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1981-04-03 第94回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月三日(金曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 関谷 勝嗣君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君    木部 佳昭君       佐藤 文生君    近岡理一郎君       永田 亮一君    浜野  剛君       林  大幹君    古屋  亨君       三塚  博君    箕輪  登君       水野  清君    山村新治郎君       井岡 大治君    伊賀 定盛君       小林 恒人君    大橋 敏雄君       小渕 正義君    三浦  久君       四ツ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君   出席政府委員         運輸大臣官房長 角田 達郎君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君         海上保安庁次長 大塚 正名君   委員外出席者         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       金子 冬吉君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   浅井 美幸君     大橋 敏雄君 同日  辞任         補欠選任   大橋 敏雄君     浅井 美幸君     ————————————— 四月一日  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第二四三七号)  同外一件(愛野興一郎紹介)(第二四三八  号)  同(小沢一郎紹介)(第二四三九号)  重度障害者及び介護者国鉄特急料金割り引き  に関する請願小沢一郎紹介)(第二四八五  号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二四八六号)  同(船田元紹介)(第二四八七号)  気象業務整備拡充に関する請願新盛辰雄君  紹介)(第二四八八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六三号)      ————◇—————
  2. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊賀定盛君。
  3. 伊賀定盛

    伊賀委員 ただいま議題となりました港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案が、去る三月十三日閣議了解となりましたが、その基本的な考え方を簡潔にお伺いいたしたいと思います。
  4. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  今回御提案申し上げておりますこの改正の基本的な考え方は、現在の緊急措置法に基づきまして実施いたしております港湾整備五カ年計画が終了いたしましたことに伴いまして、昭和五十六年度より新たに港湾計画を策定する必要がございますので、その港湾計画の開始の年度を、五十一年度という現行法の規定を五十六年度よりというふうに改正をするのが基本的な趣旨でございます。
  5. 伊賀定盛

    伊賀委員 昭和三十六年に港湾整備緊急措置法が制定されまして以来、第五次まで年次計画を重ねてまいったわけであります。今回第六次ということになるわけでありますが、従来の第五次年次計画と今次第六次年次計画との考え方の差というようなものは一体どこにあるのか、お伺いをしたいと思います。  この法律が三十六年でありますからちょうど満二十年を迎えるわけでありまして、いわば人間でたとえますと成年に達したわけでありまして元服であります。したがって、一次から第五次まではいわば幼年期少年期とでもいいましょうか、しかし、いまや満二十年の元服を迎えたわけでありますから一人前になるわけでありまして、当然、一次から五次までの年次計画と今次第六次計画とには、本質的なといいましょうか、何らかの従来の年次計画とは異なったものがなければならないと思います。ましてこの二十年の間は、わが国内外情勢、たとえば世界的に言いましても米ソ二極構造から三極構造もしくは四極構造とか、ベトナム戦争によるアメリカドルたれ流しからアメリカドル体制の崩壊、ないしは国内的に見ましてもいわゆる所得倍増論から列島改造論の失敗、オイルショック、七十兆円に上る赤字国債財政危機等々、この法律も二十年の星霜の中にはずいぶんと荒波をくぐり抜けてきたわけでありますから、当然それらの反省の上に立った第六次計画というものは何らかの意味で従来の第五次計画とは異なったものがなければならないと思うのでありますが、それとも従来の延長線上と考えていいのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  6. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、すでに五回の五カ年計画がつくられまして、今回六回目ということでございます。その基本的に流れております姿勢は、港湾整備を緊急かつ計画的に進めるという姿勢でございまして、この姿勢は今回の場合も全然変わっておりませんが、計画を作成いたします背景としての経済的な情勢あるいは社会的な情勢変化がございましたので、その時々の情勢に適切に対応するということで現在まで五回の五カ年計画をつくっております。五カ年計画でありますけれども、そのときの情勢によって三年で改定をした場合もございますし、全期間を終了したものもございます。それぞれにそういった変わりがございますのも、先生指摘のようないろいろな経済情勢等に適応したものでございます。  今次の計画特徴と申しますか、経済の発展がいわゆる高度成長から安定成長に移った問題等につきましては、われわれの考え方ではすでにこの前の五次の五カ年計画の時点でほとんどその多くの兆候があらわれておったように思っております。したがいまして、今回の計画を策定いたします際の考え方としては五次の計画とは余り変わらないような考え方をいたしておりますが、内容的に五次よりもこの辺に重点を置いたという点を申し上げますと、エネルギー情勢変化ということがございます。最近におきますエネルギー情勢が非常に厳しくなってまいりましたことにかんがみまして、六次の計画ではエネルギー情勢に対応するという視点を第五次の場合に比べて特に強く入れておるということでございます。
  7. 伊賀定盛

    伊賀委員 この港湾法制定歴史といいましょうか、そういうものをたどってみますと、昭和二十五年までは港湾法はなかったわけです。同じような性格を持ちます漁港法もなかったわけであります。要するに港があった、そこに漁船が魚を積んで出入りをした、貨物船が材木を積んで出入りをした、それが昭和二十五年まででありました。二十五年に同じ性格を持つ漁港法港湾法が同時に制定された。二十六年には漁港年次計画に入った、そして港湾の方は三十六年から年次計画に入った、すでに十年のおくれがあるわけであります。したがって、この法律名前港湾整備緊急措置法、私は何もあわてて緊急という名前をつける必要はなかったと思いますが、これらの港湾法制定歴史を考えますとむべなるかなという感じを深くするわけであります。  港湾整備事業分進捗率を見ますと、第一次五カ年計画計画の七九%、第二次が四九%、第三次が四九%、第四次が八三%、第五次が八三・五%ということになっておりまして、私がこうお尋ねしますと、多分、計画を強力に推進してまいりますけれども、それは年次予算にもよりますので弾力的に運用というお答えがあろうかと思います。そうしますと、五カ年計画とか三カ年計画とか言いますけれども単年度予算で縛られるということで、いま申し上げましたように、一次から五次までそれぞれ計画どおりにはいっておりません。そうすると、第六次計画と言いますが、その年次計画という表現年次計画と言う必要が一体どこにあるのか。計画どおりいってないのですから要らぬのと違うか。そうすると、今回も第六次計画と言いますが、第五次、第六次年次計画と言う必要が一体どこにあるのか。むしろ計画というよりもこれは努力目標でございます、したがって計画どおりいくこともございますし、いかぬこともございます、こう言った方が適切ではないのかという感じがしますが、いかがでしょう。
  8. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘いただきましたように、第一次から第五次まで一〇〇%というのはございません。しかし、そのうち途中で終わったものがかなりございまして、こういうものが四九%でございますとか、四十数%というような非常に低い数字になっておりますが、これは当然だと思うわけでございまして、全部の期間を終わりましたもので八十数%という点が御指摘問題点かと存ずるわけでございます。  そこで、去年で終わりました第五次の計画でございますが、これは計画の後半におきまして財政再建という大変大事な問題が起こってまいりまして、その結果、先生先ほども御指摘いただきましたように、弾力的に対応した結果、全体の進捗率は九〇%未満で終わった、こういうことでございます。しかしながら、この計画そのものは一〇〇%達成をするというのがわれわれの目標でございまして、今後この法律を可決いただきました暁には六次の計画をつくるわけでございますが、この六次の計画計画どおり着実に実行を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 伊賀定盛

    伊賀委員 しかし、いま私が申し上げましたように、一次から五次まで約二十年の間、少なくとも計画どおりにいっていないわけであります。そうしますと、第六次についても同じような結果になるのではないかという感じがして仕方がありません。しかも、御承知のとおり財政不如意国内景気の動向等々から勘案いたしまして、第六次計画について、大臣から第六次計画の見通しをお答えいただきたい。
  10. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 各五カ年計画を立てておりますのは、御承知のように、港湾というような大きいプロジェクトになってまいりますと、どうしても単年度で消化し切れないで工事が継続して一つの港を完成していかなければならない、こういう長い計画が必要なものでございますだけに、五カ年計画というような長期計画をもって全国港湾整備していく、こういう手法をとらざるを得ないと思うておりました。今次まで相当努力してまいりましたが、それぞれの地元の事情等もあって若干おくれ、それが進捗率の、いわば完成を少しおくらしてきておるという結果になっております。つきましては、この第六次におきましてはわれわれは、先ほど港湾局長言っておりますように、エネルギー対策エネルギー基地としての建設もございますし、そういうことと同時に、あわせて地場産業の育成のためにやはり港湾整備が必要なところが相当ございますし、また新しく産業基地としての港湾整備も急がなければならぬところもございますし、また環境保全をしなければならぬところもございますし、そういうことを重点にいたしまして第六次港湾計画を作成しておるのでございます。  確かに、仰せのように、財政が苦しいときではございますけれども、われわれ鋭意努力して、やはりこれら産業基盤と同時に生活向上一つの大きい拠点となるものでございまして、特に物資の海陸にわたる結節点としての港の役割りというものはますます重要になってまいることでございますから、非常な決意を持ちましてこの第六次達成努力いたしたい。財政は確かに苦しい。がしかし、われわれは決めてある目標財政困難を克服してでもやっていく決意でございますので、その点は御理解いただきたいと思うのであります。
  11. 伊賀定盛

