運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-04-17 第94回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十七日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 関谷 勝嗣君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君       阿部 文男君    池田  淳君       上草 義輝君    植竹 繁雄君       木部 佳昭君    島村 宜伸君       近岡理一郎君    永田 亮一君       浜田卓二郎君    林  大幹君       三塚  博君    水野  清君       井岡 大治君    伊賀 定盛君       小林 恒人君    関  晴正君       浅井 美幸君    塩田  晋君       三浦  久君    四ツ谷光子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         外務省条約局長 伊達 宗起君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 山村 勝美君         運輸大臣官房長 角田 達郎君         運輸大臣官房審         議官      小野 維之君         運輸省船舶局長 野口  節君         運輸省船員局長 鈴木  登君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君         海上保安庁長官 妹尾 弘人君         高等海難審判庁         長官      松本金十郎君         気象庁長官   増澤譲太郎君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用第一課長   萩  次郎君         外務大臣官房外         務参事官    松田 慶文君         海上保安庁警備         救難部長    吉野 穆彦君         建設大臣官房技         術調査室長   萩原 兼脩君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     幸前 成隆君         自治大臣官房地         域政策課長   藤原 良一君         自治省財政局調         整室長     亀田  博君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   佐藤 文生君     池田  淳君   浜野  剛君     浜田卓二郎君   古屋  亨君     上草 義輝君   箕輪  登君     島村 宜伸君   山村治郎君     植竹 繁雄君   小渕 正義君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   池田  淳君     佐藤 文生君   上草 義輝君     古屋  亨君   植竹 繁雄君     山村治郎君   島村 宜伸君     箕輪  登君   浜田卓二郎君     浜野  剛君   塩田  晋君     小渕 正義君     ————————————— 四月十五日  国鉄地方交通線に関する請願近藤元次君紹  介)(第三〇三〇号)  身体障害者に対する運輸行政に関する請願(中  井洽紹介)(第三〇三一号)  同(部谷孝之紹介)(第三〇三二号)  重度障害者及び介護者国鉄特急料金割り引き  に関する請願平泉渉紹介)(第三一〇五  号)  気象業務整備拡充に関する請願日野市朗君  紹介)(第三一一四号)  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第三一四八号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第三一四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  広域臨海環境整備センター法案内閣提出第三  八号)  海上保安に関する件(日昇丸の事故に関する問  題)      ————◇—————
  2. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出広域臨海環境整備センター法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林恒人君。
  3. 小林恒人

    小林(恒)委員 先般の連合審査の際に運輸大臣の方から御説明をされている部分で、ちょっと正確を期したいと思いますので、答弁内容について、あらかじめもう一度私からも質問したいと思うのでありますけれども、センター法組織法であり、地方自治体廃棄物処理を進めていく上で新しい道を開いたものである、しかし今後の運営においての具体的指導に当たっては、主務大臣として十分に行っていきたい、こういう趣旨答弁があるのでありますけれども、この法律案の内容的なものを見ますと、組織法として設置をされているものであって、具体的に主務大臣として、運輸大臣やあるいは厚生大臣が具体的な指導をする上での道筋をどういう形で開くのかという部分では、ちょっと理解しにくい面があるように思えてならないのです。  そこで、大臣具体的指導に当たっては十二分に行っていきたいという趣旨答弁をされておりますので、ここら辺の具体的な中身を、いましばらく御説明を願いたいと思うのです。
  4. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私が言っております趣旨は、厚生運輸大臣主務大臣となりましてセンター設立をさせて、そして、そのセンター設立は、あくまでも関係地方団体自発的意思に基づく設立でございますが、その後の業務運営等をやっていきますについて、運輸省の立場から申しますと、海上汚染を防止し、そして港湾機能を損なわないように、そしてまた、その埋め立ていたしておりますところが将来の利用において港湾機能と一体化していくように、そしてまた、その港湾関係者生活向上に結びつくような方向センター事業を実施するように指導していきたい、こういう指導でございます。  それと、厚生大臣といたしましては、広域的な地域におけるごみ最終処理として、いわば減量化というものを指導していくことも強力な指導一つでございましょうし、また、その最終処分場の確保ができなかったがために今日まで乱投棄されておったことを防止し、秩序ある投棄処分をせしめるための指導をする、そういうことも重要な指導一つであろうと思います。
  5. 小林恒人

    小林(恒)委員 従来の経過にかんがみて、秩序ある投棄体制、こういう考え方についてはよくわかりました。  そこで、これは厚生省通産省が中心になるのかと思いますけれども、本委員会の中でもずいぶん心配をされてきたいわゆるPCB等処理にかかわって、あるいはベントナイト等処理にかかわって、これはある意味では産業廃棄物投棄という意味合いがありまするけれども、こういった広大な処理場有害物投棄する場合のチェック体制、これは幾人もの皆さん方からの質問が本委員会の中でも出ておりますけれども、必ずしも正確な意味チェック体制というのが明示をされていないように思うのです。法律そのもの組織法だという言い方については承知をしまするけれども、広域処理場という認識からすれば、十二分な体制廃棄物投棄体制というものが確立されることが肝要だと考えますし、特に有害物をどういう形でチェックするのか。現行法の中でも、たとえば廃棄物処理法等に基づいて、産業廃棄物等については関係業者はそれなりの検査を受けた上で所定の投棄場所投棄をする、こういう形になっているわけですけれども、今回設定をされるセンター法の中での処理体制という過程の中では、どの部分とどの部分でどこが責任を持ってチェックをするのか、この部分について具体的に示していただきたいと思います。
  6. 山村勝美

    山村政府委員 御指摘のように、有害産業廃棄物、これはセンターとしては受け入れないわけでございますが、それ以前の段階として、廃棄物処理法廃棄物処理行政としてやるべき課題が多いかと認識をいたしております。  それで、まずセンターにおきますチェック体制は、個々事業者あるいは地方公共団体処理業者等契約をして廃棄物を受け入れていくわけでありますが、その段階で、たとえば問題になります事業者等につきましては、その事業者の排出する廃棄物性状等を十分よく調べましてチェックをするという第一段階がございます。それから、搬入時点搬入拠点におきまして、所要の監視員を置きまして、センターがやはりチェックしていく。これは契約に基づきます、どういうものを入れるかというカードのようなものを持ちまして、そのとおりになっているかどうかをチェックするという体制でございます。なお、アフターケア的に環境汚染のモニタリングも必要であろうかと考えております。  それ以前の課題といたしましては、御指摘PCB廃家電部品が紛れ込んでくるというような実態中小都市の一部において見られるようでございます。PCB部品の問題につきましては幾つかの方法がございまして、市町村が集めたものの中から業界団体がそのPCB汚染物質だけを取り除くという流れができておりますので、それを徹底していくということでございます。したがって、市町村とその業界処理団体とが緊密な連絡をとり、都道府県の指導のもとに未然に処置をしていくということでございます。  それで、ベントナイトの問題は、これは事業者から出てくるわけでございますが、これは受け入れ基準におきまして、含水率を八五%以下にする等、脱水した上で受け付けるという受け入れ基準でコントロールできるのではなかろうかというふうに考えております。
  7. 小林恒人

    小林(恒)委員 それでは、ちょっと確認をしておきますけれども、ベントナイト投棄対象になっているということですね。
  8. 山村勝美

    山村政府委員 具体的には現場のセンター判断をしていくことになりますが、問題になりますのは、やはりべとべとしている、水気が多いというようなところにあろうかと思いますので、受け入れ基準をきちっとしまして、ある程度かたまりにしたような姿なら受け入れてもいいんではないかというような感じでおります。
  9. 小林恒人

    小林(恒)委員 そこで、ここに五十六年三月二十七日の日本経済新聞の夕刊があるのですが、この中に、これは東京の例でありますけれども「東京の“泥”かぶるのはゴメン」というタイトルで大きくベントナイト処理をめぐっての実態記載した記事があります。このベントナイト実情からすると、最近のトンネル工事橋梁工事等を含めて工法そのものが大きく変化をしてきたということは、私からあえて言うまでもない事柄なのでありますけれども、この中でも記載をされておりますけれども、たとえば東京周辺対象にして見た場合、年間およそ七十万トンに近いベントナイトの発生がある、こう言われているわけであります。  ところが、処理場はということになりますと、いま部長も言われておりますように、八五%以下に処理をするという処理場が都内には一カ所、東京周辺でも三カ所程度しかない。かてて加えて、この一カ所での処理能力というのはせいぜい年間五万ないし六万トン程度処理能力より持たない、こういうことからいたしますと、十二分な処理をしないままに投棄をする状態というものが今日まで長く続いてきているという実情があるのです。  これは大都市周辺として特に大きな課題でありますし、これはたまたま東京の例ではありますけれども、大阪、近畿圏においても例外ではないと思われますけれども、これらの実情にかんがみて、センターとの関連の中で処理場を含めた指導体制というのは考えられているのかいないのか、この点について御答弁を賜りたいと思います。
  10. 山村勝美

    山村政府委員 センター広域処理場で受け入れるものは、受け入れ基準をきちっとつくってやっていくわけでありまして、その際含水率を相当下げた姿で受け入れるということになろうかと思います。そうしますと、その前段階脱水等中間処理につきましては事業者の方で処置していただくというふうに考えております。
  11. 小林恒人

    小林(恒)委員 そのチェック体制はどこがやるのですか。
  12. 山村勝美

    山村政府委員 適正に処分されているかどうか、最終的にべたべたのものが捨てられているというような状態は、廃棄物処理法におきます埋立処分基準に違反いたしますので、それ自体の規制につきましては厚生省がやりますが、事業所指導につきましては、所管省庁であります建設省等が行うことになります。
  13. 小林恒人

    小林(恒)委員 それから、いましばらく具体的にお伺いをしたいと思いますけれども、脱水ないしは中和処理というものが十二分に行われた後に、センター管理をする広域処理場投棄をするという形になるわけですね。そうですね。ということになると、おのずとセンターによる確認体制というものも必要になってくると考えるのですけれども、この点はいかがですか。
  14. 山村勝美

    山村政府委員 その状態につきましては、センター判断をして受け付けていくということになります。含水率という指標でございますけれども、これは大体見た感じである程度判断できるものでございます。
  15. 小林恒人

    小林(恒)委員 判断確認とはちょっとニュアンスの違いがあるように思いますけれども、これは決していやがらせだとか言葉じりで物を言っているつもりはありませんけれども、判断をしますということは確認と読みかえてよろしゅうございますか。
  16. 山村勝美

    山村政府委員 結構でございます。
  17. 小林恒人

    小林(恒)委員 これはこの種の法律が出てきたからあえて取り上げるというつもりはないのでありますけれども、いわゆる国が発注をする工事幾つかあると思うのです。建設省お見えですね。この国が発注をする工事予算科目の中に、建設をした以降、建設残土を含めた処理にかかわる費用というのは含まれてまいりましたか。
  18. 萩原兼脩

    萩原説明員 お答えいたします。  建設省直轄工事の場合、残土、捨てますものまでを積算の中に組み込んでございます。特に、御指摘のような産業廃棄物指定を受けますものにつきましては、俗に私ども指定処分と申しておりますが、捨てます場所までを発注者側においても確認をいたしまして、それまでの処理、運搬の費用を見込んでございます。
  19. 小林恒人

    小林(恒)委員 先般の委員会で、私はこの法律提案に当たって、運輸厚生両省関係省庁との間に覚書の取り交わしをしているという、こういった事実に関連をして、その覚書委員会提出を求めてきた経緯があります。私としては必ずしも満足をするような資料ではなかったのでありますが、当日の答弁の中では、行政分野におけるところの覚書であって国会に提出をする性格のものではないという答弁を初めとして、なかなかこの覚書にかかわっての資料提出が行われませんでした。きわめて不十分でありまするけれども、出された資料について一、二お伺いをしておきたいと思います。  少なくとも法案提出にかかわって、行政レベル事柄なのかあるいは立法との関係で大きくかかわり合いがあるのかという判断は、私は、法律をつくる段階立法府の責任においてチェックをしていかなくてはいけない課題ではないのかという認識をしているのです。そんな意味では、たった一言の答弁で、これは行政レベル課題ですという言い方をしていたわりあいには、それぞれに覚書として整理をされている中身チェックしていくとするならば、立法措置との間で大きなかかわり合いがあるものが幾つか所見をされます。  たとえば、主務官庁と通産との間に取り交わされた覚書の中でも、具体的にその処理量受け入れ基準処理料金をも含めてセンターに対する指導をするのだという具体的な中身があります。組織法だと言われている法律の側面で、行政府があらかじめそこまで指導方針を明確にして覚書を結ばなければいけない、こういったものがあること自体、私は問題を提起せざるを得ません。  主務大臣としてのここら辺の見解を承っておきたいと思います。
  20. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 覚書を締結いたしまして、行政運営の諸問題についてあらかじめ各省間と合意を得ておくというふうに御説明を申し上げたわけでございます。ただいま御指摘基本計画の中に定める問題あるいは捨て込み量を定める場合の指導問題等は、これを法律の定めるところに従って十分やるわけでございますけれども、その運用の仕方について通産省合意点を求めたという性格のものでございますので、行政運営上の問題であるというふうに理解をして、そのように取り決めたものでございます。
  21. 小林恒人

    小林(恒)委員 答弁に不十分さがあると思います。前段で確認をされているのは、この法律組織法だと言い切っているのです。組織法範囲でしかこの法文は構成をされていない。ところが、行政レベルでの覚書中身は、組織法をはるかに越えてセンター運営条項に立ち至った覚書が交わされている。これは単純に行政レベルの仕事の中身ですなんていうことが言い切れるのですか。もう一度しっかりした答弁をくださいよ。
  22. 小野維之

    小野(維)政府委員 この法律で、センター設立の認可の申請が出てまいりましたときに大臣がその設立を認可する、そういうことがございます。そこで、それ以外にセンター組織をどうするかというようなことがこの法律に決められておるわけでありますから、そういう意味組織法だということを申し上げておるわけでございますけれども、その法律上の問題とは別にして、この設立に関与した主務大臣一つとして、大臣センターに対していろいろ行政指導をするということはあり得るわけでございまして、法律立案過程において各行政官庁といろいろ御協議を申し上げましたことについて整理をするという意味合いにおいて、将来どういう考え方でいこうかということを確認し合ったことがあるということでございます。
  23. 小林恒人

    小林(恒)委員 答えになっていないのです。廃棄物処理をめぐって地方自治体では困っている、どこに投棄するかという場所をつくるためにいろいろと模索をして、最終的に港湾区域内に投棄場所建設する、そのための組織をつくり上げました、したがって、センター法そのもの組織法ですと言い切っておきながら、通産省との覚書の中では、産業廃棄物だけに限って、その処理量受け入れ基準、それから処理料金に至ってまで具体的に主管大臣センター指導するということになっているわけですよ。法律の中にはそんなこと書いてないじゃないですか。だとすれば、これは組織法ではありません。国全体の廃棄物、一廃、産廃を含めて投棄をしていく上で具体的な施策を講ずるものです、よって、こういう法律が出てきたのだとすればセンター法そのもの欠陥だらけなんじゃないですか。それを補うための覚書にすぎないのではないですか。もう一度具体的な答弁をください。
  24. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 これは組織法としての法律でございますが、その基本計画の中に処理量受け入れ基準処理料金等を定めることが規定をされております。それで、通産省との間の考え方は、それらのものを決める場合、産業廃棄物とほかの廃棄物との間の均衡を失しないということを協議過程確認をしたということでございますので、このセンター法組織法であることとこの問題とは矛盾をしないと考えております。
  25. 小林恒人

    小林(恒)委員 最後に、運輸大臣にお伺いしておきますけれども、法律案の第二条四項ですか、「厚生大臣又は運輸大臣は、それぞれ、第二項又は前項に」云々とありまして、「広域処理場整備対象港湾とすることが適当と認められる港湾港湾管理者意見を聴かなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」このように記載をされています。意見を聞くとはどこまでの範囲を指すのか。それと同時に、センターそのもの運営をめぐって主務大臣の及び得る範囲内というのは、拘束力を含めてどんなものがあるのか、お示しをいただきたいと思います。
  26. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 お尋ねの第二条の第四項のことでございますか。
  27. 小林恒人

    小林(恒)委員 そうです。
  28. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ここには明確に書いてございますように、「広域処理場整備対象港湾とすることが適当と認められる港湾港湾管理者意見」こうなっております。でございますから、港湾整備のことについて、たとえば地点を決定するときであるとか、その規模であるとか、あるいは搬入方法とか、そういう港湾管理上必要となることは、当然港湾管理者意見を十分尊重しなければいかぬ。その上に、協議してそういう諸要件を決めていくべきである、こういう趣旨でございます。
  29. 小林恒人

