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1980-11-21 第93回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月二十一日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十一月二十日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     下田 京子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井上 吉夫君     理 事                 北  修二君                 坂元 親男君                 鈴木 正一君                 川村 清一君                 中野  明君     委 員                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 下条進一郎君                 鈴木 省吾君                 田原 武雄君                 高木 正明君                 初村滝一郎君                 降矢 敬雄君                 三浦 八水君                 宮田  輝君                 坂倉 藤吾君                 村沢  牧君                 山田  譲君                 鶴岡  洋君                 中野 鉄造君                 下田 京子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   亀岡 高夫君    政府委員        外務大臣官房外        務参事官     渡辺 幸治君        外務省条約局長  伊達 宗起君        農林水産政務次        官        野呂田芳成君        農林水産省畜産        局長       犬伏 孝治君        水産庁長官    今村 宣夫君        水産庁次長    山内 静夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        環境庁水質保全        局水質管理課長  大塩 敏樹君        外務省アジア局        外務参事官    長谷川和年君        水産庁漁政部水        産流通課長    真板 道夫君        中小企業庁計画        部金融課長    米山 揚城君        運輸省海運局総        務課長      熊木 藤吉君        海上保安庁警備        救難部警備第二        課長       加藤 正義君        海上保安庁警備        救難部海上公害        課長       土屋  彬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (水産業に関する件)     —————————————
  2. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。     —————————————
  3. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 川村清一

    川村清一君 私は、十一月一日発効になりました北海道周辺水域における韓国漁船無法操業を規制する取り決めについて主としてお尋ねをしたいと思うわけであります。  そこで、最初に外務省の方にいろいろお聞きしたいわけでありますが、今度の取り決めは、条約とか協定とかこういったような形をとらないで、交換公文というような方式によって決めておりますが、私も今日までの国会生活の中で、漁業に関する協定あるいは条約、これを審議した経験があるわけでございますが、交換公文というものについては経験がございませんし、また交換公文でございますので、必ずしも国会承認を要しないということであります。そこでお尋ねしたいことは、どうして今回こういう交換公文というふうな方式によって取り決めを行ったのか、この点ひとつ説明をしていただきたいと思います。
  5. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  この先月の二十日に日韓間で行われました一連の書簡のやりとりと申しますものは、これは当然のことながら、北海道周辺水域における韓国漁船の操業問題について行われたわけでございますが、これは、わが国韓国側漁業取り締まり、操業問題につきまして何とかしろという要請にこたえまして、韓国側自国漁船に対します自主規制措置北海道周辺水域において行うということを通報してまいったものでございます。したがいまして、これは私どもの技術的な用語で申しますれば、往復書簡とも言うべきもの、ないしは書簡往復というようなものでございまして、いわゆる交換公文というものではない。さらに言葉をかえて申しますれば、国際約束国際間の合意を構成するような交換公文ではない。国際約束というものの形式といたしましては、ただいま川村委員もおっしゃいましたように、条約でございますとか協定でございますとか、それから公換公文でございますとか、そのほかにも若干の形式があるわけでございます。これは国際約束を構成するものとしてあるものでございまして、ただいまお話しになっておりますこの二十日に行われました日韓間の書簡往復というものは、向こうの一方的な自主規制措置日本側に通報してくるということでございますので、国際約束ではございませんし、したがいまして国会承認を得るとかというような性質のものではないということでございます。
  6. 川村清一

    川村清一君 そういたしますと、交換公文ではないと、要するに両国約束ではないということになりますれば、国際法的な地位において、いわゆる条約協定あるいは交換公文といったような、両国がその約束を守らなければならないつまり権利義務というものはそこに法的には存在しないと、こういうことでございますか。
  7. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  厳密な意味におきまして国際約束ではございませんから、したがって、韓国側自主規制措置韓国が守るということにつきまして、日本に対して厳密な意味における国際法上の義務というものは伴っていないものでございます。ただし、やはりこれは両国間で相談の上にこういう解決をしようということで、自主規制措置ということでございますので、法的には確かに自主規制措置として一方的な措置ではございますけれども、これも韓国側として三年間は実効的に実施しようという意図の表明でございますから、軽々な、軽々しいものではないと私どもは考えております。
  8. 川村清一

    川村清一君 まあ軽々しいものではないということは、これは自主規制であって、韓国側の方から言ってきたことであると、こういうことになりますれば、韓国がもしもその約束を守らないとしても、これはいわゆる国際法的には、何といいますか、大した問題の起きる問題ではないと、こういうふうに私は理解せざるを得ないんですが、そういう性質のものでございますか。私は国際法の方は全く素人なものでございますので、それで外務省専門家条約局長にお尋ねしているわけですから、その点をもう一度御説明願いたいと思います。
  9. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  厳密な国際法立場から申しますれば、国際約束ではございませんので、その間に、日韓間に権利義務関係というものが生じているものではございません。ただ、政府間でいろいろな交渉が行われたあげく、それでは韓国側自主規制でひとつこの問題を三年間解決いたしましょうということの両者間の意思の合致がございまして、韓国側がこの自主規制措置をとるということになったわけでございますから、厳密な意味での権利義務関係というのはないにしても、やはり政府が、つまり韓国という政府日本政府に対して申したことでございますので、それなりの重みがあるものであるというふうに解されます。
  10. 川村清一

    川村清一君 自主規制でありましても、まあ約束しているわけです。その約束が法的に必ずしも厳然として存在するものではないけれども約束した以上は韓国側にそれを守らなければならない道義的な責任はあると、こういうふうに理解します。  そこで、漁業上の約束でございますので、当然約束を破る漁船、つまり違反船が出てくる。違反船が出た場合に、この違反に対する対応というものは、これは日ソ漁業協定においても、あるいはソ日漁業協定におきましても、その水域を管轄するところの主権、つまりソ連の二百海里以内においてはソ連政府、それから日本の二百海里においては日本政府が、その国の主権の存在する国の法律によっていろいろと処理されると。つまり裁判管轄権というものはその主権を持つ国が持っておるというのが、これは常識的に私は考えておるわけでございますが、ところが今度の、交換公文というのでなくて往復、何と言うのかわかりませんが、その約束におきましては、旗国主義をとっている。つまり、韓国船違反を起こしてみましても、その違反に対するところの対応というものは、日本法律によってやるのではなくして韓国法律によってやる。つまり旗国主義をとっておるんですが、この辺がちょっと普通の条約協定とは全然違うので、いささか了解しがたいのでありますが、この辺の考え方は外務省としてはどういうふうに受け取っておりますか。
  11. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  先ほどもお答えしたところでございますが、今度の解決と申しますのは、日韓間の長い間の話し合いの結果、北海道周辺水域における操業問題を実際的に解決するために韓国側自主規制措置としてとるものでございます。したがいまして、そういう自主規制措置という性格にかんがみまして、その実施のための取り締まりと申しますのは、当然のことながら旗国である韓国当局が行うということにならざるを得ないわけでございまして、これは両政府といたしましても、これまでのいろいろな実務者協議におきまして、今般とられた措置を十分実効あらしめようということで細部にわたって話し合いを行ってきたわけでございまして、こういう措置が、韓国側自主規制措置として取り締まり権韓国側にあるといたしましても、この措置が円滑に実施されるものだと考えております。
  12. 川村清一

    川村清一君 その次に問題を変えてお尋ねしたいのでありますが、国連における海洋法会議、これは昭和四十九年から始まったわけですが、その当時しばらくは私も勉強しておったので、その動きというものをよく知っておりましたが、最近まあ海洋法会議結論が出ないままに、もう世界じゅうどこの国でも経済水域あるいは漁業専管水域を宣言いたしまして実行しておりますので、余り最近は勉強もしておらないわけですが、そういう立場でお尋ねするわけでありますが、国連海洋法会議の現状は一体どういうことになっているのか、で、まだ結論も出ておらないようですが結論の出る見通しは一体いつごろなのかといったようなことを、そしていま現在問題になっているのはどういう点が問題になっているのか、こういう点をひとつ外務省の方から御報告をいただきたいと思います。
  13. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 御報告申し上げます。  川村委員もよく御存じのように、確かにこれは四十九年——七四年から海洋法につきまして国連のもとで実質的な審議が始まったわけでございます。  ただ、この海洋法と申しますのは、非常に広範な、従来の海に関します一般国際法を法典化することのほかに、新しくいままでになかったような制度と申しますか、そういうものを国際法化しようという作業も含んでおりますので、非常に各国利害というものが錯綜し、衝突している問題でございます。したがいまして、七四年以来毎年会議が行われ、最近では毎年一回にとどまらず、ニューヨークにおきまして春会期を一カ月以上行い、それからまた夏会期と称しましてジュネーブでまた一カ月以上会議を行うということがずっと行われてまいりました。たとえばことしでございますが、春に二月の二十七日から四月の四日までニューヨークで行われまして、夏の会期は七月の二十八日から八月の末までジュネーブで行われているというようなことでございます。  ここでは第一委員会、第二委員会、第三委員会という委員会がございまして、第一委員会では深海海底開発といういままでにない、先ほど申し上げました従来の国際法の中にはなかったような一つの組織と申しますか、をつくり上げるということで議論が行われております。それから第二委員会では、これは従来の国際法で問題となっておりました領海でございますとか公海でございますとか、あるいは大陸棚でございますとか、そのような問題、それからただいまも川村委員がおっしゃいました経済水域の問題、これは従来の国際法にはなかったことでございますけれども、そういう海の国際法と総称されるような問題を第二委員会で取り扱っております。第三委員会では、最近とみに国際間でも問題になっております海洋汚染の防止の問題、あるいは海洋科学調査の問題と、そういうことが議論されているわけでございます。  これで各委員会におきましていろいろと議論が行われておりまして、もう大体において一つの方向というものが打ち出されてきていることは事実でございまして、このジュネーブにおきますことしの夏会期の末に、一応海洋法条約草案というものが、非公式ではございますが配付されるに至ったわけでございます。  この夏会期で一番の進歩と申しますと、やはり第一委員会におきます、深海海底開発に関しまして国際海底機関というものをつくろうということが従来から議論されているわけでございますが、その国際海底機関におきまする理事会表決の問題、表決権をどうするか、表決の数をどうするかということが非常な難関として第一委員会議論されていたわけでございます。これはなぜかと申しますと、やはり深海海底開発に関しましては、各国利害というものが非常にむき出しに出てくるところでございまして、理事会表決をどう右にするか左にするかということは非常に関心のある、経済的にも重要な問題でございましたので争われていたわけでございますが、それにつきまして一応の妥協案というものができ上がった。そういう意味におきましては、第一委員会におきます最大の難関というものが一応乗り越えられたということで、この非公式草案というものが配付されるに至ったわけでございます。と申しますのは、いままでは実は非公式草案すら、配付とか各国に配られるということがなかったわけでございまして、まことにその点は何と申しますか、進歩といいますか、妥結に近づいたということが言えるのじゃないかと思うのでございます。  それから、第二委員会では、ほとんどの問題が大体妥協案というものができ上がっております。しかし、まだなお経済水域でございますとか、大陸棚の問題に関しまして境界画定の問題をどうするかというようなことも、これはまだ決まっておりません。  第三委員会は余り問題がございませんが、さらに残された問題としまして、最終条項というようなもの、つまり加入をどうするかとか、それから留保条項をどうするかとか、そういうような最終条項についてはまだ余り突っ込んだ議論が行われていないというようなことでございまして、来年のニューヨークにおきまして、この非公式条約草案につきましてさらにこれを公式化するプロセスというものが行われるわけでございまして、その間にまたこの非公式草案につきまして各国立場表明があり、議論が行われ、交渉が行われるという段階にあるわけでございます。  したがいまして、見通しはいかんという結論になるわけでございますが、先ほど申し上げたように、非常な大きな障害となっていたその海底開発機関表決の問題というものが一つ乗り越えられたということで、かなり見通しが従前よりは明るくなったということは申し上げられるわけでございますが、果たして来年のニューヨーク会期ですべて解決して条約草案が公式に採択となり、それが、スケジュールどおり採択会議をカラカスで来年の九月ごろ開きまして、署名に至るかどうかということになりますと、一応のスケジュールはそういうことで来年で終わるというスケジュールがございますけれども、まだ何とも申し上げられないという段階でございます。
  14. 川村清一

    川村清一君 どうもありがとうございました。  私のいろいろお尋ねした理由は、その二百海里法と関連があるのでお伺いしているのでありまして、これは御案内のように、日本は一九七七年に暫定水域法を、これを制定いたしましたし、日本に先立って一九七六年の十二月にはアメリカがこれを実施しましたし、一九七七年の三月からですか、ソ連もこれを行ったと。しかしながら、いずれもこれはソ連イシコフさんが、われわれが訪ねたときにはっきり言っておったことは、これは国連海洋法会議でもってきちっと世界の海の秩序というものが決定した場合においては、それによって正式に決めるんだと。したがって、ソ連最高会議幹部会で決めたこの事項というものはこれは暫定的なものであるということをソ連イシコフ漁業大臣が言っておったものですから、そこで、日本の方もこれ暫定ですから、一体公式にぴしっとこの海洋法会議において世界の海の秩序というものがきちっと決まるのはいつなのかというようなことを、これと関連があるのでお尋ねしたわけであります。どうもありがとうございました。  それで、これに関連してさらにお尋ねするんですが、もうすでにアメリカにおいてもソ連においても日本においても、その他世界各国において、もう勝手に二百海里漁業専管水域、あるいはある国によってはもうそれ以上にずっと幅広く専管水域というものを決めている国があるわけでありますが、そこで条約局長にお尋ねしたいのは、いま日本昭和五十二年、一九七七年に決めましたが、この法律の第十四条で、韓国に対する適用を除外してあるわけですね。ここが問題で、また後で私は水産庁の方にいろいろ質問しますけれども、そういうような世界の国で二百海里を宣言したと、宣言していわゆる法制化をしたと、したけれども、この適用についてはある特定の国はこれを除外すると、たとえば日本韓国に対する適用を除外したように。こういうようなケースが世界のどこかの国にもあるのかどうか、ちょっと私はわかりませんので、専門家条約局長からお聞きしたいと思うわけです。
  15. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  確かに現在海洋法で二百海里の経済水域というものが議論されておりまして、その意味におきましてはもう世界的な傾向ということが言えると思います。ただ、これは二百海里の経済水域というものが海洋法で問題になっているわけでございまして、漁業に関して、漁業のみに関しまして沿岸国管轄権を二百海里に及ぼすという二百海里の漁業水域というものにつきましては、別に海洋法会議の結果を待ち海洋法の成立を待つまでもなく、すでに一般慣習国際法として成立しているものであろうという考えから、アメリカソ連日本もその中に入りまして、この漁業に関します二百海里漁業水域というものを設定するということが行われているわけでございます。国によりましては、海洋法を先取りいたしまして経済水域ということにして二百海里を施行している国もあるわけでございますが、これは私どもとしては、いささか先走り過ぎて、いまだ国際法として確立していないものを先取りし過ぎた国際法違反とも言えるべき行為ではないかとは思っております。  そこで、韓国及び中国等に、特に韓国でございますが、この二百海里漁業水域を除外しているではないかと、その例がほかの国にあるかということでございますけれども、これは私ども、二百海里漁業水域、あるいは先ほど申し上げましたように国によっては経済水域を施行している国、非常に多うございますが、その例をつぶさに全部調べたわけではございませんけれども、私の承知しております限り、特定国をこの二百海里の漁業水域ないしは経済水域適用対象外として除外した例はないように思います。したがいまして、日本の場合に韓国及び中国というものを除外しているのは非常に珍しい例であると申せます。  ただ、これは、日韓間には日韓漁業協定がございますし、それから日中間には日中漁業協定がございまして、両国間の漁業秩序というものは非常に安定した基礎の上に推移しておるということにかんがみまして、二百海里を直ちに施行してこれら両国適用するよりは、むしろ両国間の漁業というものはそれらの個別協定に基づいてやる方がよろしいという判断のもとに除外しているものでございます。
  16. 川村清一

    川村清一君 アジア局長お見えになっていますか。
  17. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) アジア局長はちょっと所用で参っておりませんが、アジア局審議官が参っております。
  18. 川村清一

    川村清一君 アジア局審議官で結構でございますが、お尋ねしたいことは一点だけあるわけです。竹島問題ですね。竹島問題はどうなっておるのかということです、端的にお聞きすると。  日本が持つ領土問題は三つあるわけでありまして、言うまでもなく、一つ北方領土の問題であり、一つ尖閣列島の問題であり、一つ竹島の問題である。それで世論の動向を見ても、マスコミが取り上げるのも、どうも北方領土だけはちょっと何かがありますというと大きく取り上げられますけれども、まあ尖閣列島もたまには出てきますけれども竹島問題というものは、一体どういうことになっているのか、全然報道も何もありませんので、一体どういう状態にあるのか、それを簡単で結構でございますから、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  19. 渡辺幸治

    政府委員渡辺幸治君) お答え申し上げます。  竹島につきましては、講和発効以前から韓国官憲による不法占拠が続けられておりまして、日本政府としては、竹島問題は日韓間の紛争問題であり、これについてはぜひ話し合いによって解決したいという立場をとっているわけでございます。日本政府立場といたしまして、竹島は、歴史的事実に照らしましても国際法上の観点から見ても、わが国固有の領土であるということはきわめて明らかでございまして、韓国官憲による不法占拠というものはきわめて遺憾であるという立場でございます。この点については、従来もそうでございますけれども、今後とも粘り強く紛争の解決努力していきたいと思っておりまして、過去一年間においても、三度にわたりまして韓国側に対して、韓国側官憲による不法占拠に対する抗議の申し入れを行っております。  もう一つ竹島の問題との関連でございますのは、竹島周辺安全操業の問題でございますけれども、これにつきましても、政府といたしましては現実的に日本関係漁民の方々の利益を確保するという見地から従来から多々努力を重ねておりまして、現在も努力中ということでございます。
  20. 川村清一

    川村清一君 重ねてお尋ねしますが、これは条約局長が御答弁になっても結構でございますが、昭和五十二年、一九七七年に日本漁業水域に関する暫定措置法が制定されまして、その法律の第十四条で韓国中国適用を除外した。これはもともと私は反対でございまして、先ほど条約局長がおっしゃったように、世界にそういう例はないようだというふうに専門家条約局長がおっしゃっておるわけでありますが、ただこの中には、日韓漁業条約あるいは日中の漁業条約があることは承知しておりますが、韓国を除外するということに対しては私は反対しておったんです。それでこの委員会でもずいぶんそれからも何回も取り上げてまいりましたけれども、なかなかわれわれの主張どおりにいかないと。この理由一つに私は竹島問題が存在するのではないかというふうに勘ぐっておるわけでございますが、この辺はどんなものですか、関係はないですか。
  21. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 竹島は、領土権につきまして日韓間に紛争があることは事実でございますが、五十二年に二百海里の漁業水域を設定いたしましたときに韓国を除外いたしましたのは、先ほども申し上げましたように、日韓間の漁業秩序というものが日韓漁業協定によって非常に円滑に推移しておるということがございますので、その日韓間の漁業というものはそれによろうとということで排除しているわけでございまして、特に竹島の領有権の紛争の問題が直ちにその理由と考えられていたわけではございません。
  22. 川村清一

    川村清一君 局長御案内のように、この昭和五十二年の日本の二百海里法をつくるときには、やはりこれは非常に問題がございまして、一番の問題は何かというと、北方領土との関係があって、いま総理大臣をやられている鈴木さんが農林大臣のときでございまして、この問題解決のためにもう数度にわたって訪ソをしているわけです。で、最終の段階ではやっぱり日本国会が超党派的に鈴木農林大臣のこの仕事をバックアップすべきじゃないかというようなことで、これは衆参両院各党の代表が出かけていってモスコーで鈴木さんと一緒になっていろいろやったという経緯がございます。私もその一人なんでありますが、その北方領土問題が一番この問題を決めるに当たっては問題であったわけです。  と同じように、これは日本が二百海里を韓国適用しますというと、そうすると当然韓国も二百海里を行います。そうすると、竹島というものは好むと好まざるとにかかわらずその焦点になってくることは、これはだれしもわかることなんでね。したがって、一番ネックはそこにあるのではないかと私は思うんですが、それは関係ございませんか、日本政府としては。どう思いますか。
  23. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、第一の考慮と申しますのは、やはり日韓漁業協定による日韓間の漁業秩序というものを維持しようという考慮に基づいたものでございますが、当然のことながら、川村委員も御指摘のように、竹島の領有権問題というものが、両国が二百海里を施行するということになればやはり問題になってくるものであることは事実でございます。
  24. 川村清一

