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伊東国務大臣 従来はどちらかというと経済的な協力でございますとか、そういうことを中心に話が出たのでございますが、今度ASEANを総理が回られたときは、もちろん経済的な協力の問題は出ましたが、政治的な問題がいろいろ出たのでございます。中心は、後で申し上げますがカンボジアの問題でございます。たとえば、国によりましてはもっと
日本が軍備をやるべきだというふうなことを言った国もございます。しかし、そういうことは
日本の憲法上できないことだ、個別自衛権しかないのだからということを言ったこともありますし、国によりましてはどこが脅威だというふうな議論が出ましたときに
ソ連が脅威だと言った国もありますし、共産党の
関係ですが中国だと言った国もあり、中国にはこういうことを言ってもらいたいというような要望が出たこともございます。あるいは
アメリカがどうも東南アジアに対して前ほど関心がないのじゃないか、
アメリカに対してもっと東南アジア、ASEANに関心を持つようにということを
日本から伝えてくれ、今度はASEANの外相
会議があるが、それに引き続いて拡大外相
会議をやる、そのときには
国務長官の
ヘイグさんにぜひ出席してもらうように
日本から強く言ってもらいたいというような
アメリカに対する要請がありましたり、あるいは中国に対してこういうことを言ってもらいたいというような話もあったことは確かでございます。
こういう問題は一つの政治的な
日本に対する
期待でございますが、特にカンボジア問題につきましては、何としてもASEANとしては、国連の決議にあるように、事務総長が主導権といいますかイニシアチブをとって国際
会議が開けるように
日本としてぜひ国連にも働きかけてもらいたいし、あるいはベトナムがテーブルに着くようにいろいろな国に話しかけてもらいたいとか、こういうこともあったわけでございます。
カンボジア問題に関しましては第三勢力というものの話も出たり、第三勢力については、
日本としては直接はカンボジアの中にそういうものをつくるようなことはすぐにはできませんよというような話をしたり、いろいろな政治上の
日本に対する要請がございました。一番大きいのはカンボジアの問題、どうやったら国際
会議が開けるか、インドシナ半島に平和ができるかということについて
日本が政治的に動いてくれということが一番大きな政治的な要請だったというふうに私は思っております。