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国務大臣(
田中龍夫君) このたび、政府から
提出いたしました放送大学学問法案につきまして、その提案の
理由及び
内容の概要を御
説明申し上げます。
わが国の高等
教育は、近年急速な発展を遂げまして、国際的に見ましても高い普及率を示すに至っておりますが、科学技術の進歩や経済の発展に伴いまして複雑・高度化してまいっておりまする今日の社会におきましては、国民の高等
教育の機会に対する
要請は一段と高まり、かつまた多様化しつつあるところでございます。
このような
状況におきまして、放送を効果的に活用いたす新しい
教育形態の大学を設置いたしまして、大学
教育のための放送を行うことによりまして、広く一般に大学
教育の機会を提供することは、生涯にわたりまして、また多様かつ広範な学習の機会を求める国民の
要請にこたえるゆえんのものであると
考える次第でございます。
さらに、この大学が既存の大学等との緊密な連携を図ることによりまして、大学間の協力、あるいは交流の推進、放送教材活用の普及等の面で、わが国の大学
教育の充実、改善にも資することに相なることが期待されるものでございます。
この大学の設置形態につきましては、いろいろの検討を重ねてきたところでございますが、新たに
特殊法人を設立いたしまして、これが大学の設置主体と相なるとともに、放送局の開設三体ともなることが適切であると
考えまして、
特殊法人放送大学学園の設立をいたしまするために、この法律案を御
提出いたした次第でございます。
この法律案におきましては、
特殊法人放送大学学園に関しまして、その目的、資本金、組織、
業務、大学の組織、財務、会計、
監督等に関しまする規定を設けますとともに、学校
教育法、放送法その他の
関係法律につきまして所要の規定を整備いたすことといたしておりますが、その
内容の概要は次のとおりでございます。
まず第一に、放送大学学園は、放送等によりまして
教育を行う大学を設置いたし、当該大学における
教育に必要な放送を行うこと等によって、大学
教育の機会に対する広範な国民の
要請にこたえますとともに、大学
教育のための放送の普及発達を図ることを目的とするものでございます。
第二に、放送大学学園は、法人といたしますとともに、その設立当初の資本金は一億円とし、政府がその全額を出資することといたしております。
第三には、放送大学学閥の役員といたしまして、
理事長一人、
理事四人以内及び監事二人以内並びに非常勤の
理事三人以内を置きまして、
理事長及び監事は
文部大臣が、また
理事は
文部大臣の認可を受けて
理事長が、それぞれ任命することといたしておりまして、その任期はいずれも二年といたしております。
なお、この学園の設置する大学の学長は職務上
理事となることといたしております。
また、この学園には、その運営の適正を期するために
理事長の諮問機関といたしまして運営審議会を置くこととし、
業務の運営に関する重要事項につきまして審議することといたしております。
第四には、放送大学学園の
業務につきましては、放送等によって
教育を行う大学を設置すること及びこの大学における
教育に必要な放送を行うことを規定するとともに、この学園の施設、設備及び教材を他大学における
教育または研究のための利用に供することもできることといたしてございます。
なお、この法人は、これらの
業務を行うほかに、主務
大臣の認可を受けまして、その目的を達成するために必要なその他の
業務を行うこともできることといたしております。
第五には、放送大学学園の設置する大学の組織等についてでございますが、この大学が、
特殊法人によって設置されておる大学であること、放送を利用して
教育を行う大学であること等をも考慮いたしまして、大学の運営が適切に行われまするように所要の規定を設けることといたしております。
まず、この大学には、学校
教育法に規定いたしまする学長、副学長、教授その他の
職員を置くこととし、学長は
理事長の申し出に基づいて
文部大臣が、副学長及び教員は学長の申し出に基づいて
理事長が、それぞれ任命することといたしております。
なお、学長及び教員の任命の申し出は、評議会の議に基づいて行われなければならないことといたしております。
次に、学長、副学長及び教員の任免の基準、任期、停年その他人事の基準に関する事項は、評議会の議に基づいて学長が定めることといたしております。
また、この大学に、学長の諮問機関といたしまして評議会を置き、大学の運営に関する重要事項について審議するとともに、この法律の規定によりその
権限に属させられました事項を行うこととし、学長、副学長及び評議会が定めるところによりまして選出される教授で組織することといたしております。
さらに、この大学におきましては、その
教育及び研究の充実を図るために、他大学その他の
教育研究機関と緊密に連携をいたし、これらの機関の教員等の参加を積極的に求めるように規定いたしております。
第六には、放送大学学園の財務、会計及びこれに対する主務
大臣の
監督等につきましては、この学園の
業務の公共性にかんがみまして、一般の
特殊法人の例にならって、所要の規定を設けておりますが、この法律における主務
大臣は、
文部大臣及び郵政
大臣といたしております。
第七には、放送大学学園の設立と関連する
関係法律の一部改正につきましてでありますが、まず学校
教育法につきましては、この学園が大学の設置者となり得るということを規定するとともに、通信により
教育を行う学部の設置に関する規定を設ける等所要の整備をいたすものでございます。
また、放送法につきましては、この学園の放送等につきまして、放送番組の政治的公平の確保、広告放送の禁止等所要の規定の整備をいたすものでございます。
以上が、この法律案を御
提出いたしました
理由及びその
内容の概要でございます。何とぞ十分に御審議の上、速やかに御賛成賜りまするようにひとえにお願いを申し上げます。