    川村清一君 外務省の方、御苦労さんでした、もう結構でございますから。ありがとうございました。  それでは農林水産大臣水産庁長官水産庁の皆さん方に御質問を申し上げたいと思います。最初に農林水産大臣にお尋ねしまして、大臣は十一時から御用があるそうでございますから、時間になったら御退席されて結構でございます。  お尋ねしたいことは、実はこの臨時国会が開会されました冒頭の各党の代表質問演説があったわけでありますが、その際に、自民党の代表質問がたまたまこのいまの問題に触れられたわけであります。これに対する鈴木総理大臣の御答弁はこういうようなことをおっしゃっておるわけであります。「日韓間の最大の懸案でありました北海道沖の韓国漁船操業問題が四年ぶりにこのほど解決をいたしましたが、関係各位の御努力に対し心から敬意を表します。」と、こういうことでございます。結局懸案であったこの問題が四年ぶりに解決したことは非常に喜ばしいことである、これは総理大臣の御意向なんですが、まあこれは喜ばしいことには違いありませんが、私は、これを御答弁されたのがこの漁業水域法を決定した当時の農林大臣でございまして、そしてこの法律審議するときに私がくどくその鈴木大臣に質問いたしまして鈴木さんが御答弁になった。この御答弁どおりになさって実現すれば私は本当に敬意を表するわけでありますが、当時の鈴木農林大臣が私に対してお答えになっていることとはほど遠いような御答弁なんであります。で、私は心から敬意を表するわけにはいかないわけなんです。  これはまあ大臣も御就任以来今日までの間に、水産庁の長官とかあるいは担当の部課からいろいろ御報告を聞いて御承知かと思いますが、私は、先ほど外務省の方に質問しておりましたように、この法律施行に当たって第十四条で韓国適用除外したことは問題がある、将来必ずこういう問題が起きるということを私はもう確信いたしまして、そこで、北海道周辺においては、沿岸と沖合いとのいわゆる競合を避けるという意味において、あるいは漁業資源を守るという立場から、沖合い底びきであるとかあるいはオッタートロール、この操業を規制してやらしておらない水域があるわけです。もちろんこれは領海の外にあるわけです。これは日本の規則によって、法律によって日本漁船が操業を禁止されておる水域、あるいは操業を禁止されておる期間において外国船が入ってきて操業するなんということは、これはとうてい認めるわけにはいかぬではないか、それは当然禁止するのが常識じゃないか、日本の船を禁止しておいて外国船は入ってきて堂々と操業するなんて、こんなむちゃな話があるかということを強く質問をいたしました。これに対しまして、さすが水産専門の鈴木さんでございますので——まあ私はこういうようなことを聞いているんですね。  韓国は十四条によってこの法律からは適用除外 されておる、だから韓国がどんどん入ってきて もいいということになったらこれは困るから、 そこで韓国日本との政府協定をきちっと結 んで、そして韓国も絶対ここへ入ってこないよ うな処置をとる、これが大臣のいまのお答えで すが、そう確認してよろしゅうございますか。と私は質問をしている。それに対して鈴木大臣は、「そのとおりでございます。」と、こう御答弁されている。これは昭和五十二年四月二十七日の当委員会におけるところの会議録なんです。  それで、鈴木総理は、初めての答弁でございますので非常に原稿ばかり見て、原稿から目を離さないで答弁しておった。これに対して新聞記者が何とか言ったら、君、それは間違いだ。政治家として一番大事なことは会議録なんだよ。会議録に残っていること、これが政治家にとっては一番大事なことだ。総理大臣がこう言っておったら、言ったことは次の総理大臣はこれを実行するために努力しなければならない。そういう意味において原稿から目を離さないで答弁するということは、これはりっぱなことなんだというようなことを記者に言われたことが記事に出ておるわけですね。だとすれば、鈴木さんがこうおっしゃって、これは会議録にちゃんと書いてある。これは実に責任があることだ。だから、私は鈴木さんの後の中川農林水産大臣に対し、その次の渡辺美智雄農林水産大臣に対して、その次の武藤大臣に対して、亀岡大臣は初めてでございますけれども、歴代の大臣にこのことを質問し続けてまいってきたわけであります。ところが、いつまでたっても実現しない。この間に韓国船北海道周辺における無法操業は全然やまない。韓国の言うことは、いわゆる領海外は公海じゃないか、公海の漁業は自由ではないかというようなことで、幾ら言っても聞かないわけであります。そして、自主規制のような処置をとったこともあるんです。ところが、自主規制ということで約束しましても、一向にその約束を守らぬで、今日においてその沿岸漁民の受けたこの漁具、漁網のいわゆる損失による被害は七億円に達しているという、こういうような状態なんでございます。  それで、歴代の大臣の中川さんも渡辺さんも、これは自民党の大物大臣でございまして、将来は総理・総裁の一人であると目されておるぐらいの実力者でございます。皆、胸を張って、絶対やる、もう国と国との協定においてこれはきちっと決める、中においては二百海里法を実施するんだというようなこともおっしゃっておった大臣もいらっしゃるわけです。武藤さんも一生懸命になられた。しかし、ずうっとこれが行われないで来たわけです。ですから、北海道の漁民の方々の怒りというものはもう大変なものだ。いわゆる政治に対する不信感というか、行政に対する不信感というか、これは非常に強いものがあるわけであります。そこで、武藤農水大臣のころから本気になって取り上げていただきまして、そして、いまの水産庁長官も一生懸命になってやられている。佐竹振興部長も一生懸命になってやられた。それで、一応今回、さっき外務省条約局長が言われたような形で約束取り決められたわけです。ですから、一歩二歩前進したことはこれはまあ確かであって、これは一応私は評価します。そして、今村水産庁長官や佐竹振興部長の御努力に対しましては敬意を表します。敬意は表しますけれども、根本的に解決はされておらないわけです。これからいろいろな問題が派生してくることが予期されるわけですね。そこで、これからはそういう問題が起きてこないように、その北海道の漁民との間にトラブルが起きないようにひとつしっかりやってもらいたいという立場で質問をするわけなんです。  それからもう一つは、これは、北海道の漁民に言わせますと、われわれは西の方の犠牲になった、こう言うわけです。まあ、西の方の犠牲になったというのも少しオーバーですが、今度の処置によって西の方も以西底びきが六十隻減船になるわけですから。ですから、こっちも被害は受けたけれどもこっちの方も被害を受けたというようなことで何とかこれまとまったわけでありますが、この六十隻の減船されることになります以西底びきに対する減船補償であるとか、そこに乗っております漁業労働者の雇用問題であるとか、こういう問題に対してもしっかりやっていただかなければならない。これは鈴木総理大臣も答えておるわけですが、まあこういうことなんです。  そこで、いま私がちょっと経過を話したんですが、まあこれでは質問の体をなしておりませんが、大臣もお立ちになる時間でございますので、こういう経過でもって何とか結ばれたと。しかし、これに対しては北海道の漁民も決して喜んでいるわけじゃないし、政府が決めたことだから仕方ない。仕方ないといったような立場です。私は一応この仕事を進められた方々には敬意は表しますけれども、まことに不満足であるという考えをここに述べまして、これに対する大臣の御見解をひとついただきたいと思うわけです。    〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕
  25. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 川村委員から経緯をいろいろお話があったわけでありますが、今回の日韓の数年間にわたる問題の一応の結末を見ることができたということにつきましては、やはり鈴木農林大臣の時代から、歴代の農林大臣並びに水産庁の長官以下の努力がやはり実を結んだものと、私はこう評価をいたしておるわけであります。政府といたしましては、できるだけ、鈴木農林大臣の時代に、ただいま御指摘のありましたとおり、両国協定というような線できちんとしたものにしたいということでいろいろと努力をしたわけでありましたけれども、なかなかまとまらないということで、今回文書の交換、書簡の交換ということで、先ほど条約局長の申し上げたような線で妥結をせざるを得なかった、こういうことでございます。私どもといたしましても、北海道の漁民の立場というものを守っていかなければならないということは当然でございますので、今回の日韓両国往復文書に基づきまして、これを真摯に自主的規制を韓国当局がやってまいることのできるような信頼関係というものを、やはり今後打ち立てていく努力をしたい。そうして三年間の間に信頼関係を深めることによって、さらに両国の意思疎通をもっともっと強力にしていくような体制に持ち込んでいかなければならない、それが両国の漁民の安全操業をもたらす基本ではないか、こんなふうに考えておる次第でございます。    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕
  26. 川村清一

    川村清一君 それでは、後、実務的なことを御質問しますから、水産庁の長官あるいは振興部長から御答弁をいただきたいと思うわけでございますが、北海道の漁民の強い要望というものを無視しまして、結果的には私が国会で何回も言っておりましたいわゆるオッタートロールの禁止ライン以内に、あるいはソ日線以内に韓国の操業を認めた、認めざるを得なかった、その最大の理由は何ですか。時間がありませんので、それをごく短く端的にお答えいただきたい。
  27. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 先生御指摘のように、二百海里法の適用世界の大道であると私は思っておりますから、韓国との関係におきましても二百海里法を適用することができれば、これは問題解決に最適の方法であると思います。同時にまた、水域法に基づく五条二号を適用することによってオッタートロールラインの外において韓国漁船の操業を行わさせるという方法も次の手段でございますが、私の考えまするに、水域法の五条二号を適用するということは、これはどうしても二百海里まで突っ込んでいくということを考えておかなければならない問題であると思います。そういたしますると、問題の解決のためには、やはり韓国との間におきまして話し合いによってこの問題を解決する以外に道はないのではないか。そういう意味合いにおきまして、必ずしも十全の策ではございませんけれども韓国話し合いによりまして、国と国との一つ約束として現在のようなラインに落ちつかざるを得なかったというのが実際の状況でございます。
  28. 川村清一

    川村清一君 この取り決めの有効期間を三年と決めましたね。その三年と決めた根拠は何ですか。いま長官の御答弁から推察いたしまして、これは決めた、しかしながら、最もいい方法は二百海里を適用することである、すなわち二百海里を将来適用するその準備期間としての三年という意味に了解してよろしゅうございますか。これを明確にしていただきたい。
  29. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 三年と決めましたのは、二百海里に移行する準備期間としての三年というふうには理解をされておりません。これを一年、一年で更新するのがいいのか、あるいは一定の期間を設けるのがいいのかということは議論の分かれるところでございますけれども、やはり一つの国と国との取り決めとして一定の期間を考えてみますと、三年ぐらいが適当ではないかということで決めたわけでございます。  ただ、その三年の間にもし二百海里に移行しなければいけないというふうな事態が生じたときには、これは当然に事情の変更の原則が働くわけでございますから、その三年間の以内に二百海里法を適用しなければいけないような事態が生ずれば、これは当然その三年間は、二百海里に移行しても三年間この協定で処理をするということにはならないわけでございます。
  30. 川村清一

    川村清一君 先ほど、外務省の方に国連海洋法会議の推移についていろいろお尋ねしたわけでありますが、もちろん現在まだ非公式草案がようやくでき上がった、これを公式草案として、それから討議して結論が出るわけですから、今後何年かかるかわかりませんが、たとえば、これは国連海洋法会議においては経済水域という言葉で表現しているわけでありますが、経済水域と言えば漁業域吉よりももっとこれは幅が広くなるわけでございまして、その二百海里の中に存在するところの海中の資源、それから地下資源、すべてがその二百海里を管理するところのその国の主権がこれを管理するということになるわけでありますから、二百海里の生物資源は全部その国が今度は管理をする、こういうことが公式に決まった場合においても変わらないのか、そういうふうになってくればこれは変わらざるを得ないというような考え方なのか。  これは長官、何回も私はここで主張しておることは、どうして一体韓国に二百海里を行わないんだ、行ったらいいじゃないか。そうすると、当然向こうの方も二百海里を引きますよ。そうすると日本の二百海里と向こうの二百海里とが重なってまいりますから、そこでお互いが今度は新しい漁業協定を結んで、それでちょうど日ソの関係のように、日ソ漁業暫定協定あるいはソ日漁業暫定協定と同じように、日韓漁業暫定協定あるいは韓日漁業暫定協定、こういうものを決めて、お互いの二百海里の中でどの水域でどの期間どういう魚種をどれだけとるかということをきちっと決めてやったらいいじゃないかというのが私の主張であったわけですが、それが残念ながら実現しないできておるわけです。いま私が言ったように、そういうように世界の方向がそうなってきてもなおこれを変える意思はないのか、あるいは目指すのは二百海里だと言うから、そういう機会にはそれぞれ二百海里を施行するというようなお考えなのかどうか、これをもう一度お聞きしたいのです。
  31. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) この取り決めにつきましては、この取り決めを結ぶ基本的な条件の変更があった場合においては、それは外交上の当然事情変更の原則が働くものであるという理解に基づいておるわけでございます。したがいまして、海洋法が通りましてその内容とこの協定が抵触するというふうな事態が生じますならば、当然その事態を踏まえましてこの取り決めを見直す必要があるというふうに考えております。しかしながら、私たちの現段階におきます理解におきましては、現在の新海洋法が通ったといたしましても、第三国の海洋法上の権利義務を害さない限り、この協定海洋法との関係におきましては別のものとして取り扱うことができるのではないかというふうに理解をいたしております。  それから第二点の二百海里法でございますが、韓国日本との漁業関係を根本的に解決するためには、二百海里法を適用することは御指摘のとおり根本的解決の手段としては一番ベターな方法であるということは私は十分認識をいたしております。しかしながら、現段階韓国との関係で二百海里法を適用できるかどうかという現実的な認識におきましては、これはなかなかむずかしい事態であるということも考えられるわけでございまして、現に私が水産庁長と会談をいたしましたときにも、韓国は二百海里法を適用する意思があるかないかということを相当突っ込んで議論をいたしましたけれども韓国としては現段階において二百海里を適用する意思はないということでございます。  しからば日本が一方的に二百海里を適用ができるかどうかということになりますと、これはまたいろいろとむずかしい問題があるわけでございまして、私は問題の処理のベストの方法としては先生の御指摘のとおりだと思いますけれども、それを現段階においてそういう道をとれるかどうかということについては非常にむずかしい問題がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
  32. 川村清一

    川村清一君 今度の取り決めの中において、このソ日協定ソ連船の操業を禁止したライン内に韓国船の操業を認めたということは、現在東京で行われております日ソ漁業交渉に私は悪影響を及ぼすのでないかということを懸念しておりますが、水産庁としてはどうお考えになられますか。
  33. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 日ソの関係におきましては、現在二百海里法を適用した事態を踏まえての対処をいたしておるわけでございまして、韓国との関係では二百海里法を適用しない日韓漁業協定という基盤のもとで対処をいたしておるわけでございます。したがいまして、仮に将来二百海里法を日韓間で敷くような事態が生ずれば、当然ソ連韓国との取り扱いを異にすることは私はできないと思いますが、現段階対応としましては、いま申し上げたようなよって立つ基盤が違うわけでございますから、その点を十分ソ連とも話し合いまして、今回の日韓取り決め日ソ関係に悪影響を及ぼさないように私たちとしては最善の努力を尽くしたいというふうに考えております。
  34. 川村清一

    川村清一君 襟裳以西、襟裳岬、襟裳以東、オホーツク海の四つの水域については十五海里以内、これが日本海、武蔵堆周辺水域では十七海里以内を周年禁漁にしたことは私は一応評価します。しかし、その十七海里の外は一切自由操業となれば、これはやはり問題が残るんじゃないか。韓国は今日までのあなた方との議論の中で、いわゆる領海以外は公海である、公海は何をしようと勝手じゃないか、自由じゃないかということを繰り返し繰り返し述べているわけですね。そういう韓国の考え方が変わらない限りにおいては、十七海里の外は一切自由操業である、何をしてもいいんだ、そういうような考えで操業を続けてまいりますれば、これは御承知のようにもう十七海里の外であっても、日本の沖合い底びきやあるいは沿岸漁業でも操業しておる。特に問題は、日本の沿岸操業においてはスケソウとかカレイとかという底魚、これは刺し網、それからタコのような部類はタコ箱、それからエビやカニはエビかご、カニかご、こういったようないわゆる漁具というものは定置されておるんだ。そこへ韓国はみんなオッタートロールだ。それで底をみんなかき回して引いてしまったならば、この漁具被害が起きないとは限らないでしょう。私は起きると思う。したがって、今後そういう心配はたくさんあるだろう。そのトラブルを起こさないためにどのような措置をなされようとしているのか、これを明確にしていただきたい。
  35. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 今回の取り決めは、形式のいかんであれ、政府間の約束でございますから、従来のような民間の自主規制とは性格が異なるものであるというふうに考えます。したがいまして、その政府間の約束が守られるように、これは従来の民間取り決めと違いまして、水産庁におきましても、また韓国水産庁におきましても、政府間でそれを守っていくように十分責任を持って対処していく必要があるというふうに考えております。  御指摘のように、重要な海域につきましては重要な期間について、それぞれ、北海道漁民としては不満足でございましょうけれども、一応の規制区域及び期間を定めたわけでございます。これは韓国水産庁としても十分守っていくようにやっていってもらわなきゃいけませんが、御指摘のようなその区域以外あるいはその区域の期間以外につきまして、これは当然に北海道の漁業の操業とそれから韓国のオッタートロールの操業とは競合をするわけでございます。これはどういうふうにその競合関係を調整をしていくかという問題は、私たちは一言で申しますと安全操業問題と言っておりますが、その安全操業と分散操業をどうしていくかという問題は、今後韓国と十分話し合いを詰めまして、お互いがトラブルを起こさないように操業をしていくということについては十分と留意をしてまいりたいと思っております。これは政府間でそういう話を詰めるのみならず、やはり民間なら民間の話し合いの持ち味も生かしていかなければいけませんから、そういう民間の持ち味を生かしながら政府間の話し合いとしてそういう競合をする水域及び期間につきましては今後十分話し合いを詰めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 川村清一

    川村清一君 民間の持ち味を生かすことは結構でございますから、それに反対するわけではございません。しかし、長官御存じのように、自主的な規制をするということはいままで民間で約束しておるんです。しかし、何回約束しても韓国が一度もこれを守ったことがないわけですよ。守ったことがないからいつまでたっても問題が解決つかないで、もう被害はどんどん大きくなるし、それで北海道の漁民はもう激高しておる。もう流血の惨事まで起きておるわけですね。  そこで今度の取り決めは、取り決めしないよりはいいんですが、これは政府間の約束でもないんですから、政府が権利義務を持っているわけでもないと、民間の持ち味は生かすと、しかし、民間が守ってくれればいいけども守らなかったら一体どういうことになるのか。このときは政府でまた話し合うということなんですが、そういうことで解決するのかしないのか、問題は私は非常に残ると思うんですね。  だから、その辺はよほどしっかりやってもらわなければ、たとえば先ほど私が申し上げました刺し網にしてもあるいは箱にしても、かごにしても、海の底に置いてあるわけですね。それを海の底を引くわけですから、オッタートロールしか向こうは使わないわけですから引くわけですから、そうすると、みんなブルドーザーかけているのと同じなんですよ。これはみんなだめにしてしまうでしょう。そうしてそれは夜間に主にやるわけですね。すると、夜間の操業を絶対禁止するというのなら話はわかる。夜間やられてしまったら、そういう被害を与えた船を確認せいといったってできないですよ。明るくなって行ってみたら何も自分のものがなくなっていたということなんですから。だれが持っていったか、まあ韓国だろうとは思うけれども、どの船かといったって、これは確認してないですから、写真を撮っているわけでもないわけですから。これらの問題をどうするのか、この辺。  それからもう一つは、いま五つの水域ですね。これは襟裳岬はソ日ラインの中に入れる。それから襟裳以西噴火湾のところはソ日ラインの中に認める。それから襟裳以東、これは釧路の大黒島のあの辺ですが、これはオッタートロールの禁止ライン、ここを認める。それからオホーツク海、これはオッタートロールの禁止ラインを一部認める。それから特に今度は日本海の武蔵堆のあの辺、ここはもうオッタートロール禁止ラインがずっと出ておるんですが、そこのところを一部認めると、こういうようなこと。韓国がいま日本が認めたこの地域に固執して、絶対ここを認めろ認めろといってごり押しされて、ついに日本の方はこれを認めざるを得なくなって認めさせられたと、私はそう判断しているわけですが、なぜこの水域韓国が強く要求してきたか。これはいわゆる漁業資源が多い、これは好漁場だな。好漁場であるからここをぜひ認めろ、何としても認めろと強硬に出てきたわけで、そういうよい漁場であれば、わが方の立場から言っても絶対手放したくないこれは漁場なんです。日本の沿岸漁民にとっては大事な大事な漁場なんです。そんな資源のないところに向こうはごり押ししてくるわけないんですから、ここは絶対認めろと言ってごり押ししてきたということは、それほど価値のある漁場だと。それだけ価値のある漁場は日本にとったって絶対価値のある漁場なんです。漁民にとっては大事な大事な漁場なんです。これを認めてしまった。そうしていま先ほど申し上げたような被害が出てきたような場合においてどうするのか。これは今度は、いままでは七億からの被害があっても、これは自主的にやったんだから政府がこれを補償するなんということはできないということで、約七億に対しまして一億何千万か韓国の民間が補償したようですが、今度は政府が決めたんですからね。日本の北海道の漁民は、もう政府がこう決めてしまった以上は仕方ない、まことに不満であるけれども仕方ない。しかし、今度起きたこのトラブルあるいは損害、全部これは政府が責任を持って、政府の責任でこれを解決してもらわなければならぬということを強く言っておりますが、これに対応していま私が申し上げたようなことを措置いたしますかどうですか、これはきちっと約束してください。
  37. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 今回の取り決めによりまして、北海道庁もそうでございますが、私たちも大体問題の八〇%ないし九〇%は片づいていくのではないかというふうに見ております。これは見方でございますから断定はできませんが、従来の操業状況やその他から考えてみまして大体そういうふうに見込まれるわけでございますが、御指摘のように、問題が残ることは確かでございます。その残る問題につきましては、先ほども申し上げましたような安全操業なり分散操業問題というものをどういうふうに処理をしていくかということでございまして、この点につきましては、日韓協定の持ち味を生かしながら政府としても十分対処をしてまいるつもりでございます。  そういうふうにして起こりました漁具被害問題についてどう対処するつもりであるかというお話でございますが、そういう漁具被害問題が起こった場合に、これは政府として取り決めたことであるからそれは全部政府の責任で対処しろというお話でございますが、漁具被害そのものについての補償というふうな問題につきまして、これは政府韓国にかわって対処できるかどうかについては、これは私は非常に問題があると思います。なぜかならば、日ソの関係におきましても、漁具被害問題についてこれを政府ソ連のかわりに対処をしておるわけではございませんで、やはりそこの加害者補償の原則というものの立場に立って対処をいたしておるわけでございまして、水産庁長官として考えますならば、それは、ソ連の場合でも韓国の場合でも、そういう被害が起きた場合に政府がかわってこれを補償するということができればこれ以上の望ましいことはございませんけれども、全般的にそういう加害者補償の原則ということを突き破るということは、これは非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただしかしながら、そういう漁具被害ができるだけ発生しないようにどういうふうに対処をしていくか。たとえばボンデン等につきましても、従来のようなものでなしに、もう少しきちんとして対処をするとか、その他の対処の仕方につきましては、これは北海道の道庁とも十分協議をしながら私たちとしてはできる限り安全操業が図られるような努力につきましては努力を惜しまないつもりでございます。
  38. 川村清一

    川村清一君 第一はトラブルを起こさないようにしっかりと行政指導をするということ、これは一番大事なことだと。起きた場合にどうするか、そういう被害が起きた場合にどうするか、これに対して政府はどう責任をとるか。政府が決めたことだから政府が責任をとって補償せいということを言っておるのじゃなくて、そういう被害が出て損害を受けたならば政府は責任を持ってそれを韓国に補償させるような、そういうことを責任を持ってやれと。政府が財政資金の中から払えということを言っているのじゃなくて、それはそういう被害を与えたところの韓国、民間であるか政府であるか、とにかく韓国がこれを補償するようなそういう措置をとらせることに政府が責任をとれということを私は申し上げている、これはできますね。  その次にお聞きしますが、この好漁場ですね、これをさっき言ったようにブルドーザーかけられたら、資源の枯渇、漁場の荒廃、その漁具被害とかという物的な被害ばかりを私は申し上げているのではなく、それ以上だ。それ以上に資源が枯渇して漁場が荒廃してしまったらどうなるのかということです。一例をとると、もうことしあたりはこの噴火湾のスケソウ漁はきわめて悪いんですよ。スケソウの魚体なんというものはこうなっているんだ、小さくなっている。これは乱獲のせいだ。たとえば襟裳の水域あたりは、これは襟裳堆でありまして、メヌケのこれは本当に好漁場でこれは漁師の方々に聞くというと、いまでは海の底が平らになっていると言うんだ、メヌケの根がなくなっちゃってみんな平らになっている、そういうふうになるわけです。漁場が荒廃しちゃう、資源が枯渇してしまう。これが最大の問題だということを私は言っているわけなんです、これはどうしますか。  もう一点時間がありませんからお聞きしますが、今度の取り決めによって向こうの操業隻数が減ってきたし、操業する船もトン数が小さくなった。トン数は一千トン未満の船が十隻、それから現在の千トン以上九隻は五百五十トン以下としてこれが七隻、合計十七隻、これが操業することを認めた。ところが一千トン未満は、九百九十九トンでもこれは一千トン未満だし、五百五十トンでも一千トン未満だ。ところが、長官御存じですか。北海道の沖合い底びきの最大のトン数は何トンですか、御存じですか。百二十四トンですよ、これは最大トン数が百二十四トン。ところが、向こうの方は一千トン未満にしましたよと、もっともいままでは二千トン、二千五百トンの船が来ておったのですが、一千トン未満にしましたよと言っても、九百トンの船だって一千トン未満なんだ。わが方の一番大きいのは百二十四トンだ。このでかいのでやられてしまう。底びきと底びきとの競合もこれは出てきますよ。したがって一番大事なことは、繰り返して申し上げますが、資源の枯渇、漁場の荒廃、このことによって北海道の沿岸漁業はもうつぶれちゃいますよ。そういうことは絶対ないと明確に答えられますか。これに対処してどうする気なんだ。はっきり答えていただきたい。
  39. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) まず第一点の安全操業の問題につきましては、政府としてもできる限りの努力を払いたいと存じます。  それから第二点の、被害が起きたときのその被害問題の処理について韓国とどう対処するかということにつきましては、これは政府としてもこの点につきまして十分対処をしてまいりたいと思います。  それから、第三点の資源問題でございますが、いろいろ御不満はあろうかと思いますが、隻数の減少及び操業海域、操業期間の設定によりまして、私たちの見込みとしましては大体韓国の従来の操業の半分程度になるというふうに見込んでおるわけでございます。しかし、半分程度になったとしても、北海道の現在のスケトウ資源から見てそれは過大であるという御指摘はそのとおりかと存じますが、しかし、現在の事態よりも改善をされるということにつきまして、その点の評価はいろいろとあろうかと思いますが、私たちとしましては従来よりも改善を見たのではないかと思っております。資源問題につきましては、現在水産庁におきましても北海道のスケトウ資源について調査をいたしております。だんだん毎年魚体が小さくなるとかあるいは毎年水揚げが減っていくというこの資源問題については、重要な関心を持って対処をいたしたいと考えておる次第でございます。
  40. 川村清一

    川村清一君 長官、あなたは、失礼ですがオッタートロールという漁法を御存じですか。
  41. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 私なりに理解をいたしておるつもりでございますが、先生の御指摘のように底を引くわけでございますから、底を引いた結果海底が平らになって魚つきがなくなるというようなことは、十分北海道の水産業者からも聞いて承知をいたしておるつもりでございます。
  42. 川村清一

