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1981-05-22 第94回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月二十二日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 関谷 勝嗣君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       近岡理一郎君    浜野  剛君       古屋  亨君    三塚  博君       水野  清君    山村新治郎君       伊賀 定盛君    小林 恒人君       関  晴正君    浅井 美幸君       小渕 正義君    三浦  久君       四ツ谷光子君    田島  衞君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君         自 治 大 臣 安孫子藤吉君  出席政府委員         大蔵政務次官  保岡 興治君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治省財政局長 土屋 佳照君  委員外出席者         議     員 三塚  博君         議     員 加藤 六月君         衆議院法制局第         三部長     相川 清治君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     小林 恒人君 同月二十二日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   田島  衞君     中馬 弘毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  (加藤六月君外九名提出衆法第三〇号)      ————◇—————
  2. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより会議を開きます。  加藤六月君外九名提出全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案議題といたします。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。三塚博君。
  3. 三塚博

    三塚議員 ただいま議題となりました全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案提案理由について説明を申し上げます。  新幹線鉄道は、昭和三十九年十月の東京−新大阪間の開業以来、その高速性大量輸送力安全性等によって国土の開発、国民生活向上に寄与し、また全国新幹線鉄道整備法は、昭和四十五年五月、議員提案によって制定されたものでありますことは、皆様御承知のとおりであります。  新幹線鉄道建設につきましては、その建設主体である日本国有鉄道または日本鉄道建設公団が、建設のため必要な資金負担し、国がその資金の一部について助成措置を講じておりますが、今後、建設に要する巨額な資金について同様の方式でこれを進めますならば、日本国有鉄道は、そのきわめて悪化している経営の現状から見まして、そのような負担にたえ得ないことは明らかであります。  一方、新幹線鉄道建設は、国民経済発展国民生活領域拡大に資するものでありますが、あわせて地域住民生活向上沿線地域産業経済進展等地域発展にも大きく寄与するものであります。特に、今後建設される新幹線鉄道については、地域発展に資する便益はさらに高まるものと考えられます。  このような実情にかんがみ、今後整備する新幹線鉄道については、国による助成措置のほか、建設のため必要な資金について地方公共団体による財政措置が必要であると考えられますので、地方公共団体が、日本国有鉄道または日本鉄道建設公団に対し、新幹線鉄道建設のため必要な資金についての補助金等交付その他財政上の措置を講ずることができるよう、全国新幹線鉄道整備法根拠規定を設けることといたした次第であります。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成をいただきますようお願いを申し上げる次第であります。
  4. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  6. 宮崎茂一

    宮崎委員 全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案につきまして、若干質問をいたしたいと思います。  この条文を読めばわかりますように、改正点は、現行法の十三条第二項を二つに分けまして、地方公共団体資金援助を明確化したという一点に尽きると私は思うのであります。つまり建設のため必要な資金についての援助、」この「援助」という文字を「補助金等交付その他財政上の措置」というふうに変える、この点だけが改正の主眼でございまして、あとはほとんど何もない。地方財政支出する根拠法規をつくる、こういうことだろうと思うわけでございますが、「援助」ということで、現行法で、改正法に期待されているような法的な効果つまり補助金等交付その他財政上の措置」そういうものは読めないのかどうか。地方財政再建促進特別措置法第二十四条の第二項にそのような趣旨がございますが、その一点だけがこの法案の審議の焦点だ、私はこういうふうに思うわけでございますので、「援助」という文字拡大解釈と申しますか、そういった意味で、この改正法のねらっている「補助金等交付その他財政上の措置」ということが読めないのかどうか、どうしてもこれをやらなければならないかどうか、その一点だけを提案者の方からでも御説明を願いたいと思うわけでございます。
  7. 加藤六月

    加藤(六)議員 宮崎先生の御質問、私たちも一番苦労したのはその点でございまして、現行法に書いてある援助等の問題をずいぶん議論しまして、あの法律が通った直後に地方公共団体等と十三条の中身についていろいろ詰めたわけであります。  そこで改めて勉強しましたら、特定の事業を推進するための措置としての援助という文言を使用している立法例はたくさんあるのでありますけれども、援助というものは一体何だという例示としては助言、指導、勧告、資金の融通またはあっせん等ということを挙げておるものがほとんどでありまして、経費の補助として例示されて挙げてあるものは、農業振興地域整備に関する法律というのが目につく程度でありました。すなわち、援助とは、特別の場合を除いては補助を含まない概念ではないだろうかということでございますので、いろいろ考え議論してやったわけでございます。  といいますのは、先ほど申し上げました十三条の二項の規定は、新幹線鉄道建設資金援助等についての地方公共団体努力義務を定めた趣旨でございますが、しかも地方公共団体国鉄及び鉄建公団に対する補助金等支出を禁止した地方財政再建促進特別措置法規定との関係等もございまして、今回のような方法修正をいたそう、こういたしたわけでございますので、そこはよろしく御理解いただきたい、こう思うわけでございます。
  8. 宮崎茂一

    宮崎委員 大体そういうことだろうと思っておりました。  それでは事務局に、いままでの法律援助というものの解釈に含まれるような実効的な問題、実例としてどういうことをやっておられたのか、国鉄でも鉄監局長でもよろしゅうございますが、その点が第一。第二点は、改正法の中に「補助金等」とございますね。この「等」というのは一体何を指すのか。これは提案者よりも皆さん方の方が詳しいんだろうと思いますので、これは失礼でございますが、提案者でも結構でございます。「財政上の措置」ということが具体的にはどういうことか。この三点ですね。  それじゃひとつ提案者にお伺いをいたします。どうも失礼いたしました。
  9. 加藤六月

    加藤(六)議員 「補助金等」という場合は、利子補給その他いろいろな問題があります。それで、「財政上の措置」という場合には、寄付等行為土地とか寄付金とかいうことを考えてやっておるわけでございまして、簡単に言いますと、金、物等に関する寄付行為を新しく入れるようにしたわけでございます。
  10. 宮崎茂一

    宮崎委員 この法律は、いま御説明のように、地方団体新幹線建設資金負担の道を開いたというふうに解釈をしているわけでございますが、この法律が通過した場合に、これは具体的にどういうことになるのか。政令を出して地方負担を決めるのか。私ども、工事費の三分の一地方負担という案も聞いておるのでございますが、法律が通った場合には運輸省としてどういうふうにお考えですか。
  11. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  今回の法律内容は、地方財政再建促進特別措置法のいわば特則をつくる、こういうことでございまして、地方公共団体新幹線建設に関しましていままでできなかったことをできるようにするということでございます。したがいまして、そうした能力が付与されるということになりますと、今後の問題といたしましては、具体的に整備新幹線をどういうふうにしていくか、こういう問題になろうかと思います。四十八年以来いままで調査を重ねてまいってきております。本年度も国鉄鉄建公団それぞれ二十億円ずつの調査費が計上されております。こうした調査費を使いまして従来の調査をさらに深度化いたしまして、環境影響評価等を完全なものにつくり上げるということが第一番の仕事かと思います。そうしたことの結果といたしまして、今後の方向としまして、各線別内容を十分に検討して、着工のための諸準備を具体化する、こういうことに相なろうかと思います。
  12. 宮崎茂一

    宮崎委員 地方負担の問題でございますが、地方負担の道を開いたわけですから、政令か何かでお決めになるのか。その負担率はわかっているのかどうか。三分の一ぐらいというような話も聞いているものですから、地方財政負担をどうするのか、政令か何かをお出しになるのかどうか、その辺の問題をお聞きしたいと思います。
  13. 三塚博

    三塚議員 お答えします。  これはかねがね検討してまいりました過程において三分の一という意見などもありましたし、全額利子補給みたいな形もありました。先ほど提案説明で申し上げましたとおり、国鉄新幹線をやれる状況は、今日の状況にありますものですから、そういうことの中で、地域要望、また国政上の要請からこれをやり抜くということに相なりますと、何らかの方式考えなければならない、こういうことで御提案をさしていただいたわけであります。  政令で決めるのか、こういうことでありますが、政令で決めます以上、割合が明定されてまいらなければなりません。そういう観点が一つ。それから、地方財政の今日の置かれておる現況からいたしまして、仮に明定してそれを課しましても鼻血も出ない、こういうことになりますと、ふところの中に手を突っ込んで取るわけにもまいらぬわけでありますから、そういう点で、地方の実態を加味しつつ、最も理想的な方法は何だろうか、こう考えますれば、この建設に関しましては、国有鉄道地方公共団体話し合いの上で、建設に必要な補助金等支出についてあるべき姿が協議の中から生まれてきますことが理想的でありましょう、こう考えましたものですから、政令を決めましてやるということは適当でない、こういうふうに考えておるところであります。
  14. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、もう一つ伺いますが、この法律が通過した場合でも、いまお話しのように、いま国の財政あるいは国鉄財政が非常に逼迫しているから、地方負担という思想を導入したということでありますので、たとえば昭和六十年に財政再建ができた、こういうことになりますと、やはり新幹線網というのは法律趣旨に従いまして国がやるということでありますから、あるいは国鉄財政が非常に好転した、あるいはまた東北新幹線上越新幹線が完成をいたしまして財源に余裕ができたときに、この法律が通過してこの法律効果があっても、従来のような、つまり国が出す、あるいは国鉄が出すという場合もあり得るかどうか、その点はいかがでございますか。
  15. 加藤六月

    加藤(六)議員 その点も非常に苦しんだところでございます。たとえば、東北新幹線東京盛岡間のものについては地方公共団体負担はない。ところが、仮にこの修正案が通った場合に、盛岡以北東北新幹線の場合、地方公共団体に、修正趣旨に従った何らかの援助をしていただくようになった場合おかしいんじゃないかという問題等も含みながら議論いたしました。ただ、宮崎先生に御理解をいただきたいのは、国鉄新幹線であれ、AB線であれ、CD線であれ、線路を敷く場合は地元負担はない。ただ、一部鉄道債を買っていただく。しかし、これは高い利子をつけてお返しする状態になっております。ところが、空港でも国道でも公園でも下水でも、あらゆるものについて地元負担というのは伴っておる。そこで、いろいろ議論しまして、地方公共団体が、鉄道鉄道鉄道で、新幹線をつくれ、AB線をつくれという要望が起こる場合は地元負担がない。しかも、つくったら納付金という制度で、地方公共団体には固定資産税にかわるものとして逆に差し上げるということ等に、鉄道というものとそれ以外の道路とか公園とか港湾とか空港とか下水とか、そういうものとの問題があったわけであります。  したがいまして、前段に申し上げました東海道・山陽新幹線あるいは東北の盛岡までの新幹線並びに上越新幹線とこれからやらんとしておる整備新幹線との間の問題点はずいぶん議論した上でございます。私としては、宮崎先生の、昭和六十年財政再建は成り、あるいは国鉄も黒字に転換した後は、現在の盛岡までの東北新幹線あるいは上越新幹線既存の山陽・東海道新幹線のように地元は一銭も負担しないようにするのかという御意見は、その時点になって改めて考えなくてはならぬとは思いますが、二番目に申し上げましたような精神から言って、今後国鉄工事をやる場合には何がしかのものはという考え方と今回の修正趣旨というのは残しておいて、逆に地域住民皆さん地方公共団体国鉄というものが徹底的に話し合いをしていくというのが、国鉄に対する理解と認識を深めていただく上においていいのではないか、こうも考えております。要は、昭和六十年度時点においていまの法改正趣旨を残しておきたい、あるいは貫いていきたい、こうも考えておるわけであります。
  16. 宮崎茂一

    宮崎委員 新幹線がいま敷設されているところは太平洋ベルト地帯で、非常に富裕な県でございます。また、新幹線網をつくろうという趣旨は、日本全国を平等に開発しようという趣旨でございます。また、これから整備五線を敷設しようというところは貧乏県でございます。ですから、なるべく国の財政国鉄財政が許せばひとつ全額国庫でやっていただきたい、これは後で、その時点での話し合いだという説明でございますので、要望をしておきます。  それで、私の時間も余りございませんが、実は現実的にこれから新幹線をつくろうというのは、御承知のように、整備五線でございます。整備五線については、私は九州ですから、国鉄の方に九州新幹線鹿児島福岡間の問題について二、三お尋ねしたいと思いますが、この新幹線についてはいままで毎年毎年大分調査をしてこられた。多分国鉄調査されたのだと思いますが、この五つの新幹線の中で九州新幹線というのは非常に経済効果があるのじゃないかと思うのです。それでまた、いま一つ一般的な常識として、鹿児島から札幌まで、これは採算性は度外視してやはり通さなければいかぬのじゃないかという議論があるわけです。  そういった意味から、整備五線の中で九州新幹線優先順位というのはどういうことになっているのか、また全体の工事費幾らなのか、それから財政の問題もございますから、法律が通った場合に鹿児島県の負担は一体幾らぐらいになるのか。これは負担できるかどうかという問題でございますから、非常に重要なことです。私も間接的に聞いておりますけれども、ひとつ調査しておられるところ、国鉄当局からお答えを願いたいと思うわけでございます。
  17. 半谷哲夫

    半谷説明員 お答え申し上げます。  九州新幹線鹿児島新幹線延長キロでございますが、福岡市−鹿児島市間ということになっておりまして、延長約二百五十キロでございます。それから、同じく九州新幹線福岡市から長崎市に至ります……(宮崎委員「そっちは聞いていない、鹿児島福岡間だけ聞いている」と呼ぶ)福岡市−鹿児島市間は二百五十キロでございます。  工事費につきましては、現在調査を進めている段階でございまして、総工事費につきましてはまだ確たるものは出しておりませんが、概算いまつかんでおりますところは、キロ当たり平均三十五億程度でございまして、今後調査を進めまして全体の工事費を確定していくということになるかと思います。
  18. 宮崎茂一