    伊賀委員 あわせまして、これも大臣伺いたいと思いますが、最近第二臨調ということがやかましく言われておりまして、鈴木総理は何か政治生命をかけて一律に補助金をカットして第二臨調の柱にするんだということが新聞等を通していろいろ言われております。当然大臣は、これは閣僚でありますから閣議等でもそうした話が出ておると思うのであります。今度の第六次港湾整備計画というのも大体五〇%が国の補助金であります。あと三〇ないし四〇%が、港湾管理者である地方自治体の同様に補助金であります。ほとんどがこれは補助金であります。したがって、五十六年度はその影響はないかもしれませんが、五十七年度以降、第二臨調との関連で当然港湾整備計画というものは大幅な修正を迫られるのではないかという心配がありますが、大臣、この点いかがでしょう。
  12. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 第二臨調でどのような結論が出るかわかりませんけれども、しかし政府が考えております行政改革の一環としての補助金削減という問題は、必要な金まで削るという、そういう趣旨ではなくして、不急不要もしくは他に転換し得られるものは節約して補助金削減を図りたい、こういう趣旨と、それから補助金政策目標が失われたものあるいはその効果の薄いものを整理していくことによって財政再建への寄与にいたしたい、こういうことがいわば補助金対策になっておるわけでございます。     〔委員長退席楢橋委員長代理着席〕  この港湾整備という重要な公共事業等に対しましては一律的な考えでもって臨むべきではないと思うております。でございますから、われわれも公共事業を執行していきますについてその資金が非常に効率的に扱われていかなければならぬ、そのことがすなわち行政改革補助金削減という趣旨に沿っていくことだと私は思う写ります。でございますから、これからこの港湾整備を実施していくにつきまして、われわれも従来以上に節約するところは節約するなり、あるいはまた技術開発等によりまして港湾設備工事のあり方も十分に検討し、その趣旨を生かしていきたいと思うております。ですが、われわれの目標としております第六次計画は、そういういわば自分ら自身の内部の努力によってある程度カバーしていくことでございますから、私はこの計画そのものの遂行には支障はないものと思うております。
  13. 伊賀定盛

    伊賀委員 ただいま大臣から大変力強い御決意を承りまして安心をしたのであります。  そこで、具体的にお尋ねしたいと思いますが、国の補助率を見ますと、特定重要港湾が五〇%、重要港湾が五〇%、地方港湾が四〇%、避難港が七五%ということに相なっております。もっとも避難港の七五%というのは全国で十一港、しかも緊急避難というような意味合いがありましょうから七五%ということ、これは別におくといたしまして、地方港湾が四〇%というのは、特に最近、地方の時代とかあるいは定住圏構想とか人口の都市集中はけしからぬ、そこで地方をもっと重視しなければならないというようなことが言われておるにもかかわらず、地方港湾の四〇%という補助率は、いま大臣の御指摘になりました政策目標実現という意味からいたしましてもこれは片手落ちではないか、こういう感を深くせざるを得ません。  もう一つは、たとえば特定重要港湾とか重要港湾等所在地市町村というのは、おおむね人口あるいは財政負担能力等から見ましてむしろ地方港湾所在地の自治体よりも負担能力はあるはずであります。その負担能力のある地方自治体の方が国の補助率が大きい、すなわち港湾管理者である地方自治体負担が少なくて済む。財政の貧弱な地方港湾所在地市町村の方が、国の補助率が四〇%ですから当然地方自治体負担率が高くなるわけでありまして、これもどうも好ましいことではないわけでありますが、政策目標実現のためには、特定重要港湾とか重要港湾補助率を下げるということでなしに、むしろせめて特定重要もしくは重要港湾並み地方港湾補助率を上げるべきだと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  14. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 港湾法港湾性格別補助の体系が定められておりますが、その内容につきましてはただいま先生指摘のとおりでございます。この補助率あるいは国の負担率がどういう考え方で決められておるかという点を若干御説明申し上げますと、特定重要港湾といいますのは、その地域のための港であるという性格もございますけれども、その大きな性格が国全体、つまり日本の外国貿易に対する玄関でありますとか、そういった国全体に大きく関係のあるというものが特定重要港湾ということになっておりまして、そういう国全体に非常に関係のあるものであるから国の負担率を高くしてその所在する当該地域負担の率を小さくする。重要港湾は、特定重要港湾に次ぐ国全体にかかわる度合いの大きい港でありますがゆえに、五〇%を国が負担するという思想になっております。したがいまして、地方港湾というのは、主として所在地当該地域に直接関係のある港でございますから、これに対する主力といいますか、それは地方が主体になって建設管理もやっていただく。そのときに国がお手伝いをするというのが補助のたてまえになっておりますので、先ほどの国全体の玄関といったような意味特定重要港湾などに比べますと、補助率が低くなっておるという関係がございます。それが基本的な考え方でございます。  それに対して、それでは特定政策目標のあるときにそのままでいいのかというような御趣旨かとうかがいますけれども、これはまた特別な政策目標がありましてそのために手直しをするというようなことは、それぞれその政策に応じまして考えていくべきことではないかというふうに考えております。
  15. 伊賀定盛

    伊賀委員 第一次から六次までの大臣提案説明をずっと読んでみますと、三十六年の第一次港湾整備計画提案説明の中に「地域格差是正」という表現をされておりますが、今回の提案説明を読んでみますと、「地域格差是正」がなくなりまして「地域振興のため」という表現になっておりますね。これは、第一次の三十六年当時には地域格差があったが現在ではもう地域格差はなくなった、したがって、農村地域大都市地域も現在あるがままの姿のそれぞれの地域振興のために今回の第六次港湾整備計画というものがあるという感じかするわけでありますが、大臣、これはどういうことでしょうか。
  16. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地域格差をなくするという消極的な対策ではなくして、むしろ地域振興という積極策を今度は打ち出しておるわけでございまして、先ほど第六次港湾整備計画の中の一つ特徴として、エネルギー基地としての対策を講じること、地場産業基地としての港の整備、そして、その地域における産業基盤確立のための整備ということを申し上げておるのは、まさにそういうことでございます。  それと、先ほど補助率の問題で、特定重要港湾等に対する補助金は高く、地方港湾は低いというお話がございましたが、地方港湾整備に対しまして、補助と同時に起債という裏保証がされております。この起債償還等につきましては、御承知のように、地方交付税によって基準財政需要額に見込まれておる点がございます。そういう点を見てまいりますと、地方負担におきましても、あながち四〇%の補助だけがいわば財源裏づけ、保証になっておるということではないのでございまして、その点から見まして、地方におきましても港湾振興にひとつ積極的に取り組んでもらいたい、こう思っておる次第でございます。
  17. 伊賀定盛

    伊賀委員 私は漁港の問題をちょっと例に挙げるのですけれども、それは運輸大臣漁港の問題を話してもしようがないじゃないかということになるかもしれませんが、運輸大臣国務大臣でありますから、運輸省のことだけ知っておればいいというわけにはいきません。  大臣、また港湾局長も、御承知か、あるいはひょっとしたら御承知ないかもしらぬが、漁港港湾との補助率の比較を、知っておられたらひとつ答弁してください。
  18. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 漁港補助率地方港湾補助率との間に差がありますことは承知いたしております。
  19. 伊賀定盛

