○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、
郵便法等の一部を
改正する
法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
反対の第一の
理由は、本法案が
郵便料金の法定制を緩和するとしている点にあります。
財政法三条は、「国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて
法律又は
国会の議決に基いて定めなければならない。」とうたつております。にもかかわらず、政府は赤字を
理由に、
郵便料金の
値上げを弾力的に行いたいとして
国会審議が硬直化をもたらすという主張を繰り返したのであります。これは憲法における財政民主主義の理念に反し、財政法に違反するばかりでなく、議会制民主主義の当然の基礎である
国会審議を否定するものであり、断じて容認できません。
しかも、その上に、法定制緩和の根拠として政府が主張した独占の
程度や
国民生活上の必要の
程度が低下したとする議論が全くの虚構であることは私の質問でも明らかになったとおりであります。
つまり、信書の送達は完全に独占であり、
郵便物数はふえ続け、家計における
郵便費の支出の比重は変化しておりません。さらに、電話との競合もそれを立証する
資料はなく、逆に電話と
郵便は排反的なものではないという調査結果が存在するのみです。これらのことを政府が認めざるを得なかった以上、法定制を緩和する根拠はすべて消滅したわけで、本法案は当然撤回すべきものであることは論をまたないところであります。
反対の第二の
理由は、
郵便料金の大幅な引き上げが
国民生活に多大な負担をもたらす点にあります。
本法案は、封書を五十円から六十円に、葉書を二十円から四十円に引き上げるものでありますが、
郵政省は、
国民は余り
郵便を利用していないから大きな影響がないと主張しています。しかし、これはとんでもないことです。
郵便はテレビや電話が享受できない家庭や
地域における唯一の通信手段として国が保障するものであります。また、聴力障害者の
方々などは、社会的な交流を主に
郵便に頼っています。今回の
値上げは、これらの人たちに大きな困難をもたらすばかりでなく、一種、二種と連動する第三種や四種の大幅な
値上げは、これを利用している社会福祉
団体や文化
団体を初めとする各種
団体の活動に大きな障害をつくり出し、言論、出版、結社の自由を財政面から圧迫するものであります。私は、改めて三種、四種の料金据え置きと法定制に戻すべきであることを主張するものであります。
第三に、指摘しなければならないのは、赤字解消計画に対する政府の無責任さであります。
政府は、
国会審議をやめて赤字をなくしたいと言いながらどのようにして赤字をなくすのか、責任ある計画を提出せよというわが党の
要求に対しては、結局提出できないままになっております。これでは責任ある計画はないと言わざるを得ません。つまり、政府は、
国会に対して白紙委任を求めているのであり、私はこのような無責任な態度は
国民の名において断じて認めることができないのであります。
反対する第四の
理由は、独立採算制という名目で
郵便事業における国の財政責任を回避していることであります。
郵便事業の赤字は、政府のインフレ政策の上に公共性と矛盾する独立採算制を押しつけていることによるものです。経済性を超えていかなる山間僻地へも信書を送達しなければならない
郵便事業の性格に照らせば、局舎などの基礎施設や三種、四種の政策的割引料金は国が負担するのは当然であります。この割引分を一般会計から補てんするだけでも赤字は解消し
値上げの必要は全くなくなるのです。
最後に、私は、
委員会審議においても明らかにいたしましたように、課長や次長を無制限にふやしたり、特定政治家の宣伝に無料
郵便を利用させたり、公費出張で政治家の活動を援助するなど、
国民の批判を招く事柄が後を絶たないことを指摘し、政府自身えりを正して
国民の信を受ける努力をすべきであることを強く主張し、反対の討論を終わります。