    川村清一君 それだけ御承知になっておれば、これは大変なことだということは御了解いただけるのじゃないですか。私が一番心配しているのは、その損害、いま漁具の被害以上に将来にわたっての資源の枯渇、漁場の荒廃を心配しているのであって、オッタートロール、これを今後とも、今度は三年間はこれは自由に彼らはやるわけですから、それ以上また延びればまたやるわけですから、日本の船は、大きいのでもこれは沖合い底びきで百二十四トン、競争にも何にもならない。これでがらがら引かれてしまったら、もう資源は枯渇して沿岸漁業はつぶれちゃうわけですよ。これを懸念して一生懸命言っているんだ。だからこれに対処してどうするんだと、こういう方針でこうやりますというようなことをひとつはっきりおっしゃっていただけなければ私も満足しないわけですよ。  それから、夜間操業に対してはどうするのか、今度は監視体制をどうするのか。いわゆるそういうような問題を起こさないためには、これはもう本当に政府は、これは政府が責任を持ってやるでしょうな。監視体制をしっかりやるでしょうな。その辺についてひとつ具体的にお答えいただきたいと思います。
  43. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 最もお詳しい先生から、北海道のスケトウの資源問題にどう対処するのか明言をせよと、こう言われましても私もなかなかむずかしい問題でございまして、それでは北海道のスケトウを韓国に全くとらさないということができればそれは最もいいことでございますが、そういうぐあいにもまいりませんし、また同時に、北海道の、それでは国内のスケトウの沿岸と沖合いとの関係でどういうふうに対処するのかという問題も、現在段階におきまして直ちにこうしますということを明言することにもいかないわけでございまして、これらの点につきましては、私たちとしましてもいろいろと調査、検討を続けながらこれに十分対処をしていきたいという気持ちでございます。  それから、夜間操業の問題につきましては、これは先ほど申し上げましたように、安全操業の一環として今後政府間でももとよりでございますが、民間間におきましてもその持ち味を生かしながら十分協議をしてまいりたいと思います。  それから、監視体制でございますが、これは、当然のことながら、監視につきましては水産庁及び海上保安庁それから北海道庁力を合わせて対処をしていくことはもとよりでございまして、これらの点については、韓国とも監視体制にはいろいろ取り決めもございますが、これらの取り決めを十分に守ると同時に、国内的にも監視体制につきましては十分留意をして対処をしてまいるつもりでございます。
  44. 川村清一

    川村清一君 その監視体制の問題ですが、非常に具体性のない計画なんで重ねてお聞きしておきますが、たとえば五つの水域、いまはまだ禁漁期間に大方なっていますので問題は起きておりませんが、いよいよ、たとえば襟裳沖ならば三月から十二月まで禁漁ですから一月、二月は来るわけですね。襟裳以西は九月一日から一月十五日まで禁漁ですから、一月の十六日からここのところへ来るわけですね。それから、襟裳東の方は、これは十二月から三月まで禁漁ですからいま現在やっておるわけですね。それから、オホーツク海の方は、これは四月から五月まで禁漁ですから、いまここはやっているわけですね。それから日本海の方は、六月十六日から九月十九日まで禁漁ですから現在はここへ来ておるわけですね。そこで、この五つの水域には、禁漁期になって韓国漁船が来るということになれば、ここには監視船、これは水産庁あるいは海上保安庁あるいは道庁、この監視船が常駐するような体制をとれるのかどうか、あるいはヘリコプターなんかで空からずっと監視するそういう体制をとれるのかどうかということ。それから、さっきから繰り返して言っておりますが、十七隻がいるんだ。この十七隻が一度に——この十七隻全部でなくてもいい、いい漁場だと、向こうは絶対離したくない漁場、わが国にとっても最も大事な漁場、ここへ集中的に来られたらこれは大変なんだ。これを分散してやるとか、そういったような具体的な計画、考えがあるのかどうか。長官の御答弁はどうも具体性がない。私は各論を聞いているんで、総論は私もわかっているんだ。だから、各論で具体的にどうなさるのか、その計画をお聞きしたいわけです。
  45. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 監視体制の問題でございますが、今回の取り決めによりまして、たとえば襟裳の沖を例にとってみますと、私は従来と違って相当監視がやりやすくなるといいますか、適正に、適確に行われやすくなると。たとえば襟裳沖でありますと、四十一度四十分のところへ監視船を置きまして、その四十一度四十分のラインを往復をするということによりまして、そのラインの中には韓国船を入れないというふうな対処の仕方ができると思います。現在も水産庁の監視船は三隻それぞれの海域に張りついておりますが、御指摘のように、それぞれの操業期間中はそれぞれの海域に水産庁の監視船を派遣をして監視をすることはもとよりでございますが、海上保安庁とも十分連絡をとりましてその監視に遺憾ないようにいたしたいと思います。  それから、十七隻は御存じのように許可隻数でございまして、常時操業隻数ではございませんから、同時に運搬船を使用しないということになっておりますから、十七隻が常に満度に操業するわけではございませんけれども、御指摘のようにそれぞれの海域に分散をして操業をしてもらうことが一番望ましいわけでございます。この点について、韓国としても分散操業についての韓国からの案の提示もございますけれども、そういう韓国で考えているような分散操業では私は必ずしも十分ではないと考えております。ただ、両者の話し合いで、それぞれの海域にどういうふうに分散操業ができるかということは、具体的な政府の問題としては今後十分話し合っていかなければならない問題でございますので、先ほど申し上げましたように、安全操業及び分散操業問題については今後韓国水産庁と十分話し合ってまいりたいと思います。
  46. 川村清一

    川村清一君 もう時間がありませんので、要望だけ申し上げて質問を終わりますが、今度の取り決めはもちろん条約でもなければ協定でもないし、国際法的にも交換公文でもないし、両国政府がこれによって法的に規制されるものは何もないわけです。ただ、約束ですから道義的には守らなければならないということがある程度であるということが明確になったわけであります。したがって、従来の自主規制というものと大した変わりがないということを私は理解したわけでありますが、いずれにしましても、こういうふうに取り決めてしまったわけですから、政府がやったことですから、いまさらどうだ、こうだと言ってもしようがない。あとは政府の責任でしっかりやってもらう以外にはないわけでありますが、私がずっといままで申し上げたことに対しましては常に私は注意して見守っておりますから、もしも長官がおっしゃっているようなことが具体的に出てこないで、そうして相変わらず安全操業が脅かされる、そしてトラブルがしょっちゅう起きる、そして資源は枯渇していく、漁場は荒廃していくと。そして沿岸漁民は激高して、あるいはまた韓国漁船日本の沿岸の小型船が取り巻いて、そうして石を投げたり投げられたりといったような、そういう不祥事が惹起しないように、私はそれを願いながら注目しておりますから、政府としても責任を持ってしっかりやっていただきたいということだけ強く申し上げまして、ちょうど時間ですから私の質問を終わります。
  47. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 川村先生がきょう当面する日ソ日韓を軸にされて、とりわけ沿岸のきわめて重大な問題をお取り上げになったわけでございますが、したがって、私はきょうはむしろ遠洋に焦点を当てながら、少し政府の考え方をただしていきたいと、こう考えるわけなんです。いずれにいたしましても、いまの沿岸あるいは沖合い、遠洋、養殖を含めまして、すべての漁業に対する基本的認識をもう一遍ただしていきませんと、どうもいまの質疑の内容を聞いておりまして、不安に感ずるわけです。  今日の漁業につきましては、単に第一次産業という立場で、生産活動の面あるいは経済に占める役割りの面、こういうことだけで位置づけ、評価をしていることについてはきわめて誤りじゃないのか、こういうふうに私は考えるわけです。すなわち、今日の世界の食糧事情その他、これからの展望を考えてみましたときに、大変な漁業の位置というものについてもう一遍きちっと認識統一をする必要があるであろう。とりわけ日本の国民の食糧という立場からいきますと、貴重なたん白源を豊富に供給をする、こういう任務をいままで果たしてまいりましたし、同時に、これからも果たしていくことになるわけであります。そういう面からいきますと、今日の諸情勢を踏まえてみて、単に銭金の問題、これも大切なことでありますが、その銭金の問題だけではなくて、それを乗り越えて、漁業全般について国民全体が守り育てていくという任務をきちっとしなければならぬ。その社会的な位置づけを明確にしなければならぬ。それでないと、私は、水産に対する政策、行政責任というのは果たせない、こういうふうに考えるところです。ちょうど、大臣が退席をされておりますから、本来なら、これは大臣にお聞きをしたいと思うんですが、そういう意味合いで、鈴木内閣として、内閣全体での意思統一は、漁業に対して一体どういう御認識を持っておられるんだろうか、あるいは野呂田政務次官は、政務次官としてどういう御認識なのか、この点をまずお伺いをいたしておきたい、こう思います。
  48. 野呂田芳成

    政府委員野呂田芳成君) 四海、海に囲まれておりますわが国にとりましては、魚は欠かすことのできない食糧であります。現在、動物性たん白質の約半分は魚によって供給されておるわけでありますし、また近年多様化する食生活の中にありましても、魚に対する需要には大変根強いものがありますから、今後ますます水産物に対する問題は重要性を帯びてくるものと考えているわけであります。農林水産省は、先月の末に、これから十年間の農産物の需給見通し等をやりましたけれども、あの中でも、日本型食生活というものを強調しております。御案内のとおり、炭水化物や脂肪やたん白質が非常にバランスのとれた中で、特に動物性たん白質の中で水産物の比重が高いことが特徴とされておりますけれども、そういう日本型食生活をこれからさらに定着させていくということが、栄養的観点からもあるいは総合的食糧自給力の維持の観点からも大変私は重要な問題であると考えております。したがって、そういう観点からさらに重要味を帯びてきます水産業につきましては、国民に水産物を安定的に供給するということと、それから水産業の振興を図るという視点に立って、いま先生が御指摘のように、総合食糧政策の一環として、さらにこれの施策の充実を図るとともに、強力な推進を図っていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  49. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いま御答弁のありましたような認識の上に立ちまして、きわめて大切な漁業というのは、これは系統の組織自体の日常ふだんの大変な努力もあるわけなんですが、結局、漁業を支えておりますのは末端経営体ですね、はっきり申し上げまして。そうしますと、末端経営体の今日の実態というのは一体どうなんだろうか、こういうふうに見ましたときに、いろいろあります。いろいろありますけれども、総括的に申し上げまして、今日の経営の現状というのは、燃油の高騰がまともにかかっている、あるいは魚価が相変わらず不安定であり、しかも低迷をしている。同時にまた、二百海里の時代が本格化をいたしまして、これまた入漁料その他、あるいはまた、漁獲に対する制約、こうしたものがまともにかぶさってきている、これが今日の状況でありまして、端的に申し上げれば、諸条件はすべて経営体を圧迫しているというのが今日の状況ではないだろうか。したがって、これに対して、社会的に守り育てる立場からどうこたえていくのかというのがきわめて重要な課題だと思うのですね。  そういう観点から申し上げまして、これは今村長官に御答弁いただいた方がいいと思うのですが、私の総括的な認識の問題はもちろんありますけれども、経営の実態につきまして、大別いたしまして、養殖あるいは沿岸、沖合い、遠洋、この大別をした概況で結構なんですが、その辺の御認識はいかがなものなんでしょうか。
  50. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、現在の漁業をめぐります経営の状況は非常に厳しいものがございます。石油価格の高騰、それから魚価の低迷、それから本格的な二百海里時代の到来を迎えましての漁場問題というのが御指摘のとおり一番重要な三点であろうかと思います。  御承知のように、魚は石油でとってくると言われておるようなことでございまして、石油のコストの中に占めます比重はきわめて大きいわけでございますが、それが二倍、二倍半というふうになってコストが上昇するにかかわらず、魚価はなかなかそれを反映し得ないというところに非常な問題があると存じます。石油を余り使わない沿岸関係は、まあ非常に概括的に言いましてまずまずだと思いますが、特に遠洋におきましては、急速の冷凍装置を要しますとか、あるいは大型発電機を要しますとか、高馬力の機関を要しますとか、そういう重装備を要するわけでございまして、燃油の使用量も特に大きいわけでございます。そういう観点から見まして、特に遠洋カツオ・マグロ等につきましては、最近の価格の低迷もございまして、漁業経営は非常に苦しい状況にございます。
  51. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局、いろいろあるけれども、養殖、沿岸はまあまあだと。まだまだ多くの課題を抱えており、これは細かく突っ込んでいきますと大変な問題が山積をしておるわけですが、しかし、それはさておきまして、総括的に見て、いまの長官の認識は私は間違いないだろう、こう思うのです。  そこで、一番問題になっております遠洋ですね、遠洋の場合はこれは本当に正直言って危機的状況がずっと続いているわけですね。今日だけの問題じゃない。これはもうあの石油ショック以来、危機的状況というのはとみにかさんでまいりまして、その状態がずっと続いておって回復していない。やっとカツオが少し落ちついたという程度でございまして、これもまた、以前の段階で非常に経営が悪化をしたものについてそれを相償うところまでとても見通しができない、こういう状況になっていると思いますね。とりわけ今日マグロに特に集中をしてきている、こういう実態だろうと思うんです。最近の操業のあり方その他からながめていきまして、おおむね遠洋のマグロの場合には一航海約十カ月、これが相場ですね、三百日。そして、一隻当たりいわゆる漁獲物として揚げてくるのが約三千トン。おおむねこれは一日どれだけとればいいのか、それからそれがどれぐらいの換算になればいいのか、こういうざっとしたはじき方になると思うんですがね。この十カ月、三百日、それから一隻当たりの獲物約三千トンとして、単純に計算をいたしていきましても、おおむねこれにペイをするというのは、魚価がキロ当たり約一千円というのが大体の相場ではじかれるということになると思うんですね。そうしますと、今日御承知のようにマグロは大体七百五十円からよくて八百円と、こういう話ですから、簡単に見て、これは一航海やってきて、赤字覚悟で出ていくという状況がずっと続いているわけですね。これに対する政策というものが明確に生きてこなければ、結局先ほどの川村先生のお話じゃありませんが、あれよあれよと言っている間にこれつぶれてしまうことになるんじゃないんでしょうか。私のところでも、地元漁船と言われているのが大体四十経営体あるんですが、そのうちの六つのところはもう船主がどうにもこうにもならぬ、つぶすにもつぶしようがない、つぶしたらこれ仲間内が大変なことになっちゃう、したがってこのまま行ったら一体どうなるんだろうかと、もてあましている状況ですね。四十のうちの六つといったら大変な比率です。しかも、それが今回始まったわけじゃない。もうすでにつぶれたところもあるわけですね。これは前に一遍私は論議をしたことがある。これからの見通しについて一体どういう御判断をお持ちなんでしょうか。これも総括的で結構です、後からまた詳しく私の方からお尋ねをしていきますから。
  52. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、カツオ・マグロ、特にマグロの最近の経営状況は非常に悪化をいたしておるのでございます。ことしの三月ごろまでに入港した船は大体よかった——まあだといっていい。昨年のマグロ業界は非常によかった、と言ったら語弊がありますが、よかったわけでございますが、ことしの三月以降高い油を使いまして、しかも帰ってきたときには魚価が低迷しておるということで、御指摘のような状況にございます。  これにどう対処するかということでございますが、一つは昨年のマグロの高値というのがマグロの消費を減退をさせたのではないかという問題が一つあります。したがいまして、このマグロ離れを取り返さなければいけないという問題がございますが、これにつきまして一言で言いますと、消費の拡大というものをどういうふうにやっていくかという問題でございます。それから第二は、やはり価格を上げますためには需給の調整をする必要がございますから、これはどういうふうな形で需給調整をやっていくかという問題でございます。それから第三点は、いまの御指摘のような石油価格の高騰にどういうふうに対処していくかという、問題としてはその三つではないかというふうに考えられます。
  53. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 問題点は羅列をされました。それで、一つずつ私は聞いていきたいんですが、何といいましても、先ほどもちょっと答弁がありましたように、第一の課題というのは、私は、魚価の問題いろいろあるけれども、直接的に影響しているのは、これはやっぱり燃油問題だと。燃油はかつての二倍半——半までは行っておりませんけれども、大体まあそれに近くなってきている。そこで、いま施策として出されておりますのは、五十一年六月一日の次官通達による漁業用の特別資金融通助成事業ですね。このほかに何かあるんでしょうか。  また、今日の状況を踏まえて、この特別資金融通助成事業だけで、果たして燃油高騰問題それからいまの経営状態というものは改善をされるというふうにお考えになってるのかどうか。業界の方では、何とかして政府に直接にこれを援助をしてもらうような手段というのはとれないのかと、こういうきわめて強い要求があるんですが、そうした問題に対しては一体どういうふうにお考えになっておりましょうか。
  54. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 燃油の問題は、御指摘のようにきわめて重要な問題でございまして、私たちとしましてもその安定供給等についてはいろいろと努力をいたしてきたわけでございます。幸いにして、現在、量的な確保という点におきましては、現段階ではそれほど不安がないのでございまして、今後イラク、イラン等の問題がどういうふうに発展していくか必ずしも予断を許さない状況で不確定要因がございますが、現在の段階では量的確保についてまず問題がないと思っておりますが、問題は、御指摘のように値段でございまして、これにつきましては、私たちとしまして今年度五百億の燃油資金を提供すると。それから同時に、経営の安定のために経営安定資金を五百億を用意をしまして対処いたしておるわけでございます。来年度の対応といたしましては、燃油資金を一千億、経営安定資金を六百億予算を要求をいたしておるわけでございまして、これの確保につきましては十分な努力をいたしたいと思います。  問題は、政府が補給金その他を交付することによりまして石油価格を引き下げられないかということでございまして、そういう要望が業界にあることにつきましては私ども十分承知をいたしておるわけでございます。しかし、これの対処といたしまして、水産だけにたとえばキロリットル当たり一万なり二万なりという補助金を出せるかどうかということにつきましては、現在の財政状況その他から考えて非常にむずかしい問題ではないかというふうに認識をいたしておるわけでございます。しかしながら、この問題をどうすればいいのかということにつきまして何らかの対応策が考え得ないものかどうかと、実行可能な対応策とは何であるかということにつきましては、いろいろ党の方でも御検討をいただいておるところでございます。私たちとしましても、実行可能なる対応策というものにつきまして今後ともいろいろと検討し、もしでき得る対応があればこれについて十分な対処をしてまいりたいというのが方針でございます。
  55. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局、量の問題は、大体五十五年の九月現在の在庫の量から見ても、昨年の同月と比較をしても大体一四%ばかり在庫はふえているから、だから安定供給は大丈夫だと、こういう判断に立たれておるんだろうと思うわけですね。ただ、今日のその在庫の量というものが、具体的に今日の漁業に、欲しいときに供給のできるこういう体制になっているのかどうかという観点に立ちますと、いまの備え方の問題その他も含めまして、まだまだ私は改善をしていかなきゃならぬ課題というのは多いのじゃないか。しかも漁業用の燃油でありますから、もっとたとえば系統のところに、いわゆる備蓄も含めたこういう燃油の供給の完全にできる、そういう施設等も含めて整備をしていくということを再検討すべきじゃないんだろうか、これが一つですね。  それから価格問題につきまして、ちょうどきのうのこれは毎日新聞の夕刊なんですが、大変なこれ重大な記事が出ているわけです。「脂身マグロ減る」という見出しなんですね。「食卓から消えるトロ」と、こういう見出しがついていまして、この記事は私はきわめて事実関係を曲解をしているんではなかろうかという節があるんですが、この中に、「燃料費の値上がりした分の半分」、いわゆるこれは格差ですね、もとの燃料費と今日の燃料費の値段の格差の問題。その「半分は、国から漁業用燃油対策特別資金として補助されている」と、こういう記事が出ているんです。こういう制度はできているんですか。あれば結構だし、この制度ができておれば、私は先ほど言うた直接補助してもらいたい、そういう制度を考えろという発言は、これはまあ二の舞でありまして、きわめて幸いなことなんですが、きちっと一遍説明してくれませんか。
  56. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 新聞に報道をされておりますような、その石油の半分を政府が出すなどということはございません。そういうことが御指摘のようにあれば非常にいいんですけれども、そういうことはございません。
  57. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 毎日新聞といえば、日本のこれは大新聞でありまして、その新聞社というのは国民世論の一つの集約点だという自負を毎日新聞社もお持ちになっていると思う。国民全体からながめてみまして、今日の漁業のあり方、特に油を大量に使うところについては、漁業の人は大体燃料費のかさみについても値上がりの半分ぐらいはやっぱり助成がされているんだろうという常識がこれ書かれていると思うんです。常識が先行しておって制度が下がっているという話は、これはお話になりませんのでして、少なくとも常識に見合った、世論に見合った制度をやはり具体化をすべきじゃないのかと。むしろ、この新聞はそういう意味合いではきわめて、繰り返すようですが、常識を発表している。これにやっぱりこたえるのが水産庁の役目じゃないかと思うんですが、どうなんでしょうか。
  58. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 毎日新聞の記事が国民の常識を代表しておるかどうかということについては、まあいろいろ議論のございます点であると感じます。私たちもでき得べくんば、水産庁長官といたしましては、そういうことができることがいいと思っておりますけれども、現段階で水産について漁業燃油の補助金を出すということが実行可能であるかどうかという点については、いろいろとまたこれ御議論の存するところであろうと思います。問題の認識といたしましては非常にむずかしい問題ではないかと思っておりますが、しかし、燃油問題についてどういうふうな対応の仕方ができるのかと、現在の燃油資金と経営安定資金以外にどういう対応ができるのかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、党の方におきましてもいろいろ御検討中でございまして、私たちとしましても、この問題について十分な検討をいたしたいと考えておる次第でございます。
  59. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 対応について検討中だと、こういう結論だろうと思うんですね。それで、検討中というのは、よく私も論議をしておりまして聞くんですが、調査中、検討中というのはなかなかこれは当てにならないんですよね。だから、検討中と言われることは、ぜひ何らかの形でいままでの制度よりも前進をするという、こういう立場はぜひ約束をしておいてもらいたい、こう思うんですよ。  先ほど報告がありましたように、本年度の予算の概算要求は、この燃油対策の特別資金枠としては五百億から一千億、今日まあ大蔵省は大変世知辛いんでありますが、この辺は一千億自信ありますか。しかし、この一千億というのは融資枠の話でありまして、助成枠の話でありまして、その辺は、この一千億必要だというふうに見込んだのは、何らかの制度的改善も含めての対策でしょうか、その辺ははっきりしておいてもらいたいと思うんですけれども
  60. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 来年度予算を要求をいたしております燃油資金の一千億と経営安定資金の六百億につきましては、水産庁予算の最重点項目として対処をしてまいりたいと思っております。
  61. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 自信があるかどうか。
  62. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) いまから予算折衝が始まるわけでございますから、最善の努力をいたしたいと思っております。
  63. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ぜひこれは確保をしてもらいたい、こういうことを強く要求をいたしますと同時に、先ほども申し上げましたように、他にこの制度的なものを少し前向きをさしていくための検討を実らしてもらいたいと思うんですよ。  具体的に申し上げますと、これは冒頭私は何のために論議をしたかといいますのは、この漁業のうちでも大量にその燃油がなければどうにもならないというのが遠洋の置かれた極端な立場だろうと思うんですね。大量に必要なんだ。そうしますと、たとえばこの大量に使用する分について、量的に一つの枠組みをこしらえて援助をする立場も必要でありましょうし、その辺のところはひとつ参考にしておいてもらいたいと思うんです。しかも、これは国民食糧の観点、いわゆる社会的漁業に対する位置づけの観点、この点が審議をされます大蔵省も含めましてきっちり意思統一をされませんと、いろいろ誤解を生むことになりましょうし、なかなか事が進んでいかない、こういうことだろうと思うんですね。したがって、これは野呂田政務次官、ぜひ大臣とよく打ち合わせをいただきまして、鈴木内閣全体としての取り組みが全面にきちっとしませんと具体化をしていかない課題だろうと思うんです。その前提をひとつおつくりをいただきまして、そして、いまのこの対策を制度的にももう一遍前向きをさせる。そうしませんと、私がここまでくどく申し上げますのは、経営内容から見て、遠洋は本当に軒並みつぶれてしまうんですよ。赤字で航海に出ていくという、これはおかの産業だったら、そんなことだれもしませんよ。しかし、船を持っている。船は動かさなきゃ話になりません。しかも、その船には乗組員もおるんです。したがって、赤字でも操業をしなきゃならぬ。こういう状況が一方ではあるんですね。行けば損をする。これはたまりません、正直申し上げて。何とかそれを社会的に今日の状況をみんなが理解をするとするならば、一応ペイをする程度のところは考えて盛り立てる、こういうことが必要なんじゃないだろうか。そういう意味で申し上げておるので、ひとつ御理解いただけますでしょうかね。
  64. 野呂田芳成

