○野田哲君 今回の
行政改革の問題ですが、
中曽根長官には、いろいろ
政府委員とやりとりをして、最後に見解を承りたいと思うんです。
ただ私は、先ほどの
矢田部委員の質問の中で
長官の原則的な
考え方も承りましたけれ
ども、国の
行政機構の改革という問題になってくると、やはり私は一番しっかりして
前提とならなければならないのは、
一つは
国家目的が一体どこにあるのか、そして政策
体系、これと整合性を持ったものでなければならないと思うんです。八〇年代の
日本の政策ビジョンというものが、
社会保障制度はどうするのか農業はどうするのか交通政策はどうするのか等々の政策
体系というものがまず明らかにされて、それに見合っての
行政機構、こうあらなければならないと思うんです。戦前戦後の大きな
機構改革は大体その点が、よしあしは別にして、はっきりしていたと思うんですね。たとえば東条
内閣のもとで進められた大きな
行政機構改革、軍需省を
設置したりあるいは大東亜省を
設置したりというようなときに、明らかにこれは戦争遂行という目的に向かって
行政機構が大きく改められていったという点。戦後の大きな
行政機構改革、これは戦争遂行体制に向かっての
行政機構を民主化をしていく、これが
基本になっていたと思うんです。
これらの議論は、いずれ中曽根
構想のもとに
提案される第二次
臨調のときに改めて
長官の見解を承りたいと思うわけでありますが、今回出されいる支分部局の問題でありますが、私はこれはそういう点から
考えて
いかにも画一的、機械的過ぎはしな
いか、各
省庁それぞれどこか
一つずつつぶすところを持ってこいと、こういうような形で取り扱われているんじゃな
いかという気がしてならないわけなんです。先ほどの
矢田部委員の質問の中でも議論されておりました九州の財務局の問題でも、一昨年の
提案は熊本を廃止をする、こういうことであったわけです。それが今度は北九州の方を廃止をする。まさに
行政機構という問題でこれほど朝令暮改もはなはだしい例はないと思うんです。
もう
一つ私は、今度の
行政機構改革では
四国を総体としてはつぶしていく、こういう
構想が一貫して出ているんじゃな
いかと思うんです。桧垣さんもここにおられますが、
四国がつぶされているんですよ。
内閣委員長のところも一番これは便利が悪くなるんですよ。
四国をつぶして、
四国にある
行政機構を、
日本地図を開いてみたら、瀬戸内海の向こう側に広島があるから、あそこにくっつければ一番早いんじゃな
いかというきわめてこれは便宜主義的な安易な
考え方だと思うんです。私は広島ですから、
四国の状態もある程度通じておりますけれ
ども、
四国の
実情から言えば、たとえば交通経路
一つをとってみても、
四国から広島へ向いての交通経路というのは松山のところから広島へ向かっての船便が一本あるだけです。飛行機や汽車の向いているのは、すべてこれは東京か
大阪へ向いているんです。
四国から出た汽車が宇高連絡船で渡って、
宇野線を経て岡山からこう下って広島に向かっている汽車は一本もないんです。ダイヤもすべて岡山での乗りかえのダイヤというのは上りの
方向へ向いてのダイヤに合わしてあるんです。商業圏にしても
経済圏にしてもあるいは婚姻
関係にしても、広島との
関係というのはほとんどないんです。それを海を渡って一番近距離にあるからということで広島にくっつけるというのは、私は現地の事情を全く無視していると思うんです。
内閣委員長のところの高知県の中村、宿毛の方から広島へ行こうとすれば、朝早く立って広島へはもうかなり深夜でなければ着けないんですよ、これは汽車に乗って行く場合。飛行機の便は
一本もないんです。高知県などから
大阪へ行こうとすれば飛行機の便は幾らもあって、高知からですと一時間あれば
大阪へ着けるわけです。そういう面から全くこの
実情に合っていない。こういう点をまず私は
指摘をしておきたいと思うんです。
具体的な問題で、まず新潟の問題について伺いたいと思うんです。
新潟の海運局を廃止をするということになっています。これも海運
行政の
実情を見ると、どこか
一つつぶすところを持ってこいということで結局新潟がつぶされた、こうとしか思えないわけです。今度の海運
関係の
行政機構図を見ると、表現は悪
いかもしれませんが、
日本列島を輪切りにして全部
日本海側を太平洋側の海運局で受け持つ、こうなります。たった
一つだけあった新潟の海運局をつぶしてしまうわけです。海運
関係から言えば、
日本海は全然なくなってくるわけですから、
日本海の海の状態あるいは気象条件というものと太平洋側の気象条件というのは全然違うわけですね。それを
日本海の海運
行政を新潟をつぶして横浜で受け持とう。こういう状態になっているわけですが、
運輸省の海運局に聞きたいわけですけれ
ども、どうして数ある海運局の中で
日本海側にたった
一つあった新潟の海運局をやり玉に上げてつぶさなければならなかったんですか。