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1981-03-27 第94回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十七日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 関谷 勝嗣君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君    近岡理一郎君       永田 亮一君    浜野  剛君       林  大幹君    古屋  亨君       三塚  博君    井岡 大治君       伊賀 定盛君    小林 恒人君       関  晴正君    浅井 美幸君       小渕 正義君    三浦  久君       四ツ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         運輸大臣官房審         議官      小野 維之君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君  委員外出席者         自治大臣官房地         域政策課長   藤原 良一君         参  考  人         (京浜外貿埠頭         公団理事長)  高林 康一君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 三月二十六日  広域臨海環境整備センター法案内閣提出第三  八号)  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六三号) 同月二十五日  国内用船外機検査免除に関する請願愛野興  一郎紹介)(第二一二四号)  同(足立篤郎紹介)(第二一二五号)  同外二件(内海英男紹介)(第二一二六号)  同外一件(木村俊夫紹介)(第二一二七号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第二一二八号)  同(森下元晴君紹介)(第二一二九号)  同(足立篤郎紹介)(第二一九二号)  気象業務整備拡充に関する請願栗田翠君紹  介)(第二一三〇号)  同(野間友一紹介)(第二一三一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二一三二号)  同(村上弘紹介)(第二一三三号)  同(鈴木強紹介)(第二一九一号)  地方バス路線対策改善強化に関する請願(小  沢一郎紹介)(第二一六八号)  海上保安庁第二管区内に救難飛行艇配備に関す  る請願小沢一郎紹介)(第二一六九号)  飯塚測候所夜間閉鎖計画撤回整備拡充に関  する請願大橋敏雄紹介)(第二二六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  外貿埠頭公団解散及び業務承継に関する法  律案内閣提出第三五号)      ————◇—————
  2. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出外貿埠頭公団解散及び業務承継に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、京浜外貿埠頭公団理事長高林康一君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小此木彦三郎

    小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  5. 福岡義登

    福岡委員 この法案は二月十七日に国会提出されたわけでありますが、この国会提出までの過程で幾つかの問題を含んでおるようにお見受けしておるわけであります。まず、その点について質問したいと思うのです。  昭和五十二年十二月二十三日の閣議におきましては、京浜、阪神両外貿埠頭公団を廃止して、それぞれ港湾管理者移管することが決定されております。しかるに、今回の法案では、それぞれ四つ財団法人設立して、そこへ移管をする、こういうことになっておるわけであります。この間の事情はどうかとお尋ねすれば、恐らくいわゆる港湾審議会答申に基づいて法案を作成した、こうおっしゃると思うのであります。ところが、この港湾審議会経過を見ますと、必ずしも十分な経過をたどっていない。たとえば中立委員の四名か五名の皆さん、あるいは自治省系統委員皆さん、そういう方々最終場面で、大切な審議会あるいは管理部会などに欠席をされている。その後、関係のこれらの方々から意見書もしくはそれに準ずるようなものが出されている。  こう考えてまいりますと、どうもこの法案港湾審議会答申に基づいてなされたとおっしゃっても、港湾審議会自体経過の中に問題を含んでいるように思うのであります。この辺の経過なり御見解をまずお伺いしたいと思います。
  6. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  五十二年の十二月の閣議におきまして、港湾管理者移管をする、そして諸条件整備を図るというふうに定められております。この諸条件整備というのは、港湾管理者移管をする場合に、直接に管理者移管をする必要があるのか、あるいは管理者の分身としての別の法人等をつくった方がいいのか、そういった問題も含めて、いろいろな条件検討整備をするというふうに私ども理解をいたしております。そういうことで、港湾審議会にその辺の御検討をお願いをいたしたわけでございます。  審議会経過につきまして、ただいま先生からいろいろ御指摘がございましたが、確かに審議会開催をいたしまして、その過程で非常にいろいろな意見が出てまいりましたことは、御指摘のとおりでございます。そういった状況を踏まえまして、審議会管理部会におきましては、利害関係者懇談会をまずつくって、いろいろな御意見を伺おうということをお決めいただいたわけでございます。そういうことで、五回にわたりまして利害関係者等懇談会開催をされまして、そこでいろいろな意見が十分に検討をされております。  意見の主なものを申し上げますと、まず港湾管理者の御意見といたしましては、港湾管理者移管をするということの場合のいろいろな問題点等について御意見が出ておりますし、あるいはユーザー、つまりこの外貿埠頭を借り受けております借受者の代表からは、その港湾管理者移管をするという考え方に対する対案といたしまして、民間に移管をしてはどうかというような意見も出ておったわけでございます。そういったいろいろな意見が出まして、その懇談会におきましてはそれぞれの意見利害得失、そういったことが話題になりまして、この辺の関係者理解を深めることに大変意義があったというふうに考えております。  しかしながら、その懇談会自身関係者意見が総合されまして一つ承継に関する結論にまで達し得なかったわけでございまして、五回の懇談会の末に、そういった関係者のそれぞれの意見を煮詰めた報告書管理部会提出をされております。  管理部会におかれましては、この懇談会報告を受けられまして、利害関係者のそれぞれの御意見あるいはそのそれぞれの御意見問題点、そういうものがほぼ懇談会審議を通じて明らかになったということで、今度は利害関係のない中立的な方々審議会委員の中からお選びになりまして、この中立的な小委員承継に関する基本的な考え方をまとめるということを小委員会に付託をされたわけでございます。  それで、小委員会におきまして、先ほど先生指摘のございました答申骨子になる考え方がおまとめになられたわけでございます。そして、小委員会でその骨子をつくるということが審議会で決められましたときに、そういう審議の進め方についての了承がとられておりますし、そして従来の懇談会審議を通じていろんな関係者意見等ももう出尽くしておりますから、大筋は小委員会結論を尊重をしていくというような同意もその場で得られておったかに記憶いたしております。  そういうふうな経過を経まして審議会答申が出されておりますわけで、私どもはその審議会経過を通じていろんな利害関係者考え方問題点、そういったものが整理をされ、大筋の点におきましては皆様方がこの審議会答申に対しては大きな異論はなく御了承をいただいておったのではないかと思っております。  それで、先ほど御指摘の中で、後に意見書が出たという御意見でございますが、自治省委員からの意見書は当日出ておりまして、そういった意見書も踏まえた上で答申を御決定をいただいたというふうに私ども理解いたしておるわけでございます。
  7. 福岡義登

    福岡委員 運輸大臣にお伺いいたしますが、いま港湾局長から若干の経過説明があったのですけれども結論として港湾審議会答申関係者が全く意見が一致して完全無欠であるとはいえない節があることはお認めになると思うのです。問題は、無理をしてまとめて法律成立をしましても、うまくそれが運営できるか、実施できるかという点にあると思うのですね。ですから、私は特に港湾管理者である地方自治体にこの法案に対して強い意見があるというように承知しておるのでありますけれども、そういう問題を含めて、この法律成立をして間違いなくやっていけるかどうか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  8. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど港湾局長経過説明しておりましたように、確かに港湾管理者の思惑と申しましょうか、考えておられることと、当初この公団整理をして移管体制をとることとの間に若干の相違があったことは事実でございます。  しかしながら、いろいろと回を重ね、そして委員会等で発言をしていただいてまとめていきました過程において、要するにこの業務を継承していきます指定法人というのが、港湾管理者意見を十分に反映するものであるということを、われわれもそうあるべきであると思うておりますし、そういうことの理解がとられてまいりましてから、いろいろとおっしゃるように、完全なものではないにいたしましても、ここで大方の合意がとりつけられて、あとはこの運営をどうスムーズに運営していくかということになってきておるように思うておりますし、また、いままで運輸省といたしまして公団を通じてやってまいりました趣旨が、以降継承いたします指定法人において十分生かされる道もこれによって確保されておりますので、双方これにおいて妥協し得られ、一体となって運営し得る体制がとれた、こう思うております。
  9. 福岡義登

    福岡委員 自治省としては、この法案に対しまして全く異論がない、個々の中身は別といたしまして、移管先指定法人となったことについて全く意見を持っていないかどうか、承りたいと思う。
  10. 藤原良一

    藤原説明員 お答えいたします。  移管先の問題を初め、法案をまとめる過程におきましては自治省といたしましてもいろいろ意見を申し上げたわけですけれども関係者が非常に多岐にわたり大ぜいおられるわけです。そういう方々意見も総合して判断いたしまして、最終的にはこういう形でやむを得ないのじゃないか、また、こういう形で今後の合理的な運営にも支障がないということで合意をしたわけでございます。
  11. 福岡義登

    福岡委員 それでは、次に移りたいと思います。  この法案は、行政改革の一環として長く御議論されてきましてようやくこの国会に出たというしろものであります。問題は、本当に行革になるかどうか、私は逆行すると思うのであります。あといろいろ説明があるのじゃないかと思うのですが、どういう説明があっても、この点だけはちょっと理解できないように、私はいろいろ考えましたけれども、思うのであります。  二つ埠頭公団、これを一つにまとめるというのなら、これは行政改革になる。ところが、今度四つ財団法人をつくりましてそこへ分割承継する、移管する、こういうわけであります。行政機構を減らしていくということが行政改革常識ではないかと思う。それを今度四つにふやそうというのですから、どう考えてもこれは行政改革ではない。あえて言えば逆行するものである、こう思うのですが、運輸大臣、その辺どうお考えになりますか。
  12. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 福岡先生のおっしゃる、その事業主体がいままでの二つ四つになるという、そういう点から申しましたら、仰せのように、そのように見えるかもわかりません。  しかし、この公団を廃止するということは、ただ行政改革のみではなくして、公団の持っておりました、いわば国際海運に対抗し得る専用コンテナをつくるというこの公団としての使命は一応終わって、あと港湾を一体的に管理していく体制をとった方がより効率的である、そういうことから公団を廃止し、そして港湾管理者のもとにおいて港湾運営を一体化し得るような方法をとろう、そういうことで港湾管理者が直接指揮監督し得る体制をとった、そういう法人にやらしていこうということでございますから、港湾運営の面から見ましたならば、私は大変な合理化への道ではないかと思うております。これは移管早々ではその効果はなかなか発揮してこないかもわかりませんけれども、しかし、それぞれの港湾管理者中心となりまして、長い将来にわたりまして港湾管理をしていくという面から見ましたら、この効果は必ず出てくるものだと思うておりまして、その点におきましてはやはりこれは行政効率化を一歩進み出したものだと私たちは認識しておるものであります。
  13. 福岡義登

    福岡委員 せっかくの大臣お話でございますが、どうも理解できません。公団を廃止していく、主たる使命が終わった、こうおっしゃるのですけれども、この議論は後ですることにしまして、もし仮にそうだとした場合に、主たる任務が終わったと仮に仮定をいたしまして、あと管理が残る。管理の仕方についてもこの法案では十分ではない。これも後で議論をしていきたいと思うのですが、形が、二つ四つにふえるのですから、常識的に考えますと、そこの社長といいましょうか、理事長、総裁というか、どういう名前をつけるか知りませんが、仮に理事長とすると、これは四人要りますね。ことほどさように、やはり固定経費は企業が大きくても小さくてもある程度最小限のものは必要とするわけであります。比例経費はどうなるか、それぞれのケースによって変わってくるでしょうけれども、まあ常識で考えますと、管理業務中心とするといっても、数がふえればふえるだけ行政は煩瑣になるし、かかる経費も非効率な面が相当ある、こう考えるわけであります。  こう考えていきますと、やはり四つ法人に分割承継されるというこの法案では理解できないと思うのですが、重ねてお尋ねいたします。
  14. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、公団業務のうちの建設部門というのが終わってまいりましてだんだんに重要性が減ってきた、そういうことで今回の行政機構改革の対象とされたわけでございますが、管理ということに着目いたしますと、港湾管理というのは現在各港ごと港湾管理者設立されておりまして、この外貿埠頭といいますのは、それぞれの港においてきわめて中核的な、その港の中心になるような施設でございます。そういうことを考えますと、外貿埠頭管理という問題は、それぞれの港のほかの施設管理と密接不可分と申しますか、きわめて関連が深いということを常に考慮しなければいけないというふうに考えるわけでございまして、そういう意味から、管理主体にしたような業務でありますれば、それぞれの港湾管理者との密接な連関がとりやすい、それぞれの管理者がそれぞれ設立をいたしました法人が適当であるというふうに判断をいたしたわけでございます。  先生がおっしゃいましたように、いろいろな役員の問題でございますとか、そういう点は確かに御指摘のような問題点があろうかと思いますので、全体の役員の数あるいは組織の規模、そういったものにつきましては極力簡素なものにして、御指摘のような問題点が残らないように今後私どもといたしましても十分に指導をしてまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 福岡義登

    福岡委員 いろいろ御説明があるのですけれども、この点はどうしても私は行政改革にはならぬし、むしろむだになる面が多い、こう思わざるを得ないのであります。この法案ができて何がメリットかということになるのですが、あえて言うとすれば、これも問題はあるのですけれども政府が出しておる出資金貸付金に切りかえて、それを引き揚げる、政府の方に一時的に金が返ってくる、そういうことはある意味メリットかもしれませんけれどもあとは何もない。むしろ悪くなる。経済的に見ても行政的に見ましても、この法案が通ることによって悪くなる。メリットは何もない、デメリットばかりだ、こう思います。その点はこの程度にします。  さて、次は、港湾管理の問題であります。この答申にどう書いてあるか。四つに分割することは適当でない、こう書いてある。念のために読み上げますけれども答申の一の(二)ですが、「ところで、公団は、東京湾及び大阪湾において隣接港湾相互間の重複、競合を避け、湾全体の広域的かつ総合的な調整設立以来志向してきており、また、この両湾域においては、公団埠頭に限らずおよそ外貿用港湾施設全体について広域的管理を行うことは、長期的に目指すべき方向にあるといえる。したがって、公団業務承継主体の数は、本来は、東京湾及び大阪湾ごと一つずっとすることが港湾管理適正化の視点からも、また、行政改革趣旨に照らしても望ましいと考えられるが、」云々、こう答申に書いてあるのです。  次いで、そうは言うけれども、過渡的にという意味で、「これら関係港湾全体の広域的管理体制が確立されるまでは、当面各港ごと承継主体となることもやむを得ないものと考える。」過渡的には認めておるけれども、基本的にはやはり二つ管理していく方がいいんだということを書いてあるわけです。  したがって、いま大臣なり港湾局長お話で、建設事業という主たる任務は終わって、管理面中心になったんだから、それぞれの港湾管理者単位指定法人をつくってやらした方がいいんだ、こうおっしゃるけれども、専門的にいろいろ審議しました港湾審議会は、そういうことは言っていないわけですね。一体的に管理するのが目指すべき方向であると書いてある。過渡的に云々と書いて、最後にどう締めくくっておるかといいますと、「しかし、以上指摘してきた点を十分認識の上、広域的な管理運営が行われるよう、四つ承継主体により構成される外貿埠頭運営のための協議会を設けて相互連絡調整を図ることはもとより、国により強力な指導調整を行うことが不可欠である。」こう書いてあるわけです。ところが、この法案の中にはこの協議会規定は何もないのです。ですから、前段の方は、大臣なり港湾局長が御説明なさった四つに分割承継するというのは基本的に誤りである。これはお認めにならなければいけない。そこで、過渡的に四つに分割はやむを得ないが、しかし、この場合でも協議会をつくって横の連絡を十分にしなさいよということが書いてある。しかし、その肝心の協議会規定はこの法案の中には何もない。  大臣どう思われますか。
  16. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、審議会答申の中で広域的な管理必要性について述べられております部分につきましては、私ども港湾局といたしましても、こういった大きな港湾がそれぞれ共通の目的をそれぞれの港湾として果たしておるというような場合には、広域的な運営というものがどうしても必要だという方向は同感でございます。これは従来から、港湾審議会からの以前にいただきました御答申の中にもその点の御指摘がございまして、これが今回の現在廃止しようとしております公団をつくりますときにそういう考え方を取り入れましてつくったわけでございますが、今回の御答申趣旨は、そういった外貿埠頭公団で行っております業務だけでなくて、外貿埠頭全般運営といったようなものは広域的に管理する必要があるということを主体として述べておられるわけでございます。したがいまして、最後結論の方も、そういう港湾管理主体の方を広域的な機能が持てるようなものにしていくべきであるが、それができないうちは、個々港湾がそれぞれの港湾管理者管理されておるわけでありますから承継主体四つになることはやむを得ない、こういう御趣旨だと私ども考えております。したがいまして、今後の方向として港湾管理主体ができるだけ広域的にいろいろな問題が処理できるような方向に持っていく必要性は私ども現在も認めておるわけでございまして、若干この問題とは離れるかもしれませんけれども港湾法の改正をいたしました際に、そういった港湾管理業務というものを広域的に処理する必要性に着目いたしまして、港湾管理者協議会をつくれるということを盛り込んでおります。現在その協議会ができておる例はございませんが、そういうふうな方法で漸進的に広域的な管理を目指そうという姿勢は私ども従来からとっておりますし、今後もとってまいりたいと思っております。しかし、現状に着目いたしますと、各港湾がそれぞれ別個の管理者によって管理されておるというのが現状でございますので、その現状に即して最も効率的にこれを処理していくのには今回のような処置の仕方が一番いいのではないかというふうに考えたわけでございます。  それから、答申の中で四者の協議会をつくる必要があるというふうに御指摘を受けております。私どももその点は十分に承知をいたしておりますが、この四者の協議会といいますのは、法律の中に盛り込んで書くよりも、各法人が自発的に設立をしていただいて問題の処理に当たっていただくというのが一番適当ではないかというふうに考えておるわけでございまして、現在こういった種類の協議会というのが、たとえばフェリー埠頭業務というのが各地にございますが、いろいろ共通問題等もありますので、そういった共通問題を一緒に討議をするという場を求める意味協議会をつくっておられます。こういうふうに、それぞれの法人が自発的におつくりになるというのが一番適当だろうというふうに考えておりますので、私どもも今後御答申趣旨を受けまして、そういった方向に各法人あるいは各港湾管理者指導してまいりたいというふうに考えております。
  17. 福岡義登

    福岡委員 協議会の方ですけれども、自発的にそれぞれがというお話なんですが、恐らくこれは行政指導をなされる場合もあると思うのです。しかし、これほどの問題ですから、たとえば別に政令で定めるところにより協議会を設けて横の連絡を密にやるくらいの配慮が必要である、こう思います。  それから、前段の方ですけれども答申そのものにも私はちょっと疑問を持つのです。当面四つに、港湾管理者ごと法人を設置しなければ管理できないか、ここのところですけれども、私はすぐできると思う。たとえば、いまの二つ公団を廃止するということならそれは廃止することにして、それを財団法人に切りかえて、そこへいままでどおり東京湾大阪湾ごと管理をさせる。これは手がけてきてその建設業務の残ったものと管理の面を中心にやっていけばいいのであって、これが一番経費もかからぬし、スムーズにいけるのではないか。あえて四つに区分しなければならぬ理由はどこにも見当たらぬじゃないですか。
  18. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 先生指摘のとおり、二つで絶対にできないかということでございますれば、二つで絶対にできないということは言えないと私ども思います。ただ、先ほど来御説明いたしましたように、建設よりもむしろ管理重点が置かれる今後のこの外貿埠頭業務を考えますと、それぞれの港湾管理を行っておる管理者の密接な連携に重点を置いた方が業務運営がよりスムーズにいくのではないかというふうに判断いたしたわけでございます。
  19. 福岡義登

    福岡委員 それならば、この答申に書いてある前段、将来目指すべき方向はかくあるべきだ、しかも後段で、その準備ができるまでは過渡的に四つにと書いてある、これは否定されるわけですか。主体建設から管理という業務に移ったのだから港湾管理者単位管理させる方がいいのだという御説明でしょう。それならば、答申で言う、将来広域的に管理をする方向を目指してと、こう書いてある、これは否定されるわけですか。
  20. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 御答申は、港湾管理を広域的にやるべきだ、つまりちょっと短絡的な言い方をしますと、港湾管理者一つにした方がいいという、いわばそういう御趣旨が先に書いてあるわけでございます。それで、現在その管理者一つになっておりませんので、東京湾でございますと二つあるのが現状であるから、それぞれの管理の連関を考える意味二つにするのがいいというふうにお書きいただいているものと考えております。  ただ、港湾管理につきましても、答申にございますように、外貿埠頭に関して言いますと、確かに管理を一体化して広域的に管理した方がいいという考え方になりますが、港湾管理は必ずしも外貿埠頭だけではございませんで、内国貿易、内貿の埠頭施設等についても管理をいたしております。こういった内貿関係は必ずしもそれぞれの港湾管理者一つになってやった方がいい面ばかりでもございませんで、それぞれの地域の特性を踏まえてそれぞれの地域に管理者があった方がいい面もございます。港湾管理はその両方の複合した業務でございますので、外貿埠頭だけに着目して港湾管理者一つにしてしまえばいいというふうには一概には申し上げられませんので、先ほどちょっと短絡的だというふうにお断り申し上げたわけでございますが、外貿埠頭業務について言えば、そういうなるべく一体的に広域的に管理できる主体方向を目指した方がいいというふうに答申は言っておられるのだと思います。ですから、そういう方向を将来的には目指すべきであるし、そういう方向がもし実現した暁にはこの新法人一つに合併をするというようなことがあるいは適当かもしれないと考えます。
  21. 福岡義登