    政府委員野呂田芳成君) 燃油の問題が漁家の経営に大変大きな影響を持っていることにかんがみまして、先ほど来長官から答弁いたしましたとおり、来年度予算の確保だけはどうしても実現したいということで、いま庁を挙げてがんばっているところでございます。御指摘の問題につきましては、私どもも十分これを勘案しながらがんばっていきたいと思っております。
  65. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 次に進めていきますが、いまもちょっと触れておりましたように、経営安定の第二の問題は、やっぱり資金的運用の問題にあると私は思うんです。そうしますと、この資金的運用というのは、大体まあまあいっているときに資金運用がさらにそれにプラスをされれば、これはもう申し分のないことですね。しかし、今日までの状況で運用のできる資金はもう全部使ってしまっておる。もう枠いっぱいまで広げてしまっておる。それでなおかつ経営が困難になっておる、これが実態だろうと思うんです。先ほども申し上げましたように、倒産するにも倒産できないという実態。船はどんどん古くなってくる、古くなってくればこれはもう乗組員がどんどん逃げてしまう、こういう状態が出てくるわけですね。しかも、もうどうしようもないという、こういう形になるわけでして、その辺が、経営維持のための資金操作とあわせてうまく組み合わさっていきませんと効果が上がらぬと、こういうふうに思うんです。関係者の方々の要求は、少なくとも制度金融あるいは政策金融の問題について、三年ぐらいは期間を延長してくれないのか、あるいは返済の猶予を認めてくれないのか、こういったことが言われています。  いま私手元に、詳しく申し上げればあるんですが、漁船の、たとえば利子の支払いというのは経営の中に大きく食い込んできているんですね、目いっぱい借りていますから。そういう状況の中では新造に着手することもできない。こういうもうどこも八方ふさがりの状態というのが続いているわけなんですが、その辺、経営実態とあわせてこの維持資金その他がうまく効果が発揮できるように、この辺は何かお考えがあるんでしょうか。あるいは今日の制度の中で十分に今日的現状に役立っているというふうにお考えなんでしょうか。
  66. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 私は、現在の燃油資金及び漁業経営安定資金は、漁家の方々の経営の安定に役立っておると思います。    〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕 しかしながら、今後これらの資金が円滑に流れていくということについては、私どもとしても十分な配慮が必要であると思っております。  それから同時に、漁業者の方々が公庫資金その他いろいろの制度資金を借りておられて、この返済がなかなか困難な事態になったときに、これにどう対処するかという問題もございます。たとえば融資期間をもっと延ばすとか、あるいは金利のもっと下げるというふうな融資条件の改善問題がありますと同時に、返還が困難なときに、その償還猶予をどういうふうにして図っていくかという二つの問題がございますが、前者の点につきまして、漁業者の方は、これは一つの特色ではないかと思うんですが、私の経験する限りにおいては、償還条件の——もちろん金利は安ければ安いほどいいんですけれども、それほど償還条件の猶予期間そのものを延長するということに意欲を持っておられない。まあ従来、経営がもうけましたときには船をつくるしということがございますから、そういうことのように見受けられるわけでございますが、償還が困難になっておる事態にどう対処するかということの方がむしろ私は重要なことではないかと考えています。  この点につきましては、農林公庫その他とも、先般水産庁長官からそういう事態を踏まえての対応ということをお願いいたしまして、それぞれ文書のみならず打ち合わせその他が行われておりますから、そういう事態についてどういうふうに対処するかということについては十分意を用いてまいりたいと考えております。
  67. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局、関係者の方々の大変な御努力があって、ずいぶんと近代的経営を踏まえた形に改善しつつありますけれども、まだまだたとえば専門家立場等から踏まえていけば、幾つか、四苦八苦していますから、手当たり次第何でもやってみようと、こういう形になるわけで、その中にはいいものと悪いものとがやっぱり出てくるわけですね。そこに水産庁としてのきわめて責任ある指導、悪いことはやっぱり悪い、こういうふうに考えるべきだという、是正を求めることは求めるで、大いに論議をしなきゃならぬ課題だと思うんです。何でも言うてきたことはそれでよろしいという話のものには私はならぬと思いますね。これは将来のそこに路線というものがきっちり据わって、納得してやっぱり取り組んでいく、こういうことが基本にならなきゃならぬと思うので、大いにその意味では皆さんの指導力を私は期待をしなきゃならぬと、こういうふうに思います。  しかし、その指導するに当たって、個々の経営内容が具体的に一体どうなのかということを知らないで、これまた総論でもって考え方を述べられたんでは、これは生かすにも生かせないわけなんですね。そこがまだ私は、水産庁立場と実際に経営をやってみえる方々との間に大きな食い違いがあるような気がしてならぬのです。これは長官、御足労でも、やっぱり現地の経営に入られまして、一遍十分にその実態等について検討をいただきまして、その上に立って私は資金問題もそれから油の問題もひとつ検討されるべきだと、こういうふうに進言を申し上げたいんですが、これはひとつ、お忙しいでしょうが、実行いただけますでしょうか。
  68. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) お話しのような点は十分踏まえて、私も現地の状況をできる限り勉強し、そういう具体的な内容に立ち至って行政を進めるということについてはやってまいりたいと思います。
  69. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 時間の関係がありまして先を急ぐので、担保あるいは保証、保険能力、こうした問題、私は触れていきませんが、そういうような問題が全部ついて回るわけでありますから、ぜひ具体的にひとつお願いをいたしておきたいと、こう思うんです。  次の課題は、遠洋にまともにぶつかっております入漁料関係なんですね。この入漁料の条件というのは、いま八十六カ国ですか、おおむね二百海里水域設定をされて実行されている、こういうふうにお聞きをしているところなんですが、この助成措置を前々から私申し上げておるわけであります。全然何もなかったところから見ますと、若干の助成措置が一部に前進をしている、私が一部と言うのは、たとえば南太平洋漁業振興基金、こういうような制度ができたわけでありますから、この辺は私は評価をいたします。ところが、たとえば中南米地域、これは私ところの出身船はおおむね中南米地域、ここが多いんですが、たとえばペルー、エクアドル、あるいはコスタリカ、この辺のそれぞれの国によって大変なことなんですが、こういうところにまでこういう基金的な対策というものが立てられていく見通しはお持ちなのかどうなのか。
  70. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 二百海里体制への移行に伴いまして、ほとんどの国で、カツオ・マグロの漁業に限りませず、入漁料という問題が起きておるわけでございます。入漁料につきましては、原則的に申しまするならば、これはやはり漁業のコストの一部として考えなければいけない問題ではあると思いますけれども、    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕 特に南太平洋におきましては、入漁料はアメリカ等と比べまして高いという問題もございますので、私たちとしましては、基金を設けまして、利子補給軽減の措置を講じておるところでございます。  ただ、漁業者の方々の言によりますと、入漁料を払えるようにちゃんとしてくれというお話があるわけでございまして、入漁料を払えるような経営にしてくれというお話でございますが、まあこれはなかなかいろいろ問題があると。そこで、私たちとしては、昨年九億、ことし三億用意をいたしまして、基金を国の方としては支出をするということになっておるわけですが、漁業者の方々の基金がほとんど集まらないというような状況にございます。これらの改善問題につきましては、われわれとしても十分検討をしてまいらなければいけないと思いますが、漁業者の方におかれても、そういう基金の活用という問題にやはり取り組んで、御注文なら御注文を承り、それの改善ないしあるいはその活用ということにつきましては、漁業者の方の御意見も承りながら、われわれとしては今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  71. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 正直申し上げまして、これは前々から私が主張していますのは、漁業者が直接その国と契約をしまして、協定を結んで、そして自分たちも納得をして入るというのならこれまた考え方が違うんです。その結果が一体どうなるかという問題は、もちろん先行きの分析としてそれがいいのかどうかという問題はあります。ここは論議のあるところでしょう。しかし、今日の入漁料というのは、いわゆる国と国との間で取り決めが行われていくのが通常ですね。先ほど言いましたペルー、エクアドルなんかは、これはもう国内法で勝手に、日本のオーダーがあろうとなかろうと決めちゃう、こういうところも中にはありますが、ほとんどは国と国との間のいわゆる協定に基づいて、その入漁料の問題もあるいは漁獲の制限の問題も含めて決められておる。漁業者自体の勝手にならない一つの問題があるわけです。その分野のいわゆる政治責任といいますか、政府の責任というものは、私はやっぱりこれを金で見るということがいいかどうかは別といたしまして、いま長官から答弁のありましたように、現実に入漁料の払えない立場でありますから、これやっていたら大変なことであります。これだけでもひとつ赤字分から何とか救済をしたい、こういう立場のものが強く出ているわけであります。ですから、これはノーというお返事じゃなくて検討するということですから、それはそれなりに受けとめますけれども、その切実な課題についてさらに足を一歩前進をさせることをぜひともお願いを申し上げておきたい、その辺はよろしいでしょうか。
  72. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) それぞれの、漁業交渉を行います場合にありましては、水産庁だけではありませんで、業界の顧問の方も御一緒しまして、できる限り入漁料を安くするという努力をいたしておるわけでございますが、今後入漁料について国がこれを補助するというふうなことはなかなかむずかしい問題ではないかと思っておりますが、先ほど申し上げましたような現在ございます基金の改善、それの運用を改善してうまくやっていくというふうな問題につきましては、私たちとしても十分検討をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  73. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局基本に私は論議をして解決をしておかなきゃならぬ課題があると思うのは、いわゆる先ほど長官がおっしゃられました、入漁料はコストの一部なのだという物の考え方なんですよ。これはコストの一部なのかどうかということによって取り扱いがおのずから変わってくる問題だと思うのです。次の課題がありますので突っ込みませんけれども、このコストの一部なのかどうなのか、もう一遍これはひとつ検討の基本的素材の中に加えてもらいたい、このことを申し上げておきたいと思うのです。  次に、いま一番問題にしています韓国マグロの関係なんですが、これは一体どういうふうにお考えになっておるんでしょうか。いわゆる魚価とのかかわり、これらを踏まえて、もうこれは何ともしようがないのじゃというふうにお考えなのか、この辺は何らかの規制を加えていこうとされておるのか、これがお尋ねのポイントなんです。  後、時間があんまりありませんのであわせて申し上げておきますが、これは少し視点が変わるんですが、北部太平洋の一一六型の試験操業の問題なんです。これは引き続き試験操業ということになるんでしょうか。この問題をめぐりまして縄張り争いをするわけじゃありませんが、具体的には大変な南の方は脅威を感じる、こういうことになるわけでありまして、同じ国内の漁業者としてのいわゆる調整といいますか、この辺の問題はどうお考えになっておるんでしょうか。継続をこれからし、それから本格化をしていくという展望に立つとするならば、当然これにかかわる関係をすべき方々の意見調整というのは私は事前に行われるべきだろうと。そういう努力を要望しながら、この点に触れて御答弁いただきたいと、こう思うんです。
  74. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 韓国マグロの輸入につきましては、日韓間で輸入数量を相談をして決めまして、事前承認制によってこれをチェックするという扱いにしておるわけでございます。業界の方々としては、現在のようなマグロの魚価が低迷しておる状態のもとで韓国からの輸入をストップをすべきであるという御意見でございますが、現在の外国漁船の規制法によりますれば、韓国だけの輸入ストップはできないんで、諸外国全部やらなければいかぬということになりますから、諸外国全部日本にマグロを入れないということになりますと、現在の二百海里法施行以後の貿易関係といいますか、そういうことから見まして、恐らく日本はオーストラリアでありますとかあるいはアメリカ沿岸にマグロをとりに行けなくなる可能性もあると思うんです。そうしますと、やはり韓国との現在のベースの上に立って韓国のマグロの輸入をどういうふうに減少といいますか、縮小といいますか、そういうふうにしていくかという問題でございます。で、年が明けますれば来年度の輸入割り当て数量の協議が始まりますから、私たちとしましては、日本の現状をよく韓国説明をしまして、現在の韓国からのマグロの輸入というものをできる限り抑えたいと思っておりまして、そういうふうな方向での努力をいたしたいと思っております。  それから、御指摘の北部太平洋の百十六トン型のまき網の試験操業問題でございますが、本年におきましては、関係団体とも協議をいたしまして四カ統の出漁は行われたところでございますが、五十六年におきましても関係団体と協議をして出漁するということは予定をいたしておりますが、どういうふうに扱うかということにつきましては、これは当然関係するところも多いわけでございますから、関係団体とも十分協議をいたしまして検討いたしたいと思います。
  75. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局、韓国マグロがとりわけて問題になっていますのは、これも私前に論議をしたと思うんですが、いわゆる一つは船員コスト、それから船自体の設備状態、こうしたものが日本の常識から言えばきわめて通常でない、こういう状況で来て、そしてそれを安上げをする、こういうのが一つありますし、それから韓国の船籍に名をかりて日本の大手商社が結局そういう操業をやらせる、いわゆる国内の魚価対策の一つの根幹に触れる問題、こういう要素が加わっている。ぜひこれを含めてきちっと浮き彫りをしていきませんと私は問題がある。だから、韓国マグロだけを輸入規制をすることについては問題があるという指摘はわからぬではありませんけれども、なぜ韓国マグロに焦点がいくのか、いかざるを得ぬのか、この原因をきちっと究明をしていただいて私は対策を講じてもらいたい、このことを申し上げておきたいと思うんです。  最後の質問になりますが、先ほどちょっと、本来なら入漁料のときに触れておかなければならなかったんですが、核廃棄物のいわゆる海洋投棄問題、これは各国の特にその該当とされる地域の国国に大変な問題を提起をしていると思うんです。これを、いわゆる遠洋漁業に対する国と国との対応の問題等を含めて一体どういうふうに水産庁としてはお考えになっているのか、これをひとつ御答弁をいただいておきたいと思うんです。
  76. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 核廃棄物の投棄につきましては、私どもは二点を主張をいたしておるわけでございます。一つは、廃棄物を投棄をいたします場合には、漁業者といいますが、漁業関係団体といいますか、そういうふうなものの十分な納得を得られないでやってもらっては困るということが第一点でございます。それから第二点は、御指摘のように、諸外国との間でいろいろな問題を起こした結果、それがその国との入漁関係に悪影響を及ぼしてもらっては困るということでございます。今後の対処におきましてもそういう観点に立って、私どもとしては主張すべきものは主張し、水産関係に悪い影響を及ぼさないように対処をしてまいりたいと考えております。
  77. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまの御答弁は御答弁として私は素直に受けとめたいと思うんですが、ただ水産庁であるいは農林水産省でそのことを仮に要望いたしましても、関連する法規が通り、しかも具体的に実行するということになったときに、それがとめられますか。私はこれはとまらない課題になるだろうと思うんです。したがって、今日の段階として農林水産省は、いま言われました趣旨をさらに強めていただきまして、きちっと対処をすべきところは対処をしておいてもらいませんと、手の届かないところにこの問題が行ってしまう、こういう危険性を持っているわけであります。この辺、ひとつ最後に次官の答弁で締めくくりたいと思うんですが、その辺の決意を聞かせていただけませんでしょうか。それは決意ができないということになるんでしょうか。
  78. 野呂田芳成

    政府委員野呂田芳成君) 核廃棄物が海洋資源に与える影響は大変重大な問題でございますから、ただいま長官から答弁したような趣旨で農林水産省としては臨んでおりますけれども、先生御指摘のとおり、農林水産省だけで解決できるような問題じゃございませんので、御指摘の趣旨をよく踏まえまして、関係各省と十分連絡調整をとりながら遺憾のないように対処してまいりたい、そういうふうに考えております。
  79. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 終わります。
  80. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  81. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  82. 中野鉄造

    中野鉄造君 私はまず初めに、午前中の諸問題いろいろ討議されましたけれども、それに関連した問題ではございますが、日本韓国間で妥結いたしました北海道沖の韓国漁船の操業に関連いたしまして質問いたします。  この協定はこの十一月の一日に施行されたばかりでございますが、これから向こう三年間、これがわが国の海域の漁業に及ぼす影響をどのようにお考えになっているか、まずそこからお尋ねいたします。
  83. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 今回の北海道周辺水域におきます韓国との取り決めによりまして、海域と漁業期間の操業禁止の措置とあわせまして隻数の減少等を考慮いたしますと、従来のいろいろ問題がございました漁具被害につきましては、地域によって違いますけれども、大体八、九割減少するというふうに見込んでおります。漁獲量について申しますならば、大体韓国船の操業の最盛期に比較して半分程度になるのではないかというふうに見込まれるわけでございます。そういう関係から見まして、いろいろまあ御批判はあるところでございますけれども、私どもといたしましては一歩あるいは二歩の改善ではないかと思っておるわけでございます。
  84. 中野鉄造

    中野鉄造君 特にこれがわが国漁船に対して設けられたオッタートロール禁止ライン、この付近は非常に日韓漁船の競合というものが予想されるんじゃないかと思いますが、いまもちょっと触れられましたけれども、そこいらの漁獲減ということについてどうお考えになっていますか。
  85. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、規制水域内におきましては両国漁船の操業が錯綜するということがございます。これにつきましては、韓国とも今後十分話し合いをいたしまして、安全操業、分散操業につきましては、政府間はもとよりでございますが、民間団体におきましてもそういう話し合いを取り進めることによりまして、トラブルの起こらないように措置をいたしたいと思うところでございます。  それによって日本漁船の漁獲減になるのではないかということでございますが、先ほど申し上げましたように、大体韓国漁船の操業のまあ強度といいますが、そういう漁獲量につきましては、大体おおむね半分程度になるのではないかというふうに見込まれておりますから、今回の取り決めそのものによって、日本漁船の漁獲量は減るということはないというふうに考えております。
  86. 中野鉄造

    中野鉄造君 それでは次に、これは別の方面での韓国漁船の操業についてお尋ねいたしますが、去る十一月十四日の新聞、私ここに持っておりますが、これに、「荒らされる保護資源」という見出しで、長崎沖で「韓国底引き漁船が横行」と大々的に報道されております。この海域は長崎県生月島沖でありまして、この海域は日本の領海外ではありますが、昭和三十八年に資源保護のため国内で底びき漁を規制しているところであって、いわば日本漁船が操業しない魚群の豊庫とも言えるところで、まあこうした盲点を突かれた形で韓国漁船が一生懸命操業をやっておる。しかし、それを見ながら、水産庁も海上保安庁も事態を重視しつつも、これが公海上であるために強制的な取り締まりもできないで非常に苦慮をしておると、こういう報道がなされておりますが、この新聞の報道は報道として、その実態を水産庁または海上保安庁にお尋ねいたします。
  87. 加藤正義

    説明員(加藤正義君) お答えいたします。  最近韓国底びき漁船わが国沖合い底びき禁止ライン内にて操業を行っておりますが、その海域は、長崎県生月島、宇久島北方海域と、福岡県沖之島周辺海域の二海域が主要漁場となっております。海上保安庁は、これら海域における韓国漁船の操業が日韓漁業協定上の国内漁業禁止水域等の相互尊重に関する取り決めに反することとなることから、随時これら海域に巡視船、航空機を出動させまして、禁止区域内操業の防止、禁止区域内操業の中止、退去の措置をとるとともに、これに該当する韓国漁船の船名確認を行いまして水産庁に通報いたしておるところでございます。これら海域で本年十一月二十日現在当庁の巡視船、航空機が視認いたしました延べ隻数は宇久島、生月島北方海域で四百十七隻、沖之島周辺海域で三百九十七隻となっております。
  88. 中野鉄造

    中野鉄造君 延べ隻数をいまおっしゃいましたけれども、こうした韓国漁船による推定被害総額というのはわかりますか。
  89. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 当該海域につきましては底びき網漁業の操業でございまして、そこで魚をどれぐらいとったか、こういうことにつきましてはわが方としては定かではないわけでございます。しかし、一般的に申しまして、韓国漁船日本近海に参りまして北海道沖を除きまして、主として山陰沖等につきましてシイラづけ等の漁業について実質的な被害を与えていると、こういうケースがあるわけでございます。大体推定七千万程度と考えております。
  90. 中野鉄造

    中野鉄造君 長崎県やあるいはこの沿岸漁民の方々も、こうした事態に対して、このままでは水産資源は荒らされほうだいで、資源保護を目的としてつくられた漁業規制の意味も全くなくなってしまう。そういう不安を日ごとに募らせているわけですけれども、大体昭和四十年に締結されたこの日韓漁業協定の合意議事録によれば、国内操業禁止水域の相互尊重という立場から相手国の規制水域では操業しないよう必要な措置をとると、こうなっておるわけですね。時あたかも来月一日からソウル市で日韓漁業共同委員会というのが開催される予定になっておりますけれども、この問題に対して、今日まで、いま御答弁がありましたようなそれなりの措置がとられたとしても、それ以外にいわゆる外交ルートによって何らかの措置がとられたのか、また来るべきこの共同委員会に臨まれるその姿勢をお伺いしたいと思います。まず、外務省お願いします。
  91. 長谷川和年

    説明員長谷川和年君) お答えいたします。  外務省といたしましては、韓国船わが国の沖合い底びき網禁止水域を尊重するよう、日韓漁業共同委員会等の場を利用しまして、引き続き韓国側に働きかけていく所存でございます。
  92. 中野鉄造

    中野鉄造君 水産庁は。
  93. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 外交ルートによる指摘につきまして、おおよそはただいま外務省の答えたとおりでございますが、具体的に申し上げますと、ごく最近におきましては、去年の八月におきます日韓共同委員会第十四回定例年次会におきまして、日本の国内措置の尊重方を韓国に要望しておるわけでございます。続きまして、ことしの四月におきまして、日韓漁業関係実務者協議、ここにおきましても、同条の違反が起こらないようにと、こういうかっこうで強く申し入れているわけでございます。さらにことしの五月になりまして違反船のリスト、こういうものを送付いたしまして、韓国側がこの規制を守るようにと、こういう方向で通報しているわけでございます。来るべきことしの日韓漁業委員会におきましても、先生の御趣旨を踏まえまして、強く韓国側に規制の遵守と、こういうことにつきまして強く要望する所存でございます。
  94. 中野鉄造

    中野鉄造君 非常にしつこいようですけれども、なかなか公海上であるというところから罰則規定というものはないようでして、こういう場合に幾ら言ってもなかなかこちらのなにを聞いてもらえないと、こういった場合にはどういうことになりますか。
  95. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、日韓漁業関係は日韓漁業協定によって対処をいたしておるわけでございますから、公海上の操業というのは自由ということにたてまえ上なっておるわけでございますけれども、相互に沿岸国の規制を尊重して操業するということは、これは当然のことでございますから、私たちとしては韓国に対して、ただいま次長からお話を申し上げましたように、あらゆる機会を通じてその対処方を要望をいたしておるわけでございます。近く開かれる日韓漁業協議におきましても、その趣旨を踏まえまして十分対処いたしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  96. 中野鉄造

    中野鉄造君 どうかこの問題には、常日ごろ言われておりますように弱腰外交というようなことでなしに、やはり言うべきところは毅然たる態度でひとつ臨んでもらいたいと私たち思っております。  次に、ことし九月ごろから起こったカツオ漁をめぐる漁業団体同士の紛争はようやく解決を見たように聞いておりますけれども、この経緯と結果をお聞かせいただきたいと思います。
  97. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 南太平洋でカツオ漁獲をいたします遠洋カツオ釣り漁業につきましては、大体漁獲物の半分ぐらいはアメリカ向けに輸出いたしておるわけでございますが、最近におきます円高等によりまして、輸出価格が低落する、また同時に燃油価格が高騰するということで非常に経営が不振になっておるわけでございます。そこで、長期的な視点に立ってこれをどう対処するかということで、日鰹連等関係業界におきまして、いろいろ真剣な検討が行われたところでございまして、一部カツオ釣り漁船のまき網の転換を伴う減船計画があるわけでございます。水産庁といたしましても、これら業界の意向を受けて漁業再建整備特別措置法に基づく整備を行うように所要の措置を講ずることといたしておるところでございます。
  98. 中野鉄造