    伊賀委員 これは念のために申し上げますが、漁港一種から四種までございますね。漁港一種、二種というのがいわゆる地方港湾に相当いたしまして、法律によると、ともに補助率が四〇%ということになっております。それから三、四種が重要港湾と大体同額であります。そして、特定三種というのがありまして、これが特定重要港湾と同じことになっておるわけであります。いわばバランスがとられておると見てもいいと思いますね。ですから、法律ではいま申し上げますように、漁港港湾とがほぼ同じような考え方に立っておるようであります。  ところが、漁港の場合には、沿岸漁業構造改善事業によって一、二種、すなわち港湾で言いますと地方港湾に相当する部分が五〇%に格上げされておるわけであります。この地方港湾漁港の一、二種というのは、産業地理的条件あるいは人口等々から見ましても、大体環境その他がよく似ておりますね。そうしますと、これはバランスがとられていないわけであります。したがいまして、先ほど大臣からお話がありましたが、いわゆる政策目標実現のためにも地方重視という立場からも、特に先ほど来私は申し上げましたが、いまや一次から五次までの港湾整備計画と、そして第六次というものは、約二十年間の反省の上に立って、もろもろの問題について新しい観点で臨まなければならないという意味合いも含めまして、この際地方港湾補助率アップということについては真剣にひとつ考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  20. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 補助率アップを考えろというお話でございますが、先ほど質問の中にも、財政が窮迫しておるときに、この第六次計画そのものが実行できるかどうか心配であるということがございましたが、そのように、とにかくこの第六次計画をこなさなければいかぬ、完全消化していかなければいかぬ、計画実現しなければいかぬということにわれわれは意欲的に取り組んでまいりたいと思うております。でございますから、補助金の大きい変更は恐らくないであろうとは思うておりますけれども、むしろ削減される方向にあるということは大体御想像いただけると思うのです。しかし、それにおきましても、われわれは先ほども申しましたように、技術開発なりあるいは港湾整備手法をいろいろ創意工夫いたしまして、財政の苦しい中でもこの第六次計画達成したい、こう思うておりますので、いわば補助金の増額という問題よりもむしろこれをどうこなしていくか、第六次を完成するということに鋭意努力してまいりますので、ひとつお任せいただきたいと思うております。
  21. 伊賀定盛

    伊賀委員 私が先ほど申し上げました財政再建その他から補助金カット心配があるがどうかという質問に対して、大臣は、そうじゃないのだ、こういう力強い御指摘がございましたから、それならこの際一層補助金アップをしてもらいたい、こういうふうに申し上げたわけでありますから、ひとつこの点今後とも努力をしてもらいたいと思います。  これに関連しまして、国土庁にお伺いをしたいと思います。  国土庁は、定住圏構想が発表になりまして、昨年の八月でしたか、四十圏域モデル地域の指定になりました。それで、いまお聞きのとおり地方振興地方重視と言いながら、この第六次港湾整備計画からいいますると、地方港湾だけが四〇%というまま子扱いを受けておるわけであります。  それで、これは具体的な例を申し上げますけれども、私のところには柴山港というのがありまして、これが避難港であります。津居山港と竹野港、これは地方港湾でありまして、まあ政治といいますと、政治とはこれは数字積み上げだというのが私の哲学でありまして、どんなに高通な文章で表現してもらいましても、芥川賞に当選するような小説、論文を書いてもらいましても、これは政治とは無縁でございまして、政治とは数字積み上げでございます。国土庁がにしきの御旗といいましょうか、要するに定住圏構想なるものを発表してきたわけでありますから、政治数字、すなわち具体的に言いますると、定住圏モデル地域にある地方港湾は、定住圏の構想どおり具体的に数字実現できるのかどうか、国土庁にひとつ承りたいと思います。
  22. 金子冬吉

    ○金子説明員 お答えいたします。  いま先生が御指摘のように、モデル定住圏につきましては、現在全国で四十カ所の指定をしておりますが、このモデル定住圏整備に関しましては、定住構想の推進連絡会議、これは十六省庁ででき上がっておるわけでございますけれども、その連絡会議の申し合わせによりまして、各省庁におきまして、それぞれの省庁で所管される施策について積極的、優先的に措置を講じていただくということになっておりまして、国土庁といたしましては、この五十六年度予算要求、それから実施計画の策定に当たりましても、モデル定住圏計画に盛り込まれた内容について十分配慮されるよう、関係省庁に申し入れをしているところでございます。
  23. 伊賀定盛

    伊賀委員 国土庁はそういう見解ですが、ひとつ港湾局長、どうでしょう。
  24. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 国土庁からただいま御答弁ありましたように、モデル定住圏の中には、臨海部にありまして、その中核になる港湾を持っておるモデル定住圏がかなり多数ございます。私どもといたしましては、こういったモデル定住圏整備といいますか、振興というのがきわめて重要な国の施策であるという観点に立ちまして、この第六次五カ年計画におきましても定住圏構想実現のための所要の施策は、いわば最重点的にこれを盛り込んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  その際に、どういうものを施策として盛り込んでいくかということを御説明申し上げますと、定住圏構想実現するための港湾の分野の整備というのは大変いろいろな多岐にわたる問題でございますけれども、そのうちの主なもの、重点的なものを申し上げますと、地域振興のための地場産業振興のための港湾整備、そういったこと及び環境改善のための諸施策、こういったことに相なろうかと思っております。  さらにまた、余暇拡充の一環といたしまして、海洋性レクリエーションの中心になる港湾整備等も、こういった地方定住圏整備の中では欠かせないことかと考えておりますので、この辺についても重点的に整備を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、これは特殊な場合でございますけれども、モデル定住圏の中には離島等を含んでおるものもございまして、こういう離島等を含んでおる場合は、これはもう港湾というものがその地域の生活の向上には不可欠のものでございますので、こういうものは何をおいても整備をしていく、こういったことを具体的な施策として考えておる次第でございます。
  25. 伊賀定盛

    伊賀委員 この地域別配分の推移を数字で出してもらいました。そうしますと、ずっと前は別にしまして、特定重要港湾、これは金額でなしにパーセントで申し上げてみますと、五十一年度の一六・四%が、ずっと来まして五十五年度で一四・六%、これは漸減傾向です。重要港湾は五十一年度二七・九%、五十五年度が二六・四%で、これも漸減傾向。地方港湾は五十一年度一〇%、五十五年度が一二・三%ということで、この統計から見ますと、確かにいま私が強調しておるような方向に地域別の配分は推移しておることは間違いございません。しかし、いましばしば強調しましたように、今後とも過疎過密の弊害も御承知のとおりございますから、一層その方向をひとつ強めていただきたい。これは意見として要望しておきたいと思います。  それから、もう一つ国土庁にお伺いしますが、ただいま申し上げましたように、このモデル定住圏というものが発表になりまして、私のところもそのモデル地域になりまして、いま県と地元の各自治体等々が協議いたしまして、ようやく昨年の秋一つの案ができ上がりました。ところが、よくこれを見ますと、要するに各省庁の計画なり各省庁の数字がまとまったもの、これが定住圏モデル地域でございますという発表になっておるわけであります。これではまるっきり意味がないわけであります。  そこで、各省庁はそれぞれみずからの計画に基づく計画がありますが、当然これは国土庁独自でこの調整費といいますか、推進費というようなものを持つべきだということをかねてから私ども主張してきたわけでありますが、ようやく五十六年度に初めて四億一千万円の推進費が計上されております。四億一千万では、国土庁は四十圏域モデル地域に指定しておりまして、こんなものはスズメの涙程度ですから、これではどうにもならぬと思いますが、一体この四億一千万円をどういう方向でお使いになろうとしておるか、この際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  26. 金子冬吉

    ○金子説明員 モデル定住圏に関連しますモデル事業の推進費、五十六年度予算といたしましていま先生の御指摘の四億一千万計上されておるわけでございますが、御承知のように、このモデル定住圏計画の中での中核的な事業のうち、先ほども申しましたように、各省の個別の所管の事業としまして制度が確立しておりますもの、そういうようなことで補助制度の対象となっておるものにつきましては各省の所管でやっていただきまして、それ以外で中核的な事業ということで、現行の補助制度の中で対象とならないような事業が、それぞれの地域でみずからの整備という中で実施されるようなことになる場合もあろうかというところで、そういうような補助対象に現行の制度でならない事業につきましての助成措置を講じてモデル定住圏の総合的な推進を図ろうというものでございまして、いまの推進費は、調整費それから具体の事業の補助ということにもなるわけでございますが、これにつきましては今後具体の詰めをやっていこうということでございまして、港湾整備の事業につきましては、先ほど申しましたように、運輸省所管の補助制度によることとされておりますので、この田園都市構想モデル事業の対象には該当しないという考えでございます。
  27. 伊賀定盛