    福岡委員 角度を変えてお尋ねしますけれども、いままで二つ公団が、埠頭建設建設をした埠頭の管理運営をやってきたわけですね。建設業務は別といたしまして、管理面で、いままでやってきて何かそごがありましたか。具体的に四つに分割しなければならぬという積極的な不都合な点があるか。
  22. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いまお尋ねの問題を一連的に申し上げますと、そもそもこの公団が発足いたしましたときは、それは福岡先生もその当時の事情は十分御承知のことだと思うのです。急速にコンテナ化が進みまして、そのコンテナ化に対応するためには日本の港湾を急速に整備しなければならぬ。そこで、地方公共団体がやっております港湾管理者としての港湾の仕事は、いわば公共バースが中心であった。ところが、これだけのコンテナ船を専用に受け入れるということになれば、それにふさわしい設備も必要であるし、そしてまた急速な建設をいたさなければならぬというので、とりあえず大阪湾東京湾という湾を中心にして建設を進めようということでやった。ですから、その当時から、いわばコンテナ埠頭について港湾管理者建設もし、管理もしたいという意向はあったであろうと思うのです。しかし、港湾管理者ではなかなか進まなかったものですから、巨大な資金を一遍につぎ込むためには公団設立せざるを得なかった。そして、今日一応建設が終わりました。だから、建設の段階においてはそれぞれの湾ごとに公団を設けて建設主体にやらすということが可能でございましたでしょう。けれども、いまや一応建設を終わって、あと管理港湾の中の一体的な設備としての運営をしていく段階になってまいりました。そういたしますと、それぞれの港湾管理者中心とした管理運営をとらせていく方が効率的でもあるし、実情に合うたものではないか、こう判断せざるを得ないと思うのです。審議会答申も実はそういう面で言っておられるのでございまして、いわば湾ごとで一つ管理をするのは望ましいけれども、それは現実を見た場合に、えてして港湾管理者というのが過去それぞれに孤立しておりますから、別個になっておりますから、そういうものに合わせていくとするならばやはり管理者ごとに指定法人をつくった方がいいのではないか、そういう答申趣旨とわれわれは承っておりますし、また答申の内容もそこを言っておられるのだ、こう判断しております。
  23. 福岡義登

    福岡委員 どうも理解できぬのです。言われておる中身はわかるのですよ。しかし、どうしてこうしなければならぬのかという理由がわからない。一般公共埠頭と外貿埠頭外貿埠頭の場合は専用ですから、必ずしも一般公共埠頭と一体的な運用をしなければならぬという必要性も余り感じない。  そこで、私は、いままで公団管理してきたのだけれども、積極的にどういう面で不都合があったか。別々に、一般公共埠頭は港湾管理者管理してきた、外貿埠頭公団管理してきた、どういうことで不都合があったか、それを具体的に聞かしていただきたい。
  24. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 具体的な不都合というのはないように運営されておったと考えております。つまり公団一つでございますが、それぞれの港湾管理者と常時協議をし、調整をされまして、その間の管理上の意見のそご等は起こらないように公団運営がなされておりましたので、現実に具体的にここがぐあい悪かったというような点はなかったように思います。しかし、先ほどから申し上げておりますように、管理という面にだけ着目いたしますと、それぞれの港湾管理者と密接な関係を持っておった方がよりスムーズにいくという点は従来もあったのではないかと思います。その点の業務運営上の努力を公団でいろいろやっていただきまして、実際問題としては何らそごなく業務運営が行われておったように思っております。
  25. 福岡義登

    福岡委員 広域的な管理が望ましい。いままで広域的な管理をやってきた、建設業務とあわせて。それならそれで今後もやっていけば、いろいろな角度から考えてみてそれが一番いいのではないかと私は思うのです。これはこれ以上押し問答しても仕方がないでしょうが、私どもはどうも得心できないということでございます。  そこで、問題の、公団の主たる任務は埠頭建設である。参考のために、四十二年の発足以来公団は埠頭建設をどれだけしてきたのか、あるいは残事業はどれだけあるのか、それと第六次港湾整備五カ年計画ではどういう建設を考えられておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  26. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  公団が現在までつくってまいりました数は、京浜埠頭公団におきましてコンテナバースが十四バース、それからライナーバースが十七バースでございます。それから、阪神外貿埠頭公団、神戸、大阪におきましてはコンテナバースが十四バース、ライナーバースが二十二バースでございます。現在建設中のバースが、京浜でコンテナバースニバース、阪神で四バースございますので、合計いたしますと、京浜埠頭公団におきましてはコンテナが十六バース、ライナーが十七バース、阪神埠頭公団におきましてはコンテナが十八バース、ライナーが二十二バース、こういう整備を行ってまいっております。  それから、今後の整備の問題でございますが、現在港湾整備五カ年計画の内容を整理いたしておりまして、この五カ年計画にどの程度のコンテナ埠頭の数を盛り込むかという点はまだ詰まっておりません。現在の時点では決定をいたしておりません。いずれにいたしましても、この公団でつくりましたような大量のバースを急速に整備するというような予定はございません。
  27. 福岡義登

    福岡委員 調査室からいただいた資料によりますと、京浜がいま建設中のバースが三バース、それから阪神の方が四バース、七バースが五十五年度で建設中である。それから、第六次の五カ年計画では、たしか最初は十一バースぐらい計画されておったんじゃないかと思うのですが、いまの話を聞きますと、まだ数字ははっきりしないとおっしゃるのですけれども、もうちょっと突っ込んだ中身を聞かしていただきたい。
  28. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 ただいまの数字の違いは、横浜におきましては大黒町のバースが三月一日で完成いたしました。それで数が減っております。  それから、もう一つの計画の点でございますが、十一と先生いまおっしゃいました数字は、多分昨年の暮れに五カ年計画の要求をいたしておりましたときの、七兆三千億円という案を運輸省としては希望いたしておりました、その中の運輸省の要望しております数字をお挙げいただいたものと思っております。そういうことで、その後五カ年計画が、経済情勢等を勘案して規模を縮小しております。そういったことで、新しい規模につきまして、先ほど申し上げましたように、内容を詰める作業を現在進めておりますので、数はまだ決定いたしておりません、こう申し上げたわけでございます。
  29. 福岡義登

    福岡委員 次へ移ります。  公団の権利義務を引き継ぐものは、港湾管理者が設置した財団法人で、この財団法人運輸大臣に指定を申請して指定を受けたもの、こう解釈して間違いありませんか。
  30. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  31. 福岡義登

    福岡委員 実態的にそういうことがあるという予測でお尋ねをするのではないのですけれども港湾管理者財団法人設立しなければならぬ、あるいは設立をされた財団法人運輸大臣に指定の申請をしなければならぬという義務規定がこの法案の中にありますか。
  32. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 そのような義務規定は置いておりません。
  33. 福岡義登

    福岡委員 そういたしますと、実態的にという断りを言ってお尋ねをしておるのですが、万一、仮に港湾管理者財団法人を設置しない、設置されてもその財団法人が指定の申請をしないということが起きたらどうなるのか。
  34. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 先ほどこの法案を御提出申し上げるまでの経緯について御説明申し上げましたように、いままでの段階で港湾管理者その他関係者意見を十分に伺いまして、問題点を煮詰めて現在の状態に至っております。したがいまして、こういった形で港湾管理者設立した法人大臣が指定をするという点については、十分港湾管理者の御了解を得ておると考えておりますので、指定の申請がないといったような事態は起こらないというふうに考えております。
  35. 福岡義登

    福岡委員 これは私もそう思います。実際はそういうことはないと思うのですね。ところが、この問題に関して東京都の経過をたどってみると、美濃部都政のときと鈴木さんになってからと考え方が変わっているのですね。だから、法律上義務は課せられていない、そういうことになってまいりますと、法律の上ではあり得る。それでもいいのか、法の不備はないのか、そこのところを聞いておきたい。
  36. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 先生ただいま御指摘いただきましたように、実態的にはそういう事態が起こる心配は万々ないというふうに考えておりまして、そういう実態的に心配がないような場合に、法律で強制の規定を置いておらない立法例は、こどもの国の承継のときの法律等に実例もございますので、法律的な不備はないというふうに考えております。
  37. 福岡義登

    福岡委員 万々そういうことはないと思いますが、まああるかもしらぬ。これはこの程度にしておきます。  さて、この法律の施行なんでありますけれども、公布の日から一年以内、こうなっておるわけですね。そこで、この法律はいつごろ公布される予定か知りませんが、仮にこの国会で通る。最終場面は五月の二十日ですね。遠からず公布されると思います。それで、一年以内に施行、こうなるわけですが、その間に実際の準備ができるだろうかということを物理的に考えてみる。  まず第一に、いま話しました港湾管理者財団法人設立しなければならない。設立された財団法人はいろいろと指定の申請をしなければならぬ。大臣港湾管理者意見を聞いて指定なさる。一方公団の方は、設置されました指定法人意見を聞きながら承継計画書を作成する。あるいは地方自治体の出資金を寄付金に切りかえるわけでありますから、そういう手続もしなければならぬ。もろもろの手続がここで規定してあるわけですね、各項ごとに。実際問題、これが一年以内でできるだろうか。先ほど私が尋ねました財団法人を設置しなければならぬ義務はない、あるいは指定の申請をしなければならぬ義務はないということもあわせ考えて、何かで問題がデッドロックに乗り上げて、最終的には法人の設置もするし、法人指定の申請もするのだけれども、そのほかのことで、たとえば承継計画書作成の中で思いがけないような問題が起きてきてというようなことを考えますと、実際問題、一年間で準備ができるのだろうかということを懸念をするのですが、その辺はいかがですか。
  38. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  施行の日につきましては、昨年の十二月に閣議決定におきまして「昭和五十六年度内に業務移管を完了する。」というふうになっておりますので、この法律が公布されましてから一年以内ということで、五十六年度の三月までの日を選んで施行いたしたいというふうに考えておりますが、もちろんその承継業務に必要な条文、条項につきましては、これは公布の日に施行するというふうに考えております。  それで、御指摘のように、大変複雑多岐な業務がたくさん承継までにはございまして、これは事務的には非常に大変なことでございますが、現在私どもその事務の進め方について考えておりますスケジュールでは、十分一年間にその移管業務を完了できると考えておるわけでございます。
  39. 福岡義登

    福岡委員 確かに財団法人に関する条項につきましては、公布の日からと、こうなっていますね。二条とか三条とか七条とかはなっておるんですけれども、問題は、考えてみまして、果たして一年以内でできるだろうか。三月末ということになりますと、五十六年度じゅうということになりますと、五月二十日に成立しましても、十カ月、正確に言うと九カ月しかないわけですね。その間にこれだけのことができるんだろうか。そこで、心配になってまいりますのが、お得意の地方自治体を締めつけて、少々文句あっても文句を言うな、もう期限はここに決まっているんだと、運輸大臣が一声かけられるか、あるいは港湾局長が声をかけられるか、地方自治体を相当抑えつけるんじゃないか。もう少し厳しい言葉で言うと、地方自治の侵害まで犯す心配はないか、そういうことなんですね。絶対に無理なしに来年の三月末までに諸準備は完了いたしますということが約束できますか。同時に、強制的なことはやらないという約束はできますか。
  40. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 港湾管理者に対して強制をするというようなことは、もちろんできるわけでもございませんし、考えておりませんで、先ほど来御説明をいたしましたように、現在までの段階でいろいろな点について港湾管理者との間の意見の交換もいたしておりますし、港湾管理者の現在の状況等もお聞かせをいただいております。そういう状況を全般的に判断いたしまして、一年以内にこの業務を完了し得るというふうに考えております。
  41. 福岡義登

    福岡委員 次へ移りますが、承継——さっき大臣は継承と、こうおっしゃった。承り継ぐと、こう法案には書いてある。大臣がおっしゃるように継承と書くのと承継と書くのとでは、特別何か意味があるんですか、後学のためにちょっと。
  42. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 どうも恐れ入りました。継承も承継も同じ意味で、私は承継と言っているつもりだったのを継承と言って、間違えましたので訂正いたします。
  43. 福岡義登

    福岡委員 承継計画書の策定についてでありますが、第二条第二項によりまして、公団指定法人意見を聞いて策定する、こう書いてあるわけです。この承継計画書に関係のあるのは指定法人だけではないと思いますね。埠頭を借りておる人もおるだろうし、あるいはそこで働いておる人もいるだろうし、関連しておる関係者指定法人だけではないと思うのですね。ところが、この法律第二条第二項には、公団は「指定法人意見を聴き、」こう書いてある。この点はどう解釈すればいいのでしょうか。
  44. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 公団から指定法人へ、権利及び義務が承継されるわけでございます。現在この外貿埠頭の事業は公団が実施いたしておりますので、現在の業務の実態は公団が全面的に把握をしておられる。そういう意味で、この承継計画書は公団につくっていただくのが一番適当だというふうに考えました。そして、その権利義務の承継の相手方である法人等意見を聞いてこれをつくっていただくというふうに考えたわけでございます。もちろん、その他の関係者は多数おられまして、円満な承継のためには、そういった方々の御意見も折に触れて伺っていく必要は当然あろうかと存じております。港湾審議会審議過程におきましても、公団港湾管理者の間の意見の交換等もございましたし、いろいろな場合においてそういった密接な意見の交換はいたしてまいらなければいけないと思っておりますし、現在公団で働いておられて、今後法人に移られるという職員の方々の御意向も、これは折に触れて十分伺わなければいけないと思いますが、権利義務の承継に関する計画というのは、その承継の当事者である両者が、意見を聞き、片一方が作成をする、そういうことで考えたわけでございます。
  45. 福岡義登

    福岡委員 確かにおっしゃるとおりで、直接の当事者は公団であり、指定法人であることはそのとおりなんです。しかし、この承継計画書によって他の権利義務にかかわる問題もあるわけですね。埠頭を借りておる人の権利が侵害される場合もあるかもしらぬ。たとえば料金その他もあるでしょう。いろいろ働いておる人の転換の中身もあるでしょう。業務それ自体の承継は、この当事者は公団であり、受ける方は指定法人である、これはおっしゃるとおりで、そのまま否定しない。しかし、その他にも権利にかかわる関係者がおりますよ。これはお認めになるでしょう。ところが、この法案にはぴしっと書いてあるのです。「指定法人意見を聴き、」こう書いてある。指定法人に限定してあるわけです。これでは片手落ちではないか。ここへはっきり書くべきじゃないか。当事者はそれであることは間違いない、これは認めますよ。しかし、この承継計画書によって権利が侵されたり、いまいろいろ関係する人はおるのですから、その人々の意見を聞くことをなぜここへ書けないのですか。
  46. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、関係者の御意見を折に触れて十分伺って、そういった御意見を踏まえた上で承継の事務の処理がなされる必要性は十分あると私ども考えておりますが、法律に書きます承継計画書の作成の手続におきましては、両当事者の片方は意見を出し、片方が作成をするということを規定しておけばよろしいというふうに考えたわけでございます。
  47. 福岡義登

    福岡委員 大体気に入らぬのは、前段お話の「意見を聴き、」ということ、われわれの常識から言うと、協議をしとすべきで、当事者同士が協議をして決めるべきであって、意見を聞くと言ったって、実際は協議みたいなことにならざるを得ぬと思いますが、法律の文章から読めば意見を聞けばいいのであって、それをどこまで尊重するのか。本来ならば、この「意見を聴き、」というのは、両者協議をしてというように読んでもらってもいいとおっしゃるのなら、それでもいい。大体この書き方が官僚的で、われわれとしては承知できない。引き継ぐものとそれを引き受けるものは対等でしょう。どうしてここへ「意見を聴き、」と書いたか。協議すると書けないのですか。
  48. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、現在公団外貿埠頭業務を実施いたしておりまして、公団業務の実態を把握しておるのは公団でございます。したがって、公団業務承継計画書をつくる主体としては公団が一番適当であるという意味で、公団主体を持ってつくるということを書いたわけでございまして、内容的に申し上げますと、意見を聞くと言いましても、意見は聞くけれどもその意見は取り入れないというようなことはもちろんあり得ないわけでございまして、実質的には協議をするのとほぼ同様の効果が得られるように十分に意見を聞かなければいけないというふうに考えておりますが、申し上げましたように、現在やっております公団が、実態の把握等の点から承継計画書をつくる主体として最も適当だという意味で、意見を聞かれるものと作成をするものというふうに分けたわけでございます。
  49. 福岡義登

    福岡委員 それは当然、公団業務の内容は一番よく知っておられることは間違いない。しかし、これは物の売買にたとえては例が適当でないが、買う方が力が強い。これを幾らで買いましょう、売る方は、まあこの値段なら少し思ったよりは少ないけれどもやむを得ぬ、他に買い手がないから売ろうか、こうなる。買い手が主導権を握る場合が通常でしょう。これは、売ってやるんだから、おい、これ何ぼで買えと押しつける発想なんですよ、発想が。そこに間違いがあるのですけれども、まあさっき「意見を聴き、」というのはほぼ協議という意味だ、こうおっしゃいますから、それはそれで了解いたします。  そこで、この指定法人以外のその他の関係者についても折に触れて意見を聞く、こうおっしゃった。どういう折に触れるのか、具体的に言ってください。
  50. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 承継計画書の作成に直接に関連してということでないということを、折に触れてと申し上げたわけでございまして、もちろん港湾管理者との意見調整、ユーザーとの意見調整等は、先ほど申し上げましたように、この問題を処理していくための審議会審議過程におきましても、それぞれの方々意見調整もあったように考えておりますし、今後関係者がそういった意見をそれぞれ出し合われるような場を私どももできるだけ準備をして、そういった機会をつくってまいりたいと考えておるわけでございます。
  51. 福岡義登

    福岡委員 さっきもちょっと言いましたように、指定法人以外の関係者の主たるもの、埠頭を借り受けておる会社、公団で働いておる関係者の人、そのほかあるかもしれませんが、中心的にはこの二つじゃないかと思うのです。いずれもこの承継計画書には深いかかわりを持っておる。借受人の方は、いままで公団と契約をしておった賃貸料というか、料金がどう変わるかというのは最大の関心事であるし、そこで働いておった職員の皆さんは、自分の身分がどう変わって、待遇がどうなるのかということも、これまた重大な関心事ですね。ですから、少なくとも、法律を修正せよとまでは言いませんが、おっしゃったように、指定法人と協議をすると同様に、借受人なり公団の職員個々にというわけにはいかぬかもしれませんが、職員団体の代表というようなものと、ある程度の、意見を聞くんじゃなしに協議的な取り扱いをしてもらいたいと思いますが、この点どうですか。
  52. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  承継計画書に書きます内容の主要な部分は、二つに分けるときにどう分けるかというような点が主体でございます。いま先生おっしゃいました借受者の賃貸借契約に基づきます権利とか、それに対応すべき公団の義務、こういったものはもちろんそのまま承継されるわけでございまして、そういった点は十分に関係権利者の権利義務は保護されておるというふうに思います。それから、雇用契約ももちろん当然のことでございまして、雇用者の義務と雇用される者の権利という点は、十分に承継の基本理念としてそのまま承継される、権利義務は承継されるというふうに考えております。  それで、承継計画書はそれを分けるということが主体でございますので、先ほど申し上げましたように、その実態を一番よく知っている公団が、受ける方の側の意見を聞きながら決めていくというふうに考えたわけでございます。
  53. 福岡義登

    福岡委員 雇用関係につきましては後でもう一遍触れますが、賃貸契約をそのまま承継する、こうおっしゃる。それで、借受人にはあれこれと不安もあると思うのですね。ですから、承継計画書にこう書いてある、これでいいですかというようなことを実際問題として公団としてはやられると思うのですね。そういう意味で、遺憾のなきを期してもらいたい、こういうことを要望しておきたいと思います。  さて、次の問題ですが、政府出資金を無利子貸付金にするという点についてであります。いま政府出資金は幾らになっていますか。
  54. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十六年度末における見込みでございますが、政府公団に対する出資金の見込み額は、京浜外貿埠頭公団に対するものが百九億二千四百万円でございます。それから、阪神外貿埠頭公団に対しますものが百二十三億四千万円でございます。合計二百三十二億六千四百万円になっております。
  55. 福岡義登

    福岡委員 この二百二十二億六千四百万円を政令で定めるところによって償還をさせる、こう書いてある。その政令はどういうことが考えられるのですか。
  56. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 政令に定める内容は、現在考えておりますのは、今後償還する額をそれぞれの港について政令で定めてはいかがかと考えております。
  57. 福岡義登

    福岡委員 いや、私の質問が悪かったか知りませんが、四つに分割をされるのはされるでしょうが、無利子だから利子は要らぬけれども、何年でいつからこの償還をさせるのか。五十六年度に幾らか償還させることになるようでありますけれども、その辺を聞いておるのです。
  58. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 出資がございました年の翌年から、三年据え置きの二十年償還といった償還条件で償還をするということで、各港の各年度の償還額を政令で定めたいというふうに考えております。
  59. 福岡義登

    福岡委員 三年据え置きで何年払いとおっしゃいました。
  60. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 二十年償還でございますから、三年の据え置き期間を引いて十七年で償還でございます。均等償還でございます。
  61. 福岡義登

    福岡委員 貸し付けた翌年度、出資した翌年度という意味ですね。そうすると、この五十六年度で幾ら償還するようになりますか。
  62. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 それぞれの出資しました年に無利子貸し付けがなされたものというふうに仮定をいたしまして、いま申し上げました償還条件で五十六年度末の償還額の総計を出しますと、両公団合計で六十七億一千八百万円になります。
  63. 福岡義登