    小林(恒)委員 終わります。
  30. 小此木彦三郎

  31. 吉原米治

    吉原委員 大臣最初お尋ねをいたしますが、連合審査過程でも、このセンター法組織法だから云々というお答えをしばしばされ続けてきておるわけでございますが、私は単なる組織法じゃないのではないかという気がしてならぬ。具体的にその事業項目をも特定をしておる。単なる組織法ならそんなものは要らぬじゃないかと思いますけれども、具体的にこの事業項目を特定しておるところを見ましても単なる組織法ではないのじゃないかという気がいたします。  それから二つ目には、大阪湾圏域における廃棄物最終処分量を見ましても、全体で三億五千百万立米、その中で一般廃棄物はわずかに一割にも満たない二千九百万立米でございますね。そして、産廃残土が主な埋め立て中身になっている。この数字から見ましても、審議の過程で、ごみの捨て場をつくるんだということが優先をするのか、港湾埋め立てが先行するのかという質問がしばしばございました。しかし、どう考えてみましても、このセンター法は、廃棄物対策完全解決になっていない。つまり、言いかえますと、産廃広域処理と同時に土地造成、このことにすぎないと言っても言い過ぎではないと私は思うのです。そういう意味で、単なる組織法ではないんじゃないかという根押しをしたいし、ごみの捨て場が優先するのか、港湾埋め立てが優先するのかという質問については、どうも産廃広域処理土地造成が優先しておるんじゃないか、こんな気がしてならぬのですが、最初大臣にお答え願いたい。
  32. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 埋め込みますものの種別から見ましたら確かに一般廃棄物のシェアは少ない、これはもう当然そのようになっております。一般廃棄物は、要するに第一次、第二次処理というものは、地方自治体で懸命な努力をしてやっておりまして、灰とかの残滓の捨て場に困っておる。そういうものをこちらへ持ち込んでくる。ところが、産廃処理は府県の事務としてやっておりますけれども、実際にこの処理はいい形で進んでおらないと私は思うのです。それはなぜかと申しましたら、適切な投棄場がないということが一つ非常に困っておる点だろう。  ところが、私たちの一般生活を見ましたら、廃棄物につきましては産廃一般廃棄物生活に与える影響は同じなんです。けれども、産業廃棄物についてはPPP原則というのがあって、最終処理まで原因者責任を負うべきだという原則がある。けれども、投棄するところがないということになってまいりますと、これをあながち行政上の問題として、一方的にPPP原則のみで実際に現実問題として処理し得るかと言いましたら、なかなかそうはいかない。やはり有効な投棄場をつくってやらなければならぬ、これがわれわれも長年の悩みでございました。残土についても同様でございますし、ましてや下水の汚泥というものが、最近は処理場の増加に伴いまして非常な量に上ってまいりました。こういうようなものは、このまま放置いたしますと、いわば無差別に、所構わずとは申しませんけれども、掘れそうなところがあれば、そこの土中を掘ってでも捨てようということになってまいりましたら、これは新しい公害をつくり出していくという心配がございます。  そこで、どうしても港湾投棄したいというのが一つ方向だろうと思うのです。ところが、事業者個々にこういう投棄場をつくってまいりますと、港湾はもうめちゃめちゃになってしまいますし、ましてや一般海岸線投棄されたらこれはもう収拾がつかない。そこで、これを秩序ある投棄をせしめるために、港湾の一部を利用してここに投棄せしめよう。しかし、それを無差別にやられたら港湾管理者も困ります。ですから、同じ捨てるならば港湾の将来の開発に資するように、また港湾周辺におられる方々の生活に不愉快なことを与えないように、そして将来その土地がそういう方々の有効利用になるように、そういう点を総合して場所を決めて、ここに投棄せしめる。しかも、その投棄するについても、海中に二次的な複合汚染を起こしてはいけませんので、擁壁等については厳重な技術的な管理監督をしていく、こういうことをあわせて処理していく、これが今度の法案の趣旨でございます。
  33. 吉原米治

    吉原委員 単なる組織法ではないんじゃないかという質問に対して、大臣からはそれはあくまでも組織法だというお答えがない、余分なことをお答えになっておるわけですが、私に言わせていただければ、本当に一般の自治体がごみの捨て場に困っておる、そういう悩みを解消するということになれば、私は大賛成なんです。ところが、中身を吟味すれば吟味するほど、何のことはない、そういう悩みを解消するどころか、今度本四架橋の工事も大々的にやられますが、そこから出てくる排土砂、こういうものが大量に投棄をされるのではないかということが想像されるわけでございまして、大企業や土建業者の方たちの悩みを解消する、便宜を与えるというだけにすぎないのではないか、そういう気がしてなりませんので、最初大臣にお答え願ったわけでございますが、残念ながら時間の制約もございますので、後ほどまた大臣お尋ねをするとして、次に自治省に、各市町村が持っておる自治権というものに対する認識を私はお尋ねしたいのです。  この管理センターが、ごみ処理に関する問題に限られておるとは言いながら、独自の行政機能を持つことになる。こうなってまいりますと、既存の自治体というのは一体どういう立場になるのか。周辺の百から二百とも言われておる自治体の状態というのは全く形骸化されてしまう。特に自治体の議決趣旨と相反する決定をセンターがもし出した場合、どっちが優先すると考えていらっしゃるのか。これは恐らく管理センターの出した結論が優先をするということになるだろうと私も推測されますが、そうなってまいりますと、全く自治の否定につながる、こういう事態が生ずることも容易に考えられるわけですが、その点の考え方はどうか。  また、この法案に係る事業費は首都圏、近畿圏合わせると七千億を超えるという大型のプロジェクトでございますが、地元負担、関係自治体の財政負担に対する軽減策というものは、自治省は一体どう考えていらっしゃるのか。特に生ごみを入れないという方針が出されておりますが、これに必要な前処理をするための新しい施設もまた各自治体はつくらなければならぬ。そういった財源は現在の地方自治体で賄うことができないと思っておりますが、自治省は、以上言いましたような数点に対してどういう考え方を持ってこのセンター法に賛同なさったのか、自治省の考え方を聞いておきたいと思います。
  34. 藤原良一

    ○藤原説明員 私の方から、担当しております前半の御質問部分についてお答えしたいと思います。  まず、自治権の侵害にはならないかという御質問でございますが、センターは、御承知のとおり、行政機関ではございませんし、また業務内容もあくまでも公共団体からの委託によって行うということになっておりまして、廃掃法上の権限をセンターに移しておるわけではございませんので自治権の侵害にはならないんじゃないかと考えております。  それと、センター運営につきまして管理委員会と公共団体の意思が一致しないような場合があるんではないか、その場合には公共団体の意思が無視されるんではないかという御懸念でございますが、確かに管理委員会センター運営についての最高意思決定機関ですから、センター運営につきまして管理委員会の決定内容と関係地方公共団体の意向が異なる場合におきましては、管理委員会の意思が優先されると考えております。しかしながら、管理委員会委員センターに出資します公共団体の長及び港湾管理者の長のそれぞれの互選によって選出されること、またセンター基本計画及び実施計画を作成する際には関係地方公共団体及び港湾管理者協議することになっております。さらには、センター事業地方公共団体及び港湾管理者の委託を受けて行う事業が主体となっておりますので、十分調整が図られることとなっておるわけです。したがいまして、御懸念の地方公共団体の意向が無視されるような事態は生じないと私どもは考えております。
  35. 亀田博

    ○亀田説明員 このセンターの業務でございます広域処理場建設、それから御質問にございました一般廃棄物処理施設等の建設の問題でございますけれども、センター地方公共団体あるいは港湾管理者の委託に基づきましてそういう処理場建設するわけでございます。したがいまして、その財源措置、財政負担の問題は、従来の一般的な補助制度の適用をそのまま残しておきまして、一般的に地方公共団体に対して国の財政負担、あるいはその裏につきましては起債、その起債につきましては交付税で措置をするという仕組みは現行制度がそのまま適用されることになっておるわけでございます。  なお、現在予定されております近畿圏、首都圏は公害対策基本法に基づきます公害防止計画が策定をされている地域でございますので、公害財特法に基づきまして補助率のかさ上げ等がなされておりますから、そういう意味で地方団体の財政負担の軽減には配慮がなされているところでございます。
  36. 吉原米治

    吉原委員 センター行政機関ではないというふうなお話もございましたけれども、少なくともセンター独自にかなりの権限が与えられておる。しかも、関係の自治体というのは二百に近いということが言われておる。この管理センターの中の理事というか、役員というか、これは恐らく十名以内ぐらいの少数だろうと思うんですね。ですから、どうしてもセンターの決めた方針と関係自治体が考えている方向とはしばしば矛盾なり反対の方針が決議をされる、こういうことは容易に予測されるわけでございますが、十分調整が図られると思うという御答弁でございますけれども、少なくとも一つの問題について関係自治体が議決をしてその長がその議決の方針をセンターに何らかの方法で意思反映をしておいたとしても、その後のセンター理事会といいますか、そういう会合の中でそれとは異なる結論が出る。その場合に、いまお答えの中にもありましたように、センターの決定が優先する。当然一たん議決をした関係自治体は議決のやり直しをせなければならぬ。こういう事態はしばしば起こるだろう、私はこう心配をしてお尋ねをしたわけでございますが、その心配はない、十分調整を図っていきますというお答えを信じて、時間の関係で次に進みます。  次は、建設省お尋ねをします。  この産廃の中には下水道汚泥も含まれてくると思うわけでございますのでお尋ねをするわけでございますが、これは連合審査あるいはいままでの審査の過程でも建設省のお答えになったことを聞いたことがないものだから、私はあえてこの問題を取り上げました。現在の下水汚泥の処理状況、簡潔にひとつ現状を説明してほしい。  特に、工場排水と家庭排水、これが合流しておるわけでございまして、したがって、この汚泥の中に重金属等有害物質を当然含んでおると思われる。現在これをどういうふうに処理されているのか。重金属汚泥問題、いわゆる基準をオーバーしておる問題については少なくとも現行法では解決ができないんじゃないか。しかも、生汚泥の水中埋め立てには問題があるということで、東京都の港湾審議会の答申の中でも水中埋め立ては適当でないということを言っております。現実には海洋投棄がなされておるという事実もあるようでございますが、こういった問題についてはどういう実情把握をされておるのか。  また、今回の処分場に搬入する場合、当然下水汚泥、特に生汚泥の処理をコストは高くついても再度前処理をやって投棄すべきものではないかと考えますけれども、第五次下水道整備五カ年計画、これはことしから始まって六十年に終わるようでございますが、この五カ年計画の中でこの広域処分場に搬入する下水汚泥の発生量、どのぐらい発生をして今度の広域処分場に搬入をすることになるのか。  その点について、時間もちょうど大臣十一時で退席されるようでございますから、二、三分でひとつ簡潔に建設省考え方をお示し願いたい。
  37. 幸前成隆

    ○幸前説明員 お答えします。  まず、下水汚泥の量でございますが、昭和五十四年十一月から五十五年十月までの一年間の全国の処理場の発生し、処分されました下水汚泥の量は約二百四十万立米でございます。今後下水道整備が進展してまいりますとこの処分量はますます増大すると考えられますが、第五次の五カ年計画の最終年度、昭和六十年度には約四百二十万立米に達すると見込んでおるところでございます。  それから、第二点の、重金属類を下水汚泥に含んでおるんじゃないか、こういう御質問でございますが、下水道法におきましては、重金属類につきましては下水道を使用する工場等に対しまして、終末処理場処理することが困難な物質につきまして水質汚濁防止法と同様の基準を定めておりまして、これに適合する下水だけを受け入れることとしておるところでございます。その実効を担保いたしますために必要な除害施設の設置義務あるいは直罰制度、改善命令、監督処分、事前届け出等の規定を置いておりまして、その徹底を図っておるところでございます。  それから、下水汚泥の処分に当たりましては、下水道法あるいは廃棄物処理及び清掃に関する法律、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に従いまして、環境問題に配慮しながら措置をしておるところでございます。今後とも関係法令に従いまして遺憾のないように対処してまいりたいと考えておるところでございます。  それから、生汚泥の処分、前処理の点でございますけれども、生汚泥につきましては、これは下水を処理した後に残りますどろ水状のものでございまして含水率が非常に高い。その処分に当たりましては減量化、安定化を図りますとともに、衛生上の観点からもその処理をすることが必要でございまして、一般的には濃縮しましてそれから消化いたしまして脱水し、有機物質を分解いたしまして処理をしておるところでございます。私どももその旨指導しておるところでございます。(「最終処分場に幾ら入るんだ」と呼ぶ者あり)最終処分場との関係でございますが……(「要らぬことまで答弁しなくてもいいよ」と呼び、その他発言する者あり)
  38. 小此木彦三郎

    小此木委員長 答弁を続けて。
  39. 幸前成隆

    ○幸前説明員 フェニックス計画との関係でございますが、首都圏、近畿圏の現在の汚泥処分の発生量が、首都圏につきましては約八十万立米近畿圏は約五十万立米という数字でございます。このうち埋立処分をされておりますのが首都圏で約七十八万立米近畿圏で約四十九万立米ということでございまして、五次五計の終了時点におきましては約五割程度増加する、こう見込んでおるところでございます。フェニックスとの関係につきましては今後調整を図ってまいりたい、こう考えておるところでございます。
  40. 吉原米治

    吉原委員 最終処分場にどのくらい下水汚泥は投棄するのかということを一番聞きたかったわけでございますが、どうもはっきりしない。これは後ほどもう一回お答え願いたい。  大臣のおられる間に大臣にどうしても最後に聞いておきたい、こういうことでございますから、建設省もう一回お答え願うということで……(「大臣、もう出なければいかぬぞ」と呼ぶ者あり)うるさいな。  大臣、あなたの御都合があるようですから、最後に大臣の決意をお伺いしたがったのですが、いわゆるフェニックス計画を通じまして、廃棄物問題が運輸委員会での審議だけでなくて六ないし七の関係省庁にも及ぶ多角的な問題であるということが明らかになりました。と同時に、その解決には一面的にいかない点がたくさんございます。産業政策や流通問題あるいは自治体の域内処理、こういった体制整備などでございますが、今後の関係機関と自治体の相互関係というのはより緊密に保たれる必要があろうと思います。また、この行政には多くの清掃労働者や港湾労働者が参加しておるわけでございますので、今後この廃棄物処理行政の円滑な事業執行のために、この人たちの代表者との意見交換の場をしばしば持つように私は大臣にお願いしたい。  これは後ほど厚生省側にも同じ趣旨のお答えを願いたいと思いますが、運輸大臣、こういう問題を多く含んだ法案であるがゆえに、最後に大臣の決意のほどを伺っておきたい。
  41. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この法案の趣旨は、御理解いただいておりますように、廃棄物最終処理の道を新しく開いたものでございます。したがいまして、運輸省なり厚生省が直接事業をやるのではなくして、あくまでも地方自治体の発意によりまして法人が設立され、センター運営するということに相なっております。したがいまして、労使関係がうまくいきましてそのセンターが円満に事業を執行してくれることをこいねがっておりますし、特にごみ収集、搬送等につきましていろいろと苦労しておられる地方自治体のそういう従事者がおられますし、そういう関係がうまくいくようにセンター自身が努めていくべきでございます。したがいまして、われわれはそのセンターの労務管理等につきましては重大な関心を持っておりますが、うまくいくように願っておるのでございますが、労務問題はセンターとその関係者の間で十分に話し合っていただくことが一番望ましいのでございまして、私たちといたしましては直接御意見を承るというよりも、センターと従事者との間で十分話をされまして、もし、いろいろな問題が起こってくるということでありましたならば、センターを通じてわれわれはその意見を聞き、指導すべきものは指導してまいりたいと思う次第であります。
  42. 吉原米治

    吉原委員 大臣は、時間が来ましたらどうぞ御退席願って結構です。  そこで、いままでの審議の過程でもチェック体制がしばしば問題になりました。一体だれがどういう方法で現地に搬入されるものをチェックするのか。業者によりますと、中継基地を設けてわざわざ一廃と産廃と混載して目的地に搬入するというケースもしばしばあるようでございます。何回となく港湾局長も、生ごみは入れません、こういうことを言われておりますけれども、なかなかこの適正処理はむずかしいと私は思います。だれがどのようにチェックするのか。理事様が直接チェックをするというわけにいかぬでしょうから、センターの職員がやるのか。また、連合審査過程でもわが党の山本委員指摘をしたのに対して、きわめて歯切れの悪い答弁をしておる。環境衛生指導員が、少なくとも書面の上では何十人か何百人かおるようでございますが、実態はゼロにひとしい、こういう実情指摘されても、それに対して明確な答弁ができなかった。  今度の広域処分場、最終的なチェックはだれがどのような方法でやるのですか。
  43. 山村勝美

    山村政府委員 何段階かのチェックがあろうかと思いますが、センターの職務でございます広域最終処分場部分につきましては、まず持ち込みます事業者、業者と契約する段階で、どういうものが持ち込まれるかという内容を十分明確にいたしまして、登録制度のような形で受け付けていくという一つチェックをいたしまして、また搬入の場所におきましてはセンターの職員がその契約に基づく廃棄物であるかどうかをチェックし、さらに必要に応じて抜き取り検査をして有害なものが入っていないかどうか等をチェックするということになります。  その前段階は、廃棄物処理法上の適正な処理が行われているかどうかという課題でございまして、廃棄物処理法の規定あるいは関連する通達等に基づきまして徹底するよう地方公共団体事業者指導するとともに、監督に当たります都道府県、政令市の環境衛生指導員が立入検査等によって指導していくという体制になるわけでございます。  前回、連合審査におきまして、山本先生の方から、環境衛生指導員の点につきまして、私が申し上げた数字に対して十分な説明ができなかったわけでございますが、私の申し上げた数字は大体実態としてそのとおり正確でございまして、たとえば産業廃棄物にかかる環境衛生指導員の数は、東京都の場合三十人で間違いなく存在をいたしております。前回六十六名と申し上げましたが、これは一般廃棄物も含めた数字でございまして、このセンターの仕事に関しましては、一廃、産廃、両方関係いたしますので、トータル六十六名の者がその指導監督に当たっていくということでございます。  なお、産業廃棄物につきまして、東京都の場合、立入検査の実施状況を若干敷衍いたしますと、五十四年度、事業所への立ち入りが千四百四十九件でございまして、そのうち二十九件につきましては勧告等の措置をいたしております。これも有害産業廃棄物を排出する事業所に重点を置いて立ち入り等が行われておるようでございます。  なお、最終処分場、現在東京都で行っております中防への持ち込みのチェックにつきましても、抜き取り検査を千二百八十二件、このうち分析を行ったものが百十七件等の監視、指導を行っておるところでございます。
  44. 吉原米治

