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1981-03-27 第94回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十七日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 小沢 貞孝君    理事 阿部 文男君 理事 上草 義輝君    理事 川田 正則君 理事 高橋 辰夫君    理事 上原 康助君 理事 島田 琢郎君    理事 部谷 孝之君       臼井日出男君    小渡 三郎君       川崎 二郎君    高村 正彦君       泰道 三八君    中村正三郎君       伊藤  茂君    小林 恒人君       松本 幸男君    玉城 栄一君       瀬長亀次郎君    柿澤 弘治君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)      中山 太郎君  出席政府委員         沖繩開発政務次         官       岩崎 純三君         沖繩開発庁総務         局長      美野輪俊三君         沖繩開発庁振興         局長      海原 公輝君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  田中  滋君         防衛施設庁施設         部施設取得第一         課長      作原信一郎君         外務大臣官房外         務参事官    坂本重太郎君         大蔵省銀行局銀         行課長     足立 和基君         文部省初等中等         教育局中学校教         育課長     垂木 祐三君         文部省大学局医         学教育課長   川村 恒明君         文部省体育局学         校給食課長   奥田與志清君         文化庁文化部文         化普及課長   石井 久夫君         文化庁文化財保         護部記念物課長 小埜寺直己君         厚生省医務局医         事課長     斎藤 治美君         厚生省社会局老         人福祉課長   成島 健次君         農林水産大臣官         房参事官    香川 荘一君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      管原 敏夫君         農林水産省食品         流通局野菜計画         課長      東  久雄君         農林水産省食品         流通局野菜振興         課長      草場緋紗夫君         食糧庁管理部企         画課長     松山 光治君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       加藤 昭六君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       関   収君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     植松  敏君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       末永  明君         建設省道路局市         町村道室長   駒田 敬一君         自治省財政局調         整室長     井下登喜男君         日本国有鉄道旅         客局荷物課長  岡村 毅郎君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ――――――――――――― 三月二日  北方地域漁業権者等に対する特別交付金の支  給に関する法律案岡田利春君外八名提出、衆  法第八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月四日  北方領土問題等解決促進に関する陳情書外百  五十三件  (第一一二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 小沢貞孝

    小沢委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渡三郎君。
  3. 小渡三郎

    小渡委員 まず、資源エネルギー庁の方にお答えをいただきたいのでございますが、先週、商工委員会関連質問質問をいたした折に、私は沖繩電力の問題について三つほど提案をいたしたわけでございますけれども、そのときに答弁は求めませんでした、関連質問でございますから、答弁を求めることによって同僚議員の時間がなくなってしまいますので。それで、きょう改めてその三つ提案についてお答えをいただきたいのでございます。
  4. 植松敏

    植松説明員 お答えさせていただきます。  先般、商工委員会先生から幾つかの点御指摘いただきまして、さらに最後に御提案もいただきました。内部でもいろいろ検討しておるわけでございますが、まず一つは、閣議決定で五十六年度末を目途民営に移行するということが決められておりますが、それとの関連それから、特に石炭火力等を実施していく場合でも十分なコストダウンが行われるかどうかというのが一つの御疑問の点、具体的な御提案として、たしかその場で先生から御指摘のございました点は、たとえば既存の九電力との合併の問題の可能性を検討してみてはどうかとか、もう一つは、いずれにいたしましても、現地専門家派遣してもっと実態調査し、適切な対策を立てるべきではないか、こういう御提案だったかと思っております。  まず第一に、先般もお答えいたしましたように、閣議決定では五十四年の十二月に、多くの離島を抱えている沖繩実態に十分配意しながら、諸般措置を講じ、五十六年度末を目途民営移行するというふうになっております。これは昨年の末にももう一回確認をされておりますが、そのときも、沖繩実態特殊性に配意しながら、民営移行のために諸般措置を講ずるというところで、つまり諸般の必要な措置が講ぜられることが前提になりまして初めてこの民営問題の円満、円滑な解決が図られるということで、私ども現在、いろいろと閣議決定に即しまして、一方で沖繩県民意向を十分お聞きしながら、適切な対策を考えてまいりたいと思っております。  具体的に、現在ございます九電力のどこかとたとえば合併とかそういうことを考えたらどうかという先生の御提案がございました。これにつきましては、合併問題というのは御高承のとおり、両当事者間の合意かございませんと成立しないわけでございまして、特に沖繩電力特殊法人株式会社として四十七年に発足いたしましたときに、あのときも、どういう形態でやったらいいかということでいろいろ議論があったようでございますが、沖繩県としては当時は、配電部門発電部門とが分かれておったこともございまして、まず発送配電全体を一元化し、しかも民営でやっていこうということが当時の県民のコンセンサスであったというふうに理解をしておりますが、そういった県民意向も考え、その後の二回にわたるオイルショックによる沖繩電力供給問題についての事情変更ということも考え、これからいろいろとそういった情勢の変更を考えながら、一方で沖繩県民意向を十分尊重しながら、具体的な対策を考えてまいりたいと考えておりますが、とりあえずのところは、沖繩電力問題、一番の問題は離島を抱えておるというような地域的な不利性、それからもう一つは、石油一〇〇%依存という電源の偏りということが何といっても大きな問題ではなかろうかと思います。  電源多様化問題につきましては、すでに石油だけでなくて石炭火力も導入しようということで、現在、石炭火力十五万六千キロワットの出力を持ちます石川の、当時石油専焼と考えておりました石川三号を石炭火力でやろうということで、いますでに環境調査等追加的に行っておりまして、それの導入を急いでいくということで体質の強化をとりあえず図ってまいりたい。  あと、その他の問題につきましても、まだ時間もございますし、これから沖繩県の方の意向も十分聞きながら、具体案を考えていきたいと思っております。  それから、さらに調査をということでございます。これは先生御案内のとおり、四十七年、沖繩本土復帰いたしましたときに、当時は琉球電力公社ということで、公社のかっこうで電力供給が行われておりましたが、そのときにどういう形でやるのがいいかということで、何度も専門家本土の方から派遣されまして、それぞれ沖繩における当時の電力供給体制、これは技術問題、法律問題含めましていろいろな調査を行っております。あわせて具体的に、日本に移管され、そこで最終的には特殊法人株式会社でスタートしたわけですが、そのときの資産の評価とかいろいろなことを専門家が行って調査しております。  今回どういう形で行うかということにつきましても、すでに私どもの方では、(小渡委員「簡単に答えてくれませんか。説明してくれということじゃなくて、どうするかということに対する私の提案に対して答えてください、時間がないものですから」と呼ぶ)沖繩電気事業協議会という場を設けまして、沖繩のそれぞれ電力関係専門家学識経験者にいろいろ意見を伺って、民営移行を円滑にするための施策を検討していただいております。今後もさらにそういう場を活用しながら、また、必要に応じまして専門家派遣等も考えながら、実態の把握及び適切な施策の充実に努めてまいりたい、かように考えております。
  5. 小渡三郎

    小渡委員 いま植松課長さんから答弁を求めたんですけれども答弁の時間が長いですよ。質問の時間は二分、答弁の時間は五分といったら話にならない。また、私が聞いておる提案三つについてどうするんだということを答えていただけばいいのですよ。それの具体的な説明を求めているわけじゃないのです。  まず一つは、特殊法人である沖繩電力が来年度末までには民に移管するんだということが決定された。ところが、そのままそういう形で今後続けていくとするならば、電気料金格差というものに対してどう考えているのか、これがその主眼点なんですよ。どうしてかといいますと、沖繩電力はこの間も申し上げましたけれども、一キロワット時二十七円二十二銭なんです。全国平均は二十二円二十五銭なんです。それで二十七円二十二銭というのは全国一高い、こういう状況にあるわけです。そして、新聞報道によりますと通産省は、九電力、五十五年三月期では決算において約一兆円の利益が出る、であるならば、当分の間は電気料金は上げない、据え置きの方向で検討したい、こういうことが報ぜられているわけです。そうすると、その当分の間は全国最高の二十七円二十二銭、こういう形で沖繩電力は運営されていくわけですよ。県民はそういう負担を強いられるわけだ。所得は全国の七〇%、電気料金全国一、これは大変なことですよ。だから、そういう格差があるんだから、全国平均あるいは平均以下になるようにするために、その料金格差を国でもって助成しなさい、こういう方法が出てくるわけですよ。それについてどう考えるか、これがあのときの提案なんです。  二番目は、もしそれができないとするならば、民間に移行するんだから、であれば、九電力のうち有力な電力吸収合併をして運営をするという方法を考えたらどうか、そして低廉で良質の安定した電力供給するようにしてくれ、こういう提案であったわけです。  もう一点は、これは新しくいまここで提案しますけれども発電については電発で行って、そして、その発電した電気を今度は沖繩電力卸売をいたしまして、沖繩電力配電をするという形もまたもう一つ考えられるわけです。その場合、十五万六千キロワットの石炭火力でございますから規模が小さい。本土は五十万から百万ですよ。小さいですから効率が悪い、したがって発電しても卸売料金は高い、これを全国プールで考慮したらどうか、こういう問題もあるわけです。  いろいろな問題が出てくるわけであります。こういう本当にいろんな問題があるんだけれども、そういうことをどうすればいいのかということで調査団派遣したらどうか、こういう結論だったわけです。それに対してのお答えを簡単に求めているわけですよ。その内容説明しなさいと言ったんじゃないです。内容は私も知っている。そんな内容をくどくどお聞きしようとは思っていないわけです。  また、十五万六千キロの石炭火力の二基についても、これが運開するのはいつだと思いますか、昭和六十二年ですよ。第二次振興開発計画かできたとしてもその後半に入ってからしか運開しないんですよ。それまでの間全国最高電気料金沖繩供給するということは許せませんよ。だからこういう問題が出てくるんです。どうぞ簡単に答えてください。
  6. 植松敏

    植松説明員 第一点でございますけれども、昨年の二回にわたる電力料金値上げ申請に対しまして、私どもとしましては、経営の徹底した合理化前提として、原価主義の原則に立って厳正、慎重に審査をして認可をしたところでございます。  ただ、その料金が高いではないか、こういうお話でございますけれども現行料金を引き下げることを目的といたしまして、国が助成を行ってその原価を下げるというような形を一般的に行うことは、前例もございませんし、電力行政の枠内でやるというのはなかなかむずかしいと考えております。  ただ、従来からも沖繩特殊性にかんがみまして、沖振法の二十九条にもございますように、電力の安定的、適正な供給のために資金の確保その他の援助に努めるということになっておりまして、それに従いまして、たとえば金融面では沖繩振興開発金融公庫からの低利融資、その他税制面、たとえば石油関税の免税というようなことをやってきておりますが、今後も当省といたしましては、いろいろなそういった施策を続けていくことが必要でなかろうかと考えております。ただ、これは私ども通産省だけで解決できる問題でございませんので、ほかの省庁とも協力しながら検討していきたいと思っております。  第二番目の点、合併の点でございますが、これは確かに短期、そして中長期的にもいろいろ問題があるということは御指摘のとおりでございます。一つの案といたしましてそういうことも考えられないわけではございませんけれども先ほども申し上げましたように合併ということになりますと、それぞれ当事者合意がなければ成立しないということ、それから電力事業の場合におきましては、単に株主だけの問題でございませんで、地域のそれぞれ需要家理解協力もございませんとなかなか発展いたしません。奄美大島復帰いたしましたときに、やはりあそこにも小さな電力会社がございました。これが最終的には九州電力吸収合併されたわけでございますが、その経緯を見ましても二十年くらいかかっているというのが実態でございまして、それぞれ関係者理解協力を得ながらそういった問題を解決していくには、相当時間がかかろうかと思います。とりあえずは先ほどからいろいろ申しておりますような、たとえば電源多様化対策とか、その他金融面税制面等のいろいろな措置を講ずるという方向でいろいろ努力を積み重ねていかなければならないかと思っております。  それから、電源開発株式会社発電部門を、沖繩電力には配電部門をというもう一つの御提案がございました。これも一部にそういう議論があることは私も聞いておりますけれども、四十七年の復帰のときにも、そういう形態があるのではないかというようなお話もあったようでございますが、もともと電源開発株式会社の発足のときの性格論というようなこともございまして、そのときいろいろ抵抗もございまして実現しなかったというぐあいに聞いております。この問題も含めまして今後、長い目で見ますといろいろな方策を考えていかなくちゃいけないということで、先生の御指摘の点も含めまして今後、いろいろと参考にさせていただいて対応策を考えていきたいと思います。  また、そのために今後必要があれば現地にも——すでに私ども何度かそれぞれ専門家派遣もいたしておりますし、現地沖繩電気事業協議会というのも開催し、それぞれ現地専門家からお話を伺っております。今後も必要に応じまして御意見を伺う、あるいは実態調査するということで対策を検討してまいりたいと思っております。
  7. 小渡三郎

    小渡委員 沖繩電力についてはこれだけにしますけれども長官電力の問題は先日、内閣委員会でも長官考え方をお聞きしたのでございますが、もう一度、いまの私の新しい提案の中でお感じになっている点がございましたらお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  8. 中山太郎

    中山国務大臣 先日、内閣委員会でも申し上げましたように、沖繩の第一次振計の経過から見てこれから第二次振計を立てるということは、すでに私が沖繩開発庁長官として明言をいたしておるところでございますが、その中の最大の問題は第一次エネルギー電力の問題であります。この民営移管につきましても、閣議決定がございますけれども、それはあくまでも沖繩事情を踏まえつつということが一項入ってございます。いま先生指摘のとおり、他の電力会社のいわゆる電力料金と比べると沖繩は高い。これ以上高くなることは沖繩にとっては好ましからざることでございますから、沖繩経済振興の上から言いましても、これ以上の電力料金値上げというものは政治的に十分な手を打たなければならない、当面値上げをすることは好ましくない、むしろ安定した電力料金沖繩の産業を振興するということを基本的な考え方として堅持してまいりたい、このように考えております。
  9. 小渡三郎

    小渡委員 次に、石油製品のうち、県民生活に直接影響のあるガソリンとLPGの価格についてお尋ねをしてまいります。  まず質問する前に、沖繩にはリファイナリーが設置されておりますし、操業いたしております。そしてまたガソリンにつきましては、復帰に伴う特別措置法の第八十条で、内国消費税に関する特例で軽減税率が適用されております。またCTSも設置されております。それから、中近東やあるいはインドネシアあたりから原油を運搬するにいたしましてもあるいは製品を運搬するにいたしても、本土よりは沖繩の方が輸送距離は短いという状況にあります。  そういう中で、まず質問の第一点ですが、並み級ガソリン現金払い消費者がスタンドから求めます。昭和五十四年、昭和五十五年の全国平均は一リットル当たり幾らですか。それから二番目は、同年の同質の現金払い沖繩県幾らですか、お答えください。
  10. 関収

    関説明員 お答え申し上げます。総理府統計局で作成しておられます小売物価統計調査によりまして御説明申し上げたいと思います。  五十五年につきまして、最近時点ということで申し上げたいと思いますが、全国平均小売価格リットル当たり百四十六円でございます。同じ時期、すなわち昨年の十二月の那覇市におきます小売価格リットル当たり百五十八円でございます。同様に、五十四年につきまして、やはり同じ月の十二月を申し上げますと、全国平均が百四十七円でございます。それに対しまして、那覇市の小売価格は百四十円という結果が出ております。
  11. 小渡三郎

    小渡委員 御答弁にもございましたように、全国平均より沖繩那覇市の方が高いわけです。五十四年の場合は、小売値差額は年間を平均しまして、リットル当たり四円五十銭違います。それから五十五年は四円七十銭違うのです。  それに税負担差がございますね。沖繩県ガソリン税につきましては、昭和五十二年五月十五日から五十四年の五月三十一日までは、沖繩以外が四十三円でございますけれども沖繩県の場合はガソリン税は三十一円九十銭、県税が一円五十銭ですから、合計三十三円四十銭、差額は九円七十銭でございます。また五十四年六月一日から五十五年五月十四日までは、差額は十二円五十銭でございます。それから、五十五年五月十五日以降は五円五十銭でございます。これは間違いないですね。
  12. 関収

    関説明員 先生指摘のとおりでございます。
  13. 小渡三郎

    小渡委員 そういうことになりますと、実質差は一体幾らかということになりますと、五十四年は一リットル当たり七円十銭でございます。五十五年は十三円四十銭になります。  五十四年の販売数量、五十五年の販売数量お答えください。
  14. 関収

    関説明員 暦年で申し上げたいと思いますが、沖繩県におきます五十五暦年ガソリン販売量は二十九万六千キロリットルでございます。
  15. 小渡三郎

    小渡委員 二十九万六千キロリットルとお答えになりましたが、私、手持ちのこの資料では、五十四年は二十九万五千キロリットルでございます。そして、五十五年は二十九万二千キロリットルでございます。少し私の方が少ないわけです。  そうしますと、沖繩県民全国平均よりも割り高負担している額は、五十四年は幾らになりますか、五十五年は幾らになりますか。
  16. 関収

    関説明員 私どもはトータルの計算をいたしておりませんが、先生指摘ガソリン税割り安分に実際の小売価格割り高分を足しましたものに販売数量を掛けますと、沖繩県民の方は実額にいたしましても相当な額の高負担になっておるということは申し上げられるかと思います。
  17. 小渡三郎

    小渡委員 私の方で試算してございますから、まず申し上げてみたいと思います。  五十四年は二十億九千八百万でございます。それから五十五年が四十億五千二百万でございます。合計いたしますと六十一億五千万でございます。二カ年間で六十一億五千万円もに上る全国平均よりも割り高ガソリンを買わされている、こういう実情にあるのですよ。  振興開発計画によって、その目的県民生活を安定せしめ、本土との格差を是正し、自立経済の基盤の必要条件を整備する。ところが片一方では、このようになし崩しされていく、県民生活を脅かしていく姿、これは許せませんよ。ぼくは本来ならば、きょうは公取委員会に来ていただいて、公取委員会に見解を求めるつもりであったのでございますけれども、その前に関係当局に、どういうぐあいにお考えになるのか、どのぐらい中身をとらえていらっしゃるのか、それを尋ねてみたい、こういうぐあいに考えたわけです。  もう一度繰り返しますけれども、六十一億五千万円に上る超過負担ですよ、これは。大変なことですよ。こんなことをして県民生活がよくなるわけないでしょう。いまや一世帯当たり一・五台の車を持つ世の中なんです。生計費に及ぼす影響というのはきわめて大きい。どのように対処しますか。
  18. 関収

    関説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、先ほど私からも御説明申し上げましたように、リットル当たりにいたしまして、昨年の十二月の例で申し上げますと、全国平均が百四十六円であるのに対し、沖繩の場合は百五十八円でございます。しかも先生指摘のとおり、その内訳といたしましては、ガソリン税につきましては割り安なわけございます。地方税を入れましてもなお五千五百円程度リットル当たりにいたしますと五円五十銭程度安いわけでございますから、これだけの価格差があることについては、私どもとしても非常に問題があるところではないかということで、かねがね関心を持ちましていろいろ調査はいたしております。  一般的に申しまして、正確な統計があるわけじゃございませんが、元売りの仕切り価格、これにつきましては、沖繩県以外沖繩とでそう差がないと私どもは見ております。それから小売段階でございますが、これは沖繩県におきます給油所経営形態が、沖繩県以外地域と比べましてやや違った事情がございます。  たとえば先生御存じのとおり、沖繩の場合には、無料手洗い洗車あるいは景品販売といったような商慣習がございます。それからもう一つは、営業時間が概して本土より長いわけでございます。それからまた、一回当たり給油量がそれ以外の地域に比べて非常に少ないといったような事情がございまして、私ども調査によりますと、一給油所当たり平均従業員数が大体二倍半に上っているわけでございます。それから、いわゆるガソリン以外のアクセサリー、灯油等の他の製品の販売量、これが沖繩以外沖繩とでやや違っておりまして、沖繩の場合には、ガソリン販売の依存度は相対的に高いわけでございます。それから全般に、たとえば具体例で申しますと、給油所の規模が沖繩の方は非常に大きいわけでございます。そういうようなこともございまして、いろいろ出費がかさむような形態にあるということは言えるのではないかと思うわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても私どもとしては、給油所経営合理化、近代化によりまして極力、安いガソリンが安定的に供給されるような態勢ができることが急務であると考えておりますので、従来もこの点につきましては重大な関心を持ってウォッチをし、また必要に応じて指導をしてまいりました。今後もさらにそのような観点で指導を強化して、必要な対策を講じてまいりたい、このように考えております。
  19. 小渡三郎

    小渡委員 いま御答弁いただきましたが、LPガスの方に進んでまいりますと、いまのあなたの御答弁が間違っていることかだんだん明らかになってきます。必ずしもスタンド、いわゆる末端の小売が悪い、小売の経営がよくないというようなものではなくて、本当は元売り、卸売、小売という関連した流通の全機構について徹底的にメスを入れて調査をしてもらわないと、どこに問題点があるのかわからないのです。ただ、小売の方がサービスが過剰じゃないか、営業する時間が長いのじゃないか、いろいろな問題はあります。ありますけれども、それだけ競争が非常にすさまじいわけです。スタンドがふえまして、物すごいのですよ。だからそうせざるを得ないところに、赤字経営を余儀なくされる部門もまた最近起きてきているわけです。したがって、これはいまから質問することによってだんだんわかってまいります。  それでは、次はLPGに進みます。同じく五十四年、五十五年でございますけれども、自動車用のLPガスですね、これは沖繩県の販売量は何トンですか。それと今度は、自動車用のLPガスのスタンドインコスト、いわゆる仕入れ価格ですね、卸からスタンドが仕入れる価格です。その中には、オペレーション価格も入っていますし、原価も入っているし、マージンも含まれているし、タンクローリー価格もみんな入っているわけです。この仕入れ価格が一体幾らであるのか、お答えをいただきます。
  20. 関収

    関説明員 私どもで把握をいたしております沖繩県における販売数量は一応、プロパンとブタンとに分けてカウントをいたしておりまして、これから申し上げます数量が一〇〇%、自動車用に向けられているとは必ずしも限らないわけでございますが、ブタンの販売量を御説明申し上げますと、五十四年におきますブタンの販売量は六万二千四百三十トンでございます。それから五十五年が六万六百三十トンでございます。  それから、先生から御質問のございました第二の点でございますが、卸売価格でございます。卸売価格につきましては、私ども公式な統計として把握しているものはないわけでございます。ただ感触的に、ある幅で御説明することはできるわけでございますが、卸売価格につきましては、正式な統計はないので、正確な数字としてなかなか申し上げられないということでございます。おおむね申し上げれば、八十円台の中ぐらい、単位はキログラム当たりでございますけれども、トン当たりにいたしますと八万円台ということを申し上げられるかと思います。
  21. 小渡三郎