    伊賀委員 いまの問題はひとつ国土庁さん、先ほど申し上げますように、四億一千万ではこれはどうにもなりませんので、こうしたものがなかったら国土庁モデル地域の指定なんかもうやめた方がいいですよ。やるのなら本格的にひとつ今後ともやってもらいたいと思います。  それから、もう一度運輸省にお伺いしますが、一次から第五次までありまして、予備費であります。一次から三次までは予備費ゼロ、第四次で一千億、第五次で二千億、第六次で今度は予備費が、名目が変わりまして調整費ということになっておるわけであります。一次から三次までは予備費という名目ゼロ、そして第四次に一千億できまして、一体これはどういうふうに使われたのか。同じく第五次で、今度は倍額の二千億、一体これはどういうふうに使われたのか。今度は第六次で、予備費という名前が調整費ということになっておりますが、一体予備費と調整費とどこがどう違うのか。必要のないものならこれはもう残す必要はないわけでありまして、いま言いましたように、この二千億を、私が先ほど申し上げました地方港湾補助率に回してもらった方がよっぽど効率的なんです。使う目的も何にもないものを第四次で一千億、第五次で二千億、使わずにそのまま繰り越すなんというのはもったいない話です。どうでしょう。     〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  予備費という項目が第五次にはございました。四次にもございましたが、この予備費と申しますのは、経済情勢の変動でございますとか新たな技術の進歩、あるいはその他予測しがたい事業に充てるための予備財源、したがって、こういった問題が起こらなければ使わないことも考えられるという、そういった性格の費用でございまして、どういうふうに使われたかという例を申し上げますと、第四次の予備費は、たまたま沖繩の復帰の時期に当たっておりまして、沖繩復帰に伴います、その事前に予測し得なかった港湾整備の必要性に対応するためにこれを取り崩して実施をいたしております。  一方、今回の第六次の計画を立案するに当たりましては、この予備費というものではなくて調整費というものを盛り込もうというふうに考えておるわけでございますが、調整費は、今後の経済財政事情から事業の進捗状況を考慮して執行する。つまり、この計画期間中の経済財政事情を見ながらこの調整費を執行していく。ですから、非常にわかりやすく言いますと、予備費というのは、いわば不測の事態が起こった場合を考えて準備しておいて、それが起こらなければ使わないという性格でございますが、調整費の方はそれよりは財政事情あるいは経済事情を勘案してこの計画期間中に必要があれば使う、非常に大ざっぱに言いますとそういった性格の違いがあるものと考えております。したがいまして、今回の計画には先ほど申しました予備費というものは実は考えておりませんで、予備費を考えるような事態が起これば、その段階で計画の改定なり何なり、そういったことを考えて対処すればいいのじゃないかというふうに考えた次第でございます。
  29. 伊賀定盛

    伊賀委員 第六次の二千億の調整費が、御説明いただきましてよくわかりました。具体的に何を想定しておられますか。
  30. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 六次の調整費と申しますのは、現在では想定がされないといいますか、事業の必要性等がまだ十分に固まっていない事業があるわけでございまして、そういうものが出てまいったときにどうするかというようなことで、ですから現在の時点では具体的にどの事業を想定するということは申し上げられないわけですが、経済情勢あるいは事業の進捗状況等によって必要になってくるものに充てる、こういうふうに考えております。
  31. 伊賀定盛

    伊賀委員 大臣伺いますが、第四次の一千億は沖繩返還でこの予備費を使ったというのですね。第六次は北方領土の返還でも予想しておられるのですか。
  32. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 北方領土という、具体的にそういうものを想定して予備費の中に組み込んだものではございません。
  33. 伊賀定盛

    伊賀委員 いま局長なり大臣にお伺いしますと、どうも何にも想定しておられないということのようであります。もし万一ということであります。ですから、そういう不確定要素の多い二千億をこの際予算に計上する必要はないわけでありまして、もう一度お伺いしますが、地方港湾の四〇%を五〇%に格上げするためにこの調整費の二千億をお使いになる御意思はありませんか、大臣。これは運用してみての話ですから。
  34. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いまそれは全く想定しておりません。
  35. 伊賀定盛

    伊賀委員 これからの問題ですから、どうぞひとつぜひお使い願いますように、強力に要請をしておきたいと思います。  もうぼつぼつ時間が来たようでありますが、この間、大臣はおいでになりませんでしたけれども、私ども運輸委員会として横浜埠頭に行ってまいりまして、いろいろ勉強さしてもらいました。確かにコンテナというものは大変だという感じを深くしました。ところが、私ども車で参ったわけでありますが、あれは道路になるのか港湾用地になるのか知りませんが、要するに車がどんどん走っておる。そこにコンテナが、詰まったのか空き箱なのか知りませんが、積んである。それから、あの背後地の、何という道路か知りませんけれども、この道路の錯綜たるや、もう全く目に余るものがあるわけであります。確かに、先ほど指摘しましたけれども、この港湾整備というものは漁港に比べまして十年おくれて出発したわけでありますから、なるほど緊急という文字が適切かいなと思いまして、あわてふためいて十年おくれて港湾整備に狂奔したわけでありまするから、後の道路がどうなっておろうが、あるいはその港湾に参ります道路がどうなっておろうが、そんなことはなりふり構わず港湾の岸壁だけをつくり上げたというのが従来であったかと思います。ですから、横浜埠頭の背後を見ますると、これは横浜ばかりではありません、私は兵庫県でありまして神戸港にもしょっちゅう参りまするけれども、要するに港湾施設だけの整備はできましたけれども、その後背地あるいは関連地域整備が非常におくれておりますね。第一次から第五次までの国会の議事録等も拝見してみますと、しばしばその問題が指摘されておる。そして、今後とも努力いたしますという答弁を歴代の港湾局長も、歴代の運輸大臣も答弁しておる。しかし、依然としてこれは解決されていない。答弁を拝見しますと、これは地方港湾港湾審議会がございまして、地方自治体がつくる港湾でございまして、それに国がお手伝いを申し上げます、それらの意見につきましても地方自治体から、関係業界から十分意見が出されておりますので、こういう答弁の繰り返しでございます。事態はちっとも解決しておらない。  したがって、第六次港湾整備計画は、従来の一次から五次までの港湾整備と違った何かがなければならないと指摘したゆえんもそこにあるわけでございますが、せっかく施設だけはりっぱにいたしましたけれども、滞貨が山と積まれる、それは当然でありましょう。後背地が十分に配慮されておりませんから、海から荷物を揚げましても持っていけない。港湾と、もちろん道路を含めた後背地、そういったもろもろの付属設備を含めた後背地と港湾の均衡ある発展というようなことを今後この第六次港湾整備計画で具体的にどうお考えなのか、承りたいと思います。
  36. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御視察に行っていただいた外貿埠頭がそのようになっておるか、実は私も外貿埠頭公団を見学もいたしておりますが、確かに混雑いたしておることは私も承知いたしております。しかし、そうばかりも言えない。たとえて申して恐縮ですけれども、大阪市の場合は外貿埠頭公団の建設とあわせて道路の建設もいたしました。でございますから、秩序ある輸送が大阪市ではいま行われております。そのように国の建設地方自治体のそれの受け入れとがびっしりいっているところは整備されておるめでございまして、その建設当時に、いや何でもかんでも国でと言っておられても、これはなかなか整備が進まない。要するに、地方自治体と国との関係がうまくいくかどうかということでございます。それだけに私たちもそういう整備について関係当局と十分に協議をして、今後その整備を進めてもらうようにわれわれも努めていかなければならぬ、こう思うております。  ところで、第六次計画についてでございますが、私も先ほど申しましたように、今次の計画は、いわば外洋に開かれた、外洋に向かっての港湾、外貿埠頭並びに外航埠頭というようなものはほぼ整備されてまいりました。先ほど来、緊急ということに対する御批判もいろいろいただいておりましたが、これは船の技術開発が急速に進んで大型化し、そしてコンテナ化していくという、急速に進んだことに伴う緊急整備を港の方が急がなければならぬ状態になってまいりました。それがやっとそういう外洋関係のものは一応の整備は整うてまいりまして、これから航路の安全とかあるいは環境整備重点を置いていかなければならぬのであります。  ところが一方、特に日本海等を見ました場合に、これから整備しなければならぬ港が相当ございます。先ほどから言っておりますように、地場産業の育成なりその地域振興基地としての港湾整備というのが一つの大きい目標になっておりますので、われわれは今度の第六次のそういう使命を意識して今後強力にこの実施を進めていくつもりでございます。
  37. 伊賀定盛

