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1980-11-11 第93回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十一日(火曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員異動  十月二十四日     辞任         補欠選任      下田 京子君     神谷信之助君  十一月四日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     立木  洋君  十一月五日     辞任         補欠選任      立木  洋君     神谷信之助君      伊藤 郁男君     田渕 哲也君  十一月六日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     伊藤 郁男君  十一月十日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     佐藤 昭夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 金井 元彦君                 佐藤 三吾君                 伊藤 郁男君     委 員                 岩上 二郎君                 後藤 正夫君                 名尾 良孝君                 鍋島 直紹君                 福田 宏一君                 小山 一平君                 志苫  裕君                 丸谷 金保君                 和泉 照雄君                 大川 清幸君                 佐藤 昭夫君                 美濃部亮吉君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    石破 二朗君    政府委員        警察庁長官官房        長        金澤 昭雄君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  永光 洋一君        自治大臣官房審        議官       矢野浩一郎君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省財政局長  土屋 佳照君        自治省税務局長  石原 信雄君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        内閣官房内閣参        事官       栗林 貞一君        北海道開発庁企        画室長      田中 貞夫君        環境庁長官官房        環境調査官    浅野 楢悦君        外務省アジア局        北東アジア課長  股野 景親君        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    杉戸 大作君        林野庁業務部経        営改善対策室長  角館 盛雄君        資源エネルギー        庁公益事業部開        発課長      山本 貞一君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電課長   西中真二郎君        建設省住宅局住        宅総務課長    佐藤 和男君        自治大臣官房審        議官       大嶋  孝君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政に関する件)  (第三セクターによる鉄道経営に関する件)  (竹島の現況問題に関する件)  (犯罪被害者に対する見舞金に関する件)  (警察行政に関する件)  (空きかんの回収問題に関する件)  (電源開発立地問題に関する件) ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十四日、下田京子君が委員辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。  また、昨十日、神谷信之助君が委員辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     —————————————
  3. 亀長友義

    委員長亀長友義君) まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事伊藤郁男君を指名いたします。     —————————————
  5. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 本会議答弁等を聞いておりましても、さすがに大臣知事さんの経験があって、歯切れがいい、非常に明快なわかりやすい御答弁をしてくださるので、実は大変心強い大臣自治省は持ったと敬意を表しておる次第でございます。ひとつ委員会でも、本会議と同様に、わかりやすく明快な御答弁をお願いを申し上げたいと思います。  まず最初に、地方公共団体議決した機関意思の問題についてお伺いしたいと思います。  実は、いま国鉄問題が非常にたくさん出ておりまして、ローカル線廃止反対というふうなことで、各地域議会によるところの反対決議等がなされ、私たちのところへも送付されてきております。それからまた、先年議決されました林野整備特別措置法の中でも、地方意見を聞いて、地域意見を聞いて合理化は進めるということが明記されておりますし、附帯決議でもそのような議決になっております。  それで、具体的な問題なんですが、北海道の弟子屈町という町がございます。ここで林野苗畑廃止、これは廃止してもらったら困るという機関意思の、議会議決が行われました。ところが、町長はそれは了解しているというのが林野の言い分で、結局廃止の方向に向かっております。こういう場合に、一体長議会議決にどこまで拘束されるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  7. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 地方議会におきまして、いろんなところで決議なり議決なりが行われるわけであります。ただいまのお話でございますが、私も実は林野整備法内容をよく具体的に知らないものですから的確にお答えをできないのかもしれませんが、一般的に地方自治法あるいはその他の法令によりまして、議会権限とされて議決をされる場合、この場合には首長が当然拘束されるのはこれは御承知のとおりだと存じます。ただ、そうではなくて、一般的に議会が事実上の意思決定をするということがございます。このときには、その効果につきまして、事実上その内容がどういうものであるかということを長が自主的にやはり判断をして、それに従って行動すべきものだというふうに理解をいたしております。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 きょうは林野おいでになっておりますか。——いま答弁のありましたように、措置法内容自治省としては知らない。で、あの議決段階地方意見を十分聞くということが一項目入っているわけですけれども附帯決議で。このことについて御説明願いたい。地方の、地域意見を聞くということはどこの意見を聞くことに集約されるかという問題。
  9. 角館盛雄

    説明員角館盛雄君) お答え申し上げます。  五十三年の六月八日、参議院におきます国有林野事業改善特別措置法に対する附帯決議の第一項に、「国有林野事業組織機構再編整備に当たつては、地域実情をふまえつつ、国有林野事業機能低下地元関係者等に対するサービス低下を招くことのないよう十分配慮すること。」、このような内容が第一項に決議されてございます。  国有林野事業は、ただいま先生お話しございましたように、国有林野事業改善特別措置法に基づく改善を鋭意進めてございます。ところが、国有林野事業仕事量の基礎になっております伐採量につきましては、資源的な事情もございますし、森林の公益的機能に配慮するということもございまして、ここ当面は伐採量を減少させなければならぬような事情にございます。一方におきまして、法律規定によりまして、事業能率合理化といいますか、事業運営合理化といいますか、事業能率の向上につきましては強く求められているところでございまして、苗畑を含めまして各現場の実行機関であります事業所等につきましては、その事業量だとか個所的な問題、あるいはその能率性問題等を総合的に判断をいたしまして、その統廃合を進めさしていただいているところでございます。  しかし、この場合にも、この附帯決議の趣旨を体しまして、地元事情地元対策十分配慮をいたしまして、特に地元市町村等関係者理解と御協力を得るように最大の努力をいたしておるところでございます。残念ながら、最終的に御理解を得られずに反対決議をちょうだいすることもございますけれども、さらに御納得をいただくことの努力をいたしますことを前提にいたしまして、場合によっては統廃合に踏み切らしていただく、そういうケースも現にございます。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 つまり、行政機関としては、地方意見を聞くという場合に、長の意見首長意見ということが非常に大きなウエートになってくるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  11. 角館盛雄

    説明員角館盛雄君) お答え申し上げます。  これは町の理事者のみならず、議会関係者、それから業界を初め地元住民の広範な御理解、御協力を得るような努力を現にしておるところでございます。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の聞き方が悪かったかと思うんですが、私は、そういうウエートのかけ方の中で、首長意見というのが一番大きなウエートを持つのですかということなんです。というのは、しばしばやはり町長が、あるいは市長が了解しているから、これは地域代表が了解しているからこれは了解したというふうにわれわれ受け取っているんだという答えがよく返ってくるんです。返ってくるので、そうでないんだ、みんないろんな人の意見を平等に聞くんだということなのか、ウエートはやはり首長にかかるのか、この違いをひとつお答え願いたい。
  13. 角館盛雄

    説明員角館盛雄君) お答え申し上げます。  私どもといたしましては、地域全体の御理解、御協力を得ることを前提にいろんな努力をしているわけでございますけれども、その中でもやはり町の理事者の御判断といいますか、そういうものについてはかなり重点的なものであろうと、そのように考えておりますけれども、そのことのみをもって他は一切無視をするというようなことじゃ決してございませんので、そういう町の理事者の御判断を含め、総合的な判断をして対処してまいっております。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 つまり、首長意見というのが非常に大きなウエートを占めるというふうな答弁理解してよろしゅうございますね。そこのところなんです。
  15. 角館盛雄

    説明員角館盛雄君) その割合、ウエートの問題をどのようにというふうに具体的に申し上げられませんけれども、重要な判断基準といいますか、そういうものにはしておるわけでございます。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 重ねてお伺いするんですけれども、おたくの方と話をすると、やはり町村長が了解しているということが非常に合理化を進める上でのおたくの方の主張になっているんですよ。それおわかりでしょう。ほかでいろいろ言っていっても、おたく町長が了解しているじゃないですかということが、そのときおたくの方から主張する非常に大きなウエートになっていますでしょう。ですから、そういう点で、ウエートとして、やっぱり首長見解というのが、措置法に盛られる地域の愚見という場合でも非常に大きなウエートを持つんだと。それ、持たないのか。どうも何遍聞いても、そこのところがきわめて上手過ぎてわからないんです。どっちかなんですから。どっちなんですかということなんです。
  17. 角館盛雄

    説明員角館盛雄君) お答え申し上げます。  附帯決議の中にも、「地元関係者等に対するサービス低下」というふうなことでございまして、オール・オア・ナッシングといいますか、理事者のみ……
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 だけとは言いません。
  19. 角館盛雄

    説明員角館盛雄君) のみの判断といいますか、ほかの方はどうでもいいというふうなことは私ども決して考えておりませんので、もう当然のことながら、理事者判断というのは私どもといたしましての重要な判断資料になるということを申し上げているわけでございます。  私どもは広範……
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 もうそこまではいいです。  お聞きのとおりに、これは当然のことだと思うんです。その地域の大方の意見代表するとして首長意見、これを重要なウエートとして参考にするということはこれはあたりまえのことなんで、そういろいろ持って歩かなくてもいいと思ったんですが、まあちょっと時間がかかり過ぎましたけれども、結果はそういうことだと思うんです。  そこで、今度はいわゆる議会議決との問題になってくるんです。これは、たとえば法律事項とか必ず議決事項がございますわね。これはどうしたって議決優先です。予算だとか、いろんなことあります。しかし、そういう予算を伴わない、議決案件でないけれども機関意思決定として議決をする場合に、これが首長をどこまで縛るか。これ、どうもいままでのところ明確になってない感じがするんです。見解が。ひとつこの機会に、そういう基本的な問題を明確にしておいていただきたい、こう思いますので、一体議決案件でない議会決定に対して、首長はどういう責任を持つのか。たとえば、政治責任だけのものであるとか、全く聞かないということはないけれども尊重すればいいんだとか、いろいろあると思いますので、自治省見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  21. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 先ほども申し上げましたとおり、法令に基づく権限、そういうことで議会議決をなさる、それは丸谷先生がおっしゃるとおりであろうと思います。ただ、先ほど申し上げましたが、事実上の決議をなさる、要するに議会自分機関意思としての決定をする、そういうものがどこまで一体長を拘束するのか、あるいは、それについて長がどれだけそれを尊重しなきゃいかぬのかという問題があろうと思います。これにつきましては、事実上そういう決議住民意思をどのくらい反映しているであろうか、あるいはその決議事項内容が長のこれからの仕事についてどういうような実態を及ぼすような関係なのであろうか、その辺のことを長がやはり自主的に判断をして、自分の考えで措置をするというのがいまの自治法の流れであろうと思います。  ただ、丸谷先生公共団体首長をやっておられましたから御案内のとおり、長につきましては、「公共団体を統轄し、これを代表する。」という規定地方自治法にございます。これはいまさら私から申し上げるまでもございませんが、「代表する」というのは少なくとも地方公共団体の長が外部に対しまして公共団体行為となるべき各般の行為というものをなし得る権限であるし、もしそういうものが代表であるとすれば、法律上も公共団体行為としてそれはやれるということになるわけでありますから、基本的に長がその公共団体代表していろんな御意見を述べるということは、背景としてそういうものがあるにしましても、長の意見が尊重されるということは十分にあり得ると思います。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、ぎりぎりのところまでいきまして、議決案件でない問題についての機関意思決定に、長はときによっては縛られないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  23. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) そういうこともあり得ると思います。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 あり得るというのは、縛られることもあるということですか。
  25. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 先ほど申し上げましたように、決議住民の声を非常に反映している、それをどういうふうにやろうかとか、あるいは公益的な問題について決議がなされて、それについて長がどう判断をするかというときについて、長自身がその決定内容について判断をして、やはりその方がいいんだというふうにやる場合には拘束されるというふうに理解をしておるわけであります。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは、何というか、常識論の話でしてね、私がいまお聞きしているのはそうではなくて、法律論として、機関意思決定と長の権限の問題。いまの御答弁を聞いていると、結局は縛られないということですね。それは判断するのは長であるということでございますね。
  27. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) そのとおりでございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでどちらが優先するかという問題が明確になったと思うんです。どうもここら辺が大変地方で、特にこれから国鉄ローカル線の問題が問題になってくる段階で、国鉄さんは大体首長を相手にしてきます。首長が了解するかしないかということがほとんど地方意見決定すると、こういうように理解しておる場合が実は非常に多うございます。そうすると、議会がどういうふうにしようと商工会がどういう反対決議をしようと、いかなることがあっても、最終的には、長がいいと言えばその地域代表するんだと、こういうふうな考え方に立って、この国鉄ローカル線の問題なんかもこれから進むんじゃないかと思うんです。それで、そのときにやっぱり明確にしておかなきゃならぬと思ったものですから。  運輸省来ておりますね。——いまの問題なんですが、いま論議されている事案ですから明確な答えは出てこないかもしれませんけれど、現在の国鉄再建法案の中で、やはり林野と同じように、地域意見を尊重してというふうな文言が現在の案には入っております。この場合の地域意見の最終的な集約は、ただいまの自治省見解のとおりに理解してよろしゅうございますか。
  29. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) お答えいたします。  現在御審議願っております国鉄再建法案につきまして、たとえば地方交通線を選定する場合につきましての意見を通知しあるいは申し出られる方は都道府県知事ということに規定されておりますし、あるいは廃止した後の代替輸送につきましての御意見を伺うのも都道府県知事という規定になっております。  それから、この廃止対象につきましては、特定地方交通線対策協議会というのを設けるわけでございますが、国鉄あるいは国の行政機関等に含めまして、会議の中で関係地方公共団体の長というような方々もお入りになっていただいて、そして御議論をし協議をするということでございますので、一応法の体制としましては、窓口と申しますのは、関係都道府県知事あるいは地方公共団体の長にお取りまとめを願うということを期待しておると思います。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 重ねてお伺いいたしますが、ただいまの自治省見解のとおり、地域意見は、地域代表する地方公共団体、特に市町村というのが必ず一定の地域を持っているわけですから、その地域代表する者としての市町村長、これの意見は総体の意見だという理解が成り立つわけですね。そうしますと、後で反対とかいろんなものが出てきますね、議会議決。そういうものにも増して首長意見というのは地域代表するというふうに、この国鉄整備法案の取り扱いの中でも理解してよろしゅうございますね。
  31. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) われわれとしましては、いま先生がおっしゃいますような、首長と申しますか、が地域意見を取りまとめていただいて、その意見を拝聴させていただきたいと、こういうふうに考えております。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで実は、非常に大事な地域意見代表である市町村長——これは再建法案審議でないですから意見として申し上げておきますけれども——いま出されている法案では、審議会の中へは、知事どまりで、入っていないんです。こういうことはいまの自治省見解等から言いまして非常に不合理じゃないかと思いますので、その点だけは指摘しておきます。これは指摘だけでいいんです。法案審議ではございませんから。  次に、同じく国鉄関係の問題につきまして、十一月二日、北海道開発庁国鉄再建政令案の中で、北海道はこうあるべきだということを——これはその後の調べでは、発表したのでなくて、どこかから漏れたんだと、こういう話でございますけれども、一応北海道新聞のトップに、もうほとんど一面半分使うくらい大きく出ておるんです。これで地方の自治体の長は、もう自分のところは残るんだというふうな安心を持っている人がたくさんいるんです。半面これから外れたのはさあ大変だと。きのうなんか、これに外れたところの町村長なんかが来ておりました。うちのところだけ外れる、どうしてくれるんだということですね。これは地方自治体にとって大変なショッキングな記事なんです。この新聞社などでは絶対自信があると。一体こういうことは開発庁内部において検討されておったのか。恐らくおたくの方が言ったと思うんです。取り消ししませんから。根拠なしではないと思うんです。こういうことが一体あったのかなかったのか。この点ひとつ。
  33. 大嶋孝

    説明員大嶋孝君) 自治省審議官大嶋でございますが、北海道開発庁でこういう事実があったかどうかということにつきましては、私、承知しておりません。ただ、聞きますところによると、北海道開発庁では、現在その選定基準について検討中でございまして、御指摘新聞記事北海道開発庁の正式の見解ではない、こういうふうに伺っております。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 開発庁おいでになっておりますか。——仮にもこれだけのニュースとして流れた以上、北海道内の各市町村に及ぼす影響はきわめて大きいんです。これにつきまして開発庁の方からひとつ事情を御説明願いたいと思います。
  35. 田中貞夫

    説明員田中貞夫君) お答え申し上げます。  いま丸谷先生から御指摘がございました、記事が出たという事実については私どもも承知いたしておりますが、この問題について私どもなりにいろいろと勉強はいたしておりますけれども、いま報道されましたような、そのようなところまでの具体的な検討を進めておるようなものではございませんで、何といいますか、報道機関としての観測といったようなことで取り上げられたものではないかというふうに思っておりますが、あのような北海道鉄道網についての考え方というのも一つの考え方ではないかというふうにも思われますけれども、この点を含めまして、地元意見というふうなものを十分聞きながら、今後政令案が固められる段階におきまして、北海道実情といったものにも十分配慮しながら関係機関協議を尽くしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、これは政令策定段階において、当然北海道開発庁に対する合議もなされるだろうし、そういうときの北海道開発庁としてたたき台にする案の検討内部でやっていた、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。全く根拠ないのかどうか。
  37. 田中貞夫

    説明員田中貞夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、いろいろと勉強はいたしておりますけれども運輸省御当局も、基準案といったような形のものについて内々の御相談がございますけれども政令案といったような形のものについての具体的な御相談の場ではまだございませんので、いろいろな勉強をしている中で、何といいますか、報道機関としての観測をなされておるのじゃないかと、こういうふうに私どもなりに考えておりまして、繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども国鉄北海道開発に重要な役割りを果たしてきた、基幹的交通網の一環としての役割りを果たしてきた、こういう経緯を十分踏まえまして、今後政令協議段階十分協議を尽くしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、この北海道新聞の発表については、これは新聞社の方の考え方で出ているもので、開発庁として固まったものではない。しかし、合議を受ける段階開発庁としては、必ずしもこの案ということではないけれど、北海道の開発の促進にマイナスにならないような主張はしていく。たまたまそういう内部のいろんな検討資料の一部がこういう形であらわれたのじゃないか。こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  39. 田中貞夫

    説明員田中貞夫君) どういう形で報道されましたのかは、私直接かかわっておりませんのでにわかにお答えしにくいのでございますけれども先生からお話しがございましたように、私どもといたしましては、地元意見、御意向といったようなものも今後とも十分聞きながら、先ほどもちょっと触れましたように、新聞等で報道されている考え方地元意見という中にもそれなりにあるのではないかというふうに思っておりますけれども、その辺をひとつ踏まえまして、総合開発の推進に支障を及ぼさないように、各般の施策を講ずる一環として協議をしていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、いまお聞きのように、この国鉄再建法案、これが施行されますと最も大きな影響を受けるのが北海道なんです。それだけに北海道の自治体では、もういま何をおいてもの大問題でございます。それで、運輸の所管の問題といいましても、地域関係することではこれはもう地方行政に及ぼす影響が最も大きいというふうに理解しても差し支えないのではなかろうか。しかもいま運輸省は、地域意見を聞くということになれば、最終ぎりぎり詰めていくとやはり首長意見あるいは知事意見というふうなものが、何といってもその地域の一部でなくて全体を代表するという理解で受けとめることになるというような意味の御答弁がございました。そうすると、これは自治省として、この国鉄再建整備法というのは所管事項でないと言って見逃しにすることのできない重要問題ではないかと思います。この点について、この法案の成り行きあるいは法案の中身、これらについての大臣としての現在におけるお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  41. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 現在御審議願っております国鉄再建法案につきましては、政府部内におきまして十分検討を重ねた結果提案申し上げ、御審議をお願いしておる次第でありまして、ぜひとも一日も速やかに原案どおり御可決くださいますように心からお願いを申し上げる次第でありますけれども、御指摘のとおり、国鉄は国民の欠くことのできない必要な足でございます。特に北海道は、面積も広うございまするし、さらに積雪等他の地方よりか国鉄に依存しなければならない度合いも非常に高いと思います。御承知のとおり北海道は日本でも特別大事な地域でありまして、旧幕、さらに明治政府以来、北海道の地位というものを重要視して今日に至っております。そういう経緯からかんがみましても、特に北海道国鉄という問題につきましては慎重に検討していかなきゃならぬと考えております。  それで、法案は原案どおり御承認いただきたいと心から願いますが、まだ重要な部分が政令に残されております。法律作成段階において、またその後におきましても、運輸省自治省双方あれこれ政令の内容等について協議しておるようでありますけれども、もちろん自治省としまして、非公式に運輸省からお示しくださいましたような案につきまして賛成という態度をとっておりません。私の考えといたしましては、何と申しましても、何とかして関係都道府県知事の同意をどうしても得た上で政令にサインしたいと考えております。そのためには、知事会等にお願いいたしまして、まあ本会議でも申し上げましたが、法律案に対しては知事会等も意思表示いただいておりますけれども反対反対というだけでありまして、いよいよそれじゃ廃止された場合にどうするかという具体案についての御提言、御注文、まだ承っておりません。でございますが、この段階になりますれば、法案はあのとおり通していただくとしまして、その上で、それじゃどうするかという問題について意思表示受けておりませんので、知事会にもお願いしまして、何とかして知事会としての御意見を早く私の方にいただきたい。それをもとにしまして知事会の代表と今後よく御相談申し上げ、曲がりなりにも全国の知事会、関係都道府県知事の御承認をいただいた上で政令案にサインしたいと、こう考えております。  幸いきょうは運輸省の国有鉄道部長さんもいらっしゃっておりますので、この公の席で国有鉄道部長さんにも特にお願いを申し上げる次第であります。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 さすがに地方自治の大先輩の大臣だけに、地方自治体に対する非常に深い理解のある御答弁をいただいたと敬意を表します。しかし、ただ、その点の理解の深いということには敬意を表するんですが、国鉄再建法案を原案どおり通すことが望ましいという点については、ちょっと自治大臣という立場からいって——これはまあ大臣ですからそういうことになるかと思いますけれど、先ほどから話のございましたように、地方意見ということ、これは今度の再建法案にも当然出てきていることですが、これはやはり知事なり市町村長なりが重要な役割りを持つし、その知事市町村長は、これは先ほど林野の問題と違って、明らかに皆さん反対しているんですね、現段階で。そうすると、これはこの法案反対しているんですから。政令案反対しているわけじゃないんです。ですから、法案審議段階で自治大臣としてはそれら地方自治体の各級首長の意向を体して、もう少しはっきりさせろということをやはり閣議その他で主張していただいてこそ名大臣ということになるのじゃないでしょうか、いかがでしょうか。まず通してから相談するというのでなくて、いまもう各首長反対しているんですからね。これだけ反対のあるものをこのままストレートに進めるということはちょっと問題があるのでないか。もっと中身を詰めた発表をしないと、かすみのかかったような再建法案のままでは困るというようなことにはなりませんかね。
  43. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) お言葉、ごもっともなようにも拝聴いたしますけれども、御承知のとおり、すでに政府は責任を持って法案を提案し御審議をお願いいたしておりますので、この段階におきまして、法案そのものについて関係都道府県知事あるいは市町村長さん等の御意見を改めて聞き直すという意思は持っておりません。御承知のとおり、政令にゆだねられております点、決め方いかんによりましてはある程度の御理解関係都道府県知事あるいは市町村長さんの御理解を得られる余地が残っておるように私は考えております。ただ、それを実現する力が私にあるかどうか、これはまた別の問題であります。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあこれは再建法の論議でないので……。自治大臣としてはできるだけ地方意見が入るような政令段階での努力はするというふうに受けとめてよろしゅうございますね、その点は。
  45. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) そのとおりであります。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 一応この問題はそういうことなんですが、後、これからなんです。そこまではまだわかるんですが、第三セクター、この問題がございますね。これはもう明らかに自治大臣権限に踏み込んだ法案ですわね、地方自治体も入れるというんですから。こういうことが一体自治省所管の中で十分な論議がされないで法案の中に盛り込まれていくようなことについてはどう考えますか。
  47. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 申し上げるまでもありませんけれども、第三セクター云々なる言葉は法案の中にはないわけでありますが、国会等の御審議段階におきまして、第三セクターなるものについての主として財政面からの考え方につきまして、「運輸省及び自治省の統一見解」というものを作成し、当該委員会におきまして運輸大臣から表明いたしておる次第でありますので、御了承賜りたいと思います。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、第三セクターというふうな構想については自治大臣も了解しておるわけですか。
  49. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 了解しておるとおっしゃいましても、いいものだという意味で了解しておりはしません。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変迷答弁で、メイというのは米にしんにゅうの方の迷答弁で、ちょっとわからないんですがね。共同見解というふうなことで運輸大臣が発表したというんでしょう。それについて自治大臣が知らないわけはないですわね。そうすると、それはいいものでないけれども了解したということなんですが、いいものでないのでわしはどうも立場としては賛成しかねるということなんですか。どっちにもとれるような……。
  51. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 統一見解そのものにはもちろん異議なく賛成でありますけれども、統一見解は、第三セクターは大変いいものだという統一見解にはなっておりません。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあそういう考え方もあり得ると。何といいますか、地方で希望すれば、というようなことでしょう。
  53. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 私の考え方、統一見解が、あるいは間違ったお考えをお持ちいただく結果になるかもしれませんので、恐縮でありますけれども、統一見解をここで読ましていただきたいと思います。    運輸省及び自治省の統一見解   御審議をお願いしている法案は、国鉄再建の重要性から関係省庁了承のうえ、提出されたものである。   ただ、特定地方交通線の第三セクターによる鉄道輸送への転換については、現状からみて、第三セクターにより経営する場合でも赤字が生ずるおそれがあるので、地方公共団体が第三セクターに参加することについては、その財政負担を慎重に検討したうえ対処しなければならない。  以上であります。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこでもう具体的に、法案とは別に、福島県と栃木県との間に、新線が途中でストップしているのを第三セクターでつないで運行するというふうなことが進められておりますね。これは運輸省にお聞きしますが、どういうシステムであれはやられることになるんですか。
  55. 永光洋一

    政府委員永光洋一君) 二つ問題があると思いますが、一つは、現在動いておる鉄道の線路につきまして、地方交通線あるいは特定地方交通線として選定されたものについて、これを国鉄として廃止した場合に、これをバスに代替させるか、あるいは地元が希望された場合に第三セクターとしてなお鉄道輸送、いわゆる第三セクターなり民営鉄道として転換するかという問題。それから別途、いわゆるAB線と申しますか、新線を現在鉄建公団で四十線ほど基本計画に定められておりますものがあるわけでございますが、これにつきましても当然既存の鉄道の廃止もしくは存続の基準と同様な考え方でAB線の建設あるいは中止というようなものを考えることが整合がとれた考え方ではないかと思います。  したがいまして、そういう意味から、仮にと申しますか、AB線の建設予定路線の中で、建設しても将来特定地方交通線に該当するであろうというようなものについては、これは現在建設を一応ストップしておるわけでございますが、地元で鉄道として第三セクターなりあるいは民営鉄道として建設を続行してもらいたいと、こういうようなところにつきましては、検討をいたしまして、さらにその計画がしっかりしたものであれば新線の建設を続けていきたいと、こういう考え方でございまして、先生が言われておりますのは野岩線だと思いますが、これにつきましても、両県あるいは地元市町村、あるいは地元の交通関係事業者等等が話し合いをしまして、何らかの形での第三セクターのような形態で建設後は運営するというような考え方がございますので、現在その推移を見守っておるところでございます。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 この経緯については、自治省の方では報告を受けておりますか。
  57. 大嶋孝

