないものでもない。それは要らざることだ、われわれが一生懸命やっているのにという、俗に言えばなわ張り根性というのですか、それはちょっと悪い表現ですけれども、そういうのでなくても、自分がいま一生懸命やっているところへ、おまえのやっていることはだめだよと言わんばかりのことを言われて愉快な人は私はいないと思います。そこを理解してもらわなければならぬ。そういう二つの点がいろんな問題で噴き出しているという、いま先生表現ですが、噴き出していると言えるのじゃないかと思います。  しかしながら、考えていることは一致しているわけですから、何としても環境を守りながら経済の発展を考えなければならぬということは一致しているわけですから、必ず近日中にわかっていただけるものだ、こう考え努力しているわけであります。
  8. 島田琢郎

    島田委員 私は努力を疑っているのではありませんが、どうもいま大臣がおっしゃったように、それぞれのなわ張りで、利益する場合にはなわ張りを広げようとするし、不利だと思ったら狭めてそれを守ろうとする、こういう行政姿勢というものが環境行政で象徴されているんじゃないか、私はこう思えてなりません。おっしゃるように、高度経済成長期には環境問題というのはみんなの意識もそこに集まってきますから意外にやりやすい、しかし、低成長に入りますとどうしても環境軽視という感じが逆に出てくる。それは世論という意味で言えばですよ。しかし、いまおっしゃるように、こんなときにこそ環境というものをもう一遍きちっと見直して守っていく、こういう姿勢がやはり必要なんですね。その先頭に立つのは何と言ったって環境庁であり、所管されるトップの大臣責任なわけです。ですから、石油の問題とかいろいろエネルギーの問題も考え直さなければならぬ時代に来ていることを私は否定しませんけれども、しかし、毅然たる姿勢をもって環境庁が臨まれるとすれば、こうした低成長期における環境行政のあり方というものについては、やはりもう一度点検し直して国民合意を得られるようにしていかなくてはならない、こういうことになりますが、しかし、環境アセスメントにしても湖沼汚濁防止にしても、これは時代の変化とともに変わるものであってはならないので、やはり基本的には最初からそこはきちっとしておかなければならなかったものが環境行政の中で手おくれになっていた、もちろん、環境庁というものができてからそんなに日がたっているわけではありませんから、おっしゃるように、でき上がってから割り込むところが多くて、最初からきちっとセクションを持っていたわけではありませんから、やることなすことみんな割り込みという感じになっちゃうわけですね。しかし、環境庁という役所ができ上がったというのは、それなりに国民のコンセンサスあるいは合意というものがそこに凝集して初めてこういうものが生まれてきたという経緯に私はあると思うのです。そういう意味では、やはり胸張ってそういうものを排除しながらこの行政の推進のために努力をしていかなくてはならないわけでありますから、私は、一にも二にも長官のしりをたたいて、ぜひ一つあなたのお考えになっていることを実現してもらいたいという立場から、きょうは、湖沼問題とかあるいは自然保護の問題、こういう点でひとつお話をさせていただこう、こう思っているわけであります。  さて、環境庁姿勢は大体わかりましたが、尾瀬に新たに水質基準というものが設定されたわけです。BODにしましてもCODにしましても、これは湖沼に要求される一つの大事な基準でございますから、AA基準からA、B、Cといった四ランクがありますけれども、そういうランクの中で地方の自治体に責任を持たせるという形だけで基準を示して、後は地方行政責任においてやるという形で果たしていいのかどうかという点に、私は若干の疑問なしとしないのであります。いま若干の議論をした中でも、そこに利害関係が相当生じてまいりますし、すでに幾つかの既成事実がそこにあるわけですから、それを排除していくというのは、なかなか地方自治体においても金のかかる、また話し合いもせなければならない、そういう手間暇のかかるものであります。ですから、待ち切れずにあちこちでそれぞれ基準を設けてお進めになっているわけでありますけれども自然環境を守らなければならないという運動が実はこの尾瀬にシンボル的に起こってまいりまして、まさにこれを手本にしてやっていくという意味地方への影響力を持っている場所でありますけれども、これをどのように評価されているのか、まずそこをお聞きしながら、環境庁という立場でやらなければならない責任がどこにあるのかをもう少しお尋ねをしたい、こう思うのです。
  9. 小野重和

    小野(重)政府委員 尾瀬沼につきまして、最近、四月十日でございますが、福島県、群馬県協議の上、環境基準Aランクと決めたということでございます。この環境基準は県が決めるべきか国が決めるべきかという問題がございますが、基本的には、その湖がどういう役割り、用途を持っているのか、それに応じてランクが決められるということでございますので、そういう意味で、その湖温のございます都道府県知事さんの御判断がまず基本であろうということで、現在都道府県知事が、環境基準の当てはめとこう言っておりますが、これをするということにいたしておるわけであります。  それで、尾瀬Aランクというふうに決めたということでございますが、現実の水質につきましては、大体CODで二ppmないし三ppm、年ごとの変動は若干ございますが、そういう水準でございます。Aランクということになりますと三ppmということになるわけでございますが、このまま放置していくと、いまはぎりぎりのところでございますが、危ないということで、環境基準Aランク当てはめということが決められたというふうに理解しております。  汚濁源といたしましては、ああいうところでございますので自然の汚濁が相当に大きいということは事実でございまして、そういう意味からいままで環境基準の当てはめがされていなかったということだと考えておりますが、最近といいますか、人為汚濁観光客その他の関係でやはりございますので、そういうものを未然にチェックするということで、今回環境基準の当てはめがされたというふうに理解しております。したがいまして、今後はこのAランクを守るために水質汚濁防止法に基づくいろいろな規制、そのほかいろいろな事業もあるかと思いますが、これを総合的に実施して、決められたAランクを何としても守るようにしなければいけない、かように存じております。
  10. 島田琢郎

    島田委員 いま局長からお話があったように、尾瀬沼は、自然汚濁というか、湿原地帯から出てまいります。そういうものがあるから、人為的な汚染という立場でのとらえ方がなかなかむずかしい、むずかしいというよりは自然汚濁の方が激しいものだから、そういう意味では、いまの基準に当てはめて監視をやっていく場合でも非常に特殊性を持っている、こういうお話であります。こうした沼というのは大体が湿原地帯でこういう環境に置かれているわけであります。しかし、これを監視していくという体制は非常に大事なのでありまして、監視しやすいその基準は一体何なのかというのが現地でも大分問題になったようであります。そうしますと、CODBODかということになるわけでありますけれども、私がなぜ尾瀬沼を取り上げているかというと、先ほども申し上げましたように、尾瀬沼というのは環境保護のシンボルという立場で全国から注目を受けているわけでありまして、これのやり方いかんによっては地方環境保全対策にも非常に大きな影響を持つ、こういう立場から、尾瀬沼についての見解をお聞きしたわけであります。しかし、私がいま指摘しましたような立場から言えば、監視体制をどうやって確立していくのか、しかも、その場合の保全対策に決め手として一体どういうものがあるのか、この辺がまだ正確になっていないように思うのですが、これはいかがなんですか。
  11. 小野重和

    小野(重)政府委員 実はこの問題につきましては、CODBODかという問題が一つございまして、湖沼につきましてはCOD考えるということになっておるわけでございますが、尾瀬沼につきましては、特に福島県側でいろいろ議論がございまして、ここは自然汚濁の量が非常に多いものですから、そうなりますと、それはCODではかれば全部出てくるわけでございますが、人為汚濁ということになりますとむしろBODじゃないかというような議論もあったわけでございまして、その辺はなかなかむずかしい議論だと思います。そこで、決められておりますCODAランクということにしたわけですが、あわせてBODについても測定して汚濁の推移を見るというような措置にしたというふうに聞いております。  それから、対策でございますが、自然汚濁の方は特に対策ということはちょっとないのでありますけれども、やはり人為汚濁をどうするかということでございまして、結局、宿舎とかあるいは旅行者の流す排水の問題でございますので、屎尿浄化槽整備とか、そういう対策が中心になるのではないかというふうに考えております。
  12. 島田琢郎

    島田委員 CODBODかという点で言えば、自然汚濁が激しい、もともと高いところだ、こういう立場で生物の基準を用いるのは当然なのでありましょうけれども、化学的な要素を用いるという方が正しいのでありましょうけれども監視をしていく立場ではなかなかとらえづらいという問題があるということで、何ppm以下ならいいのかという基準をめぐってまだ論争が続いているようであります。いまの小野局長お話では私もよくお考えがわからないのでありますけれども、この尾瀬沼に関して限定すれば、環境庁としてはこの辺の指導はどのようにされているのですか。たとえばBODなら二ppm以下である、あるいはCODなら五ppm以下の基準、こういう主張もあるというふうに聞いているのでありますが、この辺のところは、尾瀬沼とかほかの湖沼との関係から言って、置かれている条件や環境が違うということもあって一律にはいかないのでありましょうけれども、これはひとつ参考にしようとすれば、尾瀬沼では一体どういう点で指導されようとしておるのか、あるいは指導しているのか、あるいは全く任せっ切りでこの論争の決着を待つという姿勢なのか、その辺のところをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  13. 小野重和

    小野(重)政府委員 個別の湖沼についての議論はいろいろあるかと思いますが、私ども、やはりわが国湖沼全般について一律のランキングをつくり、そのランキングを達成するということを国の方針とせざるを得ないわけでありまして、そういう意味で、私どもは従来から湖沼につきましてはCODランキングするという方針でずっと来ておるわけでありまして、これからもこれを変えるということを考えておるわけではございません。その辺をいま地元でいろいろ議論しているようでございますが、これについて特に私どもの方がどうでなければいかぬということを言うつもりはいまのところございません。CODということでやっていただきたい、こう思っております。
  14. 島田琢郎

    島田委員 考え方はわかりました。そこのところを地元議論に任せるのか、あくまでもいまのように、いやこういう考え方で変えるつもりはない、こういうことであるならば、それで私は了解するのですが、ただ、地方に任せますと、いろいろな意見が錯綜しますから、必ずしも結論を出すのに正確なものが出てくるかどうかということを私は心配するものですから、環境庁姿勢というものが行政上きちっとしていないと、地元の意見や論議に振り回されて、せっかくの基準が宙に浮いてしまうというような心配があってはならぬ、こう思うものですから、あえて指摘をしておきました。  先ほども申し上げましたように、北海道には尾瀬沼のような湖沼がたくさんございまして、これからも非常にこの湖沼汚濁という問題は大きく話題になっていく、こういう環境が北海道内にもたくさんあるわけであります。しかしながら、だんだん観光という範囲もそのエリアが広がってまいりまして、やや自然の形で残されている湖沼、こういうところに足を向ける人たちの数もふえてきつつあります。そういたしますと、当然これらの観光によって環境が変わってくる、つまり汚濁される、こういう危険性がだんだん――今度はいままで余り注目も受けなかったようなところに人が入っていきます。というのは、つくられた観光地よりは自然の姿のところを求めて観光の姿がさま変わりをしつつあるということが言えると思うのです。そういたしますと、環境庁は、いままで手の届いていないそういうところにどんどん観光客の方が先に足を運んでいってしまって、いままで観光地がいろいろな形で荒らされるのを防止するのに精いっぱいで、新しいところに手がつかないうちに今度は観光客の方が先にどんどんそこに入っていきますから、後追い後追いみたいなかっこうになっていってしまう。ですから、先に先にと手を打っていかないと、この環境保護ということはできないのではないか、こう考えていますので、そういう意味では、私は、環境行政というものはその先へ先へと行政を広げていくという手が必要であって、汚されてしまってから一生懸命後を整理していたって、これはとても追いつく話じゃございませんから、そういう点については基本的に考え方を変えていかなくてはいけないのではないか。その辺の点検なり、あるいは点検というよりはそういうことを予測したやり方というものを具体的にお進めになっているのかどうか。どうも人が入り込んでからあわててそこに網をかけ環境基準を守らせるような指導をやっていくといったようなことの傾向がいままでは強いわけでありますから、そういう点で、ひとつ積極的な行政姿勢というものが望まれる、こういう声を地方で非常に強く私は受けるのであります。全国のそうした湖沼全部にわたって網をかけていくというのは、法律的には網をかけることは可能でありますけれども一つ一つ具体的に行政の手を差し伸べていくということはなかなかむずかしいということは言えるのでありましょうけれども、しかし、そのための検討というのは同時にやっておかなくてはならないわけでありますが、その辺は具体的にお考えとしてはあるのかどうか、あるとすればどういう手をいま打ちつつあるのか、その辺のところをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  15. 小野重和

    小野(重)政府委員 現在、湖沼は全国で三千あるわけでありますが、そのうち環境基準を当てはめているのは百湖沼であります。これは湖沼と言ってもいろいろな湖沼がございますし、その湖沼の持つ重要性等から見て、またその水質状況から見て判断して環境基準を当てはめ、排水規制をかける、こういう必要のある湖沼を百指定しているということでございます。  それで、これは水質汚濁防止法でそういう措置をとっておるわけではございますけれども、自然の中の湖ということになりますと、これは自然公園法に基づくいろいろな措置があるわけでございますが、それはそれでその措置を講じておるわけでございますから、その間に確かにギャップがある、抜けるところがあるというのは非常に問題でございますが、その辺の検討をしながら、いまのような、片や百湖沼、一方では自然公園の中の湖沼対策、こういうことで進めているというのがいまの姿でございます。
  16. 島田琢郎

    島田委員 私の言い方がちょっとまずくて御理解がしにくかったのかもしれませんが、つまり、局長がいま言われたように、全国の湖沼の数から言うと、正直言ってまだ一割もないのですから、非常に微々たるものだ。そういうところは、やや人が入り込んで、すでに汚濁がある程度もう進んでいるところです。  私の言っているのは、その百のところはもちろんそうですけれども、それは自然公園法という法律の中にゆだねるだけで済むかどうか。残り二千九百あるわけですね。だから、そこのところに対しても具体的にはどういうふうに手を打っていこうとお考えになっているのか。公園法の中だけで済まない、私はこう思っているものですから、やはり三千の湖沼をすべて洗って、一定の予測を加えながらランクづけをして、先へ先へと手を打って基準をはめていく、こういうことをおやりになる必要があるのではないかというのが先ほど私が申し上げた趣旨なんです。  それでは、そういうところは全くまた手を打っている段階ではないと理解していいわけですね。
  17. 小野重和

    小野(重)政府委員 すべての湖がきれいであるべきことは当然でございますけれども、ただ、この環境基準を当てはめるということは、すなわち排水規制にすぐつながる問題でございまして、この排水規制をする必要のある、そこまでの湖沼であるかということになりますと、重要性とか現在の水質とかいろいろあるかと思いますが、そういうことで現在は百程度ということでございます。  確かに、最近、先ほどお話がありましたように尾瀬沼について環境基準を新たに設定した例もあるわけでございますが、後追いということは確かに問題でございまして、一たん汚濁しますとなかなか取り返しがつきませんから、未然汚濁防止することがもちろん基本でございます。そういう意味で私ども従来も、いま先生のおっしゃったような方針でやっているつもりでございますが、今後ともそういう点をよく注意して運用してまいりたいと存じます。
  18. 島田琢郎

    島田委員 いまのお答えでは私はちょっと満足できません。自然のままに残していきたいという願望はわれわれにもありますし、環境庁もそこを基本にしてお考えになっているので、環境行政立場から言えば、汚濁が起こりそうな場所についてあらかじめ予測しながら手を打っていくという――後追いにならざるを得ないという性格もわからぬではないですけれども、先ほど私が申し上げましたように、つくられた観光地へ向かっていた足が、今度は自然の奥地にも、だれも人が入らぬようなところを求めて入り込もうという観光の傾向が次第にあらわれていますから、事前にそういう予測のできるところは、三千全部を洗い直していけば私はある程度わかると思うのですね。したがって、そういう心配のあるところは未然防止するという立場に立って行政の網をかけておく必要がある。何もかも自然のままに残すというのが本来の趣旨でありますから、そこにいろいろな規制を加えて、入り込んではいけないよというわけにはいかぬと思うのでありますけれども、しかし、そういう行政をも一方ではお進め願っておかなくては、私は取り返しがつかなくなってしまうという心配を持っておるものですから、その姿勢を伺ったわけであります。  ところで、北海道にはたくさんあると言いましたが、たとえば阿寒湖だとか、私の選挙区では屈斜路湖、これはすでに相当の汚濁が進んで、一時は大変な観光客がここに入り込み、最近もその足が必ずしも落ちているわけではありませんが、一ころのように加速度的にそこがブームを巻き起こすような状態ではなくなりました。人間は正直なものでありまして、入り込んで自分たちが汚す一端を担いでいるのでありますけれども、汚されたところはだんだん見向かなくなって、新しい方へ向かっていく。そうすると、後、汚されたところはだれがやるんだといったら、長官、あなたの責任ですよとぼくらは言うわけでありますから、それは長官もたまったものじゃない。おまえら勝手に汚しておいておれに後始末をやれと言うのか、こうなります。しかし、阿寒湖なんかで言えば、これはAAランクになっていますね。もちろんAAランクは一ppm以下でなくてはいけないわけであります。しかし、最近COD基準値がかなりオーバーしているという指摘がありますが、これをやはり何とかもとのきれいな湖に戻していかなくてはならないということで地元ではずいぶん努力もしている。しかし、一たん汚されますと、これをきれいにするのは大変な努力と金が要るわけであります。  いま私が指摘いたしました阿寒湖と屈斜路湖について、環境庁はその実態をどのように把握されておるのか、ちょっと伺っておきたい。
  19. 小野重和

    小野(重)政府委員 阿寒湖につきましては昭和四十七年四月に、また屈斜路湖につきましては昭和四十八年三月に、いずれも水質環境基準AAの類型指定がなされているわけであります。この環境基準CODで一ppmでございますが、現状ではそれを超えているわけであります。阿寒湖で言いますと、五十四年の数字がございますが二・八ppm、屈斜路湖は一・三ppmでございます。阿寒湖につきましては一ppmの基準が二・八、三に近い数字でございます。屈斜路湖は一三ということでやや汚濁している、阿寒湖は基準に照らしまして相当汚濁している、こういう状況がいまの姿でございます。
  20. 島田琢郎