    小渡委員 問題は、自動車用LPガスの卸売価格、スタンドインコストでございますけれども、私の調査によりますと、沖繩本土との比較でございますが、これは平均をいたしましょう。  まず五十四年一月から十二月までを見ますと、沖繩はトン当たり六万三千五百八十三円、本土は五万一千三百三十三円、その差は一万二千二百五十円なんです。これだけ高くスタンドインしているわけです。そして五十五年は、沖繩はトン当たり十万七千七百五十円です。十万ですよ。あなたは八万と言ったけれども、違うですよ。本土は八万三千百六十六円なんです。そうすると、その差が二万四千五百八十四円になります。これは大変な差でございますよ。  だから、これをいわゆる販売数量で掛け合わせて、どのぐらい割り高県民負担をしているかということになりますと、これもエネルギー庁の資料をそのまま使っておりますが、五十四年の割り高分は七億六千八百万円、そして五十五年は十六億四千二百万円、合計いたしますと、二カ年間で二十四億一千万円、これだけの割り高負担を強いられているのです。  ところが、これはほとんどが自動車用のLPガスでしょう。全国でLPガスの自動車を使用しているところを、北海道から沖繩に至るまで全部統計で調べてみました。沖繩よりもLPガスの自動車の多いところはどこかというと、一つしかありません。東京が五万一千五百台で、沖繩か二万四千四百台です。そのぐらい沖繩生活が苦しいのです。自動車を買っても、ガソリン車は買わないのです。とにかくLPガス車を買って、少しでも燃料の安いものをと心がけて生産にいそしんでいる。涙ぐましいじゃないですか。それなのにかかわらず、それをいいことにして、卸の料金が年間で二万四千円も高い。これはだれかがどこかでもうかっておるということですよ。  そこで、自分で演説ばかりしていてもしようがないですからお聞きしますが、今度はLPガスの生産です。沖繩のリファイナリーで生産をされているものの数量をお聞かせください。それだけでは賄い切れませんから、インドネシアから今度購入しているのです、あるいは本土から持ってきているのです。それは幾らであるか、お聞かせください。
  22. 関収

    関説明員 五十五暦年の数字で申し上げたいと思います。  沖繩県におきますプロパン、ブタンを含めましたいわゆるプロパンガスの販売量でございますが、これは年間十一万三千トンでございます。そのうち、沖繩県内での生産量が五万一千九百三十トンでございます。その足りない部分につきましては、他地域からの輸送または輸入という形になるわけでございますが、他地域からの輸送が約四万五千トンでございます。それからインドネシア等からの輸入が一万五千トンということでございます。これを要しまするに、沖繩県におきますプロパン及びブタンの販売量、需要量の約四六%は県内で生産され、残りの五四%は輸入または他地域から輸送されてくるということでございます。
  23. 小渡三郎

    小渡委員 それでは、輸入LPガスの昭和五十四、五十五年度のCIF平均単価は幾らですか。
  24. 関収

    関説明員 大蔵省の通関統計に基づきますCIF価格について御説明申し上げますと、五十五年度上期、四月から九月まででございますが、トン当たり平均CIF価格が七万七千六百三十八円でございます。
  25. 小渡三郎

    小渡委員 五十五年は。
  26. 関収

    関説明員 いま私が申し上げましたのは五十五年度上期でございますが、最近時点で申し上げますと、五十五年四月から五十六年二月まで、三月はまだ出ておりませんので、二月までの平均で申し上げますと、輸入CIF価格平均がトン当たり七万四千百十六円でございます。
  27. 小渡三郎

    小渡委員 それでは、適正とされるであろうと言われる卸価格幾らですか。卸の単価です。
  28. 関収

    関説明員 先生御案内のとおり、私ども価格形成につきましては、市場機構の中でおのずから決定されていくという考え方をとっておりますので、卸売価格についていかなる水準が適正であるかということにつきましてはしかるべき数字を現在のところ持ち合わせていない、こういう事情を御理解いただきたいと思います。
  29. 小渡三郎

    小渡委員 通産省エネルギー庁としては、CIF価格もわかっておられる、それで適正とされる卸価格についてはどうなんだと言ったら、それは市場で決定される価格だからそこまでは私たちはわからない、それはおかしいんじゃないですか。そんなのは知っておく必要があるのですよ。どのくらいで売られているかなとか、不当なことはなされていないかなとかいって価格を知るのは当然のことでしょう。それを、私たちはそこまでは知りません、立ち入っていません、それはおかしい。買う値段がわかるなら売る値段もわからなくちゃいかぬでしょう。あとは自由に市場でコストは決めなさい、それは自由競争ですからそれでいいでしょうけれども、五十四年は一体どうだったろうか、五十五年はどうだったろうかと調べる必要がありますよ。それは早速調べてください。適正と思われる価格は現時点ではどの程度だ、それで実際に卸売されているのは幾らなんだということくらいはとらえていなければいかぬと思います。  私の方でもすでに適正だと思われる卸売の単価というのは、昭和五十四年は五万六千八百六十三円、このように見ているのです。そして、そのときのCIF単価は四万五千三十一円なんです。実際に卸売をされている価格というのは、五十四年は六万三千五百八十三円なんです。したがって、差額というのはどうなんだというわけですよ。適正だと思われる卸売単価よりも高く売られているわけですから、その差額は、トン当たり六千七百二十円高く売られているんです。それでまた五十五年は、高く売られているというのは一万五千二百五円なんです。したがって、県民割り高負担をしている額は、いまさっき御答弁いただいた数量から計算をいたしまして、五十四年は六千八百五十万です。そして、昭和五十五年は二億四千万、これはプロパンの方ですよ。ですから、合計をいたしますと約三億八百五十万、これだけ一家庭のプロパンに至るまで負担を強いられている結果になっているんです。こんな実態を知らないというのはおかしいと思うので、それは卸売価格を知らないとどうしてもそういう数字をはじき出すことはできない、そのくらいはやらないといかぬと思いますよ。  同時に今度は、インドネシアから輸入しあるいは沖繩の別地域から移入されている分が大体五十四年は四七%、不足分ですね。五十五年が五三%であった。これもおかしいのです。インドネシアから卸しているのは一万五千、五十四年は一万トンですよ。これだって、製品をそのままインドネシアから持ってくるわけですから、沖繩に来るのと本土に行くのとは距離が違いますよ。当然安いのはあたりまえなんです。ところが、いまさっき価格説明したように高い価格で売られているのですよ。本土以上の高い価格で売られている。こんなのは実におかしなことで、だから県民が全部負担せざるを得なくなっている。これはメーカー、いわゆる元売り、卸売業、それから小売、この流通の中で全部徹底的に調査する必要がある。そうしないと、どこに問題があるかこれはわからないのです。おやりになりますか。
  30. 関収

    関説明員 ただいまの先生の御指摘でございますけれどもお答え申し上げる前に一つお断り申し上げたいと思うわけでございますが、先生指摘のとおり、確かにインドネシアから製品で輸入をいたしておるわけでございます。インドネシアからですから、輸送距離は非常に短いわけでございます。これは御指摘のとおりでございます。ただし、中近東等から買ってまいりますLPGは、四万トンないし五万トンの冷凍タンカーで運んでくるわけでございます。それに対しましてインドネシアからのLPGの輸入は、五百トンないし千五百トンのいわゆる高圧タンカーで運んでくるわけでございます。そのために、距離は短いわけでございますが、輸送コスト自体は必ずしも安くはないということでございまして、通関統計によりましても、全世界平均の輸入CIF価格に比べまして、インドネシアからの輸入価格割り高になっているという実情はございます。  それから、LPガスの流通機構あるいは生産、卸売、小売の段階でどういう実態になっているかということについて調査をするかという御指摘がございました。これは私ども常々LPGの流通機構につきましては、非常に重大な関心を持っておりましていろいろ調査もし、検討いたしております。ただ、先生先ほどお話ございましたような適正価格は何かということになりますと、これは取引形態であるとか量であるとか輸送距離等々によってさまざまでございますから、全国一律あるいはある県一律にこの値段が適正であると申し上げるような数字はないということで申し上げたわけでございます。ただ、いずれにいたしましても私どもとしては、このLPGの流通段階における合理化、近代化というのは、これはわが国全体の問題としても非常に重大な緊急事だと考えております。そういうことで私どもとしては、五十六年度におきましてもいろいろ流通の調査をいたしたい。それから、特に小売段階における近代化、合理化、これにつきましては、中小企業近代化促進法の構造改善業種に指定されております。沖繩県におきましても、この構造改善事業を開始すべくいろいろ準備をいたしておられるようでございますので、これらも踏まえまして今後、流通機構の近代化、合理化になお一層力を入れ、必要な指導をしてまいりたい、かように考えております。
  31. 小渡三郎

    小渡委員 とにかく実態が明らかになっていくにつれまして、沖繩県民負担をしている割り高分というものがいかに大きいかがわかってまいります。そうしますと、どうしてもこれは担当している省庁といたしまして、実態がどうであろうと形式がどうであろうとやはり調べてみる必要が十分ある、このように思います。  そして今後は製油所、リファイナリーの稼働率でございますが、全国沖繩を比較いたしましてお答えをいただきます。
  32. 加藤昭六

    ○加藤説明員 お答え申します。  沖繩におきましては、リファイナリーが三つございますが、それぞれ定期修理あるいは保安等のために稼働率はきわめてまちまちでございます。この三つ平均稼働率で見ますと、五十五年の一—十二月では四五・八%でございます。全国平均が六七・三%でございまして、全国に比べてはかなり低水準にあるという事実でございます。
  33. 小渡三郎

    小渡委員 五十四年は。
  34. 加藤昭六

    ○加藤説明員 五十四年は、沖繩は五三%でございます。全国平均が七三・一%、これもやはり全国に比べてかなり低水準にあるという現状でございます。
  35. 小渡三郎

    小渡委員 それでは、稼働率が低い理由は何ですか。
  36. 加藤昭六

    ○加藤説明員 お答え申します。  主として沖繩におきます石油製品の需要は、全国に占めるシェアとして見ますと一%程度でございます。一方、精製設備能力の全国の中に占めるシェアは三・五%でございます。したがいまして相対的に見ますと、需要に比べまして精製設備能力が過大であるということが一つの原因でございます。またもう一つ特殊要因といたしまして、昨年特に低かった理由は、上半期に沖繩に立地しておりますある精製会社の一つ経営権の移動がございまして操業が一時とまったということも、一時的要因としての低稼働の大きな理由の一つとして挙げられます。
  37. 小渡三郎

    小渡委員 LPGの不足分というのが大体五〇%程度、それを前後しているわけです。今度は稼働率は、全国に比較しても非常に低くて、稼働率自体も五〇%を割っている、こういうことでございますから、単純に考えて、年間で半年は寝て暮らしているわけです。だから、あれを操業すれば不足分というのは起きてこないじゃないか、こういうことに考えられるわけです。私どもが考えましたら、何で完全操業を十二カ月間やらないのか、ここに非常に疑問を持つわけです。だから、ひょっとしたらこれは営業政策なのかな、こういうぐあいに考えてみたりしているわけです。  ところが、ガソリンをつくるための副産物でございますから、そんなに多量につくったところで、重油、軽油がその場で売れるわけでもないしということがあって、また今度はそれを本土に持ち込んでこなければいかぬ。こんなことになると、生産調整をやらなければいかぬ。そうすると、これは石油業法でいったらどうなるかなということを考えてみますと、通産大臣は、石油業法第三条に基づいて、石油供給計画を毎年度、当該年度以降五カ年分について定めることになっておりますね。だから、全国の需要に見合うものであるならば、極端に言えば沖繩県の稼働率は仮にゼロであってもいい、こういう意味ですか、どうなりますか。
  38. 加藤昭六

    ○加藤説明員 先生指摘のように、沖繩におけるリファイナリーは主として、一番重要なガソリンの安定供給を主体にして生産がされております。しかしその結果として、他の石油製品はかなり大量に余剰生産になりまして、数字で申し上げますと、沖繩の内需には三割程度しか向けられず、七割近くが本土へ輸送されているというふうな状況がございまして、いわばかなり内需以上の稼働率を上げて安定供給を図っているというのが実情でございます。
  39. 小渡三郎

    小渡委員 いや、ですから私は、石油業法で言う石油供給計画の中で、本土にあるリファイナリーだけで十分であるならば沖繩のなんか操業しなくてもいい、こういうことになったら、沖繩に何のためにリファイナリーが設置されているのか、こういう単純な疑問が起きてくるわけです。  同時に、安定的かつ低廉な供給の確保を図って、国民経済の発展と国民生活の向上に資する、これが石油業法第一条の目的なんです。ガソリンをたくさんつくっているわけです。需要に見合うだけつくろうと言ってつくってみても、コストはさっき言ったようにえらい高いわけだ。こういう形が出て、これは距離も短いし、CTSタンクもあるし、いろいろ条件はそろっているのにかかわらず今度は、あれの操業をやらないということになると、不足分はまた本土から持ってくる。そうしたら今度は、輸送料をまた県民負担しないといかぬ、こんなかっこうになっていくのですよ。  だから、この石油業法の目的にも沿い、そして供給計画にもちゃんと沖繩のリファイナリーも入れて、なおかつ、沖繩県民軽減税率を適用されているくらい法の精神を生かしながら、低廉かつ良質な石油製品供給できる体制、これをつくらなければいかぬと思います。どうですか。
  40. 加藤昭六

    ○加藤説明員 先生指摘のように現在、沖繩におきましては、繰り返しますが、まず地元の製油所で地元に必要な石油製品の生産をし、かつ、安定供給を図っていくというふうな立場を貫いております。現在はそのような方向で製油所の生産が行われておるわけでございます。今後ともそういう方向で安定供給を図っていきたいというふうに考えております。
  41. 小渡三郎

    小渡委員 最後に、もう時間もございませんので、これはまとめてみたいと思うのです。  まず、いまいろいろお尋ねをしてまいりましたけれども、総括いたしまして、LPガスについて、自動車用では昭和五十四年、五十五年の二カ年間、平均的な卸価格、東京地区の価格沖繩とを比較いたしまして、そして沖繩県民のその結果割り高負担分というのは、合計にいたしまして二十四億一千万円に達しております。LPG車両がさっき申し上げたように二万五千台ですから、一台当たり九万六千四百円、これだけの負担を強いられる結果になったわけでございます。  家庭業務用については、やはり同年、平均的な価格帯である九州地区と比較をいたしました。そうしますと、五十四年で一億二千万、五十五年で九千万、合計二億一千万、これだけの割り高負担になります。さらに全国で一番低いと言われている四国はどうだろうかということで、四国通産局の資料によりまして調べてみましたら、割り高負担分が約五億円に達しております。こんなになっているのですよ。LPガスの消費世帯が二十六万世帯ということにしますと、一世帯当たり千八百八十円、これだけの割り増し負担をしていることになります。  次にガソリンとLPガス、その合計でございます。ガソリンについてはさっき六十一億五千万、こういう数字を出してございますから、それを合計いたします。そうすると、割り高負担分は九十億六千万円に達します。それに軽油とか重油とかいったもの、ディーゼルなんかも相当使われておりますから、その分を全部はじき出してしまうと、百億を優に超えてしまう、こういう実態があるのですよ。だから、県民百万といたしまして一人当たり八千八百円、標準世帯三万五千二百円、これだけの割り高負担を強いられている結果になっていることを指摘するわけでございます。  ですから、何回も質問の中で申し上げたように、政府としては沖繩実態を十分とらえないといけない、徹底的に調査しなければいかぬですよ。そして県民には、法律の精神に沿って割り増し、割り高負担がないように整理していかなければいかぬと私は思っております。通産省としてお答えください。  そして同時に、最後に開発庁長官お答えをいただいておきますが、電気、ガス、それから水、これは振興開発計画の大きなファクターでございます。同時に、いまここで申し上げました石油製品というのは、生活を維持していく上の重要なエレメントなんです。それがこんな実態であるのです。振興開発計画を策定する上で、一方では公課控除をしながら、下の方ではこれがどんどん吸い上げられていってしまう形になる、こういうことでは、法の精神を生かし、県民の期待にこたえることはできないのじゃないか、こういうぐあいに本当に憂慮をしているわけでございます。長官の所信をお伺いしたいと思います。  まず、長官からお答えいただきまして、それからお答えください。
  42. 中山太郎

    中山国務大臣 先生のただいまいろいろとお話いただきましたLPGの問題あるいは電力問題、石油の販売コストの問題、これは沖繩開発庁といたしましても、沖繩県民生活安定の上から考えまして見逃すことのできないきわめて重大な問題だと実は先ほどからお説を拝聴しておりました。この流通過程につきましては、沖繩開発庁といたしましても関係機関に早急に調査を命じたい、このように考えております。もちろん、自由経済体制のことでございますので、政府は価格に不当に干渉することは好ましいことではございませんけれども、カルテル形成とかそういうものが果たしてあるかどうかということについては、政府としても厳重な監視をする責任がございますから、関係機関とも十分連絡をいたしまして、沖繩県民生活安定のために早急な処置をいたしたい、このように考えております。  なお、第二次振興開発における水とエネルギーの問題は御指摘のとおりでございまして、かねがね申し上げておりますとおり、この沖繩電力電気料金を当面の間、特別な事情がない限り値上げはいたさないということが、沖繩開発庁と資源エネルギー庁との間での覚書の確認事項でございますから、その点は私は今後とも堅持をいたしてまいりたい。また民営移管に関しましても、閣議決定がございましても御案内のように、沖繩事情を十分勘案してということが一項入ってございますので、沖繩の経済振興のためにも、不当な料金値上げがされるということについては沖繩開発庁としては看過せざるところである、このように考えております。第二次振興開発計画立案に当たり沖繩開発庁といたしましては、水、エネルギーあるいは一般庶民の使われるいわゆる石油関連の商品のコストにつきましても、今後とも十分検討を続けてまいりたいと考えております。
  43. 関収

    関説明員 お答え申し上げます。  ただいま中山長官が御答弁されたことに尽きるわけでございますが、私どもも、ただいま先生の御指摘ございましたような点を十分踏まえまして、基本的には自由主義経済体制でございますので、個々の取引にまで不当に国が介入するというわけにはまいりません。それからまた実際の取引に当たりましては、取引形態であるとか数量、輸送距離等々によりまして、値段に格差が出てくるということはある程度やむを得ないことではございますが、これらをすべて勘案いたしましてもなお正当な価格形成が行われていないような場合につきましては、そういうケースについて十分調査をし、また監視もいたしまして、必要に応じ的確な指導をしてまいりたい、かように考えております。
  44. 小渡三郎

    小渡委員 終わります。ありがとうございました。
  45. 小沢貞孝

  46. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員 私は本日は、沖繩の農業に関連しまして質問させていただきます。  御高承のとおり昨今、石油危機以来、国内におきますいわゆるハウス園芸、ハウス農業というものは、材料の面、またそこの暖房のために使う石油の高騰等におきまして大変むずかしい局面に立たされておるわけでございますけれども沖繩におきましてはいわゆる亜熱帯地方でございまして、太陽のエネルギーを使って露地栽培で野菜の生産を行うに非常に適しておるという状況に置かれているわけでございます。そういうような状況の中で最近、順調に沖繩の果樹野菜類等の生産も伸びて、また出荷も行われているように伺っておるのでございますが、この端境期に当たる冬、春の野菜の需要に対応するための供給基地として沖繩を大いに活用すべきであるというような観点に立ちまして、基本的な物の考え方を農林水産省並びに沖繩開発庁にお伺いいたします。
  47. 草場緋紗夫

    ○草場説明員 お答え申し上げます。  沖繩におきます野菜の生産でございますが、本土復帰後におきます生産基盤の整備あるいは栽培技術の改善等によりまして近年、逐年増加しておるという状況にございます。特に先生の御指摘がございました冬の期間におきましては、温暖な気象条件に恵まれておりまして野菜の生育に非常に好適な条件にございまして、露地栽培によりまして最近、カボチャ、サヤインゲンを初めといたしまして、オクラ、スイカ、ニンジン等が生産されておりまして、ちょうど本土の端境期におきます野菜の供給基地としての形成が進んできているという状況にあります。  今後野菜の生産対策につきましては、あくまでその気象条件を十分に生かす方向で、まず風土に適しましてかつ販売上有利な野菜の品目の選定なり導入の問題、あるいは土地基盤の整備、それから地力の維持増進、それから病害虫防除等の栽培技術の改善等を通じまして、集団産地の育成に努めてまいりたい。今後とも現地の要望に応じまして、いろいろな事業を活用いたしましてこれらに積極的に対応してまいる所存でございます。
  48. 海原公輝

    ○海原政府委員 お答え申し上げます。  基本的にはいま農林省からお答え申し上げたところと一致しております。私どもといたしましても、農林省と十分連携をともにしまして、いま説明のありましたような方向で努力したい、かように考えております。
  49. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員 ただいま大変前向きなお答えをいただきまして、そういう方向で行っていただきたいと思うわけでございますが、若干具体的な問題があるように伺っております。  まず第一に、契約栽培をいまやっていると思うのでございますが、野菜供給安定基金と沖繩農協の間で野菜契約栽培が行われているように聞き及んでおります。ところが、これは冬のキャベツの契約が、鹿児島県が七千四百四十トンであるのに対して、沖繩県では千百二十トンとなっておるようでございますが、これは五十四年度に二千百二十トンを六農協と契約していたのだそうですが、それが五十五年度には三農協が辞退をしてしまって、残る三農協との間で千百二十トンの契約ということに落ちたというようなことを伺っております。順調に野菜が伸びている中でこういうことは異例のことではないかと思うのですが、この原因はキロ当たり単価が安いので辞退したのだというようなうわさも聞いているのでございますが、こういうところを単価を少し修正するとかそういうことで、沖繩の野菜づくりの振興をこの野菜供給安定基金を通しても行えないものだろうか。また、白菜、レタス等の契約栽培も鹿児島では行っているようでございますが、沖繩でもこういうものをやっていったらどうかということでございます。問題は、単価の問題だろうと思いますが、これも私が一方的に聞いたことでございますので、農林省の御意見があったらお伺いいたしたいと同時に、単価の面で何か策を講じて、これが振興につながるような方向が見出せるならば、そういう面で御努力いただきたいと思いますが、農林省の御意見を伺いたいと思います。
  50. 東久雄