    説明員大嶋孝君) 報告を受けております。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、すでに第三セクターという問題はもう走り出しているんです。ただいまのような形で。そうすると、やっぱりこれに対する自治省側の見解というものをこの際はっきりしておいていただかないと、いたずらに揣摩憶測が乱れ飛ぶことになるのではないかと思います。  それで、報告を受けておるのですから、検討はしておると思います。これは自治省としても了解をするおつもりなんですか。それはだめだと言うおつもりなんですか。それとも検討中ということできようのところは逃げの手を打つと、こういう三通りあるわけですが、どれなんでしょう。
  59. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 間違っておりましたら政府委員から答弁させますが、本会議でもたしか申し上げたと思いますけれども、明治初年以来百年余に及んで鉄道輸送の経験をお持ちの日本国有鉄道さんが御経営になっても赤字が出るというものを、第三セクターなどいうもの——いわば素人です。素人がつくりまして国鉄さん以上の合理的な経営が、私はできるとは即断しかねると思います。したがいまして、地域住民がどうしても鉄道が要るというのなら、正直申しますと、もう赤字が出ることを覚悟でやろうかというぐらいな決心がないと第三セクターによる鉄道運営というものは不可能ではなかろうかと思います。  ただ、現在の国鉄さんの状況を私よく知りません。国鉄さんが百余年にわたる伝統をもって本当に合理的に、みんなが一生懸命におやりになっておるものかどうかという点につきましては、世間に若干の批判があります。第三セクターという本のをつくれば、大変失礼な話でありますけれども、現在の国鉄さんよりか、より合理的な経営ができるのだというのならば、またこれは話は別で、財政負担もなしに済む可能性もある。そこで、慎重におやりいただきたいという統一見解になった次第であります。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変歯切れがいいんですけれど、よく聞いておるとわからなくなってしまうんです。  それで、事務当局の方でお答えいただきたいと思うんですが、一体福島と栃木を結ぶ線については、自治省としてはオーケーを出したんですか、出さないんですか。
  61. 大嶋孝

    説明員大嶋孝君) いずれにいたしましても野岩線の問題につきましてはまだ、将来の問題ではございますが、自治省としていま結構でございますということは申し上げておりません。ただ、地元の方からは、将来ともうんと努力をいたしまして、採算的に十分とれると思いますという報告を受けているという段階でございます。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは長期的な財政の見通しが必要なんです。そういう点で、さしあたって、黒字になるということの長期計画の報告を受けていますか。どちらでしょう。
  63. 大嶋孝

    説明員大嶋孝君) さしあたっては赤字でございますが、長期に見ると黒字になりますという報告を受けております。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 法案のあれと、ちょっと問題がぼけますので、ひとつ第三セクターということについての自治省としての考え方、これにしぼってお聞きしますが、いま具体的な問題が出ておるのですけれども、さしあたって赤字だけど将来黒字だなんて、そんなことにはなかなかならぬと思いますよ、実際問題として。それで、一体第三セクターということを基本的に推進する考えなのかどうか、自治省としての見解をひとつ。これは大臣でなくてもいいですが。
  65. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) ただいまいわゆるAB線の野岩線についての実例を中心にお尋ねがあったわけでございますが、きわめて財政的な関連が深いので、私からお答えをさせていただきたいと存じます。  全国的なネットワークとしての国鉄というものがあるわけでございますし、その経営は本来その意味では国鉄責任であり、また、いままでの国と地方との財政秩序という面でも、地方の分野として財源配分がされておるわけでもありませんので、基本的に地方がそういうものに参画することはどうであろうかというふうに私どもは従来から考えておるわけでございまして、その意味で地方団体が国鉄に関連する第三セクターに参加することについてはきわめて慎重でなければならないということを考え、そのように指導もいたしております。  ただ、きわめて論理的に詰めていきますと、第三セクターというものに地方団体が加わるということは、法律的に違法であるかとなれば、それは必ずしも違法とは言えない。しかし、いま申し上げましたように、過去の長い間の経緯、財政秩序の面から問題があるだろうということで慎重な対処を求めておったわけでございます。そういった意味で、加わって、問題が起こったといっても、なかなかこれについては財政措置はできない。地方団体の共通の財源から、そういったことをやられたために生ずる恒久的な赤字を埋めていくということには問題があろうというふうに考えておるわけでございます。  そういったのが私どもの立場でございまして、そこで今回の特定地方交通線廃止という問題がまた出てきたわけでございますけれど、これが廃止されるということになりますと、結果的には代替交通機関の確保ということがどうしても必要になってくるわけでございます。それについては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、別に法律で、第三セクターでやるとかどうとかということがあるわけではございません。いろいろ協議をしてやる。その中では、バス転換もございますれば、それから民営移管もございましょうし、また、第三セクターという方式もあると、いろいろな方式の中の一つとして出てきておる。しかし、そういった意味で、いろいろな方式があるということを私ども否定するわけではございませんが、第三セクターについては大臣がたびたびお答えいたしておりますように、また、ただいま私が一般的な意味で地方団体の加わる第三セクターについて慎重でなければならないと申し上げた意味において、この点についてもいまのような状況、財源配分等を前提とする限り、地方団体が加わることは慎重でなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 はっきりお答え願いたいんですがね。第三セクターその他の代替輸送で赤字が出ます、地方自治体に。この場合に、これを地方の固有の財源である交付税の基準財政需要額の中に織り込む意思はあるかないか、これをひとつお答え願います。
  67. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) ただいま申し上げた意味におきまして、これを交付税等で半恒久的に補てんをするといったようなことは考えておりません。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 運輸省、それから開発庁林野庁お引き取り願って結構です。どうもありがとうございました。  次は、竹島の問題について、実は先般、実情を報告してほしいということで依頼をしておきましたが、その点について、自治省として調査をした状況を御報告願いたい。
  69. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 竹島につきましては、島根県の隠岐郡五箇村の沖合い北西八十五海里にありまして、東西二つの島と数十の岩礁から成っているものでありまして、その面積は〇・二三平方キロでございます。これにつきましては、明治三十八年の閣議におきまして竹島と命名することを決定をいたしております。と同時に、隠岐島司の所管とされたのであります。さらに、昭和十四年の四月二十四日に島根県隠岐郡五箇村に編入をされまして、現在も同村に所属をいたしております。  竹島は、ただいまお話しを申し上げましたように、歴史的事実に照らしましてもわが国の固有の領土でございまして、現在韓国が同島を不法に占拠を続けておる状態にございます。したがいまして、行政権の行使が事実上できないという状態にございます。この問題は、やはりあくまでも平和的な手段によりまして解決をされることが望ましいことでもあり、外交上の経路を通じまして一日も早く問題が解決されることを期待をいたしておるわけであります。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 自治省としても不法に占拠されているという事実の認識はあるわけでございますね。
  71. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 先ほど申し上げましたように、竹島は古来からわが国の島でございますから、そこに韓国が入っているのは不法としか申し上げようがございません。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 島根県はあの地域に対して漁業権の設定をしております。これは昭和五十八年までの漁業権。これが現在行使できないような状態にあるという事実も御存じだと思います。こういう状態にある地方自治体の現況について、自治大臣は、これは外務大臣に対して原状への回復方というふうなものを強く要望していただかなきゃならないと思うんですが、その点についていままでどのような取り進めをしたか御報告願いたい。
  73. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 先ほど申し上げましたように、この竹島は本来わが国の固有の領土でありますし、外務省自身もわが国の領土であるということでございますので、何回となく韓国の方に不法占拠を解くように交渉をいたしておるようであります。  先ほどお話しがございましたように、島根県の方からイカ釣り舟が参りましても韓国の軍艦なり巡視艇に追い払われておるという状態が続いておりますし、五十五年の五月に参りましたときも、境港から出ましたイカ釣り舟がやはり戦闘機のスクランブルによりまして同島に近づけずに帰ってきたという事実がございます。その事実は把握をいたしておりますが、そういう状態は島根県自身も存じておりますし、海上保安庁の方でも存じておるわけでありまして、自治省自身が外務省に特段この竹島について早急に復活しろということを申し上げなくても、いろいろな点で世間的にわかっていることでもございますので、私の方から外務省に、竹島について一刻も早く島根県の行政権が回復するようにということを申し上げたことはございません。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもそこのところが私はおかしいと思うんです。というのは、自治省の所管事項でしょう。所管事項が侵されているんですよ。そうでないんですか。
  75. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 自治省の所管事項ではないのだと私は思っておるわけであります。日本国の問題でございまして、竹島の不法な占拠というのは外交で解決されなきゃならぬということが明白になっているわけでして、この問題につきましては国自身がやはり政府といたしましてやらなきゃいかぬ。そういう意味では関連はございますが、やはり外交のルートを通じてこの問題が回復されるように願っておるというのが先ほど申し上げた答弁でございます。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 それがおかしいんですよ。私は、外交が自治省の所管事項だと言っているんではないんです。いいですか。島根県の五箇村という村、ここに起きている問題なんですよ。この村に起きている問題、自治省の所管事項でないんですか。これはもう大問題なんです。
  77. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 竹島における、あるいは五箇村における行政全部が自治省の問題であるわけはもともとございませんで、いろいろ五箇村にある固有の事務もありますし、五箇村自身がやはり公共団体として独自に行政を執行しているわけでありますから、自治省がこれについて、どうのこうのという問題ではない。ただ、国全体としてはこういう問題について関心はありますし、そういう意味について関連があるというふうに申し上げているわけであります。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、町村が非常に困った段階で、県知事もこれ一生懸命になっております。それでこのことについて県知事は、自治省の方には、何にもこれはあなたの方に関係ないということでもって、言ってきていませんか。言ってきておるでしょう。
  79. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 私の方に知事から、そういうお話を聞いたことはございません。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 ないですか。
  81. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) はい。
  82. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、この種の問題については全然自治省には地域からは来ていないから——これは私は知事にもまた連絡したいと思います。自治省こう言っているよと。全然来てないと。私は少なくとも、県が非常に一生懸命になっています。そして北方領土の問題と比べると看板の出方もないしというふうなことで、地域は非常に残念がっているんですよ。しかしやっぱりその村にしてみれば大変な問題です。行政権の行使が行われない。しかもおたくの方は、そこは基準財政需要額の数値の中に入れているんですからね、面積を。交付税の計算の。入れているんだから、私は関係ないことない、村の問題は自治省の所管だというふうに考えるんですがね。どうなんでしょう、全く自治省としては、それは外交上の問題で、町村が困ろうとどうしようと、直接外務省へ行ってくれというものですか。事ごとにおたくたちは、町村や県はまず自治省を通せと言っているじゃないですか。
  83. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 私が申し上げているのは、その自治体の行政権の行使ができなくなっている状態を回復するということについて、外交上の手段を講じなければ戻りませんと申し上げているわけであります。そういう意味で申し上げているわけでございまして、村自身の全体の問題が自治省と全く無関係であるということを申し上げているわけではありません。  また、竹島問題に関する問題につきましても、御案内のとおり、島根県竹島問題解決促進協議会というのがございまして、そこから外務省なり水産庁に陳情が出ているというのは承知いたしております。ただ、私が記憶する限り、私のところに来たことがないということを申し上げておるわけであります。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、この竹島の問題——北方問題というと非常にこう大きく出てきますけれども、対韓国の問題になりますと、どういうわけか非常に皆さん冷たいんですよ、いまのように。私は何も五箇村の行政の中で、特にそれは外交に関する問題だから所管でないと言われても、やはりこれ、村の問題というのは、あるいは県の問題というのは、自治省関係ないことないはずなんですよ。特に基本的な土地の問題が絡んでいるんです。何にも言ってこないから知らないというような冷たいことじゃ——大臣は隣の選挙区ですけれども、境港が一番このことで被害を受けているんだから、あそこはおたくの選挙区だからよくわかっていると思うんですがね。一体大臣、どうしてこんなに冷たいんですか、対韓国の問題になると。
  85. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 自治省が冷たいわけでもございませんし、行政局長がお答え申し上げたのも、単に無責任自治省関係しませんと申したのではございませんで、一自治省などでとても解決する問題ではありませんと。島根県知事関係者も、なるほど行政局長にはお見えになっておりませんでしょうけれども、問題は、行政局長などに話してみてもとてもこれは解決する問題じゃないということであろうと思うんです。(笑声)お話にもございましたとおり、私も十五年間ばかり鳥取県知事をしておりまして、あそこは非常な漁場なんです。苦労しました。それから参議院に籍を置きましてからも、当委員会委員長さん等を初めありとあらゆる関係者には陳情した、お願いした経験を持っております。  韓国なら何か遠慮しておるんじゃないかというような御指摘もありましたが、私はそういうことは、政府全体としてないであろうと思います。ただ、実際問題として、あそこに若干の守備隊、守傭兵のごときものがおるということは承知いたしておりますけれども、あそこに軍事基地をつくっておるというようなこと、もちろんそういう余地もありませんし、聞いておりませんし、韓国とはすでに現在国交は正常に保たれております。他方、ソビエトロシアとはまだ平和条約が締結されていないというような相違もあります。そういう点で、おのずから北方諸島と竹島に対する日本政府の扱いというものは若干あるいは差が生ずるかもしれませんけれども、これは特にどちらをどうこうしようという特別の意思ではなくて、事の次第で当然そうなるのだということであるいは両者の取り扱いに差ができておるのではなかろうかと思いますが、これは私所管の大臣でもありませんし、また、国務大臣としましても、見識を持っておりませんので、もしも間違いましたら御容赦願いたいと思います。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 大胆、自治省というのは、都道府県が子供だとすれば市町村は孫のようなもので、一つのあれですね、相互に。そうすると、その孫がたとえば小指の先を痛めても、やはりその痛みを分け合ってあげるということが地方行政であり自治省の姿勢でなきやならないと思いますが、いかがですか。
  87. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 一般論といたしまして、丸谷委員の御指摘当然のことと承知いたしております。
  88. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしましたら、これは自治省の方には頼んでないということですから、島根の知事さんに先般私もお会いしてきました。これはやはり自治省にも報告しなきゃならないし陳情もしなきゃならぬ問題だと思いますよ。しかし、来ていないから知らないということはこれはいけないと思うんですよ。やはりこれは何とかしてくれといって外務省に、一年に二回や三回、閣議のときでも大臣が、事情はわかっているんですから、言ってあげるくらいの親切が町や村に対してあっていいんじゃないですか。どうですか。
  89. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) できるだけ御要望に沿うように努力したいとは思いますが、重ねて申し上げますけれども、自治大臣として私が申し上げなくても、外務大臣あるいは総理大臣、もう篤と御承知と思いますが、まあせっかくの御指摘でありますので、機会を見まして島根県知事あるいは五箇村御当局の御要望が実現しますように努力さしていただきたいと思います。
  90. 丸谷金保

    丸谷金保君 外務省来ていただいておりますが、いま外交交渉の経緯はどんな内容になっておりますか。大臣にやつぱり事実認識をしておいていただきたい。
  91. 股野景親

    説明員股野景親君) お答え申し上げます。  ただいまお話しのございました竹島の問題につきましては、これまで外務省といたしまして鋭意韓国側との折衝を重ねに重ねてまいったわけでございます。  最近の折衝の状況でございますが、最近は、例年にわたりまして海上保安庁による竹島の巡視を行っております。その巡視が昨年の十月に行われました結果を踏まえまして十二月に韓国側に対して抗議をいたしました。その際、わが方として、竹島がわが国の固有の領土であるということは明白であるという立場を改めて述べるとともに、竹島にあります構築物等を即時撤去するよう申し入れ、この問題の解決ということについての強い申し入れを行った経緯がございます。  その後、ことしになりまして二月に、大来外務大臣より在京の韓国大使に対しまして同様この竹島問題の解決についての申し入れを行いました。さらに、ことしの四月でございますが、韓国の外務大臣が日本に参りましたときに、大来外務大臣より、外務大臣レベルで改めてこの問題についての申し入れをさらに行ったという経緯がございます。  また、ことしの海上保安庁によります巡視は去る九月に行われまして、現在まだ外務省としてはこの正式の報告書を海上保安庁より受領いたしておりませんが、この正式の報告書を受領し次第、再度韓国側に対してわが方の立場を強く申し入れる所存でございますし、この問題につきましては、平和的に解決したいというのが私どもの基本的立場でございますが、粘り強くこの問題について解決をいたしてまいりたいと存じております。  また、先ほど指摘のありました地元の皆様の御要望等についても、外務省としても十分踏まえまして一層の努力を傾ける所存でございます。
  92. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題につきましては、漁民の方の被害が一番多いので、よく水産庁へも行くようですけれども、これは本質的に水産庁で、先ほど大臣が言ったように、片のつく問題でない。やはり当面の問題としては外務省だということを私も申し上げておきました。私のところへも来ましたので。  それで、ちょっともう一点だけ聞いておくんですが、これはいまいろいろな政情の関係でいつとは定かでないでしょうが、外務省として日韓定期閣僚会議の議題としてのせるという考えはありますか。
  93. 股野景親

    説明員股野景親君) 現在、日韓閣僚会議の問題につきましては、わが方の外交上の日程あるいは政治上の日程等を勘案して検討するという状況でございまして、まだ開催のめどを得るには至っておりません。したがって、具体的な議題の中身についてもまだ考えるには至っておりません。
  94. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、日程に上ってきた場合に考える余地はあるんですか。どうなんです。
  95. 股野景親

    説明員股野景親君) 先生御記憶のことと思いますが、一昨年の日韓定期閣僚会議の際に、外相同士の話し合いでこの問題が話し合われた経緯がございます。今度の閣僚会議のときにも、この前そういうことがあったということを踏まえまして対処いたしたいと存じております。
  96. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもありがとうございました。外務省結構です。  それから建設省。実は滋賀県で、町が建設省から大分怒られているという、公営住宅関係の問題ございます。ちょっと事実関係を。
  97. 佐藤和男

    説明員佐藤和男君) お答えいたします。  先生のお尋ねは、滋賀県の甲西町という町でございますが、ここで昭和三十六、七年に建設いたしました公営住宅の団地がございまして、これを、老朽化により居住の用に供することができなく、かつ、翌々年度、五十三年度にこれを建てかえたいということを理由として、昭和五十一年の七月の二十六日付で滋賀県を通しまして私の方に公営住宅法の第二十四条の第三項に基づく用途廃止の申請があったものでございます。これを同年の十一月の三十日付で建設大臣の承認をしたものでございますが、先般建設委員会でお尋ねがございまして、事情を滋賀県を通じまして事実関係調査いたしましたところ、用途廃止後その用地の一部が、五十四年の十二月から本年の三月にかけまして、建てかえられることなく民間に売却されているという事実が判明したものでございます。
  98. 丸谷金保

    丸谷金保君 それに対する処置をどういうふうに。
  99. 佐藤和男

    説明員佐藤和男君) 本件につきましては、いまほど御説明いたしましたように、公営住宅法の二十四条の三項で、建設大臣といたしましては、五十三年に建てかえることを前提といたしまして、同条の用途廃止についての承認をいたしたものでございます。したがいまして、事実関係調査いたしましたところ、その承認の内容に適合していないということが明らかになりましたので、滋賀県を通しまして、かつ直接町長さんにお会いいたしまして、できるだけ早急に原状に回復されるよう要請しているところでございます。
  100. 丸谷金保

    丸谷金保君 自治省にお尋ねしますけれど、この公営住宅の老朽化したものの用途廃止、これは建設省は非常に厳しいんですよ。これらについて、もう全国的にそれがある。それで仕方なしに建設省の言うような形で書類を出さざるを得ない。しかし、その地域の実態はそうでもない、こういうふうな例がよくあると思うんです。財政上の事情からある程度売却もして、それを財源にして新しいのを建てていこうというふうな自治体経営の段階での苦労というのは随所にあると思うんです。  こういう点について、いまの公営住宅法、それから、そういう用途廃止問題等について、町村の側に立って自治省としてもう少し建設省との間の詰めをやっていただかないと、まあこれはあらわれたのは一つの例ですけれどね、大変そういうことで苦労している町村が多いと思うんですがいかがですか、その実態。
  101. 大嶋孝

    説明員大嶋孝君) 確かに御指摘の点はあろうかと思います。具体的に例を出されました甲西町の場合は、承認に違反して譲渡しておるわけでございまして、手続的には問題があると言わざるを得ないと思いますけれども、一般的には今後地元市町村の意向を尊重しながら用途廃止、あるいは譲渡といった適切な運用が図られるように今後建設省と協議をしてまいりたいと存じております。
  102. 丸谷金保

    丸谷金保君 建設省の方でも、これは書類上の形の上だけでなくて、町村の実態の中で、本当に後建てかえていかなければ、その土地を使わなければ住宅事情が困るのか、そういう実態の中での許可基準をもう少しちゃんとしてもらわないと、非常に苦労してということがありますのでね、そこら辺考えていただきたいと思うんですが、いかがですか。ただ規則違反だというようなことでなく。
  103. 佐藤和男