    伊賀委員 最後に一つだけ。  第一次から第五次、さらに第六次計画に向かっていろいろと御批判を申し上げましたけれども、ここに「世界の取扱貨物量上位十港の推移」という国際連合統計月報一九八〇年二月の統計がございます。これによりますと、一九七五年が第四位神戸、第六位千葉、第七位横浜、第十位名古屋、日本が四港。一九七六年、神戸が四位から三位に上がりまして、横浜が五位、千葉が七位、名古屋が九位に上がりまして、四港。一九七七年、今度は神戸が世界で二番目にランクされ、千葉が四番、横浜が五番、名古屋が六番、川崎が十位に上がってきまして、五港。一九七八年は、神戸が同じく二位、千葉が三位、横浜が四位、名古屋が五位、川崎が七位に上がり、大阪が九位に上がってきました。合計六港。上位十港のうち一九七八年にはついに日本が六港を占めるということになってきたわけであります。まあ中身には、いま言いますように、いろいろ問題がございますけれども、とにもかくにも日本の港湾というものが、世界十位の中に六港までランクされるようになってきたわけであります。  しかし、確かに数字の上ではこのとおりでありますけれども、中身を見ますと、いまいろいろと御指摘申し上げたとおりでございます。この第六次計画にはいろいろな不安定要素もありまして、第六次計画をもってしても依然として緊急という言葉を抜くわけにいかない、それほど日本の港湾整備というものはおくれておることは御承知のとおりであります。どうぞひとつ一日も早くこの港湾整備緊急措置法から緊急という文字がなくなって、今後は年次計画を追っていけば公害からいいましても環境からいいましても、あるいは接岸施設からいいましても港湾荷役からいいましても、あらゆる角度から世界の港湾に伍して恥ずかしくないという正常な年次計画に入るように今後とも一層の大臣の御努力をお願いし、かつその決意を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  38. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 どうも激励していただきまして、また御支援を賜り、本当にありがとうございます。  私は、先ほどから申しておりますように、確かに一部におきましては港湾整備のおくれが目立っております。この第六次を完全に遂行いたしますように一層の努力をしてまいりますので、何とぞ今後ともの御支援、御教示をお願いいたす次第であります。
  39. 伊賀定盛

    伊賀委員 終わります。
  40. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 西中清君。
  41. 西中清

    ○西中委員 港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案について、数点お伺いしておきたいと思います。  まず第一点は、港湾整備港湾管理者、この関係において一つの問題になるのは入港料ではないかと思っております。港湾整備のために管理者の果たす役割りというものは非常に大きいわけですし、一方、港湾管理者の側の財政事情というものは非常に厳しい状況でございます。そのために、五十二年ごろから各港湾管理者は入港料の徴収もしくはその値上げを実施をしてまいりました。さらに、四十八年の港湾法改正によって港湾環境整備負担金というものを徴収する管理者がふえてまいったわけであります。  こうした一連の港湾管理者姿勢から、港湾整備については利用者の負担増というものが今後も予想がされるわけでございます。この問題について運輸省の見解、さらに港湾管理者港湾利用者から利用料を徴収する姿勢を強める、そのために企業との間に摩擦が起きる懸念があるわけでございます。そういった点についてどうお考えか。さらに、入港料を徴収していない港湾がまだたくさんあるわけですけれども、今後運輸省としてはどういう方針で指導をなさっていかれるお気持ちか、この辺についてお伺いをしておきたいと思います。
  42. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  入港料の問題でございますが、港湾管理者財政が大変苦しいといいますことはかなり前から問題になっておるところでございます。それで、それがどういうことに基づくかと申し上げますと、港湾施設というものがもともと公物と同じような考え方で、港湾管理者の行政というものが公物管理行政的に取り扱われてまいりました。したがいまして、港湾施設の利用料及び役務利用料等は公共性を理由に非常に低く抑える、かかっただけ取るというような姿勢ではございませんでしたので、防波堤でございますとか航路、泊地あるいは緑地等の非収益事業については全く利用料を取らないし、取っておりますものも収支相償うところまでは、そういった水準には使用料は設定されておらない、こういった事情で非常に港湾管理者財政が苦しくて、一般財源からこれを補てんをしていくという傾向がございます。港湾整備費用が増大いたしまして、港湾管理者財政基盤を強化していく必要があるということから、その一つの手段といたしまして入港料というものを考えたわけでございます。  お答えが御質問の最後になっておりましたことと若干前後いたしますが、そういった手段の一つとしての入港料でございますので、現在入港料を取っておりません港湾がございますが、そういう港湾につきましても入港料の徴収を早期に実現をしていきたい、そしてその入港料の料率を適正なものにしていくという方向を今後とも図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます、  そういうときに、利用者との間のいろいろな意見の一致をどう図っていくかという点は、その問題の起こりました都度十分に港湾管理者と利用者で協議をしていただき、またその間に第三者というような形で中立的な意見が入る必要があればそういう場もつくり、十分に関係者の納得の上で実施をするというふうな方向を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それで、今度は入港料というものが利用者の負担にならないかという御質問の点でございますが、昭和五十六年の三月三十一日現在で、入港料を徴収しております港湾全国で百十六港ございまして、五十六年の徴収実績はちょっとまだはっきりしておりませんが、五十三年で申しますと、約二十一億円でございました。  それで、この入港料の額は、港湾環境整備負担金との均衡上、船舶にかかわる費用のうちの港湾環境整備または保全にかかる費用だけを対象にしております。非常に低い水準に設定されておるというふうに私ども考えておりまして、重要港湾港湾収入に占めます比率は約三%でございます。歳入全体に占めております割合としては〇・六%と非常に低い率しかいまの段階ではまだ徴収をいたしておりません。したがいまして、今度は逆に、支払い側の海運業界の費用に占める割合から申しましても一現在の比率は非常に低いものでございます。これを非常に大幅に改定をするというようなことをいたしますれば、海運業界に与える影響は必ずしも小さくはないわけでございますが、そういった常識的でない大幅な改定というものは今後とも考えておりませんので、利用者であります海運業界に与える影響はそれほど大きいものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  43. 西中清

    ○西中委員 先ほども議論になりましたけれども、やはり私も一言だけ触れておきたいと思います。  港湾管理者財政難から、いわゆる国庫補助率の引き上げ要求というものが強いわけでございます。これに対して運輸省はどういう対応をしていこうとされておるか。一方では財政再建などというようなことで、補助金カットというような空気も非常に強いわけでございますね。ですから、この辺の兼ね合い、運輸省としての基本姿勢、これはどういうように考えておるのか、まず基本的な問題として伺っておきたいと思います。
  44. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 補助率の基本的な考え方につきましては、先ほど申し上げた点もございますが、現在の補助率というのが、その港湾性格が国全体に対してどういう意義を持っておるかという点から国の負担率が決まり、そして地方港湾の場合は、主としてその地方の発展のための機能が大きいという観点から補助率が決まっておるということは申し上げたとおりでございまして、この基本は恐らくそれほど大きく変える必要はないのじゃないかと考えております。  しかし、その都度いろいろな政策目標がございまして、その政策実現するためにそういった基本の上に何らかの方策を講じる必要がある、こういう場合は、その場合場合でいろいろ起こってこようかと考えるわけでございます。今年度予算の要求時点におきましても、私どもも、先ほど来議論が出ておりました定住圏構想については、そういった政策的配慮をする必要があるという趣旨の要求を行った経緯もございますが、今後ともそういった必要性と申しますか、政策上の問題については検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  45. 西中清

    ○西中委員 四月一日、これは二、三日前ですが、日経新聞に運輸省と経団連の構想として沖合い人工島、この問題について報道がなされております。電源立地、工業用地の立地難解消のために沖合い人工島をつくる、こういうことが概略書いてあるわけでございますけれども、こういう構想、現実にどうなっておるのか。それから、港湾整備五カ年計画との関連は、これはどうなのか。さらにまた、この後に法案審議をいたしますが、いわゆる広域廃棄物処理のセンター法案、この問題との関連はどうなっておるのか。この辺について御説明をいただきたいと思います。
  46. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 新聞で構想が発表されたことは承知しております。また、運輸省としても独自に以前から沖合い人工島の問題は検討してまいりました。それは昭和五十二年でございましたか、第三次全国総合開発計画、これにも一つの方向が出ておりますし、それから海洋開発審議会におきましても、長期展望に立った海洋開発として、要するに海洋空間の利用ということについての答申が出ておりまして、そういうようなものにわれわれも重大な関心を持っておりまして、検討は進めております。しかし、問題のあの発表されたようなことはいま具体的に考えておるという段階ではございませんで、技術的にわれわれいろいろな面から検討しておるという範囲内でございます。
  47. 西中清

    ○西中委員 新聞では「五十六年度に詳細調査へ」というようなことが書いてあるのですが、要するにいままでの調査から一歩前へ進めるということは、五十六年度においてお考えなのですか。その点はいかがでございましょうか。
  48. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 現在、五十六年度でもう少し進んだ調査をやれるかどうかという点を検討を進めております。中長期的には今回の五カ年計画の中でもこの構想実現のための技術的な検討というものは重点施策として進めてまいりたいというふうに考えております。
  49. 西中清

