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政府委員(松浦昭君)
損害評価の仕組みの御
説明を申し上げたいわけでございますが、まず、作物保険にとりまして一番むずかしい問題というのは
損害評価でございます。いろいろな国の例をとりましても、やはり
損害評価というものがむずかしいがために、なかなかこの保険の仕組みができないというところが多いわけでございまして、特に流通段階で
損害を押さえられる、収穫量を押さえられるというような場所におきましてはこれは比較的問題がございませんけれ
ども、日本のように飯米の部分が非常に多いと。したがって、
圃場で評価をしなきゃいかんと。しかも、それが検見であるという場合には、その
制度が非常に仕組みがむずかしいということでございます。
われわれは、一方において過大評価が起こらないようにすると同時に、また過小評価が行われますと、これまた農民の間に非常な不信感を買うわけでございますから、そこをどうやってうまく
制度を仕組むかということで、率直に申しまして、四十年の歴史の積み上げで次のような
制度をつくってまいったわけでございます。
その内容を申し上げますと、まず組合等の段階でございますが、まず
農家から
被害申告がございまして、どこの耕地で
被害が起こったということを申告してまいります。そういたしますと、あらかじめ設置されました評価地区というものがございますが、この評価地区におきまして、担当の
損害評価員が一筆ごとに検見または実測、主として検見でございますが、これによりまして
損害の
調査を悉皆
調査で行っております。
次に、
損害評価会というのを各組合等に設置しておりまして、その
委員とそれから職員によりまして、先ほど申し上げました
損害評価員の行いました悉皆
調査の結果を検定するということのために、一評価地区当たり通常の場合は大体十筆以上の耕地につきまして任意に抽出をいたしまして、実測
調査とそれから検見の
調査を併用したいわゆる抜き取り
調査をいたすわけでございます。この抜き取り
調査を行いますと、組合等はこの抜き取り
調査において
損害評価員の行った単位当たりの収穫量何キログラムということが出てまいりますが、この単位当たりの収穫量と、評価会の
委員または職員が行った単位当たりの収穫量との差の結果を
損害評価会に諮りまして、そこで評価地区別の反当修正量というものを決定するわけでございます。簡単に申しますと、各地区の
損害評価員の見ました何キログラムというものと、それから組合の評価会の
委員あるいは職員が見ました何キロぐらいというものが違った場合には、その差を修正していくという形になります。
そこで、なおこの場合において修正が必要とされる場合におきましては、
損害評価員の行った各耕地ごとの単位当たりの収穫量を修正いたしまして、そこで各耕地ごとまたは
農家ごとの
共済減収量を認定した上で、これを取りまとめまして、この組合は幾らの
減収量になりますということを連合会に
報告するわけでございます。
そこで、連合会の段階でございますが、連合会になりますと、組合等ごとの
損害評価高、これはこの組合で幾らの
共済減収量があるということを認定するわけでございますけれ
ども、そのために今度は連合会はこれは坪刈り実測でございますが、この実測によります抜き取り評価を行います。抜き取りの
調査を主体といたしまして、さらにこれに検見による抜き取り
調査あるいは見回り
調査というものを併用いたしまして、そこで今度は組合等ごとの
共済減収量が的確であるかどうかということを判断するわけでございます。
その場合には、実測による抜き取り
調査でございますが、これは連合会の
損害評価員及び職員が、一組合当たり平均十八筆、農単の場合には二十四筆、これは災害が非常に大きな場合には、それに応じまして実測筆はふやすようにいたしておりますし、また、そのための特別の
調査費も組んでおりますが、さようなことで抜き取り
調査をいたしまして、その組合が評価した単位当たりの収穫量と連合会が
調査した単位当たりの収穫量との差を基礎といたしまして、検見
調査及び見回り
調査も参考にした上で組合等ごとの
共済減収量、これを
調査いたしまして、さらに
損害評価会の意見を聞いた上で組合等の
共済減収量を認定するということにいたしております。
これで連合会が各組合ごとの
共済減収量を出しまして、これを総計いたしまして連合会の当初評価高という形でこれを
農林水産省に
報告するという形になっております。
さらに
農林水産省は、今度は災害の
実態から見まして
都道府県間に著しく公平を欠くということが起こりますといけないものでございますから、
統計情報部の資料を活用いたしまして、これをある一定の範囲内に入っているかどうかということを認定するわけでございますが、この資料は
統計情報部の資料でございますが、これは標本
調査によってやっておりますがゆえに、一定の方法によりまして標本
調査に応じた許容係数というものをつけるわけでございます。つまり、生で適用するのではなくて、一定の許容係数をつけまして、その許容係数のつきましたその範囲内に一体連合会の評価が入っているかどうかということを審査いたします。そこで、その場合には連合会の評価高が許容の範囲内であれば当然それをもって認定をいたしますし、もしもこれが超えているという場合には、連合会の評価高が許容範囲の最高限となるように修正いたしまして認定をいたすという形になっております。
最後に最終認定は、いまのような形で行いました認定の結果、各耕地ごとまたは組合ごとに最終の評価をいたしまして決定をするというのが手続でございます。