    説明員佐藤和男君) 本件の実例になりました甲西町は、最近工場団地等が入りまして非常に住宅事情が逼迫している。公営住宅需要は非常に強いところというように承知しております。まあ一般論といたしまして、公営住宅そのものはできる限り長期間、低廉な家賃で住宅に困窮する低所得者の方に供給するという本来の義務がございまして、これを中途にして廃止するということは、やはり公営住宅法にもございますように、特別の事情によりこれを建てかえるとか、ないしは都市計画事業のような公益的事業にこれを利用するという場合に原則的に限られるものでございまして、先生指摘のように、住宅需要が全く閉塞いたしまして、今後そこに、公営住宅に入居する可能性がないような場合、それはやはり当然そのような形で用途廃止処分がされ、売却されるものというふうに理解してございます。
  104. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは違うんですよ。たとえばいま用途廃止しよう、そして壊してしまわなければならぬというふうな公営住宅というのは、もう昭和二十年代から三十年代の初めにかけた非常にもう老朽化している、そういうのが多いわけです。ところが、それらを、私は現場へ行ってみないから確たることはわかりませんけれども、恐らくこれは全国にそういう例たくさんあるんですが、そうすると、後高層の公営住宅に直すと、用途廃止をしてもらうことによって非常に今度は住宅事情にもプラスになるし環境のいいものに建てかえることができるんです。ところが、おたくの方は面積を絶対減らしちゃだめだというようなことに固執するから、古いやつをそのままにしておかなければならない、こういう実情が各地にあるんですよ。だから、たとえば十のうちの三売って、あとの七でいままでよりも環境のいい住宅団地ができる、そういう場合でも、売っちゃだめだというからやれないで、古いままでがまんしなきゃならないというところがたくさんあると思うんです。原則としてとおたく言われるけれど、その原則が余り強過ぎるんだから、そこをひとつ自治省も考えて、そういう点、ひとつ遺漏のないようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  106. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行政改革に関する調査を議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  107. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 きょうは時間がないものですから、一点にしぼって詰めてまいりたいと思うんですが、ちょうどまた大臣が衆議院の方に十二、三分取られたらしいですから、少し細かいことから先に入りたいと思います。  犯罪被害者等給付金法がこの委員会でことしの四月に成立しましたですね。その関係と閣議決定の問題を中心にきょうはお尋ねしたいと思うんです。  まず、公布されて、来年の一月一日施行ということで来ておるんですが、附帯決議の中でつけられた問題がどう処理されておるか。あの第三項の、裁定の調査のための専門委員選任ですね、これで附帯決議を、より公正、厳正に人選をする意味でつけておるわけですけれども、これが一体どのようにいま進められておるかということが一つ。それから四の、被害者の帰責事由、申請手続、こういったものの政令、規則などがどのように進められておるか、その点ひとつお尋ねしたいと思います。
  108. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。  専門委員関係につきましては、現在人選をいろいろと検討中でございます。それから、政令、規則の関係でございますが、政令は十一月の四日に公布になっております。現在国家公安委員会規則を作成中でございます。非常に他の官庁とのいろんな調整がございますので、慎重にいろいろと配慮しながら現在作成中でございます。
  109. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 専門委員は、いつごろまでをめどにしておるんですか。
  110. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ちょっと現在のところ、時期は申し上げることができないのを残念に存じます。
  111. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 附帯決議の中でも言っておりますが、これはなかなか、裁定をするにしても調査をするにしても、公安委員会ですが事実上は警察がやりますからね。そこで特にそこら辺は配慮して、刑事学とか社会学とかそれから実務者の専門家を加えるなりして、公平な調査ができるような専門委員をひとつぜひやるべきだという決議をつけておるわけですが、そういう点については、何か選考その他の中で異論とかそういうものが出ておるんですか。
  112. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) いまお話しのございました、それぞれ専門的な知識、経験を持った人ということで現在検討中でございます。
  113. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこら辺は決議を生かして十分、後で問題にならぬようにひとつ要望しておきたいと思います。  それから、この決議の五にあります犯罪被害者の遺児ですね、これに対して奨学資金ということについては、けさの新聞でかなり大きく報道されておるわけですが、これは、新聞を見ますと、十五億近い資金がめどになって、そしてそれぞれの額の給付の内容まで出ておるわけですが、このように新聞の内容をこのとおりに理解していいんですか。どうなんですか。
  114. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 大体いまのところ構想として警察庁が持っておりますのは、おおむねこのような線でございます。
  115. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これにはあれはないですね、もう一つ同時に決議の中にあります重度障害というのですか、それはどういうふうになっているんですか。
  116. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 警察庁として持っておりますのは、遺児育英のほかに、いまお話しのございました重度障害者に対する一時金の支給ということも構想の中に入れております。新聞に載っておりますのは、その点が外れて掲載されておる、こういうふうに理解をしております。
  117. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その中身を言ってください。どういう構想なんですか。
  118. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 重度障害につきましては、障害の程度を一級から三級までという線で、これは過去のこういった事案の被害者でございますが、その方が生存しておる場合には一時金として——これちょっと金額はまだ現在検討中でございますが、見舞い金といった性格のものを差し上げる、こういうことで現在検討しておりますが、その人数、額、その他についてはいまのところまだはっきりした、固まったものはございません。
  119. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、新聞によりますと、遺児の場合は全部で千三百六十八人。小学生四百五十一人、中学生三百三十二人、高校生三百七十八人、大学生二百七人と、これが五十三年度という前提で出ておるんですが、これは間違いございませんか。
  120. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 五十三年度の実態調査の結果の数字でございますので、間違いございません。
  121. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、いま現在ではどういうことになるんですか。
  122. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 五十三年度の実態調査の数字で私どもの方で把握しておりますのは、この新聞に出ておりますように小学校から大学まで総計で千三百六十八人を把握しております。
  123. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう一遍言ってください。
  124. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 五十三年度の実態調査の結果で把握しておりますのは、小学生から大学生まで総計で千三百六十八人でございます。
  125. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いや、それは五十三年度でしょう。私が聞いておるのは、いま現在はどうですかと聞いておるわけです。
  126. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ただいま現在は、実態調査を、現在新たに調査を計画中でございますので、この五十三年の調査結果以外のものはただいまは把握しておりません。
  127. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、さっきの重度の方については全然概数もつかんでいないんですか。五十三年度はつかんでいるんですか。
  128. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 重度の障害を受けた被害者数につきましては、五十三年度の調査の際は大体死亡被害者数の約一〇%ということで把握しておりますので、まあ大体そういうふうに考えております。
  129. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 一〇%というと、大体数は何ぼですか。
  130. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 百二十名程度というふうに把握しております。
  131. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは何年を区切りにしておるんですか。とにかく重度障害者は、事件によって生き残って重度障害になっておる人すべてを指すのですか。それとも二十年前なら二十年前にさかのぼってということなんですか。そこら辺は遺児の問題を含めてどういう物差しでしておるんですか。
  132. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 重度障害者は、前にさかのぼります年数の方は特に指定をしてございません。要するに、生存していらっしゃる方ということで考えております。  それから、遺児育英の制度につきましては、五十三年当時、そういった通り魔犯罪による被害者の遺児で、小学校から大学校までその当時在学しておると、こういう方の数を把握したという状況でございます。
  133. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いや、私はきょう新聞を見て、遺児の問題しか出ていないでしょう。だから重度の人の場合には、これはやっぱり警察調査だけじゃなくて、本人からの届け出も必要だと思うんですけれども、そういう意味で何かこう配慮、配慮じゃないけれども、余り出たら困るということも含めて出さなかったのだと思ったんだけど、そうじゃないんですね。資料は出したんだけれども、新聞の方が出さなかったと、そういうふうにとらえていいんですね。
  134. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) この新聞の記事は、特に取材のためにこちらから資料を提供したというものではございません。
  135. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それはわかりましたが、せっかくの制度ですからね、徹底して、漏れのないようにぜひ集約してほしいと思うんです。その点ひとつお願いしておきたいと思います。  それから、内閣来ていますか——九月十九日に、新宿事件の問題で、閣議決定で特別支給金を給付するという決定を行ったわけですがね。この点につきまして志苫議員の方から十月二十三日に本委員会で質問をして、それぞれ政府側の答弁もいただいているのを、私も議事録を見ながらまた勉強をさしてもらったんですが、どうも答弁を見ると解せないというか、納得がいかない点がたくさんあるわけですけれども、とりわけ、あなたの説明を聞いていますと、言うならば、端的に言えば、犯罪被害者救済法がある、ただ、これは施行日が来年一月一日になっておる。そこで、それを前提に置いて何とかできないものかということがこの趣旨で、閣議の中で議論をして、そこで持ってきたのが四十八年に制定しておる自然災害の被災者の給付金ですか、これを持ってきて、この額を持ってきて措置をとらざるを得なかった。こういうところに尽きるんじゃないかと思いますが、そういうふうに理解していいんですか。
  136. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) ただいま先生おっしゃいましたようなことが私どもずっと考えてきたこととほぼ合っていると思います。  ただ、金額の問題につきましては犯罪被害者等給付金支給法でいうようなものではない、見舞い金的なものでございますので、相当やはり抑えることになるだろうという感じは持っておったわけでございますけれども、具体的に幾らにするかという問題になりますと、これはやはり同じような、個人災害に対する弔慰金という制度が法律でございますので、確かに自然災害とそれから今度の場合とでは災害の内容は違うのでございますけれども、やはり弔意をあらわすというふうな意味では共通するところがあるというふうなことを考えまして、そこで最高二百万円という数字が出ておりますので、やはりそこを参考にして決めるのが妥当であろうと、その点はそういうふうに考えたわけでございます。
  137. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、逆に言えば、法律があるわけですよね、そういう新宿事件ぴったりの。そのものを対象にした法律があるわけですよ。犯罪被害者等給付金というのがあるけれども、施行日が来年一月一日になっておるから適用できない。そこで、自然災害の額を持ってきて、大変苦しいというか、どうしようもないからという、やらざるを得ないというようなことでやったんだという説明を先回もしていますし、今回もしておるんですが、これは検察庁、自治省とも相談して決めたんですか。
  138. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 関係省庁とはできるだけ相談をいたしております。自治省とおっしゃいましたが、自治省とは公式のというよりは、事実上いろいろ話を聞いたりするということはやっております。それから法務省とは、最初の段階から意見を交換したり、あるいはわれわれのつくった案を見ていただいたりしながらやってきております。
  139. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もうこれは作業やっておるんでしょう、現実に。どのくらいの該当者ですか。
  140. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 閣議決定が行われました後すぐに警察の方にもお願いいたしまして、具体的にこれに該当する者がどれくらいあるかということを調査をお願いして大分わかってきております。五月一日以降、まず最初の段階で八月末ごろまでの分についてどれくらいかということをいま見ておるわけでございますが、恐らくこれに該当する人は新宿の事件を含めまして十数人くらいではないかと思っておりますが、さらに細かい詰めを現在急いでおるところでございます。
  141. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 十一月五日の、品川駅で酔っぱらいに抱きつかれて線路に落ちた吉川さんとか、それからちょっと日にちは記憶ないんですが、中核派の方から革マル系五名がこん棒で殺されたという事件等が次々出ておりますが、そういう人はどうなるんですか。
  142. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 私どもも実はそういった事件については新聞では承知しておるわけでございますが、まず私どもの作業といたしまして、先ほど申し上げましたように、五月から八月末ぐらいの分をいま細かくやっておるところでございまして、その後の問題につきましては、これから警察でお調べになったことを具体的にお聞きして、これが具体的に適用されるかどうか決めていきたいと思っておりますが、まあ一般論的に申し上げますと、被害者と加害者の間にいろんな関係があって、そういったことが原因になったような、そういう背景があって被害を受けておるというような場合は、恐らくこれに当たってこない。ただ、全く被害者に落ち度がなくて、責任がなくて被害を受けたと。たとえば何の面識もないような方から突然被害をこうむって不慮の死を遂げたとかいうふうな方は、これに当たってくるというふうに考えております。
  143. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから、私はいま具体的にこう言っておるわけだけれどもね。これはあなたの方が直接調査をやっておるのですか、警察がやるのか、どっちがやるんですか。
  144. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 具体的な事件につきましては、警察の方が調査をして総理府の方に連絡するということにしております。  先ほどの品川駅のホームの事件につきましては、現在警視庁の方で調査をやっておるところでございます。それと、あと内ゲバのお話しがございましたが、これは、こういった特に被害者、加害者の関係で、いろいろと因果関係が強いといったものについては、非常に問題な点だろうと思います。
  145. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると、調査は警察の方でやっておるわけですね。それが閣議決定の内容ですね。
  146. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 実は、閣議決定では具体的に警察の方でというふうなことは書いてございませんが、警察と私どもの方の話し合いで、実際の事務の進め方をそういうふうに決めておるわけでございます。
  147. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ただいまお答えがありましたように、閣議決定の趣旨に沿いましてできるだけ幅広く事実を集めまして総理府の方に連絡をすると、こういうつもりでやっております。
  148. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣帰ってきましたから。——いま、犯罪被害者の問題の法律と、それからこの間の閣議決定の問題で質問しておるわけですけれども、あなたは十月二十三日のこの委員会で、志苫議員の質問に対して、「なぜそういう来年の一月一日という施行日を、せっかく御要望があるのならもう少し、法律が成立後とか公布後とか、どうしてしなかったんだと。予算にしましても、どうせ支給するとなり事故が起こりますれば政府の義務でありますので、何もその予算の金額に縛られずに済むわけでございます。まあ不思議でならなかったのでありますが、」と、こういう答弁をしていますね。私はきょうはこの問題で、先般の国会の中でずいぶん議論をした立場から、非常にこの措置について疑問を持ったわけです。  それはどういうことかというと、あの犯罪被害者救済法というのは、ぼくらは、あの法制定の状況から見ると、これは何月何日で区切ってそれ以前は遡及しないとかするとかいうことではなくて、少なくともやっぱり被害者の皆さんにはこの際ひとつ国の手を差し伸べるべきだと、こういう観点から追及し、政府に迫っていったわけですよ。ところがこれは、ここに前の後藤委員長もいらっしゃいますけれども、与野党含めて攻めていったわけですけれども、結果的に政府は、一番初めは予算がもう決まったからとかそれから衆議院がもう上がってきたからとか、こう言っておったんですけれども、衆議院で決まったから参議院でそれに従えというばかなことはないじゃないか、予算が決まったといっても、予算というのはそう大した額じゃない、あなたがおっしゃるように。だからそんな問題はないじゃないかと、こういう話を詰めていったとことんのところでどうなったかというと、いわゆる警察庁の事務が間に合わぬと。こういうことで結果的に一月一日にせざるを得なかったという経緯があるんですね。  ところが、立法府の中では事務的にできないと言ったのが、閣議決定ならさっとできる。それから予算の問題についても、あなたがおっしゃったように、予算があるないと言ってみたって、当然これは法が成立したら国の義務であって、予算がないとかあるとかいうことじゃないじゃないかと、こういとも簡単に大臣は言われるわけだけれども、その大臣がどうして、閣議決定にあなたは賛成をしたというんだね。賛成をしたわけだ。  私が聞きたいのは、そういう立法の制定過程、経過というものを経たこの法案、そして現実にそのときの議論としては、法律ができたら、公布されたら、それは国民の中に被害者が新たに生まれてくれば、どうしてもこれは法律があるのになぜ適用できぬのかという議論が起こってくる、そうなったらやっぱり政府は何とかしなきゃならぬということになるだろうと思う。だから施行日を公布の日に合わせたらどうだというところまで議論しておるわけだ。そのものぴったりの新宿事件が起こってきた。こういう経緯のある法律の担当大臣として、私は、どうしてそのときにあなたがこの問題について、これはやっぱり閣議決定というような措置で済ますべきじゃない。立法府と相談して、そうして何とかしてこの人たちに、施行日の問題は抜きにして、繰り上げるとか、相談をすると、こういう気にならなかったのかどうか、そこを聞きたいんです。
  149. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 私がかつて不思議だと申し上げたのは事実でありますけれども、やっぱり法律が成立しました後、あるいはその施行日を、来年の一月などじゃなしにもう少し早くすべきものであったというような判断が働いてこそ法律施行前に、もちろんこれは金額等も違いますし支給根拠も違いますけれども、ああいう見舞い金制度が生まれたものと考えております。  そこで、せっかく御審議の過程において、もう少し適用日を早くすべきではないかという与野党挙げての強い御意見等がありました以上は、法律同様の根拠によるものではないとしましても、何らかの形で少なくとも当委員会等の御了解をとっておくのがあるいは筋ではなかったかと思います。ただ、私が至りませんのと、やっぱり法案の御審議をいただきました際に現場にいなかったというようなこともあるいは私の心理を左右したのかもしれませんけれども、当委員会、せめて当委員会の御了解でもとっておくべきではなかったかと、やつぱり手続上反省しなきゃならぬ点だったかと考えております。
  150. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、反省をすることも大事だと思いますが、反省したからといって問題は片づくわけじゃない。議事録を見るとあなたは、「新宿の事件が起こりましてからあれこれ経緯を聞いてみまして」と、こうなっている。だからよく議事録も全部調べて経緯を聞いたと思うんですよ。その上であなたは判断をしたんじゃないかと思うんです。私はやっぱりこの件は、立法院として参議院の中で審議をする際に、新宿事件のようなことも起こるだろうということも想定をして議論をしたわけですよね。そして、公布をしてから施行までに事件が起こったときにはこの責任をどうするのかという議論もやっておるわけです。そうして、そのためにはどうしても、こういう事件であるだけにいつ起こるかわからない、予測ができないんですから。だからそういうことも想定して議論をやって、その上で一致したことは、公布と施行日はせめて一致しようじゃないか、こういう要求がこの委員会の議論になったわけです。  警察庁は事務ができぬとこう言いますけれども、去年の八月の予算要求のときには、十二億円の予算要求をやっておるんですよ。そのときには、ことしの四月一日から適用になっておったんです。予算要求の段階では。ですから、十分その事務体制でできないはずはない。ないんだけれども、結果的に後藤田自治大臣が、わざわざ当時の地行委員長大臣のところまで行って要請したのにかかわらず、それを政府がけ飛ばしたわけです、どうしてもできませんと。そういう経緯のある法律です。この法律は。ですから委員会の議論の、私はこれは与野党というのじゃなくて、この問題はもう国会の権威にかかわる問題だと思うんです。そこまで議論をして、与野党一致して政府に要求をして、そしてせめて施行日を一致しなさいと。遡及ができないとするなら、公布と同時に施行日を一致しなさいと。それを詰めたのにかかわらず、そうしないとこういう事件が起こりますよ、起こったときはどうするんですと、こういうところまで議論したのにかかわらず、どうしても政府がうんと言わぬ。あなたの前任者の自治大臣国家公安委員長がそれにうんと言わずに、結果的に与党の皆さんが途中で崩れて、そして片ちんばな施行ということになったわけです。経緯は。  だから、そういう経緯でできた法律で、予測されたことなんだから、当然、事件が起こったら、どうして国会に相談して、この施行日の問題は何とかできぬかと。たとえば議員立法でもいいでしょう、そういう方法でもいいし、何とかできないかということが、どうして大臣として閣議決定の前に気がつかなかったんですか。国会軽視じゃないですか。いかがですか。
  151. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) どうもその辺のことが、自分でも納得しないと、十月段階において申し上げましたこと、いまでも実は変わっておりません。変わってはおりませんけれども、具体的に、政府が、ああは言ったけれどもやっぱり施行日をもう少し早くすべきであったと。それには法律の施行日を改めるなり何なりという措置をとった方が本当は——法律改正ですね、もう成立後ですから、公布後でございますから——あるいは正論かといままた考えております。佐藤委員指摘のとおりと考えております。  しかしながら、こういう不見識なことを申し上げるのは慎まなきゃいけませんけれども、やっぱり一遍ああ言ってがんばった以上は、法律としてはその施行日をまた直すというのもはばかられるというようなこともあったのではなかろうか、事の経緯、初めからのをよく個人として承知しておりませんので、その辺のこと十分説明いたしかねますけれども、あるいはそういう心理が作用したのかと考えております。まあこれは強いての理屈でありまして、へ理屈とおしかりを受けるかもしれませんけれども法律の適用日を変えるわけにはいかぬ、しかし何とかして救済して差し上げたい。金額もしたがって法律どおりとはいかぬけれども、また手続も根拠法律でというわけにいかぬけれども、まあこれで政府の意のあるところはひとつくみ取っていただきたいと、こういうつもりでああいういわば行政措置によって解決したのではなかろうかと考えております。よかったとは考えておりません。
  152. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういう、法律の施行日を公布の日にできなかったことは、もう事務当局である警察が事務上できないと、そういう一点張りに最後はなったわけです。しかし現実に、閣議決定なら事務上できておるわけです。そうすれば、事務上できないという理由にはならない。  それからいまあなたが言うように、それは当然国会と相談すべきが妥当だったかもしれぬと、こう言った。私はやっぱり、国会というのがないわけじゃないんだから、委員長もどこか宇宙でも行っているのなら別ですけれども、おるんだから。直ちにこの閣議決定ちょっと待てと、担当大臣として。これはこういう法律の経緯があるんだと。しかも、いまあなたが言ったように、閣議決定というこの行政措置内容というのは、第一施行が五月一日であったら八百万、これは額は少ないですよ、自動車の事故で死んだ場合で自賠責で二千万ですからね。この法律をつくっておるときから額が少ないじゃないかという議論をしておるんです。それにしても八百万、九百五十万ももらえるわけですね、権利として。それが今度は、閣議決定によれば、まさに見舞い金ですよ。そういうかっこうで四分の一以下に落ち込んでしまう。  私は、新宿事件にしてもそうですけれども、何か交通事故で自分がスピードを出し過ぎて事故で死んだというのならそれは自分責任もあり、ましょう。しかし、新宿のバス事件にしたって、この種の事件というのは、この法律の適用に関する事件というのは、ほとんど本人に全く罪はないんですよね。しかもふいにやられるわけです。そういった人たちにせめて国家責任として果たそうじゃないかとつくられた法律がこの法律なんだから、犯罪被害者救済法なんだから。これをその担当大臣が閣議においてそこら辺の経緯を知りながら賛成をするということ自体が私はもうどうしても許せないんですよ。  私はやっぱり臨時国会も開かれておることだから、直ちにこの施行日の改正について、内閣ができぬなら議員立法でしてくださいと。いずれにしもなぜ国会ときちっと協議して問題の処理をしようとしないのか。そんな閣議決定で、自然災害の被害の金額を持ってきたり、当然受けられる権利を結果的には見舞い金でごまかすような、こんなこそくなことを私はすべきじゃないと思うんですが、大臣、これは、もう時間がありませんけれども、もし議員立法で与野党でこれがまとまれば、あなた、今度は政府はきちっと受けますか。
  153. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 御意見でありますけれども、去る五月に慎重御審議の上御決定いただいた法律であります。もちろん、国会の御意思によって法律を修正されますことにつきましては、これは、政府の財政負担が増すというような意味であるいは政府の意見を申し述べる余地があるのかもしれませんけれども、要するに、法律を国会の御意思によって改正されるということについて政府でとやこう申し上げるべきではありませんけれども、せっかく去る五月に慎重御審議の上御決定いただいた法律であります。政府といたしましては現行法どおりやらしていただきたい、かように考えております。
  154. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう時間がありませんからこれ以上言いませんが、これはひとつ大臣、あなたはそういう態度になるなら初めからこういう答弁をしなければいいんだよね。こんな二十三日の答弁のような言い方をするかと思うと、最後はこれと全然趣旨の違ったような態度に変わる。そういうことが私はやっぱり国民から見て不信を増していくと思うんですよ。この問題は、だから私どもの方でも協議をしていますけれども、いずれにしてもあなたが冒頭に言ったように、国会の審議の経緯から言ってみても内閣で勝手にやれる問題じゃないと思うんですよ。そこら辺はひとつきちっとあなたの方でわきまえて、今後はこういうことのないようにしてもらいたいということを強く求めておきたいと思います。  それからもう一つだけ、問題が若干違いますが、これはひとつ大臣の方で後ほど検討して御返事いただきたいと思うんですが、愛媛県の新居浜で瀬戸都市下水路というのがやられておるわけですが、この下水道がもう工事が完工して、そうしていわゆる建設省の検査が終われば直ちに補助金が出て完結する、こういうことで三年前にもう完成しておるんですが、何か知事と市との間がうまくいかずに検査がなかなかやれない。建設省の方はもう三年前から補助金を支出する用意をしておるんだけれども、県の方がなかなか完工検査というものをやらないためにそれができないできておる。その内容は何だということで調べてみますと、全日本同和会というのがその中にはさんでいる。そうして、その同和会の県の協議会の会長は知事がやっておって、別な問題で市と同和会が対立しておるわけです。そういう全然別な問題で市と話ができてないということを理由にして知事が完工検査をしない、こういう内容になっておるようですから、この点については調査をして、その結果をひとつぜひ聞かしていただきたい。まあこれは人のうわさですよ、新居浜の市長は革新市長で、知事が自民党の知事だものだから、この際ひとつ市長いじめをやるべきだということでやっているのじゃないかという風評もあります。そういうことはあってならぬことだけれども、もしそういうことがあれば、行政のルールはきちっと正していただく、この点をひとつ要求しておきたいと思います。  終わります。
  155. 志苫裕

    志苫裕君 わずかな時間ですが、財政問題を中心にして少し伺います。  五十六年度の重点施策の第二は、「地方財政の健全化」という項目でありますが、まず、ここにも載っておりますように、財政危機状況だから財政体質の健全性を回復をするということが緊要の課題というのでありますが、大臣からまず基本的にこの地方財政危機の本質といいますか、基本的な要因と財政体質の健全性、ここに言うこの財政体質というものについてひとつ御見解を承りたい。
  156. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 財政危機と叫ばれる現象が起こりましたその原因でありますけれども志苫委員御承知のとおり、わが国の経済は昭和三十六、七年以降いわゆる高度の成長を遂げました。しかるところ、昭和四十八年でありますか、原油の値段が一挙に四倍になる、いわゆる石油ショックであります。その結果、外国もそうでありますけれども、日本全体の富がそれだけ産油国に集まってしまった。インフレと経済不況、これが四十九年や五十年に顕著にあらわれてきたわけでありまして、自来、今日に至りますまでこれが解決されずに大きな問題になっておる。その原因は、あれこれいろいろありましょうけれども、結局根本は原油の値段の急激な大幅な値上がりにあると、こう考えていいのではなかろうかと思っております。  体質、構造の問題でありますけれども、国、地方ともそういう経済成長の急激な落ち込みに——なかなかむずかしいことで、不可能に近いと申し上げてもいいと思いますけれども、これに機敏に、時期を失することなく対応措置を講じなかったというようなところが今日、何と申し上げていいかよく表現できませんけれども、それがまあ体質と言えば体質、構造と言えば構造、国、地方ともそれに機敏な対応策がとれなかったというところにあるんじゃないかと思っております。
  157. 志苫裕

    志苫裕君 抽象的のようですけれども、財政危機の本質、基本的な要因と財政体質の健全性というのはこれはつながってくるわけでありまして、原油を例に引いて言えば、経済変動というのが地方財政危機の基本的な原因であるというのが大臣の認識のようです。  財政体質の健全性についてはちょっと私には余りぴんと来なかったんですが、そうなんでしょうかね。私は、これから地方財政対策を考えていく場合、特に財政体質の健全性というふうなことになりますと、そういう経済変動に余り影響を受けない、そういう財政構造をつくりたいというふうなものに当然対策が連なっていくんだろうと思うのですね。そうなってまいりますと、地方財政危機の本質なり基本的な要因というのは、経済変動というのは、もともと持っておった地方財政の体質なり矛盾というものが経済変動によってあらわになって増幅をされたということだけであって、基本的にはやっぱり地方財政は危機的な構造というものを持っていたのではないかというふうに私は考える。それがあるときにはそれで支障のないときもあるし、自然増なんかぽんぽん入ってきましてね、それで間に合うときもあるし、さあそうならなくなると一遍にがたがくると、こういう基本的な体質なり要因というふうなものを持っておるところに問題があると思って聞いてみたわけです。それを押さえてもらわないと、これからの対策もまさに対症療法だけになってしまうというふうな気がするんですが、その点はどうですか。
  158. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 現在の地方財政の危機というものは、ただいま大臣が申し上げましたように、国がいろいろ今日までとってきた制度の仕組み等に原因があるというよりは、やはり高度成長から今日の石油ショックに端を発した経済情勢の急激な変化によって生じてまいりました収支のアンバランスに起因するものであるというふうに私どもは考えておるわけでございますけれども、    〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕 結果的には、国の財政も地方財政もともに大幅な財源不足を生じてきておる状況でございまして、一方、地方の財源不足額については、国としてもそれぞれその当該年度においては財政面に支障を生じないように措置をしてきておりますけれども、ただその結果、膨大な累積赤字を生じておることは事実でございます。  そこで、地方財政が交付税特会の借入金とか、地方債に依存する状況から脱却をいたしまして、おっしゃいますように、長期的な安定を確保するというためには、今日では過去のいろいろな事柄も反省しながら、国、地方を通じて行政全般について見直しを行い、地方の自主性を強化するという方向で国と地方の適切な機能分担のあり方というものを見出して、それに対応する適切な税財源の配分を図る必要があるというふうに考えておりまして、なかなか具体的に今後どうするかということはむずかしい問題ではございますけれども地方制度調査会なりいろいろな各方面の御意見等も聞きながら具体的な方策を十分検討してまいる必要があるというふうに考えております。
  159. 志苫裕

    志苫裕君 大臣ね、これもひとつどうしても押さえておいてほしいのです。確かに経済変動、現象的には原油を引き金にする経済変動というふうなものが国、地方を問わずそういう状況を出現をさせたことは事実でありますけれども、さあそうなってまいりますと、今度地方財政の危機的状況というのは、地方における財政運営の欠陥なのか、国の財政運営の欠陥なのかということをはっきりさしていただかなければならぬと思うのですね。この点はいかがですか。
  160. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) まあ結論的に国の責任とか地方責任とかという形で、具体的にどちらかに欠陥があったためにこういう状態になったというような言い方はできないと思うのでございますが、全般として、国、地方を通ずるいろいろな仕組みそのものが実態についていけない結果になったものであろうというふうに考えておるわけでございまして、経済社会の変化に対応いたしましてその都度適確な仕組みというものは考えられないことはなかったのだろうと思いますけれども、全般的に、その他のもろもろの要請もあって今日までそれが大きな改革がされないままに続いてまいった、その結果が今日のような極端な財政の悪化を来しておるわけでございまして、どこが責任というわけにはまいりません。  ただ、先生のおっしゃる趣旨からそんたくをいたしますと、地方財政というものは住民の要請にこたえてそれぞれの仕事をやってきたわけであるけれども、それの財源対策というものは国の責任において十分講じていくことが交付税法の趣旨等から見ても当然のことではないか。それがいろいろな国の施策やその他に基づいて仕事を遂行する過程で十分でなかったから危機になったのではないかといったようなことも含めての御質問かもしれません。そういった面においてはいろいろと全般的には反省もし、今後考慮していかなければならない問題含んでおると思いますけれども、にこれは国とか地方とかというような言い方では解決し得ない問題ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  161. 志苫裕

    志苫裕君 それは財政局長違うでしょう。あなた遠慮した物の言い方をしているのかしらぬけれども、現象面から見ても基本的な要因は経済変動だというのでしょう。そういう大きいマクロの意味で見て、そういう景気調整なり経済変動に対して、地方財政なり地方行財政がどんな能力を持っていますか。それはすべからく国が持っておるのでしょう。ですから、まあ端々ありますよ。もっと工夫があったらよかったとか、そのときにもう少し早く手を打てばよかったとか、いろんな問題はありますよ。月給がちょっと高いとか安いとかいろいろあるでしょう。しかし、基本的な問題はやっぱり国の経済運営、財政運営。早い話が地方税法一つとってみても自治体がつくっているんじゃないのであって、事実上は地方税法でいわば枠組みが決められるわけでありますから、地方財政ことごとくそうじゃありませんか。そうなってきますと、やっぱり基本的には国のそういう制度運営なり財政運営の仕組みなり運用に基本的な原因がある。ここのところにこれはやっぱり思い切って取り組んでいかないで、そこのところをほったらかしておきまして、端々の、重箱のすみをつつくような節約を言ったってこれはだめですよ。そこのところを基本的に聞いているわけですよ。
  162. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) なるほど、一国の経済を左右する力は地方公共団体にはないわけであります。御指摘のとおりと思います。といって、それでは石油ショックに対する対応策が、日本の政府が間違っておったかと申しますれば、いろいろ御批判はありましょうけれども、産油国は別といたしましても、石油輸入国の中で石油ショックに対する対策、まあこれもあれこれ御批判はありましょうけれども、わが日本政府が、民間の協力もちろん得た上でありますけれども、一番よかったのじゃないかと私は申し上げてよかろうと思います。地方自治体になるほど一国の経済を左右する力がないこと御指摘のとおりであります。国の責任と言えばそれまででありますけれども、しかし、石油輸入国の中で、いわゆる石油ショックをそれでも一番上手に乗り切ったのは日本が世界で一、二を争う上手な措置をとったのではなかろうかと思います。そうしますると、まあ十分ではありませんけれども、この辺である程度の御理解は国民の皆さんにお願いできるんじゃなかろうかと、かように考えております。
  163. 志苫裕