    福岡委員 公団理事長にお尋ねしますが、六十七億、五十六年度末で政府に借金を返さなければならぬ。経営状態は非常にいいようでありますからさして問題がないようにも思うのですけれども、しかし六十七億という現金を払うことは相当このやりくり上も問題があろうと思いますし、もし手持ちの金がなければどこからか借金をして、利子のつく金を借りて返すということになる。五十六年度で六十七億返すことによる影響ですね、一口に言いますと。いや、そんなものは何でもありません、百億でも二百億でも返すだけ貯金しておりますからと言えばそれまでですけれども、その辺の事情をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  64. 高林康一

    高林参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、両公団で六十七億を五十六年度に支払いますと、当面承継主体の経営といたしましては、まず当然それだけの六十七億の現金がなくなりますので、相当苦しいものになる可能性がある。それで、いまのところ、そういうものはどの程度影響いたしますか、長期試算というものをやってみなければなりませんが、相当借入金というものが必要になってくる可能性がございます。ただ全体の長期的な収支といたしまして大体いま見通ししておりますのは、公団の収支は三十年で大体考えておりますけれども、今後二十年間で大体やはりとんとんになり得るものになると思います。したがって、当面はやはり御指摘のとおり、そういう返還によりまして資金繰りとして苦しいというようなことはあり得ると思いますけれども、長期的には何とかバランスがとれるんではなかろうかというふうに見ております。
  65. 福岡義登

    福岡委員 大臣、お聞きのとおりなんですよ。長期的に見れば何とかやりくりがつく、しかし当面は苦しい、こうおっしゃっているんです。最初政府出資金という約束で出資したわけですね。途中でこれを貸付金に切りかえる、こういうわけだ。そういうことは公団の方も予測していなかっただろうし、また、この承継する特殊法人の方もやりくりが非常に苦しくなってくることは間違いない。どうですか、ことしから、この法律成立してから三年据え置きの十七年で償還させるぐらいの配慮があってもいいんじゃないですか。
  66. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私の調べておりますのに、両公団ともやっぱりそれに対する引当金と申しましょうか、余剰金、少し皆持っておるんです。これをとりあえず少しずつなし崩してやっていくことによって、そんなに無理な——いまさっき理事長言っておりますように、それは資金繰りはそう楽ではないと思いますけれども、しかし、それがためにその法人が経理のやりくりがつかないというような状況にはならないんではないかと思うております。がしかし、この返済計画等につきまして一応われわれといたしましては、公団、運輸、大蔵、そういうところで検討して決めたものでございますが、法人が発足いたしました以後につきましても十分関心は持っていきたいと思うております。
  67. 福岡義登

    福岡委員 時間がありませんので次へ移るんですが、途中で約束変更ですからね。初めは出資金ということで出しておいて、途中からうちの方の都合が悪くなったから貸付金に切りかえて、出資したときにさかのぼって一遍にいままでの分を返せ、こういうんだからなかなか虫のいい話で、世間では通る話ではない。これは政府が公権力を持っておられるから横車も通ると思うのですが、これはやはり常識的なやり方ではないということを申し上げておきたいと思います。  それから、この同じ出資金貸付金にして引き揚げることについて他への影響もあると思うのですね。公団自体もそうですが、他へも影響がある、こう思うわけであります。つまり自己資本を減少させるときには、株式会社の場合なんかは総会の決議を必要とする。会社更生法によっても債権者の会議におきまして決議をしなければ自己資本を減少することはできない。こういう場合は全然そういう配慮はなくていいのですか。問答無用で一方的に自己資本を減少するように出資金貸付金に切りかえて取り上げてもいいということになるのですか。もし、そうだとすれば、どういう根拠法規があるのか教えていただきたいと思うのです。
  68. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  今回の承継におきましては、現在の公団の資産をこれに引き継ぐわけでございまして、この引き継ぐときの公団の資産額といいますのは、いわゆる簿価に比べましてかなり資産価値が高うございます。そういったことで、出資金を返還させるということにいたしまして引き継ぎましても債権者に不利なことにはならないというふうに考えておるわけでございます。
  69. 福岡義登

    福岡委員 政府がバックにおるのですから迷惑はかからぬと私は思いますけれども、いまお伺いしておりますのは、自己資本を減少させるときに、株式会社ならば株主総会で特別決議をしなければできないのですよ。会社更生法でも債権者会議を開いてそこで決議されなければできない、御承知のように。こういう場合は一方的にやってもいいのか。やってもいいというんならどこに根拠があるのか、そこをお聞きしているわけです。
  70. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 債権者保護という観点から実態的に債権者が十分保護されておりますので、立法論としてこういった免責的な債務の引き受けということが可能であろうというふうに考えております。
  71. 福岡義登

    福岡委員 どうも虫のいいお話で得心できませんが、しかし、ここで申し上げておきたいのは、途中変更ですからね、出資金貸付金に切りかえて引き揚げるというのは。そこのところは、やはり悪く言えば人をだますわけですからね。どうもわれわれ常識では理解できない。政府なら何をしてもいいのか。たまたま公団がしっかりした業務をやっていますからね。それで、このくらいのものは何とか対応できるけれども、もし傾きかけた公団ならどうしますか。そういう場合は実態的に配慮しましてと、こうおっしゃるかもしれませんけれども、やはり一貫した政策というものを貫いていただきたい、こういう要望だけ私は申し上げておきます。  ところで、同額を地方自治体も出資しておるわけですね。一対一のあれですから同額になっておると思います。これを寄付金という言葉を使わないで出えん金にすると、こう書いてある。出えん金とは寄付金。  そこで、若干お伺いしたいと思いますのは、この法律だけで地方自治体の出資金を寄付金に切りかえるということは可能なんですか。
  72. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 可能であると考えております。
  73. 福岡義登

    福岡委員 であるとするならば、どうして可能なのかね。最初出資するときは、議会が同意しておるか決議しておるか、一定の手続を地方自治体としては踏んでおると私は思うのです。それは出資金としての手続なんです。これを今度寄付金に切りかえるわけでしょう。寄付金というのはもう返ってこないでしょう。出資金なら返ってくる。寄付金は返ってこない。そうでしょう。同じ金額でもその中身が変わるんですからね。この法律だけでできるとするならば、地方自治法その他の関係は一切ないのか、それはどうなりますか。
  74. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  この承継に当たりまして公団という組織から指定法人という組織に変わったわけでございますので、国の出資は、これは出資というわけにまいりませんで、無利子貸付金に切りかえたわけでございますが、地方公共団体の場合は、地方公共団体が設立いたします財団法人で、いわば地方公共団体の分身のようなものでございます。そういうことでございますので、国の場合とは事情が違いまして、出えんをするということも可能ではないかというふうに考えております。そして、この出えんをする場合、当初出資いたしましたときの目的が果たされないというようなことになりますると、これは大変問題でございますけれども、現在考えておりますのは、出資をいたしましたときの目的、つまり外貿埠頭建設し、それを運用していくという目的は、従来と全く変わりなく引き続き果たされておるわけでございますので、そういう意味指定法人に出えんをするというふうにみなしましても、その出資者である港湾管理者の意思に反したことにはならないというふうに考えておるわけでございます。  それから、出資金は返ってくるが、出えん金は返らないということでございますが、そういう事態が起こりますのは、埠頭公団業務あるいは今回のこの法人業務がつつがなく経常的に行われております段階では起こりませんで、公団でございますれば廃止のとき、この指定法人でありますと指定の取り消しといったような事態が起こったときにそういう問題が起こるというふうに考えられますが、公団法におきましても、この廃止のときの取り扱いは法律で決めると、それでこの法律でこういうふうに決めたわけでございますが、この指定法人に出えんした出えん金が将来どう取り扱われるかというようなことを決めなければならない時期が参りましたときには、その取り扱いについてはこれまたその時点において法律で決めることにするというふうになっております。したがいまして、そういった出資金を出えん金に変えるということによる問題はないものと考えておるわけでございます。
  75. 福岡義登

    福岡委員 私も深く勉強しておりませんからわかりませんが、常識的に言いますと、出資金を一たん公団から自治体に返して、新しく設立する財団法人に自治体が出資するか寄付をするか、これはいろいろあるでしょうが、そういう手続があれば常識的なんですね。ところが、それは素通りなんですね、地方自治体は今度は関係ない。しかも、出資金なら財産権に権利は及ぶわけでしょう。寄付金なら財産権には権利が及ばない。政府の方もそうなんですね。出資金を持っておる以上は、全財産に自分の権利が及ぶわけですよ。ところが、貸付金ではその指定法人の財産に対する財産権は政府としてはなくなるのですね。同様に地方公共団体も、出資金であればその財団法人の全財産に財産権は及ぶけれども、寄付金にしてしまったら何もそういう意味の財産権は及ばないわけですね。それは間違いですか。
  76. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答えいたします。  財産権の問題につきましては、おっしゃるとおりでございます。
  77. 福岡義登

    福岡委員 どうも手続的に理解に苦しむ点があるのでありますが、まあこの程度にしまして、次に移りたいと思います。  これは余り深く議論しようとは思いませんが、さっきの政府出資金貸付金にして引き揚げるということに関連するのでありますけれども、両公団が現在まで公債を相当発行しておると思うのであります。手元の資料によりますと、京浜公団の場合は合計六百八十七億、そのうち財投関係が三百四億、それから民間債が三百八十三億、同じように阪神の方も合計六百九十五億、債券を発行しておるわけであります。これは財投の方は別としまして、民間債の方は社債市場に相当出回っておるわけですね。それで、社会性を持っている、こうなってくる。そこで、一般の場合は公団全体が担保になって、それでこういう社債を発行していく。公団法四十二条によると、これは政府が債務保証をしておるのですね。今度はどうなるのですか。この指定法人にこれが承継されるわけでしょう。政府のこの債務保証というのは消えるのか、どうなるのか。
  78. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  現在流通いたしております債券は、今後とも当然埠頭公団債券として流通をいたすわけで、これの債務をこの法律によりまして法人承継をいたします。その場合、承継をいたしました債務の返済は連帯債務として両法人が返済をする、そういうふうにいたしました。これは分割をすることによる債権者の権利の障害を防ぐ意味でございます。  それから、もちろん当然でございますが、指定法人には公団の債務を引き継がせますけれども、それと同時にその引き当てになる資産は全部承継させておるわけでございますから、その点につきましては従来と変わらないわけでございます。  そういったことで、債権の基礎になっております資産の関係は、もちろん分割もしないし、連帯債務にはいたしておりますし、資産をそのまま承継させているということで債権者保護が図られておりますし、また公団資産を引き継いだ各法人の資産に対しまして債権者の先取り特権も認めております。そういった債権者保護を十分に図っておりますので、御指摘のような問題はないというふうに考えておるわけでございます。
  79. 福岡義登

    福岡委員 正確ではないのですけれども、現在こうなっているのじゃないですか。公団が社債を発行しますね。それの債務保証は政府がやっているのじゃないですか。やってないならばいいのですけれども公団法四十二条によって債務保証を政府がやっておるということになっておるように理解しておったものですから、もしそうならば、その債券を継承して四法人が連帯責任を持つのですけれども、しかし、その上に政府の債務保証が必要じゃないかと思ったものですから、政府の債務保証はどうなっておるのかということを聞いたわけです。
  80. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 法律上は債務保証ができることになっておりますが、実際には債務保証いたしておりません。
  81. 福岡義登

    福岡委員 実態的に心配はないと思うのですけれども、これだけのお金であるし、中身をきちんとしておく必要がありますので、遺憾なきを期していただきたいと思います。  さて、そこで、次の問題ですが、岸壁などの賃貸料、使用料、これは今度の法案の第四条二項ですかに規定をされているのですが、施行前に届け出をするようになっておるわけであります。そして、それを変更する場合も同じように届け出なければならぬ。しかし、この変更その他適当でない賃貸料の届け出があった場合に、運輸大臣は第十一条の監督命令権の中でこれを是正させることを考えているのかどうか。
  82. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 基準に著しく反しましたような賃貸料の額が届け出られましたときには、監督命令によって是正させることを考えております。
  83. 福岡義登

    福岡委員 そこで、おっしゃったこの基準は省令で定めるということになっておる。この省令の中身なんですが、先ほど来議論してきましたように、賃貸契約はそのまま承継されるというお話でありましたし、私どももそう理解しております。そうしましたら、現行の施行令六条に基準が書いてあるのですが、そのままを新しい省令に書くということで理解していいですか。
  84. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  現在政令で定めております基準はかなり大綱的なものでございますので、今回それを指定法人に移します際に、法人の性格が変わりましたことにかんがみましてもう少し詳しく技術的なものを定めたいというふうに考えております。それで省令に移したわけでございます。
  85. 福岡義登

    福岡委員 もう少し細かくというお話はそれでいいのですけれども、中身の大筋は変わらぬ、そのまま承継されるということですね。
  86. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 中身は変わりません。現在の政令の趣旨を生かして、それを詳しくやや技術的に省令で定めようということでございます。
  87. 福岡義登

    福岡委員 第十条に役員の選出が規定されているわけであります。どのくらいの役員を想定されているのですか。
  88. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 役員の数の問題かと存じますが、先ほど一番最初の行政機構改革の関連の御質問のときに申し上げましたように、役員の数あるいは組織の大きさ等につきましては極力合理的なものにする必要があるというふうに考えております。  それで、現在両公団役員がおられるわけでございますが、考え方といたしましては、四つに分かれても現在の両公団役員の数を上回らないというような考え方が適当なのではないかというふうに現在の時点では考えております。
  89. 福岡義登

    福岡委員 高林参考人にお尋ねいたしますが、現在の両公団役員の内訳をちょっとお教え願いたいと思います。
  90. 高林康一

    高林参考人 現在の両公団は同じような形になっておりますが、理事長一名、副理事長一名、それから理事が三名、監事が一名という役員の構成になっております。
  91. 福岡義登

    福岡委員 港湾局長、大体同じくらいの枠だ、こう考えておるとおっしゃったのですが、いまのお話だと理事長は二人ですね。今度は四つになるのですが、理事長、これは二人でやりますか。
  92. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 ちょっと先ほどの御答弁は舌足らずでございましたが、役員の総数は現在の総数を上回らない程度が適当かと存じております。理事長はやはり各法人に一人ずつ要るものと考えます。
  93. 福岡義登

    福岡委員 そんなことできないでしょう。理事長は四人要りますよ。副理事長を置くとすれば、これも四人要りますよ。監事を一人置くと、これも四人要りますよ。三、四、十二人でしょう。いま六人。理事は全然置かぬことにするわけですか。枠内で押さえたい、押さえられぬでしょう。
  94. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  目安としてそういったことで考えるべきでございますし、先ほど申し上げました新法人理事役員の数のうち、いま申し上げました目安というのは常勤の役員の数でございまして、非常勤の役員というようなこともあるいは考えられるかと思います。
  95. 福岡義登

    福岡委員 高林参考人にお伺いいたしますが、常勤役員はいま何人おられるんですか。
  96. 高林康一

    高林参考人 現在の常勤役員は先ほど申したとおりでございまして、理事者が結局五名、それから監事が一名、こういう常勤役員になっております。
  97. 福岡義登

    福岡委員 じゃ非常勤はいらっしゃらない。
  98. 高林康一

    高林参考人 おりません。
  99. 福岡義登

    福岡委員 そうしますと、港湾局長にお伺いしますが、合計理事が十名で監事が二名ですね。さっきあなたは現行の枠内でとどめたい、こうおっしゃった。二回目の答弁では目安にしたい、こうおっしゃった。目安ということと枠内というのは同じ意味ですか、どうなんですか。
  100. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 総数はその範囲にとどまるのが望ましいと考えておりますが、先生指摘のように、必ずその範囲内でおさまるということはあるいはむずかしいかもしれないと思います。
  101. 福岡義登

    福岡委員 この答申の中に、事業の重要性にかんがみて「必要数は常勤とする必要がある。」と書いてあるんですね。そうすると、常勤はどのぐらい考えられますか。
  102. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 これはそれぞれの法人でお考えいただくことになろうかと思いますが、もちろん先ほどの監事は当然各法人に要るわけでございますから、理事の数といたしまして現在の公団理事の合計数をほぼ目安にいたしてはいかがかというふうに考えております。
  103. 福岡義登

    福岡委員 次に移りますが、この答申の五、(一)に書いてあることなんですが、全部読み上げますと時間がかかりますからあれですが、書いてある内容は「埠頭借受者の意向の直接的な汲上げについては、理事会とは別に、港湾管理者、埠頭借受者等を構成員とする外貿埠頭運営のための委員会を設けて、」と、こう書いてあるんですね。ところが、この法案にはその規定がない。さっきの協議会と同じように自発的にやるだろうとお考えになっているんですか、どうですか。
  104. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 この運営委員会法人の内部組織でございますので、法人の寄付行為の中でそれを定めるのが適当ではないかというふうに考えております。答申趣旨を踏まえてそのような寄付行為の中にそういうものが盛り込まれるように私ども指導をいたしてまいりたいと思っております。
  105. 福岡義登

    福岡委員 港湾管理者というのははっきりしていますね。ここに書いてある。それから、外貿埠頭の借受人というのもはっきりしますね。はっきりしておりませんのは「等」という字が一文字入っている。だから、港湾管理者、埠頭借受人、これははっきりしている。その他はどういうものが考えられる。
  106. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 両関係者のほかに、中立的と申しますか、学識経験者に入っていただいてその公平な判断をしていただくという意味で、たとえば大学の先生といったような学識経験者の方に入っていただいてはどうかというふうに考えております。
  107. 福岡義登

    福岡委員 当然学識経験者、必要だと思います。私の要望は、学識経験者のほかにそこの従業員代表、そこで働いておる労働者、組織されておる労働組合があればその代表なども入れて意見を反映させる必要があると思いますが、この点はどうですか。
  108. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 この運営委員会外貿埠頭業務運営ということを主体に討議をする場でございますので、労働組合、従業員との関係は別途そういった話し合いの場というのが設けられるのが適当ではないかというふうに考えますが。
  109. 福岡義登

    福岡委員 別途ということは、はっきり言えば入れないということなんですね。私はそうしゃくし定規に物事を考えておるんじゃないんですけれども、どこの企業でも労使間で意思疎通を図る場は労働法で規定されておる団体交渉、それはそれなんです。しかし、一堂に会して、労使だけではなくてこういう関係者が集まって意見交換をするということは意味が全然ないとは思われぬ。ですから、正式メンバー、レギュラーメンバーにするかどうかというのは別にいたしましても、適切な配慮をしていただくようにきょうは要望だけにとどめておきたいと思います。  時間がありませんので、次へ移りますが、問題は公団の職員の皆さんの処遇についてであります。  答申にも書いてありますように、指定法人が雇用関係承継すると書いてある。しかし、これは法律上の規定は特に見当たらぬわけですが、これは一切の権利義務を承継するということを書いてあるから、その中に含まれておると思うのですが、それでいいですか。
  110. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 雇用契約は、一切の権利義務の中に含まれております。
  111. 福岡義登

    福岡委員 たとえば就業規則というのがあります。あるいは労使間が問題ごとに話し合って合意に達したものもあるでしょう。それは特別、労働協約とかあるいは覚書とか協定書というようなものになっていなくても、長い十数年の歴史があるわけでありますから、慣行化されておるものもあると思うのです。今度指定法人にいきますと、少し人も入れかわるんじゃないかと思います、少なくとも理事長、その法人の責任者はそれぞれかわるわけでありますから。いまの方がどこかへ行かれるとしましても、二人しか理事長はいらっしゃらない。他の人が理事長に追加されなければならぬわけです。  そういう意味もありますので、時間がありませんので短く申し上げますが、いままで両公団でいろいろ労使で話してこられました慣行なり労働条件なりというようなものをこの際まとめて文章化していただいて、移管後に問題が起きないようにしておいた方がいいと思うのであります。  そこで、高林参考人にお伺いしたいのですが、承継計画書を策定されるまでにそれらをきちんとされて、それで計画書の中に、別紙とされるかどうかは別といたしましても、間違いなく指定法人承継されるようにされた方がいいと思うのですが、その点いかがですか。
  112. 高林康一

    高林参考人 お答え申し上げます。  現在、就業規則あるいは慣行といたしましていろいろ相互に常に労使で話し合ってそれを実施しております。そういうようなものをはっきり取りまとめて、そして承継されますところのいわゆる一切の権利義務というものの中ではっきり承継され、そしてまた御答申にありますように、雇用、待遇というようなものについて不利益の生じないように、私どもといたしましてその点について最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  113. 福岡義登

    福岡委員 港湾局長、それでいいですね。  そこで、個々の問題はいまの参考人理事長お話で含まれておるからいいのですが、一つだけ特に心配な点がありますが、年金関係です。運輸省関係を直接は離れるわけです。法人格も変わるわけであります。現在やっておる企業年金、厚生年金基金ですか、運輸省関係云々という厚生年金基金の関係、現在のそれはどういうように、そのまま承継されると考えていいかどうかですね。
  114. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 これはそのまま自動的というわけではございませんけれども、基金の定款を厚生大臣の認可を得れば基金に加えることは可能でございます。現在、基金に加えることの問題点でもございませんけれども、基金に加えることにつきまして関係者の意向を聞いておりますが、現在の時点では可能であるというふうに考えております。
  115. 福岡義登