    吉原委員 あなたは簡単にチェックができるというふうにお答えになっておりますけれども、現実に起きておるケースを考えてみますと、これは基準に適合したもの、これは基準をオーバーしたもの、そういうものを混載をしてきた場合に、基準に適合しないものを持ち帰れ、こういうことを現地で言ってみたって、なかなかその搬送業者は、はいそうですかということにはならぬ。しょっちゅうトラブルが起きておる。あなたのおっしゃったように、簡単に抜き取り検査で違反なものを持ち帰ることができるということになれば、それは問題はないでしょうけれども、現実はそうはいってないし、そのことは不可能に近いだろう。よっぽど性根を据えてチェック体制をきちっと確立してもらわなければならぬ。今後の検討をお願いをしておきます。  もう時間はオーバーしましたが、最後に二、三お尋ねをしておきたいと思います。  本来産廃というのは排出者の責任である、これは当然のことでございますが、とうとうこのセンターが肩がわりをするのじゃないかという気がしてならぬ。本来排出者の責任であるべきものが、その責任センターが肩がわりするようなことになっては私は大変だと思うわけでございまして、その点ひとつ、事実上肩がわりをするというふうなことのないように慎重に対応していただきたいし、また今後具体的にこの基本計画が定まる時点では、漁業団体を初め関係団体関係者に対する公聴会あるいはまたアセスについての住民参加方式、こういうものをぜひひとつ採用していただきたい、こう思いますが、その点についてお答えを願いたい。
  45. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 法律におきまして、基本計画を策定する際には関係地方公共団体及び関係港湾管理者との協議がなされることになっておりまして、そういった地域の諸団体との間の意見の調整は十分に図られるようになっておると考えております。  それから、漁業関係者、地域住民等に対しましては、法的な手続は別にいたしまして、センターが必要に応じて適宜検討の結果等を説明をいたしまして、そして理解と協力を得ることに努めることが当然必要であるというふうに考えております。したがいまして、そのようにセンター説明をいたし、協力を得ることに努めれば、公聴会、住民参加といったような特別の方式によらなくても意向を十分に反映させることができるものと考えております。
  46. 吉原米治

    吉原委員 それでは、先ほどもう一回御答弁を願うということでお願いしておきました建設省、この広域処分場に六十年度以降どのくらいの量が最終的に搬入することになるだろうという、その見通しをお尋ねしておきたいと思います。  と同時に、厚生省、きょうは大臣お見えになっておりませんが、先ほど運輸大臣に決意のほどを伺いました点を、ひとつ厚生省側は決意を述べておいていただきたい。  以上で、私は質問を終わります。
  47. 幸前成隆

    ○幸前説明員 首都圏の昭和七十年時点における下水汚泥の発生量は、大体私どもの試算では約二百六十万立米、それから近畿圏におきましては約百九十万立米と考えてございます。このうちどの程度がフェニックスに入るかは今後協議してまいりたいと考えてございます。
  48. 山村勝美

    山村政府委員 この事業を円滑に進めるためには、御指摘関係労働者の方々を含む関係者の理解と相互協力が必要でございます。このために適当な意見交換の場を持つよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  49. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、運輸大臣が参議院本会議に出席のため、午前十一時三十分まで休憩いたします。     午前十一時七分休憩      ————◇—————     午前十一時四十七分開議
  50. 小此木彦三郎

    小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三浦久君。
  51. 三浦久

    ○三浦(久)委員 運輸大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、いままで本法案についていろいろな論議がなされてまいりましたけれども、各委員が一様に指摘するのは、この法案の本当の目的というのは港湾建設にあるのだろうか、それともごみ処理にあるのだろうかということでございます。私もその点について最大の疑問を持ったものの一人です。考えようによってはごみを有効に利用するのだ、いわゆる一石二鳥だというふうにも考えられないことはないわけでありますけれども、しかし、よく考えてみますと、そうばかりは言っていられない大きな問題点があると私は考えているわけであります。  この前、連合審査のときに、厚生大臣は、この法案はごみ処理というものが優先しているのだという答弁をなさいましたけれども、私はそれにちょっと疑問を持つのですね。たとえば、この法案の第二十条第二項第三号に、造成された土地港湾機能の増進に寄与するように利用されるものであることというのがあります。そういたしますと、この法律が成立したとしても、大阪湾とか東京湾、そういう港湾機能の増進は、現状より以上に機能の増進は必要ないというふうにセンターが考えたとしたら、法律的にはこれはごみ処理ができないということになってしまうのじゃないかと思うのですよ。  この点について大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。法律的にはそうなるのじゃないかと思うのですが。
  52. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 センター基本計画の作成等の重要な意思決定には、管理委員会の議決が決定の機関になっておりまして、この管理委員会の構成メンバーというのは、港湾管理者の長の互選の委員が就任をしておられます。それで、港湾管理の面、大阪湾の、対象港湾港湾管理上そういった目的が存在しないような場合はともかくとして、現に港湾にそういった必要性があり、港湾管理者としてそのような整備を実施しております段階では、センターがそれと反した意思の決定をすることはないというふうに考えております。
  53. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、いま大阪港でどういう必要性があるのですか。まだ、いわゆる五カ年計画に基づく港湾整備計画というのは、出てないでしょう。出てませんよね。そうすると、いま具体的にどういう必要性があるかわからないという段階でしょう。そうして、基本計画の作成については運輸省は何もタッチしないのでしょう、後で認可するということですね。作成自身はセンターがやることなのですから。そのセンターが、もちろん港湾管理者が入って決定するわけだけれども、しかし、いまより以上に必要がないというふうに決定してしまえば、基本計画自身はでき上がらない。そうなれば、できないということになってしまうじゃないか。法律上はそうならざるを得ないのですよ。あとは運用の問題の話ですよね。その点、どういうふうにお考えですか。
  54. 小野維之

    小野(維)政府委員 いま先生は法律上とおっしゃいましたけれども、そのセンター管理委員会の中に入ってまいります港湾管理者は、いま五カ年計画は審議中だろうとおっしゃいましたが、それぞれの港湾管理者は、もっとロングレンジの、港湾をどう持っていくかという計画を持っております。それがセンターの意思決定に反映をしてくるということで、事実上先生の御心配なさっておるようなことは起きないのではないかというふうに考えます。
  55. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、いまの時点では恐らくそういう事態は発生しないだろうと思う。基本計画に乗ってくるだろうと思うのですよ。しかし、これはずっと長く続いていく法律ですよね。そうすると、その法律自体の中に、ごみが確実に投棄できるという保証がないということであれば、私は欠陥法案だと思うのですよね。この点、厚生省はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  56. 山村勝美

    山村政府委員 御案内のとおり、この法律廃棄物の適正な処理港湾地域における用地の確保という二つの目的を持ったものでございますが、したがいまして将来仮に港湾において用地需要が全くないということになれば、この法律とは別個の対策が必要であろうというように解釈をしておりますが、しかしながら現実問題として、運輸省の方からもお話がございましたように、大都市地域における用地需要というものは、都市の再開発を含め、根強くあるわけでございまして、一定の埋立地需要が見込まれるものというふうに考えております。したがいまして、土地需要の面からこの法律に基づく廃棄物処分が制限されるという懸念は持っておりません。
  57. 三浦久

    ○三浦(久)委員 この法案を提案しているのだから、恐らくそれは港湾建設の必要性というものを十分に勘案して出してきているだろうと思う。ですから、当初はそういうことは言えるかもしれませんけれども、それでは、皆さん方説明によれば大体これは十年で満杯になるということでしょう。十年たった暁に、たとえば大阪に八百ヘクタールも埋め立てて、そして、りっぱな港湾ができたとします。港湾はできても、ごみはどんどんどんどん出てきますね。そうすると、そのごみ処理をどうするのかということは十年後にまた問題になるわけです。ところが、いまりっぱな港湾を整備をした。さあそこにまた同じように港湾整備、いわゆる港湾機能の増進を図らなければならないという、そういう必要性が私はすぐは出てこないと思うのですね。そうすると、十年たった時点で、ごみはどんどん出てくるけれども、さあそれを処分するところがない、そういうかっこうになってくるのじゃありませんか。そういうときは厚生省はどういうふうにごみ処理なさるおつもりなんでしょうか。ごみというか、廃棄物ですね。
  58. 山村勝美

    山村政府委員 ごみの十年分というのと土地の需要から見ての、あるいは二十年ということになるかもしれませんが、土地需要の超長期的な見通しの上に立って、港湾管理者ともよく相談してまいりたいというふうに考えております。
  59. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ですから、港湾機能の増進という目的がなければもうごみは捨てられないわけですよ。十年か二十年たって満杯になった暁に、十年も二十年もたって、港湾埋め立てしながらつくるわけでしょう、りっぱな港湾を。そして、すぐまたそれをいじくらなければならないという必要性は私は出てこないと思うのですね。そのときに、運輸省とまた長期的な展望に立って御相談いたしますといっても、それは全く行き当たりばったりの廃棄物処理だというふうに私は言わざるを得ないのですね。たとえば港湾建設というのは、廃棄物がなくたって、港湾計画に基づいてこれはじゃんじゃん進められるわけですよ。ところが、ごみのこういう広域的な処分というのは、港湾建設という計画がなければできないという、これじゃまるっきり、だれが考えても、港湾建設が優先をし、廃棄物処理というのはつけ足しだというふうに思わざるを得ないのじゃないですか。この点、厚生省はどういうふうにお考えですか。もっと主体性を持って本当に廃棄物処理責任を持つ、そういう立場でこの問題の処理に当たってほしいと私は思うのですが、どういうふうにお考えですか。
  60. 山村勝美

    山村政府委員 廃棄物は、御指摘のように、永続的に排出されるものであります。その適正な処理につきましては、厚生省としては責任を持ってやっていかなければならないというふうに思っておりますが、現実に大阪湾が八百ヘクタールで満杯になるというふうには予想もいたしておりませんで、なお余裕があるというふうに考えておりますし、土地需要も、港湾施設に限定されるものでなく、当該後背地の都市の再開発等、別途土地需要が存在するように理解もしておりますので、そういう心配はないというふうに考えております。
  61. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、埋め立てればそれで港湾機能の増進になるというわけじゃないのですよ。たとえば公園をつくるとか住宅地をつくるということ、それは港湾の主たる設備と相まった場合には、それは港湾機能の増進の一つの要素ということが言えるかもしれませんけれども、八百ヘクタールも千ヘクタールも埋め立てて、それを全部公園にするとか住宅にするとか、そういうことをした場合に、それが果たして港湾機能の増進というふうに言えるのかどうかというのは、それは非常に疑問ですよ。厚生省のお考えだったら、埋め立てをすれば、それは即港湾機能の増進に当たるのだ、こういうお考えみたいに思われますけれども、そうはならないのですよ。この法律でちゃんと港湾機能の増進ということをはっきりうたっているわけですからね。八百ヘクタールも公園にして、それが港湾機能の増進になっておるのですというのは、これは事実と反していると思うのですね。  そういう意味で、私は提案したいのです。こういう廃棄物処理というものを港湾建設と絡ませる必要はない。そういう基本計画をつくって、結果的に一時期そういう港湾機能の増進に役に立ったという場合があるということは私は否定しません。それはそれで結構でしょう。しかし、それがなければごみ処理ができないのだというふうにみずからの手を縛ってしまったのでは、これはごみ処理について責任を持つ厚生省の態度としては私は不適切ではないかというふうに考えている。それで、このごみ処理の問題について再度私は提案をしますけれども、こういう港湾建設と切り離すということ、このことをやはりやる必要があるのじゃないですか。いまは、この法案を出しているから、とても、それはそうしますとは言えないかもしれませんけれども、将来にわたっては港湾建設とは切り離してごみ処理の問題を考える。結果的に一緒になることは構いませんよ。しかし、法律上縛ってしまうというようなことは考えないで、やはりフリーにごみ処理の問題を考えていくということを提案したいのですけれども、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  62. 山村勝美

    山村政府委員 廃棄物の最終的な埋立処分地の確保は、内陸、臨海を含めて全国土的に考えていく必要があろうかと思いますが、それを港湾区域に求める限り、港湾計画との調整はやはり図っていかなければならないというふうに考えております。
  63. 三浦久

    ○三浦(久)委員 港湾計画との調整を図っていかなければならないのは当然なんですよ。私が言っているのは、港湾機能の増進というものに寄与しなければごみ処理ができないというふうにみずから縛ってしまうというのはおかしいんじゃないか、そういうことを申し上げているわけなんですね。ですから、そこはやはりもうちょっと主体性を持ってごみ処理責任を持った態度を厚生省はとるべきだというふうに私は思います。  時間があと一分しかありませんので、私は最後に要望しておきますけれども、当初のフェニックス計画とこの法案というのは非常に大きくかけ離れているのですね。われわれもこの国会の中で、ごみ処理については国が責任を持て、また広域的な処理を行えということでずっと追及をしてきて、その結果、厚生省からフェニックス構想なるものが出てきて、わが党はそれを支持してきたわけなんです。ところが、出てきたものは、全く似ても似つかないようなものが出てきてしまったということなんですね。この法案、いろんな点で、同僚委員からの指摘がありましたように、問題が多過ぎます。したがって、われわれはこのままではこの法案に賛成をするということはできません。したがって、修正案を提出をしたわけでありますけれども、厚生省も、運輸省もそうですが、まさに長期的な展望に立ってごみ処理というものをしていただくように要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  64. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  65. 小此木彦三郎

    小此木委員長 ただいま委員長の手元に、本案に対し、日本共産党四ツ谷光子君から修正案が提出されております。  修正案はお手元に配付してあるとおりでございます。  この際、提出者から趣旨説明を求めます。四ツ谷光子君。
  66. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ただいま議題となりました政府提出広域臨海環境整備センター法案に対する修正案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  政府提出広域臨海環境整備センター法案は、本委員会でのわが党の質問等で明らかになったように、当初の厚生省のフェニックス計画構想から大きく後退し、廃棄物についての国の責任をあいまいにしているだけでなく、港湾機能増進という港湾計画がなければごみ処理もできないという、港湾計画が優先し、ごみ処理は従たるものとなっており、地域住民と自治体の要求からかけ離れたものになっています。  また、政府案は、廃棄物減量化、再利用の促進や最終処分のための長期的、抜本的な対策を何らしておらず、廃棄物処理を安易な海面埋め立てに依存することになっており、廃棄物処理問題の根本的な解決にはなっておりません。しかも、環境保全を理念としてうたっているだけで、それを保障する具体的規定を設けておらず、また民間の産業廃棄物までも無制限に受け入れるたてまえとなっています。  また、現行港湾法以上に国の権限を強めるとともに、センター管理委員会に地方議会の代表を入れず、民主的運営の保障がないなど重大な問題点があります。  わが党は、環境保全上、廃棄物最終処分場を海面埋め立てに求める場合、必要最小限度に抑えるとともに、廃棄物減量化等を図る立場から修正案を提案することにした次第であります。  次に、修正案の概要について御説明申し上げます。  第一に、運輸省主導型の港湾整備優先ではなく、住民本位の廃棄物処理優先に改めるために、目的条項中の「港湾の秩序ある整備」を削除、また第二十条二項三号の造成地の利用目的から「港湾機能の増進」を削除して「港湾及び周辺地域における生活環境の向上に寄与するように」と改めています。  第二に、埋め立て全面依存ではなく、廃棄物減量化、資源再利用の促進など総合的施策を同時に進めることを前提に、二条二項の対象地域を首都圏、近畿圏など大都市周辺に必要最小限に抑えることとしています。また、同趣旨により、期間を十年の時限立法とし、この間政府は廃棄物処理に関し、減量化、再生利用等の推進を図るための施策について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることとしております。  第三に、環境保全上の歯どめを強化するために、二十条の基本計画、第二十一条の実施計画は、関係住民への公開と住民参加による環境アセスメントの実施をするとともに、産業廃棄物の無制限投棄を阻止するため、第十九条三号を改めることとしております。  第四に、国の過度な介入を排し、自治体中心にセンターの民主的運営を確保するために、第二十条の基本計画主務大臣認可制を承認制に改め、第十四条の管理委員会の構成を、出資したすべての自治体の首長、議会の代表、港湾管理者に拡大することとしております。  第五に、事業の特殊性にかんがみ、財政上の特別措置、国の援助を強化するため、第二十六条に、国は従来の補助金のほかに広域処理場等の建設に要する費用の一部を負担することを加えることとしております。  第六に、センターの解散もしくは業務の縮小に際しての雇用保障を明記することとしてあります。  以上が、修正案の提出理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようにお願い申し上げます。
  67. 小此木彦三郎

    小此木委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  68. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより内閣提出広域臨海環境整備センター法案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  69. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成、修正案に反対の討論を行うものであります。  本案に賛成する第一の理由は、本センター設立が今日緊急を要するものであり、その緊急性にこたえて本案が提案されたことであります。  すなわち、大都市圏における大量の廃棄物の広域的な処理港湾における土地造成をあわせて行うことは、まことに時宜を得た処置であると存じます。  賛成する第二の理由は、今回の本案によるセンターの仕組みが、センターに対して地方公共団体及び港湾管理者の意向が十分に反映されるようになっており、地方自治の本旨が十分に尊重されていることであります。  元来、廃棄物処理地方公共団体の責務であり、港湾における廃棄物埋立護岸の建設及び土地造成港湾管理者の業務であります。このため、本案においては、センターの重要業務については、地方公共団体の長及び港湾管理者の長のそれぞれの互選により任命された者から構成される管理委員会の議決を経なければならないこととする等、地方自治の本旨を十分に尊重したものとなっていることは、まことに適切な措置であると存じます。  賛成する第三の理由は、本案において、環境の保全に対する配慮が十分になされていることであります。  次に、日本共産党四ツ谷光子提出の修正案について申し上げますと、本修正案は、本法の目的から「港湾の秩序ある整備」を削除するもので、これは貴重な海面を単なるごみ捨て場としてしまうという暴論であって、とうてい納得できません。  また、大都市圏において最終処分しなければならない廃棄物は今後も永続的に排出されることからいって、十年間の時限立法とすることは、全く現実を無視したものと断ぜざるを得ないので、本修正案に反対するものであります。  以上申し述べましたように、本案は、関係地方公共団体及び港湾管理者が共同してセンター設立し、広域的処理を必要とする廃棄物の海面埋め立てを行い、あわせて土地造成する等の業務を行わせることをねらいとしたもので、まことに時宜に適した内容のものであると賛意を表するものであります。  以上をもって、修正案に反対、本案に賛成の討論を終わります。
  70. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、福岡義登君。
  71. 福岡義登

