○佐々木満君 私は自由民主党・自由
国民会議を代表いたしまして、
健康保険法等の一部を
改正する
法律案に賛成の意を表するものでございます。
医療保険制度を取り巻く諸情勢は、御承知のように
人口構成の高齢化、
医療の高度化等による
医療費の伸びが、経済の安定成長への移行に伴い所得の伸びを上回るというきわめて厳しい情勢となっております。
また、最近の
医療をめぐる諸問題によりまして、
国民の
医療に対する信頼感が損なわれる
事態が生じておりますことは、まことに残念なことでございます。このような情勢を考えますときに、
医療保険制度について所要の
改正を加えますとともに、
国民の
医療に対する信頼感を速やかに回復することが強く求められておると思います。
本
改正案は、
衆議院におきまして、わが党の提案によって
政府原案に
修正が加えられたのでございますが、まず
給付の
改善につきましては、何と申しましても第一に家族療養費について入院の場合の
給付割合が七割から八割に引き上げられたことが挙げられます。家族療養費につきましては、
昭和十八年に法定
給付とされ、五割
給付とされて以来実に三十年を経た
昭和四十八年に現行の七割に引き上げられたのでございますが、その後わずか七年にして今般の
改善を見たのであります。家族療養費の充実を求める
国民の要望が高まっておる中でまことに喜ばしい進歩であると考えるものでございます。
第二に、高額療養費の
患者負担の限度額が低所得者につきまして引き下げられることが予定されていることは、高額療養費について低所得者の負担を軽減するという考え方を初めて導入するという画期的なものでございまして、高く評価さるべきものと存じます。
第三に、分娩費等の現金
給付について実情に即して改定できますよう政令をもって定めることとされ、その
改善が予定されていることはきわめて適切な
措置であると存じます。
第四に、被
保険者が海外にあります場合においても
保険給付を行うこととされましたことは、国際交流が盛んとなり、海外勤務者もふえておる現状にかんがみ、まことに時宜を得たものと存じます。
標準報酬、
保険料についてでございますが、まず、標準報酬等級表の上限を政令をもって改定できることとされましたことは、賃金水準の変動に応じて被
保険者の負担の実質的な公平を図る上できわめて適切な
措置であると考えるものであります。
また、政管健保の
保険料率を千分の九十一までの範囲内で弾力的に改定できることとされておりますことは、政管健保の健全な運営を確保するものでございますし、さらに、千二百九十億円に上る累積赤字を六年間で償還することとされておりますことは、無理のない負担によって政管健保の財政の健全化を図るものであって、いずれも政管健保の
給付と負担の均衡に大きく貢献するものと存じます。
このほか、
健康保険組合間において財政調整を
実施することとされておりますが、
保険者間の格差の解消のための財政調整が叫ばれて久しい今日、その法制化を見ましたことは、画期的なことであると考えております。
以上述べましたように、今回の
改正の実現によりまして、
給付の
改善や政管健保の健全な運営の確保など多くの面で大きな前進が見られるところでございます。また、これとあわせまして、いわゆる周辺問題の解決にも
かなり前進が図られることも特記すべきことでございます。
すなわち、増高する
医療費を
国民が納得した形で負担するためには、
医療費の適正かつ効率的な使用が強く求められているところでございますが、本
改正案における薬価
調査や指導、監査に関する
規定の整備は、本
委員会でも政府がたびたび表明してこられた薬価、検査問題に対する積極的な取り組みと相まちまして、
医療費の適正化に大きく貢献するものであり、このことは、ひいては
国民の
医療に対する信頼の回復に資するものと存じます。
さらに、
差額ベッド、
付添看護等のいわゆる
保険外負担の問題につきましては、その
改善について
国民からきわめて強い要望があるところでございますが、これらの問題につきましても、政府から積極的にその
改善を図る旨の強い決意が表明され、この面における
患者の
医療費負担の軽減について著しい前進が期待できることになったことは、本
改正にあわせまして銘記すべき事柄だと存じます。
このように、本
改正によりまして
医療保険制度の基本でございます
健康保険の健全な運営が図られ、さらにいわゆる周辺問題の
改善が進むことは、現在
検討されております老人保健
医療制度の整備を初めとした、
医療保険制度に山積する諸問題の解決のための基礎づくりに役立つものと確信いたしております。さらには、老齢化社会を迎えますます困難さを加える厚生行政の礎となるという意味でぜひとも必要なものと考え、わが党としては強く賛意を表するものでございます。
最後に、
国民医療の確保向上のためには、関係者の理解と協力が不可欠でございます。その趣旨に沿って関係者が一致協力してこれに当たられますことを強く切望いたしまして、私の賛成討論を終わります。