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国務大臣(中山太郎君)
ただいま議題となりました
国家公務員災害補償法の一部を
改正する
法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
去る二月二十七日、人事院から、
国家公務員法第二十三条の規定に基づき、
国会及び
内閣に対して
国家公務員災害補償法の一部を
改正すべき旨の意見の申し出がありました。この
法律案は、この人事院からの申し出に基づき、
国家公務員災害補償法を
改正し、一般職の
国家公務員の処遇の
改善を図ろうとするものであります。
次に、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
今回の
改正は、同じく今
国会に
提出されております労働者災害補償保険法の
改正法案にあります給付
改善に対応するものでありまして、その第一は、遺族補償
年金の額の
改善であります。遺族補償
年金の給付水準は、すでにILOの条約及び勧告に示された水準を達成しているところでありますが、遺族の人数区分に応ずる支給率につきましては災害補償の損害賠償的側面から見てなおその
改善を図る必要がありますので、遺族が一人の場合を中心にその
改善を図り、全体として支給率を
平均六・一%引き上げようとするものであります。
第二は、身体障害に対する評価の
改善であります。これは、頭部外傷、脊髄損傷等により神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、またはけい肺等により胸腹部臓器の機能に著しい障害を残している場合の障害の評価について、現在は、常に介護を要する程度の重度の障害を第一級とし、それに次いで重い障害として、終身労務に服することができない程度の障害を第三級として評価しているところでありますが、随時介護を要する程度の障害を新たに第二級として評価することとし、身体障害の評価の
改善を行おうとするものであります。
第三は、障害補償
年金差額一時金の支給に関する制度の創設であります。これは、障害補償
年金の受給権者がその支給開始後早期に死亡した場合、その間の
年金の受給額が軽度の障害者に対して支給される障害補償一時金の額にも達しない場合もあり得ること及び障害補償
年金前払一時金の支給に関する制度の創設との均衡上の必要等を考慮して、すでに支給された障害補償
年金等の合計額が労働基準法上の障害補償に相当する額に満たないときは、その差額を障害補償
年金差額一時金として遺族に支給しようとするものであります。
第四は、障害補償
年金前払一時金の支給に関する制度の創設であります。これは、障害補償
年金の受給権者の社会復帰の促進に資するため、その申し出により、労働基準法上の障害補償に相当する額を限度として人事院規則で定める額を障害補償
年金前払一時金として支給しようとするものであります。
第五は、小口資金の貸し付けを受けるための
措置であります。これは、
年金たる補償の受給権者が一時的に必要とする資金の需要に応ずるため、
年金たる補償を担保として国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫から小口の資金の貸し付けが受けられるようにするものであります。
以上のほか、現在実施されている遺族補償
年金に係る一時金に関する規定を整備するとともに、
年金たる補償の支給事務の簡素化を図るための
措置を講ずることとしております。
なお、以上の
改正は、労働者災害補償保険法の
改正法の施行時期に合わせて、第一の遺族補償
年金の額の
改善、第二の身体障害の評価の
改善については公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から実施し、第三の障害補償
年金差額一時金の支給に関する制度、第四の障害補償
年金前払一時金の支給に関する制度、第五の小口資金の貸し付けを受けるための
措置については
昭和五十六年十一月一日から実施することといたしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。