    ○福岡委員 私は、日本社会党を代表し、政府提出広域臨海環境整備センター法案及び日本共産党提出の修正案に対し、いずれも反対の立場から討論を行います。  廃棄物問題が大きな社会問題となっており、緊急にその対策を必要としていることは論をまちません。しかし、政府提出広域臨海環境整備センター法案では問題の解決が不可能であるばかりか、場合によっては廃棄物処理の基本を誤らせるおそれすらあるのであります。以下、具体的問題点を指摘し、法案に反対する理由を明らかにしたいと思います。  まず、政府提出の法案について申し述べます。  第一の点は、廃棄物発生の抑制対策を強化しなければならないということについてであります。  わが国の現状は、高度成長時代以来、大量生産、大量消費、大量廃棄の過剰社会となっております。この点につきましては、廃棄物対策という観点からはもちろんでありますが、省資源、省エネルギー対策からも抜本的改善策を必要としているのであります。つまり産業構造の転換、計画的生産、有効な消費構造の確立、廃棄物の再利用並びに自然への還元などの諸施策が強く要請されているのであります。しかるに、今日のわが国の実情はこれらがきわめて不十分であります。また、これらの点は法案審議の過程においても今後の方針が明らかにされておりません。  第二の点は、一般廃棄物の減量対策、産業廃棄物の排出規制、産業廃棄物の排出事業者処理責任、公共関与の必要な中小企業の処理施策等、廃棄物処理の基本にかかわる諸問題が明らかにされていないことについてであります。  これらの諸問題が明らかにされないまま廃棄物埋め立てることになれば、生ごみ有害産業廃棄物などがそのまま埋め立てられる危険性があり、こうなれば海洋汚染などの環境破壊となることは必定であります。  第三の点は、本法案の目的としているフェニックス計画が公表されていないことについてであります。  埋立予定港湾区域、積み出し港、中継基地の場所などが一切明らかにされていないのであります。これらは漁業問題、交通公害、海上交通安全などの関係できわめて重要であり、事前に公表し、関係者からの意見を求め、万全を期すべきでありますが、これらが一切公表されないまま法案に賛成することができないのであります。  第四の点は、地方自治と地方財政についてであります。  廃棄物処理地方自治体の固有の事務でありますが、本法案では国の権限が強く、地方自治を侵害するおそれがあります。また、本法案は地方自治体に財政負担を強いるもので、地方財政を大きく圧迫するものであります。今日必要なことは、廃棄物、特に産業廃棄物に対する行政権限と財政措置を明らかにすることであります。  次に、日本共産党の修正案について申し述べます。  この修正案は、さきに政府提出法案について申し述べましたわれわれの見解と異なりますので、反対であります。  以上が、政府提出法案及び日本共産党提出修正案に対する問題点と反対理由であります。  政府は、本法案を撤回し、再検討されるよう要望して、反対討論を終わります。
  72. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、三浦久君。
  73. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、日本共産党を代表して、四ツ谷光子提出広域臨海環境整備センター法案に対する修正案に賛成し、政府提出広域臨海環境整備センター法案に反対の討論を行います。  政府提出法案は、当初の厚生省のフェニックス構想から大きく後退し、廃棄物についての国の責任をあいまいにしているだけではなく、港湾機能増進という港湾計画がなければごみ処理もできないという、港湾計画が優先し、ごみ処理は従たるものとなっており、地域住民と自治体の要求からかけ離れたものになっています。  また、政府案は、廃棄物減量化、再生利用の促進や最終処分のための長期的、抜本的な対策を何らとっておらず、廃棄物処理を安易な海面埋め立てに依存することになっており、廃棄物処理問題の根本的な解決にはなっておりません。しかも、環境保全を理念としてうたっているだけで、それを保障する具体的な規定を設けておらず、また民間の産業廃棄物までも無制限に受け入れるたてまえとなっています。その結果、貴重な海面が今後無制限に埋め立てられるおそれがあり、環境への影響が危惧されるものとなっています。  また、現行港湾法以上に国の権限を強めるとともに、センター管理委員会に地方議会の代表を入れず、民主的運営の保障がないなど重大な問題点があり、反対をするものであります。  これに比べ、四ツ谷光子君提案の修正案は、政府提出法案の重大な欠陥を修正しています。  たとえば環境保全上、廃棄物最終処分場を海面埋め立てに求める場合でも必要最小限度に抑えるとともに、政府に対し、廃棄物減量化、再生利用等総合的な対策を求めることにしております。また、運輸省主導型の港湾整備ではなく、住民本位の廃棄物処理優先に改め、当面の廃棄物最終処理が必要な地域を首都圏、近畿圏など大都市周辺に必要最小限度に抑えるなどとなっており、住民も地方自治体の要望をも満たすものとなっており、賛成をするものであります。  最後に、わが党は、大都市圏における廃棄物処理問題の民主的解決のため一層奮闘することを表明し、討論を終わります。
  74. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  75. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより採決に入ります。  内閣提出広域臨海環境整備センター法案及びこれに対する四ツ谷光子提出の修正案について採決いたします。  まず、四ツ谷光子提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  76. 小此木彦三郎

    小此木委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 小此木彦三郎

    小此木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  78. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、本案に対し、関谷勝嗣君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。関谷勝嗣君
  79. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 ただいま議題となりました本案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党国民連合、日本共産党及び新自由クラブを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     広域臨海環境整備センター法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。  一 廃棄物処理行政を円滑に推進するため、現行廃棄物処理法に従って地方公共団体による当該行政の充実と廃棄物処理体制の一貫性を図るとともに、地方自治を尊重しながら関係地方公共団体間、関係省庁間及び国、地方を通ずる連携を一層密にすること。  二 廃棄物の発生量を削減するため、国民に対する使い捨て意識の変革などの啓蒙を行うとともに、廃棄物減量化及び再資源化を図るほか、廃棄物の適正処理のため、産業廃棄物事業者処理責任の徹底、適正処理困難物の処理等に必要な施策の推進に努めること。  三 広域処理場への廃棄物の輸送に伴う交通問題等に十分配慮した適切な措置を講ずるよう地方公共団体、広域臨海環境整備センター関係者を指導すること。  四 広域処理場において廃棄物の適正な受入れが行われるよう廃棄物の受入れ基準及び搬入者による同基準の遵守並びにその監視体制について広域臨海環境整備センター及び地方公共団体を十分指導すること。  五 広域処理場の周辺の海域及び地域における環境の保全を図るため、広域処理場に係る環境アセスメントの適切な実施等が行われるよう広域臨海環境整備センター指導すること。 以上であります。  本附帯決議案は、当委員会における本案審査におきまして委員各位から述べられた御意見及び御指摘のありました問題につきまして、これを取りまとめたものでありまして、本法の実施に当たり、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにし、本委員会の決議をもって、その実施に遺憾なきを期すことといたすものであります。  以上をもって本動議の趣旨説明を終わります。  何とぞ御賛成を賜りますよう、お願い申し上げます。
  80. 小此木彦三郎

    小此木委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  関谷勝嗣君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 小此木彦三郎

    小此木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  82. 小此木彦三郎

    小此木委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 小此木彦三郎

    小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  84. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、塩川運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩川運輸大臣
  85. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ただいま広域臨海環境整備センター法案につきまして、慎重審議の結果、御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、政府といたしまして、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。  どうもありがとうございました。
  86. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  87. 小此木彦三郎

    小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  海上保安に関する件、特に日昇丸の事故に関する問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。楢橋進君。
  88. 楢橋進

    ○楢橋委員 米海軍の原子力潜水艦のジョージ・ワシントンがわが国の貨物船日昇丸を沈没させまして、そして二人の行方不明者が出るという事故があったわけでありますけれども、これはまことに遺憾なことであるというふうに思います。特に遺憾と思っておることはアメリカの原子力潜水艦が浮上したというふうに言われておりまして、しかも乗組員の救助をしなかったというふうに怯えられておるわけでありまして、こういった一連のニュースを聞きまして、まことに遺憾、また怒りを覚えるわけであります。  この事故は公海で起こったと言われておりますけれども、海難事故の後は、これは海上保安庁の管轄でありますので、海上保安庁を中心に質問をいたしたいと思います。  ただしかしながら、この問題ではなぞと言われている部分が非常に多いわけであります。したがいまして、この事故の調査を速やかに行われまして、そして国民の前に明らかにしてほしい。また、その補償問題、あるいは今後そういった事故が起きないように万全の処置を講じていただきたい。質問に先立ちまして、この二点につきまして強く要望するわけであります。  この事故は、四月九日の午前十時三十分ごろ発生したと言われておりますけれども、海上保安庁は、今回の事故をいつ、どうやって知ったかということをまずお伺いしたいと思います。
  89. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 四月の十日、すなわち事故の起こった翌日でございますが、四月十日の午前五時四分、自衛隊の護衛艦「あおくも」から佐世保海上保安部に、下甑島の西南西約二十海里の海上で、ゴムボートに乗った日昇丸乗組員の救助作業中という連絡がありました。また、五時四十一分に乗組員二名が行方不明という通報がありましたので、海上保安庁は直ちに緊急放送を発信するとともに、巡視船「さつま」「かみしま」及び航空機二機を出動させ、捜索を開始したわけでございます。
  90. 楢橋進

    ○楢橋委員 この貨物船の日昇丸というのは二千三百五十トンですか、かなり大きな貨物船であるわけでありますけれども、ぶつかって、その後何分かたって沈没したわけでしょうが、そのときにもちろん通信士、そういった人たちもおるわけですから、救助のSOSとか、そういう救助要請というのはなかったか、非常に疑問に思うわけでありますが、その点いかがでしょうか。
  91. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 この船はぶつかってから沈むまでに約十五分でございます。その間にSOSを発信したかどうかということにつきましては、私ども通信長に尋ねたわけでございますが、通信長の言によりますと、退船前にSOSを発信した、しかし衝突と同時に停電いたしましたので、予備電源に切りかえて発信したけれども、正常に電波が出たかどうかについては確信が持てない、かように証言いたしているわけでございます。この電波が発信されれば、海上保安庁の九州の各局あるいは電電の各局あるいは巡視船等においても受信ができるはずでございますが、受信の事実はございません。したがって、私どもとしては、SOSは発信されなかったのではないかと推定しております。
  92. 楢橋進

    ○楢橋委員 報道によりますと、日昇丸の乗組員の報道機関に対する報告といいますか、証言といいますか、それとアメリカ大使館からの外務省に入っておる報告というものが大分違っておるように聞いております。これはほかの委員会でもいろいろそういった質問があったと思うわけでありますけれども、この乗組員の話によりますと、「事故直後、マークのない潜水艦が浮上してきた。そのとき、上空をシルバーグレーの胴体に、星の両側に二本の線の入ったマークをつけた双発機が飛んでいた」云々というような談話が載っておるわけでありますが、一方アメリカ政府からの発表によりますと、「潜水艦は衝突直後に商船を救助するため浮上した。しかし商船は霧と雨による視界不良のため消え去った。潜水艦とともに行動していた米国の航空機一機が低空捜索を行ったが、救助を求める船舶または乗組員は発見できなかった。」こういうふうに報道されておるわけでありますが、衝突時の状況について、救出された十三人の乗組員に対しまして調査されたことと思いますけれども、どのように言っているのか、お聞かせいただきたい。
  93. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 まず、天候でございますが、当時の天候につきましては、日昇丸乗組員の供述によりますと、雨または霧、南東の風、風速毎秒約五メートル、波の高さは約一メートル、視程は約二キロであったということを申しております。したがって、米軍の言っている、視界はゼロであったということではなかったのではないかと推定されるわけでございます。  飛行機につきましては、星のマークのついた双発機という話が出ているわけでございますが、私ども目下、米軍の方から防衛庁を通じまして得ている情報ではP3Cである、したがって双発機でなくて四発機であるというふうに聞いております。  それから、潜水艦が衝突後間もなく浮上して、さらに沈没前にまた潜水したという件については、必ずしも米側の言っている話と矛盾はないように感じております。
  94. 楢橋進

    ○楢橋委員 いま長官から当時の気象状況というものが、雨または霧、南東の風毎秒五メートル、波の高さが一メートル、視界は約二キロだということを言われたわけでありますけれども、そうしますと、これは素人で考えまして、救出が可能であったんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、この点につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
  95. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 どの程度の天候で救出が可能であるかということは、そのときの状況、それから救出する者の能力ということによって大幅に違ってまいりますが、言われるような気象状況であれば、特にわれわれの海上保安庁が実施している捜査能力というような点との比較で考えれば、さほど困難な救出作業ではなかったのではないか、さように考えます。(楢橋委員「救出は困難ではなかった」と呼ぶ)必ずしも困難とは言えないのではないかと思います。
  96. 楢橋進

    ○楢橋委員 原子力潜水艦というのはかなり強力なソナーを備えておる。どうしてそのような原子力潜水艦が事故を起こしたのかと不思議に思うわけでありますけれども、一般的に非常に疑問に思われておりますのは、なぜ米国からの通報が非常におくれたのか。事故直後に日昇丸の乗組員が潜水艦を見たと証言しているのに、潜水艦側からはこの事故が確認できないはずがないと思うわけでありますけれども、これはちょっと答えがむずかしいかと思いますけれども、これほどまでに通報がおくれたのは、原因は何だろうというふうに考えるわけでしょうか。非常にむずかしいきわどい質問ですからあれですが、お願いをいたします。
  97. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 直接お答えするよりは、その経過を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、翌日の朝早く午前五時前後に、自衛隊の護衛艦によって十三名が救出された。そのときの話しぐあいによって、どうもぶつかった相手は潜水艦らしい、こういう情報を得まして、私どもは潜水艦とすれば日米ソ、そのどこの潜水艦であろうかという調査を開始したわけでございます。いろいろ問いただしましたけれども、的確な情報を得ることができず、当日の十二時前後に外務省の方に、米国大使館から、衝突事故には米国の潜水艦が関与しているらしいという情報が入り、さらに当日の午後十時に至りましてようやくそれは米国潜水艦ジョージ・ワシントンであるという情報が入ったわけでございまして、その間、正式な通報があるまでこれだけ多くの時間を費やした理由については、私どもちょっとはかりかねております。
  98. 楢橋進

    ○楢橋委員 長官にお伺いしたいのですが、いろいろわからない点が非常に多いわけでありまして、米国側が事故の調査をして日本側に通知をすると言っておるわけでありますけれども、大体そのめどはいつごろか、お聞かせいただきたい。
  99. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもとしては、米側の調査結果をできるだけ早く知りたいということで、外務省を通じて米側に申し入れているわけでございますが、まだ正式にいつまでという回答は得ておりません。新聞報道によりますと、一カ月ぐらいかかるというようなことも昨日太平洋艦隊司令官が言ったというようなことがありますが、私どもとしては正式にいつごろになるという見通しを聞いておりません。
  100. 楢橋進

    ○楢橋委員 これは大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、十二海里、二百海里という非常に広い海域を海上保安庁が管轄しておるわけでありますけれども、このような今度のような事故を踏まえまして、海上保安庁としては今後どのように対応していくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  101. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御承知のように、海上保安庁の任務は、警備救難という任務と、それから航路の安全を確保するために水路等の調査、航行安全の業務でございます。それから、灯台というような仕事もございます。  そのうち、私が見ておりますのに、水路関係並びに灯台関係につきましては、海上保安庁としてほぼ一〇〇%その任務は果たしておると私は思っております。ところが、警備救難の問題でございますが、この問題につきましてはなかなか十分なところまではまだいかない。鋭意努力いたしておりますけれども、十分とは言えない。人命の安全の確保ということは交通輸送に関係しております者にとりましては最大の問題でございまして、その安全を確保するために、海上保安庁におきましても一番重要な政策であることは当然でございますが、しかし今回のような原子力潜水艦の突然の事故が起こるというようなこと、こういうことが起こってまいりましたら、やはり警備体制と申しましょうか、警備救難に一層の努力が必要である。  ところが、現在の能力だけでこれに対応し得るかといったら、必ずしもそうではないような状況なんでございまして、御承知のように、日本近海には無数の潜水艦が浮遊しておるように聞いております。そうであるとするならば、そういう水中探査を含む海洋情報の把握というものに今後一段の努力をしなければならぬのでございまして、そのためにはやはりそれ相応のこちらの機器の整備なり装備というものも充実していかなければならぬだろうと思うております。それによりまして、一層わが国周辺海域における航行の安全が確保できるのだと思うておるのであります。  そしてまた、情報把握と同時に、起こりました海難にどう対処するかということでございますが、これにも機動力の付与ということが大事でございまして、その機動力も、最近非常についてはまいりましたけれども、まだまだこれから整備しなければならぬという状態ではなかろうか。そういうことを思いますならば、海上保安庁の一番重要な任務でございます海難救助という点につきまして、われわれの努力もさらに一層いたしますけれども、そういう整備も今後相伴って初めて完全が期せられるものである、こう認識しております。
  102. 楢橋進

