○
政府委員(
渡辺喜一君) まず最初に、五十四
年度並びに今
年度の国債の消化
状況でございますが、五十四
年度は全体で
実績が十三兆四千七百二十億円でございます。そのうちシ団の引き受けが、十年債と五年割引債と合わせまして九兆七千七百二十億円、それから市中で公募入札で出しました中期利付国債が一兆三百五十九億円、残りが運用部の引き受けでございまして、これは十年国債が一兆五千億、それから中期国債が一兆一千六百四十一億、合計二兆六千六百四十一億円というような内容になっておるわけでございます。で、昨
年度は当初は十五兆二千七百億円を予定したわけでございますが、その後
自然増収等を見合いに国債の発行計画を減額いたしまして、最終的には、いま申し上げましたように
実績としては十三兆四千七百億円で何とか国債の消化が行われたと、こういう
状況でございます。今
年度は、昨
年度とは消化環境が一転しまして
かなり好調に推移しております。発行計画といたしましては、
年度間に十四兆二千七百億円を予定しておるわけでございますが、上半期の
実績が七兆四千七百六十三億円ということで、ほぼ五〇%を達成しておると、こういう
状況でございますから、去年に比べますと
かなり好調に消化が進んでおるという
状況でございます。
個人の国債消化につきましては、私
どもかねてよりこの国債消化の形態における
一つの重要な柱である、こういう
考え方に基づきまして個人消化の促進にいろいろ意を用いてきたわけでございます。最近週刊誌その他の刊行物等にもこの国債についてのPRの広告などを出させていただいておるわけでございます。国債についてのイメージを
国民に広く植えつけていく。それによって国債もやはり金融資産の選択の中における
一つの大きな資産であるという認識を広く持ってもらいたいと、こういうことで努力をいたしているわけであります。
それから証券会社が直接個人消化を担当するわけでございますので、証券会社に対しましてもかねてより協力も依頼し、またたとえば国債市場における
金融等につきましても、できるだけ円滑な金融がつくように私
どもも配慮をいたしてまいっておるわけであります。おっしゃいますように、個人の消化、これはなかなか統計が実はないわけでございます。私
どもがつかんでおります
数字というのは、証券会社が引き受けて販売した金額、こういうことでございまして、その大部分は恐らく個人に行っておると思いますが、中には法人等もこれに入っておるということでございますので正確な
意味の個人ではございませんが、証券会社の引き受けた金額、こういうことで申し上げますと、五十四
年度は先生のおっしゃいましたように
かなり不振でございまして、総額で一兆八千四十一億円と、これは国債の発行総額の一三・二%ということになっておるわけでございます。
で、今
年度に入りましてから、これも環境が好転したおかげで大変順調に進んでおりまして、この上半期、九月までですでに二兆九百八十四億円を消化いたしておりまして、上半期における総発行額の二七・七%、約三割近いものが個人向けに販売されたわけでございます。どうしてもこの個人消化というのは金融環境に非常に左右される。特に金融が逼迫していく時期、つまり金利が上がっていく時期におきましては大変環境としては厳しい
状況になる。逆に金融が緩和していく、金利が下がっていく時期におきましては大変好調に売れていく。どうしても先行き金利が下がる
——下がるということは債券の価格が上がると、値段が上がるということでございますので、安いうちに買っておこうということでよく売れているわけでございます。五十四
年度はまさに一番逆風の時期でございまして、
年度間に金利がどんどん上がっていく、そういう時期でございますから、もうちょっと待てばもう少し価格が安くなるというようなことでなかなか買われないということで大変苦労をしたわけでございますが、今
年度は幸い金利の下降期に直面いたしておりますので、そういう
意味では個人消化は
かなり順調に進んでおるということでございます。
御意見のように、余りこれが金融の
情勢次第で大きくぶれるというのは国債の安定消化という面で大変問題があるわけでございまして、私
どももなお一層この個人消化の安定化ということには努力をしていきたいと考えておる次第でございます。