    志苫裕君 いや、私は大臣と、日本の経済運営が間違っておったかどうかということを議論しているわけではないのでありまして、それはそれで別のところでやります。  いずれにいたしましても、これからの財政体質を健全化をしていくとかそういうことを掲げる限りは、やはり基本的な要因というものがどこにあったのかということを押えようという意味で、それでそれ以外に選択の道がなかった日本の経済運営であったかどうかは、これはそれが全体的な視野で見てまあこんなものだよというのか、いや間違っておったというのか、もっとやり方があったというのか、このことを私はいま議論しようとは思いません。    〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕 現実には地方財政危機がある、その基本的な要因は経済変動とこういうふうに大臣が言うのであれば、それはもう紛れもなく国の財政運営や経済運営のしりが地方財政にあらわれておる、これに振り回されたということでしかないじゃないかということを私は指摘をしたわけであります。そのことの議論は余りやっておっても意味がありませんから次に参ります。  そこで次に、来年度の財源対策の重点といいますか、ここにも書いてあります。特に国、地方間の財源配分制度の新しい提案などというものが自治省において用意されておるかどうか、この点お伺いします。
  164. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 来年度の財源対策をどのようにするかということにつきましては、来年度の景気の動向がまだわかりませんし、したがいまして税収の見込みもわからないし、いろいろな変動要因というものが多くて不確定要素も多いので、私ども、どういう形でいくのかということは具体的には考えておりません。ただ、全般的に地方財政の運営に支障を来さないような方法をとらなければなりませんので、その意味で、もちろん税源の強化ということも頭に置きながら、特に地方交付税の所要額の確保ということと、できるだけ財源対策債は減らしたいといった考え方を基礎に置きながら、今後の推移を見守りながら私どもとしては対応を考えていきたいというふうに考えております。
  165. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、いわば五十三からいまの枠組みというものを決めて、ずっと、とりあえずと言えばとりあえずですが、大体こんな枠組みでいくということですか。
  166. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 必ずしも結論を出すわけにはまいりません。問題は、来年度の財源不足というものが一体どうなるか。それはやはり国の予算の動向とかいろいろな情勢を見きわめていきませんとわからないわけでございまして、財源不足の幅によりまして私どもの対応の仕方も変わってこざるを得ないと思うわけでございます。そこらを見た上で私どもとしても判断せざるを得ないので、当然に同じ枠組みであるとかどうとかという結論はいま申し上げにくい状況にございます。
  167. 志苫裕

    志苫裕君 では、いまの段階では、財政規模その他の問題について大まかなめどをつける、そういうことは全くできない状況ですか。
  168. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 何もできないと申しますと大変怠慢に聞こえるわけでございますが、私どもとしては、いろいろな過去の数値あるいは経済の動向に対しても私どもなりのいろいろな推定をいたしながら、こういうふうに変化すればどうなるかといったようなことはいろいろ議論もいたしておるわけでございます。しかし、何せ一番大きな影響のございます国の予算の編成方針とかそういったものもまだ何も決まっていないわけでございまして、そこらで、公共事業がどういった形になるのか、かなり抑制基調であるという推定をするという、そういったことは私ども頭に置いておりますが、具体的にどういうふうになっていくかということがわからない過程において的確な推定というのはなし得ないわけでございます。だから、いろんな要素を集め、今後そういうものをもとにして積み上げていくそのための準備はいろいろとしておるということでございます。
  169. 志苫裕

    志苫裕君 それでは、あべこべに支出の方をちょっと聞いてみますが、需要額の算定等で変更を予定しておるものはございますか。
  170. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御質問の点は、地方交付税、普通交付税の基準財政需要額の算定方法の改正という意味と承知いたしますが、地方交付税の算定方法につきましては、御承知のように、毎年地方団体の意見を定期的に十分聞きまして、それを踏まえて毎年必要な改正をお願いしておるわけでございます。目下新年度の五十六年度においてどのような改正を行うかにつきまして地方公共団体の、都道府県なり市町村のいろいろ意見を聞いておる段階でございまして、その結果を踏まえて、どのような算定方法の改正をするかということを結論を出してまいりたいと、このように考えております。
  171. 志苫裕

    志苫裕君 「国庫補助金等の整理合理化」と「財政秩序の確立等」がそれぞれ課題として挙げてあります。この二つについて、国庫補助金の整理合理化については推進体制の問題について、財政秩序の確立の問題については自治体の参加という問題について、第十七次地方制度調査会はそれぞれ答申をいたしております。この点についてはどういう配慮が加えられていますか。
  172. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 地方団体の自主、自律性の強化を図るといったことを頭に置きまして、国庫補助金の整理合理化ということも当然考えていかなければならない。もちろんそれは国、地方を通ずる行政の簡素合理化にも通ずるものだと私どもは考えておるわけでございまして、その意味で、国庫補助金の整理合理化を強く打ち出していきたいと思っておりますが、私どもがそれに対応する考え方といたしましては、率直に申し上げまして、国庫補助金を整理する場合は、事務そのものも不要なものはもうやめてしまうという態度に立つべきであるというふうに考えておりますことと、それから、できるだけ地方の事務として定着したような、同化したようなものにつきましては、これを一般財源に振りかえるという必要があるのではないかということで、その点について推進をしてまいりたいというふうに考えております。さらには、必要な補助金については当然超過負担の解消ということに力を注いでまいりたい。そういった考え方で補助金の整理合理化を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  173. 志苫裕

    志苫裕君 いや、ちょっとその答弁——私の言い方が悪かったのかな。  十七次の地方制度調査会では、いまの私の指摘した点については、まず、国庫補助金の整理合理化については、「特に、答申事項のうち国庫補助金等の整理合理化、」云々、間を省略しますが、「については、この際、内閣に強力な推進体制を整備し、地方公共団体との意見調整」を図れと、これが第一点。財政秩序の確立のところではどう言うておるかといいますと、「国と地方公共団体相互の協力、協同の関係を促進するため、国は、都道府県及び市町村の全国的な連合組織と緊密な連絡を保つものとするほか、都道府県及び市町村の全国的な連合組織は、地方公共団体の利害に関係する法令の制定改廃について国会又は関係行政庁に意見を提出することができるものとする等地方公共団体の意向が国政に適切に反映されるような方途」を講じよと、こうなっていますね。この二つは、皆さんがことし重点事項に掲げていることについて、地方制度調査会はその具体的な保障措置を提案をしています。この点についてどう配慮しておるかということを聞いている。
  174. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 十七次の地方制度調査会の答申につきましては、現在鋭意検討を加えておりますが、ここのいまお述べになりましたところの件は、国と地方公共団体との間の連合的なもの、あるいは国と地方とが相協同しながら法令の改廃について意見を申し述べるようなことができるような仕組みをつくれということでございます。これにつきましていま検討を加えております。近いうちに地方自治法の改正をいたすときには何らかの方法をとらなきゃいかぬのだろうというふうに考えております。
  175. 志苫裕

    志苫裕君 その点は、特にこの間の第十七次の答申のときに議論がありましたのは、せっかく言うたらやってくれよと。今度の答申で、推進体制だとか自治体の参加の具体的なシステムとかいうものまでつけて答申したというのはこれは珍しいことなんです。それはやっぱりやってもらわなければいかぬじゃないかという意味で再度指摘をしておきます。要望をいたしておきます。  時間がないので、次に警察庁。率直に申し上げて、最近の新聞を読んでいるというと、どうも警察官の不祥事が多過ぎますよ。私ちょっと調べただけで、五十五年の四月から十月までの半年間で、かれこれ十五件ぐらいになりましょうか。それが、まあ酒酔い運転から万引きから婦女暴行からさまざま、古いのでは強盗ですな。自転車寸借とかね。こういうことがずっと出ていまして、法の防護に当たるものとしては大変困ったものだという感じもいたします。ただ、私新聞記事を読んでみますと、実は昔あったことが、外へ発表するほどの名誉な話でもないものだから警察庁で発表はしていない、それが何らかの機会で新聞記事になるというふうなケースも間々ありますのでね、これが実際に警察官の不祥事の件数だとも思えないわけであります。この種の問題について、こういう不祥事というのは果たしてどれぐらいあるものなのか、あるいは、果たしてそういうものが近年増加傾向にあるものなのか、大体こんなものなのか、毎年平らにこんなものなのか。あるいは、昔はもっといっぱいあったんだが減ってきたものか。その辺の感触をひとつ述べてもらえませんかな。
  176. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 最近、警察官によります不祥事件が相次いで発生をしまして国民の信頼を失っているということにつきましては、まことに遺憾なことでありまして、現在、警察庁といたしましても、この防止に懸命な努力をしておるという状況でございます。  最近こういった事案がふえておるのか減っておるのかというふうな御質問でございますが、そう特にふえておるという状況にもありませんし減っておるということでもない、(「安定しているのか」と呼ぶ者あり)大体例年そう増減というものは余りないというような状況だと思います。
  177. 志苫裕

    志苫裕君 これが安定しておるのじゃ困るけれども、まあそれは、警察官二十万人、人口二十万人の都市に行けばいろいろなのがいますわね。そういうふうに警察という社会を一つ考えてみれば、中には出来心のがいてもそんなに不思議なことではない、場合によればあるいは人間らしいのかもしれない。しかし、警察官にはそれは許されないという厳しい制約もあるわけであります。  問題は、多い少ないは別といたしまして、何が原因だと思いますか、あなたの方では。率直に言いまして、私から言わせれば、警察官もまた人間ですよ。しかし、これがある特殊な社会に封じ込められて、そこだけのモラルを強制されるのかもしれませんけれども、しかし、やっぱり警察官も人間であるという、ここのところに一つポイントを置いた人事管理なり、そういうものが案外抜けているんじゃないのかという気もしないわけでもありません。早い話が、田舎の駐在さんで、たとえは悪いけれども、伴淳三郎が演じるようなちょっと年配の駐在さん、人から見るといい人だなと思いますけれども、警察の世界では、あんなのはちっとも偉くならぬわね、これ。一番だめな口かもしらぬですけれどもね。ああいう人がだめにされるような何かそういう閉鎖社会というようなものに私一つ原因があるのじゃないかという気がしてならぬのですがね。どうですか、その辺の点は。
  178. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) この不祥事案の原因について考えてみますと、特にそういった事案を、概して原因がこういうものだというようなことはなかなかとらえにくいと思います。一つ一つのケースがまさにまた一つ一つの状況というものを抱えておりますし、やはり個人的ないろいろな悩みであるとか生活の問題であるとか、そういったことが原因でこういった不祥事案が起きるというのが現実の姿でございまして、警察の社会がいろいろの閉鎖社会とか階級社会とかというようなことで、それが原因となってこういったケースが起きるというふうにはちょっといままでのケースから見まして考えられないわけでございます。
  179. 志苫裕

    志苫裕君 それは、皆さんはそれに対して教育とか、何かただ枠に押し込んだ鋳型をつくるのを教養と称するのかもしれませんけれども、私は今日そういうことだけでは解決ができないので、現代特有の管理社会の機構ですね、そういう人間疎外というようなものが一つの要因になっているのではないかという気もいたしますが、これは警察官が貧乏でカセットをとらなきゃならぬとか自転車の寸借をしなきゃならぬというほどの労働条件でもないと思うのでありまして、そういう私が指摘した点についてひとつ検討をしてほしいんです。  たとえば「八〇年代の警察」という、こういうレポート、これ、どこで出したのかわかりませんが、これを見て、皆さんがそういう点について少し何か考えているかなと思うと、余り考えてもおらぬようであります。事のついでですけれども、この警察庁総合検討委員会というのはこれどういうものですか。それで、ここに述べておる、八〇年代の治安の想定というものについてもいろいろ見解を加えてあります。たとえば、「八〇年代を治安の立場からみると、」「治安事象や安全保障問題等をめぐる政治対決に伴う治安事象が発生しがちであり、」とか、いろいろな、聞いてみるとおっかないようなことがずいぶん書いてありますし、法律制度の改正にかかわる問題提起もずいぶん多いようであります。特に警察組織について言えば、警察庁の指揮権とでも言いますか、そういうものがある分野については強化しなきゃいかぬ、都道府県にやっているのをこっちへ持ってこなきゃならぬというようなそういう問題もありますが、これの性格をひとつ説明してください。これは質問通告をしていなかったので恐縮ですが。
  180. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 「八〇年代の警察」は、そこの表紙にも書いてあると思いますが、警察庁の総合検討委員会ということだったと思いますが、それは結局私ども警察庁の職員が、八〇年代に当たって今後の情勢に対応した警察行政というものをどういうふうに持っていくべきかというその問題意識と、それに対する一つの研究をまとめたものをあらわしたものでございます。そういうようなことで、前に七〇年の始まりのときにも「七〇年代の警察」ということでまとめまして、それのちょうど八〇年版という内容でございます。したがいまして、部内での検討のレポートをまとめたと、こういうものでございます。
  181. 志苫裕

    志苫裕君 これでやめますが、じゃ、これについて直接警察当局が答えるというしろものではないわけですか。たとえば、これに基づいてわれわれが尋ねた場合に、皆さんが答えられるという性格のものじゃないんですか。
  182. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) いま申しましたように、警察庁としてそういう方向でいろいろ問題を考えておると、こういう検討の結果があらわれたものでございます。八〇年代を展望した一つのレポートといいますか、考え方をまとめたものでございます。
  183. 志苫裕

    志苫裕君 いずれこれはまた別の機会に……。
  184. 大川清幸

    ○大川清幸君 私は、地方財政に関係をいたしまして、主に地方交付税等の問題にかかわる事項について、順次御質問を申し上げたいと思います。  いままで各自治体の経済力の格差がございまして、そうした地方自治体が住民の行政サービスのためにいろいろ行わなきゃならない仕事がありますが、これは、ある程度の水準を保つために地方交付税等でそれを措置してきたことの効果については一応評価できる面もあるだろうというふうに思うんですが、しかし、近年のこの制度運用の上で地方交付税そのものが実情に合わないといいますか、いろいろな矛盾点が指摘をされてまいりまして、恐らく国会でもここ十数年来、交付税あるいは交付税率をめぐる問題についてはたびたびいろいろな角度から論議をされたと思いますので、きわめて古い問題でもありますが、また新しい問題、今日的な問題でもあろうと、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、国税三税の三二%の交付税総額そのものが絶対的に不足の形になっているのではないか。これは五十五年十月二十五日地方財務協会発行、自治省財政局編で「国民生活と地方財政」という出版物が出ておりまして、この十ページの第五図でございますが、「地方財政財源不足額とその補てんの状況」が図示されておるわけでございます。これで見ますと、昭和五十年以降、歴年地方債の発行高もふえておりますし、それから例の交付税特別会計からの借入金もふえてきて、五十五年度は一番多くなっているわけでございます。こういうような姿を見てみますと、地方財源不足額とその補てんの状況で考えてみますと、決してこれは財政措置の上、財源配分の上からいって好ましい形ではなかろうというふうに私は思うわけでございますが、まずこの点について大臣の御所感を伺いたいと思います。
  185. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 御承知のとおり、交付税率は国税三税の国と地方との配分を決める率でありまして、これが三二がいいのか三一がいいのか三三がいいのか、これはもう一概に言えないと思いますが、現在、国も地方も財源不足に困っておるのでありまして、交付税率を上げますと国がいよいよ困るわけであります。やむを得ず、あるいは交付税法の本来の趣旨から申しますとちょっとどうかという御批判もあるかもしれませんけれども、財源対策債というようなものによって応急措置をとらざるを得ない、今日のところ——来年のことはもちろんわかりませんけれども、大体こういうことでいかざるを得ないのじゃなかろうかと考えております。
  186. 大川清幸

    ○大川清幸君 いま大臣、もう先のことまで見越して、アップした方がいいのか、何%がいいのかというようなことをちょっとお漏らしになりましたけれども大臣御承知のとおりでしてね、この交付税率がアップを実質的にしたのは、まあ学者その他の専門家の意見によっても、昭和三十一年に二五%にアップをした、四十一年に三二%になっておりますが、この間、今日までの処置については、むしろ国税の方の減税措置の見返りとして交付税率の調整をしてきて三二%になっているという経緯から考えますと、そういうことから考えますとやはり、それともう一つは、柴田氏なんかの意見では、四十一年現在で大体そうした見返り分等を見た上で地方財政とのかかわり合いを考えるとその時点に四〇・七一%でもいいんだというような説も出ているくらいですから、そういう点からいったら、これは交付税率をもっと早い時期に、今日に至る前に手直しをしておく必要な時期があったのではないか。今日は財政事情が厳しい背景があるのでただいまのような大臣の御答弁になったと思うんですけれども。こうした、もう二十年来この交付税率のことは論議をされてきましたので、指数の計算その他によってはいろいろな意見があるかもしれないけれども、四十一年で四〇・七一ぐらいに実質的には計算上なるわけだと、こう言っておったわけです。それが、先ほど申し上げたように五十年以来直近五年間を取り上げてもこうした補てんの手続というか処置をしなければならぬような状況、これ自体がやはり地方財政硬直化の一つの大きな要因になると思われてもいたし方ないと思うので、もう一度御答弁を願います。
  187. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) ただいま御指摘がございましたように、特にこの昭和五十年度以降地方財政は毎年大きな赤字を出しておりまして、その補てんは一つのパターンがございまして、交付税特別会計における借り入れとそれから財源対策債の増発といったようなことでございます。そういった意味では、昭和五十四年度では実際に借り入れて配った交付税の額は国税三税の四七%にも及び、五十五年度で三九・八%でございますからかなりなものになっているわけでございます。  ただ、四十一年に三二%に引き上げましたのは、先ほどおっしゃいましたような理由のほかにも、国が公債を発行して財政規模をふやす、それに対応するものとしてどうしても地方財源の充実が必要だということで三二%に引き上げた経緯があるわけでございまして、それ以後今日までずっとそのままになってきておりますが、それはそれなりで国と地方との財源配分の基本的な仕組みでございますから、ある程度恒久的にやってまいっておったわけでございます。  ただ、この数年間を見てまいりますと、実質的な配分率というものは非常に大きいので、これはどうか考えなければいかぬのじゃないかという御指摘は、私どももそのように思っておりまして、ここ二、三年、財源対策を講じます際には、実は交付税率の引き上げも含めて大蔵当局ともいろいろ話し合いを進めたわけでございますけれども大臣からお答え申し上げましたとおり、国自体が大幅な特例公債に依存するという大変な赤字財政になっておることもございまして、しかも、経済の変動要因というものがなお予見されるといった時期において、国、地方を通ずるこの苦しい中でも直ちに交付税率、国と地方との基本的な財源配分の方式である率をにわかに変えるということは、これは容易でないということで、私ども相当主張したわけでございますが、結果としては、先ほど最初に申し上げましたような借り入れ等によって補てんせざるを得ないということでございまして、今後の問題としても、私どもは常にそういったことを頭に置いて、地方財政の運営に当たって検討は絶えずしていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  188. 大川清幸

    ○大川清幸君 くどいようですが、もう一回重ねて伺いますけれども先ほど言ったように、こうした地方財政の繰り出しの仕方ですね、補完をしていく形自体好ましくないだろうし、特別会計で借りて措置をするなんというようなことは、これは国の方から見てもいつまでもやっているべき形のものではないだろうというふうに私は思っているわけで、むしろそういう意味から言えば租税制度そのものから考え直してみなければならない重大問題だから、いまここで私は論議をするつもりはないんですが、衆議院ないしは参議院の地方行政委員会で毎度附帯意見をつけられて、地方交付税本来の本旨に反するというか沿わないような措置はやめろと、ほとんど毎年そうした附帯意見がつけられていて、今日までだらだらこういう形で財政措置なり税源配分をやってきちゃったことに対する、まあ極端に言えばこれは委員会軽視か国会軽視という批判も受けるかもしれませんが、こういう事態で来たこと自体、私は芳しくないことだと思う。  だから、このことを踏まえても今後やはり交付税そのものについての基本的な考え方というか、まあ先ほどから財政事情が厳しい背景があるものだから三二%は動かせませんというようなことをたびたび繰り返して言葉の中にはさんでおっしゃっていますけれども、これはそれじゃ来年度は確約できないにしても、近い将来、やはりそうした税源配分等の形を考えると好ましくないんですから上げる方向で努力をなさいますか、どうですか。  それからまた、附帯意見を無視したことについての御見解大臣どうですか。
  189. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 五十六年度の地方財政規模をどの程度に落ち着けたらいいものか、経済の見通し等がまだはっきりしませんので何とも申し上げかねますけれども、恐らく地方交付税の税率を含め国の財政措置の強化を大蔵省に強く要求することになるであろうと考えております。  ただ、交付税率を上げるといいますことは、国税三税の国の取り分がそれだけ減るわけでありまして、なかなか容易ではなかろうと思います。しかしながら、こういうことが今後できるものかどうか、それがさらに倫理的に見ていいものかどうかわかりませんけれども、私どもは、でき得べくんば、交付税率三二%でりっぱにやってこれた地方財政のときもあるわけですから、そういう経済に日本がなることを期待もし努力もしなければならぬ。資源の問題その他から制約があるだろうと思いますし、さらに経済の発展が倫理的に見ていいことかどうかというような御意見もありましょうけれども、まあそれはしばらくおくとして、三二%でもりっぱに地方財政が賄えるような経済を日本に打ち立てるように努力して、まいりたいと考えております。
  190. 大川清幸

    ○大川清幸君 ただいまの御答弁では大変不満足なんですがね。  ところで、最近というか、これは十月十九日ごろですが、経済団体の一部で、地方交付税率を下げるべきだというような見解を発表して、これが一般紙にも報道されました。しかし、地方財政の硬直化がまだ心配される時期、それから国と地方とのこうした税源配分その他の実情というものを知っている者ならば、ああいう見解を発表するのはちょっと乱暴だと思うんですがね。  それで、あれが発表されてから何か対応をされたのかどうか。やはり自治省側としては地方公共団体の財政を指導し、また守る意味から言っても、何か明確なデータを示してはっきりしておきませんと、先ほどから大臣、事務レベルでも、もう三二%については来年は動かせない、将来も何か動かせないみたいな答弁を聞いていると、ますます地方公共団体の立場からすると私は心配なんです。しかも、来年の予算編成をする段階でああいうものが出て、自治省が黙っているというのは、それは腹の中で了解しているんじゃないか。政府の方ではその腹で臨んでいるとなると、これは大変ゆゆしき問題なんですよ。この辺何か対応されましたか。あるいは、されていなければどうするんですか。
  191. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) お示しのございましたように、最近経済界等の一部で交付税率の段階的な引き下げを含めた地方行財政の見直し論といったものがあるようでございまして、私どももそういった話を聞きました。しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、借入金を含めた交付税総額というのは、もう実質五十五年度でも四〇%に近いわけでございますので、そういった現況のもとで、三二%の交付税率を引き下げるというようなことを論ずることは、まさに地方財政の現状、事情とか、あるいは交付税そのものの性格とか、制度の仕組みについて理解を持っていない見方であるというふうに私どもは考えまして、率直に申し上げまして、私は非公式ではございますが参りまして、るるこちらの事情も御説明も申し上げました。そして、かなり現状も認識をしていただき、交付税が国の一般会計を通じているけれども、これは一般の補助金や何かのように支出するようなものではなくて、私どもがいわば地方の共通の税であるというような考え方を持っているということについても理解を示していただいたように思っております。  ただ、向こうの意見は、地方のいろいろな実態を見ても、もっと厳しく簡素合理化等に取り組めという意味をこういったものであらわしたんだというようなことでございましたけれども、しかし、基本的にきわめて大事な問題でございまして、先ほど大臣が言われた、経済によりやれというのは、それはある意味での願望でございまして、先ほど最初に大臣も言われましたように、私どもとしては三二%、実質四〇%の形にして配っておるという現実はこれはほっておけないわけでございまして、地方交付税法六条の三の第二項の趣旨に照らしましても、このままではいいとは思っていないわけでございます。一応返還する際の実質二分の一は国が負担するということで、それは六条の三の第二項の一つの措置であるとは言っておりますが、基本的な意味での改善であるとは決して思っておりません。そういった意味では、実は先ほど答弁の仕方が悪かったのかもしれませんが、そういった引き上げ等も含めて、実態を認識しながら交付税のあり方というものは十分検討していこうということでございまして、そういった趣旨で理解はいただいたと思っております。  今後とも、そういうことが理解いただかないままに事柄が進むようなことでは困りますので、私ども、国民に対してもいろんな、先ほどお示しになりましたような冊子を発行したり、できるだけ地方財政の仕組みも知っていただきたいというふうに考えており、努力もしたいと思っておる次第でございます。
  192. 大川清幸

    ○大川清幸君 地方交付税の問題点については、一つは、いま交付税率の問題を中心にお伺いをいたしたわけですが、もう一つの問題点として、普通交付税の不交付団体の数ですね。これは、全国三千三百余ある自治体の中で、今日の状況はい五十五年度でいいますと六十五団体、まあ六十六団体ですが、東京都の場合は都と区と重複しますので、一つ減らして六十五という数字でよかろうかと思うんです。この六十五の不交付団体ということになりますと、全体のわずか二%にすぎないわけです。  特に、都道府県レベルでは東京都だけが不交付団体でございます。こういう形を見ますと、比較的豊かだと思われる政令都市など、産業あるいは人口も集中しているようなこういう団体も不交付団体になっておるわけでありまして、このことは何を意味しているかといいますと、産業、経済等が集中しているような都市部みたいなところでも、こうした地方公共団体が、それらの豊かな経済力を地方税として吸収し得ない、現行の、何といいますか、国に偏った国と地方の税財源の配分の形であって、その点ではやはり地方財政の強化とか安定ということについては必ずしも適切な形にはなっていないのではないかと、こう思われるわけであります。この点はどう思われますか。
  193. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 現在の地方財政の仕組みにつきましては、先生御承知のように、独立財源としての地方税と、税源の偏在を調整しながらすべての地方団体に対して標準的な財政運営ができるような財源を保障する機能を持っております地方交付税等を中心といたしまして、地方団体が等しく行政を円滑に遂行し得るようないろいろな制度が設けられておるわけでございます。しかし、いまお示しのように、不交付団体というものがきわめて少ないといったような形になっておりますことは必ずしもノーマルな状態とは言えない。そういった意味で、私どもとしては、地方税財源の充実ということが必要であるというふうに基本的には考えておるわけでございます。  ただ、現状のままで直ちに、税源の配分が地方が不足しておるから国の分をそっちへ移行したらいいかということになりますと、それなりにいろいろ問題はあると思っております。しかしながら、今後行政全体を見直して行政の簡素合理化をもちろん図りながらも国と地方との適切な機能分担に応じた事務配分の適正化といったこととあわせまして財源配分の適正化の必要があると私どもも考えておるところでございまして、なかなか口で言うほど容易ではないと思いますが、今後のいろいろな行政の簡素合理化等を含めた一連の見直しの中で、私どもとしてはいま申し上げたことについてできるだけの努力をしていきたいというふうに考えております。
  194. 大川清幸