    ○東説明員 ただいま先生の方から御指摘のございました契約栽培でございますが、野菜の契約生産という形で、通常、重量野菜と言われるキャベツ等、非常に輸送費が高くなって、その出荷ができないような京浜、京阪神、中京地域の市場へ、温暖な地域であらかじめ高騰時に備えて価格等契約してつくっておいていただくわけでございます。  この価格につきましては、実は政府は、それら指定消費地域における価格一つの目安として、実勢の趨勢価格というものを持っております。したがいまして、それを基準にして契約単価を決めざるを得ない。もちろん、それは価格補てんの基準ではなくてもっと高いところでございますが、いわゆる市場の実勢価格からいかに下がってもその価格で引き取るという形で単価をはじかざるを得ない。  従来でございますと、京浜の市場からの逆算でいきますと、輸送費が非常にかかりますので、契約単価が非常に安くなってしまいます。したがいまして現在のところは、鹿児島、宮崎における単価をとりまして、それから大隅の産地からの輸送経費を差し引いて、これは四円程度でございますが、それで単価を五十五円というふうにはじきまして、それをもとにしまして沖繩の方へも同じ単価で適用するという形で、私ども相当優遇をしておるつもりでございます。したがいまして、たとえば冬キャベツの主産地であります愛知の場合の市場での実勢価格からの手取りを計算しますと、大体同じくらいの価格になるというような形にしておりまして、政策上一つの目標にしておる価格との整合性をとった単価でできるだけの優遇措置をとっておるつもりでございます。  また、私どもこの契約栽培を通じまして沖繩県の方々に野菜の生産の方向へ踏み切っていただくという意味も込めまして、契約栽培をやる場合には同時に、集出荷施設等につきましても補助を申し上げるという形をとっておりまして、実は先ほど先生指摘のとおり、六農協のうち三農協が契約をやめましたが、しかしほかのもっと有利な野菜、本土へいま非常に伸びておりますサヤインゲンでございますとかそういう野菜へその施設を御利用になって転換されているという意味で、キャベツはどちらかといいますと野菜生産としてはわりあいに粗放的な生産でございますので、もう少し労力を燃焼するという形で有利な野菜生産へ向かわれた点があったわけで、私どもとしては、施設補助もした関係もございまして、引き続いてやっていただきたかったわけでございますが、しかし沖繩の野菜全体の振興という方向へ向かっていかれることについて、それはやむを得ないだろうというふうに判断したわけでございまして、そういう意味では、この契約キャベツが沖繩の野菜振興の一つのきっかけになったというふうに私ども考えておるわけでございます。  それからもう一つ質問ございましたレタスと白菜の件でございますが、実は五十五年度に実験的に鹿児島県で実施いたしましたので、まだいま販売中でございますので、その結果を見まして今後どうするかを検討したいと思っておるわけでございます。実は、鹿児島からの輸送につきましても荷傷み等がございまして、少し市場での評価を落としたという点がございますので、沖繩の場合には船という問題がございますので、レタスそれから白菜というようなどちらかと言うと軟弱な野菜について、果たして可能であろうかどうかというところはちょっと問題があるのではないかと考えておりますが、来年度につきましてはもう少し検討させていただいて、沖繩県等ともいろいろ御相談をさせていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  51. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員 いま課長お話を伺いまして安心したのですが、これを栽培せずに、またキビだとかパインだとか生産性の低いものをやっているということだと問題だと思うのです。より生産性の高いといいますか、収益率のいいものに転換していくということならば、沖繩の農業の体質改善に資しているものと理解できるわけでございます。  もう一つの問題として、先ほど課長さんの方からお話ございました病害虫の問題についてお尋ねしたいのでございます。  現在、もう皆さん御存じのウリミバエとミカンコミバエの問題が大変出ているようでございます。実は、私もしばしば沖繩に参りまして、昨年も委員会調査で二度ばかり行ったのでございますが、見てまいりまして、大変ひどい病害虫だと認識しております。そして、いま出荷制限がされているようでございますが、沖繩の方が大変好きなニガウリ等にもよくつくそうでございます。あと、スイカだとかメロン、パパイヤ、トマト、インゲン、ピーマン、こういったものすべて金目のものにつくということで、こういったものの域外といいますか、病害虫のいないところへの出荷が禁止されているという状況でございます。  この撲滅というのが大きな課題だと思うわけでございますが、これについてはすでに久米島で成功をおさめて、順次、沖繩本島、宮古、八重山でもやるように伺っているわけでございます。そして、このウリミバエというのは本来、わが国にはいなかったものだそうでございまして、沖繩よりかもっと南方の台湾であるとか、もっとほかの島から入ってきているものだそうでございます。そしてこれがどんどん北上してきているわけでございます。日本本土のような寒いところへ来たら定着しないだろうということを言う人もいるのですが、いろいろ本など読んでみますと、本土に入ったものを本土の気候で飼育してみたら、飼育可能であったというデータもございます。そういうことから考えますと、本土に定着する危険性もあると考えざるを得ないわけでございまして、これを防疫することが緊急の課題だと思うわけでございます。  実は私、昨年、環境委員会沖繩へ行きまして、石垣島まで参ったわけでございます。このとき、環境関連のいろいろな陳情がありましたと同時に、石垣市のある若い市会議員の方がリードします農業を考える若手農家のグループから、会ってくれという話がございまして、会って陳情を受けました。そしてこの人たちが言われることには、いま沖繩の農業もいろいろ考えなければいかぬ。と申しますのは、パインを植えればつくれる、つくって簡単である、それから、キビも植えればそのままで育ってある程度の金にはなる。いわゆる粗放農業であるために非常に生産性が低い。であるから、これを手間がかかるけれども付加価値の高いものにしていかないと、日本復帰記念事業や何かが切れる段階になって、われわれは何で食っていくのだということを真剣に考えているというグループに会いまして、食事をしながらじっくりその人たちから話を聞き、その後農林省、また自民党内の沖繩振興委員会等にこの対策を早めてくれということをお願いしてきたような次第でございます。  いまのこの状態におきましてこれを解決しなければ、いいものをつくろうと言ったって、つくたって売る先がないのだというところに追い詰められております。これの駆除計画につきまして、いろいろ伺っているのですが、省庁によりまして若干のずれもあるようでございますので、そこらの計画についてひとつ細かいところをお教えいただきたいと思います。
  52. 海原公輝

    ○海原政府委員 ウリミバエにつきましては先生御存じのように、不妊虫を増殖いたしましてこれを野に放つという、いわば虫をもって虫を制すというような相当程度の虫が必要だということもありまして、技術者のアベイラビリティーその他を考えますと、時間的にかなりかかるという状況でございます。  現在進めておりますのは、先ほどお話のございました久米島における成功例を基準にいたしまして、久米島の場合は大体数百万頭を対象にしておりました。これを攻めるのには本来、北から南へおりてくるのが一番いいようでございます。ただしかしながら数百万頭から、沖繩本島へいきますと一億頭のオーダーということもございますので、まず三千万頭を単位とする宮古から攻めて、それから本島へ上がり、それから八重山におりるというような計画になっております。まず五十五年度から施設を整備いたこまして、五十七年度までに完了いたしまして、実際に駆除が始まりますのは、宮古につきましては五十八から六十、沖繩本島は六十一から六十四、八重山諸島の方にいくのが六十四から六十六というようなのがいまのところのデザインでございます。
  53. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員 そこで、技術的なことにかかわるのかもしれませんが、農林省でお考えになっている時期がちょっと違うのじゃないかと思いますが、この点は私がお伺いしましたところ、運転開始が五十九から六十が宮古、六十二から六十四が本島、六十五から六十六が八重山というようなことが石垣島に伝わっているわけでございます。これだと十年先であるというので、非常に挫折感が地元にあるわけでございます。この点はいまもし調整がつかなければ後でも結構でございますから、両省庁から聞く答えが同一になるようにひとつお願いをしたいと思います。  そして、この駆除の予算でございますが、二十億かけて国費が十分の九、県費が十分の一で施設をつくり、そして、実行予算といいますか運営予算については全額国の予算でやってくださるということで、大変充実した体制を資金的にはとっていただいていると思います。しかし問題は、いま申し上げました五十八年度までに建物だとか内部施設の充実を行って運転を開始し、五十九年から六十年に宮古をやり、そして六十二年から六十四年本島、六十五年から六十六年八重山としますと、約十年先にならないと八重山がやれないということになります。そして、この若手の沖繩の将来の農業を真剣に考える人たちが、キビ、パインのみに頼る粗放農業ではだめだと目覚めて、沖繩の農業構造の体質自体を改善していこう、一生懸命手間もかかるけれどももうかるんだということをやっていこうという人たちが、非常に挫折感を持っているような状況でございまして、こういったことにつきまして、この計画を早くすることができないものだろうか、そういうことを御努力いただきたいわけでございますが、そういった点について沖繩開発庁の御意見を承りたいと思います。
  54. 海原公輝

    ○海原政府委員 お答えいたします前に、農林省との年度につきましての若干のずれという御指摘がございました。実は実際に不妊虫を放飼する前に密度を抑圧するというために、不妊虫は放飼しませんが薬剤を散布する、そういう部分を若干入れ込んで私、御説明いたしましたので、不妊虫放飼ということに限定いたしますと、先生が御指摘になった数字が正しい、その点では農林省とも一致しておりますので、まず誤解を解いていただきたいと思います。  それから、これをできるだけ早めたいということは、私どもも一日も早くこれが駆除されまして、野菜がつつがなく本土に送れるという事態を念願しているわけでございます。私、技術的に必ずしもよくわかりませんが、先生の御趣旨を踏まえまして農林省ともよく協議いたしまして、なるべく前に持っていけるのかどうか、その辺も含めまして相談させていただきたいと思います。
  55. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員 ぜひそのように格段の御努力をお願い申し上げます。  それと、この実施に関しまして若干の不安があるのでお伺いいたしますが、いまこの二十億の予算は、沖繩振興開発特別措置法に基づいてやっておられると思いますが、五十七年で御存じのとおり十年ということでございます。そして、この後この法律がどうなるのか、またそういった場合にこの事業が何か悪い影響を受けることはないのか、予算の獲得は大丈夫なのか、また総理が先般来、補助金の一律カットというようなことをおっしゃっておられます。そういった場合に、この二十億と決めたものが一律カットされて困るような事態が来ないのか、そういうことに対しまして、このせっかく立てた計画が万遺憾ないようにいくことが望ましいわけでございますが、そのところの対策、見通し等について沖繩開発庁の方からお答えいただきたいと思います。
  56. 海原公輝

    ○海原政府委員 現在ウリミバエの設備の補助率十分の九ということで、非常に高い補助率になっているところでございます。これに限りませず、いろいろな補助率あるいは負担率、沖繩には本土にない制度もございますし、また高率になっているという実態がございます。これらにつきましてはどうするかということは、沖繩振興開発計画のデッサンをどうするかということともある意味で密接不可分ということでございます。これにつきましては、ウリミバエの駆除対策ということも非常に大事なことであることは十分認識しております。その沖繩振興開発計画なり振興措置法をどうするかという検討の過程の中で、先生の御意見も踏まえながら検討させていただきたいと思います。
  57. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員 この事業が挫折しないようにぜひ検討をお願いしたいと思います。  次に、いま駆除が完成しました久米島のことについてお伺いいたします。  久米島からウリミバエがいなくなったということなんですが、最近、フェリーボートや航空便でニガウリを運んで久米島にまた持ち込んでいるらしいということが言われております。そして実際に、一九七七年十月と一九七八年三月に久米島でウリミバエの再侵入というのが発見されているわけでございます。これが発見場所から見て、人間がウリか何かにくっつけて持ってきたものだろうということが想像されるということを言っている学者があるのでございます。こういうことを何かやはり対策を立てていかないと、せっかく大きな予算をかけてやったところがまた汚染されるということがあっては大変だと思います。その対策についてと、これもほかの地域も早期にやってしまえばこんな問題は起こらないのでございまして、早期撲滅をお願いするわけでございますが、その対策について農林省の御見解を承りたいと思います。
  58. 管原敏夫

    ○管原説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、ミバエを早期に撲滅することが一番重要でございますが、沖繩開発庁から御答弁ございましたように、技術的な問題もございまして、年次計画によりまして撲滅作業をやっていかざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、撲滅されたところへ再侵入を防ぐための措置は、いま先生指摘のとおり、海港、空港での検査を実施して、持ち込みがされないようにということを取り締まりを行うと同時に、パンフレットをつくったり、それから各住民の方々にPRをしたりして指導を行っておるところでございます。  しかしながら、御指摘のような事例があるということになりますと、再侵入防止という観点から非常に遺憾なことでございますので、今後につきましてもさらに指導を強化するとともに、地元の方々の御協力を得まして、そのようなことがないように事業を的確に指導していきたいというふうに考えております。
  59. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員 そこで、時間がなくなってまいりましたので、最後に総務長官にお伺いしたいわけでございます。  私ちょっと沖繩の農産物の生産を県の資料で調べてみたのでございますけれども、五十一年、五十二年、五十三年までの資料を見てみまして、全体の出荷量、サトウキビがその中に占める比率、また野菜が占める比率、それの売上高、パイン等を見ますと、五十三年でも全体で八百六十億七千四百万円の出荷量だそうでございますが、これは生産のトン数にしますと二百二万六千四百二十六トン。この中で、サトウキビが百六十七万二千トン、野菜が八万七千九百トン。しかしこの売り上げの金額を見ますと、サトウキビは三百十三億二千万円にしかならない。野菜は、トン数は八万七千九百トンですが、百七十五億一千三百万円になっているわけでございます。  十アール当たりの総生産量を計算してみますと、サトウキビが五十三年度で二万三千三百七十五ヘクタール、野菜が四千七百五十ヘクタール、そうしますと、十アール当たりの生産高が、キビが十一万一千七百二十二円、野菜が三十九万一千七百四十円、明らかな生産性の差があるわけでございます。そして、いままで私ども沖繩を見てまいりますと、復帰事業にかかわる道路に代表される公共投資、また、あらゆる補助金に頼った財政が沖繩で行われてきた。しかしいろいろな復帰記念事業も、道路も大体石垣等ではできてしまった。さてこれから何をやるのかというと、非常に不安を持っておられるのが沖繩の方のお気持ちだと思います。  そこで、これを根本的に解決するための一つの大きな柱が私は、この沖繩の農業構造改善の問題だと思うわけでございます。なかんずく、その構造改善の中で一番重要なのが、理詰めで言ってみると、このウリミバエの駆除ではないかと思うわけでございます。そこで私は、この駆除を総務長官になるべく早くやっていただくようにお願いするものでございますが、それに取り組みます総務長官の決意と申しますか、お考えをお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  60. 中山太郎

    中山国務大臣 沖繩の農業について先生が格段の御配慮をいただいていることに、厚くお礼を申し上げたいと思います。  私も沖繩開発庁長官に就任しまして、沖繩の産業全体に占める第一次産業の中で、特に農林水産業がどうなっているのか、これがやはり沖繩の大きな問題、しかも、パインとそれからサトウキビといいますか、いわゆる補助金のたくさんかかるもの、しかも生産性が低い、こういう問題が第一次振計の中では、本土復帰について、ひとまず本土並みの経済というものに近づけたいという沖繩の方々の願望にこたえて政府がとってきた第一次振興開発計画であったと思うのですが、いま終わろうとするこの時点で振り返ってみて、それに対するコメントをするならば、やはり付加価値の高い農業生産に転換するようなことを図らなければならない。  私も先般、宮古へ参りまして、農業改良事業を見てまいりました。三十数億円の財政投資をやっておるわけでありますが、そこへ何を植えるかと言えば、サトウキビを植えるということでございますね。そういうことから考えて、そこでどれだけの生産性が上がって農村の方々に所得として入っていくんだろうかということを、現場を見ながら実はつくづく考えさせられたようなことでございます。これは何も宮古に限ったことでなく、本島も石垣もすべて、ここで一度沖繩における農林水産業というものの発想の転換をする必要があるんじゃなかろうか。  しかし、これによって現在、その農林水産業に従事していらっしゃる県民の方々に動揺を与えることは政治上好ましいことではない。だから私どもとしては、現在の方々に不安を与えないという政治情勢をつくりながら、新しい形の沖繩の地理的特殊性を利用した付加価値の高い農業への移行ということが、きわめて必要であろうというふうに私も感じております。そういうことから考えると、花井やそれから端境期における野菜の本土への移出ということを基本に考えなくてはいけない。  そこで、ウリミバエのいわゆる撲滅ということが不可欠の条件となって出てまいりますが、御指摘のように、この虫卵の島から島への移転ということは当然、昆虫学的にも生物学的にも考えていかなくてはいけない。この間参りまして、実は石垣の土を宮古に移すというプランがあったそうでありますけれども、宮古は御案内のようにハブのいない島だ、石垣はいる、そういうことで、ヘビの卵が移転する土壌の中に移される可能性があるということで中止になった。まあ賢明な判断だったと思いますが、生物学的にも考えて、琉球大学あるいは熱帯農業研究センター等を中心に、沖繩開発庁としても関係省庁と十分連絡しながら、第二次振興開発計画において、このウリミバエ撃滅ということを早い時点に繰り上げていくということと同時に、農家の方々の所得を何倍増かにするために、新しい農業政策というものをぜひ樹立いたしたい、このように実は考え、指示をしておるところでございます。
  61. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員 いま中山国務大臣から力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。関係省庁の皆さま方にお願いいたしますが、どうか沖繩の農業構造改善の柱として、ウリミバエ駆除対策に格段の御尽力を賜りますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  62. 小沢貞孝

    小沢委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時五十四分開議
  63. 小沢貞孝

    小沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  64. 上原康助

    ○上原委員 せんだっても沖繩振興開発計画について長官に基本的なお考えをお尋ねしたわけですが、きょうも、言うところの第二次振興開発計画がどういう位置づけをされ、あるいはどのようなプロジェクトといいますか分野を柱とするのか、大変関心が持たれていることでございますので、もう少しこの点についてお尋ねをさしていただきたいと思うのです。  そこでせんだっては、過去九年の現在の第一次振興開発計画の進行状況を考えた場合に、やはり二次振計は必要であるという前提で作業をいろいろ進めておられる。その二次振計を考えるに当たっては、大筋の考え方として、第一次産業の位置づけ、もちろん二次産業もそうでしょうが、あるいはそれとの関連におけるエネルギーの確保の問題、また人づくり、そういったことを基本に据えてこれから政府全体のまとめをしていきたいというような御所見がございました。  私も大筋においてそうじゃないかという感じを持つわけですが、ただ懸念されることは、御承知のように第一次振興開発計画というのは日本の高度成長期のピーク時にあった。下降時になっておったかもしれませんが、一応高度経済成長を基調とした発想、計画であったことは否定できない事実だと思うのですね。それだけに本土との格差の是正ということに最重点が置かれたこともまた指摘されているとおりだと思うのです。これらの諸点は、当時の復帰という激動あるいは復帰に対する不安から考えてやむを得なかった面もあったと思うのですが、しかし第二次振計を考えるに当たっては、そういった第一次振計の延長線上の発想とか計画ではいけないのじゃないかという感じを私は持っておるわけなんです。  そこで、改めてどういう基本理念といいますか、基本構想をお考えになっておられるのか、また、その基本理念に基づいた第二次振計の主要な柱となるものはどういうことをお考えになって、いまそういった計画が詰められているのか、ぜひひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  65. 中山太郎