    ○楢橋委員 こういった事故が再び起こらないように、特に今度は船長と一等航海士の二人の方が行方不明でありまして、恐らく不幸なことになったのではないかと思うわけであります。  いま大臣から答弁がありましたように、わが国の海域の周辺に非常にたくさんの潜水艦、特に原子力潜水艦も含めてでございますけれども、そういう環境下にわが国は置かれておるわけでありまして、そういったことから、なお一層海上保安庁、運輸省としましてその能力をアップいたしまして、事故が起きないように、また事故が起きたときに素早く対応できるように施策を講じられますように要望いたしまして、質問を終わります。
  103. 小此木彦三郎

    小此木委員長 井岡大治君。
  104. 井岡大治

    ○井岡委員 この事件が発生して以来、国民は非常な不安に陥れられておることは、毎日の新聞あるいはテレビ等々によって御承知のとおりです。それだけに、この事故の解決のいかんは国民に大きな影響を持つと思うわけです。そこで、各委員会においていろいろお話をされておりますので、私は、海上保安という立場から一言お伺いいたしたいわけです。  まず最初に、十四日に私たちにお配りをいただいた「日昇丸の事故の概要」このことについてでございますが、これは大臣ごらんになってお配りいただいたのですか。
  105. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 あの資料につきましては、実は資料を一時から始まる委員会に七十部提出してほしいという連絡を受けましたのが当日の正午ごろであったわけでございます。したがいまして、あの資料につきましては大臣はもちろん見ておられませんし、実は私もそのとき参議院の方に呼ばれておりまして、実は私も見ていなかったわけで、大変申しわけないのですが、そのような状況で急速作成して配ったというものでございまして、私どもとしても、幾分簡単に過ぎるとか、表現に適切を欠く面もございますので、もし委員会の御了承が得られるならば、あの資料については別途差しかえさせていただきたいと、かように考えております。
  106. 井岡大治

    ○井岡委員 率直な御意見ですから、私はあえてこれを深く追及しようとは思いませんけれども、少なくとも大臣も知らない、長官も知らない、そして、われわれにこれをお配りになる、そういうことが果たしてやられていいんだろうか、このことに私は疑問を持つわけなんです。この点明らかにしていただきたい。
  107. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 大変申しわけないと思いますが、どうしても一時までに出せと言われているということで非常に資料を急いだということでございまして、見ていないというのはやはり語弊があったかと思いますが、任せたという感じであるわけでございます。
  108. 井岡大治

    ○井岡委員 率直に言われておりますから、いいですよ。いいですけれども、これがわれわれの手にある間はいいです。これがもし外に漏れたとするなら、どういう責任をとるのですか。これは運輸委員会といういわゆる公の席上で配られた資料なんです。この点についてお答えいただきたいと思うのです。
  109. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもとしましては、あの資料につきまして誤りがあるとか、さようなことは考えてないわけでございますが、当委員会提出する資料としてはより詳しいものを出した方がいいのではないか、かように考えておりますので、でき得れば差しかえさしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  110. 井岡大治

    ○井岡委員 過ちがない、間違いありませんね。
  111. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 過ちはございません。
  112. 井岡大治

    ○井岡委員 では、ひとつ読んでみます。「鹿児島県下甑島の西南西三七海里付近において、米国原子力潜水艦ジョージワシントンと衝突し、日昇丸は機関室に浸水後間もなく沈没した。」「と衝突した」ということになると、これは日昇丸がぶつけたんですね。一遍に言っておきます。「日昇丸が潜水艦と衝突した可能性があった」日昇丸が衝突したんですよ。これはどういうことなんですか。
  113. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 これは衝突されたのではないかという御指摘だと思いますけれども、AとBが運動して、同時刻において同一地点を占めたということを私ども衝突と申しておりますので、衝突ということが起きた、それで、その原因や責任はどちらにあるか、かような手順で私ども実は衝突事故の調査をしておりますので、海上保安庁でいつも衝突事件を扱っております用語といたしましては、まず衝突という、それはその衝突されたという用語は実は使っておらないわけでございます。AとBが衝突し、その場合にAには責任なく、Bに責任があったということはあり得るわけでございます。私どもは決して衝突ということを、何が何と衝突したということは何が悪いという、そういう意味で使っているわけではございません。ただ、いろいろと誤解を招いた点もございますので差しかえ願いたい、かように考えております。
  114. 井岡大治

    ○井岡委員 何とあなたも妙な論理を展開するものですね。あなたは護衛艦の報告を受けたんでしょう。報告を受けたときにどんな判断をされたんです。それが判断の材料、判断だと、こうおっしゃるのですか。そうじゃないでしょう。アメリカからすでに入っているんですよ、当てたようだということが。これは入ってからのなんですよ。そんな論理は展開しない方がいいでしょう。どうです。
  115. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 論理を展開しているわけではございませんで、「衝突した」という言葉を用いたことは、そういう他意はなかったと申しますか、衝突されたのではなくて衝突したのであるという意味で「衝突した」という言葉を用いたわけではないということを申し上げているわけでございます。
  116. 井岡大治

    ○井岡委員 あなた、そんなところでこだわるのはやめなさいよ。この文章ではこっちが衝突したことになっている。衝突されたんでしょうが。されたんならされた、これは間違いでしたとはっきり言ったらいいじゃないですか。何でそんなところにこだわるんです。
  117. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもも表現が適当でないという認識がありますので、でき得るならば差しかえさしていただきたい、かように申しておるわけでございます。
  118. 井岡大治

    ○井岡委員 適当でないから差しかえる、そうでなくて、これは余りにも軽率だった、だから差しかえたい、こういうのなら話はわかりますよ。これは表現の問題じゃないです。  大臣、答えてくださいよ。こんなに何ぼ言っていたって時間がたつばかりです。
  119. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 長官説明しておりますように、これはまだ事実、原因が十分に、おおよそのことはわかっておったといたしましても、確定的にこうだということが言える状態でなかった中において、報告書をすぐに提出しろということでございました。そういう事情もひとつ御勘案いただきたい。  そこで、正確に言うならば、何か衝突した事故があったということを言っておるのでございまして、この衝突したという表現の中に、原因を含んでの、つまり原因性を含んで表現しておるものではないのでございますので、その点は単純に衝突事故があったという客観性を表現しておったことだということでございます。でございますから、急いで出した報告書の表現が適切でないのでと、いまになってそれがはっきりしてまいりましたしいたしますので、その分については差しかえをさしてもらいたい、こう言っておるのでございまして、決してそんな、こだわっておるわけでも何でもございませんし、その当時の状況を説明するのにはそういう文言しか使えなかったという事情もひとつ御理解いただきたいと思います。
  120. 井岡大治

    ○井岡委員 最初、差しかえを申し出られたものは、十四日の朝十時にこのことを言われてそうしてつくったのだ、こう言われた。ところが、新聞では十一日の日に、すでにアメリカは自分のところが当てたということをはっきり言っているのです。ここで、私は先ほどから言っているのですが、あえてこういう問題にこだわろうとは思わないけれども、間違いは間違いだったということをはっきり言いなさい、こう言っているのです。  そうすると、十四日につくったのじゃない、十四日につくったのでしょう、これは。つくったと言ったじゃないですか。この点を明らかにしなければいけませんよ。
  121. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 十四日につくったものでございます。十四日につくったものでございますが、そのつくった時点において、非常に草々の間でありましたために、表現に適切でないものがあった。そのようなものを委員会提出したのは大変申しわけないから差しかえを願いたい、かように考えておるわけでございます。
  122. 井岡大治

    ○井岡委員 もう一遍だけ言って。  ばからしいですよ。十一日の新聞では、すでに外務省へは十日の日に、私のところが当てましたと言ってきているのです。そうして、十四日につくった、こういうのです。だから、素直にあれは間違いでしたと認めれば、私はこんなことにこだわろうとは思ってないのですよ。間違いでしたから返してくださいと言ったら、これは返しますよ。ここの点を明らかにしなさいよ。
  123. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 差しかえさせていただきたいということは、適当でないものを提出して申しわけなかったという意味で差しかえさせていただきたいということを申しているわけでございます。ただ、これを作成した間の事情は御理解願いたい、かように考えているわけでございますが、決して衝突したというのが、衝突されたという言葉との対比で衝突したと言ったわけではない、そういう意味でつくったのではないということを弁解させていただきたかったわけでございまして、表現が適切でないので、そういうものを出したのは申しわけございませんから差しかえさせていただきたい、かように申しているわけでございます。
  124. 井岡大治

    ○井岡委員 もうばからしくなってきたですよ。間違いでしたということが言えないのですね、あなたという人は。あなた、これは笑い事じゃないですよ。これをもらったときに、私たちが新聞記者に発表しておったらこれはどうなるのです。新聞記者は見せてくれと言ったのですよ。だけれども、私は十日の新聞を見ています。見ていますから、こんなものを出したら日本の海上保安庁の権威にかかわると思ったから見せなかったのですよ。こういうことをもう少しあなたは、表現の問題じゃない、この点を明らかにしておきたいと思います。これは返してあげますよ。  時間がなにしますから、次に進みます。  そこで、日昇丸は通常の航路を行っておったのですか。
  125. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 日昇丸の航路は通常の航路でございます。
  126. 井岡大治

    ○井岡委員 軍艦といえども航路表は持っておるわけですね。
  127. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海図のことでございましょうか。(井岡委員「はい」と呼ぶ)海図は持っております。
  128. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、この辺を毎日船が通っておる、こういうことはわかっておるはずですね。
  129. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海図に航路が書いてあるわけではございませんけれども、どの海域には船がよく通るということはシーマンの常識として知っているだろうと思います。
  130. 井岡大治

    ○井岡委員 海図には航路は書いてないけれども、船はレールの上を走っておるように、余りそれたところは走りませんね。これは間違いないでしょう。
  131. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 レールほど正確ではございませんが、大体一定のところを走っております。
  132. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、艦長といえども航路というものは知っておるはずだと思うのですが、この点いかがです。
  133. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 大体この辺は民間商船がよく通っているというようなことは知っているはずでございます。
  134. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで問題になるわけですけれども、外務省にお聞きしたいのですが、公海に関する条約第八条に軍艦の免責規定がありますね。この免責規定というのは、何をやっても構わぬという免責規定ですか、それとも、やはり海の男としてのルールというものは十分守っていかなければならない、けれども、戦時における国の安全、あるいは戦争、こういうような場合はこの八条免責というものはあたりまえだと私は思うのです。けれども、何にもないときには海の男としてのルールというものは守ってしかるべきだ、こう思うのですが、どうなんです。
  135. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の八条は「公海上の軍艦は、旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される。」ということを書いてあるものでございます。これは免責規定というよりは、むしろ排他的管轄権というものを規定したものでございまして、つまり軍艦は公海上においても、いずれにおいてでもでございますけれども、いわゆる不可侵権と言われているものでございまして、たとえば他国から停船を命ぜられたり、あるいは臨検されたり捜索されたり、そういうこともなければ、また裁判管轄権等に関しても外国の管轄下に入らないということを決めたものでございまして、何をやっても責任を問われないということを決めたものではございません。したがいまして、シーマンシップとおっしゃいましたが、まさにシーマンシップとして海上交通の安全を保つとか、あるいは衝突の予防措置を講じるというようなことは当然のことであるということでございます。これは、おっしゃったことは八条と関係なく当然のことであると考えております。
  136. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、第十一条の、救難を求めておる者があればこれは救難をしなければいけない、援助を与えなければいけない、この規定がありますね。
  137. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 公海条約第十二条に海難の際の救助の規定がございます。その一項の(C)に、衝突したようなときは、相手の船舶並びにその乗組員、旅客に援助を与えろ、また、可能なときには、自己の船舶の名称とか船籍港とか、そういうことを相手の船舶に知らせろということが書いてございます。ただ、これは一項の柱書きにございますように、この条約から直ちにそれぞれの船の船長に直接責任を押しつけるものではなく、大体海事法の条約と申しますのはそういう傾向があるのでございますが、その条約を結ぶのは国家でございますから、国家がそれぞれ国内法によって自国籍の船舶にそういう規則を守らせるように国内法を制定しろということを決めてあるものでございます。  ただし、一つ蛇足をつけ加えますれば、あるいは蛇足ではないかもしれませんが、衝突した、ないしは衝突事故の原因によるか否かを問わず、海難に遭っている人たちに救助の手を差し伸べるということは、先ほど先生もおっしゃいましたように、シーマンシップとしてこれは人道上からも当然のことであって、何もこの根源を国際法に求めなくても当然のことであろうと考えるわけでございます。
  138. 井岡大治

    ○井岡委員 ぼくは十一条と十二条を間違えました。これは十二条に明らかに書いてあるんですね。「海上において生命の危険にさらされている者を発見したときは、その者に援助を与えること。」これは国内の船であろうとあるいは外国の船であろうと、これはうちの法律じゃないんですね、条約ですから当然やるべきものである、こういうように理解していいですね。
  139. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 ただいま先生がお読みになりましたのは十二条一項の(a)でございますが、「海上において生命の危険にさらされている者を発見したときは、その者に援助を与えること。」これはもう当然の原則でございます。ただ、条約であるからとおっしゃいましたのは、国際法ではないかということになりますと、若干細かい議論になりますが、確かに国家間の行動を律するものとしての国際法でございます。その国家間の国際法として当該国家にいかなる義務を課しているかというと、それぞれこの趣旨の国内法を制定して自国籍の船舶を規制しなさい、そして、もしそれに違反するものがあれば罰則でもって担保しなさいということを決めてあるものでございます。
  140. 井岡大治

    ○井岡委員 私は余り法律とか条約はわかりませんからなんですけれども、平たく読んだら、これによって国内法で規制をしろというんでなくて、公海ですから、これは公海でなければいいですよ、領域とかいうんであれば国内法によってこういうことをしなさいということになろうと思うんです。公海の条約ですよ。どこの国も国内法の及ばないところなんですよ。そうと違いますか。
  141. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 一般的に申しますと、確かに国内法はその国の領域にしか及ばないものでございます。公海条約の六条に書いてございますが、公海にある船舶というものは旗国の排他的管轄権に服する。と申しますことは、ある国は、自国籍の船舶であればその船が公海上にある場合にも管轄権がある、取り締まる権限があるということになっておるものでございますから、したがって公海上の自国の船舶についてその当該国が取り締まる、そのための規則を制定するということができるわけでございます。
  142. 井岡大治

    ○井岡委員 なるほど六条はそう書いてありますよ。けれども、十一条においてはこれはそういうものじゃない。もっと広義に解釈していいんじゃないですか。
  143. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 十二条の柱書きを読み上げてみますと、「いずれの国も、自国の旗を掲げて航行する船舶の船長に対し、船舶、乗組員又は旅客に重大な危険を及ぼさない限度において次の措置を執ることを要求するものとする。」ということになっております。この十二条の書き方から考えまして、これはいずれの国も船長に「次の措置を執ることを要求するものとする。」ということで、言わんとするところは、自国法によってそれを規制しなさいということを決めているものでございます。
  144. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、これはアメリカのことですからあなたにアメリカのことを聞いてみてもわかりませんけれども、日本の自衛艦がもしこのような事故を起こした場合、どうなりますか。
  145. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 今度のお尋ねは、日本の自衛艦がでございますか。
  146. 井岡大治

    ○井岡委員 公海でこういう事故を起こした場合はどうなりますか。
  147. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 それはこの公海条約第十二条に基づきまして、日本もこれに入っておりますから、日本は船員法によりまして、船員法の第十三条でございますか、「船長は、船舶が衝突したときは、互に人命及び船舶の救助に必要な手段を尽し、且つ船舶の名称、所有者、船籍港、発航港及び到達港を告げなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、この限りでない。」というようなことが規定してございまして、これは公海条約第十二条に書いてあることそのままと同趣旨を船員法によって決めてあるわけでございます。そして、若干の除外規定はございますけれども、自衛隊法によりましてこの船員法の第十三条は自衛官にも適用がある、こういうことになっております。
  148. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、アメリカも同じようなことが規定されている、こういうように理解していいですね。これは自国ということが書いてあるんですから、自分のところの国のなにに対してと言っているんですから。
  149. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 アメリカもこの公海条約の規定を受けまして、一般船舶については米国法典の第三十三編三百六十七条に日本の船員法と同趣旨の、すなわち公海条約第十二条と同趣旨の規定がございます。そして、アメリカの海軍規則にも同じく、これは海軍規則の第九百二十五条でございますが、これに公海条約第十二条一(c)の規定と同じようなことが規定されておりまして、「米海軍艦船の艦長は、自己の艦船及び乗組員に重大な危険を及ぼさない限度において、遭難船舶の乗組員及び旅客に援助を与え、また、可能なときは、これらの者に対し自己の艦船の識別を知らさなければならない。」こういうふうに規定されております。
  150. 井岡大治