    島田委員 この両湖について言えば、ここに散在いたします公園が流域下水道や公共下水道が完備していないことが第一に挙げられる点だろうと私は思う。  阿寒湖については、五十六年度から建設省の事業が始まっているようでありますが、これに対しても町村が議決をしまして起債をしないと実施できない、こういうことになりますね。たとえば、環境庁が予算を持って地域の指定などをしなくてはならぬわけでありますが、そうした予算がほとんどない。こういう状態でありますから、町村にしてみれば、環境衛生事業にいたしましてもあるいは農村環境整備事業にいたしましても、この下水道の問題はそれぞれ多額の金を要するものですから、それぞれの立場からの助成はあったとしても、町村で対応するにはなかなか大変なことであります。単に議決をしただけで済めばいいのですけれども、起債をしなければならぬという問題がありますので、こういう予算措置については、自治省の所管であるとか関係する省庁責任であるというだけでほっておいたのではなかなかうまくいかないと思うのですよ。ですから、積極的に環境庁が乗り出していかないと、いまおっしゃるように、阿寒湖なんかは間もなく三ppmを超えていってしまうのじゃないか。これは低下するどころかどんどん進んでいく。  屈斜路湖はやや環境を異にいたしますが、あの屈斜路湖はクッシーがいるとかいないとか言われて、摩周湖と比較しても劣らないだけの大変いい水質を持っていたと言われている湖であります。しかし、ここも、いまお話にありますように、すでに基準を超えているということでありますので、いま申しましたような下水道の完備が急がれるわけでありますが、町村も、これに対応するのには今日のような自治体財政の力ではどうにもならぬ、こういう悩みを強く訴えられているわけであります。  私が指摘したような点については、長官としてどのようにお取り組みになろうとお考えなのか、ひとつ御見解をお聞かせ願いたい、こう思うのです。
  21. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 先生の段々のお話を承っていて、私全く同感なんです。先生お話は、自然のきれいなところは人がそこへ訪ねていくよ、そしてまた、そういう訪ねていく人を対象として商売がその辺に、旅館とか食堂、そういうものがどんどんできるよ、そうすればどんどん汚れていくじゃないか、ですから、これに対しては先手先手とやっていかなきゃ、いろいろ心配したって、心配しているだけでは水は汚くなっていくよ、そういう御注意なんで、私はそれなりに努力はしているのですが、おっしゃられることは全くそのとおりだと思います。  私の経験で申し上げますれば、昭和十年ごろから十二、三年ごろにかけて、私は尾瀬沼というところに何回も何回も、一夏に二、三回ずつぐらい行きまして、恥ずかしいものですがあそこに対して書物を書いたことがあるのです。そのころは尾瀬沼へ訪ねていく人は少なかったのです。小さい長蔵小屋が一つあっただけで、それで牛首というところ、あそこのあたりは、先生お話にあったように植物が腐って、そこのところへ汚れている水がぶつぶつあわがたっていた。そういうところはありましたが、あの長蔵小屋の近所の、水がいっぱいあるところなんかは飲めたのです。それから燧岳なんかは登る人が少なかったです。このごろ写真を見ますと、あそこのところ行列をつくって燧岳へ登っているのですから。それから長蔵小屋なんかもその後増設して、最近は知りませんけれども、息子さんの代になって、いまはお孫さんの代ですか、たくさんあそこに家がありますから、そうなってきますと、なまやさしいことではとても水質を維持することはできないのではないか。北海道もまた全くその例に漏れないわけであります。  そこで、汚れちゃってからではこれ対策を立てるのに大変でございますから、汚れる前に、いま局長が言ったように、旅館なんかができる前に、下水というようなことについてよほどのことを準備しておかなければならぬ。そうなってまいりますと、国がいろいろやっているという基準はもちろんつくらなければなりませんが、その基準に基づいて、その湖のあるところの首長、知事さんが、それぞれその湖の使用目的等を勘案しながら計画を立てて、そして、その計画ができたらば、計画に基づいて国も地方公共団体も全力を挙げてこれを応援する、こういうようにしていかなければならないのじゃないかなと思います。多少口が滑るようで恐縮ですが、私は、道路なんというものは後からつくってもいいじゃないか。むしろ、全面的にそういうわけにはもちろんまいりますまいけれども、道路などをつくるお金を下水の方に一時期はぐっと傾斜させてやっていかなきゃならぬ。それは後から取り返しがつかない問題でございますだけにそんな気持ちでいるわけなんですが、なかなか思うとおりにはまいりません。  そこで、従来の方向を少し変えて、知事さんにひとつ考えていただいて、その知事さんの考える過程においてもわれわれはこれに応援をし、そして合意して計画ができたならば、それに基づいて全力を挙げてこれを応援する、これが中公審のわれわれにいただいた答申の趣旨でもございますので、法律もそういうふうにつくろうと思いますし、仮に法律じゃなくてもそういう考えでやっていきたい。先生の言われるように、美しいところに人が訪ねていくのは自然の道理でありますから、人が訪ねていけば汚くなるのですから、それから人と関係なしにも先ほど尾瀬の牛首のところで申し上げましたように自然にも汚くなるのですが、人が訪ねていくために汚くなるということについて、先手先手と打ってやっていきなさい。だから、三千あるのに一割にも満たないところだけ指定して、そこだけ心配だということでは足りませんよという御注意はありがたく承って、その方向で注意していきたい、こう思います。
  22. 島田琢郎

    島田委員 水質汚濁の発生要因として、いま非常に問題になっていますが、生活用水でとりわけ合成洗剤という問題が非常に大きいわけであります。これは琵琶湖に見られるようなことは、ひとり琵琶湖だけではなくて、特に私のところの阿寒湖だとか屈斜路湖の周辺には、温泉が出ますので人がたくさん集まりますし、当然ホテルや旅館から出る生活用水といいますか環境用水とでもいいましょうか、使われる合成洗剤の量も膨大になるわけで、公園周辺の流域河川であるとかあるいは生活排水等については、当然湖沼に流れ込むということは想像されるわけでありますから、この場合の合成洗剤の使用の制限ということが一つ問題になってまいります。この点の対策はどのように進めようとお考えになっていますか、すでに幾つかの事例があれば、ひとつそれを含めてお話を聞かしてもらいたい、こう思います。
  23. 小野重和

    小野(重)政府委員 合成洗剤の中にも有燐の合成洗剤と無燐ないし低燐の合成洗剤があるわけでございますが、滋賀県で条例で規制しているのはこの有燐の合成洗剤でございます。ただ、滋賀県におきましては、何も有燐の合成洗剤だけの問題ではなくて、燐全体について、これは事業場等からも出ますもので、それを含めて総合的に燐の規制をする、こういう条例の内容になっております。これを全国一般的に、たとえば合成洗剤について有燐の合成洗剤の使用禁止をすべきではないかという御意見もあるわけでございますが、ただ、これは地域的な問題ということで処理することは可能かとも思いますけれども、一律にというのはいかがなものであろうかということでございます。ただ、私の方はメーカーに対しまして、有燐の合成洗剤を低燐化、さらには無燐化という指導というか要請を、これは主管省の通産省を通じましてしておりまして、現に有燐の合成洗剤の比率というのはぐっと下がってきております。  そこで、問題は、御質問よりちょっと範囲が広くなるわけでございますが、窒素もそうでございますが、特に燐がこういう湖沼のような閉鎖性水域に入りますと、いわゆる富栄養化現象が進むということでございますので、合成洗剤に限らず、要するに燐全体について何らかの規制をする方途はないか、こういうことでございまして、私どもはいま、特に湖沼につきまして燐についての環境基準をまず設定することが前提でございますので、それをつくる作業を現在進めております。五十六年度中には環境基準を設定したいということで、いま検討を進めておるところでございますが、そういうことになりますと、さらにはそれに基づく排水規制というふうにつながってくるわけでございまして、私どもとしましては、単に合成洗剤ということだけではなくて燐全体の問題として対処したい、かように考えていま検討を進めているところでございます。
  24. 島田琢郎

    島田委員 これは出てきました燐を含んだ汚水を水際作戦みたいな形で征伐するというのは、いまの状態の中ではなかなかむずかしいのかというふうな感じもいたしますが、いま局長が言われたように、全体のいわゆる規制というのはこれまたいろいろなところからいろいろな問題が出てきて、たとえば、石けんをつくるときにこういうものをつくるなというふうなところまで規制をやっていけば、それは一番もとっこで退治できますから問題の解決は早いのでしょうけれども、そこのところはなかなかむずかしいというふうな意見もございます。  いま、今年度中に環境基準をつくって強力にこれをやっていきたいというお話でございますが、そもそも合成洗剤の使用という問題については、正直言うと正体がはっきりつかまえられないという場合が多いですね。いま申し上げましたように、もともとこういう洗剤をつくらないようにすればこれはいいわけなんでありますが、環境庁立場からそれをつくるなということを言うことで問題の解決ができるでしょうか。その辺のところを、私は素人でちょっとわからないから正直にここはお聞きをするのでありますが、いまのお話はそれを含めてというふうに聞こえましたが、そういう意味ですか。
  25. 小野重和

    小野(重)政府委員 燐の製造禁止というところまではちょっといきかねるということでございまして、これはもう法制措置が必要なわけでございますから、それは非常に問題があると思うわけでありますが、しかし、低燐化、さらには無燐化ということで、そのメーカーに対して、通産省を通じて指導でございますが、しているわけでございます。これはその指導によって低燐化あるいは無燐化が製造段階でどんどん進んでおりますので、当面その推移を見たい、メーカー側の協力をさらに要望している、こういうことでございます。
  26. 島田琢郎

    島田委員 製造の問題について言えば、私の考え方は、やはりもとのところでつくらせないということでこういう問題は解決すべきだという主張に正直言うと立っているのです。しかし、これも申し上げましたようにいろんな利害関係が入ってまいりますので、一遍にやるということはなかなかむずかしいのではないかというふうに少し理解をしながらお話をしているわけでありますが、しかし、正直言えば、業界だけではなくて、使う方の国民の皆さん方の意識もここのところは大変高まってきておりまして、むしろこんなのはない方がいいんだという意見も次第に大きくなってまいっております。したがって、やがてはそういう問題の解決ということになるんではないか、こうは考えますけれども、しかし、やはり法律をつくってでもこれを規制するという立場に立つ方がいい、私は年来そういう主張に立っている一人であります。  全国にまたがりますこの生活排水の問題というのも、それぞれの場所でもって規制をしていくだけではなかなか退治できないだろう、こういう考え方に立っていますので、行政立場から推移を見守るという姿勢じゃなくて、いまや環境を守っていくという大事な行政役割りを負っております環境庁から、積極的にこういう提言をされてしかるべきだというふうに私は思うのですが、大臣はいかがお考えですか。
  27. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 この面ではずいぶん研究をしているんですが、私どもとしては、業界に対して、燐を含んでいると富栄養化の原因になるから、これを含む洗剤をつくってはならぬというようなことは最後の手段でございまして、いま先生おっしゃったように、主婦の方々が大分この面について御理解をいただいてまいりまして、むしろそれを使わないという運動などが展開されているようでありますから、しばらくはその推移を見守っていきたい、こういう方針でおります。  と同時に、富栄養化の原因になる燐というものの中で洗剤が占める割合はどのくらいかということも検討いたしておりますが、これが非常に大きな割合だということになれば、これはまた禁止の速度が早まってまいると思うのですが、必ずしも非常に大きな割合を占めているということにもならない、その他のものの方がむしろ燐を含んでいることが多いので、いま局長が答えましたように、一般的に燐というものはどういうところから出てくるかというような問題も検討を進めながら、少なくとも洗剤から出る燐は国民の自覚の中で退治していきたい、こういうふうな方針でいまやっているわけでございます。いましばらくひとつ様子を見させていただきたい、こう思います。
  28. 島田琢郎

    島田委員 私は、一般家庭の生活排水というのは、奥さん方の自覚というので、相当高まってきておりますから、そういう面でそれは自然に淘汰されていく、退治されていく。ただいま私は湖沼ということに限定をいたしますと、その周辺にはホテルとか旅館とか、こういういわゆる営業をされている人たちがたくさんおりまして、ここで洗たくとかあるいは食器洗いとか大量ですね、ですから、集中的にそこから出ていくということになるだろう。ですから、そういう排水対策というものを含めて考えるなら、せめてその部分、環境上問題があるよ、湖沼汚濁するよ、そういう限定の立場からでもいいですが、ここでは無燐化であります、有燐洗剤使っちゃいけません、これぐらいのことをおやりにならないと、環境庁としての責任が果たせないのではないか。大変な量ではないよとおっしゃるけれども、地域的にはかなり限定された狭いところで使われているいわゆる合成洗剤の量というのはばかにならぬ量ではないか。それが湖沼になだれ込んでいくわけでありますから、そこのところだけでもせめて環境庁立場から規制をするという姿勢があってもいいんではないか。そこも自主的ないわゆる規制に任せるというのではなかなかこれは私は退治できないのではないかと思うのです。きょうは一般家庭の合成洗剤の問題というよりは、私は、湖沼汚濁未然防止するという立場から、環境行政としてそこのところはきちっとした方がいい、こういう考えでここに焦点をしぼってお話をしているのでありますが、全体的に少し広がった話になりましたが、私のこういう考え方についてはどうですか。
  29. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 御説まことにごもっともであります。湖沼の汚れは看過すべきことではない。そして、その汚れの中で洗剤による汚れというものは、いま世間で騒がれているとおりだ。そこで、湖沼の周りにある旅館、それから商売でやっているクリーニング屋などは、せめて燐の含まない洗剤を使えというようにできないか、これはまことにごもっともな御提言でございますので、前向きにひとつ検討させていただきます。
  30. 島田琢郎

    島田委員 さて、公園の問題でありますが、見直し指定という問題についての拡大をしていく必要があるという立場で私はお考えを聞きたいのでありますが、私は昨年も公園の指定という問題で伺ったことがございますが、なかなか現地の要望に直ちにこたえるという積極的な姿勢と私は受けとめることができませんでしたが、この見直し指定の拡大についてはどのようにお考えになっていますか。
  31. 正田泰央

    正田政府委員 公園の見直しでございますが、私ども、当初より自然公園の区域の拡大あるいは必要な部分の縮小、そういったものも含めた見直し、さらには区域の全体的なあり方というものについては、数年前から基本的な計画がございまして、その線に沿って長期的に考えているわけでございますが、いま御指摘の問題につきましては、特に社会条件の変化に対応するということを主眼といたしまして、見直し作業を四十八年より再検討いたしておる次第でございます。特に、それによりましてそれぞれの自然景観の質が変わらない範囲内において周囲との整合性を保つように努力しているわけでございますが、現在は公園区域に新しい良好な自然景観を有している地域を編入するということを基本としております。またさらに、国定公園につきましても国立公園に準じた再検討を実施するように都道府県指導しておりますが、ただいま先生がおっしゃいましたように、何分この作業は地元調整を必要といたしますので、かなり時間がかかります。かつまた、地元の諸権利調整関係から、御指摘のような景観の保持あるいは自然保護の観点から必ずしも十分な見直しが達成できるということは言えないと思っておりますが、私どもこの仕事を手がけましてからもう数年になりまするし、逐次見直ししたものについては計画に組み入れて告示いたしておりますし、さらに全力を挙げて出先機関を含めて地元の御要望にこたえられるように努力いたしておりますので、御理解賜りたいと思っております。
  32. 島田琢郎

    島田委員 確かに正田局長おっしゃるように、地元合意とかいろいろ関係間におきます調整というのが原点になりますね。それはそのとおりであります。しかし、ここはもう当然見直さなければいけない、あるいはまた指定してもいいんではないか、こういう合意がすでに現地で成り立っている場所であってもなかなか環境庁は指定に踏み切らない。また、見直しの問題についてもやや緩慢に過ぎるような感じ行政のあり方に思えてなりません。たとえば、北海道で言えば、大雪だとか知床だとか日高なんというのは当然もう指定していいんじゃないか、こういうふうに考えているんですが、この点についてはどの程度まで検討が進められているのか、検討の経過をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  33. 正田泰央

    正田政府委員 先ほどの御質問に対しまして、私、狭義の見直しの部分に限定して申し上げましたので御意図に合わなかったと思いますが、いま御指摘のございました公園地域、候補地域についてでございますが、まず日高につきましては、先生御案内のように、過般、自然環境保全審議会から建議によって、指定した方が適当であるという方針がございました。また、昨年地元の北海道知事から指定についての法律に基づく正式な申し出がございました。したがいまして、現在環境庁ではその申し出の中身でございまするところの計画及び事業につきましてチェックし、さらに中央関係省庁と現在調整中でございます。これにつきましては今秋をめどに、その間調査も行います。さらに審議会の御答申をいただいて指定したい、こういうふうに思っておる次第でございます。  それから、国立公園につきましては、全国的に見ましてさらに新しく国立公園を指定するというような余地と申しますか可能性、そういったものはほとんどないと私どももかつまた識者も考えておるところでございますが、国定公園につきましては、ただいま申し上げました日高を含めまして、かねてから先生御承知の幾つかの候補地がございます。さらに九州の中央山地からも新しく正式な申し出が行われました。北海道の地域につきましては、自然及び原生について、日本全土をながめましても、確かに非常にすぐれた地域が多うございますが、新しい国定公園の指定につきましては、まず当面日高、それから大雪その他につきましては――恐らく先生の御指摘の部分と申しますのは自然環境保全地域のことを御指摘になっていらっしゃるのかなと思いますが、そちらの方の問題は保安林の地域は指定がかないませんので、そういったことについては残念ながら自然環境保全地域に指定いたすことができないわけでございますが、地元調整はもとより、具体的な指定要件、面積その他がきちんと整備いたしますれば、私どもの方では積極的に指定をしたい、こういうふうに思っておりますので、地元及び道に対する働きかけなども精力的にやってまいりたいと思っております。
  34. 島田琢郎

    島田委員 どうもごっちゃりした話をして済みません。まさにおっしゃるように原生自然環境保全の地域指定を大雪と知床についていつやるのか、こういうことをお尋ねしたわけであります。条件がそろえば積極的にというお話でありますが、どういうネックがありますか。
  35. 正田泰央

    正田政府委員 知床につきましては、御案内と存じますが、遠音別が指定されておりますので、あの地域においてはその指定で現況から見ますると十分だろうと思っております。その他の地域につきましては、主として未開発地域におきまするところの農業開発、そういったものを地元が将来にわたってぜひともという意図を持っている場合、その辺の政策意図との調整が問題なところもございます。これは自然公園の方の区域の問題でございますが、そういうところがございます。それから自然環境の方では、いま知床を申し上げましたが、その他の地域につきましても、やはり開発と申しますか、そういったものの意図との調整、その辺がなかなかつきがたいというのが現状というふうに認識いたしております。
  36. 島田琢郎

    島田委員 確かに法律的にもいろいろな手だてが明示されておりますから、この手だてを踏んでいかないと、直ちに指定をするというわけにいかないというのは、私法律を読んでわかるのでありますけれども、しかし、御承知のように、知床で言えば、斜里町が百平米運動などを起こしまして、何とか環境を自然のまま残したい、踏み荒らされたり乱開発によって取り返しのつかぬ状態を生んではならぬということから、大臣もお聞きになっているかもしれませんが、全国の皆さんに呼びかけて御協力を願いながら、百平米運動という名称で進められてきて、その目的が第一次でほぼ昨年達成いたしました。こうやって地方地方なりに努力をしているわけです。ですから、そういう意味で言えば、この原生自然環境保全という地域指定があればなおしっかりとした障壁ができて守っていくことができるのではないか。特に大雪や知床につきましては、すでに多くの皆さん方がここに足を踏み入れてだんだん自然が損なわれて、かつての姿が失われつつあるという心配を私どもはしているわけですから、せめてこの地域指定だけでもやって、そして、これ以上原生的な分野がなくなっていくようなことがないようにしていかなくてはならない、こう実は考えているわけでありまして、環境庁立場から逆に知事や市町村長の方に呼びかけて、ぜひここはそういう方向でひとつやっていきたいと環境庁としては考えているのだが、積極的に取り組めというようなこともあるときは逆にアドバイスをする、サゼスチョンをする、こういうことが私は必要だ。知事にしても、全部の合議をもらってそして知事責任でいろいろな問題を整理しながらそれじゃ申請をいたしますのでといったところに持っていくのには積極的になり切れないところだっていろいろあると思うのですよ。ですから、逆な意味で上から指導していく。それは押しつけたのではいけませんけれども、ここは大事な地域ですよという認識で指導されるという姿勢があってもいいな、私はこう思っているのですが、いかがですか。
  37. 正田泰央

    正田政府委員 お話しのとおりでございます。私どもの方では、原生自然環境の地域の態系の中ではのどから手が出るほど指定したいと思う地域が全国にたくさんございます。特に北海道には多うございます。それで、候補地と言えるかどうかわかりませんが、指定するなら大体こんなところかというのは私どもの十月もございますし、北海道の方でも指定するならこういうところかな、こういうふうにお考えになっているところもございますし、私ども従来から、特に北海道につきましては、局長レベルあるいは課長レベルで必要な時期に道の当事者に対して、指定したいんだ、どんな問題があるのか、どの程度の面積や何かならできるのか、こういったようなことでよくこれらについては話しているつもりでございます。ただ、幾つかの技術的な指定要件がございまして、大ざっぱにはいいなと思いましても、いろいろ具体的な権利調整をやってみますと面積が足りないとかといったようなことも見受けられるようでございますが、せっかく御指摘を賜りましたし、私どももさらに一層自然環境地域の問題につきましては道の方といろいろ御相談したい、こういうふうに思っております。
  38. 島田琢郎

    島田委員 いま百平米運動のことをお話し申し上げましたが、当時のことを振り返ってみますと、ぜひこの地域は国が積極的に買って、そしてだれも入れないようにしてほしいということを盛んに働きかけをした経緯がありますね。しかしあのときは、全国的にそういう例もないのでなかなかむずかしいということで、とうとう町村ではあきらめて自分たちの手でやる、こういうところからああいう運動が起こってきたという経過がありますので、私のところの知床だけではなくてほかにもいっぱいこういうところがあるのではないか、こう私は思っていますから、そういう姿勢を改めて積極的に環境庁が乗り出す、こういうことがぜひ望まれる。こういう立場で、私は、いま局長からはそういう方向でやりたいということでございますし、また現にやってもおりますというお話でございますが、ひとつその姿勢は崩さず、もっと積極的にお進め願うようにこの際要望いたしておきたいと思います。  さて、こうした公園の地域見直しと関連いたしまして、北海道で利尻礼文サロベツの国立公園の指定について過般申請が行われて、自然環境保全審議会におきましては四十九年に大臣答申をいたしました。この答申の中で、サロベツ公園に隣接する南側地域についてこれを含めよとなっているんでありますが、その後どのような措置がなされているのか。またサロベツ原野は農地開発が急速に進んでおりまして、そのために湿原地帯が当然のことでありますが干上がってまいりましたね。こういう自然の状態というものが片や開発によって破壊されていっている。こういうことでございますから、この答申を正確に実現するとすれば、このいま急速に進みつつあります農地開発との関連で対策しなければならない幾つかの問題点があったと思うのでありますが、それはどのようにお進めになっていますか。
  39. 正田泰央