    中山国務大臣 先生かねがね地元沖繩のために御心配をいただいていることに改めて敬意を表しておきたいと思いますが、第一次振興開発計画が終わろうとする現時点で、第一次振計を見直すという作業を実は沖繩開発庁としてはいたしております。人口問題が一応、返還当初七十万であったものが百万を越す、当初の目標百万、これが一応百万をオーバーした、これは一つの目標達成であります。第二は、県民所得はどうか、これが一番問題で、復帰しても七〇%しか所得がない。それから、失業率が本土に比べて二倍半ぐらいある、しかも青年の層に失業率が高い、これは一番大きな問題です。そういうことを考えていって、なぜ失業率が高いのか、県民所得が低いのかということが、第二次振計を立てるに当たっての一つ前提としての検討条件になってまいろう、私はそのように考えて行政当局を指揮しておるわけでございます。  われわれが沖繩の産業を見ていると、結局、第一次産業の占めるシェアというものが、比較的本土と比べるとといいますか、私の方から言うと、本土と少し違った問題点が顕著であるのではないか。サトウキビ栽培、それからパイン栽培、これは本土と全然違う地理的な特徴であろうと思っております。この産業が持つ一つの性質、それはやはり補助金というものが非常に関連性が強い。これと、それから先ほども午前の質問にございましたが、付加価値の問題というものが出てくる。これをどういうふうに切りかえれば沖繩の農業従事者たちの所得が豊かになるだろうか。本土でも、普通の農耕作業をやっている場合、米をつくれば必ず政府買い上げで所得が安定する、こういう考え方からいわゆる余剰米というものが出てきている、それに対する批判が起こってくる、耕地の転換ということがいまの本土の農業の大きな命題でございますけれども沖繩の場合には、やはり沖繩特殊性というものを十分配慮して農業政策の見直しをしなければならない。それは、サトウキビ栽培あるいはパイン栽培の従来からの流れというものを見ながら新たに付加価値の高い農業を振興させていく、そのために手を打っていく、こういうことが第二次振計に当たってはきわめて必要であろうと実は考えております。  もう一点は、水産業でございまして、水産業は、やはり栽培漁業をどうするか。いまクルマエビの養殖とかいろいろな魚の養殖産業というものが緒についたところでございますが、マグロなどの養殖が世界的に言われている中で、沖繩の海域では可能性があるだろうかどうかということについても、いま専門家に相談をしておるところでございます。  モズクなどの売り上げも非常によくなってきた。牧畜の面では、石垣を中心に酪農というものが一つの流れを見せ始めた、非常にありがたいことだと考えておりますが、問題は、第二次産業がどうもうまく育たない。それは水とエネルギーの問題。午前中に小渡委員の御質問もございましたが、エネルギーという問題について沖繩が地理的に非常にハンディキャップを負っている。沖繩電力電気料金の問題、これが一番頭の痛い問題でございます。これは当面値上げしない、値上げすれば沖繩産業が崩壊する、こういうことで、私は沖繩開発庁長官として、在任中は絶対に沖繩電気料金値上げしないという方針を堅持してまいろう、こういうことでございますが、問題は、いかにして石油専焼の火力からいわゆる脱石油を図るかということが戦略として必要になってきておるわけでございまして、このために石炭火力への転換というものに対する政府の助成を強めていく。それには、電源開発株式会社というものを一枚かませて、石油専焼火力から石炭火力への転換を図って脱石油方向に向いていくということ。もう一つは、太陽熱の利用をどうするか。沖繩は亜熱帯地域でございますから、太陽の照射が強い。この太陽の熱の利用転換というものを政府は本腰を入れてやる必要があるということで、実は横浜国立大学の太田教授にお願いをいたしまして、ただいま太陽熱を利用するシステムの開発を沖繩については篤と御協力を願いたいということを申し上げているところでございます。  もう一つ、水の問題でございますが、水不足が絶えない。そこでダムを建設しておりますけれども、ダムの効率というものが一体どうなるのか。そういうことから考えていくと、将来、本土の水不足が必ずやってくるということは間違いないので、こういう前提を踏まえて、まず沖繩で海水淡水化を石油を使わないでやる方法を実用化したい、こういうことで、かねて通産省は、工業技術院のプロジェクトとして、この海水淡水化を茅ケ崎の造水センターでやって開発に成功した、これを実用モデルとして沖繩で行うということが一点。  もう一つは、太陽熱を利用するシステムを沖繩でやる。不思議なことに、鹿児島に参りますと、太陽熱を利用した温水器のセットが農家の上にも民家の上にもずいぶんあるのですけれども沖繩にこれが普及しない、こういうことで、ソーラーシステムの企業に対しては沖繩に対する積極的な進出と、これに対する税制上の助成措置というものを、県知事に対して検討するように沖繩開発庁長官としては依頼をしておるところでございます。  第三次産業の問題として、観光産業というものが二次振計をつくるに当たっては非常に価値のある産業だ。海洋博のときに百万という観光客がございましたが、一時減った。それが昨年では百八十万人ぐらいが行っております。一人の消費金額が十万円でございますから非常に大きな所得源になってくる。しかし、石垣とか宮古へ行って聞いてみると、どうも宿泊施設が整備されていない。しかもあの美しい天然の風景、風光というものは沖繩にしかないわけですけれども、亜熱帯の地域の海浜を利用したリゾート地帯の形成というものがこれから公共事業として検討することが可能かどうかということについて、すでに沖繩開発庁の事務局に対しては検討方を命じております。これをうまく開発して、現在百八十万人に及ぶ観光客をさらに二倍増、三倍増にする方向ができないものだろうか、こういうことに政府が積極的な助成ができないか。そういうことになれば、沖繩の産業を育てていくと並行して、本土でいわゆる金を握っている人たち、こういう人たちを沖繩に向けていくことが可能ではないか。そこで消費をしていく、そうすれば第三次産業というものはさらに発展していく、こういうことを私どもは実はいま検討をしているところでございます。  一方、国際センターというものをASEANとの、ネットにして沖繩につくるということで、外務省にもお願いをし、鈴木総理の決断で、先般のASEAN訪問の総理の発言等においても御承知いただくように、沖繩にリエゾンオフィスをつくるということは政府の方針として決定されたわけであります。こういうことから考えていくと、問題は沖繩の国際化、いままでは軍用基地、日本の軍事基地の五三%が沖繩にあるということで、沖繩の方々には非常に暗いイメージを与えておりましたけれども、私は新しい文化活動の面での沖繩の未来というもの、夢のある沖繩というものを建設するためには、新しい形での国際化された沖繩というものをつくっていこうという方針を立てまして、ただいまこの作業に取りかからしておるところでございます。  昨日も衆議院の委員会で政府の方針として申し上げましたが、沖繩本土並みということになりますと、道路が舗装される、港湾あるいは飛行場の整備というものが行われていって、残っておるのは、やはり小、中、高の学校のプールの問題とかあるいは屎尿処理の問題とかいろいろな問題が残っておりますけれども本土並みになっていくと、やはり問題点としては、あの長い、誇りのある文化というもの、伝統のある歴史というものが、いわゆる本土並みにファッション化されないかということが私の最大の不安でございまして、第二次振興開発計画の中には、沖繩の輝ける伝統といいますか文化というものを保存するために歴史博物館というものをぜひ建設して、この国際化する沖繩の中で一つの文化としての価値というものを位置づけたい、このように実は考えて作業を命じているところでございます。
  66. 上原康助

    ○上原委員 長官はなかなかアイデアマンということで評価されているし、また、いろいろお書きになっている面、長官のことについて書いている面でも、いまお述べになったことが構想として、アイデアとして相当出てきているわけです。これは単なる構想とかアイデアだけじゃなくして、実際に二次振計でいま大臣お述べになったことが具体的に計画として盛られてこなければいかないと思うのですが、それは具体的な作業を命じて指示しておられるということですから、少なくともいまお述べになったようなことは盛られた二次振計になることが予想されている、そういうものを盛ったものを二次振計として位置づけていくということで理解をしていいのかどうか、その点ひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。
  67. 中山太郎

    中山国務大臣 私が委員会で申し上げていることは、すでに事務的に検討を命じ、実現の可能性のあるものに限って発言しておることでございますから、どうぞ御信頼をいただいて間違いないと思っております。
  68. 上原康助

    ○上原委員 そこで、構想については大体概要というのがわかってきたような感じがするわけですが、われわれもすでに私たちなりの立場で、第二次振興開発計画に当たっての提言ということで、昨年の十一月七日に西銘知事に提案をいたしている面もあるわけです。  今後の沖繩の振興をどう進めていくかということについては、われわれの立場と一番食い違っているのは、やはり基地の問題なんですね。あれだけの基地の存在をどうするかということ、この点もぜひ念頭に置いた策定をしていただきたい。これは沖繩復帰の際にも、本土並み基地に縮小していく、少なくとも基地の態様については本土並みに持っていくということが国会決議もなされながら、今日まで依然として五三%あるということ、きょうはこの議論は避けますが、避けて通れない。いま大臣がおっしゃるようないろいろな経済活動を県民の側に立って進めていく場合には、どうしても基地の存在というものが災いになっているわけですから、このことも十分考えて最終的なまとめはやっていただきたいということを注文をつけておきたいと思うのです。  そこでもう一つは、第一次産業の件ですが、確かにサトウキビとかパイナップル、これは沖繩特有の農産物ですから、ますます生産性を高めると同時に品種改良その他をやりながら、振興を図らなければいけないと思うのですが、よく言われるようにその面だけに依存をするということもまた、これからの農業所得あるいは農業振興という面で考えなければいけないという点は否定はいたしません。  そこで、農産物の付加価値性をどう高めていくかということが大事だと思うのです。これは第三次産業との有機性、連関性というものを持たせながら同時に、一次産品を加工していくところの二次産業的な地場産業を興していくということもやはり大事な点じゃないのか。そういう面で私たちは、海洋博後においては相当のショック、いろんなことが露出いたしましたから、そのときに農業、第一次産業の見直しということを強く求めましたが、私たちが指摘をしたことが今日、どなたがお書きになっているものを見ても、第一次産業の重要性を否定をしている方はいらっしゃらないのです。  たとえばいま沖繩協会で沖繩振興開発シリーズというものをずっと出しておられる。これなんかもいろんな方が出して、あるいは開発庁の相当のスタッフの方々もいろいろ講演をしていらっしゃる。こういうものを見ても、第一次産業の農業の重要性というものを否定はしていらっしゃらないのですね。ですから、これをどう第二次計画において位置づけて、より生産性を上げるあるいは農業所得を高めるかということと、沖繩の全体的な産業振興というもの、経済振興というものとの有機性、連係を持たすかということが私は大事だと思うのです。この点についても相当お考えになっておられるようですから、十分に取り入れていただきたいということ。  そしてそれとあわせて、では、中城湾開発とかあるいはそのほかにもいろいろのプロジェクトがいま言われているわけですが、言うところの第二次産業は一体どうするかということです。一次産業でこりたかもしれませんが、これが相当ぼけてきている。私たちはCTS基地がふえればいいということではいけないと思うのです。しかし、二次振計においても果たして可能性のある二次産業というものがあるのかないのか、この点もやはりもっと検討をしておく必要があると思うのですが、二次産業の位置づけについては現段階ではどのような構想をお持ちなのか、ちょっと聞いておきたいと思うのです。
  69. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、第一次振興開発計画の中で第二次産業につきましては、目標年次におきまして約三〇%程度までこれを押し上げるという考え方に立っておるわけでございます。基本的な問題あるいは細かい立地条件その他の問題等々ございまして、依然として現在二〇%、特にその中で建設業につきましてはかなりの成長を見ておりますけれども、いわゆる一般製造業につきましてはなかなかにふるわないというような問題が出てまいっておるわけでございます。この原因といたしましては、沖繩が地理的に非常に隔遠の地にあるというような問題、それから、先ほど大臣が申し述べましたように、基本的に水資源の問題あるいはエネルギーの問題等々困難な課題を抱えておるという問題があるわけでございます。  ただいずれにしても沖繩の産業振興に当たりましては、一次、二次、三次の別を問わずいずれも、今後の沖繩が自立的に発展していくために、やはり産業振興というものが基調に据えられておらなければならないことは当然のことでございまして先生から御指摘のありましたような、たとえば一次産品の加工度を高めていく、あるいは観光関連の各種の加工を沖繩において行っていく、要するに加工度を高め、県内での循環を高めていくというような方向での努力もなされていかなければならぬのだろうというふうに思います。また、いわゆる企業の立地の問題につきましても、現在まで工業開発地区の指定はございましたけれども、いわゆる工業団地の造成といったものはようやっと最近において緒についてきておるというような形になっておるわけでございまして、二次振計の中で産業振興を考えていくという場合に、二次産業もかなりのウエートを占めなければならないものというふうに私ども考えておるわけでございます。
  70. 上原康助

    ○上原委員 建設業が非常にウエートを占めているのは、公共事業あるいは財政主導型のいまの経済ですからね。しかし、これがいまのような財政再建その他経済動向からして、必ずしも持続していくかどうか非常に不安的要素もありますね。そういう面も考えました場合には、相当多角的なことを想定をしてやっていただかないと困ると思うのです。残念ながら二次産業については、目玉的なものはなかなか考えにくいということかもしれませんが、一応聞いておいたわけです。  そこで、私は冒頭申し上げましたように、格差是正ということは、差があるということであればこれは縮めていかなければいかぬのは当然であります。しかし、二次振計の場合は基本的理念として、単なる格差是正だとか本土後追い方式ではいかないということです。とするならば、沖繩の立地条件をどう生かすかということだと思うのです。テンポは少し緩やかでも、沖繩離島を含めた地域の住民の経済に資していく、安定向上を図っていくということが、一番ポイントでなければいけないと思うのです。そういう面からすると、冒頭大臣がいろいろ述べられたことは、沖繩の立地条件をより活用した振興のあり方を図っていきたいということが基本だと思うのですが、それはそれでいいわけですが、やはり沖繩の亜熱帯性あるいは温暖な気候というものを生かしていくという場合に、日本全体として沖繩のそういった地域性というものをどう国民的立場で活用していくかということの視点も私はやはり大事だと思うのですね。  そういう面から考えますと、いろいろあるでしょうが、先ほどの農業問題、けさもほかの方々からもお尋ねあったように、端境期の野菜の問題とかいろいろ花卉園芸等あるでしょう。それも相当活発化していることは御案内のとおりですね。しかしもう一点のわれわれの提言として、日本の現在の高齢化社会というものが急速に高まってきている、これは二十一世紀にかけて否定できない一つ方向として出てきているわけですね。厚生省もおいでだと思うのですが、そういう面からすると、冬場の北海道あるいは東北といった寒い地域からお年寄りが、六十五歳あるいは六十代、いわゆる高齢化に差しかかった方々が沖繩に行って冬場を過ごしていくという保養基地的なもの、そういうことも当然二次振計の中には位置づけて、これが即一、二年でできるとは考えませんが、少なくともそういったコミュニティー的なものをつくる、それをまた国際センターとかそういう面との関連で有機性を持たすということであれば、沖繩という狭い範囲ではなくして日本国全体として国民的立場で、沖繩地域の活用性という発想が私は政策的に生まれてこなければいけないという感じがするわけですね。  そういう面についてはどうお考えなのか。また、これからの人口問題、動向などを考えた場合に、高齢化社会におけるいろいろな福祉政策とか余生、余暇を有意義、有効に活用していくという面からすると、私が申し上げている点も決して単なる思いつきじゃないと思うのですね。これなども久場政彦先生なんかも非常に強調しておられるし、また、皆さんのいろいろなこの座談会を見てもそういった面が強調されているわけですが、こういう面を取り入れていくお考えはあると思うのですが、どのようにお考えなのか、ぜひひとつ取り入れていただきたいという要望を含めて申し上げているのですが、お聞かせいただきたいと思います。
  71. 中山太郎

    中山国務大臣 先生指摘の点は、私も非常によく似た考え方を実は持っております。ハワイとアメリカとの関係、それから沖繩日本本土との関係、そういうことを対比してまいりますと、果たしてハワイに第二次産業というものがそんなに育っているのかというと、ハワイにおける第二次産業というのは非常に低いわけですね、観光産業が主力であります。しかも、米本土及び東南アジアの各国の人たちがあそこへ行って消費をする。それからあそこは御案内のように、ハワイ大学とイースト・ウエスト・センターというものができて、ASEAN地域とネットワークされている。一方、琉球では、琉球大学のキャンパスがほとんど完成に近づいて、しかも熱帯医学の日本の権威者があそこの琉球大学の医学部長と病院長に就任をされた。ここに今度、鈴木総理の英断によって国際センターをつくって、ASEANとのネットワークのリエゾンオフィスができる。こういうことから考えていくと、私は日本のハワイに持っていける可能性というものは下地としてできつつあるのではないか。  ただ問題は、現場を見てみて私がつくづく痛感することは、保養施設というものが整備されていません。なるほど海洋博のときにいろいろなホテルができましたけれども、それは沖繩本島に集中しておる。石垣に行きましても民宿中心でありますし、宮古に行ってもこれといったすばらしいホテルもない。しかし風光は明媚であります。そういうことから考えると、そこに政府がどの程度まで沖繩県と協調しながら、日本の国民全体にとってのいわゆる保養地としての条件を整備できるか、こういうことを第二次振計の大きな一つの柱にするべきであるということは全く一緒でございまして、それについても事務当局に検討を現在させておる最中でございます。
  72. 上原康助

    ○上原委員 それで厚生省にちょっとお尋ねしておきたいんですが、そういう計画も取り入れていただく、検討中ということですから、これからの高齢化社会に向けてのいま私が申し上げたような——沖繩の亜熱帯気候を利用しての保養施設とかあるいは老人憩いの村とかいろいろ構想がこれまで出されましたね。今後の日本の人口動向という点、老齢化社会というものが急速に高まってきている、あるいは出産率はきわめて落ちている。横ばい的なことであるとすると、現在はまだまだそれほど切迫感はないかもしれませんが、どういうふうに変化していくのか、または変化をしていくことに厚生省としてはどういう計画をお持ちなのかということと、さっき申し上げたように、たとえば沖繩の地理的条件というものをそういった高齢化社会に向けて活用していくということは、私は政府全体としてお考えになってしかるべきだと思うし、また、大臣もいまそういうことを検討していきたいということでしたが、厚生省としてのお考えもひとつこの際、あわせて聞いておきたいと思うのです。
  73. 成島健次

    ○成島説明員 ただいま先生お話しのたとえば老人憩いの村のごときものを沖繩県に設置してはどうかということでございますが、この件につきましては、沖繩県とも今後十分御相談しなければならないことではないかと考えております。沖繩県でも具体的な計画、ただいま現在、特に持ち合わせていないやに伺っておりますけれども、県の計画が煮詰まった段階で、それをもとにいたしまして、現行の助成制度の枠で弾力的に対応していきたい、このように考えております。
  74. 上原康助

    ○上原委員 ですから、現在でも老人憩いの村というような制度はあるわけですね。それも一つ方法なんだが、それよりも沖繩全体のいま二次振計とのかかわりで、そういった老齢化社会に向けての地理的条件を生かした国の政策として、新たな角度で考えてもいいんじゃないかというのが私の先ほど提案なんですね。これについて、開発庁としては二次振計に位置づけてやっていきたいということだから、厚生省としてもそういう対応はしていただかなければいかぬじゃないかということで、二つの問題があるわけです。現行制度の中でできる面、これは厚生省ルートでできるかもしれない。しかし、国全体として老齢化社会に向けた、たとえば沖繩のああいった亜熱帯温暖気候というものを活用していくという場合には、やはり一つの政策として出てこなければいかぬわけでしょう。その点のお考えはあるのかないのかをお尋ねしているわけです。
  75. 成島健次

    ○成島説明員 全く新しい制度として、たとえば保養地を建設してはどうかという御趣旨とただいま承りましたけれども、そのような制度につきまして厚生省も、高齢化社会に向かいまして検討していかなければならないとは思いますが、関係各省庁にまたがることでもございますので、今後慎重に対処していきたいと考えております。ただ、繰り返しになりますが、沖繩県で今後検討するであろうたとえば保養地としての老人コミュニティー施設、こういうものにつきましては、現行制度の枠内で厚生省としても弾力的に対応してまいりたい、このように考えております。
  76. 上原康助

    ○上原委員 それはぜひさつき長官がおっしゃったようなことでイニシアチブをとって、二次振計に十分生かされるように御要望申し上げておきたいと思います。  それから、さっきお話がありました国際センターの件ですが、この点はすでに外務委員会などで玉城先生やほかの方々がいろいろお尋ねしておられるので重複を避けますが、一、二点だけ外務省も来ておられると思うのでお伺いします。  私の印象なんですが、正直申し上げて、そんなにでっかくぶち上げているほど中身はないのじゃないかという感じもしないでもないわけですね。単なるリエゾンオフィス的なことになりますとどうかと思いますし、やはりこれも二次振計に十分に位置づけてそういう一環として、もちろん最初から大きなものにはならないでしょうが、将来展望としては国際交流の拠点にしていくのだという十分な位置づけと基本構想というのは、ぜひお持ちになっていただきたいと思うのですね。そこがどうなっているのか。単に沖繩がASEAN五カ国にそれぞれできるセンターとの中継基地的な役割りをするということであると、メーンはやはり東京ということになりますからね、こうなると、いま大臣がおっしゃったように大きなメリットが出るかどうか、若干疑問を持たざるを得ない。当面はそういう形でスタートをしたにしても、沖繩は南の玄関としての国際的交流、特にASEANとの関係は文化的にもいろいろな交流の面においても深いわけですから、そこを正しく位置づけていかないとなかなかうまくいかないような感じがしてならないけれども、ここからがどうなっているのか、細かい点は省きますが……。  もう一つは、いつか私、お尋ねしたことがあるのですが、県は今日までコンベンションホールというものを大変強調してきたわけですね、この県の言うコンベンションホールとの結合はどういうふうに位置づけていくのかということが大事だと思うのです。外務省からいただいたいろいろな資料によりますと、当面の活動計画としては大体四つぐらいの柱を挙げていらっしゃるわけですね。しかし、さっき大臣もおっしゃいましたように、は亜熱帯農業の植物研究など御専門ですから、そういった総称したようなことを国際センターでは研究もしていくというようなところまで発展をさせていかないと、地域社会に貢献する度合いというものは少ないのじゃないかという感じもしないわけじゃないのです。こういった県の構想と現在の国際センターとの結合性というものはどうなのかということ。  さらに最近、耳なれないことが出てきておるわけですが、沖繩協会あたりが流動研究所の設置ということを考えておる。第一は地域経済の問題、産業振興、第二点目はエネルギー部門、第三は、さっき長官がおっしゃったこととあるいは符合するかもしれませんが、海洋開発というように、これは日本の学者のシンクタンクみたいなことで、これからの沖繩をどう位置づけ、開発していくのか、あるいは沖繩というものをもう一度国内的にも国際的にもどうアピールしていくかということで一遍、総合研究といいますか、これを考えてみたいという発想かもしれません。この流動研究所は、国際センターなりそういうものとの関連性が一体あるのかどうか、ここらを含めひとつあわせて御見解をいただきたいと思います。
  77. 中山太郎

    中山国務大臣 沖繩に流動研究所をつくるという構想は実は、私が就任して以来一貫して主張してきて、それの調査費をすでに今年度の予算でお願いをしているところでございます。これは琉球大学、国際センター、それから流動研究所と一つのリンケージになっているわけです。  構想としては、ASEAN各国に研究所ができる、たとえばインドネシアが望むならばバイオマス、あるいはタイは何を望むか、あるいはマレーシアは何を望むか、シンガポールは何を望むか、そういう各国の自主的な意見というものを日本が聞いて、そして日本日本で、協力するべきことを国際協力事業団を中心に外務省が主導性を握ってやっていく、こういうことで沖繩県が土地を提供する、こういう形になっていくだろうと思うのですが、問題は、流動研究所をなぜつくる必要があるかということでございます。  御案内のように、今年の科学技術庁の流動研究システムに五億円の予算をとって科学技術会議に付託されて、これは先日決定したわけでございますが、これは内地、いわゆる各県にはそれぞれ大学がございます。あるいは国立大学がある、あるいは官民の優秀な研究所がある。琉球大学というものは後発の大学でございます。そういうところでいわゆる国際センターを沖繩につくった場合に、本土の大学との学識の流通というものはどうなるかというのは、東南アジアからやってくる研修生の一つの大きな問題点だろうと思うのです。  そういう場合には、沖繩協会に今年、お願いをして流動研究所の調査費をつける、これは本土にある民間の研究所あるいは地方自治体の研究所あるいは国立の研究所、大学、そういう研究所の中で、沖繩の流動研究所がたとえばいわゆる水素エネルギー沖繩で開発したい、それには海洋牧場が必要だ、こういうことになると、そこでヨードというものの利用が必要になってくる、こういうプロジェクトを立てたときに、日本本土全体の研究所から在籍のままで、この沖繩の流動研究所が立てたプロジェクトに五年なら五年の年期を限って参加することができる。そしてそこで参加をする、そして研究をする。このプロジェクトの開発が終われば解散をする。そうすると、その開発した人たちはもとへ戻っていく。それによって、本土の非常に進んだ科学技術というものが沖繩に集約されてくるわけです。一方、ASEANの各国から来る研究生たちは、国際センターで琉球大学との関連と流動研究所との関係の中でそれぞれの日本の進んだ科学技術というものをそこで吸収して、自分の国づくりに帰っていく、こういうシステムをそこで一つリンクさせる。  もう一つは、琉球大学というもののキャンパスができ上がった。先日も私は二十数名の教授たちと二時間半懇談をしてきたわけです。そこで、琉大の若手の研究者というもの、特に琉球大学はアメリカの占領下にあったために、教授の三分の一がアメリカの大学で勉強してきた人たちです。国際性というものについては実によく身につけた学者たちです。この人たちが望んでいる琉球大学の建学の精神というものは、南北間の科学技術の交流ということに努力をしたいということがその一つでありますし、国際性をいかに高めるかということが琉球大学の建学のもう一つの精神であります。  そういうことで私が御相談を申し上げたことは、新しく外務省が考えている国際センターというもの一そこにやってくる東南アジアの人たち、あるいは日本本土から東南アジアに出ていく協力隊の人たち、こういう人たちと琉球大学の研究人たちがお互いに相互乗り入れをして、そこで現地からやってきた人が日本の人たちに現地の問題として何を教え込むか、あるいは現地からやってきた人に日本の進んだ科学技術をどうして教え込むか、こういうところの接点にいたしたい。でき得ればわれわれとしては、琉球大学に講座をつくって、琉球大学の学生も教授たちも相互乗り入れしてもらう、さらにでき得れば、琉球大学で学位を取る便宜が図れるように琉大の教授会としては考えていただきたい。  今日まで羽田経由でアメリカに留学をしている東南アジアの留学生は、五万四千人であります。日本に留学にやってきている東南アジアの学生が五千人、約一割にすぎない。それはなぜかというと、語学の問題が一つあるわけです。もう一つは、学位が取れないという問題がある。もう一つは奨学金の問題。もう一つは、自分の国に帰ったときに、イギリスのケンブリッジあるいはアメリカのスタンフォード、MITで留学してきた人たちと東京大学で留学してきた人たちと、学問の程度は一緒でも帰った場合にはどちらが出世するかというと、アメリカへ留学したりイギリスへ留学したりした人たちの方が将来高い身分が約束される、こういうようなところに問題点がある。  ここで日本として考えなければならないことは、日本で勉強し日本の知識を学んでくれた東南アジアの人たち、この人たちが自分の国へ帰って国づくりするときに、ヨーロッパやアメリカで勉強をしてきた人たちと対等にその国の国づくりに参加できる地位を保証されるような制度をぜひつくるべきであろう、こういう基本的な構想に立って国際センターというものの建設に前進をしておるわけでございますから、その点はひとつよく御理解をいただいて、あくまでも流動研究所は、本土の官学民の研究人と琉球の大学とをつなぐシステムにする、もう一つはASEAN各国の研究者とのパイプにする、こういうふうな一つの大きなリンケージでわれわれは沖繩というものを位置づけてまいりたい、そういう大構想のもとに鈴木内閣としては政策を打ち立てておるということを御理解いただきたいと思うのであります。
  78. 上原康助