  19. 三塚博

    三塚議員 優先順位につきましては、これは提案者の側からいたしますと、五整備新幹線、いずれも重要かつ大であります。そういう点で、諸手続を全部勘案をいたしつつ、それから建設に要する資金捻出状況、それを公平厳格にこれも検討しつつ、国家財政状況等も加味しつつ、この五線の中から、一回に五線をやろうといいましても、これは常識的ではございませんし、できません。しからば、一ないし二線かと、これもいろいろと問題があろうかと思います。そういう意味で、その優先順位同時着工でいくのか、それとも一からスタートするのか、二なのか三なのかということは、この法律が成立をさしていただきましたならば、先ほど申し上げましたように、国鉄及び地方公共団体鉄建公団及び地方公共団体、この協議の煮詰まる姿を見つつこの方向を決めさしていただく、こういうことで御理解を賜りたいと思います。
  20. 宮崎茂一

    宮崎委員 私もちょっといま数字がわからないのですが、鹿児島県の負担分が八百七十億というような数字を覚えておるのですけれども、これは大体の概算ですか。
  21. 加藤六月

    加藤(六)議員 それは宮崎先生が言われているのは、私が小委員会における私案として一回、二回、三回出し、三分の一の工事費補助をやった場合の各県の負担分、あるいは二十年利子補給、十年利子補給をした場合の各県の負担分という、党の小委員会議論をした場合にやった数字でございまして、あくまでも仮定の上でございますけれども、申し上げますと、たとえば工事費全額補助をやって九州新幹線の五十四年価格で、先ほど半谷常務がお答えしましたが、九州新幹線工事費八千六百億だろう。その場合において、工事費三分の一補助のときには地方負担分が二千八百七十億円、それで鹿児島県の負担分は八百七十億という数字を出したことがありますから、それを言われておるのじゃないだろうかと思います。  なお念のために、二十年間利子補給でいった場合は、全体の利子補給額九州新幹線の場合は一兆二千九百億になって、地方分が四千三百億になる。そのときの鹿児島県の利子補給分は千三百億になる、そういう数字最終報告のときに私、出して、これはあくまでも仮定であり、こうはいたしませんけれども、計算してみるとこうなるということで出した数字にこだわっておられるのだろうと思いますが、ひとつこの法律審議ではそういう数字には余りこだわらぬようにして議論していただきたい、こう思います。
  22. 宮崎茂一

    宮崎委員 仮定数字でございますけれども、非常に莫大な数字でございます。ですから、先ほど申し上げましたように、これからつくるところはどこも、鹿児島県だけではなくて、熊本県も青森県も貧乏県でございますから、全国的な立場からひとつなるべくその負担を少なくするように、これは要請をしておきます。  なおまた、国鉄がいままでに調査された中で九州新幹線で申し上げますと、路線のルートはもうこれは確定をしているのかどうか。それから、駅がこれはもう確定しているのか。たとえば私の知っているところでは、鹿児島では鹿児島駅、西鹿児島川内出水、こういうふうに聞いておりますけれども、ルートと駅は確定しているのかどうか。それから、いま一つ突っ込んで申し上げますと、西鹿児島の駅、これは私は山側、つまりいま管理局のある側でなければとても入れないと思うのですね、既存の駅に対しては。これは早くやってもらわないと、鹿児島都市計画上非常に困るわけです。西駅、まだバラックみたいな駅舎でして、やはりこれから都市計画をやる上においても、新幹線がいつ入るか、大分先になるのかもしれませんけれども、これはどうしても地元としては、新幹線が入るのだったらここにこういうふうに入るのだ。用地買収、建物、その敷地だけは確保していただかないと、そこへ後からどうにも入れなくなったというのじゃ困るわけですから、その点ひとつお答え願いたい。  ルートの問題、駅の問題、特に鹿児島県の駅、西駅の問題、これをひとつ。
  23. 半谷哲夫

    半谷説明員 お答え申し上げます。  九州新幹線はもちろんでありますが、この五整備新幹線につきましてのルート、駅でございますが、現段階では確定したというところまではまだいっていないわけでございます。ただ、御承知のように、現在まで環境影響評価あるいは工事着工調査等進めてまいっておりまして、この駅並びにルートを決めていく、その最終決定工事実施計画大臣に申請いたしまして決定するわけでありますけれども、そのための候補をしぼっていくというための必要な諸調査、データを現在おおよそ完了したということでありますが、なお今後地方自治体等々の御意見を聞きまして、また土地利用計画あるいは都市計画等との整合性をこれから図りまして、また建設費をいかに安くするかというような点も重要な点だと思いますが、こういう点を十分考慮に入れて、最終的な候補ルート候補並びに駅を決定していきたいということでございます。  それから、先生の御質問にありました鹿児島西鹿児島、あるいは出水川内等駅設置でございますが、いずれも地方主要都市でありますので、有力な候補だと思いますが、これにつきましてはいま申し上げましたような状況でございまして、今後の検討を待って最終的に決まるということでございます。  それから、西鹿児島市街地に入る、あるいはその途中の市街地ルート確保等いろいろあるわけでございますが、これにつきましても、今後地元自治体等との御協議段階でこれを決めていくということになりますので、その線に沿って地元の方でもいろいろ対策をお考えになることになるかと思います。  また、駅につきまして、特に西鹿児島についての御質問でございますが、これにつきましては一つの有力な候補考えますが、今後なお詰めまして決めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  24. 加藤六月

    加藤(六)議員 宮崎先生がいま御質問されたそういう問題を、前半のルート駅舎の問題につきましては、いままでの調査費鉄建公団国鉄で約二百四十億つぎ込んでおります。相当調査がありますが、環境影響評価を発表するまで各地方公共団体といろいろこれから精力的に詰めさせなければなりませんが、先生がおっしゃいました駅前広場都市計画駅舎問題等について、この法律改正して、それならこれは県で持ってくださいよ、これは国鉄で持ちましょうというような具体的なものを、いままでは、いま先生が御質問のように、鹿児島の場合こうこうで困る、困るではないので、わが方はこういうふうにしてもらいたい、こういうふうにすればいい。都市計画駅前広場の面積はこういうようにしたい、駅舎はこういうようにしたいという場合には、それならこれは市が都市計画法に従っていろいろやるというようなことで、持ち分を今度改めて相談していただくのがこの修正ですから、そういう面で地元の意向を十分くみ入れ、そのかわりに地元はこれとこれはするということを決めていただくような中身にもっていこうというのが今回の修正趣旨であるということもあわせて御理解いただきたいと思いまして、半谷常務の答弁に追加して私が申し上げたわけでございます。
  25. 宮崎茂一

    宮崎委員 駅がどこにできるかということ、それから、いまのお話のように、これは地元の方で、何年先に開通するかわかりませんけれども、都市計画というのは百年の大計でございますから、やはりこれだけは確立していただきたい。私、帰りましたら地元の方にもきょうの話をしておきますけれども、国鉄の方は調査費をもってやっておられるわけですから、都市計画その他等もひとつよく相談していただきたいと思うわけであります。  いま一つお伺いしたいのは、鹿児島みたいな田舎ですと、なるべく福岡とか中央と新幹線で、高速輸送で直結したい。いま福岡に行くのには飛行機ですけれども、飛行場まで一時間かかります。新幹線が来れば、福岡行きのお客さんはほとんど新幹線に移るのじゃないかと思うのです。それで、そういう観点から、九州新幹線をやるときには鹿児島福岡と両方からやってくれという、これは素人の議論でございますが、両方からやってくれという議論がありますが、国鉄、これはどうですか。福岡からやるのか、福岡鹿児島両方からやるのか、いかがですか。
  26. 半谷哲夫

    半谷説明員 新幹線建設する場合の建設の進め方といいますか、着手の仕方かと思いますが、東海道・山陽新幹線建設段階を振り返ってみましても、まず東京−新大阪間を開業いたしまして、その後引き続き岡山、さらに博多へと逐次建設を進めてきたわけでございます。したがいまして、現在、山陽新幹線が博多まで行っておりますが・これを仮に鹿児島市まで延ばすという場合には、東海道・山陽と同じように、現在営業しております新幹線を逐次延伸していくことが合理的ではないかと考えているわけでございます。  なお、五十三年十月の新幹線整備関係閣僚会議において了承されております中におきましても、既設路線を延伸する区間ごとに行う承認を受けて逐次これを実施するというような、現在の新幹線から延ばしていくということが内容として了承されているわけでございます。
  27. 宮崎茂一

    宮崎委員 まあ常識的にはそうだと思いますが、たとえば熊本−鹿児島間の長大トンネルがある。これを初めから着工していくということは、開業の方は福岡から順番になるでしょうけれども、長期間の工事を要するというところはやはり初めに、ある時期に着工していくということが必要じゃないかと思いますが、どうですか。
  28. 半谷哲夫

    半谷説明員 工事を実施いたします区間が決定されました場合には、その区間内における全体の工事のでき上がりといいますか、そういったようなものを見まして、その工事を実施する区間の中のどのような工事を先に行うかということは、いま先生のおっしゃったように、まず工期のかかるものからかかるということは当然出てくるわけでございますが、先ほど私が申し上げましたのは、工事を実施する区間を決めるという場合には、やはり現在線を延伸するという形で行うということでございます。
  29. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、時間もないですから、最後に一つ、ちょうど大臣もお見えになっておりますが、実は鹿児島市はいま毎年人口が一万人ずつふえているわけですね。もうすでに五十万人を突破いたしました。それで、東京とか大阪みたいな私鉄は全然ございません。ですから、道路輸送に大分頼るということですけれども、朝夕の通勤は非常なラッシュですね。道路というのはなかなか一遍にでき上がりません。ですから、鹿児島市を中心にした通勤旅客輸送というものは国鉄に頼らざるを得ないと思っているんです。川内西鹿児島駅間あるいは指宿線の鹿児島市に近い方、肥薩線の近い方、これはどうしても旅客輸送に頼らざるを得ません。国鉄は非常に大変な赤字の時代で財政不如意でございましょうけれども、輸送需要に対応した、輸送需要をさばくような施設はどうしてもやらなければならぬと思うわけですが、この点については国鉄からでも結構です。  運輸大臣に対してはもう一問申し上げますが、先ほど申し上げたんですが、新幹線はこれからの日本を開発していく陸上輸送の大量輸送、高速輸送のチャンピオンだと私ども思っているわけですね。ですから、鹿児島から札幌までどうしても国の費用でやっていただきたいという気持ちは非常に持っているわけです。鹿児島県民もそういうふうに考えているわけです。そうしないと開発できないのじゃないか。これは基本的な考え方ですね。これはひとつ日本列島をなるべく開発するように、最後に大臣からお伺いをしたい。その前の鹿児島市内の通勤輸送対策は国鉄から答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 半谷哲夫

    半谷説明員 整備新幹線も含めて、新幹線というのは都市間輸送ということになるかと思うのでありますが、それと同じように、大都市圏における旅客輸送というものも当然鉄道の特性が発揮できる分野というふうに考えているわけでございまして、経営改善計画においても経営の重点化を志向する、その一つのテーマであるというふうに位置づけているわけでございます。したがいまして、主要都市圏の旅客輸送対策というものにつきましては、今後ともその地域の交通事情あるいは輸送需要の動向、投資効果あるいは財政事情、工事資金等の状況をにらみながら、総合的に勘案して、段階的に整備していきたいというふうに考えている次第でございます。
  31. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 御質問の要旨でございますが、要するに日本列島を縦断いたします高速鉄道建設というものは、もうすでに政府としても基本的な方針は決めておりますし、逐次新幹線建設を進めてきたのでございますが、なおしかし、一部、いわゆる整備五線という地域につきましてまだ着工にも至らない。現在、国なり国鉄が大変な財政窮迫の状況にございます。といって、国民の願望でございます高速鉄道の敷設ということは国家的な使命としてやっていかなければならぬのでございますが、現在の国鉄財政の中だけではなかなか賄い切れないものでございますから、国なりあるいは地元のお力をかりて早急に進めていきたいという方針、これはいささかも変わるところはないのでございまして、われわれは最大の努力を払っていきたいと思うております。
  32. 宮崎茂一

    宮崎委員 終わります。
  33. 小此木彦三郎

  34. 関晴正

    ○関委員 今度の提出者である加藤さん以下合わせて十名が、この全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案を出されているわけであります。  この法案を見まして第一に感ずることは、何のために自民党の議員の方々がこういう法律案を出すに至ったのかということに対する疑問であります。  申し上げるまでもなく、議員立法というものは、幾ら政府にこれをやれと言っても政府が聞かない、そういう場合には議員としての良識を国民の前に示さなければならない、こういうところでいろいろと理由が生じて提案ということになる。しかも、野党の場合、天下を取っておらないだけに、自主的にこれを提案する、そういう経過というものはいろいろあったと思うのです。いまや自民党の天下はそんなに不安定な天下でもないように見るわけでありますが、そういうときに、なぜ自民党の議員が、政府に言えばできるようなことを、言うてきたかどうかはともかくとして、言わないことはないと思うのです、言うても政府自体の提案には至らない、そうだとするならば、われわれが出すしかないだろう、こういう一つの経過があり、考え方があって出されたのじゃないだろうか、私はこう思うわけであります。  それで、これは実は十人の提出者の中で一番責任のある提出者となれば、櫻内義雄さんじゃないだろうか、私はこう見たわけであります。そういう意味で、ぜひひとつ櫻内義雄さんにおいでをいただきまして、自民党がこれを出さざるを得なかった理由、そういうものを実は聞きたいわけであります。加藤さんや三塚さんですか、とにかくお二人が責任を持つということのようでありますが、お二人では私にしてみればちょっと心細いわけであります。したがって、やはり十人、そこに責任を持って顔ぐらいはそろえてもらわなければならない、答えてもらうのはせいぜい二人か三人だとしても。  そういう意味で、自民党を代表する者は鈴木総裁でありましょうが、いま鈴木さんにそこに出てというわけにもいくまいから、せめて提出者であるところの櫻内さんにぜひ出ていただいてお答え願いたい、こう申し上げておいたわけであります。しかし、こう見渡しても、櫻内さんはお見えになっておりません。  まず、これがどういうわけか、後でおいでになって答えられることになっているのかどうかということ、その点を先に聞いておきたいと思います。
  35. 加藤六月