    中野鉄造君 それによって今回の妥結を見たわけですけれども、要するに、日鰹漁協連合会ですか、これは五百トン型十隻、北部巻き網漁連、これまた五百トン型十隻と、こうなりまして、それにまた従来の十四隻も加わって合計三十四隻と、こういうことになりますと、従来の一本釣りのときよりも漁獲高としてはどういうことになりましょうか。
  99. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) カツオ一本釣りとまき網との漁獲能力というのを考えてみますと、大体一本釣り三隻でまき網一隻というふうに漁獲能力としては考えられるわけでございますが、そのままでは構造改善にならないわけでございますので、大体一本釣り五隻を単位として一隻まき網をつくるという減船転換方針でございます。  それから御指摘の北部まき網等の処理として考えてみますと、これにつきましては漁獲の増に相なるわけでございます。しかしながら、遠洋カツオ釣りから海外まき網への転換と、北部まき網から海外まき網への転換、それから北部まき網が南下をしていくというふうな全体的な漁獲能力を試算をいたしますと、従来の漁獲能力よりもこれは減少するというふうに見込んでおります。
  100. 中野鉄造

    中野鉄造君 減少するという御答弁ですけれども、私たち常識的に考えて、果たしてそうであろうかという気がしてならないんですが。大体この日鰹漁連に対する一番当初の措置というものは一本釣り対策であったと、こういうように理解しておりますけれども、いま長官は、数量的にはさほどの影響はないというお答えでありましたけれども、私、結果的に見て、これが果たして一本釣り対策になっているか。なったのか、ならなかったのか、そこを率直にお聞きしたいんです。
  101. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 現在のままの一本釣りの状況で今後の事態に対処していくということは、いまのままに放置をすれば私は非常にむずかしい事態であろうと思います。したがいまして、やはりカツオにつきましては、その構造改善を図らなければいけない事態であるということは、これはおおよその認識の一致するところであろうかと思います。そこで、やはりそういう構造改善を行いますときに、まき網としての合理化の方向と同時に、やはり一本釣りとしてこれが成り立っていくという両面を考えなければいけないわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、私は現在の日鰹連等が考えております減船計画というものは政府としてこれをプッシュアップしていく必要があると思っておりますが、漁獲能力が増大することによってかえって一本釣りが困難な立場に立つということになってはいけないわけでございまして、その点は十分配慮をしながら対処をしていく必要があると思っております。先ほども申し上げましたように、北部まき網から海外まき網への転換という問題がございますけれども、全体として見ますれば、私は漁獲強度というのは減少をしていくというふうに考えておる次第でございます。
  102. 中野鉄造

    中野鉄造君 じゃ、次に、一昨日、日比谷で行われた「かつお・まぐろ輸入阻止全国漁民大会」、これに私も参列いたしまして、漁民の方々の窮状をつぶさにお聞きしたわけでございます。マグロの場合、現在年間の輸入量はいかほどになっていますか。
  103. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 現在の輸入先の大きなのは韓国、台湾、パナマでございますが、全体を含めまして、大体十一万トン程度でございます。
  104. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうしますと、現在のマグロの在庫高はどうなっていましょうか。
  105. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 大体私たちの把握をしておるところでは三万トン程度というふうに考えております。
  106. 中野鉄造

    中野鉄造君 そこでお尋ねいたしますが、長官も一昨日の漁民の方々の要望の趣旨というものは当然お聞きになっていると思いますが、こうした漁民の方々の要望を反映して、何らかの措置をしようとお考えになっておりますか。
  107. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 現在のマグロ業界が置かれておる非常に困難な立場は私も十分認識をしておるつもりでございます。昨年マグロが非常に高かったということが消費の減退を来しておるということが一つの要因としてございます。したがいまして、やはり消費の拡大をどういうふうにして図っていくかという問題が一つございます。  それから第二点は、やはり現在のような状況でございますれば、この需給の調整を図っていかなければならないわけでございまして、需給調整につきまして日鰹連等が調整事業を行いますならば、私たちとしましても、十分これを援助していく必要があるというふうに考えております。  同時に、強く主張をしておられます韓国のマグロ輸入の問題でございますけれども、これにつきましては、来年度韓国マグロの輸入数量をどうするかということについての韓国との協議につきましては、私たちも現在置かれておるわが国のマグロ業界の困難な立場を十分に説明をして、その協議の適正な数量の設定について努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。    〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕
  108. 中野鉄造

    中野鉄造君 昨年、五十四年度のマグロの輸入総数は十一万四千三百七十四トン、この中でも、特に、韓国から、先ほど御答弁もありましたように約七万トン。この意味韓国にしぼって質問いたしますが、日本に陸揚げに来る韓国のマグロ船は何隻ぐらいですか。
  109. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 約二百隻程度と承知をいたしております。
  110. 中野鉄造

    中野鉄造君 これらの韓国のマグロ船は、韓国の港を出港して、そして南方の漁場に行ってそこで操業をする。そうして今度は、マグロを積んで一たん韓国の港に入港して、そして日本にマグロを陸揚げ、つまり輸出するための韓国政府発行のEL、つまりエクスポートライセンスを取って日本の清水港なら清水港にやってくるわけですが、そこでそのマグロを陸揚げしたら再び次の出漁の仕込みのため韓国の港に帰っていく、これがきわめて普通のパターンですが、韓国漁船はすべて、必ず漁場から一たん韓国の港に帰港してELを取った上で日本の港にやってきておりますか。
  111. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、全部がそういうふうになっているというふうには考えておりません。
  112. 中野鉄造

    中野鉄造君 その例外はどういうふうになっていますか。
  113. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 寄港許可件数で申しますと、韓国からは百五十六隻、パナマからは九十二隻、許可をとって入港をいたしております。
  114. 中野鉄造

    中野鉄造君 私は韓国漁船のことについて聞いておるわけですが、いま申しますように、韓国漁船は全部漁場から一たん韓国の港に帰った上で、ELを取って、それから日本の港に来ておりますかと聞いておるわけです。
  115. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 私の一応の現在の知識で申しますと、韓国漁船韓国に一遍上がりまして、そして積み出しをするというのは、七万トンのうちで一万数千トンであるというふうに理解をしております。
  116. 中野鉄造

    中野鉄造君 だから、私、再度お尋ねしているのは、その七万トンのうち一万数千トン、それ以外のはどういうふうな形でやってきておるかということを聞いておるわけです。
  117. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) その大部分のものは、外国でマグロをとりましてそのまま日本の港に入っているわけです。
  118. 中野鉄造

    中野鉄造君 その場合のELはどういうことになりますか。
  119. 真板道夫

    説明員(真板道夫君) お答えいたします。  マグロの通関時に必要な書類といたしましては、売買契約書のほかにインボイス、それからIL、それからEL、この三つが必要でございます。外国船が直接に日本に入港する場合には、このほか外国人漁業規制法によります許可が必要でございます。これらがそろって輸入の通関が行われる、こういうふうに承知しております。
  120. 中野鉄造

    中野鉄造君 その原則をいまお答えになったわけですが、そうなっておりますかということを私は聞いているわけです。
  121. 真板道夫

    説明員(真板道夫君) ただいまのお尋ねでございますが、外国漁船が直接に日本に入港する場合には、韓国側の積み出し証明は、もちろん釜山に寄りませんから、釜山からといいますか、釜山でもらってくるということではなくて、釜山の輸出のチェックを受けまして、日本に持ってくるということでございます。言葉をかえて申せば、漁船は漁場から直接参りますが、その輸出許可は釜山からくる、こういう形でございます。
  122. 中野鉄造

    中野鉄造君 その点については私もちょっと勉強不足で、よくのみ込めないんですが、要するに韓国政府発行のを洋上でリレーしてというか、そういう形で来るわけですか。
  123. 真板道夫

    説明員(真板道夫君) これは洋上でリレーするか、あるいは日本の港で行われるか、そこの辺はつぶさに承知しておりません。
  124. 中野鉄造

    中野鉄造君 この件につきましてはひとつくれぐれも間違いのないようにやっていただきたいと思います。  そこで、次の質問に移りますが、外国人漁業の規制に関する法律の第四条の二の括弧の中に、わが国漁業の正常な秩序の維持に支障が生ずるおそれがある云々とありますが、この正常な秩序の維持に支障が生ずるおそれというのはどのような基準に基づいておりますか。
  125. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 正常な基準といって、具体的にかくかくしかじかということではございませんけれども、外国からのマグロの輸入によりまして日本のマグロ業界がきわめて重大な影響を受けるという事態を考えておると思います。
  126. 中野鉄造

    中野鉄造君 私はマグロということは一言も言っていないのに、マグロと長官おっしゃいましたけれども、大体、もともといま申しました外国人漁業の規制に関する法律というのは、頻繁に出入りする外国船がいつしか日本の港を基地化することを防止する法律と、このように私理解しておりますが、この法律の第四条の二の中にありますいわゆる「特定漁獲物等」の中に、いま長官も言われましたマグロを指定する意思はございませんか。
  127. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) お話しのように、外規法の四条の二は、政令で指定した魚種の陸揚げ等を目的とした外国漁船の寄港を禁止する規定でございます。そこで、この法律適用をして外国からのマグロの陸揚げを禁止をするかどうかという問題でございますが、この法律は、政令で指定をいたしますと、すべての外国からのマグロの輸入を禁止するということに相なりまして、特定の国からマグロを入れることを禁止をすることができない形に相なっております。  そこで、この法律を発動をいたしましてマグロをすべて日本に陸揚げさせないということになりますると、現在の二百海里の体制のもとで、恐らくこれは日本としてはきわめて重大な貿易障害を設けたというふうに外国は受け取ると思います。それで、たとえばアメリカのブロー法案に見られますように、日本の貿易障害のいかんが日本に対する漁獲の割り当てを左右するというふうな事態に相なっておりますときにこの法律を発動をいたしましたならば、恐らくニュージーあるいはオーストラリア、アメリカ等はそういうふうな形での、アメリカアメリカとしてなりの対処をするのではないかということを想定をしておかなければいけないのではないか。そうしますと、日本が数十万トンのマグロを海外へ行ってとっておるわけでございますから、それに及ぼす影響というものも十分考慮をしておかなければならないことではないかと思います。  そういうふうな意味合いにおきまして、現在のこの法律の四条の二の適用ということにつきましては、私は非常にむずかしい問題を含んでおるというふうに考えておるところでございます。
  128. 中野鉄造

    中野鉄造君 いまの長官の御答弁はわかりますが、それはいわゆるその中にマグロを指定しないという否定的なお答えのように私とりますけれども、絶対指定をしないというんじゃなくて、この条文の中にもありますような、そういう支障を生ずるおそれがあるということで多少は検討の余地もあると、そういう意味も含んでいますか。
  129. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) それは現在のような事態でございますから、この法律適用をすべきかどうかということにつきましては、それは私たちも検討いたしておりますけれども、いま申し上げたような事情がございますから、これを発動するということにつきましては私は非常な問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  130. 中野鉄造

    中野鉄造君 では次に、昭和五十年三月だったと思いますが、日本韓国のそれぞれの水産庁話し合いで、今後可能な限り韓国から日本へ陸揚げされるマグロについては運搬船に転載して輸出するよう業者に対し指導勧告をするという意味の約定がなされたと思います。まずこの話し合いの意図するところは何だったんですか。それが第一点。  第二点として、今日までのこの話し合いの結果の実績をお尋ねいたします。
  131. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) お尋ねの第一点目につきましては、ちょっと私そういう話を聞いていないのでございますけれども韓国日本との輸入の話し合いにつきましては、私たちとしましても十分日本の実情をよく説明をしまして取り扱っておるつもりでございます。五十年に、非常にいろいろ問題が先生御承知のようにございまして、それ以降五十二年、五十三年、五十四年というふうに、韓国からの輸入量をごらんいただけばおわかりいただけるわけでございますが、私たちとしましてはできる限りその数量を減らすという対処の仕方をしてきておるわけでございまして、来年の輸入の問題につきましても、できる限り日本立場を主張し、韓国からの輸入量につきまして主張すべきところは十分に主張して対処してまいりたいと考えている次第でございます。
  132. 中野鉄造

    中野鉄造君 いま私申しました五十年の話し合いというのは、私、お聞きしたところによりますと、いわゆる漁船でそのまま日本の港にマグロを持ってくるのではなしに、一度運搬船に転載をしてそして持ってくる、そういうことによってマグロの品質は当然ながら下がるわけです。また経費的にも高くなる。そういったようなところから暗に間接的に韓国マグロの規制を図った、そこが意図するところじゃなかったかとこう思うんですけれども、長官はこのことについては聞いていないというようなことですから、それより以上はこの件についてはお尋ねいたしませんけれども、それでは、漁船以外でいま申しますような運搬船による韓国からの輸入というものはわかりますか。
  133. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 私たちの推定をいたしておるところでは、五十四年の輸入量の七万一千トンのうち大体一万トンがそういう形であるというふうに考えております。
  134. 中野鉄造

    中野鉄造君 いま申しました五十年三月のこの話し合い、こうした趣旨のものを今後もやっぱり推進していくべきだと、少なくともそうした間接的にも韓国マグロの日本への輸入というものをセーブしていくべきだと思いますが、これについて長官のお考えをお尋ねいたします。
  135. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 基本的方針といいますか、考え方としてはお話しのとおりと私も思っております。したがいまして、これをどういうふうに韓国と話をしながら適正に処理をしていくかという問題につきましては、日本立場を踏まえまして、私どもとしましても努力をいたしたいと、かように考えております。
  136. 中野鉄造

    中野鉄造君 では次に、遊漁船及び遊漁者に関しまして今後のお考えをお尋ねいたしますが、年年全国的に遊漁人口というのは増加しつつありまして、これがしばしば港湾内であるいは漁場で、ささいなことではあってもトラブルがあるようでございまして、いまも申しますように、こうした傾向はふえることはあっても今後減ることはないのではないかと思います。したがって、今後これに対する何らかの規制あるいは措置をされるお考えがあるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  137. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 御指摘のとおり、一般国民の所得水準が向上することに伴いまして遊漁者の人口が非常に増加している、こういうことのために漁業者との間でトラブルがまま生じていると、これは十分承知しているわけでございます。もちろんのこと、漁業者の中にも遊漁船を出して、それによって生計の糧を部分的に得ている、こういうかっこうの業態もございまして、水産庁といたしましても、漁業者と遊漁者の調整をどう図ったらよろしいか、こういうことは非常に大きな問題となっているわけでございます。現在、これに対応するため、水産庁の中で一応遊漁の関係に関する学識経験者を集めまして、将来方向を、遊漁対策をどうしたらよかろうか、漁業と遊漁者との調和をどうしたらよろしいかと、こういうことの問題につきまして現在検討中でございまして、そういう答申が出次第実態に即応したような措置を講じてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  138. 中野鉄造

    中野鉄造君 この件につきましてはひとつ、ぜひ善処をお願いしたいと思います。  次に、特に今日の二百海里時代、さらに燃油の高騰、魚離れの消費傾向、地域開発との調整等、こうした諸問題を背景に展開されていきます今後の水産振興施策について、やはり地方の時代にマッチした地域の特性を基調とした強力な国の指導が期待されるわけでございますけれども、この点について質問いたします。  まず、いま申し述べましたような今日的課題を抱えながらの漁業となりますと、必然的に将来ますます栽培漁業の推進が望まれるわけですけれども、技術性あるいは経済性、社会性、この三つが十分に整合されたものでなければこの栽培漁業というのは成り立たないと思います。この点についての御見解を、長官どのようにお考えになりますか。
  139. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 二百海里時代を踏まえまして、わが国の豊富な二百海里の漁場を生かしながら、しかも、よく言われますように、とる漁業からつくる漁業へというふうな方向を志向いたすとしますならば、御指摘のとおり今後の栽培漁業というのはきわめて重要でございます。したがいまして、私たちといたしましてもこれらの点についてはできる限りの努力をいたしておるわけでございますが、御指摘のように、三つの条件がそろうということがこの漁業を今後発展させていく要素であるというふうに私も認識をいたします。
  140. 中野鉄造

    中野鉄造君 こうした栽培漁業が今後ますます推進され、発展してくるということになりますと、先ほどもいろいろ申し述べましたような関係法制というものが十分に整備されなければいけないと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  141. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、栽培漁業が進展をいたしまして、相当の広域にわたって回遊するような魚種について今後栽培漁業を振興するということになりますれば、漁場といいますか、そういうふうな管理をどういうふうにしていくのか、あるいはまた放流する人ととる人とは違うわけでございますから、そこら辺の利害の調整というのが非常にむずかしい問題でございます。私たちも御指摘のように、栽培漁業を今後振興していきますためには、そういう漁場の管理なり、あるいは経費の分担なり、利害の調整ということについての法制が必要であるというふうに考えております。考えておりますが、利害といいますか、そういう調整問題というのは非常にむずかしい問題を含んでおりますので、私たちとしては鋭意現在検討をいたしておるところでございまして、そういうふうな検討を踏まえまして将来の法制化を目指して努力をいたしたいと、かように考えております。
  142. 中野鉄造

    中野鉄造君 さらには、この栽培漁業の中には、魚ばかりじゃなくて、貝類特にアワビ等の稚貝、こういうものを放流後、これは魚と違いましてかなり長期間の管理育成を要するわけでございますが、こういう栽培漁業については、長期間であればあるほど資金の融資と、あるいは施設内の育成期間中の漁業共済制度の適用をこれはやっぱり実現していくべきじゃないかと思いますが、この点についてのお考えをお尋ねいたします。
  143. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、アワビ等につきましては長期の育成期間を要するわけでございまして、これらについての金融面の対策につきましては、新たに農林漁業金融公庫の中に昨年から漁場整備資金を設ける等の措置をいたしておりまするし、また種苗の育成につきましては漁業近代化資金等の活用を図っておるところでございます。  そういう魚種について共済制度を整備すべきではないかという御指摘でございますが、現在私たちの検討段階では、長期にわたるだけに、一体損害認定をどういうふうにしたらいいのかという今度は逆のむずかしい問題があるわけでございます。それから同時に、共済でございますから、危険分散をどういうふうに図っていくかということもこれまた重要な要素でございます。そういう点を踏まえまして、今後十分検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  144. 中野鉄造

    中野鉄造君 じゃ次に、漁船の燃油、燃費についてお尋ねいたしますが、石油危機以前には漁業支出の六ないし八%を占めるにすぎなかった燃油費が、五十二年においても、規模の比較的小さい漁船であってみてもこれが一五%前後、規模の大きい漁船では二〇%を超す燃油費になっておると、こういう現状でございまして、漁業経営に大きな影響を及ぼしているわけでございます。今後の燃油の見通しとその対策についてお尋ねいたします。
  145. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 現在、幸いにして量的な確保については当面不安はないと思っておりますけれども、しかし、ああいう石油のようなものでございますから、今後の国際情勢の進展、状況の変化ということもございますから、この点は量的確保は不安がないと言って安心をしておるわけにはまいらないので、この点についてはわれわれとしても十分な努力をすべきものであるというふうに考えております。  第二の問題は価格の問題でございますが、現在私たちは燃油対策としまして五十五年度五百億の融資を行っておるところでございまして、来年度におきましては予算要求として一千億の資金の確保を図りたいというふうに考えておるところでございます。業界におきまして燃油価格につきまして特別な価格を設定をしてもらいたいという要望は十分承知をいたしておりますが、現在の財政状況のもとにおいて、水産のみについて特別な価格を設定できるかどうかということは、これは私は見通しとしてはきわめてむずかしい問題ではないかと思っております。しかしながら、これについて何らかの対応策はないものであるかということにつきましては、党の方におきましてもいろいろと御検討をいただいておるところでございまして、私たちとしましてもこれに即応をいたしまして、その対策についてなおいろいろと検討をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  146. 中野鉄造

    中野鉄造君 五十三年の燃油の販売量というのは、四十年の実に二・八倍と、こうなっておりまして、エンジン馬力数の伸びは大幅に上回ってきております。この点から考えてみましても、石油資源確保を安定させていく上からも、やはりいま御答弁の中にもありますように、水産業ばかりではない、これはこぞって節約をしていかなくちゃいけないわけですけれども、省エネルギー施策としてどのように水産庁はお考えになっておりますか。
  147. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 従来、御指摘のようにできるだけ能率のいい、しかもできるだけ馬力数の強い、そういう漁船を建造をいたしまして、そして能率のいい漁業を行うというのが一般的な方向でございましたが、現在のような事態を踏まえて考えますと、これはどうしても省エネ型の漁業を推進をしなければいけないというふうに考えます。そのために、水産庁としましては各漁場種類ごとにどういう省エネ対策を講じるかということにつきまして研究会を開いて、業界の意見も聞きながら検討を進めておるわけでございます。同時にまた、いろいろとでき得る省エネ対策につきましては、たとえば航海中のエンジンの馬力を落とす等のでき得るものにつきましては、業界もそういうふうにやってもらうように指導をいたしておるところでございまするし、また省エネルギーの技術実用化の促進事業ということも実施をいたしまして、その開発に努めておるところでございます。漁船につきましても、今後はやはりやせ型の漁船で、低エネルギーの石油の余り要らない大口径プロペラ等を導入したような、そういう漁船をつくっていくように、農林漁業金融公庫の融資に当たりましてもそのような方針で融資をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  148. 中野鉄造

    中野鉄造君 最後になりましたけれども、この漁業用燃油対策特別資金というのが五十一年からこれは始まっておるわけですけれども、今日の融資残高がどのくらいあって、その返済期間も短期三年となっておるわけですけれども、その返済状況はどういうことになっているか、その点をお尋ねしたいわけなんです。つまり、延長しているとすれば、全体の貸し付けに対してどのくらいの割合になっておるか、その延長の期間はどの程度であるか、その点をお尋ねいたします。
  149. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 五十年の、前の石油ショックのときに融資をいたしました資金は大体全部返っております。昨年から融資をいたしました、五十四年度末の融資残高は三百七十六億でございます。これの返済につきましては、償還期限が来年の六月でございまして、現在のところそれほど、これの資金の融通については円滑に一応融資をされておりますし、償還期限が来たときの問題はその時点を踏まえて考えなければいけませんが、来年度一千億の資金を用意をいたしますならば、資金面としての対策としては一応これでカバーし得るのではないかというふうに考えております。
  150. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いま中野委員から、日韓の問題、それから遠洋漁業の問題、栽培漁業の問題等、話がありましたけれども、私からは、一億一千万人の住む日本の食糧問題に関連して、漁業の位置づけであるとか、それから食糧政策としての位置づけ、さらに漁獲量の確保、この動向、見通し、こういうところを中心に、いわゆる沿岸漁業を中心にお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、来年は二百海里時代五年目を迎えるわけでございますけれども、この海洋秩序下における水産国日本漁業のあるべき方向、非常に漠然としておりますけれども、けさほどからもいろいろなこの点について御答弁がありましたけれども、いわゆる漁業の位置づけということについて政務次官からお答え願いたいと思います。
  151. 野呂田芳成