    ○上原委員 この流動研究所の位置づけというのはわかりましたが、そういった大構想がまた地域社会にもそれだけ貢献をしていくということもひとつ十分に御配慮いただきたいと思います。  コンベンションホールとの関係はどうなりますか。
  79. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 県の方でいろいろ構想として出しておりますコンベンションホールの問題につきましては、私どもまだ十分にその構想の内容を聴取しておりませんし、また、私ども聞いた限りにおきましては、必ずしも県においても構想自体固まっておらないというふうに承知をいたしております。したがいまして、県の構想がどういう形で固まっていくのか、また、それが国際センターあるいは流動研究所等とどういう関係になるのかというような点は、私どもとしましては今後、県の考え方もよく聞きながら検討をしていきたいという段階にございます。
  80. 上原康助

    ○上原委員 そこいらはまた県の方の意向も十分あると思いますから、お聞きになっていただきたいと思います。  それと、外務省せっかくおいでいただきましたので、いま開発庁長官から御答弁あったことに尽きるかもしれませんが、この三十一日、一日にASEANの代表が来られての会議が持たれる、また、県の方からもオブザーバーとして参加をするということですが、これからの具体的な場所の選定の問題もあるでしょう、それは、いま長官がおっしゃった琉大との関係からいろいろ考えておよそ想定はできますけれども、しかしこの種の問題はなかなか微妙な面もありますから、そこまでどっちにしますかとそんなお尋ねはしませんが、少なくとも沖繩の地元の意向がこの構想にも十分反映できる御配慮は一応、現在の作業を進めている経済協力局かあるいは事業団としてはやっていかなければいかぬと思うのですが、この点はどのようにお考えなのか、まあ申し上げるまでもないと思うのですが、ちょっと御見解を聞いておきたいと思うのです。
  81. 坂本重太郎

    ○坂本説明員 お答えいたします。  実は先生指摘のとおり、今月の三十一日、来月の一日と外務省で国際会議がこのために開かれます。現在、大体ASEAN各国から局長、次官補クラスの方が二、三名ずつ来ることになりまして、まず、各国にどういうセンターをつくるかということを鋭意検討したいと思っております。それとの関連で、実は私、昨年の暮れ、総理の御命令もございましてASEAN各国を回ってまいりましたが、そのときに、やはり沖繩の国際センターに関して日本としてはどんな考え方を持っているかということを何度も聞かれました。今度のこの会議におきましても私どもの方からある程度、大体こんなことを思っておるのだがということは説明したい、こう思っております。  その際、ただいま先生お話しになりましたように、沖繩特殊性それから利点というものを十分われわれ考えまして、それを十分反映され得るような構想にしたい、こう思っております。現実に先週、私自身沖繩に行ってまいりまして、いま言った候補地を見てまいりましたし、それからまた、琉球大学その他水産、農業研究所等回りまして、どんな形で沖繩県に協力していただけるか、その辺も十分詰めてまいりましたので、ただいま先生がおっしゃった点を十分配慮しながら進めてまいりたい、こう思っております。
  82. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ、県民の期待もあるいは関心も非常に強いし大きいようですから、長官を中心にりっぱなセンターが設置されて、そのことがまた、沖繩の国際性あるいは地域開発に役立ち得る方向での御努力をお願いしておきたいと思うのです。  そこで、振興開発計画についてはもう終わりにしたいのですが、ただもう一点、ちょっと話が前後いたしますが、御承知のように昭和六十二年に国体が沖繩で開催されるということで、その準備もすでにスタートしているわけです。いつかも申し上げたのですが、一次振計は、海洋博のお祭り、ほかにもありましたが、そこで大変いろいろな摩擦なりが出てきたわけですね。日本の国というのはどうもそういった祭りと開発と一緒にしなければ予算が取れないとか、いろいろなメリット・デメリットは私もわからぬわけじゃないのですが、また第二次振計が国体だ国体だということでお祭りで終わらないような、二の舞を踏んでいただきたくないという点だけは、特に私は国体そのものに反対しているわけじゃありませんが、また国体だけに集中して周辺離島の問題、過疎化の問題等が置き去りにされるような二次振計にはしていただきたくない、これは政府の関係者も皆さんそうお考えでしょうが、その点も強く私たちの立場というものを明らかにしながら要望を申し上げておきたいと思うのです。  時間の都合もありますから次に進みますが、次は、つぶれ地の問題で少しお尋ねさせていただきたいと思うのです。  これもこれまで何度かお尋ねしてきたことなんですが、要するに、これまでの政府の建設省なりあるいは開発庁の御答弁は、国道、県道については、これは当然のことで逐次買い上げをやっていく、補償していくということで、さほど問題ないわけです、まあ進捗状況はいろいろあるにしましても。それに一般の市町村道、市町村道の中でも、幹線道路と言われている道路、あるいは幹線道路を見直して県道に格上げできるもの、あるいは一、二級市町村道として指定できるもの、そういうことについては国の方で買い上げ措置をいたしましょうということで、昨年、ことしとずっと進んできているわけですが、県道、国道はそれ以前からですが、その他の市町村道、見直しもされなかった、一、二級にも指定されなかったということについての解決の方途というものは、検討はするけれども、どうもまだ確たる方向づけがなされていないわけですね。したがって、関係市町村の長の方々はこの問題で大変頭を痛めておられる。しかも財政状況が国、県を問わず苦しい状況にある。  ですから、その他の市町村道の取り扱いについてもやはり政府として、補償措置なりいろいろの交付税その他でめんどうを見ていくということを方向づけていただかないと、なかなか困る点があるのじゃないかという感じがしてなりません。この問題をどう解決していかれようとするのか、開発庁、建設省、きょうは自治省も来ておられると思うので、改めてそれぞれのお立場でひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  83. 海原公輝

    ○海原政府委員 開発庁の立場からお答え申し上げます。  市町村道につきましては、補助の対象になる幹線市町村道、それからその対象にならないその他というふうに分かれるわけでございます。  沖繩のつぶれ地ということの現状にもかんがみまして、その他市町村道というものをできるだけ格上げいたしまして幹線市町村道に乗せ、あるいは現在幹線市町村道になっているものを県道に昇格させるというようなことで、いま鋭意作業が進んでいるわけでございます。それでも残りますその他市町村道というものが、位置境界不明地域にあるかそれとも一般地域にあるかという態様の問題はございます。私の方から地方交付税どうこうということはなかなかお答えしにくいわけでございますが、私どもといたしましては、位置境界不明地域にあるその他市町村道については、特に交付税等の御配慮をお願いしたいということで、自治省にもお願いしている段階でございます。  以上でございます。
  84. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、できるだけ幹線市町村道に格上げあるいは県道に格上げをして補償を進めてまいりたいという考えで、そのように市町村道、幹線市町村道の見直しをいたしており、大体県の方で案をまとめた段階でございます。
  85. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、振興局長の御答弁ですが、その他の市町村道、つぶれ地、未買収道路というのが二通りあるわけですね。おっしゃいましたように、一、二級に指定されなかったその他一般的なもの、あるいは位置境界不明地域にあったものという二通り——二通りというか、性格かちょっと異なる面があるわけですが、前段の位置境界不明地域内でないその他の市町村道の取り扱いについては、目下のところ何とも言えないということですか。
  86. 海原公輝

    ○海原政府委員 原則論を申し上げますと、位置境界不明地域以外に所在する、一般地域にございます市町村道というものは、言ってみれば幹線市町村道の裏返しの表現でございますから、補助の対象になり得ないわけでございます。そういうことでございますが、先生御案内のとおり、幹線市町村道の消化ということでも大変な事業量がございます。そこで、私ども方向といたしましては、幹線市町村道の消化ということに鋭意努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  87. 上原康助

    ○上原委員 これは長官の方にも御要望しておきたいわけですが、実は地籍明確化法ができた段階においても、開発庁の方から振興局長などが、沖繩の市町村長に集まっていただいていろいろ説明をした経緯があるわけですね。これはせんだっての予算分科会でも私ちょっと取り上げたのですが、問題は、実態論から言いまして、ここは国道である、ここは県道である、ここは一級、二級の市町村道に指定された、この面については国の予算で処置されまして、地主の方々に土地代なり賃貸料を上げるわけです。ここはいいわけです。しかし、一つの道路というものはどちらが多く利用されているかというと、どっちも大事でしょうが、一般の住民の生活とより密接にかかわっているのは、一級、二級の市町村道よりも、それからはみ出た、外れたものをより身近なお互いの公道、道路として地域は使用しているわけです。これについては何の補償もない、めんどうも見ないということについては実際、法律とかそういうものではなくして、人間感情として納得できる問題じゃないのですね。  しかも、そのよって生まれた経過というものが、戦災であったとか、あるいはもともと土地区画整理もできないままにいつの間にか公道的な道になっておった、道路になっておったということであるならば、地主の皆さんからすると、当然国がやらなければ県がやれよ、県がやらなければ市町村やれよ、それでなければおれの土地だからここは通せんぼしますよということになってくるのは、人間感情として必然ですよ。そういう面からしますと、いまの振興局長の御答弁では納得いきかねるのです。  もともとはこれは、まずは国道、県道からやって、さらに一部は見直しをして格上げをする、同時にまた、一、二級ももっと広めようということでやってきたわけですから、それから相当、むしろ半分以上はみ出ているわけでしょう。はみ出ているというより指定されていないわけで、ここの対応の仕方を考えていただかないといかぬということで、われわれもこれまでずいぶん議論をしましたが、まずはできるのからやろうじゃないですかということで、市町村長は納得をさせて手をつけたのです。しかし今日、このめどが立たないということで、訴訟問題なりいろいろなトラブルが新たに持ち上がりつつあるということ、こういう面からすると、やはり戦後処理ということで考えていただかなければいかない問題なんで、この点はぜひひとつ今後検討していただくということでやっていただきたい。  もう一つは、自治省もおいでですから、いま開発庁から要するに、地籍明確化作業地域内にあった道路、このその他の市町村道については交付税その他でやるように開発庁の方からもお願いをしたいという御答弁があったわけですが、これは私は当然だと思うのです。その他の市町村道も大事でやらなければいけないということは当然ですが、同時に、地籍明確化法ができる段階においては、これはまた新たなより深刻な事情があるわけですね、地籍そのものが全く不明確のままに、法律がなければできなかったわけですから。それからすると、これは何にも一級、二級とかあるいはその他とか区別すべきじゃないと私は思うのです。これも区別をしているわけでしょう。きょう初めてようやく、交付税とかその他のことで考えてもらいたいということを自治省なりに要望していきたいという考えを示したわけですが、これは私は当然だと思うのです。自治省としては、目下の地方自治体の財政状況ども考えた場合に早急に、せめて地籍明確化作業地域にあるその他の道路についてでも明確な方向を出していただきたいと思うのですが、自治省の見解を、先ほどの御答弁もあったことですから聞かしていただきたいと思うのです。
  88. 井下登喜男

    ○井下説明員 お答え申し上げます。  ただいまの市町村道のつぶれ地についての問題でございますが、自治省といたしましては、つぶれ地が生じた経緯、すなわち戦中、戦後のきわめて特殊な状況のもとにこれが発生しているわけでございますから、そういった経緯から考えまして、基本的にはこれは国庫負担でやってもらいたい、市町村の負担でなくて国庫負担でやっていただきたいということを基本として考えておりまして、その旨関係各省庁には毎年申し入れているところでございます。  いまお尋ねの特に幹線以外のその他の市町村道についてでございますが、これについて現在のところ、何らの国庫負担措置もございませんし、交付税上の措置もとられていないわけでございます。自治省といたしまして、交付税の措置というのが、国庫補助負担のある裏負担については比較的とりやすいわけでございますが、何もないいわゆる単独事業につきましては、交付税、特に普通交付税の措置というのがなかかな技術的にとりにくい意味があるわけでございまして、そういった意味でこれがとられていないわけでございます。特別交付税等によりまして、つぶれ地ということではございませんが、全体の市町村の財政状況を年々見てまいりまして、財政面にきわめて大きな支障が生じるということのないようにはこれは考えてまいりたいとは思っております。  以上でございます。
  89. 上原康助

    ○上原委員 開発庁もどうもそれぞれボールの投げ合いをしているような感じも受けるわけです。自治省はむしろ、その他のものを含めて国庫負担でやってくれ、歴史的経緯があるから、それはむしろ筋論だと私は思う。建設省は、見直しを一生懸命やって好意的にやりましたなんと言う。開発庁が一番悪いです、一番熱心にならなければいけない方が。原則といいますか基本的には、国庫負担でその他を含めて考えるということが大事と思いますよ。  確認をしておきたいのですが、この点についてはもう一遍、開発庁が中心になって建設省、自治省とその他のものについては御相談いたしますね。それと、地籍明確化法に基づく明確化作業地域にあるものについては、少なくとも交付税その他で当面めんどうを見ていく、こういうことでいいわけですね。その他のことを含めて検討して、これは検討しますということを皆さん従来言っているのです。まずは一、二級のものを片づけてからその他のことについては市町村と相談しましょうということなんですね。だから各関係者も渋々というか、協力をするようになったわけです。これはもう一遍確認しておかないといけない。
  90. 海原公輝

    ○海原政府委員 お答えいたします。  この問題、いろいろ各省にまたがる話でございますのであれでございますが、先ほどお答えいたしましたように、地方交付税のことにつきましては、特に私の立場からなかなか申し上げにくいという前置きを置きまして、その他市町村道を二つに分け、位置境界不明地域につきましては、先ほど申し上げたようなことで鋭意自治省とも御相談していきたい、こういう気持ちには変わりございません。と申しますのは、幹線市町村道あるいは県道への格上げという形で相当程度沖繩特殊性を勘案して、ぎりぎり残ったものをどうするかという問題でございますので、この点については開発庁としては改めてまたお話ししたいということでございます。
  91. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ御相談をしていただきたいと思います。  そこで、さっきの地籍明確化の地域にあるその他の市町村道ですが、たとえばせんだっても私がお尋ねをしました与那原町の場合ですと、申請は十四本を市町村道として認定をしてもらいたいということで要請を県に出しているわけですね。もちろん国に対しても出ていると思うのですが、だが、実際に皆さんが、建設省が指定したのは五本ですね。あとの九本は、地方独自で場合によっては工面しなければいかぬということになりかねないわけです。これはもうとてもじゃないが無理ですよ。だから、少なくともこの種のケースについては、さっき答弁がありましたが、交付税その他でめんどうというか措置をしていただく、これは県側とも関係者が御相談をして解決していただけますね。     〔委員長退席、島田委員長代理着席〕
  92. 井下登喜男

    ○井下説明員 与那原町の問題につきましては、私の方も陳情を受けておりまして、特に幹線市町村道とその他の市町村道を一緒に工事をしなければ、その地域の区画の整理ができないといった問題があるように伺っております。  先ほどお答えいたしましたように、これは措置をするといたしました場合は、特別交付税ということに相なろうと思いますが、特別交付税の性格上、何についてどれだけ見るということをあらかじめ言うことはなかなか困難でございますが、各市町村の財政状況全般を見回しまして、総合的にその辺を勘案いたしまして、支障のないような措置をいたしてまいるつもりでございます。
  93. 上原康助

    ○上原委員 防衛施設庁も来ていただいたが、もう時間がなくなりましたので、施設庁に聞くことはたくさんありますから、いずれまとめてお尋ねしますが、読谷飛行場の問題でちょっとお尋ねしたかったのですが、せっかく来ていただきましたが、時間ですから御勘弁をいただきたいと思います。  そこで最後に中山開発庁長官、いまの市町村道のつぶれ地補償の問題ですが、これはいろいろ放棄請求権の補償問題など、不満足ながらも逐次解決されてきたわけですが、残っている最大の問題になっているのですね、市町村、自治体の。ですから、その他の市町村道の問題については、特に政治判断も必要だと思いますので、この問題もぜひ五十六年度中にはめど、方向性をつけていただく、その点に対しての先ほど来のやりとりを聞いていらっしゃったと思いますので、大臣の御見解を聞いて、質問を終わりたいと思います。
  94. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほど来の先生のいろいろな御指摘の点につきましては、沖繩開発庁といたしましても、現地の諸機関にも十分意見を聴取しまして、できるだけ円満な解決を図りたいと考えております。
  95. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  96. 島田琢郎

    ○島田委員長代理 次に、玉城栄一君。
  97. 玉城栄一

    ○玉城委員 最初に、現在の沖繩の雇用失業状況並びに開発庁としての対策についてお伺いいたします。
  98. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 沖繩の雇用状況につきましては、所管省である労働省の方からの御回答があるいは相当かと思いますけれども、私ども沖繩の振興開発を所管しております官庁といたしまして、私どもとして考えておりますことを申し上げたいと思います。  まず、沖繩の雇用失業情勢でございますが、これは沖繩復帰以来、沖繩の振興開発に鋭意私ども努めてきたわけでございまして、そういうことの中で、就業者の数というものはかなりの増加を見ておるわけでございますが、なお労働力人口の伸びが大きゅうございまして、全国平均の大体二倍半ないし三倍という非常に高い失業率を示しておるわけでございます。  この雇用問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたとおり基本的には、産業を振興し、就業機会の増大を図るということの中で雇用を吸収していくべき問題であるというふうに考えますけれども、産業振興につきまして先生御承知のような状況の中、あるいは沖繩は非常に年齢構成が若うございまして、労働力人口の増加がそれを上回る勢いで伸びておるというような状況がございます。そういった状況の中で、やはり広域的な職業紹介あるいは多角的な職業訓練等々にも鋭意力を入れなければいけないのではないかということで、労働省等とも協議をしながらその対策を突き進めておるところでございます。
  99. 玉城栄一

    ○玉城委員 二倍ないし三倍ということで、沖繩の失業状況というものは依然として深刻な状況にあるわけですね。ですから開発庁は、労働省ということをおっしゃっておられますけれども、そういうありきたりの従来繰り返してこられたようなことだけで、確かに比べて現時点で五・二%ですか、そういう状況にはありますけれども、そういうおっしゃるような対策だけではこれは一向に解決できないわけですよ。もっと真剣にこの問題を取っ組んでいただかないと、特に三月に新しい学校卒業者がたくさん出てくるわけですから、そういう方々についての実態あるいは就業の見通し等についてはどのように開発庁として把握しておられるか、その辺いかがですか。
  100. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  本年度の沖繩県におきます新規学校卒業者の就職状況につきましては現在、関係機関において集計中であるというふうに私ども聞いております。したがいまして、詳細には把握いたしてございませんけれども、昨年よりは若干好転するのではないかというふうに私ども聞いております。今後とも関係機関と十分連絡を持ってその把握に努めてまいりたい、このように考えております。
  101. 玉城栄一

    ○玉城委員 好転するとかなんとかとおっしゃいますけれども実態も把握していないで好転もくそもあったわけじゃないのです。昨年の実態は知っていらっしゃいますか。
  102. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 昨年の中学校及び高等学校の卒業者の就職の状況でございますが、まず中学校卒業者につきまして申し上げますと、求職者数が百四十六名、それに対しまして就職者数が百九名ということでございまして、七四・七%の就職率という形になってございます。高等学校につきまして昨年の数字を申し上げますと、求職者数が七千七百二十九人、それに対しまして就職者数が四千九百八十二人、就職率といたしましては六四・五%という数字になってございます。
  103. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんのでこれ以上申し上げませんけれども長官沖繩の失業問題についてはひとつ真剣に取っ組んでいただきたいと思うのです。これは深刻です。それだけに労働省、所管省庁との合議も当然重ねることも必要だと思うのでございますけれども、やはりもっと開発庁とされて本腰を入れてこの問題に取っ組んでいただきたい、いかがでしょうか。
  104. 中山太郎