    ○大川清幸君 御意見としては承っておきますが、先ほど言ったように、大都市でもなかなか自主財源の確保ができないような形になっております。ところが先ほど来の答弁で、地方交付税あるいは交付税特別会計の借入金、こういうようないろいろ繰出金を見ますと、先ほどから言っているように、四七%なり五〇%近くの措置はしてきているとおっしゃいましたね。そういう形で言うと、それなら先ほどからぼくが一番初めに御質問申し上げたように、財政措置の仕方としてよくないのだから、地方公共団体にとっても芳しいことではないし、国の方の立場でも決して芳しいことではないのだから、それなら、租税制度から洗い直しはなかなか困難でできないというようなことであれば、現在措置しているそのレベルで地方公共団体の財政を保護してやるというか、めんどうを見るというのならば、いまの実績からいって五〇対五〇ぐらいの配分率にしたって決して財政的に大きな変化が起こるわけじゃありませんからね。そうでしょう。そういうわけだから、その方向での努力はするおつもりがありませんか、どうですか。まあこれはやっぱり交付税率のアップという問題にもなるんですけれどもね。
  195. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 先ほど申し上げました、実際に配分しておるのは三二%よりもはるかに高いのだということでございますが、それが交付税率として実際に法律を改正してはね返すことができるならばそれはベターでございますが、るる申し上げたように、将来に向かって、きわめて経済の変動の要素もある中で国の財政状況も踏まえて考えた場合に、いま直ちにそれができるかは疑問であるということを申し上げたわけでございまして、いいとは申し上げていないわけであります。だからどうしても六条の三の第二項の本来の趣旨から見ればもっと思い切った改善をすべきだということを申し上げておりますが、なかなかそこまで至らないので、実は大変残念に思いながらお答えを申し上げておるわけでございまして、将来の問題としては、いろいろな行政の見直しを踏まえながらやはり充実強化をしていくべきものだと思っておるわけでございます。  いま直ちにということになりまして私どもがそれができるかと申しますと、やはり国、地方を通ずる全体の財政のことを配慮せずに言うわけにはまいらない実情があるということだけは御理解を願いたいと思うのでございます。
  196. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは次に別の問題に入りますが、いままでの御答弁で、今度は不交付団体の性格についてちょっとお伺いをしてみたいと思うんです。  五十五年度の普通交付税算定の結果、これで大変特徴的な形が出ておりまして、四十七都道府県のうち交付団体は東京都を除く四十六団体。そのうち十一の府県は交付税額が前年より減少しております。とりわけ私は驚きましたのは愛知県ですが、これは減らされた金額が二百六十三億円余なんですね。前年度は三百億ちょっと欠けていますから、五十五年度の普通交付税が三百億近かったのが、わずか二十六億ですわ。これはゼロと同じですよ。不交付団体寸前というような形になりますね。まあ愛知県の方で黙っているのだかどうだかわかりませんけれどもね。それに次いでやはり大幅な減額は、大阪府の三百十二億余円。これも大きいです。五九・九%減っています。神奈川県は二百十一億円の減で五二・六%、前年比。これは大変大きいですよ。  この愛知県のように不交付団体寸前のかっこうになっておるわけですが、私の経験からいって、東京都の例なんかでも財源超過額というか、ロス額が前年度から五百七十六億円もふえちゃって、繰り出し金その他やらなきゃならないというような実情があるので、不交付団体である東京都でも財政というのは決して十分な余裕があるわけじゃなくて、大きな赤字を抱えていま財政再建に努力をしている真っ最中。指定都市なんかでもやはり、そういう点から考えると、先ほどから申し上げているように交付は受けておらなくても決して財政的に余裕があるわけではないわけですね。まして、今年度大幅に交付税の交付額が減少した府県、これは財政状態は、減ったからよくなったというのじゃなくて実情よくないんですよ、どこの府県も。  今年度のようなこういう交付税率の算定結果が生じた根拠は何ですか、この激減は。
  197. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) お示しのございましたように、今年度の道府県の普通交付税の決定額が、昨年度の二団体に比べまして十一団体に増加をしておるわけでございます。その理由は、主として法人関係税を中心とした基準財政収入額の伸びが基準財政需要額の伸びを上回ったということになるわけでございまして、例として申されました愛知県の場合も同じ理由でございまして、たとえば基準財政収入額の伸びが約二〇%でございますが、基準財政需要額の伸びが一一・二%ということでございます。その結果二百八十九億から二十六億に減ったということでございます。  率直に申しまして、今年度の算定結果を見ますと、基準財政需要額は当初見込みの全体計画とほとんど差はなかったわけでございまして、比較的に各地方団体ばらつきの少ない伸びを示しておりますが、基準財政収入額につきますと、法人関係税が、特に法人事業税が当初見込みを非常に上回ることになりまして、伸びを示したわけでございます。五十四年度に引き続いて高水準の法人事業税が見られたためにそういった動向を反映いたしましたことと、さらに五十四年度分の精算増もかなりあったということ、その二つが重なりまして、法人関係税のウェートの大きな団体に非常に大きな影響を与える結果になったわけでございまして、そういった点では各算定を通じ、当該団体とは常に事務連絡もとり、やっておって、当然納得の上といいますか、公然と、公にされた資料に基づいて算定をしておるわけでございまして、やっぱり大きな原因はそこにあるということになろうかと思います。
  198. 大川清幸

    ○大川清幸君 私も状況を調べてみて、全国の基準財政収入額の伸び率を大体割り出してみると一六・五%ぐらいに見ていますし、それから、基準財政需要額の伸びについても一一・三%、こういうふうに見ていますから、基準財政収入額の伸びが大きいことから見て、こうした減額の現象が出てきたんだろうということ。それから、ただいま御説明があったように、法人二税など地方税の伸び率が、まあ実情大体それに合っているとおっしゃったので、年度末の決算を見なきゃこれはわかりませんけれども、かなり高く見積もったのが幸いにして当たったのかどうか、これは決算のときに一回チェックをしてみたいと思っているんですが、かなり高く見積もったんで、ぼくはこれは危ないんじゃないかと実は思っておったんですが、ほぼ見込みどおりうまくいっているのならばそれはそれで結構なんですが……。  そこで、今回の算定結果で、こうした十一団体等は減額をされているわけですが、これらの地方自治体でも財政事情というのは、いろいろ首長さん方の陳情等を伺いますと、決して財政事情は好転していると言えるような状態ではないと思うんです。まあこうしたやり方は先ほどから御説明のあったとおりで、交付総額の枠の中で配分技術としてやらざるを得ないという結果だろうと思うので、昔から論議されているように、配分率等もいろいろ問題になって、実情に合うとか合わないとかというような論議も繰り返されてきたんだろうと思います。こういうような配分技術の上から考えまして、先ほど大臣からも御答弁があったんですが、財政の実情からいって不交付団体だから富裕団体と、東京都を含めて。私はそういう概念、考え方は当たらないのではないかと思うんですが、どうでしょうかね。
  199. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 交付税の具体的な算定は、御承知のように個々の地方団体ごとの基準財政需要額と基準財政収入額を積み上げて、その結果交付税額というのが決定をされる仕組みになっておるわけでございますが、地方財政計画において見込んだ地方交付税総額の枠内での配分方式であるということは、これはもう御指摘のとおりでございます。そういう中でやるわけでございますが、普通交付税はまさに基準財政需要額が基準財政収入額を上回る団体に対して交付をされるものでございまして、そこで、あるべき需要額、あるべき収入額ということを客観的にあるいは理論的に算定した結果、財源超過あるいは財源不足の団体というふうに分けられる。そして分け方は総体の交付税額の枠組みの中で考えるわけでございます。  したがいまして、御指摘がございましたように、普通交付税の算定上、財源超過団体であることをもって直ちに絶対的な意味における富裕団体であるということは必ずしも適当でない場合もあるだろうというふうに私も考えますが、全体の地方団体共通の客観的な物差しを当てはめてみまして、その結果の財源超過団体であるということはこれは事実でありまして、いわば相対的な関係で見た財源超過団体だと言わざるを得ない。いまのような行政水準、あるべき需要額ということ、それは団体によって、都市の態容によっていろいろ補正しながら実態に応じたものは見ておるわけでございますが、その水準が高いとか低いとかいう議論はあるかもしれません。いまの仕組みのもので見た場合に、超えておるかいないかということで、いまおっしゃいました意味での富裕団体という言葉の使い方には問題があると思いますが、絶対的に富裕だという意味での考え方というよりも、不交付団体は財源超過団体だというふうに相対的に見ていくべきものではなかろうかと思っでおります。
  200. 大川清幸

    ○大川清幸君 富裕団体かどうか、これは財政の実情等にかかわるもので、あんまりこれで論議なしていてもいたし方がないと思いますが、不交付団体にかかわる問題で具体的に申し上げますと、たとえば義務教育職員給与費国庫負担金あるいは地方道路譲与税、次に国有提供施設等所在市町村助成交付金、こういうようなものですね。財政調整や各種の差等補助金、これらを含めてですが、これは不交付団体であるということで、不交付団体に対する国庫補助の差別運用的なやり方、これは妥当を欠くのじゃないかというふうに私は思っているんです。まあこのうち義務教育職員給与費国庫負担金とそれから地方譲与税は、東京都など、その他の地方公共団体から強い要請もあって、昭和五十五年度で一定の是正といいますか、緩和措置がとられてきたわけです。しかし、調整自体がまだ今後に残されていると考えていいと思うんですが、不交付団体といえども先ほど言った東京都、それから名古屋なんか不交付団体寸前ですが、この不交付団体が必ずしも富裕団体という議論に当たらないという実情の中で考えますと、この制度そのものを廃止をして措置するものはすべきではないかというふうに考えておりますがいかがですか。
  201. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 不交付団体に対しまして国庫負担金等についての財源調整措置があることはお示しのとおりでございまして、こういった措置が基本的には各地方団体の財源の均衡化を図る見地から設けられているという点では共通の性格を有しておるわけでございますが、それを設けられましたのは、それぞれ制度の内容や沿革に違いもございますし一律には評価できないわけでありますけれども、やはり財源の均衡化を図るという点からはそれなりの意味を持っておるものだと考えております。しかしながら、財政調整を行う程度とか範囲とかいうようなものは、そのときどきの地方団体の財政の実態によって見直しをすべきものであると考えております。  そういうことから先ほど指摘がございましたように、五十五年度でも、義務教育給与費国庫負担の問題とかあるいは道路譲与税等につきましては、若干警察関係のものもあったわけでございますけれども、それなりの実態に応じた調整をしたわけでございまして、今後におきましても財政の実態等の推移を見きわめながら改善を加えるよう検討をしていくということについては私どもやぶさかではございません。
  202. 大川清幸

    ○大川清幸君 改善検討を加えていただければ大変結構だと思うんですが、この三つの中で、特に義務教育給与費にかかわる問題ですが、これは御承知のとおり、国と地方自治体で共同で責任を負ってやっていかなきゃならない仕事であることはわかっておりますが、しかし財政的に言えば、国の方の負担で本来この義務教育の仕事というのはやっていただくべきものだろうと思うわけなので、この点については不交付団体と否とを問わず、こうした調整を将来やめるのが私は筋ではなかろうかと考えておりますが、御意見いかがですか。
  203. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 義務教育職員の給与費に関する国庫負担金制度の基本的な問題でございまして、いまは国庫負担というかっこうでおおむね二分の一を国が持つというかっこうになっております。この仕組みをどういうふうに変えるのか、全部国が持つ方がいいのかあるいは財源措置の結果全部地方が持ったらいいのか、そこらはいろいろ議論の分かれるところだと思いますが、少なくともいろいろな経緯を経て今日に及んでおるわけでございまして、私どもとしてもこれほどの大きな問題を一挙にいま片づけられるとは思っていないわけでございます。  ただ、おっしゃいますように、不交付団体に対するいろいろな国庫負担制度の財源調整措置、これについては今後ともやはり検討を加えていく必要があると思っておりますし、明年度も、要求ベースでありますが、文部省としては若干の改善をしたいということで要求されておるようでございます。私どももそれは支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  204. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは御努力をお願いしたいと思います。  次に、やはり地方公共団体の財政に影響がある問題でお聞きをいたしておきたいんですが、それは、利子配当所得の分離課税と住民税とのかかわり合いでございます。これは国の税制が地方に波及する一つのいい例だと思うんですけれども、利子配当所得等の分離課税かあるいは総合課税かということは、これはまた大蔵省というか税制にかかわることですからここで論議することはやめますが、この部分がやはり住民税が非課税の形になってこれは影響があるわけです。そこで、所得税において総合課税とするか分離課税、これは先ほど言ったように——ここでは論議やめましょうかね、まあ影響の点にしぼってだけお伺いをした方がよろしいかと思いますので、その点にしぼってお伺いをしてみたいと思います。  こういう形で影響があるのは、地方自治体の課税自主権の侵害とまで言えるかどうかわかりませんけれども、論議をするとそういう問題も出てくる性質のものではなかろうかと思っています。住民税のこれの見込みの減額が推定で約一千億円程度になるだろうと思います。今回、五十五年度の地方特別交付金の一環で、一般会計から臨時特例交付金千三百億円、これが計上されておるわけですが、このうちの相当部分がこの利子配当所得等——ほかのものも入っていますが、住民税が非課税になった分を配慮した額だというふうに言われておりますが、この点は間違いありませんか。
  205. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) お話しのございましたように、所得税において、利子配当所得について分離課税を選択いたしました場合は住民税が課税されない仕組みになっておるわけでございます。ただ、御承知のとおり、租税負担の公平を図るという趣旨から、この特例につきましては五十九年一月一日以降総合課税に移行するということにされておるわけでございますけれども、それまでの間は五十八年十二月三十一日まではなお適用されることになっておるわけでございます。したがいまして、その間は源泉分離選択課税によりまして住民税は課税されないことになるわけでございますが、各地方団体ごとの把握ができないために、そのような事情をも勘案して、地方財政の運営に支障が生ずることのないように、臨時地方特例交付金に含めて国の一般会計から交付税特別会計に繰り入れをしておる、そして地方交付税の総額に加算して地方交付税の算定の仕組みを通じて措置をすると、こういったことになっておるわけでございまして、したがいまして、千三百億のうちの幾らと確定的にはなかなか申し上げかねるわけでございますけれど、先ほど言われました千億もではございませんで、私どものおおむねの推計でございますが、まあ六百億程度がその対象になるのではないかということで、それずばりというわけじゃございませんが、そこらを勘案して含めてやっておるということでございます。
  206. 大川清幸

    ○大川清幸君 そうすると、ただいまの御説明で普通地方交付税の総額というか総枠といいますか、その中へこれは含まれて各地方公共団体措置されるという理解でいいんですか。
  207. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) そのとおりでございます。総額に含めてやっております。
  208. 大川清幸

    ○大川清幸君 そうしますと、この非課税の影響を受けるのは地方交付税を受けている地方公共団体だけじゃないんですよ。不交付団体に対する措置はどうされるんですか。譲与税みたいなことでやるようなお考えはないんですか。
  209. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 具体的に地方団体ごとの減収対応分というものが推計できればよろしいのでございますが、それはもうとうてい困難でございまして、ようやく総体的に税務当局の資料をもとに推計したのが先ほど申し上げた程度でございまして、なかなか個々の減収分の推計は困難である。それでありますからこそ住民税も実は課税されないということであるわけでございまして、私どもとしては総合課税の実現を期待しておるわけでございますが、その間は合理的な推計に基づいて不交付団体、交付団体を問わず配るという方法はとても見出しがたい。そこで、マクロ的に地方財政全体の円滑な運営に資するという見地から現在のような方法をとらざるを得ないというふうに考えておるわけでございまして、なるべく先生の御指摘のように、明確になるものなら、交付団体であろうと不交付団体であろうと、本来とり得るものならそれを分配したらいいじゃないかということでございますが、そこがなし得ないところに実はつらいところがあるわけでございます。
  210. 大川清幸

    ○大川清幸君 まあこの問題は、確かに技術的にも把握したりするのはむずかしい、そうした問題もあることは理解できますが、公平を欠かないように努力をしていただくように要望をしておきたいと思います。  次に、地方交付税制度が何といっても地方財政制度の中心をなしておりますので、その点でこの地方交付税制度自体にいままで言ったように幾つか問題が明らかになってきたんですが、その中で、交付税算定が大都市への十分な配慮を欠いているのではないかという論議が専門家の中でも今日まで繰り返されてきております。他の政令指定都市なども同じような悩みを規模の違いはあっても抱えておるわけですが、東京都の実情を考えましても、昼間人口が二十三区内だけで毎年十万人ずつ増加をするというようなデータも出ておりまして、現在約二百万人というようなことも言われております。このままのベースで流入人口がふえていくと、十年後には約三百万人に達するというようなことがございまして、こうした現象に伴って、交通とか水道とか下水道とか清掃など、都市のこうした行政需要というものがふえる一方なんですが、俗に、これは計算の仕方でいろいろ出題はあると思いますが、流入人口が十万人ふえるごとに必要公共施設の建設費だけで今日では一千億円前後の財源負担になるというような説まであるわけでございます。  ですから、こうした点を考えますと、この大都市の行政需要に対応する交付税ないしはその他の財政補助の措置を配慮をする必要があるだろう、こういうふうに考えるわけでございまして、こうした需要に対応するための財源は事業費補正として全額需要額の中に算入するようにしてもらわなければ大都市地方自治体の財政の硬直化というのはこの点からも起こってくる、こう思いますが、この点はどう考えますか。
  211. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 東京都等、大都市に対する基準財政需要額の算定に当たりましては、これは地方交付税全体の算定の仕組みはまあ大変精緻なものになっているわけでございますけれども、各大都市の御意見、御要望を毎年のように聞きまして、できる限り対応をしてまいっておるわけでございます。  ただ、もちろん地方交付税の算定でございますから、やはり御要望の中には大都市以外の過疎地域どもやはり同じようにいろいろ御要望があるわけでございます。その中で、大都市につきましては、従来より地方交付税の算定の仕組みの中で大都市に特有な財政需要を、あるいは他の地域に比べて増高するような財政需要を算定するために各種の補正を適用しておるわけでございます。特に、ただいま先生お示しのような流入人口が非常に多いというようなことにつきましては、消防費とかあるいはまあ清掃費とか、こういった点ではそういうことを配慮した高い補正係数を使っていく。あるいは道路とか街路、こういった公共投資、投資的経費の面につきましては、特に問題になりますのがやはり地価でございます。非常に用地費が高い。そういう点につきましては、そういった関係費目の中におきまして土地価格比率というような指数を使いまして、平均よりも高いそういった用地費を反映をするというような仕組みをとってきておるわけでございます。  大都市関係の財政需要につきましてはそういったことでいろいろと従来から工夫を重ねておるわけでございますが、その中の一つとして、ただいま御指摘になりました事業費補正の強化を図ってはどうかと、こういう御指摘があったわけでございますが、事業費補正と申しますのは、これは大体昭和三十年代の後半ごろから地方交付税の算定の中でできるだけ実態に近い算定をする必要のあるものにつきましてはそういったものを取り入れてきたわけでございます。ただ、現在ではこの種の補正につきましては、その大部分が御承知の地方財源が大きく不足をいたしておりまして、その不足対策の中で、従来から交付税で見ておりましたものを財源不足対策債という形で振りかえたわけでございますが、その振替の対衆になっておるものがほとんどでございます。したがいまして、財源対策債に振りかえたものでございますから、その元利償還費の方を今度は交付税の方で見ていくと、こういうことでございます。したがいまして、ストレートに事業費補正の額が交付税にはそのままの年度では反映してこない。しかし、地方債の面につきましては、今後とも、長い期間でございますが、反映をしてくるわけでございます。  事業費補正をどう扱うかということでございますけれども、交付税は国庫補助金ではございませんので、そういう意味で実態をそのままストレートに反映していくということにつきましては、これはやはり不適当なんじゃないかというような御意見も従来からございます。その辺をいろいろ彼此勘案をいたしまして、今後とも大都市関係の財政需要の合理化に努めてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  212. 大川清幸

    ○大川清幸君 いま実際は、御答弁のあったとおり、下水道建設の元利償還費ですとか、あるいは清掃工場等の建設費の元利償還費については、まあこれ実際地方公共団体の方から言いますと大変不満なんですが、これは需要額に算入されるのは五〇%なんですよ。ですから地方公共団体の方がそういう事業をやるのは大変なんですよね。こういうことがあります。国の方の財政の苦しいのはわかるけど、これはちょっとやはり全額需要額に入れるような、あるいはそれに近い額でもう少し状況を考えて緩和していただかぬと、これは先々地方公共団体の財政が苦しくなると思うのが一点。  それから、これは国と東京都とのお約束で、国の方からお決めになったので、現在の東京都の営団とか交通局の地下鉄の助成ですな、これは折半のお約束があるんだと思うんですけども、実際には六割が算入されて、その半分というと三割ということになるんですか、計算技術上の詳しいことは私わかりませんけれども、そんなことになって、財政負担は大変大きなもので、五十五年のベースで四百五十六億円を留保財源から負担をしていますし、五十二年度決算までしか出ていませんのでその後はわかりませんが、累積で五千七百五十六億円という充当をしているんです。まあ東京都の方はこれは規模が大きいからこういうでかい金額になるんですけれども、その他の指定都市なんかでも、下水道その他いろいろ財政の厳しいことについては訴えてきておりますが、こうした点を考えますと事業費補正なんかについてはもう少し配慮をしていただいた方がよろしいというか、望ましいというふうに私は思っておりますけれども、その方向での努力はしていただけますか。
  213. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 先ほど審議官からも申し上げました意味での地方交付税における普通態容補正、投資補正、事業費補正等、いろいろな面で大都市の実態に合うような改善努力というものは今後とも続けてまいりますし、まあ地下鉄助成の問題とかいろいろございます。かねがね関係省庁とそれぞれいろいろな点で意見も交換しておるわけでございますけれども、私どもとしては地方団体の財政運営全般にわたって円滑な運営ができますように推進することが責務だと思っておりますので、できるだけの努力を傾注してまいりたいと存じております。
  214. 大川清幸

    ○大川清幸君 努力をしていただくことは大変望ましいことで結構でございますが、重ねて念のためお伺いをしておきますが、東京都と国の間の折半のお約束が、実際には、算定の基礎額というんですか、算入される金額は六割。これ、根拠は何ですか。
  215. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) どうも突然のお尋ねでございまして、ちょっと具体的な中身については私ども詳しい調査をしてまいりませんでしたが、おっしゃった点についてよく実態を調べましてそこの約束があったのかどうか、そこらについてちょっと確かめてみたいと思いますが、そういうことがあったかどうかは別といたしまして、合理的な方向を見つけていかなければならぬと思いますので、そういう点調査した上で、かつまたそういった面での努力をいたしたいと思います。
  216. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは次に、ちょっと問題が変わりますが、都と区の制度について一、二点お伺いをしておきたいと思います。  地方自治法の改正で、二十三区が一般市並みの権限を有するようになって、この五年間で各地元住民といいますか、都民の間にも自治体としての、何というか、形が定着をしてきたように思います。規模からいいますと、小さな区で二十万を超えておりますし、大きいところは、世田谷なんか八十万超しましたですかね。こういう、規模から考えると、地方の都市なんかから見ると、人口だけでも大変規模が大きいわけですが、こうした都と区の関係、従来のいろいろな行政上のかかわりあいがありますので、一気にいろんなことが改められるとは思いませんけれども、たとえば財政運営面で言うと、都区財政調整交付金ですとかあるいは国民健康保険の調整交付金の合計が三千億円なんということで、東京都と区の間がいつもこれが論議の的になったりするというような財政上の問題もまだ未消化といいますか、こなれてきていないというようなことがあるわけです。区長公選にもなりましたし、区の独自性、自主権の確立という点から考えたならば、将来、何といいますか、地方の市並みの体裁というか性格というか、権限を持たせるような方向で改革を考える必要があるのじゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  217. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいまお話しがございましたとおり、区長の公選を採用いたします際に、実は、第十五次の地方制度調査会におきまして、「東京における地方制度については、大都市として一体的に処理することを必要とする機能は都が処理することとし、特別区は住民の日常生活に密着したサービスを提供する地方公共団体としてその権能の充実強化を図ることにより、相互の責任の分担と連絡調整のもとに当面する諸問題に対処することが適当である」という答申をいただきました。これに基づきまして、実は、特別区の事務処理をどういうふうにするかということを内部的に検討をいたしまして、おおむね一般の市と同一の事務を処理するということに重点を置いてこの改正を行ったわけであります。さらに、ほかの公共団体におきましては府県が処理するような、保健衛生行政のような住民の声を身近なところで反映させなきゃいかぬという事務につきましても、実はこれは特別区に移したわけでございます。ただ、いまの答申にもございましたように、一体的に処理しなきゃならぬ、社会経済的な一体性を考えなきゃいかぬということで、廃棄物の処理でありますとか、消防でありますとか、下水道でありますとか、ごみでありますとか、そういう問題につきましては一応都に留保をいたすことにいたしました。さらに、今後のいろいろな事務形態の問題があるということもございますし、お話にありました財政調整の問題もございまして、そういう意味で都と特別区との間の調整を図るために都区協議会の制度を設定をするということで現在までまいっているわけであります。  私の方といたしましては、特別区の特殊性あるいは実情というものを的確に把握するということが大変大事なことであると思います。ただ、御案内のとおり、東京は日本の巨大な都市でございまして、この巨大な都市というものをどういうふうに今後していくのか。その巨大都市における事務処理というものをどういうふうにしていかなきゃならぬのかという問題がこの中に介在をいたしております。そして、しかもその区域をさらに一体的に処理しなきゃならぬという行政の事務もございます。そういうことを考えながら、さらに都の処理しております事務を特別区へ再配分をするとか、あるいは特別区の区域のそういう大都市の問題を考えますときに、いろいろなところで議論が出ておりますが、あるいは区の再編成の問題が出てまいりましたり、あるいは都と特別区の間における問題ということも、さらに大都市の問題というものを考えます場合出てまいるものですから、そういうことをあわせながら引き続き検討をしていきたいと思いますし、地方制度調査会におきましても、そういう大都市の問題ということについてやはり検討を加えていくことが必要であろうという考えでもありますので、その辺をにらみながら今後検討をしてまいりたいと存じております。
  218. 大川清幸

