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中山国務大臣 先生かねがね地元
沖繩のために御心配をいただいていることに改めて敬意を表しておきたいと思いますが、第一次
振興開発計画が終わろうとする現時点で、第一次振計を見直すという作業を実は
沖繩開発庁としてはいたしております。人口問題が一応、返還当初七十万であったものが百万を越す、当初の目標百万、これが一応百万をオーバーした、これは
一つの目標達成であります。第二は、
県民所得はどうか、これが一番問題で、
復帰しても七〇%しか所得がない。それから、失業率が
本土に比べて二倍半ぐらいある、しかも青年の層に失業率が高い、これは一番大きな問題です。そういうことを考えていって、なぜ失業率が高いのか、
県民所得が低いのかということが、第二次振計を立てるに当たっての
一つの
前提としての検討条件になってまいろう、私はそのように考えて行政当局を指揮しておるわけでございます。
われわれが
沖繩の産業を見ていると、結局、第一次産業の占めるシェアというものが、比較的
本土と比べるとといいますか、私の方から言うと、
本土と少し違った問題点が顕著であるのではないか。サトウキビ栽培、それからパイン栽培、これは
本土と全然違う地理的な特徴であろうと思っております。この産業が持つ
一つの性質、それはやはり補助金というものが非常に
関連性が強い。これと、それから
先ほども午前の
質問にございましたが、付加価値の問題というものが出てくる。これをどういうふうに切りかえれば
沖繩の農業従事者たちの所得が豊かになるだろうか。
本土でも、普通の農耕作業をやっている場合、米をつくれば必ず政府買い上げで所得が安定する、こういう
考え方からいわゆる余剰米というものが出てきている、それに対する批判が起こってくる、耕地の転換ということがいまの
本土の農業の大きな命題でございますけれ
ども、
沖繩の場合には、やはり
沖繩の
特殊性というものを十分配慮して農業政策の見直しをしなければならない。それは、サトウキビ栽培あるいはパイン栽培の従来からの流れというものを見ながら新たに付加価値の高い農業を振興させていく、そのために手を打っていく、こういうことが第二次振計に当たってはきわめて必要であろうと実は考えております。
もう一点は、水産業でございまして、水産業は、やはり栽培漁業をどうするか。いまクルマエビの養殖とかいろいろな魚の養殖産業というものが緒についたところでございますが、マグロなどの養殖が世界的に言われている中で、
沖繩の海域では
可能性があるだろうかどうかということについても、いま
専門家に相談をしておるところでございます。
モズクなどの売り上げも非常によくなってきた。牧畜の面では、石垣を中心に酪農というものが
一つの流れを見せ始めた、非常にありがたいことだと考えておりますが、問題は、第二次産業がどうもうまく育たない。それは水と
エネルギーの問題。午前中に
小渡委員の御
質問もございましたが、
エネルギーという問題について
沖繩が地理的に非常にハンディキャップを負っている。
沖繩電力の
電気料金の問題、これが一番頭の痛い問題でございます。これは当面
値上げしない、
値上げすれば
沖繩産業が崩壊する、こういうことで、私は
沖繩開発庁長官として、在任中は絶対に
沖繩の
電気料金を
値上げしないという方針を堅持してまいろう、こういうことでございますが、問題は、いかにして
石油専焼の火力からいわゆる脱
石油を図るかということが戦略として必要になってきておるわけでございまして、このために
石炭火力への転換というものに対する政府の助成を強めていく。それには、
電源開発株式会社というものを一枚かませて、
石油専焼火力から
石炭火力への転換を図って脱
石油の
方向に向いていくということ。もう
一つは、太陽熱の利用をどうするか。
沖繩は亜熱帯
地域でございますから、太陽の照射が強い。この太陽の熱の利用転換というものを政府は本腰を入れてやる必要があるということで、実は横浜国立大学の太田教授にお願いをいたしまして、ただいま太陽熱を利用するシステムの開発を