    ○西中委員 この事業を仮にするとするならば、これは五カ年計画の中には入っているのですか、入ってないのですか。それとも調整費でやられるということなんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
  50. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 事業費につきましては、この五カ年計画には現在入れておりません。技術的な検討のための費用は考える必要があると考えております。
  51. 西中清

    ○西中委員 広域廃棄物処理のセンターの問題とはどうなのですか。
  52. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 広域廃棄物のセンター並びにその実施いたします最終処分場とこの構想とは関係はないというふうに考えております。
  53. 西中清

    ○西中委員 それでは、第六次の五カ年計画港湾の緑化という問題、、これについて確認といいますか、お伺いしておきたいのですが、大体港湾というと灰色のイメージが強い、汚い、こういう感じでございますね。今回の計画の中に緑化比率を高めるというような思想が盛られておるようでございまして、それだけに私はそれなりに評価をいたしておるわけでございます。都市機能と一体化した港湾環境改善を図った港湾、これを大いに期待するところであります。しかし、依然として港は汚いというイメージは払拭されておりませんね。ですから、市民の憩いの場所としての港湾、またレジャー施設としての港湾、海岸、こういったイメージが定着するような方向で、やはり港湾の緑化というものについては特に重点を置いていただきたいというふうに私は強く要求をしたいのです。今度こういうように廃棄物の処理場なんかをパンフレットを見ていますと、まあ、きれいな絵がかいてある。こういうようにつくってくれればいいのですがね。  そういった意味で、港湾のイメージを変えるために、緑化については特段の努力をしていただきたいと私は思いますが、御見解を伺っておきたいと思います。
  54. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 御指摘いただきましたように、港湾の色は現在ではまだ灰色である、こういうことでございまして、大変恐縮に存じますが、この港湾の緑化事業と申しますのは、昭和四十八年に港湾法改正をいたしまして国庫補助事業として実施することになったものでございます。この四十八年に改正をしてこういうものを補助事業に取り入れたというのは、御指摘いただきましたような趣旨を踏まえまして港湾のイメージを変えていく、緑の港湾を目指したものでございますが、まだ現在までの段階では完全に港湾が緑になるというところまで進んでおらないことは御指摘いただいたとおりかと存じます。したがいまして、今後とも御指摘のような方向を目指して私ども努力をするつもりでございまして、今回の五カ年計画の中にも、こういった事業の必要性がきわめて高いことを認識いたしまして、所要の整備の推進を盛り込んでまいりたいというふうに考えております。
  55. 西中清

    ○西中委員 その点大いに努力を願いたいと思います。  そこで次に、防災の関係で伺っておきたいと思います。  新五カ年計画一つの柱であります港湾の安全性の確保、この問題でありますけれども、東京湾、大阪湾等は石油精製工場が集中しておりまして、大型タンカーの出入りも多いわけでございます。防災、海水の汚染防止の立場から、シーバースの建設整備が強く求められておるわけでございます。一方で、シーバースを設置するということになりますと、設置する側の地元地方自治体等の理解、関係漁民の理解等が非常にむずかしい重要な問題になっておる。さらにまた、貯蔵施設等の設置もなかなかむずかしかろうと思いますけれども、しかし防災の面からいきますと、これは非常に重要な問題だと思います。  この五カ年計画では、シーバースの設置の予定地等もはっきりしないわけですが、今後どういうような計画でこのシーバースの設置をされていかれるのか、具体的に御説明ができればお願いしたいと思います。
  56. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 東京湾におきまして、あるいは大阪湾もほぼ同様でございますが、海上交通が非常にふくそうをしておる。そういうことから、このふくそうを少しでも緩和して安全性の一層の向上を図るという観点が必要であるということはかなり前から言われておるわけでございます。そういうことの一つの施策として、湾内へは大型タンカーを入れないで、湾外の適地にシーバースをつくる、そしてパイプラインで中へは油送するということを検討する必要があるということを第三次の全国総合開発計画で打ち出されております。  私ども、その時点からその必要性が非常に高いというふうに認識をいたしておりますが、そういう立場から、昭和四十六年度以降にこのプロジェクトに関します調査を進めてまいったわけでございます。  現在の段階を申し上げますと、このプロジェクトを実現いたしますのには地方自治体、住民、漁民あるいは石油精製の業者等の広範多岐な関係者との調整を十分行う必要があるわけでございまして、こういった調整がまだできておらないという段階でございます。それで、私どもの現在の考え方といたしましては、こういった本事業をめぐります環境と申しますか、いろんな調整の問題、こういった諸問題が整ってまいりますのを待って事業の実施を検討いたしたいというふうに考えております。したがいまして、現在の考えております港湾整備五カ年計画におきましては具体的にこの事業を盛り込んではおりませんけれども、ただいま申し上げましたような事業環境が整いますれば速やかに実施に着手できるように所要の対応を考えておきたいというふうに思っております。
  57. 西中清

    ○西中委員 先ほども問題になっておりましたいわゆる定住圏構想の中における港湾整備、この位置づけの問題でございますけれども、私の方の舞鶴港は重要港湾として今回の予算では六〇%近い伸びを示していただきまして地元で非常に喜んでおるような状況でございますが、この先行きがどうなのかというのがひとつ心配なんですね。六次の五カ年計画の中でできれば非常にありがたいという気持ちも十分ありますし、しかし財政も非常に厳しいという一面もあるし、先行きが心配である。それと、しゅんせつの土砂の投棄場所、こういったことが問題になっております。  しかし、いずれにしても、おくれておりましたこの港湾整備も大きく踏み出すことになりましたが、何といっても関西地区北部の玄関であり、また拠点的港湾であり、なお将来対岸貿易の基地として非常に大きくなってくるきわめて重要度の高い港であろうと思います。そういった地元の強い要望もございます。特にまた、近畿自動車道舞鶴線のルートが発表されたような段階に入ってまいりました。これが機能的に働くという点では港湾整備を急がなければならない、こういうことになろうかと思うんです。  そういった点で、ぜひこの定住圏構想の上からも特段の力をひとつ今後ともいたしていただきたいと要望するわけでありますが、大臣、最後にお答えをいただきまして。
  58. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 舞鶴港は、日本海側におきます港湾の中の一つの重要なポジションを持っておりますので、私たちもその整備を急いでおります。  そこで、港湾整備につきまして、私も先ほど申しました、第六次におきましては、地場産業なり地域産業の基盤としての港湾整備、こう言っておるんですが、つきましては、これはぜひひとつ地方自治体なりあるいは政府が一体となって、要するに産業とのあり方というものも考えてもらわなければならぬのではないかと思うております。港湾はりっぱにでき、道路も完成したけれども、そこに産業が張りつかないということになったらこれは大変でございますから、定住圏構想なりあるいは新産都市構想、工特構想とかいろいろございますが、それらが今後一体となって調和のとれた整備と発展をされるようにわれわれも鋭意努力してまいりたいと思うておる次第であります。
  59. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  60. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 三浦久君。
  61. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、まず最初に、長崎市の神ノ島LPG基地建設の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  神ノ島LPG基地は、長崎港の本当の入り口のところにつくろうというわけなんですね。この長崎港というのは、御承知のとおり、一日に二百隻の船舶が出入りをいたしております。それで、その港口はわずか九百メートルしかないのですよ。こういう天下の良港と言われている長崎港の一番入り口の神ノ島という町、ここにいまLPG基地建設計画が進められているわけでありますけれども、私はこれは少し無謀な計画だという感が強くいたしておるわけであります。  ところが、港湾管理者であります長崎県の知事から港湾計画の変更の届け出が運輸大臣になされていると思います。いままでいわゆる工業団地として埋め立てをしたわけですけれども、今度はそこをLPG基地に変更したいという港湾計画の変更の届け出が来ているわけですね。これに対して港湾審議会がオーケーを出したというように私聞いておるんですが、三月二十三日に諮問をしてもうその日に答申を出しているというような、何を審議をしたのかわからないというような状況の中で答申が出されているわけでありますけれども、運輸大臣としてはこういう港湾計画の変更、すなわち工業団地からLPG基地に変更したい、こういう届け出に対してはどういう態度をとるおつもりなのか、お承りをいたしたいと思います。  まず大臣から。
  62. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私はまたお答えいたしますが、とりあえず技術的な問題の手続的な問題を先に港湾局長から。
  63. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 御指摘のような港湾計画の変更の申請が長崎県知事、長崎港の管理者から参っておりまして、港湾審議会に諮問をいたして御審議をお願いいたしました。その答申は、原案のとおり適当であるという御答申をいただいておりますので、運輸大臣といたしましては、この計画については特に長崎県知事に対して変更の指示等をする必要はないというふうに考えておる次第でございます。
  64. 三浦久