    ○大川清幸君 それで、ただいまの問題に関連して、これはちょっと小さいんですが、実務的な問題なんでお伺いをしておきたいんです。  現在、いろいろな特別措置として、都と区の間で事務にかかわるいろいろなケース、不都合なケースがあるんです。これは地方自治法施行令附則第六条の二の二項ですか、その規定によって、たとえば保健所なんかでは非常に困るんですけれども、食品衛生監視業務をやる職員とか、あるいはビル衛生監視業務などをやる職員、これが、人数が非常に小さいんですけれども、これは事務レベルでの現場で困っている問題なんで御意見を伺いたいんですが、この食品衛生監視員の方は七保健所に二十八人、それからビル衛生監視業務の方は五保健所で十五人というようなことで、これは四十九年の改正当時の実情はそれでよかったように思うんです。ところが今日になりますと、あれから五年たちまして、何かこう中途半端で、この職員たちが居候の感じになっておりまして、そういう点から考えると、こうした地方自治法の施行令の附則などに明確に規定されている問題なんかも手直しをして、職場のこうした、ささいな問題かもしれませんが、やはり職員の間でどうも肩身の狭い思いをするというようなことはできるだけ早い時期に解消してもらった方がいいのではないかと思いますが、いかがですか。  まあこのほかにもいろいろありますけれども、ちょっと代表的な例でひとつ。
  219. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 御案内のとおり、この特別区の事務処理をいたしますときに、六条の二の規定を実は整備をいたしました。そのとき、お話しありましたように、食品衛生監視員あるいは環境衛生監視員、こういうものをどういうふうな位置づけをするかというのも議論になっておりまして、このときには都と区との間の御意見を聞きながら実は六条の二の措置をいたしたわけであります。  いまお話しがございましたが、そういういろいろな事情がその後の社会経済の変動によっていろいろ変わっておると思いますので、私の方も厚生省とよくお話しをしてみたいと思います。
  220. 大川清幸

    ○大川清幸君 前段のお答えでも、区の権限強化その他についてもその方向で検討はさせていただくという御答弁があったので了解はいたしましたが、ただいま問題として取り上げましたように、国保の調整の問題とか清掃事業の問題とか、いろいろなものを含めて都と区の間で、これからも都、区自体が協議をして決めていかなければならない問題もあると思いますけれども、区の権限強化の方向で、都と区の協議が整えばその方向で事務配分その他の制度についても前向きに措置をするというふうに理解をしてよろしいですか。
  221. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 実は、どうもお話しを申し上げるのは恐縮ですが、この特別区の改正をいたしますときに私が担当課長でございまして、ずいぶん都と区との間にはさまりまして、どういう事務を現実に移譲するかということで大変悩んだ一人でございます。そういう意味におきまして、当時のいろんな事務の移譲についての問題点というのはわかっているつもりでありますが、なかなか都と区との間の問題になりますと、お互いに仕事のやりとりというのが大変むずかしい部分がございます。人に絡まる問題もございますし、仕事自身に絡まる問題もありますし、いろんなことで大変問題が多うございます。  ただ、私たちの方といたしましては、先ほど申し上げました特別区というものに手をつけますと、大都市自身の問題にもどうしても波及をする、あるいはいつもお話に出てまいりますが、東京都の周辺の市町村と特別区との問題にもやっぱり波及をしてくるといういろんな問題が同時並行的に起こってくる可能性があるものですから、その辺がやはり都全体を考えます場合の、都からの一つの問題の提起になるだろうと思います。そういう点を解明をしませんと、なかなかこの事務処理というのを一元的に、はい、ようございますと言うわけになかなかまいらぬものですから、そういう点を考え、あるいは、公共団体の方の話がまとまりましたら、また各省の方への窓口として私の方がやるのはやぶさかでありませんが、考え方の基本にありますのは、やはり自治体を強化していく、あるいは自治体の自主性というものを尊重していくというのが本来のたてまえでもありますので、そういう方向で努力をしていきたいと思っております。
  222. 大川清幸

    ○大川清幸君 もう時間がなくなりましたが、要望を兼ねまして、通告していなかったんですが、大臣にちょっと御意見だけ聞いておきたいと思います。  通告してなくて大変恐縮ですが、実は、去る八月十四日山梨県側で、富士山で落石事故があって、砂走りで大変気の毒な死傷者も出たわけでございます。これは国土庁がキーになって八省庁ですか、まとめてこれの対応をなさっておるようでございますし、また地元では、山梨県——事件は山梨ですが、富士登山そのものを考えますと静岡県、建設大臣にも関係があるわけですけれども、これは、高いところへロッククライミングなんかで登る場合には重装備をしたり大変な心の準備もいたしますが、富士山は大変姿がいいし、簡単に登れるし、従来事故がないということで、私も事故があってから現場へ、六合目まで登ってみたんですが、かなり寒い日でもシャツ一枚で若者が登ってきたりして、後でかぜを引くなんというようなこともあるわけでございますが、しかし、考えてみるとあれは日本で一番高い山でございまして、そういう心構えの問題の啓蒙とか、それから地元の県などでもかなり、来年度の山開き等からいろいろ安全対策や登山者に対してふもとの方で注意もする、警察もそうした体制を整えて対応をするというようなことが進められているようでございますが、どうかこの安全対策については、日本一高い山だということを考えますと、今後も大変危険な問題が考慮されますので、こうした各関係県とのいろいろな調整や指導あるいは援助の問題、これは予算の絡む問題についてはそう軽々にはできないと思いますが、地元の県でも対応できない問題もあると思いますので、十分その点を御配慮願えるかどうかということですね。八省庁にいま御相談なさっているところだろうかと思います。  それから、大渡りといって、昔から地元の方はあそこのところは昔の方の知恵で一番上のこの砂走りの上、渡るところですけれども、これは早く渡りなさいということの言い伝えになっているんだそうです。あの上の方から落石事故があったわけですが、国土庁の大塚政務次官にも直接私お願いはしてあるんですが、安全対策が物理的に、技術的にできるならばあの大渡りの上の方へ何か防護策ができたらやってもらいたいし、下山道は砂走りを利用しなきゃならないが、谷間ではなくて屏風岩の上の方を通ればかなり安全度が確保されるし、下山道はやはりあそこを使わないと将来ともに困るんだと言っておりました。その点の配慮をしてこの安全対策あるいは地元の県との相談には十分乗っていただきたいと思う点が一点です。  それから、もう一点は、静岡県のガス爆発でいろいろ問題になりました。東京都その他でも、地下街を持っているところではそれぞれ各市長さん、県知事さんが対応をしているようです。これは通産省にかかわる問題だと思いますが、ガス漏れ検知器の付置義務、これは法律関係が出てきます。それから、ガス事業法の上で規制が設けられているバルブの取り抜いについて消防官その他が扱えるように、まあ論議になっていると思いますが、法制化についても特段の推進方を通産大臣との間で御努力願いたいと思います。  以上二点です。  終わります。
  223. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 御要請でありますから、承っておくだけでもいいかと思うんですけれども、ちょうどいい機会でございますのでお聞き取りいただき、御教示いただければ大変ありがたいと思うんですけれども、今日各省庁の行政が、悪口を言えばいわゆるばらばら、縦割り、一つの事柄に対処するにしましても関係省庁がたくさん分かれております。そこで、御案内のとおり、そういうのを調整するというような目的が一つの大きな目的だったと思うのでありますが、国土庁というようなものをつくりまして、ここで関係省庁の行政を統合しようと、こうかかっておるわけであります。  かつても申し上げましたか、静岡駅前のガス爆発事故の対策、あれは国土庁が中心になって対策を取りまとめるということにいまでもなっておるのですけれども関係省庁が七つあるのだそうです。富士山の山崩れの問題、御指摘のとおりであります。恐らく関係省庁たくさんあるだろうと思います。そういうことでありまして、これは受ける方はとにかく一つですから、各省がばらばらに指導されてはたまったものじゃない。それで国土庁というものがやっておる。大震災が発生した場合等も、中央何とか会議というものが責任を持ってやることにはたてまえはなっておるのですけれども、いざ大地震が起こった場合に、それじゃ総理大臣はどこへ行っておるか、あいにく日曜日でございましたのでどこかへゴルフに行っておりました。それじゃ官房長官はどこに行っておるか、これはどこかに避暑地にでも行っておりました——これは行ってもいいことですけれども。そういうようなものを寄せ集めてさあ対策をと、こういうことになりますと、いつのことやらわからぬ。  そこで、当地方行政委員会の皆さんにお聞き取りをいただきたいと思うんですけれども、行政事務はどこかで統合しなきゃいけません。しかし、中央でこれを統合しろというてもなかなかできない。    〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕 私は地方で、都道府県知事権限を与えて、必要な金はやる、技術者等がいなければ必要なものはあっせんするなり何なりしてやる。そのかわり、たとえば静岡なら静岡、東京都なら東京都で起こった事件はそれぞれの知事が全責任を負うてやってくれというぐらいにやったらどうか。そういう意味で地方自治というものをぜひとも強化していただきたい。私ももちろん努力するつもりでありますけれども、当委員会におかれまして、御理解いただけますならば、御指導なり御協力を賜りたいとお願い申し上げる次第であります。
  224. 大川清幸

    ○大川清幸君 時間ですから終わります。
  225. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず最初に、最近全国的に深刻になっています散乱廃棄物、空きかん問題について、幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  この問題については、御存じのように、すでに十月の二十一日関東十都県の知事会議、十月の二十九日全国の都市清掃会議、ここでも特別の決議が行われ、来る十一月の二十日には京都市で百都市による連絡協議会を結成をして、国の積極的な指導方向を求める、非常に大きな全国的な運動になってきているわけですけれども、まず、環境庁にお尋ねをいたします。    〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕 このような空きかんの散乱状況、全国的にどういう事態か、どのように把握をされておりますか。
  226. 浅野楢悦

    説明員(浅野楢悦君) 環境庁におきましては、空きかんの散乱の実態を把握いたします目的で、この八月に全国の約三千三百の地方公共団体を対象にいたしまして、散乱の状況等の実態調査を実施いたしております。現在、その調査票の回収が終わりまして、コンピューターで処理すべく集計中でございまして、年内にはその結果を取りまとめてレポートとして公表いたしたいと考えております。さような状況でございますので、全国的な状況の把握につきましては、レポートの取りまとめにしばらくお時間をいただきまして、発表を申し上げる考えでございます。
  227. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 環境庁としては現在集計中だということですが、私の聞き及んでいるところでは、全国的にいわゆる空きかんが約百億、そのうち六〇%、六十億ぐらい未回収の状況で散乱をしているというふうにも聞いておるわけですけれども、御存じのように、いま京都市で空きかん散乱防止の条例をつくろうということが問題になっておりますが、京都市の清掃局が行いました調査を見ますと、京都市で年間約一億五千万個、四百カ所に散乱をしておる。そのうち、一日トラック二、三台で回収をしなくちゃならぬところが八十カ所もあるという、まさにすごい状況になっておるわけであります。そこで、このような膨大な空きかんの散乱状況は、町の美観を損なうだけでなく、衛生的にも交通安全の上からも非常に重大化をしている。そうした点で、いま触れました京都市を初め町田市等々、すでに多くの自治体がその対策に苦慮をしているところであります。  これら廃棄物の対策については、もちろん国民のモラルの問題を私は否定するものではありませんが、しかし、本来的に、廃棄物処理法第三条、ここでも明確に書いておりますように、その第一項、いわば「事業者は、」「自らの責任において適正に処理しなければならない。」、また第二項で、「適正な処理が困難になることのないように」事業者はしなくちゃならぬのだというふうに法に書いておりますし、また、同法の施行についての依命通達というのが出ておりますが、この依命通達の第一の四項、ここにおいて、一般廃棄物に該当する場合でもその処理に事業者は責任を有するものだというふうに明確に記述をしているわけであります。こうした点で、先日、十月の二十四日の衆議院の環境委員会での野党委員の方の質問に答えて、鯨岡環境庁長官が答弁をなさっていますように、この問題については、本来的に事業者すなわちメーカー側に回収処理の責任を求めていくと、こういう方向を、国としても自治体としてもそういう方向を目指していくというのが当然の方向だと思いますけれども、この点についてどうでしょうか。
  228. 浅野楢悦

    説明員(浅野楢悦君) お答え申し上げます。  この散乱空きかんに関連いたしまして、先生指摘のように、関係する立場といたしましては消費者もございますし、清掃事業体たる市町村もございます。また、散乱する場所の土地の管理者、さらには、いま御指摘のような販売業者等を含めました広い意味での関係業者という立場、おおむね四つぐらいの立場があろうかと思います。  この散乱空きかんの問題につきましては、先生指摘のように、まず、消費者が投げ捨てるという行為そのものに問題があるわけでございますが 環境美化という観点から、そういう消費者の行動につきましてのモラルの高揚というものがまず第一番として引き続き努力をしなければならないと思いますが、それと、家庭から出される空きかんを含めて、こういったものをどう処理し、また資源化していくかということになりますと、消費者の責任のみならず、市町村なりあるいは関連する業界の方々も、なし得る協力をお互いにし合って、この再資源化なり処理の円滑化というものを図っていく必要があるのではないかと考えております。
  229. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 答弁に少しオブラートをかけておられますけれども、私も質問の段階で、国民のモラルの問題を決して否定するものではないけれどもということを言いつつ尋ねておったわけですけれども。自治体が固有の業務だというのは、これは清掃業務についてそういう固有の業務だということであって、私があえて引用をしましたように、廃棄物処理法の第三条の規定、さらにはこの依命通達、ここであえて、一般廃棄物に該当する場合でも事業者はその処理に責任を有するというふうに入っているのでありますから、そうした点で、事業者、その主要な部分であるメーカー側に回収処理の責任の重要な部分があるという、この点は否定できることではあり、ませんね。
  230. 浅野楢悦

    説明員(浅野楢悦君) せんだっての衆議院の環境委員会での、長官の答弁の中で、いまお話しのようなお答えをいたしておりますが、これは環境庁長官の所感を申し上げたものでございまして、具体的に廃棄物処理法三条二項の条項の適用問題ということになりますと、実は、先生御承知のように、厚生省の御所管でございますので、具体的に現行の廃棄物処理法三条二項でどの程度業者の方に対する責任を追及し得るかということになりますと、これは厚生省さんが重点解釈をされるものではないかと思います。
  231. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、厚生省の見解を。
  232. 杉戸大作

    説明員(杉戸大作君) お答えいたします。  まず、三条一項についてでございますが、この三条一項におきまして、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」というように規定してございます。しかし、この空きかんにつきましては、そのかんの製造業者、販売業者等の事業活動に伴って生じた廃棄物とは言えないのでございます。したがいまして、三条一項を根拠にメーカーにその責任を持たせるというようなことはちょっとできないと存じます。  それから、三条二項についてでございますが、いわゆる適正処理困難物にはこの空きかんの場合は該当しないのでございます。と申しますのは、この廃棄物の適正な処理が困難ということでございますが、これは廃棄物の収集、運搬及び処分を適正に行うことが困難であるという意味でございます。具体的に申しますと、適正処理困難物であるか否かの目安といたしまして、現行の処理技術で適正な処理が困難な化学的性状を有するかどうか、それから技術的には処理が可能でも多額の費用を要するか否か、それから処理施設そのものを損傷する可能性があるか否か、そういうことを挙げることができるのでございます。  空きかんにつきましては、これは散在いたしておるものでございまして、その散在を防止するとかあるいは収集するという、そういう行為につきましては、この三条二項にちょっと該当しないのでございます。三条二項は、その収集された廃棄物のステーション——集積場所でございますが、そこから適正な処理が困難かどうかというところにかかってまいるのでございます。したがって、三条二項とはこの空きかん問題はちょっと目的を異にするものでございます。
  233. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 依命通達は。
  234. 杉戸大作