    中山国務大臣 先生指摘沖繩の失業問題というのは、根が深い、簡単に事務当局が計数をもとにああすればどうなるというような問題ではない。これは産業を振興して雇用の需給バランスというものをしっかりというか、沖繩の学校卒業生あるいは産業の雇用求人数というもののバランスをとるように沖繩の産業を振興しなければ、この失業問題というものの解決はなかなか困難であるというふうに実は私は判断をいたしているのであります。そのためにこの問題については私ども鋭意、第二次振興開発計画の中で失業をどう少なくするかということを前提にして、新しい産業システムというものの開発に取り組んでまいりたい。そうすれば沖繩の失業問題というものは大きな変化を遂げるであろう、私どもはそのように考えておるわけでございます。
  105. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 先ほど数字を申し上げましたが、私ちょっと隣の欄を読み違えまして、訂正させていただきたいと思います。  昨年の中学校の卒業者の求職者数は二百十七名、就職者数が百四十九名、率といたしまして六八・七%、それから高等学校卒業者につきましては求職者数八千百八十名、就職者四千八百四十六名、就職率五九・二%、こういう数字でございまして、大変失礼いたしましたが、訂正させていただきます。
  106. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官、これは要望としてお聞きいただきたいのですが、きょう具体的にはお聞きいたしませんけれども、これは県も含めてだと思うのですが、せっかく政府が組まれた予算、いろいろな御苦労をされて編成されておるわけですけれども、その執行の状況につきましてもちょっといろんな疑問な点が多々あります。具体的には申し上げません。ですから、せっかくでき上がった予算か当然執行され、むしろ沖繩の——これはどこでもそうだと思うのですが、その効果が二倍も三倍も波及していくような状況でなくてはいけないと思うのですが、そういう点、ひとつお聞きいただいておくだけにしていただきたいと思います。  それで国鉄の方、来ていらっしゃいますか。——昨年の十月にも本委員会でこの問題を私、取り上げまして強く要望したのですが、いわゆる国鉄連絡運輸の先島延長の問題なんですが、その後の経過はどうなっているんですか。
  107. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 先島への連絡運輸の問題につきましてはその後、昨年末の十二月二十四日でございますが、契約の相手方でございます琉球海運株式会社から実施に当たっての要望をいただいております。ただその際、社側から提示された条件と申しますのが、先島まで延ばすことによりますコストの増加分をすべて国鉄に負担を求めておるというものでございまして、私どもの財政問題は別にいたしましても、連絡運輸の契約上のルールの問題といたしましても非常に他に与える影響が大きいものですから、その後いろいろ折衝しておりますが、まだ実現と申しますか合意に達しておりません。そういう状況でございます。ただ、私ども何とか努力をしたいということで、何と申しましてもコストをどれだけ抑えるか、どのようにして吸収していくかということが先決問題でございますので、そういうことを中心にいま具体的に協議を進めておるところでございます。  なお、琉球海運におかれましても、現地の荷役作業の条件といったようなことにつきまして、現地の県なりあるいは地元といろいろ折衝に当たっていただいておるというふうに聞いております。
  108. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのコストの増加分というのはどれぐらいかかるのですか。
  109. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 琉球海運の試算では、年間約三千万円というふうに聞いております。
  110. 玉城栄一

    ○玉城委員 その分について国鉄としては負担できないということなんですが、その辺はどういう状況なんですか。
  111. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 いま御案内のような財政状況でございますので、たとえば割賦率を変えるとかいうことにつきましては、大変困難な状況にございます。
  112. 玉城栄一

    ○玉城委員 ということは、見通しとして国鉄としてはどのように考えていらっしゃるわけですか。
  113. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 いま鋭意折衝中でございまして、たとえばコストの非常に多くの部分が那覇の港での仕分け作業にあるというようなこともございますし、そういうことについて私どもどれだけ協力できるか、あるいは実は荷物の九〇%以上が東京から出る雑誌でございますが、それらにつきましてどれだけ雑誌社側からの協力が得られるかということについてそちらとも努力中でございまして、いまの段階でどれだけの見通しを持っておるかということにつきましては、私どもも確たるお返事をちょっといたしかねる状態でございます。
  114. 玉城栄一

    ○玉城委員 昨年この問題でお聞きしたときには、大体四、五月ごろをめどにして、むしろそれ以前に契約は済ませたいというような御答弁があったわけですが、昨年のそういうお考えといまとは、後退しているのですか前進しているのですか、ストップしているのですか。
  115. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 その後も努力をしておるつもりでございますし、琉球海運の方とも鋭意折衝を進めております。
  116. 玉城栄一

    ○玉城委員 聞くたびにそんなことでは困るのですね、やる気はあるのですか。だめならだめとはっきりおっしゃってください。
  117. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 何とか実現すべく努力したいと思っております。
  118. 玉城栄一

    ○玉城委員 いつごろまでにそれはやるのですか。
  119. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 御案内のように、独立した企業との契約事でございますので、確約はいたしかねますが、できるだけ早い機会に合意を見るように努めたいと思っております。
  120. 玉城栄一

    ○玉城委員 とにかくやる気を起こしてやってもらわないと、いつまでたってもこんな状況では困る。地元の市町村もそれに対応するように準備をしているわけですから、皆さんの方がうんと早く行っていただいて、まあその理由についてはいままで申し上げてきましたので申し上げませんが、特に国鉄の方にはその点を強く要望しておきます。どうもありがとうございました。  文部省の方にちょっと伺いたいのですが、先ほど長官お話の中にも多々出てまいりましたけれども、琉球大学の医学部がことし発足をいたしまして、定員百名中地元県出身者が三十三名合格しているということで、当初ちょっと心配があったわけですが、三十三名ということで県内では大いに期待をしているわけであります。  したがって、先ほど長官の大きな構想の中にも琉大の位置づけ等につきましてもありましたけれども全国的に国立の医科大学あるいは医学部というものは、地域のそういう特色と申しますか、それぞれの持ち味があるわけですから、今回待望久しかった琉球大学医学部が新設をされて学生募集ということであるわけでありますので、この際、改めて文部省に、この琉球大学医学部の理念と申しますか、どういう形で今後持っていこうとされるのか、その点について概略御説明いただきたいと思います。     〔島田委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 川村恒明

    ○川村説明員 琉球大学の医学部は御案内のとおりに、無医大県解消計画の一環で設置された医学部でございます。そういうことでございますし、無医大県解消計画でできた十六の医科大学、医学部それぞれの特色というものが必要であろうかと私ども考えておるわけでございまして、琉球大学につきましては、これはすぐれた医師の養成をするということがもちろん基本でございますけれども、設置の理念の一つとしては、そういう一般的な理念のほかに、特に沖繩の置かれております自然的、地理的条件というものを勘案をいたしまして、島嶼環境などに由来する困難な地域医療の充実、地域医療に貢献をするということが一つ。それからもう一つは、立地条件もございますので、南に開かれた国際性豊かな医学部ということをキャッチフレーズにしておるわけでございます。主として東南アジアとの交流の拠点として発展をしていきたいということを、設置の際の理念として琉球大学も主張をしておられましたし、私どももそれは将来の問題としてその方向で十分伸びていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  122. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは大臣の御専門でございますが、いま文部省の方のお話もありましたとおり、開かれた国際性豊かな医学部というような理念があるわけでございます。したがって、沖繩の亜熱帯という地域性化した亜熱帯医学と申しますか熱帯医学と申しますかそういう医学のメッカ、ハワイ大学あたりはそういう医学が世界的に非常に有名だということも聞いているわけでありまして、そういう意味で、琉球大学の医学部の今後の将来構想として大臣はどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
  123. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほども申し上げましたように、沖繩の地理的特性というものを考えて、琉球大学の医学部長、病院長にはそれぞれ、本土から熱帯医学の権威者がすでに就任をしておることは御存じのとおりでございます。  そこで、この沖繩とASEANのいわゆる陸上の医学、これは風土病、マラリア、あるいは海洋においては有毒なプランクトン、それからイソギンチャク、サンゴ、ウミヘビ、こういうものによって東南アジア一帯においては実に多くの死傷者が出ております。それで、これに対する免疫血清がかつて船舶振興会の援助で東京大学でつくられた、馬の血清でつくられていたわけですが、その血清の残量が非常に少なくなってきている、こういうこともございますし、また従来、日本本土では、たとえば神戸大学に熱帯医学研究所がございますし、長崎大学にも熱帯医学研究所がございますけれども、今日、本土での熱帯病の診断というものは、私はどうも現在の医学部では非常にむずかしいのではないかということを実は考えておりまして、これからASEANの国際協力隊を派遣するとか、あるいは難民センターに対して日本の医療団を派遣する場合にでも、熱帯医学の研修機関というものが相当権威のあるものでなければならない、そういうことから、沖繩の地理的特性とこの大学の医学部の分野の特性というものを考えていくと、琉球大学の医学部がこれから求めるべき道は、教授陣、大学の病院長のキャリアから見ておのずから、熱帯医学を中心にしたものでなければならない。そういう意味では、琉球大学の医学部の持っている使命というものはきわめて大きなものがあると私は考えているわけです。  それで御案内のように、東南アジアのインドネシアにいたしましてもかつてはオランダの属領でございましたし、マレーシア、シンガポールにしてもイギリスの属領であった。こういう国では、熱帯医学の研究陣が非常に充実をいたしております。片や日本では、そういう面が最近非常に落ちてきた。そこで、私どもが問題として考えているのは、外務省にもお願いをしておりますけれども、国際センターの中に海洋医学に関するセンターをぜひつくりたい。これにつきましては、マニラにありますWHO、国際保健機構の南西アジア研究所からも、沖繩において海洋環境医学の国際的な研究所をひとつぜひつくってもらいたい、そしてそれをつくる場合には、WHOとしても全面的な協力をするというコミットメントをすでにいただいておるわけでございまして、私どもといたしましては、国際センターの問題がいよいよ設立準備に入ることが決まり、そして琉大の方の医学部との連絡がとれますれば、特色のある地域センター、しかも東南アジア及び南太平洋の島嶼国家に寄与できるような、問題を解決できる医学部としての機能を備えていくように協力をしてまいりたい、実はこのように考えているところでございます。
  124. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、文部省の方に伺いたいのですが、琉球大学医学部は発足したばかりでありますので、いまの長官お話等も含めまして今後、特色を持った医学部また医学人を育てていきたいということでありますが、そういう面での設備を今後充実していかなければならぬと思うわけでありますが、その点はいまの段階でどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  125. 川村恒明

    ○川村説明員 琉球大学の医学部につきましては、将来の発展の構想はただいま長官からお答えがあったとおりでございますけれども、当面、設置されて本年春から学生が入るわけでございます。これから医学部の中心となります教職員組織も整備しなければなりませんし、それから校舎とか病院の建物、それから教育研究用の設備も入れていかなければいかぬという段階でございます。私どもとしては、とにかく医学部として最低限必要な基幹的な要素をまず整備しなければいかぬというふうに思っておりまして、たとえば施設設備で申しますと、総額で大体二百億を起える投資をこれからしなければいけない、まだ緒についたばかりでございまして、ほとんどまだ措置もいたしておりません。それから、教職員定員につきましても、今後整備しなければいかぬ定員の五%ほどを措置しただけでございまして、九五%はこれから整備をするということ。こういうものをこれから、学生が卒業する六年間、あるいはその次に大学院を設置いたしますけれども、大学院ができ上がるまでの十年間にともあれ、一番基礎的な足腰をきっちりとつくっておくことが必要だと考えているわけでございます。  ただ、そういうふうな最低限の足腰をつくるにつきましても、先ほどのような理念がございますから、たとえば現在沖繩県で非常にお困りの事情として、一つは歯に関する歯科診療の問題もございますので、ほかの新設医学部と違って、琉球大学の場合は一講座を別にふやして三十一講座、歯科口腔外科学という講座を別途つくるとか、あるいは先ほどのような南へ発展する足がかりとして、客員教授というものを別途新しくつくるとか、そういうふうなことは現在すでに手がけているところでございます。ただ、全体は先ほど申しましたように、まず基礎的な体力を養うというところが現在の課題でございます。そういうものの充実状況を見ながら、さらに充実を図ってまいりたいということでございます。
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題に関連しまして、従来ございました国費沖繩学生制度を一部延長してもらいたい、また復活してもらいたいという要請が地元の知事からもあったと思うわけであります。現在どういう状況になっておるでしょうか。
  127. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 国費沖繩学生制度は、これまで沖繩県の医療事情向上のために大きな役割りを果たしてきたものと私ども考えておりますが、問題点といたしましては帰還率が必ずしも高くないということがございます。現在、沖繩における医療事情は、将来の一つの大きな課題であるということは先生御承知のとおりでございます。この国費学生制度を延長してほしいというような希望を県の方が強く持っておるということは、私ども承知をいたしておるわけでございまして、本年度につきましては、琉大医学部の入試の状況等を見守るといいますか、その経緯を見ておったというようなこともあるやに聞いております。今回発表された入試結果によりますと、地元の学生の合格率が大変よかった、約三三%の合格率というふうに私ども聞いております。したがいまして今後、そういった状況も踏まえてどう考えていくのかということを、これは文部省が主管の省庁となっておりますが、私ども沖繩の医療制度の充実については十分関心を持っておるところでございますので、そういったことでまた文部省等とも協議をいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの問題は、この間の委員会で申し上げましたけれども、特殊な科目に限って、そしていろいろな条件をつけてというようなことのようであります。その点、ぜひ御推進のほどを要望しておきたいと思います。文部省の方、どうもありがとうございました。  それでは長官、国際センターなんでございますが、長官が大変御尽力をされまして、それがやっと具体的な運びになっておるわけであります。第二次沖繩振興開発計画一つの柱でもあるというお話先ほど承ったわけであります。したがって当然、沖繩の場所だけの提供であって素通りということになりますとこれはということで、いろいろな御意見等もされておるわけであります。こういう計画が成功していくには、やはり期間も長く続いていかなくてはならないと思うわけでありますし、地元の協力体制というものは当然必要だと思うわけですね。ですから、積極的に地元が参加をし、ただ場所の提供だけでなくて、沖繩にとっても非常に大事な位置づけをされるということは非常に大事な問題だと思うわけであります。  これは外務省の方にもちょっと申し上げたのですけれども、やはりASEAN諸国の経済社会開発、そういうものを支える人材の育成、それにわが国が積極的に協力する。ASEANの諸国の平和と安定、繁栄を願えばこそそういう構想も出、それが沖繩に設置されるというふうに聞いているわけでありますので、やはり沖繩は地元でありますので、当然として、青少年の文化交流というものは、近隣諸国との平和を保っていく上で非常に大事なことではないかと私は思うわけであります。こういう国際センターが設置されるということをきっかけとして、そういう面についてもぜひ、特に地元でもありますので、沖繩の青少年が、ASEAN諸国、あるいは太平洋諸地域も含まれるというふうに聞いておるわけでありますので、その交流がどんどんされていくことは非常に大切なことではないかと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  129. 中山太郎

    中山国務大臣 先般、私は沖繩を訪問いたしまして、琉球大学の教授の方々との懇談の席でも申し上げたのですが、やはり本土の大学とは違った意味を持たすべきではないか。たとえば法学部の教授なんかのおっしゃるのには、国際センターと法学部とは関係ない、実はこういうふうな意見もあったわけです。しかしそれは間違いだ、日本は先進工業国として、国民が体験した大きな悩みはやはり公害問題だった、公害問題を解決するために公害に関する法律をつくった、そういうふうなことで、アジアの各国がこれから工業化を進めるに当たって日本のわだちを踏むなということについては、法学部といえども、やはりこういうふうな工業の進展と法律と住民の生活環境という問題のつながりを勉強してもらいたい、こういうふうなことも申し上げました。  私はいま先生の御指摘の青少年の問題ということになりますと、この国際センターに入ってくる東南アジアの若い人たちが、地元の沖繩の学生たちとも十分懇談していただけるような機会を持つべきである。私が琉球大学の教授にもお願いしたのは、共同講座というものを持てないか。つまり、マレーシアの人が来て琉大の学生にマレーシアの実態を話してやる、あるいはシンガポールの実態を話してやる、インドネシアの人はインドネシアのことを琉大の学生に話す、こういうことができないだろうか、それは双方の考え方が調整できればできるんじゃないか。こういうことから考えると、沖繩の青少年にとっても国際センターというものは、ASEAN各国あるいはわれわれが考えている南太平洋の島嶼国家の方々との意見の交換の場にも将来十分機能を果たし得るものだ、このように実は考えて推進をしているところであります。
  130. 玉城栄一

    ○玉城委員 文化庁の方に伺いたいのですが、沖繩の文化財の保護状況について文化庁としてどのような考えで臨んでおられるのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  131. 小埜寺直己

    ○小埜寺説明員 沖繩における文化財保護の概要につきまして、お答え申し上げます。  沖繩県には、その歴史的、地理的条件の中ではぐくまれ、伝えられてきましたすぐれた文化財が数多く存在いたしておりまして、これらはわが国の文化史上重要な価値を有してございます。国におきましては、沖繩県民の皆様の非常な御努力によりまして代々受け継がれてまいりましたこれらの貴重な文化財を保護するために、文化財保護法に基づきまして国の指定という形でそういう作業を進めてございますが、それと同時に、その保存、活用を図るための助成にも努めてございます。  現在、国の文化財として指定しているものを申し上げますと、これはすべて先生御承知のとおりと思いますが、まず建造物、美術工芸品などの重要文化財につきましては、たとえば旧円覚寺の放生橋あるいは中村家住宅など十四件が指定されてございます。それから城跡、貝塚などの史跡につきましては、首里城跡、中城城跡など二十二件、名勝につきましては識名園など二件、天然記念物につきましては二十二件が指定されてございます。こうしました有形文化財のほかにまた無形文化財につきましては、組踊りとか宮古上布など三件、あるいは重要無形民族文化財につきましては、多良間村の豊年祭りなど三件が指定されてございます。  また、沖繩県の方におきましても、県の段階あるいは市町村の段階でそれぞれ、文化財指定ということが行われておりまして保護が図られております。  文化庁といたしましては今後とも、沖繩県の文化財保護の充実促進に一層努めてまいりたいと思っております。
  132. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がありませんので、いまの問題に関連してまとめて伺っておきたいと思うのです。  復帰沖繩は、日本古来の伝統文化に関心が非常に高まりまして、大分普及しているわけですが、たとえば舞踊とかお茶とか生け花、その資格取得に相当お金がかかるということで、ある面で沖繩はドル箱だと言う人もいるわけですが、本来、こういう文化というものに金がかかっていくというあり方は非常に疑問があるわけです。家元制度とか前近代的といいますか、いろいろな仕組みがそうなっているようですが、文化というのは生活の中に潤いを求めるといいますか、金がかかってということであっては本来いけないと思うのです。そういうあり方について一点。もう一点、そういう文化を理解する、文化は保護、継承、そして育成していくという立場から、多数の国民にそういう文化が理解されるという面からすれば、学校教育の中にもそういうものを取り入れていった方がいいのではないかという意見もあるわけでありますが、その二点、文化庁としてどのようにお考えになっておられますか。
  133. 石井久夫

    ○石井説明員 文化庁の立場から前半の問題についてお答えさせていただきたいと思います。  いわゆるお茶とか生け花とかいうような伝統文化につきましては、先生お話しのとおり、主として家元制度を中心にしてその普及が図られているわけでございます。私どもはこれにつきましては、確かに免許状の取得等について非常にたくさんの金がかかるんじゃないかというお考えもあろうかと思いますけれども、一面から申しますと、こういう家元制度に基づく流派につきましては、伝統的に古い歴史を持っているものでございます。また、特にこういう芸術、文化の領域につきましては、精神的な領域に属することでございますし、役所の側でその家元制度のあり方とか、免許状等を出すに当たってそれが高いとか安いとかというようなこと等について格別の指導をいたすことは、適当じゃないと判断しているわけでございます。私どもはこれはあくまでも、免許状を取る方あるいは出す際のそういう一般市場のメカニズムといいますかそういうことに任せて、これはいわば主観的な領域の問題でございますし、そういうこと以外にないと考えているわけでございます。ただ、家元制度等のあり方におきまして法に反するようなことがございましたら、たとえばときどき税制の上から問題があったりするわけでございますが、それが民法法人等を設立しておられる場合には、役所の立場としてその必要性から指導することはあるというふうに考えているわけでございます。
  134. 玉城栄一

    ○玉城委員 大変申しわけございませんが、もう時間がございませんので、いつか機会を見まして……。どうもありがとうございました。  開発庁、地籍明確化のことに関連しまして与那原町の問題ですが、要するに、明確化された後の複雑な権利調整をどうするかというのが、いま非常に深刻になっているわけです。開発庁はそれをながめているだけじゃ大変なことになるので、どうされますか。
  135. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 与那原町につきましては、先生指摘のように、権利関係が非常に錯綜しておるというようなことがあるわけでございまして、私どもは明確化調査と並行いたしまして特に占有界調査、現在所有関係と別にどういう形で占有しておるかというような調査を行ったわけでございます。これによりまして、その権利関係の錯綜の状況等も判明いたしております。したがいまして、先生指摘の権利関係の円滑な調整に資するために権利調整票というものを作成いたしまして、先日地元にこれをお渡しした段階でございます。この権利調整票をもとにいたしまして今後、地元において関係者が連係を密にして、実態に即した権利関係の調整が図られることを期待いたしているわけでございまして、私どもといたしましても、そういったことでできるだけの協力を今後ともいたしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  136. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこから後の話なんですよ。できるだけの努力をしたいという、そこまでの話はずっとわかるわけですが、それがこれから大変な状態になるわけです。  時間がないので本当になんですが、せっかく運輸省がお見えになっておりますので、与那国と波照間の空域がいま台湾の情報区というのに入っているのですが、この理由と今後どうするか、簡単に御説明をいただきたいと思います。
  137. 末永明

    ○末永説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり与那国、波照間は、台北飛行情報区の中に入っております。  飛行情報区は先生御案内のとおり、飛行の安全と効率的な運用を行うために関係国が、公海上空を含めまして責任を分担して、飛行情報の提供等を行う業務を実施するための空域をICAOで定めたものでございまして、関係国の主権の直接及ぶ範囲とは関係ございません。与那国、波照間につきましては、わが国がICAOに加盟する以前から、米国が沖繩における航空路管制を行っていた当時から、現在のFIR境界線が設定されておりまして、現在のところ実務上全く支障ございませんが、国際情勢等の種々の関係から現在までに至っております。  今後それらの与那国、波照間等につきまして、那覇のFIRに含めることにつきましては、航空の実態だとか国際情勢の推移等を注意深く見守りながら適切に措置してまいりたい、こういうふうに存じております。
  138. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの安全性の問題について万全の対策をとっていただきたいことを強く要望して、質問を終わります。
  139. 小沢貞孝