    正田政府委員 利尻礼文サロベツ国立公園につきましては、審議会の答申のときただいま先生お話しになったような御意見をいただいております。  先ほど若干一般論の中で申し上げたつもりでございますが、本地域について確かにお話しのように農地開発の政策意図がございますので、それとの調整が問題となっているわけでございます。私どもこの審議会の答申をいただいてから道との接触は当然ながら行ってきたわけでございますが、いま御指摘にありましたような数年の間に必ずしも緻密な接触をいたしているわけではございません。しかしながら、私どもこの地域の拡大について、この区域につきましてはあくまで審議会の答申のとおり含める方向でやってまいりたいという気持ちは全然変わっておりませんので、中央の関係省庁、さらに北海道と調整を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  40. 島田琢郎

    島田委員 いまのお話で推測されるのは、なかなか容易ならぬむずかしい問題があってその調整ができかねるような印象にお聞きをいたしましたが、しかし、少なくとも国立公園の指定ということになりますれば、私は指定の方が優先する。しかし、あの地域の農民にとってみれば農地開発がもっと進んでもらわぬと困るというこういう要求も当然ありますから、その辺の調整というのは私自身にとってみてもなかなかむずかしいということは理解ができるのであります。しかし、せっかく答申までなされまして、この地域の国立公園というものがこうやってクローズアップしてきたのでありますから、私は、やはり環境行政の方が優先するという立場でその力を発揮してほしい、こう考えていますので、これも要望にとどめておきますけれども、ひとつ鋭意この問題の整理を図りながらその目的を達成してもらいたい、このように考えておるところであります。  それから、ずっと今度は下がってまいりまして根室についてお尋ねしておきますが、根室の野付風蓮道立自然公園、行かれた方はこのすばらしさに実は大変驚嘆をしているのでありまして、特にいろんな鳥類が風蓮湖を中心にして飛んでまいりまして、北海道においても最高といわれるような自然の景観を備えた湿原地帯であります。これを環境保護の観点から言いますと、ラムサール条約に基づきます指定をすべきである、私は年来そういう考え方を強く持っている一人であります。わが国としてもラムサール条約は批准をいたしているわけでありますから、ただいまは北海道の、同じ私の選挙区でありますが、釧路の湿原地帯はこの条約に基づく指定がなされておりますけれども、あわせて、それにまさるとも劣らぬ野付風蓮道立自然公園の指定というものをやるべきだ、私はこう思っておるのですが、お考えはいかがですか。
  41. 正田泰央

    正田政府委員 ラムサール条約に加入する以前から、釧路湿原、風蓮湖それから宮城県の伊豆沼につきまして、日本における水鳥の生息地としての最も有力なすぐれた地域であるし、かつまた、世界にも十分通用する地域であるというふうに私ども考えていたわけでございまして、現在、条約が発効後、釧路湿原だけが私どもの条約上の湿地ということになっております。  風蓮湖は、確かに非常にすぐれたところでございますのでぜひやりたい、こう思っておるわけでございますが、現在この地域が北海道設の鳥獣保護区であるということ、またさらに、水鳥の生息地として重要な湿地として地元の理解が得られるということ、こういったようなことがあれば可能なわけでございますが、現在、地元の自治体、さらに地元の漁業振興に関連する関係団体の方から、ラムサール条約の湿地として指定することにつきまして賛成ができない、こういうような状況があります。この指定につきましては、現在よりも規制がさらに強くなるというようなことはないわけでありますが、その辺のところの御理解が必ずしも十分でない状況であります。さらに、ラムサール条約の湿地として指定されれば、この地域としての知名度と申しますか、そういった意味のメリットもあるとは存じまするが、それ以外のいろいろな漁業、さらに開発関係のいろいろな問題があるのかわかりませんが、私どもの意図は必ずしもまだ十分理解していただけない状況でございます。  接触の過程におきましては、五十三年から私ども担当の課長あるいは道、そういったようなところとこれの推進についての御理解を得るような打診なりあるいは説得あるいはお話を申し上げてきたわけでありますが、ただいま申し上げましたような反対と申しますか、賛成しないような意見が地元に相当ございますので足踏みしている、こういう状態でございます。
  42. 島田琢郎

    島田委員 この地域では、湿原地帯ですからなおのこと道路という問題が非常に重要な地域であるということから、道路の整備計画というのが大変進んでいますね。そういう地域の振興計画は道路にとどまるものではありませんで、それなりにあの地域の生活あるいはいろいろな方々が産業上道路に対して強い期待を持たれるのは当然なことなんでありますけれども、そういう意味で言えば、いま局長がおっしゃるようになかなか合意を得るのはむずかしいという特殊地域であることもまた事実でありましょう。しかし、だれが何といったって、やはりこの湿原地帯というのは全国でも有数な景観を備えた地域でありますから、これはまた、地域の住民にとどまらず北海道の道民にとっても、この湿原地帯のよさというものはこのまま何としても残したい、そういう強い願望なり期待というものはありますね。その辺の調整は私はつくのではないかと思うのです。りっぱな道路をつくれ、片一方で湿原も残せ、これはなかなかむずかしい話だというのはわかりますが、環境庁立場から言えば、やはりこの景観を損なうようなことがあってはならぬという立場できちっと割り切っていくという姿勢一つ必要だろう。ですから、正田局長、余り幅広く政治的な判断などはお加えになる必要はないので、おれはこういうセクションを与えられているんだからこれはだれにも譲れないところである、こういう主張でひとつ押し通すというのもときには必要だと私は思っている。そうでありませんと、道路をつくるのも仕方がないな、農用地開発もやむを得ぬな、こうなっていったら、いままでとちっとも変わりないわけでありますから、そういう点についてはそういう姿勢が一面では必要だ、こう私は思っておるのです。  ところで、長官はおいでになっていないと思いますが、環境庁からどなたか、たとえば局長はこの地帯はごらんになっていますか。
  43. 正田泰央

    正田政府委員 風蓮湖は見ておりませんが、周りの地域についてはある程度見ております。
  44. 島田琢郎

    島田委員 ぜひ一度ごらんになっていただきたい。私は、こよなくこの地域の湿原の景観を愛する一人であります。私の選挙区だから強く言うわけじゃございませんよ。これは国民的な湿原地帯としての財産であるというふうに私は思っておるのです。ですから、いま申し上げましたような姿勢をひとつお持ち願いたい。  これまでも農用地の開発事業なんかも行われておりまして、そのたびにいろいろ土砂が流入するとか湿原がかつてのような状態でなくなって非常に変わっちゃった、こういうところもこの中に出てまいりましたので、このままでいったらせっかくの湿原地帯のよさというものが失われてしまう、こういうふうに実は心配をしている向きが多うございます。私もその一人であります。  特に今回、また北方領土返還運動との関連で総理がこの地域の振興ということを指示をいたしまして、にわかに違った形でこれが俎上に上せられてまいりました。確かに産業面あるいは文化面、こういうものの一つの整合性というものが求められていかなければならない時代でございますから、原形のままに残せというのは無理があるということは、こういう地域に実際に住んでいる人にとってみれば、毎日毎日景色をながめて暮らしているわけじゃないので、やはり飯を食わなければいけませんから、かすみのような話ばかりされたって困るというような要望も強く出ると思います。特に北方領土問題との関連で言うと、この根室地域の振興というのがおくれている、こういう指摘があって、総理も今回そういう指摘をしてハッパをかけたんだろう、こう思うのでありますが、大変大きなお金を今後十カ年間につき込んでいこうというわけでありますから、公共事業というものが先行されていって、あれよあれよという間に似ても似つかぬ根室地域の状態が生まれてしまうということも一面で私は心配しています。ですから、地域の皆さん方のもだしがたい要求というものに対して私は全面否定する考えはないのですけれども、しかし、この地域は、一面ではそういう景観を何としても死守したいという気持ちの方々もたくさんおるし、そういう両方の側面を考えます場合に、政府としておやりになる仕事というのは何といっても両者の意見の統一というものが必要だということが言われるわけでありまして、こういう振興計画に対しまして環境庁が物を言う立場というものは全く閉ざされているのかどうか、この地域のことで言えば。閉ざされているというふうな感じが私には強いものですから、それならやはり指定をして、きちっとこれはおれの方のなわ張りよというところを示してもらわないと、これは今後十カ年でどんどん進んでいきます。お金にして二千六百億円、まずことし百八十億円をつぎ込んで公共事業を始めようじゃないかということが総理の一言で今度決まったわけでありますから、いよいよこれが加速されていく危険性がある、こう考えますので、腰を据えていたら大変なことになってしまいます。環境庁立場から物を言わなければならないということが、いままでと違って必要になってきています。ぜひ私らにも言うべき場所を与えろというぐらいのことは言ってもらいませんと、将来こういうふうに指定をする考えを実は持っておる、いま調整中なんだが、わが方としてはこれはやりたいんだというぐらいなことはきちっと言いませんと、全く意見なしてはばんばん事業の方が進められていってしまいますので、この点、大臣どうですか、この問題を見過ごしてはいけませんで、ぜひ関係大臣お話をしてもらって、私がいま心配しているようなことが未然防止されるようにやってもらいたい、こう思うのですが……。
  45. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 お話は私も全く同感なんです。開発、もちろん重要です。いま先生が、かすみを食べて生きているわけではないんだから、開発しなければならぬ、経済というものは重要なことはもう言うまでもないことなんです。だけれども、どうでしょうか、そう余り、狭い国土の中で自然の環境をそこらじゅう開発するということはもうそろそろいいかげんにして、開発する必要があるならば、後世の子孫がやる必要がどうしても出てきたらやったらいい。いまわれわれの時代に、そこらじゅう公共事業、公共事業といってほじくってしまうことはいかがなものであろうかという考えが私にはあるのです。そして、環境庁としてそれを持っていることは当然のことで、それでこそバランスがとれているのであって、われわれがかなりきつくそれを言ってちょうどいいんじゃないか、いまの時世は特に。そういう考えでおりますので、先生の話はよくわかります。  それで、公園の指定の済んでいるところは別ですが、まだ済んでいないところでこれが公共事業の対象になりそうだと思うようなところには積極的に環境庁が働きかけてみてはどうかという御発言は、私はまことに同感でございます。その御趣旨に沿ってわれわれは注意深く国土の自然を見守っていきたい、こう思います。ありがとうございました。
  46. 島田琢郎

    島田委員 大臣と私の考え方には大きく食い違いはないようでありますが、ただ見守るだけじゃ私はちょっと満足できないので、早速にもこの計画をチェックしてほしいのですよ。見守っているうちにどんどんいってしまいまして、あれよあれよ、あっと気がついたときはわが方の領域が完全に侵害されてしまっていた。これは一遍そうなってしまったらもとへ戻りませんで、もうきょうあすにでも、こんな計画があるそうだけれども、私らの方にもこういうあれがあるんだよということは言っておきませんと、向こうさんは、向こうさんと言ったらおかしいですが、公共事業をどんどん進めていく関係省庁にしてみれば、それはほかのことなんて考える余地はありませんし、考えていたらやれないから、どんどんやってしまいますね。ですから、これは急がれる問題なんで、ぜひひとつあなたが関係大臣と積極的に話し合っていただく、こういうことを当面早速おやりいただきたいというのが私の希望であります。
  47. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 おっしゃることは全く同感であります。手おくれになったのでは幾ら心配していても役に立ちませんから、手おくれにならないうちに行動を起こすということはそのようにやっていきたいと思います。  ただ、そのためにもアセスメントというものが重要なんで、事業によっては――まだ出しておりませんからそんなことを言えた義理じゃないのですが、公共事業でも大きな事業アセスメントをやるということになりますし、また、どんなものでももうアセスメントをやらなければできないのですから、その過程においても注意をいたしていきたい、こう思いますが、おっしゃることはよくわかります。手おくれにならないように万全の注意をしていきたいと思います。
  48. 島田琢郎

    島田委員 もう一つ具体的にお尋ねをしていきますが、風蓮湖の周辺を走る道路がありますね。東梅-本別海線というのだそうでありますが、私はこの線の名前まではよくわかりませんできのうちょっと調べてみました。こういう道路がいま計画に上がっているということでございます。これは公園を管理するという立場から環境庁がチェックしなければなりませんが、この点についての関心はどのようにお持ちになっておりますか。
  49. 正田泰央

    正田政府委員 この道路の計画の中身は、私ども承知いたしておりますのは全長二十キロ、しかし現在構想段階であるということを聞いております。そういたしまして、根室市の内陸の物流を円滑にするための経済効果をねらっているということは承っております。これにつきまして、自然保護に関心をお持ちの方々のいろんな御意見もあるようでございますし、またこれを推進する御意見もあるようでございます。現在、北海道庁の方も、地元の構想段階であるので何も聞いてないからコメントできないというのが私どもに対する話でございまして、この辺、これが道庁の現状がな、実は私はそういうふうに理解をしておったわけでございます。  確かに御指摘のように、具体化いたしますと自然公園、道立の自然公園でございますが、特別の地域内でございますので、当然先般できました道のアセス条例に基づいたアセスが、道の段階でいろんな手続があるというふうに聞いておりますから、そうした機会に私どもの方では、慎重に対処していくということを道の方からの意見は聞いております。  私どもといたしましてもそのような認識でございますので、必要があれば道当局に対しまして指導して、あるいは助言したりやっていくつもりでおります。
  50. 島田琢郎

    島田委員 地元の強い要望というのがあって、すでに測量も仮測量でありますがやって、ぜひこれをつくってほしい、こういう強い意見があるようであります。私は選挙区の皆さんの御要望を頭から否定するというわけにはいかないのでありますけれども、ただ非常に気をつけませんといけないのは、ここは潮流の変化が非常に激しいのですね。時にはみさきが動く、実際に動いているのではないかもしれぬが、動くような感じになります。ですから、道路を港湾につくっていくということになりますと、いままでと違ったやり方で道路をつくっていかなければならない。こういうものでありますから、非常に環境を破壊するのではないかという点が心配されます。まだ知事が認知をしている段階ではないというのも私はそのとおりだろうと思いますが、しかし、事前にこの辺のところにも目配りをしてもらいたい、こういう期待を私は持っておるわけでありますので、いまの御答弁で結構でありますが、ぜひひとつチェックをしてほしい、こういうふうに考えております。  さて、長い与えられた時間も余りなくなってまいりましたので、これで最後にさせていただきますが、もう一遍日高の問題に返らせていただきます。  この秋には指定できるだろう、こういう見通しをお話しされましたから、私はこれ以上のことを申し上げるつもりはないのでありますが、ただ、長官は昨年の十二月に北海道の自然保護団体の代表とお会いになりましたときに、いまもちょっと言葉に出ておりましたが、自然を手つかずに残していく、それは子孫に対するわれわれの責任だ。そんなに公共事業で何でもかんでも日本列島をめくり上げてしまってやることなんというのは、もうそろそろおれらの時代はこれで終わりでいいんではないか。あとは孫子の代になって必要だというならやればいい。これはちょっと無責任な言い方に聞こえますけれども、しかし、おっしゃっている御趣旨なるものは私は基本的には賛成であります。直ちに公共事業をゼロにしろなんという話は大変乱暴な話でありますが、しかし、少なくとも自然の形で残しておかなければならないところまで何でもかんでもブルドーザーで押しまくってしまうなんというようなやり方は、本当にもうそろそろ考え直さなければならぬ。これはかなり早くからそういうところについての規制をすべきだという考え方を私どもは表明してまいりました。日高はそういう意味で数少なくなってまいりました自然の状態を保持する大事な地域であるというふうに私は考えているのです。これも地元考え方とこうした自然環境を守るという立場との意見は必ずしも一致しないままに今日推移してまいりました。私はまことに残念なことだ、こう思っております。ではありますけれども、しかし、長官がおっしゃった、こういう考え方というのは非常に大事な点でありますから、いささかも妥協することなく、自然環境を守るという毅然たる姿勢に立って、日高の問題もお考え願いたい。それがやはり前提といいますか、条件になってこの日高の公園指定というものがなされるべきだ、こう考えているのですが、現地の状態と環境庁がお考えになっていることとは必ずしも一致しないというようなことも未整理のままに残っているということもあります。しかし、きょうはあえて私は日高縦貫道路の問題に触れるつもりはありません。そうではなくて、大臣の所信を貫いていただきたいという立場から、ひとつこの問題は真剣に今後も監視をし、そしてときには強い行政指導を行っていただかなければならない地域である。こういうことを最後に申し上げて、大臣の重ねての所信を承っておきたい、こう思うのです。
  51. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私は、環境庁長官として守るべき法律が幾つかあるのですが、その基本公害対策基本法であり自然環境保全法である。その自然環境保全法の目的の中で、第一条ですが、「自然環境の適正な保全を総合的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。」こうなっている。第二条に基本理念がありますが、基本理念では、「自然環境の保全は、自然環境が人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、広く国民がその恵沢を享受するとともに、将来の国民自然環境を継承することができるよう適正に行なわれなければならない。」こう明記してあるわけであります。将来の人が将来考えればいいんだという私は投げやりなことじゃないのです。一遍手を加えてしまったら取り返しがつかないのですから、できるだけ現状のままに残しておきたい。それが基本考えでなければならぬ。やはりそれなりに必要性があるんでしょうが、単に物質的経済がそれによってよくなるからというような意味だけで開発というものが行われるべきものではないのではないか。ある程度はわかるけれども、もうそろそろいいかげんにしたらいいんじゃないか。もう少し人間の奥底にこたえるような何か考えに立脚して物事を考えていく必要があるんじゃないか、こういうふうに思って自然問題に対しては対処しているわけであります。
  52. 島田琢郎