    福岡委員 可能ということになれば問題はないのですが、不可能ということになると、これは重大問題ですね。もうちょっとで資格がつく人、もう半年か一年か二年、すぐそこまで、資格がつくところまで来ているのにだめだということになりますと、これは大変なことなんです。  それで、どうしましょうか、うまくいくように努力はしていただくのですけれども、どうしてもいけないということになったときには責任を持って別の場所でわれわれと協議をしていただくというか、問題の解決について話し合うということを約束しておいてもらいたいと思いますが、運輸大臣、それは結構ですか。
  116. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 結構でございます。
  117. 福岡義登

    福岡委員 もう一つ心配な点は個人の行き先です。いままで東京におった人が横浜に行かなければならぬ。東京から横浜なら通勤圏なんです。これは問題ないと思います。ところが、千葉の方から東京へ通勤しておる人が横浜へ行けと言われると、それは通勤時間も長くなりますし、大変なことだと思うのです。ここではそれらを一つずつどうこうと言うことはできませんが、退職せざるを得ないというようなところに追い込まれないように、もし実際通勤できぬようなところに転勤をさせられると、家の問題もあるでしょうし、子供の学校の問題もあるでしょうし、いろいろあるわけですね。ですから、いっそ退職をしてどこか第二の勤めを探さなければならぬということになり得る場合もあるわけです。ですから、個々にはいろいろ話し合いがなされると思うのですが、ここで申し上げておきたいのは、これをいいチャンスに何人かでも退職をさせる、退職を勧奨するようなことは絶対にしてもらいたくない。聞くところによりますと、港湾管理者の方から、財団法人をつくって引き受けますけれどもできるだけ身軽にしてきてもらいたい、こういう文書が出ておるようであります。身軽にしてもらいたいということは人を減らせということなんです。そこで、表向き退職を勧奨することはできないからいやがらせをして、さっき言いますように、千葉から横浜まで通勤せいなんというようなむちゃな話が出たりする場合もなきにしもあらずなんです。  そこで、地方自治体が、港湾管理者が身軽にしてこいという意味はどういう意味なのか、事実そういう話をお聞きになっておるかどうか、伺わせていただきたいと思います。
  118. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  港湾管理者からの要望をいろいろいただいております中に、承継時に引き継ぐ人員はなるべく少なくしてほしいという趣旨の御要望があったことは事実でございますが、この点はそういうふうに無理をして減らしてくるというようなことを意味しておるのではないというふうに私どもは考えております。先ほど来御説明いたしましたように、建設業務量がだんだん減ってまいりまして、それに対応して公団では出向の職員を引き揚げますとかあるいは定年退職をされた方の後を補充しないといったような形で、従来から職員数を業務に合わせて削減をいたしておりまして、港湾管理者からの御要望も、そういう努力は十分にやって業務量に見合った職員数にした上で承継してほしい、こういった趣旨でおっしゃっておるものと理解いたしております。そういう努力はもちろんいたしますにしても、承継いたします時点におられる職員は全部一切の権利義務として承継されるというふうに考えておりますので、御指摘のような心配はないものと考えております。
  119. 福岡義登

    福岡委員 ぜひそういうように努力してもらいたいと思います。やはりあり得ることなんで、いままでのこういう場合における退職の強要とか、いろいろわれわれも経験をしておりますが、そういうことのないように、働く意思のある人は完全に承継していただきたいし、それから意に反して配置転換させないように、あくまでも合理的な範囲でそういうようにやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  最後に、この答申最後の第七に書いてあることなんですが、いわゆる二者協議体制、これはそのまま承継されますか。
  120. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 御指摘の二者協議体制、船社と日本港運協会、日本港運協会と港湾労働組合、それぞれの協議によって諸問題を決定するというこの体制は、現在までの経緯にかんがみまして、公団が廃止されて業務指定法人移管された後におきましても、との慣行が維持継続されるべきであるというふうに考えておりまして、運輸省といたしましても港湾管理者指定法人等の関係者に、この慣行を尊重するように望んでまいりたいと思っております。
  121. 福岡義登

    福岡委員 承継計画書には、それは書かれる御予定ですか。
  122. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 承継計画書は、先ほど申し上げましたように、分ける分け方を主として書くわけでございまして、いまの問題は、ただいま申し上げたように、私ども運輸省としてそういう方向で尊重していただくように働きかけてまいりたいというふうに考えております。
  123. 福岡義登

    福岡委員 二者協議体制は非常に大切だと思いますので、途中であいまいにならぬような具体的な手だてというものを御配慮していただきたいと思います。  以上で終わります。
  124. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時五十六分開議
  125. 小此木彦三郎

    小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西中清君。
  126. 西中清

    ○西中委員 外貿埠頭公団解散及び業務承継に関する法律案について御質問をしますが、その前に、第六次港湾整備五カ年計画は、昨年九月に投資総額七兆三千億円で策定をされましたけれども、今年三月十三日の閣議了解で四兆二千六百億円の規模ということに縮小をされております。  財政上の問題が大きいのじゃないかと思っておりますけれども、この辺の経緯、それからこれが港湾整備にどういう影響を与えるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  127. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘になりました昨年の七兆三千億円と申します港湾の五カ年計画の案でございますが、これは昨年の暮れの予算要求時点におきまして、運輸省の希望する枠を決めたものでございます。  それで、これを決めました経緯と申しますか、決め方について御説明申し上げますと、経済社会七カ年計画というのがございますが、この経済社会七カ年計画の中で社会資本投資の額を決めております。これが七カ年で二百四十兆円という金額でございます。この二百四十兆円の金額を各公共投資の部門に配分をいたしておりまして、その港湾に対する配分と申しますか、港湾で担当すべき社会資本の投資額というのがございまして、その投資額に見合うものを港湾で算定いたしましたものが七兆三千億円でございます。二百四十兆との関係は、物価の指数が違いますとかいろいろ違いますので、そのまま七兆三千億円とは結びつきませんが、考え方といたしましては、二百四十兆円の社会資本投資額の港湾分という考え方でございました。そういうことで、七兆三千億円の枠を考えて五カ年計画の案をつくっておったものでございます。  それで、その後、昨年の暮れに、経済社会七カ年計画のフォローアップ作業というのが経済審議会において行われまして、いろいろと七カ年計画のその後の進展の状況を御検討いただいたわけでございます。そのとき、二百四十兆円という金額をそのまま予定どおりに実施いたしますと、やや経済成長が大きくなり、完全雇用は達成されますけれども、物価の上昇が当初想定をいたしました計画の価よりも上回るといったような試算がなされたと聞いております。そういったいろいろな経済の全般的な整合性といったような検討を経済審議会でなされまして、その結果二百四十兆円を百九十兆円程度に考えた方が経済全体の整合性の観点から望ましいという結論が出されまして、その審議会報告が行われております。それで、その百九十兆円という総社会資本投資額に見合いまして、公共投資の各分野につきましての洗い直しが行われたわけでございます。その結果、港湾につきましては、先ほど申し上げました七兆三千億という数字が、四兆二千六百億円が適当であるということになったわけでございます。それで、先ほど先生から御指摘ございました閣議了解を得ました数字は、その四兆二千六百億円という数字を閣議了解をいただいたわけでございます。  それで、その法案との関連についてのお尋ねでございますけれども、特にこの法案に五カ年計画の規模が縮小されましたことは関係はないように考えております。全体の建設のテンポが、公団設立いたしました当初に比べてかなり落としてもいいという情勢が生じたことによって、今回の行政機構改革あるいはこの法律案の御提出を申し上げたわけでございますが、七兆三千億の当時におきましてもそれほど大きな額を見込んでおったわけでございませんし、これを四兆二千六百億にいたしましたことによって法案には直接には関係をいたさないというふうに考えております。
  128. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、第六次五カ年計画で、当初、この昨年九月の計画では、事業費は四百四十億というふうに出ておったように思うのですが、それはほぼ変わらないということでございますか。その点はいかがですか。私ちょっと言葉が足りませんけれども外貿埠頭公団等事業に関しての金額ですね、これは変わりませんかということです。
  129. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 先ほど申し上げましたように、七兆三千億円という金額では、やや経済の全体に対する影響が大き過ぎるというようなことで、四兆二千六百億円に下げられました結果、計画全体の進展が約一年半ほどおくれるということもやむを得ないというのが経済審議会答申でございます。それに伴いまして、港湾整備五カ年計画の案も調整をいたしましたので、七兆三千億円当時に考えておりました外貿埠頭公団関係の事業につきましてもかなり縮小する方向で修正をする必要があろうかと考えております。しかし、現在まだその縮小の案につきましては関係港湾管理者等と協議調整をいたしております最中で、具体的な数字につきましてはまだ現在のところ持ち合わせておりません。
  130. 西中清

    ○西中委員 計画の詰めはいまなさっておる、これはよくわかりますし、いま幾ら出せなんて言ったって無理だろうと思うのですけれども、一応こうして四兆二千六百億、こういう数字が出ておるわけですから、およその考え方というものはある程度あるのじゃないでしょうか、もう一度お伺いしておきたいと思います。
  131. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 外貿埠頭公団整備事業が、従来公団設立をいたしまして以来鋭意進めてまいりましたような、短期間に大量のバースを必要とするという形は、今後は恐らくないだろうということを考えておりまして、この考え方は、先ほど申しました七兆三千億円の規模の場合も同様に考えておったわけでございます。  そのときの数字は、申し上げますと、十バース程度のものを盛り込んではいかがかというふうに考えておったわけでございますが、それを四兆二千六百億円に縮小をいたしますので、先ほど申し上げましたように、どの程度という具体的な問題は別として、七兆三千億円当時考えておりましたものよりもかなりな程度縮小をしたもので計画をせざるを得ないだろうというふうに考えております。
  132. 西中清

    ○西中委員 そこで、まず、この提案理由の説明の中に、今回の改正は「両公団設立の目的はおおむね達成された」、そして行革の一環としてこれを廃止する、このように言われておるわけですね。しかし、私がこれを拝見したところでは、果たしてこれが行革になり得るかどうか、その点ではきわめて疑問の多い法案と言わなければならぬと思います。  先ほども問題になりましたけれども、これはどうしてもやはり一言言っておかなければならぬと思うのですが、公団の廃止によってその業務を継ぐ四つ法人指定法人、こういうように二つ公団解散して四つ法人ができるという、こういう形ですね。しかも、それら四法人は多額の債務を承継させる。その一方、業務承継させる条件として、いわゆる建設については無利子貸付金その他補助等を国が行う、こういうような形でございますね。ですから、いままでこれは公団が順調に経営を運営してきたわけですけれども、こういう形でさまざまな四つに分かれて、全部が全部そろってきっちりうまくいけばいいですが、かえって行政上複雑になっておるし、財政的にも負担が生じてくるのじゃないかというように心配をいたしておるわけでございますけれども、その点についてはどういう見解を持っておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  133. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 現在行政改革を進めていく中で、この二つ四つに割るということは、確かに一見そういう考えを持たれるのは当然だと私は思うております。でございますから、私たちも、行政改革一つの方針として閣議決定しましたときに、それ以降、それを実施するについてどうするのが一番いわば合理的であるかということをいろいろ考えて苦慮してまいりました。確かに、移行しますときにはそういう懸念なきにしもあらずと思うておりますが、しかし、何遍も申しておりますように、もう建設できたこの埠頭をいわば管理者のところへ、いわば別法人ではございますけれども管理者の主管のもとにおいて管理せしめるという方向に行っておるのでございますから、いわば管理する側からいけば、これは自分の管理の目の行き届く、一体となってやっていける、こういうぐあいに思うております。したがって、法人とはいいましても一般の法人のような考えではなく、でき得れば理事長等あるいは役員等も管理者の側との兼任も考えられるし、また本当に管理責任者、常勤する者はごくしぼっていける。先ほど局長が御説明しておりましたように、本当に事務的に常勤をする者については現在の公団役員総数、大体その程度のことでいきたい、こう言っておるのもそういうところにあるようでございまして、そういうところから、少し時間をかけていきますならばこれは必ず合理化効果を発揮してくれるであろう、こう期待しておるのであります。
  134. 西中清

    ○西中委員 その人数は、先ほど同僚委員から質問があったように、事実上はふえるということは、これはもう間違いないと思うのですね。それはそれで後で議論いたします。  それでは逆に、何が行政改革なのか、何が行政改革につながっておるのか、この点はどういうように御説明なさいますか。
  135. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 冒頭申し上げましたように、外貿埠頭公団の廃止という行政機構改革の問題が起こりましたのは、当初非常に急速に外貿埠頭整備してコンテナリゼーションに対応するという必要性が生じましたことと、それからもう一つは、このコンテナ埠頭というものの性格上、非常に効率的にこれを運用しなければいけない、従来の公共事業が実施しておりました埠頭のいわゆる公共使用の原則に従った使用法よりは専用貸し付けをいたしましてフルに埠頭の使用をするということがきわめて望ましいという二つの観点から、従来の港湾管理者ではなくて公団という組織をつくって建設及び管理を行うというふうになったものでございますが、その急速な建設整備必要性あるいは時期がすでに終わったという観点から、行政機構改革の一環としてこの廃止が決められたわけでございます。したがいまして、この建設部門をまず縮小をするというのが行政改革の第一のねらいでなければならないと考えておるわけでございますが、この縮小という点は、業務の実態に応じて現在までにすでに着々と縮小をいたしております。そして、先ほど大臣から申し上げましたように、管理を一体化するという意味で、港湾管理者移管をするというのが最初に考えられた案でございます。しかし、その考えられました案に対しまして、その業務移管のための必要な条件整備するという閣議決定を受けていろいろと検討いたしております中で、直接に港湾管理者承継させるよりもこういうふうな法人承継をさせる方が業務運営がスムーズにいくではないかということになったわけでございます。  そういうことでございますので、行政改革のまず第一番のメリットは、業務の量及び質の変化に対応いたしまして、それに対応するような組織としたことがまず第一のメリットでございます。それからまた、いま申し上げましたように、今後の業務の主要な部分であります管理運営というのが、港湾管理者と緊密な連絡のもとに実施ができるといったことも行政改革メリット一つであると考えております。
  136. 西中清

    ○西中委員 御説明はいろいろなさっておりますけれども、よくわからないですね。考え方としてはいろいろあると思いますよ。しかし、行政改革というのだったら、いま二つあるのを一つにすれば一番早いわけですね。それで十分対応できるでしょう。建設事業はほぼ完了したんだ、あと管理だけですよ、もう仕事はなくなってきたのですよ、こういう言い方がずっと先ほどから続いているのですから、残すなら一つにすればいい。役員も減るんだ、六人で終わりだ、そんなに大ぜい要らない。いかにも公団解散しますよ、行政改革ですよと言いながら、実は四つの受けざらをつくる、こういう形なんですから、これはなかなか国民に理解をせよと言っても無理な形だと私は思うのです。たとえば民間に移行するとか、直接港湾管理者移管するとか、それの方がまだわかりやすい。私の考えとしては、やはり公団一つにするということがまず一番妥当なところじゃないかというように考えているのですが、もう一遍御意見を伺いたい。
  137. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それも確かに合理化——合理化方法は幾らでもあるだろうと思うのです。観点を変えまして、私らこれを審議しておりましたときにふと思うたのですが、一つの建物の屋根の下でモータープールが二つあって、一つは追い込みのモータープールで、一つは月決めだ、こういうのがあって、月決めのものを建てるときにえらい金がかかって、だから違う会社をつくった、しかし、いまとなったらもうこの屋根のふたは一つなんだから一つのところで管理した方が便利じゃないか、しかし、かかった金があるからこれだけはちょっと別会計にしておこう、これが今度の行政改革——行政改革といいましょうか、こういう改革でございますので、大体そんなことで思うていただくならばこれも一つ行政改革方法だろうということで、おっしゃる二つ一つにする、これも確かに行政改革のやり方だろうと思います。けれども、そればかりでもない、いろいろな方法があるだろうと思うてこの方法をとったようなわけで、そうすることによって港湾管理者との関係は非常にスムーズにいくということが一つメリットだろうと思うのです。
  138. 西中清

    ○西中委員 これは幾らそういう御説明をいただいても押し問答になって本当に理解できない。いままで建設というようなめんどうなことまで含んできちっといっておったのでしょう。それなら、管理者とスムーズにいくなら初めからそういう形をとっている、こうなってくるじゃないですか。何も仕事がなくなってきたのなら、逆に今度は要らないのですよ。しかも、それが大変な赤字を抱えているとか、先行き見込みがどうしようもなくなってしまうという話ならまたいろいろな考えも必要でしょうけれども、まずまず二十年くらいではめどが立っておるというような先ほどのお話もありましたけれども、要するにこれは新たなこういう指定法人をつくる、細分化して結局行政的にいえば非常に複雑になってくる、こういうことでございます。時間もあれですけれども、そういう言い方でさっきも何回も答弁されておりましたけれども、これは理解ができない最大の問題であるということを申し上げておきたいと思うのです。  次は、第二条の公団の権利及び義務の承継についてお伺いをしておきたいと思います。  二項に、四つ法人は二公団の権利及び義務の承継に関し、承継計画書に定めるところに従って承継するが、この承継計画書は二公団四つ法人意見を聞き、政令で定める基準に従って作成するということになっております。この政令はおおよそどういう内容のものをお考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。
  139. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  承継計画書は、公団の権利義務の承継に関して必要な事項を定めるものでございますが、公団から承継する権利義務の性質によりまして、これを外貿埠頭の所在地で分けて承継するのが適当なものもございますし、あるいは地方公共団体の公団に対する出資額がそれぞれ違いますので、その出資比率を参考にして資産の分割をする方が合理的な場合もございます。そういった場所によって分けますとか、出資比率を参考にして分割いたしますとか、そういったことを基準で定めることを予定いたしております。
  140. 西中清

    ○西中委員 そこで、公団債権者、外貿埠頭借受者等の利害関係者は、この法律では意思がきちっと表示できるような位置に置かれておらない、そういう形になっておると思います。また、公団の債務を分割承継し、承継した財産を担保に供することとなる指定法人に対しても、政府の方は意見を聞くのみで、承継計画の内容は運輸大臣の認可によって確定することとなっている、こういうことですが、考えてみますと、公団債権者、埠頭借受人は二公団の債券保有率が非常に高いのですね。そういう点では、この両公団の一切の債券について保有率が非常に高い、そういう立場の人たちの意見というものがどういう形で今後の運営また指定法人の中に反映されていくのか、これは非常に疑問に思っておるのです。  そこで、まず前提としまして、この債券の種類と金額、これを両公団についてお伺いしたい。その中で民間及び借受者、こういう人たちが持っておる債券はどれくらいあって、比率はどれくらいなのか、まずお示しをいただきたいと思います。
  141. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  両公団設立のときから五十五年十二月末までの公団債の発行の額面について御説明申し上げますと、京浜外貿埠頭公団で一千五十四億円でございます。阪神外貿埠頭公団では一千六十五億円、合計いたしまして二千百十九億円でございます。このうち、同期間での償還額が、京浜外貿埠頭公団で三百七十九億円償還されておりまして、阪神では三百八十億円、合計七百五十九億円償還が済んでおります。したがいまして、昭和五十五年十二月末日現在での債券の残額は、京浜外貿埠頭公団で六百七十五億円、阪神外貿埠頭公団で六百八十五億円の、合計千三百六十億円でございます。  それで、その債券の発行額の内訳でございますが、これは財投の借り入れと、いま御指摘借受者からの公団債の借り入れによる調達とがほぼ同額でございまして、両公団の合計で財投から借り入れておりますのが千十六億四千万円、それから借受者からの調達額が千九十三億一千七百万円でございます。そのほかに八号債がございまして、二千百十九億五千七百四十万円が両公団合計の債券の発行額でございます。
  142. 西中清

    ○西中委員 比率はどれくらいになるのですか。
  143. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 比率は、総事業額の四〇%が埠頭借受者からの調達額でございます。
  144. 西中清

    ○西中委員 ですから、これで見てみますと、公団債のいわゆる民間債権者、借受者、特別引当金、預託金等、こういうものの立場からいきますと、非常にこの事業にかかわりの深い立場の方、こういう方たちが意思を表明するといいますか、法律的には担保されるものがないように思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  145. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 承継後の指定法人業務運営に非常に大きな金額を負担しておる埠頭借受人の意向がどう反映するのか、こういう趣旨の御質問だと思いますが、まず権利義務はそのまま承継されますから、埠頭の借受契約等については十分埠頭借受人の権利は守られるように法律的に措置されておると考えております。  それから、あと運営の問題に関しまして、この法人の中でどういうふうに埠頭借受人の意向が反映させられるかと申しますと、まず法律に書いてございますことといたしましては、埠頭借受人の意向と申しますか、外航海運に関します知識あるいは港湾運送に関します知識を十分に持った人が運営に当たらないと、こういった借受者の意向が十分に反映できないというようなことがございますので、そういう学識経験を持った人を役員の中に入れるということを寄付行為で決めておくことをこの法人に求めております。これはそういう寄付行為の記載があるということを指定の条件にいたすというふうに考えておるわけでございます。  そういうことで、運営の基本的な問題については、埠頭借受者の意向も反映できるように処置いたしました上で、なお個々に埠頭借受者の意向を直接的に日々の運営の中でくみ上げていくという必要がございますので、そのことを考えまして法人の寄付行為の中に運営委員会というものをつくるようにしていただいたらどうかというふうに考えております。そして、その運営委員会港湾管理者とか埠頭借受者等に構成員として入っていただいて、そしてその運営のためのいろいろな重要事項を審議をしていただくという形で、直接的な埠頭借受者の意向の反映を図っていくということが港湾審議会答申等にも御指摘いただいておりますので、そういう方向にまいりますように今後の関係者との意見をまとめてまいりたい、こういうふうに考えております。
  146. 西中清