    加藤(六)議員 関先生は、この法律ができた経過をお調べいただければすぐわかると思うのです。国会においてわれわれは多くの法案その他を審議いたしておりますが、衆法、参法、政府提出、大きく分けますと三つ、あるいは形の変わったものとしては委員長提案というものもあります。  実は、現行法を最初つくるときに私も提案者になっておるわけでありますが、そのときに、超党派で、各党全部一本にまとめてやろうということでずいぶん努力いたした経過があるのでありますが、当時佐藤内閣でございましたが、いろいろ議論しました。社会党さんにも、公明党さんにも、民社党さんにもずいぶん声をかけ、相談し、共同提案になっていただくようにしておりましたが、最終的に、法案には賛成するが、ひとつ自民党提案にしてくれぬかというお話がございまして、自民党提案にいたしました。  そうしますと、国会における法案審議をいろいろ見ますと、たとえば士法というのがあります、何々士とつくやつですね、士法というのは、ほとんど衆法あるいは参法あるいは委員長提案というかっこうで出ております。また、本法が議員提案衆法であった場合の修正というものも衆法で、議員提案改正案を出すというのが大体のならわしその他になっております。政府に改正案を出すようにしなかったのかというお話でございますが、最初から、この法の趣旨から従って、政府に出さすようにしたことはございません。  それから、先生御存じのことでございますが、提案者の場合に、その責任者的に思えるたとえばわが党の櫻内幹事長に出てきてもらって質問ということ等がございますけれども、衆法その他で社会党提案法律を成立させたこともありますが、社会党の書記長をその法案で呼んで審議したことはございません。説明者に、提案代表者にいろいろやってきておるわけでございます。したがいまして、櫻内幹事長がこのなにに出てくる意思はありません。
  36. 三塚博

    三塚議員 お答えをいたします。  櫻内幹事長以下、党のお歴々が名を連ねております。この法案の重要性、国民の期待にこたえるという意味で決意表明をいたさせていただきました。  そこで、御案内のように、貴党もそうでございますが、それぞれ政策の担当者がございます。小生部会長でございますが、加藤提案者は政調筆頭副会長ということで、言うなれば交通政策、財政万般についての党の最高責任者のお一人であります。加藤提出者をおいてこの法案について明快な答弁のできる者はいない、余人をもってかえがたい、こういうことに相なっておるものでございますから、どうぞ御質疑を御展開賜りますようにお願いを申し上げさせていただきます。
  37. 関晴正

    ○関委員 まことに情けないお答えでありまして、提出者というものは少なくとも責任を負わなければならない、責任を持たなければならないと思うのです。決意を表明するのであれば決意者にしておいて、提出者にしなくていいわけであります。  そういう論議を進めてもまた時間がむだになりますので、ずばり私は聞きます。  この法律案を出すに至った経緯というものは政府と相談した上でもない、われわれが出したものだ、こう言うております。私は、この法律の及ぼす範囲が一部局あるいは一地域あるいは一特定団体、そういうようなものであるならばまだわかります。しかし、この法律の及ぼす影響、範囲というのは全地方です、地方公共団体すべてであります。これほど重要な影響を与える法律案を、余人をもってかえがたき加藤六月氏において提出されるほど重要な問題であるかどうかということを見ますときに、そういう個人的な問題で出される筋合いのものじゃない、私はまずこう思うのです。  そこで、とにかくあなた方がせっかく骨を折って出した、こういうのですからお尋ねしておきたいのですが、地方財政再建法の第二十四条とこの法案との関係はどうお考えになっておりますか。
  38. 加藤六月

    加藤(六)議員 地方財政再建促進臨時措置法二十四条第二項と全国新幹線建設法案第十三条第二項、この問題で、先ほど自民党の宮崎先生からも御質問があったのですが、援助という言葉等でずいぶん苦しんだわけでございます。したがいまして、二十四条第二項に日本国有鉄道あるいは日本鉄道建設公団、以下数十の公社、公団の名前が出ております。私たちもあの法律の精神、趣旨を尊重しなくてはならない。しかし、新幹線法の十三条とそれとの関係についてずいぶん議論しまして、そこで、ひとつ今後地財促進法の二十四条の二項を修正するのがいいのか、新幹線法の十三条の二項を修正する方がいいのか、そして、それ以外の住宅公団法から森林公団法から、いろいろ数十の、あそこの中に書いてあるもの、抜いてあるもの等の議論をいたしまして、それで十三条の方を修正することによって二十四条の二項の方をエクスキューズしよう、こういうことでやったわけでございます。
  39. 関晴正

    ○関委員 地方財政再建促進特別措置法について吟味をしたお話でありますが、大体加藤さんが臨時措置法、こう言っておるのですが、これは臨時措置法じゃないんですね。地方財政再建促進特別措置法なんですね。まず法律の名前から間違わないでいただきたい、こう思うのです。  そこで、この第二十四条の趣旨というものは、少なくとも公共団体が国有鉄道鉄建公団等に対しては負担をしてはならない、こういう規定なんです。そういう点からいきますと、この規定に触れるようなものを衆議院単独で出して平気でおるなんということは私には考えられないわけなんです。  そういう意味で、いま一つベテランに聞いておきたいのですが、地方財政法の第二条の第二項についてはどう考えておりますか。
  40. 加藤六月

    加藤(六)議員 どう考えておるというのはどういうことですか。二十四条の二項にこれだけの公社、公団の名前が挙げてあるが、それと、今度は逆に、入ってないものとの差をどう考えるかということですか。それとも、この二十四条二項にわざわざこれを挙げておる精神をおまえは何と考えるかということなんですか、そこら辺をもうちょっと詳しくしていただきたいと思います。
  41. 関晴正

    ○関委員 私の質問をちゃんと聞いてないからこうなる。地方財政法の第二条の二項です。この法律に照らし合わせると、明らかに違反することになりませんか。何も精神規定じゃありませんよ。読んであげましょうか、第二項というのを。(加藤(六)議員「よくわかっています」と呼ぶ)わかっているなら答えてください。
  42. 加藤六月

    加藤(六)議員 だから、先ほど申し上げた新幹線法の十三条の「援助」という言葉と、地方財政再建促進特別措置法の二十四条の二項、その二項にずっと名前が書いてあって、何々、何々に対し、「寄附金、法律又は政令規定に基かない負担金その他これらに類するもの(これに相当する物品等を含む。以下「寄附金等」という。)を支出してはならない。」こう書いてある。  したがって、私たちは、先ほど申し上げましたように、新幹線法の十三条を書くときに、実は「援助」ということでこの二十四条の二項はくぐれると思っておった。ところが、くぐれない。趣旨が違う。援助というのは、先ほど御答弁申し上げましたが、助言、指導、いろいろな問題があるので、具体的金品、物品等をいうものじゃないだろうというような内閣法制局、衆議院法制局等の議論がありまして、先ほど御答弁申し上げましたように、何とか地方公共団体皆さん万にも、精神的にも物質的にも新幹線建設に対して応援していただけぬだろうかと思いましたが、先ほど先生が言われた、この二十四条に伴うこれがあるので、そこで「法律又は政令規定に基かない」、こういう趣旨がありますから、法律の十三条を、ただいま三塚先生提案理由の御説明をされたように修正することによって、この二十四条の二項は免除できる、こういうように考えておるわけでございます。
  43. 関晴正

    ○関委員 この方はまだ地方財政法の第二条と特別措置法とを混同しちゃっているんですね。違うんです。地方財政再建促進特別措置法というのは、これは「当分の間」ということで第二項にあるわけですが、私はこの基本法なんです。この地方財政における基本法の、地方財政法の第二条の二項なんです。あんた、知っている知っていると言って、何も知らないで答えている。とんでもないことだ。脱線もいいところだ。私の聞いているのに、あんた答えてない。地方財政法の第二条の二項なんだ、聞いているのは。よく後ろから聞いて答えなさいよ。「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とある。ここなんです。いいですか、「地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」これは転嫁になりませんか。お答えください。
  44. 加藤六月

    加藤(六)議員 地方財政法の第二条の二項に、先生が言われたとおりの法律が書いてあります。その場合に、地方財政の運営の基本であり、そして先ほど申し上げました促進措置法もあるわけであります。したがって、具体的に書いてあるのは、地方財政運営の基本についてはまさにそのとおりだろう、しかし促進措置法の二十四条二項でそれを具体的に挙げてある、それを免れればいいということになるので、先生が言われておるのは、地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならないから、これは地方公共団体負担を転嫁するものである、こういうわけですか。——しかし、負担を転嫁するような法律は、先ほど来申し上げておるように、何十本かございます。
  45. 関晴正

    ○関委員 どうもこの人の認識は別にあるようですし、この際、自治大臣がおいでになっておるはずですから、自治大臣にお聞きしたいんですが、地方財政法に照らし合わせまして、今次自民党の議員立法の法律案というものは、地方財政法に抵触するものだと私は思う。  そういう意味からいきますと、この法案そのものは、自治大臣として容認できるものではないのじゃないだろうか、こう思いますので、その点についてひとつお答えをいただきたいし、あわせまして新幹線の事業というものは、地方公共団体負担を伴ってすべき事業であると思っておられるかどうか、この二点について答えていただきたいと思うのです。自治大臣に聞いているのだから、自治大臣が先だ。
  46. 三塚博

    三塚議員 さきに加藤提案者から説明がありました、その関連であります。  このことを政令で定めるつもりはないと先ほど御説明をいたしたのでありますが、まさにこの規定は、この建設に必要な資金地方公共団体に転嫁する趣旨ではございません。言うなれば、義務的に課する趣旨でこれをやったわけではございませんで、先ほど申し上げましたとおり、鉄道及び地方公共団体がこの点について誠意を持って、その話し合いの上で方向を決めていく。言うなれば、そういうことであります。その点ひとつ。
  47. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 新幹線の問題については、基本的には国と地方の関係で、新幹線のようなナショナルプロジェクトというものは国の責任においてこれをやるのが本筋であろう、私はそう考えております。  今回の法案につきましては、それにいたしましても地方自治体との関係が非常に多いわけでございますから、そのいろいろな問題につきまして地方団体と十分に協議をするという趣旨が主である、そういう法案であると承知をいたしておるわけであります。
  48. 関晴正

    ○関委員 自治大臣に重ねてお尋ねしたいのですが、協議をすることであればこの法律は要らないのです。協議をしておればいいのです。とにかく、この法律を出してきたそもそものゆえんというものは、新幹線の事業に対して地方公共団体にも負担できるようにしたい、負担できるようにしたいということは、負担しなければやってあげませんよという裏があるわけですよ。黙っていてもやってくれればいいものを負担してくれなければやってあげませんよという、言葉の上ではできるものとするという可能性だけを書いているのですが、裏を返すと、これは当然そこに義務が伴っていく、必然性が出てくる、その順位によって建設が行われていく。こうなると、負担してもいいという自治体においては工事が進められていく。言葉の上では言ってあげてもいいが、いざ実施ということになると出せませんよということで不渡り手形みたいなかっこうで、よろしゅうございますという自治体まで出てくる可能性が十分です。  そういうことを思いますと、明らかにこの法律案というものは、地方財政法第二条の後段にあるところの「いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」という規定を超える、この規定に反する法律案になるのじゃないか、こう思うのです。ですから、これは出たところでけたぐりと申しましょうか、引っ込めてもらわなければならない法律案だろうと思う。  そういう意味で、権威ある自治大臣の見解をお示しいただきたいと思うのです。
  49. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 協議に関連いたしまして、あるいは地元負担という問題だってそれは話が出ないわけのものじゃなかろうと思いますが、しかし、そういう問題は、これは決して強制するものではないと私は聞いておるわけでございます。そういう関係で、そういう問題を含めて協議する道を開いたというのがこの法案の趣旨でございまして、それがいろいろな面において強制を伴うものではないということでありますれば地方財政法の基本的な精神にも反するものではなかろうと考えております。
  50. 関晴正

    ○関委員 自治大臣ももう少し骨があればもっといい答えを出してしかるべきだと思うのですが、こんなことでやめる気も起こらないでしょうから、そういう御答弁になるのでありましょう。しかし、これは地方自治体の財政にかかわる重大な問題です。そういう意味で、自治大臣はもっとしっかりした指導理念あるいはこれに対する見解を確立していただきたい、こういうことをまず希望しておきます。  そこで、私は、この法律案のただいま申し上げた点について、言うなれば地方財政法第二条の二項の地方負担に転嫁するような施策を行ってはならない、これは負担を転嫁するような施策になるのじゃないですか。行ってはならないということに違反する法律案になるのじゃないですか。これはどなたに答えていただけるのですか。出した人に答えろと言ったって、出した人は突っ走っているのですから、これを抑える者しか答える力はないでしょうから、そういう意味で、法制局長官にでも出てもらってこの際お答えができればと思うのですが、法制局長官おられますか。いなければ法制局の責任者の方からこれについての見解を出していただきたいと思うのです。
  51. 相川清治

    ○相川法制局参事 お答えいたします。  ただいま先生の御質問の点でございますが、先ほど来提案者の方から御説明がございますように、この法律案は、地方公共団体が自主的に新幹線鉄道建設に関しまして補助金等交付をすることができるという権能を与えたという規定でございまして、特に義務を課したりするようなものではございません。したがいまして、この二条の二項には触れない、こういうふうに考えております。
  52. 関晴正

    ○関委員 じゃ、どういうことなのですか。「地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」いままでは地方負担をさせないものでしょう。いままで地方負担させないものを、今度は負担することができると法律を直すわけでしょう。その法律内容は、地方財政法二条二項の転嫁する施策を行ってはならないということに違反しませんか。これは法制局で答えられないならば、法の番人である法務大臣でもいいですよ。「転嫁するような施策を行ってはならない。」とあるのだ。転嫁じゃありませんか。何ですか。
  53. 相川清治

    ○相川法制局参事 ただいま申し上げましたように、この規定はあくまでも補助をすることができるという自主性を尊重しながら地方公共団体が行うことのできる権能を与えた、こういうことでございまして、特に義務を課したようなものではございません。すでに他の法律、たとえば首都高速道路公団、阪神高速道路公団、これらの法律におきまして、地方公共団体が「業務に要する経費の一部を補助することができる。」という規定を置いてある事例も多々あるわけでございます。また、負担につきましてもいろいろ法律で他の事例がたくさんございます。
  54. 関晴正