    島田委員 きょう長時間にわたりましていろいろ意見を聞かしていただきました。私が問題の提起をしあるいは述べました意見には、大臣からはほとんど全部にわたって同感であるという回答をいただいているのでありますが、しかしどうも、私はいつもここでお話をさしてもらうと、その後何となしに、別な委員会でやったときと違って、逆に勇気がわかないで気落ちしてしまうのですね。ここでいろいろ話をすると、大臣とぼくらの意見というのはそんなに違わないし、ぴたっと一致するところもたくさんあるのです。ところが、委員会を終わってこの部屋を出ると、どうも環境庁の力というのが最大限発揮できないばかりか、逆にしりすぼんでいってしまうような感じ、歴代の長官の中でも最近の長官は皆さんまじめな方ばかりで、私どもともここで意見を闘わすというよりは、非常に一致する場合が多いのでありますけれども、そういう点で象徴されるのは、アセス法なんかはまさにそのとおりですね。一体今回で何度目になるでしょうか。でも、まだ自民党の方でもたもたしておって、いいとか悪いとか言っていちゃもんがつけられておって、歴代の長官の、絶対おれのときにはやるよと言ったやつが、ほとんどほごにされてきているというのが実態であります。  きょう私が取り上げました問題は、自然保護あるいは湖沼汚濁の問題、いずれも非常に差し迫った重要な緊急性を持っているものばかりであります。ここのところで一致をいたしまして、国会の論議というのはやや対立する意見が多いのでありますけれども、ここではやや同じような考え方に立ってやれるというふうに見ていいと思うのですが、しかしそれが進んでいかない。これは一体われわれとしてはどこに問題があるのだろうかということも、いろいろ議論をしているのでありますけれども、ぜひ、きょうここでお話をさしていただきました点、心得ていただいて、この実現のためには、それこそ鈴木総理ではありませんけれども鯨岡環境庁長官の政治生命をかけたひとつ御自覚のもとで進めていただきたい、こう思っています。  特に、きょう私が論議の焦点にいたしましたのは、冒頭ですでにお考えもお聞かせいただきましたが、こういう低成長期に入りますと、ややもすると環境という面の関心が薄れたり、あるいは行政の手抜きがあったりするということが起こりがちでございます。しかし、それはあってはならないし、いまわざわざ法律の条文を引用されて決意のほどを述べられました。私もまさに同感でありまして、こんなときだからこそ環境の問題というのは非常に重要な時期にあるのだ、そういう認識もよくわかりましたので、どうか勇を鼓舞して、置かれている問題点を正確に打開しながら、国民の期待するような環境行政が進められるということであってほしいということを最後に申し上げて、この際大臣の所信を承って、私の長い時間の質問を終わりたいと思うのです。
  53. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 どうもいろいろありがとうございました。  考えてみますと、先生の言われたことはある意味では仕方がないのじゃないかと思うのです。それは、ほかの行政はみんなきょうのことなんです。ストライキがいま起こりそうだ、これに対してどうしようか、あるいは、いま物価が上がってきた、いま失業者が出てきた、これに対してどうしようか、全部きょうのことなんです。ところが、われわれのやっていることは、きょうのことももちろんないわけではありませんが、みんなあしたのことなんです。あしたのことならまだいいのですが、何でも先のことを心配をするわけです。ですから、余裕のある時世においては皆さんに考えてもらうこともできますが、余裕がなくなってまいりますと、そんな先のことなんか考えていられるかというようなことになることは、自然の道理として私は受けとめなければならぬと思うのです。しかし、考えれば、そういうときにこそ大事なんで、いまそのことについて心配をしておかなかったら、それこそ転ばぬ先のつえを出しておかなかったらば将来に悔いを残す。あのときに失敗したということになったら大変だというのがわれわれの毎日の仕事でございます。ですから、きょうは新聞記者の諸君もいませんが、新聞記者会見をしたときに、新聞だってそうじゃないか、一面や二面に出るのはみんなきょうのことじゃないか、そしてこれから先の心配なんというのは、四面か五面か囲みかなんかで、御用とお急ぎでない方はどうぞ読んでくださいみたいなところに書いてあるじゃないか。ですから、これは仕方がないかもしれないが、考えなければならないことだ、こういうふうに思っておるのです。しかしながら、それにもかかわらず、先生方の御協力で私は日本の公害に対する対策はずいぶん成功してきたと思います。この狭い国土の中でこれだけの経済生活を営んで、そして、あの思い出したくもないような被害を受けて、その被害に泣いている人がいまでもいるわけです。それに対する対策はよその国の人がびっくりするくらいに、公害先進国ではあるがその対策もうまくいった。しかし、とは言っても快適な状態というふうにはとてもほど遠いというのが諸外国のわが国に対する環境問題の評価であることは先生も御承知のとおりであります。私は、きょうかなり長い時間をかけての先生の一々適切な御忠言は身にしみてそういう方向でこれからもやっていきたい、こう思っておりますので、今後ともひとつ御協力、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
  54. 島田琢郎

    島田委員 終わります。
  55. 山崎平八郎

    山崎委員長 午後一時四十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十一分開議
  56. 山崎平八郎

    山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  57. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 最初にお伺いしておきますが、一月二十七日に中央公害対策審議会の「湖沼環境保全のための制度のあり方について」の答申がありましたが、その後、環境庁が現在法案として考えている法案の名称及びねらい、骨子、どんなものがございますか。
  58. 小野重和

    小野(重)政府委員 一月二十七日の中公審答申でございますけれども、この基本とするところは、湖沼はああいう閉鎖性水域でございますので汚濁に非常に敏感である、しかも、環境基準の達成率が四〇%というふうに川や海に比べて非常に悪いという状況にかんがみまして、水質汚濁防止法などによるいろいろな既存の施策、対策では不十分であり、したがいまして、いろいろな規制の強化あるいは諸事業の推進を、その湖沼について一番よく知っているその都道府県知事が計画を立てまして、その計画に基づき総合的に進めていくということがこの答申基本であるというふうに私ども理解しておるわけでございますが、そういう基本を踏まえまして、私どもの原案を作成いたしまして、関係各省と協議を重ねているところであります。まだ政府部内で調整中でございまして、その内容がどういうふうになるか、基本は私ども堅持しなければならぬと思っておりますけれども、その法案の中身によりまして名前もあるいは変わるかもしれないということでございますので、まず、ともかくも基本を踏まえた各省調整を急ぎまして、できるだけ速やかに、大変おくれまして恐縮でございますが、国会提案の運びにいたしたい、かように存じておりまして、最後の努力をしておるところでございます。
  59. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この法案の作成に当たっては、当初三月中旬ごろ出てくるのかなというような考え方もあったようでございます。しかし、いまの御説明のとおり、いろいろと困難な点があったと思いますが、その中で特に一番困難であった点ほどんなものでございますか。それからまた、おくれている原因はどういったところにあるのか。そしてまた、今国会は五月二十日、この会期末を控え、今通常国会に提出する意欲を持っていた環境庁として法案自体を一体いつ出すのか、その点も御説明ください。
  60. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 お答えいたします。  いま先生言われたように、五十六年一月二十七日に中央公害対策審議会の会長から私あてに「湖沼環境保全のための制度のあり方について」の答申がありました。その附帯決議に、三つあるのですが、その三番目に、「湖沼環境保全計画の策定に当たっては、湖沼のもつ治水、利水上の機能にかんがみ、河川管理者との間で十分な調整を図る必要がある。」こういうふうにこの答申を下さる方もこのことに注意せよということで附帯決議で言われている。このことがいま局長が現場にあって非常に努力をしている、苦労をしているところでありまして、だんだんと御理解をいただいて煮詰まってまいりました。やはり先生方もこのことについて御心配いただいた、全くそのことが問題となってきたわけであります。御審議をいただくのですから、会期の都合もありますので十分というわけにはいきません、もう今日では十分ということはとても私の口からは言えませんが、どうぞひとつ、一日も早くこれを提出するようにいたしますから、その際には詰めて御審議をいただきたい、こう思っているわけでございます。
  61. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 というのは、もう一度ちょっと確認しておきますが、この会期末を控えていますが、この通常国会で出すという考え方でございますか。
  62. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 全くそのとおり考えております。
  63. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 できるだけ早くということもありますが、どうですか、ここ一、二週間程度のことが考えられるのですか、あるいは会期末ぎりぎりまでいくのですか。その辺のもうちょっと具体的な話を……。
  64. 小野重和

    小野(重)政府委員 いま大臣がお答えしましたような関係調整、さらにはいろいろな規制なり事業を総合的に進めるということでございますが、これはいろいろな種類の汚濁発生源といいますかございますので、それと対策とのバランスをとる必要があるということがあるわけでございます。そこで、これまた各省にまたがりますので、その辺の調整もあわせてありまして、いままで大変時間を要したということでございます。  いま時期についてお尋ねでございますが、国会の会期等のことも考えますれば、私どもとしましては、この連休前には何とかこれを国会に提出したいというつもりで、いま最終的に調整を急いでいるところでございます。
  65. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 御承知のように、公明党として去る三月十二日、特定湖沼環境保全特別措置法案を提出いたしました。今回の政府案である、どういう名前になるかわかりませんが湖沼保全法案に対し、何らかの参考になったかどうか伺っておきたいわけでございますが、今回、公明党として出したこの提案の中身をこの際若干述べさしていただきたいと思います。  湖沼は、国土を支え、構成する重要な要素として、また、飲料水源等の水資源の豊かな供給源として、あるいは、水産業、観光及び運輸交通等の手段や媒体として国民生活の向上や産業の発展の上にはかり知れない役割りと機能を果たしてきたことはいまさら申すまでもございません。  また、湖沼はその青い水や美しい景観等が国民の心のよりどころとして、古来より深く愛着されてきたかけがえのない自然でもあるとともに、その紀元が地球の形成とともにある、はるかなる歴史は、多種多様な生物をはぐくんで学術的にも文化的にもまことに貴重な自然的造物となっているのでございます。  こうした重要な機能と価値を有する湖沼が近年、著しく環境の悪化を見ていることはまことにゆゆしき問題でございます。このことは、私ども湖沼の与える豊かな恵みを享受することはかりに心を奪われ、その恵みの源泉である湖沼保護、保全し、その機能を維持、増進させることに深く配慮してこなかった結果と言わざるを得ません。  環境庁昭和五十四年度自然環境保全基礎調査によれば、わが国の天然湖沼はその面積が一ヘクタール以上のものが四百七十を数え、一方、ダム等の人造湖は堤高十五メートル以上のものは二千七百四十四あります。これらのうち湖沼として環境基準が指定されている湖沼COD環境基準の不適合率は、五十二年度で六四・八%、五十三年度で六二・五%、五十四年度で五八・二%と六割前後が不合格となっており、河川や海域と比較して二倍近くの不合格率を示しているのでございます。  また、琵琶湖等で問題になっている湖沼における淡水赤潮や水の華の発生状況は、環境庁のアンケート調査によれば、調査対象百三十七湖沼のうち三十七湖沼、二七%です。それらによる被害のあったもの十三湖沼に及んでおります。  さらに、昭和五十三年度の水道協会雑誌によれば、全国の貯水量五万立方メートル以上の水道水源となっている湖沼・貯水池百三十二のうち何らかの水道水質障害の発生したものは八十三、六三%です。かび臭障害が五十五、四一%と報告されております。  また、水質の悪化のみならず、湖沼周辺の自然環境や、湖沼特有の景観・風致並びに文化財等の歴史的・文化的環境や生活環境が、周辺の都市化及び工業化の進行によって著しい破壊や汚染を見ております。とともに、それが湖沼水質悪化をさらに増幅させるという悪循環を繰り返しているのが現状でございます。  こうした現状を放置すれば、湖沼の自然的特殊性や制約条件からいって、湖沼環境悪化がますます深刻化し、国民の健康と生活及び産業発展の上から取り返しのつかない損失を招くことは必至であると言わねばなりません。  湖沼環境保全については、これまで関係地方公共団体がそれなりに熱心に対応してきたところでありますが、湖沼の持つ自然的特殊性、すなわち閉鎖性、滞留性、非循環性、低自浄性といった自然的条件の限界を一地方公共団体が克服することは困難であります。また、湖沼における環境保全対策について、自浄力やキャパシティーの高い河川や海域と同一レベルの対策をもってしては、その環境悪化を食いとめることは不可能であります。したがって、湖沼の特有性に適合する施策の実施が必要となってくるのでございます。  その意味から、湖沼が持つ本来の機能と価値を維持、増進し、後世代に永く継承していくためにも、公益上重要な湖沼について国家的見地から総合的、抜本的な特別の措置を早急に講ずることが必要であり、このたび、三月十二日でございましたけれども、公明党といたしまして特定湖沼環境保全特別措置法案を発表したのは御承知のとおりでございます。参議院から提出しましたので、若干の内容を本委員会で述べさせていただきましたけれども、この趣旨に乗って、わが党が出した提案に対して、何らかの今後の参考になったかどうか、その見解、所感を述べていただければありがたいと思います。
  66. 小野重和

    小野(重)政府委員 先ほど、中公審答申の趣旨を踏まえて原案をつくり、またその基本的な中公審考え方に即した案にしたいということを申し上げましたが、公明党の御提案の法案につきましても私ども十分に読ましていただきまして、それを十分に念頭におきまして法案をまとめたい、かように存じております。物の基本的な考え方は、中公審答申の先ほど申し上げましたようなああいう考え方と公明党の御提案の内容も全く同じ御趣旨であるというふうに私ども理解いたしておるわけでございます。
  67. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 先ほど中央公害対策審議会の答申の附帯決議の三番目の項に関しては大臣からも話がございました。そこで、第一項目に、「湖沼環境保全を図る上では下水道の整備等をより一層推進する必要があるので、国はそのため特段の財政措置を講ずべきである。」こういうようなこともございますが、関係省庁との問題もございますけれども、どんな配慮をされておりますか。
  68. 小野重和

    小野(重)政府委員 下水道事業でございますので建設省所管の事業でございますが、この湖沼法案におきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろな規制の強化、それから湖沼水質をよくするためのいろいろな事業の推進、これを総合的、計画的に進めていくというのが基本であるというふうに申し上げましたが、諸事業の中で下水道事業というものは非常に重要な事業であることはもう申し上げるまでもないところであります。この法案におきましては、下水道事業もいろんな予算の枠が当然あるわけでございますけれども、私どもといたしましては、この湖沼法に基づいて対策をする湖沼につきましては一定の指定をするということにしておるわけでございますが、その指定湖沼につきましては特に下水道予算の重点的な配分を、これは建設省の所管でございますが、お願いするというようなことを考えておるわけでございます。
  69. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 同じく次の項に、「この制度の実施に当たっては、中小企業、畜産農家、養殖漁家等に対し財政、金融上特段の配慮が必要である。」こうございますけれども、こういった面に対しての配慮はどんなふうに考えておりますか。
  70. 小野重和

    小野(重)政府委員 この中公審答申の中に、いままで規制の対象になっていないような畜舎あるいは魚の養殖施設、これについての施設管理基準をつくりそれを守っていただく、そういう新しい規制も導入すべきであるということが書かれておるわけでございますが、ただそういう規制することだけではいけませんので、その施設について何らかの改善をするということになりますとお金が要るわけでございますので、そのための措置ということでございますが、これは農林水産省とも協議しなければいけないわけでありますが、私どもといたしましては、農林水産省関係のいろいろな制度金融がございますので、そういうものを十分に活用して同じように重点的に配分していただくということを農林水産省に要請してまいりたい、かように存じているわけでございます。
  71. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それじゃ、琵琶湖の水質に関して若干質問をしておきます。  昨年七月施行された滋賀県の富栄養化防止条例、その後もうじきに約一年間経過することになるわけですね。あれだけ大きな日本最大の湖でございますから、すぐにどのような効果がということは非常にむずかしいということはわかります。しかし、協力しておる住民としてはぜひ琵琶湖が浄化していってほしいと願っておるわけでございますので、その後各方面から注目されていると思いますけれども、最近の水質COD、燐、窒素等の実態を、その前のところからで結構でございます、数年のものを数字で明らかにしてください。
  72. 小野重和

    小野(重)政府委員 琵琶湖の水質基準につきましては、これは御案内のことと存じますが、琵琶湖の南湖、北湖ともに昭和四十七年にAAのランク、すなわちCODで一ppm以下という類型指定がされているわけでございます。  ところで現実の姿はどうであるかということでございますが、最近の数字でございますが五十四年度で南湖が三・三ppm、北湖が二・三ppm、ともに先ほど申し上げました一ppmをかなり上回っているわけでございます。傾向的にはどうかということでございますが、一々数字は申し上げませんけれども、南湖はやや改善の兆しがあるということでございますが、北湖は横ばいという状況でございます。CODといいますか、環境基準なりその現実の水質につきましては、以上のとおりでございます。
  73. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 昨年までずっと続けてここ数年というもの赤潮が発生しております。ことしもまたそういう時期になってきました。昨年は冷夏ということもございまして、その規模はさほどではございませんでした。しかし、一昨年あるいはその前も膨大な赤潮が発生し、近畿一千三百万の水がめとして利用しておる人たち、私は京都に住んでおりますが、特に京都は直接疎水で水を引いて、すべて琵琶湖の水を飲んでいるわけですね。それによってカビ臭いにおいになったとかいろいろなことがございました。また養殖魚の大量死であるとかいろいろ被害を受けたわけでございますけれども、本年の赤潮の実態あるいは今後の見通し等も含めて、何かつかんでおれば御説明いただきたいと思います。
  74. 小野重和

    小野(重)政府委員 いままでの赤潮の発生状況につきましては、もう先生御案内のことと存じますので申し上げませんが、ことしはどうかということでございますが、本年は現在のところ発生の報告は聞いておりませんけれども、赤潮のプランクトン、ウログレナというプランクトンでございますが、これを食べる動物プランクトン、ダフニヤというのがあるのでございますけれども、それを見ますと、ちょっと例年より少ないという数字もございます。ことしは淡水赤潮の発生がちょっと心配であるということでございますが、しかし現実にどうなるか、これからの問題でございます。
  75. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 さらに、この富栄養化防止条例が施行されていって、各家庭からいままで洗剤等の、そういった下水が流れ込んでいく流入河川、こういったものには直接影響があったわけですね。したがって、洗剤等の規制のために流入河川の実態というものはかなり良好な結果が出ておるように伺っておりますけれども、代表的な河川二、三で結構でございますが、防止条例の施行前と施行後、この実態はどのようになっておりますか。
  76. 小野重和

    小野(重)政府委員 琵琶湖の富栄養化防止条例は御案内のように去年の七月から施行されておりますが、そこで去年の七月からことしの一月までの平均と、同様の一昨年の七月から昨年の一月まで、要するに一年前でございますが、その一年間の推移を見てみますと、幾つかの川で調べておりますが、八幡川で見ますと、たとえば去年が〇・八一ppmであったものが本年は〇・二一ppmという数字、四分の一に減っているというふうに、琵琶湖の富栄養化防止条例に基づく燐の規制措置の効果は、流入する量については相当に減っているんじゃないかと考えられるわけでございます。
  77. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 同じくこの防止条例施行に当たって、粉石けんなり無燐洗剤等への切りかえといったことが行われていきました。住民はそれに協力していっておる。その中で、たとえばこういった粉石けんなり無燐洗剤に対して、使用法がちょっとむずかしいとか、あるいは洗いぐあいがどうも前よりおかしいとか、いろいろ苦情が出て、おるようにも伺っておりますけれども、そういったものはつかんでおりませんか。
  78. 小野重和

    小野(重)政府委員 具体的に滋賀県でどういう苦情といいますかが家庭の主婦から出ているかというような調査については、私ども伺っておりません。
  79. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 やはり協力していく中にはいろいろなものがあるやに伺っております。しかし、その中で地方自治体として努力をしてやっておる点、環境庁としてもそういった面に関心を持っていただく必要があると思いますので、今後ともよろしくお願いしたい。  伺じく、この石けんを使用するとBODの負荷率が上がるのが常であると考えられますが、下水処理及び水質への影響はこの粉石けん等の使用によってどういうようになっておるか、説明してください。
  80. 小野重和

    小野(重)政府委員 粉石けんでございますと燐はないわけでございますから、富栄養化防止という観点からは有燐洗剤よりすぐれていることは言うまでもないところでありますが、いま御質問のBODの問題でございますけれども、粉石けんを使いますと、まず発生BODと申しますか、家庭その他で洗たくをするときに流れるその水の中にあるBODでございますが、これは合成洗剤と比べればかなり高いわけでございます。しかしながら、石けんは合成洗剤に比べますと分解しやすいわけでございますので、その水が公共用水域、たとえば琵琶湖そのものに流れてくるということになりますと、そういう水域において残留する有機物の量は、当初家庭から流れるものよりは少なくなるということでございます。しかし、そこで最終的に洗剤と石けんと一体どうなんだと、環境水と言っておりますけれども、その中のBODがどういうふうになるかというのはなかなかむずかしい問題でございまして、これにつきましては、現在私ども国立公害研究所におきましてこの点の調査研究を行っているところでございます。その研究の結果を待ちたい、かように存じております。
  81. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このたび滋賀県として七億八千万円の予算を計上し、県立の琵琶湖研究所をつくることになりました。科学的な調査研究に裏づけられた総合的な施策の展開等が必要でございますし、さらにまた、総合的な調査研究、そういったものを行う機関というものはいままでなかったわけです。そしてまた、全国各地からの琵琶湖に関する情報を収集し管理する、こういった面も大事でございます。琵琶湖に関しては、滋賀県のみならず、その周辺の人たち、近畿の人たちが直接飲み水としたり、また水産資源等の確保のために多くの恩恵を受けているわけですね。したがって、この研究所をただ単に滋賀県のみに責任を持たせる形で運営させるということは、はなはだ疑問を感じるものがございます。そもそも国立の琵琶湖研究所をという要望もかねてよりございました。そういった面からも、国としてこの研究所に対してどう対処していくか、どんな見解を持っておるか述べていただきたいと思います。
  82. 小野重和