    ○井岡委員 これで明らかになりましたように、アメリカとしては責任がある。ですから、大統領から、あるいはまた大使からもいろいろ言ってきておるわけですね。  そこで、こういう場合における何かかわった条約というものがとられないものだろうか。これでもうすべていい、こういうようにお考えですか。
  151. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 今回のような、あるいはそれに類似の事故が起こった場合に、果たして公海条約で十分であるかどうかという御質問の御趣旨であろうと思うのでございますが、確かに具体的な衝突の事故の処理に関して明確な処理方法を決めました国際法というのはございません。全くないわけではございませんが、ある条約につきましては若干のものがあることはありますが、一般的ではございません。したがって、公海条約のようなほとんど一般国際法に等しい条約をつくるべきでないかという御趣旨はよくわかるわけでございますけれども、現実の問題としてやはり軍艦というものが事故の一方の当事者として含まれているような場合に、果たして各国の賛同が得られるものであるかどうか、現実の問題としてはなかなかむずかしいのではないかと思われます。
  152. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、日本の憲法は平和憲法ですから、このときこそこの問題について世界に訴える絶好のチャンスではないか、こういうように思うのです。なるほど自国の軍隊ですから、軍艦ですから、なかなか各国は了承しないだろうと思います。思いますけれども、日本としてはこの種の問題については、われわれはただ単に二国間だけの問題でなしに、平和を愛好する国民として、政府としてやはり何らかの処置を考える必要があるんではないか、このことを明らかにした方がよいのではないか、この方が私は国益だと思うのです。いかがですか。
  153. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 その措置につきましては、アメリカの方もすでに遺憾の意を表しておりまして、マンスフィールド大使が二度にわたりまして総理並びに外務省に申し入れておるということもございますし、われわれといたしましても一日も早くこの原因を明確にすることと、こういうことが再びないように措置を講じること並びに被害を受けました方々に対する補償措置を速急に講じていきたいということで努力いたしておるところでございます。
  154. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、海上保安庁、お調べになったのは、先ほど配付されたこれだけですか。
  155. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海上保安庁といたしましては、乗組員の供述を中心に鋭意捜査いたしておりまして、いわゆる供述調書だけでも膨大な資料を持っております。
  156. 井岡大治

    ○井岡委員 終わりました際に、それは明らかにしますか。
  157. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私ども調べまして、私どもの知り得た範囲で最も客観性があるものが整理できました段階で御報告申し上げたい、かように考えております。
  158. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、気象庁お見えになっていますね。  アメリカの兵隊さんは、わずか五分間ぐらい上がった。先ほどの海上保安庁の説明では、沈むまでに十五分あったということなんです。そして、アメリカの兵隊さんの証言といいますか、発表は、天候が不順でわからなかった、こう言っているのですが、当時の状況はどうなんです。
  159. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 お答え申し上げます。  事故発生の現場、その時刻における正確な資料は気象庁は持ち合わせておりませんけれども、当日の九時と十二時の一般的な気象の資料から推定いたしますと、事故当時、九州西方海域には千八ミリバールの低気圧がありまして、毎時三十キロメートルの速さで東北東に進んでおりました。このため、事故現場の近海では、五ないし十メートルの南東から東南東の風が吹いておりまして、波の高さは三メートル程度と推定されます。それから、天気は雨で、霧の発生していたところもあるというふうに推定されます。また、視程、視界でございますけれども、視界は二ないし四キロメートルと推定されますが、霧のところでは一キロメートル未満のところもあったというふうに考えられます。  以上でございます。
  160. 井岡大治

    ○井岡委員 外務省、これから引き続いて交渉なさるわけですが、兵隊さんのおっしゃっておいでになることと気象庁の見解はかなり違うわけですね。海上保安庁はできるだけこれを短くしよう、近くしよう、こうお考えになったんでしょう。最前から私がどんなに言ったって、それは間違いだったということを言われない。こういうところを見たらそういうように思われてならない。二ないし四キロ、波が三メートル。あの辺で三メートルと言えば、そう大して大きな波じゃないです。  そう考えると、これらを踏まえて、外務省は、本当に将来船舶が安心して航行ができる、こういうことを踏まえて十分な措置をとってもらいたいと思うのですが、この点について大臣も何回か言っておいでになりますから、あえて多くを申し上げませんけれども、ぜひひとつお願いしたいと思うのです。
  161. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  御指摘の点はまことにごもっともでございまして、大臣及び総理も気にかけております多くの点の一つは、まさに先生御指摘のところかと存じまして、先週来いろいろなレベルで米側に強く申し入れしておりますが、ただいまの先生のお言葉も大臣に早速報告させていただきますし、今後とも十分にフォローアップをしていきたいと思っております。
  162. 井岡大治

    ○井岡委員 私は船舶関係を言うのを忘れましたから、お気づきであったらぜひひとつおっしゃっていただきたいと思うのですが、これによる損害はどのくらいになるのですか。わかりませんか。
  163. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海上保安庁としては、補償関係につきましては実は担当でございませんので、直接はわかっておりません。ただ、補償関係につきましては、これは当事者と米国側との直接の折衝になっておりますが、私どもとしては、その折衝をお手伝いできることがあればできるだけお手伝いしたい、かように考えております。
  164. 井岡大治

    ○井岡委員 これは結局は外務省がおやりになるんですね。
  165. 松田慶文

    ○松田説明員 御説明申し上げます。  公海上の事故につきましては、被害者の方々が米国政府と直接交渉されて、補償問題の解決にお臨みになることとなりますが、当然のことながら私どもも側面から御援助申し上げる所存であります。  米海軍は、横須賀の海軍司令部内に請求権処理委員会というものを今週設置いたしまして、海軍法務官を中心に被害者の方々とお会いしてお話を申し上げる段取りを整えました。そして、米国大使館もこれに協力いたしまして、被害者の方々が田川さんという海事専門の弁護士をお立てになって、すでに接触は昨日以降始まっております。ただ、そういう民事の補償請求でございまして、請求額を結局幾らになさるのかは、私どもにはまだ教えていただいておりません。  以上でございます。
  166. 井岡大治

    ○井岡委員 いずれにしても、大変不幸な事故であったと同時に、御家族の方に対しては本当に気の毒なことだと思うのです。というのは、公海上で、本当に横にもそれてないわけですね。いまのお話でそれてない。それを、いわゆる自国の演習か何かは知りませんけれども、少なくとも演習をする場合であれば、演習をする、こういう通知は、上の場合はあるわけですね。これは保安庁、あるのでしょう。
  167. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 演習につきましては、日本近海の場合には防衛施設庁が告示いたしておりました演習場において通常行われますし、その場合には通報があり、私どもはそれを公示しておるわけでございます。
  168. 井岡大治

    ○井岡委員 潜水艦ですから、どこへ行くかわからぬと言ってしまえばなんですけれども、少なくともやはり潜水艦にもそういうことを徹底せしめるようにしていただかないと、これは大変なことになると思うのです。今後、アメリカとの交渉をなさる際に、十分外務省の方は注意をしていただきたいと思うのです。  いずれにしても、私は今度の保安庁のとった措置、これは初めに戻りますけれども、非常に残念だったと思います。このことを申し上げて、大臣、今後こういうわけのわからぬような書類は公の場所に出さないようにひとつお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  169. 小此木彦三郎

    小此木委員長 西中清君。
  170. 西中清

    ○西中委員 今回の日昇丸事件につきまして十分な議論をしたいという気持ちを持っておりますが、いろいろの都合でわずか二十分だったと思いますが、非常に残念ですが、かいつまんだ質問になると思いますが、若干伺っておきたい。  それはまず第一番目に、四月十一日、マンスフィールド大使から伊東外務大臣にあててステートメントが出ておりますけれども、言葉の中には非常に御丁寧なお言葉が散見できるわけでございます。しかし、私としては余りいい感じのものでないという部分も、この中にはあるのです。  外務省はどういう評価をしておるか、まずお聞きしておきたいと思います。これは本来大臣に聞きたいのですけれども。
  171. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  十一日にマンスフィールド大使から伊東外務大臣あてに届きましたステートメントの内容につきましてどのような評価かというお尋ねだと存じますが、私どもは、そもそもこの事件がまことに遺憾であるという前提に立って物を申すわけでありますけれども、事件が発表された、それが夜の九時でありますけれども、次の日に早速、土曜日に、先方は休みでありますが、ともあれ駆けつけてきて、本国の指示に基づき遺憾の意を表明して、それを文書で差し出したということそれ自身は、とりあえずの外交代表の措置としては評価し得るものと考えております。
  172. 西中清

    ○西中委員 この中に、「行方不明の方々が安全に発見されることを希望し、祈っております。」こうある。これは日本側にしっかり調査して捜しなさいということでしょう。米側がこれについては何も書いていないわけです。  これについては、外務大臣から大使館に対して、これを持ってきた人に対して、何らか注文をつけましたか。
  173. 松田慶文

    ○松田説明員 米側は、米側艦船、航空機による日本側救助活動への協力の申し出をいたしました。
  174. 西中清

    ○西中委員 この文書は、そういうことは全然載っていない。  それではお伺いしますけれども、米軍はどういう調査を、行方不明者の捜索をしたか、明快に答えてください。
  175. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 米軍側からは、十一日の夜、午後だったと思いますが、十一日の午後に至って、捜査活動に対する援助の申し入れがあり、十二日、十三日の両日にわたって、米軍側は飛行機を出してわれわれの捜索に協力したという事実がございます。
  176. 西中清

    ○西中委員 これは先ほどの井岡先生の質問にも関連することですね。十二、十三日、事故が起こってから相当後になっていますね。アメリカの態度というのは何だということです。貴重な人命、二人の命というものは、行方不明という形になっておるわけですね。そうして、自分が当たったんだということを認めておるわけでしょう。そのアメリカが、何ら捜索作業らしい捜索作業をしていないというのはどういうことなのか。  外務省としてはどういう見解を持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  177. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  私どもは、何はともあれ、この衝突が起こった直後に当該潜水艦それ自身が、十分にして必要な人命救助活動に従事しなかった事実を最も遺憾なことだと考えております。なかんずく、その際には、航空機も関係していたのでありますけれども、低空による捜索活動は行ったようでありますけれども、果たしてそれが十全であったかどうか、問題と思っておりまして、このような幾つかの他の事項とともに、問題提起、質問という形でいま米側に提起していることは御承知のとおりだと存じますが、米側が公式に法的に有効な調査、捜査をただいまやっておりますので、この責任問題は、調査が判明し、われわれが通報を受けた段階で改めて提起をするということが私どもの現在の考えでございます。
  178. 西中清

    ○西中委員 私が言っているのは、そのときにその現場で救助するのはあたりまえということです。これは前提として、先ほどの議論からは、だれが考えたって言うまでもないこと、その後の態度もよくないということをいま主張しているのです。  保安庁の方に伺いますけれども、捜索を続けておられますね。それを捜索中に、米軍が捜索作業をしていることを確認したことがありますか。
  179. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 米側から申し入れがありましたので、私どもとしましては、こういった事件では、いわゆる捜索の担当責任者が海上保安庁でございますので、私どもとしては、米軍が出てくれるなら、こことここを捜索してほしいという水域を指定いたしまして、そこで米軍機が飛んだ、こういうことでございます。
  180. 西中清

    ○西中委員 何時から何時まで何が飛んだのですか。船舶は出ないのですか。
  181. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 四月十二日の十五時から十八時五十分の間及び四月十三日の十二時十八分から二十一時までの間、嘉手納基地から対潜哨戒機、多分P3だと思いますが、対潜哨戒機が飛んでおります。
  182. 西中清

    ○西中委員 大臣、こういう短い時間で飛行機がすっと通っただけなの。常識的に考えて、先ほどから公海条約からいろいろな議論がありました。だけれども、こういう誠意を持って日本側に対処するという米側の言明から言うならば、言われなくたって、依頼しなくたって、これには救助に出るのがあたりまえじゃありませんか。そう思いませんか。大臣の所感を伺いたいと思います。
  183. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは捜査活動にアメリカが全力を挙げてやるのは当然でございましょう。     〔委員長退席、楢橋委員長代理着席〕 けれども、わが方も捜査をしておるし、アメリカ側としても、できるだけの協力をしたいにしても、またそこでいろいろなトラブルを起こしてもいかぬという配慮も、私はなきにしもあらずと思うのです。それは日本に、近海に近い事情でございますだけに、領海に近いだけに、やはり連絡は密にとっておったことは先ほども海上保安庁が言っておるとおりでございますし、また現に二機の航空機、それから船にいたしまして二そう、捜査に協力しておるということもございましたしいたしますので、私は、十分なことをしておるとは申しません、申しませんが、しかしアメリカとしてもいろいろな連絡をしながら救助活動の手段をしておったのではないかと想像されます。
  184. 西中清

    ○西中委員 大臣、気を使って物をおっしゃるのも結構ですけれども、外務省、これは人道上からいっても許せない行為と私は思っているのです。総力を挙げて捜索に出てきたというのなら、われわれ日本国民としても、なるほど一生懸命やっているな、誠意が見られる、こうなるのですよ。私は、日米関係が悪化するということをおそれたそういう立場からも、米側のとっている姿勢というものは余りよくない、こう考えておりますので、外務大臣にお伝え願いたいと思います。伝えてくれますか。
  185. 松田慶文

    ○松田説明員 外務大臣に報告いたします。
  186. 西中清

    ○西中委員 それから、防衛庁が在日米軍に問い合わせをして回答を得たのは十日の十時と聞いておりますが、間違いございませんか。
  187. 萩次郎

    ○萩説明員 大体夜の十時過ぎでございます。
  188. 西中清

    ○西中委員 もう一遍確認しますが、防衛庁から米海軍に照会をした、その後、在日米海軍司令部から米原潜であることを回答してきたのは、十日の午後ですか、午前ですか。
  189. 萩次郎

    ○萩説明員 若干補足いたしますと、十日の朝、自衛艦が十三名を救助いたしまして、それからすぐ東京に連絡をしてきましたが、その連絡の中に、乗組員に、上空に飛行機が飛んでいるというような話もありまして、それから潜水艦らしいという話もあったものですから、まず自分のところの船、航空機を調べましたら、該当がないというものですから、十日の朝すぐに在日米海軍司令部にも問い合わせをいたしました。  それで最初、昼ごろ、昼前ですか、参りました報告によりますと、在日米海軍司令部としては、その地域を潜水艦が航行しているという報告は受け取っていない、なお調査をするという返事がございました。  一方、航空機につきましては、私どものレーダーサイトがありますので、そこでつかまえているかということを航空自衛隊に調べさせましたら、昼過ぎに、航空自衛隊は、前の日の事故当時米軍機が飛んでいたというのをキャッチしている、こういう返事がありましたものですから、今度また再び在日米軍司令部に、おまえのところの航空機であるかどうかということをまた再び連絡いたしました。  そうこうしておりますうちに夜になりまして、最終的に、その日昇丸に衝突したのはアメリカの潜水艦であるということ——失礼しました。その前に、上空を飛んでいた飛行機は米軍機であるという返事は夕方参りました。それから、アメリカの潜水艦であるという返事は夜の十時過ぎでございます。  そういう経緯でございます。
  190. 西中清

    ○西中委員 防衛庁の方に御説明をいただいたときには、十日の十時とおっしゃった。いま大分変わっちゃったんですがね。  こういった事故のケースの場合、交渉の窓口は外務省ですね。こういう事故が起こって米軍に問い合わせしているのは海上自衛隊。それから、きょうは来ていただいておりませんけれども、たとえば科学技術庁がこの事件を知ったのは十日の十八時四十分、夕刊とテレビで知った。それから、外務省へ問い合わせしている。要するに、一連の事故の中で、各省がキャッチしている時間というものは非常にばらばらである。  海上保安庁は、外務省に問い合わせをしておられるのは何日の何時ですか。
  191. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海上保安庁といたしましては、十日の午前十時前後に、米軍に、該当の潜水艦がないかということを問い合わせましたが、そのときには、何ら情報を得てないという話があり、十五時二十分、午後三時二十分に、救助された乗組員が、潜水艦らしいもの及び星のマークと模様入りのプロペラ双発機を見ているが、何か情報はないかという連絡をいたしましたところ、これについても、米国側からは、何もない、こういうお話でございました。  それから、十八時四十分に、潜水艦、航空機について情報はないか、本日昼過ぎ米大使館から、日昇丸と衝突した潜水艦は米海軍のものである可能性があるので目下調査中との通報があった、こういうような連絡が海上保安庁と外務省との間で交わされております。  それから、最終的には、十時五十分に、外務省から、衝突した潜水艦はジョージ・ワシントンであるという報告が参っております。
  192. 西中清

    ○西中委員 外務省は科学技術庁に連絡をされましたか。いつ、何時か。
  193. 松田慶文

    ○松田説明員 正確な時間は、私ただいま資料を持ち合わせておりませんので、後ほどお答えさせていただきます。
  194. 西中清

    ○西中委員 月曜日に安保特でお伺いしますから、また調べておいてください。  要するに、大臣、私これ一覧表をつくったんですよ。そうすると、報告を受けたりやりとりしている時間帯というものは非常にばらばらなんです。科学技術庁なんかはテレビで初めて知った、こういうことを言っているのですね。  ですから、この種の事件が起こった際には、だれが責任を持ってやるのかということについてもう少し詰めた体制をやはり日ごろから考えておかなければならないんじゃないかと思うのですね。海上自衛隊は救難とは関係ないんだ、たまたま漂流しているのをやっただけだ、相手の船はどこだと米軍に聞く。一方、外務省はわからない。海上自衛隊から外務省へは何時に入ったのか、それも、いろいろあるのですが、時間がありませんからやりませんけれども、要するに、こういう場合にルールがはっきりしておらぬわけですね。今後の問題としてもこれは明快にしておかなければならぬ問題だろうと思うのです。  私は時間的に多々疑問を持っておるということを申し伝えておきますが、大臣、そういったことについて総理を中心に問題提起をされるお気持ちはございませんか。
  195. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 確かに御指摘の点は、われわれ今後の連絡をどうするかということにつきまして問題であろうと思うておりますが、しかし一応所掌事務から見ました分担というものがございまして、それをより一層有機的に、どういうぐあいにして統括していくかということも問題だと思うのです。     〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕  今回の事件も、発生いたしましてから十何時間というものの空白が出たことは非常に残念でございましたが、しかし軍事大国の行動というものは、なかなか十分な対応策がわれわれの方からとりにくい。昨年の八月、ソビエトの原子力潜水艦が同じような公海上で故障を起こしましたことがございましたが、そのときでもソビエトの方からなかなか連絡をくれないのです。  今回のこの事故等をいろいろ顧みまして、私はそう思うのでございますが、相手が軍艦であるということになりますと、なかなかめんどうな手続が複雑に絡んでくるということでございますが、しかしながら、それに対応する場合にも政府としての何らかの集中的な処理をするような対策を考えるべきだと思うております。
  196. 西中清