    政府委員野呂田芳成君) 本格的な二百海里時代を迎えまして、わが国水産業をめぐる環境は大変厳しいものがございますけれども、四海海に囲まれているわが国としては、魚は欠くことのできない食糧でございます。先ほども申し上げましたが、国民の動物性たん白質の半分以上が魚によって賄われているわけでありますから、今後水産業を強力に推進することが喫緊の要務であると思います。わが国水産業の振興と国民に対する水産物の安定供給を図るためには、まず何といってもわが国が自由に使える海で、しかも豊富な資源を持っている周辺水域の振興を図ることが第一かと思います。そういう意味で沿岸漁業の整備、開発とか、先ほど来議論のありました栽培漁業の振興を強力に推進してまいりたいと思っております。また、遠洋漁業につきましては沿岸諸国との接触に負うところが多いわけでありますから、漁業交渉とか漁業協力等、強力な漁業外交を展開してまいる必要があろうかと思います。新漁場の開発とか新資源の開発とかに今後最重点を置いてまいりたいと考えております。
  152. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 沿岸漁業を中心にいろいろな施策を講じていくと、こういうことでございます。もう一つこれは関連しますけれども、今度、食糧政策の位置づけとして、いま政務次官がおっしゃったように、わが国アメリカ、イギリス、カナダ等いわゆる先進諸国の魚介類による動物性たん白質、この摂取量から見ると、いま言った諸外国においては約五%以下、しかし、いま次官がおっしゃったように、日本の場合は約五〇%の動物性たん白質を魚から摂取していると、こういう国でございます。その反面、もちろん畜産業もこれを振興しなければならないとは思いますけれども、この畜産業の肝心の飼料、これがまたまた大半を輸入せざるを得ないという日本の状況でございます。そうなると、畜産業のこれからの伸びというのは私は余り大きく期待はできないんじゃないかと、こういうふうに思われるわけです。したがって、漁業の振興というのは国民の食生活に大きく作用するものである、こういう重要な問題であると、こういうふうに私は思うわけでございます。こういう点から、この点を、食糧という位置づけということでもう一度御答弁を願いたいと思います。
  153. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) お話しのように、水産物は現在国民の必要とします動物性たん白質の約半分を賄っておるわけでございます。しかも最近におきまする多様化する食生活の中にありましても、水産物に対する需要は根強いものがあるわけでございます。特に日本のいまの現在の食糧の摂取状況というのは、日本人の体質に最も合った摂取の状況をいたしておるわけでございますから、私たちといたしましては、そういう水産物による動物性たん白質の確保という点については、総合的な食糧の自給率の維持という観点からも今後ますます重要になってくるものと考えます。したがいまして、そういう観点に立って総合食糧政策の一環としてその施策をさらに拡充整備する必要があるというふうに認識をいたしておるところでございます。
  154. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この点ももちろんよく御存じだと思いますけれども、特に、世界の総漁獲量というのは現在七千百万トン、そのうち日本が約一六%、というと一千万トン、これが日本の漁獲量になっているわけです。二百海里時代に入っていろいろな事情はあると思いますけれども、少なくともいまの情勢からいってこの一千万トンは確保しなければならないんじゃないかな、あらゆる手だてをしてやっていかなきゃならないんじゃないかなと、こういうふうに思いますけれども、そのための具体策といいますか、これを維持することができそうかどうか、現状ではいかがなのか、その辺をお答え願いたいと思います。
  155. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) かつて二百海里法の体制の中に突入いたしますときには、二百万トンないし三百万トンぐらい漁獲量が減るのではないかというふうに思われたわけでございますが、幸いにして、関係者、漁家の方々の御努力によりまして現在千万トンの水準を確保いたしておるわけでございます。ただ問題は、魚種別にこれを見ていきますと、スケトウダラのようなものが減りまして、イワシ、サバのような魚種がふえることによって一千万トンを維持しておるというところが私は問題であろうかと思います。したがいまして、そのような多獲性魚についての消費の拡大、定着というものは当然に努めていかなければならないところでございますが、同時にやはり需要の非常に強い沿岸性の中・高級魚介類というものについては生産の拡大に努めていかなければならない。同時に、遠洋につきましても、ただいま政務次官が御答弁申し上げましたような粘り強い漁業外交を展開することによって従来の実績を確保していきたいという考えでございます。そういうふうな努力の積み重ねによりまして、やはり世界に冠たるわが国水産業というのを守り育てる必要があるというふうに考えておるところでございます。
  156. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこで、私たちの食ぜんに直接のる魚、まあ漁獲量を維持することも当然ですけれども、漁獲量をふやすためにはいろいろな施策を講じなければならないというのはこれはもちろんでございますけれども、それは詰めていけば、まず漁業者が安心して就業のできる条件をつくる、それで生活することができるようにすることと、私はこのように考えるわけです。ところが、現実を見ると後継者がいなくなっている。また平均年齢もそういうことで六十歳近くにもなっている。ということは、漁業に対する魅力というもの、また漁業では生活ができないと、こういう半面があるわけでございます。  そこで、何点か今後の見通しと見解をお伺いしたいわけでございますけれども、第一点は漁業の生産金額ですが、白書によると、五十三年度は前年度に比べ九百四十三億円、四%の減ということで、合計二兆四千五百八億円、こうなっておりますけれども、今後の見通しはいかがでございましょう。
  157. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 五十三年度の漁業生産額は、御指摘のように前年を四%下回る二兆四千五百八億円ということになっておるわけでございます。漁業部門別に見ますと、遠洋の漁業と沖合い漁業がそれぞれ減でございまして、沿岸漁業は養殖生産が伸びたということから言いまして五%上回っておるわけでございます。五十四年の生産額は、私は二兆四千億を上回っていくというふうに見込んでおります。
  158. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 第二点は、中小の漁業経営の一般動向についてでございますけれども、これも白書で見ると、いわゆる漁業の粗利益が五十三年度、いわゆる前年比六四・四%の減になっております。先ほどから燃料費の問題であるとか、それから機材の暴騰であるとか、そういうことで経費がかかる。これもよくわかるわけですけれども、そういった現実的な理由と改善の見通しはどうしたらいいか、この辺はいかがでございましょうか。
  159. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 中小漁業経営におきまして、五十二年に比べまして漁業の粗利益が落ちたわけでございますが、これは一つは五十二年の水産物の産地価格がどうであったかということを見てみますと、二百海里に突入するということで非常な魚価の高騰があったわけでございます。そういう意味で、漁業者にとりましては五十二年は非常にいい年であったというふうに思いますが、五十三年度におきましてはそういうふうな状況にありませんでしたものですから、全体的なダウンを見たわけでございます。五十四年に入りまして漁獲量は大体前年並みでございますけれども、産地価格が、マアジとかサンマとかスルメイカ等を除きまして総じて上昇をいたしましたので、五十四年平均では前年に比べて一五%ぐらい増加をいたしましたから、漁業収入全体として見れば、前年に比べまして三%ぐらいふえておるという状況にございます。  問題は今後でございますが、燃油価格の高騰等、漁業をめぐります条件はきわめて厳しい状況にあるわけでございまして、政府といたしましてもこれらについてできる限りの対応をすると同時に、漁業者自身におきましても省エネ型の漁業をどうして推進するかということに真剣に取り組んでいただく必要があるのではないかというふうに思います。こういう困難な事態であればあるほど、官民力を合わせてこの困難な事態に対処していく必要があるというふうに考えております。
  160. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 漁業者自身にはそれはそれでよろしいんですけれども政府の方として物価の上昇率もごらんのとおりでございます。そういうことで、水産庁として改善の具体的な方策はこの点について何かございませんか。
  161. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) やはり一つの問題は燃油についてどういうふうに取り組んでいくかという問題でございまして、私たちといたしますれば、来年度の燃油価格の一千億円の確保につきましては十分な努力をいたしたいと考えますし、同時に、経営の安定のための経営安定資金の六百億の確保につきましても同様の努力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。同時に、価格安定のためのいろいろないまの現在の制度がございますが、これらについてもその改善を図るべきところは改善を図り、より効率的なその運用ができるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  162. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 三番目は人の問題ですけれども漁業の就業者の動向について、四十三年では五十九万三千八百人、五年たった四十八年では五十一万七百人、それから五十三年四十七万八千二百人と、四十三年から五十三年の十年間で二一%減っていると、人手はこのように減っているわけです。減少の一途をたどっているわけでございますけれども、その点についてはどのようにお考えですか。
  163. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 漁業の就業者数は、漁業センサスによりますと、五十三年には約四十七万八千人でございまして、四十八年と比べますと約その間に六%減少をしておるという状況にございます。ただ、減少率の推移を見ますと、四十二年から四十八年の五年間では大体平均年率三・二%ぐらいで減少いたしたわけでございますが、四十八年から五十三年の減少率は一・三%でございまして、その減少率はダウンをしておるわけでございます。  それがどこまでいけばどういうふうになるかということの見通しということになりますと、これはなかなかむずかしい問題でございますが、現在私どもが考えておるところでは、今後の漁業労働力は、経済情勢の推移いかんによるところが大きいと思いますけれども、やはり減少の傾向はなお当分続いていくものではないかと思われます。しかし、現状程度の減少率ということを考えてみますると、やはり装備でありますとかあるいは技術の向上でありますとかあるいは省力化というふうなことによりまして、漁業生産の維持について特にそれによって問題があるというふうには思っておりません。しかしながら、漁業者が安心して漁業に精進され、国民の動物性たん白質の確保ということから見れば、できる限り多くの方が漁業にとどまり、最も効率のいい漁業を営んでいくように行政庁としても努力をすべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
  164. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それはわかりましたけれども、どれをとってみても減少傾向のあることはこれは間違いないわけです。そこでいまおっしゃったように、合理化のこともあるでしょうし、技術面の向上もあるでしょうし、それから装備の充実もあるでしょうし、いろいろな面でそれはカバーしていかなきゃならないし、カバーできるものだと私は思っておりますけれども、いずれにしても、それを支える基本はやっぱり人間でございますから、後継者の問題が一番私は問題になると思うんです。  これは千葉県の銚子市の水産課の調べでございますけれども、この漁業就業者数ですが、年齢別に見ると十五歳から十九歳までの方が全体からいくと〇・八%と、こういう数字が出ております。二十歳から二十四歳が二・二%、一番多い層は四十五歳から四十九歳までが二一・六%、その次が五十歳から五十四歳が一五・四%、なお六十五歳以上が四・〇%もあるわけです。ちなみにこの銚子市には県立銚子水産高等学校というのがございます。これは県立でございますけれども、この卒業生は毎年百二、三十名卒業しておりますけれど雪、数字からいきますと五十二年度は百二十二名卒業して、うち漁業に就業した人はわずかに五名、四・一%、二十分の一以下。それから五十三年が百四十名卒業して六名だけ、それから五十四年が百二十名卒業して七名、こういう数字が出ているわけです。これにはそれぞれの事情は私はあると思いますけれども、この後継者の育成については、いまからの漁業を考えるに当たってやはり真剣に取り組んでいかなきゃいけないのじゃないかなと、こういうふうに思うわけですけれども、この点について水産庁としてどのようにお考えになっておられるか、お答え願いたい。
  165. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 私は、非常に楽観的とおしかりを受けるかもしれませんが、漁業は、農業に比べて、就業者数その他から見ましてまだまだエネルギーはあると思っております。したがいまして、そういうエネルギーを大切にしなければいけないわけでございまして、特に御指摘のように、後継者の確保ということはきわめて重要なことでございます。したがいまして、基本的には、やはり漁業でちゃんとやっていけるという形の漁業経営を確立することが基本でございますけれども、あわせて後継者が漁業に就業するということのための諸対策につきましては、私たちとしましても十分留意をして対処をしてまいりたいと思っております。
  166. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一つ、五トン以上の生産量を上げた魚種が、昭和三十四年は二十二種類、五十三年には十八種類と、このように減少しておるわけでございます。今後の動向として、資源確保の立場から、こういう点についてはどのようにお考えになっておられますか。
  167. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 漁業生産は、海洋の自然の条件の変化によりましていろいろ資源が変動をするということも、これは農業と違いました一つの特色でございます。それから同時に、漁獲努力というのをどこに集中するかというような問題もございまして、魚種別にはいろいろと変動をいたしておるわけでございます。これは、一つは消費者の嗜好という問題もあって、その嗜好に合わせた漁獲努力をするという問題もございますし、あるいはまた、資源状態の変化が漁獲量に反映しておるということもございまして、一概にはなかなか断定をしにくいのでございます。たとえば、イワシ、サバの漁獲は最近ふえておりますが、これは資源状況が変化をしたことが漁獲の変化にあらわれておるのではないかと。それからマグロ類の漁獲の増加ということは、これは消費者の嗜好に適応した漁獲努力の結果ではないかというふうに見られるわけでございます。そういう資源が増加している魚種については資源上の問題は少ないのでございますが、後者のような魚種につきましては、今後漁獲水準と資源水準の関係というものについて十分注意をしていかなければいけないというふうに考えております。
  168. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私は、世界的に見て石油が足りなくなった。これは、石油がないのももちろん困りますけれども、食糧が不足するということは、これは大変な問題でございますし、したがって、石油がいままで戦略物資として使われていた。これからは、恐らく食糧が戦略物資として使われるんじゃないかと。またその傾向も出てきているわけです。海洋国であるわが国が、沿岸海水面のいわゆる漁場保全と資源確保に全力で取り組むのは私は当然であると、このように考えております。  そこでまず、農林水産省で進めておられる保護水面の設定、また漁場の輪番使用、それから繁殖期における採捕制限、この効果はどのように上がっておるか、調べられた範囲でお答え願いたいと思います。
  169. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 保護水面の設定と漁場管理につきまして、いろいろ政府として施策を講じているわけでございます。保護水面の設定につきましては、全国各地に百カ所程度設けまして、そこの水面内におきましての採捕の抑制であるとか禁止であるとか、そういうことを講じているわけでございます。それ以外の問題といたしましても、各漁業協同組合が漁業権の産物をとる場合におきまして、いろいろ行使規則によりまして、体長の制限であるとか、輪番の行使であるとか、いろいろの方法をとりまして、資源の温存と、こういうことを考えているわけでございます。  結果としてその施策が有効であったかどうかと、こういうことでございますが、十分にこれらの施策は有効に働いていると、こう理解しているわけでございます。現にこれらの措置によりまして、継続的な、安定的な漁業が営まれている、こういうことから規制措置の効果は上がっていると、こう理解しているわけでございます。
  170. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは具体的にひとつお聞きしますけれども、各種の事業がそのようにそれぞれの目的で実施されておられるようですが、中でも、沿岸漁場整備開発計画、この概要と、今年度末での計画の進捗状況、これを教えていただきたいと思います。
  171. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沿岸漁場の整備開発につきましては、五十一年の四月に閣議決定を見ました沿岸漁場整備開発計画に基づいて、鋭意その事業を推進いたしておるところでございますが、五十五年度末の進捗状況は、その計画を一〇%以上上回る見込みでございます。
  172. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 現在の、このいただいた数字から見ると、財政再建の状況下で二百億円ということにこれなっておりますけれども、残りが三七・三%。金額にしてそれだけあるわけです。金額に直せば八百三十九億二千四百万円。五十六年度、五十七年度でこれは実施されることになるわけでございますけれども、いま申しましたような財政再建の状況下で、これがそのとおりに実施される予定が立つかどうか、確保できるかどうか、この点はいかがですか。
  173. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 計画によりますと、千八百五十億円の計画事業費から見た場合に、六百八十九億円ぐらい残事業がございます。うち五十五年度の予算で事業費が三百三十九億円、国費が大体二百三億円でございますがついておりますので、今後現在程度の予算規模が確保できれば、残事業の六百八十六億円を計画期間内に達成することは十分可能であるというふうに見込んでおります。明年以降の沿岸整備事業の予算の獲得につきましては、私たちも最善を尽くしたいと考えておるところでございます。
  174. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 漁礁の設置事業、御存じのように、増・養殖場造成事業、沿岸漁場保全事業と、こういうことになっておりますけれども、今日までこの各事業の効果については、これだけ投資したわけでございますから、どの程度効果が上がっているかどうか、掌握されている範囲でお知らせいただきたいと思います。
  175. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沿岸漁場整備開発事業につきましては、その事業の性格から見まして、漁場の造成面積でございますとか、生産の増大等の事業の成果を定量的に把握することは私はなかなかむずかしい問題があると思いますが、各地での実施の例から見ましても、事業についての漁業者の評価は高いと思っております。しかし、国の計画としてその効果を考えていく必要が御指摘のようにございますので、    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕 第二期計画の検討をいたしておりますが、その検討と同時に、事業の効果の把握手法をどういうふうに開発するか、あるいは定量的な効果をどういうふうに把握するかということについても現在検討を進めておるところでございます。
  176. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この効果の判定というのはむずかしいと私は思います。しかし、財政当局にこれをお願いする立場にあれば、やはりその効果というものをはっきり掌握して、そうしていま第二期計画、これは五十八年度からおやりになるのかどうかお聞きしたいと思いますけれども、そういうことで非常にむずかしいと思いますけれども、その裏づけとなるものがなければならないわけです。そういうことで、お願いしたいのですけれども、ここの魚礁はこういうことであったけれども、こういう事業をやったことによってこれだけの効果があったと、そういう具体的なところがおありでありましたらお話願いたいと思いますけれども、いかがですか。
  177. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 先ほども申し上げましたように、現在の段階でその効果を定量的に把握はいたしておらないのでございますが、御指摘のように、今後の沿整事業を取り進めていく上におきましてそういう効果の把握ということはきわめて重要でございますので、第二期計画をどうするかということの検討とあわせまして、その効果の把握方法、できれば定量的にどう把握するかということの検討を取り進めておるところでございます。
  178. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 先ほどお聞きしますと、五十七年度で第一期計画はいっぱいにやるというようなお話でございましたけれども、第二期計画もその上に立ってということですが、もう一度念を押しておきますけれども、五十八年度以降の同計画の継続の見込みは、やるつもりでおりますか。
  179. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沿岸漁場の整備という事業は漁業者等から非常に強い要望がございますので、水産庁といたしましては、第一期計画に引き続きまして第二期計画を策定して事業の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  180. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次にお伺いしたいのは、五十四年度の漁業の動向に関する年次報告、白書でございますけれども、この二十一ページに、「埋立てに伴う天然海岸の減少は、沿岸漁場にとって重要なも場や干がたの減少を招いている。」とありますが、これに対して、埋め立ての実施について、漁場整備に充てる特定の財源を実施主体または受益者から確保できないかという点が一つ。二つ目は、今後沿岸漁場の保全確保の上で各関係省庁と公有水面埋め立ての長期見通しと制限目途を立てる必要はないか。この二点についてお伺いしたいと思いますけれども漁業権を失った場合に、そのお金というのは、もちろん漁業権を失ったわけでございますから、やはりいままで漁業をやってきた方にお渡しするのはこれは当然でございますけれども、これはいわゆる漁場を失ったのは漁業者であって、それを失ったことによって新たに魚のいわゆる確保ということになると、一般消費者もまたその近辺に住む人も何らかの形で被害をこうむる、理屈の上ではそうなるわけでございますけれども、そういうことで、いま申し上げた二点についてお伺いをしたいと思います。
  181. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 一般に埋め立てが計画されて実施される段階におきまして、そこの地域の漁業権あるいは漁業権以外の漁業が各種行われている事例が多いわけでございます。当然のことながら、事業主体は関係漁業協同組合といろいろ協議いたしまして補償交渉を行いまして、妥結、その後で埋め立てが実施されると、こういうことになっている実態でございます。  補償金の使い方でございますが、完全に漁業から足を洗う、こういう場合はともあれといたしまして、一部の埋め立て等につきまして今後漁業を継続する、こういうような場合につきましては、今後の生産力の確保、こういう意味から、これを生産的な方面に向ける、こういうことにつきましては、水産庁、県ともども漁業者をいろいろ指導しているところでございます。現実問題といたしまして、漁業資源の維持を図るために事業主体、これは埋め立ての事業主体であるとか漁業協同組合あるいは地方公共団体等が資金を拠出いたしまして、魚礁の設置であるとか種苗の放流、こういうことを講じている事例も結構あるわけでございます。  それから埋め立てに伴います関係各省等の関係でございますが、海面の埋め立てを伴います発電所等各種の開発事業等につきましては、電源開発調整審議会であるとか、あるいは港湾計画につきましては港湾審議会等、関係各省が集まりましていろいろ調整を図っているところでございます。今後とも開発事業計画に当たりましては、会議の場等を通じまして関係各省と密接な関係をとりながら、水産庁といたしましても極力漁場の保全が図れるような方向で調整してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  182. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 最近の埋め立てを数字の上でみますと、この五年間で百三十一平方キロメートル、後楽園の広さにして二千四百倍というのですか、それから瀬戸内海区だけでも四十四・二平方キロメートル、こういうことでございますので、この点についてはいまおっしゃったようなことでやっていただきたい、このように思うわけでございます。  次に、環境庁の方、海洋汚染防止の立場からお伺いしますけれども、環境庁が五十三年度に行った公共用水域水質測定結果によるCODの達成率はどの程度になっておりますか。
  183. 大塩敏樹

    説明員(大塩敏樹君) お答えいたします。  CODの海域におきます環境基準の達成率は七五%程度でございます。
  184. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 七五%というと、引くと二五%がまだ汚れていると、こういうことになるわけですけれども、この未達成海域の改善の目途は立っておりますか。
  185. 大塩敏樹

    説明員(大塩敏樹君) お答えいたします。  先ほど、全国で申しますと七五%と申し上げましたが、たとえば東京湾では六一%、伊勢湾では五三%、瀬戸内海では七五%と、これらを除く地域の七七%に比較しまして低い数字になっております。こうした一般的な閉鎖性水域におきましては、人口、産業が集中しているという原因があるわけでございまして、私どもは水質汚濁防止法に基づきまして、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海につきましては、本年から汚濁負荷量の総量を削減するため総量規制を実施しております。今後とも海域の水質保全の充実に努めてまいりたいと考えております。
  186. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私がいまそういうことをお聞きするのはどういうことかというと、もちろん汚い海には魚はすまない。もしすんでもそれは食べ物にならない。食糧という立場から考えて、この環境基準に魚介類の繁殖を考慮に入れることができないかどうか、何か物差しができないかどうか。ただCODだけで、もちろんほかにもありますけれども、それだけでこれでよしとするのではなくて、何か物差しができないものか、その辺はいかがですか。
  187. 大塩敏樹

    説明員(大塩敏樹君) お答えいたします。  望ましい水産用水の基準といたしましては、ただ魚類などの水生生物が生息するだけではなくて、繁殖し、かつ経済的な価値が損なわれないなどの要件を整備することが必要であると私どもも考えております。  現在の環境基準につきましては、先ほど来先生御指摘のように、CODにつきましても、たとえば海域の場合第一級の基準といたしましては、マダイ、ブリ、ワカメ等の水産生物用、また水産二級といたしましてはボラ、ノリ等の水産生物用としての利用目的から見た基準を定めているわけでございます。しかしながら、これだけで十分かと言われますと、必ずしも、そういう点ではまだ検討すべき問題がございます。特にこういった内湾、内海等におきましては、栄養源の流入等によってプランクトンが異常発生するというような事態があり、そのための漁業被害などが報告されているわけでございますので、私どもは海域の富栄養化防止のための水質目標の検討を、当面、燐について近く検討をすることといたしております。また、水質面だけで繁殖というようなことを促進することも一つの方法ではございましょうが、私どもも、先ほど来お話がございましたように、魚は海水あるいは川水だけではなくて、川、海と深いかかわり合いがあるわけでございますので、開発行為等を行うに当たりましては、そういったモ場が損なわれないだとか、あるいはそういうものに影響がないなど、あるいは水面の埋め立てによってそういった資源が消滅しないなどについても配慮する必要があると考えております。
  188. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 関連して、油濁被害の発生が毎年ふえておりますけれども一つは五十三年度の発生件数ですけれども、何件ぐらいございましたか。
  189. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 五十三年度におきましては発生件数百三十六件、被害額が三十七億円と、こういう報告を県から受けております。
  190. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、昨年度の漁場の油濁救済基金の補償件数、何件ぐらいですか。
  191. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 油濁基金の補償の内容につきましては、油が流れましてそれが漁業の生産に害が及ばないようにと、こういう観点から、油の防除の関係と、それから被害が起きた場合の救済と、この二本立てになっておるわけでございます。防除につきましては、五十四年度につきましては件数で七十九件、防除費の支出が一億六千九百万円。救済金につきましては十二件、二億二千三百万と、こういう数字になっております。
  192. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 飛び飛びであれですけれども、船主責任保険、PI保険の補償限度額はいま幾らになっておりますか、運輸省。
  193. 熊木藤吉

    説明員(熊木藤吉君) 船主責任保険の限度額についてでございますが、二種類に分かれようかと思います。  まずタンカーにつきましては、一九六九年に採択されました油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約、これを受けました国内法、油濁損害賠償保障法によりまして、一事故につき当該船舶のトン数に四万六千円を乗じて得た額または四十八億三千万円のいずれか低い額までの無過失損害賠償責任になっております。  タンカー以外の一般の貨物船の責任の限度につきましては、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律に基づきまして、一事故当たり船舶の大きさに応じまして、当該船舶のトン数に二万三千円を乗じて得た額を限度として責任制限されております。
  194. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 PI保険に入らずにわが国の沿岸を航行もしくは操業している船舶、私の聞いている範囲ではリビアとか韓国とか、こうあるようでございますけれども、一括してお伺いしますけれども、運輸省、一つは原因者不明の油濁被害が多発しているようですけれども、その取り締まりはどうなっておりますか。
  195. 土屋彬