    ○関委員 いまの例ではお答えにはならないと思うのです。地方負担している例があるからといって同じだということは、話の質が違います。転嫁というものはどういうことかというのです。転嫁するということは、いままでやってきたものを今度は他のものにも責めを負わせるようなことをするというのが転嫁でしょう。いままでは負わせていないのです、国鉄と国とで新幹線をやってきたのですから。また、運輸大臣国鉄総裁も転嫁しようとは考えていないのです、さすがにこの法律を知っているから。盲ヘビにおじずという言葉があるけれども、この法律からいけば明らかに違反ですよ、あなた方の出してきているものは。「転嫁するような施策を行ってはならない。」ですよ。(加藤(六)議員「不快用語だ。不快用語を使ってはいけません」と呼ぶ)不快以上の不快だよ。  とにかく、そういうことであなた方は間違っていませんか。
  55. 三塚博

    三塚議員 これは法制局の担当部長から御説明がありましたとおり、法構成の上からきちっとやらせていただいたわけでございまして、関委員が言われますように転嫁するものではないということは何回も答弁をさせていただいておるところでありまして、補助金の交付その他の財政上の措置を講ずることができるという、その道を与えた、そして法律上の根拠法をここに規定しただけでございます。先ほど申し上げましたとおり、地方団体との協議の中で結論が得られるものでありまして、宮崎委員にもお答えを申し上げましたとおり、鼻血も出ないものを、それは取るわけにはまいりません。ですから、国鉄地方公共団体が誠意を持って協議をいたした上においてそれが結論として導き出されるものであり、まさに転嫁ということは転じて加えるということですから、これは義務的な規定に相なります。その義務的、強制的な規定ではない、その道を開く、こういうことの中でこのことが行われたことであります。この精神は、実は地方公共団体の責任者とも数回にわたりましてお話し合いを私どもはさしていただきました。その中にあって、いまの国鉄財政の中では新幹線がやり得る限界にはございません。先ほど申しましたとおり、年々一兆円の赤字を出していくわけでございますから、そのためにローカル線の廃止等の法律も御審議を賜ってきた経過がございます。そういう中で、これ以上赤字を増加せしめることは国鉄の再建に大きな支障を来すであろう、これは各委員御案内のとおりであります。よって、地域要望、国民的な要望におこたえをさしていただくという点からいたしまして、地域代表である各県知事及び地方公共団体の代表者の方々は、さはさりながら、この整備新幹線というものは地域振興のために重大かつ大切なものである、こういう論点から、自分たちのできるぎりぎりの範囲のことはやらさしても、ぜひこれを推進をしていただけぬだろうか、こういう強い要望のありましたことも事実でございます。だからといって、私どもは、いま言われた地方財政法の精神もございます。そういう点ですべてを勘案をいたし、他の法律との整合性考えまして、こういう意味根拠規定を加える、そういうことで前に進ましていただく。しかしながら、これも国の財政が主たる部分に相なるわけでございますから、国家財政の好転を待ちつつ、また地方財政の現況を加味しつつ本問題に対応していくという、この点にありますことを御理解を賜りたいと思います。
  56. 関晴正

    ○関委員 とても理解できません。とても理解できませんけれども、私は、自治大臣もおっしゃったように、これはナショナルプロジェクトである、地方行政ではない、これは国家事業である、この認識が根底になければならない。  そこで、これは大蔵大臣見えていますか。大蔵大臣が見えていないので、次官が見えていますね。大蔵大臣にかわってお答えをいただきたいと思うのですが、この新幹線整備五線、これを遂行するためにはどれだけの金が必要となり、大蔵省としてはそれについてどういうような見解をお持ちになっておられますか。
  57. 保岡興治

    ○保岡政府委員 お答えいたします。  お金の金目の方は五兆二千億ということでございますが、いまいろいろ議論の中のお話にも出てまいりましたが、整備新幹線、これはその需給の見通しから見て、従来どおりの仕組みでこれを運営していけば、また建設していけば、大変な赤字を避けることができないということで、国鉄の現在の財政事情やあるいはまた国の現下の財政事情を考えると、とてもこれは国の助成によってこれを建設していくということは現在の状況では困難であるということでございます。しかしながら、この法律に出ております地方負担の問題でありますけれども、その地域の開発効果ということを考えれば、これは実質的にも、先ほど来出てきている地方財政法二条二項の問題からいっても、地方負担方式を検討することも一つ方法ではないか、こういうふうに大蔵省では考えているところでございます。
  58. 関晴正

    ○関委員 地方負担をさせれば大蔵大臣としてはこの事業というものが可能である、こう判断していますか。
  59. 保岡興治

    ○保岡政府委員 もちろん大蔵省としては地方財政の事情もなかなか大変だということを承知しておりますし、それはこれから地方自治団体の自主的な検討あるいは努力、こういったもので地方財政負担方法等が具体化するのを待って、国としてもそれを見て、これだけ議員立法で国民の要望を担って施策を推進しようというわけでございますから、それに対応するつもりでおります。
  60. 関晴正

    ○関委員 大蔵大臣の方にさらに聞きたいことは、この法律趣旨が生きていって、そうして地方負担もしていただいて、その上でやらなければやれないのだ、こう考えておるのかということなんです。  そこで、もっと具体的に詰めれば、大蔵当局としては、この事業のために、いつの時点で、どのくらいの金が見通しとして立てられるのか、それを聞きたいわけです。
  61. 保岡興治

    ○保岡政府委員 先生いま御質問の中でおっしゃったように、地方財政負担というものが具体的にはっきりしてこないと、これは国としても対応の検討ができない、こういうことでございますが、いまお話しの将来の見通し等は、現在、来年度予算編成でも、増税なき予算編成ということで、非常に、どういう事態になるか、まあ大変な熱いお湯の中を抜けていかなきゃならない、見通しの立たない状況で、必死で努力している最中でございますから、その先についてここで申し上げることはとても困難でございます。
  62. 関晴正

    ○関委員 もう一つ、できないお話だけれども、お尋ねしておきたいと思います。  これまで経緯の中に、せめて三分の一ぐらいは地方負担させよう、そうすると三分の二は国と国鉄で持ってやろう、こういうお話が出ておるのですが、たとえばですよ、これは三分の一持てなんてできる話じゃないのですが、大きく、何といいますか、もちのきいた知事なんかが、よしきたと張り切ったとき、その三分の一でも出してもらえれば、三分の二ぐらいは大蔵としてもしょってやろう、こういうお考えが出てきますか、出てきませんか。
  63. 保岡興治

    ○保岡政府委員 いまお答えしたことで御理解をいただきたいのですが、また、そういう具体的な負担割合、そういうものをここで申し上げる段階ではないということを御理解願いたいと思います。
  64. 関晴正

    ○関委員 とても答えられない問題だから無理もないと思うのですが、ここで私は運輸大臣質問したいと思います。  運輸大臣は、この新幹線法律に基づけば、すでに整備計画の終えたところ、基本計画が過ぎ、整備計画が過ぎ、そうしてあと建設の指示をすればいいだけなんだ。この法律の第八条の行使をなぜしないでおるのか。そこで、一度にやろうとするからこの八条の適用ができない、一つぐらいならばできるんだが、そういうようなお考えもあってしかるべきじゃないか、こう思うのです。  したがいまして、運輸大臣として、この第八条の行使をするに当たってどんなことをお考えになっていますか。
  65. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 この整備五線整備計画が決定されましたのが昭和四十八年十一月十三日でございます。その同日付をもちまして運輸大臣から国鉄総裁、鉄建公団総裁あてに建設を行うべきことをすでに指示しております。それに対応いたしまして今日まで国鉄及び鉄建公団が鋭意調査を進めてきておるというのがいままでの実態でございます。
  66. 関晴正

    ○関委員 そうしますと、第八条に基づいて建設に入っているということですか。
  67. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 その後に建設の指示がありまして、それを受けて建設主体といたしましては、環境影響評価等を十分に練りまして、それをもとにいたしました工事実施計画をつくり上げる必要がございます。この工事実施計画は運輸大臣の認可が必要でございますが、その段階までにはまだ至っていないという状況でございます。
  68. 関晴正

    ○関委員 第八条あるいは第九条に基づいて仕事をしておる、そういう観点からいくならば、運輸省としては、あるいは国鉄としてはどこに隘路があってこの仕事ができないのですか。建設は指示しておる、計画は進めておる、工事は実施させておる、じゃやっていったらいいでしょう。実質的にとまっているんじゃないですか。その理由は金がないからでしょう。  そこで、あなたの方は、これまで、言うなれば建設に当たっては地方援助を行うことができるとある、こういうことを利用して地方負担させたり援助させたりした金額、あるいは国と国鉄の間において今日まで出されている金額の割合はどうなっていますか。国鉄の持った割合、国の補助した割合、公団が持った額、プールして結構です、どこの線何々とは要りませんから、国鉄の持った分と国の持った分の補助の比率で結構です。それから、地方援助することに努めるとあるが、この努めた場合に金として出された地方があったかどうか、これについてお答えください。
  69. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 過去におきまして東海道・山陽、あるいは現在建設中の東北・上越というような新幹線がございますが、まず地方公共団体が、現在の新幹線整備法に基づきまして、十三条の二項による援助によりまして金額の負担をしたことはございません。  それから、国と国鉄あるいは鉄建公団等との資金あるいは助成等の関係でございますが、過去を振り返りまして、東海道新幹線におきましては国の助成はございません。それから、山陽新幹線におきましては、政府出資及び工事費補助金合わせまして約二千三百億円程度が出ております。それから、東北新幹線上越新幹線は、一部政府出資、それから工事費補助、ともに国鉄及び鉄建公団に対しまして政府出資は現在行われておりませんが、過去におきまして工事費の一五%、それから工事費補助金は必要な金利の三分五厘を超えるものの金利の補助ということで、それぞれ各年度の予算によりまして助成が行われておる、こういう状況でございます。
  70. 関晴正

    ○関委員 私の聞いているのは、これまでのトータルのパーセントでいいわけです。国鉄、公団の持ったパーセント、全体でですよ、そうして国が持ったパーセント、これがどうなっているか。これこれの金額、これこれの金額で、パーセントはこれこれであります、このお答えをいただきたい。
  71. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ただいま申し上げました数字でパーセンテージをはじくわけでございますが、国の助成額、出資及び工事費補助金等々合わせまして考えますと、東海道新幹線の場合は当然ゼロ、山陽新幹線の場合には約一兆円の総工事費に対しまして国の助成額は出資及び工事費補助金を合わせまして約二千三百億円でございますので、割合にいたしまして約二三%、こういうことに相なります。  東北新幹線上越新幹線は現在まだ工事の実施中でございますので、全体の姿はわかりませんが、東北新幹線の過去の助成額の総額は、出資及び工事費補助金を合わせまして約二千五百億、総工事費が約二兆六千億、したがいまして約一割の補助がいままでは行われております。上越新幹線におきましては、同様に政府の出資が、鉄建公団に対しまして七百九十億、工事費補助金が約一千二百億ということでございまして、これも上越新幹線工事費一兆七千億の一割強というのがいままでの助成の金額でございます。
  72. 関晴正

    ○関委員 全体からいきますと、国の補助というものは一割とちょっと、具体的に計算すると、とても一五%なんという数字は出てこないように見えます。したがいまして、これは国鉄並びに鉄建公団、それらのところでの仕事で進められてきたわけなんですが、これからの仕事も国の出すパーセントはきわめて弱いものです。  いわんや今回の法律提案に当たって、これは今度提案者の方に聞きたいのですが、地方にどのくらい持たせようとお考えになっていますか。
  73. 三塚博

    三塚議員 お答えをいたしますが、先ほども申し上げておるわけでございますが、これは転嫁ではございません。言うなれば、国、いわゆる国鉄及び地方公共団体がこの工事を進めるに当たりまして協議をいたし、決するところに従いましてこれを行わせていただきます、こういうことでございますから、この点につきましてはパーセンテージはきわめて動いてまいる問題でございます。地方財政の現況からいたしまして、なかなか地方団体それぞれの財政指数がございますから、そういう状況、また行財政運営の態様、そういうもの等を勘案をしつつおのずから出てくる額でございまして、そのことがそういう予定された数字、こういうことにはなりません、こう御理解をいただきたいと思います。
  74. 関晴正

