○
川村清一君
外務省の方、御苦労さんでした、もう結構でございますから。ありがとうございました。
それでは
農林水産大臣、
水産庁長官、
水産庁の皆さん方に御質問を申し上げたいと思います。最初に
農林水産大臣にお尋ねしまして、大臣は十一時から御用があるそうでございますから、時間になったら御退席されて結構でございます。
お尋ねしたいことは、実はこの臨時
国会が開会されました冒頭の各党の代表質問演説があったわけでありますが、その際に、自民党の代表質問がたまたまこのいまの問題に触れられたわけであります。これに対する
鈴木総理大臣の御答弁はこういうようなことをおっしゃっておるわけであります。「
日韓間の最大の懸案でありました北海道沖の
韓国漁船操業問題が四年ぶりにこのほど
解決をいたしましたが、関係各位の御
努力に対し心から敬意を表します。」と、こういうことでございます。結局懸案であったこの問題が四年ぶりに
解決したことは非常に喜ばしいことである、これは総理大臣の御意向なんですが、まあこれは喜ばしいことには違いありませんが、私は、これを御答弁されたのがこの
漁業水域法を決定した当時の農林大臣でございまして、そしてこの
法律を
審議するときに私がくどくその
鈴木大臣に質問いたしまして
鈴木さんが御答弁になった。この御答弁どおりになさって実現すれば私は本当に敬意を表するわけでありますが、当時の
鈴木農林大臣が私に対してお答えになっていることとはほど遠いような御答弁なんであります。で、私は心から敬意を表するわけにはいかないわけなんです。
これはまあ大臣も御就任以来今日までの間に、
水産庁の長官とかあるいは担当の部課からいろいろ御報告を聞いて御承知かと思いますが、私は、先ほど
外務省の方に質問しておりましたように、この
法律施行に当たって第十四条で
韓国を
適用除外したことは問題がある、将来必ずこういう問題が起きるということを私はもう確信いたしまして、そこで、
北海道周辺においては、沿岸と沖合いとのいわゆる競合を避けるという
意味において、あるいは
漁業資源を守るという
立場から、沖合い底びきであるとかあるいはオッタートロール、この操業を規制してやらしておらない
水域があるわけです。もちろんこれは領海の外にあるわけです。これは
日本の規則によって、
法律によって
日本の
漁船が操業を禁止されておる
水域、あるいは操業を禁止されておる期間において外国船が入ってきて操業するなんということは、これはとうてい認めるわけにはいかぬではないか、それは当然禁止するのが常識じゃないか、
日本の船を禁止しておいて外国船は入ってきて堂々と操業するなんて、こんなむちゃな話があるかということを強く質問をいたしました。これに対しまして、さすが水産専門の
鈴木さんでございますので——まあ私はこういうようなことを聞いているんですね。
韓国は十四条によってこの
法律からは
適用除外 されておる、だから
韓国がどんどん入ってきて もいいということになったらこれは困るから、 そこで
韓国と
日本との
政府間
協定をきちっと結 んで、そして
韓国も絶対ここへ入ってこないよ うな処置をとる、これが大臣のいまのお答えで すが、そう確認してよろしゅうございますか。と私は質問をしている。それに対して
鈴木大臣は、「そのとおりでございます。」と、こう御答弁されている。これは
昭和五十二年四月二十七日の当
委員会におけるところの
会議録なんです。
それで、
鈴木総理は、初めての答弁でございますので非常に原稿ばかり見て、原稿から目を離さないで答弁しておった。これに対して新聞記者が何とか言ったら、君、それは間違いだ。政治家として一番大事なことは
会議録なんだよ。
会議録に残っていること、これが政治家にとっては一番大事なことだ。総理大臣がこう言っておったら、言ったことは次の総理大臣はこれを実行するために
努力しなければならない。そういう
意味において原稿から目を離さないで答弁するということは、これはりっぱなことなんだというようなことを記者に言われたことが記事に出ておるわけですね。だとすれば、
鈴木さんがこうおっしゃって、これは
会議録にちゃんと書いてある。これは実に責任があることだ。だから、私は
鈴木さんの後の中川
農林水産大臣に対し、その次の
渡辺美智雄
農林水産大臣に対して、その次の武藤大臣に対して、亀岡大臣は初めてでございますけれ
ども、歴代の大臣にこのことを質問し続けてまいってきたわけであります。ところが、いつまでたっても実現しない。この間に
韓国船の
北海道周辺における
無法操業は全然やまない。
韓国の言うことは、いわゆる領海外は公海じゃないか、公海の
漁業は自由ではないかというようなことで、幾ら言っても聞かないわけであります。そして、
自主規制のような処置をとったこともあるんです。ところが、
自主規制ということで
約束しましても、一向にその
約束を守らぬで、今日においてその沿岸漁民の受けたこの漁具、漁網のいわゆる損失による被害は七億円に達しているという、こういうような状態なんでございます。
それで、歴代の大臣の中川さんも
渡辺さんも、これは自民党の大物大臣でございまして、将来は総理・総裁の一人であると目されておるぐらいの実力者でございます。皆、胸を張って、絶対やる、もう国と国との
協定においてこれはきちっと決める、中においては二百海里法を実施するんだというようなこともおっしゃっておった大臣もいらっしゃるわけです。武藤さんも一生懸命になられた。しかし、ずうっとこれが行われないで来たわけです。ですから、北海道の漁民の方々の怒りというものはもう大変なものだ。いわゆる政治に対する不信感というか、行政に対する不信感というか、これは非常に強いものがあるわけであります。そこで、武藤農水大臣のころから本気になって取り上げていただきまして、そして、いまの
水産庁長官も一生懸命になってやられている。佐竹振興部長も一生懸命になってやられた。それで、一応今回、さっき
外務省の
条約局長が言われたような形で
約束が
取り決められたわけです。ですから、一歩二歩前進したことはこれはまあ確かであって、これは一応私は評価します。そして、今村
水産庁長官や佐竹振興部長の御
努力に対しましては敬意を表します。敬意は表しますけれ
ども、根本的に
解決はされておらないわけです。これからいろいろな問題が派生してくることが予期されるわけですね。そこで、これからはそういう問題が起きてこないように、その北海道の漁民との間にトラブルが起きないようにひとつしっかりやってもらいたいという
立場で質問をするわけなんです。
それからもう
一つは、これは、北海道の漁民に言わせますと、われわれは西の方の犠牲になった、こう言うわけです。まあ、西の方の犠牲になったというのも少しオーバーですが、今度の処置によって西の方も以西底びきが六十隻減船になるわけですから。ですから、こっちも被害は受けたけれ
どもこっちの方も被害を受けたというようなことで何とかこれまとまったわけでありますが、この六十隻の減船されることになります以西底びきに対する減船補償であるとか、そこに乗っております
漁業労働者の雇用問題であるとか、こういう問題に対してもしっかりやっていただかなければならない。これは
鈴木総理大臣も答えておるわけですが、まあこういうことなんです。
そこで、いま私がちょっと経過を話したんですが、まあこれでは質問の体をなしておりませんが、大臣もお立ちになる時間でございますので、こういう経過でもって何とか結ばれたと。しかし、これに対しては北海道の漁民も決して喜んでいるわけじゃないし、
政府が決めたことだから仕方ない。仕方ないといったような
立場です。私は一応この仕事を進められた方々には敬意は表しますけれ
ども、まことに不満足であるという考えをここに述べまして、これに対する大臣の御見解をひとついただきたいと思うわけです。
〔
委員長退席、理事坂元親男君着席〕