    小野(重)政府委員 琵琶湖研究所の問題でございますが、環境庁といたしましても、琵琶湖につきましては、水資源としての重要性、あるいは淡水赤潮の問題等いろいろ問題がございますので、淡水赤潮の調査とか総量規制導入のための調査等を行っているわけでありますが、今後この琵琶湖研究所で琵琶湖の水質保全のための調査研究が行われる段階になりましたならば、私どもといたしましては、技術の援助それからまた人材の交流ということも含めまして必要な協力は十分に行ってまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  83. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このたび湖沼法の提案ということもあるわけでございますし、この研究所に技術援助等、あるいは人材の交流というもの以外に研究費等の国庫援助、こういう直接の援助、あるいは国との協力関係、いま申し上げましたようなものがもっともっと必要になってくると思います。水質浄化の観点からももう一歩進める必要があると思うのですね。本気で琵琶湖浄化というものを考えていくからには、こういう研究費等への国庫援助、こういったものはどう考えておりますか。
  84. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私は、かねて滋賀県の知事さんが琵琶湖の問題について、まああの人は万般そうですけれども、琵琶湖の水の問題について非常な熱意で取り組んでいることを高く評価しております。  そこで、県でそういう研究所をつくったということは非常にいいことだと私は思います。私は、ある意味では、そこへ国立というようなことではなしに、地方自治の時代とも言われるのですから、知事さんが自分の責任でそういうものをやってみようと思われたことは非常にいいことだと思います。いま局長が答えましたように、わが方には国立研究所がありますから、国立研究所の方で技術的に学問的にいろいろ御協力申し上げることがあれば、もう当然密接に連絡をしてくださることと思いますので、それにこたえたいと思いますし、いま先生の言われたようなことも必要とあればお話があるでしょうから、そういうときにはその問題についてこたえていきたい、こういうふうに考えます。
  85. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、琵琶湖総合開発法のことに関して若干伺っておきます。  この琵琶湖総合開発特別措置法は時限立法として五十七年三月三十一日限りで効力を失うことになります。その後の建設の関係の物価の上昇などいろいろ影響考えると、この進捗状況というものは――四十七年度からスタートしたわけですよね。ところが、オイルショックによる低成長経済への移行、あるいは公共投資の抑制策など財政面での問題、また琵琶湖の赤潮の発生で象徴されるような琵琶湖の水質汚濁の進行という新しい問題に直面しておりますね。それから、こういった状況の中から、一部の事業を除いて大幅におくれております。総投資額で見てみますと、昭和五十六年度末の見込みでは五千六百五十一億円となり、当初予定されていた総事業費四千二百六十六億円、これは昭和四十六年度の単価で比べると一三三%、こういった形になっていますね。それから、こういった建設物価等の上昇の影響考えると、実質四〇%程度と推定されております。したがって、今後の措置が重要になりますけれども、現在まで滋賀県側から何らかの要望が来ておりますか。それはどんな内容でございましょうか。
  86. 平野侃三

    ○平野説明員 琵琶湖総合開発特別措置法の関係でございますが、滋賀県からは、法律の延長と同計画の改定をしてほしいという要望は聞いております。ただ、個々の問題、個々の内容に関しましては、現在関係の各省庁とごく事務的な段階で事前の打ち合わせをしているところでございます。
  87. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 したがって、もうすでに五十七年度予算、これは各省庁での検討、いろいろと検討段階へ入っておるわけでございますね。そういうことを考えると、果たして延長する考えはあるか、あるいはまた、それによってその延長への検討というものは始まっているのか、あるいはいつごろまでにそういったものが決まっていくのか、明らかにしていただきたいと思います。
  88. 平野侃三

    ○平野説明員 これまでの進捗状況から見まして、計画期間内に所期の事業を完成させるということは困難であろうと考えております。国土庁といたしましては、現在滋賀県が進めております総点検作業の結果による意向を受けまして、財政需要等も総合的に勘案して具体的な検討を行うということにいたしておりますが、先ほども申し上げましたように、事務的には滋賀県及び関係省庁と事前の検討作業を進めているところでございます。また、仮に法律が延長を行うということになりますと、先生御指摘のように限時法でございますので、本年の十二月に開催されます通常国会には改正案を提出いたしまして御審議をいただかなければならないと考えております。
  89. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 なお、その延長期間は少なくとも十年間ぐらいは必要ではないか、こういうような地元等の考え方があるように伺っておりますけれども、どんなように考えておりますか。
  90. 平野侃三

    ○平野説明員 滋賀県からの御要望では、少なくとも十年は必要であるという要求がございますが、現在、先ほど申しましたような検討の過程で各事業に関しましてどの程度の期間が必要かということも含めて検討しておるところでございます。
  91. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 現計画の残事業の完成、こういったものを目指すということがまた大事でございますし、赤潮の発生等水質環境の現状に対応するための水質の保全、回復、自然景観保全等の対策の補充追加、こういったものも図る必要がある、こういう基本的な考え方があるようですが、これにはどんなふうに考えておりますか。
  92. 平野侃三

    ○平野説明員 滋賀県の方で現在要望しております内容は、先ほどの期間の問題と、それから基本的には現計画の残事業を完成させる、その段階におきまして、現在までの間の社会情勢の変化あるいは地域実態の変化等に対応した所要の修正を図るということを希望いたしておりますし、また、先生御指摘のように、琵琶湖の赤潮の発生等の水質環境の現状に対応するための水質保全、回復の施策等に関して何らかの補充追加をしてくれぬかという要望も来ております。  国土庁といたしましても、いわゆる閉鎖性水域一つとしましての琵琶湖の水質の保全、回復というのは、本計画そのものの一つの大きな柱でございますが、そういう意味からもできる限りそういう方向で検討したいというふうに考えております。
  93. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 では、最後に長官にお伺いしておきます。  この湖沼法、仮称でございますけれども、いよいよ提出をしていく、先ほど御決意を伺いました。それから、これだけ日本最大の琵琶湖等がいままで高度経済成長等々いろいろな関係から、また日本の湖沼というものは非常に自浄能力を失っていくのではないかというほどの汚れぐあいというものは、長官も御承知のとおりでございます。ぜひそういう意味から、この琵琶湖がきれいになっていくこと、あるいはまたその周辺の人たちが恩恵をちゃんと受けていけるような形に持っていかなければならないと思いますし、それから、全国の重要な湖沼、そういったものを守っていく上から、長官としての今後の御決意をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  94. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 湖沼の総合法については局長からお聞き及びのとおりでございますし、冒頭私からもお答えをしたとおりでございますので、速やかにこの国会に提出して、日にちもだんだん残り少なくなりましたが、まことに恐縮ですが、御審議をいただけるようにいたしたい、そして、この危険な状態に陥りつつある湖沼を回復したい、こういうふうに考えております。  琵琶湖のことについて御言及でございますが、琵琶湖の総合開発特別措置法の目的は、「琵琶湖の自然環境の保全と汚濁した水質の回復を図りつつ、」こういうのですから、もうすでに汚濁してしまったということを認めて、この回復を図ろうというのでございますから、その法律の期間にそれが実施されなければ、当然これをある期間延長して目的の達成に努めなければならない、こう考えております。
  95. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 どうもありがとうございました。
  96. 山崎平八郎

    山崎委員長 米沢隆君。
  97. 米沢隆

    米沢委員 私は、この委員会の時間をちょっと拝借しまして、環境保全対策の推進と廃棄物処理技術の開発という問題について若干の質問をさせていただきたいと思います。  昨年の暮れ環境庁は、昭和五十四年度の土壌汚染防止対策細密調査、化学物質環境調査並びに公共用水域水質測定調査等々一連の環境調査の結果を発表されました。この結果を見てまいりますと、関係当局の御努力によりまして年々改善の方向に向かっておりますけれども、いまだにカドミウムや銅の基準値を超える新しい土壌汚染地域が見つかったり、あるいは横浜港、鶴見川河口、大阪、神戸港あるいは姫路沖など都市部におきまして、早くもこのPCBの代替品であります、PCB並みの毒性を持つと言われる高濃度の塩化パラフィンがヘドロから検出されたり、また、公共用水域でのBODCOD環境基準不適合率はいまだに三三・三%と高く、重金属による汚染環境基準不適合水域がまだまだ多い、特に湖沼や湾などの閉鎖性水域水質汚濁のひどさが目につくといった結果がレポートされております。  また、昨年末環境庁の主催されました第七回の環境保全・公害防止研究発表会、この報告書も見さしていただきましたが、各地の公害研究所員の昼夜を分かたぬ努力にもかかわらず、各地で深刻な公害問題が山積をし、悪戦苦闘されておる。同時に、発表の内容を見ますと、依然として有害物の未処理が続く、処理方法がわからないという分野が大変多い、そういうような発表がなされております。  そこで、まず環境庁長官にお尋ねをしたいのでありますが、この環境の現状、現在の姿をどういうふうにいま認識されて、これから先二十一世紀に向けてどのような環境政策の展開を目指そうとされておるのか、格調高く基本方針を聞かせてもらいたいと思います。
  98. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 いろいろ調査の結果、細かいことについては局長から答弁いたしますが、私がいま非常に心配しておりますことは、人間が生きていくためにどうしても必要なものは、言うまでもなく、たくさんありますが、土壌、水、大気、この三つであります。水の問題についても大気の問題についても、これはすぐわかりますから、わりあいにわかりやすいですから心配するのですが、土壌となりますと、なかなか水や空気というようなわけにはまいりませんが、これはどうしても健全な状態にいてもらわなければ困る。ところが、農業のやり方なんかもいろいろ変わってまいりましたし、それから工場などの廃液が流れていったり、大気中に浮じんとして飛んだものが地面のところへ落ちていったり、あるいは要らなくなったものを埋めたり何かするために汚れたりというようなことで、知らず知らずの間に人間の生命、健康を害するようなものが土壌の中にしみ込まれていく、水から入ってくる場合もありますが、今度はまた土壌から水の方に流れていく場合もあるというようなことで、この問題は非常に重要な問題として、水、空気にまさるとも劣らない重要な関心を持って調査もし、この対策も立てているわけでございます。
  99. 小野重和

    小野(重)政府委員 若干具体的に、水域の状況と土壌汚染の状況について御説明いたしたいと存じます。  まず、水質の問題でございますけれども、ただいまお話のありました有害物質、これはPCB、水銀等でございますが、これにつきましては環境基準を超える割合というものは逐年減少しておりまして、ほぼ環境基準を満足するに至っているというふうに考えております。ただ、生活環境項目、これはCODとかBODということで環境基準を設定し、その達成率を見るわけでございますが、これは、海は約八割達成しておるわけでございますが、川は六五%、これらに比べまして湖沼は四〇%というふうに低い達成率になっておるということでございまして、私ども、全般的に未達成のところを達成させるということはもちろん必要でございますけれども、特に湖沼についての対策が緊急の課題であるというふうに考えておるわけでございます。  それから、土壌汚染の問題でございますが、これは御案内のように農用地土壌汚染防止法に基づきまして、対策地域の指定とか、あるいは対策計画の策定、事業の実施等の施策を講じておるわけでございます。汚染の状況でございますけれども、カドミウムなどの特定有害物質と言っておりますが、これが基準値以上に検出された農用地でございますが、昭和五十四年度までの調査結果によりますと全国で百二十四地域、推定汚染面積約六千五百十ヘクタール、こういうことになっております。これらの地域につきましては、農用地土壌汚染防止法に基づく各種の対策を講じておるところでございます。
  100. 米沢隆

    米沢委員 厚生省にお聞かせいただきたいのでありますが、廃棄物問題に限ってみましても、ますます増大かつ多様化する廃棄物の処理に企業も地方自治体も深刻な事態に追い込まれております。特に最近におきましては、最終処分地の確保難、処理システムや処理技術の未開発、散在性廃棄物の散乱等々、ごみ問題を一層複雑困難なものにいたしておりますけれども責任官庁としてこの問題をどう受けとめて、どのような方針で解決されるおつもりか、簡単に将来像をお示しいただきたいと思います。
  101. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  まず、最終処分場の確保難の問題でございますが、それにつきましては、排出を極力抑制し、資源化、減量化に努めるということでございます。  それから、その確保につきまして、地域住民の方の御理解、御協力をいただくための環境アセスメントを初めとします。辺環境対策、それから施設整備につきましては、これは現在も国庫補助の対象にいたしておるところでございますが、そのような五カ年計画を策定、三十八年以来何次かにわたって進めておりますが、その推進等によりましてそのような問題は解決してまいりたい、そのように考えております。  それから、有害廃棄物の件についてでございますが、これはいろいろなそういう基準が設けてございまして、それに従いまして、産業廃棄物につきましては都道府県環境衛生指導員などがその監視指導などに当たっておるところでございます。今後そういった方面につきまして一層指導体制を強化してまいりたい、このように考えております。
  102. 米沢隆

    米沢委員 いま聞かしてもらうと、えらい簡単に将来に何か問題がないような感じに受け取れるのですが、実際いまおっしゃったような方向に向かってないところに本当は私は問題があると思います。後で詳しい点はお聞きさせていただきます。  次に、いまいろいろと御抱負等を踏まえて御説明いただきましたが、しかしながら、たとえば先ほど話がありましたように、PCBの代替物質が大都市港周辺で検出されたり、あるいはBODなどの生活環境項目の環境基準不適合率が大変高い。昨年よりも全体で五%ぐらい改善傾向が見られることは大変救いでありますけれども、数字そのものはまだまだやはり高いと見なければなりません。特に湖沼です。先ほど御答弁いただきました湖沼の問題は、緊急かつ重大な課題であるような気がしてなりません。  そこでちょっと話がそれますが、例の湖沼環境保全法の制定です。先ほど来長官の方から話があっておりますけれども、聞きますところ、各省庁かなり利害といいましょうか、縦割り行政でやっておられます関係でかなり込み入って、果たしてその話の調整がつくであろうか。したがって、今会期中に法律を出されるような話を先ほどちょっと伺いましたけれども、本当に間に合うのかどうか、もし間に合わないとするならば、その分だけやはり湖沼対策というものがおくれていく。そういう意味で、再度長官湖沼環境保全法の提出あるいはその制定等についてどういう決意を持っておられるのか、簡単に聞かしてもらいたいと思います。
  103. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたが、この答申をいただいたときに、この答申をつくられた方々も附帯決議で述べられて御心配になっておられたのですが、まさにそのことが問題となっておくれていますことはまことに恐縮に存じます。それは湖沼環境保全の計画の策定に当たっては、湖沼の持つ治水、利水上の機能にかんがみて河川管理者との間で十分な調整を図る必要があります。その調整にいま手間どっているわけでありますが、端的に申し上げまして、先ほど局長からお答えいたしましたように、連休前には何としても詰めて、先生方の御審議を煩わしたい、こう考えております。
  104. 米沢隆

    米沢委員 この問題と関連いたしまして、例の公害防止財特法が期限切れが迫っておるわけでありますが、どうもいままで事業を残しておる部分もたくさんありますし、それから、かなりの金額が要るということで、大蔵省あたりは特に地域に対する財政上の特別措置は期限切れで廃止する、こういう方針で臨んでおる関係で、この延長が危ぶまれておるというふうに聞くわけでありますけれども、実際はどんなものなのか、どういうかっこうで延長されるのか、この点国土庁の方にちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  105. 平野侃三

    ○平野説明員 ただいま御指摘の法律は、私ども国土庁の所管ではございませんので、お答えできません。
  106. 米沢隆

    米沢委員 昨日政府委員室でちょっとヒヤリングさしていただいたときには、国土庁の方が来て説明したのだけれども関係ないのかな。
  107. 平野侃三

    ○平野説明員 琵琶湖特別措置法の関係でございましたら私どもの方でございます。
  108. 米沢隆

    米沢委員 それをやってください。
  109. 平野侃三

    ○平野説明員 琵琶湖の特別措置法は四十七年度から五十六年度までの十カ年計画でございますので、本年度で終わることになっております。現在滋賀県が作業いたしておりますので、その作業の結果を見ながらどう対応していくか検討していくことにいたしております。
  110. 米沢隆

    米沢委員 話がちょっとそれましたけれども、そういうことで、まだ依然としていろいろと環境保全という観点からは問題が残されております。こういう事態をながめておりますと、やはり廃棄物処理についてあるいはまた有害物質封じ込め処理について、決め手を欠いていると言っても過言ではないような気がしてなりません。  環境庁長官にお尋ねしたいのでありますが、一口に言いまして、環境保全対策が遅々として進まない、スピードがどうも上がらない、その原因は一体どこにあるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  111. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 一般論としてお答えをいたしますが、このいろいろの公害問題に対処する対処の仕方は、昭和三十年代の後半から四十年代の初めにかけてだっと公害が出た。先生方の御注意、御審議を経てわりあいにうまくいっているのじゃないかと私は思うのです。それは諸外国が、日本に対する評価も、日本みたいにたくさんの公害が出たところはない、しかしそれに対する対処はわりあいにうまくいった、こういうふうに見ているのです。  ただ、これで万全というわけじゃありません。もちろんまだまだですが、わりあいうまくいったのですが、その後これをどうするかという問題に至っては、その前の応急的対処ほどうまくいってない。また、快適な状態の生活という観点から見ればとてもだめだ。そこに苦労のあるところがあるのですが、先生の御質問の、重金属その他人間に有害なものが出てきたときに、その廃棄物を、いよいよ要らなくなったその有害なものをどう処理していくかという問題は、おっしゃるとおり手詰まりというような状態で、私は個人として、どうもその点はまだだめだな、どうしたらいいのかなというふうに考える。元来、神様が余りいじっちゃいけないよというものを大昔に岩の中に閉じ込めて土の奥の方に入れてしまったものを、人間がいろいろなことに利用して、出してきて、それで必要なものだけ使ってしまって、いよいよ要らなくなったものを今度は捨てる場所がないと言っていま困っているような状態、まあそんなふうに表現してもいいのじゃないか。その対処の仕方はこれからますます考えていかなければならぬ問題ですが、いまの時点ではそううまい知恵があるわけじゃないな、それだから、方々へ隠れて、夜陰に乗じてどこかへ持っていって捨てたりして問題を起こしているということだと思って、この問題は学問でもありますから、学問としても鋭意研究を願っているところであります。
  112. 米沢隆

    米沢委員 いま長官がいみじくもおっしゃっていただきましたけれども、快適な環境をつくっていくために、あるいは将来の公害防止という面に関して問題をまだ非常に残しておる。そういう一つ原因の中に、やはり考えねばならないことは、この処理システムだとか処理技術というものがまだ未完成な部分が多過ぎる。たとえば、公害の発生源あるいは廃棄物の発生源から物が出てきて、一方は処理施設を通る、あるいは処理設備がないがために通らないままにどこかに埋め立てられる、あるいは処理施設を通らないことが最初からわかって不法投棄をする、そういう形で発生源から出てくるわけですね。もし、そうして処理施設を通ったとしても、その処理施設が不完全なために、処理したつもりでも処理されていないものがやはり埋め立てられたりする。そういう意味で、現在、これから先まだ環境を悪化させていくであろう要因というものは、この処理システムが完成したり処理技術がかなり優秀なものにならない限り、永遠に残っていってしまうのではないかという気がするわけです。ですから、これから先の政策の力点というものはここらに焦点を当てていただくことが大変大事な問題ではないか。  同時に、現在でも民間において、たとえばこの処理技術等については理論的にもう成果が上がっておるものもたくさんあるやに聞いております。しかしながら、たとえば社会にとって環境保全というのは大事なものだ、したがってそういう研究成果というものを本当に実用化に早く結びつけようという気持ちを持って推進する主体がない、そのあたりに大きな問題を抱えておるような気が私はするわけでございます。  同時に、もう一つ指摘しなければならないのは、環境庁が発足しました昭和四十六年に告示されております廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令、これは政令の第三百号、ここで決められた廃棄物の処理の仕方が、まる十年たつにもかかわらず、十年前同様の埋め立て処分か、あるいはコンクリート固型化してから埋め立てろ、海洋投棄しろ、この一つの方法しか認められていない。そういうところに、新しい技術が生まれてこない、生まれようとしても、そんなことをしても、コンクリート固型化でないと補助は出せませんという議論でありますから育たない。そういう非常に大事な問題が隠されておるような気がするわけでございます。  そういう意味で、この処理システムや処理技術の未完成なところをどう完成に持っていくのか。研究成果として技術処理あたりは大変優秀な研究成果があるにもかかわらず、実用化するためプッシュする主体がないというところに悩みがある。そこをどう解決をしていくのか。あるいはこの政令三百号、これはこの前例の広域臨海環境整備センター法案の連合審査のときにも厚生大臣に申し上げまして、厚生大臣からこの政令を改正しようという答弁をいただいたわけでありますけれども、コンクリート固型化だけしか認めないなどという、技術の進歩を認めないような政令は早くやめてもらいたい、改正してもらいたいと私は思うのでございますが、この点、長官の御意見を聞かしてもらいたいと思います。
  113. 小野重和