    ○関委員 この際、運輸大臣、さきの再建法の問題で大変御苦労されたわけであります。赤字乗り切りのためには地方ローカル線切ることやむなし、そういうことで法律が通ったわけです。赤字のためには地方のローカル線をぶった切ってもしようがない、そういう方針をとってきていながら、今度はこの新幹線の問題については、地方負担をしてもらわなければならないような理念に立って、いまそこにお立ちのお二人が提案説明をしているわけです。そうして、新幹線というものについては、言葉が悪いかもしれませんけれども、財政的に比較的すぐれた地方が何らの負担もしないでさっさとでかして、やって、そうして恩恵を受けておる。これからのところは貧乏地帯です。その貧乏地帯には負担をしてもらう、そうでもなきゃやれぬ、こう言っているわけです。しかも、今日の国鉄における財政状態というものは、とてもとてもこれに金を出してやれるような姿ではあるまい。よしんば思い切って三分の一引き受けたからといって、三分の二出せますか。  そういうことを考えますと、単に地方の純情な政治家たちや住民を喜ばせる法律案になっているかもしれませんけれども、これは大変な迷惑なものなんです。私ども青森県、盛岡まで来て青森どうするんだとしょっちゅう言われます。青森にろくな政治家がいないから盛岡でとまったんだろう、こう口の悪い者は言っております。青森県は、知事がもうぜひ青森まで欲しいと言っています。関君、君も何とか賛成してくれぬか、こう言っている。私は普遍的な行政というものの立場からいけば、北海道や青森県が恩恵に浴さなくていいということにはならない。急いでやるとするならば、北海道、青森、人口七百万ですよ。七百万の人口を擁する地域に、それらの諸君たちの利用に供するのに少なくとも善良なる政府は考えるべきことなんで、地方に持ってもらって初めて考える、こんなこと、私はないと思うのです。  また、順序も、五線一度にやろうと考えるからくぐることができない。たとえ話にもあるでしょう。狭い道を通るとき、一人ずつ並んで通りなさいって。交通整理においても幅を占めて通っちゃいけませんよといって交通安全上言われているじゃありませんか。その場合に、順序よくこの細い道を通ってやるようにするのが私は運輸大臣の仕事だと思うのです。その場合に、幾らかでも財政的に余裕のある地方が順序だよということはないでしょう。私は、七百万の国民の人たちのために考えるときに、金を持てばやらせる、北海道だって青森だって金ありませんよ。でも、知事は命がけでこれはやりたいというので、あなたのところへ日参しているでしょう。かわいそうなものです、これは。そういう意味からいって、地方負担をさせればこれができるのかどうか。できもしないのに、地方負担ということで騒いでおいて、騒いでと言うと言葉が悪いとまたしかられるかもしらぬけれども、気を起こさせておいて終わるのがとどのつまりだろうと私は思うのです。  そういう意味で、運輸大臣、この問題についてひとつ考えているところを、あわせまして国鉄総裁、総裁だってこの問題についていろいろ考えているところがあるでしょう。かくあるべし、こうしたい、こういう考え方というものが総裁にもおありかと思うので、この際、運輸大臣国鉄総裁にこのことについての、いま出している法案に対する見解、それから行政についての進め方、考え方についての見解等をひとつ示してください。
  75. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 特定地方交通線、これがバス等代替機関に転換するというのは、結果として赤字でございますからこれは転換のやむなき事情であるという御判断をしておられますが、私たちが根本的に考えておりますのは、鉄道の特性というものを失ってきておる、そして代替交通機関にかえる方が、エネルギーの効率なりあるいは国民経済からいってその方が良好であるという判断、これが一つの基準になっておるのでございます。  したがいまして、これからの国鉄の再建というのは、どうしても鉄道の特性を十分に発揮するという分野において活動しなければならぬのでございまして、この新幹線高速鉄道というのはまさにそういう要請を受けておる事業でございます。でございますから、国としては早くからこの新幹線整備を急いでおるのが実情でございます。しかしながら、ここで国鉄財政が行き詰まってきた。しかも、鉄道というものが、特定地方交通線の論議をしていただいたときにもおわかりいただいておるように、皆さんおっしゃるのは、鉄道は単に国鉄のものだけではない、いわば国民全体のものであり、また、その便益を受けておる地域の人の地元のものでもある、こうおっしゃる。でございますから、この際、金が非常に窮迫しておるときに、とにかく高速鉄道建設については、そういう考えに立つならば、国も、そして地元の方も負担していただいて建設していただく、これは特定地方交通線の論議の中にあった議論と一致する議論だと私は思うておるのです。そして、まさに国民の鉄道であり、地域の人の鉄道であるという実態をつくっていただいて、この運営はそれじゃ別の主体でできるかといったら、なかなか全国統一した新幹線運転というものはできにくいから、これは国鉄で運営をやらしていただく。こういうことの趣旨がこの法案に盛られておるのでございます。  それから、それじゃ地方が出せるところから出させるというお話でございますが、そういう趣旨ではない。提案者の方もおっしゃっておられますように、地方公共団体資金負担をし、そして将来の開発利益を見込んだ範囲内において支出する道を開くということでございまして、そういう点をひとつ御理解いただければと思うのであります。同町に、新幹線が敷設されましたときにもたらされるその地域におきます開発利益というもの、これは長い将来にわたってやはり計算をしなければならぬと思うのでございまして、そういう点から見まして、いまや基本的なこういう幹線鉄道というものについては、国鉄のみの努力ではとうていできるものではないという観点に立ちまして、この法案が提出されておると私は理解いたしておるのでございます。  それからなお、それじゃ地域によって金を出すところから先にやるのか、あるいはこういうことだったらいっそのこと一人ずつ細い道を歩いたらどうだとおっしゃいますが、これは確かにそういう議論もあろうと思います。しかし、それじゃだれが一番先に歩くのか、だれが一番しんがりになるのかということになりましたら、これはまたえらい議論のあるところでございます。でございますから、私たちの考えておりますのは、この法案が幸い成立させていただいたといたしますならば、この法に基づき、地元と、それぞれの関係地域が全部全国にございますから、そこらと平等に、しかも可能な限りにおける現実的な話を進めていきたいと思うております。
  76. 高木文雄

    ○高木説明員 明治、大正、昭和という長い期間を通じまして、鉄道というのは日本の重要な交通網、中心的な交通網であって、それが日本の経済社会を支えてきたと考えております。しかし、今日は航空なり自動車なりという他の交通手段ができてまいりましたので、決して私どもだけが交通の基幹的なものだということは言えない状態になってまいりました。  そのときに気がついてみますと、相当程度、道路につきましても港湾につきましても、いろいろいわゆる財源があってつくられつつあるわけでございまして、私どもも国庫から補助金はいただいてはおりますものの、なかなかやっていかれない。私どもが、たとえば新幹線のように、あるいは通勤新線のように、どうしても必要だということをお認めいただけるのであれば、それなりに負担について、昔から伝統的につながれてきたこと、あるいは戦後多少変わってまいりましたが、いままでやっていただいていることに若干の手直しを加えていただかないことにはやれないということでございまして、また他の財政制度との関連を見直していただきたいということでございます。  その場合に、どこまでが国でおやりになるか、どこまでが地方負担でおやりになるかという問題は、これは非常に大きなポリシーの問題でございますから、国鉄の立場で余り意見を差しはさむべきことではないと思いますが、やはり地方でもだんだんとお持ちいただく。道路もそうなっておりますし、他の交通手段もそれぞれ地方に御負担があるわけでございますから、先ほどの地方財政法の精神もありましょうけれども、国鉄だけについてはもう地方は全く知らないのだということではどうもうまくやれなくなってきたということでございますので、こうしたことについて今回の案のようにいろいろ協議をするということで地方の方々と御一緒に御相談する場ができるということは、その後どうなるかということはまた別の問題として、今後の国鉄の仕事の進め方に非常に重要な影響があるものと考えておるわけでございまして、その意味で、こうしたシステムができますことを非常に待ち望んでおりましたし、いま実現していただきたいというふうに考えるわけでございます。
  77. 加藤六月

    加藤(六)議員 関先生が最後に言われた問題、実は私たちも非常に考えまして、これから整備新幹線の必要性は十二分に認める、そして何とか一日も早く着手しなければならないというので、政府と党が共同しまして、昭和五十五年度の税制並びに予算、昭和五十四年度の税制並びに予算におきまして陸上交通整備特会並びに陸上交通整備税というものをつくって何とかやっていこうということでずいぶん考え、がんばったわけでございますが、諸般の情勢上、陸上交通特会というものが日の目を見なかったという経過がございます。しかし、地方皆さん方の御要望は本当に強い、そして、それは地域開発、そしてまた、そういうところに住んでおられる皆さん方地域住民皆さん方全体の強い御要望であるということで、陸上交通特会ができなかった等の経過その他を踏まえ、頭を悩まし考えた末出したのが今回の改正案であるということをひとつぜひ御理解いただきまして、先生地域並びに先生のところの知事さんが必死になっておられる立場に先生もひとつなっていただきたいということをお願いしまして、答弁にかえさせていただきます。
  78. 関晴正

    ○関委員 もう時間がなくなりましたので、次回にさらにできれば質問を続けていきたい、こう思いますが、たった一つお答えのないのがありました。それは、私は具体的な例を挙げて、仮に地方がある程度の割合で持つことになったとしても、大部分の割合で仕事をしなければならなくなる国鉄やら運輸省において、そういうことが進められるとするならば、負担をさせないで時間だけかけてやれば可能になるではないか、この考えについてはどうなんですかと聞いておるのです。どうしても持たせなければ進まないのだと考えておるのか。持たせぬでも時間をかければやれるのだという考え方が成り立つはずなんだが、その点についての見解だけ聞いておきます。
  79. 三塚博

    三塚議員 この法律規定は御理解賜ったと思うのでありますが、転嫁ではないし、義務的に強制的にやるものでもありませんということは明確になっておるわけでございます。そういう状況の中で、国の財政地方財政等を勘案をしながら、運輸大臣からも御答弁がありましたように、公正な観点に立ちまして諸要素を考えつつこのことを進める。しかし、それはなかなか容易ではないのではないか、地方負担をなしにしてこれをやることもできるのではないかという趣旨、この点については、今日の行財政改革が成功いたし、日本の経済がまた委員各位の非常な御鞭撻によりまして望ましい方向に展開をしてまいりますならばそういうことも考えられる、こういうふうに思います。
  80. 関晴正

    ○関委員 では、終わります。
  81. 小此木彦三郎

    小此木委員長 福岡義登君。
  82. 福岡義登

    福岡委員 ただいま関委員質問に、地方公共団体負担を強制するものではない、こういうお話があったわけであります。地財法二条の解釈につきましてもお話がありました。ところが、実質的には強要するものである、私どもはそう認識をいたしておるわけであります。  といいますのは、昭和五十六年度予算編成の際に、大蔵省と運輸省と自民党の間におきまして、整備五線工事費が合計八十億、鉄建公団に四十億、国鉄に対しまして四十億計上されました。この八十億の工事費は、地方公共団体とは書いてない、地域負担の制度が整備されるまで保留すると書いてある。つまり、凍結をするということなんであります。ただ単に地方公共団体話し合いをする道を開くのだという御説明でありますが、実際にやっておられることは凍結なんであります。言葉をかえて言いますと、八十億の工事費は計上しておるけれども、地方公共団体が金を出さなければ国のこの八十億は使えないのだ、凍結するのだ、こう書いてあるわけであります。そういうように申し合わせ事項に書いてあるでしょう。  まず、この申し合わせ事項があるかどうか、その点だけはっきりしてください。
  83. 加藤六月

    加藤(六)議員 「五十六年度予算編成にあたっての整備新幹線の取扱いについて」、大蔵大臣と運輸大臣がこの取り決めをやりました。私はその席に立ち会っておりました。
  84. 福岡義登

    福岡委員 どうですか、強制はしないとおっしゃるけれども、事実上は強制することになるのじゃないですか、地方公共団体が金を出さなければ工事費は使わぬというのですから。
  85. 加藤六月

    加藤(六)議員 福岡先生が言われておる「整備新幹線の取扱いについて」の四項の「二項の建設費は公的助成の方法及び地域負担に関する制度が整備されるまで留保するものとする。」というのは、今回われわれが提案しておるこの法律が通過成立すればというように御解釈いただけばいいのであって、強制も何も一切ございません。
  86. 福岡義登

    福岡委員 それならば確認をしておきますが、この法律が成立をいたしまして、関係地方公共団体協議される、話し合いの結果、金はいまは出せない、少なくとも今年度は出せない、こういう話になった場合でも、この法律が成立をしたことによって政府は八十億の金を用地費なり工事着工のために使われますか。これは大蔵省、運輸大臣提案者三者から結論だけ答えてください。
  87. 加藤六月

    加藤(六)議員 まず、「地域負担に関する制度が整備」というのがありますが、もう一つその上に「公的助成の方法」というのがあります。私たちは、先ほど高木総裁もお答えになりましたが、国鉄に対して新幹線建設促進することによってこれ以上の負担をかけないという一つの大きな気持ちがございます。したがいまして、公的助成の方法地域負担に関する制度の両方が整備されたかどうかということを確認しなくてはならないと思っております。したがいまして、この改正案が通過成立したから直ちに五整備新幹線に無条件で——それまでのいろいろな手続はあります。環境影響評価のもろもろの問題の公表、あるいはルート、駅位置あるいはその周辺に伴うところの都市計画問題等話し合いを進め、そして四項に書いてある条件が本当に具備されたかどうかということを勘案して政府が判断されるのではないだろうか、こういうように考えております。
  88. 福岡義登

    福岡委員 公的助成の方は別にいたしまして、私いまお尋ねしておりますのは、地方公共団体負担、そういうものが話し合いの結果できなかった、そういう場合でもこの八十億の凍結を解除する、こう解してよろしいか、こう言っているのです。
  89. 加藤六月

    加藤(六)議員 たとえば整備新幹線でも関係府県は非常にたくさんあります。そのうちの話し合いが、たとえば四県あるうちの二県が話し合いが済んだ、しかし、あとの二県はまだ話し合いが済んでないということ等になりますと、非常に微妙なところではないだろうかと考えております。
  90. 福岡義登

    福岡委員 どうも得心できないのですが、表向きは強制しない、話し合いの道を開くだけだとおっしゃる。ところが、実際には、整備五線のうち金を出すという約束をするところからやってやろう、そういう裏がある。実質的にはこれは地財法第二条に抵触をする、こう私は判断いたしますが、どうですか、運輸大臣、いま申し上げましたように、法の執行、予算の執行は運輸大臣がなさるわけです。この法律が成立をしたならば協議が開始されるでしょうが、協議が不調に終わっても、法律が成立したということによって八十億の工事費は凍結を解除されますか。
  91. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 この法律を成立させていただきますならば、具体的に政令の制定をしていかなければならぬと思いますし、また同時に——政令は必要ないようでございます。地元との協議でございます。政令をつくるのが何か癖になってしまっておるものでどうも。地元との協議を始めていかなければならぬのでございます。その場合に、さらに進めなければならぬ調査等もございます。そういうときにはこの資金は当然使えるものだと私は思うております。
  92. 福岡義登

    福岡委員 調査の経費は別に四十億計上されておるわけです。公団が二十億、国鉄が二十億。申し上げました八十億というのは、純然たる工事費なんです。用地買収その他の工事関係なんです。前段の調査費四十億は、この法律にかかわりなく、公団なり国鉄がもう使える、使っておるわけです。  お尋ねしておるのは、この法律が成立をしたならば工事費の八十億の凍結を解除するのか、そこのところであります。
  93. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 四十億ずつ八十億の工事費の問題でございますが、第四項にございますように、公的助成の方法、それから地域負担の制度についての確立、これが、今回の法律もその制度の確立の一部になると思いますが、さらにこの制度が深度化をして、地方と国の負担のあり方、これを関係省庁でよく相談いたしませんと、公的助成の方法の項に合致しないということで、法律が通りましたならば関係省庁でこの点は十分に詰めさせていただきたいと思います。そうした結果、まとまりました第四項を満足する事態になりまして初めて八十億の工事費を使うことをスタートさせたい、こういうことでございます。
  94. 福岡義登