    ○西中委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、一つだけ確認しておきたいと思います。  海上保安庁が船員から事情聴取をされましたね。その中に、潜水艦は浮上しておったという証言はあったでしょうか、なかったでしょうか。衝突する前です。
  197. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 衝突する前に浮上していたという話はございません。
  198. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  199. 小此木彦三郎

  200. 塩田晋

    塩田委員 四月の九日、甑島沖で米国の原子力潜水艦によりまして貨物船日昇丸が衝突、沈没した事件は、乗組員はもとより海上に働く労働者、船員にとってまさに衝撃的な出来事であり、怒りに燃えるものでございます。  国民はその真相を一刻も早く詳細に知りたいという気持ちであり、これを怒りのままに放置しておきますと、日米間における関係もきわめて微妙な方向に発展していくおそれなしといたしません。およそ海上航行船舶というものは特別な指示、情報を受けない限りは、所定の海図や水路を通報に基づきまして航行しておりまして、隠密のうちに動いておる潜水艦の動きというものを察知できるものではございません。したがって、一般航行船舶と潜水艦が遭遇したときには、航行船舶の動向を察知できる潜水艦が一般船舶を避けるのが当然でございます。しかし、今回のこの事件の場合は原子力潜水艦の不注意かつ怠慢によって引き起こされたものでありまして、その非は全面的に潜水艦の側にあります。このことの上に、なお沈没させて放置したままに当て逃げをして去ったということは人道上許すことができないものであり、また国際的な信義の上からも許されないものでございます。民間にありましても、こういった事件がありますれば危険を冒してまず救助というのが常識であります。国際慣例となっておるところでもあります。人命の尊重の観点からまことに遺憾な事件であったと思います。  そこで、国民が最も知りたいといま思っておりますのは、その原因の解明でございます。この原因の解明につきまして政府はどのような努力をし、現段階においてどこまで解明しておられるか、また四月の十六日、昨日、ロング海軍大将、マンスフィールド大使が鈴木総理に会って中間報告をされた、陳謝に見えたようでございますが、その状況はどうであるのか、続いて御説明願います。
  201. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 マンスフィールド大使とロング司令官が総理にお会いになったことは、私は報道の上で承知いたしておることでございましたが、漏れ承りますと、非常に深甚なる態度で遺憾の意を表しておられたと聞いております。  起こりました事故は非常に不幸なことでございまして、私たちもこういうことの再発をできるだけ努力して避けなければならぬと思うのでございますが、しかし、アメリカも一応その非を知りまして誠意を持って対応しておると私は受けとめております。  つきましては、これの原因探求でございますけれども、これにつきましては目下海上保安庁が救難されました方から個々に綿密な事情聴取をいたしております。この事情聴取いたしております内容はいまここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、それらを集約いたしまして、その中で事故発生の原因なりあるいは発生した直後の状況というものを統一したものに一応まとめていきたいと思うておりますし、それと同時に、アメリカはアメリカとしての調査もしておると思うのでございますが、それらの関係を十分に調査いたしまして対処策を考えたいと思うております。
  202. 塩田晋

    塩田委員 そのように徹底的に、早期に究明をやっていただきたいと思います。その際、一部に伝えられますように、米軍P3Cによるところの飛行計画、フライトプランが出されておったという報道もございます。その他米軍の機密上の問題で余り立ち入って真相が言えないかもわからぬというような見方もあるようでございますが、米軍の機密を理由に原因究明の内容の公開を拒むというような事態がないようにお願いしたいと思いますが、この点いかがですか。
  203. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 飛行計画は提出しております。しかし、これはあくまでも軍事機密でございますので公表いたすことはできませんが、さりとて、そういうことであるからといってこれを無視して原因究明の努力をわれわれは怠るものではございませんで、むしろその飛行計画が提出されておることを十分に分析もし、この報告をもとにいたしましてわれわれも一層の探求をいたさなければならぬということでございます。
  204. 塩田晋

    塩田委員 この問題については早期に原因を究明し、機密ということを理由にその詳細を発表しないということのないように、速やかに国民の納得が得られるまで徹底的に調べて公開をしていただきたい、このことを強く要請いたします。  そして次は、損害補償の問題でございますが、船主、荷主、そして乗組員に対しましてどのような損害補償を考えておられるか。
  205. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは先ほどの御質問にも外務省当局から答えておりますように、まず起こりました損害に対しましては、アメリカ軍に対しまして日本の当事者が損害請求をいたしますが、この手続も現在進めておるように聞いておりますし、また現に交渉がアメリカ側の担当官との間で始まっておるように私は聞いております。  また一方、行方不明の方の処理並びに救出されましたけれどもその後の慰謝体制等につきましては、これはそれぞれの会社が代表して交渉するものと思うておりまして、これらが円満に一刻も早く解決することを願っておりますし、われわれもその解決のために協力を惜しむものではございません。
  206. 塩田晋

    塩田委員 その各方面の関係者に対する補償につきまして十分にこれを見守り、また、これが完全に行われるように協力、指導していただきたいと思います。  次に、米軍機によってわが国の船舶また海上労働者が過去において海難の場合に救助された例が相当あろうかと思いますが、これは過去どのような状況で推移してきておるか、説明をしていただきたいと思います。
  207. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海難救助のため在日米軍に対する救助要請といたしましては、最近の例といたしましては、ことしの二月二十七日、台湾南端から南々西約八十海里付近で貨物船の南進丸が浸水して救助を求めた際、これは非常に遠くでございまして、私どもの船、飛行機というものが間に合いませんでしたので、米軍基地の嘉手納基地に救助を要請いたしまして、同基地からP3Cが出動した事例がございます。この結果は、同船乗組員全員は付近航行船舶に救助されております。また、昭和五十四年には日本漁船三隻の乗組員全員が米コーストガード機により救助されるというような例もございます。  このようなことで、最近の件数で申しますと、五十五年が三件、五十四年六件、五十三年五件、救助された人間は、五十四年は百十六名、五十三年一名、こういうような数字になっております。
  208. 塩田晋

    塩田委員 米軍は、いま御説明ありましたように、かなりの件数、要請に基づき、あるいはまた独自に海難救助に当たって、わが国の海上労働者の生命が救われておるということを報告いただいたわけでございますが、その五十三年前にもかなりあっただろうと思います。これをここで詳しく説明を求めるつもりはございませんが、いずれにいたしましても、従来はかなりの海難救助を行ってきた実績があるということだと思います。  その際には、どのような明定された、あるいはまた暗黙のルールといいますか、海難救助のルールがあるのか。海域なりあるいはどういった状況の場合にどうするとか、発見がどちらの場合にはお互い通報し合うとか、そういったルールあるいは基準といったものがあるのじゃないかと思いますが、それはどうなっておりますか。
  209. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 こういった救助活動については特別のルールというのはございません。私ども、米軍に出動を要請するときは、テレタイプで最寄りの基地へ連絡をするということでやっておりまして、もちろん要請がなくても、発見した場合にはそれぞれ救助をするということは人道的にやっている、こういうことでございます。
  210. 塩田晋

    塩田委員 別に海域とか、そういったものは取り決めといいますか、暗黙でもいいのですけれども、そういうものはないのですか。  それからなお、わが方から向こうへ連絡する場合はテレタイプという話ですが、向こうからはどういうふうに連絡をされてきていますか。出動してから言ってきておるのか、いまから出動しますよということで連絡があるのか。
  211. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 通常、電報でやっております。  それから、海域につきましては、確定した海域というものはございません。実はSAR条約と申しまして、海難の捜索救助に関する条約というのがございまして、この条約では海域を隣接国との間で協定するということになっておりますが、その条約はまだ私ども批准いたしておりませんです。したがって、確定した水域というものはございません。
  212. 塩田晋

    塩田委員 いまの国際条約はわが国はまだ批准していないということですが、これについての政府の方針をお伺いいたします。
  213. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもとしてもできるだけ早く批准いたしたいということは考えておりますが、わが国が持たされるであろうと予想される担任水域というようなものを予想いたしますと、わが庁としてはまだその能力にやや不足の面もございますので、隣接国との状況等々も見ながら検討してまいりたい、かように考えております。
  214. 塩田晋

    塩田委員 私は、この米軍側からする海難救助の実例があるということと、また、どのようなルールで行われているかということをお尋ねしておりますのは、いまの条約の問題を含めまして、今後の問題であるわけでございます。すなわち、海上労働者はわが国の船舶のみならず、他国の船舶にもたくさん乗って現に動いておるわけです。いつ海上でどのような事故になるかわからない。このような中におきまして、人命の安全というものを確保するという意味におきまして、その体制、そして特に米軍についての協力方を今後とも要請しなければならないということから申し上げておるわけでございます。  そこで、いまお聞きしましたのは米軍だけでございますが、他の国にはどういう状況になっておるか、お尋ねします。
  215. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 たとえばソビエトともいわゆる救難協定といったようなもの、これは正確にどう申すかわかりませんが、そういう取り決めはいたしておりまして、相互に援助するという形をとっております。その他の隣接諸国ともいろいろな取り決めは行っておりますが、確定したルールというようなものでなくて、随時援助を要請し、可能なものが援助に行く、かような体制になって  おります。
  216. 塩田晋

    塩田委員 わが国の近海には、原子力潜水艦を含めまして潜水艦だけで二百六十隻以上がうようよしている。米ソの艦艇を含めて大変な数に上ると言われております。海上労働者にとっては非常に危険な状態である。今回の十五名の遭難、そして二名の行方不明という非常に不幸な事態は、これで本当に最後になればいいのでございますが、今後とも事故の再発を防止するためにどのような対策を日本政府として具体的に考えておられるか、責任ある御答弁をお聞きします。
  217. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 こういう事故を未然に防ぎますのにはいろいろな対策がございましょうが、まず海上保安庁といたしましては、何としても、海上におきますところの情報は相当十分に把握はしておるのでございますが、仰せのように、これだけ潜水艦が多くうようよしてまいりますと、われわれといたしましては海中探査の機能をどうしても充実しなければならぬと思うております。これを今後海上保安庁の装備を整備する一つの重要な要素とわれわれ思うておりまして、今後これに努力いたしたいと思います。同時にまた、航空機によるところの海上並びに海中の探査ということも考えなければならぬと思うのでございますが、そういう点につきましても、これから、財政の苦しいときではございますけれども、この能力の増強に尽くしてまいりたいと思うております。
  218. 塩田晋

    塩田委員 海上保安庁の巡視船にも、また航空機にも海中探査機を、経費はかかりましょうが、重要なことでございますので、十分に配備をしていただきたいと思います。もちろん航空自衛隊、海上自衛隊を含めましてそういったことに万遺憾なきを期して、このような不幸な事故が再び発生することのないよう万全の措置を、各省庁連絡を密にいたしまして、とっていただきますことを強く要請いたしまして、質問を終わります。
  219. 小此木彦三郎

    小此木委員長 三浦久君。
  220. 三浦久

    ○三浦(久)委員 運輸大臣お尋ねいたしますが、このたびの事件は、考えれば考えるほど腹の立つ事件だと思うんですね。新聞の報道でもおわかりのように、日本の国民が大変な怒りに燃えておる。一日も早くその真相の解明をしてほしいということで大変大きな関心を持っていると思います。  先ほど海上保安庁長官は、同僚議員の質問に答えて、アメリカの調査結果を待ちたいというようなことを言っておられるのですが、真相の解明は何もアメリカの調査報告待ちではなくて、できる限り日本側でこれを積極的にやっていくという姿勢が大事だと私は思うのです。  そういう基本的な姿勢を運輸省大臣は貫かれるのかどうか、まず最初に聞いておきたいと思います。
  221. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 当然われわれといたしましては積極的に原因究明をいたしたいと思うております。
  222. 三浦久

    ○三浦(久)委員 きょうの時事通信のファクスによりますと、外務大臣が、きょうの午前の閣議が終了した後、塩川運輸大臣に対して、原潜の衝突事故について運輸省の調査が日本としてはファイナルなものになるのでしっかりやってもらいたい、アメリカ側の調査が出る、それと結局すり合わせなければならぬ、そういう必要性から特に要請したもので、外相は、日本側調査の方が米側よりも早く出ることになろう、こう言った、こういうんですね。  こういう申し入れがあり、そして運輸大臣は、こういう外務大臣の申し入れを了承されたのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  223. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 伊東外務大臣が私に言いましたのは、そのとおりの言葉ではございませんが、中身は大体そのようなことであります。  どういうことを言ったかといいましたら、不幸な事件が起こったので、できるだけ原因の早期探求をいたしたい、海上保安庁もこれに協力してくれということでございましたので、当然海上保安庁も協力にやぶさかではない、とりあえず海上警察に関することでもあるから、どうしてもあなたのところが中心になるのでひとつ積極的にやってくれ、いま積極的にやっているよ、こういうことでございました。
  224. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私どもも海上保安庁の係官に来てもらっていろいろと事情を聞いてみたのです。ところが、いま大臣がおっしゃったような積極的な姿勢はどうも見受けられないと私は感じたわけなんです。といいますのは、たとえば乗組員の供述でいろいろなことを言っております。たとえば明るくなってからでも、衝突が起きてから四、五時間たってからでも潜望鏡が二本見えたとか、飛行機が来たとか、ドドーンという音がしたとか、シュルシュルという音がしたとか、いろいろな供述があるわけです。そういう問題についてわれわれが聞きますと、いや、詳細は本庁は掌握してないんです、それは串木野の保安部が調べておりまして、そこにみんなあるんです、こういう言い方なんですね。そして、通常の事件ではそういうことをやっております、一々本庁には上げないんです、こう言っておる。  それは通常の事件は上げないでしょう。あたりまえのことです。しかし、これだけ国会でも大きな問題になり、われわれも国会でこの問題について質問をするという、これだけ大きな事件が起きているのに、海上保安庁が串木野保安部の調べた供述の詳細をつかんでいない、そんなことはあり得ないと私は思うんだ。私には、うそを言っているとしか思えない。私も裁判関係でこういうものは専門にいままで二十何年やってきているから、官庁の機構だってよくわかっていますよ。それを、串木野の保安部だけが詳細をつかんで、私のところはわかりません、そんなやり方は、事実を隠そう隠そうとしている態度じゃないかというふうに疑いを持ったわけです。  それからまた、乗組員の供述を公開せい、そう言ったら、何と言ったと思いますか。刑法の百二十九条、これは道路往来妨害罪とか航路往来妨害罪です、こういう疑いが乗組員にないということは一〇〇%否定はできない、こんな言い方をして、それで捜査資料だから出せないんです、こんな言い方をするんですね。これは乗組員に対しても非常に失礼だと私は思うのです。乗組員を刑法百二十九条違反の被疑者扱いにして調べているなんということは、私はとんでもない本末転倒だと思う。これはさっき井岡さんが質問された、そういうこととも相通じている問題じゃないかと私は思うのです。  それで、運輸省が、海上保安庁が、法律に基づいて海難の救助とか海難の調査をやるようになっていますね。それは一生懸命やることは当然だけれども、同時に、それを国会の場にも出して、そして各党の協力を得る、各機関の協力を得る。そうして、真相に一日も早く近づくということが必要なんであって、そういうものを隠しておくということは、真相の解明には役に立たないというふうに私は思っています。  それで、具体的にお尋ねをいたしますが、保安庁が自衛艦から第一報をもらったときの様子は、先ほど楢橋議員の質問で御答弁がありましたね。そのときに自衛隊は、その船の船籍について、船籍は愛媛県というふうに述べておるのですか。
  225. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 そのとおりでございます。
  226. 三浦久

    ○三浦(久)委員 昨日、参議院の運輸委員会でわが党の小笠原議員が質問をいたしておりますが、答弁で若干保留になっている部分があるのですね。それをちょっとまたきょう追加して聞きますけれども、たとえば船員が漂流中にシュルシュルという音がしたとか、ドーンという大きな音がしたとかということは、乗組員の証言として保安庁は聞いておられるようですね。それが夕方なのか午後なのか、よくわからないということなんですが、お調べになった結果どうだったんでしょうか。
  227. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 調書につきましては非常に膨大なものでございまして、いろいろと、夕方方だと言っておる者もおれば午後だと言っておる者もおり、私ども目下それを整理しているところでございます。そのときに、小笠原議員の御質問には、夕方だと言っている者は何人いるんだ、昼だと言っている者は何人いるんだ、そういうような形で教えてほしい、このような御質問がございましたのですが、私どもとしては、この問題に限らず、全般的に矛盾点等も整理しまして、最も真相に近いものを結論といたしたいということでいま供述調書の整理を行っているところでございます。
  228. 三浦久

