○中馬
委員 日本航空株式会社法の一部を
改正する
法律案の審議が続いているわけでございますが、この法案が提案されたそもそもの経緯を
考えますときに、これは五十五年の十二月二十九日、今後の行政改革の推進についての
閣議決定に基づいて、五十六年度予算の財源対策として、
政府保有の
日本航空株式のうち二百五十万株を売却して、これによって約五十八億円の歳入増を図るための法的措置と私なんか簡単に
考えておったわけでございますけれども、
提案理由を見ますとなかなかりっぱなことが書いてあるわけでございまして、「近年の変動する国際情勢に対応して、より機動的、弾力的な
事業運営」をするだとか、あるいは「
民間の
活力を十分発揮しつつ、より自主的、弾力的」云々、こういうふうなことが書かれておるわけでございます。
そうしますと、本
法律改正の提案の基礎に、やはり
日航を取り巻く
航空政策あるいは
航空行政、
企業の形態の見直し等の基本理念ないしは方向といったものがあるはずだと思うのですね。もう少し先のことを
考えますならば、いま運政審に出されております、この答申が近く出るようでございますから、それを待ってからしたらよかったと思うのでございますけれども、それを待たずにこういうことをされておるということになりますと、やはり
政府としても
一つの方向がお気持ちの上では出ているんじゃないかと思いますので、その点についてひとつお聞きしたいと思っております。
現行の
航空政策の立案がされましたのが四十四年で、それ以降もう十年たっているわけでございますが、その間に国内旅客あるいは国際旅客、あるいは国内貨物、国際貨物、数字は申しませんが、非常に大幅に伸びておるわけでございまして、当時から見ますならば
航空の機材にしましてもかなり大型化されております。したがいまして、
航空というものが
一つの
日本の交通体系の中に占める役割りが当時とはかなり違ってきておると思うのですね。そのときに、ひとつその役割りというものをここではっきり認識あるいは位置づけておかなかったら、
日本航空さんにしましても今後の
事業運営は非常にやりにくいのじゃなかろうかと思うのです。それがどうもわれわれにはあいまいのままこの法案が提案されておるわけでございまして、その点についてまずお聞きしたいと思いますのが、新幹線鉄道網と
航空路線の競合の問題なんです。
日本航空さんが全くの
民間航空であって、あるいはいままでの
質問の中でもいろいろ論議されております二重
投資とかいったような問題がございますけれども、
民間企業が二重
投資をし、それぞれ競争をするというのは、それこそ
民間の
活力を生かす
意味でも、ある
意味ではいいことだと思うのですね。しかし、この法案にもうたわれておりますように、あくまでも
国策会社としてやっていく、国の
航空会社としてやっていく。そうすると、これはあくまで
国営企業と言っていいかもしれません。同時に国鉄もそういうことでございますね。その国鉄の方は、新幹線というのは、御存じのように、大量輸送でございます。
航空機は、昔は高速輸送だけで大量輸送ではなかったかもしれませんが、いまでは機材が大型化して大量高速輸送になっているわけですね。そうしますと、ここに同じ国家
企業の中で競合
関係が起こってくるわけでございます。
そうすると、まずお聞きしたいのは、鉄監
局長お見えになっておりますのでお聞きしたいと思いますが、鉄道を監理する方の立場から言うならば、やはり新幹線、これの収益も
考えなければならないし、また整備新幹線という問題も
一つの方針としてもう決まっているわけでございますから、そうすると、
一つの限られた需要の中で新幹線の方をある程度採算的に乗せようとするならば、
航空の方は幹線のところでは少し
空港の整備をやめておいてもらいたい、むしろ整備新幹線が採算に乗るようにしてもらいたいというのが本音かもしれませんし、あるいはその逆かもしれません。
その点について、新幹線並びに国鉄を
監督する立場の鉄監
局長、どういうお
考えでございましょうか。