    福岡委員 私はそんなことは聞いてないのです。公的助成は別といたしまして、言葉をかえて言えば、公的助成の方法もまとまった。問題は、地方負担がまとまらなかった。お尋ねしておるのはここのところなんです。関係知事と相談された結果、地方公共団体負担ができないという結論になった。いまは凍結されておるんですね。制度が整備されるまで凍結する、こう書いてある。この法律が通れば制度が整備されるわけなんです。少なくとも地方公共団体負担することについては制度が整備されるわけでしょう。だから、逆に言うと、地方公共団体負担がなくても、法律が制定することによって八十億の工事費は使うのか。凍結を解除するのか。そうでなければ、強制しないとおっしゃるけれども、事実上は強制することになる。  ここでお尋ねいたしますが、将来の問題は別として、五十六年度の地方財政の事情の中で幾らかでも新幹線整備に対しまして関係地方公共団体は金を出す余裕がありますか。まずその点から、自治大臣、答えてください。
  95. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 国の財政と同様に、地方財政も非常に窮迫いたしております。御承知のとおりに、どうしても地方財政の現状から言いますと、交付税率を上げてもらわなければいかぬというのがここ二、三年来の主張でございます。しかし、国の財政事情もありますので、それは見送って、臨時応急の措置を講じておるのが現状でございます。それからまた、従来の地方債が累積してまいりまして、ここ一、二年の間に公債費が非常に増額することも明白な事実でございまして、地方財政は国の財政と同様に非常に苦しい状況にあることは御存じのとおりだと思います。その中におきまして、こうした新幹線に対する一つ財政支出ができるかと申しますと、各県いろいろ思惑もあるだろうと思いますけれども、総体的に申しますれば、きわめて困難であると言わざるを得ないと思います。  そこでまた、恐らく地方団体の長の思惑といたしましては、交付税で見てもらったらどうかとか、そのほか特別の措置を講じてもらったらどうかというような思惑もないわけではなかろうと私は想像いたします。交付税率というものは、いま申しましたとおりに、大変苦しい状態になっておりますし、それからまた、これは全地方団体三千有余の団体の一つの共通の財源でもございますので、この新幹線等に対する措置について交付税率の算定基準に入れるということは自治省といたしましては考えておりません。そういうことで、あとは各県の知事なりがどういう工夫をこらしますか、私は、なかなか大変な状況にあるのじゃなかろうかとは思っております。
  96. 福岡義登

    福岡委員 運輸大臣、お聞きのとおりであります。提案者もお聞きのとおりであります。少なくとも今年度は、八十億を解除する要件にもしされるとするならば、地方からの負担は不可能であります。  そこで、お尋ねしておりますのは、運輸大臣、どうですか、この法律が制定すれば、協議の不調、あるいはうまく話し合いがつくかもしれませんが、協議の結論いかんにかかわらず凍結は解除する、そう確認していいですか。
  97. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 この法律、成立させていたださましたら、地方団体との話は必ずまとまっていくと私は信じております。(「根拠がない」と呼ぶ者あり)いや、それはやはりいままで私たちはいろいろと地方の実情も調査いたしておりますが、その負担方法さえ決まれば、これは大蔵、自治、運輸、国鉄、これら相協議いたしまして、予算に予定されております工事費の執行につきまして、協議の上で実施いたしたいと思うております。
  98. 福岡義登

    福岡委員 お聞きのとおりなんですが、結局、表面上は強制しないとおっしゃるけれども、金を出さなければやってやらない、こういう強制が加えられる。だから、これはもう地方財政法第二条違反であることは明らかである。  このまま押し問答しましても前進ないと思いますから、きょうは問題点として指摘をしておきたいと思います。  もう一つは、関君も言いました政治の公平の原則に反するということであります。比較的金を持っておる地域、東海道、山陽は地域負担なしにやった。今度、お金のない過疎地域は金を出さなければやってやらない。政治というものは、富の再配分といいましょうか、国民ひとしく国家の諸施策の恩恵を受けることができる。どうですか、金のないものに金を出せ、金のあるものはすでに負担なしでやった、提案者は政治家として良心に恥じられないかどうか、そこのところをちょっと聞きたい。
  99. 加藤六月

    加藤(六)議員 たびたび申し上げておりますように、その点については内心じくじたるものを感じております。ただし、ほかのお答えにも申し上げましたように、国鉄新幹線とかAB線地元負担がないということでつくれつくれと一方的にしわ寄せを受けて、そういう中で苦しんできておるのも事実でございます。したがって、今回の改正案は地方公共団体に権能を付与するという改正案であって、強制的に金を出さす改正案ではない。先ほど来財政法二条の転嫁の問題等が出てきておりましたが、地方公共団体の自主性をあくまでも尊重し、そしてまた地方公共団体国鉄に対していろいろ折衝をする権能を付与する改正案であるということでございます。  それと、率直に議論しまして、確かにわが国の財政情勢も変わり、国鉄も急激に赤字を累積してきた。そういう中において、地方公共団体新幹線に対して何がしかの協力をするぞ、そのかわりに自分の地方の、地域発展、住民の願望を満たしたい、こういうお立場でございまして、私もこの改正案をつくるまでに地方公共団体の代表者、議会側の代表者、執行都側の代表者等とも何回も何回もお会いしてやってきたのです。あるいは、先ほど来議論のありました国が三分の二で地方公共団体が三分の一というむちゃくちゃな案を出せば、率直に言うて、地方公共団体地域皆さん方は、もう整備新幹線に対してギブアップしてもらえるんじゃないか、もうやめたと言ってもらえるんじゃないだろうかという気持ちもありまして、ある過程においては、先ほど来一部質問に出たような数字をわざと出してみたんです。わざと出してみたんでございますが、それでもやってくれ、それでもやるということ等があったわけでございまして、いろいろその間内心じぐじたるものもあり、また、それぞれの地域の強い願望もあり、また国の財政事情もあり、国鉄の経営の実態もあり、そこら辺、もろもろのことを勘案して、ぎりぎり整備新幹線建設を進める法的措置一つとしてこの改正はやらなくてはならないという立場でやったわけでございます。福岡先生も非常にりっぱなことを言いました。私も福岡先生の気持ちと全く同じ立場でありながらこれを提案したということだけは御理解いただきたい、こう思うわけであります。
  100. 福岡義登

    福岡委員 せっかくの御答弁でございますが、どうも得心できない。弱い者いじめをするといいましょうか、足元を見て無理難題を吹っかけるとか、そういうたぐいでありまして、願わくはこの法案を撤回されまして、別の角度から御検討いただきたいと思います。  そこで、私はいままで調査をされました事実関係を一々お尋ねしようと思っておったのですが、時間がありませんので、私が知り得た範囲で、この整備五線をやるとするならばどういうことになるかという点をまず概略申し上げたいと思います。  先ほどもお話がありましたように、整備五線をやろうとすれば五兆二千三百億円かかる。これは五十四年度価格である。今後の物価上昇その他を考えると七兆円ぐらいかかるんじゃないか、工事費の関係ですね。じゃ輸送需要はどれだけあるかといいますと、東海道は一日当たり大体十四、五万人、山陽新幹線が五万前後、ところが、この整備五線の平均は大体二万人くらいだろう。そこで収支をはじいてみると、工事費全額補助をして若干の黒字が出る、七〇%である場合は、十年ぐらいしないと大体収支が償わない、こういうようになる。私も情報をとった限りではそう考える。  そこで問題は、国鉄再建に関連いたしますと、これ以上国鉄負担をかけるわけにいかない。先ほどお話がありましたように、国鉄再建に支障があってはならぬという、実施計画の認可にもそういう御配慮がされると私は思う。そういたしますと、五兆二千三百億円、いまの物価上昇を入れれば七兆円という工事費を公的負担をしていかなければならない、それ以外に国鉄再建を図る道はないわけであります。  そこで、お尋ねをするのでありますが、五兆なり七兆という膨大な金を、地方公共団体に、加藤先生の私案で考えられました三〇%負担をしてもらうことになれば、大体二兆八千億円ぐらい地方公共団体負担をしなければならない。まあ大体三兆円ぐらいになるんじゃないでしょうか。四兆円ぐらいがその他公的助成、まあ国が助成をするということであります。  問題は、整備五線に着手をしていくという前提といたしまして、ここのところが整備されなければならぬと思うのですね。七兆円工事費がかかる、四兆円は国が責任を持つ、三兆円は地方公共団体に持ってくれとか、私ども反対なんですけれども、七兆円の工事費全額について何らかの措置をする、こういう腹をすでに大蔵省、運輸大臣は決められておりますか。大蔵省、運輸大臣、両方から答えていただきたい。
  101. 保岡興治

    ○保岡政府委員 今後国がどういう助成をしていくかということについては、今後検討をして考えていかなければならない。現下の財政事情は、先ほど来申し上げているとおり、来年度予算編成でも増税なき編成ということで大変な課題を抱えていま必死で努力中であるから、したがって、将来の見通し、この問題に限ってどういうつもりでいるかということをここで述べることはなかなか困難であるということを御理解賜りたいと思います。
  102. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 この法律を成立さしていただきましたならば、公的助成の方法並びにそれの具体的な負担等につきまして全力を挙げてわれわれは努力をしてまいりたいと思うております。
  103. 福岡義登

    福岡委員 時間が来ましたから、最後に結論的なことを申し上げて質問を終わりたいと思うのですが、一つ工事費の問題、いま保岡政務次官からもお話がありました。運輸大臣も今後、法律成立後に具体的な助成措置考えていくとおっしゃる。ですから、この七兆円になろうとする膨大な工事費の見通し、公的助成の方法を含んだ方針というものが明確に決まらない限り、整備五線には手をつけないということを一つ申し上げたい。  それからもう一つは、保岡政務次官が言われましたように、いま行政改革、土光委員会がつくられましていろいろ作業をされておる。その方向には少し間違ったものもあるようでありますが、これは別の機会にいたしまして、ともかく国家財政は大変な時期である、何とか行政改革をやっていこうという時期なんです。そういうときに、こういう大型プロジェクトに着手するということは適当でないということが第二番目であります。  第三番目は、たしか昭和四十六年につくられました日本の総合交通政策というものがいま運政審において見直し作業中であります。この答申を待って、日本の将来の交通体系というのはいかにあるべきか、新幹線の受け持つべき役割りはこれこれである、航空機はこれこれであるというように、各交通機関の受け持つ分野というものが明確にならなければならぬと思うのであります。それはいま運政審において検討中であります。この答申が出て、新幹線整備五線につきましてもそのほかの国鉄の輸送体系につきましても、総合的に検討されて、しかるべき結論を出される方が至当であろう。  以上申し上げました三つの観点から、いま直ちにこの新幹線整備五線に手をつけることは適当でない、再検討されるように強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  104. 加藤六月

    加藤(六)議員 ただいま先生がおっしゃった三点、それぞれもっともな点があると思います。昨年暮れ、政府におきましては、新経済七カ年計画におきまして、いままで二百四十兆の総資本投資を百九十兆にし、二百四十兆の投資については一年半延ばすということを決定いたしております。それから、その次には、これは私が答弁申し上げる筋ではないと思いますが、国鉄の今回政府が承認しました経営改善計画においては六兆五百億の工事費を入れておると思います。また、昭和四十六年の時点で、新幹線をつくろうと政府が決めたのは、たしか七千キロであったと思います。  そういう点等ももろもろ判断いたし、特に来年度、先ほど来保岡大蔵政務次官がたびたび申されておりますが、増税なき予算編成をしなくてはならない。政府も、またその政府を支えておるわが自由民主党も、大変塗炭の苦しみの中に来年度予算編成、行財政改革を断行しながらやっていこうというので、あらゆる勉強をいたしております。そのことにつきましては、時間がございませんので、余り詳しく申し上げることはできませんが、しかし私たちは、行財政改革は断行し、増税なき予算をつくり上げていく中で、国民に将来の夢と希望を持っていただくものは出していかなくてはならない。角をためて牛を殺すようなことがあってはならない。もちろん、第二臨調で大型プロジェクト問題についていろいろ議論していただいておる議論の中身も方法も、一曲懸命情報をとりながら勉強しております。しかし、その中にあっても、政府が公約してきた整備新幹線の問題については、私は、その公約を実現するためにわが自由民主党としては必死で応援し、実現さしていく責務がある、こういう気持ちを持っておりますので、ひとつよろしく御理解いただきたいと思う次第でございます。
  105. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後三時五十六分開議
  106. 小此木彦三郎

    小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三浦久君。
  107. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まず、運輸省にお尋ねいたしたいと思います。  五十六年度の予算編成のときに、大蔵大臣と運輸大臣との間に交わされた覚書がありますね。現在、自民党が議員立法として提案している法案ですが、この覚書に基づいて提出をされているものなのかどうか、その関連を承りたいと思います。
  108. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 五十六年度の予算の編成時におきまして、運輸省、大蔵省との間で整備新幹線に関する申し合わせが行われたことは事実でございます。それの第四項の条項にあります地域負担の制度に関する問題に着目をいたしまして、今回この法律が作成せられたものというふうに私どもは考えております。
  109. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうしますと、これは大蔵大臣と運輸大臣との間に交わされた覚書なんですね。そして、ここでは予算が、いわゆる建設費が四十億円ずつ八十億円つけられていますね。それを執行しようというわけでしょう。執行するためにこの四項の凍結の障害を取り除こうというわけですね。そうすると、そういうために法案を出すというのであれば、運輸大臣が責任を持って、いわゆる内閣提案として提出をしてくるのが妥当だと私は思うのですよ、その八十億円の予算を執行するのは運輸省なんですから。  そういう意味で、どうしてこれが内閣提案で出されずに議員立法になってきたのか、その点ちょっとお尋ねしたい。
  110. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 背景は二つあると思いますが、一つは、御承知の本法律のもとになります全国新幹線整備法でございますが、これが議員提案で昔でき上がったといういきさつがございます。それから、本件の問題といたしましては、このような申し合わせに従いましてやろうといたすわけでございましたが、午前中もお話し申し上げましたように、諸般の情勢は大変厳しゅうございまして、国鉄財政問題、国の財政状況等大変厳しい中で、私どもといたしまして事務的にこれを詰めるというところが非常に踏み切りができなかったという状況でございます。したがいまして、そうした中で促進をお考えになっていただいておりました党の方の御検討の結論といたしまして、こうした案ができ上がったというふうに私ども理解をしているわけでございます。
  111. 三浦久