    ○西中委員 運営委員会はつくる努力をしていくということですか。
  147. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 努力と申しますか、関係者寄り集まりまして、そういった今後の問題を話し合う場を国も入りましてつくるというような形で具体的にその方向を進めてまいりたいというふうに考えております。
  148. 西中清

    ○西中委員 結局、先ほどからの説明では、実際の、たとえば具体的に言うと船会社とかいうことになると思いますが、運営委員会でそういう人たちの意向を聞いていくというような方向指導されるということであって、あと残されたものは役員の中に借受者を入れる、こういうお話ですね。これは法律上載っておりますね。そうすると、役員はかなりもめますね、うちも入れろと。各バースいままでたくさんある、つくられただけでも四十幾つかあるのでしょう。船会社も契約しているところがいっぱいあるわけでしょう。先ほどは役員を抑えるとおっしゃったけれども、学識経験者も入れるし、そういう人たちも入れるということになると、一体何人ぐらいになるのですか、御答弁願いたいと思います。
  149. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 役員の中には直接に借受者の意向を反映するという意味の代表を入れるということではございませんで、役員には学識経験を有する人を入れるということでございます。  それで、運営委員会の中には、これは直接的に埠頭借受者の意向をくみ上げるということで、非常に数が多い場合にそれを全部入れるのかという御質問でございますが、これを全部入れるかどうかは別といたしまして、なるべく全面的に埠頭借受者の意向をくみ上げられるような運営委員会委員構成が望ましいというふうに考えております。これは先ほども御答弁を申し上げましたように、こういうふうなことで関係者が話し合いをして、どうしたら一番うまく運営できるかということを御相談がなされながら事を進めていくのが一番適当であると考えております。
  150. 西中清

    ○西中委員 債券の四割を占める人たちがこの法人役員にははいれない、これは会社で言ったら一般の社会通念から言ってやはりおかしな話じゃないか。これは指定法人という特殊法人みたいなものですから、性質が違うのだとおっしゃるだろうと思いますけれども、やはりこれは社会通念から見ても少しおかしいのじゃないかという気がするのですね。これはいままで議論しましたから、もう御返事は結構ですけれども、やはり若干の疑問を持っておるということでございます。  次に、三条の問題、指定法人の要件についてお伺いをしておきたいと思います。  公団の廃止及び統合についての当初の政府見解、たとえて言いますと、昭和五十年十二月三十一日の閣議了解は、京浜、阪神の両公団については「建設事業の終了時点において、第三セクターへの移管を含め、管理機構をいかにするかを検討する。」とされておりました。このことは埠頭の建設の終了ということが公団業務を移す一つの前提となっておったと思うのですね。  運輸省は二公団設立の意義は全く終わったと考えておられるのかどうなのか、これは確認の意味でお伺いをしておきたいと思います。
  151. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 現在、運輸大臣から基本計画を指示しております公団建設の計画が全部終わったわけでございません。現在工事中のものが五バースございまして、五十六年度の未までには二バースが完成をいたします。したがいまして、あと三バースが未完成のままで残るわけでございますが、この三バースにつきましては、まだ埠頭借受者が決まっておりませんので、この状態で一応公団というものは廃止をいたしまして、その仕掛かりのままで次の法人に引き継ぐというふうにいたしたいと考えております。
  152. 西中清

    ○西中委員 私は別にいやがらせを言うわけじゃないけれども閣議了解でこういうふうに決まっておるし、その後のいろいろな方針から今回の改正は若干ふらふらっとしているのじゃないかというか、変わったような経過があるようでございまして、その点もうちょっと意味がよくわからない改正だ、こういうことでございます。  次に、三条二項の口についてお伺いしますけれども指定法人で埠頭の建設はまだこれからも行うということは先ほどからも言われておりますが、現在の二つ公団建設事業を行うのとどこがどう違うのですか。何か物すごい不都合なことがあるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  153. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、建設事業を行います際には公団という制度は非常に適当な制度であったというふうに考えております。非常に急速に資金需要がございますのを賄うという意味でも公団という制度が適当でございましたし、建設をいたします際には、その建設の場所は十分に広域的に調整を図って、過剰投資になるとかあるいは重複の投資になるというようなことのないようにしなければいけないという観点がございますので、そういう意味二つ公団で広域的に建設を実施してきたことは非常に適当なことであったと思うわけでございます。  今後の問題といたしましては、現在残っております仕掛かりの埠頭を含めまして、冒頭に御説明申し上げましたように、従来のような急速、大量の速度でございませんが、今後の建設は必要に応じてやっていくということでございまして、急速、大量という要請がなくなったということでございます。  そういうふうに考えますと、それぞれの管理運営と密接に関連をした四つの組織で建設も行っていくのが適当だというふうに判断をしたわけでございます。
  154. 西中清

    ○西中委員 余り明確な差異があるような気がしないのですね。  それから、さっき役員のことについて触れましたけれども、「知識及び経験を有する者」というのは、学識経験者というような表現をなさっておられましたけれども、お役人の天下りはやらないということですか。その点はどうでしょうか。
  155. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 学識経験と申し上げましたのは、海運及び港運に関して学識経験を有する者ということでございまして、公務員の天下りというようなことは前提にしておりません。
  156. 西中清

    ○西中委員 次に、公団の設置と解散に関する矛盾点ということについて伺っておきたいと思うのです。  四十二年六月三十日にこの法律が五十五国会提出されたときの運輸大臣の提案理由の説明によりますと、外貿埠頭公団設立目的は、いろいろ書いてあるけれども、要約しますと大体三点ぐらいじゃないかと思うのですね。一つは、港湾管理者、すなわち地方公共団体の財政負担を軽減すること、それから港湾設備の専用使用方式の導入を図ること、独立採算による企業的港湾整備方式を確立すること、大体こんな感じじゃないかと私は思っております、ここに文章がありますけれども。  そうすると、この設立趣旨からいきますと、今回の解散によって事業を四つ法人移管するとなると、まず最初に申し上げました港湾管理者の財政負担の軽減に逆行する懸念がある、こういうことになると思うのです。それから、先ほど来問題になっておりましたけれども、国の出資金の引き揚げに伴って港湾管理者または借受者の埠頭を利用する料金の引き上げ、こういった問題が起こってくることもやはり可能性としてはあるわけですね。  こういう問題は、当初の公団法の趣旨に反すると考えますけれども、いかがお考えですか。
  157. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  公団設立のときに港湾管理者の負担の軽減ということが掲げられておりましたのは、その当時外貿埠頭建設はいわゆる公共事業で実施をされておりまして、国と港湾管理者の負担率がそれぞれ決まっております。重要港湾におきましては国と港湾管理者が五割ずつ、特定重要港湾におきましては、いろいろ物によりまして違いますけれども、最高は国が七五%まで負担をできる、そういった形でございますが、いずれにいたしましても、平均しますと、建設費に対して四、五〇%という割合は港湾管理者が負担をしなければならないわけでございます。非常に急速、大量に外貿埠頭、コンテナ埠頭を建設いたします際に、その負担率では非常に負担が高いということから、民間の借入金及び財投の借入金を導入いたしまして負担の軽減を図ったという趣旨でございます。  その結果、公団におきましては国の出資金が一〇%、それから地方公共団体つまり港湾管理者出資金が一〇%、そして四〇%ずつの借入金ということになっておりまして、従来の四〇ないし五〇%という港湾管理者の負担が一〇%に軽減されたということでございます。  今度、公団を廃止いたしまして指定法人にこれを移します際に、それではどういうことになるかと申しますと、今後港湾管理者が、外貿埠頭建設を行います場合の負担は、現在の負担と変えておりませんで、さらに港湾管理者も今後建設をする場合には無利子貸し付けを行うように考えております。つまり、いままで港湾管理者が出資をしておりましたものを無利子貸し付けにいたしましたので、しかも同じ率でございますから、むしろ負担は軽減したのではないかというふうに考えておるわけでございます。  埠頭借受者に対する借上料の高騰につながらないかという御質問でございますが、これはそのようなことにはならないというふうに考えております。
  158. 西中清

    ○西中委員 ならないというのはいまの予測であって、可能性はゼロではないわけですから、その点は非常に心配をいたしております。  それから、いわばこの公団設立そのものが港湾行政港湾整備等いわゆる港湾行政にかかわる、ある面で言えば行政改革みたいな形になっておったわけですね、設立した時点においては。それが今回の改正によって四つに分ける、こういう形になっておるわけですね。たとえば公団建設する外貿埠頭については国及び地方公共団体の負担は建設費の各一割、いまも御説明あったとおりですが、公団に出資するということであったわけですが、建設費の八割を公団債の発行によって調達している。その償還を埠頭の専用使用料で賄っている。こういう形は非常にいいんじゃないかと思うのですね。現在は出資金はありますけれども政府及び地方自治体からの補助金もなければ助成金または利子補給も行われておらない。これは非常に結構な話で、無利子の金をわざわざなにしますよというようなよけいなことをしなくたって、いまのままの方がずっといいんじゃないか、こう思うのですよ。ですから、これは観点を変えますと、やはり行政改革の先取りになっておったんじゃないかという気がするのですね。これをわざわざまたこういう形に直すということはむしろ逆行していると思うのですが、もう一遍御意見を伺っておきます。
  159. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 公団は確かにおっしゃるような意味で、従来の行政機構の中になかった要素を入れたという意味で、行政機構改革の先取りであったかもしれないと存じます。そのなかったものを導入した動機といいますのは、先ほど申し上げましたような急速な大量な施工と、それからこれを専用貸し付けをいたしまして経済的な運営を図る、この二つの目的を果たし得るためには公団のような組織でなければならないということで、いわば行政機構改革というような意識は、結果として見ればそういうふうに見られるかもしれませんが、当時は、その必要を満たすためにどうしてもそういうことでなければならないということで、公団の制度を発足させたものと考えております。  現在はそういった目で見てまいりますと情勢が変わってまいりまして、この公団は廃止をいたしまして、指定法人というような制度の方が現在の情勢にはマッチをしておるというふうに私どもは考えて、この制度を御提案申し上げたわけでございます。
  160. 西中清

    ○西中委員 どうも大した理由じゃないという感じですな。  次に参ります。  港湾行政に関しまして、この公団設立の意義は、港湾にかかわる行財政を地方公共団体の行財政から独立した企業的な港湾設備施設経営主体を育成することにありました。そして、その経営主体に地方公共団体の行政区画にとらわれない広域的な経営をさせる、そして投資の効率を図る、こういうことにあったのですね。だから、大阪湾、伊勢湾、東京港等、これは広域的な港湾整備を進めてきておるわけですが、そういう点では公団のいままで持っておった性格はむしろ合致をしておったんじゃないかと思うのですね。  今度は公団解散して四つ法人にする、外貿埠頭の経営を任せるとなりますと、行政区画による港湾行政の細分化ということが一応心配をされる。今回の措置は広域港湾行政を進めている港湾行政と逆の方向に走っていっているんじゃないか、こういうふうに考えますけれども運輸省の見解はいかがですか。
  161. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 逆の方向と申しますか、港湾の広域管理ということの必要性は、われわれも従来から痛感をしておるところでございまして、公団が確かにその方向を満たしておる一つのやり方であったというふうには考えておるわけでございます。  それで、今回の改正でございますが、細分化につながるおそれは、現在のところはないと考えております理由は、私ども先ほど申し上げましたように、公団では非常に建設面が重要な仕事でございましたので、建設をする際には広域的に考えて、重複でございますとかあるいは過剰な投資でございますとか、そういうものがあってはならない。公団で実施しておりますときでも、個々の港の個々のバースの運営というのは、その場所に即した運営、経営をそれぞれの港湾管理者とよく相談をしながらやっておりましたわけで、その点は従来やっておりました公団のやり方をそのままそれぞれの法人でそれぞれの場所において行うということになるわけでございますので、細分化にはつながらないというふうに考えております。公団の持っておりました建設の広域的な調整と申します機能は、おっしゃるとおり大変必要なものであったと考えております。その機能の必要性公団設立のときに比べて現在ではやや減ったというふうに申し上げたわけでございます。
  162. 西中清

    ○西中委員 どうかひとつその辺は十分お考えをいただかないと困ると思うのですよ。  それで、投資の効率という点でも非常に問題が生じてくるのではないかという心配をしておるのです。隣接港同士が投資したいという競争を誘発するような懸念もこれは考えられるわけでございますが、こういう点はどうですか、大丈夫ですか。
  163. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 御指摘のような問題が起こることを防ぐためと申しますか、そういうことを考慮いたしまして事業計画の大臣認可というような形で、十分に国の全体の港湾政策でありますとか海運政策でありますとか、そういった点との調整を図りながら、重複投資でありますとか過剰の投資が起こらないというようなことを目指してまいりたいと考えております。
  164. 西中清

    ○西中委員 五十五年十二月十六日のこの審議会答申では、港湾管理者、埠頭借受者等を構成員とする外貿埠頭運営のための委員会の設置をうたっておりますね。これを法律に盛らなかった理由は何でしょうか。
  165. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 この運営委員会法人の内部組織でございますので、寄付行為で定めればよいというふうに判断をいたしたわけでございます。
  166. 西中清

    ○西中委員 答申では、この委員会については、外貿埠頭に関する重要事項について、法人に設けられる理事会に付議する以前にこの委員会の議を経るようにという非常に高い位置にこれを置いているわけですね。こういう立場にある役割り、位置づけをされておるこの委員会は、簡単に内部でどうこうというようなことではなくて、答申の意図するところ、やはり借受者等の意思を反映させるということで非常に重要視している問題だと思うのですよ。そういう高い位置づけをしておる委員会をなぜ盛らなかったかということについては、どうもいまの説明では納得できないのですよ。
  167. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 港湾審議会におきます審議過程港湾管理者の意向等も十分に承っておりまして、この港湾審議会答申に盛られました精神と申しますか、内容につきましては港湾管理者も十分承知をしておられると考えております。そして、この内容について御異論はないように承っておりますので、設置者である港湾管理者がそのような御意向でありますから、十分にその意図が寄付行為の中に盛り込み得るものと考えておるわけでございます。  なお、今後その寄付行為を定め、あるいは法人の準備をいたします段階におきましても、埠頭借受者の意向等を十分に参酌しながらその作業を進める必要はあると考えておりまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、関係者の話し合いをいただく場をわれわれの方でいろいろと準備をするといったようなことで、そういった方向を確保するようにしてまいりたいと思っております。
  168. 西中清

    ○西中委員 さらに、この答申の中には、港湾の「広域的管理体制が確立されるまでは、」「四つ承継主体により構成される外貿埠頭運営のための協議会を設けて相互連絡調整を図ること」、こういうふうに述べられていますね。先ほど言った細分化という問題とあわせまして広域的な港湾管理を行う必要性答申指摘をしておると思うのです。  これも本法案から外されておりますが、外してある理由は何ですか。
  169. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 この協議会は非常に重要な役割りを持った組織だと考えておりますが、こういった協議会はそれぞれの法人がみずからの意思で自発的におつくりになるのが一番スマートな形ではないかと考えております。現在こういった類似の協議会がいろいろございまして、たとえばフェリー埠頭というものが各地にございまして、そういうフェリー埠頭の問題の共通部分をいろいろ協議するという意味でフェリー埠頭協議会というようなものをそれぞれのフェリー埠頭の公社がつくっておられます。  そういった形で当事者が集まって自発的におつくりいただくというのが一番適当な形ではないかということで法律には書かなかったわけでございますが、これも先ほどの運営委員会と同様、現在までの港湾審議会審議過程等におきまして、法人設立母体であります港湾管理者におかれましてもその必要性を十分に認めておられると考えております。したがいまして、今後法人ができました暁には、この協議会が所期の機能を目途として設立をされるというふうに考えておる次第でございます。
  170. 西中清

