○色摩
説明員 この定住枠を、四月二十八日の閣議了解に基づきまして三千名にふやしました。その前の数字は千名でございますが、これは一見三倍増に見えますけれ
ども、
一つ特別な事情がございまして、つまり算定方式を若干変えました。
その変えましたということは二つポイントがございまして、
一つは、
インドシナ難民対策が発足した時点において別の理由によってすでに
日本に滞在されていた方々、たとえば留学生、研修生その他の方々が、
インドシナ難民と同じ理由によって本国に帰るわけにはいかなくなったという方々がございます。その方々をその時点において横並び、公平の見地から特別の滞在許可を与えたわけでございます。つまり、
難民と同じ理念に基づいて長期滞在の資格を得たわけでございます。こういう方々は七百四十二名おられるわけですが、この方々を
インドシナ難民の定住枠に数えるべきか、あるいは別にすべきかということで幾らか議論がございましたけれ
ども、
一つは同じ理念による救済であるということと、もう
一つは国際的な比較を申しますと、いろいろな主要国の取り扱いを調べてみますとすべて同様に算入しているのが大勢であることがわかりましたので、この際そういう方々も算入する、つまり実績として七百四十二名をこの時点で加えたわけでございます。
それから第二のポイントは、いまUNHCRの肝いりで主要国が、その中に
わが国もございますけれ
ども、
ベトナム政府との間で合法的に出国を許可することにして、
難民として引き受けるという交渉が進んでいると承知しております。そういう方々も、もし
日本に参りましたならばこの
インドシナ難民の定住枠に算入する、こういう二つの了解がございます。ちなみに、第二の点はいまだに実績がございません。これからの問題でございます。
いずれにせよ、従来の
インドシナ難民、新たに定住許可を与えて
日本に来られた方々の数と、−先ほどの留学生その他の方々を加えて約千四百名ぐらいになります。つまり、倍増ちょっとというのが三千名の実情でございます。
それでは、千五百とか千六百名という方々、新しく定住を許可して、これから
日本に入ってこられるわけですけれ
ども、それはどういう見通しでどういうふうに具体的に対処するのかという御質問だと思いますが、先ほどから御
説明申し上げましたように、現在
アジア福祉教育財団に委嘱をして運営している定住センターというものが全国に二つあります。その規模はそう大きいものではございません。ちょっと統計的なことを申し上げますと、実効定員として姫路が九十名、大和が百二十五名、合計二百十五名が実際上の収容能力でございます。この範囲内で三カ月の
日本語の教習、それから約三カ月の範囲内で就職をあっせんする。これは実績において、速やかに就職が決まり、六カ月以内に出ていかれる方もございます。しかし、いままでの実績によりますと、ほぼその六カ月の期間で就職が実現しております。そういうことで、大体六カ月の周期で二百数十名の実効定員を運営するということでございます。そうして、この施設を拡大する、あるいは新しい施設をつくるというアイデアはございますけれ
ども、いろいろな制約がございまして、いまだ見通しを得ておりません。したがって、非常に
現実的に申し上げれば、現行の事業規模、現行の予算規模でこれを運営し、三千にふえた枠を何とか消化していかなければならないというのが
現実的な見通しでございます。
ただ
一つつけ加えますと、定住を許可された
インドシナ難民は必ず定住センターに入らなければならないという仕組みではございません。