    ○三浦(久)委員 結局、私は内閣提案としては政府部内で意見の統一ができなかったのじゃないかというふうに思うのですよ。そこが最大の原因ではないか、私はそういうふうに思っているんですが、どうですか。
  112. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 この問題につきまして政府部内で意見の交換をし、対立をし、できなかったという経緯は、実は具体的にはございません。事態はなかなかむずかしいなという認識はお互いに持っておりましたが、話し合いの結果、政府ではできないというようなことを話をしたことはないわけでございます。
  113. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、運輸省として事務的に詰めるのがむずかしいということは、やはりあなたたちの判断として、いろいろ折衝しても内閣でこれの一致を見ることはむずかしかろう、そういうように考えたということはまず間違いないと思うのです。とすれば、大体この法律を執行するのは内閣なんですよ。その内閣の意見が一致しなければ、こんな法律を何ぼつくったって何の役にも立たぬ、私はそう思うのです。新聞なんかでも、政治家の顔を立てて予算をつけたとか、そんなことを言っているくらいなんですから、そういう意味では、この法律が党利党略的な目的に使われるというようなことがあってはならないと私は考えているのです。何でこんなに急いで審議をしなければならないのか。政府部内で意思の統一もできていないのに、何で審議を急がなければならないのかということに非常に大きな疑問を抱いているわけですけれども、まず、自治省、お見えになっていらっしゃいますか。  自民党の交通部会で論議されたものを拝見いたしますと、工事費とか利息とかいろいろありますけれども、大体国と地方自治体の負担割合というのは三分の二と三分の一だ、そんなふうになっているのですね。そうすると、何を負担するかは別としても、いずれ三分の一も負担をするということになりますと、これは大変膨大な額になると思うのです。こういうものが地方公共団体負担になるということについて、自治省はどういうふうにお考えですか。
  114. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 新幹線建設について党の部会でいろいろと御検討がされておったことは承知をいたしておりますが、私ども直接そういった会議の中で聞いたことはございませんのでよくわかりませんけれども、いろいろな案がつくられたと聞いております。  おっしゃいましたように、利子補給案ということで国が三分の二、地方が三分の一負担案ということも議論はされたと聞いておりますが、それが公式にこの案で地方負担を求めるという前提であるというふうには聞いていないわけでございまして、それでもし仮に二十年利子補給案で二兆六千億といったような数が、そういう負担問題が出てまいりますれば、いまの地方団体にとってそれはとても負担できるような問題ではないと思っております。  いずれにいたしましても、前段で申し上げましたように、そういったものをもとにしてそれを負担させる、強制させるといったような前提で進められておるとは聞いていないわけでございます。
  115. 三浦久

    ○三浦(久)委員 この法律ができまして、自治体との協議をいろいろ進めて、そして任意に自治体がお金を負担するという場合に、たとえば交付税の問題については、交付税で見ることはしないと大臣がおっしゃっていましたけれども、起債なんかは、そういう財政上の措置はおとりになる予定なんですか。
  116. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもとしては、国土の基幹的な交通網の整備については、現状のもとにおいては、国ないし国鉄等が負担すべきものであるという基本線を持っております。そういった点から見まして、今回この法案が通過をいたしまして、仮に地方がある程度持つというような事態が起こりましても、それは交付税のみならず、そのための財政措置考えていないというふうに申し上げたいと存じます。
  117. 三浦久

    ○三浦(久)委員 新幹線をつくってほしいというのは、かなり強い要望ですね。そうすると、無理して負担をしてでも早く着工してもらおうということで、その協議に応じて負担を自分でかぶる、こうなりますね。財政上の措置を何にもとらないということになれば、これは福祉とかまたは教育関係、そういうものにうんとしわ寄せが来ると私は思うのです。それからまた、増税ということもやらなければならないようなことになってくるのじゃないかと思うのですが、そういう地方財政上の問題としてどういうようにお考えですか。
  118. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもといたしましては、ただいまもお答え申し上げましたように、新幹線建設はやはり国その他国鉄等が責任を持っておやりいただくのが筋合いであろうと思っております。いまの事務配分なり財源配分の状況は、それほど大きな負担ができるような状況にはなっておりませんから、私どもとしては極力そういった方向でお考え願うべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。  そこで、どの程度負担をすることになるのか、私どもとしてはそれは全然わからないわけでございますけれども、大きな額は負担できるはずはないし、また、いろいろ負担をなさるということになりましても、共通の財源であります交付税等で見るということは、最初に申し上げましたこの新幹線整備の基本的な性格から見まして、やはり私どもは適当でないと思っておりますので、地方団体としてもそこらのことを十分勘案して新幹線整備には対応されるであろう、また、そうしてもらいたいというふうに思っております。
  119. 三浦久

    ○三浦(久)委員 運輸省に聞きます。  この法案は覚書に基づいて出てきたのだというのですけれども、覚書には「公的助成の方法及び地域負担に関する制度が整備されるまで」、こうなっていますね。ところが、この法案には、地域負担に関する制度と言えるのかどうかわかりませんけれども、地域負担の問題に触れられていますね。ところが、公的助成の方法については何ら触れられていないのですね。そうすると、この法律ができても、覚書の四項のいわゆる条件成就ということにはならないのじゃないですか、どうですか。
  120. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 四項では、公的助成の方法地域負担の制度、この二つが書いてございます。今回の法律の制定がございますと、四項の一つの要件が成就されたというふうに思いますが、なお公的助成の方法につきましては、法律が通った後におきまして、関係省庁で十分打ち合わせをいたしましてその方法を定めてまいりたいというふうに考えております。
  121. 三浦久

    ○三浦(久)委員 公的助成の方法というのは地域負担の問題とうらはらの問題ですね。たとえば負担の問題でも、国が七であれば地域は三、国が八であれば地域は二、うらはらの関係になっていますね。  それから、何を負担するのかということも一つの大きな問題だと思います。  それで、自民党の交通部会で討議されたものを見ますと、たとえば建設の利息を二十年見るとか十年見るとか、いや工事費全額見るとか、いろいろなことを言われていますね。そうすると、いま運輸省提案者もどういうことをお答えになっていらっしゃるのか、もうすぐ八十億円の工事費は動き出そうというわけですから、そうゆっくり考えているということじゃないと思うのですね。もうこの法案をお出しになった時点提案者もお考えになっていらっしゃるし、運輸省の方もお考えになっていらっしゃるだろうと私は思うのです。ですから、どういうことをお考えになっていらっしゃるのか、ちょっとお尋ねしたい。
  122. 加藤六月

    加藤(六)議員 この改正案におきましては、工事費補助金、補助金、利子補給、無償貸し付け、土地建物、そういうものを考えております。
  123. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いや、そのうちのどれを考えているのですか。たとえば工事費を全額負担するという方法もある。それから、あなたたちの言っている二十年間、利息を国と地方公共団体で見よう、十年というのもありますね。ですから、そういう案のうちのどれを考えていらっしゃるのかということです。
  124. 加藤六月

    加藤(六)議員 先ほど申し上げましたとおりの各種各様の問題を考えております。それは地方公共団体が自主的に判断し、そして地方公共団体が自分のできる方法と知恵を出していただくという前提でございます。
  125. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それはちょっとでたらめですね。地方公共団体が勝手に決めていい、そんなことは子供だましでしょう。あなたたちが交通部会の中でいろいろ論議をされた。その中で、国鉄財政再建との関係でどういうことを決めておられますか。国鉄に新たな財政負担を生じさせるようなことをしてはならぬ、そういうことを決めておるじゃありませんか。そうでしょう。また、運輸省も、これは五十四年の十二月十一日に「整備新幹線に関する調査について」という文書を発表していますが、この中でも、工事費負担の問題については、財源措置についてはどう言っておられますか。「国鉄全体の収支を悪化させないという前提にたてば、工事費の全額助成が必要と見られる。」こう言われているのでしょう。  そうであれば、各種各様のものを組み合わせてやる、それはちょっと答弁にならないと思うのです。要するに、国鉄に新たな負担を生ぜしめないというためには工事費全額補助しかないんじゃないですか。私はそういう方法しかないと思う。たとえば利息の補給であれば元金を国鉄は返さなければならないわけですから、十年間見れば十年後は国鉄が見なければならないということですから、工事費全額補助しかないと思うのですが、それはどういうふうにお考えですか。
  126. 加藤六月

    加藤(六)議員 工事費全額補助だけが、国鉄に新たな負担を生ぜしめない方法とは考えておりません。
  127. 三浦久

    ○三浦(久)委員 だから、根拠をちゃんと言って、こういうことを考えているんだと言ってもらわなければ困る。答弁者でしょう、あなた。答弁者なんだから、聞いている人間も、また、あなたの答弁を聞いていらっしゃる人々も、みんなわかるように答弁してもらわないと困ると思うのです。
  128. 加藤六月

    加藤(六)議員 国鉄工事費補助問題につきましては、昭和四十二年以来いろいろ議論してきました。そして、具体的な方法等も講じてきたのは三浦先生御存じのとおりです。今日は国鉄工事費利子が三・五%になるまで国が補てんをいたしておるような制度になっております。そうしますと、私たちもかつて議論したのでありますが、もし市中金利が一〇%であるとすると、国鉄が一〇%の金を借りてやる場合と、国が三・五%に国鉄工事費利子がなるようにする場合とでは、国の助成というのは国鉄工事費に対して約三分の二だなというような一つの目鼻をつけてやってきた経過があります。  そうすると、国鉄が今後やっていく場合に、国の制度としては、新幹線建設工事をやっていく場合には、現行の制度をそのまま準用していくとすると、国鉄に対しては三・五%になるまでの助成は国としてするようになっております。したがいまして、あとの残った三・五%に匹敵する分をどういう方法で捻出したらいいかということを中心に議論して、先ほど申し上げました無利子の貸し付け、あるいは工事費補助利子補給、あるいは土地建物、こういうものを総合的に考えたらよくなるのじゃないだろうかということが一つあります。  それからもう一つは、新幹線をつくった場合の採算性という問題を考慮した場合には、工事方法とかルートとか、いろいろな問題等も出てくるだろうと思います。  要は、国鉄に新しい財政負担をかけない方法としては、その地方、その地域においてそれぞれ特殊性があると思います。そこら辺を十分加味してやってもらうためには、いま私が御答弁申し上げましたような多様性がある方がいいと判断いたしております。
  129. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それはちょっとでたらめなんだな、答弁が。それは工事費について三・五%以上の利息について補助しておる、いろいろわかってますよ、そんなことは。しかし、その利息だけ負担をするということじゃ、元金を返さなければならぬというのは新たな負担じゃありませんか。だから、運輸省自身だって、全額補助しかないのだ、こう言っているのですよ。運輸省自身がそう言っているのだから、そういうことになれば、結局この膨大な工事費のうちの三分の一を負担させる、こんなものは自治体は負担にたえられませんよ。これから負担割合についてはいろいろ自治体と協議するのだ、こういうお話ですけれども、しかし一〇%とか一五%しか地方自治体は負担しないというようなことでは、国の負担がふえるわけですから、国が承知しないでしょう。ですから、この法案が提出された背景を考えてみれば、そう極端なものは出てこないです。やはり三分の一に近いようなものしか私は出てこないだろうと思うのです。  それで、私ちょっと聞きたいのですが、自治体と国との負担割合、これはどういうふうにしてだれが決めるのですか。
  130. 三塚博

    三塚議員 午前中の委員会におきましても明快にその点はお答えをしておるはずであります。言うなれば、この法律改正は、地方自治体に転嫁をするものではない、義務的経費として強制的に徴収するものでもない、この点は再三再四にわたって申し上げておるところであります。でありますから、自由民主党交通部会、財源に関する小委員会等々における際のあらゆるデータをそこに提出をいただき、また加藤委員長の私案もいただきまして、その案について検討を加えました。それは全額国庫負担方式、さらに十年間利子負担方式、二十年の利子負担方式、この場合の投資採算性、こういうもの等について検討をいたし、最終的にこの改正案になりました背景は、やはり地財法との関連もこれあり、また首都高速道路公団あるいは阪神高速道路公団、その他二十四条の解除を目的とした法律整合性等を考えましてこの並びをつくらせていただき、その精神から言いまして政令もそういう意味でつくらなかった。(三浦(久)委員「もういいです」と呼ぶ)聞いてください、ここは大事なところですから。そういう点でつくらない。政令をつくらぬということは、三分の一ということはしない、こういうことなんであります。  ですから、あくまでもこれは午前中の委員会において申し上げましたとおり、国鉄地方団体、国と地方団体、これは関係機関全員で協議をすると言っているわけですから、そこで合意されたパート、割合であります。ないふところに手を入れたって、これはないわけでありますから、ないものは取れぬわけでありますから、地方自治体も自治体の精神から言いましてそれは取れぬわけであります。そこで相協議をいたしまして、加藤提案者が言われるいろいろとあります方式も駆使し、やっていきたい。  願わくは国が全額工事費負担でやることが願わしい、こう思いつつも、国の財政窮乏を告げていることも与党として理解をいたしておりますものですから、そのことを御理解を賜りたい、こういうことであります。
  131. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、一応制度と言うからには基準というのがなければいけないと思う。その基準をつくるに当たっては、いろいろ国鉄も入り、運輸省も入り、そして地方公共団体も入ってお決めになるのでしょう。しかし、その基準というのはやはり一鶴のものでなければならないと思うのです。というのは、たとえば東北新幹線は一〇%の地元負担だ、北海道新幹線は三〇%負担だ、こんなことだったら全然話し合いできませんですよ。十分に話し合うということは結構ですよ。協議されることは結構だけれども、しかし負担をさせるということなんですから、負担をさせるという場合には、やはり運輸省も入って運輸省の指導でおやりになるだろうと思うのですけれども、一〇%とか、一〇%が無理なら五%だとか、あと残り九五%は国だとか、そういうようにやっぱり一定の基準というものが出てくるのじゃなかろうかと私は思うのですね。それはどうなんですか。
  132. 三塚博