    ○西中委員 最後といたしますけれども港湾行政というのは運輸省はやはり一括して把握して、そして港湾管理者による港湾行政への介入は好ましくないということが本音じゃないかと私は思うのです。しかし、答申指摘しておるこういう港湾の広域管理体制の確立といったことのためには、やはり先ほど申したような機構は必要じゃないかと考えますが、見解を伺って私の質問を終わりとします。
  171. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほども答弁しておりましたように、確かにこの埠頭の管理はそれぞれ四法人移管されてまいりますけれども整備計画等を通じましてこれからも港湾の統一ある、均衡のある整備を進めていくためにわれわれも一層の努力をいたしてまいりたいと思うております。
  172. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  173. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、中村正雄君。
  174. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 いままで両名の同僚委員から詳細にわたって質問されましたので、ほとんど法案のすべてにわたって、満足、不満足は別にして答弁がございました。したがって、私は二、三の点について補足的に質問いたしたいと思うわけです。  最初に、大臣にお尋ねしたいわけですが、公団ができましたことについては、やはり短時日のうちに完成しなくてはいかぬし、そのためには膨大な資金と信用が必要だということで公団方式でこれらの建設をやったわけですが、それが一応目星がついたので、あと運営の面について別な法人業務承継させる、こういう法案趣旨であります。  前段につきましては、私も十分理解できると思うわけでございます。公団法にもはっきり出ているように、一つ建設業務であり、一つ運営業務でございますが、その前段業務が終わったから残された運営業務を新たな法人承継させる。問題は、私はこの承継する法人の性格の問題についてちょっと大臣にお尋ねしたいと思うわけでございます。  これから承継いたします法人の仕事というものは、いわゆる運営ということが中心になる。言いかえれば、できております施設を今後運用する。となってまいりますと、これは企業的な運営中心になってくる。もっと端的に言いますと、引き継ぎます法人のやる仕事の中心はいわゆる不動産業、貸しビル業と同じでございまして、いわゆる賃貸し料によってこれから運営するわけでございます。したがって、民法上に基づきます公益法人運営に当たるのが一番適切であるか、あるいは純然たる民間企業に移管することが適切であるかという問題になってくるわけなんです。冒頭に大臣の提案理由の説明等で行政機構改革の一環だというのであれば、このような、純企業的とは申しません、ただ環境が港湾という公共的な場所でありますけれども、やります仕事は、賃貸し料によって運営するわけでございますから、民間のビル業と同じでございます。そうなりますと、なぜ民法上の公益法人をつくってやるのか。この際こういう業務は民間に委託することが政府の言う行政機構の改革という方針に合致するのではないか。なぜ中途半端な民法上の公益法人にしたのか。その理由をひとつ大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  175. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いま御質問の中にございましたように、非常に公共性の強いものだということをおっしゃっております。でございますだけに、まさにその点について、民間企業に全面的に委託するとか、あるいはこれの移管先を商法上の法人にするということはできないというのは、そういうところにあると思っておりまして、それはどうしても資本の移動というものが安易に行われがちでございます。それによって公共性はどうして担保するかということになりましたら、かえって複雑な、いわば特殊会社法のようなことにならざるを得ないように思います。そうであるならば公益上の法人の方がよりベターではないか、このような判断に立ったわけであります。
  176. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 私が公共性が強いと言うのは、環境が公共性が強いということで、たとえば港湾にも民間の倉庫業はたくさんあるわけでございます。やります仕事は余り変わらない。しかも、公社公団運営がどのようなものであるかということはもう大臣も御承知のとおりなんです。民間にやらせれば収益の上がる企業でも、公社公団でやれば赤字になる。先ほど港湾局長から大体二十年間で出資金の返還もできる、言いかえれば豊かな内容を持った企業だと思うのですが、いまの見通しはそうであっても、こういう中途半端な公益法人がやった場合は、民間の企業と違って、はっきり申し上げて企業的な精神というものがありません。したがって、環境は公共的な場面ではあるけれども港湾にも私企業はたくさんあるわけでございますから、私は少なくとも政府の言う行政改革趣旨からいったら、中途半端な民法上の公益法人を選んだということについては納得ができないわけでございます。  もう一つ、先ほど申し上げましたように、これからの法人のやります仕事の内容が、極端に言えば賃貸し料を中心としての運営になると思うのです。そうなりますと、民法三十四条に言ういわゆる公益法人というものに合致するかどうか。理屈をつければ幾らでもありますけれども、やりますこと自体は民間の企業と余り変わらないのじゃないか。しかも、このような収益事業をやるわけなんです。このような収益事業が中心になっておりまする法人が民法三十四条に言うところの公益法人に合致するかどうか。私はこの点についても疑問があるわけですが、大臣はどうお考えになりますか。
  177. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 最初の御質問のところからお答え申し上げますが、現在公団でやっております外貿埠頭の規模を全国的に見てまいりますと、全国で取り扱われております外貿貨物量の五〇%以上がこの外貿埠頭公団の埠頭で取り扱われております。それで、先生指摘のように、私企業の埠頭業といったようなものも各港にございますけれども、こういった港湾の中核をなす施設、そしてその運営いかんが国全体の海運あるいは港湾の問題に直接に響くような大きなものをそのまま民間に渡すということは大変問題であると考えた次第でございます。やはり公共性の強い施設でございますので、非常に公共性の高い組織に移管するというふうに考えたわけでございます。  それから、財団法人でこういう仕事をやることの是非ということで御質問がございましたが、非常に狭く公益法人の公益というものを解釈いたしますと、先生指摘のようなことが問題になろうかと思いますが、私どもはそれほど狭く公益法人というものを解釈しなくても、こういった非常に公共性の高い事業を実施させる主体として財団法人を使うことも必ずしも悪くないのではないかと考えた次第でございます。
  178. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 公益性公益性ということを盛んに主張されますが、確かに港湾全体の問題を考えますと、公共性の強い色彩がございます。しかし、今度新たにできまする法人のやります仕事の内容と言えば、すでにあります設備を賃貸しする、それがやはり収益の全体であり、それの管理が私は仕事の大きな部分だろうと思うのです。したがって、これは環境は公共性に富んでいるけれども、民間がやってはどうにもできない、局長は大変だという抽象的な言葉で言われておりますが、どこに大変なことがあるのか、私は理解できないのです。  また、もう一つ進んでお尋ねいたしますると、たとえ財団法人として民法上の公益法人の認可が出て公益法人承継する、こうなった場合、やります賃貸し料その他の問題は、これは民間の企業と同じですから税法上の問題はどうなるか。普通民間であれば、倉庫業であろうとビル業であろうと、賃貸し料の収入については税金を払うわけなんです。したがって、公益法人であっても営業的な行為をやった面については税金を払っておることは御承知のとおりです。したがって、賃貸し料その他について税制面はどういうふうにお考えになっているのか。この公益法人だけが営業行為をやっても免税であって、ほかの公益法人は営業行為をやれば税金がかかるというのでは、私は不合理だと思うわけなんですが、この営業収入についての税制上の問題はどうなっておるか、御答弁願いたいと思います。
  179. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  最初に、この事業の内容に着目をすれば、埠頭料金を取って貸すだけではないかということでございますが、現在貸しております契約はそのまま承継されるわけでございますが、新たにつくるものもございますし、あるいは現在貸しておるものが期限が来た場合にはまた借りかえといったようなことがございますが、そういったときに、非常に高い借り賃を払うところがあればそれに貸せばよろしいかというようなことをちょっと考えてみますと、この外貿埠頭公団の事業としてつくってまいりました埠頭というのは、先ほど申し上げましたように、全国的に見て非常にウエートも高いし、港の中心にあるものでございますから、そういったことではなくて、かなり国の海運政策でございますとか港湾政策でございますとか、あるいは港全体の問題を考えて、必ずしも経済的な考え方だけではなくて公共的に運営されるべき面もあろうかというふうに考えております。そういうことが、先ほど純民間で営利的な団体にこれをゆだねることは大変だと申し上げたことの内容でございます。  それから、料金を取って埠頭賃貸をいたすわけでございますが、この事業は収益事業とは考えておりませんので、税制上の優遇措置は適用されることになっております。
  180. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 確かに賃貸しはしているけれども、民間の事業だと営利に走りやすい、やはり公共的な面も考えなければならないから特殊法人にする、これは一つの抽象的な理論としては成り立つと思うのですが、では、この法人を公共的な面で運用しなくてはいかぬ、その公共的というのはどういう面にあるのか、ひとつ具体的に例示願いたいと思うのです。
  181. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは先生御承知のように、港湾の埠頭というのはだれが考えましてもまさに公共的であり、公益性が優先しておるということは、これは御認識していただけると思うのです。     〔委員長退席、楢橋委員長代理着席〕  先ほど御質問の中にございました民間でやれということは、これは私も埠頭会社をよく承知しておりますが、しかし、その敷地等は、行政財産の場合にはただそこに賃借料を払って管理者から借りておるというものが多いと思うのです。ところが、今度承継いたします法人というものは、公団の持っております一切の権利義務を、だからしてむしろ行政財産そのものを引き継いでおるということでございますから、やはりこれはどうしてもいわゆる商法上の法人ではなじめないものだ、こういうふうにもひとつ御理解していただきたいと思うております。  そういうことから見ましても、港というのはまさにその都市の玄関でございますし、経済活動の基本を担っておるところでございますので、公共性はひとつ是認していただきたいと思うのです。
  182. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 政府の公益法人にする理由なり説明は、それなりに一応わかりますから、その点はこの程度にして。  では次に、受け入れる法人なんですが、こういう特殊法人をつくらなくても、港湾管理者でありまする地方自治体に委譲するという別な方法があるんじゃないか。言いかえますと、現在二つ公団を廃止して四つ法人をつくる、これは行政機構改革に反するんじゃないかという同僚議員の質問がございましたが、それと同じように、二つ公団は仕事が終わったから解散することは賛成、あとの設備については、これは港湾管理者でありまするそれぞれの地方自治体に委譲する、なれば私はこれこそ本当に行政の簡素化にもなるし、行政機構の改革にも合うと思うわけなんですが、なぜ地方自治体に委譲せずにこういう特殊法人をつくるのか、その道を選ばれたのか、その面の理由をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  183. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは御質問ごもっともだと思うのです。地方自治体も港湾管理者移管を強く主張しておりました。それも承知いたしております。しかし、この公団設立しましたそのいきさつ並びに公団建設を進め、それを賃貸ししてまいりましたそのいきさつ等をずっと見てまいりますと、余りにも急激な管理主体の変更ということは、要するに借受人、ユーザーの方から見ましたら、やはりそれ相応の経過を踏んできたものであるだけに、自分らの、いわばユーザーの発言権と申しましょうか、利益擁護の道も何らかの方法で考えてほしい。ただ、これは単に建設が終わったから単純に港湾管理者の手元で管理運営すべきものではないと、こう私たちも思いました。そこで、ユーザーの、借受人の意向もある程度しんしゃくし得るような状態をつくるのには、先ほども御質問ございましたような委員会を設ける、こういうことは地方自治体が主体となっております港湾管理者の中ではやりにくい仕事でございますしいたしますので、折衷的な案といたしましてこういう法人移行ということで解決したということでございます。ですから、これには根底には、港湾管理者管理主体としながら、しかも、なおかつ借受人が権利の留保をして持っておりますから、この権利を擁護することもある程度折衷であったということでございます。     〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕
  184. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 確かにこれはお役人の考えるような内容だと思うわけなんですが、たとえば地方自治体に移管したからといってユーザーの利益が害されるということは、私はちょっと納得できないわけなんです。したがって、こういうあいまいな、複雑な法人をつくること自体が私は行政の簡素化に逆行すると思うのです。端的に地方自治体に移管することが簡単であり、そしてやはりはっきりすると思うわけなんですが、この点はそれぞれの見解の相違でございますから、やむを得ません。  次に、監督権の問題ですが、できまする法人の行う業務上の監督、それぞれの港湾ごとに法人をつくるわけですから、運輸省自体が直接総括的には監督するとしても、第一義的には地方自治体、これに監督権があっていいんじゃないか、やはり直接運輸省自体、中央が監督しなくちゃならない理由がどこにあるかという点が私は不思議なわけなんです。言いかえますれば、全体の港湾整備その他は中央において一応の計画を立てることは結構ですけれども、こういう問題こそ、できております設備や今後の改良等についてはそれぞれの自治体が監督してやることの方が今後の運営がスムーズにいくんじゃないか、なぜ中央に監督権を持たせたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  185. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  地方自治体は、港湾管理者でございますが、これは財団法人設立者でございますから、寄付行為を定めるというような形で一義的な監督権を持っておりますことは先生指摘のとおりでございます。その他地方自治法に基づきます監査でございますとか、そういった地方自治体固有の監督権の行使は当然行われるものと考えておりますが、運輸大臣がこの法人を直接に監督することにいたしましたのは、現在考えられておりますこういった四港というのが、全国向けの外貿雑貨埠頭の窓口というか、拠点というか、日本全体の玄関でございまして、これらの外貿埠頭整備ばかりでなく管理というものが、外国貿易の増進という非常に国家的に重要な目的を実現するために密接不可分のものであるという関係を重視いたしまして、これまで公団というような国の一つの特殊な機関に実施をさせてきた、そういった経緯を考えまして、これが指定法人に移りましても、この業務の国家的な重要性は何ら変わるわけでございませんで、外航海運政策でございますとかあるいは全国的な港湾運営との関連でございますとか、そういった全国的に考えなければならないような観点を考えながら、整合性を保持しながらこの外貿埠頭運営されていく必要がある。そういうことを考えまして、その点を見ながら全体を誘導していくというような意味運輸大臣の直接の監督を考えたわけでございます。
  186. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 これに関連して、現在は四つの港の関係ですが、これ以外に、このような特殊法人をつくってこれからも運営させようというような地域をお考えかどうか、もしお考えであればお示し願いたいと思います。
  187. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 現在の時点では、こういう組織はこの四つだけで十分ではないかと考えております。
  188. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 私の質問はこれで終わります。
  189. 小此木彦三郎

  190. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 大臣にちょっと緊急にお聞きしたいことがあるのですけれども、実は経済企画庁の方から、消費者物価指数が六・四の見込みが七・八になりそうだということで、物価の上がりぐあいが非常に心配なんですけれども、近々国鉄運賃の値上げが予定されておりますけれども、とりわけ学割定期が非常に高いということで、きのう自民党の安倍政調会長が、その問題については運輸省と相談して前向きに検討したいということを五党に御返答になっておるということを新聞で見たのですけれども、やはり肝心なのは運輸省のお考えだと思いますので、学生たちのためにも家族のためにも心配なことでございますので、ちょっと法案関係がなくて申しわけないのですけれども大臣の御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  191. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 自民党の安倍政調会長も物価対策上非常に心配しておられることは、私も新聞を拝見して承知いたしております。しかし、具体的に党の方からもまだ申し入れはございませんが、いずれにいたしましても、この問題は運輸審議会に相談をかけなければなりません。その運輸審議会結論を待って対処いたしたいと思うております。
  192. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 委員長、どうもありがとうございました。  では、大臣、よろしくお願いいたします。  それでは、法案関係の質問をさしていただきます。  第五条一項を見ますと、この指定法人の行う整備計画というのが載っております。この内容を見ますと、指定法人の行う外貿埠頭建設または改良工事、すなわち業務、これは港湾法第十二条の三で言う港務局が行う業務と同じものではないかと私は考えるのですけれども、それと関連いたしまして、地方自治法では、港湾管理者港湾管理についてどのように規定しているのでしょうか。
  193. 小野維之

    ○小野(維)政府委員 お答えいたします。  港湾管理は、港湾管理者の固有事務として、特に規定はされておりませんが、観念されております。
  194. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 港湾施設等の設置もしくは管理等の義務は地方公共団体である港湾管理者の固有の事務である、こういうふうな考え方が地方自治法で明らかになっていると思うのですけれども、この第五条一項によりますと、この新法の指定法人整備計画を定めても、まず運輸大臣の認可を受けなければならないし、それから変更のときも大臣の認可を受ける、こういうふうになっておりますので、いわば政府指定法人整備計画についてはコントロールをしている、こういうふうにこの条文からは読み取れるわけです。そうしますと、指定法人業務というのは港湾管理者が行う業務とは言えない、いわば地方自治の権限に対して政府が介入をしている、地方自治を侵害をしている、こういうふうに私は判断をするのですが、いかがでしょうか。
  195. 小野維之

    ○小野(維)政府委員 港湾管理者の固有事務とは申し上げましたけれども港湾管理者だけがやるというふうな考え方ではございません。  それから、いま外貿埠頭整備計画について運輸大臣が認可をするではないかという御指摘でございますが、認可の前には港湾管理者に協議をして、港湾管理者港湾計画をつくっておるわけでございますが、それとの整合性を見た上での認可を行うということにしておりまして、侵害にはならないのではないかと考えております。
  196. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いま、そこの問題で論議をしていますと時間が足りなくなるのですけれども、しかし考えてみますと、この問題についてはいわば二元管理が行われている。いま審議官の方からそういう御答弁がありましたけれども、別に、運輸大臣がコントロールをされるからまず一応協議をしなければならないということが逆に言えると思うのですよ。だから、もともと全部の管理業務が地方公共団体、いわば港湾管理者に任されておるならばそういう必要はない。だから、このやり方はまさに港湾の二元管理になる、こういうことを私は地方自治を侵害をしているという観点から指摘をして次の問題に移りたい、このように思います。  現行法では、外貿埠頭建設についての基本計画は運輸大臣が定めることになっております。その中身は政令第五条に明らかにされていると思うのですが、本法案では外貿埠頭整備計画はだれが定めるようになりますか。
  197. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 指定法人が定めることになっております。
  198. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 文字どおり指定法人が定めることになると思うのですけれども、ところが第五条の三項に適合条項というのがございますので、それと読み比べてみますと、この第五条三項の適合条項を読んでみますと、港湾法政令第一条の四に該当するわけです。そうしますと、現行法のいわゆる基本計画を運輸大臣が定めることとなっているその内容、政令第五条と、いま申し上げました港湾法政令第一条の四、これを比べてみますと、AとBとは計画の具体化の程度が全く違うということで内容が異なるものですから、これで比べてみますと、今度の新しい法律でまいりますと、国でもなければ港湾管理者でもないものが港湾建設の計画をつくる、こういうことになるのではないでしょうか。いかがですか。
  199. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  港湾管理者が一元的に管理をいたしておりまして、港湾の全体の計画というのは港湾管理者港湾計画によって定めることにいたしておりますが、その内容をなします個々施設建設は、必ずしも国または港湾管理者だけが建設しなければならないということではなくて、こういった指定法人建設をいたしましても差し支えないわけでございます。
  200. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、この指定法人のされることといいますと、この港湾建設に関して考えてみますと、これでは普通の私企業が独自に建設をされるいわゆる私有岸壁といいますか、私有埠頭と全くその内容は変わらない、こういうことが言えるのではないでしょうか。どうですか。
  201. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 岸壁の効用等に着目いたしますれば私有の、埠頭会社がつくるものと全く同様でございますが、先ほど別の機会に御答弁申し上げましたように、この外貿埠頭公団が現在までに建設をいたしました外貿埠頭は、国全体から見ましても非常に重要な中核的な位置と規模を占める埠頭でございますので、これは一般の民間の埠頭と区別をして、考え方あるいはそれの管理につきましても別の法人でやる必要があるというふうに御説明を申し上げたわけでございます。
  202. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ところが、私がここで問題にしたいのは、その外貿埠頭というものの実態から、この法律外貿埠頭公団解散をされて新しいいわゆる指定法人、さっきから数が問題になっていますけれども四つ法人になる、こういうことなんですけれども、これが非常に大きな問題を持っている。今度のこの新しい法律ができることで、いわゆる償還計画があるけれども、国は出資金を引き揚げられるわけです。しかし、運輸大臣のがんじがらめの認可権というのが相当強く残っているわけですね。金は出さないが口は出す。大変言葉が悪いようで申しわけございませんが、そういうふうな形になっているのですけれども、それが実態と合わしてどうなのかといいますと、建設された外貿埠頭というものはいわゆる専用貸付方式によっておりますから、各企業がいわば半永久的に使用できる埠頭だ、こうですね。  そうしますと、いわゆる私企業の私有埠頭、これと比べてみると一体どれだけ違いがあるかというと、私有埠頭との違いと言えば、所有物かあるいは半永久的な貸し付けによる専有物か、こういうことになりますので、この外貿埠頭は大変いい成績を上げておられると言っておりますけれども、いわば企業の方が安い国の金あるいは地方自治体の金をもってたくさんの専用埠頭をつくってもらってそれを安いお金で貸し付けを受けている、これが現実の姿ではないか、こういうふうに思いますと、この外貿埠頭のあり方というものは相当大きな問題を含んでいる、こういうふうに指摘をせざるを得ないわけです。  だから、実態を見てみますと、私有埠頭と外貿埠頭は法的にも何ら変わりがないものじゃないか、こういうふうに指摘をしますと、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、この第六条に、新しい建設をする場合に国が無利子のお金を貸し付ける、こういうことになっていますね。それからまた、地方自治体がいままで出しておった出資金はいわゆる出えん金、寄付金、こういう形になるというふうに言われています。こういたしますと、行政改革といいますのは、いわば国民の税金がむだ遣いをされない、効率的に使われるようにというのが行政改革の目的だというふうに思うのですけれども、いわば私企業の私有財産ともほぼ変わらないように半永久的に安いお金で貸し付けを受けているようなこういう外貿埠頭に対して、なぜこのように国民の税金を使って非常に安く有利になるような措置をとられようとしているのか、その辺について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  203. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 最初に仰せのように、これは永久専有するというものじゃございませんで、貸し付けも永久に貸し付けてしまうというものではございませんで、たしか十年の年限を切って契約は更新しなければならぬということになっております。でございますから、そのときどきの評価並びに管理手数料等を計算して貸付料を変更することもあると思わざるを得ないのでありまして、でございますから、第一問の御質問につきましては、そんなにわれわれは固定して考えておりませんで、十分納得できる貸付料をやはり契約で取るべきだ、こう思うております。  それからもう一つ、国民の税金でとおっしゃいますけれども、先ほど来問題になっておりますように、この外貿埠頭建設の大部分の資金というものは公団債の発行によって賄っておりまして、しかもその公団債の約四割に相当するものは、貸付けを受けておるもの、いわゆる借受人がその公団債を引き受けておるということも忘れないようにしていただきたい。ただし、確かに市町村が出えん金を出して、それによって公共的に運営しておるのではないか、こういうことでございます。しかし、これは公共埠頭におきましても同様でございまして、その点は港湾管理者がいままで公共埠頭でやっております原価計算というようなものもほぼ同じような手法でやっております。ですから、われわれ、この指定法人移管したからといって、特別その指定法人がその借受人にむちゃくちゃな犠牲を払って貸し付けをするというようなことはないものだと思うております。
  204. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いまの御答弁でそういうことは余りないというふうな御指摘でしたけれども、しかし地方自治体の出資金が出えん金になる、寄付金になるということですけれども、国がある団体に対して、地方自治体に寄付を強要する、こういうことはあってはならないと思いますし、普通の公共埠頭に地方自治体がお金を出しているのじゃなくて、私が再三指摘しているように、それは大臣は十年くらいの期間でまた借りかえするのだからとおっしゃいますけれども、いわば大企業の船会社だとか運輸会社のいわば半永久的な埠頭、こういうことになるわけですから、一般の公共的な港湾に地方自治体がお金を出しているのとこれは根本的に違う、だからこういうふうなやり方というのは十分に国民が納得をするようにやっていただかなければならない、このように思うわけです。  では、その次に役員の問題に移らしていただきますけれども、第三条の一項の規定ですね。先ほどもちょっと同僚議員の御質問のときにございましたが、もう一度第三条一項の規定はどういう趣旨なのか、ちょっとお答え願いたいんです。
  205. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  第三条一項の役員の中に、海運事業及び港湾運送事業に対する知識と経験を有する者を入れておくことを寄付行為に書いてあることがその指定の要件だ、こういう趣旨でございますが、これは港湾審議会答申の中で、この外貿埠頭法人に引き継がれた場合の運営が、埠頭借受人である船社でありますとかあるいは港湾運送事業者でありますとか、そういった関係者の意向を十分にくみ入れられるように、その役員にはそういった知識経験を持った人を入れるべきであるという御答申をいただきましたのを受けましてこの規定を入れたものでございます。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
  206. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 関係者の意向がよく入るようにということで、答申の意向をもってこの趣旨を入れた、こういうことでしたね。そうすると、関係業界の役員等を加えるということですか。
  207. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 関係業界を代表する人という意味ではなくて、そういった海運でございますとか港湾運送事業でございますとか、そういったものに対する知識経験をお持ちの方を加えるという趣旨でございます。
  208. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ところが、いわゆる知識、学識経験者というのはだれでもなれるわけです。だから、むきつけにどこそこ会社のだれをということにはならないと思いますけれども、いわば関係業界の役員を加えようと思えばそういうふうな形ででも加えることができるというふうに私は判断をしたいと思うのです。  なぜかといいますと、もう一つ大事なことが、今度の新しい法案役員問題であるからなんです。というのは、現行公団法には、この間の日航ではありませんけれども、兼職禁止規定がありますね。これはどういう趣旨で設けられたんですか。
  209. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 現在の公団法には借受者である業界の役員が入ってはならないと申しますのは、この埠頭の性格が、先ほど来申し上げておりますように、きわめて国家的、公共的なウエートの高いものでございますので、個々のユーザーの代表が入るということのマイナス面を考慮して禁止規定を入れたものでございます。
  210. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、現行法ではそれぞれの業界なり会社の営利が、その公団の事業の中で特段にもうかるようになってはいけないからということで、公共性を重視してそういう兼職禁止の規定があるわけです。ところが、今度の法案ではそういうふうなものがありませんし、先ほど言いましたように、いわゆる業界、経験のある知識人、こういうふうな方を入れることができる、こういうふうになりますと、この指定法人というのはいままでの公団よりもそういうような公共性をもう無視してきた、こういうふうにとってもいいんですか。いかがです。
  211. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 公共性につきましては公団の場合といささかも変わるものではないというふうに考えておりますけれども法人の性格が変わりましたためにその公共性のあらわれ方といいますか、それに若干の差が出ることは考えられると思うわけでございます。  それで、港湾審議会答申の中にこういった知識経験を有する者を入れて管理運営を図れという御趣旨答申が入りましたのは、民間の創意工夫を取り入れて組織の運営に活力を導入する、そういう意味からこういったことを考えるべきだという御趣旨でございました。そういう御趣旨を受けまして、役員のうちに外航海運及び港湾運送に関する事業についての知識経験を有する方を含めるということを寄付行為に定めていただくようにしたわけでございますが、先ほど申し上げておりますように、この役員に入っていただきます方は事業についての知識及び経験を有する方として入っていただいておるわけで、それぞれの埠頭借受者またはその団体の役員ということで業界あるいは個々の企業の利益を代表する方という意味ではございませんので、そういうふうに御理解をいただきたいと思っております。
  212. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 こういう質問をするとそういう御答弁が返ってくるというのは大体わかるんですけれども、ことしの二月二日に日本船主協会の小野さんという方が運輸大臣あてに要望書を出しておられますね。そのところに「埠頭借受者の意向反映を図るよう措置することが答申に調われているが、これを具現化するものとして、」云々とありまして、「埠頭借受者の立場を代表する理事を常勤とする等の規定整備されること。」というふうに御要望が出ているわけなんですね。先ほどから局長がいろいろと御答弁になっておりますけれども、しかし現行法から見ましても兼職禁止が外れておりますし、それから学識経験者を入れるということなんですけれども、これはちょっと問題が違いますが、ある生駒の山の調査をしているときに、その調査の委員会というのを学識経験者で構成するというふうに国土庁が発表してくださったんですが、その中に大林組のある社員の方が入っておられるわけです。これは企業代表になるじゃないかと言いますと、土とりの問題についてはこの人がきわめて権威者であるから学識経験者として入れた、こういうことになっているわけなんです。  ですから、学識経験者というのはだれでもなれるということであって、むきつけに何々会社の代表を学識経験者として入れるというわけにはいかないと思いますけれども、そうした知識経験を生かす学識経験者をその業界の意見を反映する役員として送り込む、そういうことを寄付行為で決めた、こういうことであって、兼職禁止のあの規定が後退をしていることと二つあわせまして、今度の指定法人というものが前の公団に比べてずっと業界の意向を反映するように、そして、それの裏づけとしてまた国ができるだけ口を出すようにしている、金は引っ込める、こういう形がきわめて明らかであるという法案だというふうに思います。  ちょっと時間がありませんので、あと一問だけ大臣にお伺いしたいんですが、こうして公団でどんどん外貿埠頭ができていくんですけれども外貿埠頭ができてもうけるのはやはり企業だと思うのですが、外貿につくった品物を運ぶときに大変困った問題が起こります。いまポートピアが大変人気を呼んでおりますけれども、神戸のポートアイランドにもずいぶんたくさん公団によって外貿埠頭がつくられているわけです。ところが、ここに外国から持ち込まれた製品またここに運んでくる製品がどういう形で運ばれているかという問題です。これは大臣もよく御存じのとおりに、阪神高速それから国道二号線、国道四十三号線と、それにまた今度は新空港のアクセスとかいう話で湾岸道路がつくられるということで、私も実際この道を走ってみましたけれども、これは本当に公害の真ん中で大変な被害を周辺にまき散らしているということなんです。ここにいわゆる神戸港線という臨港線があるわけですけれども、ポートアイランドの中に国鉄が基地の土地を持っておりながら、昭和五十四年六月にはオンレール化の方針を出しながら、全然ポートアイランドの中には国鉄のレールも何にも引かれていない。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕  そして、いわゆる荷物の基地を合理化をしていくというふうな形で、いわばこういうふうな外貿埠頭がつくられることによりましてでき上がった品物が運ばれる、またここに物が運ばれてくる、そのことがいまの非常なモータリゼーションによって住民には大きな被害を及ぼしている、しかも神戸港のように、臨港線という国鉄がりっぱにありながら、それが何ら活用されようとしていない、こういうふうな現状でございます。  大臣にお聞きしたいのですけれども、総合交通体系ということをよく大臣おっしゃいますが、公害が発生しない、省エネの問題から考えても適合しているそうしたきわめて効率的、能率的な輸送体系というものが、そうした港湾建設をされたときに確立されなかったら、幾ら港湾ができても、やはり地域住民にこんな多大な迷惑をかけるようなものでは困る、こういうふうに思うのですが、その点を最後にお聞きして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  213. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほどから四ツ谷さん言いっ放しで、ずいぶんおっしゃいましたけれども、まず最初に私どもから申し上げたいのは、兼職禁止を解いて、それによって大企業奉仕の体制をとっておるということでございますが、これは誤解もはなはだしい。あなたから見られたらそう見られるのかもわかりませんが、そうではなくして、この前改正をお願いいたしました日本航空株式会社の場合も、役員が兼職をしてもいいというふうに変えてもらったんですから、その点は誤解のないように。  今度の港湾指定法人につきまして、何も兼職禁止どうのこうのという、そんなことでわれわれは考えておるのではございませんで、確かに公団のときには利益関係者をできるだけ入れないようにするということ、これはもう公団趣旨でございましたが、だからといって、指定法人でその原則を貫くかといっても、その原則は貫く必要もないと思うのであります。がしかし、この学識経験者というのは、会社の代表として入れるんではない、また業界代表として入れるんではない、公平な立場に立って考えていただく方に役員に入ってもらう、こういう趣旨でございますから、これはぜひひとつ誤解のないようにしていただきたいと思うのであります。そして、外貿埠頭というのは、確かに日本の経済の窓口になっておるところでございまして、この外貿埠頭がもし閑古鳥が鳴いておるというようなことがあったら、日本の経済だってどうなるかということもやはり考えていかざるを得ないのでございますから、そこらのいわば大所高所に立った御判断をお願いいたしたいと思うのであります。  神戸港線、臨港線でございますが、これはいまいい御指示をいただきましたので、すぐに鉄道監督局を通じ、国鉄にこの臨港線の活用の問題については、直ちに私は指示したいと思うております。私も実はこれ知りませんので、一遍聞いてみたいと思うております。神戸に外貿埠頭ができましたのに伴いまして、確かに湾岸道路、込んでおることは承知いたしております。つきましては、阪神道路公団におきまして、この湾岸道路を一刻も早く完成することに鋭意努力して集中的にやっておりまして、それによりまして現在の第二阪神道路等が相当に緩和されるのではないかと思うておりますが、御迷惑かけておることも知っております。それだけに阪神の湾岸道路の完成を一刻も急ぎたいと思うておる次第であります。
  214. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 どうもありがとうございました。
  215. 小此木彦三郎