    ○三浦(久)委員 大臣、これは運輸大臣の権限なんですね。港湾局長の権限じゃないんで、その程度のことなら大臣からちょっとお答えいただきたかったんですが、どうなんですか。
  65. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 大体いま港湾局長お答えいたしましたとおりでございます。
  66. 三浦久

    ○三浦(久)委員 港湾法の三条の三ですね、これは六項で、港湾計画というものが港湾の開発とか利用または保全上著しく不適当であると認めるときは、変更すべきことを求めることができるとあるんですね。私はこの条文を適用してやはりこの港湾計画の変更を変更すべきだ、大臣はそういう変更することを指示すべきだというふうに考えています。なぜなれば、これは当初無公害の鉄工業こういうものを誘致をして、主に中小企業ですが、これを誘致をして、そして地元の雇用の拡大を図るということで埋め立てが行われたわけなんですね。ですから、そういう意味で地元の人たちも漁業権は放棄するとか、また、土地も手放すとか、こうやって協力してきたんです。ところが、団地がほぼ完成に近づいておりますけれども一向に売れない。現在売約済みなのが一二%というような状況の中で、元利の支払い、そういうものの負担にたえかねてこういう危険なLPG基地建設というものに向かおうとしているわけですね。そういう意味では、地域の住民にとっては全くのだまし討ちなのであります。地域の人々はこういう危険なものが来るということに非常に驚いているわけですね。私は、このLPG基地というのは日本の全国どこにもつくっちゃならないんだという考えは持っておりません。これは国民生活に不可欠な物資でありますから、適当な場所、安全とか環境とか、そういうものを十分に吟味した上で最も妥当な場所に建設をするというのであればそれで結構だと私は思うのですよ。ところが、いま私が若干の経過を申し述べましたように、これは工業団地をつくろうというので埋め立てが行われ、造成が行われたわけです。ですから、LPG基地として適地なのかどうか、そういう観点は何にもないまま造成されてきているのですね。そして、現実に長崎港という港の突端にそういう基地ができようとしておるということです。そしてまた、これは市街地にも隣接をしている、そういう状況なんです。ですから、大変危険だと私は思うのです。たとえばどのくらいの貯蔵が行われるかといいますと、丸善石油が四万トンドーム形八基、長崎石油プロパンという会社が九百八十五トンの球形タンクを三基です。ですから、合計三十二万三千トン、LPGではわが国最大の基地になる、こういう計画なのであります。  ですから、そういう意味では市街地に対しても一たん事故があれば危ないし、また航行している船舶に対しても大変危険だというふうに私は考えているのですが、この危険性について運輸省はどういうふうに御認識になっていらっしゃいますか。
  67. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  この計画変更に際しまして港湾管理者ではいろいろな検討を行ってまいりました。そして、ただいま先生からいろいろ御指摘がございました危険性の問題、もともとつくりました目的と違う目的に使うわけでありますからこの変更の申請が出てまいりましたので、その用途変更をするときの、それが適当であるのかどうかというような検討は、十分検討をした資料が審議会のときに提出された資料の中に書いてございます。そして、基地をこういうふうに使う場合の総合的な安全性を確保するため、危険物船舶運送及び貯蔵規則あるいは港則法、消防法、高圧ガス取締法等のいろいろな法令によって規制されておりますが、そういった規制を十分に満たしておるかどうかということも十分検討が行われておりますし、また入出港時の操船の問題あるいは荷役をいたしますときの安全性の問題、それから消防防災設備の計画、その他海洋汚染防止の対策でございますとか防災体制等につきましても港湾管理者の検討は十分になされておると私どもは考えておりまして、その問題はないというふうに考えておる次第でございます。
  68. 三浦久

    ○三浦(久)委員 たとえば海上施設では外航タンカー受け入れ桟橋、これは七万トン級のが一基つくられるわけですね。しかし、これは港の裏側といいますか、外になるわけですね。ところが、内航タンカーの出荷の桟橋、これは三千五百トン級が一基と千五百トン級が三基つくられるわけですが、これは長崎港の内側につくられるのですよ。そういう意味では、ここに出入りする船舶の航路を横切るというかっこうで内航タンカーが出入りするということになるんで、大変危険だというふうに私は思っているわけです。そしてまた、海上輸送としては外国の大型タンカー三万トンから七万トン級が月に二回ないし三回入ってくるというわけでしょう。また、国内の中型タンカー、これも長崎に月に十隻入港する。そうすると、いま言った出荷の関係、ここでは国内各地へ内航タンカーが月に百二十六隻も出入りする、こういう計画になっているのです。ですから、いま私申しましたように、現在二百隻もずうっと港の出入り口から出たり入ったりしている、それを横切って内航タンカーが出入りをするということですから、私は安全性がそんな簡単なものじゃないというふうに考えているんです。  それで、海上保安庁にお尋ねしますが、安全だ安全だと言っても、世界でも日本でもLPGガスの事故というのはたくさん起きている、たくさん死人が出ておりますね。ですから、こういう狭い港にこういうLPGを積んだ内航タンカーが出入りをする、また、これだけ大きなタンクをつくる、こういうことによって、どういう原因でどういう事故が想定されるのか、お尋ねいたしたいと思うのです。
  69. 大塚正名

    ○大塚(正)政府委員 お答えいたします。  事故の態様につきましては、それぞれあらかじめ想定することは非常に困難でございますけれども、LPGタンカー本体それ自体の事故の想定といたしましては、まず衝突等によりましてタンクに亀裂が生ずる、その亀裂からガスが漏出するというようなことが考えられるわけでございます。この点につきましては火がつかない限り——先生御存じのように、LPGガスは空気より比重が重いということで海面の方に漏出するわけでございますが、その点については周囲に絶対に火気を近づけないような所要の措置を当然講ずる必要があろうかと思います。特に五十一年三月に起こりました第三十八いづみ丸のケースを引用いたしますと、これは衝突をいたしまして亀裂を生じながら陸上に乗り上げたケースでございますが、私どもの特別救難隊員が船上におりまして、ガスの口を開放してガスを大気中に放出する、そのために二次災害を未然に防止したという教訓もございますので、そういうような処置が重要かと思います。  それから、不幸にしてその漏出した口から火がついたというような場合につきましては、第一に初期消火というのが非常に重要でございまして、当該部分に対して強力な化学消火剤を短時間の間に集中的に投入いたしましてまず消火を図る、火が消えますと第一例の場合のように大気中への拡散を待つということだろうかと思います。  三番目に、大変不幸にしてそれが他に延焼したりあるいは大爆発を起こすというような、たとえば四十九年十一月の第十雄洋丸事故等に限りますとこれは初期消火に失敗したという事例でございまして、炎上中手がつけられないとすれば、周囲の船舶への安全を考慮して、港外へ持っていってそこで撃沈するというようなこともせざるを得ないかと思います。  それから、これは本船サイドの事故の想定でございますが、周囲に対する影響につきましては頭の中で想定することは非常に困難でございますので、先生心配のようないろいろなケースを考慮いたしまして今後とも十分な検討を加えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  70. 三浦久

    ○三浦(久)委員 では、どういう対策をお立てなんですか。いま言われたような対策について、あなたたちとしては具体的にお立てになっていらっしゃるのですか。たとえば設備ですね、そういうものを持っていらっしゃるんですか。
  71. 大塚正名