    三塚議員 これは三浦先生もすでに御案内のとおり、地方団体財政指数はそれぞれ違います。一〇〇出したいと思いましても九九でがまんをする、一〇〇出したいと思いましても三〇しか出せない、さらに一〇しか出せない、五しか出せない、勘弁してくれと、こういうこともケース・バイ・ケース、財政の実態からいって御理解いただけるところであります。そういう点で、その時点時点における協議の中で、これが最大限ぎりぎりの地方サービスの限界でありますと、そちらの方をきっちりやるためにはこれが限界でありますと、こういうような形のものの中で成立をしていくものだ、こう思っております。
  133. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、各自治体ごとに負担割合も違えば、まあ金額は違ってもしようがないと思うのだけれども、何の基準もないのですか。パーセンテージをつくらないのですか。たとえば東北新幹線をつくる、関係の地方自治体の割合は五%だとか一〇%だとか、そういうことも何にもやらないのですか。そうすると、これは全然収拾がつかないじゃありませんか。国鉄と各自治体とで個別にやみ取引みたいにして話し合って決めるというのだったら、そんなものは制度と言えないでしょう。あなたたちこの覚書で、一緒にやるのであれば……(「緒にやるわけじゃないよ」と呼ぶ者あり)だから、個別にやっておったんじゃ収拾がつかないでしょう。片一方は一〇%だ、片一方は三%だと、これじゃ収拾がつかないでしょう。あなたたちは地域負担に関する制度をつくるわけでしょう。だから、そういう制度というものはやはり一定の基準がなければ制度と言えないんじゃないですかね。
  134. 加藤六月

    加藤(六)議員 昨年暮れ予算編成のときに大蔵大臣と運輸大臣が、先ほど三浦先生が御質問になった中身をつくったときに、私は立ち会っておりましたということを御答弁申し上げたのです。ただし、今回われわれが改正案を出しましたのは、杉浦鉄監局長は、この四項目を見てこの改正案ができたのだろうと思いますと、こう言いましたけれども、党における交通部会、国鉄基本問題調査会、そして、その下における財源問題検討小委員会は、両大臣が覚書を交換する前に実は提言をし、決定をいたしておるというのが一つであります。  それから、負担割合というのは、地域皆さん方あるいは府県の知事さん、議長さん、市町村の長さん、議長さん、いろいろな皆さん方と当局が徹底的に話し合いをしながらおのずから一定のものが出てきて、それが余りにも、各地方、各県、各町村において一〇〇%と一%の差が出るようなことは考えておりません。話し合いを通じておのずから一つの常識の線ぐらいのものが出てくる、それは先ほど御答弁申し上げました多種多様な方法の中に生まれてくる、このように判断しておるわけであります。
  135. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ナマズをつかむような話だから、ちょっと先に話を進めてみましょう。  午前中からの質疑で、これは強制するものじゃないということが何回も言われましたね。出しても出さなくてもいいんだということでしょう。そんなことで大蔵省は承知するんですか。これは地域負担に関する制度をつくると、こうなっているんですよ。それがあるまでは凍結だと、こうでしょう。負担をしなくてもいい、制度をつくれ、そうしたら凍結を解除します、そんなふうにはなってないのですよ。だから結局、新幹線をつくれと地元要望すれば、じゃ地元にはこれこれの負担をしていただきましょうと、そういう制度的なものがなければ、これは条件成就にならないわけだ。あなたたちの言い分を聞いていると、負担してもしなくてもいいんだ、こういうことなんでしょう。負担しない制度ではだめなんですよ。  それに、もう時間がありませんから私の方で質問だけしますが、たとえば地方自治体というのは、現在、じゃ一定の負担をいたしましょうと言っても、四年に一回地方議会の選挙があります。また、四年に一回首長の選挙がありますね。それで方針が変わったらどうするんですか。四年間負担しますというから安心してやっておった、そうしたら今度は政変が起きて議会で負担をすることは否決されてしまう、そうすると、四年間やったあとどうするのですか。これは強制できないのでしょう。これは負担する制度だというけれども、負担しなくてもいい制度というのだから、そうすると、どうするのですか。もうあとやらないのですか。それとも全額国庫負担でやるのですか。
  136. 三塚博

    三塚議員 負担率は、それぞれの自治体の実情と研究と協議の中でこれは生まれてくる問題でありまして、それはあくまでも自主的なものであります。ですから、国側が強制するものではないという点が一点。それから、首長が変わってしまう、こういうことでありますが、しかし地域要望を受けてこういうことが進んでおりますのに、どなたが知事になられようとも、地域住民全体の要請の中で進んでおりますものが変わるということは考えておりません。
  137. 三浦久

    ○三浦(久)委員 もうこれだけで終わりますが、それはあなたの希望的な観測であって、この前も福井県や富山県の問題があるでしょう。あなたたちの前で協力しますと言って、今度は議会に報告して怒られて、また自治省にも怒られて、いやあれはわれわれの熱意を示しただけでございますといって、そういうことをやっているでしょう。だから、三塚さん言われたのは希望的観測であって、いわゆるこの新幹線を実際に地元負担をしてみて、さあこれが地元住民の生活にこんなにひどい悪影響を十年も十五年にもわたって及ぼすのかということになれば、新幹線反対の首長が出てくるということだって考えられるのですよ。また、そういう人々が議会の中での勢力の多数をとるということだって考えられるのですよ。そういう場合に、いや負担しなくてもいいのだと、負担しろというわけじゃないけれども、負担しなくてもいいのだということになれば、それはもう制度とは言えないじゃないですか。だから、私は、こんなものは全く欠陥だらけの法案だなというふうに思っているのですよ。  終わります。
  138. 加藤六月

    加藤(六)議員 三浦さんに申し上げておきますが、あなたの質問は、官僚主導の、大蔵省がこわい、自治省がこわいという、自治省の言うこと、大蔵省の言うことを聞かなければ日本の政治は一歩も前進しませんよという御質問であったと確認さしていただきます。
  139. 小此木彦三郎

  140. 田島衞

    田島委員 いま問題になっておる法案の内容も見たし、趣旨説明も聞いたわけですけれども、なかなか理解しがたいところが多い。  そこで、何点かについてお伺いしたいと思いますが、まず二つに分けて、運輸行政としての面と地方自治の立場からと、こう二つに分けてみたいと思います。  まず、運輸省に伺いたいのですけれども、運行すれば必ず大幅赤字を生むであろうと考えられる整備新幹線着工しようとするその考え方と、国の負担であれ地方団体負担を加えてであれ、果たしてその財源的目途が立つのか立たぬのかということが一つ。それをまず聞かしてもらいたい。
  141. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 運輸行政の一環といたしまして整備新幹線をどう位置づけるかという問題につきまして、かねがねわれわれ検討をいたしておるわけでございますが、鉄道の特性を発揮するという面では、都市間輸送というものを担う整備新幹線はやはり今後とも日本の交通の根幹をなすものであるというふうに私ども考えます。ただ、現在の国鉄財政状況あるいは国の財政状況というのが大変窮乏しておる状況でございますので、そういう中でこうした幹線交通というものをいかにつくり上げていくかという問題は非常に困難性があるということも十分認識をしております。したがいまして、考え方といたしましては、こうした幹線交通の建設のやり方につきまして、資本費関係につきましてはやはり十分国鉄財政への影響が少なくなるような仕組みとして考えていただきたいというふうに考えておるわけでございまして、そうした場合の計算をいたしますると、この整備新幹線全体で考えましても、仮に資本費関係で、ほとんど助成というものでこれを補うことができますれば、新幹線の収支は開業当時から黒字になる。ただし、これは並行在来線がございますから、並行在来線を考えますと赤字が続くわけでございますが、新幹線そのものは収支が相償うという実は希望を持っておるわけでございまして、そういうような方向でこの新幹線がつくられることを期待するわけでございます。
  142. 田島衞

    田島委員 あらかじめお願いしておきますけれども、時間がないのですから、答弁は要点だけ簡単にしてください。  それで、続いて聞きますけれども、私が聞いたのは、そういう長々とした答弁じゃない。一体今度新しく地方公共団体支出負担補助金等負担への道を開いたら財源的目途ができるのかどうか、どう考えているのかということを聞きたい。だから、できると思っているとか思っていないとか、それだけでいいですから答えてください。
  143. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 この法律が通りました後におきまして、先ほど答弁いたしましたように、関係の省庁と十分お打ち合わせをいたしまして、制度を完璧なものにしてまいりたいというふうに思っております。
  144. 田島衞

    田島委員 全然それも答えになっていない。大体そういう物の考え方でやるから国鉄がだめになるのではないですか。やるのならもう少ししっかりとした目途を立てて、間違いなく、こうやればこうなりますという信念を明らかにしてやったら大体物事は何とかうまくいきますよ。だけれども、いまみたいにこの法案が通ったら検討してみますなんて、そんなことでやられたらかなわぬじゃないですか。  続いて聞きますけれども、大体財政再建国鉄再建の途上でこの整備新幹線というのは事実上凍結状態になっているでしょう。何で凍結状態にしたのです。そうせざるを得なかったからしたのです。した途端に、今度はまたその凍結を解こう。じゃ解くだけの理由がどこにあるかと聞いたって何にも出てこないで、何で解く事由があるのですか。ローカル線なんかを地方公共団体だとかあるいは民間の方へ肩がわりしようということなら、これはわからぬことはない。だけれども、幹線鉄道でしょう。だから、本来これはやはり国がやるべきもので、地方公共団体なんかに肩がわりさすべき問題じゃないのです。にもかかわらず、そういうことをやろうとするのも一つ方法でしょうけれども、じゃその方法に確たる見通しがちゃんとあるのかといったら、聞いたって全然ないじゃないですか。それともありますか。  もう一回、あるかないかだけ答えてください。
  145. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 一生懸命努力をいたしまして、何とか確立をしたいと思います。
  146. 田島衞

    田島委員 今度は自治省にちょっと伺いますが、もちろん地方財政に関しては地方財政法がある、それから地方財政再建促進特別措置法がある。措置法の二十四条の中に道を開こうとするのがこの法律案一つの目的でしょうけれども、それはこの法案ができれば道は開くでしょう。だけれども、道は開いても果たしてその道に金が流れるかどうか、これが問題。  そこで自治省、いまの地方団体に、たとえばこの法案が成立して道が開いてもその道に金を流す余力があると考えるか考えないか、聞かしてください。
  147. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 具体的にどのような形でどういった負担が生ずるか不明の段階でございますから、明確にはお答えできませんけれども、いまの地方財政状況から見て、新幹線建設に多額な負担ができるとは考えておりません。
  148. 田島衞

    田島委員 この法案の提案趣旨説明を聞けば、かっこうだけでも出したらいいという程度じゃないことはわかるでしょうよ。ほんのわずかでも出しましたよとかっこうつければいいという程度では、この法案の趣旨、目的は達せられないということは自治省だってわかるはずだ。とすれば、大体の見当はつく。その見当を考えてみて、いまの地方公共団体にそれだけの余力があるかどうか。たとえば地方交付税法そのものだって、いまやまさにあってなきに等しい、そんな法律なんかあること自体がおかしいくらいの状態だということは自治省が一番よく知っているでしょう。  そういう状況の中で、一体地方公共団体に、この法案ができたときに、その道はできても、その道に金を流す力があるのかないのか、もう少し具体的に言ってください。今後の地方行政委員会での審議に相当重要な影響を持ちますから。
  149. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもとしては、負担がどういうふうになるかは、率直に申し上げてわからないわけでございますが、いろいろと議論される過程において、利子補給案において三分の一を負担するとかどうとかというような議論がされたと聞いております。そういった点から見まして、私どもは、いまの収支の不均衡の状態のもとで、毎年借り入れによって収支のつじつまを合わせておる状況のもとにおいては、新幹線建設負担をするということはなかなか容易でないと考えておるわけでございます。  なお、私どもとしては、基本的に、こういった国土の交通網の一環をなすものについては、現在の財政秩序のもとにおいては、国、国鉄等が行うのが適当であろうと考えておるわけでございますので、今後地方団体が、この法案が通りました際にどういうふうに対応するかということについては、いまの財政状況から見てきわめて容易でないことはもう御想像のとおりでございます。
  150. 田島衞

    田島委員 それでは、もう一つ聞きますけれども、たとえば地方公共団体の中で、地方公共団体負担をしてもいいから何とか整備新幹線を促進してほしい、ただし、いまの地方財政再建促進特別措置法がある以上はそれができない、したがって何とかその措置法に負担のできるような道を開き、その負担をすることによって整備新幹線が促進できるようにしてもらいたいというような希望、要望なりが事実あるのかないのか、そのことを聞かせてください。
  151. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 そういった新幹線建設負担をしたいので財源措置をしてもらいたいという要望は、私は聞いておりません。
  152. 田島衞

    田島委員 それでは、もう一回運輸省の方へ質問の先をちょっと戻しますが、いままで伺っておるところだけじゃなくて、たとえば国鉄の将来に表に出ていない何かの特別な配慮があってこの法案が用意されているのかどうか。そんなことはないかもしれませんけれども、たとえば国鉄の現状からして、もういっそのこと民営にしてしまった方がいいのではないかとか、いろいろありますね。そういう国鉄に対するいろいろの見方の中で、いままで国だけが負担に当たっていた、それを地方公共団体にも広げる、やがては民間へも広げる、そうすることの中から将来の国鉄そのものへの何らかの性格の変更を考えているのか、それは全然考えていないのか、そのこともちょっと聞かせてください。
  153. 加藤六月

    加藤(六)議員 運輸省がお答えする前に私がお答えしておきたい点があります。  今回の改正案を議論する中で資本の出資という問題が当然出てくるわけでありますが、資本の出資ということになりますと、国鉄の性格そのものに非常に大きな、ただいま先生が指摘されたような問題が出てくると考えまして、資本の出資はこれを禁じておるといいますか、一切念頭に置いてないということを申し上げておきます。
  154. 田島衞

    田島委員 時間はまだ余っておりますけれども、大体わかりましたから終わります。
  155. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次回は、来る二十六日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会      ————◇—————