    小此木委員長 三浦久君。
  216. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ここに京浜外貿埠頭公団がつくりました「海上コンテナ輸送と外貿埠頭公団の十年」という本があります。この本の百八十三ページに「公団埠頭貸付方式の特長」という項目があるんですね。そこでどういうことが書いてあるかといいますと、これは公共コンテナバースと違ってこういう特徴があるんだと言っています。すなわち、その前はこうですね。「公団埠頭の貸付けは一ないし複数の会社に専用に貸付け、借受けた会社は排他的にその埠頭を使用することができる。すなわちこの方式は利用者が特定化され、埠頭の運営を第一義的に利用会社の支配下におき、埠頭利用の効率性を高めようとするものである。」こうなっておるんですね。  ここにも端的にあらわれておりますように、この外貿埠頭公団法というのは、公団でもいいんですが、これは大手海運会社、倉庫会社、こういう大企業の強い要望によってつくられた、これらの大企業の利益を確保するという観点によって、国家の資金によって設立されたものだというふうに私は考えております。ですから、わが党は、その設立当初からこれには反対をしてまいりました。現在も、民主的な行政改革の一環として、その廃止を強く主張しております。しかし、今回政府が出されてまいりました本法案は、名称は確かに公団を廃止するというふうになっておりますけれども、同僚議員からもたびたび指摘されておりますように、その実態は衣をかえた公団の存続なんですね。依然として大企業の利益を守るためのものになっているということであります。二つ公団解散する、四つ財団法人をつくる、こういうことがどうして機構の簡素化とか行政効率化になるのか、これは私も大きな疑問を持っているところであります。  それじゃ、どうしたらいいのかということなんですが、私はこの公団業務というのは港湾管理者移管をする、そしてその一元的な管理に置くべきだというふうに考えております。現に五十二年十二月二十三日の閣議決定は、公団業務港湾管理者移管する、こういうふうになっているわけですね。それからまた、港湾管理者の強い要望でもあるわけでございます。ところが、この閣議決定がなされた後に、業界から猛烈な運動があった。いわゆる巻き返しが行われて、そして現在のようになったわけなんです。  それで、ちょっとそれに関連してお尋ねしたいと思いますが、この過程の中で、港湾管理者移管を含めて何案くらい、この検討の対象になったのか、お答えいただきたいと思います。
  217. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  前段は御質問ではないのかとも思いましたけれども公団の埠頭を専用貸しの方式で運営いたしておりますのは、大企業の利益を守るためではございませんで、コンテナという非常に革新的な輸送手段が生まれまして、この輸送手段のメリットを十分に生かすためには、船がそこで待つようなことがあっては非常に困る、来ればすぐに荷役ができて、急速に回転することが、その輸送のメリットを生かし、ひいては荷主の利益につながるということだと私ども考えております。  そういった目的を達成するためには、従来の公共埠頭でございますように、早く入港したものから着けるというような方式でございますとなかなかうまくまいらないということから、この専用貸しの方式が生まれ、この結果、公団の埠頭は、その利用効率から申しますと、普通のいわゆる公共埠頭に比べて数倍の取扱量をこなすことができる状態になっております。  そういうふうなメリットがあるわけでございますが、これを従来の公共事業のような国及び地方公共団体が全部負担をするという方式でなくて、民間の受益者からも……(三浦(久)委員「時間がありませんので、質問にだけ答えてください」と呼ぶ)  港湾審議会におきましてこの問題を検討されましたときに、一番最初は、二案という形が提案されました。二案と申しますのは、港湾管理者に直接移管する方式でございます。それが一案。それから第二案が、民間の会社に移管する方式というのが次に提案されております。それから、その次の段階で、その両者の中間にある特殊なといいますか、その法人を考えて、それに移管してはどうかという案が出てまいりました。さらに、それを煮詰める段階で、その中間案というのに三つの案が出てまいりました。その一つは、全額港湾管理者出資の法人でございます。一つは、港湾管理者と埠頭借受者の共同出資による公益法人でございます。それから第三案が、これも埠頭借受者港湾管理者のそれぞれの共同出資によります株式会社案でございます。この三つを一つずつ別に考えますと、五案が検討過程で論議されたわけでございます。
  218. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、いま港湾管理者に直接移管するという案も検討の対象になったと言われましたね。それはなぜ実現しなかったのでしょうか。
  219. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 これは公団設立当時にも考えられたことでございますが、こういった専用貸しをするという方式が、港湾管理者の一般の業務の中で非常に特殊な姿になるわけでございます。御存じのように、港湾法によります港湾管理は、公共事業でこれをつくりまして、公共的に運営する。一般公衆の用に供する形で運営をするということで、具体的に埠頭の運営を申し上げますならば、先着順に運営をするというような形で運営をされておるわけでございますので、その中で、先ほどのような要請にこたえます専用貸しの運営港湾管理者にやらせるということが、やはりいろいろな面でほかの制度との整合性を図るという観点から好ましくないというようなことが、港湾管理者の案をとらなかった大きな理由でございます。
  220. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、その港湾管理者移管したからといって、専用使用ができないというわけではないでしょう。ですから、港湾管理者からのいろいろな意見書とか要望書を見てみますと、専用使用をするのだ、させるのだ、こう言っていますね。私どもは、専用使用をさせるということに反対ですけれども、しかし自治体としてはそういうことを言って港湾管理者移管してくれ、こう言っているわけでしょう。ですから、そこが本当の理由じゃないと思うんですよ。ここに、これは船主港湾協議会を代表して、日本郵船株式会社の専務取締役宮岡公夫さんですか、五十五年の六月に「外貿埠頭公団廃止後の外貿埠頭運営について」という意見書港湾審議会提出していますけれども、そこで言っているのは、もう港湾管理者移管されたらいやだということなんですね。もう業界がうんときらっている。そのきらっている理由は何かといいますと、大体港湾管理者がコンテナ埠頭をつくったり、そういう埠頭を運営したりするのは、地域住民、地域の発展のためにやっているんだ、おれたちのためにやっているんではないのだ、だからいやだ、こういう意見なんですね。それからまた、地方自治法の制約とか地方議会の権能から離れたい。ですから、要するに、地方自治体や地方議会の管理、そういうものから逃れたいということなんですよ。私はこれはちょっとひどい話だなと思っているんですね。要するに、そういう治外法権を彼らは主張しておるわけですよ。そういう業界の強い意向を反映して、そして、この港湾管理者に直接移管するという方法は取りやめになったというふうに見るのが至当だというふうに私は思っています。結局、私に言わせると、業界が横やりを入れたということですね。  それで、次にお尋ねしますが、さっき言いました共同設立の公益法人、または共同設立の株式会社ですか、そういう方式、これをとらなかったのはどういう理由からですか。
  221. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 まず、株式会社をとらなかった理由につきましては、先ほどの民間をとらなかった理由とほぼ同様でございます。  それから、同じ公益法人で全額港湾管理者出えんのものと、ユーザー及び港湾管理者が共同で出えんするものとの比較をいたしました際に、出えんの額というのは、必ずしも法人の中における意向の反映につながるものでもありませんし、一案と申しますか、港湾管理者全額出えんのものと性格的にほとんど変わらないということで一案の方を採用したという形になっております。
  222. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは株式会社にしますと、税金上、税制上いろいろな問題が出てくるのじゃないですか。だから、株式会社にしなかったのじゃないですか。業界は、株式会社にしてくれという要求を出したときもありますね。ところが、出してから、いろいろな負担がかかり過ぎるというので、現在の案になっているのだと私は思うんですよ。たとえば承継時の不動産の移管が行われる、その登録免許税の問題とか不動産取得税の問題とか、それからまた、その後の固定資産税の問題、こういうものも、いまのいわゆる財団法人にするよりも不利になってきますね。株式会社なのに半分にまけてやるとか、登録免許税も一年間はただにしてやるとか、なかなかそうできないですよね、株式会社にしてしまうと。それからまた、法人税だとか事業税だとか住民税だとか事業所税だとかいうものは、地方公共団体が二分の一以上の拠出をしている公益法人であると、払わなくていいわけですね。ところが、株式会社にすると、これはみんな払わなければいけない。だから、結局財界に一番有利な現在のいわゆる指定財団法人方式というものがとられたのじゃないかと私は思うんですよ。  ですから、そういう意味では、これは財界の強い意向が反映されているというふうに私は思うんですね。たとえば、いまの財団法人方式にしますと、ユーザーは出資もしなくていいんですよね。それで出資をしても役に立たないのです。というのは、出資の数に応じて口が出せるという仕組みじゃないですからね、財団法人は。ですから、一銭も金を出さぬで、そして今度その利益をこの法律によってばあっと守ってもらおう、そういう姿がありありと出ているんです。  ですから、この過程の中で、お尋ねしますが、業者からの要求というのは、まず一つは、港湾管理者への移管はやめてくれということでしょう。二番目は、専用使用をいままでどおりやってほしいということですね。三番目は、貸付料もいままでどおりにしてくれ、これがやたらに上がらないようにしてくれということでしょう。そしてまた、外貿埠頭整備管理についてはユーザーの意向を反映させてくれ、こういうことなんですよね。そうすると、こういう要求というのは、まさにみごとにこの法律によって実現をされているというふうに考えているのですけれども、どういうふうにお感じでしょうか。
  223. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 この承継の問題をいろいろな関係者におきまして、審議会懇談会等を通じて御議論をいただきました際に、ただいま先生指摘のようないろいろな御意見が出たことはそのとおりでございます。  それで、私ども、この問題の処理に当たって考えましたことは、やはりまず関係者合意ができるやり方でないと、この問題の処理はできない。もちろん、先ほど来申し上げておりますように、この公団事業というものの国家的、公共的な性格、重要性、こういうものにかんがみて、それにもとるようなことであってはもちろんいけませんですが、やはり関係者合意をしながら運営をしていくということを念頭に置くのが一番適当ではないかというふうに考えました。
  224. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ですから、私が申し上げたいのは、まず閣議決定で港湾管理者移管すると決まっているのですよ。それからまた、港湾管理者自身も、直接自分のところに移管してくれと強い要求を出しているのですよ。そういう閣議決定とか港湾管理者の要求よりも大企業の要求の方が優先しているというのがいまの姿じゃないかと思うのですね。そういう意味で、私は大企業優先の、大企業本位の姿というものがよくあらわれ過ぎているほどあらわれているということを、この法案を見て感じているわけであります。ですから、そういう意味では、行政機構改革というのであれば港湾管理者に直接移管をするということが一番いいことですよ、理事者もつくらなくていいし、役員もつくらなくていいのですから。私はやはりそういうことをやって本当の行革をやるべきだというふうに思っております。  それから、人事問題について、この公団法と比べて余り口を出さないようになっているようですけれども業務に関しては、これはかなりのがんじがらめに縛っておる。特に強い要求のある使用料については、これもやはり運輸省令で定めた基準によってぴしっとつくらなければならぬ、届けなければならぬ、そしてまた監督権もあって命令も受けなければならぬというような非常に強い規定になっていますね。そういう意味で、私も地方自治権の侵害になるのじゃなかろうかなという感じを実際の話持っております。それで、現にそういう地方の港湾管理者から、港湾管理者の自主性をもっと尊重してくれという要求も出されているわけですからね。私もそういう疑いを非常に強く持っているのです。  余り時間がありませんから次に移らしていただきますけれども、さっきもちょっと同僚議員から話がありましたけれども、地方自治体の出資金は、これは出えん金になって寄付になってしまいますね、法律によって。地方財政法四条の五との関係はどういうふうになるのでしょうか。地方財政法四条の五というのは、国は地方公共団体に対して寄付を割り当てて徴収してはならない、そういう規定であります。
  225. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  この出資金を出えん金とみなす規定を置きましたのは、地方公共団体である港湾管理者が出資をいたしましたときの意思、つまり外貿埠頭整備し、これを継続的に管理していくという意思は、法人をつくりましてこれに承継いたしましても十分にそのまま継続していかせる、つまり意思に反することはなくて、出資のときに意図されました意思がそのまま継続されるということがございます。それを一番根拠と申しますか、そういう意味で、地方公共団体の意思に反していないということで、この法律に盛り込んだわけでございます。
  226. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それはちょっと勝手にそういうふうに解釈してはいけないと思うのですね。たとえば、この出資をしたときには地方議会の議決を経ているはずですよ。そして、出資をした場合に、その出資というのは解散になったら返ってくるというものなのですね。出えん金というのは返ってくるかどうかわかりませんよ。それはその解散のどきに法律で決めるというけれども、返ってくるかどうかわからないものですよね。ですから、地方議会——いま法律でもって、本来なら解散になったのだから返ってこなければならないわけですね。国と同じように地方自治体に返ってこなければいけない金、それを強制的に取ってしまう。取ってしまうというか、寄付金とみなすというわけでしょう。それについて地方議会の関与というのは全くなされないままなのですよね。そういう問題が一つあって、地方議会の意思というものが全く無視されているということが一つ。それから、いま私が言った地方財政法四条の五に、国が強制的に寄付を割り当てて取ってはいけないという、確かにこれは国が取っているわけではない、その指定法人に寄付をさせているわけですけれども、しかし趣旨からいえば私は同じような問題じゃないかというふうに思うのですね。  この点についての御見解、いかがでしょう。
  227. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、意思に反して強制しておるわけではなくて、出資のときの意思はそのまま生かされておるという点が一つと、それから、この出資の当時の趣旨がそのまま生きて法人承継されておりますので、法人が指定を取り消される、あるいは解散をするといったような時期にその港湾管理者の意思が全く無視されればおっしゃるようなことになろうかと思いますが、その点につきましては、再びその指定の取り消しの場合の取り扱いについてはその時点で法律で定めることにしておりますので、御指摘のような問題にはならないというふうに考えております。
  228. 三浦久

    ○三浦(久)委員 全然違いますね。だって、本当は新しく出資が返ってこなきやならない。それを今度は新しく寄付するということですからね。そういう効果をこの法律で発生させているわけですから、その場合に地方議会が何の関与もできない、そういう状況の中で、自治体の意思に反しておりませんとか意思に合致しておりますなんて言っても、それはちょっと通用しない議論じゃないかと思います。  それから、同僚議員からも質問がありましたけれども、労働者の労働条件の問題です。これは現在の労働条件がそのまま全く低下をしないというために十分な配慮がなされなきやならないと思います。これは答申にもうたっておりますけれども、その問題についての御見解をちょっとお聞かせいただきたい。
  229. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  権利義務というような形での労働条件は、これはもう当然に承継されるわけでございます。それ以外の部分がもし仮にありますとすれば、これは十分に労使間でお話し合いをいただきまして、不利にならないように処理がされるのが望ましいというふうに私どもも考えております。
  230. 三浦久

    ○三浦(久)委員 最後に、はしけ業者の問題についてお尋ねをいたしますが、はしけ業者、これは第三種の業者と言われておりますけれども、まともな運賃、料金は受け取っていないということははっきりしていると思うのですね。それはなぜかというと、荷主や船会社は通常、第一種港湾運送業者に荷役全体を委託してしまう。はしけ業者は下請けとなっていわゆる下払いの運賃、料金を受け取っている、そういうところから来ていると思うのですね。この下払いの段階でピンはねが行われているからだと思います。  この下払いの実態について、大体認可料金のどのぐらいのお金が支払われているのか。大体七割前後じゃないかというような説もありますし、もっと低くて五〇%から六〇%ぐらいじゃないかというようなことも言われておりますけれども、この点についての運輸省の御見解、いかがですか。
  231. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  私どもが聞いております範囲でも、七割以下だというふうに承っております。
  232. 三浦久