    ○三浦(久)委員 十三名の人々の供述ですから、若干の食い違いとかいろいろなものがあると思います。あると思いますけれども、しかし、そんなに大きく食い違うということはないと思うのですよね。ですから、夕方だと言った人がおるんならそれでいいじゃないですか。朝だと言った人がおればそれでもいいじゃないですか。それをそのまま私らに出してほしいのですよ。そこで何か調整して出してくる必要はないと私は思うのですよ。  それともう一つ、潜望鏡ですね、これがしょっちゅう見えていたと、こういうのでしょう。そういう証言があるわけです。きのうは、やはり見た時期とか、一本なのか二本なのかというようなことについて供述がいろいろまちまちだ、ですから、また調べるというのですが、これは何も一本に統一する必要はないのですよ。無理やり一本に統一するのは裁判所の判決を書くときぐらいのものであって、われわれの場合にはそういう生の事実をそのまま出してもらえればいいと思うのですけれどもね。それについて今度はみんなで、それはどういう意味を持つのかということを考えていったらいいと思うのです。  その潜望鏡についてのお調べはどうなりましたですか。
  229. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 この問題につきましてもいま整理しておりますが、どういう証言があったかということについてはできるだけ早い機会に御報告申し上げたいと思っております。
  230. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それでは、この救命弾ですね、救命弾が二隻のゴムボートに四発積んであったわけですね。一番最初にこの救命弾はどういう状況のときに使われたのか、御報告していただけませんか。
  231. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 一発目の照明弾につきましては、米軍機らしいものが見えたということで、その米軍機に対して、米軍機から視認してもらえるようにというつもりで撃った模様でございます。ただ、それがうまく垂直に上がらなかった、横へ行ってしまった、このような証言を得ております。
  232. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それから、アメリカの原潜の行動ですが、先ほどからも指摘されておりますように、救助をしなかった、これはけしからぬ話ですね。しかし、彼らがいろいろな事情で救助できなかったとしても、救助を人に依頼するということはできるはずなんですね。たとえばXXXという信号、これは自分自身は遭難しているんじゃない、しかし人命が危ないというような場合に、自分自身が救助ができないというような場合には他に対して応援を要請するということができるわけでしょう。それは当然できますね。その信号がXXXという信号だと私聞いておるのですがね。そういう信号をアメリカの原潜がやったのかどうか。やって、そしてアメリカのどこかがそれを握りつぶしてしまったというのか、その辺はどういうふうに御判断になっていらっしゃるのですか。
  233. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 アメリカがもし信号を出したとすれば、当然私どもの通信所に把握されるわけでございますので、そういう事実はないと思うのでございます。
  234. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、本当にこれはけしからぬ話だと思うのですね。自分自身は救助はしない、人に対して救助を要請するということもしない。要するに、もう見殺しにしてしまおうという、そういう気持ちが何となくありありとわかるような気が私はするのですが、そういう判断はもっと資料が出てからやるとして、もう一つお尋ねしたいのは、自衛艦の中で乗組員がいろいろ事情聴取されていますね。どういうことを自衛隊に乗組員が言ったかということは、保安庁としては聞いているはずであります。  それで、お尋ねしますが、黒沢二等機関士、この人は、救助された後、報道によりますとこう書いてありますね。「ふろに入り、コーヒーを飲み落ちついたときだった。自衛隊の幹部が、「この付近になにかの捜査があるというので出てきた。〇×区域から捜査することになっている。捜査をしていたら見つけた」」こういうふうに自衛隊の幹部から言われた、こういうんですね。そのことは保安庁の取り調べで述べてある、こう言っております。  こういう供述を乗組員がしたことがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  235. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 黒沢何がしではございませんが、そういう供述をした者はおります。
  236. 三浦久

    ○三浦(久)委員 だれですか。
  237. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 名前はちょっといま持っておりませんが、二等航海士でございます。
  238. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それで、その自衛艦の中でいろいろ乗組員が証言したときに、テープレコーダーでその供述がずっと記録されていたということなんですが、そういうことは御存じでしょうか。
  239. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 テープレコーダーをとったということは事実のようでございます。
  240. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、そのテープレコーダーは、自衛隊から保安庁は入手しておりますか。
  241. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 それは入手いたしておりません。(三浦(久)委員「していないですか」と呼ぶ)しておりません。
  242. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それはおかしいな。たとえば海上保安庁法二条、七条、これは海難救助とか、それからまた海難の調査とかいうものはおたくの仕事になっているわけだね。そうであれば、乗組員を引き継いだというだけじゃなくて、海難に関するそういうものもやはり手に入れるという努力はしなければいけないんじゃないですか。そうしなければ真相というものが本当に十分に解明されないんじゃないかと私は思うのですが、どうですか、自衛隊からそのテープレコーダーを入手する気持ちありますか。
  243. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもとしては、自衛隊の艦長から直接事情聴取をしておりまして、テープレコーダーは取り寄せてないということでございますが、聞かしてもらいたいということを申し入れれば聞かしてもらえるのではないかと思っております。ただ、いまのところ、その必要性を必ずしも認めていないということでございます。
  244. 三浦久

    ○三浦(久)委員 聞かないで必要性がないなんて、聞いてみなければわからぬのだから、あなた、そんなことを言ってはいかぬ。それは余りにも予断と偏見を持った答弁だと私は言わざるを得ないのですよ。  それからもう一つ、船底に連れていかれて事情聴取された乗組員がいるそうです。自衛艦の船底へです。そのときに海図が広げてあった。そして、ちょうどこの現場付近のところにバツ印がしてあったというのですね。そういう供述は聞いておりますか。
  245. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 そのような供述があったということは聞いておりますが、自衛隊に問い合わしたところ、そのような事実はないという回答でございます。
  246. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私先ほど、アメリカの報告待ちになってはいかぬのだということを申し述べましたけれども、あなた方はこういう海難の調査については専門家ですよね。そうすると、いまの時点ではこういう項目とこういう項目が調査項目として足りない、こういう問題について調べればうんと真相に近づけるというものがあるはずです。それは主にアメリカ側の事情にかかっている問題だと思いますけれども、そういう調査項目というものをアメリカに要求するというか、依頼するというか、仮に悪い答えが出てこようと何しようと、一応外交ルートを通じてそういう申し入れをすべきだと私は思いますけれども、そういうことはしておられますか。
  247. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもとしては、外務省を通じて、できるだけ具体的に米側の調査をもらいたいということで申し入れております。
  248. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いや、それは調査項目を外務省にゆだねるのじゃなくて、保安庁は専門家なんだから、その専門的知識に基づいてこういう項目について調査をしてくださいということを申し入れてありますかと聞いているのです。
  249. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 項目は挙げておりません。項目は挙げておりませんが、海難事故に関する調査項目というものはもう常識で大体わかっておるわけでございますので、そういったものが出てくることを期待しておりますけれども、もし足りないことがあれば重ねて問い合わせる、かようなことで考えております。
  250. 三浦久

    ○三浦(久)委員 一日も早く真相を解明しようというんです。それをアメリカ任せ、外務省任せじゃだめだというんです、あなたたちがやるんだから。だから、ちゃんと最初に必要なものは全部項目を出して調べたらいいじゃないですか。足りなければまた聞きますでは一日も早くという態度にはならないのです。そして、そういうことは通常の場合やっておられるのです。  たとえば、五十四年九月十八日に金華山沖で日本の第五十三大日丸、十四トンが、朝鮮民主主義人民共和国の船とぶつかっているのです。そうしたら、海上保安庁は、これは公海上ですけれども、直ちに朝鮮民主主義人民共和国の船、船長に対して、ちゃんと自分たちの事情聴取に応じてほしいという申し込みをしているのです。  時間がないようで委員長がいらいらしているようですからすぐ次に移りますが、五十五年六月二日にも福島の沖でソ連の漁船と日本のタンカーがぶつかっている。このときにもソ連の船長に対して、あなたたちは事情聴取に応じてくださいと、これは断られていますけれども、一応はそういう態度をとっている。  そうであれば今度も、アメリカに対しても、断られるかどうかわからないけれども、やはり同じような調査要求はすべきだと思うのです。そうでなければ、真相に近づく努力をしているというふうには言えないと私は思います。  それともう一つお尋ねしますが、海上保安庁はいわゆる海難審判法二十八条に基づく報告をすぐ海難審判庁にいたしましたか。
  251. 小此木彦三郎

    小此木委員長 簡潔に願います。
  252. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 十一日の朝八時ごろ、串木野海上保安部から長崎地方海難審判庁の調査課長の宅へ通報しておりまして、その後八時三十分ごろ、同審判庁の理事官から串木野海上保安部へ事情の照会がありまして、そのときにも説明をしております。
  253. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これはあなたたちの方から積極的にやったのじゃないのでしょう。十一日に、逆に海難審判庁の本庁及び長崎の理事官が、海上保安庁の串木野保安部に電話で問い合わせているのでしょう。それ以前には、あなたたちは二十八条に基づく報告はしてないのですよ。二十八条に何と書いてあるかと言いますと、「海上保安官、管海官庁、警察官及び市町村長は、第二条各号の一に該当する事実」これは海難事故ですね、「該当する事実があったことを認知したときは、直ちに、」直ちにですよ、「直ちに、これをその事務所の所在地を管轄する地方海難審判庁の所在地に駐在する理事官に報告しなければならない。」こうなっているのです。  そうすると、あなたたちは問い合わせが来るまでこういういわゆる法律上の義務に基づく報告をしてないという、ここにも、この事件の取り組みに対する海上保安庁の姿勢を疑わせるものがあると思う。アメリカに遠慮することはないじゃないですか。堂々と、日本の多くの人々の英知を集めて真相の解明に努力をしなければならぬと私は思います。  時間がありませんので、この程度でやめておきます。
  254. 小此木彦三郎

    小此木委員長 中馬弘毅君。
  255. 中馬弘毅

    ○中馬委員 日米関係の緊密さを損なわないためにも、余りアメリカに遠慮する必要はないと思うのですね。だから、軍事機密まで立ち入って調べる必要はないですけれども、しかし海難事故としての徹底した原因の究明はすべきだと思っております。  そこで、お聞きいたしますが、まず最初に自衛艦が見つけたことになっております。そうしますと、この船は神戸から上海に向けて航行中の船ですけれども、この日昇丸は通常の航路からかなり離れておったのですか。ここは普通の、そういう神戸から上海に向かうときの航行の道であるのかどうか。
  256. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 通常よく通られる航路だと思います。
  257. 中馬弘毅

    ○中馬委員 そうしますと、二十数時間ですか、ほぼ一昼夜だれも見つけなかったのかどうか。というのは、それまでの間にこの付近を航行した民間の船舶があるのかないのかをもちろん海上保安庁はつかんでおられると思いますから、お答え願います。
  258. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 ゴムボートでございますので、だれも見つけていないということでございます。
  259. 中馬弘毅

    ○中馬委員 見つけたか見つけないかと言っているのではなくて、付近を航行した船があるかないかということです。
  260. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 付近を航行した船舶の有無についてはよくわかっておりません。
  261. 中馬弘毅

    ○中馬委員 海上保安庁は、普通の航行船舶のあれをつかんでないわけですか。
  262. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもは、海上交通の情報システムというものについて実はかなりな欠陥を感じておるわけでございまして、日本船舶がいまこの時点において、どこをどう通っているかということについての詳しい情報を必ずしも的確に把握できないという体制でございます。
  263. 中馬弘毅

    ○中馬委員 私が申しておりますのは、そのちょうどゴムボートが漂流しているところを、ぴったりその位置を通ったかどうかと言っているのではなくて、ここの航行路が通常の航行路だということでございますから、そうすれば、この二十四時間の間に上海からあるいは神戸から、そこを通った船があるはずだ、そういう通常の常識で考えて言っているわけですが、どうでございますか。
  264. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 当該航路は通常の航路でございますけれども、上海行きという船はそう多くないわけでございまして、その他たとえばペルシャ湾向けのタンカールートのようにしょっちゅう通っているというわけではないわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、この時点でこの航路をどれくらいの船舶が通っているという情報は、実は余り的確に把握できないというのが現在の体制でございます。
  265. 中馬弘毅

    ○中馬委員 事後では調査できるわけですね。
  266. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 各会社に問い合わせて、この時点においてここを通った船があるかというのを全社に問い合わせるということを綿密にやれば、あるいは可能かとも思いますけれども、なかなかむずかしいというのが現状でございます。
  267. 中馬弘毅

    ○中馬委員 自衛艦が、ここで漂流中のボートをたまたま最初に発見したということについてどうお考えになっていますか。
  268. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 これは全くの偶然と申しましたら語弊があるかもしれませんけれども、非常に幸いであった、かように考えております。
  269. 中馬弘毅

    ○中馬委員 これはまた別の委員会でお聞きいたしますが、その当たった場所とか、あるいは右側から当たったのか左側から当たったのか、こういうことについても証言をとっておられると思いますけれども、ここでは、どんと上に持ち上がったということだけでございますけれども、そのところはいかがでございましょう。
  270. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 救助された乗組員から聴取したところによりますと、左舷の機関室付近にどんという衝撃音を感じた。そして、船体が浮き上がるような感じを受けた後、機関室の船底から海水が噴き上げております。左舷の機関室付近というふうに聞いております。
  271. 中馬弘毅

    ○中馬委員 沈没した場所の海の深さはどのぐらいでございますか。
  272. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 約七百メートルでございます。
  273. 中馬弘毅

    ○中馬委員 ということは、これはいまの技術では引き揚げ不可能な場所でございますね。
  274. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 現在の通常のサルベージの技術ではむずかしいかと思います。
  275. 中馬弘毅

    ○中馬委員 このサルベージをしてみればそれこそわかるわけでございますけれども、いずれにしましても、日本側として事故の究明というのははっきりさせておく必要があると思うのです。ただアメリカの報告が来て、ああそうでしたかということであるならば、やはりこれは今後のことに対しましても日本国民の間にも非常に不信感を持たれようかと思いますので、このサルベージが不可能ということであるならば、それならそれでまたいろいろな方法があろうかと思いますけれども、この事故の究明ということを徹底的にやるべきだと思っております。  ところで、外務省は。先ほど補償の問題が出ておりましたけれども、いままでこういう事例がございますか。といいますと、外国の艦船と日本の商船がぶち当たったといったケース。
  276. 松田慶文

    ○松田説明員 外国の軍艦一般については私存じませんが、米国の艦船との関係におきましては、領海内の事故の場合には地位協定によって処理されます。今度のような公海上の措置は、私どもが近年の事例として承知しておりますのは四件ほどございます。
  277. 中馬弘毅

    ○中馬委員 その四件につきまして、補償の関係なんですけれども、全く当事者と外国政府との間だけで物事が進められているのですか。
  278. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  日本政府の立場は、このような問題処理に側面から御援助申し上げるということでございまして、外務省と防衛施設庁がときどきと御要請に応じてお助けするわけでございますが、究極的な話し合い、示談を含めての解決は当事者にお願いしております。
  279. 中馬弘毅

    ○中馬委員 その船の被害だけであればそういうことも可能でしょうけれども、たとえば先ほど言いましたようなサルベージができないとするならば日本の潜水艇で調べるだけ調べるとか、あるいは日本の潜水艦で調べるといったことも全く不可能じゃないと思うのですね。たとえば、そういうことをしようとした場合に、その費用は請求することができますか。
  280. 松田慶文

    ○松田説明員 衝突事故の原因者つまり加害状況が判明せず、双方、すなわち被害者たる日本商船と米軍艦船側に争いが生じて、その原因を究明する手段として、たとえば双方が第三者に確認を求めるとか等々の事例は、仮にありますれば、そのときの状況によって話し合いがあろうかと思いますが、今回の事故のように、米海軍は、みずからの潜水艦が通常の活動中に日本商船に衝突したということを言っておりますので、しかも潜水艦の損傷部分が艦橋でありますので、これはどう見ても余り、今後の問題でございますけれども、いま先生御懸念のような形での争いが、つまりサルベージして揚げなければ一体どちらが悪いのだとか、どういう状況だということが本件解決の非常な障害になるということは多分ないんではないかと存じますが、いずれにしても、米海軍は最大の努力をもって早期原因究明を約束しておりますので、その報告を受けた後に判断させていただきたいと思っております。
  281. 中馬弘毅

    ○中馬委員 これはただ報告を受けて、それでわかりましたということなのかどうか。これはたとえばこの間の安全保障委員会でも御質問しましたけれども、要するに、艦艇すら見せてもらえる可能性がいまのところないわけでございましょう。どこにあるかわからないし、それを見せる可能性はないということでもございましたのですけれども、それであると、向こうの一方的な報告をそのままうのみにせざるを得ないような状況になるわけで、場合によっては沈んだ船を調べなければそれが事実かどうかわからない。あるいはまだもう一歩下がって、ジョージ・ワシントンを、中の原子炉まで見せろとは言わないにしても、どの辺がどうへっこんでいるか、そういったことを日本の保安庁ですか、どこか知りませんが、その調査官に立ち入らせて見せるというのであればまだ納得できるかと思うのですが、そういうところはいかがお考えでございますか。
  282. 松田慶文

    ○松田説明員 現在の段階では、申しわけございません、何とも申し上げようがございません。と申しますのは、米側からの調査報告ないしは状況報告の結果、全面的に米側の潜水艦航行上のミスであって、一〇〇%責任があるということになれば、あるいはそれが一つの解決といいますか、原因を確認する方法となりましょうし、理論的には、先生おっしゃるように、はっきりしない部分が出てくる、こういうこともあり得るかとも思いますが、いずれにしても、それは米側の調査を見た上で判断させていただくことになろうかと存じます。
  283. 中馬弘毅

    ○中馬委員 きょうは十分しか時間が与えられておりませんので、また別の機会に別の委員会で細かいことは聞かしていただくことといたしまして、いずれにいたしましても、この日米関係の将来を危惧するわけでございますから、むしろそれは政府やあるいは行政も含めて、ただアメリカのいまのいろんな軍事的な立場をかばうだけじゃなくて、むしろ国民が不安に思っていること以上に徹底的に政府の方がやっているということであれば、日本の国民の方は納得するかと思うのですね。ところが、何か国民が疑義に思っていること以下のことしか出てこなかった場合には、非常にこれが亀裂を生じてくるかと思いますので、そしてまた、それは今後の日米関係でこういうことが起こり得るまたもう一つの懸念をつくってしまうことになりますので、徹底的な究明をお願いして、質問を終わらせていただきます。
  284. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会      ————◇—————