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神谷信之助君 だからね、却下するのなら早く却下しなさいよ、そんなんやったら。そうなれば中央の方へ申請するし裁判にも出しますよ。八年もたってから却下されて何だ。あたりまえですよ、そんなこと。職場の長も、それから京都府の労働衛生
管理部の
関係の担当者の方も、係長も課長も、課長補佐も皆ちゃんと実情の証明を出してますよ。そういう
状態であってもなかなか決まらない。国家公務員が決まっていない、
地方公務員全体がどうや、
労働省はどうやと優柔不断でやっているから八年もたつんだ。
私はだから、この点、いまおっしゃったように協議は求めてきているということですから、協議なされれば、まさにこのような非人道的なことを直ちになくすためにも救済なさるであろうということを
——この席で結論出すというわけにいかぬでしょうけれ
ども、期待をして、もしそうでないとすればこれは重大な問題だということを指摘しておきたいと思うんです。
それからもう
一つの
事例は、今度は、先ほ
どもありましたが、脳、心臓
関係、循環器系統の疾患です。これの判定も確かに非常にむずかしいです。たとえば血圧が日常的に高いというそういう素因がある人、あるいはお酒が好きやとか感情に激しやすいとかいうようないろんな性格、これがあるという、したがって業務が過度になったりあるいは神経を集中するようなことが必要な、そういう
状況でなくても、ある場合には確かに脳卒中で倒れるということもあり得るかもしれない。そして
死亡するという悲惨な事態になるかもしれない。だからその点では、その素因がある場合に、業務内容の過重の
状態というのは、審査をする側からすれば慎重に検討されるのは、これは私は無理はないと思います。しかし、これも非常にまたむずかしいわけですね。酒の好きな人であり、感情に激する人だからすぐなるということにならぬ。あるいは、神経の集中の程度が何週間も続いたとかあるいは残業が何日間も続いたとかいう
状態が続かなければ脳卒中は
発生をしないということでもない。一回であるいは瞬発的に脳卒中の症状を起こして命をなくす人も出てくる。だから、これは素因がある場合です。ましてや素因のない場合になれば、これは非常に素因のある場合に比べれば比較的判断しやすい
事例だと思う。
というのは、血圧が高いというような
状況ではなかった。健康診断の
状態は普通であった。ところが
——具体例で申し上げますと、京都の北芝さんの問題ですが、修学旅行に来ておって、それでバスの中で気分が悪くなった。だから初めのうちは自動車に酔ったのではないかと同僚は思ったけれ
ども、どうも顔色が悪いというので、あわてて病院へ運んだら、三時間後には脳卒中でお亡くなりになったと、こういう
状況です。それで認定の請求をいたしますと、これは却下された。却下された理由はどういうことかというと、それは、その先生はその前年も修学旅行に行っているしその前の年も行っている、何回か修学旅行の経験をしている。そのときは脳卒中は起こさなかった。それで修学旅行に何遍も行っているのだから、普通の経験済みの仕事や、過重はなかったと。結論から言うたら過重はなかったから却下と、こうなっておるんです。これじゃ残された奥さん初め家族はたまらぬですよね。
〔
委員長退席、理事金井元彦君着席〕
現実にその先生は、その年の四月に配置転換で新しい職場に移り、そして非常にまじめというかきちょうめんな性格というか、いろいろな問題を抱えて神経を集中するそういう仕事に、新しい職場だからよけいに神経を使う。この修学旅行のプランをつくったり、あるいは生徒に対する
指導等を含めていろいろの問題がある。そういったいろいろなものが含まれている。しかしそれはだめなんだ、おまえさんは別の
原因で死んだんだと。公務外だと言うならば、それを審査をした、認定をした側がはっきり証明しなければ私はいかぬと思うんですよ。死んだ方はもう亡くなってしまったんですから、いまさら医学的にそれを明らかにしようとして解剖しようとしても、もう焼かれてしまった後ですからね。現実には、旅行先でそういう
状態になったんですから、解剖したりどうのこうのして
原因を
究明するそういう手だてももちろん講じられていない。したがって医学的
原因を追求する資料というのはこれはなくなっている。それで、これは過重性がないからだめなんだと、こういって却下されたんでしょう。
また、これは血圧の場合もそうだし心臓でもそうですわね。日常的に別に心臓に疾患を持っていない人でも、あるいは仮に心臓の疾患を持っていても、本人は知らないし自覚症状がないという場合でも、実際は検査すれば心電図等に症状が出ても、心電図をとっていなければわからないし、そういう中で、自覚的症状の起こる人と起こらない人体質的にあります。それぞれね。私の知っている人でもあるんです。本人は全然苦痛を感じない、胸も息切れもしない、しかし心電図をとればちゃんと心臓疾患があるということはわかっている、そういう人がいますよ。だから、本人が自覚したときは大体あの世行きとこうなるんですよ。
そのあの世行きになる、自覚する、そういう
状態というのはどういうときに起こるのか。これは、精神的に興奮を呼び起こすようなそういうショックがあったのかなかったのか。いろいろあるでしょう。これもまた千差万別、人によっても違う。同じような衝撃で同じような症状を
発生するとは限らない。だからこの点も非常にむずかしいわけですよね。ところが、あなた方の方の認定
作業というのは、公務上の認定の判定では、これはまあ本人の主張を認めるわけです。それを否定をされるならば否定をする理由をもっと明確に自分から立証しなければいかぬ。請求者には立証することをやかましくおっしゃる。だから、先ほど言いました三木さんも、それこそ配置転換であっちへ行ったりこっちへ行ったりした、その職場をずうっと調べて、そしてあのときは何人の職場でどんな仕事をお互いやったんやということを
一つ一つ聞いて、そして一生懸命証拠書類をつくるわけです。
〔理事金井元彦君退席、
委員長着席〕
こちらはもう亡くなりましたから、そのときおった人にいろいろ
状況を聞いたりするわけです。それ以上にはできない。そうやってもだめだというときには、過重労働があったとは認められがたいということでね。認められがたい理由は一体何や。業務上の過重ではなしにあんたは前の晩によっぽど悪いことをしておったんや、勝手なことをしてたんやと、だからだめなんですというようなのは
一つもないです。まさに切り捨てのままですね。あとは今度はどうするのやというたら、いま言いましたように、中央に持ち出すか裁判所
——大臣がおっしゃるように裁判所へ持っていかなければしようがない。大変なことなんですよ。
こういう問題が実際に、特に心臓病それから循環器系統については最近は本部の協議
事項になっているようで、これもずっとふえてきているようですから、協議に当たられる基金の方としても、この点は十分前向きに、しかも却下をするというようなことでなく、これは
労働者にとっては、本人は業務上による疾病と考えあるいは家族はそう思っているわけですから、納得することができるような根拠を示してやるべきだということをあわせて
——そのことができなければ、救済の
措置をやらなければ、そのことは、単に地公
関係じゃなしに、国家公務員
関係あるいは
労働省関係含めてそういう考え方を広げていかなければならぬ。よそを待っているのではなしに、特に国家公務員とか
地方公務員、こういう行政官庁がそういう点では積極性を発揮しなければ、利潤追求を原則とする企業の側からそういう発想というのは生まれっこないわけですから、この点ひとつ基金の見解をお聞きしておきたいと思うのです。