    ○三浦(久)委員 四十四年の一月三十日に通達が出されていますね。「港湾運送料金の下払いの確保について」という通達でありますが、ここでも「直接作業費の全額下払いの確保及び管理費の元請、下請間における協議配分の適正化について」答申趣旨に沿って指導監督に当たられたい、こういう港湾局からの通達がずっと出されておるわけでありますけれども、その後もう十年以上たっておりますけれども、一向にこの問題、解決しないのですね。  それで、いままでどういうような解決策をおとりになっていらしたのか、承りたいと思います。
  233. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  御存じのように、用船料は、三種業者と個人船主との間の関係でございまして、直接的に港湾運送事業法の規制を受けておるものではございません。それで、基本的には、そのときどきのはしけの需給を反映して両者間で話し合いが行われておるわけでございますが、いま御指摘ございましたように、いろいろと問題もあるように伺っておりますので、現在、はしけ運送の秩序の維持というような観点から、主要港におきまして関係者が十分協議できるような場を地方の海運局が仲立ちをいたしましてつくりまして、そこでまず話し合いを十分できるような状況をつくり上げようということで現在やっておる状態でございます。
  234. 三浦久

    ○三浦(久)委員 話し合いをやっても、強い者と弱い者が話し合いますから、なかなかうまくいかないという状況だと思うのですよ。  それで、ちょっとお尋ねしたいのですが、この港湾運送事業法の第九条で、運賃、料金を認可するようになっておりますね。この認可料金というのは、おたくの書いた本を見ると、確定運賃で、確定料金なんだ、それ以下であってもいかぬ、それ以上であってもいけないものだ、こういうことですね。そうすると、実際にこの第九条の認可運賃が適用になるというのは、荷主または船会社、そういうものから直接委託を受けた場合の料金や運賃なんであって、業者からの下請をする場合の基準にはならない、そういうふうにお考えになっていらっしゃるわけでしょう。  それはいかがですか。
  235. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 先ほど申し上げましたように、おっしゃるとおり、下請の料金につきましては港湾運送事業法のらち外と申しますか、外でございます。
  236. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そこがやはりなかなか守られていない原因だと思うのですね。  いま港湾局の方から資料をいただきましたけれども、三十二件の件数を調べた。実際に荷主と直接契約を結んでやっている場合にはほとんど認可運賃が収受されているのですね。例外というのはほんのわずかしかないのですね。一件あっただけですね。ですから、認可運賃は大体守られているわけですよ、守らないと罰則の規定もありますから。ところが、下請のいわゆる下払いについてはこの九条の認可運賃の適用がない、こうなっているわけでしょう。そこに私は一つの大きな問題があると思うのです。  確かに、同じ値段にすると、第一種業者が、一般管理費とかいろいろなものがありますから、その認可運賃がそのまま適用されると一つももうけにならぬというのでピンはねしていくのだろうと思いますけれども、そのピンはねの額が私は多過ぎると思うのですよ。  そこでここで私はちょっと提案したいのですけれども、下払い代金についても認可運賃をつくったらどうなんですか。そうすれば、その認可運賃というのは罰則でもって強制されるものですから、この第一種業者が第三種業者に下払いをする場合に、認可運賃どおりやるだろうと思うのですよ。そういうことでもしませんと、なかなか私はこの問題は解決しないと思います。そのことはやろうと思えばすぐできることではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  237. 小野維之

    ○小野(維)政府委員 確かに考えてみていい御提案かとは思いますけれども、まことに申しわけございません、現在の港湾運送事業法では、まだ下請という状態へ法律全体が及んでおらないという状態でございますので、もう少し考えさせていただきたいというふうに思います。
  238. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは第三条とか第二条ですか、こういうところの定義をちょっといじくればいいのですよ。いまだって、これに解釈によっては下請業者が入らないということはないと思うのです。ちょっといじればできることなのであって、もう十数年来の懸案なんですから、何とかここでそういう問題を解決するという意欲で取り組んでいただきたいというふうに私は思います。  もう時間が来ましたので、これで質問を終わります。
  239. 小此木彦三郎

    小此木委員長 中馬弘毅君。
  240. 中馬弘毅

    ○中馬委員 公団は十五年間にわたりましてバースの建設に取り組んでこられたわけで、四十六年、四十七年、四十八年くらいを事業費のピークとして現在ずっと少なくなってきております。今後の状況を見たときに、事業費はずっとこのまま漸減するのか、これだけでコンテナなりライナーの貨物量の増大に大体対処できる一つ体制ができたのか、現在のバースで今後の需要に対処できるのかどうか、この点についてまずお答え願いたいと思います。
  241. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 コンテナの輸送の需要は従来非常に急速に伸びてまいりましたことは御承知のとおりでございまして、昭和四十五年からの十数年間におきましては毎年三〇%の伸びを示しております。  今後の問題でございますが、こういう急激な伸びはもう当然のことながらないだろうというふうに考えておりますが、やはり若干の伸びといいますか、着実な増加というのは今後も見込まなければならないというふうに考えております。その数字がどのくらいになるかという点は、現在五カ年計画の策定とあわせまして作業をいたしております。現在まだ数字を出しておりませんが、やはり着実な増加というのは見込まなければならないだろうというふうに考えておりますので、現在持っております外貿埠頭、コンテナ埠頭のほかに、将来も若干ずつの増設といいますか、建設が必要であるというふうに考えております。
  242. 中馬弘毅

    ○中馬委員 若干なりともの増設であれば今度の指定法人の方がやっていかれるのでしょうが、また急激に需要が増大する、あるいは大きな更新が必要だといったときの手当ても、場合によっては考えなければならないわけでございまして、そのときにはどう対処されるようなことでございますか。
  243. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 ただいま申し上げましたように、非常に急激な増加というのは、現在われわれの考えております範囲では将来はないのではないかというふうに考えております。それから、修理あるいはその再開発というような点も、非常に急速に、一挙に全部を変えなければならないというような事態は恐らく起こらないのではないかというふうに考えております。
  244. 中馬弘毅

    ○中馬委員 この需要の伸びと同時に、船会社、船社の方の要望もあろうかと思うのですね。四つ港湾のそれぞれの会社が、どういう会社がどこに入っているというところを見ますと、必ずしも平均ではなくて布存状況がばらばらでございますけれども、そうすると、そういう船社の方の要望は現在の状況でほぼ満たされているのかどうかということをお尋ねいたします。
  245. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 現状ではほぼ満たされておると言っていいかと思いますが、これはほぼでございまして、現在各地でまだコンテナ埠頭を単独で借りる、あるいは合同で借りるというほどの需要を持たないような船社等もございますし、そういった潜在的な需要といったものが皆無ではございません。したがいまして、そういうものが将来顕在的な需要になってくることは考えられると考えております。
  246. 中馬弘毅

    ○中馬委員 外国の船会社がバースを使わしてくれといったような要望が非常に強く出てくる、あるいは出てきているといったような状況はございませんか。
  247. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 非常に数多くあるということではございませんが、若干はあるやに聞いておりまして、その処理のために港湾管理者の中には苦心をしておられるところもあるというふうに聞いております。
  248. 中馬弘毅

    ○中馬委員 次に移りますが、公団設立のときには、解散のときにこの資産は港湾管理者移管されるということになっておったわけで、これが指定法人移管になった事由は、先ほどの委員からも質問があり、大体お答えが出ておるようでございますけれども、今後他地区、東京湾大阪湾以外に名古屋あるいは北海道、九州あたりで一つ外貿埠頭のバースが必要だといったことが起こってくることは十分に予想されるわけで、その場合にはやはり公団方式から始められるのか、あるいはこの指定法人と同じような形でそれぞれの港に任せていかれるのか、これはどういうことでございましょう。
  249. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 先ほど来御答弁申し上げましたように、公団埠頭といいますのは、この四港で日本の全国の五〇%以上の外貿貨物を扱っておりまして、コンテナで言いますと七十数%に当たるものをここで扱っております。こういった大規模なものを承継する、あるいは引き続き管理運営及び建設を行っていくという意味で今回の法人を考えましたので、それ以外の名古屋でございますとかあるいは四日市でございますとか、その他の港でコンテナの貨物需要のあるところはございますが、こういう法人をつくってやらなければならないというほどのところは当分出てこないように思っております。  では、そういうところでどういう方法で処置をするのかということになりますと、これはやはり現在名古屋あるいは四日市でいわゆる私有埠頭の一つの形、私有埠頭に対して国及び地方公共団体が助成できる形を港湾法の中で決めておりますが、こういう仕組みを利用して整備をしていくことになろうかと考えております。
  250. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いままでの公団の採算状況なんですが、これを見ますと、京浜の方は赤字で阪神が黒字、こういうことになっております。設備投資のピークも過ぎたわけで、むしろ回収期間に入ってくるわけでございまして、むしろ黒字がこれから出ていかなければいけないと思うのですが、まず京浜と阪神でこれだけ赤字と黒字が逆になっておるのはどういうことでございましょう。
  251. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 公団の収支につきましては、長期的、最終的には全部ペイするようになっておりますが、そのときどきの時点で、建設事業の進みぐあいによりまして赤字のところと黒字のところが出てまいるわけで、現在の時点ではこのような京浜と阪神の間に収支に差が出てまいっておるわけでございます。
  252. 中馬弘毅

    ○中馬委員 今後指定法人に移されて大幅な赤字が出るというような状況ももちろん予想されるわけでございまして、その場合には何か救済措置をお考えになっているのですか。
  253. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 この赤字は一時の事業の進展のぐあい等によって出ておるものでございまして、長期の見通しは、いずれの公団も赤字が出るという形になっておりませんので、特別な救済策等を講ずる必要はないと考えております。
  254. 中馬弘毅

    ○中馬委員 それはもちろん赤字を計画するはずはないので、需要予測どおりにそれが進んだ場合にとんとんになるわけでございましょうから、しかし経済状況によっては大幅に赤字になることもあるわけでございまして、そういう赤字が出たときに、この指定法人の方にどのようなしわ寄せがいくのか、あるいは国の方が何か救済するのか、そこはどういうことでございましょうか。
  255. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 一時的な赤字につきましてはそのときどきの借入金等で処理をしてまいれますわけで、この指定法人に引き継ぎましてもかなり含みのある資産を承継しておりますので、その辺の借入金の手当ては十分できるというふうに考えております。  先生指摘のように、計画どおり必ずうまくいくとは限らないということで、何らかの情勢の変化が非常に起こりまして、将来われわれが予測しなかったような事態が起こった場合については、これまたそれ相応の措置を講ずる必要があろうかと思いますが、現在、先ほど来申し上げておりますのは、われわれの予測の可能な範囲ではそれほど問題が起こらないというふうに考えておると、こういうことでございます。
  256. 中馬弘毅

    ○中馬委員 今度は逆に、黒字が非常に大きく累積した場合に、その黒字をどうされるおつもりでございますか。
  257. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 長期バランス上大きな黒字が発生するということにはなっておりませんので、ごく短期にこういう現象が起こりましても、長期的には収支ほぼバランスするというふうに考えております。
  258. 中馬弘毅

    ○中馬委員 それはお答えじゃないと思うのですね。少なくとも現在の貸付料金あたりも変わらないとして、しかし非常にいい場合を考えれば、経費も節約してどんどん黒字がたまっていって、十年、二十年あるいはもっと続く問題ですから、非常に大きな黒字がたまることだってあり得るわけでございまして、そういうときにはその黒字、累積された利益金の処分ということ、これは特殊法人といいますか、いわゆる株式会社でも何でもないのですから、株式配当に回すとか、そういうことはできないわけで、その利益金処分はどういう形をとられるおつもりでございますか。
  259. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 いま御指摘のような企業努力等によって経費を削減し、黒字が出るというような事態が起こりましたときは、貸付料を下げてユーザーに還元するという必要があろうかと思います。
  260. 中馬弘毅

    ○中馬委員 そこは余り任意に貸付料をいじると、これはおかしなことになってくると思うのですけれども、いかがですか。
  261. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 貸付料の算定につきましては任意ということではなくて、省令で基準を定めておきまして、その基準にのっとって算定をしていただく。先ほど御指摘の企業努力等でコストが下がるということは、その基準の算定のときのコストが下がるということになろうかと思いますので、好きにやらせるということではございませんので、その点は心配ないと思います。
  262. 中馬弘毅

    ○中馬委員 これは行革の一環として提案されているわけでございまして、具体的にどの点が行革になるのかということでございますけれども公団の職員を見てみますと、職員数が京浜の場合には百十一人、現在は九十二人ですか、阪神公団が百十人、そのうち京浜の方で十九人、それから阪神の方で十二人国の方から出向がありますね。この方々はどうされるおつもりでございますか。
  263. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 国から公団に出向いたしております職員は、原則として引き揚げることにいたしたいと思っております。
  264. 中馬弘毅

    ○中馬委員 自治体からの出向者はどうされますか。
  265. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 これも原則的には出向者は引き揚げるということになろうかと思います。
  266. 中馬弘毅

    ○中馬委員 そのように引き揚げられるのであれば問題はないのですけれども、特に国の出先が地方公共団体に入り込むことにならないようにひとつお願いしたいと思っております。  一方、これは政府出資金は貸し付けで、地方公共団体の出資金は出えん金ということで、そのわりあいには運輸省の認可事項が非常に多いのですね。ですから、出資金の間は確かに税金だから国がくちばしを入れなければいけないということもある程度は理解できますが、そうするならば、これが全部返済されて引き揚げたときには国の監督権限は緩めるおつもりでございますか。
  267. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 国の監督権限は、公団から引き継ぎます事業が非常に国家的に重要で国の全体の外航海運政策を左右するような問題であるという観点からの監督、それから公団をそれぞれの埠頭の所在地の港湾管理者設立する法人に移すということにいたしましたので、広域的な運営に対する何らかの担保が必要である、そういう観点からの監督、そういった趣旨の監督をいたすことにしております。非常に強いと御指摘がございましたけれども、たとえば事業計画の認可をいたしておりますが、これは事業計画で将来新たに外貿埠頭をつくってまいります場合には、港ごとの重複投資でありますとか過剰な投資になってはいけないというような、先ほど来、公団であれば広域的に処理されておったものが個々に分かれることによる問題点等も御指摘を受けておりますが、そういう問題を避けるためにも事業計画は運輸大臣が認可をする、こういった監督の措置を考えたわけでございます。  そういうことでございますので、これは貸付金を出しておるからその見返りとして監督をするというような性格ではございませんで、国の港湾政策上最小限運輸大臣が監督をしなければならないものをするという趣旨でございますので、先ほどの御指摘の、貸付金の返済が終わった後でも全面的に監督をやめるというような性格ではないと考えております。
  268. 中馬弘毅

    ○中馬委員 そこになりますと少し異論があるわけで、先日の日本航空の話のときには、国は金を出しているのだから権限を持つのだというようなお話が強かったわけでございますが、今回は金も出さないのに口だけ出すというような形になるのは非常に私は遺憾に思うわけでございます。地方公共団体の自主性はある程度尊重していいのではなかろうか。地方公共団体に任せたら信頼がおけなくて、国が握っておったら、全体の計画調整はしてもらって結構です。しかし、それぞれの運用を自治体が勝手にやるとは私は思いませんので、国民の意思、市民の意思を反映したそれぞれの議会なり首長がおるわけでございますから、そういうことに任せていいのではないかと思いますが、運輸大臣どうお考えでございますか。
  269. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そういう説は確かにあったのです。また、現実にわれわれも真剣に検討課題として検討してまいりました。しかし、外貿埠頭公団建設され、そして今日に至るまでの経過というものがございますこと、それからこれが主として専用埠頭になっておる、そういうこと等いろいろ勘案いたしまして、とりあえず港湾管理者管理下における業務運営ということを考えてみたらどうだろう。そして、指定法人をつくらして、これによる独創的なと申しましょうか、独自の経営をやらしてみるということも、これまたいわば合理化につながる一つの方途ではないかということを考えたのでございます。要するに、先ほど来申しておりますように、今回のこの措置は、公団でやっておりましたことが、いわば港湾管理者のみではなし得られなかったことをやってきて、それに対しましてはいわばユーザーとの関係もございますから、これを激変緩和しながら移行していかなければならぬ、そういう事態を考慮いたしまして指定法人方式をとったということでございます。
  270. 中馬弘毅

    ○中馬委員 監督権限が余りきつくないようなお答えでもございますけれども、たとえば第七条の第一項ですか、一歩譲って、全体の整備計画あたりはいいとしても、毎事業年度の開始前に事業計画及び収支予算を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。そして、しかもその罰則規定もございまして、十三条ですか、この規定に違反したときには、第七条第一項の規定により認可を受けた事項に違反したときには、毎年の事業予算までも、これに少しでも違ったら取り消すことができるといったような非常に強いものになっているのですが、どうですか。
  271. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申しあげます。  整備計画の認可につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、現在も運輸大臣が基本計画を決めてこれを公団に指示するというような非常に強い形のコントロールをしておりますが、これを、整備計画を法人につくっていただいて、これを認可するという形に改めております。そうやって決めました整備計画に基づく整備が各年間違いなく実施されているということを確認する必要があるという意味でこの認可の規定を置いたものでございます。  それから、外貿埠頭業務が実際に行われておりますが、その適正な実施を阻害するような業務とか資金の運用が行われてはならないということで、そういうことが行われていないかということを見る意味で認可をする。さらにまた、収支予算につきましては、適正な収支の見積もりがなされているかどうかを検討して、そして、もしそれが適当でないときはチェックができることが必要であると考えて、この条項を置いたわけでございます。
  272. 中馬弘毅

    ○中馬委員 こんなことをやっているから、運輸省は許認可ばかり握って行政改革がひとつも進まないと言われるわけでして、全体の整備計画の方はちゃんと認めているわけですから、その範囲内での毎年の事業計画ぐらいは届け出ぐらいでいいのではないかと思うのですけれども、わざわざここで、文字づらを読めば非常にきつい表現になっております。運用面におきましてここは届け出くらいのことで余りくちばしを入れないことを要望いたしておきます。  この指定法人に対してはこれほどいろいろなきつい枠がはめてあるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、名古屋とか四日市、あるいは今後もその他の港でもこのような同様の業務を、ということはバースを貸し付けてという形ですね、これは十分にやっていかれると思うのですけれども、そうしますと、それらの他の港とこの指定法人との間で運輸省の監督の度合いがいろいろ違ってくる、バランスが崩れてくる、とすると、ほかのところまでもこのような網をかぶせていかれるのですか。
  273. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  ほかの名古屋あるいは四日市の株式会社方式で実施をしておられる外貿埠頭につきましては、これは一般の私有埠頭でございますが、これと差があるものとは考えておりません。したがいまして、そのそれぞれの港の港湾管理者が、その場所のその埠頭を民営で運営することについて問題がないという判断をなさった場合には、港湾管理者がその会社を助成をされる。その助成を港湾管理者がなさる場合には、国もそれのお手伝いをしよう、これがこの名古屋コンテナ埠頭株式会社等の制度の趣旨でございますので、この場合は、先ほど来申し上げておりますように、国全体の利害にきわめて大きくかかわる埠頭施設というような認識をいたしておりませんので、その間の監督等につきましての程度が違ってくるものと考えております。
  274. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いろいろな政府のいままでの方針から言いますと、東京、大阪への集中を極力外して、地方の時代ではないですけれども、東京、大阪以外にもいろいろな工業地点だとか商業地点をつくっていこうという政策であるわけでございまして、そうするならば、いまのように東京、大阪だけが国の政策を反映した港湾でなければならなくて、それ以外はもういいんだというようなことは、少し矛盾しているように思うのですが、いかがですか。
  275. 吉村眞事

    吉村(眞)政府委員 地域開発といいますか、地方を均衡ある発展をさせなければいけないという点は御指摘のとおりでございますが、私が申し上げましたのは、現在の実情で、すでに前記の四港におきましては国全体の外貿の五三%ほどに上る貨物が取り扱われておる、そういう実態に即して、これの管理運営というものは、国全体の利害の観点から見なければいけないというふうに申し上げたわけで、名古屋、四日市等のウエートは現在の場合は二、三%といったオーダーでございますから、現実の国全体の経済に及ぼすインパクトが小さいというふうに申し上げたわけで、これを育成してだんだん国全体の均衡ある発展を目指さなければならないということとは矛盾をしないというふうに考えております。
  276. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いずれにしましても、東京、大阪だけが重要港湾でもないと思います。今後のことを考えるならば、あるいは北海道も九州もそれぞれにどんどん外貿コンテナ埠頭ができ、あるいはライナー埠頭ができるというような形が考えられるわけでございまして、そういった場合に、ここの指定法人だけが非常に運輸省の監督が強いままだということは、それとのバランス的に言っても非常にそごが出てくるのじゃないかと思っております。  いずれにいたしましても、そのようなことでございますので、地方自治体に少し自主性を持たして運営されんことを望みまして、最後にひとつ運輸大臣の御所見だけを伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  277. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この承継業務につきましては、実は地方自治体つまり港湾管理者運輸省との間で相当議論のあったところであります。でございますだけに一その事実はやはり私たちも厳正に受けとめまして、指定法人を認可する場合、あるいはその指定法人がその後において管理運営していきます場合につきましても、港湾管理者との間の協調は十分図っていかなければならぬ、これはもう当然であろうと思うのであります。それと同時に、やはりコンテナ船というのは今後における輸送の大宗になってくると思いますから、その整備拡充も時々刻々行っていかなければならぬだろうと思うのでありまして、そういう場合にも港湾全体の均衡のとれた整備が図れるように、港湾管理者並びに指定法人運輸省との間でとりあえず密接な連携をとりながら今後の運営をスムーズに進行せしめたい、こう思うております。
  278. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次回は、来る三十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会