    小沢委員長 部谷孝之君。
  140. 部谷孝之

    部谷委員 沖繩県本土復帰に際しましてとられた特別措置の二つの柱、これは申し上げるまでもなく、振興開発特別措置法であり復帰特別措置法であります。そしていずれも、あと一年あるいは一年余経ればそれぞれ、法律がなくなりあるいはまた措置が打ち切られるということになっておるわけでございますが、五十七年以降も新たな振興開発のための計画の策定が必要である、こういうふうなことを所信表明の中でもお述べになっておりますし、今日まであらゆる機会にそのような御意思の表明がありました。また、その構想を進めていく上については、ひとつ現地のいろいろな希望も十分取り入れていきたいというような御構想をすでに承っております。したがって、第二次振計というものを推進するのだ、結論的にはこういうことになるわけでございます。  それらに対する御構想につきまして、先ほど上原委員の御質問に対していろいろ御答弁がございましたので、私は重ねての御答弁はもうお求めいたしませんけれども、そうした御答弁の中におきまして、やはり第一次産業、農業につきましては、サトウキビあるいはパインというものの特性を生かしつつ付加価値を高めていくんだ。水産につきましても、栽培漁業センターの設置等々で積極的な施策をしていきたい。畜産につきましても、価格の安定と優良肉牛を導入していきたい。一次産業に対する十年間の反省に立って新しいそういうものを進めていく。第二次産業の開発につきましては、最大の問題はやはり水とエネルギーの問題であるので、安い電力を何とかしてつくりたい、そのためには、石炭専焼に切りかえ、電源開発の協力も求めていきたい。あるいはまた水不足については、ダム建設を続けると同時に、海水淡水化というものを進めていきたい。第三次産業については、観光産業を中心に据え、さらにまた、国際交流の場を形成推進するために国際センターの設置を図っていきたい。大体このような御構想を実は伺ったわけであります。  そこで、さらにこれを一歩踏み込みまして、現在ございます沖繩振興開発特別措置法というものは、国の負担あるいは補助、そういうものの割合を高めていく措置をとってきたわけです。また、産業振興のために税制上のいろいろな特別措置もとってまいったわけであります。あるいはまた、電気事業開発のためのたとえば事業税だとか、あるいは輸入する石油の税の軽減の問題等々、そのほか職業安定に関する問題等々、そうしたものが第一次振計ではとられてきたわけなんです。その辺もあわせて同じような形でお進めになるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  141. 中山太郎

    中山国務大臣 第二次振興開発計画の策定は必要である、このように沖繩開発庁としては考えておりますが、政府としての意思を統一するためにただいま作業を進めておるところであるというふうに御理解をいただきたいと思います。  また、細かい内部の税制の問題とかそういう問題に関しましては、地元の御要望等も十分聞き、また当委員会での先生方の御意見も十分承った上で、具体的な措置をさせていただきたい、このように考えております。
  142. 部谷孝之

    部谷委員 沖繩振興開発特別措置法一つの柱であり、もう一つの柱が復帰特別措置法であることは先ほど申したわけですが、この復帰特別措置法に関しまして、去年の十月でしたか、県の方からさらに継続してもらいたいという要請が出ておるわけであります。先ほどもるるお述べになりましたように、産業の開発も所期の目的を十分達していないと思われるし、所得の面についても七〇%、それから失業率も二・五倍とか三倍とかいう状態であるわけでありますので、そうした県内の企業を育成し、あるいは県民生活を保護し高めていくためには、そうした措置法の措置の延長がとられてしかるべきであるというふうに私も思うのでございますが、この点につきましてはどのような措置を考えておられるか、お尋ねをいたします。
  143. 中山太郎

    中山国務大臣 国税、関税等につきましては、沖繩県からの御要望もございまして、延長する方針を考えております。なお、他の分野につきましては、ただいまいろいろと検討しておるという段階でございます。
  144. 部谷孝之

    部谷委員 去年出てまいりました要請事項は、いわゆるソフトランディングという表現でなされる点が八項目、それから五十七年五月十四日に切れる措置をそのまま延ばしてほしい、こういうものが十一点、その中で、おっしゃいましたように税以外の問題が四点ほど挙げられておるわけなんですが、これはそれぞれその所管の方から、一体どうなっておってどうされるのか、その点御答弁をいただきたいと思います。
  145. 足立和基

    ○足立説明員 お答えいたします。  沖繩県におきます普通銀行におきまして、信託業務を兼営いたしてございます。私ども本土におきましては御承知のように、長短金融分離という行政方針のもとに行政を進めてまいっておりますが、沖繩県の特殊事情ということで地元の沖繩銀行、琉球銀行二行に対しまして、信託の兼営を復帰特別措置法によりまして認めているところでございまして、明年の五月に期限が参ります。この点につきましては、地元の御要望等も承りつつ、他の措置の動向も勘案しながら、今後検討してまいりたいと考えております。
  146. 垂木祐三

    ○垂木説明員 教育関係の問題といたしましては、一つ沖繩教員特別研修ということが要望として出ておるわけでございます。この沖繩教員特別研修につきましては、三つほど柱がございまして、一つ沖繩研究教員制度と申しまして、沖繩先生本土にお招きいたしまして研修する制度、それから二番目は夏季現職教育講習会講師派遣と申しまして、本土先生方あるいは指導者が沖繩に行きまして夏季休業中に講習をする制度、それから三番目といたしましては、沖繩県派遣教育指導員制度と申しまして、秋に本土先生方が現地に参りまして現地の学校を回りまして指導する制度、このような三本の柱があるわけでございます。  これはそれぞれかなり長い歴史を持っておりまして、従来から非常に成果を上げておるものでございます。沖繩県の教育委員会といたしましても、この講習会に参加する希望者も多いことであるので、今後とも引き続き期間を延長してもらいたいということを申しておるわけでございます。今後この問題につきましてどうするかということについては、沖繩県の教育も御案内のとおり、なかなかむずかしい事情があるわけでございまして、私たちの方といたしましても、よく県の要望を承りながら考えていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  147. 奥田與志清

    ○奥田説明員 沖繩県におきますところの学校給食用物資の特例措置でございますけれども、この特例措置によりまして、復帰後の学校給食は円滑に実施されておりまして、私どもとしましても、その趣旨の実現が着実に行われているというふうに考えているわけでございますけれども、御指摘の五十七年度以降の取り扱いにつきましては、県におきますところのこの学校給食の実態等を踏まえまして、沖繩開発庁等とも協議しながら検討してまいりたいと考えております。
  148. 香川荘一

    ○香川説明員 乳児等用の調製粉乳の原料となります指定乳製品の輸入に関しまして、これはバターと脱脂粉乳でございますけれども、畜産振興事業団の一元輸入の例外といたしまして、本土の育児用粉ミルクの製造メーカーに対しまして輸入を認めているわけでございます。安い乳製品を輸入いたしまして、それによって安い育児用粉ミルクを沖繩供給いたすという形でやっておるわけでございます。  これにつきましては、その効果なりこれをやめましたときの影響というふうなものを今後、詳細に調査検討しなければならないと考えております。その上に立ちまして、取り扱いの判断をいたしたいと思っておりますが、ただ一方近年、国内の生乳の生産が非常に供給過剰になっておりまして、これに伴いまして乳製品の在庫は増加いたし、生産者団体は生乳の計画生産をやるというような状況にありまして、乳製品の輸入の抑制というふうなものも言われておりますので、この辺も勘案いたしながら検討させていただきたいと思っておる次第でございます。
  149. 部谷孝之

    部谷委員 それぞれ御答弁をいただいたわけでございますが、税に関しましては、大体もう延ばしたいという非常に明確な御答弁をいただきましたが、あとのそれぞれの措置につきましては、検討していきたい、こういうふうな御答弁であったわけでありますが、いろいろ御検討いただければまだまだ延ばさなければならない事情というのがかなりあるようでございますので、ひとつまたそうした前向きの形で御検討をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで次に、米価の問題であります。先ほどいろいろ御答弁をいただきましたように、復帰特別措置に関しましては、特に税制については引き続きという強い御意向があるように伺ったわけでありますが、この復帰特別措置に関する要請書の中には掲げられておりませんけれども、私どもが実は昨年、党の方で国政相談会というのをいたしまして、そのときに、消費者団体の方から提起された問題がありますので、その米価の問題についてひとつお尋ねしてみたい、このように思います。  食糧庁来ておられますか。——まず、沖繩県における消費者米価の問題ですが、復帰時点では、本土のそれに比較をいたしまして大体五三%、大きな価格差があったわけですが、現在はどういうふうになっておるのでしょうか。
  150. 松山光治

    ○松山説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように復帰時点におきましては、消費者価格ベースで申しまして五三%という半値程度であったわけでありますが、特別措置に関する法令の規定に基づきまして、五十二年以降八年間で本土価格にさや寄せする、こういう考え方のもとに所要の価格改定を行っておりまして、現段階におきます価格差は、本土を一〇〇といたしまして七三・六でございます。ことしの四月から本土価格改定がございます。従来の例からいきますと、四月にその分所要の調整をするということになるわけでありますけれども、定率でさや寄せを行っております分の扱いか従来から九月でございましたので、沖繩県の要望も踏まえまして、四月の分と九月の分を合わせまして九月にもう一度ことし改定させていただく、こういうように考えておりまして、まだいま細部を詰めておるところでございますけれども、その価格改定を行いました段階では、消費者価格のベースで見まして約八〇%、それから政府の売り渡し価格のベースで見ますと約七四%程度になる、こういうふうに考えております。
  151. 部谷孝之

    部谷委員 六十年までに本土並みの価格に上げていく、そういうふうな法律になっておるようですが、そういたしますと今後、ことし以降、大体年間どれぐらいの値上げ率で推移していくのか、お尋ねします。
  152. 松山光治

    ○松山説明員 本土価格が動かないことを前提にいたしますと、通しで伸ばしていきますので一割ちょっとという数字に相なろうかと思います。
  153. 部谷孝之

    部谷委員 沖繩では毎年、本土の米の価格値上げに加えて、本土差を解消するために一〇%程度これの値上げが行われるわけですが、主食である米の値段がこれだけ大きく上がっていくということは、消費者の立場からいたしますと大変なことになると思うわけであります。まだ沖繩の振興開発は緒についたばかりでありまして、先ほどるるお話があったような事情で、まだまだそうしたものに対する、保護政策という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、そうした政策が必要であるわけでありますし、また、他の物価の上昇にも引き続いて大きな影響を及ぼしてくるだろうと思うわけでありまして、他の復帰特別措置につきましては大体五年間さらに延長しよう、こういうふうなことになっておるようでありまして、県民生活にきわめて影響の大きい米、あるいは麦も含めるわけですが、この米麦の問題につきましては、六十年本土並みという既存の方針を、やはりこうした復帰特別措置と同じように延期していくことが必要ではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  154. 松山光治

    ○松山説明員 米麦の価格の取り扱いを判断するに当たりまして、消費者価格への影響ということに慎重な配慮を必要とするというのは、御指摘のとおりでございます。他方、米の流通という観点からいたしますと、できるだけ不自然な価格差が存在しないということが、流通秩序の維持という点からいたしましても重要なことであるわけでございます。  実は、本問題につきましては若干の経緯がございまして、復帰当時の法令の規定によりましたときには、復帰後五年間、本土が変わらない限りは沖繩価格は変えない、五十二年から三年間で本土並みの価格にする、こういうことで当初出発したわけでございます。ところが五十二年の段階になりまして県の方から、そのさや寄せ期間を延長してほしいという強い要請がございました。私ども米の流通秩序という観点からいたしますと、できるだけ早くさや寄せを終了することが望ましいということになるわけでございますが、県民生活への影響という問題ももちろんあるわけでございます。そのときの県の要請は、再延長の申請は行わないから、三年間とあるのを八年間に延ばしてくれないか、こういう強い要請でございまして、私ども関係省庁とも十分相談し慎重に検討いたしました結果、現在のような取り扱いになっておる、こういうことでございます。  先生指摘のような県内情勢あるいは県内の消費者の方の御要望があるということも、私ども県からも聞いておりますけれども、県としましても、そういうこれまでの経緯から見まして、再延長の申請は非常に困難な問題なんだ、そういうふうに判断しているというふうに私ども承知しておるわけでありまして、そういう経緯のある問題であるという点につきまして格別の御理解を賜りたい、このように考えておるところでございます。
  155. 部谷孝之

    部谷委員 これは県の方が少し消極的だというお話ですが、これは国の方のガードがかたいからそういうことで、県の方が出していいものか悪いものか、その辺国の顔色をあるいは見ておるのではないかというふうな感じさえいたします。昨年、この復帰特別措置に関する要望書が開発庁に持ってこられましたときに、私は大変申しわけないが、総務局長の応対がよくなかったということが記事に出まして、そのときの総務局長さんの御答弁が、やはりそうしたいろいろな今日までの経緯もあるので、それを踏み越えてあるいは乗り越えていくにはかなり大きな問題が介在しておるので、慎重な発言をしたことがあのような記事になったのだろう、当時そう言われたのですけれども、だから復帰特別措置だって、そう簡単に今度の措置がとられたとは思わないのです。かなりそうした困難を乗り越える努力がされて復帰特別措置の税制の延長というものがいま考えられ、実現しょうとしておると思うのですが、大臣どうでしょうか、この米の問題、あわせて御推進願えないでしょうか、いかがですか。
  156. 中山太郎

    中山国務大臣 主食に関することでございますから、私といたしましても重大な関心を持っておりますが、その問題につきましては、農林水産省あるいは県との十分な話し合いをさらに詰めさせていただきたいと考えております。
  157. 部谷孝之

    部谷委員 次に、医師の確保の問題につきまして、これも先ほどるる御質問があったわけでありますが、いつも沖繩県の医療の立ちおくれということが指摘されるわけですが、医療面における本土沖繩格差、これはどのようになっておるのでしょうか。
  158. 斎藤治美

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  昭和四十六年末、復帰直前の沖繩県の医師数は四百八十三名でございました。その後、年々増加してまいりまして、一番新しい五十四年末の数字ですと七百九十一名、約三百人ふえております。しかしながら先生指摘のように、本土と比較いたしますと、医師数の人口当たりの数は非常に低うございます。復帰前、全国平均と比較をいたしますと、沖繩県の人口当たりの医師数は四割強でございました。その後、その格差はだんだんに改善されてきておりますけれども先ほどの一番新しい数字ですと、全国平均の約五六%というふうになっておりまして、まだ格差が残っておることは認めざるを得ない状況でございます。
  159. 部谷孝之

    部谷委員 そうした格差を埋めるために、医師の確保をするためにどのような施策がとられてきたのか、また、今後どういうふうにとっていかれようとするのか、いかがでしょうか。
  160. 斎藤治美

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  格差を根本的に是正するには、本格的な医師養成を拡充していく必要があろうかと思いますが、この点は、文部省の施策の中で基本的には進めていただいておるわけでございます。  私ども厚生省といたしましては、当面の医師不足に対応するために、沖繩開発庁と連携をとりまして、本土から医師、歯科医師を派遣するという制度を四十七年からとっております。五十五年度の一番新しい数字で申し上げますと、この医師派遣制度によりまして百七十四名の医師、これは計画も含めた数でございますが、本土から業務援助あるいは技術指導という面にわたって派遣しお手伝いをしております。歯科医師につきましては、五十五年度四十九名となっております。
  161. 部谷孝之

    部谷委員 このような措置がそれぞれとられておるわけでありますが、先ほど指摘がありましたように、琉球大学の医学部医学科の設置によりまして、国費沖繩学生制度が打ち切られたわけであります。そして同時にまた、そうした琉球大学の医学科の合格者の出身県別の動向も見ながらさらに後の施策を考えていきたい、こういうふうな御方針だったと聞いておるわけですが、このたびの合格者が百名中三十三名、三三%、三分の一の人たちが沖繩県出身者で占められたということは大変喜ばしいことだと思うのです。しかしそれでもなお、離島、僻地における医師の確保という面につきましてはまだまだ不十分だ、こういうふうに私は思うわけであります。県といたしましてもそういう意味からいたしまして、国費医学生制度の復活について強い要望をしておるわけでありますが、その点重ねて、その御用意があるのかどうか、お尋ねをいたします。
  162. 川村恒明

    ○川村説明員 御指摘のございました国費沖繩学生制度の問題でございますけれども先ほど先生お話がございましたように、今回の琉球大学の医学部の入学者の数が、沖繩県出身者の数が非常に多かったということがございます。医学部というのは先生御承知のように、ほかの学部と違いまして、卒業後二年間の臨床研修というふうな制度もございます。そういうふうな関係がございましてほかの学部と違って、その学部を出た者が同じ県内に定着する率というのは非常に高いわけでございます。出身が沖繩県の者であろうとほかの県から来た者であろうと、それは医学部の性質として県内への定着率が高いというようなことがございまして、そういう観点から言うと、非常に長期的に見れば、やはり琉球大学の医学部がりっぱに成長していくということが、沖繩県の医療事情をよくする上で一番肝心のことかというふうには思っておるわけでございます。  ただ現在、御指摘のような沖繩県の置かれておる厳しい事情ということも私どもそれなりに承知をしておるわけでございますので、今回の結果というものもそれなりに十分評価し分析もさせていただきたいと思います。同時に、そういうものを見ながら沖繩県当局、その他の関係の方々の御意向というものを十分承ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。私ども従来からそういうことを言っておりましたし、県の方々からも事務的には接触はいままでございましたけれども、こういう結果が出た段階でございます。なお今後、よく県の方々の御意向どいうものを伺いながら、今後の具体的な措置というものを考えてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  163. 部谷孝之

    部谷委員 続きまして、先ほど大臣は、産業開発の問題点は水とエネルギーである、こういうふうに述べられたわけですが、こうした沖繩県の自然条件を考えますと当然、いま進められておるダムの造成、これも続けられなければならないわけですけれども、多角的な水源開発を行って安定供給を図ることが重要である、これは当然であります。同時にまたそのために、海水淡水化の導入に取り組んでおる、こういうふうなお話があったわけでありますが、もう少し具体的にどういうふうなことをやっていらっしゃるのか、お尋ねいたします。     〔委員長退席、上原委員長代理着席〕
  164. 海原公輝

    ○海原政府委員 お答えいたします。  海水淡水化につきましては先生御存じのとおり、四方が海に恵まれている沖繩県のことでございますので、五十二年から五十四年にかけまして、私どもの方に推進調査費というのがございまして、その中で研究調査を行ってまいりました。それは蒸発法という形での研究を進めてきたわけでございますが、御存じのとおり蒸発法によりますと、重油を主体ということでございますので、昨今の石油情勢から必ずしも適当でないということで、五十五年度、五十六年度、二カ年にかけまして、逆浸透法ということで研究を行っているところでございます。これは大型プラント、小型プラントそれぞれにつきまして、概略設計したり、それからそれの効果を見るというようなことを両年にわたって実施することにいたしております。大臣が御着任になりまして海水淡水化の促進ということもございますので、できるだけスピードアップを図りたい、こういうふうに考えております。そしてその結果を踏まえまして、プラントの導入の可否ということを踏まえて鋭意検討しておるというのがいまの段階でございます。
  165. 部谷孝之

    部谷委員 蒸発法によるとコストはどれぐらいになるのでしょうか、また、逆浸透法によるとどれぐらいのコストになるのでしょうか。
  166. 海原公輝

    ○海原政府委員 これは稼働率をどの程度に置くかというようないろいろな問題がございます。実は、蒸発法の場合に三つのタイプで研究いたしまして、一つは既設火力発電所との二重目的、現在あります火力発電所に乗っけるというスタイルでやる方式と、それから新設火力発電所との二重目的、それから単独でやる場合と、いずれも五万立米パー・デーということでやったわけでございます。いろいろございますが、新設火力発電所との二重目的、五万トンの場合には、八五%稼働といたしまして、これは当時の値段がちょっとあれでございますけれども、そのまま生の数字で申し上げますと約二百三十円、それから五〇%稼働でいきますと約三百円というような姿でございます。単独の場合には、当然のことながら値段が上がりまして、八五%稼働で三百六十円、五〇%稼働で約四百四十円ということでございます。そのときの燃料費は一キロリッター当たり四万四千円というような根拠になっているようでございます。
  167. 部谷孝之

    部谷委員 いまのお話は上水、水道用水のお話だと思うのです。工水の方はいかがでしょうか。
  168. 海原公輝

    ○海原政府委員 お答えいたします。  工水については、いまちょっと手元に資料がありませんし、私の聞いている限りでは、工水についてはやってなかったかと思います。
  169. 部谷孝之

    部谷委員 私は去年糸満へ参りまして、あそこの漁港整備と同時に、工業団地をこれからつくる計画があるわけですが、そのとき、やはり一番問題は水の問題であり、同時に、団地における工水の問題が非常に大きな問題として提起されておりましたが、こういうところに逆浸透法を使うと非常に有効ではないか、これは私がそのときに感じたのですけれども、そのような御計画はございませんか。
  170. 海原公輝

    ○海原政府委員 本土ではあるやに聞いておりますが、沖繩ではいまのところ計画はございません。  なお、現在の五ダムでございます工業用水、水利権が設定されておりますが、実際の稼働率といいますかそこから受けているのは、三分の一という実情にございます。
  171. 部谷孝之

    部谷委員 糸満というのは一番南ですからね、私はちょっとその辺は興味ある場所だと思いますので、ひとつ御検討いただきたい、こういうふうに思います。  それと、エネルギー電力の問題ですけれども、これも石川発電所を石炭専焼にこれからやっていきたい、十五万六千キロワットを二基、これをやっていきたい、こういうことでございますが、これを二基やりますと建設費はどれくらいかかるのでしょうか。——わかりませんか。結構です。大体一千百億ぐらいかかると私は聞いております。  そういたしますと、この設備費というものがコストにかなり大きな影響を及ぼしていく。先ほどから大臣、お述べになりましたように、電力料金はもう当分の間上げないのだ、それから、石炭専焼に切りかえ、そしていまの電源開発に建設してもらって、それを電源開発の売電を受けて買って、それでやりたい、そのことがコストを引き下げる一つ方法だというふうにも私は聞こえたのですけれども、そういたしますと、設備費に何らかの手を加えないと私はコストダウンにならないと思うのですが、いかがでしょうか。
  172. 中山太郎

    中山国務大臣 詳しいデータは資源エネルギー庁で計算をしておるわけでございますから、沖繩開発庁としては具体的な数字を申し上げる立場にないと思います。  しかし、最初の投資金額というものがどうなるのかというものと、投資とそれから電力を得るコストとの関係では、やはり一番安いものが原子力発電です。その次が水力、その次が石炭というふうな序列になっていくんじゃなかろうか。そこいらの問題でわれわれとしては、沖繩の産業を振興させるというのか通商産業省の責任でございます。だから私は、通産省とも相談をしておる過程の中で、正直なことを申し上げると、幾ら工業立地の造成に通産省が金を入れても、いわゆる電力料金が九州電力よりも高ければ企業家というものはやってこない、まだそこで産業は興ってこない、だから工業立地の造成をするならば、そこに沖繩での二次産業というものが育つような電力料金の形成をやることが二律背反性を否定する最大の問題だ、こういうふうに実は話をして、先ごろの電力値上げ料金も大幅に引き下げさせたわけでありますが、問題は、ここで石炭専焼の火力発電所をつくるということについて、それが直接に沖繩電力料金にはね返るようなことは避けてまいりたい、このように考えております。
  173. 部谷孝之