沖繩については篤と御協力を願いたいということを申し上げているところでございます。
もう
一つ、水の問題でございますが、水不足が絶えない。そこでダムを建設しておりますけれ
ども、ダムの効率というものが一体どうなるのか。そういうことから考えていくと、将来、
本土の水不足が必ずやってくるということは間違いないので、こういう
前提を踏まえて、まず
沖繩で海水淡水化を
石油を使わないでやる
方法を実用化したい、こういうことで、かねて
通産省は、工業技術院のプロジェクトとして、この海水淡水化を茅ケ崎の造水センターでやって開発に成功した、これを実用モデルとして
沖繩で行うということが一点。
もう
一つは、太陽熱を利用するシステムを
沖繩でやる。不思議なことに、鹿児島に参りますと、太陽熱を利用した温水器のセットが農家の上にも民家の上にもずいぶんあるのですけれ
ども、
沖繩にこれが普及しない、こういうことで、ソーラーシステムの企業に対しては
沖繩に対する積極的な進出と、これに対する税制上の助成
措置というものを、県知事に対して検討するように
沖繩開発庁長官としては依頼をしておるところでございます。
第三次産業の問題として、観光産業というものが二次振計をつくるに当たっては非常に価値のある産業だ。海洋博のときに百万という観光客がございましたが、一時減った。それが昨年では百八十万人ぐらいが行っております。一人の消費金額が十万円でございますから非常に大きな所得源になってくる。しかし、石垣とか宮古へ行って聞いてみると、どうも宿泊施設が整備されていない。しかもあの美しい天然の風景、風光というものは
沖繩にしかないわけですけれ
ども、亜熱帯の
地域の海浜を利用したリゾート地帯の形成というものがこれから公共事業として検討することが可能かどうかということについて、すでに
沖繩開発庁の事務局に対しては検討方を命じております。これをうまく開発して、現在百八十万人に及ぶ観光客をさらに二倍増、三倍増にする
方向ができないものだろうか、こういうことに政府が積極的な助成ができないか。そういうことになれば、
沖繩の産業を育てていくと並行して、
本土でいわゆる金を握っている人たち、こういう人たちを
沖繩に向けていくことが可能ではないか。そこで消費をしていく、そうすれば第三次産業というものはさらに発展していく、こういうことを私
どもは実はいま検討をしているところでございます。
一方、国際センターというものをASEANとの、ネットにして
沖繩につくるということで、外務省にもお願いをし、鈴木総理の決断で、先般のASEAN訪問の総理の発言等においても御承知いただくように、
沖繩にリエゾンオフィスをつくるということは政府の方針として決定されたわけであります。こういうことから考えていくと、問題は
沖繩の国際化、いままでは軍用基地、
日本の軍事基地の五三%が
沖繩にあるということで、
沖繩の方々には非常に暗いイメージを与えておりましたけれ
ども、私は新しい文化活動の面での
沖繩の未来というもの、夢のある
沖繩というものを建設するためには、新しい形での国際化された
沖繩というものをつくっていこうという方針を立てまして、ただいまこの作業に取りかからしておるところでございます。
昨日も衆議院の
委員会で政府の方針として申し上げましたが、
沖繩の
本土並みということになりますと、道路が舗装される、港湾あるいは飛行場の整備というものが行われていって、残っておるのは、やはり小、中、高の学校のプールの問題とかあるいは屎尿処理の問題とかいろいろな問題が残っておりますけれ
ども、
本土並みになっていくと、やはり問題点としては、あの長い、誇りのある文化というもの、伝統のある歴史というものが、いわゆる
本土並みにファッション化されないかということが私の最大の不安でございまして、第二次
振興開発計画の中には、
沖繩の輝ける伝統といいますか文化というものを保存するために歴史博物館というものをぜひ建設して、この国際化する
沖繩の中で
一つの文化としての価値というものを位置づけたい、このように実は考えて作業を命じているところでございます。