    説明員(土屋彬君) 原因不明油、いわゆる排出源不明の油の件数でございますが、これは五十四年で四百三十五件ございます。と申しますのは、海上保安庁が確認しました油の排出確認件数が千二百五十七件でございますので、その約三四%に当たるものが排出源不明ということでございます。  これの監視取り締まりの状況はどうなっているかという御質問でございますが、排出源不明の油と申しますのは、監視の目を盗んでこの排出が行われるわけでございます。したがいまして、海上保安庁としましては、船艇、航空機による公害監視というものにつきまして要領を定め、業務の中で重点を置きましてこの取り締まりを行っております。そして、公害関係事犯全国一斉取り締まりといったような期間を設けたりいたしまして、集中的な監視取り締まりを実施するといったようなことを積極的にやっております。  また、捜査の面では、化学捜査がこれが不可決でございまして、出されました油等を採取しまして、これを化学分析してその元油を油種を特定する、それから容疑船を手配して割り出す、それから立入検査をするとか、油記録簿等の記録を精査するとかいったようなじみちな努力をして、犯人の割り出しに努め検挙に努めておるわけでございますが、しかし、依然としてこういった三割余の排出源不明油があるということから、私どもの監視のみならず、民間監視員制度、いわゆるモニターというものを設けまして、こういった方々の御協力を得る等いたしまして早期発見に努めますほか、夜間におきますところの不法排出、これを監視するために、航空機に赤外線夜間監視装置といったようなものを搭載いたしまして、夜間の監視等も行い、これらの公害関係事犯の検挙に努めておるところでございます。
  196. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それは厳重にやっていただきたいと思いますし、それに加えてPI保険の補償限度額がどうも少ないような感じがするわけです。私の聞いているのは千トンの船で三千二百万と、これが限度額だというふうに聞いておりますけれども、この引き上げの必要はないかどうか、その辺はいかがですか。
  197. 熊木藤吉

    説明員(熊木藤吉君) いまお話にありましたように、千トンの船で約三千二百万円の限度額という形になっておりますが、実は、現在のタンカーによる油濁事故、これに関しますタンカーの責任の限度額を設定いたしました油濁民事責任条約及びそれを国内法化いたしました油濁損害賠償保障法、これの制定の際に、あわせまして国際条約であります国際基金条約とわれわれ申しておりますが、その油濁の国際基金条約に基づきまして、被害者に対しましては百五十億という限度ではございますが、その百五十億の限度の範囲であれば、船主、タンカーの船主のみならず、国際基金からその補償をいたすということになっております。したがいまして、タンカー事故による損害賠償につきましては、ある程度十分な救済措置が現在図られているということになろうかと思います。  なお、この国際基金につきましては二年前の昭和五十三年から発効いたしまして、現在国際的に活動いたしております。
  198. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 時間がもうございませんので、私この油濁の問題に関連して廃油処理の問題についてお伺いしたいと思いましたけれども、時間がございませんのでこれは後にするということにして、最後に政務次官にひとつお聞きをしたいんですが、漁業者年金でございますけれども、農業者年金というのは、これはいまつくられております。年金にはいろいろな経緯があって、つくられたのも年度も違うし、またそれぞれの年金には基盤というものがございますし、環境もございますし、農業者年金がつくられたからすぐ漁業者年金と、こういうわけにはいかないと思いますけれども、やはり老後のことを考えて、もらう立場になれば老後では同じだと思います。  そういうことで、基盤の違う農業者と漁業者、条件の違う農業者と漁業者、これは考えられますけれども、この漁業者年金を何らかの形でつくられたらどうかなと、このように思うわけでございます。もちろん、厚生年金、国民年金、これで事足れりと言えばそれまででございますけれども、この漁業者年金について、いま農林水産省としてお考えはあるか、また検討されているかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  199. 野呂田芳成

    政府委員野呂田芳成君) 漁業の健全な発展を図っていくためには、どうしても漁業の後継者の育成ということが大きな問題であると思うのであります。そういう観点から、漁業を魅力ある産業としなければいけないということで、生活環境の改善とか、高齢者対策などの福祉対策を今後一層充実していかなければいけないと考えております。  ただいま鶴岡先生から御指摘ありました問題についてでございますが、現在、全漁連等では、系統を運営主体とする年金的仕組みとしての漁業者老齢福祉共済を五十六年から発足させる仕組みで検討を進めておりますけれども、農林水産省としましても、ただいま申したとおり、担い手の確保とかあるいは後継者の育成確保を図る上から大変重要不可欠な問題だと考えておりますので、特に今後必要とされるわが国の周辺水域漁業振興のためにも重要な課題であるという基本的な考え方を持っておりますから、この漁業者老齢福祉共済の推進普及につきましては全面的に支援してまいりたいと考えております。
  200. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 以上で終わります。  ありがとうございました。
  201. 下田京子

    下田京子君 最初に、水産加工業者の経営問題についてお尋ねしたいと思います。  ことしの四月初めに、帝国興信所調査によりますと、五十四年度、昨年ですね、水産加工流通部門で倒産されているその件数が実に四百十三件、対前年比で二〇%増、それから負債金額は千二百五十六億円で、対前年比で二・三倍、大変な状態であります。これは昨年の数字で、ことしもまたこういう状況が引き続いて出ていることは御承知のことかと思うんです。  特に、その原因等を考えますと、五十二年の二百海里規制に基づいての原料価格が暴騰した問題、あるいは品不足、これが大きな一つの問題になっております。続いて最近の油代の値上げ等も含めて、長引く不況の中で大変消費の方も伸びていない、製品がさばけない、そういう問題も起きております。そして同時に、ことしはまた冷夏、冷害、二重三重に大変な状況でございます。それだけに、こうした水産加工関係の方々の御調査、そして個々の条件等に応じた、また総合的な対策が必要かと、こう思うわけなんですけれども、その点についてどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  202. 野呂田芳成

    政府委員野呂田芳成君) わが国の漁獲物は、その七割が加工用に向けられておりまして、水産加工業が水産物の安定供給や魚価の安定に占める大きな役割りを持っておるわけでございますが、ただいま先生から御指摘ありましたように、一般に水産加工業の基盤は非常に脆弱でございまして、零細でございますので、ただいま御指摘がありましたような大変厳しい経営環境にあります。特に、原料を量的な変動の激しい生産物に依存しなければならないという問題を抱えておりますし、特に、本格的な二百海里時代を迎えまして、国際環境の変化に伴う原料部門の供給減少というものが大きな打撃になっておりますから、ただいま御指摘いただいたような厳しい環境が出てまいっておるものと考えております。  そこで農林水産省としましては、こういう現状に対処しまして何とか水産加工業を振興して水産物の安定的供給を図りたいという観点から、主要漁港の流通あるいは処理加工施設の総合的な整備促進をやってまいりましたし、あるいはイワシ、サバ等の多獲性魚の高度利用化に関する技術の開発、そしてまた、その開発されたものが消費者に受け入れられるような消費の促進というものに力を入れてまいりました。  また、水産加工経営安定資金として、前年同様、五十五年も百五十億の融資枠を確保しまして利子補給を図る等の金融対策を充実してまいりました。  また、水産加工業を産地中小企業対策臨時措置法に基づく特定業種として指定いたしまして、釧路、稚内、あるいは八戸、塩釜等というふうに、二百海里の規制による影響をもろに受けやすい産地の振興を図る等の各般の施策を実施してきたところでありますけれども、ただいま御指摘いただいたように、水産加工業をめぐる環境は非常に厳しいものがありますから、これらの諸施策を今後さらに一層充実強化してまいりたいというふうに考えております。
  203. 下田京子

    下田京子君 水産加工関係の厳しさを御承知いただいていままでもやってきた、これからも対応したいというお話でした。  そこで、具体的にお尋ねしたい点なんですけれども、十一月の八日付の河北新報を見まして私大変ショックを受けました。御存じかと思うんですけれども、「水産加工業者ピンチ」ということで、塩釜の例、揚げかまぼこの中堅三社が倒産したというのが六月、そして自殺者が出ておる。そしてまた、九月に入ってさらに倒産が出た。  また、最近お聞きしましたら、その加工関係の方々にゴボウなんかを提供している八百屋さんも自殺をされた、こういうことを聞きまして、あるいはまた報道を見まして大変驚いているわけなんです。あすこは私は何度もお伺いしていますし、それからまた、経営資金の方でもいろいろ政府にもお世話になってきましたから、どういう状況なのか、およそわかるんですが、あすこに働いている婦人労働者は、近郊農村の方も含めますと六千人もおるんです。ですから、こういうことが事実でさらに広がるということになったら大変なことだなという気持ちなんですが、このことについて御承知になっておるでしょうか。
  204. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 釜石の水産加工業の経営状況につきましては……
  205. 下田京子

    下田京子君 釜石でなく、塩釜なんです。
  206. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 塩釜の水産加工業者につきましては、この夏以降、練り製品業者を中心にいたしまして不振に陥りまして二件が倒産し、五件が規模縮小を余儀なくされている。そのほか、幾つかの水産加工業者についても信用不安がうわさをされておるという実情にあることを承知いたしております。
  207. 下田京子

    下田京子君 大変な状況と、一部うわさも含めて承知しているということでした。私はぜひこれらを具体的に御調査もいただきたいし、それから対応いただきたい、こう思うわけなんです。  その対応に当たって何が一体原因を取り除くのに有効なのかという点からお尋ねしたいわけなんですが、経営悪化の要因というのはいろいろあると思うんです。しかし最大の問題というのは、二百海里規制に伴って、原料魚の不足という問題と価格の高騰ということだと思うんです。これは塩釜の市の資料を私も見せていただいたんですが、大変なものでありまして、原料不足の状況といいますと、たとえばスケソウダラの場合なんですが、塩釜港に水揚げされますのは、五十年で実に三万九千二百五十七トンありましたが、五十四年の場合には四千九百八十四トンと、実に八分の一に減少しているわけなんです。これはもちろん塩釜だけじゃなくて、多くは北海道等に行くと思うんですけれども、先ほども他の委員からちょっとお話がございましたが、私もまた北海道に回っていって聞いているんですけれども、北海道の中でもすり身が手に入らないという点は大変大きな問題になっていると思うんです。  それから、価格の問題で見ましても、実に五十年当時トン当たり十万円そこそこだったと、それが五十二年の二百海里規制に基づいてばんと値上がりしまして、三十五万円。その後一部放出されたり、あるいは近海物が入ってくるというふうなことで持ち直して、五十三年ごろは十五万から二十万程度。ところが最近また値上がりしまして、実に二十五万、三十万という高値になってきている。ですから、五十年当時から比べますと、何と価格の面でも二倍、三倍と、こういうような状況なんですね。  とすれば、やはり一つには品不足の解消をどうするかという問題だと思います。それから二つ目には価格の問題になるかと思うんです。品不足の解消の問題については、いま当面して行われております日ソ漁業交渉、これもやはり一つの重大な仕事になると思うんです。この点におきましては、北洋漁業関係都道府県の知事の会議の方々からも私のところに御要請が届いておりますけれども、もう本当にこの点で大いにがんばっていただかなければならないと思います。  それから二つ目には、価格の問題との関係で、ちょっと流通問題がどんなになっているかを御調査いただきたいんです。塩釜の皆さんの話ですと、船上すり身の処理ということ、洋上すり身処理とお話しされている方もあるようですけれども、上質のものはそこでどんどんやっちゃうというんですね。それがまた高値になるというようなこととあわせて、片一方で品不足というふうなことが起きているというわけなので、その辺の御決意をお聞きしたいと思うわけです。
  208. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) スケトウダラ等の原料魚の確保を図ることは、御指摘のようにきわめて重要なことでございます。現在東京におきまして、日ソ漁業委員会が開かれておりますが、近く二十五日から日ソソ日政府間の交渉も行われるわけでございまして、その交渉におきましては、私たちは日本の実益を踏まえまして、適正な割り当て量を定めるように努力をいたしたいと考えております。  価格の問題でございますが、流通にいろいろ問題があるのではないかという御指摘でございました。船上すり身が最近特に増大をしていることは御指摘のとおりでございまして、これは一つは品質上の問題もございまして、そういう船上すり身のいい品質のものが需要されるということでございまして、これを直ちに陸地に運んできて加工するのがいいのか、船上すり身の処理がいいのかということは、これはなかなか議論のあるところでございますが、御指摘の流通関係の調査等につきましては、私どもで十分考えていきたいと思います。
  209. 下田京子

    下田京子君 ちょっと元気がなかったんですが、おやりになるということも御答弁いただいておりますので、ぜひ新たな決意で、日ソ漁業交渉はもちろん、また流通問題についても御調査等お願いしたいと思います。  次に、油を初めとする副資材価格が非常に高騰しているわけなんです。これも塩釜市の調査でございますけれども、五十四年一月を一〇〇とした場合に、五十五年の十月時点でたとえば重油ですけれども、二・四倍、それから段ボールが一・六倍、そしてバンド、これが一・四倍、さらトレーこれが一・三倍というふうな状態でございます。特に重油の価格、この高騰ということについて、大変もう大きな影響を与えているわけなんです。  きょうの日経の新聞等によりますと、二十一日付ですね、日本石油など主要十社、これが九月中間決算でもって経常利益が二千三百九億円、前年同期の約五・八倍の利益を上げているわけです。四月以降の円高でもって合計が二千五百四十億円というまさに為替差益が発生しているわけなんです。関係石油業界はこの差益還元にはもう反対されているようでございますけれども、こうした二千五百四十億円にも上るような、しかも四月以降ですね、この差益をぜひ還元させるというふうな方向で御検討されまして、こうした関連の方々へも本当に恩典が及ぶように行政指導をいただきたい、こう思うわけなんですが、いかがでしょうか。
  210. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、石油の価格が非常に高騰をいたしまして、私たちも非常に困っておるわけでございますが、一方、石油業界が非常に利益を上げておるという点もございまして、御指摘のように、そういう利益が還元されるということは非常に望ましいことであると思いますが、いろいろと問題もございましてそういう形になっていないわけでございますが、まあ私たちとしてはそういうことになることがきわめて望ましいことであるというふうに申し上げます。
  211. 下田京子

    下田京子君 まあ通産が直接行政指導ということになると思うんですが、長官、望ましいとか、そうあったらなあなんてことじゃなくて、これは大事な問題で、大変ないろいろと難問題ではあると思うんですけれども、やはり決意というものが必要ですし、そうした指導等がなければ、十分にこうした油等を含めた資材の値上げをどうやって抑えていくかということには具体的に手が打てないんじゃないかと思うわけなんです。  次にお尋ねしたいことは、さっきも政務次官から御答弁がございましたけれども、水産加工経営安定資金の活用ということも含めまして、いろいろいままでも手も打ってきたしこれからも考えたいと、こういうことでございました。そこで、ぜひ個別的なことについても御調査するという御確認もいただいておりますので、塩釜市のこの実態を、県当局ともいろいろ御連絡をして、特に二百海里の規制という中で、政治的な大きな課題の中でこうした問題が出てきているんだということを踏まえて、新たな融資も含めていろいろと御検討をいただきたいと、こう思います。
  212. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) まあ水産加工業に対します融資は、先ほど政務次官からもお答えいたしましたように、中小企業金融あるいは系統金融という一環としてこれをとらえて、その拡充強化を図っておるところでございます。水産加工経営安定資金として長期低利の融資が優遇されるというのは、御存じのように、二百海里施行に伴ってその影響を受ける加工業者についてその利子軽減を図るという、そういう扱いをいたしておるわけでございますが、そういう水産加工経営資金の融通につきましては、五十五年度におきましても、前年同様百五十億の融資枠を確保しておるところでございます。したがいまして、その融資の実行に当たっては塩釜地区についても個々のケースごとに考えまして、県当局とも打ち合わせをいたしまして、必要と認めた場合にはその貸し付けが行われるように宮城県について十分指導をしていきたいと思います。
  213. 下田京子

    下田京子君 ぜひ個々の状態をお調べいただいて何らかの対策をお願いしたいということを再度申し上げておきます。  中小企業庁の方おいでだと思うんですけれども、いまの塩釜の状況というのはやりとりの中で御了解、御承知いただけたと思うんですが、中小企業庁金融課としては、冷夏対策あるいは景気対策として、九月以降いろいろな措置を講じられていること私どもも承知しております。特に、中小企業の体質強化資金助成制度等の活用とか、あるいはまた信用保険法に基づく不況業種の指定であるとか、また中小企業の倒産対策貸し付けの発動を継続するだとか、いろいろとおやりになっておることはわかるわけなんですけれども、ぜひ中小企業庁としても宮城県あるいは関係者とよく相談の上、いままで講じられてきたどの面で対応し、救済することができるかという点を御検討いただいてそれなりの対応をお願いしたいと、こう思うわけですが、一言御答弁をいただきたいと思います。
  214. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) いまもまさに先生お話しのとおり、市も対策をとってきておるわけでございますけれども、体質強化資金等、やはり関係の都道府県と実際協力を得てやっていかなければならない面がございますので、先生御指摘のような方向へ今後とも対策の充実に力を尽くしてまいりたいと、かように考えております。
  215. 下田京子

    下田京子君 ただいまの水産加工関係の方々、特に塩釜の問題につきましては今後の経緯を私も見たいし、それに対してより積極的に政府がどのように対応してくださるかという点を、見守るだけでなくて期待をしてこの点は終わりたいと思うんです。  次に、畜産関係なんですけれども、岩手県岩手町に五十年に進出してまいりましたアクト牧場株式会社との関係でお尋ね申し上げます。  アクト牧場株式会社といいますのは、本田技研一〇〇%出資の会社でありまして、土地もそれから資金も人も施設ももうすべて本田技研が提供しているわけです。五十年に町のいろんな安い土地なんかも見つけていただいて進出されて、約六百頭の牛を周辺農家十五戸に預託してきたと。牧場そのものではおよそ百頭ぐらいをやってきたと。ところが、肉牛肥育農家から、アクト牧場側が肥育部門は引き上げるというふうな話をされた、大変だということで私どものところに相談があったわけなんです。私たちも早速調査をいたしました。そしてまた現地にも伺いました。また農水省の方にも十一月五日時点で調査、そしてまた対策をお願いしていると思うわけなんです。そういうことですから、事はうまくいったんだろうと思っていました。そしてまたうまくいっているかのような御報告を受けました。ところが去る十五日の新聞に、このアクト牧場株式会社が解散ということが報道されたわけです。もう驚きまして早速また私たち現地に問い合わせをしました。そうしましたところが岩手町の町長さんは、十一月十八日に本社の副社長さんが岩手町にあいさつに見えているそうです。そして、今後はアクト牧場株式会社ではなくてアクト・トレーディングという会社に移管をして、当面縮小しないでやっていきますからと、こういうお話だったということなんです。同じように十一月十八日、農水省が本社専務から事情聴取等も行っているやに伺っているわけなので、一体このアクト牧場はどういう状態になっているのか、それから今後の見通しはどうなのか、まず御報告いただきたいと思うわけです。
  216. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) アクト牧場につきましては、ただいまお話しのように本田技研が一〇〇%出資をした会社でございまして、昭和四十九年に設立をされ、本社は東京でございますが、牧場を岩手県岩手町に持って、みずから土地を取得して牧場経営を行いますとともに、周辺の農家に肥育牛を預託をいたしまして、その預託牛を販売をするということで、昭和五十年以来、預託の関係では地元農家十五戸と契約を行ってきておるという状況であったわけでございます。ところが、本年八月の時点で周辺農家から預託料の引き上げの要望をしたところ、牧場側は経営不振を理由にこれに応じなかったことがございます。ところがその後、本年の十一月十五日に、アクト牧場は経営不振から解散をするということでその旨が各新聞に報道されたのでございます。聞きましたところ、アクト牧場は解散をいたしまして、その業務につきましては同じ本田技研の子会社であるアクト・トレーディングに引き継ぐということでございまして、農家の預託につきましては漸次縮小、中止をしておるということでございます。なお、預託の縮小、中止につきましては急激に行わず、農家と話し合いを通じて段階的に行うということにしておる旨の報告を受けております。  このことに関しまして岩手県並びに地元町は、この牧場に対しまして、農家とよく話し合いをし、納得できる解決を会社側に対して要望したところ、会社側もこれを受け入れまして今後とも誠意を持って話し合っていくということになっておるのでございます。また岩手県は、預託の縮小、中止に伴いまして経営に困る農家が生じた場合には適切な経営指導を行っていくこととしまして、関係指導機関に対し指示いたしておる旨の御報告を受けております。  農林水産省といたしましても、十一月十八日にアクト牧場の責任者、専務でございますが、この専務を直接本省に呼びまして事情を聴取いたしますとともに、今後とも誠意を持って話し合うよう指導をいたしたところでございます。  したがいまして、本件につきましては岩手県と密接に連絡をとり、事実関係の把握を行いますとともに、直接アクト牧場の責任者を呼びまして、農家と誠意を持って話し合い、納得のいく解決を図るよう指導をしたところでございます。
  217. 下田京子

    下田京子君 いままでの経過と指導の中身が御報告になりましたが、問題は、御報告にもありましたように、そもそも一頭当たりの預託料が百十円といって五年間も据え置かれていた、そこから始まっております。このことに全然お答えにならないで、もう預託部門切り捨てだよというふうなかっこうで、すでにその預託部門を漸次減少の方向で話が進んでいるやに聞くわけですね。これはちょっと大変なことだと思います。  つまり、何が大変かというと、そもそも預託料引き上げがなぜできないかというと、本田技研本社の話によれば、高い飼料穀物の相場にはまってしまったと、だからその赤字でもう大変なんだという話なんですね。しかし、預託料そのものについては、たとえば政府の統計資料に基づいて計算しただけでも、おおよそ百三十円を上回るような数字が出てくるということがわかりました。それから現地の農家の人たちは、百四十円ぐらい、百三十円から百四十円にしてほしいという希望を出しているんですね。それから、同じように岩手県に丸紅が出ているんですけれども、そこではもうすでに預託料が百三十円というような状況でもあります。ですから、そういうことを具体的にどうなんだろうかというかっこうで、その本社に対して政府が誠意ある態度で指導していただきたいということなんです。  それから、指導の中身の具体的なものとして、本田技研は、これは五十五年の二月期決算でも売上高で一兆六百九十四億円、それから経常利益が同じ二月期決算で四百八十九億円です。資本金が三百十億円という大変なところですね。そういう大手企業が、もう町の安い土地をあっせんしていただいて進出していった。していって、自分でまずかったからといって農民に犠牲を与える。もうこれは社会的な公正という点から見たって、企業の責任から言っても大変なことだと思うんですね。そういう点を踏まえて御指導いただきたい。  それから、その農家と話すということですが、個々の農家とでは問題は解決しません。町を中間に入れて、ちゃんとその農家の皆さんの要求をきちっとまとめた形で、どうしたらいいのかというかっこうでその解決方向を見出していただけるような、そういうお立場でぜひ御指導いただきたいということを申し上げたいと思うんですが、その点いかがですか。
  218. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 第一点の預託料の問題でございますが、確かに百十円でずっと据え置かれておると。いろいろ私どもで事情聴取をしたところによりますと、周辺のほかの会社におきましては百三十円ないし百四十円の預託料となっておると。その違いを会社側に問いただしました。それによりますと、確かにほかの会社より百十円ということで安いけれども一つは肥育の途中の死亡事故が生じた場合の負担の問題でありますが、この会社では会社側が負担をする、他社の場合は負担割合はまちまちでございまして、農家の応分の負担を求める、そういう危険負担の問題が第一点と、もう一つは、肥育成績がその預託農家におきましてよい場合には別途奨励金を出しておるというような違いがあるんだということを会社側は言っておるわけでございます。それらの問題についてなおよく精査をする必要があると思いますが、全体として見た場合には、他社に比べて低いということは即断はちょっとしかねるのではないかというふうに存じます。  それから、地元農家との話し合いでございますけれども、この契約に入りましたのは、会社と農家とが自主的に話し合って契約に入ったということでございまして、直接その内容について行政側が介入をするということはなかなかむずかしいのでございますが、先ほど岩手県につきまして申し上げましたように、実際問題として困る農家が出てくれば、必要に応じて経営相談あるいは指導に乗るというようなことも言っておりますし、私どももそうした方向で県を指導をしていきたいと考えております。  なお、交渉についての話でございますが、これにつきましては町当局ではやはり個々の農家の問題として考えておるようでございますが、話し合いがうまくいくような、どうしたらいいかというようなことにつきましての地元からの相談には乗ってまいりたいと考えております。
  219. 下田京子