    部谷委員 時間が来ましたので、終わります。
  174. 上原康助

    ○上原委員長代理 瀬長亀次郎君。
  175. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は、沖繩における米軍人軍属等による人身の被害補償及び沖繩返還協定の第四条、放棄請求権の問題などに関連して質問いたしたいと思います。  最初に、これは去年の十一月二十六日の参議院の安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会における美野輪政府委員、総務局長の発言がこう言っております。「この対米請求権につきましては、私どもといたしましては、いわゆる政府が沖繩の返還協定におきまして放棄いたしましたものは、これは県民が有しますアメリカあるいは米軍に対します請求権に対します外交保護権を放棄したものであるという考え方に立っておりまして、日本政府が肩がわりしてこれに対して法律上の責任を負うものではない、」ということを言い、次に「個々の請求者が有します米軍あるいは米国に対する請求権といいますか請求といいますか、そういった実態をここで奪ってしまうものではない」、ここに二つの問題が起こります。一つは外交保護権の放棄の問題、一つは個々がアメリカに請求するというような実態をこれで破壊するものではないというような問題です。  そこでお聞きしたいのは、見舞い金も、政府が責任ない、そう言っていることから起こってきておりますが、いま人身被害者の具体的実例を挙げますと、この人がアメリカに対して果たして請求できるかどうかという問題、これは新城勇一さん、当時二十八才の場合。新城さんは、昭和三十一年三月八日、那覇市の旧一号線の安謝橋付近を通行中、猛スピードで走ってきた米兵の運転するMPカーにはねられ即死した。このMPカーには琉球警察の警察官も同乗していたが、結局、米軍側に過失はなかったと何の補償もされなかった。新城さんには当時、五歳、三歳、二歳の三人の子供がいた。父親が死亡したため、五歳の長男はおばあちゃんが引き取り、母親が二人の子を連れて再婚するなど家族がばらばらの生活を強いられ、いまもその状態が続いている。このおばあちゃんと孫のめんどうを実質的に見てきた新城さんの実姉の友寄さんは、補償申請の手続だけでも五、六回やった。そのたびに書類をそろえ、交通費だけでもばかにならない。いま見舞い金がどうなるかわからないで不安である。  こういったような人が、美野輪さんが言っている個々の請求権、これは放棄するものではないというならば、これは米政府に対しあるいはこの加害者に対して何らかの請求をする法的根拠はあるというふうに解釈されるが、これを教えていただきたいのですが、別に追及ということではなしに、この人に教えていただきたいという意味で答弁してください。これは中山長官にお願いしたいと思うのです。——局長、時間がありませんから、余り長いこと言わぬでください。
  176. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 それでは、できるだけ簡潔に御答弁をいたしたいと思います。  個々の具体的な事例を挙げての御質問でございますが、その具体的な権利関係、事実関係といいますかその間に含まれる相互の責任関係といったものにつきましては、私どもつまびらかにいたしませんので、大体一般論として申し上げますと、先生先ほど前の答弁を引用されましたが、私ども考え方といたしましてはそのとおりでございます。  いわゆる対米請求権問題につきましては、返還協定の四条によりまして請求権を放棄したということは、わが国が外交保護権を放棄するということでございまして、国が……(瀬長委員「それ以上繰り返さぬでください、これに書いてあるから」と呼ぶ)また、その外交保護権の放棄が直ちに国に法律上の補償責任を発生させるというものではないというふうに考えております。しかしながら政府といたしましては、沖繩県民が戦後二十七年間の長期にわたりまして米国の施政権下にあった
  177. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 発言中ですが、時間がなくなるのです。私はあなたの言ったことを読んだのだ。同じことを言っているのだ。長官が五時には退場されるというから、できるだけその退場に間に合わせてやろうというわけですから、委員長ちょっと……。
  178. 上原康助

    ○上原委員長代理 答弁者は簡潔に。
  179. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 はい。  そういう沖繩の特殊事情を考慮いたしまして、さきの沖繩復帰対策要綱、第三次要綱におきましても、実情を十分調査の上、国において適切な措置を講ずる、こういう基本方針を明らかにしたものでございまして、その方針に基づきまして、この関係事案を措置しようと考えておるところでございます。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま聞いておるのは、個人の名前を言いましたが、あなたは「個々の請求者が有します米軍あるいは米国に対する請求権といいますか請求といいますか、そういった実態をここで奪ってしまうものではない」、すなわち、外交保護権の放棄であって、個々のそういった人身被害者あるいは遺族の請求する権利を奪ったものではないと言うから、それじゃこういった場合には、アメリカ政府に対して個人ができるかどうかを私はいま言ったわけでありますから、中山長官、どうですかね。
  181. 中山太郎

    中山国務大臣 外交上の問題もございますし、法律上の請求の問題にも属することでございますので、専門的な政府委員の答弁にまちたいと考えております。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この件からすると矛盾が出るのです。いわゆる外交保護権は放棄した、それから、個々のたとえば中山太郎さんが請求する、したい、これを実態的に奪ったものではない、そうなると両方矛盾するのですよ。大臣だとできるかもしらぬが、そういったような人がアメリカ相手にやるという場合には、どうしても外交保護権の問題が出てくるのじゃないかと思うのです、民事を起こすのか、アメリカに裁判を起こすのかわからぬが。そういった矛盾点をこの返還協定四条の放棄請求権の中には含んでいる。  ですから結局、日本政府は法律的に補償する義務はないが、沖繩の諸事情を考えて見舞い金制度というような形で要綱ができた、これはわかります。ただ、いま問題にしておるのは、この放棄請求権の四条が事実上、いかに沖繩県民の人身被害を受けた人々あるいはその遺家族に対する責め苦になっているか。私は実例を六つぐらい持っているのですよ。いま言ったのは、家族がばらばらになって、本当に生きたいためにいままで必死になってやっていたといったような実態があるので、こういった人々の救済措置、たとえばアメリカに要求する。見舞い金ではどうにもならぬ、こんな見舞い金ではいかぬといったような場合に、日本国憲法の規定する基本的人権の問題とか財産、安全の保障だとか民主主義の問題とかいろいろありますが、そういった憲法に保障された人権の問題をとっても、請求する権利というふうなのを破壊してないということは総務局長が言っておりますから、そのとおりだと思うのですよ。その場合、まだ詰められていないのは、じゃ、こういう場合にどうするのかということが詰められていない。そこで、これは法律上の問題であるので、中山長官としてこれに対する明確な答弁をいま控えられましたが、この四条問題はまだ詰められていないのですよ。  私は、これはいまさら別にさらに中山長官をどうだああだ追及するつもりはありません。やはり法律的な問題がある、外務省の関係もある、あるいは法制局長官などの問題もある、そういったことでありますからこれ以上追及しませんが、この二つの問題が絡み合っている。外交保護権を放棄したんだということと、個人個人が請求する権利、請求権を実態的に破壊することではないといったような矛盾なんですよ。これについては、法的に後で改めてこの委員会かあるいは別の委員会でも詰めたいと思いますので、その点は一番大きい矛盾点だということ、日米沖繩返還協定の四条、これがいかに人身被害に対する問題として深刻な矛盾を与えているか、そういう問題がこの条項の中にあるということを指摘しておきたいと思います。  次に、具体的問題に移りますが、補正予算で組まれたかどうかわかりませんが、大体去年の末で死亡した者、傷害を受けた者合わせて五百五十八件になっておりますね、これは百二十九件のときに一億三千万円ですか、これが約倍に上がっている。この場合、予算上どのように措置されたか、これを事務当局でもいいから御返事願いたいと思います。
  183. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  まず、一億三千万の積算の根拠でございますが、これはただいま先生が数字をお挙げになりました、当時出されておりました百二十九件の請求事案、それに改めて申請を受けるという形で考えておりますので、未請求のものが相当数出てくるものということで、未請求件数として約五割程度の増加があるのではないか、そういう形で一億三千万の積算をいたしたわけでございます。  ただいま先生指摘のように、昨年の十一月末に申請を締め切りまして、その時点におきまして、申請件数といたしましては五百五十八件出てまいっております。これによりまして、当然のことでございますけれども、当初より予想外に増加しておりますので予算の不足が見込まれるということで、私どもといたしましては、予備費等の使用によりましてこれを措置することといたしておるわけでございます。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それじゃ具体的にこの補償額は幾らで、最高幾らか、最低が幾らか、ちょっと簡潔に答えてください。
  185. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 ただいま具体的に最高、最低の額の御質問でございますが、この問題につきましては、昨年十一月に締め切りましたけれども、申請件数が予想外に多かったということもございまして現在、現地沖繩総合事務局におきまして全力を挙げましてその積み上げをやっておる段階でございます。総額といたしましては、私ども承知しておる限りにおきましては、おおよそ二億七千五百万程度になるのではなかろうか、このように考えております。     〔上原委員長代理退席、委員長着席〕
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最高と最低は幾らですか。
  187. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり現在、総合事務局におきまして最終的な詰めを行っておる段階でございまして、個々の事案についての金額等まだ精細に出ておらないという状況にございます。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これから一例を挙げます。これは長官がおられる間にお耳に入れておこうと思って  今度の申請者の中で、昭和四十一年五月二十二日深夜、牧志十貫瀬通りで外人専用大型タクシー運転手をしていた那覇市小禄の新垣新得さん、当時三十一歳は、頸動脈を切られて殺された。目撃者の証言から、犯人は米兵と断定されていながら迷宮入り、全く補償されなかった。新垣さんは、補償推進協議会、これは会長はいま西銘知事ですが、会を通じて国に対し二千二百八十八万八千百四円の補償額を請求した。ところが、今度支払われようとする見舞い金の推定額は百九十四万六千七百円と言われている。しかも、今度の申請者の中でも最高の部類と言われているが、これは間違いないかということ。  この点、これは調査したのですよ。本人にも聞き、県にも調査したということ。これはいま申し上げた二千二百八十八万八千円以上請求した。これに対して補償の推定額、見舞い金でしょうかね、百九十四万六千七百円。これは推定額しかないということになると、とんでもない補償額になるわけなんですよ。実情は、頸動脈を切られてもう家族もばらばらだといったような状態。この人は五百五十八件のうちに入っているのですよ。  こういったようなアンバランスがあるのは、いま私が最初に申し上げた、国家が法律に基づく補償ではなく、行政措置としての見舞い金支給という形のものだから、私は基準は聞きません、基準そのものがもう時代おくれであることはわかっています、こういったような請求額のまさに十分の一にも足らないといったような問題が出ておるのですね。これに対して長官、もうお出かけになると思うので一言、この矛盾について、どうすれば人身被害を受けた家族が、ああよかった、政府はいい政府だというふうに安心して受け取るようにできるかという、救済措置を含めて大臣のお話を聞きたいのです。
  189. 中山太郎

    中山国務大臣 私も、中のケースの具体的なことをいま先生から御指摘をいただいたところでございます。亡くなられた御当人及び御家族については、まことにお気の毒なことだと存じておりますが、その見舞い金というものがどのようなものであるのか、ただいま総務局長が御答弁申し上げましたが、個々のケースについてはまだ詳細なことを申し上げる段階でないと申しております。私も十分な関心を持ってこの問題については注意を払ってまいりたい、このように考えております。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう五時五分前ですが、あと一言。  ここでこれからどんどん具体的なケースを出しますが、根本的な問題を要求したいのは、いまさっき申し上げましたように、日本国憲法に保障された基本的人権の問題とか法のもとにおける平等の問題とか、こういった問題を踏まえて、やはり見舞金制度ではなくて、法に基づく補償制度を日本政府がやっていただくということが一番大切じゃないかなということ。日米沖繩協定はちゃんと結ばれて、四条もでき上っている。これをどうしろということは常識的にどうも言えないと思うのです。しかし、それはやってしまったからということで放棄するわけにいかない。こういった救済措置をやるためには、憲法に基づく基本的人権やその他の原則を踏まえて、何らかの形で法的措置——見舞い金という涙金、これはアメリカはやりました。殺したら花を持っていっておしまいだということも私、よう知っております。こういった見舞い金の形ではなくて、何らかの法的措置を講じていただきたいと思うんだが、そういった面についてどのような形でできるのか。もちろん、まだ頭にないと思いますが、いずれにしろ、そういった点が必要じゃないかなというふうに私は考えておるのです。この点について、長官の御意見を伺いたいと思います。
  191. 中山太郎

    中山国務大臣 人命に関することでございますので、研究をさせていただきたいと思います。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは私、幾つかの事例を申し上げます。実に深刻ですよ。  今度は松堂英雄さん、当時四十歳の場合。松堂さんは、一九六〇年十二月十八日の夜、那覇市内旧政府前交差点において米兵運転の車にはねられて、翌朝息を引き取った。加害者の米兵は、はねた松堂さんを酔っぱらいが道にいたから連れてきたよと那覇署に連れ込んだ。那覇署は、それを真に受けてよく見ないまま、そのうち酔いがさめるだろうと放置していた。しばらくして、うめき声を上げる松堂さんに気づき、これはただの酔っぱらいではないと病院に運び込んだが、内臓破裂して手おくれだった。死んでしまった。  松堂さんの服にはタイヤの跡があり、那覇署は容疑者として米兵を挙げたが、米軍側が加害者であると裁定しなかったため何の補償を受けていない。妻の勝さんの話では、その米兵が軍事裁判にかけられたと聞いたが、本人が自分はやっていないと主張し、無罪になった、被害者の家族でさえ傍聴もできない軍事裁判だから、このように審理がされるのだ、全く憤激にたえられないと言う。残された遺族は、年寄りと子供の十一歳、六歳、四歳の五人。何度も死のうと思ったが、死にきれなかったと言うだけで、勝さんはその後の詳しい生活ぶりを話そうとはしなかった。人を殺しても罪にならないのなら、同じように殺してやろうとすら思ったこともある、しかし、私などにそれができようはずがない、今回の見舞い金についても、復帰の時点でちゃんと処理すべきだった、にもかかわらず政府は、いままで何の措置もとっていない、実に憤激にたえない、こういう松堂さんの実例です。  こういった実例は、あと五件くらいあるのですが、私ここで読むだけでも大変なんで申し上げませんが、いま申し上げましたようにすでに五百五十八件、これは先月締め切られたのです。これが百二十九件のときに一億三千万でしょう。五百五十八件というと約三倍、私はこれが三倍になると思っていたのですよ。一億三千万円だから、その三倍は三億九千万円でしょう。ところが聞いたら二億円余り。これでは、こういったようなまさにどん底の生活に追い込まれたような被害者の家族に対する措置としては、余りに残酷過ぎると私は思うのですよ。これは補正予算でされたかどうかわかりませんが、なぜこのように件数が三倍になりながら補償金額はわずかに二億円余りなのか、これは常識で考えてもただごとではないのですね。また、いまだに最高の金額も最低の金額もわからないというような状態、これは政務次官、どう考えられるのですか、いまの大枠の問題。
  193. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  件数が約三倍近くなっておるのにどうか、総所要額の見込み額が少な過ぎるのではないかというお尋ねでございますが、先ほど申しましたように、一億三千万の積算の根拠といたしましては、百二十九件ということではなくて、それに対して五割の未請求者の請求が出てくるものという計算をいたした数字が一億三千万でございます。  それから、それでもなお少ないではないか、単純に算術計算いたしますと、その割りではふえてないではないかという御疑問があろうかと思います。これは総体の数字として私ども現地の方から報告を受けておるところでございますが、これは当初、一億三千万の積算の根拠にされておりましたのは、死亡事案が非常に多うございまして、その割合が高かった。今回、いわゆる未請求の中から新たに請求されてきた事案につきましては、傷害が圧倒的に多いというような関係があるという報告を私ども受けておるところでございます。
  194. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そこまでおわかりですから、支給する最高額、最低額は幾らか、これは答弁できるでしょう。
  195. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 この人身関係の具体的な事案の処理につきましては、開発庁長官から現地の総合事務局長に全面的に権限を委任をして、この処理に当たっておるところでございます。したがいまして、本庁におきまして措置すべき必要な範囲においてはもちろん、報告を取り寄せ、それによって予備費の使用等につきまして手続をとっておるところでございますけれども先生いま御指摘の個々の事案につきましての金額といいますか、最終的にいま現地の方で誤りなきを期するよう審査をいたしておるところでございます。したがいまして私ども現在、手元に持たないわけでございます。
  196. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、個々に事例を挙げて、松堂さんには幾らかというふうに聞きたかったんだが、これは多分お答えできないと思って、全体を比較して最高幾らぐらいか、最低は幾らぐらいかと聞いているのですよ。あなたの答弁によると、あなた方わからないで向こうが知っているのでしょう、沖繩の総合事務局が。そうすると、一体何のためにあたなた方が、総務局長さんがいるのか、何のためにこっちはまた質問しているかわけがわからぬ。向こうへ行って質問せぬと具体的な数字は出てこないということでは、とんでもない総務局じゃないですか、どうですか。向こうでもいまコンピューターでやっているかわからぬが、向こうでやるから私はわからぬ、これが総務局長でしょう。ここへ来て大臣もおられる、政務次官もおられる。ここで、具体的には向こうでやっておりますからお聞きくださいとは言わなかったが、いずれにせよ、そういった結論になるのですよ。これは重大ですよ、総務局長。政務次官、いかがですか、そういったような答弁でいいのですか。
  197. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 先ほど来申し上げておりますように、この関係の事務の処理につきましては、これを全面的に総合事務局長に委任をして、現地において処理をいたさせておるところでございます。現地におきましては先ほど申し上げましたとおり、予想外に多くの申請件数が出てきたという事情もございまして現在、最終的な詰めを行っておるところでございまして、その間すべての事案についての最終決定をまだいたしておらないという状況にあるわけでございます。したがいまして、私どものところに確定したものとしての数字は上がってまいっておりません。そういった意味におきまして、ここでお答えする状況にないということを御理解いただきたいと思います。
  198. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最終決定はいつやられますか。
  199. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 今月の三十一日までには最終決定をいたしまして、請求者の方々に御連絡をいたしたい、このように考えて進めておるところでございます。
  200. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 今月の末というと、きょうが二十七日だから、あと四日しかないのですよ。ですから、ここでわかっているんだ、事実は。あと四日しかない、そのときに最終決定でしょう、御本人に渡すのでしょう。そういった答弁を平気でやれるのですか。あと二カ月もある、四カ月もあるということになればわかりますよ。三月で、四月から新年度でしょう。こんな答弁を一体堂々とやっていいのか、どうなんですか。おかしいじゃないですか、無責任だよ。
  201. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 先ほど来るる申し上げておりますとおり、権限としては現地の総合事務局長に委任をいたしてやっておる仕事でございます。それから、先ほど来申し上げているとおり、現実に現在時点においては最終決定に至っておらない、こういう状況でございますので、重ねての御質問でございますけれども答弁はいたしかねる事情を御了解いただきたいと思います。
  202. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点は、中山太郎総務長官にお聞かせしたがったのだが、おられぬから、こういった状態ということを政務次官、伝えておいてくださいね。
  203. 岩崎純三

    ○岩崎政府委員 そのとおり総務長官の方にお伝えいたします。
  204. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので最後にお聞きしますが、これは人身被害の請求の問題と別に対米放棄請求権の補償。「“個人払いにせよ” 土地連、県方針に反発 「社団法人設立」で論議へ」、これは推進協議会で論議になったのだ。県では、百二十億ですか、これを七カ年間でやる。今度十億出ましたか、それを個人個人に渡すのではなくて、社団法人をつくって個人個人に渡さないと言う。ところで向こうでは、土地連の本当の請求権を持っている人が集まって、なぜわれわれに渡さぬのか、当然の話なんです、これが論議になっている。これは大変なことになりますよ。なぜ社団法人をつくらぬといかぬのか。これが西銘県政だけの問題であるのか、皆さんが、いわゆる開発庁が示唆されて、社団法人をつくって、十億円を五十六年度予算に組んであるからやれと言ったのか、この問題。いまの人身被害の補償の問題とも関連して、個人個人が被害を受けておる、これを請求してまとめているのを——百二十億じゃ足らぬわけです。とんでもない話だ。いずれにしても、個人個人の被害者に渡すのが当然だと思いますが、これに対する答弁、政務次官やりますか、どなたですか。
  205. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように対米放棄請求権問題につきましては、県の推進協議会から三次にわたりまして、またそれとは別途に、漁業者団体等からも約千六百億に及ぶ要請が出されておるわけでございます。先ほど来申しましたとおり、これら沖繩の特殊事情を十分勘案し、しかも事柄の性格上早期に処理したいということで、逐次処理をいたしてまいったわけでございます。  五十五年度までにおいて漁業、人身につきましての予算措置をいたし、昨年の八月に残る事案につきまして百二十億、五年払いということで要求をいたしたわけでございます。それに至ります間に現地の推進協議会等とも一昨年来、協議を重ねてまいっておりまして、昨年の予算要求に当たりましては、現地推進協議会からも、予算総額を百二十億とし、五年の分割払いとすること、また、支払いは新たに設立される公益法人に対する団体一括払いとすることという趣旨を織り込みました要請書が出されてまいったわけでございまして、私どもといたしましては、種々勘案し、相当のものと考え、その内容に沿った要求をいたしまして、ただいま先生お挙げになりましたように、総額としては百二十億、これを七年間で分割支給するということで、来年度十億円の計上をいたしておるところでございます。
  206. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間が参りましたのでやめますが、いまの総務局長ですか、答弁できないものだからああいった答弁をしているのだ。私が聞いているのは、こういった個々の被害者、土地連ですよ、おれらに返せと言っている。なぜ社団法人をつくって後生大事にこの十億をやるのか、これはあなた方が示唆したのかどうかということを聞いているだけであって、何もあなたの言うようなおしゃべりをしてもらおうとは思わなかった。  委員長にも申し上げたいのですが、私、結論として申し上げたいのは、非常に不勉強ですね。たとえば四条の放棄請求権の問題、これは私、やりますぞと言ったのです。対米外交保護権の放棄という問題、個人個人の請求権は決して破壊するものではない、その矛盾点、これを尋ねますと言ったら答弁できない。長官はせっかく、外務省その他関連の法律関係の人々とも連絡して——連絡とは言わなかったが、そういった人々の意見もあると思うのでと言われたが、今度の場合、私は四条は売国条項だと言っているのです。沖繩返還協定の売国条項はこれだ。だからいま現実に法的な補償はできないで、見舞い金を支給するという協定を行政措置でやっている。この矛盾はおかしいですから、改めて聞くことにいたしますが、ぜひひとつ長官に、今度自信を持ってこの矛盾点を解明できるように要望していたということを伝えてください。  終わります。
  207. 小沢貞孝

    小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会