    小野(重)政府委員 先生の御質問は包括的な御質問かと思いますが、一つの例として廃棄物の問題を取り上げられましたので、廃棄物について申し上げたいと存じます。  金属などを含みます有害廃棄物を埋め立て処分する場合に、それ自体が一定の判定基準に適合するように処理すれば、これは普通のタイプでございますが、管理型、こう言っておりますけれども、その管理型の埋め立て処分地で処分できるようになっておるわけでございます。ただ、その廃棄物自体が判定基準に合わない、その場合にはこれをまず固型化する。固型化して判定基準に適合すれば管理型でもよろしい。しかし適合しなければ、遮断型と言っておりますが、密封のようなスタイルのそういう方法でございますけれども、それで処分する、こういう道が開かれているわけでございます。  そこで、この固型化の問題でございますけれども、現在確かにコンクリート固型化ということだけが認められておるわけでございますけれども、他の方法によってもその有害物質が一定基準以上に流れないということであればそれはもうそれでいいわけでありまして、ただそういう方法がいまのところ見当たらないということでございます。ただ、ほかに方法がある、技術開発されて他の方法が考えられるとするならば、それを採用することはやぶさかでないわけでありまして、そういう別の方法が出ますれば、それについて技術的に妥当かどうかを検討しまして採用するということは当然考えるべきことであるというふうに思っております。
  114. 米沢隆

    米沢委員 いま、実態論としてコンクリート固型化以外のものでも技術がパスすればオーケーだという話ですが、そうなりますと、やはり政令は変えてもらわなければいけませんね。コンクリート固型化及びその他みたいな形で受けざらをつくってもらわないと、おたくの方はそういう感覚でいらっしゃっても、実際そういうものを採用して施設でもつくろうかというときには、地方自治団体は補助金を申請できないのですよ、コンクリート固型化以外の技術で何かやろうとしても。そういう意味では、やはりその他という欄、たとえば、御承知のとおり総理府令第七号の放射性物質の処理に関しましては、「容器に封入し、又は固型化処理設備においてコンクリートその他の固型化材料により容器に固型化して保管廃棄設備において保管廃棄すること。」と言われるように、ここにはコンクリート固型化及び「その他」という、そういう意味ではコンクリートだけではありませんよ、もし技術がパスしさえすればその他の方法でもいいですよという受けざらがちゃんと政令の中に書いてある。これは昭和五十四年にできたのでありますけれども、ちょうどできました四十六年のころは確かにコンクリート固型化しかなかったかもしれません。したがって、それが最善であり、その時点においてその他の技術はないということでコンクリートだけを固める材料にしろという政令になったかもしれませんけれども、それから十年たって民間の研究成果はかなり上がっておるのです。何もコンクリートでなくてもいろいろ固型化材料はあるわけです。あとは「その他」というのを入れていただいて、皆さんが技術の審査をしていただけばいい。そういう意味では、やはり受けざらとして政令はぜひ改正しなければならぬ、そう思うのです。いかがですか。
  115. 小野重和

    小野(重)政府委員 新しい方法が開発されて、それが技術面等でいいものであるということであれば、制度をそういうふうに直すことはやぶさかでございません。そういう方針でいきたいと思っております。
  116. 米沢隆

    米沢委員 ところで、現在のところ、このコンクリート固型化のみが認められておるわけでありますが、これは第二次公害発生という意味ではこのコンクリート固型化というのは本当に大丈夫なんですか。
  117. 小野重和

    小野(重)政府委員 私ども、コンクリートに固形化することによって有害物質がさらに流れるということは防げるというふうに考えておるわけでございます。
  118. 米沢隆

    米沢委員 たとえば、昨年暮れの第七回の環境保全・公害防止研究発表会、この資料を見させていただきますと、たとえば新潟県の公害研究所の方の発表でありますが、昭和五十年に新潟県内に設立されたスラッジ処理公社で、当初スラッジ処理としてコンクリート固形化による無害安定化を目標とした、しかし、セメント添加による増量やPH上昇によるシアン溶出の増加等でコンクリート固形化はいろいろ問題があるというように、固形化される場合にも大変苦労なさっておる例がこうして発表されておるわけですよ。そういう意味で、コンクリート固形化がほぼ有害物質を封じ込めるであろう、それは確かに、であろうかもしれませんけれども、実際は固形化する段階で、こういうスラッジを固形化しようというところでも非常にむずかしいというような話が指摘をされておるのを見ますと、コンクリート固形化が決して万全ではないという、そういう立場をよくわかっていただかないと、その他の固形化の研究に力を入れようということにならないのじゃないですか。
  119. 小野重和

    小野(重)政府委員 コンクリート固形化すればすべてパスであるというわけではないわけであります。固形化して、それで判定基準に合うということであれば、これはいわゆる管理型という、埋め立て処分ができる。しかし、コンクリート固形化してもまだ判定基準に合わないというものがあるとするならば、それは遮断型という、密封型といいますか、そういうところに入れるということで、二段構えみたいな形にしておりまして、最終的に有害物質が流れないように、そういう措置といいますか、基準を決めているわけでございます。
  120. 米沢隆

    米沢委員 ところで、たとえば新しい技術を開発して、何とかしていわゆる認知をもらいたいというときに、技術をオーケーする、しないという、その技術評価のシステムは、一体政府ではどうなっておるのですか。これは各省庁ばらばらですね。
  121. 小野重和

    小野(重)政府委員 そういう技術開発ができますれば、私どもの方に資料をいただきまして、私どもの方で検討いたします。
  122. 米沢隆

    米沢委員 それは制度化されておるのですか。たまたまおたくを訪ねればいいのですか。それとも、訪ねてきたらこうしますという制度ができておるのですか。
  123. 小野重和

    小野(重)政府委員 そのための制度というと、どういう御質問なのかちょっと私どもわかりかねるのですが、私どもの方にも専門家がおりますから、そういう資料がいただければ、また実際に実験してみる必要があろうかと思いますけれども、それは私ども環境庁で十分に検討さしていただきたいと思います。
  124. 米沢隆

    米沢委員 これは長官聞いてもらいたいのですが、いま各省庁で、処理技術に関連しまして、それなりの自分たちの役割りを持つところについては、それぞれ研究されたり対処されるような方式をとっておられるわけですね。たとえば有効利用の方は通産省でしょう。焼却炉だったら厚生省でしょう。有害物質封じ込めなんというのは環境庁でしょう。そういう意味で、一連のその処理施設あたりをいろいろ研究されたり開発一歩寸前までいって、実際そこらで各省庁のオーケーをとれるかどうかというのは、みんなどうしたらいいだろうかと思っておるわけですね。ところが、訪ねていけばいいと言われても、どこを訪ねていいのか、行ったときに本当にどういう評価をしてくれるのか、何かそのあたりはやっぱりみんな心配だと言われますね、どこに持っていったらいいのだと。そういう意味で、私は、これから先あらゆる意味環境を維持し、よくしていくために、技術を進歩させねばならぬという立場があるのならば、もう少しそれをプッシュする、早く持っていらっしゃいぐらいの、そんな気持ちの、逆に民間に研究を競争させる、そういうものがないと、持ってきたら見てあげますよじゃだめだと思うんだな。早くいいのを持ってこい、そして早く研究開発の成果を実用化しろという、もう一歩大きい、吸い上げるようなシステムが欲しいとぼくは思うのです。長官どうお考えですか。
  125. 小野重和

    小野(重)政府委員 まず私お答えいたしますが、私どもも、新しい技術ができれば非常に結構なことだと思うわけでございますが、わが国のいろいろなところで研究していらっしゃるかと思いますけれども、私どもの方でそこまで探せと言われましてもなかなかむずかしいことでございまして、したがいまして、そういう開発ができましたら、私どもが所管の官庁でございますので、私どもの方にどんどん申し出ていただければ、十分に検討いたしたいと存じます。
  126. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 お答えいたしますが、先生の言われていることは、私は、いま局長が受け取ったと別の意味でわかりますよ。それは、成果が、もうずっと長いですからね、少し膠着しているところもあるでしょうし。また、責任の分担を明らかにしているために、民間から見ればちょっと対応に苦しむときがある。こっちへ行けばあっちの方だと言う、あっちへ行けばこっちの方だ、どこへ行っていいかわからぬ。しかし、民間から見れば、政府の中のいろいろな役所はみんな同じじゃないかというふうに考える。そういう考え方から言えば、ちょっと対応としてこんなことじゃ困っちゃうなあというような気になって、いま先生が言われたように、どこでもいいから、とにかく考えてみろ、いい考えがあったら持ってこいと、こういうふうに積極的にやったらどうだ、そうなってないじゃないかと言われることは、政治家として私はわかりますよ。また、そういう面もないとは言いません。けれども基本には、いま局長がお答えいたしましたように、いまコンクリート詰めが一番いいと思ってそれでいっていますが、またそれ以上にいいものがあればそれを加えることは少しもちゅうちょいたしません。こういうことでございますので、いまの先生の御注意を頭に入れながら、何かもっと民間が当惑しない方法はないか考えてみたいと思います。
  127. 米沢隆

    米沢委員 そこで、頭を整理する意味でお聞きしたいのでありますが、廃棄物、また有害物を含む産業廃棄物等々、それぞれ所管が決められて最終処理まで持っていくようなシステムに一応はなっておりますけれども、この廃棄物の最終的に処理された後の行方は一体どうなっておるのか。最終処理工程を終わった後の、残灰とかいろいろありますね。あるいは処理施設に入らない部分の末端の廃棄物ですね。それぞれでどういう姿で地上に置かれるのか、これをちょっと聞かせてもらいたいと思うのです。厚生省には、一般廃棄物、産業廃棄物が最終的にはどういうかっこうで処理されるのか。それから通産省には、化学物質なんかに汚染された汚泥とかあるいは有害物質を含む廃液、廃酸、廃アルカリ、そういうものは一体どういう姿で最終処理されておると思っておられるのか。科学技術庁には、放射性物質及びこれに汚染されたものは最終的にはどういう姿で廃棄されるのか。それから建設省には、下水道の終末処理の汚泥は最終的にどういうかっこうでおさまっておるのか。それぞれ御答弁いただきたいと思います。
  128. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 まず、一般廃棄物につきましては、これは中間処理されまして、あるいは不燃物につきましては直接の場合もございますが、一般的には埋め立て処分をされるのでございます。  それから、一般廃棄物の中でも屎尿につきましては、海洋投棄される場合もございます。  それから、産業廃棄物につきましては、これは一般的にはやはり埋め立て処分を行っております。
  129. 飯田善彦

    ○飯田説明員 通産省といたしましては、廃棄物の処理全般に関しまして、できるだけ廃棄物を資源化して再使用していきたいというふうなことによりまして、廃棄物の量をまず減らしていこうというようなことで、いろいろな施策を行っておるわけでございますが、できるだけそういう廃棄物の中から有効成分を利用していく。どうしても出てくる最終的な廃棄物につきましては、廃棄物法に定められておりますいろいろな処理基準がございますが、これに十分適合するようにして、最終的には埋め立てというようなことにならざるを得ないかというふうに考えておるわけでございます。
  130. 坂内富士男

    ○坂内説明員 お答えいたします。  放射性廃棄物は、大別しまして低レベル放射性廃棄物と高レベル放射性廃棄物に分かれますので、二つに分けてお答えいたします。  初めに、低レベル廃棄物でございますが、これは発生源は主として原子力発電所などから排出されるものでございまして、紙、布、手袋、廃液等、そういったものでございます。これらにつきましては、原則としまして焼却いたしまして、ドラムかんに詰めコンクリート化する、こういったことで、現在これは厳重な管理のもとに安全に保管されております。それからまた、その最終処分でございますが、これは原子力委員会が定めました方針に従いまして、海洋処分、それからまた陸地処分、これをあわせ行うということを考えてございまして、現在この方針に沿って研究開発、安全評価等を行っております。  次に、高レベル放射性廃棄物でございますが、これは原子力発電所などで用いました燃料の中に残っているウランのまだ使える有用物質を取り出して再利用するというための特別な施設、つまり再処理施設というものがございますが、この再処理施設の中で出てくる放射能の非常に高い廃棄物でございます。この量は、現在まだわが国で再処理が始められたばかりでございまして、まだ固化する段階にまでは至っておりませんが、一応いまの計画でございますと、廃液を五年程度貯蔵いたしまして、それをガラス固化いたします。それで、ガラス固化したものは三十年ないし五十年程度、一時的に冷却するために貯蔵いたしまして、それで別途選定いたしました深い地層に処分を行うという計画がいまございます。  以上でございます。
  131. 幸前成隆

    ○幸前説明員 下水汚泥につきましては、現在その約八割が陸上または海面での埋め立てで処分されておりまして、一割強が有効利用でございます。今後下水道整備が進展してまいりますと、下水汚泥は年々増大すると見込まれます。したがいまして、私どもといたしましては、今後下水汚泥の減量化を図ることが重要であると考えておりまして、エネルギー事情等の制約がございますが、極力その減量化を図ってまいりたいと考えております。  それから、下水汚泥の有効利用を推進いたしまして、省資源の要請にこたえていくということも重要であると考えておりまして、下水汚泥のコンポスト化等、緑農地利用を初めといたしました有効利用の推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  132. 米沢隆

    米沢委員 いまの最後の建設省の方、終末処理場があるところには、必ずそういう汚泥を処理する施設が併置されておるのですか。
  133. 幸前成隆

    ○幸前説明員 原則としてすべての処理場で処理してございますが、一部の処理場におきましては、パイプで他の処理場へ運びまして、他の処理場で処理しておる例もございます。
  134. 米沢隆

    米沢委員 いまそれぞれお聞かせいただきましたが、長官、お聞きいただきましたように、最終の姿はみんな海に捨てるか埋め立てるかです。一部有効利用という形で努力をされておりますけれども、残念ながらこの有効利用というものも、経済との兼ね合いがありまして、もうからないのはやらぬ、結果的にはもうかったら有効利用する、そういうことでございますから、有効利用の方法も一向に進まない。したがって、有効利用できないという部分は、やはり最終的には埋め立てということになるのですね。いまのところわれわれ一億一千万の人間がこの日本の国土に住んで、何とか埋め立てをしても、特に首都圏ではああいう広域環境整備センターなんかをつくって、港湾までつくらないと処理ができないという状況に至っておりますけれども、全国的には埋立地不足というのが非常に大きな深刻な問題ですね。こんな形で海洋投棄されるか埋め立てる。自然のサイクルに乗ったものであれば、百年たっても二百年たっても、また自然に返りますから、逐次時間というファクターがありさえすれば何ぼでも埋め立てが可能かもしれませんが、問題なのは、有害物質そのものがこんなかっこうで埋め立てられる。企業活動があればあるほど、どんどん有害物質は何らかの形で埋め立てられていくわけです、処理できないものは。したがって、百年先、二百年先に一体どうなるか。現在でもコンクリート固形化する水銀だとかシアン化物以外は、そういういろいろな安全施設があったにせよ、やはり埋め立てられておるわけです。現に企業あたりでは場所がなくなって大変困っておるのですね。だから、先ほど言いましたように、自然サイクルに乗るものはいい。乗らないものは、これから先五十年百年と埋め立てられていったら、百年後の環境保全というのは一体どうなるのだろうか。こういうことを考えますと、私は深刻だと思う。  したがって、いま本当に申し上げたいことは、安易に、最終的には埋め立てた、技術がないから埋め立てた、こうなっておるわけでありまして、やはり最終末端で埋め立てても決して有害物質が出てこないという方法か、あるいは結局埋め立てるとか海洋投棄するのではなくて、末端のものを有効利用するような形で何か技術をつくるとか、あるいはシステムをつくり直すとか、そういう発想を持ってこないと、私は将来は大変な事態になってくるのではないかと思うのです。長官どうですか。
  135. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私も全く同感です。それが地球的規模の環境問題ということになって、われわれがいま取り組んでいることの一つであります。いまの問題じゃなしに、おっしゃられるように五十年、百年先のことを考えれば、いまのようなやり方でいいのかなということはいっぱいあるわけです。そのうちの一つがいまの廃棄物の問題である、私はそう考えておりますし、いまのところは海へ捨てるかあるいは陸地へ埋めるか、簡単に言えばそういうことですが、その埋め方でも、海へ捨て方でも、いろいろ考えていることは考えています。しかし、それ以外にいまのところは考えていない。そして、それはおっしゃられるように、五十年先、百年先のことを考えて大丈夫かと言われれば、ちょっとやはり心配な面がないわけではない、そういうふうに考えております。
  136. 米沢隆

    米沢委員 いま環境保全対策というのは、過去のものに対する対応策、そういうものが大変主であったような気がするのです。たとえば、新聞なんかを読んでおりますと、埋立地につくった学校でガスが噴出するとか、あるいはとうとう市営グラウンドをぶっつぶして焼却場をつくらなければいかぬとか、埋立地をつくらなければいかぬとか、あるいは不用意に谷間なんかに埋めておったものだから、洪水なんかが来て噴き出したり、黒い水が流れたり、そういう意味では過去の問題についての処理をしなければならぬ現在であるかもしれませんけれども、同時に、将来にわたってそういう原因をつくらないという意味で、再度本当にお願い申し上げたいことは、最終的に安易な埋め立てあるいは海洋投棄という姿ではなくて、末端における、埋め立てしなくてもいいような、やはり有効利用というものはいろいろありますね、そういうものを、できるだけ政府自体としても、民間を刺激しながら、競争させながら、そういう技術を早く確立をして、それをまた実用化していくという、そのために力を入れていただくことが、環境庁長官のこの面に関する最大の仕事ではないかと思っております。再度答弁をお願いします。
  137. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 まさにおっしゃられるとおりで、その点がなかなか現在、私が幾ら大きな声を出しても、きょうのことが忙しいですから、そんな先の心配はということで、十分に行き届きませんけれども、真剣に研究して心配しているところであります。
  138. 米沢隆

    米沢委員 さて、先ほどから議論をしておりますように、たとえばこの廃棄物処理法の「国及び地方公共団体の責務」第四条第三項に、「国は、廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図るとともに、」と書いてあるのですね。だから、少なくとも、持ってくれば見てやるじゃなくて、国の方が積極的に技術の開発を進める何らかの努力をしてもらわないといかぬということが私は法の趣旨だと思います。ところがいまは、持ってきたら見てあげるであって、どんなものがあるかわかりませんじゃ本当じゃない。国としてはその技術の推進のために逆に何かを主体的にやってもらうという、そういうことが必要であることを先ほどから申し上げておるわけでございます。  そういう意味で、この廃棄物の処理技術に関して、各省庁いままでどういう御努力がなされたのか、プロジェクトを組んでやったとか、民間に委託して何か研究したとか、何かハッパをかけた事実があったならば、それぞれ御報告いただきたい。厚生省、通産省、建設省、科学技術庁。
  139. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  新しい技術の開発の必要性につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、厚生省ではこれまでいろいろな形で中間処理あるいは最終処分に係る技術開発、検討などもしてまいったところでございます。  最近の例を一、二申し上げますと、五十二年度から五十四年度にかけましては、ごみ処理施設のアッシュ及びダストの処理、処分に関する調査研究、あるいは五十五年度から五十六年度にかけましては、埋め立て多量依存型産業における再生利用阻害要因につきまして、その除去システムの確立といったような研究などもいたしております。そのほか、いろいろな各方面にわたる調査研究などもいたしておるところでございます。  それから、この新しい技術が開発された場合に、これを国庫補助の対象として採択するという問題でございますが、これにつきましては、現在構造指針を設けておりまして、それに合致するものについては対象にしておるところでございますが、その構造指針に合致しない新しい技術につきましては、これは全国都市清掃会議という市町村の団体がございますが、そこに評価委員会を設けておりまして、そこでその評価をいたして、それで補助の採択ということにいたしておるところでございます。
  140. 松井司

