○勝谷
政府委員 先生の御質問、三点あったのではないかと思います。第一は、従来時調費を使っておりました基本的な
方向、第二は、五十二年以降減っておるがどうしたのか、第三点は、年度の後半に比較的開始したものがあるけれ
ども問題はなかったか、この三点ではないかと思います。
第一の点でございますけれ
ども、従来の時調費は、各省庁の所管にかか
わります
研究業務の総合的な推進を図りまして、かつ、その相互間の調整を図るための経費でございます。
柱が三つございまして、第一が、多数部門の協力を要し、原則として二以上の省庁が協力して行う総合
研究。たとえば地震が何ゆえ東海、関東地域で起こるかということを、関係各省のそれぞれの地震
技術を総合的に集めまして原理を
追求していまやっておりますが、そのようなものでございます。第二は、年度当初に予見しがたい事態の発生に対処するための緊急
研究でございます。これは、このたびの豪雪に対しまして直ちに緊急
研究を発動いたしました。三番目は、その他各種
研究に共通する
基礎的試験
研究等に関する民間への助成
研究。これでいままで最も成果を上げましたのはヌードマウスの
研究でございまして、高血圧を必ず起こす純粋のヌードマウスを
日本で
開発いたしまして、ノーベル賞に次ぐ栄誉ある賞を得られております。
三十五年から五十五年までに百八十四億の予算を投入いたしましたが、いま申し上げました第一の総合
研究に百三十六億、それから緊急
研究に三十五億、助成
研究に四億、その他事務費等を計上いたしておりまして、それ以外に第一のカテゴリー、第二のカテゴリーそして第三のカテゴリーにも少々ということになっておるわけでございます。
第二の五十年以来の数字でございますが、
先生御指摘のとおりに五十年の十六億から減ってまいりまして、五十一年は十四億八千万になりました。五十二年度に十八億三千万とふやしたわけでございますが、これはこのときに地震
研究をやれという強い要請が出てまいりましたので、特別の枠を設けましてこの年に十八億三千万とふやしました。しかし、その後は
先生御指摘のように一割を毎年減らしてまいったわけでございます。これは大蔵省の査定の原則がございまして、このように一括計上いたします調整費は毎年一割ずつカットするという原則でまいったわけでございます。私
どもは、このように重要な調整費がその原則のために切られることはきわめて不本意であるということで、五十五年度は、見てくれは前年の十五億に対して十三・五億と一割の減でございますけれ
ども、大蔵省とも種々検討いたしました結果、実質的には十五億五千万と五千万上回っているわけでございまして、従来の漸減傾向を、微増ではございますが逆に上向かせた経過がございます。これは、かかってこのような総合調整的な各省が一緒にやる
研究開発の必要性が
認識されたからでございまして、このような背景も踏まえまして、このたびは御存じのとおりの大幅な予算、倍増する予算をつけていただきまして、特調費を
発展的に解消しまして
科学技術振興調整費として生まれ変わったわけでございます。
最後に、特調費は従来から年度途中に出しているものが多いのではないかということでございます。特調費の実施に当たりましては、毎年度当初に前年度から継続しております継続課題をまず開始させます。そして、新規の
研究課題につきましても、総合
研究調査会という
学識経験者の調査会で検討いたした上で、可能な限り早急に、そのような方針で実施をしてまいりました。しかし、
先生もそれはやむを得ないだろうとおっしゃったわけございますけれ
ども、自然災害等の発生に対する緊急
研究でございますけれ
ども、これはどのようなものが起こるかわかりませんので、
一定の金額を相当余裕を持って留保しておきまして、実際にその金額がその予算を上回らないときにその残額を割り当てる方針をとってきたわけでございます。たとえば五十五年度の例を申し上げますと、継続課題と新規課題と合わせまして二十六課題の合計約十一億円をまず実施いたしております。そして、残りの約二億円を留保しておきました。その後五十六年二月に至りまして、豪雪対策等緊急な
研究三課題に七千万を充当いたしまして、残りの一億三千万を各方面から要望の強い総合的な
研究四課題に充当したわけでございます。年によりましても、いま申しましたようなことで
最初大幅に割り当て、逐次限られた課題を後に割り当てるということでございます。五十五年はそのように一回と二回に分けまして、一回目でほとんどを割り当て、二回目で残額を割り当てた、極端な例で五十三年度を申し上げても、第一回で二十八課題のうちの十八課題を割り当てておりまして、年度末には三課題を割り当てるというような割り当て方をいたしておるわけでございまして、
先生御指摘のように必ずしも十分ではございませんでしたけれ
ども、一生懸命やってまいりまして、さらに五十五年度等はそのような御指摘に対しましてもおこたえし得るような実績を示しているのではないかと考えておるわけでございます。
新しい制度につきましては、御指摘の線を十分踏まえまして実施をしてまいりたいと思っております。