    説明員(杉戸大作君) また同じ解釈でございます。
  235. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 どうも当局は、国に指導責任が向いてくることを何とか防ごうということで、非常に弁明的な法の解釈をなさっていますけれども、しかし、自治体といえどもいろいろ法律の専門家がおると思うのですよ。そういう法律の専門家を含む自治体がいろいろ議論をして、しかも、後からも触れますけれども、メーカーの側はつくる一方で後の回収は知りませんよと、こういう現状になっていることに対して、これでは逆に、国民のモラルを言うならばメーカーのモラルはそれで済むのかという問題として、今日これだけの大きな、自治体当局も含めての世論と運動に広がってきているという、ここのところを政府としてはよく受けとめてもらいませんと、行政執行者として悔いを千載に残すということに私はなると思うんです。  法で書いておるのは、処理が困難な場合という、これは再生処理とかいう、そういう狭く解釈をするのじゃなくて、だあっと散乱をしておる、これが回収が困難だということも含めて処理が困難だという、こういう因果関係になっているわけですからね。そうした点で、そういう事態の解決のためにメーカー側のモラルを求めていくというのがこれは当然の方向だろうと思うんです。ところが、法律上は解釈があいまいな部分がありますけれども、さっきから言っています第三条、それから依命通達では、一般廃棄物においてもというふうに、わざわざまくら言葉をつけて、この事業者の責任を記述をしている。そこまで書いておるのに、ところが実際の仕事というのはもうほとんど市町村に任されておるということの中から、どんなに今日自治体と住民が苦悩をしているか、苦闘をしているか、これはよく御承知のはずです。  幾つかのことを申し上げてみたいと思うんですが、たとえば空きかんの回収処理費、これも京都市の推計数字ですけれども、ごみ処理の予算面で、この空きかんの回収処理のために使われておるという金が大体八円六十銭ぐらい。原価計算上は一個について約五円。まあボランティアなんかの協力を得てだあっと集めておるわけですけれども、こういうものを労力費換算をすれば三十円から三十五円ぐらいになるという資料が——これは京都市に限りません、町田市なんかでも同じような数字が出ていますけれどもね。片一方、メーカーのかんの引き取り費、これは幾らかと言えば、一個当たりブリキかんについて二十五銭、それからアルミかんについては一円五十銭。大体百円ジュースでかんの費用というのは三十円ぐらいだというふうに言われているわけです。ところが、いよいよ回収の段階で、メーカーが引き取るというのはまことにささいな額にしか勘定しない。それを自治体がかわって仕事をやりますと、さっきから挙げておるように大変な負担がかさんでいる。結果としてそれは住民の負担に帰結をしてくるわけですから、そういう姿になっているという問題が一つあろうと思います。  それからもう一つは、メーカーはつくりっ放しで、後の回収は考えないということで、かんの生産量、これが、私が聞いた数字でいきますと、ブリキかんについて、昭和四十六年三十四万一千トンから、五十三年七十万五千トン、七年間に二倍以上にブルキかんがふえていますし、アルミかんについては六千六百トンから三万六千九百トン、五倍以上にふえている。これだけのスピードでどどっとかんをつくっている。ところが、回収については先ほどから繰り返し言ってるようなこと。  それから自動販売機、これが京都市でも九千六百九十四台あるわけですけれども、この自動販売機でかんを扱っているのは八二%。その自動販売機にかん入れ容器をそろえているのが七〇%。そのかん入れ容器をメーカー負担で設置をしているというのはそのうちの二〇%にすぎないという状況であります。それから、いわゆる省資源云々ということが挙げて強調されているわけですけれども、資源再利用を考えないメーカー側の使い捨て主義といいますか、ということで、たとえばかんについても、ブリキかんについてふたはアルミにするという、このことのためにずいぶん再利用の点でむずかしさが出ている。これも結局ただつくらんかな、売らんかなという、これだけでこういうやり方になっている。これに対しての国としての技術指導が十分やられておるというような節も見られない。  こうした点で、メーカー側の、それはもうつくる一方で、使い捨て、後の回収は知りませんよと、こういう状況で済むのか。環境庁の先ほど答弁もありましたし、私が冒頭に触れました十月二十四日の衆議院の環境委員会で、鯨岡長官としては、廃棄物処理法の精神からいって、事業者、メーカー側に一定の回収処理の責任を求めていくというのはまあいわば当然のことでありましょう、というふうに言っているわけですけれども、この点について、いろいろ申し上げましたけれども大臣お聞きになって、どういう御見解でしょうか。
  236. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 自治省の所管でありませんので、全くの個人的なお答えにならざるを得ないと思いますけれども、要するに考え方だと思うんです。それで、ジュースのかんを、製造業者に回収までの責任を負わせるというのも確かに一つの方法だと思うんです。しかしながら、これも営利業者であります。もうけがなきゃやりゃしません。全国に散らばるかもしれない自社製品の空きかんを自分責任で集めにゃならぬということになりますと、相当の値段で売り出すに決まっております。そうしなきゃやれませんから。そうした方がかえって消費者のためになるのかどうかということでありますけれども、仮に一社がかんを売るとします。これが、消費者が全国にまたがっておるということになりますと、全国津々浦々までこいつを集めて歩けということになると、これは大変なことになるだろうと思うんです。それよりかむしろ、そういうものでもうけるんだから、自分で回収すればそれだけの経費がかかるんだというのならば、何かその辺に、税金で取るとか、何らかの方法が考えられないものかどうか。  また、京都の例をお引きになりましたが、京都は神社仏閣等がありますし、たとえばそういうところに来る参詣者、参拝人がそういうものを飲んで境内にでも捨てる、捨てるんなら捨てなさい、そのかわり拝観料、参拝料をこれだけ納めなさいというような考え方に立つか、まあその辺いろいろ考えがあろうと思うんです。ただ、あくまでもメーカーなるものは、必要なだけは必ず取って、その上にある程度の利潤を見なければ、本当に消費者の必要とするようなものをつくるはずはない、そこはひとつわれわれ考えておかなければいくまいと思います。  なお、私も経験があるのでございますけれども、一番困りますのは——京都の神社仏閣でございますとまだそれでも拝観料、参拝料というものが、おさい銭がその名所に入るんです。ところが、国立公園。御承知のとおり国立公園に入るのは無料であります。面積が広うございます。あそこに捨てられたら、県にしましても地元市町村にしましても、これは全く持ち出しになっちゃう。まあみやげ物屋とかなんとか、何ぼかありますけれども、泊まってくれりゃいいのだけれども、近ごろのように交通が便利がよくなりましたら、自動車に乗ってきて、見て、ごみ捨てて帰っちゃう。地元は何ら益するところはない。そういうのをどうするか、そういう問題が残りますけれども、私は考え方の問題で、だれに収集の責任を負わした方が国民経済上なり本当の環境保護のために実効が上がるかという考え方の問題だろうと思います。
  237. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 大臣はいろいろ申されましたけれども、その神社仏閣の拝観料問題というのは全然別です。別の性質の問題です。担当省庁が違うからというふうに言われていますけれども、少なくともあなたの指導というか指導監督援助の傘下にある全国の多くの自治体が、今日、もう何とかしなければ町の美観も大変なことになるし、衛生上も安全上も大変なことになるということのいろんな苦闘の中から、いまこういう方向が必要じゃないかということを提言をしてきておる。そのことに真っ当に担当大臣としては耳を傾けてもらって、そういう自治体関係者の努力と力を合わせてどういう解決をやっていくかという、私はその姿勢を本当は聞きたかったんですよ。どうですか。
  238. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) どうも御質問の趣旨をちょっと勘違いした筋もありまして、失礼しました。  やっぱり市町村あるいは県、どっちにやっていただくのがいいかようわかりませんし、また現在の法律がどうなっているかわかりませんけれども、必要ならば当該地方自治体の財政需要として当然計上すべきものと考えておりますが、事はそう簡単な金額ではありません。よく検討いたしまして、何とかして地方自治体が不当な財政負担を負わぬでも済むように検討さしていただきたいと思います。
  239. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 前の答弁よりは積極答弁ではありますけれども、まだちょっとお尋ねしておることとピントが合うてない。  私は、いまの法律のもとでも、行政指導を徹底をしていけば、行政指導を強化をすれば、事業者、メーカーに回収処理の責任を求めていくという方向はとれるはずだというふうに思うんですけれども、しかし、それがどうしてもいまの法のもとでは限界があるというのであれば法改正を検討するというのも一つの方向ですわね。いずれにしても、そういう方向を持ちながら、いま自治体が本当に苦闘をしておる、この苦闘の姿、それを真っ当に受けて自治大臣としてはがんばってほしい。担当省庁でないというのだったら、幸い環境庁長官もそういう答弁をしておるのですから、環境庁長官ともよく力を合わせながら相談をしながら、さっきもほかの例で出ていましたけれども、この問題についてはいろんな各省庁にまたがるそういうややこしい問題がありますけれども、省庁間でよく相談をし合って問題の前進を図っていくということで、自治体にお金を出しなさいと、こんなことを私言っているわけじゃないんですよ。やっぱり、どう見たって、それがすべてと言わないにしても、事業者であるメーカーの側がもっとこの空きカンの回収処理の問題についてその責任の一定部分を持っていくという方向が追求されてしかるべきじゃないかという問題として言っているんです。どうでしょうか。
  240. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 何とかして、御質問の御趣旨に沿いますとお答えしたいんですけれども、メーカーの責任でとおっしゃるお気持ちはよくわかるんです。しかしながら、メーカーというものは、申し上げましたとおり利潤を追求するものでございます。これは元が取れぬことにはやりはしません。自社の製品の空きかんが全国にばらまかれているのを自分で回収せいということになりますと、相当の金を原価に入れなければつくるはずはないと思うんです。そのことはかえって消費者に迷惑じゃなかろうかと思いますので、その点はさらに検討をさしていただかなければなりませんが、関係庁と協議して、現在地方自治体が困っております空きかんの処理が何とか円滑に進むようにという努力は払います。
  241. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、事業者、メーカーは利潤の原理で動いておるからというふうにおっしゃいますけれども、しからば、公害防止の問題はどうなるんでしょうね、その論理でいけば。利潤の原理があろうとも、やっぱり国民に公害をたれ流す、こういうことはとめなくちゃいかぬということでいろんな幾つかの法律をつくってきているわけでしょう。そういう見地からいって、この問題についても、とにかくあえて利潤の原理で動いている相手だからという、この論法を繰り返し大臣が口にされるということについては私は心外ですね。
  242. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 私の舌が足りませんでした。といいますのは、空きかんがたまたま例に出たものでございますから申し上げたんです。繰り返しますけれども、空きかんというのは全国どこにばらまかれるかわからぬ、そのものを自社で回収せいということになると大変な金になるだろうということが主として申し上げたかったわけであります。公害、なるほど企業の責任にしておりますが、その及びます範囲等から考えますと、そう遠方までということはありませんで、おのずから限界もありますし、企業に責任を負わしたからといって特にそう不当な原価として上積みするようなことはあるまいと、かように考えますので、公害防止についての企業責任の現行法体系は私はいまのままでいいんじゃないかと思っております。程度問題かもしれません。私の言葉が足りませんでした。
  243. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、この廃棄物処理法の三条の解釈については若干の意見も出されておりますけれども、一方、そういう状況のもとで、今日緊急避難的に、自治体の住民を守るという、そういう見地から、町田市だとか京都市だとか広島だとか、幾つかの自治体がいろんな独自施策を講ぜざるを得ないということになってきているわけですけれども、そういう状況のもとで、御存じの京都市が企業責任を明確にしつつ罰則もつけた条例をつくろうという方向を提起をして、いま広範な市民的討論を呼びかけておるという状況にあるわけですけれども、こうした方向というのは、地方自治法第十四条に、法に違反しない限り自治体の自主的な条例制定権、罰則制定権、こういうものは法のもとでも保障をしておるということからいって、こういう自治体の積極努力ですね、これは法的に見ても適法であるし、国としてこうした方向を当面支持をしていくということは当然のことでしょうね。
  244. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいま、京都市の空きかん条例、あるいは町田市におきます空きかんの回収条例等を挙げながら、地方自治法の十四条の規定のお話しがございました。京都市の空きかんにつきましては、いまお話しがありましたように、ここ二年ぐらいの間、ずいぶん市民団体の間で検討をされ、市当局もこれに参加しながら何か解決方法を見つけようとしていま真摯な努力を続けておることは事実でございます。たまたま、この京都市空きかん条例専門委員会で出されております試案と申しますか、中間報告というものを見てみますと、この中にもいろいろな、先ほど大臣から申し上げましたが、事業者の責務でありますとか、あるいは自動販売機の設置者の責務でありますとか、市長、市民、あるいは受託者と申しますか、そういう人の責務であるとか、いろいろ挙げながら、いま罰則の規定をつけるんだというお話しがございました。  もとより、法律と条例との関係の問題につきましては、公共団体法令に違反しない限り、あるいはそれが地方公共団体の事務である限り、あるいは長の専権に属する事務でない限り条例をつくることは可能であります。しかも、罰則をつくるということであれば、当然、行政事務条例でありますから、十四条の規定の適用になるということになると思います。  ただ、先ほどから各省のお話を伺っておりますと、このごみの中身が日常性のごみの問題と、散在性のごみの問題の二つに分けておって、散在性のごみについては法律の知るところではないという感じを私自身も実は受けておるわけですが、散在性のごみが、もしも国の事務でない、要するに国が関知することでないということであれば、先ほど申し上げましたように、国の法律違反をすることはないわけでありますから、公共団体が条例でこれを決めるということは、地方公共団体の条例制定権からいいましても当然予定をされているところであります。ただ、具体的にどこまでこの条例で定め得るかということにつきましては、いろんなその目的なり、対象なり、手段なりというものを総合的に勘案をしなきゃならぬということも事実であります。  この空きかん条例に関しましていろいろな学者の御意見も出ておりまして、私もそれを拝見をいたしてきておりますと、なかなかむずかしい問題もあるようであります。特に、京都市でやりますことが、ある意味では空きかんというものに対します公共団体の先導的な役割りをなすという意味から申し上げれば、大変これはユニークな条例になるだろうという感じがしますし、資源の再有効利用でありますとか、あるいは業者なり一般の住民の方々のモラルの問題である、あるいは慣行に対する一つのこれからのあり方の問題であるということにいたしますと、この辺の問題がまたいろいろな問題を起こすこともあり得るかと思います。  そういうことで、やはりこれは私たちの方も、もう少し中身を見ながら議論をしなけりゃいかぬと思っておりますが、京都市に関する限り申し上げますと、京都市の空きかん条例専門委員会が中間報告を出しておる段階でありまして、最終的にどうするかということを決めておらないようにも承っておりますので、その結果を見ながら、私の方で指導できるものであれば指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  245. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いろいろ答弁なさいましたけれども、基本的に、地方自治法に定める自治体の権限に基づく条例制定で違法ではないと、適法だということを確認をしておきたいというふうに思うわけです。  そこで、問題は、いま京都市で、この方向、運動について自治体と事業者と市民と、この三者が同一のテーブルに着いて意見の一致を図っていこうという呼びかけをしておるわけですけれども、ところがなかなか事業者、メーカー側がテーブルに着かない。むしろ、市民と自治体との対立をあおるような言動がいろいろ出ておるわけですけれども、こうした点でぜひメーカーに対する指導官庁、通産省もかむかと思うのですけれども自治省なり、通産省なり、農水省なり——自治省代表的に答弁していただいてもいいわけですけれども、とにかく三者が同一テーブルに着いてよく話し合って意見の一致をつくり上げていくと、この自治体の努力にひとつ呼応してそういうことをやっていくという指導をぜひやってもらいたいというふうに思うんですが、どうですか。
  246. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 先ほど申し上げましたように、この行政事務条例が法律に違反しない限り適法であるということをお話しを申し上げました。学者の意見もありますとおり、なかなか問題はむずかしい。たとえば、京都市における空きかんの条例をつくりましても、そこに入ってくる、入洛者というのがあるわけです。入洛者が勝手に捨てていったものを京都の市民がそれに対して負担をする、あるいは、この問題で見てみますと、上乗せの金額を払って空きかんを回収するというようなことになりますと、京都市民に対して著しい不当な負担を強いているということにもなりかねません。ですから、そういうことを全体的に考えてみませんと、条例をつくりましても、その後の条例における有効性と申しますかあるいは効率性と申しますか、そういうところからなかなかむずかしい問題が派生するだろうと思っているわけです。  日本全国的に行うという方法でありますれば、それは何らかの方法において空きかんというものを回収する方法、手だてというのがあるでしょう。たとえば、いままでやっております酒びんですか、そういうものの上乗せの方法で、持ってきた人には回収をしてあげますよというような制度があるわけですが、そういう制度を導入をしていくという方法でありますれば、あるいはできるかもしれません。そういうことをいろいろ考えてみますと、特に先ほど申し上げましたのは公共団体がそういうことを先導的に……
  247. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ちょっと、私、余り時間がないから、答弁を簡単に。
  248. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 役割りとしてつけるというのは可能といたしましても、そういう広域的な問題を一市の中で全体を解決するというのは大変むずかしいと思いますので、その辺のことは今後の検討課題にさしていただきたいというふうに思うわけであります。
  249. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私が賢明をしたのは、三者が同一テーブルに着いて意見一致を図る、そういうための話し合いをやるということで、メーカー側もテーブルに着きなさいという指導をやってもらいたいということのこれが質問なんです。大臣、どうでしょうか。
  250. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) テーブルに着くだけなら着けと要請しますけれども……
  251. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 着かぬことには話にならぬです。
  252. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) そうです。着かぬことには話し合いになりませんが、着いたらば何か負担せいということになりますと、それはあるいはいいかもしれませんが、京都の空きかんの清掃については幾らかでも負担しましょうと、それじゃ大阪はどうしてくれる、東京はどうしてくれる——同じメーカーだったとします——そうなりますと、京都の空きかんを回収するために金が幾ら幾らかかる、したがって自分の製品は幾らで売らなければ採算に乗りませんと。京都だけ高くするというわけには私はいくまいと思うんです。したがいまして、非常にむずかしい問題でありますから、簡単にテーブルに着けと、承知しましたというわけにはまいりませんが、よく検討さしていただきます。
  253. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そういう問題であればこそ、京都とほかの県と値段が違うとか、それから、京都ではこうする、どこではどうすると、そういう問題があればこそ、今日もはや国のレベルとしての指導方向をはっきりすべき局面へ来ているんじゃないかということを冒頭から申し上げておるわけです。そういう点で、ひとつよく検討をしてみましょうということですので、ぜひ鋭意検討をしていただきたいというように思うわけです。  最後にお尋ねをしておきますが、この問題にもかかわって、昨年の九月十日の第十七次地方制度調査会答申、「新しい社会経済情勢に即応した今後の地方行財政制度のあり方について」というその中で、今後の行政のあり方、行財政の簡素効率化といううたい文句で、「個人、家庭、地域社会、公共団体、民間企業等が責任を負うべき範囲」を明確にする、そこから行政が責任を負うべき事項でも、適切な方法で民間企業等に行わせることも考慮すべきだ、こういう記述が出てくるわけですけれども、これはもちろん私は、これの目指していることがたとえば社会福祉等の事業を行財政の効率化と称してこれを切り捨てたり、あるいは民間に移行をする、こういう危険な方向がこの中にうかがわれるんじゃないかというふうに私としては見ているわけです。  しかし、逆に、こういうことを言うのであれば、きょう私ここで問題にいたしましたように、空きかん廃棄物処理の問題について、民間側、いわばメーカー側に責任を持たせていくことにきわめてちゅうちょをしているという、これは大変矛盾した話になるんじゃないか。そういう意味で、やはり本来的に、みずからがつくり出したものなんですから、その後始末の責任を負わせていくんだという、こういう方向で検討をするということでしたけれども、ぜひ政府として、きょうここの委員会は総責任者は自治大臣でありますので、もう一遍最後に、勇断をもって今日のこの問題についての対処方向を何としても検討していただきたいというふうに思うんですが、重ねてお尋ねしておきます。
  254. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 直接の所管大臣でありませんので、責任を持ったお答えはできませんが、ただいまの御発言の趣旨、所管の大臣にはよくお伝えいたします。
  255. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう余りあと時間ございませんが、別の問題で少し御質問をしておきたいと思います。  二つ目には、料理飲食税の免税点問題でありますが、すでに、たとえば十月一日付で全国中小業者団体連合会、ここが自治大臣あての飲食税の免税点引き上げの申し入れが提出をされておる模様でありますけれども、この問題について自治省としては現在どういう検討をされておりますか。
  256. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいまお話しのように、料理飲食等消費税の免税点につきまして、その引き上げを求める要望意見が出されております。これにつきましては、免税点制度につきましては、具体的にどの程度の人がその恩恵に浴するかという状況、あるいは地方財政全体の状況等を総合的に勘案してその取り扱いを考えていかなければならない問題であります。  現在、五十六年度の税制改正の問題についていろんな角度から検討を始めているわけでありますが、料理飲食等消費税の免税点につきましては、当面これを引き上げることは予定しておりません。
  257. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私からあえてこの数字を申し上げるまでもないと思いますけれども、ここ十年何がしの経過をずっと振り返ってみますと、大体二年ごとぐらいに免税点の見直しをやってきているんですね。このことは当局も否定なさらないというふうに思いますけれども、大体見直しが行われた年度を挙げますと、昭和四十一年、四十四年、四十六年、四十八年、四十九年、五十年、五十二年、五十二年。だから、大体平均して二年ごとに見直しをやって、五十三年以降全然見直しがやられていない。こういう経過から見ても、今日非常に関係業者といいますか、関係団体といいますか、旅館あるいは飲食店、ひいては、これは国民の負担にかかってくる問題でありますから、そういうところからの非常に強い要望として出されておるこの免税点問題について、当然時期的にいって見直しをすべき時期へ来ているのじゃないかと思うんですがどうですか。
  258. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 確かにお話しのように、過去におきましては免税点は二年ないし三年の間隔で引き上げられてきております。五十三年度に免税点が引き上げられて以降、まあ免税点だけについて申しますと五十二年度、基礎控除まで含めますと五十三年度以降引き上げが行われておりません。  ただ御案内のように、地方財政の現状は大変深刻になってきておりまして、現状におきましては、現行の税制の中でできるだけの税収を確保し、大幅な財源の不均衡の状態を少しでも改善していかなきゃならない。行政水準を維持するためにもそのような努力が必要である、こういう状況でありますことと、それから、初めにも申し上げましたけれども、現在の免税点の水準におきましても、かなりの程度の消費者の方が課税対象から外れている、免税点の恩恵に浴していると、こういうような状況にありますので、たくさんの要望が出されていることは重々承知しながらも、地方財政の現状においてはこの引き上げがなかなかむずかしいということで、現在引き上げについては検討をしていないという実情にございます。
  259. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 事情はよくわかるけれども地方財政の現状からむずかしいんだと言われるわけですけれども地方財政の深刻な状況というのは私も何ら否定しないわけですけれども、これまた歴史的に振り返ってみて、免税点の見直しをやって料飲税の自治体における税収が減ったかといえば、決して減っていないわけですね。お手元に数字ありますね。さっき言いました各年度、大体二年サイクルで見直しをやってきているけれども、伏して税収は、そのことによってどんと減るということになっていない。むしろ、だんだん逐年ふえてきているというのが姿でしょう。だから、そのことによって地方財政に深刻な影響が出てくる、深刻な税収減になっていまの地方財政の危機にますます拍車がかかるということでは全くないというふうに私は思うんですけれども、どうですが。
  260. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 免税点の引き上げによる減収の影響が、料理飲食等消費税全体の収入の中でどの程度影響しているか、この分析はなかなかむずかしいのであります。確かにいま御指摘のように、過去において免税点の引き上げが行われた年度の料理飲食等消費税全体としての収入額は、その前の年に比べて若干ずつ伸びていることは事実でありますが、このことをもって免税点の影響が余りないんだという断定をすることは非常にむずかしいと思います。そのときどきにおける一般的な消費の伸びと免税点の引き上げによる減収の関係がどのように絡み合っているかということを検討しなきゃならないと思うのであります。  私どもも、御指摘のようなことがよく言われるものですから、過去において免税点の引き上げが行われた年度において、その免税点が引き上がる——まあ大体免税点の引き上げは十月から行われますから、収入帰属から見ると、四月から十月までの税収額とそれから十一月から三月までの税収額の伸びのぐあいを調べてみますと、免税点の引き上げの行われなかった年度においては従前の伸びのトレンドが変わらないで伸びておるのに対して、免税点引き上げが行われた年度はいずれも行われる前の上半期に比べて下半期は落ち込んでおります。したがいまして、私どもは、免税点の引き上げによる減収を少しでもカバーしようということで、各自治体において徴収に努力されるという面でこの引き上げの影響をかなりの程度カバーしてきたということは考えられますけれども、少なくとも過去のデータで見る限りは、免税点の引き上げの行われた下期と行われる前の上期との対比では、減収になっている、伸びが落ち込んでいるということは事実でありますので、やはり免税点の引き上げによる減収というのはかなり、引き上げがなかりし場合に比べますと相当のものになるであろうと、この点は避けられないと思っております。
  261. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ともかく私の質問というか指摘に対して、大体二年に一回というサイクルで免税点の見直しをやってきたというこういう事実、したがって、そういうこともあり、関係団体、関係業界からは非常に強く要望をされておる。国民の側からもこれは結局国民の負担にかかわる問題として強い要望が出されておるということと、それから上半期、下半期というお話をなさいましたけれども、免税点を引き上げることによってその年度の税収が大きく落ち込んだと、そういうことはないという点から、いまここですぐ結論は出ないと思いますけれども、少なくともこの免税点問題をひとつ自治省としてこれからの検討課題にするということについてはどうですか。
  262. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 初めに申しましたように、関係の団体等からたくさんの要望意見が出されております。したがいまして、その要望意見についての検討は当然今後行わなきゃならないと思っております。ただ私どもの見通しといいましょうか、現状認識について申し上げた次第でございます。
  263. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 最後に一つだけ聞いておきますが、いわゆる宅地並み課税問題、これについては、私どもの党としては、つとにこういう宅地並み課税制度というのは廃止をすべきだということを一貫して主張をしてきておるわけですけれども、新聞報道によりますと、いわゆるC農地について二段階課税を検討をしているというような報道があったり、あるいはAB農地についても減額措置をとっている自治体については現在交付税で補てんをしているわけですけれども、これの制度が五十七年度までということですが、五十七年度を待たず五十六年度からこの交付税補てん措置をやめるんだというようなことが検討をされているというような報道がいろいろされているわけですけれども、もしこういうようなことであればこれは重大問題というふうに思うんですが、それは事実かどうか、自治省としてはどういう見解かということを最後にお尋ねをして、もう時間ですので終わります。
  264. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 市街化区域農地の課税の適正化問題につきましては、御案内のように昨年十二月の税制調査会の答申がございまして、五十六年度までは現在の方式を踏襲する、五十七年度から宅地供給を促進するという見地に立ちまして、新たにC農地を課税の適正化の措置の対象に加える。それから、AB農地に対する課税を強化するということで検討を行うべきであると、こういう答申が出されております。私どもといたしましては、この答申の趣旨にのっとりまして、関係省庁の御意見も承りながら今後具体的な内容検討してまいりたいと、このように考えております。
  265. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 地方交付税におけるいわゆるAB農地の固定資産税に係る減収補てん措置は、地方税制度におきます減額措置との整合性を保つという意味で行われておるものでございまして、その前提となる税制度のあり方とあわせて考えるべき問題でございますから、今後この市街化区域農地に対する課税の適正化措置がどう検討され、どういうふうに動いていくかということとあわせて検討をすべきものでございます。したがいまして、一部の新聞で五十六年度から地方交付税による減収補てんをやめるのではないかといったような方針を決めたがごとく報道されたことにつきましては、私どもは何らそういったことについては方針を決めていないということを申し上げておきます。
  266. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 二段階の新聞報道は。
  267. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) いわゆるC農地の宅地並み課税の問題でございますが、これについてどのように課税の適正化措置を進めていくかにつきましてはこれからの検討事項でございまして、新聞等で報じられているようないわゆる二段階方式でとかということは、私ども具体的に決めた事実はございません。
  268. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 終わります。
  269. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 私は最初に、午前中に質疑がありました例の国鉄再建法の関連につきまして、一、二点自治大臣見解をお伺いしておきたいと思います。  国鉄の再建法は、御承知のように六兆円の累積赤字をたな上げする、三十五万人体制にする、それから例の地方線の廃止、これが三本の柱で、御承知のところでございます。この問題について、特に地方線の問題でございますけれども、これについてはもう十年来さまざまな取り組みが行われてきたわけでございます。御承知のところだと思います。たとえば、四十三年の国鉄諮問委員会の答申に基づいて、八十線区二千六百キロメートルの路線をバス転換する、こういう方向が打ち出されています。ところが、五年間で十一線区百二十一キロの廃止にとどまっている、まさに目標の二十分の一というような状況であります。また四十六年には、国鉄基本問題調査会を中心にして、例の採算のとれない地方線を三千四百キロメートルも撤去しちゃおうと、こういうような方向が出されている。しかしこれも全く実現を見ていない。こういう過去の経緯から考えまして、今度の再建法で言われております四千キロメートルの路線の廃止の問題が果たして実現できるとお考えになっておるのかどうか、その辺のところを自治大臣のまず基本認識をお伺いしておきたいと思います。
  270. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 今後の政令のつくり方いかんにもよりますけれども、せっかく提案いたしました国鉄再建法案であります。御審議の上御可決いただくことができますならば、何としても国鉄の再建の一つの大きな柱としてこれらの実現に努力しなければならないものと考えております。
  271. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 まあ実現に努力をしなければならぬということは、それは大臣の立場からして当然だと思うのでございます。  そこで、これは午前中の質問の中で、運輸省との統一見解の問題が出されました。これは第三セクターとの関連で出されておるわけでありますが、この統一見解は、十一月五日の参議院の本会議において、総理大臣と自治大臣の御答弁が微妙に食い違っていた、したがって統一見解が出された、こういうふうに理解をしているわけです。総理大臣は、地方が要望すれば第三セクターで大いにそれを推進をしていきたい、こういうことであります。しかし自治大臣は、国鉄という専門家が一生懸命やって赤字を出しているんだから、第三セクターなんということになればこれは当然もう赤字が予想される。したがって、地方自治体が参加することについては慎重に検討をしてきめなければならぬと、微妙に食い違っておるわけですね。そこで統一見解が出された。  そこで、きょうの午前中の質疑におきましても、とにかく地方財政の現状から考えて、慎重にこの問題は対処をしていきたい、第三セクターへの参加については慎重に対処をしていかなければならぬということを繰り返し御答弁があったわけですけれども、しかし、この再建法案が仮に通ったときに、そのような態度で果たして押し通していけるのかどうか、その点の御見解をお伺いしておきたい。
  272. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 繰り返しになりますけれども関係地方自治体等におきまして、何としても鉄道を残していきたい、自分たちがこれの経営に参加すれば必ず健全経営ができるのであるという確実な見通しをお立てになった上でおやりになるのならば、私あえて異を唱えるつもりはありません。ただ、安易な気持ちでこれに取り組み、採算に乗らない場合には何とかなるであろうというような気持ちが、労使どっちにでも万一にもありましたら、これはもう困ったしろものであると、かように思います。本会議でも、下手すればという意味のまくら言葉をつけたつもりでありますが、慎重に対処していただきたいものと思います。そうでない限りは、私の方は、仮に赤字が出たとしても、現在の地方財政の仕組みのもとにおきましては特別の財政需要としてごめんどうを見るわけにはいくまいと、かように考えております。
  273. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 しかし、仮に大臣、そういうことを言われましても、地方の自治体がいろいろ協議をした結果、最終的には第三セクターに赤字覚悟で参加すると。これは地域住民の要望もありさまざまな存置意見が渦巻いておりますから、そういうような要望に従ってどうしてもこれは第三セクターでいくんだというように、二年間の協議期間の間にそういう結論を出した場合、赤字覚悟でやるんだということを出した場合に、いまの自治大臣のお考えのように、黒字の確実な見通しがなければ慎重にしてほしいんだと、こういうことでいけるかどうかお伺いをしてみたいと思います。
  274. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 赤字が出てもやるんだというおつもりで御経営になるのならそれは結構だと思います。私も乏しい経験ではありますけれども、かつて私の関係しております町で、病院を経営するという町長さんがいらっしゃいました。あんたのところでそういうものを始めても必ず赤字になりますよ、赤字になりましても県費であれこれのごめんどうは見ませんよ、しかしながら病院というものが町民の非常な熱望である、ほかのものは省略してもいいから病院を経営すべきだと町民が要望され、あんたもその覚悟でおやりになるのならおやりなさいと申し上げた経験を持っております。果たして、その病院はその後ずっと赤字で経営しておりまして、お困りのようであります。その後私は知事をやめましたからわかりませんが、私のときは、初めに申し渡しましたとおり、一切めんどうを見ませんと言いましたが——まあ二年間の後、私というものがどういうことに相なっておりますかわかりませんけれども自治省といたしましては、その辺篤と、各地方自治体が慎重に御検討の上第三セクター問題には取り組んでいただきたいと、かように思います。
  275. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そうなると自治大臣、赤字が出ても、そういう地方の要望があってどうしてもやりたいということならば、地方財政がかなりいま逼迫している状況なんですけれども国鉄の場合はこれがやってすぐ黒字になるようなものじゃないと思うんですよね。継続的にかなりの期間赤字が続くというように想定をされるわけですよ。そのときに、午前中の自治大臣の御答弁のように、財政上非常に問題だから、そういうことが赤字が想定されるならやめろと、こういうことは言うお考えはないわけですね。赤字覚悟ならどうぞおやりなさいと、こういうことでほうっておくと。
  276. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 私がかつて経験しました、ある町長さんが病院をお建てになる、それは赤字になるからやめなさい、しかし赤字覚悟でおやりになるのなら一つの見識であるからおやりなさい、しかし県はめんどう見ませんよと申し上げた裏には、町で病院を経営されなくても、実は八キロばかりの距離のところにすぐ県立中央病院といういい病院があったんです。地域住民の健康を守るためには、私はそう町で独立の病院を御経営にならぬでもよかろうと思ったものですから、赤字が出ても私は知りませんよと突き放したわけなんです。  今度の問題でありますが、十キロ、二十キロを通学されるのに高い定期代で通勤、通学を余儀なくされるというような状態のままならばこれはもう考えにゃならぬと思います。したがいまして、午前中の御答弁でも申し上げましたが、現在のところ関係地方団体等からは、本来、全国にわたって国は輸送の責任を持っておるのだ、それを一部の地域住民を犠牲にするのはけしからぬという御反対とか、俗に申します見切り発車はけしからぬというような御反対意見はいただいておりますけれども、どうしても廃止せにゃならぬのだという事態になった場合にさてどうするかという意見は、まだ地方自治体から、私、いただいておらぬわけです。でありますから、この法律を御可決いただきますならば政令作成の段階において、さらにその後の二年間の期間におきまして、地方自治体の御意見を十分拝聴して地方住民の足も守れるように、また負担も不当に高くならないような方法を必ず見つけにゃいかぬと、かように考えております。
  277. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 国鉄はとにかく特定地方線を一日も早く自分の手から切り離したいわけですね。そして早くお荷物を捨てたいと、こういう考え方で成り立ったのがこの再建促進法案ですね。これで国鉄が本当に——専門家が長い間やってきて大変な赤字を出して、年に一兆円にも上る赤字を出しているわけですね。それを今度は、とにかく切り捨てですから、二年間たてばいやおうなしに全部もう見切り発車でこれいかざるを得ないわけですね。  大臣、二年後は私はどうなっているかわからない、それは無責任な話だと思うんです。二年後にあなたがもう大臣であるかどうかわからない、だからこの問題が二年後どのように進展をしていくか、私にはもう責任はないというような意味にとれる発言をされておるから私は言うわけでありますけれども、とにかく国鉄は、二年後にはすべて見切り発車で出発するわけです。しかし、いまの全国知事会にしても、あるいは県議会の議長会にしても、それからまた町村会にいたしましても、全部こぞってとにかくいまの線路を残してほしいと、こういう要望があるわけですね。そういう要望があって、しかし見切り発車はされますよと、こういう段階になるわけですね。だからもう本当に無責任なことは言っていられない。実際走り出してしまったらとまらないというのが、これが今度の再建法案だと思うんです。その点の見解を伺っておきたいんです。
  278. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 二年後に私自身はどうなっておるかわかりませんけれども自治省としては、第三セクター問題については慎重に取り組んでいただくことを望みますと申し上げたつもりであります。私の言語が不明瞭でありまして、大変失礼いたしました。
  279. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それでは、国鉄の問題はその程度にしておきたいと思うんですが、次に、電源立地の問題でお伺いをしておきたいと思います。  すでにもう大臣も御承知のように、日本の石油事情、イラン、イラクの戦争などありまして、大変な状況になっている。当面は何とか備蓄でしのぐといたしましても、いずれにしても八〇年代の最大の課題は、石油依存体質からの脱却、代替エネルギーをどのように開発していくか、これが日本の産業の発展、国民生活の向上の面から、きわめて重要な課題、最大の課題であると思うんですね。石油にかわる代替エネルギーということになると、原子力、それから石炭、LNGというのが三本の大きな主力だと、こういうように言われているわけでございます。  そこで、まず最初にお伺いをしておきたいのは、原子力の発電の問題でございます。資源エネルギー庁の五十四年八月末の長期需給暫定見通しによりますと、原子力発電については五十二年の実績八百万キロワットをもとにいたしまして、そして六十年には三千万キロワットに持っていきたい。六十五年には五千三百万キロワットに持っていきたい。七十年には七千八百万キロワットに持っていきたい、こういう長期エネルギー需給暫定見通しというものを明らかにしているわけでありますけれども、この見通しどおり、見込みどおりいく可能性があるかどうか、資源エネルギー庁からまず御答弁をいただきたい。
  280. 西中真二郎