    ○松井説明員 御説明します。  工業技術院は、御承知のように現在十六の試験研究所がございまして、各試験研究所のポテンシャルを生かしまして、大気汚染、あるいは水質汚濁、あるいは廃棄物処理、あるいは計測、分析、広い範囲の公害関係の研究をやってきておるわけですけれども、現在工業技術院におきましては、五十に近いテーマの公害関係の研究をやっておりまして、国の研究機関の中でも非常に大きなウエートを占めております。  先ほど御質問がございましたような産業廃棄物関係の処理技術として、二、三簡単な例を申し上げますと、現在排水関係の処理技術というのは沈でん処理をやっているケースが非常に多いわけでございます。その中にいろいろな有害物質が入っておりますとスラッジの中に入っていくというようなことで、そのスラッジに入っていかないような処理技術、あるいはメッキ工場の排水の中に非常に分解しづらい、現在の技術では分解できないような物質が入っておりまして、こういうものをスラッジの中に入れないような新しい技術、こういうこともやっております。  それから、有害物質というわけではございませんけれども、いわゆる産業廃棄物を大いに有効利用しようという意味で、たとえば、今後石炭が使われできますと、石炭灰というのは非常に多くなるということでございますので、この辺の石炭灰をいろいろな建築材料だとかあるいはその他いろいろな方面に有効利用しようというような技術の研究をやってきております。  今後も、こういう産業廃棄物というものを、単に処理するだけではなくて、それをいかに有効利用するかということが御指摘のように非常に大切でございますので、工業技術院といたしましても、これまでと同様一生懸命やっていきたい、こう考えております。
  141. 清水眞金

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  科学技術振興費が約数千億円ございますけれども、その中で環境保全関係の研究開発費が約百十億円程度ございます。その中でこの廃棄物処理に関する研究開発も関係省庁で行っておるということになっております。  それからさらに、いま先生、研究成果の実用化のことを強調しておられましたが、この研究成果の実用化の制度といたしまして、新技術開発事業団というところに、その研究成果である新技術の企業化開発の制度がございまして、そこで技術の実用化のお手伝いをしておるわけでございます。年間約五十億円ぐらいの資金量がございますが、その中で公害防止関係の技術につきましても重点的に扱っております。過去に委託開発したものが十件弱、あと、あっせんと申しまして、各研究機関で研究されました新しい技術を民間等にあっせんして実際に使っていっていただくということもやっておりますが、そちらの方のあっせんで、ちょっと正確にはいま数字の記憶がございませんが、過去五、六年間でやはり二十数件たしかあったというふうに記憶しております。
  142. 幸前成隆

    ○幸前説明員 建設省におきましては、先ほど申し上げましたように、下水汚泥の有効利用を積極的に推進しまして、その技術開発を進めていくことが重要であると考えておりまして、従来からやってきたところでございます。下水汚泥の堆肥化、コンポスト化技術につきましては、すでに実用の域に達してございます。東京都その他の都市におきまして本格的に事業化されておるところでございます。  私どもといたしましては、建設省にございます土木研究所、それから日本下水道事業団等におきまして、さらにこの緑農地利用、さらには建設資材等としての利用、あるいは消化ガスを利用いたしましたガス発電等につきましても今後検討を進めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  143. 米沢隆

    米沢委員 それぞれ御発表をいただきましたけれども、ここでもわかりますように、各省庁ばらばらにやっておるわけですね。それぞれ責任を負わねばならない所管のところで何とかうまく処理技術が育たないかということで関心を持ち、力を入れていただくことは結構でありますけれども、いまおっしゃった中でも、統合すればむだが省ける、あるいは同時に各方面に使えるであろうというような研究は幾らでもできるのではないかと思うのですね。そういう意味で、各研究、たとえば廃棄物の処理に関しての研究成果等を横並びにいろいろ報告をしたり、発表したり、連携をとって一緒にやったり、現在そんなことやったことがありますか。連絡会議等の会議はだめですよ。
  144. 松井司

    ○松井説明員 御承知のように、環境関係の国の研究機関の公害防止技術につきましては、環境庁で一括いろいろ調整をやっておられるわけでありますけれども、いわゆる国立試験研究機関等試験研究費ということで環境庁に一括計上されておりまして、各試験研究機関がそれに応じて百十幾つかのテーマの研究をやっておりまして、これにつきましては、あるプロジェクトごとに毎年環境庁の方に集まりまして、研究者同士の発表会といいますか、意見交換、こういうものは続けておるようでございます。
  145. 米沢隆

    米沢委員 そういう研究投資がダブったことはないということですね。ダブってむだはしていないということですね。
  146. 松井司

    ○松井説明員 その辺につきましては、環境庁の方で調整しておりまして、ダブリをやっていないように進めておるようでございます。
  147. 米沢隆

    米沢委員 調整はうまいけれども、本当にこっちはやめてこっちにまとめたらどうかとか、一緒にやったらどうかとか、環境庁にそういう力があるのですか。
  148. 小野重和

    小野(重)政府委員 私の方の局でありませんものでいままでここに立って御答弁申し上げなかったのでありますが、同じ環境庁でありますのであれでありますが、環境関係の研究についての調整ということでございまして、この面に関しては私ども調整官庁であるということで調整いたしている、こういうことでございます。
  149. 米沢隆

    米沢委員 私の誤解かもしれませんけれども、各省庁で研究開発される、なわ張りが強過ぎて、どこの省庁でも使える技術を一、二の三でやろうというものよりも、まず自分たちの官庁のことだけというきらいがあるやに聞いておるわけでございます。ぜひ、調整機能をやるということだけではなくて、そういう重複投資の防止だとか、あるいは研究成果を相互融通し合っての新しい段階への進展とか、そういう意味でもうちょっと力を入れてもらいたい、そういうお願いをしておきたいと思います。  それから、廃棄物処理に関連する技術等のいろんな書物を読んでおりますと、このごろマイクロ波を使った技術がいろんなところで紹介されておりますね。国際シンポジウムなんかも開かれた。その段階でもマイクロ波が将来のこういう処理技術の主流になるであろうというようなことが書いてあったり、日本の大学の先生方もそういうところに焦点を当てて論説が書いてあったりしまして、むずかしいことはぼくはわかりませんけれども、いつも目につくものはマイクロ波というものですね。いま科学技術庁ですか、新技術開発事業団で、先ほども話がありましたように、高出力マグネトロンの開発を新日本無線に委託されたという話が書いてありますね。そういう意味で大変結構なことでありますけれども、将来のマイクロ波の廃棄物処理技術というものはいまどういう段階にあって、将来本当に物になるような方向に発展しつつあるのかどうか、現在のその分野での位置づけはどのあたりにあるのかをちょっと説明していただきたいと思います。
  150. 清水眞金

    ○清水説明員 マイクロ波による公害処理技術の状況、全体のことはちょっといま正確に把握しておりませんが、聞いております範囲ではまだ具体的には使われておりません。現在新技術開発事業団におきまして、先生御指摘のございましたように五百キロワット級高出力マグネトロンの製造技術というものを開発中でございますが、この技術が成功いたしますと、近い将来マイクロ波による下水汚泥等のいわゆる大量廃棄物の溶融固化の処理にも応用できるのじゃないかというように考えられております。  この開発にしぼってちょっと申し上げますと、本件は昨年十一月から開発を開始いたしまして、三カ年間の予定でございますが、総額約二億五千万円くらいの開発費でいま新日本無線に委託して開発を行っているところでございます。  先生御指摘のように、マイクロ波は多方面に利用されておりますけれども基本的には通信用とかレーダー、電子レンジ、それから工場等における殺菌とかあるいは木材の乾燥等に現在熱源としても使われておるわけであります。こういうマイクロ波の出力が高くなればさらに応用の範囲が広がる。その応用の範囲の広がる最も大きな期待をされるものといたしまして、廃棄物のいわゆる溶融固化、たとえば下水汚泥を脱水乾燥あるいは焼却いたしました残りの灰、そういうものを高熱で溶かしまして、ガラス状に固めてそれを捨てるということになるわけでございますが、そういうところにも使えるのじゃないかということで、マグネトロンの製造技術をいま開発中でございます。これはことしの七月ごろから装置の試作に入りまして、予定では五十八年の終わりか五十九年の初めごろには成功するかあるいはだめかということを判定する予定でございます。この五百キロワット級の高出力のマグネトロンがもし実現すれば、それを具体的にたとえば汚泥処理に使うとか、あるいはこれは非常に力がございますので、港湾建設等の岩石破壊にも使えるわけでございますが、そういう具体的な用途のための若干のシステムの検討がその後必要ではないかと考えられておるわけでございますけれども、いずれにしても下水汚泥とか都市ごみの焼却灰、あるいは産業廃棄物、スラッジ等の大量の廃棄物の溶融固化処理に応用できるというように期待が持たれております。
  151. 米沢隆

    米沢委員 時間が来ましたけれども環境が破壊されてからそれをまたもとに返すための社会的なコスト、そういうものに比べますと、技術開発の研究費なんというのは問題にならない。どうか長官がんばって環境保全のための技術開発の予算獲得のために力を入れてもらいたいと思います。  終わります。
  152. 山崎平八郎

    山崎委員長 藤田スミ君。
  153. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、きょうは家庭から出される植物油の廃油による汚染の問題について質問を予定しておりましたが、その前に、きょうの読売新聞に出ております東洋信販による住宅ローンの不正取得の問題について、幾つかお尋ねをしておきたいと思います。  ちょっと線を引っ張っておりまして恐縮ですが、記事がございますので――きょうのこの記事を見ますと、東洋信販という会社が山梨県西八代郡上九一色村に医師専用の別荘地として富士ドクタービレッジを造成した、そうして、医師に名義だけを借りてその別荘地を売ったことにして住宅ローンを不正に取得していたということであります。  そこで、まず初めに環境庁にお尋ねいたします。  この事件の舞台となりました富士ドクタービレッジは、一部富士箱根伊豆国立公園内の特別地域すなわち自然公園法による環境庁の許可を得なければ開発できない地域であったわけです。そして、東洋信販はこの自然公園法に違反してこのドクタービレッジを造成していたわけです。こういう事実があったと思いますが、その事実関係についてお答えいただきたいと思います。
  154. 正田泰央

    正田政府委員 東洋信販がいま御指摘の地点において自然公園法の許可に基づきまして道路をつくり分譲地の造成を行ったことは事実でございます。
  155. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ここの東洋信販の違反行為はまさにむちゃくちゃな違反でありました。私ども調査では、昭和四十五年と四十七年に環境庁に開発許可申請をしておりますが、四十七年の分についての違反はおおよそ次のような点にあるかと思います。  四十七年の申請は約三十八ヘクタールの別荘分譲とそれにかかわる道路建設などでありますけれども、その第一は、この許可に付された許可条件違反の問題で二点あります。一つは、分譲する際に一区画千平米以上にして分譲せよという条件をつけておりましたが、これが半分以下の面積などに分譲していた。さらに、この別荘地の中央を通る八百四十メートルの幹線道路の両側二十メートルを緑地帯にせよということになっていたのが守られていない。これが第一の違反です。第二は、一応許可を得た幹線道路以外に二十七本、総延長六千八百二十七・七メートルの道路を無許可でつくっていたわけです。さらに第三は、この分譲を受けた者が無許可で別荘を建築していた。こういうことであります。  そして、この許可条件を違反した点や無許可の道路建設などは、これは明らかに故意によるものと思わざるを得ませんが、こういう事実関係に間違いがないか、そして、非常に悪質な故意によるものだと思いますが、環境庁の御見解をお伺いいたします。
  156. 正田泰央

    正田政府委員 道路の無許可の延長、それから面積等三点につきまして、御指摘のとおりでございます。  ただ、故意がどうかということについては、その時点のことでございますのでわかりませんが、自然公園法の許可を得ないでやった行為ということで措置をいたしてございます。
  157. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これに対して環境庁はどういう措置をとられましたか。この違反について、もうすでに造成が終わって一部については別荘建築が進んだころの昭和五十年九月、環境庁はこの違反を発見したと思いますが、これに対してどういう措置をとられたのか。
  158. 正田泰央

    正田政府委員 現地の船津管理員事務所から五十年十月三十日付で違反の報告がございました。それに対しまして、本行為が風致景観から判断いたしまして、通常の申請が本来行われていたならば許可されていたであろうと思われるケースでございましたので、法律に基づきますところの措置命令を出しまして、主要道路沿線の樹林帯の設置あるいは分譲地購入者に対する諸般の遵守につきまして措置をいたしました。五十一年六月二十五日付で報告を得ておりますが、現地管理員及び山梨県担当者において措置の履行が確認されております。
  159. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、この違反に対する措置命令は非常に甘かったと考えます。こうした違反については原状復帰が原則であるにもかかわらず、すでに建てられた別荘に支障があるということで、幹線道路の両側二十メートルの緑地化も、言われたように両側に樹林帯をつくれということだけでありました。無許可造成の道路もそのまま、無許可で建てられた別荘、あるいはこの別荘建設は県知事の権限にも属するわけですけれども、これに対して山梨県知事のとった措置も、できるだけ植栽をやれということだけであったと思います。明らかに故意と思えるようなこの違反に対して、こういう甘い措置しか行われなかったのは私はけしからぬと思うのです。だから、きょう報道されたような屋上屋の事実がまた出てまいりました。こうした行政のやり方の甘さというのですか不当性というのが今日明らかになったというふうに思うわけです。  そこで、お尋ねをいたしますが、これは自然公園法十七条違反で、六カ月以下の懲役または十万円以下の罰金ですが、環境庁はこれについて告発をされましたか。
  160. 正田泰央

    正田政府委員 この種の案件がたくさんあるわけでございませんが、事柄の精粗及び大小に応じてこういうケースは過去にもあり得ることだと思います。私ども一般のこの種の制度の運用といたしまして、基本的には、たとえば工事中止の指示に従わないで強行いたしたとか、その他一般的に考えられる指導に違反しているような形の場合に、悪質及び悪質に準ずるものとして考えることがありますが、本件については、先ほども若干申し述べましたように、そのような認定をいたしませんで、措置命令を発した次第でございます。  措置命令につきましては、原状回復にかわるものとして行っておるわけでございますが、たとえば違反地区につきまして新しく土地を取得する人に対しては相当きついことになりますので、その結果会社の方にもペナルティーが高くつくというようなこともあり得ますし、そういうような行政処分として考慮というか措置いたした次第でございます。  また、個々の別荘の建築については、先生御指摘のような知事権限の許可で行っておりますので、しかるべき処置が行われたわけでございますが、そういうような観点で告発というようなことは行っておりません。
  161. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういうことなんだなというふうに業者は思っておりますから、今回のこの事件に対しても、法律など知らぬよと言ってその記事の中でも開き直っていますよ。  そこでお尋ねしますが、法務省をお願いしていると思いますが、司法当局としては独自の立場で捜査をされましたでしょうか。
  162. 飛田清弘

    ○飛田説明員 司法当局というお尋ねでございますが、恐らく検察庁ということでございますれば、検察庁は独自捜査をしたという報告には接しておりません。
  163. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 後で調査をしていただいて御報告をいただきたいと思います。よろしいですね。けれども、おっしゃるように、私は恐らく捜査はしていないのじゃないかと思うのです。  しかし、これだけ悪質なことをやりながら、この自然公園法違反についてはすでに時効が完成して刑事罰はもはや不可能な状態であります。そうして、こうした違反で東洋信販はどれだけ得をしたか。先ほども言いましたように、八百メートルの幹線道路の両側二十メートルの緑化をサボっただけで、浮いた面積が約一万坪なんですね。東洋信販のある役員の話によりますと、ここの土地は農民から坪一万円前後で買って、そうして造成費として二、三万円をかけ、そして売り値の方は五、六万円、したがって坪当たり粗利益が二万円程度。したがって、緑地帯をつくらなかったことによって浮いた土地が一万坪ですから、これでもう二億円も利益を生んでいるわけです。これがさらに報道されたようにローンの不正取得であれば、二重三重に悪どい行為をしてもうけていたということになるわけであります。こんな悪とい行為であるにもかかわらず、私は、当時の環境庁措置というのは違反の事実上の追認であったというふうに考えるわけでありますが、長官はどうお考えでしょうか。
  164. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 新聞を見ただけでまだ私もよくわかっておりません。もしおっしゃられるようなことであるとすればまことにけしからぬことでございますので、よく新聞も参考にし、事実を究明して考えてみたいと思います。
  165. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 法務省にお聞きいたしますが、このローンの不正取得をすれば詐欺になる。一般論でお聞きしますが、詐欺というのは十年以下の懲役ですが、時効は何年でしょうか。
  166. 飛田清弘

    ○飛田説明員 その前に、先ほど司法当局に先ほどの問題を調査しろという御要求がございましたけれども、もし時効になっているものであるとすれば、司法当局としては捜査をすることはちょっと無理だろうと思います。そのことをちょっとお断りさせていただきますが、ただいまの詐欺の時効というものは七年でございます。
  167. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 七年ということになりましたら、ここの分譲が始まったのが五十年ごろですから、まだ時効が完成していない可能性が十分あるわけです。直ちに捜査をするべきだと思いますが、法務省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  168. 飛田清弘

    ○飛田説明員 この東洋信販の件につきまして、詐欺罪に当たるのではないかという報道がなされていることは承知しております。しかしながら、詐欺罪というのは、人を欺罔して財物を騙取したりあるいは財産上不法の利益を得ることを構成要件としている罪でございます。当然、詐欺になるかどうかということは、いろいろ事実関係、すなわち、たとえばローンでございますと、恐らくきょうの報道によりますると土地を買ったというふうに名義を貸した方がおられるようでございますけれども、その名義を貸したといわれる方が本当にローンを払う法律上の義務があって払わざるを得ないのかどうか、あるいはその名義を貸した人に債務を払う意思や能力があったのかどうか、あるいは、ローンでございますと恐らくはその土地について銀行側が担保を設定していると思うのでございますけれども、その担保価値がどのぐらいのものか、そういうふうな具体的なことがはっきりしませんと、直ちに詐欺罪になるかどうかということは言えない状況であることを御理解いただきたいと思うのでございます。ですから、そういうふうな具体的な事実が明らかになりませんと、直ちに詐欺罪だということについてはここではっきり申し上げるわけにはいかないわけでございます。そのことを御理解いただきたいと思います。
  169. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 持ち家制度を推進するローンですね、このローンを悪く活用してここはこういう不法なことをやっているわけです。だから、事実を明らかにしてとおっしゃる。事実を明らかにするためにいろいろ調査をして、その調査の上で捜査に入るということで、それじゃ調査は約束していただけますか。
  170. 飛田清弘

    ○飛田説明員 検察庁に捜査をしろというお言葉ではございますけれども、刑事訴訟法の百九十一条は、検察官は必要があると認めるときはという条件つきで検察官に捜査権というのは第二次的に与えているわけでございまして、検察官がありとあらゆる事件をすべていつでも捜査するだけの立場と申しますか、犯罪捜査の仕組みと申しますか、そういうことにはなっていないことを御理解いただきたいと思うのでございます。犯罪捜査というのは、捜査機関というのは刑事訴訟法に司法警察職員と検察官と二通りの捜査機関が書いてあるわけでございますけれども、御承知のように、検察庁というのは全国に網の目をすべて広げているほど大きいものじゃございません。必要に応じ検察庁が独自捜査をするわけでございまして、その捜査をするかどうかという判断は一に検察当局に任されているわけでございますので、検察当局におきまして必要と認めた場合には捜査をすることになりましょうし、これは検察が乗り出すほどでもないということであれば別な捜査機関に捜査をお願いすることもありましょう。そういうことでございますから、検察に捜査をするように約束しろと言われても、ちょっと私の立場ではいまお答えははっきり申し上げかねることでございます。御了解いただきたいと思います。
  171. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それじゃお尋ねしてみたいと思いますが、この種の不正取得、これは摘発されたことはありますね。新聞の報道でも埼玉県その他などであったというふうにありますが、その点はどうですか。
  172. 飛田清弘