    ○大塚(正)政府委員 お答えいたします。  一般的にこの種の災害についての対応策でございますが、まず、そういった危険物積載船の入港時あるいは航行時の手当て、それから実際に着桟して荷役している場合、大別いたしまして二つに分けますと、前者につきましては、先生先ほど指摘のように、外航バースの前面海域はただいま港則法の適用海域になっておりませんので、これは供用開始までに当然港則法の適用海域に拡大いたしまして港則法の適用を受けさせることにいたしたいと思います。港則法の適用を受けさせますと、まず、たとえば入出港のふくそう時間帯には入れないようにするとか、あるいは停留場所の制限をするとか、あるいは荷役中にはそれぞれ初期消火能力を有する消防船を絶対配置させるよう義務づけるとかというような手当てをいたしまして、できるだけの処置を講じて災害の発生を未然に防止したいということを考えておるわけでございます。
  72. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いまそういう港則法の適用を受けようということなんですけれども、しかし、それは荷役中の問題でしょう。じゃ航行中に消防船を一緒につけるとか、それからまた進路警戒船を一緒に同伴させるとか一そういうことはできないのですよ。ですから、これだけ船舶がふくそうしているところでいつ衝突が起きるかわからない。たとえば航行中に消防船をつけるとか消火船をつけるとか、また進路警戒船をつけるとかということは、海上交通安全法の適用航路にしていかなきゃならないのですよ。ところが、運輸省に聞くと、そういうことは毛頭考えておりません、こう言うわけですね。そういうあなたがお認めになっていらっしゃる非常に危険なところで、海上交通安全法の適用を考えていないままこういうLPG基地をつくり、タンカーがどんどん出入りするのは、私は非常に危険だと思う。  特に、先ほどあなたがおっしゃいましたけれども、火がつかない限り安全みたいな話をされましたね。ところが、LPGってにおいがないのですね。家庭用のやつはみんなにおいをつけているが、においがない。それからまた、普通のガスと違って、空中にぶうっと漏出をした場合に、普通のガスなら上へ上がっていきますが、これは空気より重いのでしょう。重いから下にどんどん沈んでいくのですよ。そして、空気中に非常に少ないパーセンテージで引火するのですね。たとえば二・一%から九・五%空気中に入っただけで燃えるわけでしょう。そういう非常に危険なものなんですよ。そして、火を近づけないと言いますけれども、運輸大臣、火を近づけないことはできないのですよ。というのは、船舶がどんどん航行しているわけですから。これは自動車のエンジンや船舶のエンジンで引火しているでしょう。非常に低い温度でもってぶっと発火するのですね。これはもうそういう性格なんです。ですから、よくプロパンガスが爆発しておりますけれども、たばこにちょっと火をつけただけでぼっと引火するんです。ですから、私は非常に事故の発生率は高いと見ているのです。  そして、特にこの港の入り口のところは、統計上波が高いところなんですよ。あそこの港の入り口付近の離島航路の欠航状態を見たらおわかりになりますよ。波が高くてしょっちゅう欠航しているんですから。そういうところへそんな危険なLPGのタンカーを持ってくる、しょっちゅう出入りさせるというようなことは、私はやっちゃならないごとだと思う。何のために、港湾の保全上必要なら変更命令を出せるという権限を大臣が持っているのか。まさにこういうときこそ、私はこういう権限を使ってやらなければならないのじゃないかというふうに考えております。  大臣、私、大臣にお尋ねしたいのですけれども、この問題は、三月十日ですか、長崎の県議会でも問題になっております。現在どういう状況かといいますと、神ノ島の町民は、ほとんど八〇%が反対署名をいたしております。そして、そのすぐ隣の小瀬戸町、ここにも自治会の役員が、賛成派はこの前の選挙で全部退きまして、反対派が役員に座る、そういう状況になっていますから、まず町ぐるみの反対と見ていいだろうと思うのですね。そして、この航路の手前側の端に香焼町というのがありますが、この香焼町議会も反対です。町長も反対であります。そして、これは地方港湾審議会で審議されました。そのときに、長崎の市長さんですが、このような提案に困惑をしているということを席上述べられておるわけですね。ですから、何も地元のコンセンサスが得られているという問題ではございません。  そしてまた、三月十日の県議会では、わが党の中田議員の質問に答えて、久保県知事、こういうように述べているのです。住民の理解を得るために最善の努力をいたしたい、こうはっきり言われております。そして、住民の理解を得た後に港湾審議会にかけたらどうかという質問に対しては、港湾審議会にかけるのは住民の同意を得た後にという意見ですが、もっともな意見だと思います、しかし並行的にやらしていただきたい、こういうふうに述べているのですね。ですから、住民の意思を無視するということは言ってない。  また、環境影響評価の問題、アセスの問題ですけれども、これが著しくおくれていることはまことに遺憾に存じます、御意見のとおり、この種のものは、地元の説明に入る前に事前評価はやって、そして、その事前評価が集約されておるのが順序でございます、それがおくれているのは大変遺憾でございます、おわびいたします、こうまで言っておるわけです。  もう一つは、市の態度の問題ですね。市長が賛成とも反対とも言わない態度をとっている。普通であれば、県のやることですから、賛成という態度をとるのはあたりまえですけれども、まだ市長は賛成の態度をとっていない。ですから、この県議会の中でどういうことを県知事が言っておるのかといいますと、市当局にも責任がある、なぜならば、市長に電話を入れて、賛成か反対かはっきりしろと言っておるけれども、市の判断がはっきりしない、だから市にも責任があるのだ、しかし、この問題を進めるか進めないかは、十分市長さんの意見を聞いて私としては決めたい、こういうことを三月の十日の県議会で述べておられるわけですね。  そうであれば、まだ地元でこれだけ大きな問題になっている問題でありますから、運輸大臣としては慎重の上にも慎重を期す必要があるだろうと思うのです。中央港湾審議会の答申が出たからといって直ちに変更すべきではないというような結論を県知事に出すのではなくて、当分地元のそういう状況を見守りながら慎重に対処していただきたいというふうに私は思いますけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。
  73. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 港湾計画のアセスメントを終わってないというお話でございましたが、これは終わっておると聞いております。なお十分に調べてみますが、そういうふうに聞いております。  それから、実施までに県がなお調整に努力すると言うておりますので、その成り行き等を十分見てわれわれは図っていきたいと思うております。
  74. 三浦久

    ○三浦(久)委員 次に、港湾整備の第六次の五カ年計画についてお尋ねをいたします。  概算要求の時点で五兆三千七百億円という計画、それが三月十三日の閣議了解されたものでは四兆二千六百億円というふうになっておりますが、その計画の細部については、概算要求のとき作成した計画の程度すらまだできていないというふうに承っておるわけです。たとえば港湾整備事業、これは三兆二百億円というふうにあるだけであって、その事業別配分も地域別配分も決まっていないということを聞いておりますけれども、それであれば、いつごろそういう細部にわたっての計画ができるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  75. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  現在、港湾管理者との調整をいたしておりまして、できるだけ早くまとめてみたいと思っておりますが、七月か八月ごろまでにはこの内容を確定するように持っていきたいと思っております。
  76. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いまこの法案を審査しているわけですよ。私は、この法案を審査するときにやはり出してくるべきだと思う。それは形式的には、この法律ができてから五カ年計画をつくって、閣議決定もらうんだ、こうなっておるけれども、実際この法案の中身というのは、その第六次の五カ年計画が妥当かどうかということなんですね。それによってこの法案に対する賛否の態度が決まってくるわけでありますから、私はいまの時点でそういうことがわからないで、七月にならなければわからないというのは、それがわからないままこの法案を出してくることに非常に奇異の感を抱いているわけなんです。これは私は本来法案と一緒にわれわれの前に提示するのが妥当だというふうに考えているわけであります。  われわれはいままで、第一次から五次までの港湾計画については反対をしてきました。これは何も港湾整備が必要ないという観点からではないのであります。港湾整備というのは、日本の経済の発展のために必要であります。しかし、これは大企業の産業基盤投資という性格が非常に前面に出ている。そして、国民に密接な関係のある中小港湾地方港湾というものの整備がそのためになおざりにされてきた、そういう計画についてはわれわれは賛成できないのだという立場をとってきたわけなのであります。  たとえば、苫小牧の東部開発の港湾建設事業費はいままでに五百十九億円つぎ込んでいるわけですよ。港湾だけではなくてダムとか道路とか工業用水とか、そういう国と地方自治体がいままでに注ぎ込んできた金を全部入れますと千六百二十一億円投資した。それで、一九八〇年のこの目標はほとんど達成されていないのですね。たとえば鉄鋼が八十万トン、非鉄金属が七十二万トン、石油精製が三十万バレル、自動車十五万台の生産、こういうようなものは何一つ目標達成されていない。金だけどんどんつぎ込んでいる。いまあるのは国と電力会社の石油備蓄基地だけという非常にお寒い状況になっているわけであります。  時間がありませんので、質問はやめまして演説をさせていただきますが、こういうことは苫小牧だけではないと思うのです。ですから、そういう意味では、六次の五カ年計画がいままでのようなやり方であれば私たちとしてはどうしても賛成することができないと考えているわけであります。そういう意味で、重要港湾に偏ったような投資ではなくて、いわゆるバランスのとれた国土の均衡ある発展、そういう観点から港湾計画というものを十分に検討していただきたいと私は考えております。しかし、その保証がない現在は、私たちはこの法案に対しては反対という立場をとらざるを得ないということを表明して、私の質問を終わりたいと思います。
  77. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  78. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  81. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 この際、塩川運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩川運輸大臣
  82. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ただいま港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、慎重審議の結果、御可決いただき、まことにありがとうございました。  また、審議の過程において御指摘のありました諸点につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。  どうもありがとうございました。
  83. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三分散会