    説明員西中真二郎君) ただいまの御質問でございますけれども、御指摘のように、昨年の八月に資源エネルギー庁の諮問機関でございます総合エネルギー調査会で答申をいただいたわけでございまして、先生指摘のような数字が挙がっておるわけでございます。率直に申しまして、相当きつい数字であることは事実でございまして、実は昨年の十二月でございますか、同じく通産省の諮問機関でございますけれども、電気事業審議会の需給部会というところで一つの数字が出ております。それを申し上げますと、いずれも先ほどの総合エネルギー調査会の数字を上限といたしまして、多少幅を持たせた数字ということで、電気事業審議会の方の数字が出ておるわけでございまして、具体的に申し上げますと、六十年度末で二千八百万ないし三千万キロワット、それから六十五年度末で五千百万ないし五千三百万キロワット、七十年度末で七千四百万ないし七千八百万キロワットというふうに、幅を持たせた数字としまして、去年の年末の電気事業審議会では数字をつくっておるわけでございます。  それの見通しということになるわけでございますけれども、まず六十年度でございますが、これはもう五年先でございますので、かなり目鼻がつかなくちゃいかぬ話になるわけでございますけれども、現在、御承知のように、原子力発電につきましては、運転中のものが約千五百万キロワット、細かく申しますと千四百九十五万キロワットございまして、このほかにすでにもういろんな許認可等の手続も終わりまして建設中のものが五百八十四万キロワットございます。それから建設準備中のものが七百九万キロワットございます。この建設準備中と申しますのは、電源開発調整審議会というところで一応基本計画には組み込まれたというものでございますけれども、いろいろ安全審査その他の手続を実施中で、まだ実際に建設に手をつけるところまではいっていないというものでございますけれども、これらを全部合わせますと約二千八百万キロワットということになりまして、六十年度で申しますと、先ほど申し上げました電気事業審議会の二千八百万ないし三千万キロというのの下限の方の数字はほぼ達成できるのじゃなかろうかというふうに考えております。  六十五年度あるいは七十年度の数字になってまいりますと、まだそれほどはっきりした地点との結びつきというものがあるわけではございませんので確答はできないわけでございますけれども、冒頭に申し上げましたように、なかなかきつい目標ではございまして、先ほど申し上げました電気事業審議会の需給部会の答申の中でも、この目標達成は必ずしも容易なものではない、しかしそのために全力を傾けてやる必要がある数字なんだというふうなことが書かれておるわけでございますけれども、私どもといたしましてもエネルギーの安定供給のためにこの電気事業審議会の数字というものを何とか実現するように最大限の努力をいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  281. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 もう少し具体的に御答弁をいただきたいんですが、いまの建設中の七基ですね、これが実際に運転開始するのはいつごろになるのか。  あるいは、六十年までに運転開始の予定を立てている七基、いまお話しがありました七百九万キロワットですね、これが実際に運転を始めるのは一体いつになるのか。予定どおり進むのかどうか、見通しを伺っておきたい。
  282. 西中真二郎

    説明員西中真二郎君) まず御指摘の建設中の七基でございますけれども、これにつきましては電力会社が毎年施設計画というものを提出してまいるわけでございますけれども、それによりますと、運転開始が一番近い予定のものが九州電力の玄海の二号というものでございますけれども、これは明年の三月には運転開始予定ということになっておりまして、これが一番早いわけでございますが、その他のものもすべて六十年度末までには運転開始という予定になっております。  それから、建設準備中の七基の方でございますけれども、実は細かく申し上げますと、この七基のうちで四基につきましてはすでにことしの八月に設置許可というものをおろしまして、一番根っこの許可はすでに出たわけでございまして、実は昨日付で工事計画の認可という細かい工事の認可も一部いたしましたので、近日中には建設に手がつくということになるわけでございまして、準備中の七基のうちの四基はあるいは建設中と申し上げても間違いではないというところまで参っておるものでございます。  そういったものも含めまして、建設準備中のものもいずれも六十年度末までには運転開始というのが現在の電力会社の計画では書かれておりまして、私どもといたしましても極力その施設計画にうたわれておりますようなタイミングで運転開始に持っていけますように、もちろん安全性の確保というのが一番の根っこではございますけれども、できる限りの努力はしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  283. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 しかし、いまのお話のように果たして行くのかどうか。私は、それは絵にかいたもちではないかと、こういうように実は考えているわけでございます。といいますのは、十月二十九日の新聞によりますと、電源開発調整審議会、これで認可されました新たな五十五年度分の着工電源は十一地点、二百二万キロワットにすぎない、こういうことが明らかにされているんですね。七月の第一回の認可の十七万キロワットを合わせても二百十九万キロワットなんだ、ところが今年度の新規開発目標は、実は二千百万キロワットを想定をしている、したがって達成率はわずか一割にとどまっているんだと、こういうことですね。こういうような現状から考えて、特に原子力発電については今年度は一件も認可されていない、こういうことが明らかにされている。  だから、いまのような見通しは、それは確かに見通しに基づいて全力を尽くしていかなきゃならぬわけでありますけれども、その見通しが果たしてそのとおりいくのかどうか。大変なおくれになってくるのではないか。特に原子力発電の場合は、計画から運転開始まで八年以上かかると、こう言われているわけですから、そういうことを考えますと、六十年度までにせいぜい二千二百万キロワットくらいしか達成できないのではないかという、そういうような見方もあるわけですね。したがって、それは本当にもう甘い見通しではないかと、このように考えておるわけですが、もう一度御答弁願います。
  284. 西中真二郎

    説明員西中真二郎君) 甘い見通しという御指摘をいただいたわけでございますけれども、確かに実現が容易にできるという意味の数字でないことは御指摘のとおりであるというふうに私どもも考えておりまして、そのために、まあ逆に言えばそれだからこそ最大限の努力を重ねていかなくちゃいかぬということだろうと思っておるわけでございます。  なお、先ほど五十五年度の電調審で、いまのところまだ原子力の案件がかかっていないというのは御指摘のとおりでございますが、現在、たとえば柏崎・刈羽の原子力発電所、これは東京電力でございますけれども、百十万キロワットのもの二基、合わせて二百二十万キロというふうなものが現在地元での調整等も相当進んでまいりまして、近々十二月の初めに第一次公開ヒヤリングというものを地元で開催することになっておりまして、まあその辺を手始めといたしまして、そういった具体的な地点を早く話を固めてまいりまして電調審に上程するというふうなことで進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  285. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そこで大臣、見通しはいまお話しがあったとおりでございます。まあ電源立地をめぐりましてさまざまな紛争が起こりかつ長期化をしている、そういうことがいわゆる需給見通しを困難にさしている原因だと思うんですね。こういう問題について、日本の将来のエネルギー需要を考えますと大変なことであるし、これはもうますます促進をしなければならぬわけでありますけれども一体こういうような紛争が長期化している原因ですね、これについて自治大臣はどのようにお考えかお伺いをしておきたいと思います。
  286. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 御承知のとおり、日本は世界唯一の原子爆弾被爆国であります。原子力発電は原子爆弾とは本来違うんだし、原子力発電所は世界の各国でずいぶんきょうまでに設置されておるのだけれども、そう大きな事故、特に人命に関する事故等はないんだという御説明もあるわけでありますし、特に、まあ何事にも事故なり犠牲はやむを得ぬこととしてつくものでありますけれども、その比較でありますが、発電をします際に、石炭による場合、あるいは石油による場合、あるいは水力による場合、原子力による場合、どれが危険度が一番少ないかといいますと、もちろんこれは私それを証明する能力はありませんけれども、原子力発電が一番安全であるというような学説もありまするし、さらにまた、去年でありましたかおととしでありましたか、御承知のスリーマイル島事件、あれだけの騒ぎが——騒ぎとは申しませんが、問題がありましたけれども、私の聞いております範囲では、あれによって具体的な人身事故があったということは私は聞いていないので、国民の皆さんもあるいはそうだろうと思うのですけれども、どうも原子力発電というとこわがる、それが第一点だろうと思うのです。  さらにまた、発電のコストにしましても、建設の時期等もありましょう、石油の値段の問題もありましょうけれども、石油に依存する場合よりか原子力発電の方がはるかにコストが安くつくという事実もあるのでありますけれども、それもどうも国民の皆さんに十分の理解が得られていないように思います。  危険度について、やっぱり十分の信頼を国民の皆さんがお持ちになっていない。さらに、コストの問題についても十分の御理解が得られておらぬ。もう一つ、これまあ私の個人的な想像でありますけれども、石油がないないと言いながら、どうもそうあわてぬでもあるんじゃないかという考えが国民の一般にあるのではないかということ。さらに、電力は必要だし、原子力は発電やむを得ぬかもしれぬが、自分のところだけが犠牲にならぬでもいいじゃないか、それを公平の見地から、どうも自分のところに立地されるのはいやだというようなこともあろうと思います。  要しまするに、私所管大臣じゃありませんから大きなことは申しませんけれども、結局、政府の努力、国民の皆さんの御理解を得られる努力がまだ不十分じゃないかと思います。それじゃ完全に安全かといいますと必ずしも完全に安全だというところまでいっていないことは御承知のとおりであります。なおその辺の努力をしますと同時に、国民の理解を得るための政府の努力がさらに必要ではなかろうかと考えております。
  287. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それは、安全性の問題その他につきまして、私も自治大臣のいまの御見解とそう変わっていないのです。認識は同じ立場でいるわけです。ただ、その安全性の問題につきましても、いま自治大臣がまさに指摘をされたように、国民の間の核アレルギーに対して、安全性の問題を政府が責任持って真剣にそれをPRし国民の理解を得るという努力を果たしてしてきたのかどうか。それはもうほとんどやっていなかったと言っても過言ではないと思うのですね。むしろ、原子力発電所に働いている労働者、これが真剣に努力をして、私どもはそこで働いているんだと、働いている者が言うんだから理解をしてくれといって説得をし、広くそのことをPRをしているというのが現状なんですね。したがって、いま自治大臣がみずから言われましたように、この問題については政府がさらに積極的にその安全性の問題について国民の不安感を取り除く努力を真剣にやっていただかないといけない、こういうように思うわけです。  そこで、ところが地方自治体がこの原子力行政に実際どの程度権限を持っているだろうか。原子力行政の問題について、地方自治体がどの程度の一体権限を持っているか。いまの法律の中からいうとほとんどないわけですね。ほとんどありません。たとえば、原子力基本法、あるいは核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、原子力損害の賠償に関する法律というような原子力に関する法律はいろいろあるわけでありますけれども、しかしこのいずれの法律のどこにも、地方自治体がかかわっている規定はほとんど見出すことができないという現状なんです。しかし、にもかかわらず、地方自治体は国が責任を持ってやるべき仕事をやむを得ずやっているというのが実態なんです。  それはなぜかというと、それは住民の健康と安全、そういうものを確保することが地方自治体の基本的なその使命なんです。したがって、地方自治体に権限が付与されていなくてもこれを放置していくわけにいかないということで安全性のPRの問題だとか、電力会社との間の安全協定の締結とか、さまざまのことを地方自治体が国のやるべきことをかわってやっているわけですね。こういう実態について一体どのようにお考えか見解をお伺いしておきたいと思います。
  288. 西中真二郎

    説明員西中真二郎君) 通産省の方からまずお答えさしていただきたいと思います。  自治体に権限を与えるべきではないかという、あるいはその辺をどう考えるかという御指摘かと思うわけでございますけれども、原子力発電の場合、御承知のように非常に内容的にも技術的、専門的な事項が多うございますので、法律に基づきますいろんな許認可というたぐいのいわば安全性に絡む細かい技術的な話というふうな問題につきましては、むしろ国が一元的に所管していくということの方が適切なんじゃないかということで、先生指摘のように、従来から国が一元的にその辺の許認可を行うということで対処をしてまいっておるわけでございます。  ただ、そうは申しましても、地方自治体に全く発言権がないということではないわけでございまして、たとえば一番最初に——これは原子力固有じゃございませんけれども、電源開発調整審議会というところに付議してそこで基本計画に組み込んでもらうわけでございますけれども、その際には都道府県知事の御意見を承るというふうなこともいたしておりますし、あるいはまた、先生の御質問の中にもございました、安全協定というふうな形で自治体とその電力会社とが協定を結びまして地方自治体に非常に関係の深いような事項については電力会社が自治体に対して届け出を行う、あるいは承認を得るというふうな手順を踏んでおるというふうなケースも多々あるわけでございまして、そういった意味におきましては、私どもといたしましては、そういった形で自治体が事実上いろいろ電力会社の指導等をやっていかれるということで進めていくというのが一番いいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほど広報関係の御指摘もあったわけでございますけれども、これは自治体に対しまして広報安全対策等交付金というふうな交付金を私どもの通産省の方の予算で用意しておりまして、数百万から多いところには一千万以上、十分ではないかもしれませんけれども、そういった予算を計上いたしまして、これを都道府県あるいは市町村に交付いたしまして、広報関係等で、あるいは安全問題等で自治体が実際にお金がかかった場合には、そのお金の全額になるかどうかは別としまして、そういったことで私どもとしてもお手伝いをさせていただくというふうな予算制度も講じておるところでございます。
  289. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 電源立地が計画どおり進められていかない原因のもう一つに、いまの電源立地方式そのものに幾つかの問題点があるというように指摘をされているわけです。たとえば、全国でも最大と言われる発電県福島県、特別立法の制定について御要望がたびたびなされていると思うし、だからもう自治大臣も御承知だと思うわけですけれども、たとえばこの中でも指摘をしておりますように、たとえば財政の問題で、電源立地されますと非常に効果は上がる。たとえば財政の問題でも電源三法交付金で財政の規模がふくれていく。あるいは、その施設を建設中には雇用が確保される。あるいはそのことによって農業のいわゆる出かせぎ者が一時はとまる、こういうような効果があるということはこれはもう明らかなんです。  ところが、現実に今度は、電源立地が行われて施設が完成をいたしますと、さまざまな問題が出てきている。たとえば雇用の問題は、これはもう建設が終わるとそのままほっぽり出される、もう雇用機会が失われるということが重大な問題ですね。それから財政の問題でも、施設そのものは減価償却になっておる。固定資産税が減価償却によりまして急速に減っていく。だから、建設中は財源が非常に確保されますけれども、一挙に減っていって財政を縮小しなければならぬ、こういうような問題が出てきているわけです。それと、この電源三法の交付金の交付期間が限定されている、こういうところにも大きな問題があるわけでございまして、たとえば限定をされているために、公共施設が、電源三法によって交付金がいってさまざまな施設ができても、それを今度は維持管理をしていく、そういう金はもうないわけですね。こういうようにさまざまな問題が出てきておるわけでございまして、これらの改善を強く要望をされているわけです。  そのことについて通産省あたりでは新しい電源立法を考えられておるようでもありますけれども、こういうような要望に対して自治大臣はどのように受けとめられておりますか、お答えをいただきたいのです。
  290. 大嶋孝

    説明員大嶋孝君) 確かに御指摘のように、現在の電源立地対策につきましては、多くの地方公共団体が企業誘致等地域におきます雇用の場を確保して総合的な地域振興を図ることがなかなかできないというような意見を持っていることは確かでございます。今後、電源立地を円滑に進めてまいりますためには、電源地域の総合的な振興を図っていく必要があるだろう、かように考えておりますし、またそのように努力をしてまいりたいと思っております。
  291. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 具体的な内容をちょっと説明してください。
  292. 大嶋孝

    説明員大嶋孝君) 先ほど先生の方からお話しもございましたけれども地方公共団体がどういうことを要望をしておるのかということから申し上げたいと思いますけれども、一つは電源地域の総合的な整備を図るための制度をつくっていただきたいと、こういうことが第一点でございます。第二点は、雇用の確保を図るための産業振興施策の確立を図ってもらいたい。その他、農林漁業者の経営の安定化に資する施策を確立していただきたい。それから、先ほどもお話しございました、電源地域市町村が恒久的に確保できる財源措置制度の確立、あるいは地域別電気料金制の導入といった電力行政の抜本的な改善、こういうことを地元地方公共団体の方では要求をしておるわけでございますが、これらの実現につきましては、どこまでできるかわかりませんが、通産省の方とも協議をしてまいりたい、かように考えております。
  293. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いまもお話しがありましたけれども、この四月の電気料金の改定によりまして、首都圏へ大量に電力を供給している福島を初めといたしまして、いわゆる電力供給県、この電気料金が東京などの消費地よりも高くなるという逆転現象が生じていることは御承知のところであります。電力供給県は一生懸命国策に基づいて電源立地をして、そして大量消費地に電力を供給している。にもかかわらず、そのようないろんな悩みな持ちながら一生懸命やっておるにもかかわらず、消費地の方が電力が安いと、こういうことに対する非常に不満があるわけですね。したがって、この問題について自治大臣地域的電力料金制度というものを導入をすべきではないかという意見がありますけれども、どのようにお考えですか。
  294. 山本貞一

    説明員(山本貞一君) ただいま先生指摘いただきましたように、ことしの春の電気料金の改定で、東北電力と東京電力の電力料金が、東北電力の方が若干高いというようなことになります。地元の方からその点についてはきわめて素朴な疑問、あるいは不満が提出されておりまして、電力会社あるいは通産省に対しまして地域別料金制を導入すべきではないかという御意見が非常に強く出てきたわけでございます。通産省といたしましては、電気料金の公平の原則という点から、直接地域別料金制というものはなかなか考えにくいわけでございますが、私どもの特別会計から交付金を地域住民の方々あるいは企業に交付するという形で、実質的に原子力発電所の所在市町村、あるいはその隣接市町村住民あるいは企業の方々に一部のメリットでも還元しようという案を来年度の新政策として要求しておるわけでございます。  なお、先ほどから御指摘がございました地方財政問題につきまして、これも先ほどから先生指摘のように、自治体から非常に強い御要望がございまして、私どもとしてもこれを真正面から受けまして、来年度、立地交付金でつくりました公共用施設の維持管理に要する資金を特別会計から交付する。それからもう一つは、水力発電の所在市町村に対して水力発電所が存在することに伴う行財政需要に対応するためにやはり交付金を交付するという案を考えておるわけでございます。  なお最後に、地域振興、あるいは雇用の確保という点につきましては、通産省といたしましては当該市町村だけという狭い考えじゃなくて発電地域というとらえ方をいたしまして、県が中心になって雇用確保、あるいは地域振興対策をやっていただくという趣旨で県に対して一定額の交付金を、たとえば私どもの案で言えば福島県の場合は四億円ということになるわけですが、そういう交付金を来年度考えておるわけでございます。こうした新しい施策によりまして来年度以降電源立地というのを急速に促進さしていきたいと考えておるわけでございます。
  295. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それでは、別の問題でもう一点御質問をしておきたいと思います。  それは、地方事務官制度の問題でございます。この問題については、本委員会におきまして、もう五年前に特別決議が行われておりまして、地方事務官制度については、昭和五十一年三月三十一日を目途として廃止すべしと、こういうように決議も行われているわけですね。あるいはまた、昨年の十二月の閣議におきましても、速やかにこの実現を図りたい、そして、「五十五年六月末を目途として結論を得るものとする。」と、こういうことが昨年十二月二十八日の「昭和五十五年度以降の行政改革計画の実施について」ということで閣議決定が行われているわけです。もう五十五年六月末をとっくに過ぎておるわけでありますけれども一体この問題についてどのような検討が行われてどのような結論が出されているのか、これをまずお聞きしておきたいと思います。
  296. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 地方事務官の問題につきまして、いまお話しのとおり三十年の間いろいろ各省と折衝してまいりましたが、現在までに解決に至りませんこと、まことに残念に存じております。お話しがありましたように、「昭和五十五年度以降の行政改革計画の実施について」という閣議決定に基づきまして、本年六月の末までに結論を得るということになっておったことも事実でございます。しかし、これも関係各省の間で意見の一致を見ずに、今後基本的な解決方法を見出すべく引き続き検討協議をするということになって、一応今後の検討課題だということになっておるわけであります。  私たちの方といたしましては、関係各省との間においてのいろんな意見の食い違いがあるためにこのようになっておりますが、国と地方公共団体の機能分担の問題でもありますし、ひいては、さらには職員の身分に関する問題でもありますので、引き続き慎重に検討しながら早い時期に地方事務官の問題が解決されるよう今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  297. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いま地方事務官というのは、五十五年度の予算定員で二万一千八十二人おるわけですね。それで、厚生省関係が一番多い。御承知のところです。いまお話しがございましたように、委員会決議が行われ、閣議でも、具体的な日時、目標を定めてこれを実施をしていくんだという、検討をするということが決められておる。しかしいまお話しのようにそれが一向に進んでいない。さまざまの問題があるとか食い違いがあるとかいうお話でございますけれども一体どこにこの問題の障害となっている問題点があるのか、どういう食い違いが一体具体的に生じているのか、その点をもう少し御説明いただきたい。
  298. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) この問題、いま申し上げましたように、もともと国の事務と地方の事務、どちらにするかという従来からのいきさつがございました。地方自治法をつくりますときに、附則の八条の中で、この問題をなるべく早い時期に解決するような方法でやるということで、八条の規定をつかまえまして、「都道府県の職員は、」「当分の間」地方事務官だということで規定をいたしたわけであります。  しかし、この地方事務官の問題は、御案内のとおり、決めるときのいろいろな問題がございまして、たとえば人事権については国にはあるが地方にはない、指揮監督権については知事に任せるというちぐはぐな問題がありました。そこでこの問題につきましても、私の方は一般的に国の事務というのは機関委任事務でも執行可能であるから何も国家公務員である必要はないということを主張しますが、従来からのいろいろないきさつがございまして、どうしても国は国でやるのだということで、なかなかこの辺が譲歩できません。事務実施につきましても、保険行政でありますとか運輸行政でありますとか、あるいは労働行政の職安の問題でありますとか、これは総じて国の事務であって地方に任せるような仕事ではない、こういうことでなかなかまとまらないというのが現状であります。私たちの方といたしましてはそれと全く反対でございまして、ともかく幾ら言いましても、これらの事務というものが地方に譲与できないことはない、権限委任は可能である。しかもいろいろな事務が現実に国から地方におりているではないか。そういうことは、やれるものはやっておいてやりたくないものはやらないというのは国の大変なわがままである。だから、少なくともこれらの事務も早急にやはり地方の事務として地方事務官を廃止するんだということの繰り返しを実は三十年間やっておるということになっておるわけであります。これがなかなか一歩も進まぬという状態になっておりました。たまたま車両検査につきましての検査事務と登録事務につきましては国の事務だということで一応決着を見て、現在国会に法案が提案されておりますが、そのほかの問題に関しましては、一切、実のところ解決を見ていないし、今後もこの問題が大変むずかしくなっておるというふうに思います。  と申し上げますのは、いままでそういういろんないきさつをしてまいりましたが、ともかく三十年間この問題がある意味での定着を見ているということがますますこの問題を解決するのに困難なものにいたしておるという感じもいたします。そういうもろもろの条件が加わりまして地方事務官の解決というのが手間取っているというのが現状でございます。
  299. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 この問題は、もうとにかく御承知のように三十年来の懸案だということでございまして、早く結論を出していただきたいと思いますし、いまも行政改革の問題が中央地方を通じて最大の課題だということで、第二次臨調の法案も提出をされるということです。本格的な取り組み——私は、第二次臨調なんというものは必要がない、第一次臨調で問題点は出尽くしているわけだから、いまはもうとにかくこれは実行あるのみと、このように考えておりまして、非常に批判を持っておるわけでありますけれども、とにかくできることを即刻やっていくという姿勢がなければ、行政改革は一歩も進まない。総論だけがあって、本当にかっこいい総論ばっかりで、全然物が進んでいかない、こういうように思うわけでございまして、この問題は自治大臣といたしましても積極的に進めるように御努力をお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  それから、いまの運送車両法の改正案によりますと、これが地方事務官制度についてようやく前進をしたと言われますけれども、しかし、いままで知事に委任していた権限を陸運局長に戻すということは、これは国が直接に車検事務を行おうとするものではないか。だから、地方に事務官を移行するということと逆の方向ではないのか。逆行する内容ではないか。したがって、自治省としてはこれらの問題についてむしろ反論をしていくべきではないかというように思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  300. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) 地方事務官制度についてでありますけれども、御指摘のとおり、もう長年の懸案であり、当院におかれましても御要望の決議等がありましたことを承知いたしておりますが、これは困った問題であります。ただ救いは、国民の皆さんに地方事務官制度が残されておるがためにそう御迷惑はかけずに済んでおるというのが地方の実態だと思います。ただ、一番の問題は、運輸行政であります。実害のあるのが。いまのままでは実害があると申しますのは。実は、私どうもうかつでありまして、自治大臣就任前でありますけれども、車検あるいは登録の事務は、国の事務として処理する、したがって運輸事務官にする。その一方、その他の陸運事務所が所管しております運輸行政は地方公務員にして、都道府県知事にこの権限を任すのだと即断しておったわけであります。法案を再提案します際、これは私になってからでありますけれども、申しわけありませんが、自分の力ではとても力及ばず、運輸一般行政の方は地方事務官のまま残ったわけです。ところが、御承知のとおり、今日運輸大臣があれこれバス問題等をおやりになりましても、ハイヤーの料金にしましても、おひざ元の東京などはおわかりかもしれませんけれども、田舎に行きますとわかるわけはないのです。実際は知事がかわってやってやらなければとてもできるものじゃない、地域住民のためになる運輸行政は。こいつが一番の実害を伴っておると思います。これだけでも一日も早く、名実ともに都道府県知事にその他の一般の運輸行政は移譲してもらうように努力いたします。
  301. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いま一層の御努力をお願いをいたしまして、時間が参りましたので、これで終わります。
  302. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  303. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。石破自治大臣
  304. 石破二朗

    ○国務大臣(石破二朗君) ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、別途本国会で御審議をいただいております厚生年金保険法等の一部を改正する法律案による厚生年金における年金額の引き上げに伴い、地方公務員共済組合の退職年金等について、その算定の基礎となる定額部分の額の引き上げ等の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員の年金制度について地方公務員の共済組合制度の改正に準ずる所要の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、地方公務員の共済組合制度の改正に関する事項についてであります。  まず、その一は、厚生年金における年金額の引き上げに伴い、地方公務員共済組合が支給する退職年金等について、退職年金等の額のうち通算退職年金の額の算定方式に準じて算定する場合の定額部分及び通算退職年金の定額部分の額を引き上げることとしております。  その二は、厚生年金における年金額の引き上げに伴い、退職年金等の最低保障額を引き上げることとしております。  第二は、地方団体関係団体職員の年金制度の改正に関する事項についてであります。  すなわち、地方団体関係団体職員共済組合が支給する退職年金等について、地方公務員の共済組合制度の改正措置に準じて所要の措置を講ずることとしております。  以上が地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  305. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本案に対する質疑は次回に譲りたいと応じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会      —————・—————