    ○飛田説明員 ローンを不正に使用した者につきまして警察当局におきまして捜査をして、その事件が検察庁に送致されまして、検察庁で詐欺罪として起訴した例はございます。ただ、それはケース・バイ・ケースでございまして、ローンを悪用した人たちが、悪用したそのローンを設定した当の人と、あるいは名前を貸した人と、いずれもローンを支払う資力も支払う意思もないのにローンを設定したかのように装いまして、銀行などから金をだまし取って後は払わない、そういうふうな事例が詐欺罪で起訴されているわけでございまして、本件の場合直ちにそうなるかどうかは一概に申し上げられないことは、先ほど御答弁申し上げているとおりでございます。
  173. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ケース・バイ・ケースとして、悪用した人と名義を貸した人が支払う意思もないのに銀行ローンを悪用した場合、こういうことですね。しかし、これ同じなんですよ。だから、そういうふうな過去の摘発について聞いたんですが、そちらにお聞きしても、何ぼ言っても答えられぬということですから、これはまた適切な相手に尋ねていかなければならぬと思うのです。  この問題の締めくくりとして、この東洋信販の政治献金についてお伺いしたいと思います。  この政治資金全書によりますと、東洋信販は、違反行為の真っ最中の昭和四十七年の下期に百万円、四十九年の上期に千六百万円、この舞台となった山梨選出の自民党の代議士金丸信氏の政治団体である信政クラブに献金をしているわけです。長官、二重、三重にあくどいことをやって――私はあくどいと思うのですよ、あくどいことをやってぼろもうけをした会社から、この時期に千七百万もの政治献金が自民党代議士である方に渡されていたわけですから、この点についてはどういうふうに思われますか。
  174. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 これは環境庁としてのことではないのですが、政治家としては、李下に冠といいますから、そういうふうに思われるようなことはなるべく慎まなければならぬ、そのように思いますが、事態が私にはよくわかっておりません。ただ、お話のごとくならばこれは悪いやつだなと思いますから、そういう悪い人から政治献金などを受けるということは、承知してではないでしょうけれども、よくよく考えなければ困ることだなと思います。
  175. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 東洋信販が許可申請したのが四十七年の十二月、そして全く時期を同じくして四十七年の下期に百万円、この違反行為は四十七年から四十九年にかけて実行されたわけですが、四十九年の上期に千六百万円献金されたのです。この違反と献金が本当に関係がない話だとはどうしても言えない、余りにもでき過ぎた話じゃないかというふうに考えざるを得ないわけです。しかも、この時期に金丸氏は第二次田中内閣の建設大臣を務めておられました。建設大臣という要職にありながら、こういうふうな企業から政治献金を受け取るというようなことはあってはならないことだと私は考えるわけです。長官は先ほど決してそれはいいことではないんだとおっしゃいましたけれども、もう一度御答弁をお願いします。
  176. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 いよいよもって環境庁長官立場を離れてしまいますが、私は政治というものは最高の道徳でなければならぬと思っています。そういう立場から言えば、先ほども申し上げましたように、李下に冠を正さずというのですから、瓜田にくつを入れずというのですから、いやしくも国民からそういうふうに思われるようなことは、だれに限らず政治家は慎まなければいかぬ、こういうふうに考えます。
  177. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 最後にもう一つ、東洋信販が行っていた行為からして、自然公園法をこういうふうに故意に無視して別荘地の造成を行って、そこの買い手にローンを不正取得させた、こういうふうなことで、さらにそこに建てていく別荘も無許可建築をやっていた。私は、この際、これは徹底的に最初からもう一度解明をして真相を明らかにする必要があると考えるわけです。  そこで、最後にもう一度この点について御見解を伺って、この問題については終わりにしたいと思いますが、どうでしょうか。
  178. 正田泰央

    正田政府委員 お話の向きはよくわかりましたが、私ども昭和五十一年からこの問題につきまして措置命令及び措置命令履行の点検を行って確認いたしておりますので、先ほど大臣お話し申し上げましたように、こういう問題についてはいろいろ考えたいと思っておりますが、本件については一応完了したものと私どもは理解しております。
  179. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 美しい富士山の山ろくがこんなふうに、結局、法をうまくくぐり抜けて、しかも環境庁措置もそれを甘く構えていくようなやり方で荒らされていくことにがまんがならないわけです。しかも、その後も延々と、法律など知らないんだということで悪に屋上屋を重ねながらきれいな富士山が汚されていくことに、私はがまんがならない気持ちがしてお尋ねをいたしました。この問題はこれで終わりにしたいと思います。  次に、一般廃棄物であります家庭の食用油の廃油、これが相当部分そのまま下水に流されている。この問題について、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の目的に照らして、廃油を適正に処理し、水質汚染などの防止に努めていただくことを求めてお尋ねをしていきたいと思います。  きょうは、いみじくも、湖沼法の問題だとか燐を含んだ合成洗剤の問題などが午前中からも出されておりました。滋賀県は琵琶湖汚染対策として一昨年十月に富栄養化防止に関する条例を制定されました。琵琶湖に流れる水に含まれる燐というのは年間百トンにもなる。そして、汚染の原因である窒素や燐を減らしていかなければならないということで、燐や窒素の含まれる生活雑排水、その中の燐、窒素を減らすために、燐を含む合成洗剤の使用禁止などを県として決められたわけであります。この滋賀県の取り組みは、私は非常に画期的なことだと思いますし、全国的にもそういうことで注目を浴びているわけですけれども、先ほどもお尋ねがありましたが、もう一度お尋ねします。燐を含む合成洗剤の使用が水質の汚染につながるという点について、環境庁はどういう御見解をお持ちか、どういう対策を進めていらっしゃるか。
  180. 小野重和

    小野(重)政府委員 合成洗剤の中には性能向上剤としまして燐酸塩を含むものがあるということでございまして、いわゆる有燐洗剤の問題が大きな問題としてあるわけでございますが、この問題につきまして、滋賀県が、有燐洗剤につきましての使用、販売の禁止と、それ以外に一般事業場等に対する燐の排出の規制、これを条例でやられたわけでありますが、これは大いに意義があるものと考えておるわけであります。燐が閉鎖性水域に入りますと、いわゆる富栄養化ということで汚濁一つの大きな原因になりますので、そういう意味で滋賀県はこういう対策を進められたと理解しておるわけであります。ただ、この有燐洗剤につきまして、滋賀県と同じように、たとえば全国一律にこれを使用、販売を禁止するということまではなかなか困難ではなかろうか。それぞれ地域地域の実情が違いますので、それに応じた施策を各県がとられることは意義あることだというふうにも考えておるわけであります。  そこで、しかし国としてはどういう対策考えるのかということでございますが、一つは、有燐洗剤につきまして、メーカーに対する低燐化、無燐化、これの製造段階におきまして製造の転換を図っていただく、通産省を通じて要請をいたしておるところでありまして、現にそういうふうに進んでいるということは大変結構なことだと思うわけであります。  一方、富栄養化対策としての燐問題でございますが、これは工場、事業場その他からも出るわけでございますので、これの対策として環境基準を設定する、湖沼について燐についての環境基準を設定したいということで、これは五十六年度中を目途に設定するということでいま検討を進めております。そういうことで、環境基準が設定されますと排水規制等がだんだんあわせてとられることになるわけでございますが、当面、環境基準の設定を急いでいる、こういう状況でございます。
  181. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 一たん汚された湖沼というのはなかなか回復をしないわけですから、総量規制はぜひ早めていただきたいと思いますし、午前中にありましたように、湖の周りにあるホテルだとか旅館などの合成洗剤の使用、これはその場所に限ってでも極力規制をするように、本当に使わないようにするように、そこまで環境庁の方が積極的な対応をしてもらいたいと私は思うのです。  ところで、滋賀県を初めとする近畿、九州、四国、中部、関東では、水質汚染につながる合成洗剤を使わない運動というのがお母さんたちの中にあるわけです。そして、捨てる油を石けんに、つまり食用油の廃油を回収してこの油で石けんをつくる運動というのが広がっているわけです。こうした運動があることを環境庁、厚生省、通産省は御存じでしょうか。
  182. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私は知っております。
  183. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  そのような運動があることは、全国的には把握はいたしておりませんが、一部の地域において実施されておるということは承知いたしております。
  184. 飯田善彦

    ○飯田説明員 通産省といたしましても、その全貌は細かくは把握しておりませんが、一部に行われておりますことは存じ上げております。
  185. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、ここに沼津市の消費者研究会のアンケートの集計表を持っておりますが、それによりますと、古いてんぷら油をどういうふうに処分しているかという問いに対して、下水には捨てないのだと答えた人が一四・三%なんですね。しかし、下水に捨てますとはっきり答えた人が二二・六%で、大方四件に一件が、捨てると正直に答えておられるわけです。同じような調査を大阪府の岸和田市で四千世帯を対象に消費生活研究会がやられましたが、やはりほとんどの家庭がその処理に困っているということを答え、下水に流しているという答えも非常に多かったわけですが、厚生省としては、一般の家庭では廃油がどのように処理されているとお考えでしょうか。
  186. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 一般に下水道への投棄、その下水道と申しましてもまだ未普及地域が相当数ございますが、そのような地域におきましては、コミュニティープラントと私ども申しておりますが、地域屎尿処理施設というのもございます。また合併式の浄化槽もございます。そのようなものが敷設されております地域におきましては、そのようなところに投棄される。またあるいは、そのような施設もないところにおきましては側溝等へ放流するというようなことも行われておるかと存じます。
  187. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 農林省の方で調べてみたのですが、五十五年度の食用油の液体のみの消費量というのは八十八万九千トンあるのです。その中の廃油が仮に一〇%出てきたとしてまあ流されていくと九万トン。これは非常に単純な計算ですのであれですが、そういうことになるわけですね。下水道の普及率が低い中で、一方では生活雑排水がふえている傾向にあるのですが、こうした状況の中で、家庭から廃油が下水に捨てられるということは決して好ましいことではないと私は思いますが、環境庁はどうでしょうか。
  188. 小野重和

    小野(重)政府委員 これがいわゆる公共用水域に排出されることになりますと、これは汚濁原因になりますので、好ましいことではないと存じます。
  189. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それは大企業の油のたれ流しから考えたら、油の質も大分違いますしあれですけれども、やはり私も好ましいことではない、汚濁を拡大するというふうに考えます。廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、目的として「廃棄物を適正に処理し、及び生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」というふうに明記されております。国としても、省資源あるいは再資源化のための研究開発等の施策がなされているというふうに伺っておりますけれども、故紙や空きかんなどの再生資源化されている廃棄物に対して、関係省庁はどのように対応されておられるのか。
  190. 小野重和

    小野(重)政府委員 空きかん問題につきましては、御案内かと存じますが、環境庁が中心になりまして、関係省庁非常に多数にわたっておりますけれども、これをみだりに公共の場所、公園その他、自然公園等もありますが、捨てないようということで、それぞれ各省庁にまたがりますもので、それぞれの省庁のできる範囲でそういう対策を進めていくということをいたしておるわけであります。
  191. 佐藤剛男

    ○佐藤説明員 お答えさしていただきます。  故紙の点でございますが、先生御承知かと思いますが、故紙は紙の四割の原料になっておりまして、私どもとしては原料対策上非常に重視いたしておるわけでございます。通産省としましては、故紙の重要性につきまして、テレビであるとかあるいは雑誌を通じましてPR活動というのを行っておりますし、また、財団法人古紙再生促進センターというのが設立されておりまして、そこを通じまして、個々の消費者、地域におきます集団回収というのが行われておりますが、そういう面についての指導を行っておりまして、そして、集団回収という道を通じてできるだけ故紙の回収を効率的に行う、かような施策を初め、その他故紙の備蓄というふうな面についての施策も行っているところであります。
  192. 飯田善彦

    ○飯田説明員 空きかんの問題につきましては、空きかんは非常にかさばるものでございますが、これを回収して選別してプレスをするというようなことによりまして資源としての価値が非常に高くなる、結果といたしまして回収が促進されるという点に着目いたしまして、私ども関係団体でございます財団法人クリーン・ジャパン・センターというのがございますが、ここに補助金を交付いたしましていろいろな施策をやっております。たとえば家庭廃棄物の有価物の分別回収実験、この中で空きびんとか空きかんとか紙、そういうものを分別回収する実験をしておるわけでございます。それから、散在いたします空きかんにつきましては、国とか自治体、事業者あるいは地域の住民の方々ですとか、そういう関係者が協力しながら回収し、再資源化を行うための対策事業についてやはり補助を行っておるわけでございます。  また、一般の廃棄物につきまして、私どもの工業技術院におきましては、家庭から混合されて出てきますごみから、空きかんあるいはパルプ、あるいは熱処理によりますガスの回収というような総合的な資源化のための研究開発を行っているところでございます。
  193. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 故紙だとか空きかんなどについては、住民の皆さんの力をかりながら、理解をしてもらいながらそれを回収して再利用していく、これは大変いいことだと私は思うのです。家庭の食用油からの廃油、これも石けんの原料となることは先ほどもよく御承知だったと思うのですが、その再資源化を図るように検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  194. 飯田善彦

    ○飯田説明員 先生御指摘の食用油でございますが、おっしゃることは非常に重要なことと私思います。ただ、私、通産省の立場から申し上げますと、関係する省庁がいろいろございますので、私どもでできる点も含めまして検討させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  195. 小野重和

    小野(重)政府委員 家庭の廃油が公共用水域に流されると汚濁原因になるということで、汚濁対策の問題としても重要でございますし、また、通産省からお話しのありましたリサイクル的観点、いろいろな面から有意義なことと考えておるわけでありますが、いずれにしましても、関係省庁ともよく相談しながら対策を講じてまいりたいと存じております。
  196. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ここでもう少し運動の面で皆さんに御理解をしていただくために私は話をしてみようと思うのです。  私事になりますけれども、私は昭和四十五年ごろにこうした問題に地域のお母さんたちと一緒に取り組んでいたことがあるわけです。先ほど言われましたように、合成洗剤に含まれる燐が富栄養化の現象を引き起こす、赤潮の発生の原因にもなるということで、これは大変だ。主婦湿疹、手の荒れだとかおむつかぶれなども非常に多い。また、合成洗剤の中には螢光染料というような発がん性の物質も使われているわけです。うっかりふきんなんか洗っている人たちが非常に多い中でそういう心配もある。だから合成洗剤を使わないで昔の石けんを見直してみようということになったわけです。ところが、石けん工場に行きますと、材料が不足しているというわけでなかなか需要にこたえにくいという問題が提起されました。だから廃油を石けんにということになったわけです。それまでは廃油が石けん粉になるということも十分知らなかったわけですけれども、聞けば、てんぷら油は口に入れるものですから非常に上等な材料を選んで最大の注意をしてつくり上げていく、だから石けん屋さんに言わせたら最高の原料だというわけです。だから、捨てる油を石けんにというビラをつくりまして、手が荒れない、そして川や海も私たちで汚さない、昔からの石けんをみんなでもう一度使っていこうじゃないかということになったわけです。やってみましたら、案外下水管なども廃油で詰まるというようなこともわかりましたし、下水処理場に行きましたら、バクテリアの働きが弱くなるんだということも言われました。だから、廃油というのはみだりに捨ててはならないんだなという認識、それから、合成洗剤がテレビでしきりに宣伝されているけれども、実際は石けんと合成洗剤と同時に使ってみれば、使い方はいろいろ工夫は要るとしても、落ちという点では石けんもそんなに大差はない、それどころかふわっと仕上がっていいなということもわかっていって、環境浄化に一役買って、資源の再活用、そういう面だとか、廃油を送って石けん屋さんで石けんをつくってもらうと格安だという経済的な問題で、これは一石二鳥も三鳥ものいいことだなというふうに私なんか大いに喜びながらしたわけです。いまも全大阪府下に広がっておりまして、特に枚方、吹田、堺、岸和田なんというところは大々的にやられるようになっています。岸和田市の消費生活研究会は市内の随所に空かんを置きまして、ところによっては町内の有線放送で回収を呼びかけて、月に一回廃油を石けん工場に送って石けん粉を調達しているわけです。滋賀県はいま大津市全域、それから湖南と湖東八市で取り組んでいます。三十万世帯の中の五万世帯が廃油運動に取り組んで、瀬田の石けん工場で再生をしているわけです。そういう中で、合成洗剤のみならず、環境を見詰め直す運動、「みんなの力でせっけんを作ろう」、長官に渡したビラにもそのスローガンが書かれております。いまは十世帯に一個のポリ容器を配布し、消費者と生産者が一体になって運動を進めておりますし、守山市などはかん代を負担し行政が先頭になってPRしているわけです。沼津市は二万四千人を抱える消費者研究会が中心になって市内七十カ所で回収容器を配布しながらその作業に取り組んでおります。ここでは最初に取り組んだのが昭和五十二年でしたけれども、一トンの廃油を集めたら三・五キロ入りの石けん袋が千袋消費者のところに戻ってきたのです。だから、自分たちが捨てていた油がこういうふうに生まれ変わったということで非常に大きな喜びになりました。久留米市、松山市、姫路市、横浜市、西宮市、京都というふうに、この運動がどんどん広がっているわけなんですけれども、こうした運動に対して、私はもう一度長官から、どういうふうに評価をされるか、お聞きをしたいわけです。
  197. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 油に限りませんけれども、特に家庭の主婦が、生活から出てくる廃品をみんなで相談し合って再利用してみようじゃないかというようなことを考えられて、研究をされて、それを行動に移されるということは、いろいろな面で悪いことは何もない。全部いい点。多少営業の方の妨害になるかということがあるかもしれませんが、それを除いては全部いい点だと私は評価いたします。
  198. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 運動に対して長官から力強い評価をいただいたと思うのですが、こういう運動を私はもっと、捨てる油を石けんにしよう、廃油を捨てないでいこうといった運動というかPRを、最近NHKテレビを見ていましたら、空きかんを捨てないでというPR、あれは非常にいいなと思って見ているのですが、そういうPRを積極的にやっていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  199. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 空きかんのテレビ広告にお目をとめていただいてまことにありがたいことで、これは環境庁がマスコミにもそれから業者にもずいぶん執拗にお願いをいたしまして、いろいろなところでやっていてくれるので、あれがどのくらいの効果がありますか、おほめをいただいたのでうれしさの余りそのことを申し上げておきたいと思います。やはりいろいろなところでいいことは宣伝をしていかなければなりません。関係する省庁もありますからよく相談をし合って、これは直接には総理府が取り上げるというようなことになるかと思いますが、御趣旨のあるところを尊重して考えてみたいと思います。
  200. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 あわせて、自治体に対してももっと働きかけをしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  先ほど関係省庁が集まってということですが、長官、何遍も言いますけれども、燐が入った合成洗剤は環境を汚すんだということも環境庁としてはちゃんと認めていらっしゃいますし、それから廃油も流さない方がいいんだということも認めていらっしゃるわけですね。それから廃油を活用して石けんをつくることもいいことだと認められ、運動もすばらしいことだと評価をされたと思うのです。そしてPRに取り組む必要も約束をしていただいたわけですから、ひとつどうでしょうか、この空きかん対策では本当に環境庁は積極的な役割りを果たされたと思います。だから、廃油についても、もうすでに自治体で回収作業に取り組んでいるところもあるわけですから、国としても、自治体への援助だとか、あるいは住民運動に対して手助けをしていくとか、こうしたことがもっと大きく広がって、そしてもっと積極的に進むように、これは業者と言われましたけれども、業者の方も決してそれでつぶれるとかいうようなことじゃないわけですよ、ちゃんと採算が合うように計算をして廃油を活用しているわけですから。何も廃油を渡したら全部ただで石けんが来るというような話じゃないわけで、そこはちゃんとそろばんをはじいた上でやってきているわけですから、そういうことで関係省庁と積極的な協議をしていこうということを約束していただけませんか。
  201. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 やはり生活というのは科学と密接な関係があった方がいいし、主婦の方もずいぶんこのごろ科学する心がふえてまいりましたが、とてもいいことだと思います。それにまた拍車をかけるようなことで、つくってみたらとても使い道にならないような石けんをつくってしまった、今度はこういうふうにやったらどうだろうといっていろいろ考えていくと、だんだんいい石けんができてきて、しまいに洗たく石けんだけではなしに顔を洗う石けんもできてしまうというようなことになるかもしれません。そういう意味でも非常にいいことですし、何でも要らなくなったものは捨てればいいのだということでないのもこれもいいことですし、これは関係する省庁がえらい多くあるということでもありません。考えてみれば空きかんよりはもっと簡単かもしれませんが、PRは総理府とは十分に交渉しなければならぬと思います。それから、おっしゃられるとおり地方自治体の協力を得なければならぬ、こういうふうに思いますので、しばらくひとつお任せ願いたい、こう思います。努力してみます。
  202. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 どうもありがとうございました。
  203. 山崎平八郎

    山崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十六分散会