○市川房枝君 いま聞いてないし答えられないということでしたが、これはまた別の機会に少し伺うことにいたしましょう。
私は、
裁判とか法律とかについては全くの素人でございますけれ
ども、第五次、第六次の
再審の
経過を知っておる一人といたしまして、今度の
徳島地裁の
再審開始の
決定を私は高く評価するもので、その
努力に対して、あるいはその勇気に対して敬意を表し、いままで
裁判に対して持っておりました信頼を幾らか回復することができたと言っていいと思います。それに対して、
徳島地検の
即時抗告は納得できません。
徳高地方
検察庁から
即時抗告申立書というものの写しがけさ手に入ったんですが、まだよく読んでおる時間がないし、その内容については新聞なんかに多少出ておりましたからそれに触れることは差し控えますが、一口に私は、
検察が
即時抗告をなすった
理由といいますか何かを私なりに解釈をすれば、
徳島の地検は、地裁の
決定が出て、そして一審、二審の
判決といいますか、捜査といいますか、それが間違っておったということを強い調子で
検察は非難されているようです。そこで、もし
即時抗告をしないと、それを認めたことになるといいますか、あるいはそういう地裁の
判決に対して憤慨をなすったという、あるそういった感情と、それから
即時抗告権が
刑事訴訟法でちゃんと与えられている、そこで抗告すると、一つの
権利の乱用とでもいいますか、そういうことではないかというふうに思えるのでございます。
私は、全く
無実であった富士さんが、もう二十何年、人生のほとんどを
無実の罪で、そして、せめて
徳島地代での
再審再開するという
決定だけでも、あの人が命のあるうちに聞かせてあげてほしい。その当時、私は
徳島の
裁判の、地検にも行ってお願いをしたんですけれ
ども、まだ
審理が済まないということで、それから約一年たってやっといま地裁が
再審再開の
決定を下したわけであります。
これについては、
法務当局も御存じのように、いろんな人たちがほとんど
無罪を信じ、そうしてそのために
努力をし、ことに私は、この
事件の弁護団、それから
日弁連の
人権委員会のたくさんの弁護士の方たちがほとんど無償で
努力をされたことに対して非常に感謝をするわけでありますが、その他支援団体も幾つかありまして、それもみんなが
努力をしてまいった。ことに
再審再開に対しては、ごらんになりましたようにマスコミが非常に大きく扱って、そして一般の
国民はこれを喜んで、そして
即時抗告をしないようにという希望もこれは表明されておったのに、私は
徳島の地検があえて
即時抗告をしたということを非常に残念にというか、あるいは
検察に対する不信というものをなお深くした、こう申していいと思います。
この件については、
先ほどから他の
委員の方々からも御
質問があり、刑事局員からの
答弁もありましたので、私はそれに対しての当局のお
考えというものはもう伺わなくてもいいと思うんですが、ただ、今度の
再審で新しく発見された、私としては非常に重大な問題が一つある。そのことをちょっと伺いたいんです。
この
事件の第一審が二十八年にあり、その後になりますが、ちょうど自治体警察と国家警察の境目になっていたようです。それで自治体警察は、ある
程度これを調べたわけなんで、その調べた調書がたくさんあるらしいんですけれ
ども、ところが、それが地検の方といいますか、
検察の方には引き継がれなかった、隠されていたんだということで、
検察はああいうはっきりしない
証拠で
有罪の
判決をしてしまったことになると思うんです。
これは私は、
検察といいますか、警察といいますかのいわゆる行政として、一体そういうふうに重要な調書が隠されているというか、引き渡さないというふうな事実があることを実は
現実に知って、大変びっくりしたんですけれ
ども、これは
法務当局としてはそのことは御存じですか。あるいはそういう
事件が、これはもう大分前の話になりますけれ
ども、最近もそういうことがもしあるのじゃ私は大変だということを思うんですけれ
ども、それについてお答えを願いたいと思います。