    下田京子君 地元の相談に乗っていくということなので、期待したいと思うんです。個々の農家では次々にやはりつぶされていくということは目に見えているような感じがいたします。  次に、疑装乳製品の輸入規制問題でお尋ねしたいと思うんです。私はこのことについては、五十四年三月二十三日、あるいはことしの三月二十八日と、何回かにわたって取り上げてまいりました。特にいま、酪農家の方々が生産調整ということで苦労されております。そういう中で、現実のものとして、乳製品輸入に関しては畜産事業団が一元輸入というものをやっているわけなんですけれども、一方で一〇%程度しかココアが入ってないのに、あとはもうみんな乳製品脱粉で、ところがそれがココア調製品というかっこうで日本に入ってくる、あるいはまた、約七割近くがバターであるのに、これがまた調製食用油脂というかっこうでもって、乳製品とは別扱いで入ってくる、これは大変だなと思っておったわけですし、その改善を要求してきたところなんですが、ことしの十月初めに政府が、特に調製食用油脂に関してはバター成分七割、それを三割まで落としてこれやっていきたいというふうなことが報道されましたし、聞いております。ところが、一向にその実行が見られないわけなんです。一体現状はどんなになっているんでしょうかということと、もう一つは、農水省は当初の決意でこれが実行できるように努力されるかどうかという点で、時間が限られておりますので、簡単に御報告いただきたいと思うわけです。
  220. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 調製食用油脂につきましては、いま御指摘のように、乳脂肪率が七〇%を含む油脂につきまして自由化品目として輸入されてきておるところでございますが、バターの一元輸入制度の実効性を著しく減殺しているといたしまして、生産者等からその輸入規制について強い要望があったところでございます。このような要請を受けまして、現在の牛乳乳製品の需給事情にかんがみまして、先ほどお話もございましたような措置をとるべく、主要輸出国に対しまして九月の中旬から十月初めにかけて通報をいたしたところでございます。これに対しまして、主要輸出国でありますニュージーランド、またヨーロッパの方ではEC等が、わが国に対して、そのようなことをしないでほしいと再考を要請してまいりましたし、またニュージーランドにおきましては、ガット条約上の協議を求めてきておるのでございます。それがいままでの状況でございますが、わが国といたしましては、現在、関係国に対しましてわが国の考え方を説明をし、理解を求めておるところでございますが、農林水産省としては引き続き努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  221. 下田京子

    下田京子君 ただいまの措置の問題については、農水省としては当初の決意どおり努力していきたいということですが、関係国である相手のニュージーの場合ですと、御存じのようにこれはもう完全に国内向けは製造を中止しているわけでしょう。日本向けにやっているということであるわけですし、またECでは、ベルギーだとか西ドイツ、こういったところも完全に禁止しておりますし、それからフランスやイギリスになりますと許可制ということをとっておるわけですね。そういう点から見まして、いまの局長御答弁になった方向で、通産からのいろんな圧力があるやに聞きますけれども、ぜひ実効あるために御努力いただきたいということを要請いたしまして、私の質問を終わります。
  222. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、初めにわが国水産業につきまして、特にカツオ・マグロに関して質問いたしたいと思います。  カツオ・マグロ漁がさお釣りからまき網へ転換していく、こういうことが聞かされておりますが、その理由は一体何でしょう。
  223. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) カツオ業界におきましては、カツオ一本釣りの構造の改善をどうしたらいいかということの問題に取り組んできておったわけでございますが、現在の事態を踏まえて考えますれば、一本釣りのような経営の形よりも、やはり効率的なまき網という漁法による操業を考えていくべきではないかということでございます。  ただ、しかしながらこれを一挙に行うということはとうていできないわけでございますし、そういう構造改善をやるということがあわせてカツオ一本釣りの漁業の経営の安定に資する、あるいは安定のためのそういう構造改善というふうに考えていく必要があると思っておるわけでございます。そういう観点を踏まえまして、現在カツオの関係者においてそういう構造改善ということが考えられておりますので、私たちとしましても、そういう方向について政府として援助をし得る点はこれを援助をしていくのが適当ではないかというふうに考えているわけでございます。
  224. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 すると、いまの方針に基づいて乗組員の整理あるいは漁船の減船ですか、それはどういう状況になるでしょう。
  225. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) そういう構造改善に伴います離職者の問題につきましては、これは船員組合と業界との間で十分話し合いをいたしまして、私たちもオブザーバーとして参加をいたしまして、その取り扱いについては十分検討をいたしてきたつもりでございます。  私たちの、政府としての対策といたしましては、特別措置法に基づくとり得る諸対策について十分考えてまいりたいというふうに思っております。
  226. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの御答弁に関連して気になりますことは、特に沖繩の近海カツオ漁業、この船の数から言っても、それから乗組員の数から言っても、これは全国的にも非常に優位の位置にあるわけなんです。このことからしましても、これは沖繩の中小零細業者の立場からしましても非常に重大な深刻な問題を含んでおるわけですが、関連して、沖繩におけるこの問題をどのようにとらえておられるか。
  227. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沖繩県におきましては、全漁獲量の七〇%前後がカツオ・マグロ漁業によって占められておるわけでございまして、その漁業が沖繩におきます基幹の漁業でございます。最近、燃油の高騰でありますとか、魚価の低迷あるいは国際規制の強化というふうな点から、カツオ・マグロ漁業の経営をめぐります環境状況は非常に厳しいものがあるわけでございまして、特に小規模経営者の多い沖繩県のカツオ・マグロ漁業の経営は、非常な困難な事態に直面をしておると思います。こういう事態を踏まえまして、私たちとしましては、経営不振の漁業者に対する手当てとして、あるいは燃油対策の特別資金でありますとか、あるいは経営維持安定資金の優遇等の所要の措置を講じておりまするし、来年におきましてはさらにこれを拡充、整備をしてまいりたいと思っておるところでございます。  同時にまた、南方に行きます関係上、南方諸国の入漁料がほかと比べて高いという点につきましては、基金を設けまして所要の低利融資を行っておるところでございますが、これらの基金の運用改善につきましても今後さらに検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  228. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの対策の裏打ち、これに対しても非常に不安を持つわけですが、特に沖繩の場合、失業者の率が全国平均の三倍を上回っておる、こういう実情からしますと、これはまさにまたプラスアルファになるわけですから、深刻な社会問題になりかねないわけであります。  そこで私はお尋ねしたいんですが、進言したいんですが、このような減船やあるいは乗組員の整理、それに対する補償の裏づけ、これは十分なされなければいけませんか、もっと具体的な裏づけを予算面からもお聞きしたいんですが、このことはどうでしょうか。いわゆる失業者の対策あるいは減船の処理という、こういうことではなしに、前向きに考えて、第二次産業、いわゆる加工産業へ振り向けることによって、いわゆる一挙両得といいますか、前向きの日本の水産振興につながるのではないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  229. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) カツオの構造改善に伴います離職問題につきましては、私の方といたしましても、漁業に従事しておった方々が不安のないように十分配慮をして対応してまいるつもりでございます。  お話しのように、これを加工業に、もし御希望があればそういうふうな部面に就職をしていただくということもこれまた非常にいいことでございますから、そういう御希望なり可能性ということにつきましてもこれを探求をしていくことにいたしたいと思います。
  230. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひこの問題は、日本全体の水産振興の立場からも、あるいは国際的には食糧資源の確保という、こういう立場からも非常にこれは重大な問題である、こう思うのです。さらに、国内的には失業、雇用の立場からもぜひひとつその点も十分に検討してもらうことを要望いたします。  次に、養殖漁業関連して、特に沖繩における養殖漁業は非常に適しておるということを言われておるわけですが、本当に適しておるのかどうか。適しておるとするならば、その理由はどこにあるのであるか、そのことをお聞きしたいと思います。
  231. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沖繩県は亜熱帯地域に位置をいたしておりまして、特に沿岸海域はサンゴ礁に囲まれるというふうな非常に特殊な立地条件を備えておるわけでございます。したがいまして、このような自然条件を生かした養殖業振興を図っていくということがきわめて重要であると思っておりまして、最近、ウナギでございますとか、モズク、クルマエビ、あるいは黒真珠等の養殖が導入されまして、だんだんいい成績を上げておることは非常に希望が持てるわけでございますが、私たちといたしましては、そういう実態を踏まえまして、今後の事業の動向でありますとか、養殖技術の開発等を考えながら、地域の特性に応じた養殖業の振興を図っていくということがきわめて重要であるというふうに考えております。
  232. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その面も含めて、次年度における沖繩に対する漁業振興対策と申しますか、そういった基本的な柱ができておりましたら、あるいは目玉がありましたら、ひとつ示してもらいたい。
  233. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沖繩県の養殖の関係といたしましては、内水面の総合振興対策事業の一環といたしまして、養殖事業の推進事業でありますとか、あるいは研修施設の設置でありますとか、あるいは流通改善ということで荷さばき設置施設でありますとか、加工処理施設等につきまして、所要の補助をいたしておるわけでございます。  なおまた、養殖関係の施設につきましても、五十五年度におきまして、私たちとしましては、もし沖繩県においてこれらの要望があればこれについて十分対処してまいりたいというふうに考えております。
  234. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、いつも申し上げる基本姿勢は、沖繩だけの範囲における漁業振興じゃなく、全日本の国民の食糧資源の生産地としての沖繩と、こういう発想からしますと、何かそういった発想を裏づける規模が、あるいは機関があってしかるべきだと思うんですが、それはありませんか。
  235. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沖繩県に対して、特にこれだけが沖繩という形での補助なり施設は行ってはおりませんけれども、私たちとしましては、漁港を初めとして、沖繩県におきます水産関係の所要の充実につきましては十分留意をいたしておるつもりでございます。特に、栽培につきましては、来年度、栽培センターの設置等につきましても十分考えてまいりたいというふうに考えております。
  236. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その裏づけにもなると思いますが、沖繩が養殖漁業に適しておるということ、亜熱帯ということをおっしゃったんですが、もっと具体的に申し上げますと、まあ養殖は海面と内水面、両方に分かれるわけですが、特に適する特徴としまして、海温——水温を二十度から二十三度の温度に保つということがこの養殖漁業に最も最適であるという、こういう裏づけがあるわけなんです。沖繩の場合には、年じゅうその二十度から二十三度の温度を保持できるというこの特徴を生かすところに亜熱帯という具体的な内容の裏づけがあることは御承知かと思うんですが、重ねて申し上げます。  さらに、内容として、いま幾つかおっしゃったんですが、私、それをさらにつけ加えておきます。まあモズクもおっしゃった。クルマエビもおっしゃった。ウナギもおっしゃった。ところがクロダイ、それからウニ。ウニの養殖が非常に有望にいま進みつつあるわけなんですね。それから、コイはもちろんですね。まあこういった具体的なものがその内容として非常に有望である、こういう裏づけがあるわけなんですが、そのことは十分理解しておられますでしょうか。
  237. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 先生御指摘のように、沖繩の亜熱帯という地理的な条件が養殖に適当な水温を保つということは、これまた沖繩県の特徴として、私は栽培センターなど、漁業を振興する上において非常に有利な条件であると思います。  それから、沖繩県下に県営の栽培センターが五十五年度から着工をいたしているわけでございますが、ここにおきましては、対象魚種としてビンナガマグロとか、ヒメジャコ、ハマフエフキダイ等を対象として取り上げておるわけでございます。私たち、五十六年には国営の栽培センターを設置をしたいと思っておりますが、そこでの対象としてはカンパチであるとか、ハマダイであるとか、マグロ等を考えておるわけでございます。  先生御指摘の、クロダイ、ウニ等につきましても、技術的な問題、あるいはまたいろいろ立地的な問題もあろうかと思いますので、そういう魚種につきましても技術的な側面等々を含めまして検討をしてまいりたいと思っております。
  238. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの問題に関しては結論をつけたいと思うんですが、一つは、先ほどおっしゃった、全国的視野の中で沖繩にいわゆる水産基地としての不動の位置づけをしていただいて、その振興を具体的に、ぜひひとつ進展さしていただきたいということが一点でありますが、まあそういった具体的なものとして、先ほど漁業センターのお話もありましたが、実施の中でぜひひとつこれを大きな目玉として実らしてもらいたい。  ところが、反面一つ、いつでも沖繩問題を論ずる場合に近海漁業、沿岸漁業の障害になるものは、米軍の海上における演習であります。そうして離れ島での射爆訓練ですね。そのために、漁夫たちが、漁船が、そこを何日か通行禁止になるわけなんです。そこを通ってはいけない、そこで漁をしてはいけないと、こういった制約がありまして、これがもう一番障害になる点でありますが、まあこのことはまた別の面で論ずることにいたしまして、それさえなければ、沖繩の水産業はもっともっと順調にすばらしい発展をしていくが、これがいつでも邪魔になっておる、障壁になっておる、こういうことを申し上げたいと思うのであります。  そこで、その振興に関連して、漁港の整備について尋ねたいと思うのでありますが、沖繩は離島県であると同時に多島県である、しかも地理的にも東西の接点になる、こういった重要な位置づけがあるわけなんです。それだけに、港湾、漁港というものを非常に日本全体の立場からこれを重視してもらわなければいけない、こういつも思うわけなんですが、その漁港の整備についての完成、これは二十七年の空白があって復帰九年になるわけです。もちろん復帰後は当然これはよくなりつつあることは認めますが、ところが、私たちの要望からしますとまだまだ馬力をかけて推進してもらわなければいけない、こう思っておるわけなんですが、その漁港整備計画について承りたいと思います。
  239. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 沖繩県の漁港の整備の進捗状況でございますが、五十五年度末では全国が一応五六%ぐらいでございますが、沖繩が六五・九%ということに長期計画の進捗ではなっております。五十六年度の予算はいまからの問題でございますが、要求ベースでいきますれば全国は七三・四%ぐらいまで上がりますが、同時に沖繩も八七・一%に上がっていくということでございます。補助率につきましても、それぞれ本土と区別をして特に高い補助率を設定をいたしておることは先生御案内のとおりでございます。沖繩の漁港の整備につきましては、私たちは沖繩振興開発計画の方向に沿いまして漁港整備の一層の促進を図ってまいりたいと考えております。
  240. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 漁業を含めて、沖繩の将来は結局空と海の整備しかないわけなんです。ところがいま、復帰後確かに空白を埋めて進展しつつあることは認めます。ところが、いかにも沖繩が他県よりもずっとはるかにリードしておる、こういう印象を与えかねないんですが、このことについては、私が先ほどあえて離島県であると同時に全国一の多島県であると、こういう特殊事情からも当然多くあるべきである。四面海である、こういうことを抜きにしてただ数で比較するだけではいけないのではないか。また、質の問題もあるわけなんです。ところが、私のこの表によりますと、なるほど着手をされたけれども、五十五年で完成したものは二カ所しかありませんよ。あとは未完成のまま、継続事業にはなっておるわけなんですが、だから、数字をただ一方的に取り上げて、こんなに優位であると言うことに対してはこれはまた反論もなきにしもあらずですよ。そういうことを謙虚に受けとめてもらわないというと、いい面だけを言っても、これはあたりまえのことなんですよ。私の資料を見ると二カ所しか完成しておりませんよ。こういうことを申し上げまして、ひとつ沖繩のためにということももちろんでありますが、これは日本の水産振興の広い立場から、水産基地を沖繩に持つことによって日本水産業が進展、発展する、こういう広い立場からひとつ沖繩問題をとらえていただきたい。そこで、この漁港の改善整備、これは優位に置くことによって日本の水産振興につながるものだ、私はこう思ってあえて申し上げる次第であります。  次に、せっかく政務次官も見えておられますのでお聞きしたいんですが、まず前提は、海洋汚染の問題に関連して、世界一つ、地球は一つという呼びかけもありますが、海洋の汚染は海の死滅を意味する、海の死滅は人類の滅亡につながる、こういう観点に立って、いま日本を取り巻く海洋は汚染しておるのであるか汚染していないのであるか、どうお考えでしょうか。
  241. 野呂田芳成

    政府委員野呂田芳成君) わが国の周辺海域は、総じて経済の発展に伴って汚染が起こっていると考えております。
  242. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ具体的に、汚染しているという前提に立つならば、何がどのように汚染しておるのであるか、その実情をお聞きしたいんです。
  243. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 沖繩県の汚染の状況でございますが……
  244. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖繩県じゃなくて、全国の状況。
  245. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 失礼いたしました。  一般的な汚染の状況でございますが、高度経済成長に伴いましていろいろ海洋汚染が言われているわけでございます。その一つの問題といたしましては海水の富栄養化の問題、それから燃油を多消費する、こういう意味から油濁による事故、これが現在大きな汚染の状況でございます。これ以外におきまして、重金属類における海洋の汚染、こういう問題が漁業に与える影響とか、こういう問題も見逃すことができない、こう思っております。
  246. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃそれの対策いかんということになりますが、汚染を認めておられるならば、それをどう解決していくか、その対策。
  247. 野呂田芳成

    政府委員野呂田芳成君) 先生御指摘のとおり、海洋関係環境の保全は漁業生産にとりましても必須の条件でございますし、人間の生活環境を維持していく上にもきわめて重要な問題でございます。特に二百海里時代を迎えまして、わが国の周辺海域は漁業生産を維持していくためには非常に重要な要素を持っておりますけれども、それが先ほども申したとおり、経済の発展に伴って総じて汚染の傾向にあることは事実でございますから、農林水産省としましては従来からいろいろな施策を講じてまいりました。たとえば漁業公害調査とかあるいは漁場環境影響調査を強力に実施いたしまして、漁場の汚染防除や赤潮防止対策事業等、各種の施策を講じてきたのでございますけれども、これで十分とは考えておりません。このような施策をさらに今後一層拡充してまいりたいと思いますが、環境庁その他の関係各省と十分連絡をとりながら、先生御指摘のように、人類の将来にかかわる重要な問題でございますから、一段と対策に力を入れてまいりたい、こういうふうに考えております。
  248. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは、先ほどはいろいろ地球とかあるいは七つの海という観点から申し上げましたが、その汚れといいますか、ちりあくたといいますか、ごみといいますか、それが集約した形で沖繩近海に押し寄せてくるというところが私は沖繩近海の汚染状況だと。この状況を把握しておられますかどうかお聞きしたい。
  249. 山内静夫

    政府委員(山内静夫君) 沖繩県の漁業に関する被害の問題でございますが、沖繩県からの報告によりますと、主として油濁による漁業被害、これが大宗を占めているわけでございます。発生件数といたしましては五十年度二件、金額で三百万、五十一年度におきましては六件、千五百万、五十二年度発生件数十二件、二千六百万、五十三年度発生件数二十四件、四千七百万、五十四年度発生件数十八件、四千万円でございます。  それで、こういう汚染の増加に対応いたしまして、水産庁といたしましては漁場油濁基金、これを通しまして被害の救済に努めている、こういうことでございます。
  250. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その汚染の状況、これはおとといのことです。沖繩の西表島の竹富町ですね。ちょっと沖繩の地理的条件といいますか、地形といいますか、遠い海洋でこぼされたあるいは捨てたあるいは廃液が固まって流れ流れて潮流に乗って沖繩海岸に来ておる。その町長さんの資料によりますと、石油廃油ボールが最近ひどくなっている、砂浜がべったり真っ黒で歩けない、いわゆる白い砂浜が黒い砂浜になっておる。そして、人間がはだしで歩くというとその足にべったり廃油ボールがくっついて浜もうっかり歩けない、こういう実情を訴えておられたわけでなんです。そこで、まあこれはだれの責任か、広い海でのことですから、その現行犯を捕らえるということもなかなか困難ではありましょう。  そこでお尋ねしたいことは、何としてもこれを責任を持って追跡する任務を持っておるのは海上保安庁でありましょう。そこで、その監視船、ヘリコプター、あるいはそれに対する人的要員といいますか、こういった状況はどうなっておりますか。
  251. 土屋彬

    説明員(土屋彬君) お答えいたします。  海上保安庁におきましては、大型タンカーによりますところのこういった油の違法排出を防止いたしますために、大型タンカーの航路筋となっておりますところの本州南岸から南西諸島に至りますところのいわゆるタンカールート、こういったところに航空機、それからヘリコプター搭載型の大型巡視船、こういったものを配置いたしまして、監視、取り締まりに当たっておるわけでございますが、本年七月に発生いたしました沖繩の大量の廃油ボール漂着事件にかんがみまして、その後は、公害監視のための航空機の飛行時間を増加するといったような措置をとりまして取り締まりの強化を図っておるわけでございますが、加えまして、こういった南西海域におきますところの海洋汚染監視体制の強化を図るために、五十六年前半中には那覇に中型ヘリコプター一機を、それから石垣の航空基地に中型飛行機一機をそれぞれ増強配備することになっております。  なお、将来的にもこの方面の航空機の増強につきましては努力する所存でございますが、組織面におきましても第十一管区海上保安本部に海上公害課といった公害取り締まり専門の課の設置を要望していく、こういう所存でございます。
  252. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 よく言われることですが、日本の警察にしましても、どろぼうや凶悪犯は多いが逮捕率について云々される状況であります。  そこで、海上保安庁のこういった犯罪ケースを追跡して、その発覚といいますか、あるいは現場を押さえるといいますか、現行犯を押さえるといいますか、その逮捕率はいかがでしょう。
  253. 土屋彬

    説明員(土屋彬君) 船舶からの油の排出の検挙状況でございますが、船舶からの排出と見られますところの件数が五十四年は七百六十九件ございます。そのほかに排出源不明といったようなものが先ほど申し上げました四百三十五件あるわけでございます。この不明のものは、これは検挙すれば原因がわかるわけで、不明のものは結局検挙できなかったわけで、検挙率ということになりますと発生責任に対する検挙でございます。したがいまして、先ほど申しました五十四年の七百六十九件の発生のうち五百二十一件を五十四年は検挙いたしております。ただし、これは数字的に五十四年に確認したものを五十四年に全部検挙しているというわけではございません、年が繰り越しになっておりますので必ずしも対応していないということを御念頭に置いていただければ、まあならせば大体そういうことになるということであります。したがいまして、これはちょっと割り算しておりませんが、ある程度の検挙率はあろうかと思います。
  254. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ある程度のということにどうも心細さを感ずるわけですがね。  それから、先ほどの御答弁の中にいわゆるパトロールに対する配備を計画して考えておるというお話だったが、現に配置しておるということではないわけですか、この点確認いたしたい。
  255. 土屋彬

    説明員(土屋彬君) 先ほど申しましたオイルロード、タンカールート周辺の基地並びに海上保安部署に航空機を配置し、船艇を配置しておるわけでございまして、実際的な数字を申し上げますと、船艇につきましてはヘリコプター搭載型巡視船二隻を含めまして、大型の巡視船が十一隻、それから航空機につきましては飛行機が八機、ヘリコプターが二機、合計十機、こういったようなものが公害監視のための活動をいたしておるわけでございます。
  256. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 時間が参りましたから簡単に願います。
  257. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは、舌足らずになるといけませんので。  私は、そういった諸条件の配備はこれはどうしても必要でありましょう。ところが条件は整備しても、やっぱり扱うのも人間であるわけですから、活動するのは人間であるわけですから、その人間の自覚とそして職務に精励する基本態度がないというと、幾ら物を備え金を受けても実績は上がらない、こういうことになりかねませんので、しっかりがんばってパトロールしていただいて、そしてそれこそ違反者は挙げて支障のないようにしてもらいたい、こういうことなんです。  最後に、領海侵犯の問題について、特にいままで問題になりました台湾漁船の領海侵犯、沖繩が日本の最南端であるということと、台湾の接点である、あるいは東南アジアの接点であるという立場から、領海侵犯が従来も頻々とあったわけでありますが、これが現状はどうなっておるのであるか、またその見通しはどう見ておられるか。以上のことを申し上げて、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  258. 加藤正義

    説明員(加藤正義君) お答えいたします。  沖繩周辺海域におきましては台湾漁船の侵犯がございまして、これにつきましては、虞犯海域に航空機による監視を行うとともに、巡視船艇を常時三、四隻配備いたしまして取り締まりを実施し、悪質な違反漁船については検挙いたしておるところでございます。本年は、十一月十日現在、三隻を外国人漁業の規制に関する法律違反で検挙し、四十隻を警告退去処分にいたしております。
  259. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 悪質とおっしゃったのはどういう意味ですか。
  260. 加藤正義

    説明員(加藤正義君) お答えをいたします。  これは、領海に入ったものにつきましてはきわめて悪質なものとして検挙を図るということでいたしております。
  261. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会